第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。
 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、コア事業である紙事業については、国内では洋紙市場の需要縮小に見合った生産体制への移行、販売体制と間接部門のスリム化等により利益確保を図る一方、需要の伸びが見込めるアジア・オセアニア市場へは、現地生産化や現地有力紙パルプメーカーとの業務提携などによる拡大成長戦略を展開していきます。
  同時に、事業環境の変化に対応し、新たな収益の柱を育成するべく、成長分野事業の伸長や新規事業の立上げについても積極的に推進していきます。
  今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。
 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2018年4月から2021年3月までを「第6次中期経営計画」の期間とし、第5次中期経営計画で取り組んできた「既存事業の競争力強化」と「事業構造転換」を基本方針に、第6次中期経営計画では「洋紙事業の生産体制の再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を揚げ、総合バイオマス企業としての事業構造転換に取り組んでおります。
 
<目指すべき利益目標>
 ・連結営業利益   500億円
 
<第6次中期経営計画 - 2021年3月期の経営目標値>
 ・連結営業利益     470億円
 ・ROA                3.8 %
 ・D/Eレシオ          1.5 倍 以下
    注)ROA :(経常利益+支払利息)/総資産

 

(3) 会社の対処すべき課題

① PCB廃棄物について
  2019年1月25日に公表いたしましたとおり、当社工場等において、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物が保管されていることが判明し、2018年12月に、保管場所となっているいわき市及び横浜市に対し、届け出を行いました。現在、関係機関等に相談しながら、適切に対応を進めております。
 PCB廃棄物処理費用について、当連結会計年度において、環境対策引当金繰入額として13,700百万円を特別損失に計上いたしました。
 PCB廃棄物の濃度、数量、発生経緯等の詳細については、社内に設置した対策委員会にて具体的な調査を進めているところですが、行政への届け出が行われていなかったことを踏まえ、現時点において当社が考えている再発防止策は次のとおりです。
 第1に、環境法令の理解の徹底です。改正法令や新たな法令については、リスクとなり得る事項を早期に抽出し、適切に対応できる体制を構築してまいります。具体的には、本社主管部門が日本製紙グループ環境委員会にて説明を行い、あわせて、影響のある関係部門を抽出し、具体的な対応方法を提示します。また、その対応状況については、次回以降の会議で報告いたします。

  第2に、環境法令の遵守について、法務担当部門が第三者の目から監督をし、必要に応じて指導や助言等を行うなど、管理部門における法令遵守体制を強化いたします。
 第3に、コンプライアンスのさらなる重視です。当社グループの役員を対象としたコンプライアンス研修を外部講師を招いて実施します。従来から実施している従業員対象の研修については、今回の事案を反映した内容に見直しをいたします。
 

