第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであり、達成を保証するものではありません。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、今後10年後に目指す姿・目標として「2030ビジョン」を発表しました。『木とともに未来を拓く総合バイオマス企業として持続的な成長を遂げる』を目指す姿として“成長事業への経営資源のシフト”“CO₂削減、環境課題等の社会情勢激変への対応”を基本方針としています。グラフィック用紙の需要減少に適切に対応しながら、経営資源を成長事業・新規事業にシフトし、同時に様々な社会的要請にも耐えうる、筋肉質の体質に変えていきます。

今後も当社グループは、持てる経営資源をフルに活用し、厳しさを増す国際競争を勝ち抜くとともに、グループの成長を実現し、株主価値の持続的拡大を追求していきます。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、「2030ビジョン」の前半にあたる2021年4月から2026年3月までの5年間を「中期経営計画2025」の期間とし、『事業構造転換の加速』を基本戦略に、“成長事業への経営資源シフト”“新規事業の戦力化加速”“基盤事業の競争力強化”の3つを重点課題に取り組んでいきます。

 

 <中期経営計画2025 - 目標>

・売上高           1兆1,000億円  (2025年度)

・営業利益            400億円以上(早期に)

・EBITDA           1,000億円  (安定的に)

・D/Eレシオ             1.5倍台  (2025年度)

・ROE            5.0%以上 (2025年度)

 

(3) 会社の対処すべき課題

① 第6次中期経営計画(2018年度~2020年度)の総括

当社は第6次中期経営計画において「洋紙事業の生産体制再編成と自社設備の最大活用」及び「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」をテーマに掲げ、各施策に取り組みました。

最終年度である2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大による洋紙需要の減少影響が大きく、国内に加え豪州においても旧オーストラリアン・ペーパー社が需要減少の影響を大きく受けたことにより、目標収益には未達に終わりましたが、成長分野の事業拡大は着実に進捗しました。

(イ)生産体制の再編成

洋紙事業の生産体制再編成では、8台の抄紙機と2台の塗工機を計画通り2019年度までに停機しました。設備停機による固定費圧縮と生産設備の稼働率向上によりコスト削減効果が発現したこと、また、2019年に実施した価格修正の浸透もあり、紙・板紙事業の収益は大きく改善しました。

しかしながら、2020年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大により広告需要が激減し、新聞・印刷用紙の需要が大きく下落しました。これらグラフィック用紙の需要は今後も減少が見込まれることから、さらなる需給ギャップの解消が必要と判断し、2020年11月、釧路工場の紙パルプ事業からの撤退(2021年8月、紙生産終了)を決定しました。

(ロ)成長分野の事業拡大

成長分野として位置づけた生活関連事業(パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル)については、積極的な設備投資を行いました。各事業とも一部に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けましたが、生活必需品として底堅い需要に支えられ堅調に推移しました。

国内の紙パック事業は液体用紙容器の販売に向けた充填機販売が計画どおり進捗し、新型コロナウイルス感染拡大による休校やリモートワークによって職場での需要減少があった一方で、在宅時間の増加による需要増を着実に取込みました。

家庭紙・ヘルスケア事業は、当社富士工場の洋紙設備のインフラを有効活用し、2020年5月には2台目の抄紙機を稼働させ、事業規模拡大を図りました。また、当社独自技術を駆使したトイレットロールやキッチンタオルの長持ちロール製品がお客様の支持を受け、需要の取込みを実現しました。

ケミカル事業においては新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークやオンライン授業等が進んだ結果、IT機器需要の拡大による機能性フィルム販売が増加し、アセテートパルプの拡販の遅れやレーヨン向けパルプの市況低迷による収益悪化をカバーしました。一方、市場が拡大している機能性コーティング樹脂やリチウムイオン電池等に利用される高機能性セルロース(CMC)の設備増強にも着手し、今後の拡販に向けた供給体制を整備しました。

海外事業では豪州・ニュージーランドにおいて2020年4月にオローラ社の板紙パッケージ部門の譲受けを完了しました。旧オーストラリアン・ペーパー社の紙・板紙製造販売事業と本事業を統合し、オセアニア地域におけるパッケージ事業を主力とする事業体「Opal(オパール)」として、2020年5月より新たな運営を開始しました。豪州でも新型コロナウイルス感染症の影響によるインバウンド需要の減少や経済活動の停滞により厳しい状況でありますが、本譲受けにより「原紙の生産から段ボール製品の販売まで」の一貫体制を構築することで、さらなる事業展開が可能となりました。

新素材関連事業では、セルロースナノファイバー(CNF)「セレンピア®」が、化粧品や食品用途に加え自動車用コンセプトタイヤに採用されました。また、紙製バリア素材「シールドプラス®」は食品用や化粧品用包材で、機能性素材「ミネルパ®」も消臭効果のある不織布やペット用品でそれぞれ採用されています。これらは既に開発ステージから商品化ステージへ移行しており、これらに続くさらなる新商品の拡販を推進していきます。

 

② 2030ビジョン・中期経営計画2025の策定

[2030ビジョンの策定]

当社を取り巻く事業環境を見渡しますと、新型コロナウイルスによるパンデミックを契機に一気にライフスタイルの変革を迫られ、洋紙需要の減少は更に加速しました。また、日本をはじめ世界の主要各国が2050年以降のカーボンニュートラル社会の構築を見据えた動きを始めており、環境対応への意識が急速に高まりつつある中で、大きな転換期を迎えています。

