1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの経営理念として、基本理念、ビジョン(目指す世界観)、ミッション(果たす役割)、バリューズ(大切にする価値観)を掲げています。

これらを実現するため、当社グループが創業より大切にし、ビジネスのエンジンとして活用してきた「リボンモデル」を活用しています。「リボンモデル」とは、個人ユーザーと、企業クライアントが出会う場(プラットフォーム)を作り出し、より多くの最適なマッチングソリューションを提供することにより双方の満足を追及するビジネスモデルです。近年では、テクノロジーを活用することで、マッチングの更なる効率性向上に注力し、個人ユーザーに対して最適な選択肢を提供し、中小企業を中心とする企業クライアントに対して更なる業務効率化を支援しています。

当社グループは、長期的な利益成長の実現に向け、M&Aをはじめとした成長に向けた各種投資を機動的かつ積極的に実行していきます。その上で、投資と利益成長の適切なバランス及び株主価値の向上を重視しており、主な経営指標を調整後EBITDA(注1)及び調整後EPS(注2)として、企業価値の最大化を図っていきます。また、経営指標の達成度を役員の報酬に連動させることにより、株主の皆様との価値共有を促進しています。
(注1) 調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)
±その他の営業収益・費用
(注2) 調整後EPS(調整後1株当たり当期利益):調整後当期利益(注3)/(期末発行済株式総数-期末自己株式数)
(注3) 調整後当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益±調整項目(注4)(非支配持分帰属分を除く)
±調整項目の一部に係る税金相当額
(注4) 調整項目:企業結合に伴い生じた無形資産の償却額±非経常的な損益 (注5)
(注5) 非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注6) 当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号を適用し、会計方針を変更しています。IFRS第16号の適用により、原則として全てのリース契約について、借手はリース期間にわたり原資産を使用する権利及びリース料を支払う義務を、それぞれ使用権資産及びリース負債として認識します。旧基準であるIAS第17号ではオペレーティング・リースに係るリース料を賃借料として費用計上していましたが、IFRS第16号では使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を費用計上します。結果として、IFRS第16号の適用に伴い、賃借料が減少する一方で使用権資産の減価償却費が増加し、EBITDAは増加します。そのため当社では、これまでの経営指標との比較可能性を考慮して、当連結会計年度より経営指標をEBITDAから、IFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。
当社グループでは、テクノロジーの進化等により急速に変化する事業環境に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取り組むことが重要と捉えています。
このために当社グループは、「HRテクノロジー」、「メディア&ソリューション」及び「人材派遣」の3つの戦略ビジネスユニット(Strategic Business Unit、以下、「SBU」という。)単位で事業の拡大に取り組んでいます。3つのSBUごとに統括会社を設置する経営体制により、各SBUが自律自転して迅速に事業戦略を遂行できる組織体制を構築すると同時に、当社が持株会社としての機能の集中と強化を図り、適切なグループガバナンス体制やモニタリング体制等を整備することで、更なる企業価値の向上を実現します。
事業別の経営戦略は、以下のとおりです。
HRテクノロジー事業においては、テクノロジーを活用した効率的な求職活動及び求人活動の需要が高まる中、IndeedとGlassdoorの求人広告事業及び採用ソリューション事業において、独自の技術と保有する膨大なデータを活用すること等により、グローバルでの更なる拡大を進めます。更に、採用プロセスの効率化に資する様々な新規事業の開発及びM&Aを行い、将来の成長を加速させていきます。
メディア&ソリューション事業においては、当社グループは全国に営業部門を有し、企業クライアントとの密接なコミュニケーションにより、特に中小企業クライアントへのサービス提供において強固なポジションを築いています。今後は、既存の広告事業の磨きこみに加え、中小企業クライアントのバックオフィス業務・経営支援に付加価値のある「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションを提供する事業機会があると考えています。
既存の広告事業においては、各事業分野の市場における強固なポジションを活かし、安定成長を目指します。SaaSソリューションの提供においては、企業クライアントのアカウント数の拡大に注力し、商品開発やマーケティング等、戦略的な投資を実行していきますが、メディア&ソリューション事業全体の利益率を現在の水準から大きく乖離させないよう、事業ポートフォリオを管理します。
人材派遣事業においては、国内派遣領域では人手不足が継続する市場環境の下で、安定成長を目指します。海外派遣領域では、引き続き、海外子会社に事業運営ノウハウを導入しながら、調整後EBITDAマージンの継続的な改善に取り組みます。
人材マッチング市場におけるグローバルリーダーへの挑戦
当社グループは、2019年グローバル市場規模を1,590億米ドル以上(注1)と推定する人材マッチング市場において、長期的にテクノロジーを駆使してイノベーションを促進し、革新と創造を進めながら、グローバルリーダーとなり、個人ユーザーの求職活動及び企業クライアントの求人活動を圧倒的に効率化することを目指します。
人材マッチング市場とは、当社グループが推定する求人広告及び採用ツール市場、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場、人材派遣市場の総称と定義しています。
当社は、HRテクノロジー事業の主な事業展開領域である、オンライン求人広告及び採用ツール市場はグローバルで年間売上金額ベースで170億米ドル程度(注2)と推定しており、将来的には当社が年間売上金額ベースで40億米ドルを超える規模と見積もるオフライン求人広告市場(注3)がオンライン求人広告市場に流入を続けながら、長期的に成長すると考えています。当社グループは、同市場において、Indeed及びGlassdoorを中心とするHRテクノロジー事業を主軸として、オンラインツールを活用したマッチングの効率性向上によって、同市場での持続的な成長を目指します。
また、当社グループは、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場はグローバルで年間売上金額ベースで550億米ドル程度(注4)の市場規模であると推定しています。当社グループは、主にメディア&ソリューション事業の人材領域にて同事業を展開しています。同市場における多くのサービスは属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルによるものですが、当社グループは、HRテクノロジー事業において、テクノロジーを活用した人材マッチングサービス「Indeed Hire」を導入し、現状の業界水準対比で非常に効率的かつ費用対効果の高い形でサービスを提供することで、同市場での成長を目指します。
更に、人材派遣市場は、グローバルで年間売上金額ベースで4,410億米ドル程度の市場規模であると推定しており、売上金額から派遣スタッフの給料や関連する費用を控除した売上総利益金額は820億米ドル程度(注5)と推定しています。当社グループは、同市場において中長期的に、テクノロジーを活用して人材派遣事業の効率化につながるサービスを提供し、既存の事業の枠組みを超えた事業展開の可能性を模索していきます。
グローバル人材マッチング市場規模は、経済成長及び労働市場の状況との連関性が高く、各国政府による新型コロナウイルス感染症の拡大防止対応の影響を受けて、2020年を含む今後の市場規模が大幅に縮小することを当社は想定しています。しかし、現段階で合理的に影響規模を見積もることは困難です。そのような状況において、当社グループは、人材マッチング事業にて培ってきた事業ノウハウやテクノロジーを活用しながら、過去に類を見ない厳しさに直面している求職者及び求人企業をサポートし、戦略的な投資を積極的に進めることによって、中長期的な目標到達に向けて邁進します。
「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションによる企業の生産性改善
当社は、中小企業への展開余地が大きいSaaSソリューション等、テクノロジーを駆使した業務・経営支援サービスには、大きな事業成長のポテンシャルがあると考えています。
当社のSaaSソリューションの中心となる「Air ビジネスツールズ」は、「商うを、自由に。」をビジョンに掲げ、予約・受付管理、会計、決済からシフト管理等、企業の日々のアナログな業務にかかる時間やコストの軽減を実現する業務・経営支援ソリューションです。メディア&ソリューション事業で展開する広告事業の各領域及びその他の領域の企業クライアントに対して横断的に、「Airレジ」や「Airペイ」等をAirブランドのもとで展開しています。
当社は「Air ビジネスツールズ」を通じて、日本国内において、事業領域や産業の垣根を超え、中小企業の抱える様々な共通課題に積極的にアプローチし、それらを解決することを目指しています。企業の経営者や従業員が管理業務から解放され、本来の事業そのものにより集中することができれば、それらの企業における生産性の向上や、更なる持続的成長にも貢献します。ひいては、企業の事業進化やサービス水準向上と、個人ユーザーの満足度向上に繋がると当社は考えています。
「Air ビジネスツールズ」を導入する企業クライアントの獲得に際しては、これまで当社が培ってきた中小企業への広告サービス提供における強固なポジションを活用した既存企業クライアントへのアプローチや、ウェブメディア等を活用した新規企業クライアントへのアプローチ等を効率的に進め、アカウント数拡大に取り組んでいます。また、「Air ビジネスツールズ」のプラットフォーム上で提供するサービスの拡大においては、他社との提携等も積極的に検討し、より効果的なソリューション提供を追求していきます。
当社は、日本における「Air ビジネスツールズ」の潜在店舗数を約290万程度(注7)と推定しており、アカウント数拡大の余地は依然として大きいと認識しています。直近では、日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業の推進が追い風となり、決済サービスである「Airペイ」のアカウント数(注8)が特に増加しており、2020年3月末時点では約14.9万、前年同期比167%増となりました。消費増税が施行された2019年10月以降も多くの企業クライアントから「Airペイ」導入の要望をいただいています。
また、「Airペイ」を利用する企業クライアントによる「Air ビジネスツールズ」の他ソリューションとの併用が増加しています。2020年3月末時点の「Airペイ」アカウント数(注8)約14.9万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約10.2万となりました。今後も「Airペイ」のアカウント数(注8)の伸長が、「Air ビジネスツールズ」の総アカウント数増加に寄与していくと考えています。
(参考)「Air ビジネスツールズ」のプラットフォーム

メディア&ソリューションSBUにおける「リクナビDMPフォロー」サービスへの勧告、指導を受けたガバナンス強化
当連結会計年度において、当社グループのメディア&ソリューション事業(人材領域)に属する子会社の㈱リクルートキャリアが運営していたサービス「リクナビDMPフォロー」(2019年8月4日にサービスを廃止)に関し、㈱リクルートと㈱リクルートキャリアは、個人情報保護法及び職業安定法に違反していることを理由として個人情報保護委員会及び東京労働局より勧告・指導を受けました。当社としても個人情報保護委員会及び東京労働局からの一連の勧告・指導を重く受け止め、再発防止に努めています。
