第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 ①経営成績

当社グループは「ヘルスケアの産業化」をビジョンに掲げ、あらゆるステークホルダーと連携しながら、地域社会における医療・介護という社会インフラを守ると共に企業の継続的成長の維持と企業価値の増大に努めております。

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により緩やかな回復基調が続いております。一方で、米国の通商政策の影響や、物価上昇の長期化が消費者マインドを下押しうることなどが、先行きの下振れリスクとして残存しております。このため、景気の見通しには依然として不透明感が拭えない状況となりました。

 当社グループが事業を展開する医療・介護業界においては、資源価格や為替の変動に伴う物価上昇に加え、慢性的な人手不足による人件費の高騰、医師を中心とした働き方改革への対応負担が重なり、厳しい事業環境が長期化しております。さらに、賃上げ拡大の動きがコスト負担を一層高めており、業界全体としては今後も動向を注視すべき局面が続いております。

 このような経済環境の中、当社グループは、持続的な成長の実現に向けた事業基盤の強化と価値創出を図るべく、「仲間づくり」を基本方針の一つとして位置づけ、以下の施策を推進しております。

 

ⅰ)医療経営総合支援事業の展開強化

 当社は、医療経営総合支援事業において、医療・介護領域を中心としたマーケティング支援・営業支援に強みを持つ株式会社ゼロメディカルの全株式を取得し、完全子会社化いたしました。ゼロメディカル社は、主に医療機関や介護施設向けに専門性の高い支援サービスを提供しており、当社グループにおける新規顧客獲得の加速、提携医療法人の集患力の向上、高齢者施設における入居者数の増加等に向け連携を強化しております。

 また、当社は、2025年6月5日の取締役会にて、医療・介護業界向けに特化したHRテック領域でのDXソリューションを展開する株式会社エピグノの株式を7月1日付で取得することを決議いたしました。エピグノ社は、スタッフのスキルやモチベーションを可視化する「エピタルHR」や、AIを活用した業務調整支援ツール「エピタク」など、全国10,000名を超える医療・介護事業者に提供しています。これにより、当社グループは、医療現場の採用難、適切な配置、働き方改革といった現場の抱える人材面の課題の解決に向け一層取り組みを強化してまいります。

 

ⅱ)シニア関連事業におけるサービス領域の拡充

 当社は、当中間連結会計期間において、訪問看護事業を展開する株式会社メディステップの株式を取得し連結子会社化いたしました。当社の連結子会社である株式会社あいらいふは、第1四半期連結会計期間末にグループインしたGplus株式会社と連携し、住宅・施設の選定から介護相談、資産の売却・運用までをワンストップで支援しております。ここに、新たに訪問看護や居宅介護支援事業の在宅介護サービスを展開するメディステップ社が連携することで、高齢者の住環境を包括的にサポートする体制を強化してまいります。

 

 

ⅲ)成長投資と戦略的M&Aの推進

 将来にわたる事業成長を支える基盤として、積極的な人材採用による体制強化、ならびに医療現場の業務効率化に資するシステム開発を推進しております。併せて、企業価値の最大化を目的とした戦略的M&Aにも継続的に取り組み、グループ全体のシナジー創出と競争力向上を図ってまいります。

 

ⅳ)業務提携

 医療・介護業界が抱える人材不足、採用難といった人事的社会課題の解決に向け、2025年7月15日開催の取締役会において、株式会社ツナググループ・ホールディングスとの間で、戦略的業務提携契約を締結することを決議し、8月1日より協業を開始しております。医療・介護従事者の採用コストの上昇、採用競争力の低下、早期退職など、医療機関や介護施設が抱えている山積した人事課題の解決に向け、ソリューションの拡充及び新規サービスの確立などのシナジー創出を図ってまいります。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高10,520,969千円(前年同期比11.7%増)営業利益1,134,716千円(前年同期比6.9%増)経常利益981,021千円(前年同期比40.2%減)親会社株主に帰属する中間純利益は823,612千円(前年同期比25.4%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

 

(医療経営総合支援事業)

医療経営総合支援事業においては、福祉医療機構(WAM)による融資枠拡大に伴って経営改善検討の先送りなどが重なり、複数の医療法人との交渉は進行中であるものの、第2四半期時点においては提携医療法人数は横ばいとなりました。しかしながら、既存の提携医療法人への継続支援に加え、第1四半期連結会計期間末に新たに提携した2病院への本格支援が立ち上がったことで、継続的な収益基盤は拡大しております。加えて、提携外の医療法人へのコンサルティングサービスでは、500床超の大規模病院案件の複数受注と地域の中核となる公的病院へのコンサルティング案件の受注が決定しました。これらの案件に係る売上計上は第3四半期以降に順次発生する予定となります。一方、一部取引において収益認識のタイミングが翌四半期以降に移行した影響により、当中間連結会計期間売上には期ズレによる軽微な押し下げが生じましたが、収益全体としては概ね安定した水準を維持しております。

