a 本書記載のメディシノバ・インク及び連結子会社(以下「当社」という。)の邦文の連結財務書類は、米国における諸法令及び一般に公正妥当と認められる会計原則に準拠して作成された本書記載の原文の連結財務書類(米国証券取引委員会(SEC)に提出されたForm 10-K)(以下「原文の連結財務書類」という。)を翻訳したものであります。当社の連結財務書類の日本における開示については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)第131条第1項の規定を適用しております。
なお、日本と米国との会計処理の原則及び手続並びに表示方法の主要な差異については、第6の4「日本と米国との会計原則の相違」に記載しております。
b 2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度に関する原文の連結財務書類は、米国における独立登録会計事務所であるBDO USA, P.C.により監査を受けております。その監査報告書の原文及び訳文は本書に掲載しております。
また、当社の連結財務書類には、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)第35条の規定に基づき「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」(昭和32年大蔵省令第12号)第1条の2の規定が適用されるため、日本の公認会計士又は監査法人による監査は必要とされておりません。
c 邦文の連結財務書類には、原文の連結財務書類中の米ドル表示の金額のうち主要なものについて円換算額を併記しております。日本円への換算には、2025年5月30日現在の株式会社三菱UFJ銀行の対顧客電信直物売買相場の仲値、1米ドル=143.87円の為替レートを使用しています。
d 日本円及び第6の2から4までの事項は原文の連結財務書類には記載されておらず、当該事項における原文の連結財務書類への参照事項を除き、上記bの監査の対象になっておりません。
(1) 連結貸借対照表
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2024年12月31日現在 |
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2023年12月31日現在 |
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米ドル |
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米ドル |
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資産 |
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流動資産: |
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現金及び現金同等物 |
40,359,738 |
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50,999,442 |
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前払費用及びその他の流動資産 |
714,541 |
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174,938 |
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流動資産合計 |
41,074,279 |
|
51,174,380 |
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のれん |
9,600,240 |
|
9,600,240 |
|
仕掛研究開発費(IPR&D) |
4,800,000 |
|
4,800,000 |
|
有形固定資産(純額) |
25,507 |
|
45,800 |
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使用権資産 |
356,904 |
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575,406 |
|
その他の非流動資産 |
18,996 |
|
74,151 |
|
資産合計 |
55,875,926 (8,038,869千円) |
|
66,269,977 (9,534,262千円) |
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負債及び株主資本 |
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流動負債: |
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買掛債務 |
1,102,494 |
|
1,003,937 |
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未払債務及びその他の流動負債 |
1,662,860 |
|
2,059,238 |
|
オペレーティング・リース負債 |
193,769 |
|
215,926 |
|
流動負債合計 |
2,959,123 |
|
3,279,101 |
|
繰延税金負債 |
201,792 |
|
201,792 |
|
その他の非流動負債 |
211,460 |
|
410,660 |
|
負債合計 |
3,372,375 (485,184千円) |
|
3,891,553 (559,878千円) |
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契約債務及び偶発債務(注記5) |
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株主資本: |
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普通株式 額面0.001米ドル 授権株式数 2024年及び2023年12月31日現在 100,000,000株 発行済株式数 2024年12月31日現在 49,046,246株 2023年12月31日現在 49,046,246株 |
49,046 |
|
49,046 |
|
払込剰余金 |
479,340,901 |
|
478,149,161 |
|
その他の包括損失累計額 |
△ 135,154 |
|
△ 118,090 |
|
累積欠損 |
△ 426,751,242 |
|
△ 415,701,693 |
|
株主資本合計 |
52,503,551 (7,553,686千円) |
|
62,378,424 (8,974,384千円) |
|
負債及び株主資本合計 |
55,875,926 (8,038,869千円) |
|
66,269,977 (9,534,262千円) |
|
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添付の連結財務書類の注記を参照のこと。
(2) 連結損益及び包括利益計算書
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12月31日に終了した事業年度 |
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|||
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2024年 |
|
2023年 |
|
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米ドル |
|
米ドル |
|
|
|
営業収益 |
— |
|
1,000,000 |
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|
営業費用: |
|
|
|
|
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|
研究開発及びパテント費 |
7,194,731 |
|
5,657,895 |
|
|
|
一般管理費 |
5,480,600 |
|
5,242,370 |
|
|
|
営業費用合計 |
12,675,331 |
|
10,900,265 |
|
|
|
営業損失 |
△ 12,675,331 |
|
△ 9,900,265 |
|
|
|
受取利息 |
1,670,804 |
|
1,834,665 |
|
|
|
その他の費用(純額) |
△ 39,485 |
|
△ 502,869 |
|
|
|
税引前当期純損失 |
△ 11,044,012 |
|
△ 8,568,469 |
|
|
|
法人所得税等 |
△ 5,537 |
|
△ 3,047 |
|
|
|
当期純損失 |
△ 11,049,549 (△ 1,589,699千円) |
|
△ 8,571,516 (△ 1,233,184千円) |
|
|
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|
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|
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基本及び希薄化後1株当たり当期純損失 |
△ 0.23 (△ 33.09円) |
|
△ 0.17 (△ 24.46円) |
|
|
|
基本及び希薄化後1株当たり当期純損失の計算に 使用した株式数 |
49,046,246株 |
|
49,046,246株 |
|
|
|
当期純損失 |
△ 11,049,549 |
|
△ 8,571,516 |
|
|
|
その他の包括損失(税引後): |
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為替換算調整勘定 |
△ 17,064 |
|
△ 2,805 |
|
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|
包括損失 |
△ 11,066,613 (△ 1,592,154千円) |
|
△ 8,574,321 (△ 1,233,588千円) |
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添付の連結財務書類の注記を参照のこと。
(3) 連結株主資本等変動計算書
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普通株式 |
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払込剰余金 |
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|
その他の包括損失累計額 |
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累積欠損 |
|
株主資本合計 |
||
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株式数 |
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金額 |
|
金額 |
|
|
金額 |
|
金額 |
|
金額 |
|
|