再発防止策の一つとして、2019年12月、㈱リクルートに外部有識者を加えたデータ活用に関する「諮問委員会」を発足し、計4回にわたって、最適なプライバシー保護の在り方も含めたデータ活用の方向性について議論を進めました。その結果を受け、2020年4月にメディア&ソリューション事業における個人情報に関する統一した指針として「パーソナルデータ指針」を制定し、㈱リクルートのホームページにおいて発表しています。
加えて、2020年4月にはメディア&ソリューションSBUにおける国内主要各社の法務機能を統合しました。商品サービスの開発プロセスの標準化、個人情報に関する従業員教育の強化等の再発防止策についても既に開始しており、今後も継続していきます。
当社のキャピタルアロケーションについては、以下を優先順位として設定しています。
- 既存事業の継続的な成長に資する投資
- 安定的かつ継続的な配当
- HRテクノロジー事業を中心とした戦略的M&A
- 市場環境及び財務状況の見通しを考慮した上での自己株式取得
また、資本効率については、ROE15%の水準を目安として設定しています。個別の投資案件の実行の是非を判断する際は、資本コストを上回るハードルレートを適用する等、資本効率の実現に取り組んでいます。
2 【事業等のリスク】
(リスクマネジメント体制)
当社グループでは、当社の取締役会の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置し、各SBU(Strategic Business Unit)のリスク対応状況のモニタリングを行うとともに、当社グループ全体を取り巻くリスクを分析し、グループにとって重要なリスクとその対応策について審議・決定し、取締役会に報告しています。
また、事業領域に応じて適切なリスク対応を実施するため、当社に加えて、3つのSBUすべてにリスクマネジメント委員会を設置し、各SBUにおける重要なリスク及びその対応策を審議・決定し、配下の子会社も含めたリスク低減活動とそのモニタリングを実施しています。
その他、取締役会に対して定期的にコンプライアンス及びリスクマネジメントに関する情報提供を行い、取締役会が当社グループの状況や対応を、適切にモニタリングできる体制を整えています。
(当社グループの経営成績等に影響を与えるリスク)
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
また、新型コロナウイルスに関するリスクについては以下において説明する複数の個別のリスクと関連しますが、本報告書提出日時点における当該リスクの大きさに鑑み、(1)にまとめて説明しています。
なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しが困難な状況において、日本を含む世界における消費活動が低迷すると同時に企業活動も低調なものとなり、当社グループの事業においても売上収益等の業績に影響が生じています。この状況を踏まえ、以下に、当社グループの経営成績等に影響を与える新型コロナウイルス感染症に関するリスクについて説明します。
HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業で構成される人材マッチング事業においては、米国や欧州を中心とする各国の外出禁止令等による影響から、経済環境見通しの悪化による人材採用活動の鈍化が同事業の業績に影響を与えます。
HRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業の人材領域においては、人材採用活動の鈍化による企業クライアントの求人広告出稿数の減少や企業説明会等イベントの中止が継続する場合、売上収益が減少して当社グループの経営成績等に影響を与えます。派遣事業においては、企業クライアントによる派遣労働者受入れの需要の減少が継続する場合、売上収益が減少して当社グループの経営成績等に影響を与えます。
メディア&ソリューション事業の販促領域においては、日本国内での緊急事態宣言や外出自粛要請を受け、国内旅行者数や外食機会の減少、結婚式の中止や延期等の影響による企業クライアントの広告出稿数の減少等が同事業の業績に影響を与えます。通常の消費行動が制限される状況において、企業クライアントによる広告出稿の停止が継続したり低価格プランへ移行する傾向が継続する等の場合、売上収益が減少して当社グループの経営成績等に影響を与えます。
メディア&ソリューション事業が展開する「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションは、無料ソリューションの提供やマーケティングプロモーション等により企業クライアントのアカウント数拡大に注力している段階です。特に決済サービスである「Airペイ」のアカウント数(加盟店舗数)は日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業の推進が追い風となり、増加しています。今後、企業クライアントにおける事業活動が低迷し、当該ソリューションの利用を停止する企業クライアントが増加する場合には、「Airペイ」を筆頭に、アカウント数拡大のスピードが鈍化する可能性があります。
上記の業績への影響の他、新型コロナウイルス感染症の影響により生じ得る以下の事由等が当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
・個人ユーザー及び企業クライアントのサービスに対するニーズや嗜好の変化が生じ、それらに対し的確かつ迅速に対応することができない場合、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少
・業績及びその見通しの悪化が見込まれる場合、既に認識した減損額を超えた、買収に伴い発生したのれんや無形資産についての減損損失の計上
・業績及び事業環境の悪化に伴う信用状況の悪化、債権回収の遅延や貸倒れの増加等による資金繰り悪化
・不安定な為替市場における急激な為替変動
・景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社の信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社が望む条件で適時に資金調達を行えないこと
・従業員、外部委託先等の事業者等、当社グループの業務やオペレーションに携わる多数の人員が新型コロナウイルス感染症に罹患し、当社グループの業務やオペレーションに支障が生じ、又は停止を余儀なくされる事態の発生
当社グループの業績は、一般的に日本、米国、欧州及び豪州を中心とする各国の景気等の経済情勢、社会情勢及び地政学的状況に影響されます。特に、HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業で構成される人材マッチング事業は、経済情勢の不透明感又は悪化に伴う企業の雇用環境の変化の影響を受けます。また、メディア&ソリューション事業の販促領域においても、経済情勢等の変動により個人ユーザーの消費が低迷すること等に伴って、企業クライアントが広告宣伝費を削減する可能性があります。
新型コロナウイルスによる影響の継続に加え、日本において依然として継続するデフレーションや長期的な少子高齢化及び総人口の減少等、米国を中心とする保護主義の台頭とそれによる貿易相手国との関係悪化、英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)等による欧州の経済・政治情勢の不透明感又は悪化等、当社グループが事業を展開する各国の経済情勢の不確実性が高まっていることに加え、中国経済の減速、北朝鮮及び中東諸国の地政学的リスクの増加等、グローバルの経済情勢等に及ぼす影響も懸念されます。
経済情勢等の停滞・悪化により当社グループのサービスに対する需要が低迷する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの各事業が事業展開を行う市場には、複数の競合他社が存在する上、参入障壁が必ずしも高くない事業も存在するため、他業種の事業者等を含む新規参入者による市場への新規の参加が比較的容易であり、競争はより激しくなる傾向にあります。これらの市場の中には、テクノロジーの重要性が高く、テクノロジーの進歩が非常に速いものがあるため、当社グループが技術革新に対応できない場合や競合他社が技術革新に成功した場合、業界の動向が一変し、当社グループが大きく市場シェアを失う可能性や当社グループの将来の事業展開が著しく困難となる可能性があります。
これらの市場においては、ブランド・ロイヤリティ、法規制及び大きな資金力や既存の顧客基盤等により競争上の優位性を維持することが必ずしも容易ではありません。当社グループの競合他社の中には、グローバルに事業展開を行う巨大テクノロジー企業を中心に、テクノロジー、ビジネスモデル、資金力、価格競争力、グローバル又は特定の地域における認知度、既存ユーザー層の厚さ、クライアントとの関係、人材の確保、独自のサービス及び営業・マーケティング力それぞれの点において、現在当社グループより優位に立つ事業者も存在します。このような競合環境において当社グループが競争力を維持できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、当社グループが、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズ又は嗜好の変化等に対応できないこと、その提供するサービスの機能向上を図れないこと、当社グループの提供するサービスについて競合他社との十分な差別化を図れないこと、競合他社が当社グループより低い価格で同水準のサービスを提供すること、競合他社が個人ユーザーの嗜好にあったサービスを導入すること及び競合他社間が合併・統合等により競争力を高めること等によっても、当社グループの競争力を維持できなくなる可能性があります。また、企業クライアントが自らユーザー基盤を確立し、当社グループのサービスを利用しなくなる可能性もあります。
当社グループは、特に日本では、メディア&ソリューション事業の多くの主要事業において既に高い市場シェアを獲得しているため、それらの領域において更なる成長を達成する難易度は高く、クライアントが当社グループに支払う広告宣伝費を維持又は増加できない場合や、当社グループが過去に取引実績がなかったクライアント等に対する新規開拓が進まなかった場合には、当社グループが持続的な成長を達成することは困難となる可能性があります。仮に当社グループが市場シェアを維持又は増加するために価格を下げ、又は新サービスを導入する場合には、当社グループの事業の収益性が低下する可能性があります。
当社グループが競争力や市場シェアを維持するためには、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化に対応する必要があります。また、昨今、従来のマスメディアによる情報発信だけでなく、急速に普及したインターネット・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等により、リアルタイムでの情報発信が行われていることや、技術革新により多様なサービスが比較的少額の投資で短期間に個人ユーザーに普及し得ること、新たなデバイスの普及によりユーザー・エクスペリエンスが大きく変わり得ること等により、個人ユーザーのニーズの移り変わりや、これを受けた企業クライアントのニーズの変化は非常に激しくなっています。
また、HRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業においては、当社グループのオンラインプラットフォームへの広告出稿が売上収益の多くを占めますが、一部のサービスにおいては企業クライアントのニーズに即するために出稿期間を短期に設定することも可能であるため、当社グループのサービスを継続的に使用しない可能性や、他のプラットフォーマーへの乗り換えが容易になる可能性があります。
更に、新型コロナウイルスの影響により、今後個人ユーザーの生活様式や企業クライアントの事業運営の方法が変わる可能性や、それに伴い個人ユーザー及び企業クライアントのニーズや嗜好が変化する可能性があります。
当社グループがこのような個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化を的確かつ迅速に把握できない場合や、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに対応する当社グループのサービスの適切なタイミングでの改良又は開発及びサービスの提供ができない場合並びにこれらのニーズにより合致したサービスが他社により新たに開発された場合、個人ユーザー及び企業クライアントそれぞれのニーズと利害のバランスの取れたサービスを提供することができない場合には、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少、又はそれに対応した値下げ等による利益率の低下、かかる利益率の低下に対応するためのビジネスモデルの改良又は開発が成功しないこと等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
