文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、企業理念である"Otsuka-people creating new products for better health worldwide"(世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する)を軸に、トータルヘルスケアの考えのもと、人・技術・製品等を通じた事業機会の拡大に取り組み、世界の人々の健康に貢献する「なくてはならない」企業を目指しています。
(1) 第2次中期経営計画の位置づけと主な施策
主力製品「エビリファイ」の独占販売期間満了を迎えた第2次中期経営計画では、持続的成長を実現するための収益構造の多様化を最優先課題に、医療関連事業のコア治療領域の強化とニュートラシューティカルズ関連事業の構造改革を戦略骨子とし、その達成に取り組みました。
(2) 第2次中期経営計画の総括
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2018年度 |
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目標(日本基準) |
実績(IFRS) |
達成率 |
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売上収益 |
14,400億円 |
12,920億円 |
90% |
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研究開発費 |
1,700億円 |
2,161億円 |
127% |
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営業利益 |
2,000億円 |
1,083億円 |
54% |
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親会社の所有者に帰属する当期利益 |
1,400億円 |
825億円 |
59% |
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ROE |
8~10% |
4.7% |
- |
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(ご参考)研究開発費投資前営業利益 (減損損失控除前) |
3,700億円 |
3,244億円 (3,360億円) |
87% (91%) |
※日本基準で策定した第2次中期経営計画の目標値を、客観的な方法でIFRS基準に修正することが困難であることから、日本基準の当初目標を採用しています。
売上収益につきましては、グローバル3製品(エビリファイメンテナ、レキサルティ、サムスカ・ジンアーク)が計画以上に伸びたものの、薬価制度の抜本的改革やジェネリック医薬品の使用促進策等、医療関連事業を取り巻く外部環境が当初の想定以上に変化したことから、目標14,400億円(日本基準)に対して、実績12,920億円(IFRS)となり達成率90%となりました。
研究開発費は、先行投資として計画以上に積み増したことから達成率は127%となりました。
営業利益は、医療関連事業の外部環境悪化による売上収益未達の影響及び計画以上の研究開発費を投資したことから54%の達成率となりましたが、事業からの収益力をより適切に反映した研究開発費投資前営業利益では目標値3,700億円(日本基準)に対して、減損損失控除前で91%の達成率でした。
・医療関連事業につきましては、グローバル3製品(エビリファイメンテナ、レキサルティ、サムスカ・ジンアーク)の製品価値最大化に向けた積極的な投資を行い、主要エリアでの上市や適応追加が順調に進捗し、当社グループの成長を牽引する基盤を構築しました。
・精神・神経領域、がん領域の強化に加え、循環器・腎領域を次世代のコア領域として育成しました。
・新たな創薬・治療技術については、他社や外部の研究機関との提携を積極的に推進し、自社研究開発アセットと融合させることで、2030年以降の成長を見据えたイノベーション創出基盤の構築を進めました。
・第2次中期経営計画期間中、薬価制度の抜本的改革やジェネリック医薬品の使用促進策等、医療関連事業を取り巻く外部環境が当初の想定以上に変化し、厳しい状況下でありましたが、グローバル製品群が想定以上に成長するとともに、国内新製品群が堅調に成長し、収益の多様化が達成できました。
・ニュートラシューティカルズ関連事業につきましては、健康寿命の延伸に着目した独創的な新製品の開発・導入、基幹ブランドのグローバル展開の加速、及びバリューチェーンを支える経営資産を見直しました。収益構造を抜本的に改革した結果、売上収益、営業利益ともに当初の計画を達成し、当計画の大きな目標である営業利益率10%超を前倒しで実現しました。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
2018年度を最終年度とした第2次中期経営計画では、日本における薬価制度の抜本的改定や日本・欧州におけるジェネリック医薬品の使用促進策等、計画策定時の前提条件から大きく外部環境が変化し、その影響により、長期収載品や国内新薬を中心に売上収益が目標を下回りました。高齢化社会を迎え世界的に医療費削減が喫緊の課題となっていることから、これら外部環境の変化は今後も継続すると考えられます。一方で、行政にとっては医療費削減の視点から、人々にとっては健康でありたいという願望から、病気にならないための予防対策や運動・休息と合わせて栄養も含むライフプランへの意識が一段と高まっています。
当社グループは、これまでも疾病の診断から治療までを担う「医療関連事業」と、日々の健康の維持・増進をサポートする「ニュートラシューティカルズ関連事業」の2つのコア事業を中心に事業を展開してきました。このような健康への意識の高まりを受け、予防を含むトータルヘルスケアの重要性について認識を新たにしております。これからも長期的な展望の中、著しく変化する事業環境を先取りし、治療を目的とする医療関連事業と、予防をテーマとするニュートラシューティカルズ関連事業の両輪で、世界のトータルヘルスケアに貢献してまいります。
第2次中期経営計画では、「エビリファイ」の独占販売期間満了の影響を新製品の売上収益増で補い、収益構造の多様化を実現しました。また、ニュートラシューティカルズ関連事業の収益力の改革により、同事業セグメントの営業利益率が10%を超えるまでに至りました。当社グループでは引き続き、既存事業の収益力の強化を行うとともに、持続的成長のための投資が重要と考えています。そして長期的な視点で、環境変化を見据えた既存事業の価値最大化と“大塚だから挑戦できる” 新事業(新領域・ソリューション)の構築に取り組んでまいります。
また、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”という企業理念のもと、健康な社会の実現と持続可能な企業価値の創造を目指し、事業と一体化したCSR活動を推進してまいります。
現在、第3次中期経営計画の策定を進めており、2019年5月30日に公表を予定しております。
当社グループの事業の運営及び展開等については、様々なリスク要因があります。当社グループは、それらの想定されるリスク要因に対し、事前に軽減する、回避する、またはヘッジする等、事実上可能な範囲での施策を検討実施しておりますが、全てのリスク要因を排除または軽減することは不可能または著しく困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。以下、当社グループが重要なリスクであると判断する項目を記載いたしますが、当社グループの事業等に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末時点において当社グループが判断または予想する主要なものであり、事業等のリスクはこれらに限るものではありません。
