概況
当社は、米国市場に商業的な重点を置き、まだ十分に有効な治療法がない重篤な疾患に対する新規医薬品の開発に特化する生物医薬品会社です。当社の現在の戦略は、進行型多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、化学療法誘発性末梢神経障害、変性性頸椎脊椎症、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)、薬物依存・中毒(メタンフェタミン依存症、オピオイド依存症及びアルコール依存症等)及び急性呼吸窮迫症候群の予防等の神経疾患・その他疾患治療薬のMN-166(イブジラスト)及びNASH、肺線維症など線維症疾患のほか、糖尿病による高脂血症やNAFLDなどを適応とするMN-001(タイペルカスト)に重点を置いています。当社のパイプラインには、喘息急性発作治療薬のMN-221(ベドラドリン)及び固形癌治療薬のMN-029(デニブリン)も含まれます。
MN-166(イブジラスト)は、下記のとおり、複数の異なる神経疾患及びその他の疾患について開発中です。
進行型多発性硬化症:当社は、再発性多発性硬化症治療薬のMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b臨床治験を完了し、安全性及び神経保護効果について良好な指標を得ました。同治験のデータは、MN-166(イブジラスト)の進行型多発性硬化症の治療薬としての可能性を示すものでした。
当社は、NeuroNEXTにより実施され、米国国立衛生研究所(NIH)の国立神経疾患脳卒中研究所(NINDS)から資金提供を受けた、一次進行型及び二次進行型多発性硬化症に関するMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b臨床治験について治験責任医師と提携しました。2015年に、進行型多発性硬化症(SPRINT-MS)の臨床治験に関して255人の被験者の無作為化が完了しました。この被験者数は、参加を予定していた目標の250人を上回るものです。2017年10月に、当社は、進行型多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験に関して良好なトップラインの結果を得たことを発表しました。同治験において、全脳萎縮進行抑制及び安全性と認容性に関する2つの主要評価項目をいずれも達成しました。MN-166(イブジラスト)は、脳実質分画(BPF)法を用いたMRI検査による評価において、全脳萎縮進行度に関してプラセボと比較し統計的に有意な48%の抑制がみられ(p=0.04)、またプラセボ群と比べてMN-166(イブジラスト)群の重篤な副作用反応、副作用の発生頻度に違いはみられませんでした。また2018年2月には、当社は、同治験における重要な二次的評価項目である継続する身体的障害の進行リスクに関して良好な臨床的有効性がみられたことを発表しました。MN-166(イブジラスト)では、EDSS(総合障害度評価尺度)による評価において、継続する身体的障害の進行リスクに関してプラセボと比較し26%低下(Hazard Ratio=0.74)したことが認められました。進行型多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験の結果は、2018年8月にNew England Journal of Medicine誌に掲載されました。2019年4月には、当社は、進行型多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験のサブグループ解析に関し、分析結果を発表しました。継続する身体的障害の進行リスクを低下させる傾向が最も強くみられたのが再発を伴わない二次進行型多発性硬化症の被験者のサブグループであり、このサブグループでは、MN-166(イブジラスト)によりプラセボと比較して46%のリスク低下が認められました。2019年5月にペンシルバニア州フィラデルフィアにおいて開催された第71回米国神経学会(AAN)年次総会では、完了した進行型多発性硬化症適応のMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験に関する追加的なデータを発表しました。2020年11月には、当社は、進行型多発性硬化症適応のMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験による光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の良好な結果がMultiple Sclerosis Journal誌に掲載されたことを発表しました。2021年7月には、当社は、眼科領域での神経変性疾患/障害若しくは損傷又は神経眼科障害を適応とするMN-166(イブジラスト)に関する新規特許に関し、米国特許商標庁から承認の通知を受領しました。当社は、進行型多発性硬化症適応のMN-166(イブジラスト)の開発に対し、米国食品医薬品局(FDA)からファストトラック指定を受けました。
筋萎縮性側索硬化症(ALS):当社は、2014年下半期に、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床治験を開始し、2017年下半期に同治験を完了しました。2017年12月に、当社は、同治験に関して良好なトップラインの結果を発表しました。同治験において、安全性と認容性に関する主要評価項目を達成しました。さらに、MN-166(イブジラスト)群において、プラセボ群と比較したところ、機能的活動の評価基準である改訂筋萎縮性側索硬化症機能評価尺度(ALSFRS-R)総合スコアへの治療反応者の比率が増加しました。2018年9月には、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床開発計画についてFDAからフィードバックを受けました。2019年1月には、ALS及びその他の神経変性疾患の治療薬としてのMN-166(イブジラスト)とリルゾールの併用に関する新規特許に関し、米国特許商標庁から承認の通知を受領しました。2019年4月には、当社は、FDAがプロトコルの審査を完了し、当社のALSを適応とするMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b/3臨床治験への着手を承認したことを発表しました。2019年6月には、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b/3臨床治験のキックオフミーティングを発表しました。2019年12月には、オーストラリアのパースにおいて開催された第30回ALS/MND(筋委縮性側索硬化症/運動神経疾患)国際シンポジウムにおいて、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)の完了した臨床治験に関する追加の解析結果を発表しました。2021年12月には、当社は、第32回ALS/MND国際シンポジウムにおいて、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)の進行中のフェーズ2b/3臨床治験の概要に関するポスター発表を行ったことを発表しました。
当社は、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)に対して、FDAからファストトラック指定及びオーファンドラッグの指定を受けました。当該指定によって、MN-166(イブジラスト)がALSについて承認された場合、7年間の独占販売権が付与されることになります。また、欧州委員会からも、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)に対してオーファン医薬品の指定を受けました。
薬物依存・中毒:依存の分野では、国立薬物乱用研究所(NIDA)は、メタンフェタミン中毒を適応とするMN-166(イブジラスト)のフェーズ2臨床治験に対し資金援助を行いました。カリフォルニア大学ロサンジェルス校(UCLA)との提携により、当該臨床治験は2013年に開始され、2017年9月に患者の登録が完了しました。2018年3月、当社は、当該臨床治験が、治療期間の最後の2週間における尿中薬物スクリーニングによる検証でメタンフェタミン離脱に関する主要評価項目を満たさなかったことを発表しました。2017年11月には、当社は、オレゴン保健科学大学と共同でメタンフェタミン使用障害に対するMN-166(イブジラスト)の効果を評価するためのバイオマーカー研究を開始することを発表し、当該臨床治験は現在進行中です。
コロンビア大学及びニューヨーク州精神医学研究所(NYSPI)の治験責任医師は、オピオイド離脱を適応とするMN-166(イブジラスト)のフェーズ1b/2a臨床治験を完了しました。当該臨床治験は、NIDAから資金援助を受けていました。次いでコロンビア大学及びNYSPIの治験責任医師は、オピオイド又はヘロイン依存症患者の治療のためのMN-166(イブジラスト)の効果を評価するため、NIDAから資金援助を受けたフェーズ2a臨床治験を実施しました。2016年3月、オピオイド依存症に関する完了した同治験の良好な結果が、Behavior, Biology and Chemistry: Translational Research in Addictionの総会において公表されたことを発表しました。
UCLAの研究者は、アルコール依存症を適応とするMN-166(イブジラスト)を評価するための臨床治験に対して、米国アルコール濫用/アルコール依存研究所(NIAAA)から臨床治験の承認及び資金援助を獲得しました。当該臨床治験は完了済みで、2015年12月には、研究結果が第54回米国神経精神薬理学会年次総会において公表されました。また、当社は、2018年5月、新たにNIDAから資金援助を受けて、アルコール摂取障害及び脱離症を適応とするMN-166(イブジラスト)に関するUCLAの研究者との共同臨床治験を行うことを発表しました。当該臨床治験は完了済みで、2020年8月にオンラインで開催された米国心理学会2020年年次総会において、良好な研究結果が発表されました。当該臨床治験の結果は、2021年6月にネイチャー関連誌のTranslational Psychiatryに掲載されました。2018年8月には、当社は新たにNIAAAから資金援助を受けて、アルコール依存症患者における大量飲酒日を評価するMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b臨床治験をUCLAの研究者と共同で行うことを発表しました。2022年2月には、当社は、MN-166(イブジラスト)がアルコール使用障害の有望な薬物治療薬の候補の一つとしてDrugs誌に取り上げられたことを発表しました。2022年4月には、当社は、MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応として実施されたフェーズ2臨床治験の二次解析結果が、Alcoholism: Clinical and Experimental Research誌に論文掲載されたことを発表しました。2022年12月には、当社は、MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応として実施されたフェーズ2臨床治験の二次解析におけるポジティブな結果が、The American Journal of Drug and Alcohol Abuse誌に論文掲載されたことを発表しました。2023年1月には、当社は、MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応として実施中のフェーズ2b臨床治験の患者登録が完了したことを発表しました。2023年6月には、当社は第46回アルコール依存症学会年次学術集会において、MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応として実施されたフェーズ2b臨床治験の結果が発表されたことをお知らせしました。
化学療法誘発性末梢神経障害:2018年3月、当社は、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の予防療法を適応とするMN-166(イブジラスト)を評価するための臨床治験をオーストラリアのシドニー大学コンコルド癌センターから資金援助を受けて開始する計画を発表しました。2020年9月には、当社は、当該臨床治験による良好な臨床結果がCancer Chemotherapy and Pharmacology誌に掲載されたことを発表しました。2020年10月には、当社は、CIPNを適応とするMN-166(イブジラスト)を評価するための多施設共同、プラセボ対照、無作為フェーズ2b臨床治験をオーストラレーシア消化器疾患臨床治験グループ(AGITG)から資金援助を受けて開始する計画を発表し、当該臨床治験は現在進行中です。
変性性頸椎脊椎症:2018年8月、当社は、変性性頸椎脊椎症(DCM)を適応とするMN-166(イブジラスト)に関する臨床治験をケンブリッジ大学と共同で開始する計画を発表しました。当該治験はイギリス国立疾病研究センター(NIHR)の助成によるものです。2019年5月には、当社は、ケンブリッジ大学の研究者との共同での、DCMを対象とする「変性性頸椎脊椎症における再生(RECEDE Myelopathy)」フェーズ3臨床治験に向けたキックオフミーティングに参加したことを発表しました。2022年2月には、当社は、MN-166(イブジラスト)が変性性頸椎脊椎症(DCM)の有望な薬物治療薬の候補としてGlobal Spine Journal誌に取り上げられたことを発表しました。
グリオブラストーマ:当社は、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)を評価するための臨床治験を開始しました。2017年6月、当社は、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床的有効性の可能性を評価した動物モデル研究から得た良好な結果を発表しました。この結果は2017年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において発表されました。2018年5月、当社は、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)に関する新薬臨床治験開始申請(IND)がFDAにより承認されたことを発表しました。2018年10月には、当社は、FDAにより、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)がテモゾロミドとの併用療法でオーファンドラッグに指定されたことを発表しました。2019年1月には、当社は、ボストンのダナファーバー癌研究所において、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)のテモゾロミドとの併用に関する臨床治験の患者登録を開始することを発表し、当該臨床治験は現在進行中です。2019年2月には、当社は、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)の動物実験の結果がScientific Reports誌に掲載されたことを発表しました。2020年6月には、当社は、グリオブラストーマを適応とする併用療法としてのMN-166(イブジラスト)の可能性に関する良好な前臨床結果がFrontiers in Immunology誌に掲載されたことを発表しました。2021年8月には、当社は、再発性グリオブラストーマ患者15名を対象とする、MN-166(イブジラスト)のテモゾロミドとの併用に関するフェーズ2臨床治験のパート1の安全性審査が完了したことを発表しました。パート1において懸念すべき安全性シグナルは認められず、MN-166(イブジラスト)に関連する重篤な有害事象はありませんでした。被験者15名中5名が疾患進行なしにサイクル6を完了しており、すなわち、被験者の33%が6ヶ月後の時点で無増悪でした。2022年4月には、当社は、MN-166(イブジラスト)がぶどう膜メラノーマ(UM)動物モデルにおいて、癌転移を抑制することを示したデータが、Molecular Cancer Research誌に掲載されたことを発表しました。2023年1月には、当社は、ダナファーバー癌研究所において、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)とテモゾロミドの併用療法を評価するフェーズ2臨床治験の患者登録が完了したことを発表しました。
COVID-19患者における急性呼吸窮迫症候群の予防:2020年3月、当社は、ARDSの動物モデルにおける前臨床研究の良好な結果に基づき、重症肺炎及び急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を適応とするMN-166(イブジラスト)の開発を開始する計画を発表しました。2020年4月には、当社は、COVID-19に起因するARDSを適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床治験を開始する計画を発表しました。2020年7月には、当社は、ARDSの予防を適応とするMN-166(イブジラスト)についてFDAにINDを申請し承認されたことを発表しました。当社はまた、FDAから、COVID-19患者におけるARDSの予防を適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床研究の計画を進めてよいとの通知を受領しました。2021年8月、当社は、当該フェーズ2臨床治験に関して予定された患者登録の75%が完了したことを発表しました。2022年4月、当社は、MN-166(イブジラスト)の、ARDS発症リスクを有するCOVID-19入院患者を対象とするフェーズ2臨床治験の患者登録が完了したことを発表しました。2022年6月、当社は、当該フェーズ2臨床治験に関する良好なトップライン結果を発表しました。MN-166(イブジラスト)は、解析された4つの臨床エンドポイントのすべてにおいて、プラセボと比較して大きな改善を示しました。当該フェーズ2臨床治験は、主要評価項目の1つである呼吸不全から回復した患者の割合で、統計的に有意差を示しました。さらに、退院できた患者の割合でも統計的に有意差を示しました。死亡例はプラセボ群に2例、MN-166(イブジラスト)群に0例でした。2022年7月には、当社は、MN-166(イブジラスト)の新たな非経口製剤(注射製剤)を評価するため、初めてヒトに投与する臨床治験を開始することを発表しました。2023年1月には、当社は、健康なボランティアにMN-166(イブジラスト)10mgの静脈注射(IV)を行う当該フェーズ1臨床治験が完了し、良好な安全性プロファイル及び忍容性が示されたことを発表しました。
塩素ガス誘発性肺損傷:2021年3月、当社は、MN-166(イブジラスト)を急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び急性肺損傷(ALI)などの塩素ガス誘発性肺障害に対する潜在的な治療法・医療対策(MCM)として開発するために、米国保険福祉省事前準備・対応担当次官補局の一部である生物医学先端研究開発機構(BARDA)と提携したことを発表しました。BARDAは、契約第75A50121C00022号に基づき、塩素ガス誘発性急性肺損傷の前臨床モデルにおけるMN-166(イブジラスト)の概念実証試験のために連邦政府の補助金を提供することに同意しています。2021年6月、当社は、塩素ガス誘発性急性肺損傷のヒツジモデルにおいてMN-166(イブジラスト)を評価するためのヒツジ研究の開始を発表し、当該研究は現在進行中です。2021年6月には、塩素ガス誘発性肺損傷及び致死性のマウスモデルにおいてMN-166(イブジラスト)の有効性を評価するためのマウス研究についても発表しました。2022年6月には、当社はBARDAとの契約内容を変更し、2023年3月まで契約履行期間を延長したことを発表しました。2023年3月、米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)の要請により2023年5月まで共同開発契約の期間再延長を発表しました。2023年9月、米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)との提携共同開発による 塩素ガス暴露による肺障害に対する医学的対策としての MN-166(イブジラスト)の研究結果を発表しました。
Long COVID(新型コロナ後遺症):2022年8月、当社は、RECLAIM(Recovering from COVID-19 Lingering Symptoms Adaptive Integrative Medicine Trial)に参加する計画を発表しました。RECLAIMは、他の複数の治療法と並行して、MN-166(イブジラスト)のLong COVID(新型コロナ後遺症)に対する効果を評価するための、公的助成金による、多施設共同・無作為化臨床治験です。2023年2月には、当社は、カナダ保健省がRECLAIM臨床治験の治験申請審査を完了し、治験の開始を承認したことを発表しました。