テクノロジー業界においては、技術革新のサイクルが極めて速く、競合他社が使用するテクノロジー、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに影響することから、当社グループが競争力を維持するためには、将来における技術革新を予測して、新たなテクノロジーへの投資と導入・事業化を継続的に行う必要があります。このような技術革新に関しては、以下のような様々なリスクが伴います。
・当社グループが技術革新や業界標準技術のトレンドを正確に予測することができず、結果として当社グループが採用又は開発した新技術等が、そもそも事業化できない、又は使用可能となってもその時点では陳腐化、競争力低下等が生じているリスク
・高度な専門性や斬新なアイデアを創出する技術者又はマネジメントを確保又は育成できない、又はかかる技術者の確保又は育成に多額の費用が発生するリスク
・技術革新に対応するために必要なシステム・技術インフラを維持又は更新できない、そのために多額の費用が発生する、又は適切なシステム・技術インフラの取捨選択に失敗するリスク
・5G等の新たな通信技術や端末や業界標準技術の多様化及び進化に対応した改良が適時に行えない、又は既存のシステム又は設備等の改良や新たな開発等により多額の費用が発生するリスク
・新技術を適用した商品又はサービスに、想定していないバグ、欠陥又は不備があるリスク
・新技術をいち早く導入した企業や、新技術をより効果的に利用する企業との間で新たな競争が生じるリスク
これらの各要因により、当社グループが追加の費用の支出を余儀なくされ、又は技術革新に対応することが困難となる場合、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、急速に変化するインターネット事業環境等に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取り組むため、SBU単位で事業価値の拡大に取り組んでいます。また2020年5月に発表した中長期の経営戦略において、全てのSBUで展開する人材マッチング市場において、グローバルリーダーとなることを目指しています。
当該事業戦略は、広範で地理的にも多様な事業ポートフォリオの構築を通じた持続可能な成長を志向していますが、このためには既存事業の拡大に加え、戦略的な提携や買収の慎重な実施を含む新規事業への参入が必要です。しかし、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測や各種施策が有効であるとの保証はなく、また、以下に記載するリスク要因を含む様々なリスク要因が存在するため、当該中期事業戦略が当社グループの将来の業績の向上につながらない可能性や、将来において当該中期事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があります。
買収等の成長投資により事業規模を拡大しつつ、Indeed及びGlassdoorを中心にオンライン求人広告市場での持続的な成長を企図しています。しかし、オフライン求人広告市場からオンライン求人広告市場への需要の転換が想定通りに進まない等、オンライン求人広告市場が想定通りに成長できない可能性や投資が期待通りの収益を達成しない可能性があります。また、当社グループによる新しいテクノロジーへの対応の遅れ、人材市場における個人ユーザーや企業クライアントのニーズの急激な変化、新たな法規制の導入、競争環境の激化等により、当社グループが事業機会を捉え収益化することができない可能性があります。
既存の広告事業での持続的成長を目指すとともに、中小企業等のクライアントを対象としたSaaSソリューションによる業務・経営支援サービスを展開しています。しかし、当社グループが新規の個人ユーザーや企業クライアントを獲得できない、又は競合他社よりも魅力的・革新的なサービスを提供できないことにより、当社グループが提供する業務・経営支援サービスが個人ユーザーや企業クライアントに採用されない可能性があります。また、企業クライアントの事業活動の低迷により、業務・経営支援サービス事業において当社グループが期待する収益化ができない可能性があります。
グローバルレベルで事業の収益性の向上を図ります。しかし、各国の経済環境見通しの悪化に伴う雇用環境の悪化や、当社グループが事業展開する主要な法域における法規制の強化等により、収益性が想定通りに向上しない又は悪化する可能性があります。
また、人材マッチング市場においては、市場における当社グループのプレゼンスの拡大を目指して投資を行います。現在、当社グループは、HRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業におけるオンライン求人広告市場での人材マッチング事業を展開していますが、今後は、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場並びに人材派遣市場においても、テクノロジーの活用により業務プロセスを自動化・効率化し、より費用対効果が高くより高い生産性をもたらすマッチングソリューションを提供することを目指しています。
しかし、かかるソリューションの開発や導入ができない可能性や人材市場の急激な変化に対応できない可能性、当社グループのソリューションが市場に受け入れられない可能性、かかるソリューションの提供に必要な投資を回収できない可能性があります。
更に、新規事業の展開全般については、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業に対する個人ユーザー及び企業クライアントのニーズが想定を下回り又はその嗜好や需要が変化した場合、新たな国又は事業への参入やそのための人材確保・育成に要する費用が想定よりも増加する場合、当該市場での競争が激化した場合、個人ユーザーに対する訴求力や取引する企業クライアント数を増加させるための施策が不十分である場合等には、既存事業の拡大や新規事業の開発のための投資に見合った収益を得られない可能性があります。
また、当社グループは、人材マッチング市場において、先端的なテクノロジーと大量のデータを用いて業務プロセスの効率性を高めるソリューションを提供していきますが、これにより当社グループが運営している人材紹介や人材派遣等の既存事業と、新規に開始又は拡大する事業が競合関係になる場合、当社グループの既存の事業の収益性が低下する可能性があります。
逆に、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業が当初期待していた効果をあげることができなかった場合や当該事業の成長余力が低いと判断した場合には、これらの事業の撤退や事業の縮小を行うことにより、費用又は損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、これらの事業についての撤退や縮小についての判断が遅れた場合には、損失の計上が長期化し、また、撤退等に要する費用や損失が増加する可能性があります。
当社グループでは、長期的な利益成長の実現に向け、海外での事業展開、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、買収や出資、協業・提携を機動的かつ積極的に実行しており、今後も、将来の当社グループの業績や企業価値の向上に貢献すると判断した場合には、これらを実行していきます。
買収や出資における対象会社の選定においては、対象会社の事業計画とそのリスク等を予測して行いますが、これらの予測を誤る場合には、買収した企業が期待された収益やシナジーを生み出さず、当該買収等により生じた投資の回収に想定以上の期間を要する可能性や、投資の回収を図れない可能性があります。
特にテクノロジー企業の買収や出資については、対象会社のテクノロジーが初期段階に留まることや技術革新が急速に発生し得ることから、かかる買収・出資においては、上記のリスクはより高まる可能性があります。加えて、適切な対象企業又は合弁パートナーを見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、買収、合弁事業その他の提携行為を行うこと自体ができない可能性があります。
この他、革新的なテクノロジーや人材の獲得等を目的に、社歴が浅く経営管理体制が不十分な企業を買収する場合や、利益を計上していない企業を買収する場合、十分なデューディリジェンスが実施できない場合には、想定していなかった又は想定していた金額以上の債務の存在やコンプライアンス上の問題点が買収後に判明する可能性があります。
また、当社グループが対象企業の支配権を有しない案件においては、出資先の経営に対して十分なコントロール又はモニタリングができない可能性や、事業開始後に経営方針の相違等から期待した収益が得られない可能性があります。
更に、買収や協業・提携の実施には、事業・テクノロジー等の統合や期待したシナジーの実現が困難となる可能性や多額の費用が発生する可能性、協業先・提携先に対して、当社グループの保有するノウハウやマネジメント・人材・取引先が流出する可能性、各国における法規制、労使関係、文化、言語等の違いや政治・経済情勢により買収等の実施又はその後の対象会社の経営が困難となる可能性、買収や投資のために借入が増加する可能性があります。
また、将来的に各合弁パートナーとの間で何らかの理由により協業・提携関係に支障をきたすような事態が発生した場合、当該事業の経営成績等に影響を与え、又は当該事業の継続が不可能になる可能性があります。当社グループのHRテクノロジー事業においては、革新的なテクノロジーや人材の獲得を目的に、比較的社歴の浅く利益を計上していない企業の買収・出資が増加することが見込まれますが、かかる買収・出資においては、上記の各リスクはより高まる可能性があります。
当社グループは、米国、欧州、豪州及びアジア諸国等多くの国と地域で事業を展開しています。
当社グループがこれらの多様な国と地域で事業を展開する上では、又は既に事業を展開していた国と地域以外にも新たに事業を展開していく上では、各国・地域の政治情勢、経済情勢、法規制、税制、当局による監督、商慣習及び文化の差異、個人ユーザー及び企業クライアントの嗜好、インターネット・モバイル機器の普及状況、労働問題、言語の差異、国際関係の悪化、訴訟の多発、外資規制、人材確保の困難性、海外における当社グループの知名度の相対的な低さ、多様な国・地域における事業のモニタリングの困難性等、事前に想定することの困難な様々な課題に対応する必要があります。
これらの課題に適時適切に対応できない場合、各国・地域の事業展開において当社グループが期待する成果を上げられず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループが、競争上の優位性の確保、事業環境の変化への対応又は持続的な成長を可能とするためには、マネジメント・技術・営業等の様々な分野において優秀な人材を確保しかつ育成する必要があります。近年、特にHRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業において、優秀なIT技術者の確保及び育成が重要となってきていますが、かかるIT技術者の確保又は育成ができない場合や優秀な人材を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、マネジメントや技術者を含む重要な人材が競合他社等に流出した場合や、当社グループが想定するよりも多くの離職が生じ、新たな人材を確保できない場合には、当社グループの競争力や社会的信用が悪化し、経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが人材の多様性等を確保した良好な職場環境や、リモートワーク等、従業員にとって柔軟な職場環境を整備できない場合には、優秀な人材の採用や確保に影響を及ぼすことやイノベーションを阻害すること等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、当社グループの人材派遣事業においては、当社グループが派遣する社員が安全かつ衛生的に働ける職場環境が派遣先において整備されていない場合、派遣社員の人権が侵害され、当社グループの経営成績等やブランド及び社会的信用に影響を与える可能性があります。
