1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針
① ビジョン・ミッション・バリューズ
当社グループの経営理念として、基本理念、ビジョン(目指す世界観)、ミッション(果たす役割)、バリューズ(大切にする価値観)を掲げています。
これらを実現するため、当社グループが創業より大切にし活用してきたリボンモデルをビジネスモデルの基礎としています。リボンモデルとは、個人ユーザーと、企業クライアントのマッチング・プラットフォームを作り出し、より多くの最適なマッチングソリューションを提供することにより双方の満足を追求するビジネスモデルです。
現在は、テクノロジーとデータを活用することで、マッチングの更なる効率性向上と高速化に注力し、個人ユーザーに対して最適な選択肢を提供し、企業クライアントに対して更なる業務効率化を支援しています。
② 企業活動の重要な基盤
当社グループでは、ステークホルダーとのESGに関する対話や、取締役会や各委員会等における議論を踏まえて、持続的な企業価値の向上に向けてステークホルダーと共存共栄をする上で重要となる企業活動の基盤を特定しています。各テーマについては、取締役会の諮問機関である各委員会での審議を踏まえて取締役会にて進捗確認をすることで、取組みを推進しています。
当社グループの企業活動の重要基盤は、以下のとおりです。
コーポレート・ガバナンス
当社は、取締役 兼 常務執行役員 兼 COOを、ESG推進を含めたコーポレート・ガバナンスの責任者と位置づけ、指名委員会及び報酬委員会での審議を踏まえて、取締役会にて適切なコーポレート・ガバナンス体制や役員報酬のあり方を確認しています。
また、取締役構成員のダイバーシティ向上に向けて、2031年3月期までに当社の監査役を含む取締役会構成員の女性比率を約50%とする目標を定め、取組みを進めています(注1)。
加えて、ESGに関する取組みと役員報酬との接続をより強化するために、2023年3月期からは当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めた温室効果ガス(GHG: Greenhouse Gas)排出量削減と女性比率向上の達成如何を(注2)、2023年3月期からの長期インセンティブ報酬(注3)の一部に連動させることを取締役会において決定しています。
当社のコーポレート・ガバナンス方針及び役員報酬については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」を、取締役会構成員に関する目標については、本項目「(3)経営戦略」「Prosper Together - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。
人的資本
当社グループは、従業員の意欲を最大化することを改めて経営の重要テーマとし、特にダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)と従業員エンゲージメント、内発的動機を引き出す人材育成と環境作りに重点的に取組んでいます。
前提として、当社グループでは、企業活動において、階級、人種、肌の色、性別、言語、宗教、ジェンダー、年齢、政治的・その他の意見、国民的若しくは社会的出身、国籍、財産、性的指向、性自認、障がい、出生等を理由とした差別や人権侵害を行わないよう努め、すべての人々へ平等な機会を提供し、その人らしい生き方・働き方を尊重する「リクルートグループ人権方針」を定めています。
そして、当社グループでは、大切にする価値観(バリューズ)のひとつとして「個の尊重 - Bet on Passion」を掲げています。創業以来、多様な従業員一人ひとりの違いを大切にし、その好奇心から生まれるアイデアや情熱に投資することで新たな事業やサービスを生み出すことこそが、競合優位の源泉であると考えてきました。
DEIについては、特にグループ全体で共通のテーマであるジェンダーの多様性については、経営戦略の一環として当社グループ全体で目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。あわせてジェンダー以外のDEIについても、国や地域、事業に応じて重要なテーマを定めて進めています。ジェンダーの多様性に関する目標の詳細は、本項目「(3) 経営戦略」「Prosper Together - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。
また、当社グループでは、従業員エンゲージメントを高めるために様々な取組みを行っています。例えば、当社及び主要子会社においては、従業員エンゲージメント・サーベイを実施しています。これにより、従業員エンゲージメントに向けた課題を理解し、組織風土改善等を進めています。
加えて、当社グループでは、人的資本及び知的財産への投資の一環として多様な個人の内発性動機を最大限に引き出す組織文化の醸成に継続的に取組み、事業をマネジメントしています。具体的には、当社及びメディア&ソリューションSBUの統括会社である㈱リクルートでは、従業員の可能性に期待し役割を定める「ミッショングレード制度」、個人の意志を起点としてスキル向上とミッション実現を接続する「Will - Can - Mustマネジメント」、従業員ひとり一人の育成方針を議論する「人材開発委員会」を軸として人材マネジメントを行っています。HRテクノロジーSBUのIndeedで運営する「Indeed大学」では、世界中のエンジニアが集まり、チームでアイデアを形にしていきます。この場を通じて、数多くの新たなサービスが生まれています。そして、人材派遣SBUでは「ユニット経営」と呼ばれる、現地の顧客ニーズに精通した各組織に権限移譲を行い、それぞれの深い知見に基づき柔軟に意思決定を行える経営手法を導入しています。この経営手法によって、現場の従業員は、成果に向けて高い意欲を持つことができると同時に、リーダーとしての意思決定力を高める機会を得ています。
当社グループにとって、価値創造サイクルの起点はひとり一人の従業員です。当社グループは引き続き、当社グループの人的資本を起点とした価値創造サイクルの強化に取組んでいきます。
当社グループの価値創造サイクル

企業倫理の徹底
当社グループでは、コンプライアンスを法令遵守の枠を越えて企業と個人が適正な行動を行うことで社会的な期待や要請に応えていくことであると位置づけ、事業活動の大前提としています。企業倫理の徹底のため、従業員教育等の施策、内部通報窓口の設置を行うとともに、コンプライアンス委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」「(1) コーポレート・ガバナンスの概要」「②内部統制システム整備の状況」をご参照ください。
データセキュリティ・データプライバシー対応
当社は、データセキュリティ・データプライバシー対応を当社グループのトップリスクと定め、保有するデータを重要性に応じて分類し、事業内容や国・地域ごとの法規制や保護すべき情報資産の特性に応じて必要な体制や施策を整備しています。また、リスクマネジメント委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗確認と議論をしています。詳細は、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
人権の尊重
当社は、当社グループの役員と従業員、当社グループ会社の派遣サービスに登録している方々を直接の保護の対象と位置付けて「リクルートグループ人権方針」を掲げ、その中に急速なテクノロジーの発達によって影響を受ける人権の保護を含めています。人権方針は、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて決議しています。
地球環境の保全
当社は、すべての企業活動はあらゆる生命の生存基盤である地球環境が健全であってはじめて成り立つと考え、様々な活動を行っています。特に気候変動対策については重要テーマと位置づけ、当社グループ全体で温室効果ガス排出量のカーボンニュートラル達成に向けた目標を定め、サステナビリティ委員会での審議を踏まえて、取締役会にて進捗管理と議論をしていきます。
気候変動に伴う当社グループのリスク及び機会については本項目「気候変動への対策と「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に沿った情報開示」を、気候変動対策の詳細は「(3)経営戦略」「ProsperTogether - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。
③ 気候変動への対策と「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に沿った情報開示
当社では、地球環境の保全を、持続的な企業価値の向上に向けてステークホルダーと共存共栄をする上で重要な企業活動の基盤であると定めています。その上で、特に気候変動については、2031年3月期までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを目指す目標を定め(注1)て、温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出削減を進めています。短期目標として定めた当社グループの事業活動における温室効果ガス排出量のカーボンニュートラルは、計画どおり2022年3月期に達成する見込みです(注1)。そして、2031年3月期までに目指す目標に向けては、国際的なフレームワークである地球の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5度未満に抑えることを目指す「1.5度目標」(注2)に沿った3カ年目標(注3)を定め、排出量削減に向けた取組みを加速しています。
あわせて、脱炭素社会に積極的に対応するためにガバナンスを強化し、気候変動が当社グループに与えるインパクトの評価や、リスク低減と成長機会の獲得に向けて取組みを進めています。その一環として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、そのフレームワーク(注4)に沿って、本項目にて気候変動への対策に関する情報開示を行っています。
ガバナンス
当社では、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会での審議を踏まえて、気候変動への対応に必要な体制整備を行い、その対応を取締役会において監督しています。サステナビリティ委員会では、気候変動に対する対応方針や戦略、及び計画について議論します。取締役会では、GHG排出量の削減目標に対する進捗とともに、気候変動関連リスクの低減と機会獲得への対策を含めた事業計画や投融資を確認、監督しています。
リスクの低減と機会の獲得は、サステナビリティ委員会に社内委員として参加する各SBU統括会社のCEOを兼務する当社執行役員が、各SBUにおける戦略を策定し、事業運営の中で実行していきます。
また、当社の気候変動への取組みは、サステナビリティ担当執行役員を責任者として進めています。当該責任者は、取締役会に対して、気候変動によるリスクや機会の評価、リスク低減と機会の獲得方法について報告します。また、当該責任者の配下にサステナビリティ所管部署を設置し、当社グループの環境関連情報の収集、GHG排出量削減の進捗管理、気候変動によるリスクや機会の識別及び評価、その対応方針の検討及び推進、ステークホルダーとの対話や関連調査を行います。
リスク管理
気候変動によるリスクは、当社グループ全体のリスクマネジメントプロセスに統合して評価し、リスクマネジメント委員会において、包括的且つ一元的に管理しています。気候変動に関する中長期的なリスクの議論はサステナビリティ委員会に委任し、リスクの低減策に関する具体的な議論を行います。その結果はリスクマネジメント委員会に連携され、取締役会に報告されます。
気候変動によるリスクと機会の管理体制(役割と会議体)

※サステナビリティ委員会及びリスクマネジメント委員会の参加者及び開催回数については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」「2022年3月31日時点の取締役会、監査役会、経営戦略会議、各委員会の構成」を参照ください。
戦略
(a)戦略の前提
当社グループでは、気候変動によって平均気温が4度上昇することは世界に大きな影響を及ぼすことを認識し、気温上昇を1.5度未満に抑制することが重要であると考えています。そこで、複数の気候変動シナリオ(4度と1.5度)に基づき、2031年3月期までの短期・中期・長期のリスクと機会を発生可能性と財務影響の観点で評価し、主要なリスクの低減及び機会の獲得に向けた対策を取締役会において確認しています。また、シナリオ分析においては、IPCC (Intergovernmental Panel on Climate Change)(注1)や国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)等、国際機関及びそれに準ずる調査機関が発行するレポートを参照しています。
(注1) 共通社会経済経路(SSP: Shared Socioeconomic Pathways)5-8.5、SSP1-1.9に該当。
(b)気候変動による主要なリスクと機会
当社グループが、シナリオ分析を経て特定した主要なリスクとその発生可能性、財務影響は以下のとおりです。財務影響については、リスク項目毎に試算し、金額根拠の確度が比較的高いと考えられる炭素税のみ数値で示しています。
今回の分析を通じて、事業戦略に影響を及ぼす重大なリスクは特定されませんでした。今後も、前述のガバナンス体制の基で、世界動向を受けて気候変動が当社グループに及ぼす影響を注視し、継続的に評価の見直しと情報開示の充実を進めていきます。現時点では、当社が定める3つの経営戦略を推進することこそが、気候変動に対するレジリエンスを高め、主要リスクを低減すると考えています。
当社グループが、シナリオ分析を経て特定した主要な機会とその発生可能性、財務影響は以下のとおりです。
今回の分析を通じて、当社が定める3つの経営戦略を推進することこそが、気候変動による機会の獲得に繋がることを確認しました。今後も気候変動に関する社会やステークホルダーの動向を注視し、その変化を捉えて当社グループの機会としていくことで、労働市場のレジリエンスと持続可能性の向上に貢献したいと考えています。
指標、目標と実績
(a)指標
当社では、GHGプロトコルに則った温室効果ガス排出量(スコープ1, 2, 3の絶対量(注1,2))を、気候関連のリスクと機会を管理する指標に定めています。
(b)目標