(1) 持株会社としてのリスク
当社は、当社グループにおける事業の戦略立案、経営資源配分、グループ会社の監視・監督等の役割を果たすことによって、当社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制を強化するため、2008年7月8日に純粋持株会社として設立しました。当社は、安定的な収益を確保するため、子会社からの配当金及び適正な経営指導料を得ておりますが、子会社の収益動向によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 副作用発現に関するリスク
医療関連事業において、新薬の承認取得のために実施する臨床試験は、限られた被験者を対象に実施されるものであります。このため、承認された新薬であってもすべての服用者に対して常に安全であるとまでの保証はなく、実際に新薬を投与した患者に予期し得ない副作用が発現する可能性があります。当社グループは、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。したがって、当社グループの製造または販売する医薬品について、副作用の発現等の問題が発生した場合には、製品回収や販売中止等に係る多額の費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの社会的信頼及びブランド並びに事業展開にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
(3) 新薬開発の不確実性に関するリスク
医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、臨床試験などで有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止を行う可能性があります。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法規等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び発売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、予定していた時期に上市ができず延期になる、または上市を断念しなければならない可能性があります。当社グループが研究開発を行った医療用医薬品の上市が中止または延期された場合、過去に計上された研究開発費に見合う収益が計上できない可能性があります。
当社グループは、アンメット・メディカル・ニーズ(いまだ有効な治療方法が確立されていない疾患)に焦点を当て、複数のパイプラインを保有することにより、上記のリスクの軽減に努めておりますが、これにより、すべてのリスクが回避されるわけではなく、このような開発の不確実性により当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 医療費抑制策に関するリスク
わが国において、厚生労働省は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでおります。
また、当社グループの重要市場である米国においても、マネジドケア、保険会社及び2010年3月に改定された米国の医療保険改革法案等による先発医薬品(ブランド品)への価格引き下げへの圧力のほか、低価格のジェネリック医薬品の使用促進も進んでおり、今後の医療費政策の動向が当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(5) 個人消費動向に関するリスク
ニュートラシューティカルズ関連事業及び消費者関連事業において取り扱う製品(特に飲料製品)の中には、天候の影響及び経済状況等にともなう個人消費動向の影響を受けやすい製品があります。天候及び経済不況等による個人消費動向の変動は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 食の安全性に関するリスク
当社グループは、「食の安全」をお客様に提供するため、自社製造品のみならず委託製造品を含む全ての製品の品質管理や安全性・信頼性保証等に関しては万全を期しております。しかしながら、近年、国内外の食品業界においては、有害物質の混入等の様々な問題が発生しており、当社グループの品質管理体制の範囲を超えた事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(7) 原材料価格の高騰等に関するリスク
当社グループの製品に使用する主要な原材料の価格は、天候、自然災害、市場価格、経済情勢、燃料費、為替等によって変動し、当該価格が何らかの原因により高騰した場合には、当該製品の製造コストは上昇します。当社グループとしては原材料価格の上昇を販売価格に転嫁することにより対応する方針ですが、市場の状況または取引先との交渉等によって対応できない場合、その他調達先の問題などにより原材料の調達に何らかの問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法規制に関するリスク
当社グループの医療関連事業を営む子会社は、「薬機法」等関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合等には、規制の対象となる製品を回収し、またはその販売を中止することが求められる可能性及び対象事業を継続できない可能性等があり、これらにより当社グループの運営に支障をきたし、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(許認可等の状況)
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許認可等の名称 |
所管官庁等 |
主な許認可取消事由 |
備考 |
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第1種医薬品製造販売業許可 |
東京都 |
薬機法その他薬機に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、または役員等が欠格条項に該当したときは許可の取消(薬機法第75条第1項) |
大塚製薬㈱にて取得。ほか、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場等にて取得 |
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医薬品製造業許可 |
徳島県 |
同上 |
大塚製薬㈱徳島工場にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の工場等にて取得 |
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卸売販売業許可 |
東京都 |
同上 |
大塚製薬㈱東京支店にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の事業所等にて取得 |
(9) 特許権の保護期間満了に関するリスク
医療関連事業におきましては、効能追加や剤型変更等により製品ライフサイクルの延長に努めておりますが、当社グループが排他的に利用可能な特許権の保護期間が満了した後には、当社グループが製造または販売する医薬品と競合するジェネリック医薬品の出現により競争の激化が予想され、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(10) 特許権の侵害に関するリスク