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米ドル |
|
米ドル |
|
|
米ドル |
|
米ドル |
|
米ドル |
|
|
2022年12月31日残高 |
|
49,046,246 |
|
49,046 |
|
477,438,451 |
|
|
△ 115,285 |
|
△ 407,130,177 |
|
70,242,035 |
|
株式に基づく報酬費用 |
|
— |
|
— |
|
710,710 |
|
|
— |
|
— |
|
710,710 |
|
当期純損失 |
|
— |
|
— |
|
— |
|
|
— |
|
△ 8,571,516 |
|
△ 8,571,516 |
|
為替換算調整勘定 |
|
— |
|
— |
|
— |
|
|
△ 2,805 |
|
— |
|
△ 2,805 |
|
2023年12月31日残高 |
|
49,046,246 |
|
49,046 |
|
478,149,161 |
|
|
△ 118,090 |
|
△ 415,701,693 |
|
62,378,424 |
|
株式に基づく報酬費用 |
|
— |
|
— |
|
1,191,740 |
|
|
— |
|
— |
|
1,191,740 |
|
当期純損失 |
|
— |
|
— |
|
— |
|
|
— |
|
△ 11,049,549 |
|
△ 11,049,549 |
|
為替換算調整勘定 |
|
— |
|
— |
|
— |
|
|
△ 17,064 |
|
— |
|
△ 17,064 |
|
2024年12月31日残高 |
|
49,046,246 |
|
49,046 |
|
479,340,901 |
|
|
△ 135,154 |
|
△ 426,751,242 |
|
52,503,551 |
|
|
|
|
|
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添付の連結財務書類の注記を参照のこと。
(4) 連結キャッシュ・フロー計算書
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
|
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|
米ドル |
|
米ドル |
|
|
営業活動: |
|
|
|
|
|
|
当期純損失 |
|
△ 11,049,549 |
|
△ 8,571,516 |
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|
当期純損失から営業活動により生成された (使用された)現金(純額)への調整: |
|
|
|
|
|
|
非現金の株式に基づく報酬費用 |
|
1,191,740 |
|
710,710 |
|
|
減価償却費及び償却費 |
|
21,077 |
|
20,295 |
|
|
投資に係る未収利息 |
|
— |
|
△ 346,390 |
|
|
投資の解約費用 |
|
— |
|
448,903 |
|
|
有形固定資産の処分損益(△は益) |
|
△ 198 |
|
472 |
|
|
使用権資産の帳簿価額の変動 |
|
173,522 |
|
194,502 |
|
|
営業資産及び負債の変動: |
|
|
|
|
|
|
前払費用及びその他の資産 |
|
△ 491,005 |
|
287,628 |
|
|
買掛債務、未払債務及びその他の負債 |
|
△ 312,347 |
|
19,238 |
|
|
オペレーティング・リース負債 |
|
△ 176,204 |
|
△ 194,880 |
|
|
営業活動によるキャッシュ・フロー(純額) |
|
△ 10,642,964 |
|
△ 7,431,038 |
|
|
投資活動: |
|
|
|
|
|
|
投資の解約による収入 |
|
— |
|
39,929,015 |
|
|
有形固定資産の売却による収入 |
|
198 |
|
— |
|
|
有形固定資産の取得 |
|
△ 895 |
|
△ 21,299 |
|
|
投資活動によるキャッシュ・フロー(純額) |
|
△ 697 |
|
39,907,716 |
|
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
|
3,957 |
|
17,271 |
|
|
現金及び現金同等物の増減額 |
|
△ 10,639,704 |
|
32,493,949 |
|
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
|
50,999,442 |
|
18,505,493 |
|
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
|
40,359,738 |
|
50,999,442 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
キャッシュ・フローに係る追加情報: |
|
|
|
|
|
|
オペレーティング・リース負債と引き換えに 取得した使用権資産 |
|
42,281 |
|
139,001 |
|
|
リースの解約による使用権資産の帳簿価額の変動 |
|
79,229 |
|
— |
|
|
法人所得税等支払額 |
|
5,042 |
|
3,667 |
|
添付の連結財務書類の注記を参照のこと。
(5) 連結注記表
1 組織及び重要な会計方針の概要
組織と事業
メディシノバ・インク(以下「当社」という。)は、2000年9月にデラウェア州に設立され現在は公開企業です。当社の株式は米国及び日本で上場され、ナスダック・グローバル市場及び東京証券取引所のスタンダード市場において売買されています。当社は、米国市場に商業的な重点を置き、医療ニーズが満たされていない重篤な疾病治療を対象とした新規性のある低分子治療法の開発に特化したバイオ医薬品会社です。当社は現在、進行型多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、化学療法誘発性末梢神経障害、変性脊椎頚椎症、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)及び薬物依存・中毒(メタンフェタミン依存症、オピオイド依存症及びアルコール依存症等)等の神経疾患、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予防及び新型コロナウイルス後遺症(Long COVID)の治療薬のMN-166(イブジラスト)並びに線維症及びその他、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や高トリグリセリド血症等の代謝異常疾患の治療薬のMN-001(タイペルカスト)に重点を置くことを戦略としています。
連結の原則
当連結財務書類は、メディシノバ・インク及びその完全所有子会社であるメディシノバ製薬株式会社、メディシノバ・リミテッド(ヨーロッパ)、メディシノバ・ヨーロッパ・ゲーエムベーハー、メディシノバ・カナダ・インク及びアヴィジェン・インクの勘定を含んでおります。海外子会社の財務書類は、現地通貨を機能通貨として使用し測定しています。その結果生じる換算差額は、その他の包括利益又は損失の構成要素として計上されています。各事業年度における連結会社間の取引に係る損益は、為替換算調整勘定としてその他の包括利益又は損失に計上されています。すべての連結会社間取引及び子会社投資勘定は、連結に当たり相殺消去されています。
セグメント情報
事業セグメントとは、事業活動に従事する企業の構成単位として識別され、企業の最高執行意思決定者(以下「CODM」という。)が資源の配分に関する意思決定や業績評価を行う際に、その個別の財務情報及び経営成績が定期的なレビュー対象となっているものを指します。当社のCODMは、CEO(最高経営責任者)、CMO(最高医学責任者)及びCFO(最高財務責任者)で構成される上級経営役員会であります。当社は、「医療ニーズが満たされていない重篤な疾病治療を対象とした低分子治療法の獲得及び開発」という単一の事業セグメントにより運営されています。CODMは、セグメントの業績を評価し、会社の戦略的優先事項、現金残高、及び予想される現金使途を考慮した上で、連結損益計算書に計上された純損失に基づいて資源の配分方法を決定します。さらに、CODMは、会社の経営管理上、研究開発及びパテント費、並びに一般管理費といった機能別費用を連結レベルで検討のうえこれを利用します。連結ベースの純損失に含まれるその他のセグメント項目には、営業収益、株式に基づく報酬費用、減価償却費及び償却費、受取利息、その他の費用(純額)及び法人所得税等があり、これらは連結損益及び包括利益計算書に反映されています。セグメント資産の測定額は、連結貸借対照表上の総資産として計上されています。
以下の表は、CODMに定期的に提供されている、セグメント及び連結ベースの純損失に含まれる重要なセグメント費用を含む財務情報を示しています。
|
|
12月31日に終了した事業年度 |
||
|
|
2024年 |
|
2023年 |
|
|
米ドル |
|
米ドル |
|
営業収益 |
— |
|
1,000,000 |
|
営業費用(株式に基づく報酬費用を除く) |
|
|
|
|
研究開発及びパテント費 |
6,751,167 |
|
5,417,627 |
|
一般管理費 |
4,732,424 |
|
4,771,928 |
|
営業費用合計(株式に基づく報酬費用を除く) |
11,483,591 |
|
10,189,555 |
|
株式に基づく報酬費用 |
|
|
|
|
研究開発及びパテント費 |
443,564 |
|
240,268 |
|
一般管理費 |
748,176 |
|
470,442 |
|
株式に基づく報酬費用合計 |
1,191,740 |
|
710,710 |
|
営業費用合計 |
12,675,331 |
|
10,900,265 |
|
営業損失 |
△ 12,675,331 |
|
△ 9,900,265 |
|
受取利息 |
1,670,804 |
|
1,834,665 |
|
その他の費用(純額) |
△ 39,485 |
|
△ 502,869 |
|
法人所得税等 |
△ 5,537 |
|
△ 3,047 |
|
セグメント及び連結ベースの純損失 |
△ 11,049,549 |
|
△ 8,571,516 |
|
|
|
|
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見積りの使用
米国会計基準に準拠した連結財務書類の作成にあたり、経営者は、貸借対照表日における資産・負債の計上額及び偶発資産・負債についての注記開示並びに報告期間における収益・費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を行わなければなりません。実際の結果は、これらの見積りとは異なることもあり得ます。
現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、現金並びにマネー・マーケット及びミューチャル・ファンド・アカウントを始めとする取得日後3ヶ月以内に満期日が到来する容易に換金可能なその他の投資で構成されております。
投資
購入時の満期が3ヶ月超の投資を「投資」勘定として分類しています。投資勘定は公正価値で計上され、当該有価証券の明記された満期日及びその性質に応じて流動又は非流動区分としています。2024年12月31日現在及び2023年12月31日現在のいずれにおいても、当社が保有する投資勘定はありませんでした。
集中と信用リスク