② 第6次中期経営計画(2018年4月~2021年3月)の進捗について
  現在、当社が推進している第6次中期経営計画では、当社グループの持続的成長の実現に向け、洋紙事業の生産体制再編成と、成長分野の事業拡大、新規事業の早期戦力化を掲げています。
 初年度は、口栓付液体用紙容器及び新充填機の拡販や、家庭紙・ヘルスケア製品の販売数量増加、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のバイオマス混焼発電設備の稼働開始などにより、売上高はほぼ第6次中期経営計画どおりとなりました。一方、営業利益は、主に紙・板紙及び家庭紙事業において古紙やパルプをはじめとする原燃料価格上昇の影響を受け、第6次中期経営計画に対して未達に終わりました。パッケージや家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各成長分野における設備投資は、ほぼ計画どおりに進めています。また、海洋プラスチックごみ問題が注目される中、再生可能な資源である「木」を原料とする「紙」への関心が高まっていることから、「紙化」の様々なニーズに対応するために、2018年8月に紙化ソリューション推進室を設置しました。
 第6次中期経営計画の2年目である2019年度は、目標達成に向けた対策を各事業において講じていきます。
 洋紙事業においては、2018年11月、印刷・情報用紙の価格修正を表明し、製品価格の修正を行いました。原燃料価格や物流費の上昇は依然として続いていることから、製品価格の維持に努めつつ、操業安定化による安定供給とコストダウンを進めます。生産体制再編成については、計画どおり、2019年3月から2020年1月にかけて抄紙機8台を順次停機してまいります。
 板紙事業においては、2018年10月に価格修正を表明し、製品価格の修正を行いました。段ボール原紙に対する需要は、国内・海外とも引き続き伸びていることから、国内と輸出の生産販売の最適バランスを図り、製品価格の維持に努めていきます。
 これらの施策によって国内の紙・板紙事業の収益力を回復させ、安定的収益基盤の構築を進めます。
 パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各事業は、引き続き成長分野と位置付けます。パッケージ事業は、国内の人口減少に伴う需要減少の懸念はあるものの、飲料市場においては、消費者の健康志向の高まりにより、本格的な食感を持つ飲料製品が求められています。固形物・長繊維・高粘度充填が可能な紙容器無菌充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」を開発し、市場のニーズに対応した新しい紙容器を展開していきます。北米の日本ダイナウェーブパッケージングでは、世界的にパルプ需要が堅調であることから、ドライパルプマシンを新設し、パルプの増産・拡販を目指します。また、液体用紙容器原紙の品質向上や生産効率改善を図り、収益力向上を目指します。
 家庭紙・ヘルスケア事業においては、持ち運びが楽になり収納スペースが軽減できることから「3倍巻き」に代表される長尺トイレットペーパーの需要が近年伸びているため、クレシア春日株式会社で家庭紙第二抄紙機の設置を決定しました。2018年5月に稼働した家庭紙第一抄紙機とともに供給体制の充実を図ります。ヘルスケア製品は、高齢化の進行などによる生活様式の変化を背景に、今後も需要の伸びが見込まれることから、加工機を増設するとともに、快適にお使いいただける製品を開発し、市場に展開します。
 ケミカル事業においては、江津工場に機能性セルロース(CMC)製造設備を新設します。CMCは、食品・衛生用途、工業用途で幅広く使われていますが、電気自動車に搭載されるリチウムイオン電池用途が近年拡大しています。製造設備新設により、高付加価値・高品質分野へのシフトを進めていきます。CMCや、自動車塗料などに使用される機能性コーティング剤など、市場規模は小さいものの収益性の高い製品の需要がアジアを中心に拡大しており、海外市場での販売拡大を図ります。
 エネルギー事業は、2018年3月に稼働した日本製紙石巻エネルギーセンターにおけるバイオマス混焼発電設備の安定操業に努めます。北海道工場勇払事業所で計画しているバイオマス専焼発電事業については事業化を決定しました。再生可能エネルギーへの注目が高まる中、バイオマス資源の調達力や発電設備の操業技術など当社の強みを生かした事業の拡大に取り組んでいきます。
 「セレンピア®」(セルロースナノファイバー、以下CNF)や「シールドプラス®」、「ミネルパ®」などの新素材については、引き続き用途開発を進め、早期の事業化を目指します。「セレンピア®」は、江津工場で製造するCM化CNFが和菓子と化粧品で採用されました。石巻工場で製造するTEMPO酸化CNFは、引き続き、産業用素材として幅広く用途開発を進めていきます。「シールドプラス®」シリーズは、より高い水蒸気バリア性を発現する新製品「シールドプラス®プレミア」のサンプル供給を2019年4月より開始しました。さらに、環境意識の高い欧州市場で「シールドプラス®」シリーズの浸透を図るため、十條サーマルでの生産検討を開始しました。「ミネルパ®」は、2018年10月、富士工場に実証設備が完成し、本格的なサンプル供給を行っています。消臭・抗菌や難燃などの機能を生かした用途開発を積極的に進めていきます。
 紙化の取り組みについては、口当たりの良さや高い耐久性、安全性を特長とした紙製ストローを開発し、2019年4月から販売を開始しました。また、パッケージ事業のバリューチェーンを拡大するため、マレーシアにおいて軟包装事業を買収いたしました。環境意識が高まり、脱プラスチックの世界的な流れが加速する中、今後も"紙でできることは紙で。"を合言葉に新製品の開発を推進し、紙の利用シーン拡大を進めていきます。成長分野や新素材の事業では、的確なニーズの取り込みや新製品開発による新たな需要の創出によって事業拡大を図るために、積極的に投資を行い、事業構造転換を加速します。
 第6次中期経営計画における投資においては財務規律を十分に考慮し、資金のみならず当社グループが持つ人・資産を含む各リソースを成長分野に適切に配分することで、当社グループの既存事業、成長分野の事業価値最大化を目指した施策を実行してまいります。
 