当社は、「サステナビリティのコミットメント(2021年5月発表)」において、2022年3月期までに自らの事業活動におけるカーボンニュートラルを目指すこと(注1,3)、2031年3月期までにバリューチェーン全体におけるカーボンニュートラルを目指す目標を経営戦略として定めています(注2,3)。
また、当社の業務執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減の達成如何を、2023年3月期からの長期インセンティブ報酬(注4)の一部に連動させることを取締役会において決定しています。(詳細は「②企業活動の重要な基盤」の「コーポレート・ガバナンス」をご覧ください。)
(c)実績
当社では、2020年3月期より、GHGプロトコルに則ったGHG排出量の算定を開始し、2021年3月期の事業活動を通じた排出量(スコープ1+2)は29,070t-CO2(前年比-30.3%)となりました(注5)。また、本GHG排出量については第三者保証(注6)を取得しています。また、短期目標である2022年3月期事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1及び2)のカーボンニュートラルは、計画どおり達成する見込みです(注1, 3)。
また、当社では、2010年に定めた、2021年3月期までに2009年3月期比で日本国内でのGHG排出量を25%削減する目標を、当連結会計年度末時点で62.4%削減と目標値を大きく上回る形で達成しています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、長期的な利益成長と企業価値及び株主価値の最大化に向け、新規事業投資や研究開発、M&A等の成長投資を機動的且つ積極的に実行していきます。そのための主な経営指標を調整後EBITDA及び調整後EPSと設定し、調整後EBITDAの成長率を役員の報酬に連動させることにより、株主の皆様との価値共有を促進しています。また、2023年3月期から、ESG目標の達成度を一部の役員の報酬に連動させることを決定しました。詳しくは、「(3)経営戦略」「Prosper Together - ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長」をご参照ください。
当社は2023年3月期より、主な経営指標である調整後EBITDA及び調整後EPSの調整項目を変更します。
調整後EBITDAに関しては、グローバルで比較可能性の高い事業のキャッシュ・フロー創出力を示すために、調整項目に株式報酬費用を追加します。当社は、2021年1月以降、HRテクノロジーSBUにおいて当社の株式を用いた株式交付制度を導入しています。従来から実施している当社役員に対する株式報酬制度と合わせて、2022年3月期の株式報酬費用は324億円となりました。
2023年3月期以降の調整後EBITDAの計算式は以下のとおりです。
調整後EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)+株式報酬費用 ±その他の営業収益・費用
あわせて調整後EPSに関しては、グローバルで比較可能性の高い恒常的な収益力を表す1株当たりの利益を示すため、企業結合に伴い生じた無形資産の償却額を計算式の分子である調整後当期利益の調整項目から削除します。当社は2018年3月期より、適用する会計基準を日本基準から国際会計基準に変更しています。よって、企業統合に伴い生じる無形資産のうち、重要な金額を占めるのれんは、規則的な償却ではなく、年一度以上の減損テストに基づいて減損の要否を判断し、のれんの減損が発生した場合は、非経常的な損失(下記計算式を参照)と判断しています。2023年3月期以降の調整後EPSの計算式は以下のとおりです。
調整後EPS = 調整後当期利益/((期首発行済株式総数+期末発行済株式総数)/2-(期首自己株式数+期末自己株式数)/2)
調整後当期利益=親会社の所有者に帰属する当期利益±非経常的な損益(非支配持分帰属分を除く)±非経常的な損益(非支配持分帰属分を除く)の一部に係る税金相当額
非経常的な損益 = 子会社株式売却損益、事業統合関連費用、固定資産売却損益/除却損等、恒常的な収益力を表すために当社が非経常的であり利益指標において調整すべきであると判断した損益
2023年3月期は前年同期比較を可能にするため、2022年3月期の調整後EBITDA及び調整後EPSを新しい定義で算出した数値を開示します。
(3) 経営戦略
当社グループは、テクノロジーの進化等により急速に変化する事業環境に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取組んでいます。
HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び人材派遣事業が、グローバル人材マッチング市場において、メディア&ソリューション事業の販促領域が日本において、インターネット広告事業にとどまらず、テクノロジーを駆使して企業クライアントの業績向上及び生産性改善をサポートするソリューションプロバイダーに進化することを目指しています。
加えて、不確実性が高まる中で持続的な企業価値向上を目指すためには、健全なガバナンスの基で、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、全てのステークホルダーとの共存共栄を目指す必要があると考えています。そのため、ESG(環境・社会・ガバナンス)について具体的な目標を掲げ、社内外ステークホルダーとの対話を重視しながら、その実現に向けて取組んでいます。
① 当社グループ全体の経営戦略
当社グループ全体の経営戦略と対処すべき課題は、以下のとおりです。
Simplify Hiring - 人材マッチング市場における採用プロセスの効率化
当社は、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、採用オートメーション市場及び人材派遣市場の総称を人材マッチング市場と定義し、求職者がより速く且つ容易に仕事を得られることや、企業クライアントの採用に係るコストと時間を削減することを通じた人材マッチング市場における採用プロセスの効率化に取組んでいます。
3つの事業が、データ、自動化及びテクノロジーを活用しながら連携し、求職者と企業クライアントへの選択肢の提案の質とスピードを劇的に向上させることで採用プロセスを簡便化し、双方に更なる価値を提供することを目指しています。
長期的には、長年蓄積されたマッチングデータとAIや機械学習を通じて得られた求職者及び企業クライアントの採用に関する考え方といった情報を組み合わせることで、ボタンをクリックするだけで求職者と企業クライアントのマッチングができるような、より速く効率的な採用を目指します(注1)。
現時点では、採用プロセスの効率化の進捗度合いを表す指標は、Indeed及びGlassdoor上における1分当たりの平均採用者数であると考えています。この指標はマッチング精度の向上、採用プロセスの自動化、企業クライアントとの関係性の深化の進捗を計るものであり、これら要素の改善は更なる採用者数の増加に繋がります。当第4四半期の1分当たりの平均採用者数(注2)は、社内測定に基づくと平均20名となり、2019年3月期第4四半期の平均10名から2倍になりました。
HRテクノロジー事業は世界有数の求人情報プラットフォーム及び企業情報サイト(注3)であるIndeedとGlassdoorの運営を通じて、戦略推進の中心的な役割を担っています。Indeedは約2億5,000万人以上、Glassdoorは約5,500万人以上の月間ユニークビジター数(注4)を有しています。また、事業規模を問わず数多くの企業クライアントが求人情報の掲載や、求職者のレジュメ検索といった採用活動を行っており、掲載されている求人件数は、社外のウェブサイトからアグリゲートされたものを含めると3,000万件以上(注5)にのぼります。IndeedやGlassdoor上で求職者の求職活動及び企業クライアントの採用活動が増加することでデータが蓄積され、AIや機械学習を活用することで、マッチングの精度の向上に繋がります。結果として、最適な求人情報を求職者に提示することや、最適な候補者を企業クライアントに提供することが可能になります。
マッチングの精度の向上と同時に、採用プロセスにおけるマニュアルな作業の自動化に取組んでいます。例えば、Indeedでは求職者が企業からの事前審査に通過すると、即座にリクルーターや採用責任者との面接を予約できる機能を備えており、2022年3月期には延べ200万回を超えるオンライン面接(注6)がIndeed上で実施されました。求職者にとっては、求人情報の検索、面接、仕事に関する考えの共有等、求職活動に関する行動全てがHRテクノロジー事業の提供するプラットフォーム上で可能となります。そして、それらのデータは全てマッチングの精度向上に貢献します。
また、HRテクノロジー事業と人材派遣事業が協働し、データ活用と従来の人材派遣の事業プロセスの自動化や、求人情報、給与の選択肢及び柔軟な面接設定機能を提供するプラットフォームであるIndeed Flexの運営を通して、派遣社員の求職活動における満足度の向上に取組んでいます。
日本では、メディア&ソリューション事業の人材紹介サービスにおける試験的な取組みにおいて、HRテクノロジー事業の検索テクノロジーとメディア&ソリューション事業の採用プロセス効率化のテクノロジーを活用し、企業クライアントと求職者の面談数が前年と比較して大幅に増加しました。このような事業間の連携は2023年3月期以降も継続し、人材マッチング市場におけるあらゆる職種の採用プロセスをシンプルにすることを目指します。
当社は、2021年のグローバル人材マッチング市場規模を2,360億米ドル程度(注7)と推定しています。
人材マッチング市場の規模は、経済成長及び労働市場の状況との連関性が高く、2020年は新型コロナウイルス感染症に関連する規制の影響を受けたことで市場規模が縮小したものの、その後の労働市場環境の変化により、2021年は市場規模が大きく拡大したと推定しています。当社は、人材マッチング市場は2022年以降も拡大を続けるものの、企業クライアントの採用活動及び求職者の求職活動といった労働市場環境が正常化することから、2021年よりも緩やかな成長率で拡大していくと想定しています。
・求人広告及び採用ツール市場
2021年におけるオンライン求人広告及び採用ツール市場は、グローバルで年間売上金額ベースで240億米ドル程度(注8)と推定しています。一方で、当社グループがグローバルで年間売上金額ベースで20億米ドル(注9)を超える規模と見積もる2021年におけるオフライン求人広告市場は、今後もオンライン求人広告市場に流入を続けながら縮小していくと考えています。
・人材紹介市場
人材紹介市場は、2021年におけるグローバル市場規模を450億米ドル程度(注12)と推定しており、同市場における多くのサービスは属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルを採用しています。
・エグゼクティブサーチ市場
2021年におけるエグゼクティブサーチ市場はグローバルで年間売上金額ベースで310億米ドル程度(注12)の市場規模であると推定しており、同市場における多くのサービスは、人材紹介市場と同様に属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルによるものです。
・採用オートメーション市場
当社が新たに事業展開を行う可能性がある採用オートメーション市場は、2021年において、430億米ドル程度(注16)の市場規模であると推定しています。市場規模は、企業クライアントが人材採用のために社内リソースに費やしている金額を基に、その金額のうちどの程度が第三者による採用オートメーションサービスに代替可能であるかを推定することに加え、自動化によって得られる企業クライアントのコスト削減効果を考慮した上で算出しています。
人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場、採用オートメーション市場は、候補者のソーシングやスクリーニング、面接の設定、候補者の選定や配属といった、多くのサービスにおいて属人的な関係に基づく伝統的なビジネスモデルを採用しています。当社グループはデータや自動化を活用し、これらの作業を効率化するソリューションを、業界平均よりも低価格で採用担当者や企業経営者に提供することを目指します。それによって、当社がサービスを提供する求人クライアント数を更に増やし、採用予算のうち、より多くのシェアを獲得することを目指します。
・人材派遣市場
2021年における人材派遣市場は、グローバルで年間売上金額ベースで4,730億米ドル程度(注12)の市場規模であると推定しており、売上金額から派遣スタッフの給料や関連する費用を控除した売上総利益金額は880億米ドル程度(注15)と推定しています。当社グループは、同市場において短期的には、テクノロジーを活用して人材派遣事業の効率化に繋がるオンラインプラットフォームサービスを提供し、長期的にはこれらのソリューションを通して市場の変革を図ります。当社は、人材派遣市場における革新的なソリューションの開発を模索し、それを新規及び既存事業に応用することで、データやテクノロジーを活用した将来の事業機会に繋げることを目指します。
Help Businesses Work Smarter - SaaSソリューションによる日本国内企業クライアントの業績及び生産性向上
メディア&ソリューション事業は、SUUMOやHotPepper Beauty、タウンワークをはじめとする販促・人材領域のオンラインマッチングプラットフォームと、集客・顧客管理、採用や人材管理及び決済業務の効率化のための豊富なSaaSソリューションの提供を通じて、企業クライアントの業績及び生産性の更なる向上の実現を支援しています。
今後は業務・経営支援ツールであるSaaSソリューションを更に拡充し、金融サービスを含む、企業クライアントの事業運営に係る全ての経済活動を支えるエコシステムを構築していきます。
エコシステムを構築していくにあたって、現時点では、SaaSソリューションの登録アカウント数が最重要指標であると考え、SaaSソリューションの拡充に加えて、従前より培ってきた営業体制を活用した営業戦略及び積極的なマーケティング活動を実施し、アカウント獲得に取組んでいます。
日本国内におけるアカウント数の規模及び今後の成長見通しに関しては、当社が提供するSaaSソリューションであるAir ビジネスツールズが提供しているソリューションの日本における潜在顧客事業所数を2020年3月末時点で約290万程度(注18)と推定しており、アカウント数が成長する余地は依然として大きいと認識しています。登録アカウント数の拡大を牽引するAirペイのアカウント数は、無料で提供しているAirレジやAirワーク 採用管理に次いでアカウント数が多く、2022年3月末時点では約28.1万(注19)、前連結会計年度末比33.6%増となりました。