また、経営支援体制を一層強化するため積極的な人材採用への投資を継続しております。加えて、生成AIヘルスケアエージェントの開発および提供を行っているHippocratic AI, Inc.と共に日本語での対話が可能な、医療行為の範囲外の患者対応業務に特化した対話型生成AIヘルスケアエージェントの開発、医療機関の慢性的な人材不足に対応する病院向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業の開始など事業領域の拡大に向けた投資を実行しております。これらの影響により、人件費およびDX関連を中心に先行投資的な費用が増加しております。なお、当中間連結会計期間に株式会社ゼロメディカルを完全子会社化しておりますが、同社の収益寄与は第3四半期以降となる見込みです。

上記Hippocratic AI, Inc.との共同開発費用について、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報)」においては、幅広い分野でのサービス提供の可能性を検討しており、現段階においては全社的な新規事業として位置づけ、セグメント利益の調整額に含めて表示しております。

 

以上の結果、売上高は3,059,247千円(前年同期比1.9%増)セグメント利益は1,299,983千円(前年同期比6.4%増)となりました。

 

 

(シニア関連事業)

シニア関連事業においては、介護施設の入居相談・紹介事業及び運営事業のいずれにおいても、売上高は堅調に推移いたしました。入居相談・紹介事業では、前連結会計年度に引き続き、入居相談員の新規採用を継続し、相談対応力の強化と入居斡旋件数の増加に取り組んでおります。

運営事業につきましては、2025年4月1日付で株式会社JALUXトラストよりサービス付き高齢者向け住宅及びデイサービス事業を譲り受け、当中間連結会計期間より収益計上を開始しております。現在はPMIフェーズとして、運営体制の刷新・DX化やバックオフィス機能の統合などシナジー創出に向けた戦略的投資を段階的に実行中です。なお、人件費・物価の高騰は全施設で運営コストを押し上げているものの、これら構造的なコスト増を吸収しつつ収益性を向上させるべく、運営コストの適正化と入居促進プロモーションへの投資を並行して進めており、2024年と2025年に事業譲受した新規ホーム2件(クラーチ・ファミリア西新宿、ソルシアス佐倉)を除く既存ホーム11施設における入居率は92.9%と順調に上昇基調にあります。また、2024年4月1日より事業を開始している「クラーチ・ファミリア西新宿」については、入居者数及び稼働率は計画通り増加・上昇しておりますが、損益分岐点を超えるまでに今しばらくの時間を要する見込みです。これに加え、上半期は入居者数増加に一層取り組んだため、紹介手数料(費用)が大きく増加しており、前年同期比におけるセグメント利益は一次的に減少しております。

入居相談・紹介事業は、第2四半期での入居斡旋件数が前年同期比で5.3%増の伸びに留まり、期初に想定していた10~15%程度の増加ペースには届かない結果となりました。その要因としては、昨年来よりの採用人員の戦力化までに想定よりも時間を要していることが挙げられます。ただし、例年の傾向から第4四半期に向けては入居斡旋件数が増加していく想定となります。不動産関連サービスについては、物件の仕入れは順調であるものの、仕入れから販売までには一定の時間を要する為、当中間連結会計期間での業績寄与は限定的となります。

なお、当中間連結会計期間に株式会社メディステップを連結子会社化しておりますが、同社の収益寄与は第3四半期以降となる見込みです。

以上の結果、売上高は3,690,749千円(前年同期比11.8%増)セグメント利益は187,401千円(前年同期比38.4%減)となりました。

 

(高度管理医療機器事業)

高度管理医療機器事業においては、主軸のコンタクトレンズ事業でのクリアレンズの主力商品の販売好調に加え、カラーコンタクトレンズ販売事業を譲受するなど、収益伸長を継続しております。

以上の結果、売上高は3,551,502千円(前年同期比14.9%増)セグメント利益は275,972千円(前年同期比51.3%増)となりました。

 

(その他)

その他事業においては、治療経過データの解析及び製薬企業向け営業支援サービスにおいて、製薬企業からの受注拡大を目的とした積極的な営業活動を展開いたしました。その結果、大型案件の受注が決定し、一部収益が第2四半期へ計上されております。

脳ドックを中心とした予防医療分野では、未稼働時間の多いMRI装置などの高度医療機器の稼働率向上に加え、そこで蓄積された検査データの解析を通じて脳疾患の予測・予防に資する取り組みを推進しております。当中間連結会計期間には、複数の大手企業にサービス導入が進んだことで脳ドックの検査数が順調に増加したほか、脳ドック受診者のMRI撮像画像をAIが解析し、脳の健康状態を評価したレポートを提供する新たなサービスを開始するなどユーザーニーズに沿ったサービスラインナップの拡充にも努めております。