MN-001(タイペルカスト)は、以下のとおり、線維症及びその他疾患について開発段階にあります。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):当社は、2014年、2つの異なるNASHマウスモデルにおけるMN-001(タイぺルカスト)の良好な結果を公表し、2015年にNASHを適応とするMN-001(タイペルカスト)についてFDAにIND(新薬臨床治験開始申請)を申請し承認されました。その後、線維化を伴ったNASH患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)に対して、FDAからファストトラックの指定承認を受けました。当社はさらに、NASH患者及びNAFLD患者における高中性脂肪血症の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)を評価するための臨床治験を開始しました。2018年4月、当社は、本臨床治験の中間解析において、MN-001(タイペルカスト)について主要評価項目である中性脂肪値を有意に減少させる効果が確認されましたので、本治験を早期終了することを発表しました。かかるデータは、2018年4月にフランスのパリで開催された2018年国際肝臓会議/第53回欧州連合肝臓研究会(EASL)年次総会において発表されました。2020年11月には、当社は、米国肝臓学会(AASLD)の年次大会において、ヒト肝星細胞(HSC)及び急性肝障害モデルにおけるMN-001(タイペルカスト)の肝臓線維化を抑える効果を評価するインビトロ及びインビボの研究に関する良好な結果を発表しました。2021年11月には、当社は、AASLDの年次大会において、MN-001(タイペルカスト)が肝細胞におけるトリグリセリド代謝を変える仕組みを評価する研究による新たな知見を発表しました。2022年4月、当社は、2型糖尿病または高中性脂肪血症を併発するNAFLD患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)を評価するフェーズ2臨床治験の計画について、FDAによる審査が完了し、臨床治験の開始が可能となったことを発表しました。2022年7月には、当社は、2型糖尿病または高中性脂肪血症を併発するNAFLD患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)を評価するフェーズ2臨床治験の開始を発表しました。2022年12月には、当社は、国際糖尿病連合(IDF)の2022年国際糖尿病学会議年会において、高中性脂肪血症(HTG)を伴うNAFLD患者に対するMN-001(タイペルカスト)の効果を評価する、既に完了したフェーズ2臨床治験のサブグループ解析の良好な結果についてポスター発表を行ったことを発表しました。
特発性肺線維症(IPF):当社は、2014年に、肺線維症のマウスモデルにおけるMN-001(タイペルカスト)の良好な結果を公表しました。その後、当社は、IPFを適応とするMN-001(タイペルカスト)についてFDAからオーファンドラッグの指定を受けました。当該指定によって、MN-001(タイペルカスト)がIPFについて承認された場合、7年間の独占販売権が付与されることになります。当社は、2015年9月に、IPF患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)に対して、FDAからファストトラックの指定承認を受けました。その後、当社は、IPFを適応とするMN-001(タイペルカスト)のフェーズ2臨床治験を開始し、2021年8月に当該臨床治験の結果を発表しました。この小規模な研究では、大部分の臨床転帰測定値についてMN-001(タイペルカスト)を支持する臨床的に有意な傾向はみられませんでしたが、プラセボ群ではIPF悪化イベントが1件認められたのに対し、MN-001(タイペルカスト)群でIPF悪化イベント(呼吸器症状による急性IPF増悪又は入院)は認められませんでした。MN-001(タイペルカスト)は、IPFのバイオマーカーであるLOXL2の実質的な減少を示したのに対し、プラセボ群ではLOXL2の増加がみられました。MN-001(タイペルカスト)の安全性及び認容性は良好でした。
当社は、救急施設における喘息急性発作を適応とするMN-221(ベドラドリン)のフェーズ2臨床治験を完了し、2012年10月に、FDAとのエンド・オブ・フェーズ2ミーティングを実施しました。当該ミーティングにおいて、FDAは、MN-221(ベドラドリン)のリスク/ベネフィットのプロファイルを今後の開発の焦点とし、入院率の減少等の臨床結果を主治験の主要評価項目とすべきことを当社に助言しました。当社は、MN-221(ベドラドリン)の適切な臨床開発には、主治験の開始に先立ち、用法及び喘息急性発作の治験デザイン最適化治験が必要であると考えています。当社は、さらなる臨床開発を開始する前に、資金援助のための提携先を特定することに取り組んでいます。
当社は、これらの製品候補の開発のために、MN-166(イブジラスト)、MN-001(タイペルカスト)、MN-221(ベドラドリン)及びMN-029(デニブリン)につき、ライセンスを取得しました。MN-221(ベドラドリン)のライセンス契約は、2022年10月に終了しました。当社は、COVID-19、進行型多発性硬化症、ALS、化学療法誘発性末梢神経障害、変性性頸椎脊椎症、グリオブラストーマ、様々な依存症、NASH及びNAFLD、IPF、喘息急性発作並びに固形癌などの様々な適応症について、これらの製品候補の開発を進めてきました。
当社の戦略
当社は、まだ十分に有効な治療法がない重篤な疾患に対する高付加価値な治療分野における差別化された製品の開発の成功によって、持続可能な生物薬剤事業を構築することを目標としております。こうした目標に向けて、主に以下の課題に取り組むことを当社の戦略としております。
・非希薄化の資金調達を手段とする、複数の潜在的適応疾患に関するMN-166(イブジラスト)の開発の推進
当社は、治験責任医師が出資する臨床治験、政府の助成金又はその他の助成金を通じて資金援助を受けた治験及び当社が資金を提供する治験により、多様なMN-166(イブジラスト)プログラムを前進させるつもりです。当社は、MN-166(イブジラスト)の臨床開発をさらに支援するため、さらなる戦略的提携関係を推進する予定です。
・線維症及びその他の疾患に関するMN-001(タイペルカスト)の開発の推進
当社は、治験責任医師主導の治験(助成金の有無を問いません。)及び当社から資金提供による治験等のさまざまな開発形態を組み合わせ、MN-001(タイペルカスト)の開発を進める予定です。
・製品開発の完了及び当社の製品の商品化の成功に向けた大手製薬会社との戦略的提携の検討
当社は、大手製薬会社と関係を築き、それを維持してきました。当社は、MN-166(イブジラスト)、MN-001(タイペルカスト)、MN-221(ベドラドリン)及びMN-029(デニブリン)等の製品候補を求めている大手製薬会社との間で、当社の臨床開発及び製品の商品化の支えとなりうる戦略的提携関係を協議する予定です。
当社の製品候補及びプログラム
当社の製品開発プログラムは、まだ十分に有効な治療法が確立されておらず、大きなビジネス・チャンスを秘めていると当社がみなす疾患に対処するものです。当社は、当社の製品候補が、現在の治療法に比べて大きな優越性をもたらし得る新規治療法を提供できると考えております。
当社の製品取得は、主に、ライセンサーが米国外において集積した前臨床試験及び初期臨床治験データを豊富に有する製品候補を中心としております。当社は、米国又はその他の国における開発プログラムの推進のための、IND申請又はその他の国における同等の申請の準備の際、また追加の前臨床試験又は臨床治験を計画、実施する際に、かかる既存データを利用します。
以下は、当社の製品開発プログラムの詳細です。
MN-166(イブジラスト)
MN-166(イブジラスト)は、新規でファースト・イン・クラスの経口抗神経炎症性及び神経保護性薬剤です。MN-166(イブジラスト)は、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)及び特定のホスホジエステラーゼ(PDE)の阻害薬です。MN-166(イブジラスト)はまた、ある種の神経症状において主要な働きをするグリア細胞の活性化を減衰させます。イブジラストは、日本と韓国において、喘息及び脳梗塞発作後の症状の治療薬として20年以上使用されていますが、当社は、進行型多発性硬化症、ALS、化学療法誘発性末梢神経障害、変性性頸椎脊椎症、グリオブラストーマ及び薬物依存の治療薬並びに急性呼吸窮迫症候群の予防薬としてMN-166(イブジラスト)の開発を行っています。当社は、2004年に、MN-166(イブジラスト)をキョーリン製薬(「キョーリン」)からライセンス導入しました。
当社は、進行型多発性硬化症、ALS及びメタンフェタミン依存症という3つの別個の症状を適応とするMN-166(イブジラスト)に対して、FDAからファストトラック指定承認を受けました。ファストトラック指定とは、深刻な疾患を適応とし満たされていない医療ニーズを満たす可能性がある医薬品の開発を促進し、承認審査を早めるための制度です。FDAのファストトラック・プログラムの重要な要素は、製品開発の効率性を高めるため、開発及び承認審査の全過程においてFDAと製薬企業との間で迅速かつ頻繁なやり取りが行われることです。従って、ファストトラックの指定を受けると、最終的な医薬品の承認のために要する時間を短縮できる可能性があります。
当社は、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)に対して、FDAからオーファンドラッグの指定を受けました。当該指定によって、MN-166(イブジラスト)が米国でALSについて承認された場合、7年間の独占販売権が付与されることになります。当社はまた、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)に対して、欧州委員会からオーファン医薬品の指定を受けました。当該指定によって、MN-166(イブジラスト)が欧州でALSについて承認された場合、10年間の独占販売権が付与される等の潜在的な恩恵を受けることができます。MN-166(イブジラスト)は、グリオブラストーマを適応とするテモゾロミドとの併用療法に関しても、FDAからオーファンドラッグの指定を受けています。
当社は、神経系疾患治療のためのMN-166(イブジラスト)の複合的利用についての特許の申請を行いました。一部の特許財産は、米国及び諸外国において承認を取得しております。例えば、当社は、進行型多発性硬化症、ALS、グリオブラストーマ、薬物中毒・依存及び神経因性疼痛の治療のためのMN-166(イブジラスト)の使用に関する別個の米国特許を取得しています。
進行型多発性硬化症:多発性硬化症は、原因がほぼ不明の複雑な疾病であり、米国多発性硬化症協会(NMSS)によると、全世界に約2.8百万人の多発性硬化症患者がいます。また、NMSSによると、多発性硬化症患者の約85%は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)と最初に診断され、RRMSと最初に診断された患者の一部は最終的に二次進行型多発性硬化症(SPMS)へ進行します。多発性硬化症患者の約15%が一次進行型多発性硬化症(PPMS)と診断されます。PPMSに対する承認済の治療薬は、静注投与される1種類のみです。再発を伴うSPMSに関しては複数の治療薬が承認されているものの、再発を伴わないSPMSに対する、一般に安全で有効であると考えられている承認済の治療薬はありません。PPMS及びSPMSの患者に対する安全で効果的、かつ手軽に投与可能な治療法には大きな医学的需要があり、なかでも再発を伴わないSPMSの患者に関しては、最も対処されていない医学的需要があります。MN-166(イブジラスト)には、このような需要を満たすことができる可能性があります。
2008年に完了した再発性多発性硬化症に関するフェーズ2臨床治験における有望な結果に基づき、米国国立衛生研究所から資金援助を受けるフェーズ2臨床治験ネットワークであるNeuroNEXT共同プロジェクトの治験責任医師は、米国のPPMS及びSPMSの患者に対するMN-166(イブジラスト)の評価を実施しました。SPRINT-MSは、PPMS及びSPMSの患者におけるMN-166(イブジラスト)(最大で1日100mg)の安全性及び認容性を評価するプラセボ対照無作為二重盲検フェーズ2b臨床治験の名称です。米国の28カ所の医療施設における患者の募集及び登録が2013年後半に開始され、2015年6月に255人の被験者の無作為化が完了しました。2017年10月に、当社は、進行型多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験に関して良好なトップラインの結果を得たことを発表しました。同治験において、全脳萎縮進行抑制及び安全性と認容性に関する2つの主要評価項目をいずれも達成しました。MN-166(イブジラスト)は、脳実質分画(BPF)法を用いたMRI検査による評価において、全脳萎縮進行度に関してプラセボと比較して統計的に有意な48%の抑制がみられ(p=0.04)、またプラセボ群と比べてMN-166(イブジラスト)群の重篤な副作用反応、副作用の発生頻度の違いはみられませんでした。また、2018年2月には、当社は、同治験における重要な二次的評価項目である継続する身体的障害の進行リスクに関して良好な臨床的有効性がみられたことを発表しました。MN-166(イブジラスト)では、EDSS(総合障害度評価尺度)による評価において、継続する身体的障害の進行リスクに関してプラセボと比較し26%低下(Hazard Ratio=0.74)したことが認められました。
進行型多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験の結果は、2018年8月にNew England Journal of Medicine誌に掲載されました。2019年4月には、当社は、進行型多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験のサブグループ解析結果を発表しました。このサブグループ解析の目的は、障害の進行が認められる重要な段階でのMN-166(イブジラスト)の治療効果が、どのタイプの進行型多発性硬化症患者に対して、最も認められるかに関して、情報提供を行うことです。継続する身体的障害の進行リスクを低下させる傾向が最も強くみられたのは再発を伴わない二次進行型多発性硬化症患者のサブグループであり、このサブグループで、MN-166(イブジラスト)によりプラセボと比較して46%のリスク低下(Hazard Ratio=0.538)が認められました。2019年5月にフィラデルフィアにおいて開催された第71回米国神経学会(AAN)年次総会では、完了した進行型多発性硬化症を適応とするMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験に関する追加のデータが発表されました。2020年11月には、当社は、進行型多発性硬化症適応のMN-166(イブジラスト)のSPRINT-MSフェーズ2b臨床治験による光コヒーレンストモグラフィー(OCT)の良好な結果がMultiple Sclerosis Journal誌に掲載されたことを発表しました。OCTの評価項目には、黄斑体積、pRNFL(乳頭周囲網膜神経線維層)厚、及び神経節細胞-内網状(GCIP)層厚が含まれました。かかるOCTの評価項目のすべてにおいて、MN-166(イブジラスト)では、プラセボと比較して網膜組織の喪失の低下が見られました。2021年7月、当社は、眼科領域での神経変性疾患/障害若しくは損傷又は神経眼科障害を適応とするMN-166(イブジラスト)に関する新規特許に関し、米国特許商標庁から承認の通知を受領しました。当社は、進行型多発性硬化症適応のMN-166(イブジラスト)に対し、2016年にFDAからファストトラックの指定を受けました。
筋萎縮性側索硬化症(ALS):ルー・ゲーリック病としても知られるALSは、脳及び脊椎の神経細胞に影響を及ぼす進行性の神経変性疾患です。神経が特定の筋肉への指令を伝達することができなくなり、筋肉が弱まっていきます。その結果、随意運動が不自由となり、病状末期には全身の運動麻痺に至ります。ALS患者の平均生存期間は3年から5年です。米国ALS協会によると、米国には16,000人以上のALS患者がおり、毎年約5,000人がALSと診断されています。
当社はカロライナ・ヘルスケアシステムの神経科学研究所のカロライナ神経筋ALS-MDAセンターと連携し、同センターによりALS適応のMN-166(イブジラスト)の臨床治験が実施されました。同治験は、6ヶ月間の治療期間に続き6ヶ月間の非盲検期間を有するプラセボ対照無作為二重盲検の治験でした。同治験は、ALS患者を対象に、リルゾールと併用した際の、プラセボに対するMN-166(イブジラスト)(1日当たり60mg)の安全性及び認容性の監視に加えて、複数の有効性評価項目を評価しました。被験者の登録は2014年10月に開始されました。当社は、2016年4月に、第68回米国神経学会年次総会において、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床治験の中間解析結果による中間有効データが公表されたことを発表しました。
2017年12月に、当社は、カロライナ神経筋ALS-MDAセンターにおけるALS治験に関して良好なトップラインの結果を発表しました。同治験において、安全性と認容性に関する主要評価項目を達成しました。さらに、MN-166(イブジラスト)群ではプラセボ群と比較し、ALSFRS-R総合スコアへの治療反応者の比率は増加しました。改訂筋萎縮性側索硬化症機能評価尺度(ALSFRS-R)総合スコアは、ALS患者の機能的活動を評価するものです。また、MN-166(イブジラスト)群ではプラセボ群と比較し、ALSAQ-5スコアへの治療反応者の比率も増加しました。筋萎縮性側索硬化症評価質問表(ALSAQ-5)スコアは、ALS患者の身体的可動性、日常生活の自立的活動性、飲食、コミュニケーションや情緒反応などを評価するものです。2018年7月、当社は、カロライナ神経筋ALS-MDAセンターにおいて、球麻痺発症型又は上肢発症型のALS患者を対象とするアドホックのサブグループ解析データを発表しました。2018年9月には、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床開発計画についてFDAからフィードバックを受けました。2019年4月には、当社は、FDAによるプロトコルの審査が完了し、当社のALSを適応とするMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b/3臨床治験への着手が承認されたことを発表しました。2019年6月には、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b/3臨床治験のキックオフミーティングを当社のカリフォルニア州ラ・ホイヤの本社において開催したことを発表しました。2019年12月には、オーストラリアのパースにおいて開催された第30回ALS/MND(筋委縮性側索硬化症/運動神経疾患)国際シンポジウムにおいて、ALSを適応とする臨床治験に関してさらなるデータ解析結果を発表しました。この分析は、ALSの病状進行及び治療効果を合理的に予測するために、患者の身体的な要因を見極めるものでした。分析結果では、ALS病歴の短い患者においてMN-166(イブジラスト)のより高い治療効果が見込まれることが示されました。当社は、この分析による結論をフェーズ2b/3臨床治験の設計に取り入れました。2021年12月には、当社は、第32回ALS/MND国際シンポジウムにおいて、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)の進行中のフェーズ2b/3臨床治験の概要に関するポスター発表を行ったことを発表しました。
当社は、2015年12月に、FDAから、ALS患者の治療についてMN-166(イブジラスト)に対しファストトラックの指定承認を受けたことを発表しました。2016年3月には、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)に関する新たな特許に対し、米国特許商標庁(PTO)から承認の通知を受領したことを発表しました。2016年10月に、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)に対して、FDAからオーファンドラッグの指定を受けたことを発表しました。当該指定によって、MN-166(イブジラスト)がALSについて承認された場合、7年間の独占販売権が付与されることになります。2016年12月に、ALSを適応とするMN-166(イブジラスト)に対して、欧州委員会からオーファン医薬品の指定を受けたことを発表しました。さらに、2017年4月、米国神経学会において、MN-166のALS適応の臨床治験の中間解析結果が再び発表されました。2019年1月には、ALS及びその他の神経変性疾患の治療薬としてのMN-166(イブジラスト)とリルゾールの併用に関する新規特許に関し、米国特許商標庁から承認の通知を受領しました。
当社は、2016年2月に、PETバイオマーカーによってモニタリングされるALS患者における脳のミクログリア活性の軽減についてのMN-166(イブジラスト)の効果を研究するため、マサチューセッツ総合病院(MGH)と提携の取り決めを締結しました。同臨床治験の結果は、2019年12月にオーストラリアのパースにおいて開催された第30回ALS/MND(筋委縮性側索硬化症/運動神経疾患)国際シンポジウムにおいて発表されました。この小規模な研究では、PBR28-PETの集積又は血清中NFlに対する検出可能な効果はみられなかったものの、神経炎症のマーカーである血清中MIFの有意な減少がみられました。但し、非盲検研究という設計上、MN-166(イブジラスト)群と比較するためのプラセボ群が存在しなかったため、この研究から最終的な結論を引き出すことはできませんでした。