AirペイとAirレジやAirシフト等Air ビジネスツールズの他のソリューションを併用する企業クライアントも増加しています。2022年3月末時点のAirペイアカウント数約28.1万のうち、他ソリューションを併用しているアカウント数は約17.6万となりました。
2022年3月期のSaaSソリューションの拡充としては、決済ブランドであるCoin+を搭載した個人ユーザー向けのデジタル口座管理アプリであるエアウォレットや、ATS(Applicant Tracking Service)であるAirワーク 採用管理の提供開始が挙げられます。また、2022年4月よりAirキャッシュを通して新たに企業クライアント向けの売上収益早期現金化サービスの提供を開始しました。
Coin+は、当社と㈱三菱UFJ銀行が共同出資する㈱リクルートMUFGビジネスが提供する決済ブランドです。決済手数料は0.99%(税抜)と通常のキャッシュレス決済の手数料と比較して低く、企業クライアントの負担を抑えることができます。エアウォレットは、送金のみならず、提携先銀行口座との入出金が無料のため日常生活で使用するお金をシームレスに管理・送金できる機能に加えて、QRコード(注20)決済機能も備えています。
Airワーク採用管理は、企業クライアントが採用ホームページ作成、求人掲載、応募者受付と管理といった機能を無料で利用できるクラウドベースの応募情報一元管理サービスです。Airワーク 採用管理に掲載した求人情報はIndeedを含む検索エンジンに自動で掲載することができます。Airワーク 採用管理のアカウント数(注19)は、2022年3月末時点で前連結会計年度末比2倍以上となり、約38万件を超える水準となりました。

(注18) 出典:総務省・経済産業省「平成28年経済センサス-活動調査結果」及び中小企業基本法における中小企業者の定義等に基づき、中小企業者の事業所数を業種別に算定した上で、2020年3月末時点のAir ビジネスツールズの利用実績を踏まえて、Air ビジネスツールズの導入可能性があると当社が判断した業種に属する中小企業者の事業所数を合計することにより推計しています。なお、潜在店舗数の推計に当たり、2020年3月末時点Air ビジネスツールズ登録アカウント数(ノンアクティブアカウントを含む)が20アカウント以上存在する業種をAir ビジネスツールズの導入可能性があると判断しています。
(注19) 登録アカウント数は、当該サービス登録加盟店舗数及び事業所数を指し、アクティブ及びノンアクティブアカウントを含みます。
(注20) QRコードは㈱デンソーウェーブの登録商標です。
Prosper Together -ステークホルダーとの共栄を通じた持続的な成長
当社グループは、企業活動全体を通じて社会や地球環境にポジティブなインパクトを与え、全てのステークホルダーと共存共栄を目指していくことが、当社の持続的な成長に繋がると考えています。2021年5月に、経営戦略として掲げたESG(環境・社会・ガバナンス)の目標に対する当期の進捗は以下のとおりです。
・環境(E)
気候変動への対策として短期目標に掲げた、当社グループの事業活動における温室効果ガス(GHG)排出量について、計画どおり、2022年3月期にカーボンニュートラルを達成する見込みです(2022年11月に第三者認証を完了予定)(注21)。また、2031年3月期までに目指すバリューチェーン全体を含めたGHG排出量のカーボンニュートラル(注21)に向けては、地球の平均気温上昇を産業革命前と比べ1.5度未満に抑える「1.5度目標」(注22)に沿って、2023年3月期から始まる3カ年目標(注23)を定め、排出量削減に向けた取組みを加速しています。
あわせて、気候変動が当社グループにもたらすリスク及び機会についてシナリオ分析を行い、TCFDフレームワーク(注24)に沿った開示を行いました。詳しくは、「(1) 経営の基本方針」「③気候変動への対策と「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に沿った情報開示」をご参照ください。
・社会(S)
人々にとって欠かせない生活基盤である「仕事」において、当社グループの事業を通じて社会に大きなインパクトを創出し、全ての求職者の失業期間の短縮に貢献するために、2つのコミットメントを掲げています。
2031年3月期までに、就業までに掛かる時間を半分に短縮する目標に向けては、求職者が就業するまでに掛かる時間の測定を進めました。そして、個人差はあるものの、Indeedで職を得た求職者について、ほぼ全ての人が就業するまでには約15週間(注25)掛かっていることがわかりました。また、2021年に30か国で実施した求職者調査では、約50%が、就業までに要した時間は生活水準を維持できる期間よりも長かったと回答(注26)していました。今後は、Indeed上でより速く仕事に就く必要がある求職者を特定し、就業までの時間を短縮するためにIndeed上のプロダクト進化を推進していきます。
2031年3月期までに、累計3,000万人(注27)の障壁に直面する求職者の就業を支援する目標に向けては、特に失業期間が長期化する要因となっている犯罪歴(注28)や求職活動のために必要な交通手段やテクノロジーにアクセスできない(注29)といった障壁に注力し、目的を共有するパートナーとの連携を通じてその低減に努めました。今後は、テクノロジーを活用した支援を進めるとともに、企業クライアントの中で高まるインクルーシブ・ハイアリング(注30)のニーズに応えていきます。
また、当社グループでは、創業以来、従業員一人ひとりの違いを大切にすることで新たな事業やサービスを生み出し、社会に価値を提供してきました。そこで、改めて、多様な従業員の価値創造に向けた意欲を最大化することを経営の重要テーマと位置付け、ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン(DEI)に取組んでいます。
管理職の任用においても性別、国籍、年齢、採用経路等に関わらず多様性を重視し、特にジェンダーについては、当社グループ全体で2031年3月期までに上級管理職・管理職・従業員それぞれにおける女性比率を約50%とする目標を掲げています(注31)。
2022年3月期は、SBUごとにジェンダーギャップの根本課題の特定に注力するとともに、主要子会社のCEOやSBUの役員を意味する上級管理職の大胆な登用を進め、2022年4月1日時点の上級管理職における女性比率は約10%から約21%に上昇しました(注31)。2023年3月期からは、3カ年目標(注23)を定め、暗黙知の中にあるバイアス低減と女性候補者の拡大に向けた取組みを加速していきます。
・ガバナンス(G)
経営の透明性と健全性を向上し、意思決定の質を上げることを目指し、2031年3月期までに当社の監査役を含む取締役会構成員(注32)の女性比率を約50%にする目標を定めています。そして、2022年6月開催の定時株主総会を経て、女性の取締役会構成員の比率は20%から約27%に上昇しました(注32)。2023年3月期からは、3カ年目標(注23)を定め、女性候補者の拡大に向けた取組みを加速していきます。
また、執行取締役と主にテーマを推進する執行役員に対して、3カ年目標を定めたGHG排出量削減と女性比率向上の達成如何を2023年3月期からの長期インセンティブ報酬(注33)の一部に連動させることを、取締役会において決定しました。
② SBU事業戦略
当社グループ全体の経営戦略を推進するために取組んでいる各SBU事業戦略は、以下のとおりです。
HRテクノロジー事業
より効率的な求職活動及び採用活動の需要に応え、テクノロジーと当社が保有する膨大なデータを活用することにより、IndeedとGlassdoorの求人広告事業及び採用ソリューション事業のグローバル市場での更なる売上収益の成長に注力していきます。
メディア&ソリューション事業
販促領域のオンラインプラットフォームを通じた販促支援は、各事業分野の市場における強固なポジションを活かし、継続的な成長を目指します。人材領域における人材マッチングサービスは、サービスの強化及びHRテクノロジー事業との連携を推進し、企業クライアント数の拡大を目指します。SaaSソリューションの提供においては、企業クライアントのアカウント数の成長に注力していきます。
人材派遣事業
幅広い業界で求職者への就業機会や企業クライアントへの柔軟な労働サービスを提供しながら、安定的な事業運営を目指します。日本では調整後EBITDAマージン水準の維持、欧州、米国及び豪州では調整後EBITDAマージンの継続的な改善に取組みます。
(4) キャピタルアロケーション方針
当社のキャピタルアロケーションは、以下を優先順位として設定しています。
- 既存事業の継続的な成長に資する開発費用及びマーケティング費用
- 安定的な1株当たりの配当の継続的な実施
- 人材マッチング市場におけるHRテクノロジー事業を中心とした戦略的M&A
- 市場環境及び財務状況の見通しを考慮した上での自己株式取得
資本効率について、ROE15%の水準を目安として設定しています。個別の投資案件の実行の是非を判断する際は、資本コストを上回るハードルレートを適用する等、資本効率の実現に取組んでいます。
2 【事業等のリスク】
(1) リスクマネジメント体制
① リスクマネジメントに関する規程
当社では、当社グループ全体のリスクマネジメントの体制を体系的に定める「リクルートグループリスクマネジメント規程」や、重大案件の迅速な報告及び情報共有を行うことを目的とした「リクルートグループエスカレーション細則」を制定し、グループ全体のリスクマネジメントを、当社グループの事業の継続及び安定的な発展を確保するために重要なものと捉えて積極的に取組んでいます。
② リスクマネジメント委員会
当社は、取締役会の諮問機関としてリスクマネジメント委員会を設置しています。当社のリスクマネジメント委員会は、当社の取締役及び執行役員が参加し、各SBUのリスクマネジメント状況のモニタリングを行い、その状況及び当社におけるリスクマネジメント状況も踏まえてグループリスクマップを基に、当社グループを取り巻くリスクについての包括的な議論を行っています。その上で、当社のリスクマネジメント委員会においてグループトップリスクを選定し、その対応策やモニタリングの方針を決定しています。
③ 当社及びSBUにおけるリスクマネジメント体制
当社は、取締役 兼 常務執行役員を、リスクマネジメント本部担当として配置しています。当社は、リスクへの対応のポイントが日本と海外とで差異があると考えていることから、リスクマネジメント本部配下にJapan担当とInternational担当の執行役員を配置し、それぞれの特性に応じて、グループトップリスクへの対応を行っています。加えて、当社の内部監査所管部署においてグループトップリスクへの対応状況の業務監査を円滑に実施することができるよう、当社のリスクマネジメント所管部署は当社の内部監査所管部署とも適時に情報共有を行い、連携をしています。
また、SBUにおけるリスクマネジメント体制は以下のとおりです。
- SBU統括会社では、当該SBUにおけるリスクマネジメント担当役員を任命し、当該SBUにおける子会社の事業に関連するリスクマネジメントの状況のモニタリングを行っています。これに加え、SBU統括会社は、それぞれSBUリスクマネジメント委員会を半期に一度開催し、SBUを取り巻くリスクを包括的に確認して議論を行うとともに、SBUのトップリスクの選定と対応策の決定を行い、それらのリスクの状況のモニタリングを行っています。
- SBUリスクマネジメント委員会には当社のリスクマネジメント本部担当取締役 兼 常務執行役員も参加し、SBUにおけるリスクマネジメント状況を確認しています。各SBUの子会社においては、リスクの洗い出しや重要性の判断、対応策の実施等、リスク管理を実施することとしています。
当社のリスクマネジメント委員会の事務局を担うリスクマネジメント所管部署は、これらのリスクマネジメント活動について、定期的に当社の取締役会に報告し、取締役会が当社グループを取り巻くリスクの状況や対応状況について、適切にモニタリングできる体制を整えています。
当社グループのリスクマネジメント体制図

(2) 当社グループのトップリスクと主な対応策
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」)に影響を及ぼす可能性のあるリスクのうち、当社の取締役及び執行役員が特に注力して対応が必要であると認識するグループトップリスクとそれに対する主な対応策は以下のとおりです。
このリスクについての詳細な説明は、本項目「(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク ⑩データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク」をご参照ください。
(注) 上記は、本報告書提出日時点において、グループトップリスクによる、当社が想定する当社グループの経営成績等への影響を低減するために有効と判断した対応策のうち主要なものを記載したものです。しかし、人為的なミスや内部者の意図的な行為により情報漏洩が発生する等、上記の対応策が奏功しない可能性があり、また、かかる対応策を有効に実施したとしてもリスクが一切消滅することを保証するものではありません。更に、将来データプライバシーの保護に関する法令等が改正され、又は新たな不正アクセス方法やコンピュータウイルスが開発される等により、リスク自体の重要性や内容が変化し、またその対応策の有効性が低下する可能性があります。
(3) 当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク
上記の当社グループトップリスクを含む、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があると当社の経営陣が認識するリスクの詳細は以下のとおりです。但し、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。
また、新型コロナウイルスに関するリスクについては以下において説明する複数の個別のリスクと関連しますが、本報告書提出日時点における当該リスクの大きさに鑑み、①にまとめて説明しています。
なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループの経営成績等に影響を与える重要なリスク一覧
① 新型コロナウイルスに関するリスク