当社は複数の金融機関との取引を通じて資金を保有し、また定期預金を購入していますが、それらの残高及び定期預金の購入額は連邦預金保険公社により保護される250,000米ドルを通常は超えています。当社はまたマネー・マーケット・ファンドを複数の金融機関に保有しており、その主な運用先が米国政府証券ではあるものの、それらに対する政府の保護はありません。当社はこれまでそれらの口座でいかなる損失も被ったことはなく、経営者は、そうした現金及び現金同等物に関する重要な信用リスクを当社は負っていないと考えています。
金融商品の公正価値
当社の現金同等物及び買掛債務を含む金融商品は取得原価で計上していますが、これらの金融商品は満期又は決済までの期間が短いことから、経営者は、当該取得原価を公正価値に近似する金額であると考えています。
仕掛研究開発、長期性資産及びのれん
仕掛中の研究開発(以下「IPR&D」という。)又は個別に取得したIPR&Dに関連して発生した金額は、発生時に費用計上されます。一方、企業結合に関連してIPR&Dに割り当てられた金額は、公正価値で測定のうえ、関連する研究開発の完了又は中止まで、耐用年数の確定できない無形資産として計上されます。主に製品の上市が規制当局により承認された時などをもって開発が完了すると、関連資産は耐用年数が有限の資産とみなされ、当該資産によってもたらされる経済的便益を最もよく反映する期間にわたって償却されます。資産が耐用年数の確定できない資産とみなされている間は、償却はされませんが、年次で減損のテストが行われ、もし減損の兆候が存在する場合には、より頻繁にテストが行われます。当社はまず、定量的評価を行う必要があるかどうかを判断するための基礎として、IPR&Dの公正価値がその帳簿価額を下回る確率が50%超か否かを判断するための定性的要因を評価しています。定性的要因を評価した後、IPR&Dの公正価値がその帳簿価額を下回る確率が50%を超えないと判断した場合、定量的評価は不要となります。これに対して定量的評価が必要と判断された場合、帳簿価額が公正価値を上回る額は減損損失として計上されます。なお定性的評価は、帳簿価額を決定する際に用いられた主要なインプット、仮定及び論拠並びに最後に行われた定量的評価以降に当該資産に関連して起こった変動に焦点を当てて行われます。当社は年次定性評価の結果に基づいて、表示期間のいずれにおいてもIPR&Dが減損している確率が50%超ではないと結論付けました。
当社は、資産(又は資産グループ)の帳簿価額が回収できない可能性があることが何らかの事象又は状況の変化により示された場合には、長期性資産の減損について検討を行い、減損分析を実施します。長期性資産は、資産(又は資産グループ)によって発生すると予想される割引前キャッシュ・フローが資産の帳簿価額を下回る場合に減損しているとみなされます。認識が必要な減損損失は、資産(又は資産グループ)の帳簿価額がその公正価値を超える金額として測定され、関連資産の帳簿価額の減少及び営業費用への計上として処理されます。表示期間のいずれにおいても、資産(又は資産グループ)の帳簿価額が回収不能となる可能性を示すような事象又は状況の変化はありませんでした。
のれんは、毎年一度(12月31日現在で)、又は減損の兆候が存在する場合にはより頻繁に、減損のレビューが行われます。当社は単一の事業セグメント及び報告単位で事業を行っているため、のれんは連結レベルで評価されます。当社はまず、定性的要因を評価して、報告単位の公正価値がのれんを含む帳簿価額を下回る確率が50%超か否かを判断します。もし50%超である場合には、報告単位の公正価値をその帳簿価額と比較する定量的評価に進みます。定性的又は定量的なテストのいずれかにおいて、公正価値が帳簿価額を上回った場合、のれんは減損しているとはみなされません。なお定性的要因には、経済環境、景気、株式時価総額、経営成績、競合関係等が含まれますが、分析においては、株主資本の帳簿価額に対する株式時価総額の超過額に最も高いウェイトを置いています。当社は、年次定性評価の結果に基づいて、表示期間のいずれにおいてものれんが減損している確率が50%超ではないと結論付けました。
研究開発費は発生した期に費用計上しており、主に従業員の給料その他の人件費、施設費及び減価償却費、研究開発用の部材費、ライセンス費用及び外注業者への業務委託料等が含まれます。2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度における研究開発費の総額は、それぞれ6.8百万米ドル及び5.3百万米ドルでした。
特許の出願及び特許化を目指すための費用は、回収可能性が不確実なため発生時に全額費用計上しています。当社は、特許の出願に関連する全ての外部費用を研究開発及びパテント費に含めています。2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度におけるパテント関連費用の総額は、共に0.4百万米ドルでした。
当社が政府の援助を受けて行っている研究開発活動に係る取引に関する会計処理が、一般に公正妥当と認められた会計原則として権威のあるGAAPにおいて規定されていない場合、そのような政府との取引に対しては、ASC 832「政府援助」(Topic 832)に従い、Subtopic 958-605「非営利組織ー収益認識」(以下「ASC 958-605」という。)における助成金又は拠出モデルを類推適用しています。
2021年、当社は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)や急性肺損傷(ALI)等の塩素ガス誘発性肺障害に対する医療対策となりうるMN-166(イブジラスト)を開発するため、米国保健福祉省戦略的・対応準備管理局(ASPR)の一部である米国生物医学先端研究開発機構(BARDA)と契約を締結しました。本契約に基づき、BARDAは契約第75A50121C00022号に基づき、特定の前臨床研究に連邦政府の補助金を提供することに合意しています。研究は2023年8月に完了し、BARDAは2023年9月に試験費用の一部を払い戻すため、当社に0.7百万米ドルを支払いました。なお、役務の交換とみなされない契約上の取決めは、ASC 958-605では拠出とみなされるため、当社は2023年12月31日に終了した事業年度において、0.7百万米ドルの資金提供を研究開発費の相殺として認識することを選択しました。
当社は、契約の締結にあたり当該取引がリース取引であるかどうかを判断し、リース取引である場合には、オペレーティング・リース又はファイナンス・リースのいずれとして適格かを判断します。当社は、リース期間が12ヶ月以内のリース取引については、使用権資産及びリース負債を認識しておらず、また、非リース構成部分をリース構成部分と区分していません。オペレーティング・リースの使用権資産及び負債は、リース期間にわたり支払われるリース料の現在価値に基づいて開始日現在において認識しています。オペレーティング・リース費用は、リース期間にわたって定額法により認識され、一般管理費に含まれています。当社が有するオペレーティング・リース契約においては計算利子率が示されていないことから、当社はリース料の現在価値を決定する際に、開始日に入手可能な情報に基づく追加借入利子率を使用しています。追加借入利子率は、有担保の完全分割返済型ローンを通じ、リース期間と同様の期間にわたり、同様の経済環境のもとで、リース料と同額の借入を行う場合に当社が支払うと想定される利率としています。
臨床治験に関する未払債務及び前払費用
前臨床研究、臨床研究及び臨床治験用の医薬品製造活動に係るコストは、研究開発費として認識されます。研究開発費の認識は、患者の登録、治験実施施設の立ち上げ、供給業者から当社に提供された原価情報等のデータを使って供給業者が行う個別業務の進捗度評価に基づいて行われます。これらの活動に対する支払いは、個々の契約条件に基づいて行われていますが、支払時期と役務が実際に提供される期間が大きく異なる場合があります。このような場合における未払債務の見積りについては、研究の進捗、完了状況や提供された役務に関する担当者や外注業者からの報告及び彼らとの協議を通じて行っています。貸借対照表日現在の未払債務の見積りは、その時点で既知の事実や状況に基づいています。また役務の提供前に支払ったコストは前払費用として繰延べられ、役務が提供される期間にわたって費用認識されます。当社は2024年12月31日現在、臨床治験に関する未払債務及び前払費用をそれぞれ0.7百万米ドル及び0.5百万米ドル計上しています。また2023年12月31日現在、臨床治験に関する未払債務及び前払費用をそれぞれ1.0百万米ドル及び0.0百万米ドル計上しています。
当社はストック・オプションの公正価値を、付与日現在において、ブラック=ショールズ・オプション評価モデルを用いて見積っています。当社は、確定すると見込まれる資本性金融商品の公正価値を認識し、株式に基づく報酬を得るために必要な勤務期間(通常3年から4年)にわたり定額法により償却しています。但し、当社の株式報酬制度の下では、取締役会が妥当と考える権利確定スケジュールを設定することが可能です。権利の失効は発生時に認識されます。
当社は、従業員業績連動型ストック・オプションを発行し、その権利確定は、業績評価期間終了時において当社取締役会が下す、一定の企業目標の達成に関する判断に基づき行われます。取締役会がかかる判断を下した日が、当該報酬の付与日となります。付与日までの期間において、当該報酬に係る費用は、各報告日現在の公正価値及び業績目標に対する期待業績に応じた予想オプション数に基づいて測定されます。
当社は基本1株当たり純損失を、自己株式を除いた発行済普通株式の期中加重平均株式数で除して計算しております。希薄化後1株当たり純損失は、自己株式を除いた発行済普通株式及び潜在的に希薄化効果を有する証券(以下「普通株式同等物」という。)の期中加重平均株式数で除して計算しております。自己株式方式により決定される発行済普通株式同等物は、当社の未行使ストック・オプションに係る取決めに基づき発行される可能性のある株式より構成されます。普通株式同等物は、逆希薄化効果がある場合、希薄化後1株当たり純損失の計算から除外されます。
逆希薄化効果があるため希薄化後1株当たり純損失の計算から除外した潜在的に希薄化効果を有する未行使の有価証券は、2024年及び2023年12月31日現在、それぞれストック・オプションで構成される7,040,894株及び7,781,749株であります。
2020年8月、米国財務会計基準審議会(以下「FASB」という。)はASU No.2020-06「負債-転換及びその他のオプションを有する負債証券(Subtopic 470-20)」及び「デリバティブ及びヘッジ―企業自身の持分の契約(Subtopic 815-40)」(以下「ASU 2020-06」という。)を公表しました。ASU 2020-06は会計モデルの数及び主契約と区分して認識することができる組み込み要素の数を削減することで、転換社債の会計処理を簡素化するものです。その結果、デリバティブとして区分して認識しなければならないその他要素がない場合、償却原価で測定される単一の負債として計上できる転換社債が増えることになります。またASU 2020-06では、転換可能商品の希薄化後1株当たり利益の計算に、転換仮定方式の利用を求めています。ASU 2020-06は小規模報告企業については2023年12月16日以降に開始する事業年度及び当該事業年度の期中会計期間より適用され、早期適用も認められています。新たな基準は、当社において2024年1月1日より適用開始されましたが、本基準の適用が連結財務書類に与える影響はありません。
2023年11月、FASBはASU 2023-07「セグメント報告(Topic 280):報告セグメントの開示の改善」を公表しました。ASU 2023-07は、公開企業の報告セグメントに関する開示を改善し、報告セグメントの費用に関するより詳細な情報を追加的に求める投資家からの要望に対処するものです。具体的には、以下の事項を公開企業に対して要求しています。
