第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 当第1四半期連結累計期間(自2024年3月1日至2024年5月31日)における日本経済は、2024年1~3月の実質GDP成長率が年率換算2.9%減と、個人消費や住宅投資のマイナス等から全体の成長率としては低迷した結果となりましたが、設備投資については底堅い状況が続いており、日銀短観の2024年6月調査においても、2024年度の設備投資計画について前回3月調査から上方修正されるなど、今後も企業の投資意欲は高い水準を維持することが見込まれます。

 企業サイドにおいては、業務効率の向上や省人化へ向けたDX化への取り組みが継続して行くことが予想されるのに加え、消費者サイドでも新しい生活様式へ向けたDX化の受容が進む中で、AIやIoTの技術革新の進展とも相俟って、教育、健康、医療、決済、行政、エンターテインメント等のあらゆる領域でのDX化の推進が企業、自治体、政府等によって進んで行くものと見られ、社会全体のDX化の進行は今後も継続、拡大して行くものと予想されます。

 こうした状況の中、当社グループにおいては、昨年10月に2028年2月期を最終年度とする中期経営計画を発表し、従来の受託系事業中心の事業構造から、自社事業拡大による収益性向上へと軸足を移す事業構造へのシフトを推進しており、当年度においては「新たな事業構造へのシフト」と「増収増益」という両軸を実現すべく取り組んでいます。当第1四半期においては、新作ゲームソフト、IoTデバイスのODM、AI&クラウドソリューション等の現行主力事業において利益を確保しつつ、自社事業への先行投資継続による売上高拡大を積極的に実施いたしました。具体的には、2024年1月から自社ヘルスケア事業の吸収分割および子会社化により構築したウェルネス分野の新事業体制“㈱Wellmira”のスタート、医療・介護分野の“KarteConnect”や酒販業界向け“スマはっちゅう”等、特定業種向けのDXサービス事業への取り組みの本格化、“OfficeBot”“AIdeaSuite”等のAI事業への取り組み拡大、デバイス分野における自社製品“aiwa”事業の強化等です。

 これらの結果、当第1四半期連結期間における当社グループの売上高は2,792,179千円(前年同期比53.7%増)、営業損失は42,337千円(前年同期は営業損失140,111千円)、経常損失は291千円(前年同期は経常損失94,284千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は30,628千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失71,099千円)となりました。なお、新たな経営指標として設定した調整後EBITDA(営業利益と減価償却費(のれんに係る償却費含む)及び為替差損益の合計額)については256百万円となり、年間計画1,000百万円に対して、25.6%の進捗となっています。

 

 セグメント別の事業動向については以下の通りです。

 

<ライフデザイン事業>

 当連結会計年度におけるライフデザイン事業の売上高は1,025,067千円(前年同期比149.8%増)、セグメント損失17,209千円(前年同期はセグメント損失6,917千円)となりました。

 ライフデザイン事業については、本年2月22日に国内で発売したNintendo Switch新作ソフト「クレヨンしんちゃん『炭の町のシロ』」の完全ローカライズ版の販売を、5月2日にアジア地域で開始いたしました。発売にあたっては、韓国や香港でコラボカフェやPopUpストアなどの発売前プロモーションを積極的に展開し、来場者多数のため入場制限を設けるほど大きな反響を得ておりましたが、販売実績についても週間販売ランキングが2週間連続で韓国1位、台湾でも2位となるなど、前作同様に大きな人気を博しており、大幅増収の要因となるとともに利益面でも大きく貢献いたしました。また、売上高については、ヘルスケア事業基盤の強化に向けて、前期にグループ化したAI健康アプリ「カロママプラス」事業を営む㈱リンクアンドコミュニケーション(現:㈱Wellmira)を、当第1四半期から損益計算書上で連結化したことも増収要因となっております。一方、損益面では、同社の損失算入に加え、医療・介護業界向けプラットフォーム「KarteConnect」、酒販業界向けDXサービス「スマはっちゅう」など、特定業種向けDXサービス事業等への先行投資を推進しており、同セグメント全体としては損失計上となりました。

 

<AI&クラウド事業>

 当連結会計年度におけるAI&クラウド事業の売上高は675,751千円(前年同期比21.0%増)、セグメント利益は52,368千円(前年同期比931.0%増)となりました。

