第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度は、世界的に金融緩和状態が続くなか、米国を筆頭に経済が回復基調に転じたことから、多額の資金が株式市場に流入し、株価が大きく上昇した1年となりました。

世界の期待を集めたのは、インターネット等を活用した新しいビジネスモデルや、人工知能等の新しい技術の開発・実用化に取り組む企業です。これらのイノベーションは、徐々に我々のライフスタイルを変えつつあります。

ヘルスケア分野においても、新しい技術への取り組みが行われています。大塚グループでも、世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite®)」の商品化に成功しました。

このような経営環境下において、当社グループの当連結会計年度の売上高は1,239,952百万円(前期比3.7%増)となり、営業利益は104,181百万円(前期比3.0%増)、当期利益は114,387百万円(前期比22.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は112,492百万円(前期比21.5%増)となりました。

セグメントの業績は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

医療関連事業

ニュートラシューティカルズ

関連事業

消費者関連事業

その他の事業

調整額

連結

売上高

774,762

326,221

35,595

151,133

△47,759

1,239,952

営業利益

82,694

39,169

11,115

9,743

△38,541

104,181

 

① 医療関連事業

当社は、2018年度までの第二次中期経営計画において、抗精神病薬の「エビリファイ持続性水懸筋注用/Abilify Maintena」と「REXULTI」、バソプレシンV2受容体拮抗剤「サムスカ/JINARC」をグローバル3製品、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」を次世代製品の1つと位置づけ、中長期での持続的な成長を目指しています

◇日本

精神・神経領域では、抗精神病薬「エビリファイ」は、2016年4月の薬価改定において適用された市場拡大再算定と2017年6月以降、後発品発売の影響を受け、同剤の売上は前期比で減少となりました。持続性注射剤(月1回製剤)である「エビリファイ持続性水懸筋注用」は、処方の拡大により、売上が大幅に増加しています。ユーシービージャパンとコ・プロモーションを行っている抗てんかん剤「イーケプラ」は、高い有効性と安全性、使いやすさが専門医の評価を得て、処方数が順調に伸長しています。また、パーキンソン病とレストレスレッグス症候群の治療剤「ニュープロパッチ」も、2016年6月に発売した18㎎製剤が処方の拡大に寄与し、売上が増加しています

がん・がんサポーティブケア領域では、抗悪性腫瘍剤「アブラキサン」は、胃がんにおける用法・用量の拡大により、売上は前期比で増加しました。抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに対する標準療法の一つとしての位置づけを確立し、前期比で増収となりました。制吐剤「アロキシ」の売上は前期比で増加しました

循環器・腎領域では、「サムスカ」は経口水利尿薬として医療現場での価値訴求が奏功し、売上は前期比で大幅に増加しました。また、常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の唯一の治療剤としても、服用患者数の増加と高い継続率で腎臓の難病治療に貢献しています

消化器領域では、武田薬品工業とコ・プロモーションを行う酸関連疾患治療剤「タケキャブ錠」の処方が大幅に拡大しています

眼科領域では、ドライアイ治療剤の「ムコスタ点眼液UD2%」は製品コンセプトの訴求により増収となりました。また、2017年1月に緑内障・高眼圧症治療剤「ミケルナ配合点眼液」を発売し、処方拡大を続けています

診断領域では、インフルエンザ検査薬、ヘリコバクター・ピロリ関連製品の売上減少等が影響し、診断薬全体で減収となりましたが、2017年7月に「クイックナビTM-マイコプラズマ」、同年9月に「クイックナビTM-Flu2」を発売し、販売数量は伸長しています

臨床栄養領域では、2017年1月に新規処方で発売した高カロリー輸液「エルネオパNF輸液」の販売数量の伸長等が寄与し、臨床栄養全体で増収となりました

 

北米

「エビリファイ」の持続性注射剤(月1回製剤)「Abilify Maintena」は、製剤の利便性に対する認知の向上に加え、2017年7月の双極性障害の効能追加により、前期比で増収となりました。「REXULTI」は、2015年に米国で発売以降、統合失調症と大うつ病補助療法の2つの効能で処方数が伸長し、売上は大幅に増加しています。また、2017年4月にカナダで販売を開始し処方が拡大しています。神経疾患領域の薬剤開発に強みを持つ米国アバニア社の「NUEDEXTA」は、世界初で唯一の情動調節障害の治療剤としての評価が浸透し、売上は増加しています。「ロンサーフ」の売上は、前期比で減少しました。経口水利尿薬として販売する「サムスカ」は、価値訴求の強化により売上が増加しました。また、ADPKD治療剤「JINARC」は2015年にカナダで発売以降、順調に処方が拡大しています

◇その他

「Abilify Maintena」は欧州での処方が拡大し、売上は前期比で大幅に増加しました。「ロンサーフ」はセルヴィエ社とのライセンス契約のもと、2016年4月に製造販売承認を取得以降、販売国が順調に拡大しています。「サムスカ」は経口水利尿薬としての成長に加え、ADPKD治療剤「JINARC」としても承認国が増加しました。「サムスカ/JINARC」の販売国は日本・北米を含む世界で26カ国・地域に拡大しています

以上の結果、当連結会計年度の医療関連事業の売上高は774,762百万円(前期比2.9%増)、営業利益は82,694百万円(同10.1%減)となりました。

 

② ニュートラシューティカルズ関連事業

当社のニュートラシューティカルズ関連事業は、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性飲料・機能性食品等を中心に、グローバルに事業を展開しています

