第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。

 (経営方針)

 多くの従業員が働きがいを持てば、その企業は安定的に高い顧客満足度と業績成果を生み出せます。その結果、従業員の更なる成長に向けた教育や福利厚生の充実等に投資が回り、より一層の働きがい(従業員満足)に繋がる好循環サイクル、SPCが形成されます。

 当社グループは、顧客企業において、このSPC経営を実現することで、従業員と消費者、消費者と企業、企業と従業員を最適に結び付けるサービス提供を通じ、「精神的に豊かな社会の創造」に貢献することをミッションとしております。

 その実践のために「社員第一主義」、「顧客中心主義」、「社会的に価値ある事業を行う」という3つの経営指針を設けており、これらの指針に基づき顧客企業に対して調査からコンサルまでの各種サービスを提供してまいります。

 

 (経営環境)

 当社グループの顧客であるサービス業を取り巻く経営環境は、家計消費の低迷や人手不足等により依然として厳しいため、当社グループにおいても事業拡大に向けては、相応の努力を要する状態がしばらくの間続くものと思われます。

 しかしながら、同時に、当社グループに期待される使命や役割は、より一層大きなものとなるため、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現を目指し、価格競争から付加価値競争への脱却・人手不足問題への対応をはじめとした顧客企業の経営課題解決に繋がる効果的な支援を行ってまいる所存であります。

 

 (対処すべき課題)

 当社グループは、様々な業種への拡大と浸透、従来よりも難度の高い調査への対応力強化によって、基幹サービスである一般消費者(モニター)による顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(MSR)」の着実な成長を目指しております。また、人手不足の深刻化を背景として急速にニーズが増えつつある従業員満足度調査「サービスチーム力診断(STAR)」を第2のサービスの柱として成長させることを企図しております。

 それらの取組みにより、顧客企業におけるサービスプロフィットチェーン(SPC)経営の実現を支援するとともに、当社グループが掲げる経営理念「精神的に豊かな社会の創造」の実現に向け、更なる経営の安定化を進めるべく、以下の6項目について重点的に取り組んでまいります。

 

(1) モニターの囲い込みと拡充

 当社グループは、日本全国に51万人のモニターを保有し、幅広いエリアや属性をカバーしておりますが、一方で顧客ニーズも徐々に多様化しており、それらを満たす将来的なモニターの量の十分性には課題があると考えております。例えば、モニターの少ないエリアに出店しているナショナルチェーン等の調査や、モニター自身が会員として数カ月間に亘るサービスを体験したうえでレポートを記入するといった調査など、以前にはない難度の調査が求められるケースもございます。

 そのため、今後は効果的な広告宣伝等の実施により当社グループの認知度・信用力向上を図り、登録モニター数の拡充に注力することで、今後もより多様化の進むであろう顧客ニーズを満たすモニター基盤の形成に努めてまいります。

 

(2) レポートの品質向上

 当社グループでは、標準的に1レポート当たり7問程度のフリーアンサー設問を設けており、1問当たり200~300字程度のコメントが記載されるため、全体で1,400~2,100字程度の「お客様の生の声」が届けられますが、自店のサービス向上を念頭に、顧客企業の店舗スタッフが自発的な改善アクションを検討・実行するには、何より正しい評価とその評価理由が明確に伝わるレポートが求められています。今後もより一層有効にレポートを活用いただく上で、レポート品質の向上ならびにその担保が引き続いての課題と認識しております。

 そのため、今後も、レポート評価結果に関するモニターへのフィードバック内容の充実、モニター向けレポート作成方法やレポートチェッカー向けレポートメンテナンス方法のeラーニングコンテンツ化など、レポート品質の向上ならびにその担保に資する仕組みの充実に努めてまいります。

 

(3) 既存業種の深耕と新規業種への参入

 当社グループの顧客は、外食、小売、自動車、美容、レジャーなどを中心として多岐に亘っておりますが、更なる成長に向けては、これらに加え、金融、宿泊、行政(公共機関)等においても一層の取引深耕を図っていくことが課題と考えております。また、非店舗ビジネスである宅配、通販といった業種にもサービス向上を目的とした調査ニーズは存在していると思われますので、こうした業種への参入も課題であると認識しております。

