第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営の基本方針

ビジョン・ミッション・バリューズ

当社グループの経営理念として、基本理念、ビジョン(目指す世界観)、ミッション(果たす役割)、バリューズ(大切にする価値観)を掲げています。

 

 

基本理念

 

私たちは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、

一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す

ビジョン

(目指す世界観)

 

 

Follow Your Heart

一人ひとりが、自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生。本当に大切なことに夢中になれるとき、人や組織は、より良い未来を生み出せると信じています。

ミッション

(果たす役割)

 

 

 

 

 

 

 

まだ、ここにない、出会い。

より速く、シンプルに、もっと近くに。

 

私たちは、個人と企業をつなぎ、より多くの選択肢を提供することで、「まだ、ここにない、出会い。」を実現してきました。

 

いつでもどこでも情報を得られるようになった今だからこそ、より最適な選択肢を提案することで、「まだ、ここにない、出会い。」を、桁違いに速く、驚くほどシンプルに、もっと身近にしていきたいと考えています。

バリューズ

(大切にする価値観)

新しい価値の創造

 

世界中があっと驚く未来のあたりまえを創りたい。遊び心を忘れずに、常識を疑うことから始めればいい。良質な失敗から学び、徹底的にこだわり、変わり続けることを楽しもう。

 

個の尊重

 

すべては好奇心から始まる。一人ひとりの好奇心が、抑えられない情熱を生み、その違いが価値を創る。すべての偉業は、個人の突拍子もないアイデアと、データや事実が結び付いたときに始まるのだ。私たちは、情熱に投資する。

社会への貢献

 

私たちは、すべての企業活動を通じて、持続可能で豊かな社会に貢献する。

一人ひとりが当事者として、社会の不に向き合い、より良い未来に向けて行動しよう。

 

 

 

 

これらを実現するため、当社グループが創業より大切にし活用してきたリボンモデルをビジネスモデルの基礎としています。リボンモデルとは、個人ユーザーと、企業クライアントのマッチング・プラットフォームを作り出し、より多くの最適なマッチングソリューションを提供することにより双方の満足を追求するビジネスモデルです。

 

現在は、テクノロジーとデータを活用することで、マッチングの更なる効率性向上と高速化に注力し、個人ユーザーに対して最適な選択肢を提供し、企業クライアントに対して更なる業務効率化を支援しています。

 

② 企業活動の重要な基盤

当社は持続的な企業価値の向上を目指してステークホルダーとの共存共栄をする上で重要となる企業活動の基盤を、ステークホルダーとのESGを含む対話や、当社の取締役会・各委員会等における議論を踏まえて特定しています。各テーマについては、取締役会の諮問機関である各委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認をすることで、取組みを推進・強化していきます。

 

コーポレート・ガバナンス

当社は、取締役 兼 常務執行役員 兼 COOを、ESG推進を含めたコーポレート・ガバナンスの責任者と位置づけてこれを強化していくと共に、指名委員会及び報酬委員会での審議を踏まえて、取締役会にて、中長期での適切なコーポレート・ガバナンス体制や役員報酬のあり方を確認しています。また、監査役を含めた取締役構成員のジェンダーダイバーシティの推進に関しては目標を定めて取り組むとともに、2022年3月期からは、業務執行取締役の報酬にESG要素を反映することを決定しています。

当社のコーポレート・ガバナンス方針及び役員報酬については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を、取締役構成員に関する目標については、本項目「(3)経営戦略、Prosper Together -ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。

 

人的資本

当社グループは、従業員の意欲を最大化することを改めて経営の重要テーマとし、人的資本の強化、特にダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)と従業員エンゲージメントに重点的に取組みます。ジェンダーの多様性については、経営戦略の一環として当社グループ全体で目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしていきます。詳細は、本項目「(3) 経営戦略、Prosper Together -ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。

 

企業倫理の徹底

当社グループでは、コンプライアンスを法令遵守の枠を越えて、企業と個人が適正な行動を行うことで社会的な期待や要請に応えていくことと位置づけ、事業活動の大前提としています。企業倫理の徹底のため、従業員教育等の施策、内部通報窓口の設置を行うとともに、コンプライアンス委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ②内部統制システム整備の状況」をご参照ください。

 

データセキュリティ・データプライバシー対応

当社は、データセキュリティ・データプライバシー対応を当社グループのトップリスクとして設定し、保有するデータを重要性に応じて分類の上、事業内容・国や地域ごとの法規制や保護すべき情報資産の特性に応じて必要な体制や施策を整備しています。また、リスクマネジメント委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

人権の尊重

当社は、当社グループの役員と従業員、当社グループ会社の派遣サービスに登録している方々を直接の保護の対象と位置付け「リクルートグループ人権方針」を掲げ、テクノロジーの急速な発達の中で影響を受ける人権の保護も含めて定めています。人権方針の策定にあたっては、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて決議しています。

 

地球環境の保全

当社は、すべての企業活動はあらゆる生命の生存基盤である地球環境が健全であってはじめて成り立つと考え、様々な活動を行っています。特に気候変動対策については重要テーマと位置づけ、当社グループ全体で温室効果ガス排出量のカーボンニュートラル達成に向けた目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗管理と議論をしていきます。詳細は、本項目「(3) 経営戦略、ProsperTogether -ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。

 

なお、気候変動に伴う当社グループのリスク及び機会については、取締役 兼 常務執行役員 兼 COOを責任者として識別、評価、管理を行うとともに、2022年3月期よりTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく開示に向けて検討を開始します。また気候変動対策を適切に行うため、取締役会が必要な体制を整備し、監督します。

 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、長期的な利益成長と企業価値及び株主価値の最大化に向け、新規事業投資や開発費用、M&A等の成長投資を機動的且つ積極的に実行していきます。そのための主な経営指標を調整後EBITDA(注1)及び調整後EPS(注1)と設定し、特に調整後EBITDAの達成度を役員の報酬に連動させることにより、株主の皆様との価値共有を促進しています。

 

(注1) 調整後EBITDA、調整後EPSの注釈は、本報告書の冒頭に記載しています。

 

 

(3) 経営戦略

当社グループでは、テクノロジーの進化等により急速に変化する事業環境に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取り組んでいます。具体的には、HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業を通して、人材マッチング市場におけるマッチングの圧倒的な質の向上と、メディア&ソリューション事業が提供する、SaaSソリューションによる日本の企業クライアントの業績向上及び生産性改善を目指しています。

 

加えて、不確実性が高まる中で持続的な企業価値向上を目指すためには、健全なガバナンスの基で、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、全てのステークホルダーとの共存共栄を目指す必要があると考えています。そのためESG(環境・社会・ガバナンス)について具体的な目標を掲げ、取締役会においてその進捗状況を確認し議論するとともに、ステークホルダーとの対話を継続しながら、その実現に向けて取組んでいます。

 

当社グループ全体の経営戦略

当社グループ全体の経営戦略と対処すべき課題は、以下のとおりです。

 

Simplify Hiring - 人材マッチング市場におけるマッチングの質の圧倒的な向上

 

当社グループは、グローバルな人材マッチング市場において、テクノロジーとデータを駆使してマッチングの質とスピードを圧倒的に向上させ、採用プロセスを簡単にすることを目指しています。HRテクノロジー事業のIndeedとGlassdoor、メディア&ソリューション事業、人材領域のタウンワークやリクナビといったオンライン求人プラットフォーム、人材紹介サービス、人材派遣事業等、人材マッチング市場の多くの領域で事業を運営しながら、同時に、これまでの伝統的な人材採用手法やプロセスの革新に取り組んでいます。

 

世界最大規模の求人情報及び企業情報プラットフォームであるIndeedとGlassdoorによって、多様な求職者や、事業規模を問わず多くの企業クライアントが利用するグローバル人材マーケットプレイスを構築してきました。当社グループのテクノロジーは求職者に最適な求人情報を提供し、企業クライアントに最適な採用候補者を紹介することができ、求人広告市場のみならず、その他の人材マッチング市場にも変革をもたらすことが可能です。

 

長期的には、長年蓄積されたマッチングデータとAIや機械学習を組み合わせることで、ボタンをクリックするだけで求職者と企業クライアントのマッチングができるような、より速く効率的な採用を目指します(注1)。これは人材マッチング市場において当社グループが事業展開しているすべての領域に応用できると考えています。

 

当社グループは、オンライン求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、人材派遣市場の総称と定義する人材マッチング市場について、2020年におけるグローバル市場規模を1,440億米ドル程度(注2)と推定しています。

 

HRテクノロジー事業の主な事業展開領域である、オンライン求人広告及び採用ツール市場はグローバルで年間売上金額ベースで160億米ドル程度(注3)と推定しており、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年は市場規模が縮小したものの、長期的には成長すると考えています。一方で、当社グループが年間売上金額ベースで30億米ドル(注4)を超える規模と見積もるオフライン求人広告市場は新型コロナウイルス感染症の影響で2020年は市場規模が縮小しましたが、今後もオンライン求人広告市場に流入を続けながら縮小していくと考えています。当社グループは、Indeed及びGlassdoorを中心とするHRテクノロジー事業を主軸として、オンラインツールを活用したマッチングの効率性向上によって、同市場での持続的な成長を目指します。

 

前連結会計年度においては、人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場を人材マッチング市場の構成要素の1つとしていましたが、当連結会計年度においては、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場の2つに分けて記載しています。

 

人材紹介市場は、2020年におけるグローバル市場規模を320億米ドル程度(注5)と推定しています。当社グループはメディア&ソリューション事業の人材領域にて事業展開していますが、同市場における多くのサービスは属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルを採用しています。当社グループは、Indeed HireやIndeed Hiring Eventsで得た知見や技術を基に、最近リリースしたIndeed Hiring Platform等のツールを用いて、ソーシング、スクリーニング、面接の日程調整、採用後の配置等のプロセスを自動化することで、同市場での長期的な成長を目指します。また、テクノロジーを活用した効率化とコスト削減により、企業クライアントが現在利用している社外のサービスやソフトウェアを代替することを目指します。

 

加えて、現在は企業クライアントの採用担当者が行っている採用関連業務を、テクノロジーを活用し自動化することで中長期的に事業機会を創出していきます。当社グループは、この事業機会と人材紹介市場を組み合わせたものを採用オートメーション市場と定義しています。採用オートメーションは発展の初期段階にあるため、現時点では市場規模の定量化は行っていません。

 

また、エグゼクティブサーチ市場はグローバルで年間売上金額ベースで210億米ドル程度(注5)の市場規模であると推定しています。当社グループは、主にメディア&ソリューション事業の人材領域にて同事業を展開しています。同市場における多くのサービスは、人材紹介市場と同様に属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルによるものですが、HRテクノロジー事業にて、テクノロジーを活用した人材マッチングサービスIndeed Hireを導入し、現状の業界水準対比で非常に効率的且つ費用対効果の高いサービスを提供することで、同市場での成長を目指します。

 

更に、人材派遣市場は、グローバルで年間売上金額ベースで3,930億米ドル程度(注5)の市場規模であると推定しており、売上金額から派遣スタッフの給料や関連する費用を控除した売上総利益金額は720億米ドル程度(注6)と推定しています。当社グループは、同市場において中長期的に、テクノロジーを活用して人材派遣事業の効率化に繋がるサービスを提供し、革新的なソリューションの可能性を模索していきます。

 

グローバル人材マッチング市場規模(注7)は、経済成長及び労働市場の状況との連関性が高く、各国政府による新型コロナウイルス感染症の拡大防止対応の影響を受けて、2020年は市場規模が縮小しました。当社グループは、2021年に新型コロナウイルス感染症の影響が低減するに伴って人材マッチング市場は再び成長に転じると想定しており、人材マッチング事業で培ってきた事業ノウハウやテクノロジーを活用しながら、求職者及び求人企業をサポートしていきます。

 

(注1)

当社グループは当該領域において法的規制が存在する可能性を認識しており、それらの規制を遵守するよう努めています。

(注2)