 AIチャットボットについては、昨年5月から業界の中で逸早く自社製AIにOpenAI社のChatGPTを取り込んだ製品をリリース、その後もMicrosoftのAzure OpenAI service、Azure AI searchなど最先端の技術を取り込み継続的に製品の品質向上に努めており、増収を継続しています。2024年4月には、「AIsmiley AI PRODUCTS AWARD 2024 SPRING」チャットボット部門にてアワードを受賞いたしました。またAI分野の取り組み強化として、本年2月に企業毎のカスタマイズニーズに応じた生成AIの提供のベースとなるフレームワーク「AIdeaSuite」の提供を開始しており、汎用的なサービスである“OfficeBot”とあわせてAI分野の強化を図っています。

 ソリューション事業については、これまで収益性の低い一般受託開発の絞り込みを行ってまいりましたが、昨年度後半からAIプロダクト営業と連携したソリューション営業が功を奏しており、DX化を中心とした付加価値の高い分野でのソリューション提供を中心に、当期は前年同期で大幅な増収増益となりました。

 

<IoT&デバイス事業>

 当連結会計年度におけるIoT&デバイス事業の売上高は1,131,042千円(前年同期比29.7%増)、セグメント利益は34,018千円(前年同期はセグメント損失60,313千円)、為替差益を含めた実質セグメント利益は77,681千円(前年同期は実質セグメント損失17,307千円)となりました。

 IoT&デバイス事業については、ODM、aiwa事業ともに好調に推移し、前年同期比で増収増益となりました。

 DX化進展の中でIoTサービスの普及拡大は着実に進んでおり、これを背景に、ODM事業の受注・売上高は順調に拡大いたしました。また、受注時に為替予約を行う事で円安元高の為替変動の影響を抑え、円滑な受注・生産活動に繋げることが出来ました。自社製品aiwa事業については、主力事業であるAndroidタブレットPCの各種販売ランキングでは特に家電量販店を中心としたB2C販路にて複数機種が上位に定常的に入り、市場シェア拡大が進んでいます。また、WindowsタブレットPCに関しても教育系やサイネージ用途などのB2B販路の販売も拡大しました。同時に、ヘルスケア対応の集音器やアクションカメラ等、タブレットPC以外にも製品領域を拡げており、法人向け・個人向けの両市場で着実にプレゼンスが高まりつつあります。

 これに加え、当期においては、昨年後半より掲げてきた、中国工場におけるサプライチェーンの見直しや、内部工程や品質管理の向上に重点を置いた結果、継続製造製品等の生産通過率が向上し、収益性が大きく改善しました。

 

 なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントを変更しており、前年同期比較については、変更後のセグメント区分に基づき作成した数値で比較しております。

 また、セグメント別の事業動向に記載の各セグメントの売上高については、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加えた金額を記載しております。詳細は、「注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(2)財政状態の分析

①資産

 当第1四半期連結会計期間末における流動資産は6,079,501千円となり、前連結会計年度末に比べ19,630千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が597,144千円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が507,474千円、原材料が71,894千円減少したことなどによるものです。固定資産につきましては、有形固定資産が14,067千円、投資その他の資産が21,626千円増加したものの、無形固定資産が139,698千円減少したことにより、前連結会計年度末に比べ104,004千円減少し、3,906,994千円となりました。この結果、総資産は9,986,496千円(前連結会計年度末は10,110,131千円)となり、前連結会計年度末に比べ123,634千円減少いたしました。

 

②負債

 当第1四半期連結会計期間末における負債合計は3,707,347千円(前連結会計年度末は3,767,031千円)となり、前連結会計年度末に比べ59,683千円減少いたしました。これは主に契約負債が317,687千円増加したものの、賞与引当金が140,441千円、借入金が総じて158,883千円減少したことなどによるものです。

 

③純資産

 当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は6,279,149千円(前連結会計年度末は6,343,099千円)となり、前連結会計年度末に比べ63,950千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する四半期純損失の計上や配当金の支払いなどにより利益剰余金が減少したことなどによるものです。

 

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社は、新規サービス提供のための開発に継続して取り組んでおります。なお、当第1四半期連結累計期間におきましては、IoT&デバイス事業において20,540千円の研究開発費を計上しております。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。