 そのため、今後は総合的なマーケティングへの投資をこれまで以上に積極化することで、MSR、STAR双方について、様々な業種からの受注拡大、さらにはクロスセルの拡大に努めてまいります。

 

(4) 成長に伴う人材の確保・教育

 当社グループは、今後もミステリーショッピングリサーチ事業を成長のエンジンとして拡大していくことを志向しており、その支えとなっているものが、主にSPC経営の実現に向け、MSR及びSTARをその仕組みの中心に据えた経営システムのインフラ構築と定着化に関するコンサルティング・研修(コンサル)であると捉えております。しかしながら、経営システムのインフラ構築と定着化をトータルコーディネートできる人材の育成には相応の時間がかかるため、MSR及びSTARの商品力強化と成長に合わせたコンサルニーズの増加に対応できる人材を確保・育成することが課題と認識しております。また、場合によっては、MSRの成長に合わせてレポート生産管理を行う人材、サービス提供の礎である自社開発システムを支える人材ならびに調査データの高度な統計解析を担う人材の確保・育成も課題となるであろうことが想定されます。

 そのため、今後は以上のような人材の確保・育成が成長のボトルネックとならないよう、顧客ニーズの動向を注視しながら、それに見合った人材確保と適正配置、ならびに早期の成長を期待できるOJT機会の充実に努めてまいります。

 

(5) サービスの付加価値向上

 顧客ニーズの多様化を背景として、覆面調査市場で展開される各社サービスの価格・機能別の棲み分けが進んでいるため、競合他社の動向を注視しながら、当社の提供する各種サービスの差別化を図っていくことが課題と認識しております。

 そのため、顧客企業の店舗スタッフ個々の私有デバイスからレポートを閲覧し、そこから得た気付きを瞬時に発信・共有できるスマートフォンアプリ及びWEBサイト「MSナビ」を、今後は各種サービスのプラットフォームと位置付け、MSR結果、STAR結果をはじめ、業種別、顧客企業別、店舗別、個人別に取得するデータ領域を拡大することで、新たな機能の開発ならびに連携・強化を行い、中期経営計画(2020年2月期‐2024年2月期)に掲げる「SPC経営ダッシュボード(仮称)」へと進化させることで、サービスの付加価値向上を目指してまいります。また、コンサルにおいては、MSRによって得た「お客様の生の声」、STARによって得た「店舗スタッフの働きがいの状況」をもとに顧客店舗での改善活動を行い、従業員満足度や顧客満足度の向上、ひいてはリピート客の増加等による業績向上に繋げるノウハウ「HERBプログラム」の開発やブラッシュアップを継続して行う一方、公募型オープン研修の「店長塾」や顧客企業との共創による活用セミナーなどによりノウハウ受講者の拡大を図ってまいります。

 

(6) 海外事業における顧客基盤の拡大と収益のストック化

 ここ数年、アジアを中心に海外展開を図る顧客企業からMSRを現地にて実施したいとのニーズが増え、日系企業の進出が著しいタイと台湾にて、各国に進出している日系企業や現地企業からのオーダーに基づき、MSRやHERBプログラムのサービス提供を開始しておりますが、両国での事業展開においては、継続的にMSRを実施できる顧客基盤の拡大と収益のストック化を図っていくことが当面の課題と認識しております。

 そのため、既存案件の積み上がりによる収益のストック化が徐々に図られつつあるタイ・台湾では、それぞれ2019年12月期、2020年2月期において両社ともに下期黒字となりました。発掘ルートの多様化による新規案件の増注や人的資源の投下などに取り組み、可能な限り早期の通期黒字化を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの業績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしも事業等のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努力する方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではなく、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) モニターの確保について

 当社グループのミステリーショッピングリサーチ事業を成長させていくに当たり、求められる調査地域に求められる属性のモニターを擁するためには、日本国内の各都道府県及びサービスを展開しているタイ及び台湾におけるモニターを需要とマッチした適正人数まで増加させていく必要性が生じます。そのため、効果的な広告宣伝等の実施により、適切にモニター数の拡充を図りつつ多様化する顧客ニーズへの対応に努めてまいりますが、需要の急激な増加、求められる調査地域やモニター属性の偏り等により、顧客ニーズに適合したモニターが十分に確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合との価格競争による粗利益率低下リスクについて