当社グループは、その事業の運営に際し、個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報及び機密情報を大量に保有しています。当社グループによる個人情報の取扱いについては、日本における「個人情報の保護に関する法律」(以下、「個人情報保護法」という。)、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」や米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」等、当該国・地域の個人情報に関する法律が適用されます。
これらの法規制は、法域ごとに異なるものとなる可能性や、近年の個人情報及び機密情報の管理に対する意識の高まりから内容が複雑化しており、その遵守や事業運営のための費用が増加する可能性があります。更に、これらの個人情報等の取扱いに関する法規制には、制定又は施行されてからの期間が短いため当局の解釈及び運用は必ずしも明確でないことがあり、かかる解釈や運用によっては、当社グループの従来の情報の取扱いと整合しない可能性があります。
一方で、当社グループの事業において個人情報や機密情報等を含むデータやそれを管理・運用するテクノロジーの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおけるデータの運用が意図せず法規制の違反や個人ユーザー又は企業クライアントの不利益又は不信感を招き、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受ける可能性、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起される可能性や当社グループのブランドの価値及び信用が毀損する可能性があります。
また、個人情報等の取扱いに関する法規制が今後より厳格となる場合又は当社グループが法規制の違反若しくは社会的な意識の高まりその他の理由に基づき個人情報や機密情報等の管理・運用に関する当社グループの方針の変更を余儀なくされる場合には、情報の活用に対する制約が増すことにより、当社グループのサービスの品質が低下し、個人ユーザー又は企業クライアントが減少する可能性や、多種かつ大量の個人情報を用いて事業を展開する当社グループの優位性が失われ若しくは経営戦略の見直しを迫られる可能性があります。
更に、第三者によるセキュリティ侵害、ソフトウエアのバグ、ハッキング、従業員の故意又は過失等によって、当社グループが保有する個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報や機密情報の外部流出又は不正使用等が発生した場合、当社グループは個人ユーザーや企業クライアント等に対する損害賠償責任を負うとともに、当局から業務の停止につながり得る行政処分等を受ける可能性がある等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
これらに関連し、当連結会計年度において、当社グループのメディア&ソリューション事業(人材領域)に属する子会社の㈱リクルートキャリアが運営していたサービス「リクナビDMPフォロー」(2019年8月4日にサービスを廃止)に関し、㈱リクルートと㈱リクルートキャリアは、個人情報保護法及び職業安定法に違反していることを理由として個人情報保護委員会及び東京労働局より勧告・指導を受けました。
当社グループでは個人情報保護委員会及び東京労働局からの一連の勧告・指導を重く受け止め、再発防止に努めています。また、再発防止策に留まらず、個人情報・機密情報の適切な取り扱いに関して当社グループ全体のガバナンスの強化に取り組むべく、当社としても指示・監督を実施していますが、かかる再発防止策やガバナンスの強化の施策が有効に機能せず、今後当社グループについて類似の事案が発生する場合には、当局からの行政処分、個人ユーザーからのクレームや訴訟、当社グループの信用の毀損、当社グループのサービスへの需要の減少、追加の再発防止策の策定・実施等により、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステムやセキュリティの強化等の対策を行っていますが、その事業の運営において情報ネットワーク及びコンピュータシステムを多岐にわたり使用しているため、災害・事故等による通信ネットワークの障害、ハードウエアやソフトウエアの欠陥や事故によるシステム障害、過失や妨害行為、コンピュータウイルスや第三者による不正アクセス等のサイバーアタックが生じた場合、システムや通信ネットワークが使用できなくなることや、当社グループが保存する当社の個人ユーザー又は企業クライアントの個人情報及び機密情報が喪失又は流出することにより、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループのメディア&ソリューション事業においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、「Air ビジネスツールズ」 等のSaaSソリューションを提供していますが、これらのシステム障害等やサービスの中断等が発生した場合には、当社グループがこれにより個人ユーザー又は企業クライアントに対する損害賠償責任や補償金の支払い等を負担する可能性があることに加え、当社グループが提供するサービスへの信頼喪失を招き、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、システムの運用やメンテナンス等の一部を第三者に委託しているため、システムの不具合等について当社グループ自身で対処できない可能性があります。更に、情報インフラの構築、運用、拡張に係るシステム投資や維持費用が将来大幅に増加する可能性もあります。
当社グループは、様々なサービスをアプリケーション等のソフトウエア及びデバイスを通じて個人ユーザーや企業クライアントに提供しています。これらの開発過程において検証やテストを実施し、動作確認には万全を期していますが、サービス提供開始後に、ソフトウエアやデバイスに重大なバグや欠陥が発生し、当社グループのサービスの一部又は全部を正常に提供することができない可能性、個人ユーザーや企業クライアントのデータの消滅や書換えその他かかるデータを適切に保護できない可能性、第三者によるデータの不正入手、取引停止等が発生する可能性があります。
また、当社グループの提供する一部のサービスにおいては、オンライン上でのユーザー獲得、オンライン予約管理、POSレジ、決済等のクライアントが事業を運営する上での主要な機能全般をカバーするため、アプリケーションの欠陥等が発生した場合、クライアントに重大な損害が生じる可能性や、個人ユーザー又は企業クライアントの機密情報や個人情報が喪失又は流出する可能性があります。
今後当社グループは、メディア&ソリューション事業において、中小企業を含むクライアントの事業運営の効率化と生産性の向上を企図する包括的なソリューションである「Air ビジネスツールズ」等のSaaSソリューションを拡大する方針であるため、係るリスクはより高まることが見込まれます。これらの影響により、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求が提起され、又は行政処分が課される等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。個人情報保護、データ保護、電気通信、消費者保護、労働、人権、反贈収賄、税法、独占禁止法等、当社グループに適用される法令等に違反した場合、当社グループの事業運営、業績及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、一定の事業を行う上では各国・地域の許認可等を取得するとともに、当局の監視を受けることがありますが、当社グループがかかる許認可等を失い又は当局から業務停止命令、罰金、その他の処分を受ける場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があります。
更に、将来当社グループに適用される法令等の新設又は改正、司法・行政解釈等の変更がある場合、複雑化する法規制への対応の遅れや、それにより当社グループが事業機会を逸する可能性や、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、近時、企業と人権問題に関する活発な議論がなされていますが、当社グループが人権に関する法令に関して適切に対応できない場合、当社グループのブランドに影響を与える可能性があります。
当社グループの事業に適用される法令等には、主として以下のものがあります。
HRテクノロジー事業は、米国の「Communications Decency Act」、「California Consumer Privacy Act」、「Telephone Consumer Protection Act」、「Wiretap Act」、「Stored Communications Act」、「Fair Credit Reporting Act」、EUの「欧州連合一般データ保護規則」、日本の「個人情報の保護に関する法律」や「職業安定法」等の適用を受けています。これらの法令が改正された場合や法令に関する行政解釈又は司法解釈が変更された場合、また、かかる変更を受けて実務の運用が変更された場合、HRテクノロジー事業の事業内容に制約が生じ、又は当該法令の改正への対応に時間やリソースを要する結果、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、現在、HRテクノロジー事業に適用のある法令以外にも、テクノロジー分野における法令の整備は十分に進んでおらず、欧州や米国においてはテクノロジー分野に関する規制を強化する動きもあり、将来、HRテクノロジー事業に適用される法令が新たに制定され、規制が強化される可能性もあります。例えば、個人ユーザーの行動履歴情報を収集・分析し、広告に反映することを規制する法規制が新たに制定された場合、HRテクノロジー事業を従来通りに遂行することができなくなり、HRテクノロジー事業の事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。
メディア&ソリューション事業においては、個人ユーザー及び企業クライアントの情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」等の各国の個人情報保護法制の適用を受けます。
また、販促領域においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、「Air ビジネスツールズ」を提供していますが、当該サービスについては、「割賦販売法」の適用を受けています。
人材領域における日本での人材紹介事業は、「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業です。当該事業についても、一定の要件を満たさない場合には許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令の対象となる可能性があり、また、関係諸法令の改正により、当社グループが受領する手数料に変更が生じる場合があります。
人材派遣事業における国内派遣領域については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を取得して行っています。
また、人材派遣事業の海外派遣領域は、事業展開する各国・地域の規制に従い業務を遂行しています。一例として米国では、派遣事業に関する連邦法の他、州法により規制が行われています。
日本及び海外における人材派遣事業において、当社グループによる法令違反等が発生した場合又は派遣事業者の欠格事由に該当する場合には、許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令等の対象となる可能性があります。
また、日本における労働関連法令の改正により、コンプライアンスに係る多額の費用が発生するとともに、規制違反のリスクが高まる可能性があります。特に、2020年4月より施行された「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の改正による「同一労働同一賃金の原則」により、人材派遣事業に係る費用が増加する可能性や人材派遣へのニーズが減少する可能性があります。
当社グループは、その事業活動の遂行過程において、個人ユーザー、企業クライアント及び競合他社その他の関係者から、当社グループが提供するサービスの不備、派遣社員も含む労働者の労務管理、個人情報及び機密情報の漏洩若しくは知的財産の侵害又は当社グループのプラットフォームにおける個人ユーザーの不適切な投稿やクライアントによる違法出品若しくは虚偽誇大広告等に関する訴訟その他の法的手続を提起され、また当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたすおそれがあります。