(株式会社の支配に関する基本方針)

1.基本方針について

 当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えています。
 もっとも、当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆さま全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるか否かの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。しかしながら、当社株式等に対する大規模買付行為や買付提案の中には、買付目的や買付後の経営方針等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付けの条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもあり得ます。
 当社は、このような大規模買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。 

 

2.基本方針の実現に資する取組みについて

 (1) 中期経営計画について

 当社グループは再生可能な木材資源の活用を通じて、豊かな暮らしと地球環境の両立を支える企業活動を実践しています。
  この持続的成長をさらに確かなものにするため、3年ごとに中期経営計画を策定し、推進しています。
  2018年4月からは第6次中期経営計画(3か年)を推進しています。既存事業については、洋紙事業の生産体制再編成を進めることで、安定した収益を確保し、事業構造転換を支えていきます。一方、パッケージ、ヘルスケア、ケミカル、エネルギーなど成長分野の伸長と新規事業の戦力化に向けた投資をもう一段行うことで、事業構造転換を加速していきます。
  森林資源を基盤とした循環型の事業を通じて暮らしと文化に貢献し、企業価値・株主共同の利益の確保・向上に努めていきます。

 

 (2) コーポレート・ガバナンスの取組み

 当社は、株主をはじめとするステークホルダーに対する経営の透明性を一層高め、公正な経営を実現することを経営の最重要課題とします。業務執行と経営の監督の分離を確保するため、執行役員制度を採用するとともに、取締役会の監督機能の強化に努めます。また、当社はグループの経営の司令塔として、成長戦略を推進し、傘下事業をモニタリングし、コンプライアンスを推進します。
 このような取組みにより、当社は、今後もより一層コーポレート・ガバナンスの強化に努めていきます。
 

  株式会社の支配に関する基本方針は以上のとおりですが、当社は、当社の企業価値ひいては株主全体の利益の向上に向けた取り組みに努めるとともに、当社株式に対する大規模買付行為が行われる場合には、大規模買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見を開示する等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じていきます。

 

 

2 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1) 製品需要及び市況の変動リスク

当社グループは、主力の紙・パルプ事業をはじめ、紙関連事業、木材・建材・土木建設関連事業等を行っています。これらの製品等は経済情勢等に基づく需要の変動リスク及び市況動向等に基づく製品売価の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(2) 生産状況の変動リスク

当社グループは、主として需要と現有設備を勘案した見込生産を行っています。全ての生産設備について定期的な災害防止検査や点検等を行っていますが、火災や設備のトラブルの他、原燃料調達面の支障等により生産設備の稼働率が低下した場合などに製品供給力が低下するリスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 為替レートの変動リスク

当社グループは、輸出入取引等について為替変動リスクを負っています。輸出入の収支は、チップ、重油、石炭、薬品などの諸原燃料等の輸入が、製品等の輸出を上回っており、主として米ドルに対して円安が生じた場合には経営成績にマイナスの影響を及ぼします。なお当社グループは、為替予約等を利用したリスクヘッジを実施しています。

 

(4) 原燃料価格の変動リスク

当社グループは、主としてチップ、古紙、重油、石炭、薬品などの諸原燃料を購入して、紙・パルプ・その他の製品を製造・販売する事業を行っています。そのため国際市況及び国内市況による原燃料価格の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(5) 株価の変動リスク

当社グループは、取引先や関連会社等を中心に市場性のある株式を保有していますので、株価の変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。また、株価の変動は、年金資産の変動を通じて年金費用を変動させる可能性があります。

 

