第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道(Commitment)」、「実証(Actualization)」、「創造性(Creativity)」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。

 引き続き、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。

 

(1) 第3次中期経営計画の位置づけと主な施策

 第3次中期経営計画は、「独自のトータルヘルスケア企業として世界に躍進~成長の5年間~」と位置づけ、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業をコア事業として、新たな価値創造と既存事業価値の最大化に取り組みます。また資本コストを意識した経営を実践し、持続的な成長を目指します。

<業績目標>年平均成長率10%以上の事業利益成長

• 医療関連事業・ニュートラシューティカルズ関連事業の主力製品・ブランドの着実な成長により実現(オーガニックな成長)

• 積極的な研究開発投資を行い、次期中期経営計画以降の収益を牽引する新薬開発の継続

  (注)事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費+持分法による投資損益-研究開発費

 

<事業戦略>既存事業価値の最大化と新たな価値創造

① 主力製品・ブランドへの戦略的な取り組みにより成長を加速

・医療グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」「ロンサーフ」)、ニュートラシューティカルズ主要3ブランド(「ポカリスエット」「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランド)、ニュートラシューティカルズ育成3ブランド(デイヤフーズ社ブランド、「エクエル」「ボディメンテ」)を成長ドライバーと位置付け、戦略的な取り組みを強化

② 次世代の事業・製品への取り組み

・医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業における持続的成長を牽引する新製品群の上市と育成

医療関連事業:“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出

ニュートラシューティカルズ関連事業:環境変化を見据えた新しいコンセプトの創出、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦による、高利益率体制の継続

<財務方針> 資本コストを意識した経営の実践

・成長投資と株主還元の両立

・将来への成長投資と株主還元資金の確保

・規律ある経営実践に向け、加速するグローバル展開を支えるための経営基盤の整備

 

(2) 第3次中期経営計画の進捗

 第3次中期経営計画の初年度である2019年度の進捗は、以下のとおりです。

<業績目標の進捗>

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・2019年度の売上収益は、対計画比100.4%と計画通り進捗しました。これは、医療関連事業のグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」「ロンサーフ」)が大幅に増加しましたが、一方でニュートラシューティカルズ関連事業のニュートラシューティカルズ主要3ブランド(「ポカリスエット」「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランド)が為替の影響や天候要因、市場競争激化の影響を受けたことが要因です。

・研究開発費投資前事業利益は、売上収益増加に伴う粗利益の増加及び販売促進費の見直しにより対計画比108.0%となりました。

・研究開発費は、コア領域である精神・神経領域のブレクスピプラゾールのアルツハイマー型認知症に伴う行動障害、AVP-786のアルツハイマー型認知症に伴う行動障害及び統合失調症陰性症状、センタナファジンの注意欠陥多動性障害、がん領域のTAS-120の肝内胆管がん、循環器・腎領域のバダデュスタットの腎性貧血、超音波腎デナベーション治療デバイスを対象とした臨床試験等が順調に進捗しました。一方でブレクスピプラゾールの米国・欧州でのⅠ型双極性障害を対象とした臨床試験の中止や臨床試験の最適化により対計画比92億円減となりました。

・事業利益は、グローバル4製品の売上収益増加及び経費適正化に伴い、対計画比126.5%と達成いたしました。また対前期比で+54.8%となり、第3次中期経営計画の業績目標である「年平均成長率10%以上の事業利益成長」に対しても順調に進捗しております。

<事業戦略の進捗>

・既存事業の売上収益は計画を上回って増加し、製品価値最大化に向けた、医療グローバル4製品を中心とした効能追加やエリア拡大、ニュートラシューティカルズ主要3ブランドを中心としたエリア拡大等は、以下のとおり順調に進捗しました。新たな価値創造に向けた研究開発もコア領域を中心に進捗し、第4次中期経営計画以降を見据えた積極的な投資を進めました。

・「エビリファイ メンテナ」は、2019年9月、日本で双極性障害の効能追加申請を行いました。

・「レキサルティ」は、2019年10月、米国で心的外傷後ストレス障害(PTSD)のフェーズ3試験と、境界性パーソナリティ障害のフェーズ2試験を開始しました。

・「サムスカ/ジンアーク」は、経口水利尿薬としての医療現場における価値が向上し、さらに世界初の常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬として日本・米国・欧州で患者さんに貢献しています。特に米国では、ADPKD治療薬として処方が大幅に増加しています。