かかる法的手続は長期かつ多額となることがあり、また結果の予測が困難となる場合があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの事業活動において、当社グループのブランドは重要な影響力を有していると認識しています。当社グループの提供サービスに不備がある場合、当社グループの情報セキュリティに問題が生じた場合、当社グループのブランドの価値の維持及び強化のための投資が十分でない場合、競合他社がより競争力のあるブランドを確立した場合に加え、当社グループに不利なメディア報道があった場合、更にはインターネットやSNSで根拠の乏しい風説が流布された場合等に、当該内容が真実か否かにかかわらず、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。
更に、当社グループの従業員による不正行為、当社グループの雇用環境に関する従業員又は派遣社員からのクレーム、当社グループへの訴訟の提起等によっても、当社グループのブランドの価値が毀損されることがあります。更に、当社グループの事業においてテクノロジーやデータの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおいて使用されるAI等のアルゴリズムや、当社グループ又は他社によるデータの運用が予期せぬ結果を招き、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。
また、当社グループ自身による行為だけでなく、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントによって、特に当社グループの提供するオンラインプラットフォームにおいて、不適切な投稿、求人を装ったフィッシング詐欺等、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為及び詐欺その他の法令違反行為が行われた場合、当該行為者だけでなく、当社グループもサービスの提供者として責任を問われ、当社グループに対して損害賠償請求訴訟が提起され、又は当社グループのブランドの価値が著しく毀損される可能性があります。
更に、第三者が無断で当社グループのサービスと同一又は類似の名称を使用してサービスを行った場合にも、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。このようにして当社グループのブランドの価値が毀損された場合、個人ユーザーや企業クライアントによる当社グループのサービスの利用が減少すること等によって、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループのHRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業における一部のサービスでは、主にインターネット上でのユーザー獲得において、グローバルに事業展開する巨大企業が提供する検索エンジンサービスを活用しており、今後、当該検索エンジン運営者による検索に関するアルゴリズムの変更又は競合他社の動向等によって、検索結果の表示が当社グループにとって有利に働かない状況が生じる可能性があります。このような場合には、当社グループが運営するインターネットサイトにおけるユーザー獲得の効率が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、当社グループのサービスを提供するためのアプリケーションを、グローバルに事業展開する大手テクノロジー企業やプラットフォーム運営事業者を通じてユーザーに提供しており、更に、当社グループの一部のサービスについては、当社グループの企業クライアントへの営業活動等に関し、外部の販売代理店を利用しており、また、当社グループのオペレーションにおいては、外部事業者の提供するデータセンターやデータサーバー、クレジットカード会社等の決済処理サービスを利用しています。
しかし、これらの外部事業者において、サービス提供を中断・中止する場合やネットワークの質が低下する場合、これらの外部事業者との関係が終了又は悪化する場合、これらの外部事業者による個人ユーザーや企業クライアントに関するデータの保護が十分でない場合、使用料・手数料の値上げその他当社グループに追加的な費用が発生する場合には、当社グループの事業に影響を及ぼし、営業力が減退する等、当社グループの事業の縮小又は中断、個人ユーザーや企業クライアントの喪失又は減少、競合他社へのノウハウの流出、新たな競合他社の参入等につながる可能性があります。
更に、当社グループが事業の一部を委託する外部事業者等に対するモニタリングが不十分であることにより、外部事業者における労務問題その他の法令違反等に対して適時適切に対応できなかった場合には、当社グループの社会的信用を毀損し、又はクライアントとの関係を悪化させ経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの提供するオンライン上のサービスについては、インターネットサービスプロバイダーや通信事業者等の外部事業者に依存しています。これらの事業者が、ネットワークインフラやクッキー等の利用を制限する措置を講じる場合や、当社グループの事業が展開されている法域で政府がインターネットへのアクセスを制限する場合には、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントが減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、成長戦略の一環として、新規又は既存のサービスの認知度の維持・向上や、個人ユーザー及び企業クライアントの拡大を目的として、広告・マーケティング活動を積極的に行っています。
特にインターネットユーザーの多くは、検索サイトやスマートデバイス(スマートフォンやタブレット端末等)におけるアプリケーション等を利用して必要な情報を入手しているため、特に当社グループのHRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業においては、各サービスのユーザー獲得効率は、検索エンジンの表示結果やスマートデバイスのアプリケーションの利用状況等に大きく影響されます。人材派遣事業においても、特に労働者が不足している市場では、派遣労働者の登録者数増加のためのマーケティング活動の成否が重要です。
また、当社グループにとってより有利な検索結果を表示させるために検索エンジン運営者に手数料を支払うこととなる可能性や、テレビ・オンラインでの広告宣伝費等、当社グループが個人ユーザーや企業クライアントとの接点を多く確保するために要する費用が将来更に増加する可能性、かかる広告宣伝費の増加が当社グループの事業拡大に有効に機能しない可能性もあります。
(18) 自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク
地震、台風及び津波等の自然災害、火災、停電、感染症の伝染並びに戦争及びテロ攻撃等が発生した場合、当社グループのサービスや業務に従事する従業員、業務委託先の従業員、派遣社員が大量に罹災・罹患することや、各国政府における非常事態宣言や外出禁止等の措置に伴う業務の制限、地震等による当社設備の損壊等により、当社グループのサービス提供、その他事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
特に、これらの自然災害又は有事等により、当社グループのITシステムに障害等が生じた場合や、データサーバーが機能不全に陥る場合、インターネット関連サービスの提供が困難となり、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントの満足度が低下し、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらの影響が広範囲にわたる場合には、復旧に相当の時間及び費用を要する可能性があり、また障害が発生した期間やその後において正常なサービスの提供に支障が生じる可能性があります。
また、大規模な自然災害等が発生した場合、当社グループの企業クライアントの事業の中断や休止等並びに個人ユーザーのライフイベント活動の休止や日常消費活動の縮小等の二次的影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、買収に伴い発生するのれんや無形資産を含む資産を連結財政状態計算書に計上していますが、急激な景況の悪化や事業環境、競合状況の変化、法規制の変更、当社の事業戦略の変更、資産の処分等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該のれんや無形資産等の資産について減損損失を計上する可能性があります。
当社グループが買収した又は今後買収する子会社の中には、スタートアップ等事業の収益化が実現していない段階にあり、成長投資の成果が発現し投資に見合うキャッシュ・フローが生じるまでには一定期間を要するものも含まれるため、当該買収に伴い発生するのれんや無形資産等について、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。同様に、当社グループが主として投資目的から非支配株主として保有する関連会社株式についても、当該関連会社の業績によっては、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。
また、当社グループは、長期的・持続的に成長するために、業務提携等、事業戦略上取引関係等の維持・強化の必要性があると考えられる上場会社を含む相手企業の株式を政策保有株式として保有しています。当社グループは、原則として保有する全ての株式を公正価値で評価しており、当該株式の公正価値が著しく下落した場合、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、日本をはじめ、事業を展開している各法域において、法人税をはじめとした各種の税制の対象となっています。当社グループの連結ベースでの課税額や実効税率は、これらの法域でその年度に適用される税制、繰延税金資産や負債の評価方法、課税所得の額とその関連法域毎の配分状況等の影響を受けます。
また、これらの法域での政治経済状況等により税制関連法令の改正や解釈変更が実施された場合に、課税額や実効税率が上昇し、また各国における税制の相違により当社グループが求められる対応が複雑となり、これに対応するためのコストが増加する等、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶリスクがあります。また、当社グループは、グローバルに事業を展開しており、適用される各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
当社グループが提供するオンラインサービスについては、一部の国においてデジタル課税の新たな税制が導入され、いまだ導入されていない各国・地域においてもデジタル課税等の新たな税制が今後導入される可能性もあり、かかる新たな税制の内容によっては、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループは、定期・不定期に関連税務当局による税務調査の対象となっており、それらの時期や結果の予測は困難です。
これらの税務上のリスクが発現した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの海外事業の取引は、主に米ドル、ユーロ及び豪ドル等の外貨建てで行われており、近年は外貨建ての取引が占める割合が増加しています。当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表では、海外子会社の現地通貨建ての資産及び負債を各四半期末日の直物為替レートにより、収益及び費用は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートにより日本円に換算しています。
