文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。
当社グループは、コア事業である紙事業については、国内では洋紙市場の需要縮小に見合った生産体制への移行、販売体制と間接部門のスリム化等により利益確保を図ります。
同時に、事業環境の変化に対応し、新たな収益の柱を育成するべく、成長分野事業の伸長や新規事業の立上げについても積極的に推進していきます。
今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。
当社グループは、2018年4月から2021年3月までを「第6次中期経営計画」の期間とし、第5次中期経営計画で取り組んできた「既存事業の競争力強化」と「事業構造転換」を基本方針に、第6次中期経営計画では「洋紙事業の生産体制の再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を揚げ、総合バイオマス企業としての事業構造転換に取り組んでおります。
<目指すべき利益目標>
・連結営業利益 500億円
<第6次中期経営計画 - 2021年3月期の経営目標値>
・連結営業利益 470億円
・ROA 3.8 %
・D/Eレシオ 1.5 倍 以下
注)ROA :(経常利益+支払利息)/総資産
① 第6次中期経営計画(2018年4月~2021年3月)の進捗について
当社は第6次中期経営計画において、当社グループの持続的成長の実現に向け、洋紙事業の生産体制再編成、成長分野の事業拡大、新規事業の早期戦力化を推進しています。
第6次中期経営計画の2年目である2019年度は、生産体制再編成を進め、計画どおり抄紙機8台の停機を完了しました。パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、エネルギーの各成長分野における設備投資も、ほぼ計画どおりに進めました。
また、新型コロナウイルス感染症の全世界における感染拡大を受け、日本製紙グループとしましては、代表取締役社長を本部長とする新型コロナウイルス対策本部を設置し、本社・支社では不要不急の出張の禁止や、在宅勤務・時差出勤の推進など従業員の感染リスクを低減しています。生産拠点では3つの密の回避を徹底するなどの対策を講じた上で操業を継続し、製品の安定供給に引き続き努めてまいります。資金に関しては、不要不急の経費削減や投資の厳選などを実施するとともに、有事に備え機動的な資金調達を行い、手元流動性を確保していきます。
第6次中期経営計画の最終年度である2020年度は、各事業で掲げた施策を着実に進めるとともに、新型コロナウイルス感染症収束後に想定される、働き方を含めた社会の変容や環境意識の変化に対応し、情報伝達における紙からITへのさらなるシフト、通販や宅配の増加などの物流シフトに伴う包装資材の軽量化やバリア性向上への期待、衛生意識の高まりによる衛生用紙の役割増といった各事業における需要の変化を見極め、当社グループの持つ製品・ノウハウの最大活用にスピード感を持って取り組んでまいります。
洋紙事業においては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各種イベントが中止になるなど、チラシをはじめとした印刷物の減少が想定されますが、生産体制再編成の効果をきちんと発現させてコストダウンを図るとともに、生産販売の最適バランスを図り、重点課題である製品価格の維持に取り組みます。
板紙事業においては、国内と輸出の生産販売の最適バランスを図りながら製品価格の維持に努め、通販市場の拡大など需要の変化に応じた差別化製品の開発にも注力します。
これらの施策により、紙・板紙事業での安定収益確保に努めます。
液体用紙容器原紙事業では、紙容器のさらなる用途拡大を目指し、固形物・長繊維・高粘度充填が可能な紙容器無菌充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」を2020年度中に上市します。また、機械・包装資材・食品事業を手掛ける四国化工機株式会社とは、同社の紙容器成形充填機の独占販売権を有する総代理店契約に加え、2019年12月に資本業務提携契約を締結しました。両社のパートナーシップをより強固にすることで新充填包装システムの開発を加速し、さらなる競争力強化を図ります。
北米の日本ダイナウェーブパッケージング社で、2020年11月をめどにドライパルプマシンの工事が完了し、パルプ増産と拡販を図ります。また、2021年1月をめどに液体用紙容器原紙の品質対策工事が完了します。品質のさらなる向上や生産効率の改善を継続し、収益力を強化していきます。
段ボール事業では、2020年4月に豪州のオローラ社から、オセアニア地域での段ボール・パッケージ事業の譲り受けを完了しました。オーストラリアン・ペーパー社とともに新たに「オパールグループ」として統合しました。当社グループにおける段ボールやクラフトなど包装資材事業の成長を加速させていきます。
家庭紙・ヘルスケア事業では、2020年5月、クレシア春日株式会社において家庭紙第二抄紙機の稼働を開始しました。持ち運びが楽になり収納スペースが軽減できることから「3倍巻き」に代表される長尺トイレットロールやキッチンタオルの販売をさらに伸ばしていきます。ヘルスケア製品は、高齢化の進行などに伴う生活様式の変化を背景に需要が高まっており、今後も、快適にお使いいただける製品の開発・上市に注力していきます。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、今後、医療用品の需要が増加していくことが想定され、現状の国内メーカーへの委託生産に加え、自社生産による増産も視野に入れた供給拡大の検討を進めてまいります。
ケミカル事業では、電気自動車や家電に搭載されるリチウムイオン電池の需要拡大に対応するため、2021年2月をめどに江津工場において機能性セルロースの増産対策が完了します。また、自動車塗料やフィルムインキ向けの機能性コーティング剤は、中期的に需要の拡大が見込まれることから、アジアを中心に海外市場でのさらなる拡販を図るべく増産工事を実施します。