本項に記載する、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介、及びエグゼクティブサーチ市場における売上金額ベースのそれぞれの市場規模、並びに人材派遣市場における売上総利益ベースの市場規模に関する当社グループによる推計値の単純合計額。当社グループによる推計値の算出方法は(注3)から(注6)をご参照ください。

(注3)

2020年における当社グループがHRテクノロジー事業のサービスを提供している国のオンライン求人広告におけるHRテクノロジー事業の売上及び主要な競合他社の売上総額についての外部調査機関のレポートの数値を当社グループの推計に基づき一部保守的に修正した金額にLinkedInのタレントソリューション事業の年間売上金額について同社の公表資料から当社グループの推計に基づき保守的に修正した値を合算した額

(注4)

オンライン求人広告及び採用ツール市場の160億米ドル((注3)をご参照ください。)に、2020年における広告市場全体におけるオンライン広告及びオフライン広告(但し、テレビ、映画及びラジオ広告等を除く。)の比率(外部調査機関のレポートに基づく。)を乗じた額

(注5)

SIA, Global Staffing Market Estimates and Forecast: 21 May 2021に基づく2020年のグローバル人材市場の売上金額である4,450億米ドルに、そのうち「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」が占める割合である12%を適用して市場規模を算定。同資料においては、人材紹介市場を「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」の一部と分類し、「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」をグローバル人材市場の一部と分類しています。人材紹介市場の市場規模は、上記SIAの資料におけるグローバル人材市場規模の数値に対し、当社が第三者機関から入手した非公開の市場データである当該セグメントのグローバル人材市場に対する国別の比率を適用して算定。エグゼクティブサーチ市場は、人材紹介市場を除いた「人材紹介及びエグゼクティブサーチ市場」の一部として定義され、これら2つのセグメント間の差分として算定

(注6)

SIA, Global Staffing Market Estimates and Forecast: 21 May 2021に基づく2020年の人材派遣市場の売上金額3,930億米ドルに、2020年におけるグローバル人材派遣上場企業の売上金額上位3社の売上総利益率の加重平均18.2%を適用して算出した額

(注7)

本項に記載する求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、及び人材派遣市場の市場規模については、(注2)から(注6)に記載のとおり外部の統計資料や公表資料を基礎として当社グループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と大きく異なる可能性があります。

 

 

 

Help Businesses Work Smarter - SaaSソリューションによる日本国内企業クライアントの業績及び生産性向上

 

メディア&ソリューション事業は、日本国内の企業クライアントの業績及び生産性の更なる向上の支援を目指しています。当社が従前より日本国内の販促・人材領域で提供してきたサービスを更に進化させ、テクノロジーやデータを駆使したオンラインプラットフォームや業務・経営支援ツールであるSaaSソリューションの提供を通じて、企業クライアントの集客・顧客管理、採用や人材管理、決済等にわたる、事業運営に係る経済活動全般を支えるエコシステムを構築していきます。

 

企業クライアントの業績及び生産性の向上のためには、それぞれのお店や企業の事業運営に寄り添うことで課題を特定し、データとテクノロジーを駆使したソリューションの迅速な提供が不可欠です。具体的には、各事業分野における、主に集客支援に特化した既存のオンラインプラットフォームと、それらに付随する業務効率の向上を支援するバーティカルSaaSソリューション及び事業分野を問わず幅広い業界の企業クライアントに共通する事業運営の課題を解決するホリゾンタルSaaSソリューションの開発と提供を進めています。

 

2021年4月に国内の中核事業会社・機能会社7社の統合と組織改編を実施したことにより、従来から営業担当者が培ってきた企業クライアントとの関係を基盤としながら、エンジニアリングやデータサイエンスが企業クライアントの課題解決に迅速に貢献できる組織構造となりました。

 

企業クライアントの事業運営を支えるエコシステムへの進化を実現する過程では、SaaSソリューションの登録アカウント数が最重要指標であると考えています。2021年3月末時点のSaaSソリューション登録アカウント数は、当社が有するマッチングプラットフォームの登録アカウント数を上回って伸長しています。

 

日本国内におけるアカウント数の規模及び今後の成長見通しに関しては、例えばホリゾンタルSaaSソリューションのAir ビジネスツールズの日本における潜在顧客数を約290万程度(注8)と推定しており、アカウント数が成長する余地は依然として大きいと認識しています。新型コロナウイルス感染症拡大による非接触決済手段への需要が高まっていることで、Airペイのアカウント数が特に増加しており、2021年3月末時点では約21.0万(注9)、前年同期比41.7%増となりました。

 

また、AirペイとAir ビジネスツールズの他のソリューションを併用する企業クライアントも増加しています。2021年3月末時点のAirペイアカウント数約21.0万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約13.5万となりました。今後もAirペイのアカウント数の伸長が、SaaSソリューションの利用アカウント数増加に寄与していくと考えています。

 


 

(注8)

出典:総務省・経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査結果」及び中小企業基本法における中小企業者の定義等に基づき、中小企業者の事業所数を業種別に算定した上で、2020年3月末時点のAir ビジネスツールズの利用実績を踏まえて、Air ビジネスツールズの導入可能性があると当社が判断した業種に属する中小企業者の事業所数を合計することにより推計しています。なお、潜在店舗数の推計に当たり、 2020年3月末時点Air ビジネスツールズ登録アカウント数が20アカウント以上存在する業種をAir ビジネスツールズの導入可能性があると判断しています。また、2021年3月末時点のAir ビジネスツールズ登録アカウントは、アクティブでないアカウントを含みます。

(注9)

登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。

 

 

 

 

Prosper Together -ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長

 

当社グループは、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、全てのステークホルダーとの共存共栄を目指していくことが、当社の持続的な成長に繋がると考え、ESG(環境・社会・ガバナンス)について以下の目標を掲げます。

 

環境(E)については、気候変動への取組みとして、2031年3月期に自らの事業活動及びバリューチェーン全体を通した温室効果ガス排出量のカーボンニュートラルを目指します。また短期的には、2022年3月期に当社グループの事業活動における温室効果ガス排出量のカーボンニュートラルを目指します(注10)。

 

社会(S)については、人々にとって欠かせない生活基盤である「仕事」において、当社グループの事業を通じて社会に大きなインパクトを創出することができると考えています。求職者と仕事のマッチングを圧倒的に速くすることで、失業期間の短縮に貢献していきます。具体的には、2031年3月期までに就業までに掛かる時間を、2022年3月期比で半分に短縮することを目指します(注11)。また、マッチングの効率化だけではすぐに解決することが難しい、雇用市場に存在する職に就く障壁をテクノロジーとパートナーシップを活用して低減することで、2031年3月期までに累計3,000万人の障壁を持つ求職者の就業を支援することを目指します(注12)。

 

また当社グループは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にすることで新たな事業やサービスを生み出し、社会に価値を提供してきました。従業員の価値創造に向けた意欲を最大化することを、改めて経営の重要テーマと位置付け、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)に取組みます。特に、ジェンダーについては当社グループ全体で目標を定め、2031年3月期までに上級管理職・管理職・従業員それぞれにおける女性比率を約50%とすることを目指します(注13)。

 

ガバナンス(G)については、経営の透明性と健全性を向上し、経営の意思決定の質を上げるため、2031年3月期までに当社の監査役を含む取締役会構成員の女性比率を約50%にすべく、定時株主総会の選任議案を上程することを目指します(注14)。

 

(注10)

事業活動における温室効果ガス排出量は、スコープ1(オフィスにて直接排出される温室効果ガス)、スコープ2(オフィスにて間接的に排出される温室効果ガス)の合計を示しています。バリューチェーンを通じた温室効果ガス排出量は、スコープ3(スコープ1, 2を除く間接的に排出される温室効果ガス)を示しています。カーボンニュートラルには、温室効果ガス排出量の削減に加え、残りの排出量のオフセットを含みます。

(注11)

求職者がIndeedの求人広告プラットフォームにおいて仕事に応募してから就業するまでの期間。対象データ入手可能先の平均値。

(注12)

人種/民族、年齢、心身障がいの有無、学歴等による障壁を想定していますが、今後も雇用市場における課題を見極めた上で、現在の想定に限定せず、様々な障壁の低減を行っていきます。Indeedの求人広告プラットフォーム上の応募を通じた就業、Indeedが支援する国際NPOのGoodwill Industries Internationalや英国の公益財団であるShaw Trust等を通じた就業等を含みます。

(注13)

2021年4月1日時点の女性比率は、上級管理職において10.0%、管理職において41.5%、従業員において51.5%。上級管理職は、当社及びメディア&ソリューションSBUにおいては執行役員・専門役員、HRテクノロジーSBUと人材派遣SBUにおいては主要子会社社長・重要機能トップを示します。管理職・従業員の女性比率は、当社、全SBU統括会社及び各SBU配下の主要会社にて集計。管理職は、上級管理職以外の部下を持つ全ての管理職。

(注14)

取締役会構成員は、取締役及び監査役の全体を示します。なお、2021年6月18日時点の当社の取締役会構成員(取締役及び監査役)の女性比率は20%。

 

 

 

SBU事業戦略

当社グループ全体の経営戦略を推進するために取り組んでいる各SBU事業戦略は、以下のとおりです。

 

HRテクノロジー事業

より効率的な求職活動及び採用活動の需要に応え、テクノロジーと当社が保有する膨大なデータを活用することにより、IndeedとGlassdoorの求人広告事業及び採用ソリューション事業のグローバル市場での更なる売上収益の成長に注力していきます。

 

メディア&ソリューション事業

販促領域のオンラインプラットフォームを通じた販促支援は、各事業分野の市場における強固なポジションを活かし、継続的な成長を目指します。人材領域における人材マッチングサービスは、サービスの強化及びIndeedとの連携を推進し、企業クライアント数の拡大を目指します。SaaSソリューションの提供においては、企業クライアントのアカウント数の成長に注力していきます。

 

人材派遣事業

幅広い業界で求職者への就業機会や企業クライアントへの柔軟な労働サービスを提供しながら、安定的な事業運営を目指します。国内派遣領域では調整後EBITDAマージン水準の維持、海外派遣領域では調整後EBITDAマージンの継続的な改善に取組みます。

 

 

(4) キャピタルアロケーション方針

当社のキャピタルアロケーションは、以下を優先順位として設定しています。

 

・既存事業の継続的な成長に資する投資

・安定的な配当の継続的な実施

・人材マッチング市場におけるHRテクノロジー事業を中心とした戦略的M&A

・市場環境及び財務状況の見通しを考慮した上での自己株式取得

 

資本効率について、ROE15%の水準を目安として設定しています。個別の投資案件の実行の是非を判断する際は、資本コストを上回るハードルレートを適用する等、資本効率の実現に取組んでいます。

 

 

2 【事業等のリスク】

(1) リスクマネジメント体制

 

① リスクマネジメントに関する規程

当社では、当社グループ全体のリスクマネジメントの体制を体系的に定める「リクルートグループリスクマネジメント規程」や、重大案件の迅速な報告及び情報共有を行うことを目的とした「リクルートグループエスカレーション細則」を制定し、グループ全体のリスクマネジメントを、当社グループの事業の継続及び安定的な発展を確保するために重要なものと捉えて積極的に取組んでいます。

 

② リスクマネジメント委員会

当社は、取締役会の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置しています。当社のリスクマネジメント委員会は、当社の取締役及び執行役員が参加し、各SBUのリスクマネジメント状況のモニタリングを行い、その状況及び当社におけるリスクマネジメント状況も踏まえてグループリスクマップを基に、当社グループを取り巻くリスクについての包括的な議論を行っています。その上で、当社のリスクマネジメント委員会においてグループトップリスクを選定し、その対応策やモニタリングの方針を決定しています。

 

③ 当社及びSBUにおけるリスクマネジメント体制

当社は、リスクへの対応のポイントが日本と海外とで差異があると考えていることから、リスクマネジメント本部配下にJapan担当とInternational担当の執行役員を配置し、それぞれの特性に応じて、グループトップリスクへの対応を行っています。加えて、当社の内部監査所管部署においてグループトップリスクへの対応状況の業務監査を円滑に実施することができるよう、当社のリスクマネジメント所管部署は当社の内部監査所管部署とも適時に情報共有を行い、連携をしています。