そのような背景の中、当社は2021年5月、企業理念の実現に向けて2030年に目指す姿として2030ビジョンを発表しました。

(イ)2030年に目指す姿

当社グループが2030年に目指す姿は、『木とともに未来を拓く総合バイオマス企業』として「安定した利益を生み出す複数の事業で構成され、再生可能な木質資源を多様な技術・ノウハウによって最大活用し、循環型社会の形成に貢献する製品を幅広く提供することで利益の拡大につなげ、豊かな暮らしと文化の発展を実現する企業グループ」です。

 


 

(ロ)サステナビリティ経営の推進

2030ビジョンでは、社会・環境の持続可能性と企業の成長をともに追求するサステナビリティ経営を推進していきます。そのための起点は、当社グループの社会的存在意義を表している企業グループ理念です。

当社は、この理念の「目指す企業像」に掲げる4要件を満たすため、社会的課題の解決にかかわる活動テーマを抽出し、当社の重要課題として位置付けました。これらに取り組むことは、2030年に向けて持続可能な社会の構築を目指すSDGsの達成に貢献することになります。

 


 

(ハ)基本方針と目標

2030ビジョンの基本方針及び目標を、以下の通り掲げました。

◆基本方針  『成長事業への経営資源のシフト』

『CO₂削減、環境課題等の社会情勢激変への対応』

◆目標     「売上高 1兆3,000億円」

・生活関連事業  50%以上(新規事業650億円含む)

・海外売上高比率 30%以上

  「生活関連事業の売上高営業利益率7%以上」

  「ROE 8.0%以上」

  「GHG排出量(2013年度比)45%削減」

成長分野の事業規模拡大と木質資源をベースとした新製品の開発を進め、需要減退の継続が予測される洋紙事業のリソースを新しい分野に転換していくとともに、フレキシブルな人材再配置を進めていきます。

さらに、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、非化石燃料の混焼率拡大に加えて新たな木質バイオマス燃料の開発を進め、脱石炭を軸としたエネルギー構成の見直しを進めていきます。

また、当社グループは森林価値の最大化と木質資源を利用した製品の拡大によって、事業基盤の強化とともにカーボンニュートラル社会の構築に貢献します。育種・増殖技術の活用によって森林の生産性向上を図ることで2030年までに海外植林地での「CO₂固定効率の30%向上」を目指し、生物多様性の保全や水資源の確保等による公益的機能の発揮、国内社有林の活用を通じた林業の活性化にも取り組んでいきます。

(ニ)総合バイオマス企業としての事業展開

当社グループは3つの循環、『持続可能な森林資源の循環』、『技術力で多種多様に利用する木質資源の循環』、『積極的な製品リサイクル』を軸に、木質資源の特性を活かしたそれぞれの循環を強化させることによって、循環型社会構築への寄与と事業成長の両立を実現していきます。

 


 

(ホ)持続可能な森林資源の循環

当社は国内外に保有している約17万haの植林地や社有林を通じた森林価値の最大化を追求します。ブラジル・アムセル社の植林地をフィールドとして独自の育種・増殖技術を開発しました。ゲノム情報を利用した選抜育種や挿し木技術を活用した苗木の増殖により、アムセル社の植林地の生産性は大きく向上しています。この技術を他の森林にも展開することで単位面積当たりのCO₂固定量の増大を図り、森林経営の生産性を向上させます。

(ヘ)技術力で多種多様に利用する木質資源の循環

木質資源を利用した様々な製品を新たに開発し、社会全体でより多くのCO₂を固定することも進めます。これまでのパルプ・紙製品を中心とした活用に加え、当社技術力によってCNF「セレンピア®」・機能性素材「ミネルパ®」等のバイオマス素材の拡販及び新たなバイオマス燃料の開発にも取り組むことで、事業成長を実現するとともに木質資源を通じた炭素の循環を図ります。同時に日本製紙クレシアの長持ち製品や軽量化が可能となるCNF強化樹脂によって輸送時のCO₂発生量抑制にも繋げます。

(ト)積極的な製品リサイクル

木質資源をベースとした新製品をはじめ、これまで再資源化が困難であった未利用古紙の活用にも積極的に取り組みます。まず、普及が進んでいる紙カップ・紙パック製品の回収スキームを構築し、さらに、ワンウェイプラスチックに代わるバリア性の紙素材にも展開し、環境負荷の極小化を進めます。

 

[中期経営計画2025(2021年度~2025年度)]

2030ビジョンの前半5年間として位置付けた中期経営計画2025のテーマは『事業構造転換の加速』です。事業構造転換に不可欠な新規事業・新素材の早期戦力化及び需要動向を見据えた洋紙事業の生産体制見極めには5年という期間が必要と考え、同計画の実行期間をこれまでの3年間から5年間に変更しました。

 


 

中期経営計画2025における今後5年間は、当社グループを成長軌道に乗せるための不退転の5年間であり、成長分野の各事業においてスピード感を最重要視し、需要動向を見極めて適切な投資を進め、さらなる事業構造転換に邁進します。