(6) 金利の変動リスク

当社グループは、有利子負債などについて金利の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(7) 海外事業リスク

当社グループは、北米・南米・北欧・中国・東南アジア・豪州等で、紙・パルプの製造販売、植林等の海外事業展開を行っています。海外事業リスクの未然防止に努めていますが、予測し得ない事態等が発生した場合、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(8) 訴訟等のリスク

当社グループは、業務の遂行にあたり法令遵守などコンプライアンス経営に努めていますが、国内外の事業活動の遂行にあたり、刑事・民事・租税・独占禁止法・製造物責任法・知的財産権・環境問題・労務問題等に関連した訴訟等のリスクを負っており、その結果、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

 

(9) 固定資産の減損リスク

当社グループは、生産設備や土地をはじめとする固定資産を保有しています。資産価値が下落した場合、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(10) 自然災害等のリスク

当社グループの生産及び販売拠点周辺で地震や大規模な自然災害等が発生して生産設備・物流インフラ等が被害を受けた場合、設備復旧のための費用、生産停止による機会損失、製品・商品・原材料等への損害などにより、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(11) 信用リスク

当社グループは、得意先などの信用リスクに備えていますが、経営の悪化や破綻等により債権回収に支障を来たすなど、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(12) 環境関連の法的規則のリスク

当社グループは、各種事業において環境関連の法規制の適用を受けており、これらの規制の変更・改正によって、生産活動が制限されたり、追加の費用が発生することにより、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(13) その他の事業環境等の変動リスク

当社グループは、上記以外の項目に関しても偶発事象に起因する事業環境等の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 また、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっています。

 

(1) 経営成績

 当連結会計年度のわが国の経済は、米国の政策動向や東アジア地域の情勢など懸念材料はあるものの、雇用・所得環境の改善に伴い、緩やかな回復基調が続いています。一方、米中貿易摩擦による経済への影響などが懸念され、先行きは不透明な状況です。

 当社グループを取り巻く経営環境は、原燃料価格の高騰などにより厳しい収益環境となりました。一方、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2018年度より「第6次中期経営計画」を始動させ、「洋紙事業の生産体制の再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を掲げた事業構造転換を推し進めました。

 以上の結果、当連結会計年度の連結売上高は1,068,703百万円(前期比2.1%増)、連結営業利益は19,615百万円(前期比11.4%増)、連結経常利益は23,901百万円(前期比28.2%増)となりました。また事業構造転換に係る生産体制再編成費用や減損損失、PCB廃棄物処理のための環境対策引当金繰入額など、多額の特別損失を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純損失は35,220百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益7,847百万円)となりました。

 

 各セグメントの経営成績は、以下のとおりです。

 なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較について、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

 

(紙・板紙事業)

 洋紙は、新聞の発行部数減少や印刷用紙の広告需要低迷など、国内販売数量は総じて低調に推移し、前期を下回りました。

 板紙は、国内販売数量は前期を下回ったものの、アジア向けを中心に輸出が好調でした。

 以上の結果、連結売上高は738,467百万円(前期比0.4%減)、連結営業利益は原燃料価格の高騰などもあり、8,057百万円の損失(前期は連結営業損失6,247百万円)となりました。

 

(生活関連事業)

 家庭紙は、ヘルスケア製品やホテル向け業務用製品などの需要は堅調で、販売数量は前期を上回りました。
 液体用紙容器は、果汁飲料向け口栓付き紙容器の拡販や充填機の販売台数の増加などもあり、販売数量は前期を上回りました。
 化成品は、自動車用途向け機能性コーティング樹脂やリチウムイオン電池用途向け機能性セルロース(CMC)が堅調で、販売数量は前期を上回りましたが、機能性フィルムの国内販売数量は前期を下回りました。
 以上の結果、連結売上高は201,698百万円(前期比4.8%増)、連結営業利益は11,560百万円(前期比3.4%減)となりました。

 

(エネルギー事業)

 2018年3月より日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のバイオマス混焼発電設備が営業運転を開始し、収益に寄与しました。
 以上の結果、連結売上高は36,227百万円(前期比103.2%増)、連結営業利益は7,920百万円(前期比91.3%増)となりました。