当社グループでは特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害のリスクに常に注意を払っておりますが、当社グループが保有しまたは当社グループが他社からライセンスを受けている知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。
また、第三者の知的財産権に対する侵害のリスクにも常に注意を払っておりますが、万一当社グループの製造または販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品を回収し、またはその製造もしくは販売を中止することを求められる他、多額の損害賠償を請求される可能性があります。
(11) 訴訟に関するリスク
当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任、労務問題、特許権の侵害、契約の不履行、環境汚染等に関して第三者から訴訟を提起される可能性があり、当社グループに不利益な内容の判決、決定または和解がなされる場合、当社グループの業績及び財政状態並びに事業戦略及び社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 製造拠点の操業停止に関するリスク
当社グループの製造拠点は、予期せぬ災害、戦争、テロ活動、大規模なシステム障害もしくは事故等による操業停止に備えて各地域に分散しております。しかしながら、何らかの事由により当該製造拠点の全部または一部の操業が停止した場合には、一時的または長期的に全部または一部の製品の製造が不可能または著しく困難となり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(13) 環境汚染に関するリスク
当社グループは、国内外において製造過程で発生する廃棄物及び大気中への排出物などについて、さまざまな環境保護に係る法的規制を受けております。当社グループとしては、事業活動の各側面において環境への影響評価を行い、環境負荷の把握と環境リスクの低減に努めております。こうした取り組みの結果、当社グループではこれまで重大な環境問題が発生したことはありませんが、将来において、環境問題が発生しないという保証はなく、土壌または大気の環境汚染などの問題が発生した場合には、関係当局に命じられる法的措置や対策費用または損害賠償責任の発生により、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用性及びブランドに重要な影響を及ぼす可能性があります。
(14) 為替相場及び株価に関するリスク
当社グループの2018年12月期の連結売上収益のうち、50.0%が海外売上収益となっており、今後も当社グループの売上の相当程度は海外における外貨建取引となることが見込まれております。当社の想定を超える為替相場の急激な円高の進行により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社等の財務諸表を円表示へ換算するに際して、その為替相場いかんによって、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
また、株式市況等が低迷した場合には、当社グループが保有する株式等の評価損の計上や年金資産の減少に伴う退職給付に係る負債の増加等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(15) 各種業務提携及び買収に関するリスク
当社グループは、研究開発、製造、販売等の分野において、技術提携、業務提携、合弁会社設立、資本提携等、他社との提携または他社事業の買収を実施することがあります。これらの提携等にあたり、当社グループは提携等による事業効果や提携先または対象会社の業務遂行能力及び信用力の測定を十分に行っており、また資本提携及び買収につきましては、その対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、当該提携及び買収に伴うリスクの低減に極力努めております。しかしながら、提携等の実施以後の事業環境の変化等により、当初計画されていた提携等による成果を得られない可能性や、何らかの理由により提携等が解消される可能性があり、その場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当該提携等を行うに当たり、当社グループが一定の地域、時期または製品について競業避止義務を負う場合、当社グループの将来の事業戦略において重大な制約を受ける可能性があります。
(16) 海外展開におけるリスク
当社グループは、日本以外にも米国、欧州及びアジアを中心に、研究開発、製造及び販売活動を行っております。グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安や事業環境の不確実性などのリスクを完全に回避することができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17) 情報管理に関するリスク
当社グループは、個人情報を含め多くの重要情報を保有しております。これらの情報管理については、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システム上のセキュリティ対策等を行うなどの努力を行っていますが、システム障害や事故を含めた様々な原因で情報の改ざん、悪用、漏えいなどが発生するリスクが考えられます。その場合、当グループの業績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
(単位:百万円)
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前連結会計年度 (2017年12月期) |
当連結会計年度 (2018年12月期) |
増減額 |
増減率 |
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売上収益 |
1,239,952 |
1,291,981 |
52,029 |
4.2% |
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営業利益 |
104,181 |
108,304 |
4,123 |
4.0% |
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税引前当期利益 |
103,712 |
109,497 |
5,784 |
5.6% |
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当期利益 |
114,387 |
85,395 |
△28,991 |
△25.3% |
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親会社の所有者に帰属する当期利益 |
112,492 |
82,492 |
△29,999 |
△26.7% |
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研究開発費 |
175,558 |
216,140 |
40,582 |
23.1% |
ヘルスケア業界を取り巻く事業環境は、高齢化、高額医薬品の発売、感染症対策等による医療費の増加傾向が続き、日米欧諸国において「治療」に対する医療コストへの関心が高まりました。限られた財源の中で医療指針が医療コストと治療効果のバランスの中で捉えられ、ジェネリック医薬品の浸透や薬価制度改革が進む一方、高額医療や新テクノロジーが台頭してきています。