(イ)テーマ及び目標

中期経営計画2025のテーマ及び目標を、以下の通り掲げました。

◆テーマ    『事業構造転換の加速』

◆目標     「売上高 1兆1,000億円」

 「営業利益 早期に400億円以上」

 「EBITDA 安定的に1,000億円」

 「D/Eレシオ 1.5倍台」

 「ROE 5.0%以上」

事業構造転換の加速には、安定的に成長投資へ資金を振り向けるためEBITDA 1,000億円が必要と考えており、そのために営業利益400億円以上を早期に達成します。

また、洋紙事業の各生産拠点に有するリソースを最大活用することで、投資効率の向上を図るとともに当社グループ従業員の技術・ノウハウも継承していきます。

(ロ)パッケージ

紙パック事業においては、四国化工機株式会社との資本業務提携を活かした国産新型充填機や新製品開発を加速させます。新型コロナウイルスによる社会変容によって高まった「高衛生」「多機能」ニーズに対して、口栓付き多機能紙容器無菌充填システム「NSATOM®」や学校給食用ストローレス紙パック「School POP®」等の拡販により対応していきます。

海外事業では、洋紙事業の収益悪化への対応が急務である豪州のOpalにおいて、シナジー効果の発現とパッケージ事業への更なるシフトを進め、中期経営計画2025期間の前半に安定的な収益基盤の確立を目指します。また、北米の日本ダイナウェーブパッケージングにおいては、ドライパルプマシン新設や抄紙機ドライエンド工程改造等の投資によるKP拡販体制の効果を最大限発揮し利益拡大を図ります。欧州の十條サーマルを始めとする他の海外拠点においても、環境配慮型製品の開発・市場投入や当社グループとの連携強化により、事業の拡大・安定化を加速させます。

(ハ)家庭紙・ヘルスケア

家庭紙・ヘルスケア事業では、2021年4月よりトイレットロールの全製品を「長持ちロール」へシフトしました。省スペース化や持ち運びの便利さだけではなく、包装フィルムや芯のゴミ減少や輸送効率向上によるCO₂削減にも寄与します。お客さまのより快適な生活を実現するための製品を数多く送り出すとともに、さらなるコスト競争力強化に努め、新たなライフスタイルを牽引する高付加価値、高収益品へのシフトを進め企業ブランドの向上を目指します。

(ニ)ケミカル

ケミカル事業では、自動車部材の軽量化ニーズや包装材料のモノマテリアル化に対応した機能性コーティング樹脂の増産対策工事が2021年9月に完了し、今後の需要増加に対応していきます。また、リチウムイオン電池や食品用途等で利用される高機能性セルロース(CMC)の設備増強も2021年12月に完了予定であり、工事効果の早期発現に向け、さらに幅広い用途で海外市場も視野に入れて、拡販を進めていきます。需要動向を見据えたタイムリーな投資の継続と研究開発リソースの拡充により、お客様のニーズに的確に応える体制も確立します。

(ホ)エネルギー・木材

2023年1月に国内最大級(75MW)のバイオマス専焼発電である勇払エネルギーセンターが稼働予定です。国の電力政策を注視しながら、カーボンニュートラル社会の構築に向けたバイオマス燃料の利用拡大を進めると共に、当社グループの持つ国産材集荷網や海外のバイオマス燃料調達機能をフル活用した燃料供給ビジネスの拡大も図ります。

(へ)新素材・新規事業

新素材・新規事業においては、CNF「セレンピア®」の量産化に向けた製造技術を確立し、事業化に目途を付けます。また、セルロースを起点とした機能性素材「ミネルパ®」さらにはバイオコンポジット等の新たな製品も幅広く世の中に提供していきます。

そのために、これら新素材の事業化戦略を担う「バイオマスマテリアル事業推進本部」を新たに設置し、研究開発本部との連携や既存事業の人材再配置を含めた開発・製造・販売体制の強化を進めます。加えて、事業化に向けた投資計画の立案のみならず、スピードアップに不可欠な共同開発企業との外部連携や行政・大学等の研究機関を交えた枠組み作りも積極的に進めます。

(ト)紙・板紙

紙・板紙事業は、少子化やデジタル化の進展に伴う構造的な需要減少が続く塗工紙の需要動向を見据え、2022年5月末をもって石巻工場N6マシンの停機を決定しました。2023年度後半を目途に家庭紙事業への展開を図ることを前提に、同工場の事業構造転換を進めます。

一方では、紙の持つリサイクル性や生分解性という特長を生かして新たなニーズを発掘し、既存設備やリソースを最大限活用することで環境に優しく豊かな暮らしに貢献する製品を創り出していきます。紙製バリア素材「シールドプラス®」や、紙だけでパッケージができるヒートシール紙「ラミナ®」に加え、生分解性樹脂とのハイブリッド型紙容器や発泡スチロールに代わる段ボールケース等の開発を進め、「紙でできることは紙で。」をテーマに様々な用途への展開を図ります。紙化を進めるそれらの新製品を、既存商流の活用やお客様と直接的にコンタクトするプロモーション活動の展開によって、より多くのお客様へ新たな価値を速やかに届ける体制を整えます。

その他の重要課題として、国内の人口減少や少子高齢化をはじめとした人材を取り巻く環境変化があります。「事業構造転換に即した人材配置」に加えて、働き甲斐や働きやすさ、女性活躍を含めたダイバーシティを推進し「従業員と企業の双方が成長していける関係の構築」、「定年延長を視野に入れた高年齢者雇用への対応」、「無事故・無災害の安全な職場づくり」など、企業の社会的責任を果たすべく、2021年度中にこれらの課題への対策を取りまとめ、2022年度以降に実行していきます。