◇日本

水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、季節性要因に伴う市場の低迷*同様、販売数量は減少しましたが、乾燥時の水分補給や熱中症対策等の消費者に対するコミュニケーション活動により、市場シェアは伸長しています。炭酸栄養ドリンク「オロナミンC」は、食系栄養ドリンク市場が低迷するなか、積極的なコミュニケーション活動を継続し、販売数量は前期並に推移しました。「カロリーメイト」は、前年に発生した震災に係る一時的な需要増の反動等により4月に販売量が前期比で大きく減少しましたが、年間では前年比で増加し、栄養バランス食品市場においてトップシェアを維持しています。また、2016年5月にラインアップを拡充した「カロリーメイト ゼリー」は、バランス栄養食の新しい形態としての製品価値が浸透し、順調に成長しています。大豆バー「SOYJOY(ソイジョイ)」は、前年4月に「SOYJOY クリスピー」3製品を発売した反動により前期比で販売数量が減少しましたが、2017年2月に発売した新製品「SOYJOYクリスピー ホワイトマカダミア」は、市場への導入が順調に進んでいます

◇北米

米国店頭販売No.1サプリメント*5である米国ファーマバイト社の「ネイチャーメイド」は、米国のサプリメント市場の拡大傾向*6も相まって、売上は前期比で増加しました。また、米国フードステイト社の医療従事者向け販売チャネルを通じ、2017年10月よりエクオール含有食品「エクエル」の米国での販売を開始しました。2017年7月には、北米でプラントベース(植物由来)食品を開発・製造販売するデイヤフーズ社を買収しました

◇その他

欧州を中心に40カ国以上に事業展開するニュートリション エ サンテ社は、全体の売り上げは前年並みに推移しましたが、フランスの健康食品No.1ブランド*7「ジェルブレ」等の栄養・健康食品におけるグルテンフリー製品、ミートフリー製品、シュガーフリー製品は成長を続けています。2017年12月には本分野の強化を図るべく、フランスの有機食品メーカー BC BIO社を買収しました。アジアを中心に海外19カ国・地域で展開しているポカリスエットは、中国では販路の拡大や製品認知度の上昇に伴い販売数量が増加しましたが、インドネシアにおいて天候不順や景気後退等の影響を受け、海外全体の販売数量は前期比で減少しました

以上の結果、当連結会計年度のニュートラシューティカルズ関連事業の売上高は326,221百万円(前期比4.7%増)、営業利益は39,169百万円(同20.5%増)となりました。

 

*1:インテージSRI 2017/1-12 -10.3 % 無断転載禁止

*2:インテージSRI 2017/1-12 38.4 % 無断転載禁止

*3:インテージSRI 2017/1-12 -6.8 % 無断転載禁止

*4:インテージ SRI 栄養バランス食品(種別:クッキー・ビスケット、シリアル、ケ-キ)市場2017/1-12 31.8% 無断転載禁止

*5:ⓒ2018, The Nielsen Company, Scantrack service®, 米国xAOCチャネル2008-2017 無断転載禁止

*6:ⓒ2018, The Nielsen Company, 米国xAOCチャネル2017/12/30 2.7% 無断転載禁止

*7:IRI社 フランススーパー向け栄養食品市場調べ(2017年) 無断転載禁止

 

③ 消費者関連事業

ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、積極的なマーケティング戦略や営業活動等によるブランドの活性化に取り組み、販売数量は前期並に推移しました。「クリスタルガイザー」を中心とするミネラルウォーターは、新規ユーザー層拡大にむけた積極的なマーケティングを展開しましたが、通販チャネルにおける売上減少等により、販売数量は前期比で減少しました

以上の結果、当連結会計年度の消費者関連事業の売上高は35,595百万円(前期比0.4%増)、営業利益は11,115百万円(前期比103.9%増)となりました。国際会計基準(IFRS)の適用により、海外事業の持分利益が計上され、営業利益率は31.2%と高くなっていますが、既存事業については、引き続き効率化や組織の改革を継続しています

 

④ その他の事業

機能化学品分野では、水加ヒドラジンや発泡剤等の販売数量の伸長等により、売上は前期比で増加しました。ファインケミカル分野では、医薬品原薬及び中間体の販売数量の伸長等により、前期比で増収となりました

運輸・倉庫分野では、取扱数量が堅調に推移し、売上は前期比で増加しました。通販サポート事業と保険事業では、取扱件数の増加や契約件数増加等により、前期比で増収となりました

以上の結果、当連結会計年度のその他の事業の売上高は151,133百万円(前期比7.0%増)、営業利益は9,743百万円(同25.2%増)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は336,613百万円となり、前連結会計年度末より33,262百万円減少しました。これは、営業活動により獲得したキャッシュ・フロー102,832百万円が、投資活動により使用したキャッシュ・フロー△40,072百万円と、財務活動により使用したキャッシュ・フロー△94,537百万円の合計額を下回ったためです。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、102,832百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は、税引前当期利益103,712百万円、減価償却費及び償却費62,235百万円、減損損失及びその戻入益28,847百万円、持分法による投資利益△19,307百万円、その他営業活動によるキャッシュ・フロー△12,313百万円、法人所得税等の支払額△43,210百万円となっております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用したキャッシュ・フローは、△40,072百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△54,153百万円、投資の売却及び償還による収入74,409百万円、投資の取得による支出△48,416百万円、子会社の取得による支出△47,100百万円、定期預金の増減額59,679百万円となっております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用したキャッシュ・フローは、△94,537百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は、長期借入金の返済による支出△40,037百万円、配当金の支払額△54,861百万円となっております。

 

(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

(のれんの償却)

日本基準では、のれんは、その効果が発現すると認められる期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは、移行日以降、のれんの償却を行っておりません。

この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度11,900百万円、当連結会計年度12,723百万円減少しております。

