第3 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

下記「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照のこと。

 

2 【事業等のリスク】

当年度中、当社の取締役会(以下「取締役会」という。)は、ブルサ・セキュリティーズのメイン・マーケット上場規則(「上場規則」)及びコーポレート・ガバナンスに関するマレーシアン・コード(「本規範」)の方針及び実施規定を確実に遵守するため、当社及びその子会社(総称して「当グループ」)の内部統制とリスク管理のシステムの見直しを行った。

取締役会は、取締役会が株主の投資及び当グループの資産の保護を目的とした安定したリスク管理及び内部統制システムの維持につき全責任を有していること、並びにかかる統制が重大な過失、詐欺又は損失が発生するリスクに対して合理的ではあるが完全ではない保証を提供するに止まるものであることを認識している。

ここに記載されているのは、2022年6月30日に終了した会計年度における、当社による本規範の該当条項の遵守の概要である。

 

取締役会の責任

取締役会は、株主の投資及び当グループの資産を保護するための適切な統制環境の枠組みの確立を含む、安定したリスク管理及び内部統制のシステムの維持、並びに当該システムの適切性と完全性の審査につき最終的な責任を負っている。内部統制のシステムは財務の管理だけでなく、業務及び法令遵守の管理並びにリスク管理などをカバーしている。しかしながら、取締役会は、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムの審査が共同で行われる継続的なプロセスであり、事業目的の達成に失敗するリスクを排除するものではなく、むしろかかるリスクを管理し、詐欺行為及びエラーの可能性を最小限にするためのシステムであると考えている。したがって、当グループのリスク管理及び内部統制のシステムは、重大な誤表示、詐欺及び損失に対する、合理的ではあるものの、絶対的ではない保証を提供するに止まる。

取締役会は、当年度について、当グループのリスク管理及び内部統制(財務その他も含めて)が当グループの効率的かつ効果的な事業活動、財務情報の信頼性及び透明性、並びに法令及び規則の遵守を合理的に保証するものであると考えている。

 

当グループの内部統制の主な特徴

取締役会は、継続的な監視及び統制活動の効率性の審査の手続を含む、安定した内部統制構造の維持、並びに当グループ及びその従業員の行動の統治に専心している。当グループの内部統制システムの主な内容の概略は、以下のとおりである。

 

・承認手続

当グループは、承認手続を明確に定義し、説明責任を明確に定め、取締役会及び上席経営陣内で承認、許可及び管理に関する厳格な手続を有している。承認レベル、職務分掌及びその他の統制手続などの責任のレベルは、株主の最善の利益に鑑みた効率的かつ独立した管理を促すために当グループ内に通知されている。

 

・権限レベル

当グループは入札、設備投資プロジェクト、買収及び事業の処分並びにその他の大規模な取引に関して、会長、取締役社長、常勤取締役に対して権限レベルを委任している。一定の限度額を超える資本及び収益に関する承認は、取締役会がこれを決定する。その他の投資に関する判断は、権限の範囲に従って承認される。総合的な評価及び監視手続は、すべての大規模な投資に関する決定に適用される。企業への融資及び投資資金の拠出の要件、外貨及び金利リスク管理、投資、保険並びに署名権者の指名等を含む主な財務に関する事項の決定については、取締役の承認が必要である。

 

・財務成績

中間財務成績は、ブルサ・セキュリティーズに開示する前に、監査委員会が審査し、監査委員会の提言に基づき取締役会が承認する。年次財務成績及び当グループの事業の状況の分析は、外部の監査人による審査と監査を受けた後に株主に開示される。

 

・内部の法令遵守

当グループは、主な従業員が年間目標の達成を評価するべく内部で審査する経営陣のレビュー及び報告を通じて内部の財務管理の遵守を監視している。内部の方針や手続の更新は、リスクの変化、又は経営上の欠陥部分の是正、並びに当グループに関連する法令及び規則の遵守要件の変化を反映するために行われる。内部監査は、手続の遵守の監視及び精査を行い、提供された財務情報の整合性を評価するため、特定の期間について体系的に取り決められる。

 

当グループの内部統制の主な手続

内部統制のシステムの適切性と整合性を審査するために取締役会が定めた主な手続は、以下のとおりである。

 

・内部監査機能

当グループの内部監査機能は、その内部監査部門(「YTLIA」)により提供される。YTLIAは、経営陣が導入した内部統制システムの効率性及び有効性につき保証を提供し、監査委員会に直接報告を行う。また、YTLIAは、当社の上場企業であるYTLパワー・インターナショナル及びマラヤン・セメント・バーハッド、YTLホスピタリティREITの管理会社としてのピンタール・プロジェック・センドリアン・バーハッド並びにそれぞれの企業グループの業務を遂行しており、これらの上場企業の監査委員会にこれらに関連する事項を直接報告している。

内部監査機能の説明は、監査委員会報告書に記載されており、YTLIAの人員とリソースに関する詳細は、本報告書に記載されているコーポレート・ガバナンスの概要説明に記載されている。この情報は、当社ウェブサイト(www.ytl.com)の「ガバナンス」のページでも閲覧可能である。

YTLIAは、監査対象とする活動から独立して運営されており、内部統制システムの効率性と有効性と重大なリスクに重点を置いて実施された監査の結果につき、監査委員会に対して定期的に報告を行う。監査委員会は、YTLIAが提起した重大な課題及び事項につき審査及び評価を行い、経営陣によって適切かつ迅速な是正策が講じられることを保証する。

当年度中のいずれの脆弱性又は問題も、当社の年次報告書で開示を要求される、該当する方針若しくは手続、上場規則又は推奨される業界の慣行に対する違反には当たらなかった。

英国に拠点を置くウェセックス・ウォーター・リミテッド・グループ(「ウェセックス・ウォーター」)の会社は、上記の内部監査の対象には含まれていない。ウェセックス・ウォーターの事業は、同社の規制当局であり、政府機関である水道事業管理庁(Ofwatとして知られる)の厳格な財務及び業務管理の対象となっており、その規制ライセンスによっても管理されている。ウェセックス・ウォーター・サービシズ・リミテッド(「WWSL」)は、独自の内部監査部門を有している。内部監査部門はWWSLの監査委員会に報告し、内部監査委員会は優良な財務慣行の維持とこれらの慣行の整合性を保つための管理を監督する責任を有している。同部門は、年次財務諸表を審査し、取締役会と外部の監査人とのコミュニケーション・ラインを提供する。同部門には、その権限及び義務に関する正式な調査範囲があり、調査結果はウェセックス・ウォーターの親会社であり、当社の登録された子会社であるワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッド(「YTLパワー」)の監査委員会に報告される。

同様に、YTLパワーの子会社であり、シンガポールに拠点を置くYTLパワーセラヤ・プライベート・リミテッド・グループ(「YTLパワーセラヤ」)のグループ会社はYTLIAの対象に含まれていない。YTLパワーセラヤの事業は、同社の規制当局であり、シンガポールの通商産業省の法定機関であるエネルギー市場監督庁(EMA)の厳格な財務及び業務管理の対象となっている。YTLパワーセラヤは内部監査を著名な専門会社に委託し、当該専門会社は社内の監査委員会に報告しており、その調査結果はYTLパワーの監査委員会にも報告される。YTLパワーセラヤは、内部統制及びシステムを、財務諸表の整合性と信頼性を合理的に保証できる内容に維持する義務がある。

内部統制のシステムは、事業環境の変化に伴い、今後も審査、改善又は更新されていく。取締役会はYTLIAによる評価により、内部統制システムの継続性と効果を定期的に確認する。取締役会は、現在の内部統制システムが当グループの利益を守るために有効なシステムであると考えている。

 

・執行理事会/上席経営陣会議

当グループは、会長、取締役社長、常勤取締役と部門長/シニア・マネージャーから構成される執行理事会/上席経営陣会議を定期的に開催している。この会議の目的は、緊急を要する事由について審議し、決定し、財政及び財務に関する重要事項を検討、特定、協議及び解決し、当グループの財務状況を監視することである。また、新しい金融情勢や懸念される事項が早期に明らかにされ、迅速に対処することを確保する役割も果たしている。ここでの決定事項は、すべての関係する従業員レベルに直ちに効率的に伝えることができる。これらの会議を通じて、執行理事会/経営陣は関係する事業部門における業務上又は財務上の重大なリスクを特定することができる。

 

・現場の視察

取締役社長、常勤取締役は、生産現場や事業部門、不動産開発の現場へ赴き、様々なレベルの従業員と対話し、協議し、実行された戦略の有効性を直接評価する。現場の視察は、効率的な運営のために、透明性が高く、開かれたコミュニケーション経路が経営陣及び各取締役社長、常勤取締役によって維持されることを保証する目的で行われている。

 

当グループのリスク管理体制の主な特徴及び手続

当グループの安定した財務プロファイルは、事業活動の中で発生するリスクを軽減するための内部統制及びリスク管理のシステムの結果である。これは当グループの主要な公共事業部門における規制資産取得及びノンリコース・ベースでの融資獲得の戦略に象徴されている。これらには、ワイ・ティー・エル・パワー・インターナショナル・バーハッドの完全子会社、ウェセックス・ウォーター及びYTLパワーセラヤ、PTジャワ・パワー及びアタラット・パワー・カンパニーPSCに対する持分が含まれる。これらの資産は事業コストと収益の流れが予測しやすい、という共通点があり、これにより安定した、予測可能なキャッシュ・フロー及び利益が生み出され、それぞれの市場における安定した規制環境により更に強化されている。

当グループの事業活動のすべての分野は何らかのリスクを伴うことを取締役会は認識している。当グループは、経営陣が定義されたパラメーター及び基準に従ってリスク管理を行うための有効なリスク管理システムの維持を保証するよう努めており、株主価値の向上のために当グループの事業の収益性を促進している。