2030ビジョンの目標達成には、中期経営計画2025期間中の成長分野伸長に加え、新素材・新製品開発の促進や的確な顧客ニーズの取り込みが不可欠です。投資活動は財務規律も十分に考慮して進めていきますが、事業構造転換の加速に必要な投資は機を逃さず行っていきます。また、資金のみならず当社グループの人材・資産を含む各リソースを成長分野に振り向けることで、グループ全体の事業価値最大化を目指した施策を実行していきます。

当社グループは、ステークホルダーへの多様な価値提供を実現し永続的に社会から必要とされる企業を目指し、グループの総合力を結集して各施策の速やかな実行により持続可能な社会の構築に貢献していきます。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。ただし、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外も存在し、それらのリスクが影響を与える可能性があります。また文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(リスク管理体制)

当社は、取締役会の監督のもと、代表取締役社長を責任者とするリスクマネジメント委員会を設置しています。当社グループの経営におけるリスク発生防止と実際にリスクが発生した場合の影響を最小限にとどめることを目的として、リスクマネジメント規程と危機対策規程を定め、平常時と緊急時の両面で対応することとしており、リスクマネジメント委員会では、当社グループのリスクを定期的に洗い出し、評価、防止対策及び発生時の対策を検討・審議し、取締役会に報告します。

 

<リスクマネジメント体制>


 

(1) 経営戦略に関する重要なリスク

① 事業構造転換・新規事業創出遅延に関するリスク

当社グループの事業の1つである洋紙事業はIoTやDX、また新型コロナウイルスによるパンデミックの影響を受けて市場縮小の傾向が続いており、生活関連事業等の成長事業への構造転換を進めています。新規事業や新製品開発に努めていますが、これらが予定通り進捗しないことにより、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。主な取り組みとしては、容器包装を中心としたプラスチック代替となる紙製品の開発、CNFをはじめとする木質バイオマスの利用拡大、成長事業への投資や人材の再配置、海外事業の拡大等になりますが、これらを計画通り進め、収益の向上に努めていきます。

 

② 海外事業リスク

当社グループは、北米・南米・北欧・東南アジア・豪州等で、紙・パルプの製造販売、植林等の海外事業展開を行っており、近年はグループとして成長していくために、より海外展開を強めています。海外における事業展開には、現地政府による法規制の変更、労働争議の発生、政情不安に伴う経済活動への影響等のリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。このため外部法律事務所と情報を共有し適切に対応することでリスクの未然防止に努めています。また豪州事業については、2020年度に買収したオローラ社を中心として国内外で進めている様々な事業と早期にシナジー効果を出すべく、フォローアップを行っています。

 

 

(2) 事業環境及び事業活動に関するリスク

① 製品需要及び市況の変動リスク

当社グループは、紙・板紙事業をはじめ、生活関連事業、エネルギー事業、木材・建材・土木建設関連事業等を行っています。これらの製品等は経済情勢等に基づく需要の変動リスク及び市況動向等に基づく製品売価の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

特に市場の縮小傾向が大きい洋紙事業については、生産体制の再構築を行い市場に見合った生産量にする取組みを行うとともに、需要増が見込まれる生活関連事業への投資等を実施しています。

 

② 原燃料価格の変動リスク

当社グループは、主としてチップ、古紙、重油、石炭、薬品などの諸原燃料を購入して製品を製造・販売する事業を行っています。そのため国際市況及び国内市況による原燃料価格の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。原料や燃料の中にはリスクヘッジのため予約購入のスキームを設定し運用する等対策をしているものもあります。

 

③ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク

当社グループは、新型コロナウイルス感染症対策事務局を設置し、グループの状況把握とともに、社員の感染防止と事業継続の観点から当社グループのガイドラインを作成し、各部門で対策を講じています。また必要に応じて対策本部の立ち上げを行う体制を準備しています。

 

④ 自然災害リスク

当社グループの生産及び販売拠点周辺で地震や大規模な自然災害が発生して生産・販売等の事業活動に影響を及ぼした場合、生産停止による機会損失、設備復旧のための費用、製品・商品・原材料等への損害などにより、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。当社グループでは、危機対策規程により緊急時には危機対策本部を立ち上げ、従業員や家族の安否確認、自社や顧客の被災状況の把握、顧客企業への供給継続のための対応を図ります。また緊急事態への対応のためBCM(事業継続マネジメント)を整備し、主要品種の生産拠点の複数化や、災害を想定した訓練等を行っています。

 

⑤ 環境関連の法規制のリスク

当社グループは、各種事業において環境関連の法規制の適用を受けており、これらの規制の変更・改正によって、生産活動が制限されたり、追加の費用が発生することにより、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。また当社グループは、製造工程等でCO₂を排出しており、カーボンプライシングがより本格的に導入されることになった場合、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。政府動向や世界情勢を見ながら、再生可能エネルギーへの燃料転換といったエネルギー構成の見直しや省エネルギー対策を進め、CO₂の削減に努めていきます。

 

⑥ 生産状況の変動リスク

当社グループは、主として需要と現有設備を勘案した見込生産を行っていますが、火災や設備のトラブルの他、原燃料調達面の支障等により生産設備の稼働率が低下した場合などに製品供給力が低下するリスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。生産設備について定期的な点検や老朽化対策工事等を行っており、原燃料調達においては安定調達のため必要に応じて長期契約や複数社・複数地域からの購買等を進めています。