 

(研究開発費の資産計上)

日本基準では、技術導入契約等の支出は、「研究開発費」として認識しておりましたが、IFRSでは、IAS第38号による無形資産の定義を満たすものについて資産化し、「仕掛研究開発」として無形資産に計上しております。当該資産は、未だ使用可能ではない無形資産であるため、償却をせず、減損テストを行っております。「仕掛研究開発」については、その後の期間に規制当局の許認可が得られ使用可能となった時点で「商標権及び販売権等」に振替を行い、その時点から見積耐用年数にわたり定額法で償却を開始しております

この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結財政状態計算書の「無形資産」が前連結会計年度56,287百万円、当連結会計年度68,001百万円増加しております。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医療関連事業

124,194

104.0

ニュートラシューティカルズ関連事業

132,972

105.0

消費者関連事業

16,172

106.3

その他の事業

64,443

107.2

合計

337,782

105.1

 (注)1.ニュートラシューティカルズとは、栄養「Nutrition」+薬「Pharmaceuticals」の造語であり、科学的根拠をもとに開発された医薬部外品や機能性食品及び栄養補助食品等を取り扱うセグメントです。

 2.金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 受注実績

 連結子会社は主として受注見込みによる生産方式をとっています。

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医療関連事業

774,762

102.9

ニュートラシューティカルズ関連事業

314,651

104.6

消費者関連事業

35,333

100.5

その他の事業

115,204

108.2

合計

1,239,952

103.7

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、企業理念である“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)の実現に向け、2018年度を最終年度とする第2次中期経営計画を策定し、具体的な取り組みを進めています。

 

<第2次中期経営計画の位置づけと主な施策>

第2次中期経営計画では、収益構造の多様化を確立し、投資の継続と構造改革による持続的成長を実践していきます。当社グループは、企業理念を軸に、オーガニック成長を基本としたトータルヘルスケアの考えのもと、人・技術・製品等を通じた事業機会の拡大に取り組み、世界の人々の健康に貢献する「なくてはならない」企業を目指します。

 

① コア治療領域フランチャイズの強化

医療関連事業では、コア治療領域と位置付ける中枢神経領域とがん領域におけるフランチャイズの強化を中心に、患者さんの未解決の課題を探求し、その解決策として、さまざまな新しい価値創造の実現を目指します。

・中枢神経領域では、「エビリファイ メンテナ」及び「レキサルティ」の医学的・商業的価値の最大化を加速します。従来より取り組みを続けてきた精神疾患領域の事業基盤を拡大するとともに、アバニア社の買収により強化された神経疾患領域の事業基盤を融合し、未充足な治療ニーズやアドヒアランスの課題に対する包括的な貢献に向け、中枢神経領域全体の戦略を深化させていきます。

・血液がん・固形がん・がんサポーティブケア領域まで幅広く事業を展開するがん領域では、メチル化阻害剤や新規分子標的薬のグローバル研究開発の推進、「ロンサーフ」の米国自社販売基盤の確立や、セルヴィエ社との欧州を中心とした販売提携など、創薬から販売に至るまでのグローバル事業基盤の拡大により、独創的な新薬の創生と製品の医学的価値の最大化に取り組んでいきます。

・バソプレシンV2受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」は、従来の水利尿薬としての成長に加え、これまで治療薬のなかった常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)に対する唯一の治療薬として、グローバルでの展開を進めていきます。

・日本国内は、第1次中期経営計画期間中に上市した新製品のさらなる成長に加え、第2次中期経営計画期間中に上市した新製品の早期育成に注力していきます。

・臨床栄養事業はアジアを中心とした海外展開、医療機器事業は治療ソリューションの多様化に注力していきます。

 

② ニュートラシューティカルズ関連事業の変革・構造改革と成長

・“健康寿命”をテーマとした研究開発の加速や、製品価値訴求型の販促活動に注力し、新製品を育成していきます。

・海外売上の拡大を目指し、アジアでは「ポカリスエット」、米国では「ネイチャーメイド」、欧州ではニュートリション エ サンテ社の栄養・健康食品の事業エリアを拡大していきます。

・長期的視野に立った持続的成長を目指し、製品や海外販路獲得を目的とした戦略的投資や、自社ブランドの積極的な海外展開を実施していきます。

・新製品の育成と海外展開を加速するためバリューチェーンを支える経営資産を見直し、収益構造の改革を目指します。

 

 主な施策の進捗は以下のとおりです。

 

・ 「エビリファイ メンテナ」は日本・米国・欧州で販売され、グローバルでの売上は大幅に増加しています。米国では2017年7月に双極性障害の効能が追加され、さらなる製品価値の最大化に取り組んでいます。

・ 「レキサルティ」は、米国で統合失調症と大うつ病補助療法の適応症で販売され、売上は大幅に増加しています。引き続き効能追加を目指して、積極的に製品価値向上に取り組みます。

・ 「サムスカ/ジンアーク」は、経口水利尿薬としての医療現場における価値が向上し、さらに世界初の常染色体優性多発性のう胞腎治療薬として日本・欧州で患者さんに貢献しています。また米国では2017年11月に同効能で承認申請を行い、腎臓の難病治療へのさらなる貢献拡大に取り組んでいます。

・ 「ロンサーフ」は、日本・米国・欧州で結腸・直腸がんの治療薬として販売され、売上は順調に増加しています。製品価値を高めるため、効能追加を目的とした胃がんのグローバル臨床試験を実施しております。

・ ニュートラシューティカルズ関連事業は、新規カテゴリー製品の育成と成長領域への積極投資により、海外事業の売上が順調に増加しています。新製品の育成と海外展開を加速させるため、引き続きバリューチェーンを支える経営資産を見直し、安定的な収益構造への改革に取り組みます。