 現在、ミステリーショッピングリサーチ事業全体としての粗利益率は堅調な推移を継続しておりますが、同業他社との競合が激化傾向にある業種では値引き要請を受けることもあり、そのような業種の顧客企業に対する業績依存度が高くなると、粗利益率低下リスクが生じる可能性があります。

 

(3) システム開発及び改善・保守について

 当社グループでは、MSR、STAR及びMSナビにおいて、自社開発による各種システムを活用しております。

 今後もサービスの拡充、品質の向上及び業務の効率化等を図るため、システム開発及び改善、保守に関わる投資を積極的に行ってまいります。しかしながら、これらに想定外の遅れやトラブル等が発生した場合、関連コストが増大するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 情報セキュリティについて

 当社グループでは、MSRを運用するにあたりモニターに係る大量の個人情報を保有しております。また、コンサルやMSナビを提供する過程で必要となる顧客企業の機密情報等も多く保有しております。これらの情報に対するコンピュータウィルスやハッカー攻撃、外部からの不正アクセスや、社内管理体制の瑕疵、当社グループ従業員の故意又は過失等による情報漏えいが発生した場合、当社グループのブランドイメージや社会的信用の低下、対応費用の発生、当社に対する損害賠償請求、当社グループのサービスに対する報酬の減額等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、個人情報や機密情報の保護に関する国内外の法令等が改正される場合には、これに対応するためのシステムの改修や業務方法の変更に係る費用等の発生により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。

 

(5) システム障害について

 当社グループは、MSR、STAR及びMSナビにおいて、調査の実施、レポートの生産、調査結果の納品や分析、改善活動を促すeラーニングコンテンツの提供等のために情報システムやインターネット等を利用しております。

 そのため、自然災害、火災や停電等の事故、プログラムやハードの不具合、コンピュータウィルスやハッカー攻撃、外部からの不正アクセス等により、システム障害が発生した場合、当社グループの業務やサービス提供の停止、重要なデータの喪失、当社グループのブランドイメージや社会的信用の低下、対応費用の発生、当社グループのサービスに対する報酬の減額等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材の確保及び育成について

 当社グループにおいては、コンサルティング、生産管理、システム開発ならびに統計解析業務に携わる人材の確保・育成が不可欠となっておりますが、そのような人材の確保・育成ができない場合またはそのような人材が社外に流出した場合には、当社グループの業務運営や経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 提供する情報等の正確性について

 当社グループのサービスにおいて、顧客企業に対して提供する情報または分析の真実性、合理性及び正確性は非常に重要であります。

 したがって、当社グループが分析のために収集した情報に誤りが含まれていたこと等に起因して顧客企業に対して不正確な情報を提供する場合や、不正確な情報を提供していると誤認される場合には、当社グループの受注案件数の減少、ブランドイメージや社会的信用の低下、当社グループに対する損害賠償請求、当社グループのサービスに対する報酬の減額等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法的規制について

 当社グループの基幹事業であるミステリーショッピングリサーチ事業においては、モニターとの間で契約書面は存在せず、全てウェブ上でのモニター会員登録を通じて業務委託契約に準ずる契約が締結されており、弁護士等の法律の専門家と相談の上、社内管理体制を構築することで法令遵守に努めております。しかしながら、今後の法改正又は新たな法令制定が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 個人情報の管理について

 当社グループは、モニターの個人情報を有し、日常業務にて個人情報に接するため、その取扱いについては個人情報保護法並びに日本工業規格「JIS Q 15001 個人情報保護マネジメントシステム – 要求事項」を踏まえ、十分な管理体制を構築し、一般財団法人日本情報経済社会推進協会よりプライバシーマークを取得しております。