取締役会は当グループのリスク管理体制について全責任を負っている。当グループが直面する重大なリスクの特定、分析及び管理は上席経営陣が各事業レベルで行い、これらの調査結果を評価分析し、取締役会に報告する場合には監査委員会がこれを行うなど、あらゆるレベルで行われる継続的なプロセスである。同時に、YTLIAはYTLIAの中間監査において、当グループが直面する重大なリスクの特定及び分析を行い、その結果を監査委員会に報告する。当年度中、取締役会のリスク管理体制における機能は、内部統制システムの適切性と全体性を保証するために経営会議に取締役社長、常勤取締役が参加することにより実行された。当グループの事業に影響を与える重大なリスクの特定及び分析のプロセスの検討と更新、並びにこれらのリスクを管理するための方針及び手続に重点が置かれている。

当グループの事業活動は、市場リスク(為替リスク、金利リスク及び価格リスク)、信用リスク、流動性リスク及びキャピタル・リスクなど、様々な金融リスクを伴う。当グループ全体の金融リスクの管理の目的は、当グループが株主価値を創造することを保証することである。当グループは金融市場の予測不可能性に焦点を合わせ、財務業績に与える悪影響の可能性を最小限に抑えることを目標としている。金融リスク管理は定期的なリスク評価、内部統制システム及び当グループの金融リスク管理方針に従って実施されている。取締役会はこれらのリスクを評価し、適切な管理環境体制について承認を行う。当グループのリスク管理の詳細については、「第3 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載する。

経営陣は、当グループ内でのリスク意識を高め、各自の担当事業に該当する重大なリスクの特定及び分析を行い、適切な内部統制手続の設定と運営の義務がある。これらのリスクは、継続的に評価され、リスク管理の不備、情報システムの故障、競争、自然災害及び規制など社内外のリスクに関するものが含まれる。重大なリスクに影響を与える事業の重大な変化及び外部の環境については、リスクを抑制するためのアクション・プランの策定の中で取締役会に対して経営陣が報告する。

システム改善の必要性がある場合には、取締役会は監査委員会及び内部監査人の推奨する内容を検討する。

取締役会は今後も各事業分野において直面する事業、営業及び財務リスクの特定、評価及び管理を行い、また定期的に戦略を見直して、リスクが軽減され、管理されているかを確認し、当局が発行するガイドラインを遵守する。これは、当グループが株主持分及び株主価値を保護し、向上させるために常に変化し続ける事業環境に効率的に反応できることを確実にするためである。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 業績等の概要

① 事業実績

2022年度及び2021年度の当グループの主な事業部門別の売上高及び税引前利益は以下のとおりである。

(監査済)

 

2021年度

2022年度

売上高

百万マレーシア・リンギット(百万円)

百万マレーシア・リンギット(百万円)

建設部門

1,514.5

(46,919)

8.77%

1,136.2

(35,199)

4.69%

ホテル経営部門

420.7

(13,033)

2.44%

693.7

(21,491)

2.86%

セメント・建材事業部門

4,093.5

(126,817)

23.70%

3,891.0

(120,543)

16.05%

運用サービス部門及びその他

303.0

(9,387)

1.75%

304.2

(9,424)

1.25%

不動産投資開発部門

366.6

(11,357)

2.12%

717.4

(22,225)

2.96%

公共事業部門

10,572.1

(327,524)

61.22%

17,499.0

(542,119)

72.19%

合計

17,270.4

(535,037)

100.00%

24,241.5

(751,002)

100.00%

税引前利益

百万マレーシア・リンギット(百万円)

百万マレーシア・リンギット(百万円)

建設部門

217.4

(6,735)

34.43%

62.3

(1,930)

4.02%

ホテル経営部門

-153.6

(-4,759)

-24.31%

-58.4

(-1,809)

-3.77%

セメント・建材事業部門

562.9

(17,439)

89.09%

264.2

(8,185)

17.06%

運用サービス部門及びその他

-242.3

(-7,506)

-38.37%

465.4

(14,418)

30.05%

不動産投資開発部門

-380.3

(-11,782)

-60.19%

192.5

(5,964)

12.43%

公共事業部門

627.7

(19,446)

99.35%

622.9

(19,297)

40.22%

合計

631.8

(19,573)

100.00%

1,548.9

(47,985)

100.00%

 

② 概況

当年度の当グループの業績は、大幅に改善した。2022年6月30日に終了した事業年度における収益は、前年度の173億マレーシア・リンギットから40%増加し、242億マレーシア・リンギットであった。当期の税引前利益は、前期の6億マレーシア・リンギットから145%増加し15億マレーシア・リンギットに達し、税引後利益は、前期の3億マレーシア・リンギットから12億マレーシア・リンギットへと大幅に増加した。

 

当期の好調な業績により、当社は、株主に対する配当を継続することができた。当社は、1985年にクアラルンプール証券取引所に上場して以来、毎年、現金配当及び株式配当を一貫して実施しており、今年で38回目を迎えた。当社の取締役会は、当年度について、1株あたり3.0センの中間配当を宣言した。

 

当年度は、資産の最適化に重点を置いたことで、極めて好調な年となった。規制対象の公益事業に対する関心が高いことから、当年度にオーストラリアのエレクトラネットにおける33.5%の少数株主持分を10億2600万豪ドルで売却するまたとない機会となった。

 

当該取引により、当社の事業ポートフォリオにおける資産残高がさらに最適化され、当社の既存事業を補完する有望な新規事業に向けて現金準備金を投入する柔軟性が高まった。当該新規事業には、とりわけ、より持続可能なエネルギーソリューションへの移行に伴う、太陽エネルギー等の再生可能エネルギーへの新規投資が含まれる。

 

シンガポールの経済及び電力市場が堅調であることから、シンガポールの商業向けインフラ事業の収益は大幅に増加した。当年度において、シンガポールのトゥアスプリング発電所の買収が完了し、同発電所が当グループの事業と効果的に統合されたことで、当グループの電力事業ポートフォリオにおいて大きな相乗効果が生まれた。

 

2021年12月、デジタル・ナショナル・バーハッド(「DNB」)がクランバレーにおいて単独で卸5Gネットワークを開始したことにより、当社のYesネットワークは、マレーシアで初めて5Gアクセスを顧客に提供した。2010年の設立以来、当社は常に、都市部でも農村部でもアクセスできる最高速度にて、最も手頃な価格で顧客に提供することを目指してきた。DNBのネットワーク展開は順調に進んでおり、今後も顧客への5Gアクセスを拡大していく予定である。

 

パンデミックの拡大を抑制するために2021年に再導入された活動制限令(「MCO」)は、当社の国内建設活動だけでなく、ほとんどの産業活動を停止又は大幅に減速させたため、その影響はマレーシア及びベトナムにおける当社のセメント事業にも及んだ。しかし、2019年にマラヤン・セメント・バーハッド(「MCB」)を買収して以来、当社はセメント事業を大幅に合理化し、経営効率を改善し、当社の価値提案を強化してきた。

 

当年度後半には経済活動が平常に戻り始めたこともあり、当社の建設工事は順調に進捗し、受注件数も堅調に推移している。投入資材価格の上昇、労働力不足及び物流コストの上昇は、建設業及びセメント産業にとって一貫した課題であるが、建築業界では、主要インフラ及び低価格住宅プロジェクトの復活及び加速化を推進している。

 

ホスピタリティの面では、海外渡航が再開し、COVID-19がエンデミック期へと段階的に移行する中で、世界の観光産業は、程度に差があるものの回復してきている。インフレ圧力の上昇及び地政学的な懸念の高まりはさらなる試練をもたらすかもしれないが、これらの要因は、旺盛な累積需要及び経済状況の改善によりさらに緩和され、比類ない質のサービス及び独自の体験を提供する当社の世界中のホテル及びリゾートに利益をもたらすことが予想される。

 

一方、国内不動産市場においては、消費者心理がますます慎重になる中で、当社の英国におけるブラバゾン開発は順調に進捗しており、ブリストル地域の地域団体、審議会及び事業者との幅広い協議を経て、当年度は新たな基本計画を策定した。改訂されたビジョンは、より持続可能な住宅を適切な場所に確実に建設することに注力している。これは、ブラバゾンのような既存の輸送回廊沿いにある利用されなくなった工業用地をいい、そこでは、自動車に依存したライフスタイルに代わる真の選択肢として、公共交通機関の接続及び有効な移動ルートを提供する。

 

世界中において、パンデミックからの回復に加え、新たな変異種が出現するリスク、ウクライナにおける軍事衝突及びエネルギー価格への波及、深刻化する気候変動、インフレ圧力の上昇等、さまざまな面で課題に直面している。当社の事業が国際的な規模かつ幅広さで展開されていることから、これらの要因に対処し管理する能力は依然として最も重要である。

 

このような観点から、当社は、持続可能かつ長期的な事業展開することを方針の基盤としている。当グループの事業拡大は、経済的、環境的、社会的に持続可能で、最新の技術を活用し、当グループの基盤である強固なガバナンス文化を有する事業への投資及び開発に向けて、一貫した道筋を辿ってきた。

 

当グループの事業は、地理的に広範囲に及び、国内外の公益事業、建設業、セメント業、ホスピタリティ業及び不動産業の事業特性が異なることから、当社は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するというグループ全体の目標に取り組んでいる。ただし、現段階で当社の事業の大部分を占める英国及びシンガポールにおける事業では、地域における進展を踏まえると当該目標をはるかに先行しており、早期に当該目標を達成する見込みである。

 

当年度の進歩及び進展は、来年度に向けて良い足掛かりとなった。当社は、既存事業の経営効率及び強みを高めるとともに、戦略的な新規事業を推進し、将来に向けて万全な態勢を整えている。

 

当社及び当グループの当年度の売上高は、前年度の17,270.4百万マレーシア・リンギットに対して、24,241.5百万マレーシア・リンギットに達した。当年度の税引前利益は、前年度の631.8百万マレーシア・リンギットに対し、1,548.9百万マレーシア・リンギットに増加した。

 

売上高の増加は、主に当グループの公益事業によるものである。建設部門及びセメント部門は、年度初めもパンデミックによる規制の影響を受けたが、年度が進むにつれて規制の緩和に伴い回復のペースが速まった。一方、不動産部門では、土地売却及び英国における当グループのプロジェクトの売上増加等により業績を上げた。また、ホテル部門は観光・ホスピタリティ産業の緩やかな回復を受け、引き続き好調に推移した。