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業の運営及び展開等については、様々なリスク要因があります。当社グループは、それらの想定されるリスク要因に対し、事前に軽減する、回避する、またはヘッジする等、事実上可能な範囲での施策を検討実施しておりますが、全てのリスク要因を排除または軽減することは不可能または著しく困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。以下、当社グループが重要なリスクであると判断する項目を記載いたしますが、当社グループの事業等に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末時点において当社グループが判断または予想する主要なものであり、事業等のリスクはこれらに限るものではありません。

(1) 持株会社としてのリスク

 当社は、当社グループにおける事業の戦略立案、経営資源配分、グループ会社の監視・監督等の役割を果たすことによって、当社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制を強化するため、2008年7月8日に純粋持株会社として設立しました。当社は、安定的な収益を確保するため、子会社からの配当金及び適正な経営指導料を得ておりますが、子会社の収益動向によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 副作用発現に関するリスク

 医療関連事業において、新薬の承認取得のために実施する臨床試験は、限られた被験者を対象に実施されるものであります。このため、承認された新薬であってもすべての服用者に対して常に安全であるとまでの保証はなく、実際に新薬を投与した患者に予期し得ない副作用が発現する可能性があります。当社グループは、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。したがって、当社グループの製造または販売する医薬品について、副作用の発現等の問題が発生した場合には、製品回収や販売中止等に係る多額の費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの社会的信頼及びブランド並びに事業展開にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

(3) 新薬開発の不確実性に関するリスク

 医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、臨床試験などで有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止を行う可能性があります。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法規等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び発売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念しなければならない可能性があります。当社グループが研究開発を行った医療用医薬品の上市が中止または延期された場合、過去に計上された研究開発費に見合う収益が計上できない可能性があります。
 当社グループは、アンメット・メディカル・ニーズ(いまだ有効な治療方法が確立されていない疾患)に焦点を当て、複数のパイプラインを保有することにより、上記のリスクの軽減に努めておりますが、これにより、すべてのリスクが回避されるわけではなく、このような開発の不確実性により当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 医療費抑制策に関するリスク

 わが国において、厚生労働省は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでおります。
 また、当社グループの重要市場である米国においても、マネジドケア、保険会社及び2010年3月に改定された米国の医療保険改革法案等による先発医薬品(ブランド品)への価格引き下げへの圧力のほか、低価格のジェネリック医薬品の使用促進も進んでおり、今後の医療費政策の動向が当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(5) 個人消費動向に関するリスク

 ニュートラシューティカルズ関連事業及び消費者関連事業において取り扱う製品(特に飲料製品)の中には、天候の影響及び経済状況等にともなう個人消費動向の影響を受けやすい製品があります。天候及び経済不況等による個人消費動向の変動は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 食の安全性に関するリスク

 当社グループは、「食の安全」をお客様に提供するため、自社製造品のみならず委託製造品を含む全ての製品の品質管理や安全性・信頼性保証等に関しては万全を期しております。しかしながら、近年、国内外の食品業界においては、有害物質の混入等の様々な問題が発生しており、当社グループの品質管理体制の範囲を超えた事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(7) 原材料価格の高騰等に関するリスク

 当社グループの製品に使用する主要な原材料の価格は、天候、自然災害、市場価格、経済情勢、燃料費、為替等によって変動し、当該価格が何らかの原因により高騰した場合には、当該製品の製造コストは上昇します。当社グループとしては原材料価格の上昇を販売価格に転嫁することにより対応する方針ですが、市場の状況または取引先との交渉等によって対応できない場合、その他調達先の問題などにより原材料の調達に何らかの問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(8) 法規制に関するリスク

 当社グループの医療関連事業を営む子会社は、「薬機法」等関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合等には、規制の対象となる製品を回収し、またはその販売を中止することが求められる可能性及び対象事業を継続できない可能性等があり、これらにより当社グループの運営に支障をきたし、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(許認可等の状況)

許認可等の名称

所管官庁等

主な許認可取消事由

備考

第1種医薬品製造販売業許可

東京都

薬機法その他薬機に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、または役員等が欠格条項に該当したときは許可の取消(薬機法第75条第1項)

大塚製薬㈱にて取得。ほか、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場等にて取得

医薬品製造業許可

徳島県

同上

大塚製薬㈱徳島工場にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の工場等にて取得

卸売販売業許可

東京都

同上

大塚製薬㈱東京支店にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の事業所等にて取得

 

(9) 特許権の保護期間満了に関するリスク

 医療関連事業におきましては、効能追加や剤型変更等により製品ライフサイクルの延長に努めておりますが、当社グループが排他的に利用可能な特許権の保護期間が満了した後には、当社グループが製造または販売する医薬品と競合するジェネリック医薬品の出現により競争の激化が予想され、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(10) 特許権の侵害に関するリスク

 当社グループでは特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害のリスクに常に注意を払っておりますが、当社グループが保有しまたは当社グループが他社からライセンスを受けている知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。
 また、第三者の知的財産権に対する侵害のリスクにも常に注意を払っておりますが、万一当社グループの製造または販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品を回収し、またはその製造もしくは販売を中止することを求められる他、多額の損害賠償を請求される可能性があります。

(11) 訴訟に関するリスク

 当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任、労務問題、特許権の侵害、契約の不履行、環境汚染等に関して第三者から訴訟を提起される可能性があり、当社グループに不利益な内容の判決、決定または和解がなされる場合、当社グループの業績及び財政状態並びに事業戦略及び社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 製造拠点の操業停止に関するリスク