・「ロンサーフ」は、結腸・直腸がんの効能で2019年8月、中国で承認されエリア拡大が進みました。また胃がんの効能追加が2019年2月に米国、同年8月に日本、同年9月に欧州で承認されました。

・「ポカリスエット」は、アジアの新エリアへの展開を進めています。

・ニュートリション エ サンテ社ブランドは、欧州において流通改革に取り組んでいます。

・当連結会計年度のROEは7.3%となり、第3次中期経営計画最終年度2023年度の目標値である「8%以上」に対し、順調に推移致しました。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 ヘルスケア業界を取り巻く事業環境は、高齢化、高額医薬品の発売、感染症対策等による医療費の増加傾向が続き、日米欧諸国において、治療に対する医療コストへの関心が高まっています。限られた財源の中で、医療指針が医療コストと治療効果のバランスの中で捉えられ、薬価制度の改革やジェネリック医薬品の浸透が進む一方、高額医療や新テクノロジーが台頭してきています。このような中、病気に対する日々の予防を含む健康への意識が一段と高まっています。

 当社は、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。

 医療関連事業は、“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出により、課題解決に向けた様々な取り組みを進めています。治療満足度の低い疾患が多く残されている精神・神経、がん、腎・循環器領域を中心に、多様な事業のシナジーを生かした独自のアプローチにより、革新的な新薬の創出を目指します。また、医療の最適化に向けた体系的なソリューションについて挑戦しています。さらに、アライアンスやオープンイノベーション、ベンチャーキャピタルとの協業等による創薬基盤の強化、創薬モダリティの多様化に取り組み、持続的な進化と成長を目指してまいります。

 

 ニュートラシューティカルズ関連事業は、健康への意識が高まる中、医療関連事業で培われたノウハウを生かしながら、顕在化されていないニーズや社会課題に対して新しいコンセプトのソリューションを提案し、世界の人々の健康維持・増進による健康寿命の延伸に貢献することを目指します。グローバルにおける環境変化を見据え、最新のサイエンスやテクノロジーと独自のビジネスモデルを組み合わせて、新たな価値の創造、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦を進めます。健康を取り巻く様々な社会課題に対して、課題の顕在化から啓蒙活動を継続的に実施し、各ブランドからそのソリューションをこれからも提案し続けます。さらに外部機関との連携を強化し、これらの活動を推進してまいります。

 財務方針としては、資本コストを意識した経営の実践に向けて、両事業とも既存事業最大化に向けた投資及び次期中期経営計画以降を見据えた新規領域への積極的な投資をするとともに、シェアードサービスの拡大、IT基盤の強化、グループ内金融の推進、プロキュアメントの最適化をはかり、規律ある経営実践に向けた取り組みを進めています。

 また、当社グループは、CSRを事業と一体化したものと認識しています。企業理念のもと、自らの持続的な成長と、健康でサステナブルな社会の実現を目指し、最適なガバナンス体制を土台とし、社会と地球の健康に貢献する各活動を推進してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業の運営及び展開等については、様々なリスク要因があります。当社グループは、それらの想定されるリスク要因に対し、事前に軽減する、回避する、又はヘッジする等、事実上可能な範囲での施策を検討実施しておりますが、全てのリスク要因を排除又は軽減することは不可能又は著しく困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。以下、当社グループが重要なリスクであると判断する項目を記載いたしますが、当社グループの事業等に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末時点において当社グループが判断又は予想する主要なものであり、事業等のリスクはこれらに限るものではありません。

(1) 持株会社としてのリスク

 当社は、当社グループにおける事業の戦略立案、経営資源配分、グループ会社の監視・監督等の役割を果たすことによって、当社グループ全体のコーポレート・ガバナンス体制を強化するため、2008年7月8日に純粋持株会社として設立しました。当社は、安定的な収益を確保するため、子会社からの配当金及び適正な経営指導料を得ておりますが、子会社の収益動向によっては、当社の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 副作用発現に関するリスク

