当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念、行動指針
当社グループでは以下のとおり、「アルピコグループ経営理念」、「アルピコグループ行動指針」を定めております。
① アルピコグループ経営理念
アルピコグループは、信州に暮らす人々とその素晴らしい自然環境を愛し
「安全・安心」「便利」「快適」「楽しさ・ときめき」
「知識」の提供を通じて豊かな地域社会の実現に貢献します。
② アルピコグループ行動指針
アルピコグループの宝は地域のお客様からの信頼です。
私たちはお客様の満足でNo.1を目指し、誠実に行動します。
ワードマークは、ALPICOの文字の中に、信州の山々で見ることのできる、山の稜線から昇る日の出の輝きと、それを受けて輝く山肌(残雪)をデザイン開発のイメージとして作成されたもので、しっかりとした全体のフォルムから、ダイナミックに事業展開を行うパワーと、アルピコグループのスケール感を表現しました。
また、ひと塊となったALPICOの文字によって構成されるグループシグネチャーは、グループとしての結束・融合を表現し、その中にある輝きは、グループとしての求心力と希望を表すものとなっています。
ワードマークに展開使用される色は、信州の自然をイメージしたアルピコブルーを採用することによって、安らぎ(安心感・安定感)と雄大なスケール感を表現すると共に、人に優しく、地域に密着したグループであることを、さらに強調します。
(2) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長期経営方針として「ALPICO VISION 2035」を掲げ、ビジョンの実現に向けた具体的経営計画を「中期経営計画 2024-2026」として策定しております。
長期ビジョンでは、2035年のありたい姿を「『楽しさ・ときめき』を創出し、付加価値を高めることで、持続的な地域の発展に貢献している企業グループ」としております。
「中期経営計画 2024-2026」では以下の4つの事業戦略を実施してまいります。
①「M&Aの推進」「事業エリアの深耕・拡大」「新規事業の創出」による成長の加速
②柔軟で適応力のある組織を築(つく)るため各種取り組みの展開
③持続的な価値創造の最重要基盤である人材への投資を強化
④地域に根差す企業グループとして、持続可能な社会実現に貢献
以上の事業戦略に基づき、経営環境や対処すべき課題に対して事業毎に以下の具体的取り組みを行ってまいります。
①流通事業
スーパーマーケット事業を取り巻く環境は、物価高により消費者は節約志向を強めており今後も低価格志向が高まるものと想定され、ドラッグストアの出店攻勢等業態を超えた価格競争も激化しております。これらの課題に対処すべく、消費者の節約志向の高まりに備え「価格政策を強化」し来店客数の増加を図る一方で、高付加価値商品の開発を推し進め「独自化」「差別化」を高める戦略を進めてまいります。具体的には、以下の3つ課題に対処してまいります。
「人口構造の変化への対応」として、店舗フォーマットの見直しとチャネル展開によりさまざまな角度で商品提供を行ってまいります。
「ライフスタイルと価値観の変化への対応」では、節約志向に対応する品揃え対応と、豊かさを創造する商品展開を進めてまいります。
「DXを始めとするイノベーションの加速」では、IoTや生成AIなどを用いた業務の省人化、デジタルツールを活用した作業の省力化に取り組んでまいります。
②運輸事業
運輸事業を取り巻く環境は、2023年5月に新型コロナウイルス感染症(以下「新型感染症」といいます。)が5類感染症へ移行したことに伴い、旅行需要の回復・増進が顕著に見られ長野県内においても観光地を中心に旅客輸送人員が増加しております。一方で、燃料費の高騰や原材料費の値上げが続くなど厳しい経営環境が継続しており、また、2024年4月より新たな時間外労働の上限規制が適用されるなど、労働力確保が一層厳しさを増しております。
これらの課題に対処すべく、バス事業においては、乗務員の不足や季節的繁閑の差を埋めるため、行政と連携した公設民営路線バスの拡大、上高地や白馬などの季節繁閑が大きいエリアにおいては協力会社の活用、また、車両・人員リソースの最適化を図ってまいります。
また、タクシー事業においては、お客様のタクシー需要に迅速・確実にお応えすべく、事業エリア内全てにおいて、ニーズのある時間・場所にて最大稼働するための乗務員の勤務シフトの変動化とエリア間での相互応援勤務を推進してまいります。
③観光事業及び不動産事業
観光事業であるホテル・旅館事業を取り巻く環境は、新型感染症の影響がほぼ解消されたことや、インバウンドの堅調な増加を主な要因に、需要の回復が進んでおります。一方、深刻な人手不足、エネルギー・原材料価格・物流費の上昇等の課題も継続しております。
これらの課題に対処すべく、収益性と効率性の双方を高める事業運営を目指し、既存施設の改装による差別化と高付加価値化、伸長が続くインバウンド需要の戦略的な取込み、バック部門に加えサービス部門におけるITツールの導入、海外人財の採用やエンゲージメント向上施策等に積極的に取組んでまいります。
不動産事業である別荘管理事業を取り巻く環境は、働き方の多様化による二地域居住需要の拡大、新型感染症拡大を契機とするリモートワークの普及、及び蓼科・八ヶ岳地域のエリアとしての魅力向上などにより別荘保有や居住への関心が高まり堅調に推移しました。一方、インフラの老朽化、顧客層の高齢化が進むほか、建築コストの増大など事業上のリスクと課題は引き続き大きいものと認識しております。
これらの課題に対処すべく、維持更新投資の計画的な実行、新たな顧客ニーズの開拓と提案、別荘生活の魅力発信等に取り組んでまいります。
④その他のサービス事業
保険代理店事業においては、営業体制強化のため営業部門の分業化と専門化を図り効率的・効果的な販売体制の実現を目指すと共に、お客様に今まで以上の「安全・安心」な商品・サービスを提供し続けるよう努めてまいります。
(1)ガバナンス
2019年度の台風19号や「令和3年8月豪雨」等の大規模自然災害では、流通事業や運輸事業を中心に被災による大きな損害が発生した他、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の流行・拡大では全事業でリスクが顕在化し甚大な影響が生じました。こうした状況に直面し、「サステナビリティ」は当社グループにとって大きな経営課題となると共に、地域社会の生活インフラを支える事業を展開する当社グループの社会的責任を改めて強く認識する契機となりました。
当社グループのサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視・管理するための統制及び手続は以下のとおりであります。
当社グループは、生活基盤産業を中心に異業種複合体企業グループを形成しており、サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別、評価、管理は一義的には各社ごととなります。グループ全体のサステナビリティ関連の会議体として「SDGs担当者会議」を設置し推進、統括しております。
「SDGs担当者会議」は、当社グループ各社のSDGs所管部署責任者等で構成されており、四半期毎に各社が年次で策定している「SDGs(CSR)取組計画」や当社が中心となりグループ全体で取組みを行っている事項の結果について報告を受け、進捗状況・課題・今後の取組み等を取り纏めた上で、グループ社長会に報告を行っております。また、会社毎及びグループ全体の「SDGs(CSR)取組計画」は年次で経営会議に活動方針及び活動実績を報告しております。
(2)戦略
①マテリアリティ(重要課題)特定プロセス
サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための課題について、個別に評価を行った上で重要課題を特定しております。以下の事業・会社及び課題について重要性が高いと判断しております(●印が重要性の高い事業・会社及び課題)。
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課題分類 |
セクター・事業・会社 |
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食品・飲料 |
運輸 |
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流通 |
バス |
鉄道 |
タクシー |
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㈱デリシア |
アルピコ交通㈱ |
アルピコタクシー㈱ |
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環境 |
温室効果ガス(GHG)排出量 |
● |
● |
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社会資本関係 |
消費者の福利※1 |
● |
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販売慣行・製品表示※2 |
● |
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人的資本 |
従業員の安全衛生 |
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● |
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リーダーシップ及びガバナンス |