 

当社の取締役会は、基準日を2022年11月11日、支払日を2022年11月29日として、普通株式1株あたり3.0センの中間配当を宣言した。

 

マレーシア経済は、2021暦年で3.1%の国内総生産(GDP)成長率を記録した。2021年6月のCOVID-19感染防止措置の再施行により経済活動は抑制されたが、企業の制限に適応力が高まったため、その影響は2020年と比較すると小さかった。しかし、当該措置は、特に回復が遅れていた観光部門及び建設部門に影響を与えた。ワクチン接種プログラムの成功を受けて2021年10月に経済部門が再開されたこと、労働市場の状況が改善したこと、資本支出が増加したことにより、国内需要は堅調に回復した。マレーシア経済は、持続的な国内及び輸出需要、継続的な労働市場の回復並びに政策支援を背景に、前年同期比で、2022年第1四半期に5.0%、第2四半期に8.9%成長した(出典:マレーシア国立銀行最新情報及び報告書)。

 

当グループが事業を展開する他の主要国について、英国の2021年のGDP成長率は7.4%であった。英国経済は、2021年11月にはパンデミック前の水準に回復した。2022年の第1四半期及び第2四半期の経済成長率は、それぞれ前年同期比8.7%、2.9%であった。シンガポール経済は2021年に7.6%成長し、2022年の第1四半期と第2四半期にそれぞれ前年同期比で3.7%、4.4%成長した(出典:シンガポール通商産業省、英国国家統計局最新情報及び報告書)。

 

当グループの公益事業部門は、プール[訳注:卸売電力をいう。]価格及び燃料油価格の上昇により、商業向けインフラ事業部門が当年度の増収の大部分を占めた。税引前利益の増加は、主にプール利益及び小売マージンの増加に起因する。上下水道部門の売上高の増加は、主に非住宅用小売市場における取引の改善及び新規契約の増加によるものである。一方、税引前利益が減少した主な要因は、英国のインフレ率上昇に伴うインデックス債の利上げに加え、環境対応のための資本支出である。

 

当年度において、公益事業部門は、シンガポールにおける既存の商業向けインフラ事業を補完する強力な新資産として、トゥアスプリングの発電所及び関連資産の買収を完了した。マレーシアでは、デジタル・ナショナル・バーハッドが単独で卸5Gネットワークを展開することに伴い、当グループのYes通信プラットフォームが、顧客に5Gサービスを提供する初めての事業者となった。

 

セメント・建材事業部門の売上高及び税引前利益は、前年度に計上した中国におけるセメント事業売却益がなかった反動に加え、COVID-19パンデミックの国内及びベトナム市場への影響により、大幅に減少した。

 

しかし、当部門は、効率性向上のための業務の合理化、生産プロセスの最適化のための投資及びコスト効率を改善するための代替燃料源及び原材料の利用の強化を大幅に進めてきた。

 

当グループの建設部門における収益の減少は、年度初めにおけるMCOの強化により建設活動が減少したことによるものであり、建設費の増加により税引前利益も減少した。

 

ゲマス-ジョホールバル間の電化鉄道線の建設プロジェクトは順調に進捗している。2021年まで延長された各種MCOによる作業停止に対応するために必要なスケジュール調整も適切に行われ、プロジェクトは予定どおりに進んでいる。当部門は、多面的な計画の一環として、ジョホール州にあるデータセンター・キャンパスの開発にも取り組んでおり、商業施設及び住宅プロジェクトも数多く進行中及び計画中である。

 

不動産投資開発部門は、主に英国での開発プロジェクトの売上げ及び土地の売却により大幅な増収となり、土地の売却は主として税引前利益の増加にもつながった。

 

2022年6月には、当グループの象徴的な開発プロジェクトであるスントゥル東部のザ・フェンネル・アット・スントゥル・イーストが、世界不動産連盟(FIABCI)世界最優秀建築賞2022の住宅(高層)部門において金賞を受賞した。この栄誉は、ザ・フェンネルが2022年3月にFIABCIマレーシア支部が主催するマレーシア・プロパティ・アワード2021の住宅(高層)部門で受賞した直後のことであった。

 

スントゥルの今日のダイナミズムは、近代的な建築を象徴する景観が都市再開発を促進するという変革的な影響にとどまらず、前例のない再生をはるかに超えて広がっている。スントゥルにおける当グループの主要な都市再開発プロジェクトでは、100年の歴史を有する鉄道倉庫であるスントゥル・デポを保全し、クアラルンプール随一のイベントスペース及びライフスタイルの発信地として生まれ変わらせる。素朴な魅力から着想を得た倉庫の遺産として、活気ある飲食施設(F&B)ティフィン・アット・ザ・ヤードがオープンし、再利用スペースの多様な活用法を示している。また、スントゥル・パークに新たに建設されたスントゥル・パビリオンは、ユニークなデザインのガラスハウスとして、私有公園内に佇む国内唯一のイベントスペースであり、スントゥルをイベントの開催地としてさらに魅力的な場所へと変貌させることが期待される。

 

セランゴール州プチョンの「ルマー・セランゴルク」住宅スキームであるチューリップス並びにイポ州タマン・パカタン・ジャヤにおける当グループ初の門及び警備付きの開発物件であるオリーブ・グローブの発売時には、パンデミック後の市場心理が低迷する中、デザイン性に優れた2階建てリンクハウスに対する強い需要を反映したことで、住宅購入者の前向きな反応が得られた。

 

パンデミックによる未曾有の混乱にもかかわらず、当グループの英国における広大な不動産開発プロジェクトであるブリストルのブラバゾンは、住宅の供給を継続し、首尾良く安定した販売を行った。オープンマーケット上のすべての住宅は時期をずらして販売され、最初の住宅区画が2024年に段階的に完成することを目標としている。コンコルド発祥の地、ブラバゾン格納庫に位置するYTLアリーナ・ブリストルについても順調に開発が進んでおり、2024年に一般公開が予定されている。

ホテル事業においては、主に英国及びマレーシアにおけるMCOの緩和に伴うホテル及びリゾート事業の業績改善により増収となり、税引前損失が減少した。

 

COVID-19の流行段階がエンデミックへ移行し世界各地で異なる速度で進行していることから、世界の観光産業の復興が期待されている。当グループが事業を展開する国々では、通常業務への復帰に向けて順調に推移しており、経済回復を後押しする政府の施策は、ホスピタリティ業界にとって明るい兆しとなっている。

 

一方、当グループの管理サービス部門及びその他は、主に賃料収入の増加により増収となり、税引前利益の大幅な増加は、主に当グループが保有するオーストラリアのエレクトラネットの売却益に起因するものである。エレクトラネットの少数株主持分33.5%の売却は最適なタイミングであり、その評価額を最大限引き出し、売却対価は、同社の規制・契約資産額(RCAB)の1.6倍に相当する10億2600万豪ドルとなった。

 

当社は、長期的に持続可能かつ経済的に実行可能な事業を展開してきた実績があり、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを当グループ全体で目指している。

 

当該目標は、マレーシア政府の目標に沿ったものであり、当グループが事業を展開している主要国の政策目標とも一致している。これらの国の中には、当該取組みがより進んだ段階にある国もあり、当グループの他の国の進捗及び進歩において貴重なデータとなることが期待されている。

 

当社は、コア・コンピタンスの基盤となる強みを強化し、レジリエンスを構築するという戦略に引き続き注力する一方で、当グループの強みを活かし、将来に向けて新たな関連事業を展開するための柔軟性を生み出すことにも取り組んでいる。

 

多くの業界において厳しい事業環境が続く中、当グループの当年度の好調な業績は次年度以降の布石となり、今後もこのような好調な軌道を維持していく。

 

③ 2022年度と2021年度との比較

1 売上高

当グループの当年度の売上高は、前年度の17,270.4百万マレーシア・リンギットに対して、6,971.1百万マレーシア・リンギット、すなわち40.36%増加し、24,241.5百万マレーシア・リンギットとなった。建設部門並びにセメント及び建材産業部門を除き、すべての報告部門において増収となった。

 

2 税引前利益

当年度の当グループの税引前利益は、前年度の631.8百万マレーシア・リンギットから1,548.9百万マレーシア・リンギットに増加した。これは145.2%の増加に相当し、主に不動産投資開発部門、運用サービス部門及びその他並びにホテル経営部門における増益によるものであった。

 

3 当グループへの課税

当年度の当グループへの課税は、前年度の959.2百万マレーシア・リンギットに対して369.0百万マレーシア・リンギットに減少した。課税額が減少した主な要因は、英国の法人税率が(2023年4月1日以降)19%から25%に引き上げられることに伴い、繰延税金の再測定が行われなかったことによるものである。

 

4 少数株主持分

少数株主持分は、前年度の40.3百万マレーシア・リンギットから当年度の634.5百万マレーシア・リンギットヘと1,475.3%増加した。これは主にYTLパワーグループからの増益によるものである。

 

5 税引後利益及び少数株主持分

当グループは、前年度の損失367.7百万マレーシア・リンギットに対し、当年度において545.4百万マレーシア・リンギットの税引後利益及び少数株主持分を計上した。純利益が増加した主な要因は、運用サービス部門及びその他において関連会社に対する持分の一時的な売却益を計上したことに加え、不動産投資開発部門において土地売却益を計上したことによるものである。

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

(1)「業績等の概要」を参照のこと。

 

(3) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

本項には、将来予想に関する記述が含まれているが、これは当該事業年度終了時点での当社の予測又は見積りに基づくものである。

 

目標及び戦略

当グループは、価値を最大限にし、長期的に実行可能かつ持続可能な堅固な事業を構築及び運営し、すべての株主に利益をもたらすことを目標に、規制されたその他公益事業資産及びセメント、建設、不動産開発及びホテル経営のコア・コンピテンシーに関連する事業に注力しながら、国内外における未開発地域の開発及び戦略的買収を通じて自らの収益基盤の地理的多様化及び拡大を追求している。