 医療関連事業において、新薬の承認取得のために実施する臨床試験は、限られた被験者を対象に実施されるものであります。このため、承認された新薬であってもすべての服用者に対して常に安全であるとまでの保証はなく、実際に新薬を投与した患者に予期し得ない副作用が発現する可能性があります。当社グループは、こうした事態に備えて、製造物責任を含めた各種賠償責任に対応するための適切な保険に加入しておりますが、最終的に当社グループが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。したがって、当社グループの製造又は販売する医薬品について、副作用の発現等の問題が発生した場合には、製品回収や販売中止等に係る多額の費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの社会的信頼及びブランド並びに事業展開にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 新薬開発の不確実性に関するリスク

 医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資と長い時間を要しますが、臨床試験などで有用な効果を発見できないこと等により研究開発が予定通りに進行せず、開発の延長や中止を行う可能性があります。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法規等の法的規制の適用を受けており、新薬の製造及び発売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、予定していた時期に上市ができず延期になる、又は上市を断念しなければならない可能性があります。当社グループが研究開発を行った医療用医薬品の上市が中止又は延期された場合、過去に計上された研究開発費に見合う収益が計上できない可能性があります。

 当社グループは、アンメット・メディカル・ニーズ(いまだ有効な治療方法が確立されていない疾患)に焦点を当て、複数のパイプラインを保有することにより、上記のリスクの軽減に努めておりますが、これにより、すべてのリスクが回避されるわけではなく、このような開発の不確実性により当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 医療費抑制策に関するリスク

 わが国において、厚生労働省は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでおります。

 また、当社グループの重要市場である米国においても、マネジドケア、保険会社及び2010年3月に改定された米国の医療保険改革法案等による先発医薬品(ブランド品)への価格引き下げへの圧力のほか、低価格のジェネリック医薬品の使用促進も進んでおり、今後の医療費政策の動向が当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 個人消費動向に関するリスク

 ニュートラシューティカルズ関連事業及び消費者関連事業において取り扱う製品(特に飲料製品)の中には、天候の影響及び経済状況等にともなう個人消費動向の影響を受けやすい製品があります。天候及び経済不況等による個人消費動向の変動は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 食の安全性に関するリスク

 当社グループは、「食の安全」をお客様に提供するため、自社製造品のみならず委託製造品を含む全ての製品の品質管理や安全性・信頼性保証等に関しては万全を期しております。しかしながら、近年、国内外の食品業界においては、有害物質の混入等の様々な問題が発生しており、当社グループの品質管理体制の範囲を超えた事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 原材料価格の高騰等に関するリスク

 当社グループの製品に使用する主要な原材料の価格は、天候、自然災害、市場価格、経済情勢、燃料費、為替等によって変動し、当該価格が何らかの原因により高騰した場合には、当該製品の製造コストは上昇します。当社グループとしては原材料価格の上昇を販売価格に転嫁することにより対応する方針ですが、市場の状況又は取引先との交渉等によって対応できない場合、その他調達先の問題などにより原材料の調達に何らかの問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法規制に関するリスク

 当社グループの医療関連事業を営む子会社は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下「薬機法」)等関連法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して以下のとおり許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、法令違反等によりその許認可等が取り消された場合等には、規制の対象となる製品を回収し、又はその販売を中止することが求められる可能性及び対象事業を継続できない可能性等があり、これらにより当社グループの運営に支障をきたし、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(許認可等の状況)

許認可等の名称

所管官庁等

主な許認可取消事由

備考

第1種医薬品製造販売業許可

東京都

薬機法その他薬機に関する法令若しくはこれに基づく処分に違反する行為があったとき、又は役員等が欠格条項に該当したときは許可の取消(薬機法第75条第1項)

大塚製薬㈱にて取得。ほか、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場等にて取得

医薬品製造業許可

徳島県

同上

大塚製薬㈱徳島工場にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の工場等にて取得

卸売販売業許可

東京都

同上

大塚製薬㈱東京支店にて取得。ほか、同社、大鵬薬品工業㈱及び㈱大塚製薬工場の複数の事業所等にて取得

 

(9) 特許権の保護期間満了に関するリスク

 医療関連事業におきましては、効能追加や剤型変更等により製品ライフサイクルの延長に努めておりますが、当社グループが排他的に利用可能な特許権の保護期間が満了した後には、当社グループが製造又は販売する医薬品と競合するジェネリック医薬品の出現により競争の激化が予想され、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 特許権の侵害に関するリスク