 個人情報の保護に関する基本方針を作成し、当社グループが運営するモニター専用サイトに掲載しているほか、情報に触れる従業員に対して、個人情報保護規程及び関連マニュアルに基づき、その取扱いについて教育・研修を実施しておりますが、仮にモニター情報が外部に流失した場合には、漏えいに対する損害賠償請求がなされる、当社グループの信用が毀損しモニター確保が難しくなる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 経済・市場環境による顧客企業の投資意欲等の影響について

 当社グループの事業は、その業容上、顧客企業による教育研修に対する投資動向に一定の影響を受けます。当社グループは市場の動向を把握し対応をしておりますが、経済情勢の変化及び景気低迷により、市場における投資意欲が減少した場合は、新規顧客開拓の低迷や既存顧客からの受注減少、中途解約の増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 契約が短期間となる又は利用期間が後ろ倒しされるリスクについて

 MSRのサービス提供を行う際に、顧客企業との間で利用期間を設定し契約を締結しておりますが、MSRの利用規約上、3ヶ月前の申し入れにより、顧客企業の意思に従って中途解約がなされる又は利用期間が後ろ倒しされる場合があります。当社グループとしては、できる限り顧客企業にMSRの利用契約を継続又は契約時の利用期間どおりに実施いただけるよう、充実したカスタマーサポートの提供、顧客ニーズを反映したサービスやシステムの改善、ならびに営業活動を通じた顧客ニーズの継続的な把握に取り組んでおります。しかしながら、万が一中途解約又は利用期間の後ろ倒しが急激に増加した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 知的財産権について

 当社グループの事業分野における他社の知的財産権の保有や登録等の状況を把握することは困難であり、当社グループが意図せず第三者の特許権等を侵害する可能性や、今後当社グループの事業分野において第三者の特許権等が新たに成立し、当社グループを当事者とする知的財産権の帰属等に関する紛争が生じたり、当社グループが知的財産権の侵害等に関する損害賠償や使用差止等の請求を受けたりする可能性があります。

 また、当社グループが第三者と提携や合併等を行うことにより、当該第三者が締結している契約に基づく知的財産権に係る制約を受けたり、第三者に対する新たな対価支払いを強いられたりする可能性もあります。

 これらの結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 海外事業展開について

 当社グループは、海外市場の動向に細心の注意を払い、適切な対応を図るよう努めておりますが、政情不安、通関業法・税制等の法制度の変更、金融・輸出入に関する諸規制の変更、ストライキ、テロ、暴動、人材確保の難航及び社会環境における予測し得ない事態等の発生によって、事業計画に遅延が起きた場合、また、適切な対応ができず当社グループの信用及び企業イメージの失墜等により顧客企業が減少した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 総資産に占めるのれんの割合が高いことについて

 当社グループは、非流動資産にのれんを計上しており、総資産に占める割合が高くなっております。当社グループはIFRSに基づき連結財務諸表を作成しているため、毎期の定期的な償却は発生しませんが、のれんの対象となる事業の収益力が低下し、減損損失を計上するに至った場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 13. のれん及びその他の無形資産」をご参照ください。

 

(15) 単一事業であることのリスクについて

 当社グループは、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一事業であり、顧客企業において経済情勢の不調等により教育研修に対する投資が抑制されるなど、当該市場環境が冷え込んだ場合、その影響を大きく受け、他の事業分野で挽回するといった対応が取れず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 災害等による影響について

 大規模な地震・風水害・津波・大雪・新型インフルエンザ等の感染症の大流行等の自然災害や、火災・暴動・テロ・国際紛争・戦争等の人災が発生した場合、当社グループの本社の建物や設備等が被災し、従業員の出勤や業務遂行に支障が生じ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 特に、これらの災害等により、当社グループの業務に必要なシステムやインターネット等のネットワーク環境の使用ができなくなる場合や、調査のためのモニターの確保ができなくなる場合は、当社グループの業務遂行等が極めて困難となる結果、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、災害等によって当社グループの顧客企業に被害等が生じる場合や、経済状況等の低迷が発生する場合にも、当社グループの受注案件数の減少等により、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 内部管理体制について