1) 通期及び期中において、CODMに定期的に提供され、報告されるセグメント損益の各報告指標に含まれる重要なセグメント費用を開示すること
2) 通期及び期中において、報告セグメント別の「その他のセグメント項目」の金額及びその内容に関する説明を開示すること
ここで、「その他のセグメント項目」とは、セグメント収益から重要な費用の原則に基づき開示されたセグメント費用を控除した金額と、セグメント損益の各報告指標との差異を指します。
3) 現在Topic 280で要求されている報告セグメントの損益及び資産に関するすべての年次開示を期中においても行うこと
4) CODMの役職名と職位とCODMがセグメントの業績を評価し、資源配分の方法を決定する際に、セグメント損益の報告指標をどのように用いているのかについての説明を開示すること
またASUは、単一の報告セグメントを有する公開企業に対して、本ASUの改訂により要求される全ての開示と、Topic 280における既存のセグメント開示の全てを提供することを要求しています。さらにASUは、CODMがセグメントの業績を評価し、資源配分の方法を決定する際に、セグメント損益について複数の指標を使用している場合、公開企業は1つ又は複数の追加的な指標を報告することができることを明確にしています。ただし、報告対象のセグメント損益の指標のうち少なくとも1つは、公開企業の連結財務書類において対応する金額の測定に使用された測定原則と最も整合する指標でなければなりません。この改訂は、2023年12月16日以降に開始する事業年度及び2024年12月16日以降に開始する期中会計期間にセグメント情報の報告義務があるすべての公開企業に適用されます。この改訂は、表示されているすべての過年度に遡及して適用されます。当社は、2024年1月1日より、この基準を遡及して適用しました。ASU 2023-07の適用により、CODMの識別、CODMによるセグメント業績の評価方法及びCODMに定期的に提供されるセグメント費用の開示を含む、追加のセグメント情報が開示されるようになりました。
2023年12月、FASBはASU 2023-09「法人所得税(Topic 740):法人所得税に関する開示の改善」を公表しました。ASU 2023-09は、法人所得税の開示の透明性と意思決定の有用性を高めるものです。具体的には、公開企業に対して以下の事項を要求しています。
1) 法人所得税率調整を年次で表形式にて、特定の区分を開示し、定量的閾値を満たす調整項目については追加情報を提供すること
2) 法人所得税支払額について以下の情報を年次で開示すること
(i) 連邦税(国税)、州税及び外国税に区分された法人所得税支払額(還付金控除後)
(ii)法人所得税の合計支払額(還付金控除後)の5%以上を占める個々の法域に区分された法人所得税支払額(還付金控除後)
3 ) すべての企業を対象に、以下の情報を開示すること
(i) 国内・国外に区分された法人所得税(又は法人所得税ベネフィット)考慮前の継続事業からの損益
(ii)連邦(国)、州及び海外に区分された継続事業からの法人所得税費用(又は法人所得税ベネフィット)
本改訂は、公開企業に対して2024年12月16日以降に開始する事業年度から適用されます。その他の企業については、2025年12月16日以降に開始する事業年度から適用されます。まだ公表されていない又は公表可能な状態になっていない年次財務書類については、早期適用が認められています。本改訂は、将来に向かって適用されますが、遡及適用も認められています。当社は現在、本基準が当社の連結財務書類及び関連する開示に与える潜在的影響を評価中です。
2024年11月、FASBはASU 2024-03「損益計算書-包括利益の報告-費用の分解開示(Subtopic 220-40):損益計算書における費用の分解」を公表しました。ASU 2024-03は、財務書類に含まれる費用の性質について、追加の開示を要求しています。ASU 2024-03は、2026年12月16日以降に開始する事業年度及び2027年12月16日以降に開始する期中会計期間より適用が開始され、早期適用も認められています。当社は現在、本基準が当社の連結財務書類及び関連する開示に与える潜在的な影響を評価中です。
2 収益認識
収益は、これまで主に顧客との契約に従って履行される研究開発に係る役務によって構成されていました。当社は各契約において独立した履行義務を評価し、当該役務について見積った独立販売価格を考慮しつつ取引価格を各履行義務に配分し、このような義務が一時点で、もしくは一定の期間にわたり充足された時点で、かつ次の要件のいずれかを満たした場合に、収益を計上しています。
(1) 顧客が、供給業者の履行によって提供される経済的便益を、同時に受け取って消費する。
(2) 供給業者が、顧客が支配する資産を創出するか又は増価させる。
(3) 供給業者の履行が、供給業者が他に転用できる資産を創出しない。
(4) 供給業者が現在までに完了した履行に対する支払いを受ける強制可能な権利を有している。
ジェンザイム・コーポレーション
2005年12月、アヴィジェン・インク(以下「アヴィジェン」という。)とジェンザイム・コーポレーション(以下「ジェンザイム」という。)間で、譲渡契約(以下「本譲渡契約」という。)が締結されました。本譲渡契約に基づきジェンザイムは、当初対価を支払うことでアヴィジェンから遺伝子治療に係る知的財産、開発プログラムその他の関連資産を取得しました。また本譲渡契約によれば、ジェンザイムがアヴィジェンによって従前に開発された技術を用いて製品の開発に成功した場合、アヴィジェンは、開発マイルストーン、サブライセンス料及びロイヤリティの追加的な支払いを受ける潜在的な可能性がありました。2009年12月、当社はアヴィジェンを買収し、本譲渡契約における同社の権利・義務を継承しました。さらにジェンザイムが、本譲渡契約によって譲渡された技術を用いた製品の商業化又はマーケティングを、勤勉性をもって追求しなかった場合には、譲渡した権利の一部が将来のある時点で当社に返還される可能性もありました。
本譲渡契約において、製品の開発に責任を有するのはジェンザイムであり、当社にはさらなる実質的なサービスを提供する義務はないことから、本譲渡契約で概要が示されている開発マイルストーンは、マイルストーン・ペイメントに係る収益認識基準が定める実質的なマイルストーンに関する義務の定義を満たすものではありませんでした。2023年9月、当社は本譲渡契約の対象となるAAV(アデノ随伴ウィルス)ベクター技術に基づく遺伝子プロジェクトが、1件の臨床開発マイルストーンを達成したとの通知を受け、これによりマイルストーン・ペイメントとして1.0百万米ドルの受領権を得るに至りました。これに伴い当社は、2023年12月31日に終了した事業年度において1.0百万米ドルの収益を計上しております。
3 公正価値の測定
レベル1: 活発な市場における相場価格のような観察可能なインプット
レベル2: 活発な市場における類似の資産・負債の相場価格、或いは測定日前後では活発でない市場における同一又は類似の資産・負債の相場価格によるインプット
レベル3: 市場データが皆無あるいはほとんどないため観察可能でないインプットであり、報告企業による独自の仮定が要求される。
金融商品の2024年及び2023年12月31日現在の帳簿価額及び公正価値(近似値)は以下の通りです。
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2024年12月31日現在 |
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2023年12月31日現在 |
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インプット レベル |
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帳簿価額 |
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公正価値 |
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帳簿価額 |
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公正価値 |
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米ドル |
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米ドル |
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米ドル |
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米ドル |
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現金同等物 (ミューチャル・ファンド) |
21,501,081 |
|
21,501,081 |
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782,382 |
|
782,382 |
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レベル 1 |
4 貸借対照表の詳細
有形固定資産(純額)は以下の項目により構成されています。
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12月31日現在 |
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2024年 |
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2023年 |
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米ドル |
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米ドル |
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建物附属設備 |
- |
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12,579 |
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器具備品 |
85,613 |
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134,106 |
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ソフトウェア |
342,628 |
|
342,628 |
|
|
428,241 |
|
489,313 |
|
減価償却累計額 |
△ 402,734 |
|
△ 443,513 |
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有形固定資産(純額) |
25,507 |
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45,800 |
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当社は減価償却費の認識にあたり耐用年数3年から5年の定額法を採用しています。建物附属設備は、耐用年数5年で償却されます。2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度において計上した有形固定資産の減価償却費は、それぞれ21,077米ドル及び20,295米ドルでした。 |