このような中、病気にならないための日々の予防対策、運動・休息と合わせて栄養も含むライフプランへの意識が一段と高まっています。
当社は、これまでも疾病の診断から治療までを担う「医療関連事業」と日々の健康の維持・増進をサポートする「ニュートラシューティカルズ関連事業」の2つのコア事業を中心に事業を展開してきており、健康への意識の高まりを受け、予防を含むトータルヘルスケアの重要性を改めて認識しているところです。
このような経営環境下において、当社グループの当連結会計年度の売上収益は1,291,981百万円(前期比4.2%増)となり、営業利益は108,304百万円(前期比4.0%増)、当期利益は85,395百万円(前期比25.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は82,492百万円(前期比26.7%減)となりました。
売上収益につきましては、グローバル製品群及び国内新製品群の売上収益増加が大きく貢献しました。営業利益につきましては、積極的な研究開発投資を実施したうえで、増益を確保いたしました。親会社の所有者に帰属する当期利益が前期比で減少した理由は、前連結会計年度において主に米国の税制改正による一過性の影響として、法人所得税費用が利益として計上されたためであり、当該影響を除くと前期並みでした。
なお、当連結会計年度において、当社の関連会社であったリコーメディカル社を完全子会社したことから、IFRSの定めによる既存の持分及び既存の契約関係の再評価益17,971百万円を「その他の収益」に計上しています。また、注意欠陥・多動性障害(ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder)治療薬として開発中のセンタナファジン(開発コード:EB-1020)及び急性骨髄性白血病治療薬として開発中の「グアデシタビン(開発コード:SGI-110)」等について、当初想定していた収益性が見込めなくなったこと等によって生じた無形資産(仕掛研究開発)の減損損失23,208百万円を当連結会計年度の「研究開発費」に計上しています。当連結会計年度の「販売費及び一般管理費」には、「ONZETRA Xsail(一般名:スマトリプタン)」のライセンス契約の終了によって生じた無形資産(商標権及び販売権等)等の減損損失11,533百万円が含まれています。加えて、当社グループの米国子会社であるアバニア社(本社:米国カリフォルニア州)が、米国における情動調節障害治療薬「ニューデクスタ(NUEDEXTA®)」の過去の販売促進活動に関する米国司法省による調査につき、米国司法省との間で和解に関する原則合意に至りました。本合意は、現在交渉中のアバニア社と司法省との間の最終的な契約締結をもって発効しますが、和解金等として120百万米ドルの支払いが見込まれることから、前連結会計年度に費用計上した金額を除いた10,064百万円を「販売費及び一般管理費」に計上しております。
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
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医療関連事業 |
ニュートラシューティカルズ 関連事業 |
消費者関連事業 |
その他の事業 |
調整額 |
連結 |
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売上収益 |
817,110 |
338,957 |
33,807 |
141,249 |
△39,144 |
1,291,981 |
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営業利益 |
84,823 |
43,041 |
8,668 |
9,882 |
△38,111 |
108,304 |
(医療関連事業)
当連結会計年度の医療関連事業の売上収益は817,110百万円(前期比5.5%増)、営業利益は84,823百万円(同2.6%増)となりました。
◇日本
精神・神経領域について、抗精神病薬「エビリファイ持続性水懸筋注用」は、処方数の伸長により売上収益が着実に増加しています。また、2018年4月に統合失調症の効能で発売した新規抗精神病薬「レキサルティ」は、有用性の評価が高まるとともに順調に処方を伸ばしています。ユーシービージャパンとコ・プロモーションを行っている抗てんかん剤「イーケプラ」は、てんかん診療ガイドラインの改訂や、専門医からの有効性と安全性に対する高い評価により、処方数が順調に伸長しました。また、パーキンソン病とレストレスレッグス症候群の治療剤「ニュープロ パッチ」も、製品ラインアップの拡大により使いやすさが向上し、売上収益が増加しています。
がん・がんサポーティブケア領域について、抗悪性腫瘍剤「アブラキサン」は、膵がんでの処方増に加え、胃がんにおける毎週投与法の用法用量の追加により、売上収益が増加しました。抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」は、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんに対する標準療法の一つとして確立し、増収となりました。制吐剤「アロキシ」の売上収益は、前期比で増加しました。
循環器・腎領域では、「サムスカ」は各種ガイドラインでの高い推奨を受け、経口水利尿薬としての処方が引き続き拡大しています。また、腎臓の難病である常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の唯一の治療剤としても、疾患啓発に伴う服用患者数の増加と高い継続率が貢献し、「サムスカ」全体で大幅な増収となりました。
消化器領域では、武田薬品工業とコ・プロモーションを行う酸関連疾患治療剤「タケキャブ錠」は、逆流性食道炎の維持療法で処方が拡大しています。
眼科領域では、ドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液UD2%」の売上収益は、前期並に推移しました。
免疫・アレルギー領域では、アレルギー性疾患治療剤「ビラノア」が、着実な市場浸透により大幅な増収となりました。
診断領域では、インフルエンザ検査薬「クイックナビ-Flu2」の売上伸長により、全体で売上収益が増加しました。
臨床栄養領域では、2017年1月に新規処方で発売した高カロリー輸液「エルネオパNF輸液」の販売数量が伸長し、シェアを拡大していますが、薬価改定等の影響を受け、臨床栄養全体での売上収益は前期並に推移しました。
◇北米
「Abilify Maintena」は、統合失調症治療薬としての有効性の訴求と製剤の利便性に対する認知向上に加え、双極性障害の効能追加が寄与し、引き続き前期比で増収となりました。「レキサルティ」は、2015年に大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬の新たな治療選択肢として米国で発売以降、有効性と安全性に対する高い評価を受け、売上収益は大幅に増加しています。「ロンサーフ」は、競合を含む外部環境の影響を受け減収となりました。低ナトリウム血症治療薬として販売する「サムスカ」は、価値訴求の強化により売上収益が増加しています。また、2018年5月、米国でADPKD治療剤「JYNARQUE」の販売を開始し、処方数が順調に伸長しています。
◇その他
「Abilify Maintena」は欧州における処方拡大が貢献し、売上収益は前期比で大幅に増加しました。「ロンサーフ」は、セルヴィエ社とのライセンス契約のもと、販売国が順調に拡大しています。経口水利尿薬「サムスカ」は、欧州・アジアにおいて引き続き売上収益が増加しています。ADPKD治療剤「ジンアーク」は、上市国の増加と新規処方の拡大により、大幅な増収となりました。