 当社グループは、従業員133名(2020年2月29日現在)と組織が小さく、内部管理体制も当該規模に応じたものになっております。事業の拡大に合わせ、今後も引き続き積極的に人員の増強、内部管理体制のより一層の充実を図る方針でありますが、人材の獲得及び管理体制の強化が順調に進まなかった場合には、事業等のリスクに対して適切かつ十分な組織的対応ができず、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 訴訟その他の対応について

 当社グループは、その事業の過程で、各種契約違反や労働問題、情報漏洩等に関する問題等に関し、顧客企業、取引先、従業員、競合他社等により提起される訴訟その他法的手続の当事者となるリスクを有しております。当社グループが訴訟その他の法的手続の当事者となり、当社グループに対する敗訴判決が言い渡される、または当社グループにとって不利な内容の和解がなされる場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態、評判及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 財務報告に係る内部統制について

 当社グループでは、財務報告の信頼性に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして位置付け、グループを挙げて管理体制等の点検・改善等に継続的に取り組んでおりますが、内部統制報告制度の運用開始後、当社グループの財務報告に重要な不備が発見される可能性は否定できず、また、将来にわたって常に有効な内部統制を整備及び運用できる保証はありません。

 さらに、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、当社グループの財務報告に係る内部統制が有効に機能しない場合や、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発生する場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 新株予約権の行使による株式価値希薄化について

 当社は、役員及び従業員に対する長期的なインセンティブとしてストック・オプション制度を導入しております。

 今後もストック・オプション制度の活用を予定しており、現在付与している新株予約権に加えて、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は433,100株であり、発行済株式総数4,415,000株の9.8%に相当します。新株予約権の詳細は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

(21) 配当政策について

 当社は、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針でありますが、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、米中貿易戦争などによって世界経済が減速する中で実施された消費増税によって、10-12月期の実質GDPが年率換算7.1の減少(前期比:2次速報値)、より実感に近いとされる名目GDPも年率換算5.8%の落ち込みとなるなど景気の低迷が顕著になりました。さらに2月下旬からは新型コロナウィルス感染者の増加に伴う自粛の拡大が加わり、当社の主要顧客である外食・小売などのサービス産業を取り巻く環境は大変厳しくなっております。

 このような環境下、当社グループの基幹サービスである顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ(以下、MSRという。)」をはじめとしたミステリーショッピングリサーチ事業は、前連結会計年度と比較し、国内の売上収益が11.6%減となりました。

 これは、2019年5月22日付け「決算期(事業年度の末日)の変更及び定款の一部変更並びに決算期変更に伴う業績予想の修正及び中期経営計画の数値計画の修正に関するお知らせ」にて開示の通り、決算期変更の経過期間となった当連結会計年度が2019年4月1日から2020年2月29日までの11ヶ月間となったことによるものです。同時に開示しております当連結会計年度(11か月間)の業績予想については、親会社の所有者に帰属する当期利益において業績予想を達成しております。

 MSRは、前連結会計年度と比較し、国内の調査数で8.5%減、国内の売上収益で13.6%減となりました。しかしながら、業績予想の前提となっている予算(国内のものを指す。以下同様。)との兼ね合いにおいては、調査数が想定を下回ったものの、調査単価は想定を上回ったことで、売上収益は概ね予算通りの着地となりました。

 また、MSRの活用を総合的にサポートするためのコンサルティング・研修(以下、コンサルという。)は、前連結会計年度と比較し、国内の売上収益で1.7%増となりました。中でも、サービス業に特化した従業員満足度調査であるサービスチーム力診断(以下、STARという。)は、調査店舗数が大幅に増加するとともに、収益化が伸展したことで、国内の売上収益で39.5%増となりました。しかしながら、受注リードタイムの遅れにより当期受注が想定を下回ったこと、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う集まりや外出の自粛要請等によりコンサル・研修や一部の調査が中止となったことで、売上収益は予算を下回る着地となりました。

 一方、MSRの調査数に伴い売上原価も予算を下回ったこと、反対に1調査あたりの粗利は上昇したことなどによって、売上総利益率が想定を上回り、親会社の所有者に帰属する当期利益において業績予想を達成する結果となりました。