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未払債務及びその他の流動負債は以下の項目により構成されています。
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12月31日現在 |
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2024年 |
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2023年 |
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米ドル |
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米ドル |
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未払給与 |
785,949 |
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824,390 |
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臨床治験に関する未払債務 |
726,130 |
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1,034,720 |
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専門家報酬 |
23,949 |
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35,753 |
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その他 |
126,832 |
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164,375 |
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未払債務及びその他の流動負債合計 |
1,662,860 |
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2,059,238 |
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5 契約債務及び偶発債務
当社は、主に米国及び日本の不動産を対象としたオペレーティング・リース契約を有しております。このうち米国におけるリース契約は、サンディエゴの本社ビルを対象としたもので、リース期間は2027年1月31日までの5年間となっており、毎年リース料が増額されます。2024年4月、当社は2024年10月をもって東京事務所の従前のリース契約を解約する旨の通知を行い、2024年5月、東京の別の場所を新たな事務所として2024年6月から開始されるリース契約を締結しました。この新たなリース契約の当初リース期間は、2025年5月までの12ヶ月間であり、その後2ヶ月間の延長オプションが付されています。またその後も、リース契約が解約されるまで2ヶ月毎に自動更新が行われる取決めとなっています。当該リースのリース負債の測定にあたり、当社は、延長オプションの一度の行使は合理的に確実であると判断し、リース期間を14ヶ月と見積もりました。そのうえで、合理的に確実な一度の延長オプション行使を含んだ将来のリース料を、見積追加借入利子率である6.51%で割引いた現在価値に基づいて、リース負債の測定を行いました。なお、当該見積追加借入利子率は、リース開始時のリース料と同額をリース期間と同程度の期間にわたり有担保で借入れた場合の利率であります。これらの不動産に係るオペレーティング・リースは、当社の連結貸借対照表上「使用権資産」に含まれており、これは当該契約のリース期間にわたって原資産を使用する当社の権利を表しています。一方、当社のリース料支払義務は、当社の連結貸借対照表上「オペレーティング・リース負債」及び「その他の非流動負債」に含まれています。
当社の使用権資産及びこれに関連するリース負債についての情報は以下の通りです。
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
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米ドル |
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米ドル |
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オペレーティング・リース負債に係る現金支払額 |
261,069 |
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257,326 |
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オペレーティング・リース費用 |
258,647 |
|
257,931 |
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新規のオペレーティング・リース負債と引き換えに取得した使用権資産 |
42,281 |
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139,001 |
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オペレーティング・リース負債(流動) |
193,769 |
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215,926 |
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オペレーティング・リース負債(非流動) |
211,460 |
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410,660 |
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オペレーティング・リース負債合計 |
405,229 |
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626,586 |
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加重平均残存リース期間 |
1.98年 |
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2.81年 |
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加重平均割引率 |
9.6% |
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9.3% |
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2024年12月31日現在におけるオペレーティング・リース負債の満期分析は、以下の通りです。 |
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米ドル |
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2025年 |
224,061 |
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2026年 |
206,483 |
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2027年 |
17,269 |
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2028年 |
— |
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2029年 |
— |
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2030年以降 |
— |
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最低リース料総額 |
447,813 |
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(控除)利息相当額 |
△ 42,584 |
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リース負債合計 |
405,229 |
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当社の事業は製品候補による製造物責任のリスクに晒されています。製造物責任に関する個別又は一連の請求に対して、成功裡に防御することができない場合、当社は多大な賠償責任を負い、かつ経営者が本来の事業運営に集中できなくなる可能性があります。当社は受諾可能な条件で保険契約を維持できなくなるか、あるいは製造物責任に関する請求に対して保険による補償が十分にできなくなる可能性があります。もし利用可能であったとしても、当該製造物責任保険が潜在的な賠償請求を補償できなければ、当社はそのような賠償請求に対するリスクに対して自家保険せざるを得なくなります。当社は製造物責任に対して合理的に考えて十分な補償が得られる保険に加入しているものと考えています。
当社は複数の製薬会社とライセンス導入契約を締結しています。これらの契約条項に従い、当社は特定の特許権を得ている又は特許権出願中の研究開発、ノウハウ及び技術のライセンスを取得しています。これらの契約では当社は通常、契約一時金を支払い、更にマイルストーンを達成した時点で追加の支払いを要求されます。当社はまた将来の販売に対し、販売開始後、特許権の期限満了日又は該当する市場独占権の最終日のいずれか遅い時まで、国ごとに計算したロイヤリティを支払うことが義務付けられております。
これらの契約に基づくマイルストーン・ペイメントは、2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度においてはありませんでした。現在開発中の製品について、MN-166(イブジラスト)及びMN-001(タイペルカスト)の製品開発に基づく将来の潜在的なマイルストーン・ペイメントは、2024年12月31日現在において10百万米ドルであります。また、その他すべての製品について、開発マイルストーン及び商業化マイルストーンに関する将来の潜在的なマイルストーン・ペイメントは、2024年12月31日現在において合計で16.5百万米ドルになります。なお、いかなるライセンス契約においても、最低ロイヤリティが要求される条項を含むものはありません。かかる支払いは当社の製品開発プログラムの進捗度合に依存するため、これらのマイルストーンの支払いの発生時期を確実に見積ることはできません。
当社は随時、通常の事業過程において生じる法的手続や賠償請求の当事者となる可能性があります。当社は、当社の事業、財政状態又は経営成績に、個別又は総体として重大な悪影響を与えるものと考え得られる法的手続や賠償請求について、一切関知していません。
6 株式に基づく報酬