 

また、SBUにおけるリスクマネジメント体制は以下のとおりです。

 

- SBU統括会社では、当該SBUにおけるリスクマネジメント担当役員を任命し、当該SBUにおける子会社の事業に関連するリスクマネジメントの状況のモニタリングを行っています。これに加え、SBU統括会社は、それぞれSBUリスクマネジメント委員会を半期に一度開催し、SBUを取り巻くリスクを包括的に確認して議論を行うとともに、SBUのトップリスクの選定と対応策の決定を行い、それらのリスクの状況のモニタリングを行っています。

- SBUリスクマネジメント委員会には当社のリスクマネジメント本部担当取締役 兼 常務執行役員も参加し、SBUにおけるリスクマネジメント状況を確認しています。各SBUの子会社においては、リスクの洗い出しや重要性の判断、対応策の実施等、リスク管理を実施することとしています。

 

当社のリスクマネジメント委員会の事務局を担うリスクマネジメント所管部署は、これらのリスクマネジメント活動について、定期的に当社の取締役会に報告し、取締役会が当社グループを取り巻くリスクの状況や対応状況について、適切にモニタリングできる体制を整えています。

 

 

当社グループのリスクマネジメント体制図

 


 

 

 

(2) 当社グループのトップリスクと主な対応策

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、当社の取締役及び執行役員が特に注力して対応が必要であると認識するグループトップリスクとそれに対する主な対応策は以下のとおりです。

このリスクについての詳細な説明は、本項目「(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク ⑩データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク」をご参照ください。

 

グループトップリスク

データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク

 

リスク認識

 

当社グループでは、すべてのSBUにおいて、多くの個人ユーザーの情報を含む個人情報を取得、管理、活用をしています。各国法令を遵守することはもちろん、社会からの期待に反せず個人ユーザーのプライバシーを尊重し、保護することが責務であると考えています。

 

万が一でも個人情報に関する事件事故が生じた際には、個人ユーザーの皆様に多大なご迷惑をかけるだけでなく、当社グループのブランドの価値及び信用やサービスへの信頼を大きく棄損し、また、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受けることや、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起されること等により、当社グループの経営成績等に甚大なダメージが生じかねないと認識をしています。

 

そのためデータセキュリティ・データプライバシーに関連するリスクの取扱いは、当社リスクマネジメント委員会及び各SBUのリスクマネジメント委員会においてトップリスクと認識し、様々な対策を実施しています。

 

主な対応策(注)

当社グループ全体の対応策として、保有するデータを重要性に応じて分類し、事業内容・国や地域ごとの法規制や保護すべき情報資産の特性に応じて必要な体制や施策を整備しています。例えば、不正アクセスの検知、ウイルス感染の検知と遮断や、調査に備えた通信・アクセスの記録、定期的な脆弱性検査等を実施しています。

 

- International(海外)における対応策例

データプライバシーに関しては、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」や米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」をはじめとする各地域・国の法規制への対応をしています。データセキュリティに関しては、SBUごとに事業内容やリスクの特性に応じてNISTやISO、CIS20等、参照する基準を設定し、業界で求められる水準を満たすレベルでの対応策を実施しています。

 

- Japan(日本)における対応策例

データプライバシーに関しては、パーソナルデータ指針の制定やプライバシーセンターの設置等の対応をしています。データセキュリティに関しては、「Recruit-CSIRT」等セキュリティに関する専門部署を設置し、被害の最小化、早期検知、未然防止に関する各施策を実施しています。

 

なお、当社グループにおいては、上記施策の実施に当たり、会社ごとに導入の是非及び取組みの優先順位を検討の上、進めています。

 

 

(注) 上記は、本報告書提出日時点において、グループトップリスクによる、当社が想定する当社グループの経営成績等への影響を低減するために有効と判断した対応策のうち主要なものを記載したものです。しかし、人為的なミスや内部者の意図的な行為により情報漏洩が発生する等、上記の対応策が奏功しない可能性があり、また、かかる対応策を有効に実施したとしてもリスクが一切消滅することを保証するものではありません。更に、将来データプライバシーの保護に関する法令等が改正され、又は新たな不正アクセス方法やコンピュータウイルスが開発される等により、リスク自体の重要性や内容が変化し、またその対応策の有効性が低下する可能性があります。

 

 

(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク

上記の当社グループトップリスクを含む、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があると当社の経営陣が認識するリスクの詳細は以下のとおりです。但し、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

 

また、新型コロナウイルスに関するリスクについては以下において説明する複数の個別のリスクと関連しますが、本報告書提出日時点における当該リスクの大きさに鑑み、①にまとめて説明しています。

 

なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク一覧

 

項番

リスク名称

新型コロナウイルスに関するリスク

景気の動向等のマクロ環境に関するリスク

競合に関するリスク

個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク

技術革新によるリスク

事業戦略に関するリスク

買収・投資活動等に伴うリスク

グローバル展開に伴うリスク

人材確保・労務環境リスク

データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク

情報システムに関するリスク

当社グループが提供するアプリケーションの欠陥等によるリスク

法規制に関するリスク

訴訟等によるリスク

当社グループのブランド・社会的信用に関するリスク

外部事業者への依存に関するリスク

広告・マーケティング活動に関するリスク

自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク

資産の減損等に関するリスク

税務に関するリスク


為替変動リスク


資金調達リスク


経営指標、財務方針等に関するリスク


株価変動に関するリスク

 

 

 

 

① 新型コロナウイルスに関するリスク

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済見通しの不確実性が高まるとともに、金融市場の急激な変動及び世界的なマクロ経済の混乱が生じています。その結果、日本、米国、欧州及び豪州をはじめとする当社が事業を展開する市場における経済環境著しく変化しています。各国の当局は新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、旅行の禁止及び制限、隔離措置、外出禁止令及びロックダウン、その他移動や特定の活動に対する制限等数々の対策を講じていますが、かかる対策が企業及び個人の経済活動の制約となっています。

 

HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び人材派遣事業で構成される人材マッチング事業においては、各国の外出禁止令等による影響、経済環境見通しの悪化、又は健康懸念等による人材採用活動や求職者の活動の鈍化が同事業の業績に影響を与えます。

 

HRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業の人材領域においては、事業環境の悪化を反映して人材採用活動の鈍化による企業クライアントの有料求人広告出稿数の減少や対面での企業説明会等イベントの延期等が継続する場合、売上収益が減少して当社グループの経営成績等に影響を与えます。当社の人材派遣事業においては、経済情勢が低迷していることにより売上収益が減少しましたが、当社の企業クライアントによる派遣労働者受入れの需要が引き続き低水準となる場合又は更に減少する場合には、かかる収益の減少傾向が継続し、当社グループの経営成績等に影響を与えます。

 

更に、人材マッチング市場おける、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会生活やビジネス慣行の変化に伴う企業クライアント及び個人ユーザーのニーズの急速な変化に対応できない場合や経済情勢が引き続き悪化する場合、より長期にわたって当社グループの同事業の業績に影響を与えます。

 

メディア&ソリューション事業の販促領域においては、日本国内での緊急事態宣言や外出自粛要請等を受け、国内旅行者数や外食機会の減少、結婚式の中止や延期等の影響による企業クライアントの広告出稿数の減少等が同事業の業績に影響を与えます。また、旅行、外食又は結婚式に対する根本的な意識の変化が生じる等、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、これらのサービスの需要がより長期的に変化する場合に、同事業の業績に影響を与えます。通常の消費行動が制限される状況において、企業クライアントによる広告出稿の停止が継続したり低価格プランへ移行する傾向が継続する等の場合、売上収益が減少して当社グループの経営成績等に影響を与えます。

 

更に、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を特に受けている中小企業等の企業クライアントが財政的な困難に直面し又は事業を完全に停止する場合には、当社グループの売掛金が回収できず、当社グループの経営成績等に影響を与えます。メディア&ソリューション事業が展開するAir ビジネスツールズを中心としたSaaSソリューションについては、決済サービスであるAirペイの登録アカウント数の増加は新型コロナウイルス感染症の拡大によって重大な影響を受けてはいないものの、今後、企業クライアントにおける事業活動が低迷し、当該ソリューションの利用を停止する企業クライアントが増加する場合には、Airペイを筆頭に、登録アカウント数の拡大のスピードが鈍化する又は登録アカウント数が減少する可能性があります。

 

上記の業績への影響の他、新型コロナウイルス感染症の影響により生じ得る以下の事由等が当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

・ 個人ユーザー及び企業クライアントのサービスに対するニーズや嗜好の変化が生じ、それらに対し的確且つ迅速に対応することができない場合、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少

・ 業績及びその見通しの悪化が見込まれる場合、既に認識した減損額を超えた、買収に伴い発生したのれんや無形資産についての減損損失の計上

・ 業績及び事業環境の悪化に伴う信用状況の悪化、債権回収ができない又は遅延すること等による資金繰り悪化

・ 不安定な為替市場における急激な為替変動

・ 景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社の信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社が望む条件で適時に資金調達を行えないこと

・ 従業員、外部委託先等の事業者の多数の人員が当社の事業を行うことができない場合又は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合、当社グループの特定の事業において、業務やオペレーションに支障が生じ、又は停止を余儀なくされる事態の発生

 

② 景気の動向等のマクロ環境に関するリスク

当社グループの業績は、一般的に日本、米国、欧州及び豪州を中心とする各国の景気等の経済情勢、社会情勢及び地政学的状況に影響されます。特に、HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業で構成される人材マッチング事業は、経済情勢の不透明感又は悪化に伴う企業の雇用環境の変化の影響を受けます。また、メディア&ソリューション事業の販促領域においても、経済情勢等の変動により個人ユーザーの消費が低迷すること等に伴って、企業クライアントが広告宣伝費を削減する可能性があります。

 

新型コロナウイルス感染症及びその対応策による顧客や企業の活動を含む世界的な経済活動への影響の継続に加え、日本において依然として継続するデフレーションや長期的な少子高齢化及び総人口の減少等、米国における政治的な混乱による経済の不透明感、米国を中心とする保護主義の台頭とそれによる貿易相手国との関係悪化、英国の欧州連合(EU)離脱(Brexit)等による欧州の経済・政治情勢の不透明感又は悪化等、当社グループが事業を展開する各国の経済情勢の不確実性が高まっていることに加え、中国経済の減速、北朝鮮及び中東諸国の地政学的リスクの増加等、グローバルの経済情勢等に及ぼす影響も懸念されます。

 

経済情勢等の停滞・悪化により当社グループのサービスに対する需要が低迷する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

③ 競合に関するリスク

当社グループの各事業が事業展開を行う市場には、複数の競合他社が存在する上、参入障壁が必ずしも高くない事業も存在するため、他業種の事業者等を含む新規参入者による市場への新規の参加が比較的容易であり、競争はより激しくなる傾向にあります。これらの市場の中には、テクノロジーの重要性が高く、テクノロジーの進歩が非常に速いものがあるため、当社グループが技術革新に対応できない場合や競合他社が技術革新に成功した場合、業界の動向が一変し、当社グループが大きく市場シェアを失う可能性や当社グループの将来の事業展開が著しく困難となる可能性があります。

 

これらの市場においては、ブランド・ロイヤリティ、法規制及び大きな資金力や既存の顧客基盤等により競争上の優位性を維持することが必ずしも容易ではありません。当社グループの競合他社の中には、グローバルに事業展開を行う巨大テクノロジー企業を中心に、テクノロジー、ビジネスモデル、資金力、価格競争力、グローバル又は特定の地域における認知度、既存ユーザー層の厚さ、クライアントとの関係、人材の確保、独自のサービス及び営業・マーケティング力それぞれの点において、現在当社グループより優位に立つ事業者も存在します。このような競合環境において当社グループが競争力を維持できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