これらの要因により、当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表は、為替レートの変動による影響にさらされており、為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループでは為替変動リスクを軽減するため、通貨スワップや為替予約等のデリバティブ契約を締結することがありますが、為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動によっては当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、為替変動により当社グループが事業を営む国・地域におけるマクロ経済環境が悪化する場合や、当社グループによる海外事業の買収・提携等に係るコストが増加する場合等には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの事業資金及び投資資金の一部は、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。このため、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。
また、金融機関からの借入や社債等には各種コベナンツが規定されている場合もあり、当社グループの業績、財政状態又は信用力の悪化等の要因でいずれかのコベナンツへの抵触が不可避な場合には、これらの条項に基づき残存する債務の一括返済を求められる可能性や、金利及び手数料率の引上げや新たな担保権の設定を求められる可能性があります。
これらの要因により、当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、目標とする経営指標の見込みや財務方針等を掲げる場合がありますが、かかる経営指標の見込みや財務方針等は、経済状況の変化、経営環境、個人ユーザーの嗜好の変化、企業クライアントのニーズの変化、他社との競合、技術革新の動向、法規制の変更及び為替変動等に係る多くの前提に基づいて作成されています。
また、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測やそれに対応する各種の施策が有効であるとの保証はなく、当社グループがこれらの経営指標の見込みや財務方針等を達成できない可能性があります。
当社の株価は、過去において急激に変動したことがあり、今後も、本「事業等のリスク」に記載の各リスクの発現をはじめとして、当社グループの業績、業績予想、配当等の株主還元策に関連する変化、更には外部メディアによる報道、当社株式の需給関係に相応の影響を与え得る当社株式の売却若しくはその懸念、外部アナリストによる評価の発表や変更、当社グループが属する各業界の環境、経済・金融・政治環境の変化等による株式市場の広範な価格下落、株価指数への当社株式の追加や除外、テクノロジー業界における株価動向や、当社グループ及び競合他社による新サービス・技術革新・買収・提携、資金調達等に関する公表等、当社グループが予想・制御できないものも含んだ様々な要因によって、株価が急激に変動する可能性があります。
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(当第4四半期及び当連結会計年度)
(単位:十億円)
(注1)「全社/消去」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。
(注2)調整後EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)±その他の営業収益・費用
(注3)当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」という。)を適用しており、これに伴い経営指標をEBITDA(注4)からIFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。なお、IFRS第16号の適用に当たっては、適用による累計的影響を適用開始日に認識する方法を採用しており、前連結会計年度の調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン欄には、調整後EBITDAが経営指標として採用される前のEBITDA及びEBITDAマージンの数値を記載しています。
(注4)EBITDA:営業利益+減価償却費及び償却費±その他の営業収益・費用
(注5)調整後EBITDAマージン:調整後EBITDA/売上収益
(注6)調整後EPS:調整後当期利益(注7)/(期末発行済株式総数-期末自己株式数)
(注7)調整後当期利益:親会社の所有者に帰属する当期利益±調整項目(注8)(非支配持分帰属分を除く)±調整項目の一部に係る税金相当額
(注8)調整項目:企業結合に伴い生じた無形資産の償却額±非経常的な損益(注9)
(注9)非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注10)四半期においては、「当期」を「四半期」、「期末」を「四半期末」に読み替えて計算
(注11)外貨売上収益×(当期採用平均為替レート-前期採用平均為替レート)
(注12)HRテクノロジー事業については、月次の平均為替レートを適用
(注13)第4四半期については、連結会計年度と第3四半期累計の為替影響額の差額
(連結経営成績の概況)
当第4四半期は、新型コロナウイルス感染症の影響を一部受けたものの、その影響は主に2020年3月以降に発現したこと及びそれ以前の安定した業績を背景に、当第4四半期及び当連結会計年度における当社業績に及ぼす影響は限定的でした。
当第4四半期における売上収益は5,897億円(前年同期比1.6%増)となりました。HRテクノロジー事業は引き続き増収となりましたが、メディア&ソリューション事業及び人材派遣事業は減収となりました。なお、売上収益に対する為替影響額は80億円のマイナス寄与となり、その影響を控除した売上収益は前年同期比3.0%増となりました。当連結会計年度における売上収益は23,994億円(前連結会計年度比3.8%増)となり、売上収益に対する為替影響額483億円のマイナス寄与を控除した売上収益は前連結会計年度比5.9%増となりました。これは主に、HRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業が増収となり、特にHRテクノロジー事業の売上成長が寄与したことによるものです。
当第4四半期における営業損失は62億円(前年同期は営業利益309億円)となりました。これは主に、メディア&ソリューション事業の海外販促分野及び人材派遣事業の豪州におけるのれん及び無形資産の減損損失310億円を計上したことによるものです。この影響を控除した当第4四半期における営業利益は247億円(前年同期比19.9%減)となりました。当連結会計年度における営業利益は2,060億円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。これは主に、当連結会計年度にのれん及び無形資産の減損損失を計上したことによるものです。この影響を控除した当連結会計年度の営業利益は、2,374億円(前連結会計年度比6.4%増)となりました。
当第4四半期における税引前四半期損失は35億円(前年同期は税引前四半期利益382億円)となりました。これは主に、のれん及び無形資産の減損損失計上によるものです。この結果、当連結会計年度における税引前利益は2,261億円(前連結会計年度比5.7%減)となりました。
当第4四半期における四半期利益は135億円(前年同期比52.2%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は133億円(前年同期比52.7%減)となりました。当連結会計年度における当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ1,812億円(前連結会計年度比3.3%増)、1,798億円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。
当第4四半期における調整後EBITDAは552億円(前年同期比4.1%増)となりました。これは、メディア&ソリューション事業及び人材派遣事業が増益となったことによるものです。当連結会計年度における調整後EBITDAは3,251億円(前連結会計年度比10.9%増)となりました。これは主に、HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業が増益となったことによるものです。
当第4四半期における調整後EPSは17.38円(前年同期比4.2%増)、当連結会計年度は121.03円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。当第4四半期における配当算定基準とする四半期利益(注2)は249億円(前年同期比3.8%増)、当連結会計年度における配当算定基準とする当期利益(注2)は1,845億円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。
当連結会計年度末時点において、資産合計は19,989億円、負債合計は10,031億円、資本合計は9,957億円となり、現金及び現金同等物の金額は4,212億円、ネットキャッシュ(注4)の金額は2,845億円です。
当第4四半期におけるのれんの減損損失の結果、当連結会計年度末におけるのれんの帳簿価額は3,831億円となりました。セグメント別の詳細は、ii セグメント業績の概況 各セグメントに帰属する地域別のれん金額を参照ください。
(注1)当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号を適用し、会計方針を変更しています。IFRS第16号の適用により、原則として全てのリース契約について、借手はリース期間にわたり原資産を使用する権利及びリース料を支払う義務を、それぞれ使用権資産及びリース負債として認識します。旧基準であるIAS第17号ではオペレーティング・リースに係るリース料を賃借料として費用計上していましたが、IFRS第16号では使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を費用計上します。結果として、IFRS第16号の適用に伴い、賃借料が減少する一方で使用権資産の減価償却費が増加し、EBITDAは増加します。そのため当社では、これまでの経営指標との比較可能性を考慮して、当連結会計年度より経営指標をEBITDAから、IFRS第16号の主な影響を除いた調整後EBITDAへと変更しています。
(注2)親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益±非経常的な損益等(注3)
(注3)非経常的な損益:子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために、当社が非経常的であり、利益指標において調整すべきであると判断した損益
(注4)ネットキャッシュ = 現金及び現金同等物 - 有利子負債(注5)
(注5)有利子負債には、社債及び借入金を含み、リース負債を含みません。
(重要な会計方針、見積り及び仮定)
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。
連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。重要な見積り及び仮定については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の判断、会計上の見積り及び仮定」に記載しています。また、見積り及び仮定は、過去の実績や、合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし、これらの見積り及び仮定には不確実性が存在するため、翌期以降の連結財務諸表において認識する金額と異なる場合があります。
(主な経営施策)
・新型コロナウイルス感染症の拡大に対する当社グループの取り組み
当社は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、従業員とその家族、個人ユーザー、企業クライアント、外部協力パートナー等、当社のステークホルダーの安全確保、感染拡大防止を最優先に考えながら、事業活動に取り組んでいます。日本国内においては、2020年4月7日の日本政府による緊急事態宣言を受け、対象地域において原則全社員在宅勤務、出張全面禁止等、政府の方針や行動計画に基づき、迅速に対応方針を決定・実施し、対象地域拡大にも対応しています。グローバル各拠点においても、各国・地域の規制等に基づき、従業員の在宅勤務や労働環境の安全性の確保を行っています。