 当社グループの製造拠点は、予期せぬ災害、戦争、テロ活動、大規模なシステム障害もしくは事故等による操業停止に備えて各地域に分散しております。しかしながら、何らかの事由により当該製造拠点の全部または一部の操業が停止した場合には、一時的または長期的に全部または一部の製品の製造が不可能または著しく困難となり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(13) 環境汚染に関するリスク

 当社グループは、国内外において製造過程で発生する廃棄物及び大気中への排出物などについて、さまざまな環境保護に係る法的規制を受けております。当社グループとしては、事業活動の各側面において環境への影響評価を行い、環境負荷の把握と環境リスクの低減に努めております。こうした取り組みの結果、当社グループではこれまで重大な環境問題が発生したことはありませんが、将来において、環境問題が発生しないという保証はなく、土壌または大気の環境汚染などの問題が発生した場合には、関係当局に命じられる法的措置や対策費用または損害賠償責任の発生により、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用性及びブランドに重要な影響を及ぼす可能性があります。

(14) 為替相場及び株価に関するリスク

 当社グループの2017年12月期の連結売上高のうち、48.5%が海外売上高となっており、今後も当社グループの売上の相当程度は海外における外貨建取引となることが見込まれております。当社の想定を超える為替相場の急激な円高の進行により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社等の財務諸表を円表示へ換算するに際して、その為替相場いかんによって、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 また、株式市況等が低迷した場合には、当社グループが保有する株式等の評価損の計上や年金資産の減少に伴う退職給付に係る負債の増加等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(15) 各種業務提携及び買収に関するリスク

 当社グループは、研究開発、製造、販売等の分野において、技術提携、業務提携、合弁会社設立、資本提携等、他社との提携または他社事業の買収を実施することがあります。これらの提携等にあたり、当社グループは提携等による事業効果や提携先または対象会社の業務遂行能力及び信用力の測定を十分に行っており、また資本提携及び買収につきましては、その対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、当該提携及び買収に伴うリスクの低減に極力努めております。しかしながら、提携等の実施以後の事業環境の変化等により、当初計画されていた提携等による成果を得られない可能性や、何らかの理由により提携等が解消される可能性があり、その場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当該提携等を行うに当たり、当社グループが一定の地域、時期または製品について競業避止義務を負う場合、当社グループの将来の事業戦略において重大な制約を受ける可能性があります。

(16) 海外展開におけるリスク

 当社グループは、日本以外にも米国、欧州及びアジアを中心に、研究開発、製造及び販売活動を行っております。グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安や事業環境の不確実性などのリスクを完全に回避することができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(17) 情報管理に関するリスク

 当社グループは、個人情報を含め多くの重要情報を保有しております。これらの情報管理については、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システム上のセキュリティ対策等を行うなどの努力を行っていますが、システム障害や事故を含めた様々な原因で情報の改ざん、悪用、漏えいなどが発生するリスクが考えられます。その場合、当グループの業績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1) アライアンス契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約年

大塚製薬㈱

H.ルンドベックA/S

デンマーク

共同開発・商業化

(注)

2011年

(注) 大塚製薬㈱は、H.ルンドベックA/Sと中枢神経領域におけるグローバル・アライアンス契約を2011年11月に締結しております。本契約は、「Abilify Maintena」(アリピプラゾール持続性注射剤(月1回製剤))、「REXULTI(レキサルティ)」(一般名:ブレクスピプラゾール)、Lu AE58054(一般名:idalopirdine及びH.ルンドベックA/Sが研究開発を進めている中枢神経疾患を対象にした最大2つの新規化合物をあわせた最大5つの化合物についての共同開発・商業化に関する契約であります。

 

(2) 技術導出

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

契約内容

契約年

大塚製薬㈱

糖尿病治療薬

協和発酵キリン㈱

日本

契約一時金等(注)1

一定料率のロイヤリティ

2012年

大鵬薬品工業㈱

抗悪性腫瘍剤

セルヴィエ社

(LES LABORATOIRES SERVIER)

フランス

契約一時金等(注)2

一定料率のロイヤリティ

2015年

(注)1. 大塚製薬㈱は、協和発酵キリン㈱と糖尿病治療薬「オングリザ」(一般名:サキサグリプチン)について、日本における開発・販売権の譲渡に関する契約を2012年6月に締結しております。

   2. 大鵬薬品工業㈱とセルヴィエ社は、大鵬薬品工業㈱が創製し、現在グローバルで開発中の抗悪性腫瘍剤TAS-102(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、日本での製品名:「ロンサーフ®配合錠T15・T20」)について、欧州・その他地域(北米・アジア以外)における開発・販売権に関するライセンス契約を2015年6月に締結しております。

 

(3) 技術導入

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

販売地域

契約年

大塚製薬㈱

抗てんかん薬

ユーシービーファーマ

ベルギー

日本

2008年

  〃

抗悪性腫瘍剤

(2品目)

ブリストル・マイヤーズ スクイブ・カンパニー

米国

米国、欧州、日本(注)

2009年

  〃

腎性貧血治療薬

アケビア・セラピューティクス・インク

米国

米国、欧州、カナダ、オーストラリア、中国

2016年

(注) 大塚製薬㈱は、米国、欧州、日本における一定額の販売経費を負担し、米国、日本及び欧州の主要な国においてBMS社と「スプリセル」の共同開発・共同販売を行います。また、2010年から2020年まで、大塚製薬㈱は、「スプリセル」と「IXEMPRA」の売上合計額に応じて規定の分配金を受け取ります。

 