更に、当社グループが、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズ又は嗜好の変化等に対応できないこと、その提供するサービスの機能向上を図れないこと、当社グループの提供するサービスについて競合他社との十分な差別化を図れないこと、競合他社が当社グループより低い価格で同水準のサービスを提供すること、競合他社が個人ユーザーの嗜好にあったサービスを導入すること、競合他社間が合併・統合等により競争力を高めること及び規制環境の変化等に対応できないこと等によっても、当社グループの競争力を維持できなくなる可能性があります。また、企業クライアントが自らユーザー基盤を確立し、当社グループのサービスを利用しなくなる可能性もあります。

 

当社グループは、特に日本では、メディア&ソリューション事業の多くの主要事業において既に高い市場シェアを獲得しているため、それらの領域において更なる成長を達成する難易度は高く、クライアントが当社グループに支払う広告宣伝費を維持又は増加できない場合や、当社グループが過去に取引実績がなかったクライアント等に対する新規開拓が進まなかった場合には、当社グループが持続的な成長を達成することは困難となる可能性があります。仮に当社グループが市場シェアを維持又は増加するために価格を下げ、又は新サービスを導入する場合には、当社グループの事業の収益性が低下する可能性があります。

 

④ 個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク

当社グループが競争力や市場シェアを維持するためには、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化に対応する必要があります。また、昨今、従来のマスメディアによる情報発信だけでなく、急速に普及したインターネット・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等により、リアルタイムでの情報発信が行われていることや、技術革新により多様なサービスが比較的少額の投資で短期間に個人ユーザーに普及し得ること、新たなデバイスや技術の普及によりユーザー・エクスペリエンスが大きく変わり得ること等により、個人ユーザーのニーズの移り変わりや、これを受けた企業クライアントのニーズの変化は非常に激しくなっています。

 

また、HRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業においては、当社グループのオンラインプラットフォームへの広告出稿が売上収益の多くを占めますが、一部のサービスにおいては企業クライアントのニーズに即するために出稿期間を短期に設定することも可能であるため、当社グループのサービスを継続的に使用しない可能性や、他のプラットフォーマーへの乗り換えが容易になる可能性があります。

 

更に、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後個人ユーザーの生活様式や企業クライアントの事業運営の方法が変わる可能性や、それに伴い個人ユーザー及び企業クライアントのニーズや嗜好が変化する可能性があります。

 

当社グループがこのような個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化を的確且つ迅速に把握できない場合や、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに対応する当社グループのサービスの適切なタイミングでの改良又は開発及びサービスの提供ができない場合並びにこれらのニーズにより合致したサービスが他社により新たに開発された場合、個人ユーザー及び企業クライアントそれぞれのニーズと利害のバランスの取れたサービスを提供することができない場合には、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少、又はそれに対応した値下げ等による利益率の低下、かかる利益率の低下に対応するためのビジネスモデルの改良又は開発が成功しないこと等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 技術革新によるリスク

テクノロジー業界においては、技術革新のサイクルが極めて速く、競合他社が使用するテクノロジー、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに影響することから、当社グループが競争力を維持するためには、将来における技術革新を予測して、新たなテクノロジーへの投資と導入・事業化を継続的に行う必要があります。このような技術革新に関しては、以下のような様々なリスクが伴います。

 

・ 当社グループが技術革新や業界標準技術のトレンドを正確に予測することができず、結果として当社グループが採用又は開発した新技術等が、そもそも事業化できない、又は使用可能となってもその時点では陳腐化、競争力低下等が生じているリスク

・ 高度な専門性や斬新なアイデアを創出する技術者又はマネジメントを確保又は育成できない、又はかかる技術者の確保又は育成に多額の費用が発生するリスク

・ 技術革新に対応するために必要なシステム・技術インフラを維持又は更新できない、そのために多額の費用が発生する、又は適切なシステム・技術インフラの取捨選択に失敗するリスク

・ 5G等の新たな通信技術や端末や業界標準技術の多様化及び進化に対応した改良が適時に行えない、又は既存のシステム又は設備等の改良や新たな開発等により多額の費用が発生するリスク

・ 新技術を適用した商品又はサービスに、想定していないバグ、欠陥又は不備があるリスク

・ 新技術をいち早く導入した企業や、新技術をより効果的に利用する企業との間で新たな競争が生じるリスク

 

これらの各要因により、当社グループが追加の費用の支出を余儀なくされ、又は技術革新に対応することが困難となる場合、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 事業戦略に関するリスク

当社グループは、急速に変化するインターネット事業環境等に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取組むため、SBU単位で事業価値の拡大に取組んでいます。

 

各SBUにおいては、広範で地理的にも多様な事業ポートフォリオの構築を通じた持続可能な成長を志向していますが、このためには既存事業の拡大に加え、戦略的な提携や買収の慎重な実施を含む新規事業への参入が必要です。しかし、とりわけ新型コロナウイルス感染症の継続的な影響の中、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測や各種施策が有効であるとの保証はなく、また、以下に記載するリスク要因を含む様々なリスク要因が存在するため、当該事業戦略が当社グループの将来の業績の向上につながらない可能性や、将来において当該事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があります。

 

HRテクノロジー事業

買収等の成長投資により事業規模を拡大しつつ、近年更なる統合を進めているIndeed及びGlassdoorを中心にオンライン求人広告市場での持続的な成長を企図しています。しかし、当社グループの成長は経済全体の成長及び雇用状況に大きく依存しており、これらは新型コロナウイルス感染症により引き続き影響を受けると予測しています。更に、オフライン求人広告市場からオンライン求人広告市場への需要の転換が想定通りに進まない等、オンライン求人広告市場が想定通りに成長できない可能性や投資が期待通りの収益を達成しない可能性があります。

 

また、当社グループによる新しいテクノロジーへの対応の遅れ、Indeed及びGlassdoorの統合戦略により期待した収益が得られないこと、人材市場における個人ユーザーや企業クライアントのニーズの急激な変化、新たな法規制の導入、競争環境の激化等により、当社グループが事業機会を捉え収益化することができない可能性があります。

 

メディア&ソリューション事業

主に日本国内企業クライアントを対象に、販促・人材領域において、テクノロジーやデータを駆使したオンラインプラットフォームや業務・経営支援ツールであるSaaSソリューションの提供等を行っています。

しかし、当社グループが新規の個人ユーザーや企業クライアントを獲得できない、又は競合他社よりも魅力的・革新的なサービスを提供できないことにより、当社グループが提供するオンラインプラットフォームやSaaSソリューションが個人ユーザーや企業クライアントに採用されない若しくは採用されるために多額の費用を要する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症等による企業クライアントの事業活動の低迷により、業務・経営支援サービス事業において当社グループが期待する収益化ができない可能性があります。

 

人材派遣事業

グローバルレベルで事業の収益性の向上を図ります。しかし、新型コロナウイルス感染症等の継続的な影響による雇用環境の悪化や、当社グループが事業展開する主要な法域における法規制の強化等により、収益性が想定通りに向上しない又は悪化する可能性があります。

 

また、人材マッチング市場においては、市場における当社グループの存在感の拡大を目指して投資を行います。現在、当社グループは、HRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業において人材マッチング事業を展開していますが、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場並びに人材派遣市場において、テクノロジーの活用により業務プロセスを自動化・効率化し、これまでとは異なる課金モデルを提供するとともに、より費用対効果が高くより高い生産性をもたらすマッチングソリューションの拡大を続けることを目指しています。

 

しかし、かかるソリューションの開発や導入ができない可能性や人材市場の急激な変化に対応できない可能性、当社グループのソリューションが市場に受け入れられない可能性、かかるソリューションの提供に必要な投資を回収できない可能性があります。

 

更に、当社グループは、人材マッチング市場において、従来の人的作業によらずに先端的なテクノロジーや大量のデータを駆使して、企業クライアントの採用活動を自動化するという長期ビジョンを掲げていますが、効率的なソリューションが開発できない、かかるソリューションの収益化のための需要が足りない、又は法令による規制等により、当社グループが当該長期ビジョンを達成できる保証はありません。また、業務プロセスの効率性を高めるソリューションを提供していくことにより、当社グループが運営している人材紹介や人材派遣等の既存事業と、新規に開始又は拡大する事業が競合関係になる場合、当社グループの既存の事業の収益性が低下する可能性があります。

 

加えて、新規事業の展開全般については、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業に対する個人ユーザー及び企業クライアントのニーズが想定を下回り又はその嗜好や需要が変化した場合、新たな国又は事業への参入やそのための人材確保・育成に要する費用が想定よりも増加する場合、当該市場での競争が激化した場合、個人ユーザーに対する訴求力や取引する企業クライアント数を増加させるための施策が不十分である場合等には、既存事業の拡大や新規事業の開発のための投資に見合った収益を得られない可能性があります。

 

逆に、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業が当初期待していた効果をあげることができなかった場合や当該事業の成長余力が低いと判断した場合には、これらの事業の撤退や事業の縮小を行うことにより、費用又は損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、これらの事業についての撤退や縮小についての判断が遅れた場合には、損失の計上が長期化し、また、撤退等に要する費用や損失が増加する可能性があります。

 

⑦ 買収・投資活動等に伴うリスク

当社グループでは、長期的な利益成長の実現に向け、海外での事業展開、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、買収や出資、協業・提携を機動的且つ積極的に実行しており、今後も、将来の当社グループの業績や企業価値の向上に貢献すると判断した場合には、これらを実行していきます。

 

買収や出資における対象会社の選定においては、対象会社の事業計画とそのリスク等を予測して行いますが、これらの予測を誤る場合には、買収した企業が期待された収益やシナジーを生み出さず、当該買収等により生じた投資の回収に想定以上の期間を要する可能性や、投資の回収を図れない可能性があります。

 

特にテクノロジー企業の買収や出資については、対象会社のテクノロジーが初期段階に留まることや技術革新が急速に発生し得ることから、かかる買収・出資においては、上記のリスクはより高まる可能性があります。加えて、適切な対象企業又は合弁パートナーを見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、買収、合弁事業その他の提携行為を行うこと自体ができない可能性があります。

 

この他、革新的なテクノロジーや人材の獲得等を目的に、社歴が浅く経営管理体制が不十分な企業を買収する場合や、利益を計上していない企業を買収する場合、十分なデューディリジェンスが実施できない場合には、想定していなかった又は想定していた金額以上の債務の存在やコンプライアンス上の問題点が買収後に判明する可能性があります。

 

また、当社グループが対象企業の支配権を有しない案件においては、出資先の経営に対して十分なコントロール又はモニタリングができない可能性や、事業開始後に経営方針の相違等から期待した収益が得られない可能性があります。

 

更に、買収や協業・提携の実施には、事業・テクノロジー等の統合や期待したシナジーの実現が困難となる可能性や多額の費用が発生する可能性、協業先・提携先に対して、当社グループの保有するノウハウやマネジメント・人材・取引先が流出する可能性、各国における法規制、労使関係、文化、言語等の違いや政治・経済情勢により買収等の実施又はその後の対象会社の経営が困難となる可能性、買収や投資のために借入が増加する可能性があります。

 

また、将来的に各合弁パートナーとの間で何らかの理由により協業・提携関係に支障をきたすような事態が発生した場合、当該事業の経営成績等に影響を与え、又は当該事業の継続が不可能になる可能性があります。当社グループのHRテクノロジー事業においては、革新的なテクノロジーや人材の獲得を目的に、比較的社歴の浅く利益を計上していない企業の買収・出資が増加することが見込まれますが、かかる買収・出資においては、上記の各リスクはより高まる可能性があります。

 

⑧ グローバル展開に伴うリスク

当社グループは、米国、欧州、豪州及びアジア諸国等多くの国と地域で事業を展開しています。

 

当社グループがこれらの多様な国と地域で事業を展開する上では、又は既に事業を展開していた国と地域以外にも新たに事業を展開していく上では、新型コロナウイルス感染症の拡大、各国・地域の政治情勢、経済情勢、法規制、税制、当局による監督、商慣習及び文化の差異、個人ユーザー及び企業クライアントの嗜好、インターネット・モバイル機器の普及状況、労働問題、言語の差異、国際関係の悪化、訴訟の多発、外資規制、人材確保の困難性、海外における当社グループの知名度の相対的な低さ、多様な国・地域における事業のモニタリングの困難性等、事前に想定することの困難な様々な課題に対応する必要があります。