 

⑦ 製造物責任に基づくリスク

当社グループは、製品について製造物責任に基づく損害賠償を請求される対象であり、現在のところ重大な損害賠償請求を受けていませんが、将来的には直面する可能性があります。製造物責任にかかる保険(生産物賠償責任保険)を付保していますが、当社グループが負う可能性がある損害賠償責任を補償するには十分でない場合があります。当社グループではグループ製品安全委員会を設置し、グループ各社の製品安全リスクの監督、支援を行うとともに、主要製造会社はそれぞれに製品安全委員会を設置し、製品安全事故の防止に努めています。

 

⑧ 人材確保及び労務関連リスク

当社グループは、人材戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しており、適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受けることにより、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、労務関連の各種コンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、訴訟や当社グループの社会的信頼喪失により、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

多様な人材の積極的な採用や育成、働き方の柔軟性・多様性を前提とした職場環境の整備等を通じて最適かつ効率的な人材の確保に努めており、2021年度より時間単位年休導入、フレックスタイム制度改訂(コアタイム撤廃)、在宅勤務制度(常設制度)の導入を実施しました。また当社グループは法令に基づく適正な労務管理などにより労務関連のリスクの低減に取り組んでおり、グループ会社の労務関係規則を確認しています。

 

⑨ 訴訟等のリスク

当社グループは、業務の遂行にあたり法令遵守などコンプライアンス経営に努めていますが、国内外の事業活動の遂行にあたり、刑事・民事・租税・独占禁止法・製造物責任法・知的財産権・環境問題・労務問題等に関連した訴訟等のリスクを負っており、その結果、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。特に環境意識の高まりにより、森林資源の使用については地域住民への配慮や生物多様性の調査等を行っています。またコンプライアンスの遵守はグループ行動憲章にも掲げており、従業員に対し周知・研修活動を通じてコンプライアンス意識の喚起を行っています。

 

⑩ 情報システムに関するリスク

当社グループは、情報システムに関するセキュリティを徹底・強化し、また急速に普及した在宅勤務環境においても十分な情報セキュリティ対策を講じておりますが、今後、コンピュータへの不正アクセスによる情報流出や犯罪行為による情報漏えい等問題が発生した場合には、損害賠償請求や当社グループの社会的信頼喪失により、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。情報セキュリティに関しては時流に合わせた従業員教育を行い、個人情報については「個人情報取扱規則」を定め、全役員、全従業員及び関係取引先への周知をはかるなど、管理体制を強化しています。

 

⑪ 為替レートの変動リスク

当社グループは、輸出入取引等について為替変動リスクを負っています。輸出入の収支は、チップ、重油、石炭、薬品などの諸原燃料等の輸入が、製品等の輸出を上回っており、主として米ドルに対して円安が生じた場合には経営成績にマイナスの影響を及ぼします。なお当社グループは、為替変動による経営成績への影響を軽減することを目的として、為替予約等を利用したリスクヘッジを実施しています。

 

⑫ M&Aや業務提携に関するリスク

当社グループは、新たな事業機会の創出により持続的成長を実現するため、M&Aや業務提携等を行うことがあります。これらの実施にあたっては、事前に事業戦略や相乗効果を十分吟味のうえ実施を決定し、実施後は、最大の効果が得られるよう経営努力をしています。しかし、事業環境等の変化により、当初期待した成果をあげられない場合には、経営成績や財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

(3) 財務・会計リスク

① 株価の変動リスク

当社グループは、取引先や関連会社等を中心に市場性のある株式を保有しており、株価の変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。このため保有株式の定期的な株価のモニタリングを行うことにより、財政状態に重要な影響を及ぼす可能性を察知しています。

 

② 金利の変動リスク

当社グループは、有利子負債などについて金利の変動リスクを負っており、その変動により経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。当社では、長期借入金の固定金利借入の比率を一定水準以上に保っています。また、返済年限の分散化、調達の多様化に加えて金利スワップなどの金融商品を利用すること等により、金利変動リスクへの対応を行っています。

 

③ 信用リスク

当社グループは、与信管理規程に従い取引先の財務情報等を継続的に評価し、与信限度を設定するなど信用リスクに備えていますが、経営の悪化や破綻等により債権回収に支障をきたすなどの事象が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

④ 固定資産の減損リスク

当社グループは、生産設備や土地をはじめとする固定資産を保有しています。事業環境等の変化により当該資産から得られる将来キャッシュ・フローが著しく減少した場合、減損損失が発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 退職給付債務に関するリスク

当社グループの退職給付費用及び債務は、年金資産の運用収益率や割引率等の数理計算上の前提に基づいて算出していますが、数理計算上の前提を変更する必要が生じた場合や株式市場の低迷等により年金資産が毀損した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 繰延税金資産の取崩しリスク

当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しています。しかし、事業環境等の変化による課税所得の減少や税制改正等により回収可能性を見直した結果、繰延税金資産の取崩しが発生し、経営成績及び財政状態等に影響を与える可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

当期のわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により景気は極めて厳しい状況にあります。先行きにつきましても、各種政策の効果により持ち直しに向かうことが期待される一方、新型コロナウイルス感染症の収束時期が見通せず不透明な状況にあります。