重大インシデントリスク管理 |
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● |
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※1.消費者の福利:「全消費者が公平に公正な価格で商品やサービスを購入することができる社会的利益に係る課題」です。
※2.販売慣行・製品表示:「消費者が高品質で安全な商品やサービスを購入することができる社会的利益に係る課題」です。
評価に際し、セクターごとの課題の重要性はSASB(サステナビリティ会計基準審議会)「マテリアリティマップ」の区分に準拠し、量的基準及び質的基準の両者を満たす事業・会社について重要性が高いと判断しております。量的基準では、各事業セクターの前連結会計年度の「売上」、「営業利益・費用」の高い事業セクターから合算し概ね2/3に達している事業セクター・会社を重要性が高い区分としております。質的基準では、各事業の気候関連のリスクのうち物理的リスクの高低を指標としており、具体的には台風・豪雨災害等の自然災害に起因する物理的リスクが顕在化した場合の影響度により判断いたしました。
②サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組
イ.温室効果ガス排出量
流通事業においては、店舗屋根への太陽光パネルの設置、店舗照明のLED化を計画的に進めている他、エネルギーマネジメントシステムの導入によりCO2排出量(Scope2)の削減に取り組んでおります。この他、店舗施設へのEV充電器設置によりお客様の利便性向上とCO2削減に向けた取組も行っております。
運輸事業においては、バス・タクシー・鉄道の車両更新を定期的に実施し、燃費の向上及び使用電力削減によりCO2排出量の削減を行っております。この他、バス・タクシーでは「省エネ運転」の取組を従来から行っております。
ロ.消費者の福利、販売慣行・製品表示
流通事業においては、以下のサステナビリティ関連の施策実施により、地域社会への貢献、環境課題の解決及び顧客ニーズに応えるサービスの提供に取り組んでおります。
・長野県と連携した生活困窮者への食糧支援事業の推進、移動販売の運営と行政との「見守り協定」等高齢者の支援、「こども食堂」への食品提供、フードロス削減等への取組
・長野県と協定締結したエシカル消費推進活動。チラシを活用したエシカル消費情宣活動やポイントカードを活用した一部ポイント(エシカルポイント)の長野県への寄付等の取組
・地産地消の推進。地元産の商品「信州育ち・生まれ」の販売
・資源の有効活用やプラスチック使用量削減への取組。リサイクルステーション設置によるペットボトルや古紙の回収、ペットボトルキャップの回収と売却益の寄付
ハ.従業員の安全衛生
運輸事業においては、乗務員の安全衛生管理が重大インシデント防止に直結することを踏まえ、日常の点呼執行による健康管理の強化とアルコールチェックを基本に、認知機能検査、健康診断の全結果の把握と指導、睡眠時無呼吸症候群の検査、脳ドック検査の実施等の運転適性診断を計画的に実施しています。
ニ.重大インシデントリスク管理
運輸事業においては、事業の基本方針(安全方針)として「安全はすべてに優先する」を掲げ、全社員に対して会議、通達等を通じて周知徹底を図っております。安全方針に基づき、年度毎に「安全重点施策」及び「行為目標」を策定し、取組状況及び達成状況について、定期的に取締役会に報告しております。
事件・事故・災害等発生時の報告・対応ルールについてはリスク管理規程で定めており、重大インシデント発生時の報告についてはSNS・携帯端末を活用し即応できる体制としております。
ホ.その他
a.機会
当社グループは、日本屈指の山岳景勝地である上高地観光関連の事業(沿線バス・タクシー・鉄道運行、都市圏からの直通バス運行、上高地ルミエスタホテル営業等)を多く擁し主力事業の一つとなっております。上高地環境保全の取組は、グループのブランディング向上や収益機会の増大につながることも踏まえ、環境省や地元事業者と連携しクリーン運動等にグループを挙げて取り組んでおります。
b.リスク管理
運輸事業においては、自然災害を想定したBCP(事業継続計画)を策定しております。また定期的に有事に備えた訓練を実施しております。
(3)リスク管理
グループ全体及びグループ各社におけるリスク管理に関する事項を審議又は決議する機関として、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置しております。コンプライアンス・リスク管理委員会において、サステナビリティ関連のリスクも含めリスク及び機会の識別・評価・管理を実施しております。具体的には、「
なお、SDGs担当者会議とコンプライアンス・リスク管理委員会はそれぞれ個別に運営されていることから、コンプライアンス・リスク管理委員会から報告は受けておりませんが、今後サステナビリティ関連のリスクの識別・評価・管理についての連携を強化してまいります。
気候関連リスクに関連する被災等への対応は「危機管理緊急対応マニュアル」等に規定するとともに、各社ごとにBCP等を策定しております。
(4)指標及び目標
流通事業及び運輸事業の温室効果ガス(CO2)排出量は以下のとおりです。なお、目標設定は行っておりません。CO2排出量に係るデータの蓄積や分析を現在進めており、現時点で行っていない目標設定はデータ蓄積や分析が進展した段階で実施してまいります。
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Scope1 |
CO2排出量(単位:t) |
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2023年度 |
2022年度 |
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運輸事業(バス・タクシー) |
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Scope2 |
CO2排出量(単位:t) |
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2023年度 |
2022年度 |
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流通事業 |
20,499 |
22,903 |
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運輸事業(鉄道) |
562 |
582 |
流通事業においては、太陽光発電により購入電力量を削減しており、当該削減量は1,055tのCO2排出量(前年比+13t)に相当します。
(5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標
当社グループは、企業価値創造の源泉を人材と捉え、人への積極的な投資が当社グループのサービス及び商品の付加価値を高め、ひいては経営理念に掲げる豊かな地域社会の実現及び企業価値の向上につながるものと考えております。
また、多様性ある人材の確保・育成や人材ポートフォリオの構築が企業の持続的発展には欠かせないとの認識の下、個々の従業員が能力を最大限に発揮できる環境を構築し、グループ全体としての競争力を高め、持続可能な発展を目指し、2024年2月に新たにグループ人事戦略室を立ち上げました。
①戦略
当社グループでは以下のとおり、「アルピコグループ人事基本理念」、「アルピコグループ人事基本方針」、「求められる人材像」を定めております。
イ.アルピコグループ人事基本理念
個々人が、アルピコグループの代表であるという誇りと責任を持って働き、経営理念の実現に向けてやりがいと喜びを感じられる企業風土を目指します。
ロ.アルピコグループ人事基本方針
横並びの発想をやめて、会社・部門の業績に合わせ、より貢献した人、より頑張った人、新しいことにチャレンジした人を評価し、それに報いる人事制度を実現していきます。
ハ.求められる人材像
信州を愛し、豊かな地域社会を実現できる人材
常にお客さまの視点に立って考え、行動できる人材
失敗を恐れず常に改革・改善にチャレンジできる人材
②指標及び目標
当社グループは、「中期経営計画 2024-2026」を策定しており、具体的な目標として「柔軟な働き方の導入及び人事制度改革の実行」「雇用条件改善と職場環境整備を通じたエンゲージメント向上」「一人ひとりの専門的な能力、スキルを高める教育・研修実施」「キャリア自律に向けた経験・学びの機会拡充」の4つの活動方針を掲げ、人的資本経営に取り組んでおります。取組に当たっては、当社及びグループ各社の人事部門長で構成する「人事担当者会議」を設置し推進を図っており、取締役会、経営会議及びグループ社長会に進捗報告を行っております。なお、現時点では指標設定は行っておりませんが、「女性活躍分野」等についての指標・ロードマップを2024年度中に設定することとしております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
(1) 自然災害、事故等に関するリスク
① 気候変動、災害、重篤な感染症等のリスク(発生可能性:中~高 / 発生時期:短期 / 影響度:大)