2013年6月に当社は、2013年株式インセンティブ・プラン(以下「2013年プラン」という。)を設けました。このプランの下で、当社又は子会社のその時点における従業員、役員、非従業員取締役又はコンサルタントであった個人に対して、株式ベースの報奨である、ストック・オプション、株式評価益権(SAR)、制限付株式及び制限付株式ユニット(RSU)が付与されました。2013年プランに基づく発行のために留保されている普通株式の総数は、8,700,000株でした。これに加えて、随時利用可能となる「返還株式」が、同プランに足し戻されていました。なお「返還株式」とは、当社が以前設定していた2004年株式インセンティブ・プランにより付与されたものの行使前又は決済前に期間満了又は契約終了した株式、権利確定に至らなかったため権利喪失した株式、買い戻された株式、さらにはこうした報奨に伴う源泉徴収義務や購入価格義務を履行するために天引処理された株式を指します。当社は、2013年プランの下での新たな報奨の付与は行っていませんが、同プランの下で付与され未だ行使されていないものについては、引き続き同プランで定められた行使条件等が適用されます。
2023年6月に当社は、2023年株式インセンティブ・プラン(以下「2023年プラン」という。)を設けました。2023年プランの下では、当社又は子会社のその時点における従業員、役員、非従業員取締役又はコンサルタントである個人に対して、ストック・オプション、株式評価益権(SAR)、制限付株式、制限付株式ユニット(RSU)及びその他の報奨を付与することができます。2023年プランは2013年プランの後継プランです。2023年プランの下で発行可能な当社普通株式の数は、(a)2013年プランの下で付与された、同プランの終了時点で未行使であった報酬の対象株式であって、その後、行使前又は決済前に権利喪失、期間満了又は失効となったもの及び2013年プランの下で付与された、同プラン終了時点で未行使であった報酬に基づき発行される株式であって、その後、当社により没収又は再取得されたもの並びに(b)2013年プランの下で留保された株式であって、同プランの終了時点で2013年プランの下で発行されておらず、未行使の報酬の対象となっていなかったものの合計数に等しい数となります。2013年プランからの最大9,934,567株が、2023年プランの下で発行可能となる可能性があるものの、この数字は2013年プランの終了時点において2013年プランの下で未行使のすべての報酬が権利喪失となることを前提としているため、2023年プランに実際に追加される株式数はこれを下回ることが予想されます。一般に、2023年プランに基づく報酬が完全に行使又は決済される前に何らかの理由で権利喪失、取消し又は失効となった場合、当該報酬の対象株式は、2023年プランの下で再び発行可能となります。SARが行使され、又はRSUが決済された場合、参加者に実際に発行された株式数(もしあれば)のみが、2023年プランの下で利用可能な株式数を減少させます。制限付株式又はオプションの行使により発行された株式が、権利喪失条項、買戻権又はその他の理由により、当社により再取得された場合、当該株式は2023年プランの下で再び発行可能となります。オプションの行使価格の支払い又は報酬に関する税金の源泉徴収義務の履行のために留保された株式は、2023年プランの下で再び発行可能となります。また、報酬が株式ではなく現金で決済される場合、当該現金決済によって2023年プランの下で発行可能な株式数が減少することはありません。
2024年12月31日現在、2,893,673株が、2023年プランに基づく将来の付与のために利用可能な状態にあります。
付与された従業員ストック・オプションの中には業績条件を含むものがありますが、その権利確定は、業績評価期間終了時において行われる一定の企業目標の達成に関する判定に基づきます。なおこの判定は、報酬委員会により行われ、取締役会の承認を要します。当該報酬の付与日は、取締役会が承認した日となります。付与日までの期間において、当該報酬に係る費用は、各報告日現在の公正価値に基づき測定されます。付与された業績連動型報酬の公正価値及び付与に伴う費用の見積り額は、企業目標の達成度及びその他公正価値算定にあたっての前提条件に基づきます。当該業績評価期間終了後の付与日において最終的に認識される費用の金額は、企業目標の達成度、公正価値算定にあたりブラック=ショールズ・モデルで用いられる前提条件の変動及び業績評価期間における当社の株価の変動を含む様々な要因により、見積り額から乖離する可能性があります。2024年12月31日現在、2024年度の業績達成度に応じた付与の対象となる業績連動型ストック・オプションの株式総数は、809,000株でした。2025年1月、報酬委員会及び取締役会が2024年度の業績達成度を様々なレベルで決定したことに伴い783,000株分の権利が確定し、残りは失効しました。
2023年プラン及び2013年プランにより付与されたオプションは、早期に終了しない限り、付与日より10年間有効であり、一般に付与日から1年ないし4年後に権利が確定します。
2024年及び2023年12月31日に終了した事業年度中に付与されたすべてのオプションの行使価格は、付与日現在の当社の普通株式の市場価格と一致しています。
当社の2024年及び2023年12月31日に終了した事業年度におけるストック・オプションの増減及び関連情報の要約は以下のとおりです。
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株式数 (株) |
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加重平均行使価格 |
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2022年12月31日現在未行使残高 |
7,985,250 |
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5.55 |
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付与数 |
788,683 |
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2.39 |
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行使数 |
— |
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— |
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取消数 |
△ 992,184 |
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3.27 |
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2023年12月31日現在未行使残高 |
7,781,749 |
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5.52 |
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付与数 |
1,100,000 |
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1.51 |
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行使数 |
— |
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— |
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取消数 |
△ 1,840,855 |
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4.64 |
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2024年12月31日現在未行使残高 |
7,040,894 |
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5.12 |
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2024年12月31日現在行使可能残高 |
6,180,894 |
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5.62 |
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ストック・オプション株式数(株) |
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付与日における 加重平均公正価値(米ドル) |
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2023年12月31日現在権利未確定残高 |
773,517 |
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1.61 |
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付与数 |
1,100,000 |
|
0.99 |
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権利確定数 |
△ 583,412 |
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1.56 |
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失効数 |
△ 430,105 |
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1.32 |
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2024年12月31日現在権利未確定残高 |
860,000 |
|
1.00 |
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未行使及び行使可能なオプションの2024年12月31日現在における加重平均契約期間は、それぞれ4.59年及び3.97年でした。
2024年及び2023年12月31日現在において、未行使のオプションの本源的価値総額は、それぞれ0.5百万米ドル及び0米ドルでした。また、2024年及び2023年12月31日現在における行使可能なオプションの本源的価値総額は、それぞれ25,840米ドル及び0米ドルでした。2024年及び2023年12月31日に終了した事業年度において権利が確定したオプションの公正価値総額は、共に0.9百万米ドルでした。
当社はストック・オプションの見積公正価値を、付与日現在でブラック=ショールズ・オプション評価モデルにより算定しており、ストック・オプションの付与について以下の加重平均による前提条件を使用しています。
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
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ストック・オプション |
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無リスク利子率 |
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4.38% |