当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響は、特に上半期を中心に広告需要が低迷したため、新聞用紙・印刷用紙の販売が大きく減少しました。今後、これらのグラフィック用紙の需要は以前の状況には戻らないと想定しており、引き続き事業構造転換を迅速に進めていきます。

当期の当社グループは、第6次中期経営計画(2018年5月28日発表)の最終年度として、洋紙事業の生産体制再編成効果の発現や、豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業の譲受けによる、原紙から段ボール製品までの一貫体制の構築、家庭紙生産設備の稼働、釧路工場の紙・パルプ事業撤退の決定など、洋紙事業の競争力強化を図りつつ事業構造転換を着実に前進させました。

連結業績につきましては、第1四半期において主に新聞用紙・印刷用紙の需要が大幅に落ち込んだ影響や、豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業の譲受けに係る印紙税など一過性の取得関連費用6,053百万円を計上したことなどにより、前期と比べ減収減益となりました。結果は以下のとおりです。

 

連結売上高

1,007,339百万円

(前期比 3.5%減)

連結営業利益

19,233百万円

(前期比 45.1%減)

連結経常利益

12,276百万円

(前期比 59.8%減)

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,196百万円

(前期比 77.5%減)

 

 

各セグメントの経営成績は、以下のとおりです。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較につきましては、前期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較しています。

 

(紙・板紙事業)

売上高

568,255百万円

(前期比 12.1%減)

営業利益

2,482百万円

(前期比 59.6%減)

 

新聞用紙は、発行部数減少に加えイベントの中止などにより頁数が減少し、国内販売数量は前期を大きく下回りました。印刷用紙は、経済活動の停滞に伴い広告需要が低迷し、国内販売数量は前期を大きく下回りました。なお新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込みは、6月以降緩やかに回復を続けています。

板紙は、巣ごもり需要による通販・宅配・加工食品向けなどは堅調に推移したものの、世界経済の停滞を背景とした工業製品向けの減少に加え、外出自粛による一般消費の需要が低迷し、国内販売数量は前期をわずかながら下回りました。

 

(生活関連事業)

売上高

317,918百万円

(前期比 17.6%増)

営業利益

7,898百万円

(前期比 39.0%減)

 

家庭紙は、ティシューペーパーなどの需要は減少しましたが、2020年10月に特種東海製紙株式会社の100%子会社である株式会社トライフと営業統合を行った効果や、感染予防のためのハンドタオルなどの販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は前期並となりました。また当社子会社のクレシア春日株式会社にて2020年5月に家庭紙第二抄紙機を稼働させ、「長持ちロール」製品の供給体制の充実を図りました。2021年4月以降にはすべてのトイレットロールを「長持ちロール」製品にシフトし、輸送効率アップによるCO₂排出量の削減や包装資源の削減、ご家庭での収納スペースの削減などに貢献していきます。

液体用紙容器は、学校給食再開による給食牛乳向け容器の回復や新充填機設置・新容器上市による拡販、家庭用の牛乳向け容器の需要が引き続き堅調であることなどにより、販売数量は前期を上回りました。

溶解パルプ(DP)は、中国などの海外需要低迷を受け販売数量は前期を下回りました。化成品は、自動車産業の回復に伴い、機能性コーティング樹脂やリチウムイオン電池用途向け機能性セルロース(CMC)で需要が回復しているものの、上半期の低迷の影響が大きく販売数量は前期を下回りました。機能性フィルムは、在宅勤務やオンライン教育用のモバイル端末用途が堅調で販売数量は前期を上回りました。

海外事業は、「オローラ社 豪州・ニュージーランド事業の板紙パッケージ部門譲受け」について、2020年4月30日付で対象事業の譲受けが完了しました。その結果、売上高は前期を上回りました。

 

(エネルギー事業)

売上高

33,407百万円

(前期比 1.2%増)

営業利益

6,876百万円

(前期比 1.2%増)

 

エネルギー事業は、発電設備の運転日数が増加した影響などにより売上高は増加しました。

 

(木材・建材・土木建設関連事業)

売上高

59,917百万円

(前期比 2.8%減)

営業利益

6,499百万円

(前期比 10.1%増)

 

木材・建材は、新設住宅着工戸数が弱含みで推移し、製材品などの販売数量は前期を下回りました。

 

(その他)

売上高

27,840百万円

(前期比 13.9%減)

営業利益

1,887百万円

(前期比 33.7%減)

 

 

(2) 財政状態

総資産は、前連結会計年度末の1,363,469百万円から183,857百万円増加し、1,547,326百万円となりました。この主な要因は、豪州・ニュージーランドでの板紙パッケージ事業譲受けにより資産が増加したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末の976,892百万円から145,712百万円増加し、1,122,605百万円となりました。この主な要因は、上記事業譲受けのための資金借入を行ったことのほか、繰延税金負債が14,328百万円増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末の386,577百万円から38,144百万円増加し、424,721百万円となりました。この主な要因は、その他包括利益累計額が39,308百万円増加したことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、69,698百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,852百万円増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得た資金は、前連結会計年度に比べ17,160百万円増加し、84,197百万円となりました。この主な内訳は、税金等調整前当期純利益10,657百万円、減価償却費63,357百万円、運転資金の増減(売上債権、たな卸資産及び仕入債務の増減合計額)による収入10,198百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ112,831百万円増加し、182,945百万円となりました。この主な内訳は、事業譲受けによる支出131,141百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動においては、前連結会計年度は7,397百万円の資金を使用したのに対し、当連結会計年度は113,696百万円の資金を得ました。この主な内訳は、有利子負債の増加による収入と、配当金の支払による支出です。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料や燃料購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用です。また設備投資資金の主なものは、新規事業への投融資及び設備投資、既存事業の収益向上や操業安定化等を目的としたものです。
 今後も引き続き成長分野や新規事業へ積極的に投資を行っていく予定であり、その必要資金については、自己資金と外部調達との適切なバランスを検討しながら調達していきます。
 なお、長期借入金、社債等の長期の資金調達については、事業計画に基づく資金需要や既存借入の返済時期、金利動向等を考慮し、調達規模や調達手段を適宜判断し、キャッシュ・マネジメント・システム(CMS)により当社グループ内での余剰資金の有効活用を図り、有利子負債の圧縮や金利負担の軽減に努めています。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