エネルギー事業では、日本製紙石巻エネルギーセンター株式会社のバイオマス混焼発電設備の安定操業に努めます。また、再生可能エネルギーへの注目が高まる中、バイオマス資源の調達力や発電設備の操業技術など当社の強みを生かした事業の拡大を図っており、北海道工場勇払事業所に設置するバイオマス専焼発電設備は、2023年1月の稼働を目指して建設工事を進めます。
セルロースナノファイバー「セレンピア®」(以下 CNF)や「シールドプラス®」、「ミネルパ®」などの新素材については、採用事例が増えています。江津工場のCM化CNFは食品や化粧品分野での採用が進んでいますが、直近では飲料向け紙製バリアカップに採用されました。石巻工場のTEMPO酸化CNFは自動車用タイヤ向けに採用され、引き続き産業用素材としての用途拡大に向けてスピード感をもって推進していきます。パルプと無機物の複合材料「ミネルパ®」は、消臭・抗菌や難燃などの機能を生かし、生活用品分野で2020年度中に採用される見通しです。
また、脱プラスチックの世界的な流れが加速する中、再生可能な資源である「木」を原料とする「紙」への関心が高まっており、“紙でできることは紙で。”を合言葉に製品開発を推進しています。紙製バリア包材「シールドプラス®」シリーズでは、より高品質な新製品「シールドプラス®プレミア」の2020年度中の上市を目指します。さらに、フィンランドの十條サーマル社では量産化に向けた工事が2020年7月に完了予定で、環境意識の高い欧州市場での展開を図ります。また、ヒートシール紙「ラミナ™」は、バリア性を必要としないプラスチック製包材の代替として、食品・化粧品・日用雑貨など多岐にわたる分野での展開を目指し、販売活動に取り組んでいます。2019年4月に販売を開始した紙ストローは、口当たりの良さや高い耐久性、安全性を特長としており、堅調な需要に対応すべく生産・供給体制を拡張しました。差し替え型容器「SPOPS®(スポップス)」は、詰め替え作業の軽減、使い捨てプラスチック量削減の観点から、ホテル向け製品の容器として採用されました。新素材に関しては、今後も新規採用に向けた用途開発を積極的に推進していきます。
投資活動は、財務規律を十分に考慮して実施を決定します。成長分野や新素材の事業では、新製品開発の促進や的確な顧客ニーズの取り込みが不可欠であり、必要な投資を行うことで事業構造転換を加速し、資金のみならず当社グループの人材・資産を含む各リソースを成長分野に配分することで、既存事業、成長分野の事業価値最大化を目指した施策を実行してまいります。
② PCB廃棄物について
PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の件につきましては、行政との連携を図り、適切な処理を進めるとともに、次のとおり再発防止策を実施しています。
第1に、コンプライアンスのさらなる重視です。当社グループの役員及び従業員を対象としたコンプライアンス研修を継続的に実施しており、2019年度は、当社及びグループ会社31社の取締役、執行役員などが研修を受講しました。
第2に、環境法令への対応です。主管部門が把握した法令改正情報について、日本製紙グループ環境委員会で共有し、対応状況の確認を行っています。この取り組みについて、法務担当部門がその内容を点検し評価しています。
第3に、監視・監督体制の強化です。環境監査では、監査部門以外からも監査人を選出し、多面的な監査を行っています。また工場に加え、本社の管理部門に対しても環境法令の教育を実施し、相互監視体制を強化しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(方針)
当社は、取締役会の監督のもと、代表取締役社長を責任者とするリスクマネジメント委員会を設置しています。当社グループの経営におけるリスク発生防止と実際にリスクが発生した場合の影響を最小限にとどめることを目的として、リスクマネジメント規程と危機対策規程を定め、平常時と緊急時の両面で対応することとしており、リスクマネジメント委員会では、当社グループのリスクを定期的に洗い出し、評価、防止対策及び発生時の対策を検討・審議し、取締役会に報告します。
<リスクマネジメント体制>

(1) 製品需要及び市況の変動リスク
当社グループは、主力の紙・板紙事業をはじめ、生活関連事業、エネルギー事業、木材・建材・土木建設関連事業等を行っています。これらの製品等は経済情勢等に基づく需要の変動リスク及び市況動向等に基づく製品売価の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(2) 生産状況の変動リスク
当社グループは、主として需要と現有設備を勘案した見込生産を行っています。全ての生産設備について定期的な災害防止検査や点検等を行っていますが、火災や設備のトラブルの他、原燃料調達面の支障等により生産設備の稼働率が低下した場合などに製品供給力が低下するリスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(3) 原燃料価格の変動リスク
当社グループは、主としてチップ、古紙、重油、石炭、薬品などの諸原燃料を購入して製品を製造・販売する事業を行っています。そのため国際市況及び国内市況による原燃料価格の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(4) 訴訟等のリスク
当社グループは、業務の遂行にあたり法令遵守などコンプライアンス経営に努めていますが、国内外の事業活動の遂行にあたり、刑事・民事・租税・独占禁止法・製造物責任法・知的財産権・環境問題・労務問題等に関連した訴訟等のリスクを負っており、その結果、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(5) 製造物責任に基づくリスク