当社グループは、通常の事業活動が困難となる場合に備え、事業継続計画(BCP)等を策定しております。しかしながら、豪雨・大型台風・地滑り・豪雪・大規模な地震、火山活動等の気候変動に起因する自然災害、テロ等の犯罪行為、火災や停電等が発生した場合、供給網の寸断、事業所・設備の被災により事業活動の停止や多額の復旧費用等が見込まれる他、新型感染症が蔓延した場合、政府や自治体による行動制限の実施や消費者の行動抑制などにより、旅行客等が著しく減少し運輸事業、観光事業を中心に業績悪化が懸念される等、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループ各社の本社を含む営業拠点は、長野県内に集中しているため、大規模地震等の災害が長野県で発生し、物的、人的な損害を受け、これらの拠点が機能不全に陥った場合、事業継続が困難となり、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 業績の季節変動に関するリスク(発生可能性:高 / 発生時期:短期 / 影響度:中~大)
当社グループの業績には、季節変動があります。運輸事業である山岳観光路線の旅客輸送や、観光事業であるホテル・旅館事業、高速道路サービスエリアの物販店等は、主として観光客に対する売上の割合が高いことから、観光シーズンである第2四半期の業績が他の四半期を上回る傾向にあり、これらの季節変動を考慮した計画策定を行っております。しかしながら、天候不順による影響など、何らかの事由により計画どおりに進捗しなかった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 事故等に関するリスク(発生可能性:低 / 発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループの運輸事業である鉄道事業、バス事業及びタクシー事業では安全に旅客を運送し、信頼を得ることが事業を継続する上で不可欠であります。そのため、当社グループでは運行管理を徹底しております。しかしながら、不可抗力であるものを含め事故が生じた場合、旅客運送事業者として当社グループの信用力が低下する可能性があります。また、マニュアル等を整備し事故防止に努めておりますが、人為的ミス、不慮の事故等により、当社グループが保有する資産について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。
この結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業環境に関するリスク
① 燃料費、電気・ガス料金、原材料等の高騰に関するリスク(発生可能性:高 / 発生時期:短期 / 影響度:中)
世界的な原油価格、原材料の高騰及び為替相場の変動等により、運輸事業であるバス事業・タクシー事業における燃料費の増大や、主に流通事業及び観光事業における仕入品等の価格上昇及び、電気・ガス料金の上昇により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 経済情勢等の変化に関するリスク(発生可能性:高 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは長野県を中心に各種事業を展開しております。同地域や国内の経済情勢、観光客の減少、消費動向及び人口動態の変化、物価上昇に伴う実質賃金の目減りによる可処分所得の減少等、経営環境の変動要因が当社グループの見込みと大幅に乖離し推移した場合、当社グループの収益低下の要因となる等、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制に関するリスク(発生可能性:中 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中~大)
当社グループの事業は、各種法令、自治体による条例等の法的規制の枠組みの中で運営しております。これらの法的規制の強化や法改正が行われた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主要な事業における法的規制に関するリスクは、次のとおりです。
イ.流通事業では大規模小売店舗立地法(以下「大店立地法」)、食品衛生法等の法的規制を受けております。大店立地法は売場面積1,000㎡超の新規出店や既存店舗の増床等について、騒音、交通渋滞、ゴミ処理問題等、出店地近隣住民の生活を守る立場から都道府県又は政令指定都市が一定の審査を行い規制するものであります。また、食品衛生法は食品の安全性の確保のために必要な規制その他の措置等が定められております。今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制によっては規制を遵守するための設備投資が必要となり、多額の資金と減価償却費負担が発生する可能性があります。この結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.運輸事業では、鉄道事業法、道路運送法等の各種法令の適用を受けております。路線の拡大・縮小、運賃及び料金の設定・変更等において必要な手続きが定められており、運賃及び料金の設定・変更を機動的に実施できない場合があります。不採算の一般路線等においては行政からの補助金が交付されますが、営業赤字の路線もあり、当該路線は社会インフラの機能を担う事業の公益性の観点から大きな方針転換が難しい場合があります。また、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」改正に伴い、2024年4月より新たな時間外労働の上限規制が適用されるなど、今後の法令の改正内容によっては、規制を遵守するための適正な人員配置、設備投資が必要となり、多額の資金と減価償却費負担が発生する可能性があります。この結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ハ.観光事業では旅館業法、建築基準法、消防法、食品衛生法等の法的規制を受けております。旅館業法により、ホテル・旅館の営業には、都道府県知事等の認可を受け、施設の構造設備や宿泊者の衛生に必要な措置等の基準を遵守する必要があります。また、その他法令で必要な措置等が定められております。今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制によっては規制を遵守するための設備投資が必要となり、多額の資金と減価償却費負担が発生する可能性があります。この結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ニ.不動産事業では国土利用計画法、宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法等の法的規制を受けております。当社グループは不動産業者として、宅地建物取引業法に基づく免許を受け、不動産販売の事業を行っております。今後、これらの規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 会計基準及び税制等に関するリスク(発生可能性:中 / 発生時期:特定時期なし / 影響度:小)
新たな会計基準の適用や新たな税制の導入・変更により、これに対応するための費用の発生や税負担が増加する可能性や税務申告において税務当局との見解の相違等により、追加の税負担が生じる可能性があります。また、消費税率等の引き上げにより、個人消費に影響が出る可能性があります。
この結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 保有資産の価値に関するリスク(発生可能性:低 / 発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは不動産等の固定資産及び棚卸資産を多く保有しております。これらの時価が著しく下落した場合、減損損失又は評価損等の計上により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 営業活動に関するリスク
① 人的資源の確保に関するリスク(発生可能性:高 / 発生時期:短期 / 影響度:中)
当社グループの安定経営と将来の成長には優秀な人材の確保とその育成が重要な課題と認識しておりますが、人材の確保と育成が想定どおりに進まない場合、あるいは人材が流出する場合、人件費が急激に増加する場合には、当社グループの今後の事業の拡大及び業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループでは新卒採用に加え経験豊富な人材の中途採用を強化するとともに、人事制度の改定、健全な労働環境の維持、各種研修の実施等で人材の確保と育成に注力しております。
② 食の安全に関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは流通事業、観光事業であるホテル・旅館事業、サービスエリア事業を営んでおります。万一、当社グループで取扱う商品において産地偽装や消費期限・賞味期限の改ざん、アレルギー等の食品表示の誤り、ノロウイルスや細菌等による食中毒、異物の混入等「食の安全」を脅かす問題が発生した場合には、営業許可の取消しや営業停止処分、信用・信頼の失墜等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループでは、お客様の信用・信頼を失うことのないよう、衛生管理の徹底、商品検査の実施、表示に関する法令遵守の徹底等、「食の安全」及び「商品の品質」について最大限の努力を払っております。
③ 競合激化に関するリスク(発生可能性:高 /発生時期:短期 / 影響度:中)
当社グループの様々な事業は新規参入や競合他社による大規模な投資等により競争の構造が変化し、サービス・商品の品質、価格競争力、原材料調達等において競争優位性が劣後する可能性があります。