(4) 販売契約

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

販売地域

契約年

大塚製薬㈱

酸関連疾患治療薬

武田薬品工業㈱

日本

日本

2014年

(注) 大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱が創製した酸関連疾患治療薬「タケキャブ®錠」(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)について日本国内での販売に関する共同プロモーション契約を2014年3月に締結しております。本契約に関して、大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱に対して契約一時金と製造販売承認時マイルストーンを支払い、「タケキャブ®錠」の売上に応じた一定の対価を武田薬品工業㈱から受領することになっております。

 

(5) 合弁関係

契約会社名

合弁会社

相手方の名称

国名

設立の目的

契約年

大塚製薬㈱

中国大塚製薬有限公司

中国医薬工業公司

中国

注射薬の製造・販売

1980年

  〃

韓国大塚製薬㈱

第一薬品㈱

韓国

循環・呼吸器官用薬の製造・販売

1982年

  〃

東亜大塚㈱

Dong-A Socio Holdings Co., Ltd.他

韓国

飲料品・健康食品・栄養製品の製造・販売

1987年

  〃

P.T.アメルタインダ大塚

P.T.マスヤ

インドネシア

飲料製品の製造、販売及び輸出入

1999年

クリスタルガイザーウォーターカンパニー

CGロクサーヌ LLC

Cameron Investment Group,Inc.

米国

飲料製品の製造、販売及び輸出

1990年

大塚製薬㈱

イーエヌ大塚製薬㈱

雪印メグミルク㈱

日本

経腸栄養剤の製造・販売

2002年

大塚化学㈱

エムジーシー大塚ケミカル㈱

三菱瓦斯化学㈱

日本

水加ヒドラジンの製造・販売

2004年

大塚製薬㈱

アルマ S.A.

ROX INVEST

フランス

飲料製品の製造、販売及び輸出

2008年

㈱大塚製薬工場

大塚製薬インド

三井物産㈱

インド

基礎輸液・臨床栄養製品の製造・販売

2012年

 

(6) ニューロバンス Inc.の買収について

 当社の連結子会社である大塚製薬株式会社は、2017年3月2日(米国東部時間)に米国の医薬品の研究開発を営むニューロバンス Inc.と、大塚アメリカ Inc.が設立した買収目的子会社を通じて、現金及び将来のマイルストーンの支払を対価とする株式取得及びそれに続く合併を実施することにより、ニューロバンス Inc.を完全子会社化することについて合意し、3月17日付で実行しました。なお、ニューロバンス Inc.は、2017年11月30日付で当社の連結子会社である大塚アメリカファーマシューティカル Inc.に吸収合併されております。

  詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記(38.企業結合)」に記載しております。

 

(7) デイヤフーズ Inc.の買収について

 当社の連結子会社である大塚製薬株式会社は、北米でプラントベース食品を開発、製造販売するデイヤフーズ Inc.の全株式を大塚製薬株式会社が設立したカナダにおける買収目的子会社を通じて取得する契約を2017年7月26日(現地時間)付けで締結し、2017年8月31日に本買収は完了いたしました。

  なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記(38.企業結合)」に記載しております。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発費は175,558百万円です。

主な研究開発分野及び新製品の開発のセグメント別の状況は次のとおりです。

 

(医療関連事業)

当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブ領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています

医療関連事業における研究開発費は、165,457百万円です。

 

当連結会計年度の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は以下のとおりです。

領域

「製品名」

(一般名)

または開発コード

状況

精神・神経領域

「レキサルティ」

(ブレクスピプラゾール)

OPC-34712

<日本>

統合失調症の効能で2017年1月に承認申請しました

<欧州>

・統合失調症の効能で2017年3月に承認申請しました。

<米国>

・統合失調症の効能で持続性注射剤のフェーズⅠ試験を2017年2月に開始しました。

<米国・欧州>

・心的外傷後ストレス症候群を対象としたフェーズⅢ試験は、試験計画の見直しによりフェーズⅡ試験として再開しました

・双極性障害を対象としたフェーズⅢ試験を2017年10月に開始しました。

「エビリファイ」

(アリピプラゾール)

OPC-14597

<日本>

開発戦略上、アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを対象とした開発を中止しました

「エビリファイ持続性水懸筋注用」

「Abilify Maintena」

(アリピプラゾール)

<日本・欧州>

開発戦略上、双極性障害を対象とした開発を中止しました

<米国>

・双極性障害の効能で2017年7月に効能追加の承認を取得しました。

(アリピプラゾール・セルトラリン)

ASC-01

<日本>

大うつ病の効能で2017年7月に承認申請しました。

(イダロピルジン)

Lu AE58054

米国・欧州

フェーズⅢ試験結果を総合的に判断し、アルツハイマー型認知症を対象とした開発を中止しました

(センタナファジン)

EB-1020

・ニューロバンス社を2017年3月に買収し、獲得した開発品であり、現在の開発状況は以下のとおりです。

米国

注意欠陥・多動性障害を対象としたフェーズⅡ試験を実施中

(重水素化デキストロメトルファン・キニジン)

AVP-786

米国

外傷性脳損傷を対象としたフェーズⅡ試験を2017年11月に開始しました

(フレマネズマブ)

TEV-48125

日本

片頭痛を対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を2017年12月に開始しました

OPC-64005

米国・欧州

注意欠陥・多動性障害を対象としたフェーズⅡ試験を2017年11月に開始しました

 

 

領域

「製品名」

(一般名)

または開発コード

状況

精神・神経領域

(ナルメフェン)

Lu AA36143

<日本>

アルコール依存症の効能で2017年10月に承認申請しました

がん・がんサポーティブケア領域

(グアデシタビン)