当社グループは、製品について製造物責任に基づく損害賠償を請求される対象であり、現在のところ重大な損害賠償請求を受けていませんが、将来的には直面する可能性があります。製造物責任にかかる保険(生産物賠償責任保険)を付保していますが、当社グループが負う可能性がある損害賠償責任を補償するには十分でない場合があります。
(6) 環境関連の法的規則のリスク
当社グループは、各種事業において環境関連の法規制の適用を受けており、これらの規制の変更・改正によって、生産活動が制限されたり、追加の費用が発生することにより、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(7) 為替レートの変動リスク
当社グループは、輸出入取引等について為替変動リスクを負っています。輸出入の収支は、チップ、重油、石炭、薬品などの諸原燃料等の輸入が、製品等の輸出を上回っており、主として米ドルに対して円安が生じた場合には経営成績にマイナスの影響を及ぼします。なお当社グループは、為替変動による経営成績への影響を軽減することを目的として、為替予約等を利用したリスクヘッジを実施しています。
(8) 株価の変動リスク
当社グループは、取引先や関連会社等を中心に市場性のある株式を保有していますので、株価の変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(9) 金利の変動リスク
当社グループは、有利子負債などについて金利の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(10) 信用リスク
当社グループは、得意先などの信用リスクに備えていますが、経営の悪化や破綻等により債権回収に支障を来たすなど、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(11) 固定資産の減損リスク
当社グループは、生産設備や土地をはじめとする固定資産を保有しています。事業環境等の変化により当該資産から得られる将来キャッシュ・フローが著しく減少した場合、減損損失が発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(12) 退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率等の数理計算上の前提に基づいて算出していますが、数理計算上の前提を変更する必要が生じた場合や株式市場の低迷等により年金資産が毀損した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(13) 繰延税金資産の取崩しリスク
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しています。しかし、事業環境等の変化による課税所得の減少や税制改正等により回収可能性を見直した結果、繰延税金資産の取崩しが発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(14) 人材確保及び労務関連リスク
当社グループは、人材戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しています。多様な人材の積極的な採用や育成、働き方の柔軟性・多様性を前提とした職場環境の整備等を通じて最適かつ効率的な人材の確保に努めていますが、適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受けることにより、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは法令に基づく適正な労務管理などにより、労務関連のリスクの低減に取り組んでいますが、労務関連の各種コンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、訴訟や当社グループの社会的信頼喪失により、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(15) 自然災害及び感染症等のリスク
当社グループの生産及び販売拠点周辺で地震や大規模な自然災害及び新型の感染症等が発生して生産・販売等の事業活動に影響を及ぼした場合、生産停止による機会損失、設備復旧のための費用、製品・商品・原材料等への損害などにより、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(新型コロナウイルス感染症について)
当社グループは、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、グループの状況把握とともに、社員の感染防止と事業継続の観点から対策を講じています。詳細は、「2 事業の状況 1 経営方針、経営成績及び対処すべき課題等」をご参照ください。
なお、当社グループの中では新聞用紙・印刷用紙において大きな影響が出ると想定しています。詳細は、「2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」をご参照ください。
(16) 情報システムに関するリスク
当社グループは、情報システムに関するセキュリティを徹底・強化し、また個人情報について「個人情報取扱規則」を定め、全役員、全従業員及び関係取引先への周知をはかるなど、管理体制を強化していますが、今後、コンピュータへの不正アクセスによる情報流出や犯罪行為による情報漏えい等問題が発生した場合には、損害賠償請求や当社グループの社会的信頼喪失により、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(17) 海外事業リスク
当社グループは、北米・南米・北欧・東南アジア・豪州等で、紙・パルプの製造販売、植林等の海外事業展開を行っています。海外における事業展開には、現地政府による法規制の変更、労働争議の発生、政情不安に伴う経済活動への影響等のリスクが内在しています。外部法律事務所と情報を共有し適切に対応することでリスクの未然防止に努めていますが、これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(18) M&Aや業務提携に関するリスク