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により経済見通しの不確実性が高まるとともに、金融市場の急激な変動及び世界的なマクロ経済の混乱が生じています。その結果、日本、米国、欧州及び豪州をはじめとする当社が事業を展開する市場における経済環境も著しく変化しています。各国の当局は新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、旅行の禁止及び制限、隔離措置、外出禁止令及びロックダウン、その他移動や特定の活動に対する制限等数々の対策を講じています。多くの国でかかる対策は緩和されてきているものの、新たな変異株の出現によりかかる対策が再度導入された場合、かかる対策が企業及び個人の経済活動の制約となります。
HRテクノロジー事業においては、新型コロナウイルス感染症に対する各国の規制緩和や経済活動の回復に伴い、企業クライアントの採用需要も回復しましたが、感染懸念、育児サポートの減少、政府による金銭的支援により求職者の活動が比較的限定的になり、労働需給に不均衡が発生しました。その結果、IndeedやGlassdoor上での採用競争が生じ、売上収益の増加傾向が継続しました。しかし、今後かかる傾向が長期間継続する保証はなく、労働需給の不均衡が解消された場合、Indeed及びGlassdoorにおける求人広告収入は減少する可能性があります。
また、新たな変異株の出現により再び企業クライアントの採用活動が減退する場合や、企業クライアントが各国政府による将来的な規制措置や経済情勢を見据えて雇用に慎重になった場合には、HRテクノロジー事業の業績に影響を与えます。
メディア&ソリューション事業の販促領域においては、日本国内での新型コロナウイルス感染症に関する規制措置を受け、国内旅行者数や外食機会の減少、結婚式の中止や延期等の影響による企業クライアントの広告出稿数の減少等が同事業の業績に影響を与えます。また、旅行、外食又は結婚式に対する根本的な意識の変化が生じる等、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、これらのサービスの需要がより長期的に変化する場合に、同事業の業績に影響を与えます。通常の消費行動が制限される状況において、企業クライアントによる広告出稿の停止が継続したり低価格プランへ移行する傾向が継続する等の場合、売上収益が減少して当社グループの経営成績等に影響を与えます。
また、メディア&ソリューション事業の人材領域においては、企業クライアントの活動が徐々に回復してきたことに伴い採用需要も回復傾向にありますが、企業クライアントの採用需要の見通しは引き続き不透明であり、採用需要が再び低水準となる場合には、同事業の業績に影響を与えます。
更に、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を特に受けている中小企業等の企業クライアントが財政的な困難に直面し又は事業を完全に停止する場合には、当社グループの売掛金が回収できず、当社グループの経営成績等に影響を与えます。メディア&ソリューション事業が展開するAir ビジネスツールズを中心としたSaaSソリューションについては、決済サービスであるAirペイの登録アカウント数の増加は新型コロナウイルス感染症の拡大によって重大な影響を受けてはいないものの、今後、企業クライアントにおける事業活動が低迷し、当該ソリューションの利用を停止する企業クライアントが増加する場合には、Airペイを筆頭に、登録アカウント数の拡大のスピードが鈍化する又は登録アカウント数が減少する可能性があります。
日本における人材派遣事業については、当連結会計年度において派遣労働者受入れの需要が回復傾向にあり、また、米国、欧州及び豪州については、当連結会計年度は経済活動の回復に加え、新型コロナウイルス感染症に関連した職種の需要により、売上収益が増加傾向にあったものの、そのような傾向が継続するかは不透明であり、そうした需要が再び低水準となる場合には、売上収益が減少し、当社グループの経営成績等に影響を与えます。
上記の業績への影響の他、新型コロナウイルス感染症の影響により生じ得る以下の事由等が当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
・ 個人ユーザー及び企業クライアントのサービスに対するニーズや嗜好の変化が生じ、それらに対し的確且つ迅速に対応することができない場合、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少
・ 業績及びその見通しの悪化が見込まれる場合、既に認識した減損額を超えた、買収に伴い発生したのれんや無形資産についての減損損失の計上
・ 業績及び事業環境の悪化に伴う信用状況の悪化、債権回収ができない又は遅延すること等による資金繰り悪化
・ 不安定な為替市場における急激な為替変動
・ 景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社の信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社が望む条件で適時に資金調達を行えないこと
・ 従業員、外部委託先等の事業者の多数の人員が当社の事業を行うことができない場合又は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合、当社グループの特定の事業において、業務やオペレーションに支障が生じ、又は停止を余儀なくされる事態の発生
② 景気の動向等のマクロ環境に関するリスク
当社グループの業績は、一般的に日本、米国、欧州及び豪州を中心とする各国の景気等の経済情勢、社会情勢及び地政学的状況に影響されます。特に、HRテクノロジー事業、メディア&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業で構成される人材マッチング事業は、経済情勢の不透明感又は悪化に伴う企業の雇用環境の変化の影響を受けます。また、メディア&ソリューション事業の販促領域においても、経済情勢等の変動により個人ユーザーの消費が低迷すること等に伴って、企業クライアントが広告宣伝費を削減する可能性があります。
新型コロナウイルス感染症及びその対応策並びに新型コロナウイルス感染症の封じ込めを見越した各国当局の政策の実施と既存の対応策の終了による顧客や企業の活動を含む世界的な経済活動への影響の継続に加え、日本において依然として継続するデフレーションや長期的な少子高齢化及び総人口の減少等、米国を中心とする保護主義の台頭とそれによる貿易相手国との関係悪化等、当社グループが事業を展開する各国の経済情勢の不確実性が高まっていることや、エネルギー価格の大幅な上昇や金融市場の変動を引き起こしている、ロシア・ウクライナの軍事衝突及びそれに関連して実施されているロシアへの国際的制裁措置の影響とその拡大の可能性、中国経済の減速、北朝鮮及び中東諸国の地政学的リスクの増加等、グローバルの経済情勢等に及ぼす影響も懸念されます。
経済情勢等の停滞・悪化により当社グループのサービスに対する需要が低迷する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
③ 競合に関するリスク
当社グループの各事業が事業展開を行う市場には、複数の競合他社が存在する上、参入障壁が必ずしも高くない事業も存在するため、他業種の事業者等を含む新規参入者による市場への新規の参加が比較的容易であり、競争はより激しくなる傾向にあります。これらの市場の中には、テクノロジーの重要性が高く、テクノロジーの進歩が非常に速いものがあるため、当社グループが技術革新に対応できない場合や競合他社が技術革新に成功した場合、業界の動向が一変し、当社グループが大きく市場シェアを失う可能性や当社グループの将来の事業展開が著しく困難となる可能性があります。
これらの市場においては、ブランド・ロイヤリティ、法規制及び大きな資金力や既存の顧客基盤等により競争上の優位性を維持することが必ずしも容易ではありません。当社グループの競合他社の中には、グローバルに事業展開を行う巨大テクノロジー企業を中心に、テクノロジー、ビジネスモデル、資金力、価格競争力、グローバル又は特定の地域における認知度、既存ユーザー層の厚さ、クライアントとの関係、人材の確保、独自のサービス及び営業・マーケティング力それぞれの点において、現在当社グループより優位に立つ事業者も存在します。このような競合環境において当社グループが競争力を維持できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、当社グループが、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズ又は嗜好の変化等に対応できないこと、その提供するサービスの機能向上を図れないこと、当社グループの提供するサービスについて競合他社との十分な差別化を図れないこと、競合他社が当社グループより低い価格で同水準のサービスを提供すること、競合他社が個人ユーザーの嗜好にあったサービスを導入すること、競合他社間が合併・統合等により競争力を高めること及び規制環境の変化等に対応できないこと等によっても、当社グループの競争力を維持できなくなる可能性があります。また、企業クライアントが自らユーザー基盤を確立し、当社グループのサービスを利用しなくなる可能性もあります。
当社グループは、特に日本では、メディア&ソリューション事業の多くの主要事業において既に高い市場シェアを獲得しているため、それらの領域において更なる成長を達成する難易度は高く、クライアントが当社グループに支払う広告宣伝費を維持又は増加できない場合や、当社グループが過去に取引実績がなかったクライアント等に対する新規開拓が進まなかった場合には、当社グループが持続的な成長を達成することは困難となる可能性があります。仮に当社グループが市場シェアを維持又は増加するために価格を下げ、又は新サービスを導入する場合には、当社グループの事業の収益性が低下する可能性があります。
④ 個人ユーザー・企業クライアントのニーズの変化に関するリスク
当社グループが競争力や市場シェアを維持するためには、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化に対応する必要があります。また、昨今、従来のマスメディアによる情報発信だけでなく、急速に普及したインターネット・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等により、リアルタイムでの情報発信が行われていることや、技術革新により多様なサービスが比較的少額の投資で短期間に個人ユーザーに普及し得ること、新たなデバイスや技術の普及によりユーザー・エクスペリエンスが大きく変わり得ること等により、個人ユーザーのニーズの移り変わりや、これを受けた企業クライアントのニーズの変化は非常に激しくなっています。
また、HRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業においては、当社グループのオンラインプラットフォームへの広告出稿が売上収益の多くを占めますが、一部のサービスにおいては企業クライアントのニーズに即するために出稿期間を短期に設定することも可能であるため、当社グループのサービスを継続的に使用しない可能性や、他のプラットフォーマーへの乗り換えが容易になる可能性があります。
更に、新型コロナウイルス感染症の影響により、今後個人ユーザーの生活様式や企業クライアントの事業運営の方法が変わる可能性や、それに伴い個人ユーザー及び企業クライアントのニーズや嗜好が変化する可能性があります。
当社グループがこのような個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの変化を的確且つ迅速に把握できない場合や、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに対応する当社グループのサービスの適切なタイミングでの改良又は開発及びサービスの提供ができない場合並びにこれらのニーズにより合致したサービスが他社により新たに開発された場合、個人ユーザー及び企業クライアントそれぞれのニーズと利害のバランスの取れたサービスを提供することができない場合には、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの市場シェアの縮小や売上収益の減少、又はそれに対応した値下げ等による利益率の低下、かかる利益率の低下に対応するためのビジネスモデルの改良又は開発が成功しないこと等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑤ 技術革新によるリスク
テクノロジー業界においては、技術革新のサイクルが極めて速く、競合他社が使用するテクノロジー、個人ユーザー及び企業クライアントのニーズに影響することから、当社グループが競争力を維持するためには、将来における技術革新を予測して、新たなテクノロジーへの投資と導入・事業化を継続的に行う必要があります。このような技術革新に関しては、以下のような様々なリスクが伴います。
・ 当社グループが技術革新や業界標準技術のトレンドを正確に予測することができず、結果として当社グループが採用又は開発した新技術等が、そもそも事業化できない、又は使用可能となってもその時点では陳腐化、競争力低下等が生じているリスク
・ 高度な専門性や斬新なアイデアを創出する技術者又はマネジメントを確保又は育成できない、又はかかる技術者の確保又は育成に多額の費用が発生するリスク
・ 技術革新に対応するために必要なシステム・技術インフラを維持又は更新できない、そのために多額の費用が発生する、又は適切なシステム・技術インフラの取捨選択に失敗するリスク
・ 5G等の新たな通信技術や端末や業界標準技術の多様化及び進化に対応した改良が適時に行えない、又は既存のシステム又は設備等の改良や新たな開発等により多額の費用が発生するリスク
・ 新技術を適用した商品又はサービスに、想定していないバグ、欠陥又は不備があるリスク
・ 新技術をいち早く導入した企業や、新技術をより効果的に利用する企業との間で新たな競争が生じるリスク
これらの各要因により、当社グループが追加の費用の支出を余儀なくされ、又は技術革新に対応することが困難となる場合、個人ユーザー及び企業クライアントが当社グループのサービスから離れ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑥ 事業戦略に関するリスク
当社グループは、急速に変化するインターネット事業環境等に対応し、グローバル市場におけるニーズやビジネス機会をいち早く捉え、迅速な意思決定の下で、企業価値及び株主価値の最大化に取組むため、SBU単位で事業価値の拡大に取組んでいます。
各SBUにおいては、広範で地理的にも多様な事業ポートフォリオの構築を通じた持続可能な成長を志向していますが、このためには既存事業の拡大に加え、戦略的な提携や買収の慎重な実施を含む新規事業への参入が必要です。しかし、とりわけ新型コロナウイルス感染症の継続的な影響の中、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測や各種施策が有効であるとの保証はなく、また、以下に記載するリスク要因を含む様々なリスク要因が存在するため、当該事業戦略が当社グループの将来の業績の向上につながらない可能性や、将来において当該事業戦略の変更を余儀なくされる可能性があります。