 

(木材・建材・土木建設関連事業)

 木材・建材は、賃貸住宅建築の減少などを受け新設住宅着工戸数が弱含みで推移し、製材品、建材品などの販売数量は前期を下回りました。
 以上の結果、連結売上高は59,796百万円(前期比4.7%減)、連結営業利益は4,896百万円(前期比9.1%増)となりました。

 

(その他)

 その他の連結売上高は32,514百万円(前年同期比2.6%増)、連結営業利益は2,693百万円(前年同期比4.4%減)となりました。

 

(2) 財政状態

 当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度末の1,429,892百万円から39,077百万円減少し、1,390,814百万円となりました。この主な要因は、生産体制再編成及び新聞用紙事業の減損損失を計上したこと等により、有形固定資産が40,313百万円減少したことや、海外持分法適用関連会社である大昭和・丸紅インターナショナル社の株式を売却したこと等により投資有価証券が19,352百万円減少したことによるものです。一方、受取手形及び売掛金は13,905百万円増加しました。

 負債は、前連結会計年度末の986,493百万円から8,976百万円増加し、995,470百万円となりました。この主な要因は、当社において、新たにPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物が保管されていることが判明したことにより、その処理費用を環境対策引当金として計上したことによるものです。

 純資産は、前連結会計年度末の443,398百万円から48,054百万円減少し、395,343百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失による利益剰余金の減少や、円高により為替換算調整勘定が減少したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、63,455百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,452百万円増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得た資金は、前連結会計年度に比べ14,816百万円増加し、59,760百万円となりました。この主な内訳は、減価償却費60,422百万円、運転資金の増減(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による支出22,782百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ15,269百万円減少し、47,461百万円となりました。この主な内訳は、固定資産の取得による支出72,022百万円、投資有価証券の売却による収入22,559百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ5,828百万円減少し、6,720百万円となりました。この主な内訳は、配当金の支払による支出です。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料や燃料購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また設備投資資金の主なものは、新規事業への投融資及び設備投資、既存事業の収益向上や操業安定化等を目的としたものです。
 今後も引き続き成長分野や新規事業へ積極的に投資を行っていく予定であり、その必要資金については、自己資金と外部調達との適切なバランスを検討しながら調達していきます。
 なお、長期借入金、社債等の長期の資金調達については、事業計画に基づく資金需要や既存借入の返済時期、金利動向等を考慮し、調達規模や調達手段を適宜判断し、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により当社グループ内での余剰資金の有効活用を図り、有利子負債の圧縮や金利負担の軽減に努めています。

 

(5) 生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

前期比(%)

紙・板紙事業

金額(百万円)

602,891

△0.0

生活関連事業

金額(百万円)

168,962

7.3

エネルギー事業

金額(百万円)

36,227

103.2

 合計

金額(百万円)

808,080

3.8

 

(注)1.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年比の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

2.木材・建材・土木建設関連事業、その他は、生産高が僅少であるため、記載を省略しています。

3.当連結会計年度において、エネルギー事業セグメントにおける生産実績に著しい変動がありました。これは、日本製紙石巻エネルギーセンター㈱のバイオマス混焼発電設備の営業運転が開始したことによるものです。

 

 ② 受注実績

  当社グループは主として需要と現有設備を勘案した見込生産のため、記載を省略しています。

 

 ③ 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

前期比(%)

紙・板紙事業

金額(百万円)

738,467

△0.4

生活関連事業

金額(百万円)

201,698

4.8

エネルギー事業

金額(百万円)

36,227

103.2

木材・建材・土木建設関連事業

金額(百万円)

59,796

△4.7

その他

金額(百万円)

32,514

2.6

合計

金額(百万円)