当社グループは、新たな事業機会の創出により持続的成長を実現するため、M&Aや業務提携等を行うことがあります。これらの実施にあたっては、事前に事業戦略や相乗効果を十分吟味のうえ実施を決定し、実施後は、最大の効果が得られるよう経営努力をしています。しかし、事業環境等の変化により、当初期待した成果をあげられない場合には、経営成績や財政状態等に影響を与える可能性があります。
(19) その他の事業環境等の変動リスク
当社グループは、上記以外の項目に関しても偶発事象に起因する事業環境等の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
当期のわが国の経済は、輸出を中心に弱さが続いているものの、雇用・所得環境の改善が続く中、政府の各種政策の効果もあり緩やかな回復基調が続いていました。しかし第4四半期に入り新型コロナウイルス感染症の影響により、景気は大幅に下押しされ厳しい状況にあります。また、先行きにつきましても新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せず、不透明な状況であります。
このような状況の中、当社グループは第6次中期経営計画(2018年5月28日発表)に掲げた「洋紙事業の生産体制の再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を推し進め、釧路工場・北海道工場・富士工場において8台の抄紙機を停機し、洋紙事業の収益構造を改善しました。また成長分野として位置付けている事業につきましても、豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業の譲受け決定や、家庭紙の生産設備の設置、紙製バリア素材などの新規事業化を推し進めました。
以上の結果、連結売上高は1,043,912百万円(前年同期比2.3%減)、連結営業利益は35,048百万円(前年同期比78.7%増)、連結経常利益は30,524百万円(前年同期比27.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,212百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失35,220百万円)となりました。
各セグメントの経営成績は、以下のとおりです。
(紙・板紙事業)
洋紙は、新聞の発行部数減少や印刷用紙の広告需要低迷などにより、国内販売数量は前年同期を下回りました。
板紙は、天候不順による日照不足や台風被害の影響などにより青果物や農作物などの荷動きが鈍化し、国内販売数量は前年同期を下回りました。
以上の結果、連結売上高は706,410百万円(前年同期比4.3%減)、連結営業利益は6,499百万円(前年同期は連結営業損失8,057百万円)となりました。
(生活関連事業)
家庭紙は、ティシューペーパーやトイレットペーパーなどの需要は堅調でしたが、それに加え新型コロナウイルス感染症の影響もあり、販売数量は前年同期を上回りました。
液体用紙容器は、夏場の天候不順などにより国内飲料市場が低迷したことや、新型コロナウイルス感染症の影響による学校給食牛乳向け容器が落ち込んだことから、国内販売数量は前年同期を下回りましたが、充填機の販売台数は前年同期を上回りました。
溶解パルプ(DP)は、中国などの海外需要低迷を受け前年同期を下回りました。化成品は、インキ用途向け機能性コーティング樹脂が海外で堅調に推移し前年同期を上回りました。機能性フィルムは、中小型ディスプレイ向け用途が堅調で国内販売数量は前年同期を上回りました。
以上の結果、連結売上高は210,545百万円(前年同期比4.4%増)、連結営業利益は12,623百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
(エネルギー事業)
エネルギー事業は、発電設備の運転日数が減少した影響や固定費の負担増などにより減収減益となりました。
以上の結果、連結売上高は33,003百万円(前年同期比8.9%減)、連結営業利益は6,795百万円(前年同期比14.2%減)となりました。
(木材・建材・土木建設関連事業)
木材・建材は、新設住宅着工戸数が弱含みで推移し、製材品などの販売数量は前年同期を下回りました。
土木建設関連は、受注工事が増加したことにより売上高は増収となりました。
以上の結果、連結売上高は61,622百万円(前年同期比3.1%増)、連結営業利益は5,904百万円(前年同期比20.6%増)となりました。
(その他)
その他の連結売上高は32,329百万円(前年同期比0.6%減)、連結営業利益は2,845百万円(前年同期比5.7%増)となりました。
(2) 財政状態
総資産は、前連結会計年度末の1,390,814百万円から27,344百万円減少し、1,363,469百万円となりました。この主な要因として、現金及び預金が10,609百万円減少したほか、前連結会計年度末が金融機関の休日であったこと等により受取手形及び売掛金が6,493百万円、また新型コロナウイルス感染症の影響による株価の下落等により、退職給付に係る資産が5,119百万円、投資有価証券が3,306百万円減少したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末の995,470百万円から18,577百万円減少し、976,892百万円となりました。