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当連結会計年度のニュートラシューティカルズ関連事業の売上収益は338,957百万円(前期比3.9%増)、営業利益は43,041百万円(同9.9%増)となりました。
◇日本
当期は、酷暑、自然災害等が飲料の需要供給に大きな影響を及ぼしました。「ポカリスエット」は水分・電解質補給の重要性、製品の有用性に対する消費者の理解が浸透し、500 mlペットボトルの7-8月の出荷量は過去最高を記録しました。また、年間を通じて行った若年層向けの活動等が多くの世代の共感を得て、売上収益は、飲料市場、スポーツドリンク市場の伸びを上回って伸長しました*1。
炭酸栄養ドリンク「オロナミンC」は、一部製品の自主回収の影響等により販売数量は前期比で減少しました。
栄養バランス食品市場においてトップシェア*2の「カロリーメイト」は、ブロックに加え、その他の形状の特徴を活かした各種訴求により、ブランド全体として消費者との接点が増えるとともに、多様なシーンで手軽にバランスよく栄養を補給できる優位性、利便性が理解され、販売数量は前期比で伸長しました。
大豆バー「SOYJOY(ソイジョイ)」は新フレーバー「SOYJOY クリスピー バナナ」、「SOYJOY クリスピー ピーチ」が新たなユーザー層の支持を得て、SOYJOY クリスピーシリーズの売上収益は増加しましたが、製品ラインアップの見直しに伴う一部製品終売等の影響を受け、ブランド全体の販売数量は前期比で微減となりました。
◇北米
米国ファーマバイト社の「ネイチャーメイド」は、米国のサプリメント市場の拡大傾向*3も相まって、現地通貨ベースの売上収益は引き続き増加しましたが、為替の影響を受け、円ベースの売上収益は前年並となりました。北米でプラントベース(植物由来)食品を開発・製造販売するデイヤフーズ社は、引き続き売上収益が増加しています。
◇その他
フランスの健康食品No.1ブランド*4「ジェルブレ」等の栄養・健康食品を、欧州を中心に40カ国以上に事業展開するニュートリション エ サンテ社は、消費者の健康への関心の高まりを背景に市場は拡大しているものの、競合他社の参入等の影響を受け、売上収益は前期比で減少しました。
アジアを中心に20以上の国と地域で展開しているポカリスエットは、科学的根拠に基づく製品の強みを生かした地域ごとの活動の成果等により各地域での製品理解が進み、海外全体の販売数量が前期比で伸長しました。インドネシアでは、ハラル対応の「オロナミンC」を2018年6月に、同じく「SOYJOY」を同年7月に発売し、店頭への導入は順調に進んでいます。
*1:インテージSRI 2018/1-12飲料市場全体+0.9%、スポーツドリンク市場+6.0%、ポカリスエット+8.5% 無断転載禁止
*2:インテージSRI 栄養バランス食品(種別:クッキー・ビスケット、シリアル、ケ-キ)市場 2018/1-12 無断転載禁止
*3:ⓒ2018, The Nielsen Company, 米国xAOCチャネル2018/12/29までの 52週 +4.6% 無断転載禁止
*4:IRI社 フランススーパー向け栄養食品市場調べ(2018年) 無断転載禁止
(消費者関連事業)
当連結会計年度の消費者関連事業の売上収益は33,807百万円(前期比5.0%減)、営業利益は8,668百万円(前期比22.0%減)となりました。
ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、積極的なマーケティング戦略に伴う店頭販売数量の伸長とミックスベリー味「ベリーマッチ」のリニューアルが寄与し、販売数量は前期比で伸長しました。「クリスタルガイザー」を中心とするミネラルウォーターは、700 mlボトルの店頭販売数量は伸長しましたが、通販チャネルの減収等により、全体の販売数量は前期比で減少しました。
(その他の事業)
当連結会計年度のその他の事業の売上収益は141,249百万円(前期比6.5%減)、営業利益は9,882百万円(同1.4%増)となりました。
機能化学品分野では、水加ヒドラジンや摩擦材等の販売数量の伸長等により、売上収益は前期比で増加しました。ファインケミカル分野では、受注の期ずれ等が影響し、前期比で減収となりました。運輸・倉庫分野は、グループ製品の取扱数量増加及び外部顧客との共同物流『共通プラットフォーム』の拡大により、前期比で増収となりました。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 (2017年12月31日) |
当連結会計年度 (2018年12月31日) |
増減額 |
|
流動資産 |
1,010,942 |
933,102 |
△77,840 |
|
非流動資産 |
1,469,313 |
1,543,532 |
74,218 |
|
資産合計 |
2,480,256 |
2,476,634 |
△3,621 |
|
流動負債 |
386,465 |
427,502 |
41,036 |
|
非流動負債 |
271,840 |
316,865 |
45,025 |
|
負債合計 |
658,306 |
744,368 |
86,061 |
|
資本合計 |
1,821,950 |
1,732,266 |
△89,683 |
a. 資産
当連結会計年度末の資産合計は2,476,634百万円(前連結会計年度末は2,480,256百万円)となり、3,621百万円減少しました。その内訳は、流動資産が77,840百万円減少、非流動資産が74,218百万円増加であります。流動資産が減少し、非流動資産が増加した主な要因としては、手元資金により、リコーメディカル社の完全子会社化とビステラ社の買収を行ったためです。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は933,102百万円(前連結会計年度末は1,010,942百万円)となり、77,840百万円減少しました。その主たる内訳は、売上債権及びその他の債権が14,600百万円、棚卸資産が12,589百万円増加したものの、現金及び現金同等物が51,590百万円、その他の金融資産が49,769百万円減少したこと等によるものであります。
(非流動資産)
当連結会計年度末における非流動資産は1,543,532百万円(前連結会計年度末は1,469,313百万円)となり、74,218百万円増加しました。その主たる内訳は、その他の金融資産が20,951百万円減少したものの、有形固定資産が11,109百万円、のれんが34,633百万円、無形資産が28,080百万円、繰延税金資産が21,448百万円増加したこと等によるものであります。
b. 負債
当連結会計年度末の負債合計は744,368百万円(前連結会計年度末は658,306百万円)となり、86,061百万円増加しました。主な要因としては、アバニア社買収時の借入金の約定返済等により社債及び借入金が流動・非流動の合計で35,548百万円減少したものの、当連結会計年度よりIFRS第15号を適用したことにより契約負債が流動・非流動合計で98,054百万円計上されたことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は427,502百万円(前連結会計年度末は386,465百万円)となり、41,036百万円増加しました。その主たる内訳は、仕入債務及びその他の債務が10,956百万円、当連結会計年度よりIFRS第15号を適用したことに伴う契約負債が10,809百万円及びその他の流動負債が16,793百万円増加したこと等によるものであります。
(非流動負債)