 生産面では、安定的なレポート生産体制の維持と生産コストの抑制に取り組む一方、更なるレポート品質の向上を目的として当社ビジネスを支えるモニターとのリレーション強化に取り組んでおります。

 管理面では、中期経営計画(2019年5月9日開示)に基づくSTAR等の商品力強化やシステムセキュリティ強化に伴う賃借料ならびに広告宣伝費等が増加しました。他にも、国際会計基準(IFRS)第16号「リース」におけるリースに関する会計処理の改訂に伴い、当社の会計処理を変更した結果、減価償却費等が増加したことで、前連結会計年度と比較し、販売費及び一般管理費は3.9%増となりました。しかしながら、業務効率化の推進及び新型コロナウィルスの感染拡大に伴う販促活動や移動の自粛に努めたこと等により、広告宣伝費や旅費交通費等が抑制され、予算を下回る着地となっております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ282,840千円減少し、3,813,717千円となりました。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ68,735千円減少し、710,420千円となりました。

 当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末に比べ214,104千円減少し、3,103,297千円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上収益2,528,351千円(前期比11.6%減)、営業利益320,802千円(同43.1%減)、税引前利益319,445千円(同43.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益223,182千円(同43.6%減)となりました。

 なお、当社グループはミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて282,580千円減少し、532,112千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれら要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による収入は、241,010千円(前期比170,171千円減)となりました。これは、税引前利益319,445千円、減価償却費及び償却費の計上65,496千円、営業債権及びその他の債権の減少額75,529千円、営業債務及びその他の債務の減少額34,424千円、法人所得税の支払額176,563千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による支出は、50,312千円(前期比24,119千円減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出9,515千円、無形資産の取得による支出40,819千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による支出は、473,045千円(前期比323,422千円増)となりました。これは、自己株式の取得による支出399,964千円、配当金支払による支出84,217千円、長期借入金の返済による支出54,207千円、短期借入金の純増額50,000千円、株式の発行による収入50,370千円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループでは、販売実績のほとんどが生産実績であることから、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントで示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年2月29日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ミステリーショッピングリサーチ事業

2,383,667

75.3

1,000,339

74.5

合計

2,383,667

75.3

1,000,339

74.5

 (注)1.当社グループの事業は、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.IFRSに基づく金額を記載しており、千円未満は四捨五入して記載しております。

4.受注残高には、翌連結会計年度に売上収益となる見込みの金額を記載しております。

5.子会社においては、受注から納品までの期間が短いため、上記金額に含めておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントで示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年2月29日)

前年同期比(%)

ミステリーショッピングリサーチ事業

2,528,351

88.4

合計

2,528,351

88.4

 (注)1.当社グループの事業は、ミステリーショッピングリサーチ事業の単一セグメントであります。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.IFRSに基づく金額を記載しており、千円未満は四捨五入して記載しております。

4.主要な販売先については、いずれも100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに基づき作成しております。重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載しております。

 連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りが必要であります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ282,480千円減少し、3,813,717千円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ348,281千円減少し、1,346,900千円となりました。これは現金及び現金同等物が282,580千円、営業債権及びその他の債権が75,504千円減少したこと等によるものであります。

 非流動資産は、前連結会計年度末に比べ65,441千円増加し、2,466,817千円となりました。これはその他の無形資産が24,712千円、IFRS第16号「リース」の適用により使用権資産が44,514千円増加したこと等によるものであります。

(負債合計)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ68,735千円減少し、710,420千円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ57,701千円減少し、687,709千円となりました。これは営業債務及びその他の債務34,695千円、未払法人所得税等が75,707千円減少、借入金が12,429千円、IFRS第16号「リース」の適用によりリース負債が38,987千円増加したこと等によるものであります。

 非流動負債は、前連結会計年度末に比べ11,035千円減少し、22,711千円となりました。これは非流動負債の借入金16,636千円の減少等によるものであります。

(資本合計)

 当連結会計年度末における資本は、前連結会計年度末に比べ214,104千円減少し、3,103,297千円となりました。

 これは自己株式の消却等による資本剰余金の減少375,852千円、配当金支払による利益剰余金の減少84,217千円、当期利益の計上220,501千円、資本金の増加25,185千円等によるものであります。