メタンフェタミン依存症:メタンフェタミンは、アンフェタミンと同様の構造を有する、中枢神経系刺激薬です。メタンフェタミンは、中毒性が高く、治療効果が低い、スケジュールⅡの薬剤です。米国薬物乱用・精神衛生管理庁の薬物使用に関する2021年の全国調査によると、米国のメタンフェタミン使用障害患者は約1.6百万人(12歳以上)に上っています。ランド・コーポレーションは、米国におけるメタンフェタミン使用による経済的負担を約234億米ドルと推定しています。現在のところ、メタンフェタミン依存症の承認済治療薬はありません。メタンフェタミン依存の再発に関する動物モデルにおけるMN-166(イブジラスト)の効果についての非臨床結果に基づき、UCLAの治験責任医師は、MN-166(イブジラスト)の安全性及び予備的効果を調査するため、入院患者治験における非治療目的のメタンフェタミン依存症患者を対象とした、NIDAから資金援助を受けたフェーズ1b臨床治験を実施しました。同治験は2012年に完了しました。その後、UCLAの治験責任医師は、メタンフェタミン依存症の外来患者を対象とした、MN-166(イブジラスト)評価のための2013年に開始されたフェーズ2臨床治験について、NIDAから資金援助を獲得しました。2018年3月、当社は、当該臨床治験が、治療期間の最後の2週間における尿中薬物スクリーニングによる検証でメタンフェタミン離脱に関する主要評価項目を満たさなかったことを発表しました。2017年11月には、当社はオレゴン保健科学大学と共同でメタンフェタミン使用障害に対するMN-166(イブジラスト)の効果を評価するためのバイオマーカー研究を開始することを発表し、当該研究は現在進行中です。当社は、2013年に、メタンフェタミン依存症を適応とするMN-166(イブジラスト)について、FDAからファストトラック指定承認を受けました。
オピオイド離脱及び依存:米国薬物乱用・精神衛生管理庁の薬物使用及び健康に関する2021年の全国調査によると、米国の処方鎮痛剤使用障害患者は約5.0百万人(12歳以上)おり、そのうちヘロイン使用障害患者は約1.0百万人(12歳以上)に上っています。オピオイド処方薬に対するアクセスは、オピオイドの処方に関する政策がより厳しくなったことを受けて、近年より困難になりました。かかる政策により、ヘロイン使用の増加という意図せぬ結果がもたらされました。ヘロインは、より安価で入手しやすいためオピオイド処方薬より魅力的です。ヘロインは、HIV及びC型肝炎感染、過剰摂取並びに死亡のリスクといった深刻な健康問題をもたらします。オピオイド処方薬及びヘロイン依存症治療のための安全で効果的で非中毒性、かつ非オピオイドの治療薬に対する緊急の医学的需要は未だ満たされていません。コロンビア大学及びNYSPIの治験責任医師は、以前、ヒトにおけるオピオイド離脱症状の緩和に関するMN-166(イブジラスト)の効果を評価するためのNIDAから資金援助を受けたプラセボ対照無作為二重盲検のフェーズ1b/2a臨床治験を完了しました。その後、コロンビア大学及びNYSPIの治験責任医師は、オピオイド又はヘロイン依存を適応とする、NIDAから資金援助を受けたMN-166(イブジラスト)のフェーズ2臨床治験を実施しました。2016年3月、オピオイド依存症に関する完了した同治験の良好な結果が、Behavior, Biology and Chemistry: Translational Research in Addictionの総会において公表されたことを発表しました。
アルコール中毒:米国薬物乱用・精神衛生管理庁の薬物使用及び健康に関する2021年の全国調査によると、米国のアルコール使用障害患者は約29.5百万人(12歳以上)に上っています。米国疾病対策予防センターの報告によると、米国における過剰なアルコール使用による経済負担は、年間2,490億米ドルとされています。FDAの承認を得たアルコール依存症治療薬には、Antabuse®、Vivitrol®、Campral®及びRevia®等が含まれます。しかしながら、これらのFDAの承認を得た化合物の成果は限定的であり、安全で有効な治療薬の探求は依然として不確定です(Witkiewitz他、2012年)。非臨床治験において(ベル他、2013年)、ラット及びマウスにおけるMN-166(イブジラスト)の効果が調査され、アルコール選択性のPラット及び多量のアルコール摂取のラットにおけるアルコール摂取が50%減少し、アルコール依存のマウスについては、非依存のマウスでは効果がなかった用量においてアルコール摂取が減少することが発見されました。UCLAの治験責任医師は、MN-166(イブジラスト)の安全性、認容性及び当初のヒトに対する有効性を判断するため、治療下にないアルコール乱用又は依存症患者24人を対象として、プラセボ対照無作為二重盲検被験者内クロスオーバーデザインの研究を実施するために、NIAAAから資金援助を受けました。アルコール依存症の研究結果は、2015年12月に第54回米国神経精神薬理学会年次総会において発表されました。研究期間を通して、MN-166(イブジラスト)は日々のアルコール渇望度を有意に減少させました(p<0.05)が、プラセボはかかる結果を示しませんでした。MN-166(イブジラスト)は、刺激誘因性又はストレス誘因性のアルコール渇望度に対しては変化を認めませんでしたが、刺激への反応及びストレス負荷に対して心理状態をポジティブに促進しました。MN-166(イブジラスト)の安全性及び認容性は良好でした。2018年5月、当社は、アルコール中毒及び離脱を適応とするMN-166(イブジラスト)に関し、NIHから資金援助を受けた臨床治験をUCLAの研究者と共同で開始する計画を発表しました。当該研究は、アルコール性障害(AUD)患者52名を対象に、14日間のイブジラスト投与が心理状態、大量飲酒及び神経報酬シグナルに及ぼす影響を評価するための無作為二重盲検プラセボ対照フェーズ2臨床治験でした。当該フェーズ2臨床治験の良好な結果は、2020年8月にオンラインで開催された米国心理学会2020年年次総会において発表されました。2021年6月には、以下を含む当該臨床治験の結果が、ネイチャー関連誌のTranslational Psychiatryに掲載されました。(1)MN-166(イブジラスト)は、抑うつ気分の改善に対しては有意な効果を示さなかった。(2)MN-166(イブジラスト)は、プラセボと比較して、長期にわたる大量飲酒のオッズを45%減少させた(p=0.04)。(3)MN-166(イブジラスト)は、プラセボと比較して、アルコールキュー刺激による腹側線条体(VS)の活性化を抑制した(すなわち、脳内のアルコールに対する報酬反応を減少させた。)(p=0.01)。(4)VSにおけるアルコールキュー刺激による活性化は、MN-166(イブジラスト)群におけるその後の飲酒状況を有意に予測し(p=0.02)、VS活性化が抑制されたMN-166(イブジラスト)投与群はスキャン後の1週間の1飲酒日あたりの飲酒回数が最も少なかった。(5)MN-166(イブジラスト)は、プラセボと比較して、飲酒しない日のアルコール渇望度を減少させた(p=0.02)。これらの知見は、AUD治療におけるイブジラストの有効性に関する前臨床研究及びヒト臨床研究を発展させるとともに、脳内のアルコールキューに対する報酬反応を抑制することで大量飲酒を抑制するというイブジラストの生物行動学的なメカニズムを示唆しています。2018年8月には、当社は新たにNIAAAからの資金援助により、アルコール中毒を適応とするMN-166(イブジラスト)のフェーズ2b臨床治験をUCLAの研究者と共同で行うことを発表しました。当該治験では、12週間の臨床治験の期間にわたり、MN-166(イブジラスト)がプラセボと比較して大量飲酒日(男性は5杯、女性は4杯を超える飲酒と定義されます。)の割合を減少させるかについての評価が行われました。
2022年2月には、当社は、MN-166(イブジラスト)がAUDの有望な薬物治療薬の候補の一つとしてDrugs誌に取り上げられたことを発表しました。UCLAの研究者らによる当該論文は、AUDの治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の有益な効果について論じ、当該効果はMN-166(イブジラスト)の抗炎症作用や、神経栄養因子を活性化する働きによるものと推定されると述べています。2022年4月には、当社は、MN-166(イブジラスト)のAUDを適応として実施されたフェーズ2臨床治験の二次解析結果が、Alcoholism: Clinical and Experimental Research誌に論文掲載されたことを発表しました。UCLAの研究者らによる当該論文は、二次解析結果について論じ、アルコール渇望度の低減がMN-166(イブジラスト)の主要な作用と考えられると述べています。2022年12月には、当社は、MN-166(イブジラスト)のAUDを適応として実施されたフェーズ2臨床治験の二次解析におけるポジティブな結果が、The American Journal of Drug and Alcohol Abuse誌に論文掲載されたことを発表しました。当該結果は、ベースラインのC反応性タンパク(CRP)値が高く、つまり炎症性が高く、かつMN-166(イブジラスト)を投与された患者群では、ベースラインのCRP値が低く、かつMN-166(イブジラスト)を投与された患者群に比べて飲酒日における飲酒量が有意に少なかった(p=0.007)ことを示しています。2023年1月には、当社は、MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応として実施中のフェーズ2b臨床治験の患者登録が完了したことを発表しました。2023年6月には、当社は第46回アルコール依存症学会年次学術集会において、MN-166(イブジラスト)のアルコール使用障害を適応として実施されたフェーズ2b臨床治験の結果が発表されたことをお知らせしました。
化学療法誘発性末梢神経障害:末梢神経障害とは、脳及び脊髄から起始し、末梢へ延びる神経である末梢神経への損傷によって引き起こされる一連の症状です。癌治療に使用される化学療法及び他の薬物のいくつかは、脳に感覚を伝達し手足の運動を制御する末梢神経に損傷を与えることがあります。この損傷は、癌治療の障害を引き起こす副作用となりうる化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を生じさせます。CIPNでよく見られる症状には、疼痛、灼熱痛、刺痛、感覚喪失、協調運動及び平衡感覚の問題、嚥下障害、排尿障害、便秘並びに血圧変化が含まれます。重度のCIPNでは、化学療法における投薬の減量や中止が必要となる可能性があります。4,000人を超える患者を含むメタ分析によれば、CIPN有病率は、化学療法後の最初の1ヶ月で68%、3ヶ月で60%、6ヶ月以上で30%(「発生率、罹患率、化学療法誘発性末梢ニューロパチー:系統的レビュー及びメタ分析」、Seretny M 他、2014年)とされます。2018年3月、当社は、CIPNの予防療法を適応とするMN-166(イブジラスト)を評価するための臨床治験をオーストラリアのシドニー大学コンコルド癌センターから資金援助を受けて開始する計画を発表しました。この非盲検、逐次クロスオーバーのパイロットスタディでは、オキサリプラチンを投与されていた転移性消化器癌(大腸・直腸・結腸癌や上部消化器癌)患者を対象に、MN-166(イブジラスト)を急性神経毒性、CIPN及び薬物相互作用について評価しました。2020年9月には、当社は、当該臨床治験による良好な臨床結果がCancer Chemotherapy and Pharmacology誌に掲載されたことを発表しました。MN-166(イブジラスト)とオキサリプラチンの併用投与により、オキサリプラチンによる治療を受けていた参加者の過半数で、オキサリプラチン誘発性神経毒性の改善又は安定化が生じました。オキサリプラチン特異的神経毒性スケール(OSNS)での評価によると、14名中12名の参加者について、両サイクルで急性神経毒性(グレード1又は2)が報告されました。MN-166(イブジラスト)の併用治療の結果、この12名のうち10名の参加者においては変化がなく、2名の参加者においてはグレード2からグレード1まで症状が改善しました。慢性のCIPNが予測される急性神経毒性は、継続的な化学療法を受ける患者において悪化すると予想されます。薬物動態解析では、オキサリプラチンの全身曝露に対するMN-166(イブジラスト)の効果は示されませんでした。2020年10月には、当社は、CIPNを適応とするMN-166(イブジラスト)を評価するための多施設共同、プラセボ対照、無作為フェーズ2b治験をオーストラレーシア消化器疾患臨床治験グループ(AGITG)から資金援助を受けて開始する計画を発表しました。当該臨床治験では、転移性大腸・直腸・結腸癌患者における急性神経毒性の重症度及びCIPNを低下させる可能性のある治療薬としてMN-166(イブジラスト)を評価しています。
変性性頸椎脊椎症:変性性頸椎脊椎症(DCM)(頸椎症性脊髄症とも呼ばれます。)は、頸部の圧迫による脊髄機能障害を伴います。変性性頸椎脊椎症は、成人にもっとも多く見られる脊髄損傷の形態であり、障害及びクオリティ・オブ・ライフの低下を生じさせます。患者が訴える神経症状には、四肢の痛み及び麻痺、協調運動不全、平衡失調、膀胱の問題などがあります。米国脳神経外科学会によると、脊髄や神経根の圧迫を緩和するための頸部手術は毎年200,000件を超えます。DCMの治療薬として承認された医薬品はありません。2018年8月、当社は、DCMを適応とするMN-166(イブジラスト)に関する臨床治験をケンブリッジ大学と共同で開始する計画を発表しました。イギリス国立疾病研究センター(NIHR)から資金の助成を受けて行う当該臨床治験は、脊髄手術後におけるDCMの補助療法としてのMN-166(イブジラスト)について、脊髄手術後の結果を向上させる上でMN-166(イブジラスト)がプラセボと比べてより効果的であるかを判断する評価を行うものです。2つの主要評価項目は、(1)手術の6ヶ月後における上下肢の運動機能障害、感覚喪失及び膀胱括約筋機能障害について評価する改訂版日本整形外科学会(mJOA)スコア、並びに(2)手術の6ヶ月後における頸部疼痛のビジュアルアナログスケール(VAS)とされています。2019年5月には、当社は、ケンブリッジ大学の研究者との共同によるDCMを対象とする「変性性頸椎脊椎症における再生(RECEDE Myelopathy)」フェーズ3臨床治験のキックオフミーティングに参加したことを発表しました。2022年2月には、当社は、MN-166(イブジラスト)がDCMの有望な薬物治療薬の候補としてGlobal Spine Journal誌に取り上げられたことを発表しました。ケンブリッジ大学の研究者らによる当該論文は、治療効果が期待される最新の治療法や、DCMへの使用を支持するMN-166(イブジラスト)の特性を論じています。当該論文は、MN-166(イブジラスト)が持つ抗炎症作用、神経保護作用及び神経再生作用の複合的な効果はグリア細胞の活性化を抑制するものであり、進行中のRECEDE Myelopathy 臨床治験の根拠となっていると述べています。
グリオブラストーマ:米国脳神経外科協会によると、グリオブラストーマは、膠細胞(星状膠細胞及び乏突起膠細胞)で発生する悪性の脳腫瘍であり、急速に成長し、周囲の脳組織に転移することも多くあります。米国脳腫瘍協会の報告によると、グリオブラストーマは、全原発性脳腫瘍の約14%を占めます。米国では、年間12,000人超がグリオブラストーマと診断されています。標準的治療(手術、テモゾロミド及び放射線療法)を受けた悪性度の高いグリオブラストーマ(IDH野生型)成人患者の平均生存期間は、約11ヶ月から15ヶ月です。2017年6月に、当社は、MN-166(イブジラスト)のグリオブラストーマに対する臨床的有効性の可能性を評価した動物モデル研究から得た良好な結果を発表しました。この結果は、2017年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会において発表されました。グリオブラストーマのマウスモデル研究により、MN-166(イブジラスト)とテモゾロミド(TMZ)の組合せの治療群の平均生存期間がテモゾロミドのみの治療群の平均生存期間と比べて長いという結果が示されました。2018年5月、当社は、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)に関する新薬臨床治験開始申請(IND)がFDAにより承認されたことを発表しました。当社はまた、FDAから、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)のテモゾロミドとの併用療法に関する臨床研究を進めてよいとの通知を受けました。2018年10月には、当社は、FDAにより、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)がテモゾロミドとの併用療法でオーファンドラッグに指定されたことを発表しました。2019年1月には、当社は、ボストンのダナファーバー癌研究所において、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)のテモゾロミド(TMZ、Temodar-®)との併用に関する臨床治験の患者登録を開始することを発表しました。2019年2月には、当社は、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)の動物モデルスタディの結果がScientific Reportsに掲載されたことを発表しました。「イブジラストはマクロファージ遊走阻止因子(MIF)を標的とすることによりグリオブラストーマのテモゾロミドへの感受性を高める(Ibudilast sensitizes glioblastoma to temozolomide by targeting Macrophage Migration Inhibitory Factor (MIF))」と題されたこの論文は、MN-166(イブジラスト)のグリオブラストーマに対する臨床有用性の可能性が報告された最初の出版物です。2020年6月には、当社は、グリオブラストーマを適用とする併用療法としてのMN-166(イブジラスト)の可能性に関する良好な前臨床結果がFrontiers in Immunology誌に掲載されたことを発表しました。「グリオブラストーマ骨髄由来抑制細胞サブセットは、免疫抑制を低下させるために標的化されうる特異的なマクロファージ遊走阻止因子受容体プロファイルを発現させる(Glioblastoma myeloid-derived suppressor cell subsets express differential macrophage migration inhibitory factor receptor profiles that can be targeted to reduce immune suppression)」と題されたこの記事は、当社のクリーブランド・クリニックとの共同研究に基づいています。2021年8月には、当社は、再発性グリオブラストーマ患者15名を対象とする、MN-166(イブジラスト)のテモゾロミドとの併用に関するフェーズ2臨床治験のパート1の安全性審査が完了したことを発表しました。パート1において懸念すべき安全性シグナルは認められず、MN-166(イブジラスト)に関連する重篤な有害事象はありませんでした。被験者15名中5名が疾患進行なしにサイクル6を完了しており、すなわち、被験者の33%が6ヶ月後の時点で無増悪でした。2023年1月には、当社は、ダナファーバー癌研究所において、グリオブラストーマを適応とするMN-166(イブジラスト)とテモゾロミドの併用療法を評価するフェーズ2臨床治験の患者登録が完了したことを発表しました。
2022年4月、当社は、MN-166(イブジラスト)がぶどう膜メラノーマ(UM)動物モデルにおいて、癌転移を抑制することを示したデータが、Molecular Cancer Research誌に掲載されたことを発表しました。コロンビア大学メディカルセンターの研究者らによる当該論文は、MN-166(イブジラスト)による治療が腹部における定量測定による生物発光強度を有意に抑制(p<0.05)したUM癌転移マウスモデル研究について論じています。当該論文は、コントロール群のマウスの肝組織の組織学的解析では、肝臓中に癌細胞の集積が観察された一方、MN-166(イブジラスト)治療群では、肝組織における癌細胞集積は観察されなかったとも述べています。