流通事業においては、長野県内でスーパーマーケットの運営をしておりますが、競合他社の積極的な出店やネットスーパー等との競合により、来店客数の減少、売上単価の低下等で当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
運輸事業においては需給調整規制の廃止を柱とする規制緩和が実施されており、バス事業への新規事業者の参入や既存事業者を含めた値下げ競争の発生等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、観光事業であるホテル・旅館事業においては県外資本のホテルの進出がある中で、競合他社の新築又は改築したホテルに対して競争力を維持するため、改築を含む多額の設備投資を行う必要があります。こうした施策が有効に機能しない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 公共交通機関の利用減少に関するリスク(発生可能性:高 /発生時期:短期 /影響度:中)
近年の少子化による高校生等の就学者の減少及びマイカー利用者の増加に伴い、年々公共交通機関の利用者が減少しております。この状況はさらに続くことが予想され、当社グループの運輸事業である鉄道事業及びバス事業の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 運輸事業における補助金への依存に関するリスク(発生可能性:高 /発生時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループのバス事業においては、過疎地域における不採算路線の運行にかかる経費を国や地方自治体からの補助金により一部をまかなっております。将来、制度の改正等により補助金の額が大きく変動するようなことがある場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、鉄道事業においては駅舎、橋りょう、その他運行設備等の安全対策上、将来的に更新投資が必要となりますが、投資金額が多額になることから国や地方自治体からの補助金により投資の一部をまかなっております。将来、制度の改正等により補助金の額が大きく変動するようなことがある場合、鉄道事業の存続が困難になる可能性があります。
⑥ 販売停滞による資金回収の長期化に関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:小)
当社グループの不動産事業では、別荘分譲地として「蓼科高原別荘地」及び「八ヶ岳中央高原四季の森」の区画販売をしております。分譲土地の当連結会計年度末の帳簿価額は1,131,248千円であります。不動産市況の低迷等により販売が停滞した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新規出店等に関するリスク(発生可能性:中 /発生時期:中期 /影響度:中)
当社グループは入手可能な情報及び一定の前提に基づき新規出店計画等を策定し実行しております。しかしながら、当社グループの前提及び予測が不正確若しくは不十分であった場合に加え、想定外の費用の発生又は新規出店その他の投資計画等の遅延、変更若しくは中止等の様々な事由により、営業損益等が計画どおりに推移しない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、出店後の店舗・事業所の営業損益が計画どおりに推移しない場合、以後の出店計画を見直す可能性に加え、当該出店時の投資金額の回収が長期化する可能性や賃借先の経営状況により敷金・差入保証金の返還に支障が生じる可能性があります。
これらの要因により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)情報システムに関するリスク
① システムに関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:大)
当社グループでは、各事業において多くのコンピューターシステムを使用しております。このシステムには、自然災害、停電、回線障害、人的ミス、アクセス急増等の一時的な過負荷、ソフトウエアの欠陥、ハードウエアの故障等によるシステム障害のリスクに加え、取引先を装った偽メール、コンピューターウイルス、不正アクセス等のサイバーテロにより、重要データの喪失等のリスクが存在します。これらのリスクにより、コンピューターシステムに障害が生じた場合は、当社グループの事業活動に大きな支障をきたすおそれがある他、システム復旧等にかかる費用の発生や営業収益の減少等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループでは、重要データのバックアップ、標的型攻撃メールへの対応訓練、不正アクセス防止のため情報セキュリティ強化等の対策を講じております。
② 個人情報等の漏洩に関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループは定期券や宿泊、ツアーの申込み、ポイントカード等、事業の過程でお客様の個人情報を収集し、保有しております。万一、個人情報の漏洩等が発生した場合、社会的信用を失うと共に企業イメージを損ない、営業収益の減少、損害賠償の発生等当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループでは、情報管理基本規程を制定し従業員へ周知徹底すると共に、個人情報保護方針の策定及び個人情報管理基本規程の制定、並びに個人情報保護に関する従業員の誓約書提出や教育を実施し、管理体制を整備しております。
(5)コンプライアンスに関するリスク
① コンプライアンスに関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループでは、アルピコグループコンプライアンス基本方針の下、グループ役職員が法令・社会規範・倫理に則した行動を行うように努めています。しかしながら、各種許認可等の申請・更新不備等も含め、将来において法令違反等が生じた場合は信用の失墜、罰則金、損害賠償請求、免許・登録等の取り消しや行政処分等により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対し、当社はコンプライアンス・リスク管理委員会を設置し、グループ役職員のコンプライアンスの徹底に取り組んでおります。具体的には、コンプライアンス・プログラムを策定し、当該プログラムに基づき教育・研修等を行い、コンプライアンスの徹底に取り組んでおります。このほか、各社において許認可一覧表等により各種許認可の有効期限を管理しており、当社がその状況を把握することにより、法令違反等が生じないよう努めております。
② 重要な訴訟その他の法的手続きに関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループでは本書提出時点において業績に重大な影響を及ぼす訴訟等を提起されている事実はありませんが、事業を遂行する上で、訴訟等及び規制当局による様々な法的手続きが提起又は開始されるリスクを有しております。当社グループはコンプライアンス規程等を制定し、役職員に対して当該規程等を遵守させることで発生リスクの低減に努めておりますが、相手方との認識の相違等により当社グループの事業活動等が将来重要な訴訟等の対象となり、訴訟その他の法的手段を提起される可能性があります。係る法的手続は相当の時間及び費用を要する可能性があることに加え、仮に当社グループに不利な判決、決定等がなされた場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ レピュテーションリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし /影響度:中~大)
当社グループの該当有無に係わらず、報道やインターネットの掲示板等により風評が拡散された場合、又は当社グループが属する業界において重大な事故等が発生し業界全体のイメージが低下した場合、当社グループのレピュテーションが低下し収益低下の要因となる等、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)財務に関するリスク
① 資金調達等に関するリスク(発生可能性:中 /発生時期:中期 / 影響度:大)
当社グループの事業資金の一部は金融機関からの借入により調達している他、リースを活用して設備投資を行っております。このため、当社グループに対する格付けの引下げ等により信用力が低下した場合、必要な時期に希望する条件での資金調達及びリース組成が困難になる可能性があります。また、当社グループの主要な借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されております。これらに抵触した場合には期限の利益を喪失する等の可能性があります。
これらの要因により、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 市場金利の上昇に関するリスク(発生可能性:高 /発生時期:短期 / 影響度:中)
当社グループは当社がグループ内の資金を一元的に管理するため、当社が債務者として金融機関からの借入により当社グループ各社の設備資金及び運転資金を調達しております。当社グループは有利子負債の削減に取り組んでおりますが、今後の経済情勢等の変化により市場金利が上昇した場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損リスク(発生可能性:中 /発生時期:特定時期なし /影響度:中)