 

これらの課題に適時適切に対応できない場合、各国・地域の事業展開において当社グループが期待する成果を上げられず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑨ 人材確保・労務環境リスク

当社グループが、競争上の優位性の確保、事業環境の変化への対応又は持続的な成長を可能とするためには、マネジメント・技術・営業等の様々な分野において優秀な人材を確保し且つ育成する必要があります。近年、特にHRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業において、優秀なIT技術者の確保及び育成が重要となってきていますが、かかるIT技術者の確保又は育成ができない場合や優秀な人材を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、マネジメントや技術者を含む重要な人材が競合他社等に流出した場合や、当社グループが想定するよりも多くの離職が生じ、新たな人材を確保できない場合には、当社グループの競争力や社会的信用が悪化し、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループが人材の多様性等を確保した良好な職場環境や、特に新型コロナウイルス感染症への対応として増加しているリモートワーク等、従業員にとって柔軟な職場環境を整備できない場合には、優秀な人材の採用や確保に影響を及ぼすことやイノベーションを阻害すること等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

更に、当社グループの人材派遣事業においては、当社グループが派遣する社員が安全且つ衛生的に働ける職場環境が派遣先において整備されていない場合、派遣社員の人権が侵害され、当社グループの経営成績等やブランド及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

 データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク

当社グループは、その事業の運営に際し、個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報及び機密情報を大量に保有しています。当社グループによる個人情報の取扱いについては、日本における「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」)、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」や米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」等、当該国・地域の個人情報に関する法律が適用されます。

 

これらの法規制の中には、データセキュリティシステムが不十分であることが判明した場合に、データの流出について重大な制裁金や直接責任を課すものがあります。また、これらの法規制は、法域ごとに異なるものとなる可能性や、近年の個人情報及び機密情報の管理に対する意識の高まりから内容が複雑化しており、その遵守や事業運営のための費用が増加する可能性があります。更に、これらの個人情報等の取扱いに関する法規制には、制定又は施行されてからの期間が短いため当局の解釈及び運用は必ずしも明確でないことがあり、かかる解釈や運用によっては、当社グループの従来の情報の取扱いと整合しない可能性があります。

 

一方で、当社グループの事業において個人情報や機密情報等を含むデータやそれを管理・運用するテクノロジーの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおけるデータの運用が意図せず法規制の違反や個人ユーザー又は企業クライアントの不利益又は不信感を招き、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受ける可能性、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起される可能性や当社グループのブランドの価値及び信用が毀損する可能性があります。

 

また、個人情報等の取扱いに関する法規制が今後より厳格となる場合又は当社グループが法規制の違反若しくは社会的な意識の高まりその他の理由に基づき個人情報や機密情報等の管理・運用に関する当社グループの方針の変更を余儀なくされる場合には、情報の活用に対する制約が増すことにより、当社グループのサービスの品質が低下し、個人ユーザー又は企業クライアントが減少する可能性や、多種且つ大量の個人情報を用いて事業を展開する当社グループの優位性が失われ若しくは経営戦略の見直しを迫られる可能性があります。

 

更に、第三者によるセキュリティ侵害、ソフトウエアのバグ、ハッキング、従業員の故意又は過失等によって、当社グループが保有する個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報や機密情報の外部流出又は不正使用等が発生した場合、当社グループは個人ユーザーや企業クライアント等に対する損害賠償責任を負うとともに、当局から業務の停止につながり得る行政処分等を受ける可能性がある等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 情報システムに関するリスク

当社グループでは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステムやセキュリティの強化等の対策を行っていますが、その事業の運営において情報ネットワーク及びコンピュータシステムを多岐にわたり使用しているため、災害・事故等による通信ネットワークの障害、ハードウエアやソフトウエアの欠陥や事故によるシステム障害、過失や妨害行為、コンピュータウイルスや第三者による不正アクセス等のサイバーアタックが生じた場合、システムや通信ネットワークが使用できなくなることや、当社グループが保存する当社の個人ユーザー又は企業クライアントの個人情報及び機密情報が喪失又は流出することにより、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループのメディア&ソリューション事業においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Air ビジネスツールズ 等のSaaSソリューションを提供していますが、これらのシステム障害等やサービスの中断等が発生した場合には、当社グループがこれにより個人ユーザー又は企業クライアントに対する損害賠償責任や補償金の支払い等を負担する可能性があることに加え、当社グループが提供するサービスへの信頼喪失を招き、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

また、当社グループは、システムの運用やメンテナンス等の一部を第三者に委託し、それらへの依存度が増加していくことが予想されるため、システムの不具合等について当社グループ自身で対処できない可能性が高まりつつあります。更に、情報インフラの構築、運用、拡張に係るシステム投資や維持費用が将来大幅に増加する可能性もあります。

 

⑫ 当社グループが提供するアプリケーションの欠陥等によるリスク

当社グループは、様々なサービスをアプリケーション等のソフトウエア及びデバイスを通じて個人ユーザーや企業クライアントに提供しています。これらの開発過程において検証やテストを実施し、動作確認には万全を期していますが、サービス提供開始後に、ソフトウエアやデバイスに重大なバグや欠陥が発生し、当社グループのサービスの一部又は全部を正常に提供することができない可能性、個人ユーザーや企業クライアントのデータの消滅や書換えその他かかるデータを適切に保護できない可能性、第三者によるデータの不正入手、取引停止等が発生する可能性があります。

 

また、当社グループの提供する一部のサービスにおいては、オンライン上でのユーザー獲得、オンライン予約管理、POSレジ、決済等のクライアントが事業を運営する上での主要な機能全般をカバーするため、アプリケーションの欠陥等が発生した場合、クライアントに重大な損害が生じる可能性や、個人ユーザー又は企業クライアントの機密情報や個人情報が喪失又は流出する可能性があります。

 

今後当社グループは、メディア&ソリューション事業において、中小企業を含むクライアントの事業運営の効率化と生産性の向上を企図する包括的なソリューションであるAir ビジネスツールズ等のSaaSソリューションを拡大する方針であるため、係るリスクはより高まることが見込まれます。これらの影響により、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求が提起され、又は行政処分が課される等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 法規制に関するリスク

当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。個人情報保護、データ保護、電気通信、消費者保護、労働、人権、反贈収賄、税法、独占禁止法等、当社グループに適用される法令等に違反した場合、当社グループの事業運営、業績及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、一定の事業を行う上では各国・地域の許認可等を取得するとともに、当局の監視を受けることがありますが、当社グループがかかる許認可等を失い又は当局から業務停止命令、罰金、その他の処分を受ける場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があります。

 

更に、将来当社グループに適用される法令等の新設又は改正、司法・行政解釈等の変更がある場合、複雑化する法規制への対応の遅れや、それにより当社グループが事業機会を逸する可能性や、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、近時、企業と人権問題に関する活発な議論がなされていますが、当社グループが人権に関する法令に関して適切に対応できない場合、当社グループのブランドに影響を与える可能性があります。

 

当社グループの事業に適用される法令等には、主として以下のものがあります。

 

HRテクノロジー事業

HRテクノロジー事業は、米国の「Communications Decency Act」、「California Consumer Privacy Act」、「Telephone Consumer Protection Act」、「Wiretap Act」、「Stored Communications Act」、「Fair Credit Reporting Act」、EUの「欧州連合一般データ保護規則」、日本の「個人情報の保護に関する法律」や「職業安定法」等の適用を受けています。これらの法令が改正された場合や法令に関する行政解釈又は司法解釈が変更された場合、また、かかる変更を受けて実務の運用が変更された場合、HRテクノロジー事業の事業内容に制約が生じ、又は当該法令の改正への対応に時間やリソースを要する結果、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

更に、個人情報を取り扱う企業に対して新たにデータセキュリティ及びデータプライバシーに関する義務を課す様々な新法や法案の提案が行われており、かかる新法が当社グループの事業に影響を与える可能性があります。加えて、立法機関は、Indeedが提供するサーチエンジンのようなデジタル・マーケットプレイスを有する企業を調査研究しており、かかるマーケットプレイスにおいて自己のプロダクトを販売する企業に制約を課す可能性があります。

 

また、現在、HRテクノロジー事業に適用のある法令以外にも、テクノロジー分野における法令の整備は十分に進んでおらず、欧州や米国においてはテクノロジー分野に関する規制を強化する動きもあり、将来、HRテクノロジー事業に適用される法令が新たに制定され、規制が強化される可能性もあります。例えば、個人ユーザーの行動履歴情報を収集・分析し、広告に反映することを規制する法規制が新たに制定された場合、HRテクノロジー事業を従来通りに遂行することができなくなり、HRテクノロジー事業の事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

メディア&ソリューション事業

メディア&ソリューション事業においては、個人ユーザー及び企業クライアントの情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」等の各国の個人情報保護法制の適用を受けます。

 

また、販促領域においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Airペイを提供していますが、当該サービスについては、「割賦販売法」の適用を受けています。

 

人材領域における日本での人材紹介事業は、「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業です。当該事業についても、一定の要件を満たさない場合には許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令の対象となる可能性があり、また、関係諸法令の改正により、当社グループが受領する手数料に変更が生じる場合があります。

 

人材派遣事業

人材派遣事業における国内派遣領域については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を取得して行っています。

 

また、人材派遣事業の海外派遣領域は、事業展開する各国・地域の規制に従い業務を遂行しています。一例として米国では、派遣事業に関する連邦法の他、州法により規制が行われています。

 

日本及び海外における人材派遣事業において、当社グループによる法令違反等が発生した場合又は派遣事業者の欠格事由に該当する場合には、許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令等の対象となる可能性があります。

 

また、日本における労働関連法令の改正により、コンプライアンスに係る多額の費用が発生するとともに、規制違反のリスクが高まる可能性があります。特に、2020年4月より施行された「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の改正による「同一労働同一賃金の原則」により、人材派遣事業に係る費用が増加する可能性や人材派遣へのニーズが減少する可能性があります。

 

⑭ 訴訟等によるリスク

当社グループは、その事業活動の遂行過程において、個人ユーザー、企業クライアント及び競合他社その他の関係者から、当社グループが提供するサービスの不備、派遣社員も含む労働者の労務管理、個人情報及び機密情報の漏洩若しくは特許又はその他の知的財産の侵害又は当社グループのプラットフォームにおける個人ユーザーの不適切な投稿やクライアントによる違法出品若しくは虚偽誇大広告等に関する訴訟その他の法的手続を提起され、また当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたすおそれがあります。

 

かかる法的手続は長期且つ多額となることがあり、また結果の予測が困難となる場合があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑮ 当社グループのブランド・社会的信用に関するリスク

当社グループの事業活動において、当社グループのブランドは重要な影響力を有していると認識しています。当社グループの提供サービスに不備がある場合、当社グループの情報セキュリティに問題が生じた場合、当社グループのブランドの価値の維持及び強化のための投資が十分でない場合、競合他社がより競争力のあるブランドを確立した場合に加え、当社グループに不利なメディア報道があった場合、更にはインターネットやSNSで根拠の乏しい風説が流布された場合等に、当該内容が真実か否かにかかわらず、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。

 

更に、当社グループの従業員による不正行為、当社グループの雇用環境に関する従業員又は派遣社員からのクレーム、当社グループへの訴訟の提起等によっても、当社グループのブランドの価値が毀損されることがあります。更に、当社グループの事業においてテクノロジーやデータの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおいて使用されるAI等のアルゴリズムや、当社グループ又は他社によるデータの運用が予期せぬ結果を招き、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。

 

また、当社グループ自身による行為だけでなく、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントによって、特に当社グループの提供するオンラインプラットフォームにおいて、不適切な投稿、求人を装ったフィッシング詐欺等、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為及び詐欺その他の法令違反行為が行われた場合、当該行為者だけでなく、当社グループもサービスの提供者として責任を問われ、当社グループに対して損害賠償請求訴訟が提起され、又は当社グループのブランドの価値が著しく毀損される可能性があります。

 