新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に、求職活動及び採用活動のオンライン化に対する需要は、各国で拡大しています。このような状況を受け、HRテクノロジー事業においては、求職者が素早く仕事を見つけられるようプラットフォームを改良し、迅速かつ効果的に大規模な採用を必要とする企業クライアントの支援を加速させています。具体的には、オンライン就職イベント、大規模採用に適した求人募集と候補者の適性審査サービス、並びに、エッセンシャルワーカーの採用を求める企業や公的機関を支援するための人材紹介等、フレキシブル且つ拡張性のあるソリューションを提供しています。また、特定のエッセンシャルワーカーを採用する企業や公的機関に対して、上記のサービスを無料や特別価格で提供しています。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大により企業の事業環境が大きく変化していく中、中小企業クライアントの業務負荷削減や生産性向上を目的として展開しているSaaSソリューション「Air ビジネスツールズ」が果たす役割は大きいと認識し、引き続き注力していきます。特に29種(注1)の決済手段が1台で利用可能な非接触決済サービス「Airペイ」は、社会的距離を保つことが求められる社会のニーズに応えることができると考えています。今後も個人ユーザーや企業クライアントのニーズに合わせたソリューション提供を推進していきます。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、オンライン教育サービスへの需要も高まっています。メディア&ソリューション事業においては小、中、高等学校の臨時休校を受けて、オンライン学習サービスの「スタディサプリ」及び「スタディサプリ for TEACHERS」を自治体・学校に無償提供(注2)し、320校以上で92,000人以上の生徒が利用しました。
他にも各事業において、多様なステークホルダーの皆様に対する様々な支援・取り組みを行っています。詳細は以下のホームページに掲載しています。
https://recruit-holdings.co.jp/newsroom/covid19.html
今後も新型コロナウイルス感染症の拡大がもたらす社会の様々な変化を的確に捉え、テクノロジーを活用したマッチング事業の更なる磨きこみにより、世界的な変革期における社会を支援するサービスを提供していきます。
(注1)2020年3月末時点
(注2)2020年3月3日から4月30日に実施
・メディア&ソリューション事業の組織再編
当社連結子会社である㈱リクルート(メディア&ソリューションSBU統括会社)は2021年4月を目途に㈱リクルート傘下の完全子会社である主要な中核事業会社・機能会社7社を中心に㈱リクルートに統合します。メディア&ソリューション事業は、2012年に領域別マーケットにおける意思決定スピードを上げ、競争優位性を築き、多様な人材の能力を獲得・活用することを目的に、事業会社と機能会社に分社をしました。
2012年以来7年の間にこれらの目的は概ね実現できたと総括する一方、「“事業の競争優位性”と“社会的な価値”のバランスをとること」、「多様な人材の能力を十分に生かすための場の提供」、「多様なノウハウを共有・展開すること」の重要性と難しさに直面しました。当社グループの基本理念「私たちは新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す」の実現に立ち返り、これまでに各社が培った多様な人材と事業運営ノウハウを一社に集約し、全社の価値と成長に繋げることに注力可能な組織とすることが最適であると判断しました。
今後は、ガバナンス・マネジメントの強化を進めながら、各領域のマーケットで必要な商品を素早く開発する力、それを素早く提供する力、そしてそれらを支える人材育成の強化を図り、新しい価値を創造し、将来を担う事業の育成・強化に取り組んでいきます。
本件の詳細については以下をご参照ください。
:2020年1月6日付「当社連結子会社である㈱リクルート(メディア&ソリューション事業)の組織再編に関するお知らせ」
https://recruit-holdings.co.jp/ir/ir_news/20200106_01.html
HRテクノロジー事業
HRテクノロジー事業は、Indeed、Glassdoor及びその他の関連する事業で構成されています。Indeed及びGlassdoor共に、求人情報の検索をはじめ、履歴書の開示、企業情報やそのレビュー等、求職活動を支援する一連の機能を提供するオンラインプラットフォームです。企業クライアントに対しては、Indeed及びGlassdoorはそれぞれ、求人広告の掲載や採用のための企業ブランディング等を通して採用活動を支援します。Indeedは、クリック型や成功報酬型課金の求人広告、並びにIndeedにオンライン登録された多数の履歴書を含む採用候補者の募集と適性を審査する機能等、多岐に亘る採用ソリューションを通して効率的な採用活動を支援します。
当第4四半期における売上収益は1,063億円(前年同期比18.1%増)となり、米ドルベース売上(注1)の前年同期比は、19.4%増となりました。売上収益の増加は主に、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大による影響が発現する前の2020年2月までの概ね堅調な経済環境及び逼迫した労働市場を背景に、有料求人広告利用が増加したことによるものです。また、IndeedとGlassdoorにおいて、採用候補者の適性審査機能や企業ブランディング等の採用ソリューション事業(注2)への注力も寄与しました。この結果、当連結会計年度における売上収益は4,249億円(前連結会計年度比30.0%増)となり、米ドルベース売上(注1)の前連結会計年度比は32.7%増となりました。
当第4四半期のセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は83億円(前年同期比20.7%減)となりました。当第4四半期のセグメント利益マージンは7.9%となり、前第4四半期の11.8%から減少しました。これは主に、新規の個人ユーザー及び企業クライアントの獲得に向けたマーケティング活動への投資を継続したことによるものです。これらの費用の伸び率は売上収益の伸び率を上回りました。また、今後の売上成長を促進するため、個人ユーザーと企業クライアント双方へのサービス拡充を図るプロダクトの強化等に引き続き重点的に投資を行っており、このような投資のタイミングは四半期毎に変動します。当連結会計年度のセグメント利益は712億円(前連結会計年度比50.2%増)となり、セグメント利益マージンは16.8%となり、前連結会計年度14.5%から増加しました。これは、当連結会計年度の費用の増加率が売上収益の増加スピードより低かったことによるものです。
当事業セグメントの業績は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注1)当事業セグメントの現地決算数値であり、当社連結決算数値に含まれる数値とは異なります。
(注2)IndeedとGlassdoorが提供する機能は各国によって異なります。
(注3)前第4四半期及び前連結会計年度はEBITDA及びEBITDAマージン、当第4四半期及び当連結会計年度は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
メディア&ソリューション事業
当事業セグメントは、販促領域及び人材領域の2つの事業領域にて構成されています。
販促領域は各分野で当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアへの広告を通じて企業クライアントの集客を支援しています。代表的なオンラインプラットフォームとして、住宅の売買や賃貸等に関する「SUUMO」、結婚に関する「ゼクシィ」、主に国内旅行に関する「じゃらん」、飲食店に関する「HotPepperグルメ」、ヘアサロン等美容サロンに関する「HotPepper Beauty」等があります。更に、「Air ビジネスツールズ」等を中心としたSaaSソリューションを展開し、主に中小企業クライアントの予約・顧客・販売管理、決済、従業員管理、その他の事業運営等をクラウドを活用してサポートしています。また、販促領域は各分野で当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアからの情報を通して、個人ユーザーに日常生活におけるより多くの選択肢を提供しています。
直近では、日本政府によるキャッシュレス・消費者還元事業が追い風となり、決済サービスである「Airペイ」のアカウント数(注)が特に増加しており、2020年3月末時点では約14.9万、前年同期比167%増となりました。また、「Airペイ」を利用する企業クライアントによる「Air ビジネスツールズ」の他ソリューションとの併用が増加しています。2020年3月末時点の「Airペイ」アカウント数(注)約14.9万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約10.2万となりました。今後も「Airペイ」アカウント数(注)の伸長が、「Air ビジネスツールズ」の総アカウント数の増加に寄与していくと考えています。
人材領域は当事業セグメントが有するオンラインプラットフォーム及び紙メディアを通じて、企業クライアントの採用活動及び個人ユーザーの求職活動を支援するサービスを提供しています。具体的には、「リクナビ」、「リクナビNEXT」、「タウンワーク」等、様々な雇用形態に合わせた求人広告サイトや「リクルートエージェント」等の人材紹介事業を中心とした事業を運営しています。
当第4四半期における売上収益は1,928億円(前年同期比0.4%減)となりました。販促領域は、主に住宅分野、旅行分野、美容分野等が増収となり、前年同期比7.5%の増収でした。一方、人材領域は国内人材募集分野が減収となり、前年同期比8.6%の減収となりました。
販促領域では新型コロナウイルス感染症の影響発現が主に2020年3月以降だったため、業績に与える影響は限定的でした。しかし、外出自粛要請等により旅行分野及び飲食分野では、売上収益への影響がありました。特に旅行分野では、主に2019年4月の価格改定に伴い当第1四半期以降、前年同期比20%程度の増収率が続いたものの、当第4四半期は宿泊者数減少及び宿泊単価の下落が続き、増収率は12.7%に減少しました。
人材領域では、前年同期比8.6%の減収となりました。これは主に、製造業を含む一部業界における経営環境の不透明感が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて多くの業界に拡大し、企業クライアントが採用活動に慎重になったことによるものです。
当連結会計年度の売上収益は7,559億円(前連結会計年度比4.8%増)となりました。これは主に、販促領域が増収となったことによるものです。
当第4四半期におけるセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は342億円(前年同期比6.1%増)となりました。販促領域では、各分野にて戦略的なマーケティング投資を実施した結果、減益となりました。人材領域では、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みてコスト管理に取り組み、マーケティング投資を抑制した結果、増益となりました。セグメント利益マージンは17.8%となりました。当連結会計年度のセグメント利益は1,829億円(前連結会計年度比6.1%増)、セグメント利益マージンは24.2%となりました。販促領域では増収に伴う増益となり、人材領域ではコスト管理及びマーケティング投資の抑制により、増益となりました。
なお、当第4四半期に海外事業に関連するのれん及び無形資産の減損損失を181億円計上しました。主な対象は、海外販促分野の「Treatwell」を運営するHotspring Ventures Limitedに関する145億円ののれんであり、これまでの長期的な投資を要する規模拡大戦略から投資額をコントロールし、安定的な事業運営を目指す戦略への変更に伴う今後の事業計画の見直しにより、将来キャッシュフローの見積もりを減少させたことによるものです。「Treatwell」の戦略変更は、当事業セグメントにおいて、「Air ビジネスツールズ」を中心としたSaaSソリューションの拡大に向けた成長投資を加速させることを最優先に、既存事業への投資の優先順位を明確にしたことによるものです。
(注)登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
当事業セグメントの業績及び関連データ等は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注1)前第2四半期及び当第1四半期に当分野に属する子会社を譲渡しており、その影響を控除した際の前年同期比は9.9%減、前連結会計年度比は0.9%減(注2)