当社グループは連結財務諸表を作成するにあたって、固定資産の減損会計に関する見積りを行っております。これらの見積りは、将来に関する一定の前提に基づいて作成しており、当社グループが保有する不動産及びリース物件等の有形固定資産、のれん及びソフトウエア等の無形固定資産においては、将来、事業収支の悪化や不採算事業からの撤退が発生する等、前提と大きく異なる場合、相当の減損による損失が発生するリスクがあります。この場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これに対して当社グループでは、会計上の見積りを行う際に入手可能な情報に基づき合理的な金額を算出するように努めております。
(7)その他のリスク
① 業務委託や取引先に関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社グループの各事業、それらに付随する業務の全部又は一部について、第三者である外部事業者に対し、配送業務や清掃業務等の業務委託等を行っております。何らかの事由により、委託先又はその再委託先が当社グループの定める基準を満たす業務の提供等をしなかった場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。この他、委託先又はその再委託先において法令等に違反する行為があった場合、当社グループが監督官庁から監督責任を追及される可能性や当社グループの信頼性やイメージが低下し顧客の獲得・維持が困難となる可能性があります。この結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは取引先に対する債権の回収不能という事態を防ぐため、情報収集・与信管理等を行っておりますが、予期せぬ取引先の破綻等により債権を回収できない場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 配当に関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:小)
当社は、グループ全体の経営基盤の強化、企業価値の向上を図ること等で財務体質を強化し、株主の皆様に対して安定した配当を維持する方針であります。しかしながら、今後何らかの要因により業績が悪化した場合、財務体質の改善を優先し普通株式の配当を行わない可能性があります。なお、種類株式Bにつきましては、経営成績によらず、定款に基づき、分配可能額の範囲内で、種類株式B1株当たりの払込金額に2.0%の配当年率を乗じて算出された額の剰余金の配当が行われます。
③ 当社普通株式の流動性に関するリスク(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:中)
当社は東京証券取引所スタンダード市場への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資及び売出しによって、当社株式の流通性の確保に努めることとしておりますが、東京証券取引所の定める流通株式比率に係る上場維持基準は25%であるところ、新規上場時において当該維持基準近傍にとどまる見込みであります。
今後、当社は企業価値の向上等により個人株主を増やすこと、既存株主への一部売出しの要請等により、流動性の向上を図っていく方針であります。しかしながら、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、上場維持基準に抵触し、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 調達資金について(発生可能性:低 /発生時期:数年以内 / 影響度:小)
当社は、新規上場時における公募増資による調達資金は、新規出店、バス車両取得などの拡大投資や宿泊施設の改装投資に充当する予定です。しかしながら、急激な事業環境等の変化により計画どおりの資金使用を行ったとしても想定どおりの投資効果が得られない可能性があります。また、当初の計画を変更し、資金使途や支出予定時期の変更を行う場合には、適切に開示を行う予定であります。
⑤ 株式会社八十二銀行との関係について(発生可能性:低 /発生時期:特定時期なし / 影響度:小)
株式会社八十二銀行とは、以下に記載するとおり、人的・資本的な関係性があり、今後、同行との人的関係が変化する可能性のほか、同行の政策保有に関する方針に基づき出資関係が見直される可能性がありますが、現状でも当社の経営判断において同行の影響は受けておらず、人的関係の変化や資本的な関係の見直しによる影響は無いものと判断しております。
イ.過去の債権放棄を含む同行との関係性の概要
2008年3月の「私的整理に関するガイドライン」に基づく事業再生計画の成立に伴い、株式会社八十二銀行を含む取引金融機関から約173億円の債務免除を受けております。これに加え、同行からは30億円の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)による金融支援を受けております。
2011年3月の事業再生計画の終結後の必要資金の調達における取引金融機関によるシンジケートローンの組成において、株式会社八十二銀行はアレンジャーを務めるほか、融資シェアに応じた金額での参加も行っており、同行とは当社のメインバンクとして継続した取引を行ってきております。
ロ.同行からの独立性の確保について
当社における経営上の意思決定は、社外取締役も含めた当社経営陣によって行われており、株式会社八十二銀行による意思決定等への介入は無く、同行への依存もありません。
ハ.当社との資本関係について
a.普通株式及び種類株式の保有状況
株式会社八十二銀行は議決権比率で5%弱の当社普通株式を保有しております。また種類株式B2,886,000株の全株を保有しております。
b.種類株式Bの配当の優先に係る内容
種類株式Bは、株式会社八十二銀行から30億円の債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ)を受けるにあたり、同行に対し1株1,000円にて3,000,000株の発行を行ったものです。
2017年4月にその一部114,000株を当社が自己株式取得し、現在の株式数となっております。種類株式Bには株主総会における議決権はありません。
種類株式Bには、発行時より、種類株式B1株当たり普通株式10株が交付される「普通株式を対価とする取得請求権」が付されておりました。これにより普通株式の希薄化の懸念があったことから、この懸念を解消するため、2018年3月に、当該取得請求権を削除し、その代替として、普通株式の配当に優先して種類株式B1株当たりの払込金額(1,000円)に2.0%の配当年率を乗じた額の剰余金の配当を行うこととする内容の定款変更を、株主総会の決議により行っております。
c.種類株式Bの売却等に係る合意書の内容
種類株式Bの将来的な自己株式取得を可能とし、かつ取得価格を固定化することを目的として、2019年6月の株主総会決議により、種類株式Bの取得価格を1株当たり1,000円とする取得条項を定款上に設定いたしました。その際、種類株式Bの株主である株式会社八十二銀行との間で、当社が取得条項を行使し、種類株式Bの全部又は一部の取得を希望する場合には、取得を希望する日の2ヵ月前までに通知し、協議を行う内容の合意書を締結しております。
ニ.当社との人的関係について
a.役員受入の状況
本書提出日現在において、当社の役員14名(取締役10名、監査役4名)のうち、株式会社八十二銀行出身者は、取締役会長曲渕文昭、代表取締役社長佐藤裕一、取締役伊藤篤、監査役塚田進の4名であります。これは、企業経営者としての経験又は金融機関における経験と実績や財務等に関する幅広い知見、若しくはその両方について当社グループの企業価値の向上に貢献できるものとして招聘したものであります。
b.今後の方針
当社取締役の任期は定款上1年であります。全取締役について毎年の「指名委員会」で取引金融機関などの出身母体によるバイアスをかけず公正・客観的な見地から、取締役会のスキルマトリックス等も考慮し、新任役員候補の選定や、また役員としての適性についても評価・検討し役員在任が不適と判断される場合は退任させる答申をすることとしております。
ホ.当社との取引関係について
a.借入状況及び今後の方針に関する内容
株式会社八十二銀行は借入シェア4割を超えるメインバンクであります。今後も資金調達の多様化を踏まえ、直接金融と間接金融のバランス、間接金融においては取引金融機関のシェアバランスも勘案しながら必要資金の調達方法を検討していく方針です。
(経営成績等の状況の概要)
(1) 財政状態及び経営成績の状況
第16期連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における日本経済は、新型感染症の影響がほぼ解消され、外食・宿泊・レジャー等のサービス関連消費が力強い回復を示した他、生産や輸出についても全般的に堅調に推移しました。また、価格転嫁や賃上げが進みデフレ脱却の素地が整い、日銀によるマイナス金利政策も解除されました。一方で、運輸や観光業界では労働力不足の深刻化が継続しており、さらに、金利上昇に対する懸念が今後の経済の先行きを不透明にしております。
このような環境下において、当社グループは『アルピコグループ中期経営計画(Change & Challenge 2023)』の最終年度に当たって、3つの基本方針である「大胆な構造改革による生産性向上」「新たな事業価値の創造と実践」「企業文化の変革」に取り組むことで所期の成果を得ました。主要事業別では、流通事業においては、「新コンセプト店舗展開の開始」「店舗外販売チャネルの拡大」等に、運輸事業においては、「車両、人員配置の適正化」、「タクシー配車アプリの導入」等に、観光事業においては、「高付加価値化による客室単価向上」「新たな観光・旅行資源の開発」等に取り組みました。