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3.83% |
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普通株式の予想株価変動率 |
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72.25% |
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75.28% |
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配当利回り |
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0.00% |
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0.00% |
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オプションの予想期間(年) |
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4.62 |
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4.68 |
無リスク利子率の仮定値は、当社の従業員ストック・オプションの予想期間に応じた実際の利率に基づいております。予想株価変動率は、当社普通株式の株価のボラティリティに基づいております。当社は創立以来、普通株式について配当を支払ったことはなく、また予見し得る将来においても、普通株式について配当を支払うことは予定しておりません。従来のストック・オプションの行使状況のデータが予想期間の見積りについての合理的な基礎を提供しないため、オプションの予想期間は、株式報酬に関する会計基準で定められている簡便法に基づいています。
2024年及び2023年12月31日に終了した事業年度に付与した各ストック・オプションについて、付与日現在でブラック=ショールズ・オプション評価モデルを使用して見積った加重平均公正価値はそれぞれ、オプション1個当たり0.99米ドル及び1.59米ドルでした。
ストック・オプション報奨に関連する株式に基づく報酬費用は各事業年度の営業費用合計に含まれています。2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度における株式に基づく報酬費用は、下表の通りです。
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(金額単位:米ドル) |
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
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研究開発及びパテント費 |
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443,564 |
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240,268 |
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一般管理費 |
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748,176 |
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470,442 |
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株式に基づく報酬費用合計 |
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1,191,740 |
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710,710 |
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2024年12月31日現在、権利未確定のストック・オプション報奨に関連する未償却の報酬費用が0.1百万米ドルあり、これは加重平均の残存権利確定期間である0.12年にわたって定額法にて認識される見込みです。
7 株主資本
At-The-Market新株販売代理契約
当社は、2019年8月23日付けで、B. Riley FBR, Inc.(以下「B. Riley FBR」という。)との間でATM新株販売代理契約を締結し、2022年8月26日にこれを改訂しました(以下、改訂後の契約を「ATM契約」という。)。ATM契約により、当社はB. Riley FBRを通じ、当社普通株式を発行価格総額75.0百万米ドルを上限として随時売却することができます。B. Riley FBRを通じて普通株式を売却する場合には、1933年証券法(その後の改正を含む)に基づき公布されたRule 415における定義上で「市場を通じた」株式発行と見なされるあらゆる方法にて売却が実施されます。これらの方法には、NASDAQその他の既設の普通株式の売買市場で直接売却する方法並びに、マーケットメーカーを通じた売却方法が含まれます。また、当社の事前承認を前提に、B. Riley FBRは普通株式を相対取引で売却することもできます。当社は、B. Riley FBRに対する手数料として、ATM契約に基づき売却された普通株式による手取金総額の3.5%を上限として支払うことに合意しました。当社の手取金は、B. Riley FBRに売却される当社普通株式の数及び各取引における1株当たりの購入価格に左右されます。
2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度中に、ATM契約に基づき売却した普通株式はありませんでした。
以下の表は、2024年12月31日現在における将来発行される可能性のある潜在的普通株式を要約したものです。
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株式数 |
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未行使のオプションが行使された時に発行される普通株式 (2004年プラン、2013年プラン及び2023年プラン) |
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7,040,894 |
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将来の株式報酬のために留保された普通株式(2023年プラン) |
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2,893,673 |
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9,934,567 |
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8 法人所得税等
2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度の米国内及び外国(米国以外)における税引前当期純損失は以下のとおりです。
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
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米ドル |
|
米ドル |
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米国 |
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△ 11,060,506 |
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△ 8,587,967 |
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外国 |
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16,494 |
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19,498 |
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税引前当期純損失 |
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△ 11,044,012 |
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△ 8,568,469 |
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2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度の法人所得税等の内訳は以下のとおりです。
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
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米ドル |
|
米ドル |
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当期税金費用 |
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連邦 |
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— |
|
— |
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州 |
|
|
— |
|
— |
|
外国 |
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△ 5,537 |
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△ 3,047 |
|
当期税金費用-小計 |
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|
△ 5,537 |
|
△ 3,047 |
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繰延税金費用 |
|
|
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連邦 |
|
|
— |
|
— |
|
州 |
|
|
— |
|
— |
|
外国 |
|
|
— |
|
— |
|
繰延税金費用-小計 |
|
|
— |
|
— |
|
法人所得税等-合計 |
|
|
△ 5,537 |
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△ 3,047 |
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当社の2024年及び2023年12月31日現在における繰延税金資産・負債の重要な構成項目については、以下のとおりです。