この主な要因は、前連結会計年度末が金融機関の休日であったこと等により、支払手形及び買掛金が24,539百万円減少したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末の395,343百万円から8,766百万円減少し、386,577百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が9,582百万増加した一方、新型コロナウイルス感染症の影響による株価の下落や円高の進行等により、その他の包括利益累計額が19,097百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、52,846百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,609百万円減少しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得た資金は、前連結会計年度に比べ7,275百万円増加し、67,036百万円となりました。この主な内訳は、税金等調整前当期純利益21,648百万円、減価償却費58,705百万円、運転資金の増減(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による支出11,527百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ22,652百万円増加し、70,113百万円となりました。この主な内訳は、固定資産の取得による支出67,676百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ676百万円増加し、7,397百万円となりました。この主な内訳は、配当金の支払による支出です。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料や燃料購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また設備投資資金の主なものは、新規事業への投融資及び設備投資、既存事業の収益向上や操業安定化等を目的としたものです。
今後も引き続き成長分野や新規事業へ積極的に投資を行っていく予定であり、その必要資金については、自己資金と外部調達との適切なバランスを検討しながら調達していきます。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響等の有事に備え、不要不急の経費削減や投資の厳選などを実施するとともに、各金融機関との未使用の短期資金借入枠の使用等により、機動的な資金調達を行い、手元流動性を確保していきます。
なお、長期借入金、社債等の長期の資金調達については、事業計画に基づく資金需要や既存借入の返済時期、金利動向等を考慮し、調達規模や調達手段を適宜判断し、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により当社グループ内での余剰資金の有効活用を図り、有利子負債の圧縮や金利負担の軽減に努めています。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に重要な影響を与える見積りは、主に退職給付会計、税効果会計、減損会計であり、継続して評価を行っています。
また、新型コロナウイルス感染症について、当社グループの中では新聞用紙・印刷用紙において大きな影響が出ると想定しており、各セグメントへの影響は下記のとおりです。
(紙・板紙事業)
洋紙は、スポーツやイベントの中止・延期による新聞の頁数減少や、経済活動の停滞に伴い印刷用紙の広告需要が低迷しています。海外市場については、経済封鎖状況下のため取引交渉が凍結状態となっている地域もあり需要の減少が推測されます。
板紙は、外出自粛に伴う冷凍・調理済み食品などの加工食品向けや通販・宅配向けのネット販売増加により段ボール需要は堅調に推移すると予測しています。
以上の前提を置いた場合、2021年3月期の主要な国内製品の販売状況の見通しは以下のとおりです。
・新聞用紙(対前年同期比伸び率):85%
・印刷用紙(対前年同期比伸び率):88%
新聞用紙・印刷用紙の事業が影響を及ぼす、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等注記事項 追加情報」に記載のとおりです。
(生活関連事業)
家庭紙は、訪日外国人の減少などによりホテル向け用品などは需要が減少していますが、感染予防のためのハンドタオルやウェットタオルなどは需要が増加しています。
液体用紙容器は、学校給食牛乳向け容器は減少していますが、外出自粛に伴い家庭用の牛乳向け容器などは需要が増加しています。
化成品は、自動車生産台数減に伴い自動車用途向け機能性コーティング樹脂の減少が推測されます。機能性フィルムは、在宅勤務移行に伴いパソコン・モニター用の需要が増加しています。
以上を踏まえ、業績に与える影響は軽微であるため、会計上の見積りには重要な影響を及ぼしていません。
(エネルギー事業、木材・建材・土木建設関連事業、その他)
レジャー事業は施設・店舗の休止や時間短縮営業を行っていますが、業績に与える影響は軽微であるため、会計上の見積りには重要な影響を及ぼしていません。
なお、見積り及び判断・評価につきましては、現在当社が入手している情報及び合理的と考えられる要因等に基づき行っていますが、実績については様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(6) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)木材・建材・土木建設関連事業、その他は、生産高が僅少であるため、記載を省略しています。
② 受注実績
当社グループは主として需要と現有設備を勘案した見込生産のため、記載を省略しています。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。
3.上記の金額には消費税等は含まれていません。
当社は、豪州証券取引所上場企業であるオローラ社(正式名称:Orora Limited)との間で、同社の豪州・ニュージーランド事業のうち、板紙パッケージ部門(以下「本事業」)の譲受けに関する契約を2019年10月10日に締結し、当社の連結子会社であるオーストラリアン・ペーパー社(正式名称:Paper Australia Pty Ltd )を通じて、2020年4月30日付で本事業を譲受けました。また、当社は、本事業譲受けに伴う資金の借入れを行いました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な後発事象」をご参照ください。