 

また、当グループは、その収益の大部分を利権・認可に基づく規制されたその他さまざまな公益事業資産の運営から得ており、これにより、当グループは、マレーシア国内外において、安定した利益をあげ、不安定な経済及び変化する事業状況から生じる下方リスクを軽減することができている。

 

当グループの戦略の主な要素は、以下で構成されている。

 

・ 特に、規制された公益事業の分野における未開発地域の開発及びマレーシア国内外における戦略的買収を通じた当グループの収益基盤の多様化及び拡大 当グループは、長期の利権に基づき運営している規制された資産及びそのコア・コンピテンシーに関連するその他の事業を取得する戦略を追求している。当グループの規制された公益事業は、継続的な成長を示しており、その資産のうち規制された資産の価値は時間の経過とともに増大している。かかる分野における当グループの既存の海外事業は、引き続き安定した利益を生んでおり、海外での買収は、所得の流れを多様化し、当グループが各国及び各業界に固有のリスクを回避できるようにしている。

 

・ 当グループの中核事業の成長及び強化 事業を成長させるための当グループの戦略は、当グループのコア・コンピテンシーである専門性を活用することである。特に、(発電市場及び売電市場における)発電事業、上下水道事業、商業向けインフラ事業、通信、建設契約、不動産開発及び投資、セメントその他の工業製品及び必需品の製造、ホテル開発及び経営(レストランの経営を含む。)の分野において専門知識を活用することを試みている。

当該戦略を実行するにあたり、当グループは、事業の長期的な持続可能性及び実行可能性を確保するために、ガバナンス、コンプライアンス及び事業の経済的・環境的・社会的影響の管理に重点を置いている。

 

・ 当グループの資本構造の継続的な最適化 当グループは、デット・ファイナンス及びエクイティ・ファイナンスの組み合わせを最適化し、買収の機会に投資するための内部資金及び外部金融の利用可能性を確保することにより、バランスの取れた財政構造を維持している。当グループの成長戦略の重要な要素は、その買収及び未開発地域事業の負債要素を、ノンリコースの融資で賄う慣行である。これにより、当グループが、会社から独立した単体の有効な事業にのみ投資を行うことが保証されている。

 

・ 当グループの事業収益を最大化し、顧客基盤を拡大するための運営効率の向上 当グループは、その公益事業及びセメント工場が、平均して、それぞれの業界の最高効率水準の範囲内で運営されていると確信しており、新しい技術、生産技術及び情報技術の適用を通じて、可能な限り運営効率を一層高めている。

 

財務業績の評価

 

当グループの財務業績

当グループは、前年度の17,270.4百万マレーシア・リンギットの収益に対して、当年度は24,241.5百万マレーシア・リンギットの収益を計上した。当年度の税引前利益は、前年度の631.8百万マレーシア・リンギットから1,548.9百万マレーシア・リンギットに増加した。

 

当グループの海外事業は、当グループの収益及び非流動資産のそれぞれについて、前年度の67%及び74%に対して、当年度は約77%及び74%を占めており、引き続き当グループの収益及び非流動資産の最大の割合を占めている。

 

部門別の財務業績

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部門別収益

部門別税引前利益/(損失)

 

2022年度

2021年度

2022年度

2021年度

 

百万マレーシア・リンギット

公益事業部門

17,499.0

10,572.1

622.9

627.7

セメント及び建材産業部門

3,891.0

4,093.5

264.2

562.9

建設部門

1,136.2

1,514.5

62.3

217.5

不動産投資開発部門

717.4

366.6

192.5

(380.3)

ホテル経営部門

693.7

420.7

(58.4)

(153.6)

運用サービス部門及びその他

304.2

303.0

465.4

(242.4)

 

24,241.5

17,270.4

1,548.9

631.8

 

 

 

 

 

 

公益事業部門

公益事業部門は、商業向けインフラ事業におけるプール価格及び燃料油価格の上昇により、上下水道事業の非世帯小売市場における取引改善及び新規契約、電気通信事業の手頃なデータプランによる加入者ベースの伸び等により、前年度の10,572.1百万マレーシア・リンギットの収益に対して当年度は17,499.0百万マレーシア・リンギットの収益を計上した。

 

公益事業部門における当年度の税引前利益は622.9百万マレーシア・リンギットとなり、前年度の627.7百万マレーシア・リンギットからわずかに減少した。これは、商業向けインフラ事業におけるプール事業利益及び小売事業マージンの増加に伴い税引前利益が増加したものの、上下水道事業における指数連動債及び環境関連債務に係る金利負担、並びに電気通信事業における税引前損失が前年度とほぼ同額であったことにより、当該増加分が相殺されたことが主因である。

 

公益事業部門は、引き続き当グループ最大の事業部門であり、当年度の売上高及び税引前利益のそれぞれについて、前年度の61%及び99%に対して、当年度は72%及び40%を占めている。

 

セメント及び建材産業部門

セメント及び建材産業部門は、前年度の4,093.5百万マレーシア・リンギットの売上高に対して当年度は3,891.0百万マレーシア・リンギットの売上高を、前年度の562.9百万マレーシア・リンギットの税引前利益に対して、当年度は264.2百万マレーシア・リンギットの税引前利益をそれぞれ計上した。

 

売上高及び税引前利益の減少は、国内及びベトナム市場におけるCOVID-19パンデミックの影響に加え、前年度に計上した中国におけるセメント事業売却益がないためである。

 

当年度について、セメント及び建材産業部門は、売上高について当グループで第二位の事業部門であり、前年度が売上高及び税引前利益のそれぞれ24%、89%を占めていたのに対して、当年度では売上高及び税引前利益のそれぞれ16%、17%を占めている。

 

建設部門

建設部門は、年度初めに課されたMCOの強化により建設活動が減少したことに伴い、前年度の1,514.5百万マレーシア・リンギットの売上高に対して当年度は1,136.2百万マレーシア・リンギットの売上高をそれぞれ計上した。

 

当年度の税引前利益は、建設費の増加により、前年度の217.5百万マレーシア・リンギットに対して62.3百万マレーシア・リンギットとなった。

 

不動産投資開発部門

不動産投資開発部門は、主に、ワイ・ティー・エル・プロパティ・ホールディングス(UK)リミテッド(「YTLプロパティUK」)が実施した開発プロジェクトにおける売上げ及び土地の売却益が計上されたことにより、前年度の366.6百万マレーシア・リンギットの売上高に対して当年度は717.4百万マレーシア・リンギットの売上高をそれぞれ計上した。

 

当年度は、主に土地売却益により、前年度の税引前損失380.3百万マレーシア・リンギットに対して、192.5百万マレーシア・リンギットの税引前利益に増加した。

 

運用サービス部門及びその他

運用サービス部門及びその他は、主に賃貸料収入の増加により、前年度の303.0百万マレーシア・リンギットの売上高に対して当年度は304.2百万マレーシア・リンギットの収益をそれぞれ計上した。

 

当年度の税引前利益は、前年度の242.4百万マレーシア・リンギットから465.4百万マレーシア・リンギットに増加した。これは主に、エレクトラネットの投資口を処分することに伴う一時的な利益により、プロジェクト開発費の償却が一部相殺されたためである。

 

各部門の状況

 

公益事業部門

(商業向け)インフラ事業

当年度において、YTLパワーセラヤは、8,913ギガワット時の電力を販売したが、発電量の市場占有率は、前年度の17.16%から0.01%の微減となった。世界のエネルギー価格は、世界的なエネルギー需給逼迫により高騰している。シンガポール卸電力市場でも、同様の需給要因から価格変動が大きくなった。また、天然ガス供給の逼迫は、市場への電力供給の安定性を確保するために、代替燃料へのホットスイッチ等、発電所の運転調整がより頻繁に行われるようになった。

 

COVID-19により専門家等の人的資源及び資源の確保が厳しく制約される中、当グループでは、コンバインド・サイクル式及び熱併給式の発電設備の全般及び定期的な整備点検を予定どおり完了する等、継続して大きな成果を挙げた。

 

YTLパワーセラヤは、当年度において、トゥアスプリング発電所の買収を完了し、円滑な操業の引継ぎを確実に行った。これにより、当グループの発電事業ポートフォリオが拡大し、情報の展開が容易になるとともに、運用及び保守の柔軟性が向上した。

 

当グループは、品質、環境、安全衛生及びサイバーセキュリティの各管理システムにおいて、引き続き高い基準を維持することを重視した。また、当年度において、ISO9001、ISO14001、ISO45001及びISO27001の証明書の更新も無事完了した。

 

YTLパワーセラヤの電力小売事業者であるジェネコは、当年度において、販売量6,709ギガワット時で12.2%の小売電力市場シェア(システム総需要に対する小売量の割合で算出。)を獲得している。電力小売事業は、家庭用・商業用・工業用の各分野の消費者で構成される。

 

ジェネコは、当年度において、シンガポール初かつ唯一のカスタマイズ可能な環境に配慮したアドオンであるパワー・エコ・アドオンを、家庭用の電気料金プランに導入した。これらのカスタマイズされたエネルギー・オプションは、シンガポール・グリーンプラン2030と同様に、持続可能なエネルギーの未来に向けたジェネコの継続的な取組みを強調している。

 

燃料管理事業

YTLパワーセラヤの燃料管理部門は、パンデミック並びにロシア及びウクライナの軍事衝突により燃料石油及びディーゼル燃料の市場において急激な逆ざやが生じる等、石油業界が直面する継続的な課題にもかかわらず、辛うじて安定した業績を収めた。同部門は、当年度において、7.48百万メートルトンの燃料石油及びディーゼル燃料を取り扱った。一方、ターミナルに停泊した燃料船及び貨物船の隻数は、前年度の552隻に対し、当年度は644隻となり、停泊所の平均利用率は38.62%であった。また、厳しい市場環境がタンクリース料の引下げにつながった。

 

上下水道事業

当年度の事業状況は厳しかったものの、ウェセックス・ウォーターの業績は回復基調を維持し、期待に沿うものであった。当部門は、顧客、地域社会及び環境に対する成果において引き続き高い評価を得ており、当年度も非常に良い結果を残すことができた。