SGI-110

日本・米国・欧州・アジア

骨髄異形成症候群を対象としたフェーズⅢ試験を2017年2月に開始しました。

米国・欧州

・フェーズⅡ試験結果を総合的に判断し、肝細胞がんを対象とした開発を中止しました。

「ロンサーフ」

(トリフルリジン・チピラシル)

TAS-102

アジア

結腸・直腸がんの効能で2017年5月に承認申請しました。

(テガフール・ギメラシル・オテラシル・ホリナート)

TAS-118

日本・アジア

フェーズⅢ試験結果を総合的に判断し、膵がんを対象とした開発を中止しました。

TAS-115

<日本>

前立腺がんを対象としたフェーズⅡ試験を2017年1月に開始しました。

TAS-116

<米国・欧州>

・固形がんのフェーズⅠ試験を2017年7月に開始しました。

TAS4464

日本・米国・欧州

固形がん、血液がんを対象としたフェーズⅠ試験を2017年2月に開始しました。

「SATIVEX」

(nabiximols)

米国

フェーズⅢ試験結果を総合的に判断し、がん性疼痛を対象とした開発を中止しました。

(onalespib)

AT13387

米国・欧州

フェーズⅡ試験結果を総合的に判断し、非小細胞肺がんを対象とした開発を中止しました。

AT7519

米国

フェーズⅡ試験結果を総合的に判断し、多発性骨髄腫を対象とした開発を中止しました。

ASTX660

米国

固形がん・リンパ腫を対象としたフェーズⅡ試験を2017年9月に開始しました。

OPB-111001

欧州

フェーズⅠ試験結果を総合的に判断し、固形がんを対象とした開発を中止しました。

HF10

<日本>

悪性黒色腫を対象としたフェーズⅡ試験を2017年5月に開始しました。

・膵がんを対象としたフェーズⅠ試験を2017年9月に開始しました。

(レバミピド)

OPC-12759

<日本>

フェーズⅡ試験結果を総合的に判断し、がん化学放射線療法に伴う口腔粘膜炎を対象とした開発を中止しました。

 

 

領域

「製品名」

(一般名)

または開発コード

状況

循環器・腎領域

「サムスカ」

(トルバプタン)

OPC-41061

米国

常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の効能で2017年11月に承認申請しました。

日本

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を対象としたフェーズⅢ試験を2017年6月に開始しました。

・開発戦略上、がん性浮腫、血液透析に伴う体液貯留、腹膜透析に伴う体液貯留を対象とした開発を中止しました。

<アジア>

・中国において心性浮腫の効能で2017年9月に承認を取得しました。

OPC-61815

<日本>

心性浮腫を対象としたフェーズⅡ試験を2017年11月に開始しました。

その他領域

「ゾシン」

(タゾバクタム・ピペラシリン)

YP-18

<日本>

深在性皮膚感染症、びらん・潰瘍の二次感染について2017年5月に効能追加の承認を取得しました。

TAC-302

<日本>

過活動膀胱を伴う排尿筋低活動を対象としたフェーズⅡ試験を2017年9月に開始しました。

「WT1 mRNA測定キットⅡ「オーツカ」」

ODK-1003

<日本>

急性リンパ性白血病の体外診断薬として、2017年4月に効能追加の承認を取得しました。

「ライブセルTASb「オーツカ」」

ODK-1403

<日本>

バセドウ病の体外診断薬として、2017年12月に承認申請しました。

 

(ニュートラシューティカルズ関連事業)

当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます

臨床栄養分野およびスポーツ栄養に関するBCAA(分岐鎖アミノ酸)の研究をもとに開発された「アミノバリュー」は、「アミノバリュー4000」および「アミノバリューパウダー8000」について、BCAAを関与成分とする「運動によるカラダの疲労感をやわらげる」日本初の機能性表示食品として2017年4月に発売しました。さらに、「運動と栄養」に関する研究と「腸と栄養」に関する研究成果をもとに同年4月に日本で発売した新製品「ボディメンテゼリー」は、独自成分「乳酸菌B240」に「BCAA+アルギニン」「ホエイタンパク」を組み合わせた成分設計により、身体のリカバリーとメンテナンスの視点で体調を万全に整えるコンディショニング栄養食です。また、同年5月には、就寝・起床リズムを整え、睡眠の質を高める機能性表示食品「賢者の快眠 睡眠リズムサポート」*1を新発売しました。同年8月には、ミドルエイジ男性向けトータルスキンケアブランド「ウル・オス」から、“ゴシゴシ洗い”を防止する超濃密泡洗浄料「ウル・オス(UL・OS)フェイスウォッシュforスキンケア」を新発売しました

大塚製薬・佐賀栄養製品研究所は、近畿大学東洋医学研究所との共同研究において女性アスリートの月経前症候群・月経前不快気分障害によるパフォーマンス障害がエクオール産生能の有無に関連することを明らかにし、本研究結果は同年12月、産婦人科領域の専門誌「Journal of Obstetrics and Gynaecology Research」*2に掲載されました。また同年12月、国立大学法人弘前大学大学院医学研究科に共同研究講座「女性の健康推進医学講座」を設置しました。エクオールに着眼した研究の推進により、女性の健康寿命・QOLの向上に貢献し、世界に先駆けた最新の情報と解決策を国内外へ発信することを目指します

ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、5,486百万円です。

 

*1:機能性関与成分名:アスパラガス由来含プロリン-3-アルキルジケトピペラジン(シクロ(L-ロイシル-L-プロリル)、シクロ(L-フェニルアラニル-L-プロリル)、シクロ(L-チロシル-L-プロリル)として)

*2:Premenstrual symptoms interference and equol production status in Japanese collegiate athletes: A cross-sectional study, J Obstet Gynaecol Res(2017)