当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、既存事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出とパッケージング・紙加工事業、木材・ケミカル事業、エネルギー事業などの成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発をスピードアップを図りながら進めています。研究開発体制については、新規事業の開発に関わる研究企画室を基盤技術研究所から本部付きに変更しました。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、社内外との連携を密にしてオープンイノベーション等を推進して研究開発を進めていきます。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、
国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題などの様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は
事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、DNAマーカー解析技術を利用した精英樹の開発に注力しています。また、国内においては、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗生産を開始しました。特定母樹の苗木生産の取組みは全国展開を推進しています。
洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。
収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発などの独自技術開発も推進しています。
「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。
新素材としては、微粒子化した無機物と紙の原料であるパルプ(セルロース繊維)を相互に定着・複合させる当社独自の技術によって、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を開発しました。「消臭抗菌」、「難燃」、「X線遮断」、「抗ウイルス」などの機能を有しています。2018年10月に設置した実証生産設備(富士)による事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、更なる用途開発を推進し、商品化を進めています。また、木材を原料とし、乳牛の乳量増加効果が得られた養牛用「高消化性セルロース」を開発しました。
パッケージなどのプラスチック代替新規紙材料については、顔料やバインダーを主成分とする塗料を塗工する当社の独自技術を応用し、酸素、水蒸気に対して従来にない優れたバリア性を持った紙製包装材料として開発・販売した「シールドプラス®」が規格袋や食品用カップ等に採用されており、更なる用途展開を図っていきます。「シールドプラス®」より高い水蒸気バリア性を付与した「シールドプラス®プレミア」のサンプル供給を2019年4月より開始しています。また、脱プラスチックから紙化へのニーズに対応するため、紙ストロー「シルフィール®」を迅速に開発し、2019年4月に販売を開始しました。
セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を早期に確立し、CNFの市場創出の技術開発を推進しています。化粧品、食品用途の他、新たにタイヤや包装用途に採用されています。また、セルロースナノファイバーの国際標準化や安全性評価についても、当社が主体的に産官学連携で取り組んでいます。
バイオリファイナリー関連では、木材の高度利用技術の開発として、木材から化学品原料までの一貫製造プロセスに関する研究開発を行い、特にリグニンの利活用を推進しています。
(2) 生活関連事業
液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は
液体用紙容器の分野につきましては、環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びそのシステム(充填機等)の開発を主要課題にしてきました。NPパックでは、2020年4月に新製品「Pure-Pak® Sense」を大手乳業、飲料メーカーに販売開始しました。また、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の最終検証を進めており、2020年度中に上市予定です。さらに非飲料分野の取り組みとして、これまでの「詰め替え式」のパウチ容器に代わる、「差し替え式」の紙容器「SPOPS®」用充填機を開発、化粧品製造会社に導入し、2019年度下期に新製品を発売しました。
化成品の分野につきましては、機能性セルロース製品、自動車プラスチック部材用プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂及び合成系水溶性高分子の開発等を行いました。
その他、スマートフォンやタブレット端末等の中小型ディスプレー用途のハードコートフィルムの開発を行いました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。
エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料については、タイの実証生産設備での知見を基に事業化に向けて取り組みを進めています。当事業に係る研究開発費は
該当事項はありません。
金額が僅少であるため、記載を省略しています。