 

ウェセックス・ウォーターは、業界トップクラスの顧客体験実績を有し、2021年には、Ofwatの顧客満足度測定(C-MeX)の上下水道会社ランキングで首位に立った。Ofwatは、英国の上下水道業界に係る独立した経済規制機関である。

 

顧客の最優先事項は安全かつ健康的な飲料水であり、飲料水基準の遵守は0.37とこれまでで最高の数値であった。予定外の供給停止に対処する時間は、業界平均の半分以下にまで短縮された。

 

ウェセックス・ウォーターは、当年度において、ウォーターリサイクルセンターからの水環境への排出について、排水基準に100%適合することを達成し、汚染事故の減少も実現した。インテリジェントな閉塞検知システムを導入し、2020年の87件あった汚染事故を2021年には72件にまで減らすことができた。

 

下水道の氾濫防止は、依然として優先事項である。前年度は182件と目標の範囲内であったが、さらなる改善に取り組んでいる。

 

ウェセックス・ウォーターは、暴風雨の氾濫及び河川水質に関する期待の変化に応えるだけでなく、その他の長期的な環境上の成果を実現することにも引き続き注力している。

 

当年度の温室効果ガス排出量及び電力使用量は減少した。ウェセックス・ウォーターは、英国全体の目標よりも10年早く、2030年までに事業活動による炭素排出量を実質ゼロにし、2040年までに事業全体の総炭素排出量を実質ゼロにするという業界全体の目標を達成するための計画を定めた包括的なルートマップを発表した。

 

電気通信事業

ワイ・ティー・エル・コミュニケーションズ・センドリアン・バーハッド(「YTLコミュニケーションズ」)は、「First-To-5G」(FT5G)計画により、技術革新の最前線に立ち続ける通信事業者として、2021年12月に初めて、顧客に5Gサービスの提供を開始した。

 

Yes FT5Gプリペイド・プランズでは、マレーシアの人々はSIMカードをアクティベートした日から最大30日間、無料で無制限5Gを体験することができ、その後もYesに加入することでサービスを享受することができる。Yes FT5Gプランは、平均ダウンロード速度が600Mbps以上と、世界基準と比較しても遜色ない速度を実現し、消費者から好評を博している。

 

この盛上りを受けて、YTLコミュニケーションズは2022年5月27日、Yesブランドのリニューアルを発表した。ブランド刷新は、5Gを基盤としたプラットフォームを構築し、イノベーションをもたらし、可能性を広げ、すべての人に高速5G体験の力を解き放つというYesのミッションに取り組むものである。Yesは、当該キャンペーンの開始とともに、すべてのマレーシア国民が手頃な価格で5Gにアクセスできるよう、参入障壁を下げることを約束した。

 

再ブランド化に際して、Yesは、通信マルチメディア大臣YBタン・スリ・ダトゥク・セリ・パングリマ・ハジ・アヌアル・ムサ氏及び通信マルチメディア委員会(「MCMC」)会長ドクター・ファドゥルラ・スハイミ・アブドゥル・マレック氏を迎えて、「Yes 5G for All」と題したメディア発表を開催した。メディア向けに発表された「5G for All」では、既存の4Gプランより300%安く、20倍以上高速で、世界で最も安価で最速となる無制限の5G+4Gプランとして、Yes Infiniteプランのモバイルプランを発表した。さらに、Yes Infinite+プランでは、初期費用なしで5Gスマートフォンを無料で提供し、月額58マレーシア・リンギットから最高速の5G+4Gデータ及び通話を無制限に利用することができる。

 

2022年7月23日、YABダト・スリ・イスマイル・サブリ・ビン・ヤーコブ首相は、ケルアルガ・マレーシア・デジタル・エコノミー・センター(PEDi)から選ばれた地元の起業家及び小規模事業者がコンテンツ制作のトレーニングを受け、グローバル市場へのアクセスを可能にするオンラインプラットフォームを体験することを目的として、ショッピーと提携し、5G接続によるケテレ・デジタルハブの立上げを発表した。

 

Yesワイヤレス・ファイバー5Gの新プランは、2022年9月のペナンにおける5G商用サービスの開始に合わせて発表された。Yesワイヤレス・ファイバー5Gプランは、マレーシア初となる5G固定無線アクセス(FWA)プランであり、5G対応ポータブルルーターが無料で提供される。当該ルーターにより、有線ブロードバンドルーターを設置する手間をかけずに、マレーシアの家庭に5Gデータを無制限で提供する。

 

Yesは、すべてのマレーシア国民がYes5G接続による無限の可能性の広がりを体験できるよう、一連の取組み及び手頃な価格の5Gプランを継続的に進めている。これは、パンデミック後のマレーシアのデジタル経済を後押しする重要な役割を果たすだけでなく、すべてのマレーシア国民にとって5Gをより手頃な価格で利用しやすいものにするというYesの取組み―万人のためのYes5G(Yes 5G for All)―を象徴している。

 

(契約)発電事業

当グループは、2022年1月にジョホール州のクライ・ヤング地所の買収を完了しており、今後、同地所を最大500メガワットの大規模太陽光発電所として開発する予定である。これは、より持続可能かつ再生可能なエネルギーソリューションへの投資を推進するという当グループの方針に基づいたものである。

 

セメント及び建材産業部門

マレーシア事業

MCBは、2021年9月21日にYTLセメントのマレーシアにおけるセメント及び生コンクリート事業全体の買収を完了した。MCBは現在、ランカウイ、カンタン、パダン・レンガス、ブキット・サグの4基の一体型セメント工場を運営する同国有数の建材グループである。71年前に操業を開始したラワンの一体型セメント工場は現在一時的に操業を停止しており、今後、計画的に改修が行われる予定である。また、当グループは、半島マレーシア全域で、4基の研磨基地、3基のセメント・ターミナル、2基のセメント倉庫、70基以上の生コンクリート工場、2基のドライミックス工場、3基の採石場を運営している。さらに、YTLセメントの子会社であるバトゥ・ティガ・クウォリ・センドリアン・バーハッドは、半島マレーシアにおいて14基の採石場を運営している。これらの施設が、道路、鉄道及び海路で結ばれていることにより、当グループは、開発の機会を十分に活用し、全国の顧客をサポートすることができている。また、独自のセメント及びコンクリートを開発するための研究開発施設であるコンストラクション・デベロップメント・ラボラトリー(CDL)も運営している。

 

シンガポール事業

YTLセメントは、MCBとともにシンガポールの大手セメント供給業者である。当グループは4基のセメント・ターミナルを保有しており、国内最大の貯蔵、混合及び出荷能力を備えている。また、生コンクリート業界への20%以上の市場シェアに及ぶ多額の投資を行っており、ドライミックス業界への多額の投資も行っている。

 

ベトナム事業

フィコ・タイ・ニン・セメント・ジョイント・ストック・カンパニー(「Fico-YTL」)は、ベトナム南部に3基ある一体型セメント工場のうちの1基であり、ホーチミン及びメコンデルタ地域への主要なセメント供給業者である。Fico-YTLは、優れた製品範囲及びコスト管理の取組みにより、好調な業績を達成し、当年度においても安定した収益性を維持した。1基の一体型セメント工場及び2基の研磨基地は、年間2.3百万トンのセメント生産能力を有する。

 

ミャンマー事業

当グループのミャンマーのセメント研磨工場は、ティラワ経済特区に位置する。同工場は、ヤンゴンの深海港という戦略的な立地を活かし、ミャンマーの商業ハブ及び周辺地域にサービスを提供している。同工場は、ミャンマーの建設ニーズ(特に大規模なインフラ開発)を支えている。

 

インドネシア事業

当グループは、ジャカルタ及びパレンバンのターミナル及び研磨工場の用地に投資している。インドネシアの発展に合わせて、引き続きさらなる投資機会を模索していく。

 

建設部門

インフラ事業

ゲマス-ジョホールバル間の電化鉄道線の建設は、当年度も予定どおり進捗した。SPYTLは、合弁事業のパートナーであるSIPPレイル・センドリアン・バーハッドと共に、ゲマスからジョホールバルまでの電化複線化プロジェクトの設計、建設、供給、設置、完成、検査、試運転及び保守管理を行う現地の下請業者に任命された。

 

当該プロジェクトは、COVID-19の感染拡大を抑制することを目的として、2021年まで継続した一連のMCOに伴い工事の中断が発生したが、スケジュールの調整は十分に管理されている。また、当該プロジェクトの予算超過は生じていない。

 

ゲマスとジョホールバルを結ぶ鉄道は、世界水準の鉄道インフラを整備するためのマレーシアの構想の新たな重要な要素となることが予想される。約197キロメートルの複線路線、駅、電気車両、車庫、陸橋、橋、電化システム及び信号システムで構成される新しい鉄道は、完成時には、ゲマスとジョホールバル間の移動時間をわずか90分に短縮する。

 

同プロジェクトは、移動時間の短縮及び交通渋滞の緩和を目的とする、マレーシア運輸省の電化複線化プロジェクト(「EDTP」)の重要な部分である。EDTPにおける電気機関車の使用は、陸上輸送又は空輸に比べ、短縮された移動時間及び削減された燃料費により、サービスの頻度及び効率性を高めることで、現地の事業、配送サービス及び貨物サービスに利益をもたらすことが予想される。同プロジェクトは、電気機関車の使用により、危険廃棄物を排出せず、燃料消費量を削減することから、環境面の利益ももたらすことになる。

 

民間事業

当グループは、当年度において、ジョホール州クーライにおいてデータセンター開発に着手した。YTLグリーン・データセンター・パークは、データセンター開発に275エーカーを提供し、持続可能かつコスト効率の高いデータセンターに対する地域の需要の高まりに応えることが期待されている。

 

YTLグリーン・データセンター・パークでは、最初のデータセンター設備の納入が開始された。この72メガワットのデータセンターは、シー・リミテッドにより2024年に稼働を開始する予定である。

 