(注2)前年実績から、譲渡した子会社の前年実績の数値を除いて算出
(注3)前第4四半期及び前連結会計年度はEBITDA及びEBITDAマージン、当第4四半期及び当連結会計年度は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
(注4)当第4四半期及び当連結会計年度における販促及び人材領域に含まれる子会社の一部のセグメント利益はIFRS第16号の適用影響を調整しておらず、当該調整金額は全社/消去に含めていますが、その影響は軽微です。
(注1)キャンセル前予約受付ベース、各連結会計年度期首からの累計数値
(注2)登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
(注3)従来は「スタディサプリ」有料会員数のうち、高校生向けサービスのみを開示していましたが、2019年3月期より、「スタディサプリ」の有料会員数の合計を開示しています。なお、有料会員数とは、小学生、中学生及び高校生向け講座並びに「スタディサプリEnglish」の有料会員数の合算値です。
人材派遣事業
人材派遣事業は、複数の業界にて人材派遣事業やそれに係るサービスを提供しており、国内派遣及び海外派遣の2つの事業領域で構成されています。国内、海外ともにマーケット特性に応じて組織をユニット単位に区分し、権限移譲により、各ユニットがマーケットに最適な戦略を実行することによって、利益の最大化を目指すユニット経営を推進しています。
当第4四半期における売上収益は2,977億円(前年同期比2.1%減)となりました。国内派遣領域においては、新型コロナウイルス感染症による影響が限定的であり、人手不足が継続する環境を受けて増収となりました。海外派遣領域においては、為替影響が売上収益に対して68億円のマイナス寄与となったことや、欧州を中心に継続していた不透明な経済環境が、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、経済見通しがグローバルで悪化したことにより減収となりました。為替によるマイナス影響を控除した場合の売上収益は前年同期比で0.1%増となりました。この結果、当連結会計年度の売上収益は12,481億円(前連結会計年度比3.3%減)となり、為替によるマイナス影響を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比0.2%減となりました。
当第4四半期におけるセグメント利益(セグメント調整後EBITDA)は162億円(前年同期比18.5%増)となりました。当第4四半期におけるセグメント利益マージンは5.4%となり、前年同期の4.5%から増加しました。国内派遣領域においては、主に増収による増益となり、セグメント利益マージンは7.1%(前年同期は5.0%)となりました。海外派遣領域においては、減収に伴う減益となり、セグメント利益マージンは3.9%(前年同期は4.1%)となりました。この結果、当連結会計年度のセグメント利益は812億円(前連結会計年度比2.0%減)となり、当連結会計年度のセグメント利益マージンは6.5%(前連結会計年度は6.4%)となりました。当連結会計年度のセグメント利益マージンは、国内派遣領域においては8.3%(前連結会計年度は7.9%)となりました。海外派遣領域においては、5.0%(前連結会計年度は5.3%)となりました。
なお、当第4四半期において、当事業セグメントでは、128億円ののれん及び無形資産の減損損失を計上しました。主な内訳は、豪州のChandler Macleod Group Limitedに関連する78億円ののれんの減損損失及びドイツのUSG People Germany GmbHに関連する38億円の無形資産の減損損失です。これは、対象各社の展開国における不透明な経済環境の影響等により、当連結会計年度の業績が計画を下回ったことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響が期末日以降相当程度続くと仮定した上で、今後の事業計画を保守的に見直した結果、将来キャッシュフローの見積もりを減少させたことによるものです。
海外派遣領域をはじめ当事業セグメントでは、不透明な経済環境の中、引き続きユニット経営の強化による生産性改善を通してセグメント利益マージンのコントロールに注力します。
当事業セグメントの業績は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注1)為替影響額を控除した際の海外派遣領域の当第4四半期及び当連結会計年度の売上収益は前年同期比5.7%減、前連結会計年度比3.8%減
(注2)前連結会計年度及び前第4四半期はEBITDA及びEBITDAマージン、当連結会計年度及び当第4四半期は調整後EBITDA及び調整後EBITDAマージン
当連結会計年度の地域別売上収益(注)は以下のとおりです。
(単位:十億円)
(注) 北米、欧州、豪州については子会社各社の売上の単純合算値
各セグメントに帰属する地域別のれん金額
当連結会計年度末の各セグメントに帰属するのれんの帳簿価額は以下のとおりです。
(単位:十億円)
当社は、借入による資金調達を有効に活用しつつ、格付を意識した財務の健全性を維持することを財務方針としています。
自己資本の水準は、成長投資の機会等に対して機動的に対応できる財務基盤を整えること及び事業活動や資産のリスクと比較して十分であることを基本方針としています。当連結会計年度末時点において、親会社の所有者に帰属する持分は9,884億円、親会社所有者帰属持分比率は49.4%です。
資本効率については、ROE15%の水準を目安に設定し、株主資本コストを上回る資本効率の実現に取り組んでいます。個別の投資案件の実行是非を判断する際は、資本コストを上回るハードルレートを適用しています。
株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本方針とし、業績と将来必要となる自己資本の水準を総合的に勘案した利益還元を行うこととしています。連結配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から非経常的な損益等の影響を控除した上で30%程度を目安としています。なお、自己株式の取得については、市場環境及び財務状況の見通し等を踏まえ、実施の是非について検討します。
運転資金、法人税の支払い、各事業セグメントにおけるM&A及び資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得等に資金を充当しています。
また、当連結会計年度の各事業セグメントにおける設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1.設備投資等の概要」をご参照ください。
運転資金及び投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を充当することを基本としていますが、資金需要及び金利動向等の調達環境並びに既存の有利子負債の返済及び償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。外部資金調達を行う運転資金のうち、原則として、短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせ、中長期の運転資金については、金融機関からの借入、社債又はその組み合わせにより調達することとしています。なお、当社は、機動的な資金調達を可能とするため、2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。
また、当社は、流動性を確保し、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関4社と当座貸越契約を締結しています。なお、当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当社は2020年4月30日に総額3,999億円のコミットメントライン契約を締結しました。2020年6月30日時点で、当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。これらにより、当社は事業環境の激しい変化の際にも十分な流動性を確保することを図っています。
(有利子負債)
当連結会計年度末の社債及び借入金の帳簿価額・期日別残高は以下のとおりであり、期日別残高は利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しています。
当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(以下、「R&I」という。)、ムーディーズ・ジャパン㈱(以下、「ムーディーズ」という。)及びS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱(以下、「S&P」という。)から長期格付を取得しています。当連結会計年度末における格付の状況は、以下のとおりです。
・R&I:AA-
・ムーディーズ:A3
・S&P:A
当社は、グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、かつ経済合理性が認められることを前提として、主にキャッシュマネジメントシステムを通じたグループファイナンスにより、グループ内での資金貸借の実施を外部借入よりも優先しています。
当社は、当社及び財務統括子会社に全ての通貨のキャッシュマネジメントを集約することで、当社グループが保有する現金及び現金同等物の機動性を確保しています。
当社グループは、経済危機等の環境変化や成長投資機会へ機動的かつ柔軟に対応できる十分な資金を有しています。当連結会計年度末時点において、現金及び現金同等物の金額は4,212億円、ネットキャッシュ(注1)の金額は2,845億円です。
(注1)ネットキャッシュ = 現金及び現金同等物 - 有利子負債(注2)
(注2)有利子負債には、社債及び借入金を含み、リース負債を含みません。
資金運用は、投機目的で行わず、元本が保証され、安全かつ確実で効率の高い金融商品のみで行うこととしています。
(単位:十億円)
資産
流動資産は前連結会計年度末比209億円(2.6%)増加しました。これは主に、現金及び現金同等物が増加したことによるものです。
非流動資産は前連結会計年度末比2,289億円(24.4%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴い使用権資産が増加したことによるものです。
負債
流動負債は前連結会計年度末比141億円(2.8%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴いリース負債が増加した一方、未払法人所得税が減少したことによるものです。
非流動負債は前連結会計年度末比2,123億円(76.1%)増加しました。これは主に、IFRS第16号の適用に伴いリース負債が増加したことによるものです。
資本
資本は前連結会計年度末比234億円(2.4%)増加しました。これは主に、自己株式の取得により資本が減少したことや、為替レートの変動等によりその他の資本の構成要素が減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したこと等により利益剰余金が増加したことによるものです。
当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、営業活動による収入が投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末比183億円増加し、4,212億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
法人所得税の支払額を計上した一方、主に、税引前利益を計上したこと及びその中に含まれる減価償却費及び償却費等の非資金項目を調整したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
主に、無形資産の取得による支出を計上したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
主に、自己株式の取得による支出及び配当金の支払額を計上したことによるものです。
当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、省略しています。
4 【経営上の重要な契約等】
該当事項はありません。
5 【研究開発活動】
当連結会計年度における研究開発費は