 

(消費者関連事業)

当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます

消費者関連事業における研究開発費は、593百万円です。

 

(その他の事業)

当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます

その他の事業における研究開発費は、4,021百万円です。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)が判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載されているとおりであります。
 

(2) 財政状態の分析

① 資産

 当連結会計年度末の資産合計は2,480,256百万円(前連結会計年度末は2,478,290百万円)となり、1,966百万円増加しました。その内訳は、流動資産が102,912百万円減少、非流動資産が104,879百万円増加であります。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,010,942百万円(前連結会計年度末は1,113,855百万円)となり、102,912百万円減少しました。その主たる内訳は、売上債権及びその他の債権が10,727百万円、棚卸資産が10,779百万円増加したものの、現金及び現金同等物が33,262百万円、その他の金融資産が92,906百万円減少したこと等によるものであります。

(非流動資産)

 当連結会計年度末における非流動資産は1,469,313百万円(前連結会計年度末は1,364,434百万円)となり、104,879百万円増加しました。その主たる内訳は、有形固定資産が23,699百万円、のれんが17,623百万円、持分法で会計処理されている投資が21,633百万円、その他の金融資産が32,826百万円増加したこと等によるものであります。

② 負債

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は386,465百万円(前連結会計年度末は436,613百万円)となり、50,147百万円減少しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が14,791百万円、未払法人所得税が13,446百万円、その他の流動負債が17,373百万円減少したこと等によるものであります。

(非流動負債)

 当連結会計年度末における非流動負債は271,840百万円(前連結会計年度末は303,235百万円)となり、31,394百万円減少しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が17,010百万円、繰延税金負債が25,578百万円減少したことによるものであります。

③ 資本

 当連結会計年度末における資本は1,821,950百万円(前連結会計年度末は1,738,441百万円)となり、83,508百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払54,184百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益112,492百万円の計上等により利益剰余金が57,260百万円増加したこと、株式相場及び為替相場等の影響によりその他の資本の構成要素が23,847百万円増加したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(4) 経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の売上高は1,239,952百万円(前期比3.7%増)となり、営業利益は104,181百万円(前期比3.0%増)、当期利益は114,387百万円(前期比22.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は112,492百万円(前期比21.5%増)となりました。

 医療関連事業の売上高は774,762百万円(前期2.9%増)となりました。主なものは、臨床栄養、抗精神病薬「エビリファイ」、「エビリファイ」の持続性注射剤(月1回製剤)「Abilify Maintena」、抗精神病薬「REXULTI」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」、バソプレシンV2受容体拮抗剤「サムスカ/JINARC」などの売上によるものです

 ニュートラシューティカルズ関連事業の売上高は326,221百万円(前期比4.7%増)となりました。主なものは、「ポカリスエット」のペットボトル(エコボトル)、「オロナミンC」、バータイプの大豆栄養食品「SOYJOY」、サプリメントである「ネイチャーメイド」、欧州における機能性食品・栄養食品などの売上によるものです。

 消費者関連事業の売上高は35,595百万円(前期比0.4%増)となりました。主なものは、「クリスタルガイザー」、「マッチ」、「ボンカレー」などの売上によるものです。

 その他の事業の売上高は151,133百万円(前期比7.0%増)となりました。主なものは、機能化学品事業、ファインケミカル事業及び倉庫業などの売上によるものです。

 販売費及び一般管理費は△558,677百万円(前期比4.3%増)となり、研究開発費△175,558百万円、持分法による投資利益19,307百万円などを計上した結果、営業利益は104,181百万円(前期比3.0%増)となりました。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費△166,306百万円、販売促進費△102,689百万円、減損損失△27,275百万円(主として、医療関連事業における急性片頭痛の治療薬「ONZETRA Xsail」(一般名:スマトリプタン)に係る減損損失△23,104百万円)であります。

 営業外損益については、金融収益4,268百万円、金融費用△5,068百万円、その他の営業外損益331百万円を計上し、米国を中心とした税制改正の影響29,657百万円(利益)を受け、法人税所得税費用10,674百万円(利益)を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は112,492百万円(前期比21.5%増)となりました。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因について

① 医療費抑制策の動向

 わが国において、厚生労働省は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費抑制策を強化していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでおります。また、当社グループの重要市場である米国においても、低価格のジェネリック医薬品の使用促進や、連邦・州政府及びマネジドケアの強い要請に伴うブランド品への価格引き下げ圧力が一層高まっており、今後の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 個人消費の動向

 ニュートラシューティカルズ関連事業及び消費者関連事業において取り扱う製品(特に飲料製品)の中には、天候の影響及び経済状況等にともなう個人消費動向の影響を受けやすい製品があります。悪天候及び経済不況による個人消費動向の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 為替相場及び株価の動向

 当社グループの2017年12月期の連結売上高のうち、48.5%が海外売上高となっており、外貨建取引での予期し得ない為替相場の急激な変動により業績への悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社等の財務諸表を円表示へ換算するに際して、その為替相場によって、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、株式市況が低迷した場合には、株式等の評価損の計上や年金資産の減少に伴う退職給付に係る負債の増加等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループは、企業理念を軸としたトータルヘルスケアを実践するため、オーガニック成長を基本とした、人・技術・製品などの有機的融合による事業機会の拡大に取り組み、世界の人々の健康に貢献する“なくてはならない”企業を目指します。また、多様性を尊重する企業風土を推進するとともに、コンプライアンスの推進、内部統制システムの強化、環境に配慮した事業活動の展開等、企業の社会的責任の遂行にも積極的に取り組んでまいります。