また、当グループは、2つの倉庫開発案件の建設契約を獲得した。1つ目は、クランのムキム・カパールにある2階建ての倉庫2棟で、2023年半ばの完成を予定している。2つ目は、クランのブキット・ラジャにあるエー・エル・ピー・ビー・アール(マレーシア)センドリアン・バーハッド向けの3階建ての倉庫で、2024年半ばの完成を予定している。

 

一方、クアラルンプールのブリックフィールズに位置するジャラン・トゥン・サンバンサン地区では、店舗及びフードコートを併設した30階建てのオフィスビルの建設が予定どおり完成した。当該プロジェクトは、当社の完全子会社であるアラー・アサス・センドリアン・バーハッドが、ペルバダナン・アセット・ケレタピ(レイルウェイ・アセッツ・コーポレーション)との民営化契約に基づいて実施している。

 

住宅事業

SPYTLは、2021年4月、EPFの完全子会社であるクワサ・ランド・センドリアン・バーハッドとの間で、クワサ・ダマンサラに予定総額が2億マレーシア・リンギットの住宅プロジェクトを開発する契約を締結した。

 

クワサ・ダマンサラは、クワサ・ランドがマスターディベロッパーを務め、将来的に住宅・商業・複合用途プロジェクトで構成される、緑豊かで包括的かつ一体感のある居住地区である。その戦略的立地は、スバン空港、クワサ・セントラル駅及びクワサ・ダマンサラ駅、4つの高速道路網等の主要交通インフラによって支えられている。

 

クワサ・ダマンサラのR2-1区画である12.7エーカーの開発地には、1.28エーカーのセントラルパーク及び2.71エーカーのリニアパークをはじめとする緑豊かな空間に囲まれた、1.5階建てのタウンハウス及び3階建ての土地付きテラスハウスが建設される。

 

当該住宅は、建築面積が1,200平方フィートから2,300平方フィートであり、当グループの美学に従いつつ、開発において緑を大切にした、モダンかつミニマルなデザインが特徴である。SPYTL及びクワサ・ランドは、2023年の開発工事開始を目指している。

 

不動産投資開発部門

不動産開発-マレーシア

・スントゥル開発

2022年6月、ザ・フェンネル・アット・スントゥル・イーストは、FIABCI世界最優秀建築賞2022の住宅(高層)部門において金賞を受賞した。この栄誉は、ザ・フェンネルが2022年3月にFIABCIマレーシア支部が主催するマレーシア・プロパティ・アワード2021の住宅(高層)部門で受賞した直後のことであった。

 

FIABCI世界最優秀建築賞は、世界中のプロジェクトの中から、その建設に関わるすべての不動産分野の卓越性を最も体現しているプロジェクトを表彰するものである。受賞した各プロジェクトは、社会の不動産ニーズに最適なソリューションを提供するというFIABCIの理想を捉え具現化したものとなっている。

 

スントゥル東部の最新の建築アイコンとしてのザ・フェンネルの受賞は、包括的なスントゥル基本計画の下で再生及び変革を促進するにあたり、スントゥル東部に新たなダイナミズムを吹き込むというYTL L&Dのビジョン及びコミットメントを示すものである。また、ザ・フェンネルは、YTL L&Dのパイオニア精神を体現し、都市部の若年人口の増加に対応する革新的で現代的かつ持続可能な生活環境を創造している。

 

スントゥルは、高速道路及び鉄道インフラの優れたネットワークを介してクアラルンプールの全域へ簡単にアクセスすることができる。この地域にはKTMコミューター、LRT、MRT等の4路線が通っており、鉄道利用の促進及び環境に配慮した地域社会づくりのために、地域内に駅を戦略的に配置している。

 

今後、d2、d5及びd8の商業施設開発プロジェクト等が予定されており、スントゥル東部の都市再生をさらに促進する。

 

・スントゥル西部のスントゥル・デポ開発

スントゥル・デポは、スントゥル西部の植民地時代の工場跡であり、1905年に遡る鉄道の歴史が刻まれている。当該工場跡は、YTL L&Dによる保全修復の後、アダプティブ・リユースの手法で新たな息吹を吹き込まれた。ニューヨークのミートパッキング地区、上海の新天地といった大都市の有名な観光地からインスピレーションを得て、スントゥル・デポをクアラルンプールで必ず訪れるべきライフスタイルの中心地にすることが、この構想の狙いである。

 

スントゥル・デポは、都市の活気及び地元の文化を称えるために再利用された空間として、その可能性は計り知れない。20万平方フィートの規模を誇る建設当時のままの素朴なスペースは、現在では、バザー、ポップアップ・マーケット、キュレーション・イベント、企業イベント、製品発表会、音楽祭、アート及びファッションのショーケース、カーショー、さらには結婚式といった公共的な利用及びイベントのための恒久的な多目的施設として地域社会の役に立っている。

 

スントゥル・デポの広大なスペースでは、今後も、工場跡の素朴な魅力及び再生された環境の美的魅力を活用し、地域社会に加え、さまざまなバックグラウンドを持つ人々が楽しめる、クリエイティブかつ公共的な環境での体験を創造していく。また、歴史ある場所として、さらにはクアラルンプールの中心地における各種活動の発信地として、スントゥル・デポを再生することを目標としている。

 

・プチョン開発

チューリップス・プチョン・プロジェクトは、YTL L&Dの完全子会社であるパカタン・ペラクビナ・センドリアン・バーハッドが請け負っている。チューリップス住宅スキームは、セランゴール州の「ルマー・セランゴルク(Rumah Selangorku)」という手頃な価格の住宅スキームに基づいて構想されている。当該プロジェクトは、標準的な敷地面積20フィート×60フィートの2階建てリンクハウスから構成される。2023年の完成を目指して、現在建設を進めている。

 

また、建設中のもう一つのプロジェクトであるクラリティ・アット・レイク・エッジは、商業の中心地として栄えるプチョンに位置し、美しい湖を見渡すことのできる34階建てのタワー2棟から成るサービス付きアパートメントである。

 

・タマン・パカタン・ジャヤ、イポー開発

イポーのタマン・パカタン・ジャヤにおけるオリーブ・グローブは、YTL L&Dの完全子会社であるPYPセンドリアン・バーハッドが請け負っている。オリーブ・グローブは、ベルチャム初の門及び警備付きの団地であり、モダンな住宅に加え、クラブハウス及びプール、ジム、多目的ホール、バトミントンコート、バスケットボールコート、緑豊かな公園内の10エーカーのオープンスペース等の生活設備が完備されている。

 

オリーブ・グローブのフェーズ1は、標準的な敷地面積20フィート×75フィートに4+1ベッドルーム、3つのバスルームを備えたモダンな2階建てリンクハウスである。2023年の完成を目指して、現在建設を進めている。

 

・土地の売却

2021年8月、YTL L&Dは、同社の完全子会社サトリア・セウィラ・センドリアン・バーハッド及びエメラルド・ヘクタール・センドリアン・バーハッドが保有する2区画の自由保有地を、現金対価総額4億249万マレーシア・リンギットで売却した。両土地はパハン州にあり、ゲンティン・サンパからゲンティン・ハイランドに向かう幹線道路から離れた場所に位置する。サトリア・セウィラ・センドリアン・バーハッドが保有していた102エーカーの土地は、1億7,816万マレーシア・リンギットで売却された。また、エメラルド・ヘクタール・センドリアン・バーハッドが保有していた206エーカーの土地は、2億2,433万マレーシア・リンギットで売却された。

 

不動産開発-英国

YTLプロパティUKの完全子会社であるデベロップメンツ(UK)リミテッド(「YTLデベロップメンツ」)は、旧フィルトン飛行場において、英国最大級の開発基本計画を進めている。ブラバゾンは380エーカーの複合都市開発であり、当グループの英国初の不動産開発プロジェクトである。

 

・基本計画の緻密化

YTLデベロップメンツは、当年度において、地元議会、企業、コミュニティグループに新たな基本計画の構想を掲げ、当該土地を最高水準かつ歩行者優先の都市開発及び南西部の地域エンターテインメントの中心地とすることを提唱した。基本計画を更新し、最大6,500戸の住宅、440万平方フィートの商業施設及び約100万平方フィートの教育・コミュニティ施設を建設できるようにするための計画申請書がサウス・グロスターシャー州議会に提出された。

 

・住宅

ハンガー地区はブラバゾン初の居住地区で、127戸の土地付家屋及び175戸のアパートの計302のユニットで構成されている。前例のないパンデミックによる混乱にもかかわらず、当部門は住宅の供給を続け、安定した売上高を確保した。最初の住宅区画は、2024年に段階的に完成する予定である。すべてのオープンマーケット用住宅は、オフプランで時期をずらして販売されており、現在までに空室は発生していない。

 

YTLデベロップメンツは、同社初の住宅プロジェクトの構想及び実現が評価され、ラージ・レジデンシャル・デベロップメント・オブ・ザ・イヤー-インサイダー・サウス・ウェスト・プロパティ・アワーズ2022、プレイス・メイキング-インサイダー・サウス・ウエスト・プロパティ・アワーズ2022、レジデンシャル・デベロッパー・オブ・ザ・イヤー-ブリストル・プロパティ・アワーズ2021、サステナビリティ-インサイダー・サウス・ウエスト・プロパティ・アワーズ2021等を受賞した。

 

・コミュニティ及びインフラ

基本計画の再設計は、緻密化された持続可能な運営計画をサポートするために、分散している公共のオープンスペースを一つの中央公園に統合することを主眼としている。完成すると、14.4エーカーのブラバゾン公園は、治水対策の一部を担う3.0エーカーの湖を有する南西部で最大の公園の一つを持つ居住区域となる。州議会の承認予定日は2022年末である。

鉄道駅跡地、公共広場及び停車場の引渡しにあたり、地域自治体であるウェスト・イングランド合同行政機構が資金を提供する予定である。将来の拡張計画では、パークウェイ駅に直結し、ロンドンまでの接続が1時間12分になる予定である。駅のデザインはYTLアリーナに合わせてアップグレードされ、イベント開催時に最大2,000人が駅を利用できるようになった。また、広場の面積も拡大され、イベント開催日の行列及び混雑を緩和することができるようになった。