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12月31日現在 |
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2024年 |
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2023年 |
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米ドル |
|
米ドル |
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繰延税金資産: |
|
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繰越欠損金 |
71,161,394 |
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69,980,468 |
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研究開発費税額控除 |
9,173,787 |
|
10,034,233 |
|
ストック・オプション |
938,846 |
|
1,497,450 |
|
その他(純額) |
269,439 |
|
355,204 |
|
使用権負債 |
106,148 |
|
166,832 |
|
資産計上されている研究・実験費用 |
3,985,733 |
|
2,626,585 |
|
繰延税金資産合計 |
85,635,347 |
|
84,660,772 |
|
繰延税金負債: |
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|
使用権資産 |
△ 94,000 |
|
△ 152,511 |
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仕掛研究開発費(IPR&D) |
△ 1,343,213 |
|
△ 1,343,213 |
|
繰延税金負債合計 |
△ 1,437,213 |
|
△ 1,495,724 |
|
繰延税金資産(純額) |
84,198,134 |
|
83,165,048 |
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評価性引当金 |
△ 84,399,926 |
|
△ 83,366,840 |
|
繰延税金負債(純額) |
△ 201,792 |
|
△ 201,792 |
|
|
|
|
|
当社は、繰延税金資産(純額)について、その実現可能性が不確実であることから評価性引当金を計上しています。2024年12月31日現在、評価性引当金は、2023年比で1.0百万米ドルの増加となりました。当社は定期的に繰延税金資産の回収可能性を検討しており、当該繰延税金資産が50%超の確率で実現可能であると判断した場合には、評価性引当金が取崩されます。
当社は2024年12月31日現在、連邦税及びカリフォルニア州税上の繰越欠損金を、それぞれ約280.2百万米ドル及び約193.9百万米ドル有しております。連邦税上の繰越欠損金225.8百万米ドルは2025年より失効が開始する一方、連邦税上の繰越欠損金54.4百万米ドルは無期限に繰越が可能です。カリフォルニア州税上の繰越欠損金は2028年より失効が開始します。また当社は、2024年12月31日現在、連邦税及びカリフォルニア州税上の研究開発費に係る税額控除繰越額を、それぞれ約8.3百万米ドル及び約2.4百万米ドル有しております。連邦税上の研究開発費に係る税額控除繰越額は2025年より失効が開始しますが、カリフォルニア州税上では失効することなく、使用されるまで無期限で繰越可能です。
なお、1986年内国歳入法第382条(以下「382条」という。)及び同法第383条(以下「383条」という。)並びに同様の州税法の規定により、「株主持分の変更」が発生した場合、将来の課税所得及び税金と相殺するために単年度においてそれぞれ使用できる繰越欠損金及び税額控除繰越額に制限が設けられる可能性があります。382条及び383条が規定するところによれば、一般に、ある特定の株主又は一般株主の株主持分が3年間で50%超増加した場合に、「株主持分の変更」とみなされます。当社は発生当初から2023年12月までの期間を対象とした繰越欠損金及び研究開発費に係る税額控除繰越額の使用額制限に関する382条及び383条の分析作業を完了し、制限条項が発動するようないかなる所有者の変更もなかったことを確認しました。したがいまして、当該分析の完了以降に、新たな「株主持分の変更」が発生しているリスクがあります。仮に「株主持分の変更」が発生しているとした場合、繰越欠損金及び税額控除繰越額がさらに消滅又は制限される可能性があります。仮に消滅していた場合には、関連する繰延税金資産及び評価性引当金の金額が減額されることになります。ただし、評価性引当金はすでに計上済みであるため、今後米国における当社の事業に関連して、「株主持分の変更」による制限が発生しても、当社の実効税率に対する影響はありません。
法定連邦税率から当社の実効税率への調整は以下のとおりです。
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
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% |
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% |
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法定連邦税率 |
21.0 |
|
21.0 |
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州税(連邦税上の税効果控除後) |
4.8 |
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6.3 |
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税額控除 |
△ 0.6 |
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3.8 |
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評価性引当金の増減 |
△ 9.4 |
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△ 11.8 |
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税務上の属性の失効 |
△ 3.0 |
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△ 12.0 |
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株式報酬 |
△ 4.0 |
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△ 1.9 |
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不確実な税務ポジション |
△ 8.9 |
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△ 6.4 |
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その他 |
0.1 |
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1.0 |
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法人所得税の負担率 |
0.0 |
|
0.0 |
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不確実な税務ポジションの判断については、税務申告において当社が得られる税務ベネフィットの有無及び金額が、関連する税務当局による調査の結果、50%超の可能性をもって認められるか否かの判定に基づき行っています。
当社の未認識税務ベネフィットに関する増減は、以下のとおりです。
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12月31日に終了した事業年度 |
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2024年 |
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2023年 |
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米ドル |
|
米ドル |
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1月1日現在の未認識税務ベネフィット総額 |
1,589,266 |
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896,981 |
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過年度に生じた税務ポジションの増加額 |
1,079,358 |
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— |
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事業年度中に生じた税務ポジションの増加額 |
28,452 |
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692,285 |
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12月31日現在の未認識税務ベネフィット総額 |
2,697,076 |
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1,589,266 |
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|
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未認識税務ベネフィットが認識されても、これに伴う評価性引当金の調整等が行われるため、2024年12月31日現在の未認識税務ベネフィットが年間実効税率を低減させる効果はありません。
当社は連邦、カリフォルニア州、及び米国外の税務管轄区域において税務申告を行っています。当社は税務上の損失を計上していることから、設立当初から現在に至る期間にわたり、原則として税務当局による税務調査の対象となります。当社の方針として、税務上発生する利息及び課徴金は税金費用として認識します。2024年12月31日現在において、当社には未認識税務ベネフィット又は税務上の課徴金に係る重要な未払利息はありません。当社は、未認識税務ベネフィットが今後12か月間で著しく変動することはないと予想しています。
9 従業員貯蓄制度
当社はほぼ全員の従業員が利用できる従業員貯蓄制度を採用しております。当該制度において、従業員は給与天引により当該制度に拠出することを選択できます。当該制度では当社からも任意に拠出が行われており、2024年及び2023年12月31日に終了した各事業年度における当社の拠出総額は、それぞれ84,826米ドル及び115,950米ドルでした。