 

b.経営成績の分析

(売上収益)

 MSRは、前連結会計年度と比較し、国内の調査数で8.5%減、国内の売上収益で13.6%減となりました。しかしながら、業績予想の前提となっている予算(国内のものを指す。以下同様。)との兼ね合いにおいては、調査数が想定を下回ったものの、調査単価は想定を上回ったことで、売上収益は概ね予算通りの着地となりました。

 また、MSRの活用を総合的にサポートするためのコンサルティング・研修(以下、コンサルという。)は、前連結会計年度と比較し、国内の売上収益で1.7%増となりました。中でも、サービス業に特化した従業員満足度調査であるサービスチーム力診断(以下、STARという。)は、調査店舗数が大幅に増加するとともに、収益化が伸展したことで、国内の売上収益で39.5%増となりました。しかしながら、受注リードタイムの遅れにより当期受注が想定を下回ったこと、新型コロナウィルスの感染拡大に伴う集まりや外出の自粛要請等によりコンサル・研修や一部の調査が中止となったことで、売上収益は予算を下回る着地となりました。

 この結果、当連結会計年度の売上収益は、2,528,351千円(前期比11.6%減)となりました。

(売上原価、売上総利益)

 売上原価については、1,505,613千円(前期比6.3%減)となりました。これは、2019年5月22日付け「決算期(事業年度の末日)の変更及び定款の一部変更並びに決算期変更に伴う業績予想の修正及び中期経営計画の数値計画の修正に関するお知らせ」にて開示の通り、決算期変更の経過期間となった当連結会計年度が2019年4月1日から2020年2月29日までの11ヶ月間となったことにより、モニターに対する謝礼原価やレポートチェックの外注委託費が減少したためであります。

 この結果、売上総利益は1,022,738千円(前期比18.3%減)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業損益)

 販売費及び一般管理費については、707,403千円(前期比3.9%増)となりました。これは、中期経営計画(2019年5月9日開示)に基づくSTAR等の商品力強化やシステムセキュリティ強化に伴う賃借料ならびに広告宣伝費等が増加したためであります。他にも、国際会計基準(IFRS)第16号「リース」におけるリースに関する会計処理の改訂に伴い、当社の会計処理を変更した結果、減価償却費等が増加したためであります。

 しかしながら、業務効率化の推進及び新型コロナウィルスの感染拡大に伴う販促活動や移動の自粛に努めたこと等により、広告宣伝費や旅費交通費等が抑制され、予算を下回る着地となっております。

 その他の収益は10,918千円、その他の費用は5,451千円発生しており、この結果、営業利益は320,802千円(前期比43.1%減)となりました。

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 金融収益は59千円、金融費用は1,416千円発生しており、法人所得税費用98,943千円等を差し引いた結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は223,182千円(前期比43.6%減)となり、親会社の所有者に帰属する当期利益において業績予想を達成する結果となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 当社グループはキャッシュ・フローを重視した財務戦略を進めており、設備投資資金についても投資効率性などを分析したうえで、原則として営業活動から得た収入を充当していく方針であります。

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

親会社所有者帰属持分比率(%)

81.5

82.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.2

0.3

インタレスト・カバレッジ・レシオ

611.0

168.5

(注)親会社所有者帰属持分比率:(親会社の所有者に帰属する持分)÷(総資産)

  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:(有利子負債)÷(営業キャッシュ・フロー)

  インタレスト・カバレッジ・レシオ:(営業キャッシュ・フロー)÷(利払い)

 1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

 2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

 4.利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

(のれんの償却に関する事項)

 日本基準において、のれんの償却についてはその効果の及ぶ期間を見積り、その期間で償却することとしておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べ、当連結会計年度の連結包括利益計算書の「販売費及び一般管理費」が127,410千円減少しております。

 

(4) 経営成績等に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制、同業他社等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向及び業界動向に注視しつつ、コンサル、生産管理、システム開発、統計解析業務に携わる人材ならびに経営管理業務に携わる人材を確保・育成し、事業体制の強化はもとより管理体制の整備を進め、社会及び顧客のニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。