以上の結果、売上高は219,469千円(前年同期比937.7%増)セグメント利益は41,055千円(前年同期は87,103千円の損失)となりました。

 

 

 ②財政状態

当社の当中間連結会計期間末の財政状態の状況は次のとおりです。

 

(資産の部)

当中間連結会計期間末の流動資産は、前連結会計年度末と比較して1,173,961千円減少し、22,964,967千円となりました。これは、主として未払法人税等の納付や買掛金の支払い等により現預金が2,970,265千円減少した一方で、有価証券が500,018千円、商品が402,842千円、受取手形及び売掛金が382,933千円増加したことによります。

当中間連結会計期間末の固定資産は、前連結会計年度末と比較して2,245,237千円増加し、38,254,678千円となりました。これは、主に、M&Aに伴いのれんが1,100,428千円増加したことや、投資有価証券の増加により投資その他の資産が762,490千円増加したこと、提携医療法人の不動産取得等により建物及び構築物が499,855千円増加したことによります。

この結果、当中間連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末と比較して1,071,276千円増加し、61,219,646千円となりました。

 

(負債の部)

当中間連結会計期間末の流動負債は、前連結会計年度末と比較して1,303,956千円減少し、10,523,040千円となりました。これは、主に1年以内返済予定の長期借入金が2,015,336千円、買掛金が547,474千円、未払法人税等が522,952千円それぞれ減少した一方、運転資金として調達した短期借入金が1,645,749千円増加したことによります。

当中間連結会計期間末の固定負債は、前連結会計年度末と比較して1,585,662千円増加し、30,955,822千円となりました。これは、主に長期借入金が1,514,944千円増加したことによります。

この結果、当中間連結会計期間末の負債合計は前連結会計年度末と比較して281,706千円増加し、41,478,863千円となりました。

(純資産の部)

純資産は、前連結会計年度末と比較して789,570千円増加し、19,740,782千円となりました。これは、主に利益剰余金の増加539,147千円によるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは1,648,231千円減少、投資活動によるキャッシュ・フローは2,408,713千円減少、財務活動によるキャッシュ・フローは856,148千円増加、これに現金及び現金同等物に係る換算差額等を加えた全体で3,214,914千円の減少となり、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額244,227千円を加味した結果、当中間連結会計期間末における資金残高は8,169,112千円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間において営業活動により減少した資金は1,648,231千円(前年同期比2,067,151千円支出増)となりました。これは主に、営業貸付金の増加861,683千円、法人税等の支払額884,976千円による資金の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動により減少した資金は2,408,713千円(前年同期比2,082,905千円支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出323,738千円や、事業譲受による支出199,220千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出728,755千円、投資有価証券(投資その他の資産「その他」)の取得による支出649,042千円によるものです。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動により増加した資金は856,148千円(前年同期比380,912千円支出増)となりました。これは主に、短期借入金の増加1,598,749千円、長期借入れによる収入1,288,000千円による増加の一方で、長期借入金の返済による支出1,997,660千円によるものであります。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

医療総合支援事業においては、病院と患者のコミュニケーションを支援する「ユカリアメルジュ」をはじめとする医療従事者の業務負荷軽減DXツールの開発を進めてまいりました。この開発活動の結果、当事業における研究開発費は48,114千円となりました。

また、全社的な取り組みとして、Hippocratic AI, Inc.との資本業務提携契約を締結し、診断を伴わずに患者と対話する生成AIヘルスケアエージェントの開発などに着手しており、これらの研究開発費は41,314千円となっております。

以上の結果、当中間連結会計期間における研究開発費の総額は89,428千円となりました。

 

(6) 主要な設備

当中間連結会計期間において、当社グループの主要な設備に重要な変更はありません。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

(スマートスキャン株式会社の吸収合併)

当社は、2025年6月16日開催の取締役会において、当社を存続会社、連結子会社であるスマートスキャン株式会社を

消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、2025年8月1日付で吸収合併いたしました。

 詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載の通りです。

 

(株式会社ゼロメディカルの株式取得)

 当社は、2025年4月25日開催の取締役会において、株式会社ゼロメディカルの全株式を取得し完全子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました

 詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載の通りです。

 

(株式会社メディステップの株式取得)

 当社は、2025年5月15日開催の取締役会において、株式会社メディステップの株式を取得し子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載の通りです。

 

(株式会社エピグノの株式取得)

 当社は、2025年6月5日開催の取締役会において、株式会社エピグノの株式を取得し子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。

 詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」に記載の通りです。