この結果、当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結営業収益は99,620,488千円(前連結会計
年度:92,637,628千円)、連結営業利益は2,448,507千円(前連結会計年度:545,377千円)、連結経常利益は2,123,097千円(前連結会計年度:527,571千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は904,465千円(前連結会計年度:72,528千円)となり、前連結会計年度に比べて、連結営業収益は6,982,859千円増加、連結営業利益は1,903,129千円増加、連結経常利益は1,595,526千円増加、親会社株主に帰属する当期純利益は831,937千円増加となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
営業収益 |
営業利益 |
||||
|
当期 |
前期との差額 |
前期比 |
当期 |
前期との差額 |
前期比 |
|
|
|
千円 |
千円 |
% |
千円 |
千円 |
% |
|
流通事業 |
74,851,192 |
3,752,515 |
5.3 |
1,635,485 |
338,037 |
26.1 |
|
運輸事業 |
12,189,816 |
1,481,953 |
13.8 |
882,965 |
987,498 |
― |
|
観光事業 |
11,173,321 |
1,691,824 |
17.8 |
373,042 |
528,898 |
― |
|
不動産事業 |
1,312,373 |
26,339 |
2.0 |
91,749 |
△28,601 |
△23.8 |
|
その他のサービス事業 |
366,968 |
21,254 |
6.1 |
69,900 |
△214 |
△0.3 |
第17期中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における日本経済は、新型感染症の影響が解消されインバウンドを含め人流が回復しており、サービス消費は前年度より増加基調が継続しております。物価高による生活防衛意識の高まり等で弱含んだ個人消費は、名目賃金が増加する中で徐々に下げ止まり、足元では横ばい圏で推移しております。一方、運輸や観光業界での労働力不足の深刻化は継続しており、さらに、新政権の発足や為替・金利動向等が今後の経済の先行きを不透明にしております。
このような環境下において、当社グループは『中期経営計画 2024-2026』において、①成長戦略、②構造改革、③サステナビリティ経営に取り組んでおり、その骨子は以下のとおりです。
①「既存事業の成長」に加え、「M&Aの推進」「事業エリアの深耕・拡大」「新規事業の創出」に取り組み、成長の加速、収益の拡大や事業規模・領域の拡大を図ります。
②「組織再編・事業集約」「不採算・低収益・重複事業のてこ入れ」「DX、ICT技術活用による省力化、効率化」に取り組み、経営効率と地域社会の持続的な発展とのバランスを重視した改革を実施します。
③「人的資本経営の実施」「環境経営の展開」「地域活性化への貢献」に取り組みます。
この結果、当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)の業績は、連結営業収益52,278,607千円(前年同期比4.2%増)、連結営業利益2,423,219千円(前年同期比43.5%増)、連結経常利益2,238,988千円(前年同期比47.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,651,780千円(前年同期比40.3%増)となり、前年同中間連結会計期間に比べて、連結営業収益は2,110,600千円増加、連結営業利益は734,697千円増加、連結経常利益は720,717千円増加、親会社株主に帰属する中間純利益は474,098千円増加となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
第16期連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ2,734,828千円増加(前期比101.8%増)し、5,422,212千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益908,101千円に、減価償却費3,105,270千円、減損損失1,159,559千円、仕入債務の増加額3,313,464千円等により、10,327,124千円の資金収入(前期比191.8%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,323,158千円、無形固定資産の取得による支出143,384千円、補助金収入421,420千円等により、3,062,184千円の資金支出(前期比23.9%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少額1,900,000千円、長期借入れによる収入6,100,000千円、長期借入金の返済による支出7,203,907千円、リース債務の返済による支出746,070千円等により、4,530,111千円の資金支出(前期比295.8%増)となりました。
第17期中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益2,030,725千円、減価償却費1,459,828千円、仕入債務の増減額△3,461,739千円等により、163,598千円の資金の増加(前中間連結会計期間は7,803,531千円の資金の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出898,540千円等により、781,027千円の資金の減少(前中間連結会計期間は1,815,311千円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入4,500,000千円、長期借入金の返済による支出3,963,365千円等により、272,713千円の資金の減少(前中間連結会計期間は5,920,620千円の資金の減少)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、4,532,070千円(前中間連結会計期間末残高は2,754,983千円)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業であるため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
なお、販売の状況については、「(経営成績等の状況の概要) (1)財政状態及び経営成績の状況」における各事業の区分の業績に関連づけて示しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討等)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 経営成績
(営業収益)
第16期連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
当連結会計年度における連結営業収益は、流通事業における商品価格の見直しによる単価の上昇、運輸事業における観光需要の取り込み、また、観光事業ではホテル旅館の宿泊稼働回復が顕著となり、これらを中心に売上回復に大きく寄与し、前連結会計年度に比べ7.5%増の99,620,488千円となりました。
(営業費)
当連結会計年度における運輸業等営業費及び売上原価は、流通事業を中心に増収に伴う影響等から、前連結会計年度に比べ6.2%増の70,234,106千円、販売費及び一般管理費は、売上・稼働が回復した運輸事業や観光事業で人件費が増加したこと等により3.7%増の26,937,874千円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、流通事業及び運輸事業で売上を大幅に伸ばしたことを主な要因に、前連結会計年度に比べ1,903,129千円増加し2,448,507千円(前連結会計年度は545,377千円の営業利益)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益が増加したこと等により、904,465千円(前連結会計年度は72,528千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。
第17期中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における日本経済は、新型感染症の影響が解消されインバウンドを含め人流が回復しており、サービス消費は前年度より増加基調が継続しております。物価高による生活防衛意識の高まり等で弱含んだ個人消費は、名目賃金が増加する中で徐々に下げ止まり、足元では横ばい圏で推移しております。一方、運輸や観光業界での労働力不足の深刻化は継続しており、さらに、新政権の発足や為替・金利動向等が今後の経済の先行きを不透明にしております。
このような環境下において、当社グループは『中期経営計画 2024-2026』において、①成長戦略、②構造改革、③サステナビリティ経営に取り組んでおり、その骨子は以下のとおりです。