当連結会計年度末における非流動負債は316,865百万円(前連結会計年度末は271,840百万円)となり、45,025百万円増加しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が36,988百万円減少したものの、当連結会計年度よりIFRS第15号を適用したことに伴う契約負債が87,245百万円増加したこと等によるものであります。
c. 資本
当連結会計年度末における資本合計は1,732,266百万円(前連結会計年度末は1,821,950百万円)となり、89,683百万円減少しました。その主たる内訳は、配当金の支払54,184百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益82,492百万円の計上及びIFRS第15号の適用による影響額70,242百万円等により利益剰余金が37,039百万円減少したこと、株式相場及び為替相場等の影響によりその他の資本の構成要素が52,011百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は285,022百万円となり、前連結会計年度末より51,590百万円減少しました。当連結会計年度は営業キャッシュ・フローにより135,821百万円の資金を獲得しました。一方で、リコーメディカル社の完全子会社化とビステラ社の買収等、将来に向けて積極的に投資を行ったことから、投資活動により使用したキャッシュ・フローは△93,341百万円となりました。株主に対し1株当たり100円の配当を支払いつつ(支払合計額△54,184百万円)、長期借入金を41,755百万円返済したため、財務活動により使用したキャッシュ・フローは△89,198百万円となりました。これらの結果、投資活動と財務活動を合わせたキャッシュ・アウトフローが営業キャッシュ・インフローを上回りました。
なお、2018年12月末現在の社債及び借入金の合計額は205,885百万円であり、現金及び現金同等物が社債及び借入金の合計額を上回っていることから、財政的には健全性を維持していると考えております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得したキャッシュ・フローは、135,821百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は、税引前当期利益109,497百万円、減価償却費及び償却費59,275百万円、減損損失及びその戻入益34,742百万円、持分法による投資利益△16,508百万円、売上債権及びその他の債権の増減額△20,468百万円、法人所得税等の支払額△29,589百万円となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用したキャッシュ・フローは、△93,341百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△57,075百万円、無形資産の取得による支出△16,533百万円、投資の売却及び償還による収入33,846百万円、投資の取得による支出△32,136百万円、子会社の取得による支出△68,101百万円、定期預金の増減額47,287百万円となっております。子会社の取得による支出の主な内容は、リコーメディカル社の完全子会社化とビステラ社の買収によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用したキャッシュ・フローは、△89,198百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は、長期借入れによる収入6,544百万円、長期借入金の返済による支出△41,755百万円、配当金の支払額△55,295百万円となっております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
医療関連事業 |
131,018 |
105.4 |
|
ニュートラシューティカルズ関連事業 |
146,720 |
110.3 |
|
消費者関連事業 |
16,764 |
103.6 |
|
その他の事業 |
62,303 |
96.6 |
|
合計 |
356,806 |
105.6 |
(注)1.ニュートラシューティカルズとは、栄養「Nutrition」+薬「Pharmaceuticals」の造語であり、科学的根拠をもとに開発された医薬部外品や機能性食品及び栄養補助食品等を取り扱うセグメントです。
2.金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
連結子会社は主として受注見込みによる生産方式をとっています。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
医療関連事業 |
817,110 |
105.5 |
|
ニュートラシューティカルズ関連事業 |
338,585 |
107.6 |
|
消費者関連事業 |
33,651 |
95.2 |
|
その他の事業 |
102,634 |
89.1 |
|
合計 |
1,291,981 |
104.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載されているとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの当連結会計年度末の社債及び借入金の合計は205,885百万円であり、現金及び現金同等物の金額が社債及び借入金の残高を上回っています。なお、資金調達手段の多様化と経営の機動性確保を目的に2019年3月7日に国内無担保普通社債を80,000百万円発行いたしました(5年債20,000百万円、7年債30,000百万円、10年債30,000百万円)。資金使途につきましては、主にグループ会社の借入金返済資金及び運転資金に充当する予定です。
当社グループにおける経常的な資金需要としましては、主に事業の拡大に伴う運転資金需要、生産設備の増強・更新に伴う設備投資資金及び研究開発資金がありますが、基本的に営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。現在、徳島工場、徳島美馬工場等で生産設備の増強を行っております。一方、事業の買収等に伴う非経常的な資金需要につきましては、必要に応じて外部から調達しております。
(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。
(のれんの償却)
日本基準では、のれんは、その効果が発現すると認められる期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは、移行日以降、のれんの償却を行っておりません。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度12,723百万円、当連結会計年度13,689百万円減少しております。
(研究開発費の資産計上)
日本基準では、技術導入契約等の支出は、「研究開発費」として認識しておりましたが、IFRSでは、IAS第38号による無形資産の定義を満たすものについて資産化し、「仕掛研究開発」として無形資産に計上しております。当該資産は、未だ使用可能ではない無形資産であるため、償却をせず、減損テストを行っております。「仕掛研究開発」については、その後の期間に規制当局の許認可が得られ使用可能となった時点で「商標権及び販売権等」に振替を行い、その時点から見積耐用年数にわたり定額法で償却を開始しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結財政状態計算書の「無形資産」が前連結会計年度68,001百万円、当連結会計年度66,792百万円増加しております。