HRテクノロジー事業
買収等の成長投資により事業規模を拡大しつつ、Indeed及びGlassdoorを中心にオンライン求人広告市場での持続的な成長を企図しています。しかし、当社グループの成長は経済全体の成長及び雇用状況に大きく依存しています。加えて、売上収益の成長性は、顧客層の拡大、有料求人広告数の増加、採用プロセスの自動化を通じた収益性の向上に影響されます。また、人材マッチング市場の規模が拡大する中で、HRテクノロジー事業が市場シェアを拡大できるかにも影響されます。
また、当社の採用オートメンションに係るサービスは、企業クライアントの採用オートメーションの活用に対する意欲が当社の予想を下回るといった、様々な要因により、当社が現在想定している速度で成長しない可能性があります。
また、当社グループによる新しいテクノロジーへの対応の遅れ、Indeed及びGlassdoorの統合戦略により期待した収益が得られないこと、人材市場における個人ユーザー及び企業クライアントのニーズの急激な変化、新たな法規制の導入、競争環境の激化等により、当社グループが事業機会を捉え収益化することができない可能性があります。
メディア&ソリューション事業
主に日本国内の企業クライアントを対象に、販促・人材領域において、テクノロジーやデータを駆使したオンラインプラットフォームや業務・経営支援ツールであるSaaSソリューションの提供等を行っています。
しかし、当社グループが新規の個人ユーザー及び企業クライアントを獲得できない、又は競合他社よりも魅力的・革新的なサービスを提供できないことにより、当社グループが提供するオンラインプラットフォームやSaaSソリューションが個人ユーザー及び企業クライアントに採用されない若しくは採用されるために多額の費用を要する可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症等による企業クライアントの事業活動の低迷により、業務・経営支援サービス事業において当社グループが期待する収益化ができない可能性があります。
人材派遣事業
グローバルレベルで事業の収益性の向上を図ります。しかし、新型コロナウイルス感染症等の継続的な影響による雇用環境の悪化や、当社グループが事業展開する主要な法域における法規制の強化等により、収益性が想定どおりに向上しない又は悪化する可能性があります。
また、人材マッチング市場においては、市場における当社グループの存在感の拡大を目指して投資を行います。現在、当社グループは、HRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業の人材領域及び派遣事業において人材マッチング事業を展開していますが、求人広告及び採用ツール市場、人材紹介市場、エグゼクティブサーチ市場並びに人材派遣市場において、テクノロジーの活用により業務プロセスを自動化・効率化し、これまでとは異なる課金モデルを提供するとともに、より費用対効果が高くより高い生産性をもたらすマッチングソリューションの拡大を続けることを目指しています。例として、当社グループは、求人の掲載から面接までの採用プロセスをソフトウェアを追加せずにIndeed上で直接行えるサービスとしてIndeed Hiring Platformを提供しています。
しかし、かかるソリューションの開発や導入ができない可能性や人材市場の急激な変化に対応できない可能性、当社グループのソリューションが市場に受け入れられない可能性、かかるソリューションの提供に必要な投資を回収できない可能性があります。
更に、当社グループは、人材マッチング市場において、従来の人的作業によらずに先端的なテクノロジーや大量のデータを駆使して、企業クライアントの採用活動を自動化するという長期ビジョンを掲げていますが、効率的なソリューションが開発できない、かかるソリューションの収益化のための需要が足りない、又は法令による規制等により、当社グループが当該長期ビジョンを達成できる保証はありません。また、業務プロセスの効率性を高めるソリューションを提供していくことにより、当社グループが運営している人材紹介や人材派遣等の既存事業と、新規に開始又は拡大する事業が競合関係になる場合、当社グループの既存の事業の収益性が低下する可能性があります。
当社は社外の第三者のデータ及び独自の市場調査及び仮定に基づき、当社の事業が展開可能な市場に関する市場規模を推定しています。しかし、いかなる推定も、確実に実現可能であることを示すものではありません。特に、採用オートメーション市場に関しては、社内における開発が初期段階にあるため、係る市場における事業機会を推定することが困難です。その結果、当社事業の成長機会が想定を下回る可能性があり、係る成長機会を追求するために結果として誤った資源配分を行う可能性があります。
加えて、新規事業の展開全般については、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業に対する個人ユーザー及び企業クライアントのニーズが想定を下回り又はその嗜好や需要が変化した場合、新たな国又は事業への参入やそのための人材確保・育成に要する費用が想定よりも増加する場合、当該市場での競争が激化した場合、個人ユーザーに対する訴求力や取引する企業クライアント数を増加させるための施策が不十分である場合等には、既存事業の拡大や新規事業の開発のための投資に見合った収益を得られない可能性があります。
逆に、当社グループが新規に開始し又は拡大した事業が当初期待していた効果をあげることができなかった場合や当該事業の成長余力が低いと判断した場合には、これらの事業の撤退や事業の縮小を行うことにより、費用又は損失が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。また、これらの事業についての撤退や縮小についての判断が遅れた場合には、損失の計上が長期化し、また、撤退等に要する費用や損失が増加する可能性があります。
⑦ 買収・投資活動等に伴うリスク
当社グループでは、長期的な利益成長の実現に向け、海外での事業展開、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、買収や出資、協業・提携を機動的且つ積極的に実行しており、今後も、将来の当社グループの業績や企業価値の向上に貢献すると判断した場合には、これらを実行していきます。
買収や出資における対象会社の選定においては、対象会社の事業計画とそのリスク等を予測して行いますが、これらの予測を誤る場合には、買収した企業が期待された収益やシナジーを生み出さず、当該買収等により生じた投資の回収に想定以上の期間を要する可能性や、投資の回収を図れない可能性があります。
特にテクノロジー企業の買収や出資については、対象会社のテクノロジーが初期段階に留まることや技術革新が急速に発生し得ることから、かかる買収・出資においては、上記のリスクはより高まる可能性があります。加えて、適切な対象企業又は合弁パートナーを見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、買収、合弁事業その他の提携行為を行うこと自体ができない可能性があります。
この他、革新的なテクノロジーや人材の獲得等を目的に、社歴が浅く経営管理体制が不十分な企業を買収する場合や、利益を計上していない企業を買収する場合、十分なデューディリジェンスが実施できない場合には、想定していなかった又は想定していた金額以上の債務の存在やコンプライアンス上の問題点が買収後に判明する可能性があります。
また、当社グループが対象企業の支配権を有しない案件においては、出資先の経営に対して十分なコントロール又はモニタリングができない可能性や、事業開始後に経営方針の相違等から期待した収益が得られない可能性があります。
更に、買収や協業・提携の実施には、事業・テクノロジー等の統合や期待したシナジーの実現が困難となる可能性や多額の費用が発生する可能性、協業先・提携先に対して、当社グループの保有するノウハウやマネジメント・人材・取引先が流出する可能性、各国における法規制、労使関係、文化、言語等の違いや政治・経済情勢により買収等の実施又はその後の対象会社の経営が困難となる可能性、買収や投資のために借入が増加する可能性があります。
また、将来的に各合弁パートナーとの間で何らかの理由により協業・提携関係に支障をきたすような事態が発生した場合、当該事業の経営成績等に影響を与え、又は当該事業の継続が不可能になる可能性があります。当社グループのHRテクノロジー事業においては、革新的なテクノロジーや人材の獲得を目的に、比較的社歴の浅く利益を計上していない企業の買収・出資が増加することが見込まれますが、かかる買収・出資においては、上記の各リスクはより高まる可能性があります。
⑧ グローバル展開に伴うリスク
当社グループは、米国、欧州、豪州及びアジア諸国等多くの国と地域で事業を展開しています。
当社グループがこれらの多様な国と地域で事業を展開する上では、又は既に事業を展開していた国と地域以外にも新たに事業を展開していく上では、新型コロナウイルス感染症の拡大、各国・地域の政治情勢、経済情勢、法規制、税制、当局による監督、商慣習及び文化の差異、個人ユーザー及び企業クライアントの嗜好、インターネット・モバイル機器の普及状況、労働問題、言語の差異、国際関係の悪化、訴訟の多発、外資規制、人材確保の困難性、海外における当社グループの知名度の相対的な低さ、多様な国・地域における事業のモニタリングの困難性等、事前に想定することの困難な様々な課題に対応する必要があります。
これらの課題に適時適切に対応できない場合、各国・地域の事業展開において当社グループが期待する成果を上げられず、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑨ 人材確保・労務環境リスク
当社グループが、競争上の優位性の確保、事業環境の変化への対応又は持続的な成長を可能とするためには、マネジメント・技術・営業等の様々な分野において優秀な人材を確保し且つ育成する必要があります。近年、特にHRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業において、優秀なIT技術者の確保及び育成が重要となってきていますが、かかるIT技術者の確保又は育成ができない場合や優秀な人材を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、マネジメントや技術者を含む重要な人材が競合他社等に流出した場合や、当社グループが想定するよりも多くの離職が生じ、新たな人材を確保できない場合には、当社グループの競争力や社会的信用が悪化し、経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが人材の多様性等を確保した良好な職場環境や、特に新型コロナウイルス感染症への対応として増加しているリモートワーク等、従業員にとって柔軟な職場環境を整備できない場合には、優秀な人材の採用や確保に影響を及ぼすことやイノベーションを阻害すること等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、当社グループの人材派遣事業においては、当社グループが派遣する社員が安全且つ衛生的に働ける職場環境が派遣先において整備されていない場合、派遣社員の人権が侵害され、当社グループの経営成績等やブランド及び社会的信用に影響を与える可能性があります。
⑩ データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク
当社グループは、その事業の運営に際し、個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報及び機密情報を大量に保有しています。当社グループによる個人情報の取扱いについては、日本における「個人情報の保護に関する法律」(以下「個人情報保護法」)、欧州連合(EU)の「欧州連合一般データ保護規則」、米国カリフォルニア州の「California Consumer Privacy Act」や2023年に効力が発生する「California Privacy Rights Act」等、当該国・地域の個人情報に関する法律が適用されます。個人情報保護法については、主にデータ主体の権利を強化し、事業者に課される義務を厳格化するとともに、データの使用に関する新しい規則を導入することを主な目的とする改正法が、2022年に施行されました。
これらの法規制の中には、データセキュリティシステムが不十分であることが判明した場合に、データの流出について重大な制裁金や直接責任を課すものがあります。また、これらの法規制は、法域ごとに異なるものとなる可能性や、近年の個人情報及び機密情報の管理に対する意識の高まりから内容が複雑化しており、その遵守や事業運営のための費用が増加する可能性があります。更に、これらの個人情報等の取扱いに関する法規制には、制定又は施行されてからの期間が短いため当局の解釈及び運用は必ずしも明確でないことがあり、かかる解釈や運用によっては、当社グループの従来の情報の取扱いと整合しない可能性があります。
一方で、当社グループの事業において個人情報や機密情報等を含むデータやそれを管理・運用するテクノロジーの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおけるデータの運用が意図せず法規制の違反や個人ユーザー又は企業クライアントの不利益又は不信感を招き、当局から業務停止命令、罰金その他の処分を受ける可能性、個人ユーザー又は企業クライアントから訴訟を提起される可能性や当社グループのブランドの価値及び信用が毀損する可能性があります。
また、個人情報等の取扱いに関する法規制が今後より厳格となる場合又は当社グループが法規制の違反若しくは社会的な意識の高まりその他の理由に基づき個人情報や機密情報等の管理・運用に関する当社グループの方針の変更を余儀なくされる場合には、情報の活用に対する制約が増すことにより、当社グループのサービスの品質が低下し、個人ユーザー又は企業クライアントが減少する可能性や、多種且つ大量の個人情報を用いて事業を展開する当社グループの優位性が失われ若しくは経営戦略の見直しを迫られる可能性があります。
更に、第三者によるセキュリティ侵害、ソフトウエアのバグ、ハッキング、従業員の故意又は過失等によって、当社グループが保有する個人ユーザー又は企業クライアントその他の関係者の個人情報や機密情報の外部流出又は不正使用等が発生した場合、当社グループは個人ユーザーや企業クライアント等に対する損害賠償責任を負うとともに、当局から業務の停止につながり得る行政処分等を受ける可能性がある等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑪ 情報システムに関するリスク