COVID-19患者における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予防:ARDSは、血液中の酸素濃度を低下させる重篤な肺疾患です。通常、ARDSの初期症状は息苦しさです。ARDSの最も一般的な危険因子は感染症であり、かかる感染症にはインフルエンザ、コロナウイルス、その他ウイルス等が含まれます。ARDS財団によると、米国では年間推定150,000件のARDSの症例があり、ARDS患者の死亡率は、約40%です。2020年3月、当社は、ARDSの動物モデルにおける前臨床研究の良好な結果(Yang他、2020年)に基づき、重症肺炎及びARDSを適応とするMN-166(イブジラスト)の開発を開始する計画を発表しました。当該前臨床研究の結果は、MN-166(イブジラスト)での治療により、炎症、出血、肺胞うっ血及び肺胞壁浮腫を含む、ARDSマウスモデルで観察された組織学的変化が改善することを示すものでした。とりわけ、肺水腫は、MN-166(イブジラスト)での治療により有意に減少しました(p<0.001)。また、MN-166(イブジラスト)は、TNF-alpha(p<0.001)、IL-1beta(p<0.001)、IL-6(p<0.001)及びMCP-1(p<0.001)を含む炎症性サイトカインの水準を用量依存的に有意に低下させ、イブジラストが炎症反応を抑制することを示しました。当該研究の結果はまた、MN-166(イブジラスト)が肺組織における細胞アポトーシスを減弱することによって肺障害を防止することを示唆しています。ARDSの動物モデルによるデータに加えて、MN-166(イブジラスト)は、SARS-CoV-2複製阻害について1,520種の化合物をスクリーニングしたインビトロの研究において、潜在的抗SARS-CoV-2活性を有する化合物として特定されています(Touret他、2020年)。2020年4月には、当社は、COVID-19に起因するARDSを適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床治験を開始する計画を発表しました。2020年7月には、当社は、ARDSの予防を適応とするMN-166(イブジラスト)についてFDAにINDを申請し承認されたことを発表しました。当社はまた、FDAから、COVID-19患者におけるARDSの予防を適応とするMN-166(イブジラスト)の臨床研究の計画を進めてよいとの通知を受領しました。2021年8月には、当社は、当該フェーズ2臨床治験に関して予定された患者登録の75%が完了したことを発表しました。2022年4月には、当社は、ARDSを発症するリスクのあるCOVID-19入院患者を対象とするMN-166(イブジラスト)の当該フェーズ2臨床治験の患者登録が完了したことを発表しました。2022年6月、当社は、当該フェーズ2臨床治験に関して、良好なトップライン結果を発表しました。MN-166(イブジラスト)は、解析された4つの臨床エンドポイントのすべてにおいて、プラセボと比較して大きな改善を示しました。当該フェーズ2臨床治験は、主要評価項目の1つである7日目において呼吸不全から回復した患者の割合では統計的に有意差を示し、MN-166(イブジラスト)群は71%、プラセボ群は35%が7日目において呼吸不全から回復しました(p=0.02)。7日目における臨床症状(NIAIDスケールで評価する改善)という主要評価項目では、MN-166(イブジラスト)群は71%、プラセボ群は47%で7日目において臨床症状の改善が認められました(p=0.08)。退院者の割合では、7日目においてMN-166(イブジラスト)群は65%、プラセボ群は29%が退院し(p=0.02)、統計的に有意差を示しました。さらに、7日目における臨床症状が悪化した患者の割合は、MN-166(イブジラスト)群は0%、プラセボ群は24%(p=0.05)でした。死亡例はプラセボ群に2例、MN-166(イブジラスト)群に0例でした。MN-166(イブジラスト)に関連する重篤な有害事象は認められませんでした。2022年7月には、当社は、MN-166(イブジラスト)の新たな非経口製剤(注射製剤)を評価するため、初めてヒトに投与する臨床治験を開始することを発表しました。この製剤は、経口投与以外に、MN-166(イブジラスト)を投与するための新たな選択肢を医療供給者に提供するものです。2023年1月には、当社は、健康なボランティアにMN-166(イブジラスト)10mgの静脈注射(IV)を行う当該フェーズ1臨床治験が完了し、良好な安全性プロファイル及び忍容性が示されたことを発表しました。
塩素ガス誘発性肺損傷:2021年3月、当社は、MN-166(イブジラスト)を急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び急性肺損傷(ALI)などの塩素ガス誘発性肺障害に対する潜在的な治療法・医療対策(MCM)として開発するために、米国保険福祉省事前準備・対応担当次官補局の一部である生物医学先端研究開発機構(BARDA)と提携したことを発表しました。BARDAは、研究・イノベーション・ベンチャー(DRIVe)部門のドラッグリポジショニングによる化学物質曝露脅威への対策(ReDIRECT)プログラムの下、契約第75A50121C00022号に基づき、塩素ガス誘発性急性肺損傷の前臨床モデルにおけるMN-166(イブジラスト)の概念実証試験のために連邦政府の補助金を提供することに同意しています。MN-166(イブジラスト)は、DRIVeのReDIRECTプログラムを通じてBARDAの開発支援を受ける最初の化合物となりました。2021年6月、当社は、塩素ガス誘発性急性肺損傷のヒツジモデルにおいてMN-166(イブジラスト)を評価するためのヒツジ研究の開始を発表しました。当該試験では、ヒツジにMN-166(イブジラスト)又は対照を投与した後、肺機能、肺損傷及び浮腫形成、心肺血行動態、及び全身血管透過性を評価します。2021年6月には、塩素ガス誘発性肺損傷及び致死性のマウスモデルにおいてMN-166(イブジラスト)の有効性を評価するためのマウス研究についても発表しました。当該試験では、マウスを塩素ガスに曝露し、MN-166(イブジラスト)又は対照を投与した後、生存率、臨床転帰、体重、肺重量及び上気道の組織病理を評価します。2022年6月には、当社はBARDAとの契約内容を変更し、2023年3月まで契約履行期間を延長したことを発表しました。2023年3月、米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)の要請により2023年5月まで共同開発契約の期間再延長を発表しました。2023年9月、米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)との提携共同開発による 塩素ガス暴露による肺障害に対する医学的対策としての MN-166(イブジラスト)の研究結果を発表しました。
Long COVID(新型コロナ後遺症):2022年8月、当社は、RECLAIM(Recovering from COVID-19 Lingering Symptoms Adaptive Integrative Medicine Trial)に参加する計画を発表しました。RECLAIMは、他の複数の治療法と並行して、MN-166(イブジラスト)のLong COVID(新型コロナ後遺症)に対する効果を評価するための、公的助成金による、多施設共同・無作為化臨床治験です。当社は、トロントに拠点を構える学術健康科学センターであり、カナダ最大の病院基盤の研究プログラムを有するUniversity Health Networkと提携合意に至りました。2023年2月には、当社は、カナダ保健省がRECLAIM臨床治験の治験申請審査を完了し、治験の開始を承認したことを発表しました。
MN-221(ベドラドリン)
MN-221(ベドラドリン)は、喘息急性発作治療薬として開発された、新規の高度選択的なβ2アドレナリン作動性受容体作動薬です。当社は、2004年2月に、キッセイ薬品株式会社(「キッセイ」)からMN-221(ベドラドリン)に関するライセンスを取得いたしました。当社は、2022年10月に当該ライセンス契約を終了しており、現在、キッセイに対するさらなる金銭債務は有しておりません。現在の喘息急性発作治療薬の吸入β作動薬は、炎症及び気道の狭窄による気道収縮又は不十分なエアフローにより、薬剤が肺へ十分に届かないために、効果が限られています。加えて、心臓血管を刺激する副作用(心拍の増加等)の恐れがあるため、患者が耐えうる吸入薬の量は限られています。
MN-221(ベドラドリン)は、静注による投与方法をとっていますが、これは発作によって狭められた気道を経由しないため、薬剤を肺に届けることができます。前臨床試験では、MN-221(ベドラドリン)は、肺のβ2アドレナリン・レセプターにより親和性があり、心臓組織のβ1アドレナリン・レセプターとは、はるかに親和性が低いことが確認されました。MN-221(ベドラドリン)の肺への薬剤供給の改善及び心臓に対する副作用の軽減は、喘息急性発作患者の呼吸を容易にし、患者が高額な入院を免れる手助けをすることによって、満たされていない需要を満たす可能性を有しています。
喘息急性発作:米国国立健康統計センターの最新のデータによると、米国の2019年における喘息による救急診療科への外来者数は1.84百万人、2019年における喘息による死者数は3,524人でした。
当社は、救急施設における喘息急性発作患者175名を対象に、MN-221(ベドラドリン)を評価する無作為プラセボ対照二重盲検フェーズ2b臨床治験を完了いたしました。MN-221(ベドラドリン)は、主要評価項目であるプラセボに対するFEV1(1秒間努力呼気肺活量)の改善において、統計的有意性を達成できませんでした。しかしながら、MN-221(ベドラドリン)治療は、呼吸困難指標に関する評価項目に関して統計上有意な改善を示しました。MN-221(ベドラドリン)治療では、0~3時間後における呼吸困難指標のベースラインからの変化がプラセボと比べて著しく増加(改善)し(AUC[0-3hr]に基づく。p=0.0405)、2時間後における呼吸困難指標のベースラインからの変化がプラセボと比べて著しく増加し(平均スコアに基づく。p=0.0042)、また2時間後において呼吸困難指標の1ポイントを超える改善が見られた患者の割合がプラセボと比べて著しく増加しました(p=0.0323)。治療不成功率(研究過程の進行中に入院し又は救急施設へ戻った患者の数)を評価するための事後解析も実施されました。試験薬投与の3時間以上前にコルチコステロイドの投与を受けた患者においては、プラセボ群の治療不成功率(74%)は、MN-221(ベドラドリン)群の治療不成功率(43%)を著しく上回りました(p=0.0489)。臨床的に重大な安全性/認容性の問題は認められませんでした。
当社は、2012年10月に、当該製品候補の将来の開発を検討するためFDAとエンド・オブ・フェーズ2ミーティングを行いました。FDAは、MN-221(ベドラドリン)のリスク/ベネフィットのプロファイルを今後の開発の焦点とし、入院率の減少等の臨床結果を主治験の主要評価項目とすべきことを当社に助言しました。当社は、FDAから受けたフィードバックに基づきMN-221(ベドラドリン)の今後の開発を設計すること、及び喘息に関するMN-221(ベドラドリン)の今後の臨床治験開発を、資金調達の観点から提携先と協働して行うことを決定しました。
MN-001(タイペルカスト)
MN-001(タイペルカスト)は、新規の経口投与可能な低分子化合物であり、いくつかのメカニズムによって前臨床モデルにおいて線維化を抑える効果や炎症を抑える効果を発揮しています。その中には、ロイコトリエン(LT)受容体拮抗作用、PDE(主に3及び4)の阻害及び5-リポキシゲナーゼ(5-LO)の阻害が含まれます。5-LO/LT経路は、線維化の病原因子であるとされており、5-LO及び5-LO/LT経路に対するMN-001(タイペルカスト)の阻害作用は線維化治療の新たな手法であると考えられています。MN-001(タイペルカスト)は、LOXL2、Collagen Type 1及びTIMP-1等の線維化を促進する遺伝子の発現を下方制御することが知られています。MN-001(タイペルカスト)はまた、CCR2及びMCP-1等の炎症を促進する遺伝子の発現を下方制御することが知られています。さらに、病理組織検査において、MN-001(タイペルカスト)が複数の動物モデルにおいて線維化を軽減することが示されています。当社は、2002年に、MN-001(タイペルカスト)をキョーリンからライセンス導入しました。当社は、線維化を伴うNASHを適応とするMN-001(タイペルカスト)に対するファストトラック指定承認をFDAから受けたことに加えて、特発性肺線維症(IPF)を適応とするMN-001(タイペルカスト)に対してもFDAからオーファンドラッグの指定及びファストトラック指定承認を受けました。
当社は、以前には、喘息に対する臨床的有効性についてMN-001(タイペルカスト)の評価を行い、喘息に関するフェーズ2治験を完了し、良好な結果を得ていました。MN-001(タイペルカスト)は、600人以上の被験者に投与され、おおむね安全で良好な認容性を示していると考えられています。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、肝臓に脂肪が貯まった状態をいいます。NAFLDを有する人の一部は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)になる可能性があり、これは肝臓に脂肪が貯まり、肝細胞の炎症及び損傷が起きている状態をいいます。NASHは、アルコール性肝障害に類似した一般的な肝疾患ですが、アルコールをほとんど又は全く飲まない人にも発症します。国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所によると、米国の成人におけるNASHの有病率は1.5~6.5%であり、米国の成人の約24%が非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有します。NASHの根本原因は不明ですが、肥満の中年に有病率が高くなっています。NASH患者の多くは、血清脂質濃度が高く、糖尿病又は糖尿病予備軍です。NASHは肝硬変に進行する可能性があります。肝不全を伴う進行性肝硬変の治療法は肝臓移植のみであり、現在のところNAFLDやNASHの承認済治療薬はありません。
当社は、NASH治療薬としての臨床的有効性を評価するためMN-001(タイペルカスト)の前臨床試験を完了しました。NASHのSTAMTM(NASH-HCC)のマウスモデルにMN-001(タイペルカスト)を1日1回経口投与し(3週間にわたり10、30、100mg/kg)、肝臓生化学及び肝臓病理組織、NAFLDの活動スコア(NAS)ならびに線維化の割合及び遺伝子発現によって、その効果を評価しました。MN-001(タイペルカスト)は、肝臓のヒドロキシプロリン量の減少に見られるとおり、プラセボと比較して用量依存的に線維化領域を大幅に減少させました(p<0.01)。これは、MN-001(タイペルカスト)の線維化の予防の可能性を支持するものです。MN-001(タイペルカスト)は、NASを大幅に改善させました(p<0.01)。MN-001(タイペルカスト)は、当該動物モデルにおいて、肝細胞障害(p<0.01)及びballooning(肝実質細胞の死)(p<0.01)を阻害し、NASHの病状を改善させました。MN-001(タイペルカスト)は、同時に、肝臓における一定の遺伝子発現を減少させることが確認され、MN-001(タイペルカスト)がNASHモデルにおいて線維化の形成を減少させることが示されました。当社は、進行型NASH治療薬としての臨床的有効性を評価するためMN-001(タイペルカスト)の2番目の前臨床試験を完了しました。同試験は、NASHのマウスモデルを対象とするMN-001(タイペルカスト)の最初の前臨床試験に対し、NASHのより進行期のマウスを用いています。MN-001(タイペルカスト)は、進行型NASHのマウスモデルにおいて、NASHを抑える効果や線維化を抑える効果を示しました。MN-001(タイペルカスト)の治療群におけるNAFLD活動スコア(NAS)は、非治療群に対し大幅に減少しました(p<0.001)。肝細胞の風船様腫大スコア(p<0.001)、肝葉炎症巣スコア(p<0.01)及び脂肪化スコア(p<0.05)等のすべてのNAS構成要素において、一貫して減少が認められました。また、MN-001(タイペルカスト)の治療群において、肝臓の線維化が減少しました(p<0.01)。さらに、MN-001(タイペルカスト)の治療群において、α-SMAの染色部分が大幅に減少しました(p<0.001)。総じて、これらの結果により、ヒトのNASHの治療にはMN-001(タイペルカスト)のさらなる治験・評価が必要であるという有力な証拠が提示されました。
当社は、FDAに対しINDを提出し、FDAから、米国におけるNASH及びNAFLDを適応とするMN-001(タイペルカスト)に関する3つの異なるフェーズ2臨床治験のプロトコルについて承認を取得しました。2018年4月、当社は、NASH患者及びNAFLD患者における高中性脂肪血症の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)のフェーズ2臨床治験の中間解析において有意なポジティブな結果が得られたことから、本治験を早期終了することを発表しました。かかるデータは、2018年4月にフランスのパリで開催された国際肝臓会議/第53回欧州連合肝臓研究会(EASL)年次総会において発表されました。MN-001(タイペルカスト)は、平均血清トリグリセリドを135.7mg/dLと有意に減少させ、結果として41.3%の減少が認められました(p=0.02)。これには、8週間の治療を完了した15名の被験者のデータが含まれます。治療開始前のトリグリセリド値が1,288mg/dLと非常に高かった1件の外れ値を除けば、MN-001(タイペルカスト)は、平均血清トリグリセリドを74.9mg/dLと有意に減少させ、結果として28.8%の減少が認められました(p=0.00006)。当社は、FDAから、線維化を伴ったNASH患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)に対しファストトラックの指定承認を受けました。
2020年11月には、当社は、米国肝臓学会(AASLD)の年次大会において、ヒト肝星細胞(HSC)及び急性肝障害モデルにおけるMN-001(タイペルカスト)の肝線維化を抑える効果を評価するインビトロ及びインビボの研究に関する良好な結果を発表しました。MN-001(タイペルカスト)は、マウスの急性四塩化炭素(CCl4)誘発性肝障害モデルにおいて、TGFβ1誘発性HSC活性化、TGFβ1媒介性のHSC運動性及び収縮性の増加、並びに線維形成シグナル伝達を減弱させました。これらのデータは、MN-001(タイペルカスト)の肝臓における抗線維化作用を支持するさらなる科学的証拠となります。2021年11月には、当社は、AASLDの年次大会において、MN-001(タイペルカスト)が肝細胞におけるトリグリセリド代謝を変える仕組みを評価する研究による新たな知見を発表しました。当該研究は、MN-001(タイペルカスト)がヒト肝細胞癌サンプル由来のHepG2細胞におけるトリグリセリド合成に対して阻害作用を有することを明らかにしました。MN-001(タイペルカスト)の添加により、アラキドン酸の肝細胞への取り込みに関与する脂肪酸輸送体の一種であるCD36の発現が抑制されました。これは、MN-001(タイペルカスト)が肝細胞へのアラキドン酸取り込みを阻害することによりトリグリセリド合成を低下させることを示します。CD36は肝臓における細胞の脂肪酸取り込みを増強し、脂肪肝の発症に関与することが知られています。
2022年4月、当社は、2型糖尿病または高中性脂肪血症を併発するNAFLD患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)を評価するフェーズ2臨床治験の計画について、FDAによる審査が完了し、臨床治験の開始が可能となったことを発表しました。この多施設共同、2群、無作為化、二重盲検、プラセボ比較フェーズ2臨床治験は、米国内で約40名の患者を対象に、プラセボとの比較によりMN-001(タイペルカスト)を評価するものです。患者は、無作為に1:1の割合で割り付けられ、1日に500mgのMN-001(タイペルカスト)又はプラセボのいずれかを24週間投与されます。主要評価項目は、(1)MRI Proton Density Fat Fraction(MRI-PDFF)による肝脂肪量の変化(ベースラインと24週後の比較)、及び(2)空腹時血清トリグリセリド値の変化(ベースラインと24週後の比較)です。2022年7月には、当社は、2型糖尿病または高中性脂肪血症を併発するNAFLD患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)を評価する当該フェーズ2臨床治験の開始を発表しました。2022年12月には、当社は、国際糖尿病連合(IDF)の2022年国際糖尿病学会議年会において、高中性脂肪血症(HTG)を伴うNAFLD患者を対象にMN-001(タイペルカスト)を評価する、既に完了したフェーズ2臨床治験のサブグループ解析の良好な結果についてプレゼンテーションを行ったことを発表しました。2型糖尿病(T2DM)併発群ではT2DM非併発群に比べ、8週間投与時点で、血清中性脂肪値の大きな低下(T2DM群50.8%低下 vs 非T2DM群17.8%低下、p=0.098)が認められました。T2DM群では非T2DM群に比べ、8週間投与時点で、平均HDL値に有意な上昇(15.8%上昇 vs 1.0%上昇、p<0.0002)が認められました。T2DM群では非T2DM群に比べ、8週間投与時点で、血清LDL値の大きな低下(15.4%低下 vs 6.7%低下)が認められました。
特発性肺線維症(IPF):肺線維症は、肺の瘢痕化によって内膜が厚くなり、不可逆な拘束性換気障害をきたす進行性肺疾患です。肺線維症の原因は様々ですが、抗癌剤治療や化学物質への曝露等で起こります。特発性肺線維症は、原因不明の肺線維症の一種です。米国国立医学図書館によると、米国におけるIPFの患者は約100,000人であり、毎年30,000人から40,000人が新たにIPFと診断されています。IPFは予後不良であり、ほとんどの患者の生存期間は診断後わずか3年から5年です。