更に、第三者が無断で当社グループのサービスと同一又は類似の名称を使用してサービスを行った場合にも、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。このようにして当社グループのブランドの価値が毀損された場合、個人ユーザーや企業クライアントによる当社グループのサービスの利用が減少すること等によって、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑯ 外部事業者への依存に関するリスク

当社グループのHRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業における一部のサービスでは、主にインターネット上でのユーザー獲得において、グローバルに事業展開する巨大企業が提供する検索エンジンサービスを活用しており、今後、当該検索エンジン運営者による検索に関するアルゴリズムの変更又は競合他社の動向等によって、検索結果の表示が当社グループにとって有利に働かない状況が生じる可能性があります。このような場合には、当社グループが運営するインターネットサイトにおけるユーザー獲得の効率が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループは、当社グループのサービスを提供するためのアプリケーションを、グローバルに事業展開する大手テクノロジー企業やプラットフォーム運営事業者を通じてユーザーに提供しており、更に、当社グループの一部のサービスについては、当社グループの企業クライアントへの営業活動等に関し、外部の販売代理店を利用しており、また、当社グループのオペレーションにおいては、外部事業者の提供するデータセンターやデータサーバー、クレジットカード会社等の決済処理サービスを利用しています。

 

しかし、これらの外部事業者において、サービス提供を中断・中止する場合やネットワークの質が低下する場合、これらの外部事業者との関係が終了又は悪化する場合、これらの外部事業者による個人ユーザーや企業クライアントに関するデータの保護が十分でない場合、使用料・手数料の値上げその他当社グループに追加的な費用が発生する場合には、当社グループの事業に影響を及ぼし、営業力が減退する等、当社グループの事業の縮小又は中断、個人ユーザーや企業クライアントの喪失又は減少、競合他社へのノウハウの流出、新たな競合他社の参入等に繋がる可能性があります。

 

更に、当社グループが事業の一部を委託する外部事業者等に対するモニタリングが不十分であることにより、外部事業者における労務問題その他の法令違反等に対して適時適切に対応できなかった場合には、当社グループの社会的信用を毀損し、又はクライアントとの関係を悪化させ経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

また、当社グループの提供するオンライン上のサービスについては、インターネットサービスプロバイダーや通信事業者等の外部事業者に依存しています。これらの事業者が、ネットワークインフラやクッキー等の利用を制限する措置を講じる場合や、当社グループの事業が展開されている法域で政府がインターネットへのアクセスを制限する場合には、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントが減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑰ 広告・マーケティング活動に関するリスク

当社グループは、成長戦略の一環として、新規又は既存のサービスの認知度の維持・向上や、個人ユーザー及び企業クライアントの拡大を目的として、広告・マーケティング活動を積極的に行っています。

 

特にインターネットユーザーの多くは、検索サイトやスマートデバイス(スマートフォンやタブレット端末等)におけるアプリケーション等を利用して必要な情報を入手しているため、特に当社グループのHRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業においては、各サービスのユーザー獲得効率は、検索エンジンの表示結果やスマートデバイスのアプリケーションの利用状況等に大きく影響されます。人材派遣事業においても、特に労働者が不足している市場では、派遣労働者の登録者数増加のためのマーケティング活動の成否が重要です。

 

また、当社グループにとってより有利な検索結果を表示させるために検索エンジン運営者に手数料を支払うこととなる可能性や、テレビ・オンラインでの広告宣伝費等、当社グループが個人ユーザーや企業クライアントとの接点を多く確保するために要する費用が将来更に増加する可能性、かかる広告宣伝費の増加が当社グループの事業拡大に有効に機能しない可能性もあります。

 

⑱ 自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク

地震、台風及び津波等の自然災害、火災、停電、感染症の伝染並びに違法なサイバー攻撃、戦争及びテロ攻撃等が発生した場合、当社グループのサービスや業務に従事する従業員、業務委託先の従業員、派遣社員が大量に罹災・罹患することや、各国政府における非常事態宣言や外出禁止等の措置に伴う業務の制限、地震等による当社設備の損壊等により、当社グループのサービス提供、その他事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

特に、これらの自然災害又は有事等により、当社グループのITシステムに障害等が生じた場合や、データサーバーが機能不全に陥る場合、インターネット関連サービスの提供が困難となり、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントの満足度が低下し、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらの影響が広範囲にわたる場合には、復旧に相当の時間及び費用を要する可能性があり、また障害が発生した期間やその後において正常なサービスの提供に支障が生じる可能性があります。

 

また、大規模な自然災害等が発生した場合、当社グループの企業クライアントの事業の中断や休止等並びに個人ユーザーのライフイベント活動の休止や日常消費活動の縮小等の二次的影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

⑲ 資産の減損等に関するリスク

当社グループは、買収に伴い発生するのれんや無形資産を含む資産を連結財政状態計算書に計上していますが、急激な景況の悪化や事業環境、競合状況の変化、法規制の変更、当社の事業戦略の変更、資産の処分、当社グループの戦略の変更等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該のれんや無形資産等の資産について減損損失を計上する可能性があります。

 

当社グループが買収した又は今後買収する子会社の中には、スタートアップ等事業の収益化が実現していない段階にあり、成長投資の成果が発現し投資に見合うキャッシュ・フローが生じるまでには一定期間を要するものも含まれるため、当該買収に伴い発生するのれんや無形資産等について、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。同様に、当社グループが主として投資目的から非支配株主として保有する関連会社株式についても、当該関連会社の業績によっては、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。

 

また、当社グループは、長期的・持続的に成長するために、業務提携等、事業戦略上取引関係等の維持・強化の必要性があると考えられる上場会社を含む相手企業の株式を政策保有株式として保有しています。当社グループは、原則として保有する全ての株式を公正価値で評価しており、当該株式の公正価値が著しく下落した場合、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑳ 税務に関するリスク

当社グループは、日本をはじめ、事業を展開している各法域において、法人税をはじめとした各種の税制の対象となっています。当社グループの連結ベースでの課税額や実効税率は、これらの法域でその年度に適用される税制、繰延税金資産や負債の評価方法、課税所得の額とその関連法域毎の配分状況等の影響を受けます。

 

また、これらの法域での政治経済状況等により税制関連法令の改正や解釈変更が実施された場合に、課税額や実効税率が上昇し、また各国における税制の相違により当社グループが求められる対応が複雑となり、これに対応するためのコストが増加する等、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶリスクがあります。また、当社グループは、グローバルに事業を展開しており、適用される各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。

 

当社グループが提供するオンラインサービスについては、一部の国においてデジタル課税の新たな税制が導入され、いまだ導入されていない各国・地域においてもデジタル課税等の新たな税制が今後導入される可能性もあり、かかる新たな税制の内容によっては、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループは、定期・不定期に関連税務当局による税務調査の対象となっており、それらの時期や結果の予測は困難です。

 

これらの税務上のリスクが発現した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 


為替変動リスク

 

当社グループの海外事業の取引は、主に米ドル、ユーロ及び豪ドル等の外貨建てで行われており、近年は外貨建ての取引が占める割合が増加しています。当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表では、海外子会社の現地通貨建ての資産及び負債を各四半期末日の直物為替レートにより、収益及び費用は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートにより日本円に換算しています。

 

これらの要因により、当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表は、為替レートの変動による影響にさらされており、為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループでは為替変動リスクを軽減するため、通貨スワップや為替予約等のデリバティブ契約を締結することがありますが、為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動によっては当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

更に、為替変動により当社グループが事業を営む国・地域におけるマクロ経済環境が悪化する場合や、当社グループによる海外事業の買収・提携等に係るコストが増加する場合等には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 


資金調達リスク

 

当社グループの事業資金及び投資資金の一部は、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。このため、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。

 

また、金融機関からの借入や社債等には各種コベナンツが規定されている場合もあり、当社グループの業績、財政状態又は信用力の悪化等の要因でいずれかのコベナンツへの抵触が不可避な場合には、これらの条項に基づき残存する債務の一括返済を求められる可能性や、金利及び手数料率の引上げや新たな担保権の設定を求められる可能性があります。

 

これらの要因により、当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 


経営指標、財務方針等に関するリスク

 

当社グループは、目標とする経営指標の見込みや財務方針等を掲げる場合がありますが、かかる経営指標の見込みや財務方針等は、新型コロナウイルス感染症の影響を含む経済状況の変化、経営環境、個人ユーザーの嗜好の変化、企業クライアントのニーズの変化、他社との競合、技術革新の動向、法規制の変更及び為替変動等に係る多くの前提に基づいて作成されています。

 

また、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測やそれに対応する各種の施策が有効であるとの保証はなく、当社グループがこれらの経営指標の見込みや財務方針等を達成できない可能性があります。

 


株価変動に関するリスク

 

当社の株価は、過去において急激に変動したことがあり、今後も、本「事業等のリスク」に記載の各リスクの発現をはじめとして、当社グループの業績、業績予想、配当等の株主還元策に関連する変化、更には外部メディアによる報道、当社株式の需給関係に相応の影響を与え得る当社株式の売却若しくはその懸念、外部アナリストによる評価の発表や変更、当社グループが属する各業界の環境、経済・金融・政治環境の変化等による株式市場の広範な価格下落、株価指数への当社株式の追加や除外、テクノロジー業界における株価動向や、当社グループ及び競合他社による新サービス・技術革新・買収・提携、資金調達等に関する公表等、当社グループが予想・制御できないものも含んだ様々な要因によって、株価が急激に変動する可能性があります。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 経営成績等の分析

① 連結経営成績の概況

 

当第4四半期の売上収益は、前年同期比4.0%増6,131億円となりました。そのうち、188億円(税抜)は経済産業省中小企業庁より受託した家賃支援給付金事務事業(家賃給付受託事業)に係るものであり、その影響を除いた前年同期比は0.8%増となりました。当第4四半期においても、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大と各国の拡大防止策による影響が、引き続き多岐にわたりました。米国のように規制が緩和された国もありましたが、日本では緊急事態宣言が再度発出され、欧州の各都市では度重なるロックダウンが見られる等、経済活動が抑制された地域も多くありました。

 

当第4四半期のHRテクノロジー事業と人材派遣事業は増収、メディア&ソリューション事業は減収となりました。為替によるプラス影響49億円を控除した売上収益は前年同期比3.1%増となりました。当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比5.4%減2兆2,693億円となりました。そのうち、790億円(税抜)は家賃給付受託事業に係るものであり、その影響を除いた前連結会計年度比は8.7%減となりました。為替によるマイナス影響38億円を控除した売上収益は前連結会計年度比5.3%減となりました。

 

当第4四半期の営業利益は、195億円(前年同期は営業損失62億円)となりました。なお、前第4四半期におけるのれん及び無形資産の減損損失の影響を控除した営業利益は247億円であり、この金額と当第4四半期における営業利益を比較した場合、前年同期比21.2%の減少となりました。当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比21.0%減1,628億円となりました。

 

当第4四半期の税引前四半期利益は、216億円(前年同期は税引前四半期損失35億円)となりました。当第4四半期の四半期利益は、前年同期比2.6%増139億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期比3.5%増138億円となりました。当連結会計年度の税引前利益は前連結会計年度比25.5%減1,685億円、当期利益は前連結会計年度比27.3%減1,316億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度比27.0%減1,313億円となりました。

 

当第4四半期の調整後EBITDAは、前年同期比44.4%減307億円、調整後EBITDAマージンは5.0%となりました。これは主に、各事業において来期以降の成長を見据えて、広告宣伝費等の投資を強化したことによるものです。当連結会計年度の調整後EBITDAは、前連結会計年度比25.7%減2,416億円、調整後EBITDAマージンは10.6%となりました。

 

当第4四半期の調整後EPSは、前年同期比61.0%減6.78円、配当算定基準とする当第4四半期利益は、前年同期比70.5%減73億円となりました。当連結会計年度の調整後EPSは、前連結会計年度比31.8%減82.56円、配当算定基準とする利益は、前連結会計年度比34.0%減1,217億円となりました。

 