当社グループでは、システムトラブルの発生可能性を低減するためのシステムやセキュリティの強化等の対策を行っていますが、その事業の運営において情報ネットワーク及びコンピュータシステムを多岐にわたり使用しているため、災害・事故等による通信ネットワークの障害、ハードウエアやソフトウエアの欠陥や事故によるシステム障害、過失や妨害行為、コンピュータウイルスや第三者による不正アクセス等のサイバーアタックが生じた場合、システムや通信ネットワークが使用できなくなることや、当社グループが保存する当社の個人ユーザー又は企業クライアントの個人情報及び機密情報が喪失又は流出することにより、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。更に、2021年12月に報告されたLog4jの脆弱性等、業界全体の脆弱性が、当社の事業及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループのメディア&ソリューション事業においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Air ビジネスツールズ 等のSaaSソリューションを提供していますが、これらのシステム障害等やサービスの中断等が発生した場合には、当社グループがこれにより個人ユーザー又は企業クライアントに対する損害賠償責任や補償金の支払い等を負担する可能性があることに加え、当社グループが提供するサービスへの信頼喪失を招き、当社グループの事業及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、システムの運用やメンテナンス等の一部を第三者に委託し、それらへの依存度が増加していくことが予想されるため、システムの不具合等について当社グループ自身で対処できない可能性が高まりつつあります。更に、情報インフラの構築、運用、拡張に係るシステム投資や維持費用が将来大幅に増加する可能性もあります。
⑫ 当社グループが提供するアプリケーションの欠陥等によるリスク
当社グループは、様々なサービスをアプリケーション等のソフトウエア及びデバイスを通じて個人ユーザーや企業クライアントに提供しています。これらの開発過程において検証やテストを実施し、動作確認には万全を期していますが、サービス提供開始後に、ソフトウエアやデバイスに重大なバグや欠陥が発生し、当社グループのサービスの一部又は全部を正常に提供することができない可能性、個人ユーザーや企業クライアントのデータの消滅や書換えその他かかるデータを適切に保護できない可能性、第三者によるデータの不正入手、取引停止等が発生する可能性があります。
また、当社グループの提供する一部のサービスにおいては、オンライン上でのユーザー獲得、オンライン予約管理、POSレジ、決済等のクライアントが事業を運営する上での主要な機能全般をカバーするため、アプリケーションの欠陥等が発生した場合、クライアントに重大な損害が生じる可能性や、個人ユーザー又は企業クライアントの機密情報や個人情報が喪失又は流出する可能性があります。
今後当社グループは、メディア&ソリューション事業において、中小企業を含むクライアントの事業運営の効率化と生産性の向上を企図する包括的なソリューションであるAir ビジネスツールズ等のSaaSソリューションを拡大する方針であるため、係るリスクはより高まることが見込まれます。これらの影響により、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求が提起され、又は行政処分が課される等、当社グループの事業、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 法規制に関するリスク
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。個人情報保護、データ保護、電気通信、消費者保護、労働、人権、反贈収賄、税法、独占禁止法等、当社グループに適用される法令等に違反した場合、当社グループの事業運営、業績及び社会的信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、一定の事業を行う上では各国・地域の許認可等を取得するとともに、当局の監視を受けることがありますが、当社グループがかかる許認可等を失い又は当局から業務停止命令、罰金、その他の処分を受ける場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があります。
更に、将来当社グループに適用される法令等の新設又は改正、司法・行政解釈等の変更がある場合、複雑化する法規制への対応の遅れや、それにより当社グループが事業機会を逸する可能性や、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。また、近時、企業と人権問題に関する活発な議論がなされていますが、当社グループが人権に関する法令に関して適切に対応できない場合、当社グループのブランドに影響を与える可能性があります。
当社グループの事業に適用される法令等には、主として以下のものがあります。
HRテクノロジー事業
HRテクノロジー事業は、米国の「Communications Decency Act」、「California Consumer Privacy Act」、「Telephone Consumer Protection Act」、「Wiretap Act」、「Stored Communications Act」、「Fair Credit Reporting Act」、EUの「欧州連合一般データ保護規則」、日本の「個人情報の保護に関する法律」や「職業安定法」等の適用を受けています。これらの法令が改正された場合や法令に関する行政解釈又は司法解釈が変更された場合、また、かかる変更を受けて実務の運用が変更された場合、HRテクノロジー事業の事業内容に制約が生じ、又は当該法令の改正への対応に時間やリソースを要する結果、当社グループの事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、個人情報を取り扱う企業に対して新たにデータセキュリティ及びデータプライバシーに関する義務を課す様々な新法や法案の提案が行われており、かかる新法が当社グループの事業に影響を与える可能性があります。加えて、立法機関は、Indeedが提供するサーチエンジンのようなデジタル・マーケットプレイスを有する企業を調査研究しており、かかるマーケットプレイスにおいて自己のプロダクトを販売する企業に制約を課す可能性があります。
また、現在、HRテクノロジー事業に適用のある法令以外にも、テクノロジー分野における法令の整備は十分に進んでおらず、欧州や米国においてはテクノロジー分野に関する規制を強化する動きもあり、将来、HRテクノロジー事業に適用される法令が新たに制定され、規制が強化される可能性もあります。例えば、個人ユーザーの行動履歴情報を収集・分析し、広告に反映することを規制する法規制が新たに制定された場合、HRテクノロジー事業を従来どおりに遂行することができなくなり、HRテクノロジー事業の事業運営や経営成績等に影響を与える可能性があります。
メディア&ソリューション事業
メディア&ソリューション事業においては、個人ユーザー及び企業クライアントの情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」等の各国の個人情報保護法制の適用を受けます。
また、販促領域においては、企業や店舗で必要な会計・決済等の機能に関するクライアントの経営・業務効率を改善するサービスとして、Airペイを提供していますが、当該サービスについては、「割賦販売法」の適用を受けています。
人材領域における日本での人材紹介事業は、「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業です。当該事業についても、一定の要件を満たさない場合には許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令の対象となる可能性があり、また、関係諸法令の改正により、当社グループが受領する手数料に変更が生じる場合があります。
人材派遣事業
人材派遣事業における国内派遣領域については、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を取得して行っています。
また、人材派遣事業の海外派遣領域は、事業展開する各国・地域の規制に従い業務を遂行しています。一例として米国では、派遣事業に関する連邦法の他、州法により規制が行われています。
日本及び海外における人材派遣事業において、当社グループによる法令違反等が発生した場合又は派遣事業者の欠格事由に該当する場合には、許可の取消し、業務停止命令又は業務改善命令等の対象となる可能性があります。
また、日本における労働関連法令の改正により、コンプライアンスに係る多額の費用が発生するとともに、規制違反のリスクが高まる可能性があります。特に、2020年4月より施行された「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」の改正による「同一労働同一賃金の原則」により、人材派遣事業に係る費用が増加する可能性や人材派遣へのニーズが減少する可能性があります。
⑭ 訴訟等によるリスク
当社グループは、その事業活動の遂行過程において、個人ユーザー、企業クライアント及び競合他社その他の関係者から、当社グループが提供するサービスの不備、派遣社員も含む労働者の労務管理、個人情報及び機密情報の漏洩若しくは特許又はその他の知的財産の侵害又は当社グループのプラットフォームにおける個人ユーザーの不適切な投稿やクライアントによる違法出品若しくは虚偽誇大広告等に関する訴訟その他の法的手続を提起され、また当局による捜査や処分等の対象となり、これらの法的手続に関連して多額の費用を支出し、また、事業活動に支障をきたすおそれがあります。
かかる法的手続は長期且つ多額となることがあり、また結果の予測が困難となる場合があり、当社グループに不利な判断がなされた場合には、当社グループの社会的信用及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑮ 当社グループのブランド・社会的信用に関するリスク
当社グループの事業活動において、当社グループのブランドは重要な影響力を有していると認識しています。当社グループの提供サービスに不備がある場合、当社グループの情報セキュリティに問題が生じた場合、当社グループのブランドの価値の維持及び強化のための投資が十分でない場合、競合他社がより競争力のあるブランドを確立した場合に加え、当社グループに不利なメディア報道があった場合、更にはインターネットやSNSで根拠の乏しい風説が流布された場合等に、当該内容が真実か否かにかかわらず、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。
更に、当社グループの従業員による不正行為、当社グループの雇用環境に関する従業員又は派遣社員からのクレーム、当社グループへの訴訟の提起等によっても、当社グループのブランドの価値が毀損されることがあります。更に、当社グループの事業においてテクノロジーやデータの重要性は高まる傾向にあり、当社グループのサービスにおいて使用されるAI等のアルゴリズムや、当社グループ又は他社によるデータの運用が予期せぬ結果を招き、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。
また、当社グループ自身による行為だけでなく、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントによって、特に当社グループの提供するオンラインプラットフォームにおいて、不適切な投稿、求人を装ったフィッシング詐欺等、第三者の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為及び詐欺その他の法令違反行為が行われた場合、当該行為者だけでなく、当社グループもサービスの提供者として責任を問われ、当社グループに対して損害賠償請求訴訟が提起され、又は当社グループのブランドの価値が著しく毀損される可能性があります。
更に、第三者が無断で当社グループのサービスと同一又は類似の名称を使用してサービスを行った場合にも、当社グループのブランドの価値が毀損される可能性があります。このようにして当社グループのブランドの価値が毀損された場合、個人ユーザーや企業クライアントによる当社グループのサービスの利用が減少すること等によって、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑯ 外部事業者への依存に関するリスク
当社グループのHRテクノロジー事業及びメディア&ソリューション事業における一部のサービスでは、主にインターネット上でのユーザー獲得において、グローバルに事業展開する巨大企業が提供する検索エンジンサービスを活用しており、今後、当該検索エンジン運営者による検索に関するアルゴリズムの変更又は競合他社の動向等によって、検索結果の表示が当社グループにとって有利に働かない状況が生じる可能性があります。このような場合には、当社グループが運営するインターネットサイトにおけるユーザー獲得の効率が低下し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、当社グループのサービスを提供するためのアプリケーションを、グローバルに事業展開する大手テクノロジー企業やプラットフォーム運営事業者を通じてユーザーに提供しており、更に、当社グループの一部のサービスについては、当社グループの企業クライアントへの営業活動等に関し、外部の販売代理店を利用しており、また、当社グループのオペレーションにおいては、外部事業者の提供するデータセンターやデータサーバー、クレジットカード会社等の決済処理サービスを利用しています。
しかし、これらの外部事業者において、サービス提供を中断・中止する場合やネットワークの質が低下する場合、これらの外部事業者との関係が終了又は悪化する場合、これらの外部事業者による個人ユーザーや企業クライアントに関するデータの保護が十分でない場合、使用料・手数料の値上げその他当社グループに追加的な費用が発生する場合には、当社グループの事業に影響を及ぼし、営業力が減退する等、当社グループの事業の縮小又は中断、個人ユーザーや企業クライアントの喪失又は減少、競合他社へのノウハウの流出、新たな競合他社の参入等に繋がる可能性があります。