当社は、肺線維症治療薬としての臨床的有効性を評価するためMN-001(タイペルカスト)の前臨床試験を完了しました。ブレオマイシンによって誘発された肺線維症のマウスモデルにMN-001(タイペルカスト)を1日1回経口投与し(2週間にわたり30、100、300mg/kg)、CTスキャンによる肺密度の評価、病理組織学的染色に基づくアシュクロフトスコアによる肺線維症の程度及び線維化又は細胞におけるコラーゲン蓄積の指標となるハイドロオキシプロリンの量によって、その効果を評価しました。MN-001(タイペルカスト)の治療群におけるアシュクロフトスコアは、2週間の治療後に、非治療群に対し大幅に減少し(p<0.05)、肺密度は非治療群に対し減少しました。さらに、MN-001(タイペルカスト)の治療群におけるハイドロオキシプロリンの量は、非治療群に対し大幅に減少しました(p<0.01)。これらの結果により、MN-001(タイペルカスト)による治療がブレオマイシンによって誘発された肺線維症のマウスに対し線維化を抑える効果があることが提示されました。
当社は、FDAに対しINDを提出し、FDAからIPFを適応とするMN-001(タイペルカスト)に関するフェーズ2臨床治験のプロトコルについて承認を取得しました。ペンシルバニア州立大学においてIPFを適応とするMN-001(タイペルカスト)に関する同フェーズ2臨床治験が完了し、当社は2021年8月に当該臨床治験の結果を発表しました。この被験者15名の小規模な研究では、大部分の臨床転帰測定値についてMN-001(タイペルカスト)を支持する臨床的に有意な傾向はみられませんでしたが、プラセボ群ではIPF悪化イベントが1件認められたのに対し、MN-001(タイペルカスト)群でIPF悪化イベント(呼吸器症状による急性IPF増悪又は入院)は認められませんでした。MN-001(タイペルカスト)は、IPFのバイオマーカーであるLOXL2の実質的な減少を示したのに対し、プラセボ群ではLOXL2の増加がみられました。MN-001(タイペルカスト)の安全性及び認容性は良好でした。FDAは、IPF治療に関してMN-001(タイペルカスト)をオーファンドラッグに指定しました。オーファンドラッグの指定によって、MN-001(タイペルカスト)がIPFについて承認された場合、7年間の独占販売権が付与されることになります。当社はまた、IPF患者の治療薬としてのMN-001(タイペルカスト)に対し、FDAからファストトラックの指定承認を受けました。
MN-029(デニブリン)
MN-029(デニブリン)は、固形癌治療のために開発中の新規のチューブリン結合物質です。MN-029(デニブリン)は、チューブリン重合の阻害を逆転することによって細胞骨格の分裂を引き起こし、その結果、癌細胞を変形させ、最終的に固形癌の広範な中心壊死を生じさせます。当社は、2002年に、アンジオジーン・ファーマシューティカルズ社(「アンジオジーン」)からMN-029(デニブリン)のライセンスを取得しました。
複数の前臨床薬理において、乳腺癌、大腸癌、肺癌及びKHT肉腫のネズミの実験モデルの生体内におけるMN-029(デニブリン)の作用機序及び抗癌作用が評価されました。これらの試験において、MN-029(デニブリン)は、腫瘍細胞への直接的作用に加えて、十分に形成されていない腫瘍血管の血管壁を損傷することによって漏出や凝固を起こし、結果的に腫瘍内の血流を阻害しました。これらの試験は、MN-029(デニブリン)の作用が速やかであり、短時間で体内から排出されることを示唆しており、これによって、化学療法に共通してみられる副作用が軽減される可能性があります。腫瘍内の血流の遮断は、ダイナミック造影MRIの使用によって確認されました。2件のフェーズ1臨床治験では、腫瘍の血流を阻害するレベルの用量においても、MN-029(デニブリン)の認容性は良好でした。
最初のフェーズ1治験は、難治性癌患者34人を対象に3週間おきにMN-029(デニブリン)を単回投与し、MN-029(デニブリン)の安全性、認容性及び最大耐量を調査しました。最大耐量は180mg/m2とされ、25サイクルの間の3週間おきの単回静注投与は安全であるように見受けられました。日常的な実験的評価、バイタルサイン又はECG監視において臨床的に重大な変化は見られませんでした。最も多く報告された有害事象は、他の化学療法と同様、嘔吐、吐き気、下痢及び疲労感でした。合計で9件の重篤な有害事象が報告され、有害事象を理由に当該患者の治験は中止されました。抗癌作用の予備的評価では、完全寛解又は部分寛解に達した患者はいませんでした。しかしながら、12人の患者の症状は安定していました。MN-029(デニブリン)は、≥120mg/m2の用量を投与された11人の患者のうち7人の患者について望ましい血管作用を示しました。9人の患者は、引き続き治療の延長サイクルを受けました。
2番目のフェーズ1治験は、進行性/転移性の固形癌患者を対象に7日おきに合計3回のMN-029(デニブリン)の単独投与を行い(1日目、8日目及び15日目)、その後13日間の回復期間を設け(16日目から28日目)、MN-029(デニブリン)の安全性、認容性及び最大耐量を調査しました。MN-029(デニブリン)による治療に認容性を示した患者は、追加サイクルを受けました。20人の被験者全員が、治験薬に関する有害事象を少なくとも1回報告しました。治験薬に起因すると考えられる有害事象のうち最も一般的なものは、嘔吐、吐き気、関節痛及び頭痛でした。日常的な実験的評価、バイタルサイン又はECG監視において臨床的に重大な変化は見られませんでした。治験薬に無関係だと考えられる重篤な有害事象が1件報告されました。前回のフェーズ1治験と一貫して、最大で180mg/m2のレベルの用量が安全であり、認容性が良好であるように見受けられました。1人の患者が部分寛解に達し、74日間継続しました。7人の患者の症状は安定していました。同治験の結果は、MN-029(デニブリン)が血流に作用することを示しましたが、被験者数をより多くすることが必要です。
当社は、2014年1月に、MN-029(デニブリン)二塩酸塩に関する新たな特許を米国特許商標庁から付与されました。2032年7月以降に失効することになる当該特許は、デニブリン二塩酸塩に基づく化合物、医薬組成物及び特定の細胞増殖性疾患(固形癌を含みます。)の治療法を対象としています。当社は、かかる米国の特許に基づき諸外国において特許の申請を行い、そのうちのほとんどを取得しました。
MN-166(イブジラスト)臨床治験及びプログラム
|
適応症 |
臨床治験 |
実施機関/資金提供機関 |
状況 |
|
COVID-19 |
ARDSを発症するリスクのあるCOVID-19患者を対象にMN-166(イブジラスト)の有効性、安全性、認容性、バイオマーカー及び薬物動態を評価するためのプラセボ対照無作為二重盲検並行群間比較治験 |
多施設共同 メディシノバ |
完了 |
|
Long-COVID (新型コロナ後遺症) |
Long-COVID(ロング・コビット/新型コロナ後遺症)を対象とするMN-166(イブジラスト)及びその他の治療法を評価する多施設・無作為、二重盲検、並行多群比較試験の治験 |
Univresity Health Network(UHN) 多施設共同
|
進行中 |
|
一次進行型及び二次進行型多発性硬化症 |
進行型多発性硬化症患者を対象にMN-166(イブジラスト)の安全性、認容性及び作用を評価するためのプラセボ対照無作為二重盲検治験 |
クリーブランド・クリニック/多施設共同 国立神経疾患脳卒中研究所 メディシノバ |
完了 |
|
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象にMN-166(イブジラスト)の安全性、認容性及び臨床エンドポイント反応性を評価するための6ヶ月間の単独施設、プラセボ対照、無作為二重盲検治験(その後に非盲検期間を有する。) |
カロライナ・ヘルスケアシステム神経科学研究所 メディシノバ |
完了 |
|
ALS/バイオマーカー |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象にMN-166(イブジラスト)を評価するためのバイオマーカー研究 |
マサチューセッツ総合病院 メディシノバ |
完了 |
|
筋萎縮性側索硬化症 (ALS) |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象にMN-166(イブジラスト)の効果及び安全性を評価するための12ヶ月間のフェーズ2b/3多施設共同、プラセボ対照、無作為二重盲検臨床治験(その後に非盲検期間を有する。) |
多施設共同 メディシノバ |
進行中 |
|
変性性頸椎脊椎症 |
変性性頸椎脊椎症の減圧手術の補助療法としてのMN-166(イブジラスト)の効果を評価するための多施設共同、プラセボ対照、無作為二重盲検治験 |
ケンブリッジ大学/多施設共同 イギリス国立疾病研究センター(NIHR) |
進行中 |
|
化学療法誘発性末梢神経障害 |
化学療法誘発性急性神経毒性の予防におけるMN-166(イブジラスト)の影響を評価するとともに、オキサリプラチンの投与を受ける消化器癌患者におけるオキサリプラチンとの薬物動態を評価するパイロットスタディ |
シドニー大学 オーストラリア・コンコルド癌センター |
完了 |
|
化学療法誘発性末梢神経障害 |
転移性大腸・直腸・結腸癌患者におけるオキサリプラチン急性神経毒性がMN-166(イブジラスト)により低下するか-フェーズ2無作為治験 |
シドニー大学 オーストラリアのオーストラレーシア消化器疾患臨床治験グループ |
進行中 |
|
グリオブラストーマ |
グリオブラストーマ患者におけるMN-166(イブジラスト)とテモゾロミドの併用療法の安全性、認容性及び効果を評価するためのフェーズ1a/2b多施設共同、非盲検、用量漸増研究 |
ダナファーバー癌研究所 メディシノバ |
進行中 |
|
薬物依存・中毒 メタンフェタミン依存症 |
メタンフェタミン依存症に関するMN-166(イブジラスト)の無作為治験 |
UCLA 米国国立薬物乱用研究所 |
完了 |
|
メタンフェタミン依存症/バイオマーカー |
メタンフェタミン使用者の神経炎症に対するMN-166(イブジラスト)の効果 |
オレゴン保健科学大学 |
進行中 |
|
オピオイド依存症 |
オピオイド乱用者のオキシコドン自己投与に対するグリア活性化の阻害剤であるMN-166(イブジラスト)の効果 |
コロンビア大学/NYSPI 米国国立薬物乱用研究所 メディシノバ |
完了 |
|
アルコール依存症 |
アルコール依存症の新規治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の開発 |
UCLA アルコール乱用/アルコール依存症研究所 |
完了 |
|
アルコール依存症及び離脱 |
アルコール中毒及び離脱に伴う精神不安に対するMN-166(イブジラスト)の効果 |
UCLA 米国国立薬物乱用研究所 |
完了 |
|
アルコール依存症 |
アルコール使用障害の治療薬としてのMN-166(イブジラスト) |
UCLA アルコール乱用/アルコール依存症研究所 |
完了 |
営業及びマーケティング業務
現在、当社はマーケティング能力及び販売能力を有しておりません。当社は、当社の製品を商品化するにあたっては、戦略的提携先に頼ることを見込んでおります。
製造
当社は、研究、開発、前臨床試験及び臨床治験に用いる大半の医薬品有効成分(「API」)及び治験用製品の完成品の製造を外部委託しております。当社は、当社の臨床治験あるいは将来的な販売のために、API及び完成品の製造を、今後も外部製造業者に委託することが必要であると見込んでおります。当社は、当社の臨床治験の要件あるいは将来的な販売の要件に見合い、かつ商業上妥当な条件で、当社の製品のAPI及び完成医薬品の製造を委託できる製造業者が複数存在すると考えております。
当社は、MN-166(イブジラスト)開発プログラムに関して、日本でPinatos®として販売されている遅発放出性のイブジラストのカプセルを大正薬品工業株式会社(「大正」)から調達し、輸入しています。この他に、当社は、MN-166(イブジラスト)開発プログラムのためのAPI及び完成品の製造に関して委託製造業者も利用しています。
知的財産権及びライセンス契約
2000年9月の創業以来、当社は、現在有する製品候補につき、ライセンス契約を製薬会社と締結しております。当社はまた、製品候補に関する追加の知的財産につき、大学とライセンス契約を締結しております。通常、当社は、販売が見込まれる製品については特許を取得して保護するか、又はライセンサーが有する関連特許により同様の保護を得るようにしております。当社は米国で、32件の交付済み特許を有しており、12件の特許申請を新たに提出しました。また米国外において、上記の米国特許及び特許申請に相当する、89件の交付済み外国特許及び31件の出願中の外国特許申請を有しております。当社は、当社が保有し又はライセンスを許諾した特許に対する、第三者のいかなる侵害も認識しておりません。当社はまた、第三者から、その知的財産権を当社が侵害したとする重大な請求を受けておりません。以下は、当社の各臨床製品候補に関して当社が有する既存のライセンス契約及び知的財産権の詳細です。
MN-166(イブジラスト)
当社は、2004年10月22日、MN-166(イブジラスト)の開発及び商品化に関して、キョーリンと独占的ライセンス契約を締結いたしました。キョーリンは、日本の総合医薬品企業で、東証上場会社です。当社は、多発性硬化症治療薬MN-166(イブジラスト)に関する特許権につき独占的かつ全世界(日本、中国、韓国及び台湾を除きます。)で再許諾可能なライセンス(点眼薬の製剤を除きます。)を取得いたしました。MN-166(イブジラスト)について、組成物に関する特許は取得されておりません。かかるライセンスの基盤となる多発性硬化症治療薬のMN-166(イブジラスト)の米国における使用方法の特許は、2018年8月10日に失効しました。一部のその他の国でも、これに相当する用法特許が2018年8月10日に失効しました。契約の条件に従い、当社は、MN-166(イブジラスト)化合物を使用した眼科製品を世界中のあらゆる場所において、また、MN-166(イブジラスト)化合物を使用した眼科に無関係の製品を当社の販売区域外において開発するために、当社の前臨床、臨床及び規制データベースを使用するための無償の独占的かつ再許諾可能なライセンスをキョーリンに付与いたしました。
同ライセンス契約は、一方の当事者が本契約に対し重大な違反を行い、当該違反が治癒されない場合には、他方当事者が解除することができます。また、当社はキョーリンに対する90日前までの書面による通知をもっていかなる理由によっても同契約を解除することができ、第三者がMN-166(イブジラスト)がかかる第三者の知的所有権を侵害する旨を主張した場合には、30日前までの書面による通知をもって同契約を解除することができます。
同契約の期間は、各国ごとの基準により決定され、同契約上の支払義務が満了する日、又は、同契約により付与されるライセンスがなければ、薬品の製造、使用又は販売が、キョーリンが有する有効な特許クレームの侵害に該当することになる期間の最終日、若しくは適用ある市場独占期間の最終日まで延長されます。特定の国において、有効な特許クレーム及びジェネリック製品との競争が存在しない場合、同契約は、当社が最初に製品の販売を行った日から数えて5年後、又は、かかる国においてジェネリック製品との競争が生じてから第2四半期末のいずれか早い日に終了します。
同ライセンス契約に基づき、当社は、現在までにキョーリンに対し、0.7百万米ドルを支払っております。また、臨床治験及び薬事規制において一定の段階に到達した場合には最大で5百万米ドルを支払う義務があります。当社はまた、ライセンス製品の純売上高に対するライセンス使用料を支払う義務があります。
当社は、MN-166(イブジラスト)及びその類似物について、15件の交付済み米国特許及び11件の出願中の米国特許申請、並びに39件の交付済み外国特許及び23件の出願中の外国特許申請についてのライセンスを保有し又は共同保有しております。これらの特許及び特許申請は、当社の開発ポートフォリオに関連するものであり、主に、MN-166(イブジラスト)及びその類似物を使用した様々な適応疾患に対する治療法を対象としています。
当社は、進行型多発性硬化症治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の使用に関する米国特許を取得いたしました。当該特許は、2029年11月以降に失効することになっています(特許期間の回復に関する規則に基づき認められる可能性のある延長を含みません。)。当該特許は、MN-166(イブジラスト)を投与することによる、PPMS又はSPMSの治療法に対するものです。かかる特許申請に相当する申請が特定の外国において承認されております。当社は、PPMS及びSPMSの両方を含む進行型多発性硬化症治療薬としてのMN-166(イブジラスト)とインターフェロンベータの併用に関する米国特許を取得いたしました。当該特許は、2039年10月以降に失効する見込みです。当社は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の使用に関する米国特許を取得いたしました。当該特許は、2029年1月以降に失効することになっています。当社は、ALS及びその他の神経変性疾患の治療薬としてのMN-166(イブジラスト)とリルゾールの併用に関する米国特許を取得いたしました。当該特許は、2035年11月以降に失効することになっています。かかる特許申請に相当する申請が特定の外国の法域において承認されております。当社は、グリオブラストーマの併用療法の一部としてのMN-166(イブジラスト)の使用に関する米国特許を2件取得いたしました。当該特許は、2039年2月以降に失効することになっています。当社は、薬物依存・中毒又は薬物離脱症候群治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の使用に関する米国特許を取得いたしました。当該特許は、2030年1月以降に失効することになっています。当該特許申請に相当する特許が海外の一定の国々において承認されています。当社は、神経因性疼痛治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の使用に関する米国特許を取得いたしました。当該特許は、2025年12月以降に失効することになっています。当社は、眼科領域での神経変性疾患/障害若しくは損傷又は神経眼科障害の治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の使用に関する米国特許を取得いたしました。当該特許は、2039年10月以降に失効することになっています。
MN-221(ベドラドリン)
当社は、2004年2月25日、MN-221(ベドラドリン)の開発及び商品化に関してキッセイと独占的ライセンス契約を締結いたしました。当社は、2022年10月に当該ライセンス契約を終了しており、現在、キッセイに対するさらなる金銭債務は有しておりません。ライセンス契約の終了後、キッセイはMN-221(ベドラドリン)のドラッグマスターファイル、FDAとのすべての関連するコミュニケーション及びすべての関連する所有権を当社に譲渡しています。当社はキッセイに対し、MN-221(ベドラドリン)の開発及び商品化に関連するさらなる義務は有しておりません。
許諾済特許に加えて、当社は、MN-221(ベドラドリン)の追加的使用及び製剤に関する特許申請を米国及び米国外において提出しております。当社は、喘息急性発作治療薬としてのMN-221(ベドラドリン)の使用に関する米国特許について、承認を取得いたしました。当該特許は、2030年11月以降に失効することになっております。当該特許は、MN-221(ベドラドリン)を標準療法と併用して使用する権利を含んでおり、経静脈、経口及び吸入等の異なる投与方法についての適用を含んでいます。当社は、過敏性腸症候群治療薬としてのMN-221(ベドラドリン)の使用に関する米国特許について、承認を受けました。当該特許は、2031年4月以降に失効することになっております。
MN-001(タイペルカスト)
2002年3月14日、当社は、MN-001(タイペルカスト)の開発及び商品化に関して、キョーリンと独占的ライセンス契約を締結いたしました。当社は、当該特許権において開示され、含まれ又は対象となるMN-001(タイペルカスト)及びその活性代謝産物であるMN-002に関する特許権及びノウハウにつき、すべての適応疾患(点眼薬の製剤を除きます。)のための、独占的かつ全世界(日本、中国、韓国、及び台湾を除きます。)で再許諾可能なライセンスを取得いたしました。同ライセンスは、2件の米国特許並びにそれに相当する外国における特定の特許に基づく独占的かつ再許諾可能なライセンスを含むものでした。ライセンスの基盤となるMN-001(タイペルカスト)及びMN-002の米国における組成物特許は、それぞれ2009年2月23日及び2011年12月30日に失効いたしました。MN-001(タイペルカスト)及びMN-002の外国における組成物特許もまた失効いたしました。当社は、MN-001(タイペルカスト)及びMN-002に付随する特定の組成物、用途及び製造過程を対象とする14件の米国特許及び43件の外国特許について、承認を取得いたしました。当該米国特許の対象となる用途には、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、線維化を伴う進行型NASH、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、脂肪症、高中性脂肪血症、高コレステロール血症、高リポタンパク血症、線維化、潰瘍性結腸炎、間質性膀胱炎及び過敏性腸症候群が含まれます。これらの米国特許に相当する特許申請は、特定の外国において提出されており、複数の外国特許が交付されております。