(売上収益)
日本基準では、技術導出契約に伴う契約一時金及びマイルストン収入について一時点の収益として認識しておりましたが、IFRSでは、顧客との契約における履行義務が一時点で充足されない場合には、関連する履行義務の充足に応じて一定期間にわたり収益認識しております。
また、日本基準では、顧客に対し支払う一部の販売促進費等について、販売費及び一般管理費として処理しておりましたが、IFRSでは売上収益から控除しております。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、当連結会計年度の連結損益計算書の「売上収益」が2,801百万円、「販売費及び一般管理費」が8,004百万円減少しております。
(1) アライアンス契約
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約年 |
|
大塚製薬㈱ |
H.ルンドベックA/S |
デンマーク |
共同開発・商業化 (注) |
2011年 |
(注) 大塚製薬㈱は、H.ルンドベックA/Sと中枢神経領域におけるグローバル・アライアンス契約を2011年11月に締結しております。本契約は、「Abilify Maintena」(アリピプラゾール持続性注射剤(月1回製剤))、「REXULTI(レキサルティ)」(一般名:ブレクスピプラゾール)、Lu AE58054(一般名:idalopirdine)及びH.ルンドベックA/Sが研究開発を進めている中枢神経疾患を対象にした最大2つの新規化合物をあわせた最大5つの化合物についての共同開発・商業化に関する契約であります。
(2) 技術導出
|
契約会社名 |
契約品目 |
相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約年 |
|
大塚製薬㈱ |
糖尿病治療薬 |
協和発酵キリン㈱ |
日本 |
契約一時金等(注)1 一定料率のロイヤリティ |
2012年 |
|
大鵬薬品工業㈱ |
抗悪性腫瘍剤 |
セルヴィエ社 (LES LABORATOIRES SERVIER) |
フランス |
契約一時金等(注)2 一定料率のロイヤリティ |
2015年 |
(注)1. 大塚製薬㈱は、協和発酵キリン㈱と糖尿病治療薬「オングリザ」(一般名:サキサグリプチン)について、日本における開発・販売権の譲渡に関する契約を2012年6月に締結しております。
2. 大鵬薬品工業㈱とセルヴィエ社は、大鵬薬品工業㈱が創製し、現在グローバルで開発中の抗悪性腫瘍剤TAS-102(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、日本での製品名:「ロンサーフ®配合錠T15・T20」)について、欧州・その他地域(北米・アジア以外)における開発・販売権に関するライセンス契約を2015年6月に締結しております。
(3) 技術導入
|
契約会社名 |
契約品目 |
相手方の名称 |
国名 |
販売地域 |
契約年 |
|
大塚製薬㈱ |
抗てんかん薬 |
ユーシービーファーマ |
ベルギー |
日本 |
2008年 |
|
〃 |
抗悪性腫瘍剤 (2品目) |
ブリストル・マイヤーズ スクイブ・カンパニー |
米国 |
米国、欧州、日本(注) |
2009年 |
|
〃 |
腎性貧血治療薬 |
アケビア・セラピューティクス・インク |
米国 |
米国、欧州、カナダ、オーストラリア、中国 |
2016年 |
(注) 大塚製薬㈱は、米国、欧州、日本における一定額の販売経費を負担し、米国、日本及び欧州の主要な国においてBMS社と「スプリセル」の共同開発・共同販売を行います。また、2010年から2020年まで、大塚製薬㈱は、「スプリセル」と「IXEMPRA」の売上合計額に応じて規定の分配金を受け取ります。
(4) 販売契約
|
契約会社名 |
契約品目 |
相手方の名称 |
国名 |
販売地域 |
契約年 |
|
大塚製薬㈱ |
酸関連疾患治療薬 |
武田薬品工業㈱ |
日本 |
日本 |
2014年 |
(注) 大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱が創製した酸関連疾患治療薬「タケキャブ®錠」(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)について日本国内での販売に関する共同プロモーション契約を2014年3月に締結しております。本契約に関して、大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱に対して契約一時金と製造販売承認時マイルストーンを支払い、「タケキャブ®錠」の売上に応じた一定の対価を武田薬品工業㈱から受領することになっております。
(5) 合弁関係
|
契約会社名 |
合弁会社 |
相手方の名称 |
国名 |
設立の目的 |
契約年 |
|
大塚製薬㈱ |
中国大塚製薬有限公司 |
中国医薬工業公司 |
中国 |
注射薬の製造・販売 |
1980年 |
|
〃 |
韓国大塚製薬㈱ |
Jeil Pharmaceutical Co., Ltd. |
韓国 |
循環・呼吸器官用薬の製造・販売 |
1982年 |
|
〃 |
東亜大塚㈱ |
Dong-A Socio Holdings Co., Ltd.他 |
韓国 |
飲料品・健康食品・栄養製品の製造・販売 |
1987年 |
|
〃 |
P.T.アメルタインダ大塚 |
P.T.マスヤ |
インドネシア |
飲料製品の製造、販売及び輸出入 |
1999年 |
|
クリスタルガイザーウォーターカンパニー |
CGロクサーヌ LLC |
Cameron Investment Group,Inc. |
米国 |
飲料製品の製造、販売及び輸出 |
1990年 |
|
大塚製薬㈱ |
イーエヌ大塚製薬㈱ |
雪印メグミルク㈱ |
日本 |
経腸栄養剤の製造・販売 |
2002年 |
|
大塚化学㈱ |
エムジーシー大塚ケミカル㈱ |
三菱瓦斯化学㈱ |
日本 |
水加ヒドラジンの製造・販売 |
2004年 |
|
大塚製薬㈱ |
アルマ S.A. |
ROX INVEST |
フランス |
飲料製品の製造、販売及び輸出 |
2008年 |
|
㈱大塚製薬工場 |
大塚製薬インド |
三井物産㈱ |
インド |
基礎輸液・臨床栄養製品の製造・販売 |
2012年 |
(6) リコーメディカル社の買収について
当社は、2018年6月29日に当社の関連会社であり、米国の医療機器の製造開発を営むリコーメディカル社に対して、株式の買収オプションを行使し、リコーメディカル社を完全子会社化しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 38.企業結合」に記載しております。
(7) ビステラ社の買収について
当社の連結子会社である大塚製薬㈱は、2018年7月11日に米国において医薬品の研究開発を営むビステラ社の全株式を当社の連結子会社である大塚アメリカ Inc.が設立した買収目的子会社を通じて、完全子会社化することについて合意し、8月31日に本買収は完了しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 38.企業結合」に記載しております。
当連結会計年度における研究開発費は216,140百万円です。
セグメント別の主な研究開発分野及び新製品の開発の状況は次のとおりです。
(医療関連事業)
当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブ領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています。