 

・YTLアリーナ・ブリストル

YTLプロパティUKの完全子会社であるワイ・ティー・エル・アリーナ・リミテッドは、コンコルド発祥の地である伝説的なブラバゾン格納庫跡地に、17,080人を収容できるYTLアリーナ・ブリストルの開発を進めている。旧中央格納庫にあるアリーナに加えて、旧東格納庫における大規模なコンベンション及び展示会に対応したフェスティバルホール、旧西格納庫における小規模かつクリエイティブなスタートアップ企業のためのスペース及びレジャー施設に係る計画の承認を受けている。

 

アリーナは、地域に根ざした優れた音楽・文化・エンターテイメントイベントを開催する歴史的に価値のある空間として、2024年の一般公開を目指している。

 

不動産投資

スターヒル・グローバルREITは、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、日本及び中国で小売店舗及びオフィス不動産を所有している。スターヒル・グローバルREITの運用会社であるYTLスターヒル・グローバルREITマネジメント・リミテッドは、当グループの完全子会社である。スターヒル・グローバルREITの不動産ポートフォリオには、シンガポールのニー・アン・シティ及びウィスマ・アトリアの株式、オーストラリアのデービット・ジョーンズ・ビルディング、プラザ・アーケード及びマイヤー・センター、マレーシアのスターヒル・ギャラリー及びロット10ショッピング・センター内の区画、東京のブティック型の商業施設並びに中国の商業施設が含まれる。

 

スターヒル・グローバルREITの不動産ポートフォリオは、2022年6月30日現在、2.89億シンガポール・ドルと査定され、昨年以降、比較的安定している。当該REITの1口あたりの配当は、前年度の0.0395シンガポール・ドルに対し、当年度は0.0380シンガポール・ドルであった。

 

ホテル経営部門

YTLホテルグループ

COVID-19のパンデミックの影響は、昨年に引き続きホスピタリティ部門に深刻な影響を及ぼした。世界各国でさまざまな制限措置が厳しく課され、2020年初頭から国境は封鎖されたままである。各国政府は、検査の義務化及び検疫の実施と並行して、国家的なワクチン接種プログラムの加速に取り組んだ。ほとんどの国境は、2022年にようやく完全に開放され始めた。

 

マレーシアでは、パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾート及びキャメロン・ハイランズ・リゾート並びにケナン及びクアンタンのACホテルが、2021年の国内ロックダウン実施中に良好なステイケーション事業を展開した結果、累積需要の恩恵を受けることができた。2021年の第4四半期以降、国内旅行が堅調に推移しているため、リゾートにおける予約は安定しており、2022年4月にマレーシアの国境が再び開放されてからはさらに改善している。ガヤ・アイランド・リゾートは、2022年8月に営業を再開した。パンコール・ラウト・リゾートは、コンデナスト・トラベラーのリーダーズ・チョイス・アワーズ2021で、トップリゾート・イン・アジアに選出された。スパ・ビレッジ・パンコール・ラウトは、GISTグリーン・トラベル・アワーズ2022においてベスト・バイオ・スパ賞を受賞した。

 

ザ・リッツ・カールトン・クアラルンプールは、終始営業を続けている。2021年12月、スパ・ビレッジ・クアラルンプールは、そのチャイニーズ・プラナカン・トリートメントにより、Buro247のベスト・ボディ・リチュアルを受賞した。JWマリオットは、2021年12月に営業を再開した。

 

今年4月には国際的な人の往来再開を受けて、クアラルンプール市内のすべてのホテルで客室稼働率が引き続き改善しており、中にはCOVID-19発生前の水準にほぼ回復したホテルもある。また、MICE(会議・研修・セミナー、報奨旅行、学術会議・国際会議、展示会・イベント)の問い合わせも徐々に増え始めている。

 

今年は、英国のホテルが大きな成功を収めた。英国におけるCOVID-19の感染状況が改善に向かう中、英国におけるホテルのうち最後の2つ、スレッドニードルズ・ホテル及びザ・アカデミー・ホテルが営業を再開した。移動規制が緩和されたことで、ポートフォリオ全体で高い稼働率が確認できている。当年度におけるザ・ゲインズボロー・バース・スパの業績は、稼働率の高いホテルとして過去最高に達した。同ホテルは、第三者の運営者にレストランを貸し出し、英国ブラッスリースタイルのコンセプトで「ソーシャライズ・アット・ザ・ゲインズボロー」を開店した。

 

14か月の休館を経て、2021年5月に営業を再開して以来、モンキー・アイランド・エステートは、短期滞在客に限らず、屋外スペースでより自由に楽しみたい企業にも好評を博している。家族及び友人と島を貸し切る贅沢を楽しむことができるハイエンド結婚式を多数開催している。モンキー・アイランド・エステート・ブラッスリーは、ホテルの宿泊客及び地元の常連客からも人気である。ザ・フローティング・スパは、オーガニック・スパ・マガジンのウェルネス・トラベル・アワーズで、モスト・ユニーク・スパ2021に選出された。

 

グラスハウスでは、ゴルフ・オープン及びエディンバラ・フリンジ・フェスティバル等の大きなイベントを含む海外旅行を主因として、稼働率が2019年の水準にまで回復している。当該ホテルでは、社交イベント、結婚式、企業イベント等が行われ、期待以上の結果となった。

 

ザ・アカデミーは2021年9月に営業を再開して以来、高い稼働率で運営されており、平均レートで堅調に伸びている。夏には屋外スペースも再開しており、ホテル宿泊客にも歓迎されている。

 

スレッドニードルズ・ホテルは、2021年9月16日に英国におけるホテルの中で最後に営業を再開した。当該ホテルでは、多くの法人客及び観光客が戻り、最終的にはパンデミック前の2019年と同水準の稼働率に達した。第三者の運営者と新たなパートナーシップを正式に締結し、「ソーシャライズ・アット・スレッドニードルズ」のブランド名で新たなレストランを開店した。

 

ザ・ハーグ・マリオットは、海辺の立地を生かして国内市場に引き続き注力した。冬季の強制ロックダウンの後、春になると市場は急速に回復した。4月及び5月はホテルにとって記録的な月となり、特に、ハーグにおいてインビクタス・ゲームズが開催されたことが大きかった。当該ホテルでは、複数の国際チーム及び関係者を迎える栄誉を授かった。ヨーロッパ全域がウクライナ戦争による大きな影響を受ける中、当該ホテルは3月にオランダで最初に難民のためのシェルターを提供したホテルの一つであり、現在もその対応を続けている。

 

日本のニセコビレッジでは、外国人観光客の渡航が引き続き制限されていたものの、YTLホテルズの施設は国内からの滞在者のために営業を続けた。日本は、2022年6月、ビザを取得してガイドツアーに参加する外国人観光客に対して限定的に国境を開放した。同年9月には、個人の外国人観光客に対する国境規制がさらに緩和される見込みである。

 

ザ・スリン・プーケット及びザ・リッツ・カールトン、コ・サムイは、2022年には滞在客数がほぼ平常に戻り、好調に推移している。どちらのリゾートも、世界のホテルのトップ10%として、トリップアドバイザー2021のトラベラーズ・チョイス・アワードを受賞した。2021年10月のワールド・ラグジュアリー・ホテル・アワードでは、ザ・スリン・プーケットがウィナー・ラグジュアリー・ビーチ・リゾート・サウス・イースト・アジアに選出された。

 

ザ・スリン・プーケットは、ビジネスの後退を機にリゾートの大規模な改装を行っている。新たに6棟のプールヴィラ及び外観を一新したビーチレストランが建設され、コテージ、ロビー、レストラン、スパ等、すべてのエリアで改装が行われている。

 

YTL REIT

当年度のYTL REITの投資ポートフォリオは、4,737.4百万マレーシア・リンギットであり、前年度の4,719.0百万マレーシア・リンギットと比較して18.4百万マレーシア・リンギット(0.4%)増加した。これは、オーストラリアのシドニー・ハーバー・マリオットの評価額が増加したことを主因とする。YTL REITの1口あたりの純資産価値は、前年度の1.587マレーシア・リンギットに対し、当年度は1.627マレーシア・リンギットに増加した。

 

マレーシアのポートフォリオ

YTL REITのマレーシアにおけるポートフォリオは、5つ星のホテル及びラグジュアリーリゾートから、半島マレーシアの主要都市中心部のビジネスホテルまで、10の資産から構成されている。YTL REITは、当該ホテルについて定期建物賃貸借契約を締結しているため、この収益構造から安定した収益を享受している。

 

YTL REITの国内ポートフォリオは、クアラルンプールのゴールデン・トライアングル商業地区に位置する高級ホテルである、JWマリオット・ホテル・クアラルンプール、ザ・リッツ・カールトン・ホテル・ウィング及びザ・リッツ・カールトン・スイート・ウィング、マジェスティック・ホテル・クアラルンプール、パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾート、キャメロン・ハイランズ・リゾート並びにクアラルンプール、クアンタン及びペナンで営業しているACホテルで構成される。

 

当年度において、YTL REITのマレーシアにおけるホテルに対して承認された賃貸繰延プログラムは、引き続き有効である。同プログラムは、2020年7月1日から2022年6月30日までの24か月間、賃料を50%減額し、元の賃料と減額された賃料の差額を、2022年6月30日から7年以内又は既存の賃貸借における残存期間のいずれか早い方で、時差をつけて支払うものである。同プログラムは、差額が時間をかけてYTL REITに支払われるため、賃料は免除されない。また、(賃料免除とは異なり)当該支払いは、今後の事業年度においてYTL REITの投資主の利益となる分配可能所得を増加させるものである。

 

国際ポートフォリオ-日本

YTL REITの日本におけるポートフォリオは、北海道のヒルトンニセコビレッジ及びザ・グリーン・リーフで構成され、当該ホテルは、定期建物賃貸借契約に基づき運営されているため、YTL REITには安定した収益が確保されている。ヒルトンニセコビレッジにおいて(マレーシアのホテルと同じ条件で)承認された賃貸繰延プログラムは、2022年6月30日まで有効であった。