1,068,703

2.1

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。

3.上記の金額には消費税等は含まれていません。

4.当連結会計年度において、エネルギー事業セグメントにおける販売実績に著しい変動がありました。これは、日本製紙石巻エネルギーセンター㈱のバイオマス混焼発電設備の営業運転が開始したことによるものです。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当社は、2018年10月4日に、当社及び当社100%連結子会社である大昭和北米コーポレーション(正式名称:Daishowa North America Corporation)が、米国の大手市販パルプ会社 Mercer International社(正式名称:Mercer International Inc.)に対し、当社の持分法適用関連会社の大昭和・丸紅インターナショナル社(正式名称:Daishowa-Marubeni International Ltd.)の株式を譲渡することを決定し、2018年12月10日に、その保有持分の全てを売却しました。

なお、当該持分売却に伴い、関係会社株式売却損3,832百万円を特別損失(その他)に計上しています。

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、既存事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出と、パッケージング・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発をスピードアップを図りながら進めています。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、6,694百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は、以下のとおりです。

なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。

 

(1) 紙・板紙事業

 国内市場の成熟化と海外市場の成長、原材料の需給逼迫と価格高騰、深刻化する地球環境問題などの様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は4,598百万円です。

① 植林事業についての技術開発

 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、精英樹の開発として優良クローン選抜技術の開発、成長性と土壌要因の関連調査、迅速なバイオマス量測定技術の開発による林業技術の改良などの取り組みを推進しています。また、国内においては、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗を本格的に生産するため、大規模な採穂園の造成、早期増殖の取り組みを開始しました。特定母樹の取り組みは全国展開を推進しています。

② 品質とコストの更なる改善

 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続し、また製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら、品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。

 収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発など独自技術開発も推進しています。

③ 将来に資する技術開発など

 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料の開発や、セルロースナノファイバー、バイオリファイナリー、エネルギーに関する研究開発に取り組んでいます。

 新素材としては、微粒子化した無機物と紙の原料であるパルプ(セルロース繊維)を相互に定着・複合させる当社独自の技術によって、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を開発しました。「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮断」、「抗ウイルス」などの機能を有しています。2018年10月に実証生産設備(富士)が立ち上がり、事業化に向けた本格的なサンプル供給体制が整い、更なる用途開発を推進し、商品化を進めています。

 パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料については、顔料やバインダーを主成分とする塗料を塗工する当社の独自技術を応用し、酸素、水蒸気に対して従来にない優れたバリア性を持った紙製包装材料として開発・販売した「シールドプラス®」について、より高い水蒸気バリア性を付与した新製品「シールドプラス®プレミア」を開発し、2019年4月よりサンプル供給を開始しています。

 また、脱プラスチックから紙化へのニーズに対応するため、紙ストローを迅速に開発し、2019年4月より販売を開始しています。

 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を早期に確立し、CNFの市場創出の技術開発を推進しています。化粧品、食品用途に新たに採用されています。

 また、セルロースナノファイバーの国際標準化や安全性評価についても、当社が主体的に産官学連携で取り組んでいます。

 バイオリファイナリー関連では、木材の高度利用技術の開発として、木材から化学品原料までの一貫製造プロセスに関する研究開発を行い、特にリグニンの利活用を推進しています。

 

 

(2) 生活関連事業

 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は1,801百万円です。
 液体用紙容器の分野につきましては、環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びそのシステム(充填機等)の開発を主要課題にしてきました。NPパックでは、さらに高衛生化した新型充填機を2019年度中に大手乳業メーカーに導入予定です。また、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の最終検証を進めており、2019年度上期中にシステム完成予定です。さらに非飲料分野の取り組みとして、これまでの「詰め替え式」のパウチ容器に代わる、「差し替え式」の紙容器「SPOPS®」用充填機を開発し、2019年度中に販売予定です。

 化成品の分野につきましては、機能性セルロース製品、自動車プラスチック部材用プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂及び合成系水溶性高分子の開発等を行いました。
 その他、スマートフォンやタブレット端末等の中小型ディスプレー用途のハードコートフィルムの開発を行いました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。

 

(3) エネルギー事業

 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料については、タイの実証生産設備での知見を基に事業化に向けて取り組みを進めています。当事業に係る研究開発費は277百万円です。

 

(4) 木材・建材・土木建設関連事業

該当事項はありません。

 

(5) その他

金額が僅少であるため、記載を省略しています。