契約の条件に従い、当社は、MN-001(タイペルカスト)を使用した眼科製品を世界中のあらゆる場所において、また、MN-001(タイペルカスト)を使用した眼科に無関係の製品を当社の販売区域外において開発するために、当社の前臨床、臨床及び規制データベースを使用するための無償の独占的かつ再許諾可能なライセンスをキョーリンに付与いたしました。同ライセンス契約は、一方の当事者が本契約に対し重大な違反を行い、当該違反が治癒されない場合には、他方当事者が解除することができます。また、当社は、いかなる理由の場合でも、キョーリンに対する90日前までの書面による通知をもって同契約を解除することができ、第三者がライセンスされた特許若しくはノウハウがかかる第三者の知的所有権を侵害する旨を主張した場合には、30日前までの書面による通知をもって同契約を解除することができます。
同契約の期間は、各国ごとの基準により決定され、同契約上の支払義務が満了する日、又は同契約により付与されるライセンスがなければ、製品の製造、使用又は販売が、キョーリンが有する有効な特許クレームの侵害に該当することになる期間の最終日、若しくは適用ある市場独占期間の最終日まで延長されることになります。特定の国において、有効な特許クレーム及びジェネリック製品との競争が存在しない場合、同契約は、当社が最初に製品の販売を行った日から数えて5年後、又はかかる国においてジェネリック製品との競争が生じてから第2四半期末のいずれか早い日に終了します。
同ライセンス契約に基づき、当社は、現在までにキョーリンに対し、4百万米ドルを支払っております。また、臨床治験及び薬事規制において一定の段階に到達した場合には最大で5百万米ドルを支払う義務があります。当社はまた、ライセンス製品の純売上高に対するライセンス使用料を支払う義務があります。
MN-029(デニブリン)
当社は、2002年6月19日、ANG-600シリーズ化合物の開発及び商品化に関して、英国における株式未公開の創薬企業であるアンジオジーンと独占的ライセンス契約を締結いたしました。当社は、当該特許権において開示され、含まれ又は対象となるANG-600シリーズ化合物に関する特許権及びノウハウにつき、すべての適応疾患のための、全世界の独占的かつ再許諾可能なライセンスを取得いたしました。MN-029(デニブリン)は、かかるライセンスにより保護されるANG-600シリーズ化合物の一つです。当社は、MN-029(デニブリン)二塩酸塩に関する米国特許を付与されました。当該特許は、2032年7月以降に失効することになっています。承認された特許は、デニブリン二塩酸塩に基づく化合物、組成物及び特定の細胞増殖性疾患(固形癌を含みます。)の治療法を対象としています。この米国特許に相当する特許申請が特定の外国において提出され、そのうちの複数の特許が付与されています。
同ライセンス契約は、一方の当事者が本契約に対し重大な違反を行い、当該違反が治癒されない場合には、他方当事者が解除することができます。また、当社は、アンジオジーンに対する30日前の書面による通知をもって、いつでも同契約を解除することができます。
同契約の期間は、各国ごとの基準により決定され、ライセンスの対象であるアンジオジーンが有する特許権(又はそれと同等のもの)のうち有効な特許クレームを有する最後の特許権(又はそれと同等のもの)が失効する日又は最初の製品の販売日から15年後のいずれか早い日まで延長されます。
同ライセンス契約に基づき、当社は、現在までにアンジオジーンに対し、1.4百万米ドルを支払っております。また、臨床治験及び薬事規制において一定の段階に到達した場合には最大で16.5百万米ドルを支払う義務があります。当社はまた、ライセンス製品の純売上高に対するライセンス使用料を支払う義務があります。
一般事項
当社が企図する商業活動は、競合会社、大学及び/又はその他に対して既に付与されているか又は付与される可能性のある特許に抵触するおそれがあります。また、第三者が特許侵害を主張して当社、当社のライセンサー又はサブライセンシーに対して法的措置を行い、損害賠償を請求したり、又は影響を被った製品の製造及び販売、若しくは当該製品の使用若しくは製法の利用を禁じたりする可能性があります。このような行為が認められた場合、当社は、補償、損害賠償及び場合により弁護士報酬の支払の責任を負う可能性に加えて、影響を被った製品の製造、使用又は販売を継続するためには、ライセンスの取得が必要となる可能性があり、かかるライセンスは商業上妥当な条件では取得できないか、又はまったく取得できないおそれもあります。また、場合により、営業秘密又は秘密保持に係る合意に依拠する方が特許よりも当社にとって好都合なことがあり、その場合、当社は、特許を受けていない専有技術も利用いたします。しかし、他の者が実質的に同一の専有情報及び技術を独自に開発し又はかかる専有技術を入手し若しくは開示するおそれがあります。当社は、このような特許を受けない専有技術における当社の権利については、これを有効に保護できないおそれがあります。また、当社が研究を行う他の医薬化合物や技術について、第三者が権利を保有していたり、又はこれが第三者の特許権に服していたりする可能性もあります。これにより、当該研究に基づく製品が商品化された場合には、その販売活動が特許その他の権利を侵害し、これにより当社がかかる特許その他のライセンスを取得しなければならないことがあります。当社は、当社が保有し又はライセンスを許諾した特許について、第三者によるいかなる侵害も認識しておりません。当社はまた、第三者から、その知的財産権を当社が侵害したとする重大な請求を受けておりません。
当社がアサイニー、ライセンシー又は潜在的なライセンシーとして利益を有するような特許申請を、当社又は他の者が申請することにより、付与されるという保証はありません。また、かかる特許が付与されたとしても、類似の技術又は製品を有する競合会社に対して当社を保護するものとなるか、あるいは特許の保護を回避されたり異議を申し立てられたりすることがないかについては不確実です。例えば、当社は、MN-166(イブジラスト)による進行型多発性硬化症の治療法、MN-166(イブジラスト)によるALSの治療法、併用療法の一部としてのMN-166(イブジラスト)によるグリオブラストーマの治療法、MN-166(イブジラスト)による薬物依存・中毒の治療法及びMN-166(イブジラスト)による神経因性疼痛の治療法について米国特許を取得しておりますが、MN-166(イブジラスト)についての組成物特許のクレームは失効したため有しておりません。従って、無関係の第三者が、MN-166(イブジラスト)に関する使用方法の特許、当社がライセンサーを通じて独占権を有するその他の特許又は当社が取得し得るどの特許も侵害しないのであれば、MN-166(イブジラスト)と同種のAPIを使用した製品を開発するおそれがあります。
加えて、当社の開発した製品がいずれの特許の対象ともならない場合、当社は、当該製品につき、米国においてはハッチ・ワックスマン法の新規化学物質専有に関する規定及び/又は欧州においてはデータ専有に関する規定に基づく市場優先権の取得に依拠することになります。当社が、当局の承認取得後に当社の製品について強力な専有権の保護を得ることができない場合、競合会社は、長期にわたる臨床治験を要求されることなく当社製品との生物学的同等性を立証することが可能な簡易手続のみにより当局の承認を取得することによって、競合的なジェネリック製品を販売することができるようになる可能性があります。当社の特定のライセンス契約には、ジェネリック製品による競合が生じた場合には、ライセンス使用料を減額するか、又は放棄する旨が定められております。
競合
新薬の開発及び商品化は競合が厳しく、広範な研究努力及び急速な技術進歩を特徴とします。業界における競合は様々な分野にわたっており、他社より先に新製品を開発及び販売すること、より低価格で既存製品と同一の効能を有する新製品を開発すること、並びに既存製品より優れた効能を有する新製品を開発することが挙げられます。当社は、米国及びその他の国々における医薬品企業及びバイオテクノロジー企業並びに多くの学術機関、研究機関及び政府機関との競合に直面しています。このような競合相手の中には、当社の製品開発プログラムが焦点とする疾患及び症状と同一のものを対象とした製品を有している、又はそのような医薬品を開発している企業若しくは機関もあります。当社の競合相手の多くは、承認済み若しくは開発後期段階にある製品を有しており、当社の製品よりも、効果的で安全性が高くコストが低い医薬品あるいは容易に投与することができる医薬品の開発に成功する可能性があります。また、当社の競合相手は、当社の製品より早期に特許権保護若しくは商品化を実現する可能性があります。当社の競合相手はまた、当社が製品に対する承認を取得することができたとしても、当該製品の市場をさらに狭めうる代替療法を開発する可能性があります。
当社が取扱う疾病分野の多くについて、異なる作用機序並びに魅力的な有効性及び安全性プロフィールを有する新たな化合物の開発に取り組む潜在的な競合相手が存在します。当社の競合相手の多くが、実質的に当社よりも優れた財務、研究開発資源(人的資源及び技術を含みます。)、臨床治験の経験、製造、販売及びマーケティング能力並びに製造施設を有しております。小規模企業もまた、独自の研究開発や大手医薬品企業及びバイオテクノロジー企業との提携関係により、重要な競合相手となる可能性があります。
進行型多発性硬化症治療薬(Progressive MS)のMN-166(イブジラスト)
当社のMN-166(イブジラスト)の製品候補は、進行型多発性硬化症の治療薬として現在開発中です。二次進行型多発性硬化症治療薬としては、ミトキサントロンが承認されておりますが、ミトキサントロンは、心毒性の危険性のため長期的に使用することができません。再発性二次進行型多発性硬化症治療薬としては、Mayzent(シポニモド)、Mavenclad(クラドリビン)、Vumerity(フマル酸ジロキシメル)、Zeposia(オザニモド)、Kesimpta(オファツムマブ)、Bafiertam(フマル酸モノメチル)、Ponvory(ポネシモド)及びBriumvi(ウブリツキシマブ-xiiy)が承認されております。一次進行型多発性硬化症治療薬としては、Ocrevus(オクレリズマブ)が承認されております。進行型多発性硬化症に関する臨床開発におけるその他のプログラムには、サノフィのトレブルチニブ、ロシュのフェネブルチニブ及びABサイエンスのマシチニブが含まれます。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬のMN-166(イブジラスト)
当社のMN-166(イブジラスト)の製品候補は、ALSの治療薬として現在開発中です。ALS治療薬としては、Rilutek及びTiglutikの各ブランド名でも販売されているジェネリック版リルゾール、Radicava(エダラボン)及びRelyvrio(フェニル酪酸ナトリウム及びタウルルソジオール)が承認されています。当社は、ALSの治療薬として、サイトキネティックス、ブレインストーム・セル・セラピューティクス、ABサイエンス、バイオジェン、アイオニス・ファーマシューティカルズ、バイオヘイブン・ファーマシューティカルズ及びクリネ等のその他の製薬会社において、その他の化合物が臨床開発段階にあることを認識しています。
薬物依存・中毒治療薬のMN-166(イブジラスト)
当社のMN-166(イブジラスト)の製品候補は、オピオイド依存、メタンフェタミン依存症並びにアルコール依存症の治療薬として現在開発中です。現在のオピオイド離脱症状の治療薬には、ジェネリック版メタドン等の麻薬並びにインディビアー・インクのSuboxone Film(ブプレノルフィン+オピオイド拮抗性ナロキソン)が含まれます。オピオイド依存症について承認済のその他の製品には、アルカミーズのVivitrol(ナルトレキソン1ヶ月有効型注射剤)、オレクソのZubsolv(ブプレノルフィン及びナロキソン)及びインディビアーのSublocade(ブプレノルフィン徐放性注射剤)が含まれます。2018年12月、ブレイバーンは、中等度から重度のオピオイド使用障害の治療薬として、週1回及び月1回投与型の徐放性注射用ブプレノルフィン製品であるBRIXADIがFDAにより仮承認されたことを発表しました。2022年12月には、ブレイバーンは、再提出したBRIXADIの新薬承認申請(NDA)がFDAにより受理され、その処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)審査終了目標日が2023年5月23日に設定されたことを発表しました。オピオイド離脱症状に対する非麻薬性の医薬品候補は限られています。ユーエス・ワールドメッズ・エルエルシーのLucemyra(ロフェキシジン)は、オピオイドの急激な断薬を円滑化するためのオピオイド離脱症状の軽減に関して承認された中枢性α2アドレナリン拮抗薬です。現在のところ、メタンフェタミン依存症の治療薬として承認されている医薬品はありません。アルコール依存症の承認済治療薬には、Antabuse(ジスルフィラム)、Vivitrol(ナルトレキソン)及びジェネリック版アカンプロセートがあります。当社は、オピアント・ファーマスーティカルズ等のその他の製薬会社において、その他の治療薬がアルコール依存症治療のために開発段階にあることを認識しています。
化学療法誘発性末梢神経障害治療薬のMN-166(イブジラスト)
当社のMN-166(イブジラスト)の製品候補は、化学療法誘発性末梢神経障害の治療薬として開発されています。現在のところ、化学療法誘発性末梢神経障害の治療薬として承認されている医薬品はありません。デュロキセチンが、かかる適応症に適応外使用される場合があります。
変性性頸椎脊椎症治療薬のMN-166(イブジラスト)
当社のMN-166(イブジラスト)の製品候補は、変性性頸椎脊椎症の治療薬としても開発されています。現在のところ、変性性頸椎脊椎症の治療薬として承認されている医薬品はありません。
グリオブラストーマ治療薬のMN-166(イブジラスト)
当社は、グリオブラストーマ治療薬としてのMN-166(イブジラスト)の製品候補の臨床開発を開始しました。グリオブラストーマの現在の標準的な治療法は、手術、放射線治療及びテモゾロミド剤による化学療法です。また、グリオブラストーマの治療薬として、GLIADEL® WAFER(カルムスチン・インプラント)及びAVASTIN®(ベバシズマブ)が承認されています。当社は、カジア・セラピューティクス、キンタラ・セラピューティクス、デノボ・バイオファーマ及びラミナー・ファーマシューティカルズ等の他社において、その他の化合物がグリオブラストーマ治療のために開発段階にあることを認識しています。
COVID-19患者における急性呼吸窮迫症候群(ARDS)予防薬のMN-166(イブジラスト)
当社のMN-166(イブジラスト)の製品候補は、COVID-19患者におけるARDSの予防薬としても開発中です。当社は、特にこの適応症を対象とする他の開発中の医薬品は認識していないものの、COVID-19の治療薬として承認済み又は開発中の他の医薬品については認識しています。2020年10月、ギリアド・サイエンシズは、入院を必要とするCOVID-19患者の治療のための抗ウイルス薬であるVeklury(レムデシビル)がFDAにより承認されたことを発表しました。2020年11月、FDAは、重度のCOVID-19への進行及び/又は入院のリスクが高いCOVID-19患者の治療を目的とするイーライ・リリーの治験段階の中和抗体であるバムラニビマブ(LY-CoV555)に、緊急使用許可(EUA)を与えました。2020年11月、イーライ・リリー及びインサイトは、入院中のCOVID-19患者に対するレムデシビルとの併用投与のための、バリシチニブの配布及び緊急使用に関するEUAがFDAにより発行されたことを発表しました。2020年11月、リジェネロン・ファーマシューティカルズは、同社のカシリビマブとイムデビマブの併用によるマルチ抗体療法について、FDAからCOVID-19治療法としてのEUAを取得したことを発表しました。2021年2月、FDAは、重度のCOVID-19への進行のリスクが高いCOVID-19患者の治療に関し、イーライ・リリーのバムラニビマブとエテセビマブの併用投与に関するEUAを発行しました。2021年5月、FDAは、重度のCOVID-19への進行のリスクが高いCOVID-19患者の治療に関し、グラクソ・スミスクラインのソトロビマブのEUAを発行しました。2021年6月、FDAは、入院中のCOVID-19患者の治療に関し、ロシュのActemra(トシリズマブ)のEUAを発行しました。2021年12月、ファイザーは、重度のCOVID-19への進行のリスクが高い、軽度から中等度のCOVID-19成人患者及び小児患者(12歳以上、体重40kg以上)の治療に関し、FDAによりPAXLOVID(ニルマトレビル錠及びリトナビル錠)のEUAが付与されたことを発表しました。2021年12月、メルク及びリッジバック・バイオセラピューティクスは、重度のCOVID-19への進行のリスクが高く、FDAによって承認された他のCOVID-19治療選択肢が利用できない又は臨床的に適切ではない軽度から中等度のCOVID-19成人患者における治療薬として、治験中の経口抗ウイルス薬であるモルヌピラビルのEUAがFDAによって承認されたことを発表しました。2022年2月、FDAは、重度のCOVID-19への進行のリスクが高く、他のCOVID-19治療選択肢が利用できない又は臨床的に適切ではない軽度から中等度のCOVID-19成人患者及び小児患者の治療に関し、イーライ・リリーのベブテロビマブのEUAを発行しました。2022年11月、FDAは、重度の呼吸不全への進行のリスクがあり、血漿中の可溶性ウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベータ受容体(suPAR)の上昇の可能性が高い、酸素補給が必要な肺炎を合併した入院中のCOVID-19成人患者の治療に関し、スウェディッシュ・オーファン・バイオビトラムのKineret(アナキンラ)のEUAを発行しました。当社は、メルク及びアストラゼネカを含む他社において、COVID-19のさらなる治療薬の開発が進められていると認識しています。
喘息急性発作治療薬のMN-221(ベドラドリン)
当社のMN-221(ベドラドリン)の製品候補は、緊急治療室における喘息急性発作の治療薬として現在開発中です。現在の一般的な喘息急性発作治療薬としては、吸入アルブテロール(β2アドレナリン受容体作動薬)、吸入イプラトロピウム(抗コリン作動薬)及び経口若しくは注入コルチコステロイドがあります。さらに、テルブタリン(β2アドレナリン受容体作動薬)の皮下投与が特に小児患者に対する治療薬として使用されることがあります。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及び非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)治療薬のMN-001(タイペルカスト)
当社のMN-001(タイペルカスト)の製品候補は、NASH及びNAFLDの治療薬として開発されています。現在のところ、NASH又はNAFLDの治療について承認された医薬品はありません。当社は、インターセプト・ファーマスーティカルズ、ガレクチン・セラピューティクス、ギリアド・サイエンシズ、ガルメド・ファーマシューティカルズ、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、ファイザー、ノバルティス、ノボ ノルディスク、メルク及びマドリガル・ファーマシューティカルズ等のその他の製薬会社において、化合物がNASH又はNAFLDの治療のために臨床開発段階にあることを認識しています。
特発性肺線維症(IPF)治療薬のMN-001(タイペルカスト)
当社のMN-001(タイペルカスト)の製品候補は、IPFの治療薬としても現在開発中です。IPF治療薬として米国で承認されている製品には、ロシュ(旧インターミューン)のEsbriet(pirfenidone)及びベーリンガー・インゲルハイムのOFEV(nintedanib)があります。IPF治療薬のための臨床開発プログラムに取り組む製薬会社には、ロシュ、ユナイテッド・セラピューティクス及びファイブロジェンが含まれます。
固形癌治療薬のMN-029(デニブリン)
当社のMN-029(デニブリン)の製品候補は、固形癌の治療薬として開発されています。HER2抗体チューブリン重合阻害剤複合体であるロシュのカドサイラが、以前はトラスツズマブ及びタキサンによる治療を受けていたHER2陽性転移性乳癌患者に対する治療薬として承認されました。転移性結腸直腸癌について承認されたキナーゼ阻害剤であるバイエルのStivargaが、進行性、切除不能(外科的切除を行うことができません。)又は転移性の消化管間質腫瘍の患者についても承認されました。固形癌について承認されたその他の医薬品には、ロシュのAvastin及びXeloda、アムジェンのXgeva、ファイザーのSutent及びノバルティスのAfinitorが含まれます。当社は、イーライ・リリー、ロシュ、ノバルティス、ファイザー、サノフィ、アムジェン、バイエル、メルク、アストラゼネカ、アッヴィ及びブリストル・マイヤーズ スクイブ等の製薬会社において、その他の化合物が固形癌治療のために開発段階にあることを認識しています。
政府の規制
米国及びその他各国の政府機関は、当社が開発するような医薬品及び生物製剤に関する研究、開発、試験、製造、表示、販売促進、広告、販売、サンプリング、マーケティング並びに輸入及び輸出について広範囲に規制しております。米国において、FDAは、連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug and Cosmetic Act/その後の改正を含みます。)並びにその他の連邦法及び規制に基づき、医薬品について広範囲かつ厳密な検討を行っております。該当する規制要件を満たさない場合、承認の前後を問わず、当社、外部製造業者、請負業者、供給業者及び提携先は、例えば、承認の遅延、出願中の申請の承認拒否、罰金、行政警告書(warning letters)、製品のリコール、製品差押え、製造・販売の全部又は一部中止、差止命令及び/又は刑事上の訴追等の行政上又は司法上の制裁を被ることがあります。