当第4四半期及び当連結会計年度の研究開発費は、各々221億円及び744億円となりました。主な内訳は、新プロダクトの開発や新しいテクノロジーを活用した既存プロダクトの改善に係るエンジニア及びテクノロジー開発担当者の人件費であり、その大半はHRテクノロジー事業に関連します。

 

 

(単位:十億円)

 

前第4四半期

当第4四半期

増減率

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減率

連結経営成績

 

 

 

 

 

 

 

売上収益

589.7

613.1

4.0%

2,399.4

2,269.3

△5.4%

 

営業利益

△6.2

19.5

206.0

162.8

△21.0%

 

税引前当期利益

△3.5

21.6

226.1

168.5

△25.5%

 

当期利益

13.5

13.9

2.6%

181.2

131.6

△27.3%

 

親会社の所有者に
帰属する当期利益

13.3

13.8

3.5%

179.8

131.3

△27.0%

経営指標

 

 

 

 

 

 

 

調整後EBITDA

55.2

30.7

△44.4%

325.1

241.6

△25.7%

 

 

調整後EBITDAマージン

9.4%

5.0%

-

13.6%

10.6%

-

 

調整後EPS

17.38円

6.78円

△61.0%

121.03円

82.56円

△31.8%

 

 

(注) 2021年3月期第4四半期及び当連結会計年度の売上収益には家賃給付受託事業に係る受託料がそれぞれ、188億円、790億円含まれます。

 

 

重要な会計方針、見積り及び仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。

 

連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。重要な見積り及び仮定については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の判断、会計上の見積り及び仮定」に記載しています。なお、のれんの減損テストで用いた主要な仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん及び無形資産」に記載しています。

 

また、見積り及び仮定は、過去の実績や、合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし、これらの見積り及び仮定には不確実性が存在するため、翌期以降の連結財務諸表において認識する金額と異なる場合があります。

 

主な経営施策

・新型コロナウイルス感染症の拡大に対する当社グループの取組み

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、引き続き従業員とその家族、個人ユーザー、企業クライアント及び外部協力パートナー等、当社のステークホルダーの安全確保や感染拡大防止を最優先に考えながら、事業活動に取り組んでいます。また、各事業において、多様なステークホルダーの皆様に対する様々な支援・取組みを行っています。

 

・自己株式取得の終了

当社は、2020年11月30日開催の取締役会において、当社のキャピタル・アロケーションの方針に則り、今後の投資余力、市場環境及び財務状況の見通し等を勘案し、自己株式取得の実施を決議後、2021年2月26日に取得を終了しました。2021年2月26日時点の累計取得自己株式数は15,157,100株、累計取得価額は68,576,962,887円でした。

 

 

 

② セグメント業績の概況

HRテクノロジー事業

 

当第4四半期の売上収益は、前年同期比23.3%増1,311億円となり、米ドルベース売上収益(注1)の前年同期比は、26.8%増となりました。売上収益の増加は、主に米国において中小企業クライアントの採用活動が大きく回復し、有料求人広告利用に対する需要が増加したことによるものです。

 

当第4四半期中は、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための様々な規制が米国や欧州の多くの国で緩和され、経済状況の改善に伴い採用活動や求職活動が回復しました。事業の再開や拡大、及び新たな事業が創出されることで、既存クライアントと新規クライアント双方、特に米国の中小企業クライアントの採用需要が増加しました。

 

しかし、感染症に係る懸念や育児サポートの減少、各国政府による金銭的支援等を背景に、復職や転職を控える人々が多く、当第4四半期におけるIndeed及びGlassdoor上の個人ユーザーの求職活動は低調に推移しました。低調な求職活動と強い採用需要の乖離が、当第4四半期の売上収益の増加に大きく影響しました。

 

当第4四半期の調整後EBITDA)は、前年同期比107.2%増173億円となりました。これは主に、売上収益の増加によるものです。前年同期と比較すると商品開発やテクノロジーへの投資を戦略的に増加させた一方で、マーケティング費をはじめとする販売管理費は柔軟なコスト管理を行いました。当第4四半期の調整後EBITDAマージンは13.3%となり、前第4四半期の7.9%から上昇しました。

 

売上収益の回復に伴い、第3四半期よりもマーケティング投資を増やし、求職活動及び採用プロセスの効率化や、採用に係るコストや時間を大幅に削減するというHRテクノロジー事業の目指す姿に向けた商品開発を行うために、引き続きエンジニアや技術部門の採用を行いました。

 

当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比0.4%減4,232億円となり、米ドルベース売上収益(注1)は前連結会計年度比2.2%増となりました。調整後EBITDAは前連結会計年度比6.3%減667億円、調整後EBITDAマージンは15.8%となりました。

(単位:十億円)

 

前第4四半期

当第4四半期

増減率

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減率

売上収益

106.3

131.1

23.3%

424.9

423.2

△0.4%

調整後EBITDA

8.3

17.3

107.2%

71.2

66.7

△6.3%

調整後EBITDAマージン

7.9%

13.3%

-

16.8%

15.8%

-

米ドルベース売上収益

(百万米ドル)(注1)

$974

$1,235

26.8%

$3,907

$3,993

2.2%

 

 

(注1) 当セグメントの現地決算数値であり、当社連結決算数値に含まれる数値とは異なります。

(注2) IndeedとGlassdoorが提供する機能は各国によって異なります。

 

 

メディア&ソリューション事業

 

当第4四半期における売上収益は、前年同期比7.0%減1,793億円となりました。家賃給付受託事業の売上収益188億円を除く既存事業の当第4四半期の売上収益は、前年同期比は16.8%減となりました。当第4四半期は、2021年1月7日から3月21日まで日本国内の一部都府県を対象に発出された緊急事態宣言や新型コロナウイルス感染症の感染者数増加等の影響を受けて減収となりました。

 

当第4四半期における調整後EBITDAは、販促領域及び人材領域は減収に加えて、来期以降の成長を見据えた戦略的且つ積極的なマーケティング投資を行ったため大幅な減益となりました。また、2021年4月1日の組織再編に係る費用増加や新型コロナウイルス感染症拡大の影響等による貸倒引当金額の増額により、前年同期比78.8%減72億円、調整後EBITDAマージンは4.1%となりました。

 

当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度比11.1%減6,720億円、家賃給付受託事業を除く売上収益は前連結会計年度比21.6%減の5,929億円となりました。当連結会計年度の調整後EBITDAは前連結会計年度比41.6%減1,067億円、調整後EBITDAマージンは15.9%となりました。

(単位:十億円)

 

前第4四半期

当第4四半期

増減率

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減率

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

販促

113.0

121.0

7.1%

438.5

456.0

4.0%

 

人材

79.1

58.2

△26.5%

314.1

214.0

△31.9%

 

全社/消去

0.6

0.0

△89.4%

3.1

1.9

△39.0%

 

合計

192.8

179.3

△7.0%

755.9

672.0

△11.1%

調整後EBITDA

 

 

 

 

 

 

 

販促

18.6

12.7

△31.3%

115.9

96.4

△16.9%

 

人材

18.8

4.6

△75.2%

83.4

36.8

△55.9%

 

全社/消去

△3.1

△10.1

-

△16.5

△26.4

-

 

合計

34.2

7.2

△78.8%

182.9

106.7

△41.6%

調整後EBITDAマージン

 

 

 

 

 

 

 

販促

16.5%

10.6%

-

26.4%

21.1%

-

 

人材

23.7%

8.0%

-

26.6%

17.2%

-

 

メディア&ソリューション

17.8%

4.1%

-

24.2%

15.9%

-

 

 

(注) メディア&ソリューション事業及び販促領域の2021年3月期第4四半期及び当連結会計年度の売上収益には家賃給付受託事業に係る受託料がそれぞれ、188億円、790億円含まれます。

 

 販促

当第4四半期における販促領域の売上収益は、前年同期比7.1%増1,210億円となりました。家賃給付受託事業を除く既存事業の売上収益は主に日本国内の一部都府県を対象に発出された緊急事態宣言や新型コロナウイルス感染症の感染者数増加等の影響を受けて、第3四半期より減少し、前年同期比9.7%減、1,021億円となりました。

 

住宅分野では、引き続き新築戸建てや中古物件、賃貸物件の広告需要が堅調なことから前年同期比7.2%の増収となりました。美容分野では、主に新規企業クライアントの獲得が寄与し前年同期比10.6%の増収となりました。美容分野のHotPepper Beautyネット予約件数は、当第4四半期は前年同期比9.0%増の3,094万件、当連結会計年度は前連結会計年度比1.5%減の11,285万件となりました。

 

結婚分野では挙式を控える傾向が継続し、企業クライアントが引き続き広告宣伝費を削減した結果、前年同期比38.2%の減収となりました。また、旅行分野では、2021年1月から3月まで発出された緊急事態宣言や新型コロナウイルス感染者数の増加等の影響を受けて、宿泊者数及び宿泊単価が前年同期を大幅に下回った結果、前年同期比29.1%の減収となりました。

 

飲食分野では、国内の11都府県における緊急事態宣言を受けた営業時間短縮に加えて、引き続き外食機会減少やテーブル数の間引き対応等による業績影響を受けた企業クライアントが多く、広告出稿数の減少等により前年同期比61.3%の減収となりました。HotPepperグルメのネット予約人数は、前年同期比29.0%減の1,416万人、当連結会計年度では前連結会計年度比29.5%減の6,551万人となりました。

 

決済サービスを提供するAirペイは、新型コロナウイルス感染症拡大を背景に非接触決済への需要が更に高まったことから、アカウント数(注)が引き続き増加し、2021年3月末時点で前連結会計年度末比41.7%増の21.0万となりました。このうち、Air ビジネスツールズの他ソリューションを併用しているアカウント数は、13.5万となりました。また、スタディサプリは学校のICT活用推進やコロナ禍におけるオンライン教育サービスへの需要が継続した結果、2021年3月末時点の有料会員数が前連結会計年度末比97.4%増の157万人となりました。Air ビジネスツールズ及びスタディサプリの売上収益並びに家賃給付受託事業に係る収益188億円は、その他分野に含まれます。

 

当第4四半期の調整後EBITDAは前年同期比31.3%減127億円となりました。家賃給付受託事業を除く既存事業の減収による減益に加えて、来期以降の成長に向けてマーケティング投資を積極的に行った結果、調整後EBITDAマージンは10.6%となりました。
 

当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度比4.0%増4,560億円、家賃給付受託事業を除く売上収益は前連結会計年度比14.0%減の3,769億円となりました。当連結会計年度の調整後EBITDAは前連結会計年度比16.9%減964億円、調整後EBITDAマージンは21.1%となりました。

 

(注) 登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。

(単位:十億円)

販促

前第4四半期

当第4四半期

増減率

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減率

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

 

住宅

30.6

32.8

7.2%

113.3

116.9

3.2%

 

 

美容

21.1

23.4

10.6%

81.6

82.9

1.6%

 

 

結婚

12.2

7.5

△38.2%

52.0

29.9

△42.4%

 

 

旅行

16.8

11.9

△29.1%

73.4

53.8

△26.6%

 

 

飲食

9.8

3.8

△61.3%

39.2

14.1

△64.0%

 

 

その他

22.3

41.4

85.5%

78.9

158.1

100.4%

 

 

合計

113.0

121.0

7.1%

438.5

456.0

4.0%

調整後EBITDA

18.6

12.7

△31.3%

115.9

96.4

△16.9%

調整後EBITDAマージン

16.5%

10.6%

-

26.4%

21.1%

-

 

 

(注) 販促領域及びその他分野の2021年3月期第4四半期及び当連結会計年度の売上収益には家賃給付受託事業に係る受託料がそれぞれ、188億円、790億円含まれます。

 

 

 人材

当第4四半期における人材領域の売上収益は、前年同期比26.5%減582億円となりました。売上収益及び前年同期比減収率は第3四半期から改善したものの減収となりました。

 

アルバイトやパート向け求人広告サービスは、1月に発出された緊急事態宣言による飲食店の営業時間短縮要請等の影響を受けて、飲食業を中心にアルバイト・パートの採用需要が減少したため、当第4四半期は減収となりました。

 