 

ニセコのリゾート地区のホスピタリティ市場は、ワクチン接種の成功、日本政府の経済政策、外国人観光客に対する入国禁止措置の緩和により、徐々に改善することが期待される。

 

国際ポートフォリオ-オーストラリア

YTL REITのオーストラリアにおけるポートフォリオは、シドニー・ハーバー・マリオット、ブリスベン・マリオット及びメルボルン・マリオットで構成される。YTL REITは、当該ホテルの運営により様々な収入源から利益を得ている。

 

オーストラリアの不動産は、2021年11月に開始されたCOVID-19の規制緩和、2022年2月の外国人観光客に対するオーストラリアの国境再開及び国内レジャー市場の好調を受けて、当年度の下半期において一部改善が見られたものの、当年度の上半期においては、国内外の渡航制限及びロックダウンによる影響を引き続き受けた。

 

シドニー・ハーバー・マリオットの客室稼働率は、COVID-19の感染拡大を抑制するために、当年度の一部で実施された制限の影響を受けた。渡航制限の緩和による持続的な業績回復が期待される。シドニー・ハーバー・マリオットは、サーキュラーキーの中心に位置し、ハーバー・ブリッジ及びシドニー・オペラ・ハウス等の象徴的なランドマークを見下ろす595室の5つ星ホテルである。

 

186室を擁するメルボルン・マリオットは、COVID-19の規制が解除されたこと及び当年度下半期に国内のレジャー需要が好調だったことにより、高い客室稼働率を記録した。メルボルン・マリオットは、市内の劇場街に近く、バークス通り及びコリンズ通りのショッピングエリア、チャイナタウン、メルボルン博物館、王立展示館からも数分の距離にある。

 

ブリスベン・マリオットの客室稼働率は、主にCOVID-19のパンデミック規制の影響に加え、当該ホテルが参加していた州政府による隔離プログラムが2022年初頭に終了したことにより影響を受けた。当該プログラムでは、同ホテルは州政府と独占契約を締結し、隔離に係る長期滞在客を受け入れていた。ブリスベン・マリオット(263室の客室及び4室のスイートを擁する。)は、ブリスベンのビジネス中心街及びフォーティテュード・ヴァリー中心地の中間に位置し、ブリスベン川沿いのショッピング及びリバーサイド・ダイニング並びに市内の企業及び文化施設にも近接している。

 

運用サービス部門及びその他

ERL

2022年6月30日現在、2002年のサービス開始以来、クアラルンプール国際空港(「KLIA」)エクスプレスの累計乗客数は1億940万人を突破した。

 

乗客体験の向上を目指す継続的な取組みの一環として、ERLは、2021年4月に新しいKLIAエクスプレスアプリ及びエクスプレスマイルズ・ロイヤルティ・プログラムをソフトローンチした。当該ロイヤルティ・プログラムは、顧客にオンライン/キャッシュレス化を促し、テクノロジーにより乗客体験を向上させ、顧客に還元するという継続的な取組みの一環として実施される。当該アプリは、ダウンロード数及び会員登録数が好調に推移しており、高い利用率を示している。

 

ERLは、TNGデジタルとのパートナーシップを継続し、TNGイーウォレットを窓口及びオンラインで利用した際の割引特典を2022年5月まで、バンク・イスラム・カードを改札口で利用した際の割引特典を2022年12月まで、それぞれ延長した。また、乗客にお得な新たなコラボレーションも計画中である。乗客は、現在、窓口、オンライン又は改札における直接支払いで鉄道乗車券を購入することができ、利用可能な支払方法は、デジタルウォレット、クレジットカード及び非接触型デビットカード、FPX、タッチ・アンド・ゴー(Touch’N Go)、アップルペイ及びサムスンペイである。

 

ERLは、航空会社、オンライン旅行代理店、イーウォレット・プロバイダー、電子商取引及び企業間電子商取引(B2B)/卸売販売業者プラットフォームと引き続き提携し、KLIAエクスプレスの販売チャンネルをグローバルに拡大し、より幅広い閲覧者層へと拡大している。当該パートナーは、パンデミックにより様々な影響を受けており、回復が進むにつれ、チャンネルを再構築するプロセスが進行中である。

 

ERLは、都市の移動性を向上させ、より多くの人々に電車を利用してもらうために継続中のゴー・グリーン・イニシアチブの一環として、2022年2月から、週末及び祝日に折りたたみ式ではない自転車、スクーター及びイーバイクの車内持込みの許可を始めた。車内持込みは、それまで折りたたみ自転車のみが運行時間中に許可されていた。

 

また、6車両について座席の改修が実施され、耐火性に優れた新しいカバーが採用された。乗客が快適に乗車できるように、約5か月かけて社内措置が実施され、2022年5月末に完了した。

 

マレーシアの国境及び渡航の制限がパンデミック前の状態にほぼ戻ったことで、回復は順調に進んでおり、渡航需要の増加が2022年以降も続くと予測されている。

 

YTLデータセンター

当グループは、ジョホール州クーライにあるYTLグリーン・データセンター・パークの開発に着手した。これは再生可能な太陽光エネルギーを利用して電力を供給する、マレーシア初のデータセンター・キャンパスである。これまで当グループは、コロケーターとしてシー・リミテッドと、また、世界最大級のデータセンター企業である中国のデータセンター開発会社GDSホールディングス・リミテッドと提携し、世界有数のグリーン施設の初期段階を確立し共同開発を行う。

 

当該キャンパスでは、設計及び運用に革新的かつ持続可能なソリューションを取り入れ、高いエネルギー効率を実現する予定である。また、当該キャンパスは、この地域のハイパースケール企業及びコロケーションサービスを利用する顧客からの、環境に配慮したコスト効率の高いデータセンターのソリューションに対する高まる需要に応えるものとなると期待されている。

 

2021年12月、YTLパワーグループが50%出資する合弁会社AP1プライベート・リミテッドは、シンガポールで12.5メガワットのTier-IIIデータセンターを所有するドディッド・プライベート・リミテッド(「ドディッド」)の買収を完了した。2018年に建設及び委託されたドディッドは、環境に配慮した最先端の施設であり、アジア最高クラスのハイパースケール顧客にサービスを提供する。これは、東南アジアにおける地域データセンタープラットフォームの確立に向けた第一歩として、YTLデータセンターがマレーシア国外のデータセンター産業に初めて進出したことになる。

 

YTLデータセンターは、YTLパワーセラヤ及びその小売部門であるジェネコと密接に連携し、データセンターを再生可能エネルギーで運用できるように、グリーンエネルギーソリューションに取り組んでいる。

 

また、クアラルンプールのスントゥルに位置する当グループの5メガワットのデータセンター施設について、Tier-III基準への拡張及びアップグレードも進めており、クアラルンプールの中心部に位置し、主要なインターネット中継拠点に近接した戦略的地位を顧客に提供することを目指している。

 

デジタルバンキング

2022年4月、YTLパワーグループは、シー・リミテッドとコンソーシアムを組み、マレーシア銀行からデジタルバンキングのライセンスを取得した。当該新事業は、当グループとシー・リミテッドとの複合的なシナジーを活用するものであり、当該事業により当グループはマレーシアのデジタル変革の成長にさらに貢献するとともに、国民(特に銀行サービスへのアクセスが不十分な人々及び銀行口座を持たない人々並びに中小企業・小規模事業者)の金融サービスへのアクセス拡大が可能となる。

 

APCO

YTLパワーが45%の株式を保有するAPCOは、ヨルダンにおいて、554メガワットの山元シェールオイル火力発電プロジェクトを展開している。APCOは、ヨルダンの国有公共事業会社である国営電力会社(「NEPCO」)との間で、発電所の電気容量及びエネルギー全体について、NEPCOが契約期間を(プロジェクトの第2基の設備の商用運転開始日から)40年に延長する選択権付きの30年間(3年半の建設期間を含む。)の電力売買契約を締結した。

 

しかし、COVID-19パンデミックに伴いヨルダン政府が外出・移動を制限したため、当該工事が遅れており、第1基及び第2基の商用運転が2022年後半になる見込みである。

 

554メガワットのシェールオイル火力発電所は、運転開始時には、発電総量の約15%に相当する、ヨルダン産のシェールオイル資源を活用するヨルダン初の発電所となる。これにより、ヨルダン国内の発電に用いる石油製品の輸入量を削減することができ、ヨルダン政府が掲げるエネルギー自給促進の達成に向けて重要な布石となる。

 

APCOは、YTLパワー(45%)、中国の広東能源集団(45%)及びエストニアのエスティ・エネルギアAS(10%)に間接的に所有されている。

 

ジャワ・パワー

ジャワ・パワーの1,220メガワットの発電所は、30年間の電力売買契約に基づき、インドネシアの国有公共事業会社であるPLNに対して電力を供給している。YTLパワーの子会社であるPTワイ・ティー・エル・ジャワ・ティムールは、30年契約に基づき、ジャワ・パワーの運営管理を行っている。

 

ジャワ・パワーは、2021年12月31日までの1年間については、87.58%の平均稼働率を、2022年6月30日までの6か月間については、93.74%の稼働率を達成した。同発電所は、その唯一のオフテイカーであるPLNに対して、前年度の7,263ギガワット時に対し、当年度中に8,699ギガワット時の発電を実施した。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 2022年度当初から本報告書の日付までの間に当社と他企業との合併又は合併の契約はなかった。

(2) 2022年度当初から本報告書の日付までの間に、当社の事業に重大な影響を与えるような、当社による事業の全部又は重要な部分の譲渡、又は他企業の事業の全部又は大部分の取得はなく、また、当該期間中、当社は上記に関連する契約は一切締結しなかった。

(3) 当社の事業の全部又は重要な一部分を賃貸若しくは預託する契約、別の当事者と当社の営業利益及び損失を共有する契約、若しくは当社の事業に重大な影響を与える技術協力若しくはこれに類する契約の締結はなかった。

 

5 【研究開発活動】

該当なし。