米国監督機関の承認
概要 米国においては、医薬品と医薬品の治験は、州や地域の政府機関に加えて、連邦食品医薬品化粧品法(「FDCA」)の下、FDAによる規制を受けます。すべての開発中の製品候補は、商品化前に、政府機関の承認を得なければなりません。当社は、FDAから新製品の承認を得るために、特に、安全性及び有効性を示すデータ並びに製品の製造や構成及び予定されている表示に関する詳細な情報を提出しなければなりません。当社の製品候補は治験の初期の段階にあり、同局の承認を受けたものはありません。医薬品が承認されるまでの一般的な手順は以下が含まれます。
・ 非臨床検査、動物研究及び製剤研究の完了。
・ IND申請(米国での人体臨床治験開始前に効力が生ずる必要があります。)の提出。
・ 製品候補につき承認申請の対象となる適応ごとの安全性及び有効性を確立するための、適切かつ十分に管理された人体臨床治験の完了。
・ FDAに対する多額の申請料を添えての新薬承認申請(「NDA」)の提出。
・ FDAの命ずる商業医薬品製造管理及び品質管理基準(「cGMP」)に合致した製造過程の開発、並びに、cGMPの遵守及び治験責任医師による医薬品の臨床治験の実施に関する基準(Good Clinical Practice)の遵守に関するFDAの査察の順調な完了。
・ FDAによるNDAの検討及び承認(諮問委員会からFDAへの意見並びに更なる臨床治験及び医薬品のリスク軽減のための販売制限に関する承認後のコミットメントを含むことがあります。)。
治験、データ収集、必要な申請の準備及び承認の手続には、膨大な時間、努力及び資金が必要となります。加えて、法令、規則、規制及び政策が変更され、新たな規制が発令される可能性があります。そのような場合、当社の医薬品の承認が遅れる可能性があります。FDAは、迅速に又は当社に有利に当社の申請を検討するとは限りません。当社は、FDAによる承認を得る際に、著しい困難や膨大な費用に直面することがあり、その結果として当社の製品候補の販売が遅れる又は妨げられる可能性があります。
前臨床試験 前臨床試験は、製品候補、その化学的性質、毒性、剤形及び安定性の実験評価と、当該製品候補の潜在的な安全性及び有効性を評価するための動物実験から成ります。前臨床試験の結果は、製造情報、分析データ及び製品候補に関して入手されるその他の情報と併せて、INDの一部としてFDAに提出されます。前臨床試験及び研究は完了までに数年の歳月を要することがあり、試験及び研究が完了したとしても、FDAが臨床治験の開始を許可しないこともあります。
INDプロセス 治験段階の医薬品を人体に投与するためにはINDが効力を生じていなければなりません。INDは、FDAがこれを受理してから30日後に自動的に効力が生じますが、この30日間において、FDAがINDの臨床治験差止めを命じた場合にはこの限りではありません。またFDAは、かかる30日間の満了後に、INDの書類に概要が記載されている治験の実施について懸念又は疑問を呈することがあり、FDAが適切であるとみなす場合、臨床治験の差止めを強制することもあります。この場合、INDを行った開発業者及びFDAは、臨床治験が開始・継続される前にかかる懸念を解消しなければなりません。INDは極めて多額の費用を要することがあり、当社の製品候補の開発を大幅に遅らせるおそれがあります。さらに、前臨床試験又は過去の人体治験における結果が肯定的であったとしても、必ずしもその後の臨床治験の結果が肯定的となると予測されるものではありません。
当社は、臨床治験の結果を詳述した進捗報告書を毎年FDAに提出しなければならず、また深刻かつ想定外の有害事象や、実験動物試験の結果で被験者への重大なリスクを示すものについては、IND安全性報告書をFDA及び治験責任医師に対して速やかに提出しなければなりません。
臨床治験 人体への臨床治験は、通常、重複する可能性のある3つの連続した段階を経て行われなければなりません。
・ 第I相(フェーズ1):最初に少人数の健康な被験者又は患者に対して医薬品候補を投与し、安全性、許容投与量、吸収、分散、排出及び代謝についての検査を行います。被験製品を健康なボランティアに医療用として投与することが本質的にあまりに有害であると考えられる場合、最初の人体治験をターゲットの患者群に対して実施することも多くあります。
・ 第Ⅱ相(フェーズ2):少数の患者に対して医薬品候補を投与し、焦点を絞った特定の適応疾患に対しての有効性、許容投与量及び最適用量を評価し、潜在的副作用並びに安全性リスクの有無を確認します。
・ 第Ⅲ相(フェーズ3):臨床効果及び安全性をさらに評価するために様々な地域の臨床治験施設において、より広範な患者群に対して医薬品候補を投与します。フェーズ3臨床治験の目的は、医薬品候補のリスク/ベネフィット分析を行い、製品表示に十分な根拠を与えることにあります。FDAによるNDAの承認を得る上で、2回の適切かつ十分に管理されたフェーズ3臨床治験を行うことが一般的です。
各臨床治験の開始に先行して、実施を申し出た各医療現場に対して、独立の治験審査委員会(IRB)が臨床治験の研究手順を検討のうえで承認しなければならず、また被験者に対しては、研究への参加に対するインフォームド・コンセントが行われなければなりません。
当社は、製品候補についてフェーズ1、2又は3の各臨床治験を完了することができるか、完了することができたとしても、特定の期間内に順調に完了できるかについては確証を得ることができません。臨床治験は、FDAの医薬品の臨床治験の実施基準の要件(「GCP」)に従って実施されなければなりません。FDAは、臨床治験がかかるFDAの要件に従っておらず、又は臨床治験の被験者に対して容認できないリスクを及ぼすと判断した場合には、何時でも臨床治験を部分的、一時的若しくは永続的に中止し、又はその他の罰則を課すことがあります。IRBは、臨床治験がIRBの要件に従っていなかった場合には、かかる現場における臨床治験を一時的あるいは永続的に中止し、又はその他の罰則を課すことがあります。当社はさらに、被験者又は患者が容認できない健康上のリスクにさらされていることが明らかになった場合を含む様々な理由により、随時、臨床治験を一時的に中断するか又は打ち切る可能性があります。
当社は、新薬開発の過程で、INDの提出前、エンド・オブ・フェーズ2ミーティングの時点及びNDAの提出前等にFDAとのミーティングを要求することがありますが、FDAとのミーティングはこれらの特定の機会に限られません。エンド・オブ・フェーズ2ミーティングは、フェーズ2臨床治験の結果について協議し、新薬の承認に役立つと当社が考えるフェーズ3臨床治験の計画を提示することを目的とするものです。進行中の臨床治験と並行して、追加的な動物安全性研究、製剤研究及び薬理学的研究も実施されます。また、新薬の品質、純度及び力価が基準を満たすものと見込まれる場合、cGMPの要件に従って、新薬を商業用規模で製造するためのプロセスを決定します。医薬品開発業者は、特別プロトコル査定(SPA)を要求することもできますが、これはフェーズ3臨床治験のプロトコル設計及び有効性の主張の基礎となる分析についてFDAの合意を得ることを目的とするものです。
ファストトラック指定 FDAは、一定の基準を満たした新たな医薬品及び生物薬品の承認審査のプロセスを迅速化又は円滑化することを目的としたファストトラック・プログラムを設けています。具体的には、新たな医薬品及び生物薬品は、それらが重篤又は命に関わる状態の治療を目的とするものであり、かかる状態に対する新規の有効な治療法となる可能性を有する場合、ファストトラック指定の対象となります。ファストトラック指定は、製品と、その研究対象となっている特定の適応との組み合わせに対して適用されます。ファストトラック指定製品の場合、FDAは、医薬品開発業者がNDAの各セクションの提出スケジュールを提示し、FDAがNDAをセクション毎に受理することに同意し、また当該スケジュールが容認可能であると判断し、かつ医薬品開発業者が必要な利用者手数料を、NDAのセクションを最初に提出する際に支払う場合、完全な申請が提出される前に、NDAの各セクションを順次審査することを検討することができます。
ファストトラック・プログラム対象製品を含め、販売に向けてFDAに提出された製品は、開発及び承認審査の迅速化を目的とするFDAの他のプログラム(優先審査、迅速承認等)の対象となることもあります。優先審査は、他に十分な治療法が存在しない分野に安全かつ有効な治療法をもたらす可能性又は疾患の治療、診断若しくは予防において市販製品と比べて著しく向上する可能性を有する製品が対象となります。FDAは、承認審査を円滑化するため、優先審査の対象に指定されたNDAの評価に追加的な資源を投じるよう努めます。さらに、製品は迅速承認の対象にもなる場合があります。重篤又は命に関わる疾患の治療における安全性及び有効性が研究されており、かつ既存の治療法を上回る重要な治療効果をもたらす薬剤が、迅速承認を受けることができます。迅速承認とは、薬剤が、適切かつ十分に管理された臨床治験により、臨床的有効性が合理的に見込まれる代用エンドポイントに関して効果を有するか、又は生存若しくは不可逆的罹患を除く臨床エンドポイントに関して効果を有すると証明されたことを根拠として承認されることをいいます。承認の条件として、FDAは、迅速承認を受ける薬剤の医薬品開発業者に対し、適切かつ十分に管理された販売後臨床治験の実施を要求することがあります。さらに、FDAは現在、迅速承認の条件として、販促資料の事前承認を義務付けており、これにより製品の市場での販売開始の時期に悪影響が及ぶ可能性があります。ファストトラック指定、優先審査及び迅速承認により、承認の基準が変わることはありませんが、開発又は承認プロセスが迅速化される可能性があります。
米国における特許期間回復及び独占販売権 FDAによる医薬品候補の承認の時期、期間及び特性に応じて、製品候補に対する米国特許の一部が、1984年医薬品の価格競争と特許期間回復法(ハッチ・ワックスマン改正法)に基づく限定的な特許期間の延長の対象となる場合があります。ハッチ・ワックスマン改正法は、製品開発及びFDAによる規制上の審査の過程で喪失した特許期間の補償として、最大5年間の特許回復期間を認めています。但し、特許期間の回復において、特許の残存期間を製品の承認日から合計14年間を超えて延長することはできません。特許回復期間は、通常、INDの発効日からNDAの提出日までの期間の半分にNDAの提出日から申請の承認日までの期間を加えた期間とされます。延長の対象となるのは、承認された医薬品に適用される特許のうち一つのみで、延長申請は、特許期間の終了前になされる必要があります。特許期間の延長又は回復の申請の審査及び承認は、米国特許商標局が、FDAとの協議の下で行います。当社は将来的に、現在所有しているか又はライセンスを受けている特許の一つ又は複数について、臨床治験の予想期間や関連NDAの提出に関わるその他の要素に応じて、現行の特許期間終了日後まで特許期間を延長するための特許期間回復申請を行う可能性があります。
また、FDCAの独占販売権に関する規定により、他社による特定の申請であって別の会社のNDAを参照しようとするものの提出又は承認が遅れる可能性があります。新規化学物質に対するNDAの承認を取得した最初の申請者は、FDCAに基づき、米国内において5年間、特許なく独占的に販売を行う権利を与えられます。医薬品は、FDAが同様の活性部分(すなわち、原薬の作用に関与する分子又はイオン)を含有するその他一切の新薬に対して過去に承認を付与したことがない場合、新規化学物質とされます。独占期間中、FDAは、他社が当該医薬品の別のバージョンに関して行う簡略新薬申請(「ANDA」)又は505(b)(2)NDAの審査要求であって、申請者が承認に必要なすべてのデータを参照する法的権利を有しないものを受理することはできません。但し、イノベーターNDA保有者によってFDAに登録された特許の一つについて特許の無効性又は非侵害性の証明を含む申請であれば、4年後以降提出することができます。FDCAはまた、申請者が実施又は出資した新規臨床治験(バイオアベイラビリティ研究を除きます。)が申請の承認において不可欠であると見なした場合、既存の医薬品の新規の適応疾患、投与量若しくは効能等について新規若しくは補足的になされたNDAの承認について3年間の独占販売権を付与します。この3年間の独占権は、新規臨床治験に関連する条件のみを対象とするものであり、FDAによる、元となる活性薬剤を含む医薬品に関するANDAの承認を禁止するものではありません。5年間及び3年間の独占権により、完全なNDAの提出又は承認が遅延することはありません。但し、申請者は、完全なNDAを提出するにあたり、安全性及び有効性を示すために必要なすべての前臨床研究及び適切かつ十分に管理された臨床治験を実施するか、又はこれらを参照する権利を得る必要があります。小児独占権も、米国における規制上の独占販売権の種類の一つです。小児独占権が付与された場合、既存の独占期間及び特許期間に6カ月が追加されます。この6カ月間の独占権は、他の独占権保護期間又は特許期間の終了後に適用開始され、FDAにより公表された小児治験に関する「要求書」に基づく小児治験の自主的な完了に応じて付与されます。
米国外における規制 米国内における規制に加え、当社及び当社の戦略的提携先は、臨床治験並びに当社製品の商業的な販売及び流通等に関する他の法域における様々な規制の対象となります。
当社は、製品に関してFDAの承認を得るか否かにかかわらず、外国における臨床治験の開始や製品の販売開始に先立って、かかる国の規制当局から必要な承認を得なければなりません。米国外の一部の国では、人体臨床治験開始前にINDのような臨床治験申請を提出することを義務付ける、米国と同様のプロセスが設けられています。例えば、欧州連合では、各国の保険当局及び独立倫理委員会(それぞれFDA及びIRBに相当するもの)に対して臨床治験申請(CTA)を提出しなければなりません。各国の要件に従ってCTAが承認された後に、臨床治験開発を進めることができます。
臨床治験の実施、製品のライセンス、価格決定及び還付に関する要件及びプロセスは、各国毎に異なります。いずれの場合にも、臨床治験は、GCP、適用ある規制上の要件及びヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に従って行われます。
欧州連合の薬事制度の下で被験薬に対する規制当局の承認を得るためには、当社又は当社の戦略的提携先は、市場化に係る認可の申請を行う必要があります。各国毎に必要な書類等を除き、米国でNDAを提出する際の申請は、欧州連合で義務付けられるものと類似しています。
欧州連合以外の国(東欧、ラテンアメリカ又はアジア等の国々)については、臨床治験の実施、製品のライセンス、価格決定及び還付に関する要件は、各国毎に異なります。いずれの場合にも、上記と同様に、臨床治験は、GCP、適用ある規制上の要件及びヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則に従って行われます。
当社又は当社の戦略的提携先は、適用ある外国規制要件を遵守できない場合、罰金、規制当局の承認の保留又は撤回、製品のリコール、製品差押え、営業の規制及び刑事上の訴追等の対象となる可能性があります。
本書に記載されるその他の情報と併せて、本書に参照することにより組み込まれる2022年12月31日に終了した事業年度についての有価証券報告書における「事業等のリスク」で記された、当社の事業、財務状況又は将来の業績に重大な影響を与えうる様々な要素を慎重に考慮することを推奨いたします。当社が直面するリスクは、有価証券報告書に記載されるリスクだけではありません。当社が現在認識していない又は現在重大だと考えていない新たなリスク及び不確実性が、当社の事業、財務状況及び業績に重大な悪影響を与える可能性があります。2022年12月31日に終了した事業年度についての有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について、重要な変更はありません。
2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
下記の内容については、第5「経理の状況」並びに本書に含まれる四半期財務書類及び関連する注記と併せてお読みいただくことを推奨いたします。下記に記載する内容には、リスク及び不確定事項といった将来についての記述が含まれております。1「事業等のリスク」で記された様々な要素により、当社の実際の業績が、これらの将来の見通しに関する記述で明示的又は黙示的に示されたものとは大幅に異なる結果となる可能性があります。
概況
当社は、米国市場に重点を置き、まだ十分に有効な治療法がない重篤な疾患に対する治療のために新規の医薬品の開発に特化する生物医薬品企業です。当社は現在、進行型多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、化学療法誘発性末梢神経障害、変性性頸椎脊椎症、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)、薬物依存症・中毒(メタンフェタミン依存症、オピオイド依存症及びアルコール依存症等)、急性呼吸窮迫症候群の予防、及びLong COVID(新型コロナ後遺症)等の神経疾患・その他疾患治療薬のMN-166(イブジラスト)、及びNASH、肺線維症など線維症疾患のほか、糖尿病による高脂血症やNAFLDなどを適応とするMN-001(タイぺルカスト)の開発活動に重点を置くことを戦略としています。また、当社のパイプラインには、喘息急性発作治療薬のMN-221(ベドラドリン)及び固形癌に関するMN-029(デニブリン)が含まれます。当社は、2000年9月にデラウェア州で設立されました。
当社は、設立以来多額の純損失を負ってきました。2023年9月30日現在、設立以来、当社の累積赤字は413.6百万米ドルでした。当社は、特定の既存の製品開発候補の開発を継続することにより、今後数年間相当な純損失を計上することを見込んでおり、また、研究開発プログラムの拡張、及び当社の製品、技術若しくは事業を補完するような製品、技術若しくは事業の取得又はライセンス導入が実施された場合にも、長期間にわたり相当な純損失を計上する可能性があります。
当社は、まだ十分に有効な治療法がない重篤な疾患に対する高付加価値な治療分野における差別化された製品の開発の成功によって、持続可能な生物薬剤事業を構築することを目標としております。当社の戦略の主要な要素は以下のとおりです。
・非希薄化の資金援助を受けての、複数の潜在的適応疾患に関するMN-166(イブジラスト)の開発の推進
当社は、治験責任医師から資金援助を受けた臨床治験、政府の助成金又はその他の助成金を通じて資金援助を受けた治験及び当社の資金供与による治験の組み合わせにより、多様なMN-166(イブジラスト)プログラムを前進させるつもりです。当社は、MN-166(イブジラスト)の臨床開発をさらに進めるため、新たな戦略的提携を推進することを企図しています。
・線維症及びその他の疾患に関するMN-001(タイペルカスト)の開発の推進
当社は、助成金による資金調達の有無を問わず、治験責任医師から資金援助を受けた治験及び当社の資金供与による治験を含む様々な手段により、MN-001(タイペルカスト)の開発を前進させる予定です。
・製品開発の完了及び当社の製品の商品化の成功に向けた大手製薬会社との戦略的提携の検討
当社は、大手製薬会社と関係を築き、それを維持してきました。当社は、MN-166(イブジラスト)、MN-001(タイペルカスト)、MN-221(ベドラドリン)及びMN-029(デニブリン)等の製品候補を求めている大手製薬会社との間で、当社の臨床開発及び製品の商品化の支えとなりうる戦略的提携関係を協議する予定です。
当社の事業に対するCOVID-19及びマクロ経済環境の影響
近年のCOVID-19のパンデミックは、重大な国内及び世界的な経済的混乱をもたらしました。COVID-19のパンデミックはまた、当社の事業に悪影響を及ぼしており、今後も引き続き悪影響を及ぼす可能性があります。これまでに、パンデミックは、当社の事業に一定の悪影響を及ぼし、また、一定の機会を与えてきました。パンデミックによって、一部の臨床治験施設において患者の来院数が減少しましたが、これによって、パンデミックの発生前よりも臨床治験への登録が遅くなったと考えられます。しかしながら、パンデミックの初期に比べて患者の来院数が増加しており、臨床治験に患者を登録し続けています。パンデミックの期間中、当社は、新たな臨床治験契約の締結、予算交渉、治験審査委員会(IRB)の承認、施設の訓練、新規臨床治験の開始及び新規臨床治験施設の開設に関連するその他の活動を含む日常的な臨床治験活動を継続しましたが、これらの活動の一部は、パンデミックの発生前よりも完了までに時間がかかりました。
パンデミックは、当社の臨床開発に一定の機会を創出し、当社は、その機会を追求してきました。パンデミックの発生後、当社は、COVID-19による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予防薬としてMN-166(イブジラスト)を評価する臨床治験を設計しました。2022年6月、当社は、MN-166(イブジラスト)が、プラセボと比較して、分析された4つの臨床エンドポイント全てについて大きな改善を示した、フェーズ2臨床治験の肯定的な結果を発表しました。また、2022年8月、当社は、Long-COVID(COVID-19の後遺症)の治療薬としてMN-166(イブジラスト)及びその他の治療法を評価する、政府からの助成を受けた臨床治験であるRECLAIM(Recovering from COVID-19 Lingering Symptoms Adaptive Integrative Medicine Trial)への参加を発表しました。2023年2月、当社は、カナダ保健省が臨床治験申請の審査を完了し、RECLAIMの治験の開始を承認したことを発表しました。