更に、当社グループが事業の一部を委託する外部事業者等に対するモニタリングが不十分であることにより、外部事業者における労務問題その他の法令違反等に対して適時適切に対応できなかった場合には、当社グループの社会的信用を毀損し、又はクライアントとの関係を悪化させ経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの提供するオンライン上のサービスについては、インターネットサービスプロバイダーや通信事業者等の外部事業者に依存しています。これらの事業者が、ネットワークインフラやクッキー等の利用を制限する措置を講じる場合や、当社グループの事業が展開されている法域で政府がインターネットへのアクセスを制限する場合には、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントが減少し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑰ 広告・マーケティング活動に関するリスク
当社グループは、成長戦略の一環として、新規又は既存のサービスの認知度の維持・向上や、個人ユーザー及び企業クライアントの拡大を目的として、広告・マーケティング活動を積極的に行っています。
特にインターネットユーザーの多くは、検索サイトやスマートデバイス(スマートフォンやタブレット端末等)におけるアプリケーション等を利用して必要な情報を入手しているため、特に当社グループのHRテクノロジー事業やメディア&ソリューション事業においては、各サービスのユーザー獲得効率は、検索エンジンの表示結果やスマートデバイスのアプリケーションの利用状況等に大きく影響されます。人材派遣事業においても、特に労働者が不足している市場では、派遣労働者の登録者数増加のためのマーケティング活動の成否が重要です。
また、当社グループにとってより有利な検索結果を表示させるために検索エンジン運営者に手数料を支払うこととなる可能性や、テレビ・オンラインでの広告宣伝費等、当社グループが個人ユーザーや企業クライアントとの接点を多く確保するために要する費用が将来更に増加する可能性、かかる広告宣伝費の増加が当社グループの事業拡大に有効に機能しない可能性もあります。
⑱ 自然災害、感染症の伝染及び有事に関するリスク
地震、台風及び津波等の自然災害、火災、停電、感染症の伝染並びに違法なサイバー攻撃、戦争及びテロ攻撃等が発生した場合、当社グループのサービスや業務に従事する従業員、業務委託先の従業員、派遣社員が大量に罹災・罹患することや、各国政府における非常事態宣言や外出禁止等の措置に伴う業務の制限、地震等による当社設備の損壊等により、当社グループのサービス提供、その他事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
特に、これらの自然災害又は有事等により、当社グループのITシステムに障害等が生じた場合や、データサーバーが機能不全に陥る場合、インターネット関連サービスの提供が困難となり、当社グループの個人ユーザー及び企業クライアントの満足度が低下し、当社グループの事業運営、社会的信用及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらの影響が広範囲にわたる場合には、復旧に相当の時間及び費用を要する可能性があり、また障害が発生した期間やその後において正常なサービスの提供に支障が生じる可能性があります。
また、大規模な自然災害等が発生した場合、当社グループの企業クライアントの事業の中断や休止等並びに個人ユーザーのライフイベント活動の休止や日常消費活動の縮小等の二次的影響が生じ、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
⑲ 資産の減損等に関するリスク
当社グループは、買収に伴い発生するのれんや無形資産を含む資産を連結財政状態計算書に計上していますが、急激な景況の悪化や事業環境、競合状況の変化、法規制の変更、当社の事業戦略の変更、資産の処分、当社グループの戦略の変更等により期待する成果が得られないと判断される場合には、当該のれんや無形資産等の資産について減損損失を計上する可能性があります。
当社グループが買収した又は今後買収する子会社の中には、スタートアップ等事業の収益化が実現していない段階にあり、成長投資の成果が発現し投資に見合うキャッシュ・フローが生じるまでには一定期間を要するものも含まれるため、当該買収に伴い発生するのれんや無形資産等について、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。同様に、当社グループが主として投資目的から非支配株主として保有する関連会社株式についても、当該関連会社の業績によっては、当社の連結損益計算書において減損損失が計上される可能性があります。
また、当社グループは、長期的・持続的に成長するために、業務提携等、事業戦略上取引関係等の維持・強化の必要性があると考えられる上場会社を含む相手企業の株式を政策保有株式として保有しています。当社グループは、原則として保有する全ての株式を公正価値で評価しており、当該株式の公正価値が著しく下落した場合、当社グループの財政状態に影響を与える可能性があります。
⑳ 税務に関するリスク
当社グループは、日本をはじめ、事業を展開している各法域において、法人税をはじめとした各種の税制の対象となっています。当社グループの連結ベースでの課税額や実効税率は、これらの法域でその年度に適用される税制、繰延税金資産や負債の評価方法、課税所得の額とその関連法域毎の配分状況等の影響を受けます。
また、これらの法域での政治経済状況等により税制関連法令の改正や解釈変更が実施された場合に、課税額や実効税率が上昇し、また各国における税制の相違により当社グループが求められる対応が複雑となり、これに対応するためのコストが増加する等、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶリスクがあります。例えば、経済協力開発機構(OECD)は、税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトに取り組んでおり、これが実施されれば、当社が事業を行っている多くの国において納税義務決定に係る既存の枠組みが様々な点で変更される可能性があります。140以上の国々が、最低税率15%等を定めたOECDの枠組みに暫定的に署名していますが、その導入の時期は不明であり、また、このような枠組みにより当社の納税義務が変更された場合、当社グループの財政状態及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループは、グローバルに事業を展開しており、適用される各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。
当社グループが提供するオンラインサービスについては、一部の国においてデジタル課税の新たな税制が導入され、いまだ導入されていない各国・地域においてもデジタル課税等の新たな税制が今後導入される可能性もあり、かかる新たな税制の内容によっては、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループは、定期・不定期に関連税務当局による税務調査の対象となっており、それらの時期や結果の予測は困難です。
これらの税務上のリスクが発現した場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの海外事業の取引は、主に米ドル、ユーロ及び豪ドル等の外貨建てで行われており、近年は外貨建ての取引が占める割合が増加しています。当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表では、海外子会社の現地通貨建ての資産及び負債を各四半期末日の直物為替レートにより、収益及び費用は、取引日の直物為替レート又はそれに近似するレートにより日本円に換算しています。
これらの要因により、当社グループの連結財務諸表及び四半期連結財務諸表は、為替レートの変動による影響にさらされており、為替レートの変動は、当社グループの財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループでは為替変動リスクを軽減するため、通貨スワップや為替予約等のデリバティブ契約を締結することがありますが、為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替変動によっては当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
更に、為替変動により当社グループが事業を営む国・地域におけるマクロ経済環境が悪化する場合や、当社グループによる海外事業の買収・提携等に係るコストが増加する場合等には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループの事業資金及び投資資金の一部は、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しています。このため、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、当社グループの信用力の低下や格付けの引き下げ、業績及び事業環境の悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達を行えない可能性があります。
また、金融機関からの借入や社債等には各種コベナンツが規定されている場合もあり、当社グループの業績、財政状態又は信用力の悪化等の要因でいずれかのコベナンツへの抵触が不可避な場合には、これらの条項に基づき残存する債務の一括返済を求められる可能性や、金利及び手数料率の引上げや新たな担保権の設定を求められる可能性があります。
これらの要因により、当社グループが今後資金調達を望ましい条件で実行できない場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。
当社グループは、目標とする経営指標の見込みや財務方針等を掲げる場合がありますが、かかる経営指標の見込みや財務方針等は、新型コロナウイルス感染症の影響を含む経済状況の変化、経営環境、個人ユーザーの嗜好の変化、企業クライアントのニーズの変化、他社との競合、技術革新の動向、法規制の変更及び為替変動等に係る多くの前提に基づいて作成されています。
また、変化が極めて速く不確実性の高い事業環境において、将来の業績や市場環境の正確な予測及びこれに基づく有効な戦略の策定は極めて困難であるため、当社グループの予測やそれに対応する各種の施策が有効であるとの保証はなく、当社グループがこれらの経営指標の見込みや財務方針等を達成できない可能性があります。
当社の株価は、過去において急激に変動したことがあり、今後も、本「事業等のリスク」に記載の各リスクの発現をはじめとして、当社グループの業績、業績予想、配当等の株主還元策に関連する変化、更には外部メディアによる報道、当社株式の需給関係に相応の影響を与え得る当社株式の売却若しくはその懸念、外部アナリストによる評価の発表や変更、当社グループが属する各業界の環境、経済・金融・政治環境の変化等による株式市場の広範な価格下落、株価指数への当社株式の追加や除外、テクノロジー業界における株価動向や、当社グループ及び競合他社による新サービス・技術革新・買収・提携、資金調達等に関する公表等、当社グループが予想・制御できないものも含んだ様々な要因によって、株価が急激に変動する可能性があります。
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、別段の記載がない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績等の分析

(注) 「全社/消去」調整後の数値を記載しているため、各セグメントの金額合計と一致していません。
米国や欧州ではワクチン接種の進捗とともに経済活動が回復し、人材採用が活発となりました。日本では当上半期に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けたものの、当下半期における影響は限定的なものとなりました。
当連結会計年度の売上収益は2兆8,717億円(前連結会計年度比26.5%増)となりました。前連結会計年度の経済産業省中小企業庁より受託した家賃支援給付金事務事業に係る売上収益790億円の影響を控除すると前連結会計年度比31.1%増となりました。これは主にHRテクノロジー事業の売上収益が大幅に増加したことによるものです。また、家賃支援給付金事務事業の影響を控除するとメディア&ソリューション事業は増収となり、人材派遣事業も増収となりました。為替によるプラス影響976億円を控除した売上収益は前連結会計年度比22.2%増となりました。
当連結会計年度の営業利益は3,789億円(前連結会計年度比132.7%増)となりました。
当連結会計年度の税引前利益は3,827億円(前連結会計年度比127.1%増)となりました。
当連結会計年度の当期利益、親会社の所有者に帰属する当期利益はそれぞれ2,977億円(前連結会計年度比126.1%増)、2,968億円(前連結会計年度比125.9%増)となりました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは、HRテクノロジー事業のマージン上昇が貢献し16.7%(前連結会計年度は10.6%)、調整後EBITDAは4,793億円(前連結会計年度比98.4%増)、調整後EPSは196.67円(前連結会計年度比138.2%増)となりました。
当連結会計年度の研究開発費は850億円となりました。主な内訳は、新プロダクトの開発や新しいテクノロジーを活用した既存プロダクトの改善に係るエンジニア及びテクノロジー開発担当者の人件費であり、その大半はHRテクノロジー事業に関連するものです。
重要な会計方針、見積り及び仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されています。
連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しています。重要な見積り及び仮定については主に「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の判断、会計上の見積り及び仮定」に記載しています。なお、のれんの減損テストで用いた主要な仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれん及び無形資産」に記載しています。
また、見積り及び仮定は、過去の実績や、合理的だと考えられる様々な要因に基づく経営者の最善の判断に基づいています。しかし、これらの見積り及び仮定には不確実性が存在するため、翌期以降の連結財務諸表において認識する金額と異なる場合があります。