(6) 生産、受注及び販売の状況

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前期比(%)

紙・板紙事業

金額(百万円)

434,821

△16.6

生活関連事業

金額(百万円)

271,918

25.8

エネルギー事業

金額(百万円)

33,407

1.2

合計

金額(百万円)

747,316

△4.0

 

(注)1.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年比の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

   2.木材・建材・土木建設関連事業、その他は、生産高が僅少であるため、記載を省略しています。

 

 ② 受注実績

  当社グループは主として需要と現有設備を勘案した見込生産のため、記載を省略しています。

 

 

 ③ 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前期比(%)

紙・板紙事業

金額(百万円)

568,255

△12.1

生活関連事業

金額(百万円)

317,918

17.6

エネルギー事業

金額(百万円)

33,407

1.2

木材・建材・土木建設関連事業

金額(百万円)

59,917

△2.8

その他

金額(百万円)

27,840

△13.9

合計

金額(百万円)

1,007,339

△3.5

 

(注)1.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年比の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しています。

   2.セグメント間取引については、相殺消去しています。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。

4.上記の金額には消費税等は含まれていません。

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1) 資金調達契約

当社グループは2020年4月30日付で「オローラ社 豪州・ニュージーランド事業の板紙パッケージ部門譲受け」を完了しましたが、この譲受けのために調達した借入金の返済資金の一部に充当することを目的として、2020年5月25日にハイブリッドローンによる資金調達の契約を締結しました。また2020年8月28日に株式会社国際協力銀行と資金調達の契約を締結しました。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 企業結合等関係」をご参照ください。

 

(2) 株式譲渡契約

当社及び子会社は、日伯紙パルプ資源開発株式会社の全保有株式を譲渡する旨の「自己株式取得に関する契約」について2020年11月5日開催の取締役会にて決議し、同年11月12日付で契約の締結を行い、同年12月25日付で株式譲渡を完了しました。

① 当社及び子会社が譲渡する投資有価証券

当社及び子会社が保有する日伯紙パルプ資源開発株式会社全株式

② 投資有価証券売却益

85億円

③ 譲渡先

日伯紙パルプ資源開発株式会社

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループでは、「総合バイオマス企業」への事業構造転換、基盤事業の競争力強化のため、新規事業の早期創出とパッケージ事業、家庭紙・ヘルスケア事業、ケミカル事業やエネルギー・木材事業等の成長分野の拡大、洋紙・板紙の収益力向上に貢献する研究開発のスピードアップを図りながら進めています。今後、グループ内の研究資源を最大限に活用し、社内外との連携を密にしてオープンイノベーション等を推進して研究開発を進めていきます。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費は、6,217百万円(人件費を含む)であり、各事業部門別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は以下のとおりです。

 

(1) 紙・板紙事業

 国内市場の成熟化と海外市場の成長、深刻化する地球環境問題等の様々な課題に対峙するため、基盤技術研究所、CNF研究所及びパッケージング研究所が中心となり、以下のような取り組みを行っています。当事業に係る研究開発費は4,117百万円です。

① 植林事業に関する技術開発

 事業活動の基幹となる原材料確保のため、自社植林木の生産性向上を目指し、技術開発を積極的に進めています。特にブラジルにおいては、ユーカリの育種と植林地の管理技術向上により、単位面積当たりの収穫量は年々増加しています。さらなる生産性向上を目指し、DNAマーカー選抜を始めとする最新技術の導入も推進しています。また、国内においては、森林資源が豊富で、スギが多く利用されている九州地区の再造林に向け、成長に優れ、花粉量が少ないスギ特定母樹からの挿し木苗生産を開始しました。特定母樹の苗木生産の取組みは全国展開を推進しています。国内外における森林資源の充実は大気中のCO₂固定量増加に対しても貢献しています。

② 品質とコストの更なる改善

 洋紙及び板紙の競争力強化のため、新製品開発や需要家のニーズに応えた品質改善を継続します。また、製造工程の操業性改善をより効率的に行うために、生産現場とより密接に連携を図りながら品質向上とコストダウンの技術開発を迅速に進めています。

 収益改善に資する技術開発として、安価材料の利用技術の開発、自製填料の高度利用技術の開発等の独自技術開発も推進しています。

③ 将来に資する技術開発等

 「総合バイオマス企業」としての新規事業創出については、木材をベースとした新素材、パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料の開発やセルロースナノファイバー、バイオリファイナリー等に関する研究開発に取り組んでいます。