人材紹介サービスは、当社が紹介した候補者の入社時点に売上収益が計上される成果報酬型サービスです。第1四半期に落ち込んだ企業クライアントの採用需要は、7月以降回復基調が継続するものの、前年同期水準に満たないことから、第4四半期も引き続き前年同期比減収となりました。

 

当第4四半期の調整後EBITDAは前年同期比75.2%減46億円と、大幅な減収に伴う減益となりました。調整後EBITDAマージンは、来期以降の成長に向けて積極的なマーケティング投資を行った結果、8.0%となりました。

 

当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度比31.9%減2,140億円、調整後EBITDAは前連結会計年度比55.9%減368億円、調整後EBITDAマージンは17.2%となりました。

(単位:十億円)

人材

前第4四半期

当第4四半期

増減率

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減率

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

 

国内人材募集

70.0

50.3

△28.1%

277.8

186.5

△32.9%

 

 

その他

9.1

7.8

△13.7%

36.2

27.4

△24.3%

 

 

合計

79.1

58.2

△26.5%

314.1

214.0

△31.9%

調整後EBITDA

18.8

4.6

△75.2%

83.4

36.8

△55.9%

調整後EBITDAマージン

23.7%

8.0%

-

26.6%

17.2%

-

 

 

 

人材派遣事業

 

当第4四半期の売上収益は、前年同期比3.9%増3,093億円となりました。為替によるプラス影響84億円を控除した場合の売上収益は、前年同期比1.1%増となりました。当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度比4.0%減11,988億円となり、為替によるプラス影響71億円を控除した当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比4.5%減となりました。

 

国内派遣は、前年同期に対して営業日数が2日多かったことや、2020年4月1日からの同一労働同一賃金の法制化に伴い請求単価は上昇したことが売上収益にプラスに作用しました。一方、経済動向が不透明な状況が継続する中、新規派遣需要の低迷が継続し、当第4四半期の派遣スタッフ数が前年同期と比較して減少したことから、売上収益は前年同期比0.8%減1,425億円となりました。当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度比0.4%増5,699億円となりました。

 

海外派遣は、各国における新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐための規制により引き続き企業クライアントの事業運営に制約が生じましたが、特に欧州においてEコマースに関連する物流業や、コロナ禍における医療分野での人材需要の高まりが継続したことが売上収益の回復に寄与しました。また、為替変動がプラスに影響したこともあり、売上収益は前年同期比8.3%増1,668億円となりました。為替によるプラス影響84億円を控除した場合の売上収益は2.9%増となりました。当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度比7.6%減6,288億円となり、為替によるプラス影響71億円を控除した当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比8.6%減となりました。

 

当第4四半期の人材派遣事業の調整後EBITDAは前年同期比44.2%減90億円となりました。調整後EBITDAマージンは2.9%となりました。当連結会計年度の調整後EBITDAは、前連結会計年度比6.2%減762億円、調整後EBITDAマージンは6.4%となりました。

 

国内派遣の調整後EBITDAは、前年同期比63.0%減37億円となりました。これは主に、派遣スタッフの募集費や企業クライアントへのマーケティング費用、来期以降のリモートワーク環境改善等のための費用を投下したことによるものです。調整後EBITDAマージンは2.7%となりました。当連結会計年度の調整後EBITDAは、前連結会計年度比3.4%増487億円、調整後EBITDAマージンは8.6%となりました。

 

海外派遣の調整後EBITDAは、来期以降の成長を見据え、人員強化のための投資を行ったことから、前年同期比12.0%減52億円となりました。調整後EBITDAマージンは3.1%となりました。当連結会計年度の調整後EBITDAは、前連結会計年度比19.6%減274億円、調整後EBITDAマージンは4.4%となりました。

(単位:十億円)

 

前第4四半期

当第4四半期

増減率

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減率

売上収益

 

 

 

 

 

 

 

国内派遣

143.6

142.5

△0.8%

567.8

569.9

0.4%

 

海外派遣

154.0

166.8

8.3%

680.3

628.8

△7.6%

 

合計

297.7

309.3

3.9%

1,248.1

1,198.8

△4.0%

調整後EBITDA

 

 

 

 

 

 

 

国内派遣

10.2

3.7

△63.0%

47.1

48.7

3.4%

 

海外派遣

5.9

5.2

△12.0%

34.1

27.4

△19.6%

 

合計

16.2

9.0

△44.2%

81.2

76.2

△6.2%

調整後EBITDAマージン

 

 

 

 

 

 

 

国内派遣

7.1%

2.7%

-

8.3%

8.6%

-

 

海外派遣

3.9%

3.1%

-

5.0%

4.4%

-

 

人材派遣

5.4%

2.9%

-

6.5%

6.4%

-

 

 

当連結会計年度の人材派遣事業の地域別売上収益(注)は以下のとおりです。          (単位:十億円)

 

日本

北米

欧州

豪州

売上収益

569.9

167.4

321.8

139.5

 

(注) 北米、欧州、豪州については海外派遣領域の売上収益を各子会社の所在地で分解した数値

 

 

各セグメントに帰属する地域別のれん金額

当連結会計年度末の各セグメントに帰属するのれんの帳簿価額は以下のとおりです。      (単位:十億円)

 

のれん

HRテクノロジー

201.5

メディア&ソリューション

-

 

日本

-

 

海外

-

人材派遣

197.7

 

日本

27.5

 

北米

14.1

 

欧州

149.0

 

豪州

7.0

合計

399.3

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

基本方針

当社は、企業価値向上に繋がる戦略的投資への機動的な対応と円滑な事業活動に必要な流動性の確保のため、資金調達が必要な際には適切な格付及び財務の健全性を維持しつつ、グローバルな金融市場からの負債による資金調達を活用することを基本方針としています。

自己資本は、適切な資本効率を維持しつつ、成長投資の機会等に対して機動的に対応できる財務基盤を整えること及び事業活動や資産のリスクと比較して十分な水準を維持します。

 

資金使途

運転資金、法人税の支払い、各セグメントにおけるM&A及び資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得等に資金を充当しています。

 

資金調達

運転資金及び投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を充当することを基本としていますが、資金需要及び金利動向等の調達環境並びに既存の有利子負債の返済及び償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。

 

外部資金調達を行う運転資金のうち、原則として、短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせにより調達することとしています。中長期の運転資金については、金融機関からの借入、社債又はその組み合わせにより調達することとしています。なお、当社は、機動的な資金調達を可能とするため、2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。

 

また、当社は、流動性を確保し、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関4社と当座貸越契約を締結しています。なお、当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当社は2020年4月30日に総額3,999億円のコミットメントライン契約を締結しましたが、当連結会計年度末において、当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。また、当該コミットメントライン契約締結後、当社の流動性の状況等の見直しを進めた結果、2021年3月31日をもって当該コミットメントライン契約を解約し、2021年4月1日より有効となる新たな総額2,000億円のコミットメントライン契約を締結しました。これらにより、当社は事業環境の大きな変化の際にも十分な流動性が確保できると考えています。

 

当連結会計年度末の有利子負債の帳簿価額・期日別残高は以下のとおりであり、期日別残高は利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しています。

 

(単位:百万円)

 

帳簿価額

期日別残高

1年内

1年超5年内

5年超

社債

49,955

30,071

20,088

-

借入金

62,825

24,946

37,216

1,222

合計

112,780

55,017

57,304

1,222

 

 

 

格付

当社は、格付機関である㈱格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・ジャパン㈱及びS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱から長期格付を取得しており、当連結会計年度末における格付は、それぞれAA-、A3、Aでした。

 

 

キャッシュマネジメント

当社は、当社グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、且つ経済合理性が認められることを前提として、主にキャッシュマネジメントシステムを通じた当社グループ内での資金貸借の実施を外部借入よりも優先しています。

 

当社は、当社及び財務統括子会社に全ての通貨のキャッシュマネジメントを集約することで、当社グループが保有する現金及び現金同等物の機動性を確保しています。

 

当社グループは、事業環境の悪化や成長投資機会に機動的且つ柔軟に対応できる十分な資金を有しています。当連結会計年度末時点において、現金及び現金同等物の金額は5,010億円、ネットキャッシュ(注1)の金額は3,882億円です。

 

(注1) ネットキャッシュ = 現金及び現金同等物 - 有利子負債(注2)

(注2) 有利子負債には、社債及び借入金を含み、リース負債を含みません。

 

資金運用

資金運用は、投機目的で行わず、元本が保証され、安全且つ確実で効率の高い金融商品のみで行うこととしています。

 

④ 連結財政状態の概況

当第4四半期末時点における現金及び現金同等物の金額は5,010億円、社債及び借入金を含み、リース負債を含まない有利子負債の金額は1,127億円、この差額のネットキャッシュは3,882億円です。ネットキャッシュの金額は、前連結会計年度末比1,037億円増加しました。

 

流動資産は、主に現金及び現金同等物が増加したことにより、前連結会計年度末比975億円(11.8%)増加しました。非流動資産は前連結会計年度末比1,001億円(8.6%)増加しました。これは、投資有価証券が追加取得や評価益の計上により612億円増加したことに加え、使用権資産がオフィス契約の更新等により254億円増加したためです。

 

負債合計は、主に使用権資産の増加に伴いリース負債が332億円、営業債務が248億円増加したことにより、前連結会計年度末比921億円(9.2%)増加しました。

 

親会社の所有者に帰属する持分合計は、前連結会計年度末比1,031億円(10.4%)増加しました。これは主に、2020年12月7日から2021年2月26日までに実施した685億円の自己株式取得による資本の減少や、配当により利益剰余金が403億円減少した一方、親会社の所有者に帰属する当期利益及びその他の包括利益を2,086億円計上したことによるものです。

 

当第4四半期末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、2021年5月17日時点において、2021年3月31日に締結した総額2,000億円のコミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。

 

 

なお、当社は2,000億円(当第4四半期末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。

(単位:十億円)

 

前連結会計年度
(2020年3月31日)

当連結会計年度
(2021年3月31日)

増減

増減率
(%)

 

流動資産合計

829.9

927.5

97.5

11.8%

 

非流動資産合計

1,168.9

1,269.0

100.1

8.6%

 

資産合計

1,998.9

2,196.6

197.6

9.9%

 

流動負債合計

511.7

603.1

91.4

17.9%

 

非流動負債合計

491.4

492.1

0.7

0.1%

 

負債合計

1,003.1

1,095.3

92.1

9.2%

 

親会社の所有者に帰属する持分合計

988.4

1,091.5

103.1

10.4%

 

非支配持分

7.2

9.7

2.4

33.2%

 

資本合計

995.7

1,101.2

105.5

10.6%

 

 

 

⑤ 連結キャッシュ・フローの概況

当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、営業活動による収入が、投資活動及び財務活動による支出を上回ったため、前連結会計年度末比797億円増加し、5,010億円となりました。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末比167億円減2,865億円となりました。これは主に前連結会計年度の減益に伴い当連結会計年度の支払い費用が減少したものの、当連結会計年度の税引前利益が576億円減少したことによるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末比486億円支出が減少し、△403億円となりました。主な支出項目はソフトウエア等無形資産の取得です。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、主に自己株式の取得による支出を計上したものの、前連結会計年度末比200億円支出が減少し、△1,727億円となりました。

(単位:十億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

303.3

286.5

△16.7

投資活動によるキャッシュ・フロー

△88.9

△40.3

48.6

財務活動によるキャッシュ・フロー

△192.7

△172.7

20.0

現金及び現金同等物に係る換算差額

△3.2

6.2

9.5

 現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

18.3

79.7

61.4

現金及び現金同等物の期首残高

402.9

421.2

18.3

 現金及び現金同等物の四半期末残高

421.2

501.0

79.7

 

 

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績及び受注実績

当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、省略しています。

 

② 販売実績

本項目「(1) 経営成績等の分析」に記載のとおりです。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費は744億円となりました。主な内訳は、新プロダクトの開発や新しいテクノロジーを活用した既存プロダクトの改善に係るエンジニア及びテクノロジー開発担当者の人件費であり、その大半はHRテクノロジー事業に関連します。