主な経営施策
・新型コロナウイルス感染症の感染防止に関する当社グループの取組み
当社グループは、従業員とその家族、個人ユーザー、企業クライアント及び外部協力パートナー等、当社のステークホルダーの新型コロナウイルス感染症の感染防止を引き続き最優先に考えながら、事業活動に取組んでいます。また、各事業において、多様なステークホルダーの皆様に対する様々な支援・取組みを行っています。
詳細は当社ホームページ(https://recruit-holdings.com/ja/covid19/)に掲載しています。
・自己株式の公開買付けの終了
当社は、複数の当社事業法人株主による当社普通株式の一部売却の意向を確認し、当社の事業法人株主による不規則な当社普通株式の市場売却による市場価格への影響に対する資本市場の懸念を和らげるための1つの方法として、当社のキャピタルアロケーションの方針に則り、2022年1月28日開催の取締役会において、自己株式取得の実施を決議後、2022年1月31日に自己株式の公開買付けを開始し、2022年3月1日に終了しました。本公開買付けによる累計取得自己株式数は26,555,258株、累計取得価額は121,649,636,898円でした。
詳細は当社ホームページ(https://recruit-holdings.com/ja/newsroom/20220302_0002/)に掲載しています。
・51job, Inc.の非公開化取引に関する契約の締結及び業績への影響
当社は、持分法適用会社である51job, Inc. (51job)の非公開化取引に関する契約を、2021年6月21日付けで51job及び複数の投資家と締結し、2022年3月1付けで変更契約を締結していました。本取引は2022年4月27日に51jobの臨時株主総会で承認され、2022年5月10日に完了しました。
本取引による2023年3月期連結業績への影響は軽微であるものの、当社個別財務諸表上は約369億円の関係会社株式売却益が計上される見込みです。
本取引完了後の、当社の51jobの発行済株式総数に係る持分比率は約39.9%、転換社債を含む完全希薄化ベースの持分比率は約45.4%であり、51jobは引き続き当社の関連会社となる見込みです。
詳細は、当社ホームページ(https://recruit-holdings.com/ja/newsroom/20220427_0001/)に掲載しています。
HRテクノロジー事業

当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比103.5%増の8,614億円となり、米ドルベース売上収益(注)は前連結会計年度比91.6%増となりました。当連結会計年度を通じて、HRテクノロジーが事業展開をする各国において、新型コロナウイルス感染症に関する規制の解除、再導入及び強化が実施され、個人ユーザーの求職活動や企業クライアントの採用活動に影響を及ぼしました。事業の再開や拡大、新たなビジネスを展開するために、企業クライアントの強い採用需要が継続した一方で、新型コロナウイルス感染症への感染懸念、育児、配偶者の収入や金銭的支援といった要因により求職活動の回復は限定的となりました。このような労働市場における需給の乖離が発生した結果、Indeed及びGlassdoorにおける採用競争が過熱し、売上収益拡大の大きな要因となりました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは34.0%となり、前連結会計年度の15.8%から上昇し、調整後EBITDAは前連結会計年度比338.9%増の2,931億円となりました。当連結会計年度を通じて、HRテクノロジーは新しい商品やテクノロジーの開発に関わる人材採用を継続し、当下半期には採用を加速させることで、新たな革新的な採用ソリューションの開発への投資を実施しました。加えて、短期的には個人ユーザー及び企業クライアントの獲得を促進し、長期的にはIndeed及びGlassdoorのブランド構築に繋がる広告宣伝費や営業部門に係る人件費が、HRテクノロジーの費用において大きな割合を占めています。HRテクノロジーSBUの社員数は前年同期比で約23%増加し、2022年3月31日現在で約13,000人となりました。
(注) 当セグメントの現地決算数値であり、当社連結決算数値に含まれる数値とは異なります。
メディア&ソリューション事業

当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比2.0%減の6,586億円となりました。前連結会計年度の経済産業省中小企業庁より受託した家賃支援給付金事務事業に係る売上収益790億円の影響を控除すると11.1%増となりました。
販促領域の売上収益は前連結会計年度比13.0%減となったものの、前連結会計年度の売上収益に含まれていた家賃支援給付金事務事業の影響を除くと5.2%増となりました。合計で同領域の売上収益の50%以上を占める住宅及び美容分野はコロナ禍においても堅調となり増収、結婚分野も前連結会計年度比で増収となりました。一方、旅行分野では日本国内の経済活動は前連結会計年度と比べ改善傾向であったものの、前連結会計年度はGo To キャンペーンのプラス影響があったため前連結会計年度比で同程度となりました。飲食分野では、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を引き続き受けたことで減収となりました。
Air ビジネスツールズを中心としたSaaSソリューションでは、Airペイを中心にアカウント獲得が進み、2022年3月末時点でAirペイのアカウント数は前連結会計年度末比33.6%増の約28.1万件、そのうちAir ビジネスツールズの他のソリューションを併用しているアカウント数は約17.6万件となりました。
人材領域では、日本国内における採用活動が回復傾向となり、売上収益は前連結会計年度比16.5%増となりました。飲食業や販売業の求人広告割合が高いアルバイトやパート向け求人広告サービスは、当上半期は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の影響を受けたものの、より大きな影響を受けた前連結会計年度と比較すると採用需要が回復し、2021年9月末に解除されたことで回復傾向が強まり増収となりました。人材紹介サービスにおいては、当該サービスを活用する多くの業種で人材需要の高まりが見られ前連結会計年度比増収となりました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは、前連結会計年度とほぼ同水準の15.6%、調整後EBITDAは4.0%減の1,024億円となりました。将来の成長を見据えた戦略的なマーケティング活動や人材採用を積極的に実施しました。
人材派遣事業

当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度比15.0%増となり、為替によるプラス影響を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比11.1%増となりました。
日本の売上収益は、主に派遣スタッフ数が前連結会計年度の水準を上回ったことで、前連結会計年度比で6.1%増となりました。
欧州、米国及び豪州においては、事業の再開や拡大のために派遣需要が増加しました。主に欧州のEコマースに関連する物流分野における人材需要の継続やコロナ禍における一時的な医療分野での需要の増加により、前連結会計年度比で売上収益は23.0%増、また為替によるプラス影響を控除した場合の売上収益は前連結会計年度比15.6%増となりました。
当連結会計年度の調整後EBITDAマージンは6.8%となり、前連結会計年度の6.4%から上昇し、調整後EBITDAは22.3%増の931億円となりました。日本においては、当連結会計年度を通じて売上収益が増加したことにより増益となりました。上半期に派遣スタッフの有給休暇取得率の上昇や派遣スタッフ募集費の増加によりコストが上昇したものの、下半期に労働市場の需給を見ながらコスト管理を行った結果、調整後EBITDAマージンは昨年と同水準になりました。欧州、米国及び豪州においては、当連結会計年度を通じて売上収益が増加したことにより増益となり、調整後EBITDAマージンは昨年と比較して増加しました。
各セグメントに帰属する地域別のれん金額
当連結会計年度末の各セグメントに帰属するのれんの帳簿価額は以下のとおりです。
基本方針
当社は、企業価値向上に繋がる戦略的投資への機動的な対応と円滑な事業活動に必要な流動性の確保のため、資金調達が必要な際には適切な格付及び財務の健全性を維持しつつ、グローバルな金融市場からの負債による資金調達を活用することを基本方針としています。
自己資本は、適切な資本効率を達成した上で、成長投資の機会等に対して機動的に対応できる財務基盤を整えること及び事業活動や資産のリスクと比較して十分な水準を維持します。
資金使途
運転資金、法人税の支払い、各セグメントにおけるM&A及び資産取得等による外部資源の獲得や設備投資、借入の返済及び利息の支払い、配当金の支払い、自己株式の取得等に資金を充当しています。
資金調達
運転資金及び投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得した資金を充当することを基本としていますが、資金需要及び金利動向等の調達環境並びに既存の有利子負債の返済及び償還時期等を考慮の上、調達規模及び調達手段を適宜判断して外部資金調達を実施する場合があります。
外部資金調達を行う運転資金のうち、原則として、短期の運転資金については、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパー又はその組み合わせにより調達することとしています。中長期の運転資金については、金融機関からの借入、社債又はその組み合わせにより調達することとしています。なお、当社は、機動的な資金調達を可能とするため、2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。
また、当社は、流動性を確保し、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関4社と当座貸越契約を締結しています。なお、当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当社は総額2,000億円のコミットメントライン契約を締結しています。当連結会計年度末において、当該コミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。これらにより、当社は事業環境の大きな変化の際にも十分な流動性が確保できると考えています。
当連結会計年度末の有利子負債の帳簿価額・期日別残高は以下のとおりであり、期日別残高は利息支払額を含んだ割引前のキャッシュ・フローを記載しています。
格付
当社は、格付機関から長期格付を取得しています。当連結会計年度末における格付は、㈱格付投資情報センター(R&I):AA- 、ムーディーズ・ジャパン㈱:A3、及びS&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱:Aでした。また、当社は、R&Iから短期格付:a-1+を取得しています。
キャッシュマネジメント
当社は、当社グループ全体の資金効率を最大化するため、法制度上許容され、且つ経済合理性が認められることを前提として、主にキャッシュマネジメントシステムを通じた当社グループ内での資金貸借の実施を外部借入よりも優先しています。
当社は、当社及び財務統括子会社に全ての通貨のキャッシュマネジメントを集約することで、当社グループが保有する現金及び現金同等物の機動性を確保しています。
資金運用
資金運用は、投機目的で行わず、元本が保証され、安全且つ確実で効率の高い金融商品のみで行うこととしています。
政策保有株式に関する方針等
当社は、原則として政策保有株式を縮減していくことを方針としています。当社が保有する政策保有株式について、個別銘柄ごとに経済的価値と資本コストの見合いを定量的に検証するとともに、戦略的な関係性・重要性等の定性的な観点を総合的に勘案し、保有の適否を検証しています。取締役会にて年1回精査し、これらの観点に合致しないと判断された株式は縮減する方針としています。
当社及び当社の次に貸借対照表計上額が大きい㈱リクルートが保有する政策保有株式の状況は以下のとおりです。その合計額は、2022年3月末において907億円で、連結資本合計の6.6%です。
当連結会計年度末時点における現金及び現金同等物の金額は6,695億円、社債及び借入金を含み、リース負債を含まない有利子負債の金額は606億円、この差額のネットキャッシュは6,089億円です。ネットキャッシュの金額は、前連結会計年度末と比べ2,206億円増となりました。
流動資産は、主に営業キャッシュ・フローの増加に伴い、現金及び現金同等物が増加したことにより、前連結会計年度末と比べ2,545億円増となりました。非流動負債は、主に国内オフィスビルにおける会計上のリース期間の見直しに伴い、リース負債が減少したことにより、前連結会計年度末と比べ1,404億円減となりました。
当連結会計年度末における当座貸越極度額の合計は1,130億円であり、当該契約に基づく借入実行残高はありません。加えて、当連結会計年度末時点における2021年3月31日に締結した総額2,000億円のコミットメントライン契約に基づく借入実行残高はありません。
なお、当社は2,000億円(当連結会計年度末における未使用枠2,000億円)を上限とする社債の発行登録を行っています。
⑤ 連結キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比で、2022年3月1日に終了した自己株式の取得による支出1,216億円と合わせても1,685億円増加し6,695億円となりました。
(2) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社グループが提供するサービスの性質上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、省略しています。
② 販売実績
本項目「(1) 経営成績等の分析」に記載のとおりです。
4 【経営上の重要な契約等】
適用される法令等を踏まえて作成した当社基準に照らして検討した結果、該当事項はありません。
なお、当連結会計年度における主な経営施策については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」「①連結経営成績の概況」「主な経営施策」 をご参照ください。
5 【研究開発活動】
当連結会計年度の研究開発費は