①「既存事業の成長」に加え、「M&Aの推進」「事業エリアの深耕・拡大」「新規事業の創出」に取り組み、成長の加速、収益の拡大や事業規模・領域の拡大を図ります。
②「組織再編・事業集約」「不採算・低収益・重複事業のてこ入れ」「DX、ICT技術活用による省力化、効率化」に取り組み、経営効率と地域社会の持続的な発展とのバランスを重視した改革を実施します。
③「人的資本経営の実施」「環境経営の展開」「地域活性化への貢献」に取り組みます。
この結果、当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)の業績は、連結営業収益52,278,607千円(前年同期比4.2%増)、連結営業利益2,423,219千円(前年同期比43.5%増)、連結経常利益2,238,988千円(前年同期比47.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益1,651,780千円(前年同期比40.3%増)となり、前年同中間連結会計期間に比べて、連結営業収益は2,110,600千円増加、連結営業利益は734,697千円増加、連結経常利益は720,717千円増加、親会社株主に帰属する中間純利益は474,098千円増加となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.流通事業
流通事業は、食品スーパー「デリシア」51店舗(フランチャイズ含む)と業務商品主体の「業務スーパー・ユーパレット」9店舗を運営しており、合計で60店舗を展開しております。これらに加え、マルチチャネル戦略として、移動販売「とくし丸」34台やネットスーパー18拠点、セルフ型無人決済店舗を1店舗展開しており、顧客基盤とマーケット及びチャネルの拡大を推進しております。また、既存店舗を業態変更し生鮮構成比を高めた新カテゴリーの「ミールズ店舗」を2023年度以降2店舗オープンし、新コンセプト店舗展開を開始しております。当中間連結会計期間は、商品価格の見直しによる単価の上昇等が貢献し、前年同期比で増収となりました。一方で、生鮮相場の高騰等の仕入原価の上昇や人件費の増加等が利益を下押ししました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益38,337,238千円(前年同期比2.5%増)、営業利益944,034千円(前年同期比5.8%減)となりました。
b.運輸事業
バス事業は、上高地や白馬等の県内観光地への輸送を担う観光系路線を中心に国内外からの旺盛な需要取り込み及び運賃改定(2024年4月)により、前年同期比で増収となりました。
タクシー事業は、市街地での利用回復や観光需要の取り込み、運賃改定(2023年9月)、乗合部門の受託拡大により前年同期比で増収となりました。
鉄道事業は、観光需要の取り込みにより、前年同期比で増収となりました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益6,573,847千円(前年同期比8.2%増)、営業利益965,997千円(前年同期比99.5%増)となりました。
c.観光事業
ホテル・旅館事業は、松本市内5施設、諏訪市内1施設の全6施設において宿泊を中心に回復基調が継続し、前年同期比で増収となりました。
サービスエリア事業は、インバウンド客やツアー客の立ち寄り増加により営業収益を伸ばしました。
旅行事業は、海外旅行が復活する等ツアー募集が好調で出張・団体旅行等の法人需要も回復し、前年同期比で増収となりました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益6,422,901千円(前年同期比6.7%増)、営業利益569,690千円(前年同期比18.5%増)となりました。
d.不動産事業
別荘分譲地管理事業の分譲区画販売及びテナント賃貸事業も好調に推移しました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益782,862千円(前年同期比25.6%増)、営業利益は130,090千円(前年同期比383.5%増)となりました。
e.その他のサービス事業
保険事業は、前年同期比で増収となりましたが、人件費やその他経費の増加が利益を圧迫しております。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益は299,759千円(前年同期比65.4%増)、営業利益は31,021千円(前年同期比3.7%減)となりました。
② 財政状態
第16期連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(資産合計)
当連結会計年度末における資産総額は57,570,962千円となり、前連結会計年度末に比べ3,263,503千円増加いたしました。これは、主に当連結会計年度末が休日であったことに伴う現金及び預金の増加等によるものであります。
(負債合計)
当連結会計年度末における負債総額は47,037,437千円となり、前連結会計年度末に比べ2,519,887千円増加いたしました。これは、主に当連結会計年度末が休日であったことに伴う買掛金の増加等によるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産額は10,533,525千円となり、前連結会計年度末に比べ743,616千円増加いたしました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払等によるものであります。
第17期中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(資産合計)
当中間連結会計期間末における流動資産は12,622,594千円となり、前連結会計年度末に比べ1,371,104千円減少いたしました。これは、主に前連結会計年度末が休日であったことによる債務支払い額の増加に伴う現金及び預金の減少等によるものであります。固定資産は42,401,107千円となり、前連結会計年度末に比べ1,176,157千円減少いたしました。これは、主に有形固定資産の減価償却による減少等によるものであります。
この結果、総資産は55,023,701千円となり、前連結会計年度末に比較して2,547,261千円減少いたしました。
(負債合計)
当中間連結会計期間末における流動負債は18,834,557千円となり、前連結会計年度末に比べ4,207,407千円減少いたしました。これは、主に前連結会計年度末が休日であったことによる債務支払い額の増加によるものであります。固定負債は24,259,095千円となり、前連結会計年度末に比べ263,622千円増加いたしました。これは、主に資金調達により長期借入金が増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は43,093,652千円となり、前連結会計年度末に比較して3,943,784千円減少いたしました。
(純資産合計)
当中間連結会計期間末における純資産合計は11,930,048千円となり、前連結会計年度末に比較して1,396,523千円増加いたしました。これは、主に親会社株主に帰属する中間純利益1,651,780千円及び剰余金の配当238,060千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は21.7%(前連結会計年度末は18.3%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(経営成績等の状況の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(3) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、従来から認識していた、労働人口の減少、消費行動の変化、原材料価格や物価の動向、技術革新の加速等に加えて、感染症の流行や気候変動及び自然災害も大きな要因として認識しております。
これらの事業環境に対応すべく、長野県内における各事業シェアの拡大、保有・運営する施設と商品及びサービスの質の向上、新規事業開発、経営資源の効率活用や経営基盤の強化に取り組んでおります。
ここ数年の具体的な取組として、流通事業におきましては、マルチチャネル化による顧客・マーケットの拡大、深耕を進めており、移動販売「とくし丸」を34台運行、ネットスーパーを17拠点で展開しております。また、2023年4月には、既存店舗を業態変更し生鮮構成比を高めた新カテゴリーの「ミールズ店舗」1号店をオープンし、更に2023年8月にはスーパーでは長野県内初となる「セルフ型無人決済店舗」1号店を茅野市蓼科にオープンいたしました。運輸事業におきましては、2022年4月にアルピコタクシー株式会社を株式交換によりアルピコ交通株式会社の子会社とし経営の効率化を図っております。観光事業におきましては、2022年4月に中核会社の東洋観光事業株式会社を、ホテル・旅館の運営を担うアルピコホテルズ株式会社と、主に蓼科地区での別荘・ゴルフ場運営等を担うアルピコリゾート&ライフ株式会社との2社に分社化しそれぞれの専門性を十分発揮できる体制といたしました。
このような諸施策の実行に加えて、当社グループは以下の事業戦略を確実に実施してまいります。
・「M&Aの推進」「事業エリアの深耕・拡大」「新規事業の創出」による成長の加速
・柔軟で適応力のある組織を築る(つくる)ため各種取り組みの展開
・持続的な価値創造の最重要基盤である人材への投資を強化
・地域に根差す企業グループとして、持続可能な社会実現に貢献