 新素材としては、無機物の特徴・特性を備えた機能性材料ミネラルハイブリッドファイバー(ミネルパ®)を2018年10月に設置した実証生産設備(富士)による事業化に向けた本格的なサンプル供給を行い、さらなる用途開発を推進し、商品化を進めています。2020年度は「消臭抗菌」の機能にて、他社からの採用を得られました。

 木材を原料とする養牛向けの高消化性セルロース(元気森森®、にんじん森森®)については、民間の牧場で乳牛の乳量増加効果、繁殖成績の向上に加え、和牛の繁殖用母牛でも健康増進効果が確認され始めました。現在、牧場への有償サンプルワークを展開しています。

 パッケージ等のプラスチック代替新規紙材料については、顔料やバインダーを主成分とする塗料を塗工する当社の独自技術を応用し、酸素、水蒸気に対して従来にない優れたバリア性を持った紙製包装材料として開発・販売した「シールドプラス®」が規格袋や食品用包装、カップ等に採用されています。2020年度にはグラビア印刷に適した銘柄の追加やバリアの耐屈曲性を向上したリニューアル品「シールドプラスⅡ」の販売も開始し、さらなる用途展開を図っていきます。また、環境配慮型包材として、シールドプラスと生分解性樹脂を組み合わせた包装材を共同開発し、高バイオマス・高生分解性を実現しました。さらに、「シールドプラス®」を基材とし、最新フレキソ印刷機による高品質な印刷とヒートシール塗工を1パス加工することで実現したバリアヒートシール塗工紙「フレパックONE」を共同開発しました。環境対応が求められる包装市場における新たな環境配慮型包装材として、食品包装を中心に国内外への提案を進めています。また、防水性、防湿性、防油性を有し、かつリサイクルが可能な多機能段ボール原紙「防水ライナ」を開発しました。「防水ライナ」を用いて製造した段ボールケースは防水性等を活かし、箱の形状を工夫することで、発泡スチロールと同様に氷詰めした水産・青果物の輸送を可能にしました。現在、ユーザーへの展開を進めています。

 

 プラスチック使用量削減については、耐熱性・粉砕性・疎水性に優れた木質バイオマス材料を樹脂に高配合したトレファイドバイオコンポジットを開発しました。トレファイドバイオコンポジットはプラスチック使用量を5割以上削減できるとともに、温室効果ガス削減にも寄与します。建材や食品容器等の様々な分野への利用が期待できます。

 セルロースナノファイバー(セレンピア®)については、2017年度に設置した量産設備(石巻、江津)及び実証生産設備(富士)の稼働により、用途に応じたCNF製造技術と本格的な供給体制を確立し、CNFの市場創出を推進しています。化粧品や食品用途分野で採用が大幅に増えています。また、金属イオンを担持させた変性セルロースを用いて抗ウイルス性を有した不織布や印刷用紙等の製品開発を行っています。

 熱可塑性樹脂中にCNFを強化剤として均一分散・配合するCNF強化樹脂は実証生産設備(富士)によるサンプルワークを進め、自動車部品や住設機器の部材用への採用を目指し、研究開発を実施中です。

 NEDOプロジェクトへの参画も積極的に展開し、CNF配合タイヤの開発とCNF強化樹脂開発の案件で助成事業に採択され、研究開発のさらなる加速を目指します。

 バイオリファイナリーについては、引き続きセルロース、リグニン等の木材成分の高度利用技術の開発を推進しており、共同開発を進めている「クラフトリグニンのアスファルト利用に関する研究」がNEDO戦略的省エネルギー革新プロジェクトに採択されました。

 

(2) 生活関連事業

 液体用紙容器については当社が、各種化成品については当社及び株式会社フローリックが中心となって研究開発を行っています。当事業に係る研究開発費は2,028百万円です。
 液体用紙容器の分野については、NPパックではライセンス製品である「Pure-Pak® Sense」カートンに大型口栓を付与した新容器を大手乳業、飲料メーカーに販売開始しました。また、ストローレス対応学校給食用紙パック「School POP®」が採用されました。さらに、固形物入り飲料が充填可能な新アセプティック充填システム「NSATOM®(えぬえすアトム)」の最終検証を終え、客先への充填機導入を推進しています。非飲料分野の取り組みとして、2019年に開発した差し替え式の紙容器「SPOPS®」の消毒剤用特別仕様「SPOPS® Hygiene」を開発しました。引き続き環境と衛生性、ユニバーサルデザインに配慮した製品及びシステム(充填機等)の開発を推進していきます。

 化成品の分野につきましては、自動車プラスチック部材用プライマー、インキ添加剤等の機能性コーティング樹脂及び合成系水溶性高分子等の機能性化成品の新製品開発を行い、製品化しました。機能性フィルムではスマートフォン、タブレット端末等の中小型ディスプレー用途や車載ディスプレー用途のハードコートフィルムを開発し、製品化しました。さらに、クリーン精密塗工及びハードコート技術を応用した新製品開発に取り組みました。

 

(3) エネルギー事業

 エネルギー事業に係る技術開発として、木質バイオマスを半炭化(トレファクション)して得られる新規固形燃料について事業化を検討しています。また、紙の製造工程で発生する廃棄物を使用した燃料の利用も検討しています。さらに、当事業のCO₂削減も検討しています。当事業に係る研究開発費は45百万円です。

 

(4) 木材・建材・土木建設関連事業

該当事項はありません。

 

(5) その他

金額が僅少であるため、記載を省略しています。