当社は、引き続き、近年のパンデミックに起因する当社の財政状態、流動性、事業運営、供給業者、業界及び従業員に対する潜在的な影響を積極的に監視します。COVID-19のパンデミックの再流行又は他の保健衛生上のエピデミック若しくはアウトブレイクが発生した場合、当社の業務に支障が生じ、当社の事業に悪影響が及ぶ可能性があります。
さらに、近年のCOVID-19のパンデミック及びそれに対する政府の対応は、これまでに資本市場及び信用市場に下方圧力、極端な変動及び混乱をもたらしており、今後も引き続きもたらす可能性があり、当社の株式、株式連動債又は借入金による追加資金調達能力を低下させ、ひいては当社の短期及び長期の流動性、資本市場へのアクセス、並びに営業計画に沿って営業する能力又はそもそもの営業能力に悪影響を与える可能性があります。
また、当社は金融機関への預金に関し、口座残高が連邦預金保険公社の保証額を超える範囲について信用リスクにさらされる可能性があります。当社は、流動性の制限、デフォルト、不履行又はその他金融機関に影響を与える不利な状況に関する動向を監視しています。
収益
2005年12月、Avigen,Inc.(「Avigen社」)とGenzyme Corporation(「Genzyme社」)間で、譲渡契約(「Genzyme契約」)が締結されました。Genzyme契約に基づきGenzyme社は、当初対価を支払うことでAvigen社から遺伝子治療に係る特定の知的財産、プログラムその他の関連資産を取得しました。また、Genzyme社がAvigen社によって従前に開発された技術を用いて製品の開発に成功した場合、Avigen社は、マイルストーン、サブライセンス料及びロイヤリティの追加的な支払いを受ける可能性がありました。その後、2009年12月に当社はAvigen社を買収し、Genzyme契約における同社の権利・義務を継承しました。Genzyme社が、本譲渡契約に規定されるとおり、譲渡された技術を用いた製品の商業化又はマーケティングを、勤勉性をもって追求しなかった場合には、譲渡した権利の一部が将来のある時点で当社に返還される可能性もありました。
製品の開発に責任を有するのはGenzyme社であり、当社にはさらなる実質的なサービスを提供する義務はないことから、Genzyme契約で概要が示されている開発マイルストーンは、マイルストーン・ペイメントに係る収益認識基準が定める実質的なマイルストーンに関する義務の定義を満たすものではありませんでした。2023年9月、当社はGenzyme契約の対象となるAAV(アデノ随伴ウィルス)ベクター技術に基づく遺伝子治療製品が、1つの臨床開発マイルストーンを達成したとの通知を受け、これにより1つのマイルストーン・ペイメントの受領権を得るに至りました。これに伴い当社は、2023年9月30日に終了した3ヶ月および9ヶ月において1.0百万米ドルの収益を計上しております。
研究開発及びパテント費
当社の研究開発及びパテント費は、主に当社の製品候補に関するライセンス料、給与及び関連従業員手当、当社の製品開発プログラムの前臨床及び臨床開発に関連する費用、並びに薬事申請等の非臨床活動及び商品化に先立つ製造開発活動にかかる費用から構成されております。当社は、臨床治験並びに当社の製品候補の前臨床及び臨床開発に関して行われる業務の大部分において使用される当社の化合物の製造を、外部業務提供業者に委託しております。研究開発及びパテント費には、当社の知的財産に関する法律業務、特許及び特許出願に伴う顧問報酬及び費用を含む、顧問、委託研究機関、委託製造業者その他外部業務提供業者に支払われる報酬が含まれます。内部の研究開発費用には、研究開発人員に支払う報酬その他費用、備品、設備費用及び減価償却費が含まれます。研究開発及びパテント費は、発生の都度、費用に計上されており、当社は自社の開発プログラムの進展に伴い、2023年末にかけて、かかる費用が増加することを見込んでいます。
下表は、当社の各製品開発プログラムに関する研究開発及びパテント費を下記期間についてまとめたものです。人件費を含め、特定の製品開発プログラムに割り当てられない費用は、「その他の研究開発費」の項目に含まれます。
|
(単位:上段/千米ドル 下段/千円) |
|||||||
|
|
9月30日に終了した四半期 |
|
9月30日に終了した9ヶ月 |
||||
|
|
2023年 |
|
2022年 |
|
2023年 |
|
2022年 |
|
外部開発費: |
|
|
|
|
|
|
|
|
MN-221 |
2 294 |
|
1 147 |
|
14 2,059 |
|
402 59,122 |
|
MN-166 |
66 9,707 |
|
1,835 269,873 |
|
1,760 258,843 |
|
4,990 733,879 |
|
MN-001 |
143 21,031 |
|
116 17,060 |
|
427 62,799 |
|
158 23,237 |
|
MN-029 |
1 147 |
|
1 147 |
|
3 441 |
|
3 441 |
|
その他 |
- - |
|
- - |
|
- - |
|
11 1,618 |
|
外部開発費合計 |
212 31,179 |
|
1,953 287,228 |
|
2,204 324,142 |
|
5,564 818,297 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
研究開発人員の費用 |
412 60,593 |
|
350 51,475 |
|
1,338 196,780 |
|
1,049 154,276 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
研究開発設備費用・減価償却費 |
16 2,353 |
|
16 2,353 |
|
42 6,177 |
|
42 6,177 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
パテント費 |
93 13,678 |
|
90 13,236 |
|
263 38,679 |
|
319 46,915 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
その他の研究開発費 |
62 9,118 |
|
45 6,618 |
|
160 23,531 |
|
157 23,090 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
研究開発及びパテント費合計 |
795 116,921 |
|
2,454 360,910 |
|
4,007 589,309 |
|
7,131 1,048,756 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
一般管理費
当社の一般管理費は、主に給与、株式報酬費用、扶助金並びに当社の総務、財務、人事、事業開発、法務、情報システムなどのサポート機能に関して顧問及び専門職に支払う費用、設備費及び保険料から構成されております。一般管理費は、発生の都度、費用に計上されます。
当社の製品開発プログラムが成功し当社のインフラストラクチャーを拡張する必要が出てきた場合、並びに当社の製品開発プログラムを支援するために資金を調達する際、又は当社の提携、ライセンス導出若しくは製品処分に関連して増加する事業開発活動に関連して、当社の一般管理費が将来的に増加する可能性があります。
重要な会計方針及び見積り
当社の財務状態及び経営成績の分析は当社の連結財務書類に基づいており、これらは米国において一般に公正妥当と認められている会計原則に従って作成されております。連結財務書類の作成にあたり、当社は見積り、判断及び仮定を行わなければならず、これらの見積り、判断及び仮定は、財務書類の日付、現在計上された資産及び負債の額、偶発資産、負債の開示、並びに報告期間について計上された費用の額に影響を与えます。当社の見積りは、これまでの経験並びに見積もりの時点で当社が状況に応じて合理的であると判断するその他の要因及び仮定に基づいており、これが他の情報源からは容易に判断できない資産及び負債の簿価に関する判断の基礎となります。異なる仮定又は条件の下では、実際の業績がこれらの見積りとは異なる場合があります。当社は、状況の変化、事実及び経験に照らして、当社の見積もり及び判断を定期的に見直しております。
当社の重要な会計方針は、米国において一般に公正妥当と認められている会計原則です。この会計原則により、当社は、不確かであり、当社の財務状態及び経営成績並びに当社がかかる会計原則を適用する具体的な方法に重大な影響を与える可能性がある事項について主観的な見積もり及び判断を行わなければなりません。当社の重要な会計方針については、当社の2022年12月31日終了事業年度の報告書様式10-Kの年次報告書に含まれる「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析―重要な会計方針及び見積り」をご参照ください。2023年9月30日に終了した9ヶ月において、重要な会計方針に重大な変更はありませんでした。
業績
2023年及び2022年各9月30日に終了した四半期の比較
(収益)
2023年及び2022年各9月30日に終了した四半期の収益は、それぞれ1.0百万米ドル及び0.0百万米ドルでした。かかる1.0百万米ドルの増加は、2023年9月におけるGenzyme契約に基づくマイルストーン・ペイメントの受領によるものです。
(研究開発及びパテント費)
2023年及び2022年各9月30日に終了した四半期の研究開発及びパテント費は、それぞれ0.8百万米ドル及び2.5百万米ドルでした。かかる1.7百万米ドルの減少は、主に、MN-166関連製造費用の減少と、生物医学先端研究開発機構(「BARDA」)からの、前臨床試験費用の一部払戻しとしての0.7百万ドルの支払によるもので、MN-166研究開発費に対する相殺として計上されました。
(一般管理費)
2023年及び2022年各9月30日に終了した四半期の一般管理費は、それぞれ1.4百万米ドル及び1.4百万米ドルでした。かかる費用は、前四半期と同水準で推移しました。差異は主に弁護士費用の減少によるものですが、これは、業績連動型ストック・オプション費用の増加により部分的に相殺されました。
(利子所得)
2023年及び2022年各9月30日に終了した四半期の利子所得は、それぞれ0.4百万米ドル及び0.3百万米ドルでした。かかる0.1百万米ドルの増加は、主に、現金及び銀行預金証書の金利が上昇したことによるものです。利子所得は、現金、現金同等物及び投資から得る金利により構成されました。
2023年及び2022年各9月30日に終了した9ヶ月の比較
(収益)
2023年及び2022年各9月30日に終了した9ヶ月の収益は、それぞれ1.0百万米ドル及び0.0百万米ドルでした。かかる1.0百万米ドルの増加は、2023年9月におけるGenzyme契約に基づくマイルストーン・ペイメントの受領によるものです。
(研究開発及びパテント費)
2023年及び2022年各9月30日に終了した9ヶ月の研究開発及びパテント費は、それぞれ4.0百万米ドル及び7.1百万米ドルでした。かかる3.1百万米ドルの減少は、主に、MN-221及びMN-166関連製造費用の減少と、BARDAからの、前臨床試験費用の一部払戻しとしての0.7百万ドルの支払によるもので、MN-166研究開発費に対する相殺として計上されましたが、これは、MN-001関連費用の増加により部分的に相殺されました。
(一般管理費)
2023年及び2022年各9月30日に終了した9ヶ月の一般管理費は、それぞれ4.4百万米ドル及び4.3百万米ドルでした。かかる0.1百万米ドルの増加は、主に、業績連動型ストック・オプション費用の増加によるものですが、これは、弁護士費用の減少により部分的に相殺されました。
(利子所得)
2023年及び2022年各9月30日に終了した9ヶ月の利子所得は、それぞれ1.4百万米ドル及び0.4百万米ドルでした。かかる1.0百万米ドルの増加は、主に、現金及び銀行預金証書の金利が上昇したことによるものです。利子所得は、現金、現金同等物及び投資から得る金利により構成されました。
(その他の費用)
2023年及び2022年各9月30日に終了した9ヶ月のその他の費用は、それぞれ0.5百万米ドル及び0.1百万米ドルでした。かかる0.4百万米ドルの増加は、主に、銀行預金証書の早期処分に伴う違約金によるものでした。
流動性及び資本資源
2023年9月30日に終了した9ヶ月において営業活動に使用された現金純額は、2022年同期の8.9百万米ドルに対し、6.9百万米ドルでした。かかる2.0百万米ドルの差異は、主に、純損失の減少及び業績連動型ストック・オプション費用の増加に関連するものですが、これは、売掛債権の1.0百万米ドルの増加並びにこれらの期間の営業資産及び負債の増減により部分的に相殺されました。
2023年9月30日に終了した9ヶ月において投資活動により調達された現金純額は、2022年同期には10.0百万米ドルが使用されたのに対し、39.9百万米ドルでした。かかる49.9百万米ドルの差異は、2022年9月30日に終了した9ヶ月に銀行預金証書を購入し、その後2023年同期間に39.9百万米ドルの銀行預金証書を処分したことによるものです。
2023年9月30日現在、当社の現金及び現金同等物は、51.5百万米ドル、運転資金は50.2百万米ドルでした。当社は、本書の日付現在当社が有する運転資金が、少なくとも2024年度末までの事業運営の資金需要を充足すると考えています。しかしながら、予定されている当社のすべての研究開発プログラムを実施するためにかかる資本資源が十分であると保証することはできません。
株式による資金調達
当社は、2019年8月23日付で、B. Riley FBR, Inc.(「B. Riley FBR」)との間でAt-The-Market新株販売代理契約(その後の変更を含みます。)(「ATM契約」)を締結し、2022年8月26日付で同契約を変更しました。当社は、同契約に基づき、B. Riley FBRを通じて発行価格総額75.0百万米ドルを上限とする当社普通株式を随時売却することができます。B. Riley FBRを通じた当社普通株式の売却(もしあれば)は、1933年連邦証券法(その後の改正を含みます。)に基づき公布される規則415に定義される「時価」株式募集であるとみなされるあらゆる方法により行われます。その中には、NASDAQにおける直接の売却、普通株式のその他の既存取引市場における直接の売却又はマーケットメーカーに対するものか若しくはそれを通じた直接の売却が含まれます。B. Riley FBRはまた、当社から事前に承認を得た場合、相対取引において普通株式を売却することができます。当社は、同契約に基づき売却される普通株式による手取金総額の3.5%を上限とした手数料をB. Riley FBRに支払うことに合意しました。普通株式の売却による収益は、B. Riley FBRに売却される普通株式の数及び各取引の1株当たりの購入価格に左右されます。
2023年及び2022年各9月30日に終了した四半期及び9ヶ月において、ATM契約に基づき売却された普通株式はありませんでした。
市場リスクに関する量的及び質的開示
該当事項はありません。
経営上の重要な契約等については、第2「企業の概況」2「事業の内容」の「知的財産権及びライセンス契約」及び本第3「事業の状況」の2「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
(1)株式の総数等
① 株式の総数 (2023年9月30日現在)
|
|
授権株数 |
発行済株式総数 |
未発行株式数 |
|
普通株式 |
100,000,000株 |
49,046,246株 |
50,953,754株(注) |
|
優先株式 |
3,000,000株 |
0株 |
3,000,000株 |
(注) オプションの行使により発行される予定の株式の数、種類等につきましては、第1「本国における法制等の概要」1「会社制度等の概要」(2)「提出会社の定款等に規定する制度」中の「オプション」の項をご参照ください。
② 発行済株式 (2023年9月30日現在)
|
記名・無記名の別及び額面・無額面の別 |
種 類 |
発行数 |
上場金融商品取引所名 又は登録認可金融商品取引業協会名 |
内容
|
|
記名・額面 (額面金額0.001米ドル) |
普通株式 |
全額振込済 49,046,246株 |
東京証券取引所スタンダード市場
NASDAQグローバル市場 (Nasdaq Global Market)
|
(注) |
|
計 |
- |
49,046,246株 |
- |
- |
(注)普通株式の内容
(ⅰ)配当
当社の発行済普通株式の株主は、取締役会の随時の決定により、配当金の支払に充てることが法律上可能な資産から配当金を受け取る権利を有します。但し、当社の発行済優先株式の保有者の優先配当権に劣後します。
(ⅱ)議決権
普通株式の各株主は、株主による議決権行使の対象であるすべての事項(取締役の選任を含みます。)に関し、その保有する普通株式1株につき1個の議決権を有します。当社の基本定款には、取締役の選任に関する累積投票の規定は設けられておりません。つまり、行使された議決権の過半数を有する株主が当該時点における現行取締役を全員選任できることになります。
(ⅲ)先買権、転換及び償還
当社の普通株式には先買権は付与されておらず、転換及び償還はできません。
(ⅳ)清算及び解散
清算又は解散する際、普通株式の株主は、負債及び優先株式の優先的分配権に基づく支払をすべてなした後の会社のすべての残余資産の一切を、その保有する株式の数に比例して受領する権利を有しております。
(ⅴ)単元株式数
単元株式数は100株であります。
(2)行使価額修正条項付新株予約権付社債券等の行使状況等
該当事項はありません。
(3)発行済株式総数及び資本金の推移
普通株式
|
年月日 |
発行済株式総数増減数 |
発行済株式総数残高 |
資本金増減額 |
資本金残高 |
|
2023年6月30日 |
0株 |
49,046,246株 |
0.00米ドル (0円) |
49,046.24米ドル (7,213,231円) |
|
2023年7月1日 ~2023年9月30日 |
0株 |
49,046,246株 |
0.00米ドル (0円) |
49,046.24米ドル (7,213,231円) |
シリーズA優先株式(注)
|
年月日 |
発行済株式総数増減数 |
発行済株式総数残高 |
資本金増減額 |
資本金残高 |
|
2023年6月30日 |
- |
0株 |
- |
0.00米ドル (0.00円) |
|
2023年7月1日 ~2023年9月30日 |
0株 |
0株 |
0.00米ドル (0.00円) |
0.00米ドル (0.00円) |
(注)当社は転換型優先株式であるシリーズA優先株式を発行しておりましたが、新規株式公開に伴い、2005年2月4日時点で権利未行使であったシリーズA優先株式は自動的に普通株式へと転換されました。
シリーズB優先株式(注)
|
年月日 |
発行済株式総数増減数 |
発行済株式総数残高 |
資本金増減額 |
資本金残高 |
|
2023年6月30日 |
‐ |
0株 |
‐ |
0.00米ドル (0.00円) |
|
2023年7月1日 ~2023年9月30日 |
0株 |
0株 |
0.00米ドル (0.00円) |
0.00米ドル (0.00円) |
(注)新規株式公開に伴い、2005年2月4日時点で権利未行使であったシリーズB優先株式は自動的に普通株式へと転換されました。
シリーズC優先株式(注)
|
年月日 |
発行済株式総数増減数 |
発行済株式総数残高 |
資本金増減額 |
資本金残高 |
|
2023年6月30日 |
‐ |
0株 |
‐ |
0.00米ドル (0.00円) |
|
2023年7月1日 ~2023年9月30日 |
0株 |
0株 |
0.00米ドル (0.00円) |
0.00米ドル (0.00円) |
(注)当社は転換型優先株式であるシリーズC優先株式を発行しておりましたが、新規株式公開に伴い、2005年2月4日時点で権利未行使であったシリーズC優先株式は自動的に普通株式へと転換されました。
オプションの残高、行使価格等につきましては、第1「本国における法制等の概要」1「会社制度等の概要」(2)「提出会社の定款等に規定する制度」中の「オプション」の項をご参照ください。
(4)大株主の状況
当四半期会計期間は、第3四半期会計期間であるため、記載事項はありません。
退任役員
氏名 ジェフ・ヒマワン Ph.D
役職 取締役
退任日 2023年6月13日(米国太平洋夏時間)
新任役員
氏名 ニコール・ルメロン
生年月日 1975年7月3日
役職 取締役
就任日 2023年8月4日(米国太平洋夏時間)
任期 2026年の年次株主総会の終結まで
所有株式 普通株式 0株
略歴 投資管理、プライベート・エクイティ、投資銀行業務で25年以上の経験を有する。
2010年2月から2022年8月までNVキャピタルのマネージング・パートナーを務める。
現在、In Med Pharmaceuticals, Inc.およびGeoVax Labs, Inc.の取締役も務める。コーネル大学で理学士号を取得し、Certified Financial Analyst(CFA;米国証券アリスト)資格を有する。
上記異動後における(i)男性の執行役、役員及び取締役の数:5名、(ii)女性の執行役、役員及び取締役の数:3名(女性の執行役、役員及び取締役の割合:37.5%)
上記を除き、当四半期累計期間において役員に異動はありませんでした。