(4) 資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、流通事業における仕入原価及び物流費、運輸事業における車両維持管理費、その他各事業における一般管理費等があります。また、設備資金需要としては流通事業における店舗への更新投資、運輸事業における車両更新投資、観光事業におけるホテル・旅館等に対する設備投資等があります。
(財務政策)
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、金融機関からの借入により資金調達を行い、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により効率的に資金を運用しております。また、運転資金及び設備資金につきましては、当社において一元管理しております。
当社グループの主要な事業資産に対しては、各事業を取り巻く事業環境を考慮したバランスのとれた投資を行うことで、回収効率を高め、当社グループの全体の有利子負債の削減を図っております。設備投資に当たってはリースも活用し資金繰りの平準化や効率化にも配意しております。
また、資金調達コストの低減に努める一方、過度の金利変動リスクに晒されないよう、借入の一部について金利スワップ等の手段を活用しております。
(5) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、長期経営方針として「ALPICO VISION 2035」を掲げ、ビジョンの実現に向けた具体的経営計画を「中期経営計画 2024-2026」として策定しております。
長期ビジョンでは、2035年のありたい姿を「『楽しさ・ときめき』を創出し、付加価値を高めることで、持続的な地域の発展に貢献している企業グループ」としております。
「中期経営計画 2024-2026」の取組骨子は以下のとおりです。
①成長戦略として「既存事業の成長」に加え、「M&Aの推進」「事業エリアの深耕・拡大」「新規事業の創出」に
取り組み、成長の加速、収益の拡大や事業規模・領域の拡大を図ります。
②構造改革に向け、「組織再編・事業集約」「不採算・低収益・重複事業のてこ入れ」「DX、ICT技術活用による
省力化、効率化」に取り組み、経営効率と地域社会の持続的な発展とのバランスを重視した改革を実施しま
す。
③サステナビリティ経営を実践するため、「人的資本経営の実施」「環境経営の展開」「地域活性化への貢
献」に取り組みます。
(6) セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
第16期連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(流通事業)
流通事業は、食品スーパー「デリシア」51店舗(フランチャイズ含む)と「業務スーパー・ユーパレット」9店舗を運営しており、合計で60店舗を展開しております。これらに加え、マルチチャネル戦略として、移動販売「とくし丸」34台やネットスーパー17拠点を展開しており、また、2023年8月には長野県内初となる「セルフ型無人決済店舗」1号店を茅野市蓼科にオープンし、顧客基盤とマーケット及びチャネルの拡大を推進しております。更に、2023年4月には、既存店舗を業態変更し生鮮構成比を高めた新カテゴリーの「ミールズ店舗」1号店をオープンし新コンセプト店舗展開を開始しました。当連結会計年度は、商品価格の見直しによる単価の上昇等が貢献し、前期比で増収となりました。また、原材料価格や人件費等、コストの増加を増収によりカバーし、前期比で増益となりました。
これらの結果、流通事業の営業収益は74,851,192千円と、前期に比べ3,752,515千円増加(前期比5.3%増)となりました。また、営業利益は1,635,485千円と、前期に比べ338,037千円増加(前期比26.1%増)となりました。
(運輸事業)
バス事業は、上高地や白馬等の県内観光地への輸送を担う観光系路線の国内外からの需要取り込みを主な要因とし売上を大きく伸ばしました。
タクシー事業は、市街地での利用回復や観光需要の取り込み、2023年9月の運賃改定、乗合部門の受託拡大により前期比で増収となりましたが、乗務員の不足が業績回復の阻害要因となっております。
鉄道事業は、観光需要の回復により、前期比で増収となりました。
これらの結果、運輸事業の営業収益は12,189,816千円と、前期に比べ1,481,953千円増加(前期比13.8%増)となりました。また、営業利益は882,965千円と、前期に比べ987,498千円改善(前期は104,533千円の営業損失)となりました。
(観光事業)
ホテル・旅館事業は、松本市内5施設、諏訪市内1施設の全6施設において宿泊を中心に回復基調が強まる一方、労働力不足や競合激化が大きな課題となっております。
サービスエリア事業は、立寄り客の増加による需要回復や価格の見直しにより、前期比で増収となりました。
旅行事業は、修学旅行等の教育関連や単価の高い募集型ツアーの回復により、前期比で増収となりました。
また、茅野市蓼科のリゾート事業は、ゴルフ場の来場者数が好調に推移した他、2023年7月には新たにキャンプ場施設をオープンし増収に寄与しました。
これらの結果、観光事業の営業収益は11,173,321千円と、前期に比べ1,691,824千円増加(前期比17.8%増)となりました。また、営業利益は373,042千円と、前期に比べ528,898千円改善(前期は155,855千円の営業損失)となりました。
(不動産事業)
不動産事業は前期比で増収となりましたが、別荘分譲地管理事業で建築サービス売上が伸び悩み、また、テナント賃貸事業で新型感染症のワクチン接種会場としての利用が減少したことなどが響きました。
これらの結果、不動産事業の営業収益は1,312,373千円と、前期に比べ26,339千円増加(前期比2.0%増)となりました。また、営業利益は91,749千円と、前期に比べ28,601千円減少(前期比23.8%減)となりました。
(その他のサービス事業)
保険代理店事業は、前期比で増収となりましたが、人件費やその他経費の増加が利益を下押ししました。
これらの結果、その他のサービス事業の営業収益は366,968千円と、前期に比べ21,254千円増加(前期比6.1%増)となりました。また、営業利益は69,900千円と、前期に比べ214千円減少(前期比0.3%減)となりました。
第17期中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
a.流通事業
流通事業は、食品スーパー「デリシア」51店舗(フランチャイズ含む)と業務商品主体の「業務スーパー・ユーパレット」9店舗を運営しており、合計で60店舗を展開しております。これらに加え、マルチチャネル戦略として、移動販売「とくし丸」34台やネットスーパー18拠点、セルフ型無人決済店舗を1店舗展開しており、顧客基盤とマーケット及びチャネルの拡大を推進しております。また、既存店舗を業態変更し生鮮構成比を高めた新カテゴリーの「ミールズ店舗」を2023年度以降2店舗オープンし、新コンセプト店舗展開を開始しております。当中間連結会計期間は、商品価格の見直しによる単価の上昇等が貢献し、前年同期比で増収となりました。一方で、生鮮相場の高騰等の仕入原価の上昇や人件費の増加等が利益を下押ししました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益38,337,238千円(前年同期比2.5%増)、営業利益944,034千円(前年同期比5.8%減)となりました。
b.運輸事業
バス事業は、上高地や白馬等の県内観光地への輸送を担う観光系路線を中心に国内外からの旺盛な需要取り込み及び運賃改定(2024年4月)により、前年同期比で増収となりました。
タクシー事業は、市街地での利用回復や観光需要の取り込み、運賃改定(2023年9月)、乗合部門の受託拡大により前年同期比で増収となりました。
鉄道事業は、観光需要の取り込みにより、前年同期比で増収となりました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益6,573,847千円(前年同期比8.2%増)、営業利益965,997千円(前年同期比99.5%増)となりました。
c.観光事業
ホテル・旅館事業は、松本市内5施設、諏訪市内1施設の全6施設において宿泊を中心に回復基調が継続し、前年同期比で増収となりました。
サービスエリア事業は、インバウンド客やツアー客の立ち寄り増加により営業収益を伸ばしました。
旅行事業は、海外旅行が復活する等ツアー募集が好調で出張・団体旅行等の法人需要も回復し、前年同期比で増収となりました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益6,422,901千円(前年同期比6.7%増)、営業利益569,690千円(前年同期比18.5%増)となりました。
d.不動産事業
別荘分譲地管理事業の分譲区画販売及びテナント賃貸事業も好調に推移しました。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益782,862千円(前年同期比25.6%増)、営業利益は130,090千円(前年同期比383.5%増)となりました。
e.その他のサービス事業
保険事業は、前年同期比で増収となりましたが、人件費やその他経費の増加が利益を圧迫しております。
この結果、当中間連結会計期間の業績は、営業収益は299,759千円(前年同期比65.4%増)、営業利益は31,021千円(前年同期比3.7%減)となりました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。