医療関連事業における研究開発費は、205,737百万円です。
当連結会計年度の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は以下のとおりです。
|
領域 |
「製品名」 (一般名) または開発コード |
状況 |
|
精神・神経領域 |
「レキサルティ」 (ブレクスピプラゾール) OPC-34712 |
<日本> ・統合失調症の効能で2018年1月に承認を取得しました。 ・大うつ病補助療法を対象としたフェーズⅢ試験を2018年8月に開始しました。 ・アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションを対象としたフェーズⅢ試験を2018年9月に開始しました。 <欧州> ・統合失調症の効能で2018年7月に承認を取得しました。 <アジア> ・大うつ病補助療法を対象としたフェーズⅢ試験を2018年5月に開始しました。 |
|
(アリピプラゾール・セルトラリン) ASC-01 |
<日本> ・当局と協議の結果、大うつ病補助療法を対象とした承認申請を取り下げました。 <アジア> ・開発戦略上、開発を中止しました。 |
|
|
(デキストロメトルファン・キニジン) AVP-923 |
<米国> ・開発戦略上、パーキンソン病に伴うジスキネジアを対象とした開発を中止しました。 |
|
|
(重水素化デキストロメトルファン・キニジン) AVP-786 |
<米国> ・開発戦略上、神経変性疾患脱抑制を対象とした開発を中止しました。 ・間欠性爆発性障害を対象としたフェーズⅡ試験を2018年2月に開始しました。 |
|
領域 |
「製品名」 (一般名) または開発コード |
状況 |
|
がん・がんサポーティブケア領域 |
「ロンサーフ」 (トリフルリジン・ チピラシル) TAS-102 |
<日本・米国・欧州> ・胃がんの効能で2018年8月に日本、同年10月に米国・欧州において承認申請しました。 |
|
TAS-116 |
<日本> ・消化管間質腫瘍を対象としたフェーズⅢ試験を2018年10月に開始しました。 |
|
|
TAS-120 |
<日本・米国・欧州> ・肝内胆管がんを対象としたフェーズⅡ試験を2018年4月に開始しました。 |
|
|
TAS-121 |
<日本> ・開発戦略上、開発を中止しました。 |
|
|
TAS0313 |
<日本> ・固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を2018年1月に開始しました。 |
|
|
TAS0728 |
<米国・欧州> ・固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を2018年4月に開始しました。 |
|
|
ASTX727 |
<米国> ・骨髄異形成症候群を対象としたフェーズⅢ試験を2018年2月に開始しました。 |
|
|
ASTX029 |
<米国> ・固形がんを対象としたフェーズⅠ試験を2018年5月に開始しました。 |
|
|
TBI-1301*1 |
<日本> ・滑膜肉腫を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を実施中です。 |
|
|
TBI-1501*1 |
<日本> ・急性リンパ芽球性白血病を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を実施中です。 |
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OCV-C02 |
<日本> ・開発戦略上、開発を中止しました。 |
|
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OCV-501 |
<日本・アジア> ・開発戦略上、開発を中止しました。 |
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領域 |
「製品名」 (一般名) または開発コード |
状況 |
|
循環器・腎領域 |
「サムスカ/ジンアーク」 (トルバプタン) OPC-41061 |
<米国> ・常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)の効能で2018年4月に承認を取得しました。 <アジア> ・開発戦略上、中国において肝性浮腫を対象とした承認申請を取り下げました。 |
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その他領域 |
TAS-115 |
<日本> ・特発性肺線維症を対象としたフェーズⅡ試験を2018年6月に開始しました。 |
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VIS410*2 |
<米国> ・インフルエンザA型感染症を対象としたフェーズⅡ試験を実施中です。 |
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TAS5315 |
<日本> ・関節リウマチを対象としたフェーズⅡ試験を2018年8月に開始しました。 |
|
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OPC-167832 |
<米国> ・結核を対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を2018年10月に開始しました。 |
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ライブセルTSAb「オーツカ」 ODK-1403 |
<日本> ・バセドウ病の体外診断薬として、2018年5月に承認を取得しました。 |
*1:2018年4月、タカラバイオ社と共同開発・独占販売に関する契約を締結
*2:ビステラ社を2018年8月に買収し、取得した開発品
(ニュートラシューティカルズ関連事業)
当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。
体調管理をこころがけるあらゆる人々の健康維持・増進への貢献を目指し、「腸と栄養」と「運動と栄養」に関する研究成果より誕生したブランド「ボディメンテ」から、コンディショニング飲料「ボディメンテ ドリンク」を2018年10月より全国発売しました。適切な水分量維持をサポートする「水分・電解質」の補給をベースに独自の乳酸菌B240を配合し、日常的な健康管理と、体調維持をサポートします。
女性の健康と美容を応援するブランド「エクエル」から、大豆由来成分であるエクオールに加え、コラーゲン、カルシウム等を配合したゼリー飲料「エクエル ジュレ」を2018年4月に発売しました。
水分・電解質の補給の重要性を伝える「ポカリスエット」から、熱中症対策として新たに深部体温に着目した "身体を芯から冷やす"新剤型「アイススラリー」を2018年7月に当社通信販売で発売しました。常温保存が可能なだけでなく、再び冷凍してもスラリー状態になることを実現し、"飲める氷"の熱中症対策飲料という新たな選択肢を提案しました。
ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、5,849百万円です。
(消費者関連事業)
当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。
消費者関連事業における研究開発費は、596百万円です。
(その他の事業)
当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。
その他の事業における研究開発費は、3,957百万円です。