 当社グループでは特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第三者からの侵害のリスクに常に注意を払っておりますが、当社グループが保有し又は当社グループが他社からライセンスを受けている知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。

 また、第三者の知的財産権に対する侵害のリスクにも常に注意を払っておりますが、万一当社グループの製造又は販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品を回収し、又はその製造もしくは販売を中止することを求められる他、多額の損害賠償を請求される可能性があります。

 

(11) 訴訟に関するリスク

 当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任、労務問題、特許権の侵害、契約の不履行、環境汚染等に関して第三者から訴訟を提起される可能性があり、当社グループに不利益な内容の判決、決定又は和解がなされる場合、当社グループの業績及び財政状態並びに事業戦略及び社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(12) 製造拠点の操業停止に関するリスク

 当社グループの製造拠点は、予期せぬ災害、戦争、テロ活動、大規模なシステム障害もしくは事故等による操業停止に備えて各地域に分散しております。しかしながら、何らかの事由により当該製造拠点の全部又は一部の操業が停止した場合には、一時的又は長期的に全部又は一部の製品の製造が不可能又は著しく困難となり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 環境汚染に関するリスク

 当社グループは、国内外において製造過程で発生する廃棄物及び大気中への排出物などについて、さまざまな環境保護に係る法的規制を受けております。当社グループとしては、事業活動の各側面において環境への影響評価を行い、環境負荷の把握と環境リスクの低減に努めております。こうした取り組みの結果、当社グループではこれまで重大な環境問題が発生したことはありませんが、将来において、環境問題が発生しないという保証はなく、土壌又は大気の環境汚染などの問題が発生した場合には、関係当局に命じられる法的措置や対策費用又は損害賠償責任の発生により、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用性及びブランドに重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 為替相場及び株価に関するリスク

 当社グループの2019年12月期の連結売上収益のうち、50.6%が海外売上収益となっており、今後も当社グループの売上の相当程度は海外における外貨建取引となることが見込まれております。当社の想定を超える為替相場の急激な円高の進行により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社等の財務諸表を円表示へ換算するに際して、その為替相場いかんによって、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 また、株式市況等が低迷した場合には、当社グループが保有する株式等の評価損の計上や年金資産の減少に伴う退職給付に係る負債の増加等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 各種業務提携及び買収に関するリスク

 当社グループは、研究開発、製造、販売等の分野において、技術提携、業務提携、合弁会社設立、資本提携等、他社との提携又は他社事業の買収を実施することがあります。これらの提携等にあたり、当社グループは提携等による事業効果や提携先又は対象会社の業務遂行能力及び信用力の測定を十分に行っており、また資本提携及び買収につきましては、その対象企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューデリジェンスを行うことによって、当該提携及び買収に伴うリスクの低減に極力努めております。しかしながら、提携等の実施以後の事業環境の変化等により、当初計画されていた提携等による成果を得られない可能性や、何らかの理由により提携等が解消される可能性があり、その場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当該提携等を行うに当たり、当社グループが一定の地域、時期又は製品について競業避止義務を負う場合、当社グループの将来の事業戦略において重大な制約を受ける可能性があります。

 

(16) 海外展開におけるリスク

 当社グループは、日本以外にも米国、欧州及びアジアを中心に、研究開発、製造及び販売活動を行っております。グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安や事業環境の不確実性などのリスクを完全に回避することができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 情報管理に関するリスク

 当社グループは、個人情報を含め多くの重要情報を保有しております。これらの情報管理については、規程等を整備し、従業員に対し情報管理の重要性を周知徹底するとともに、システム上のセキュリティ対策等を行うなどの努力を行っていますが、システム障害や事故を含めた様々な原因で情報の改ざん、悪用、漏えいなどが発生するリスクが考えられます。その場合、当グループの業績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第16号「リース」(以下「IFRS第16号」)を適用しております。IFRS第16号の適用による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 2.作成の基礎(4) 会計方針の変更」に記載しております。

 

 当連結会計年度より、「営業利益」から「減損損失」及び「その他の収益・費用」を除いた経常的な収益力を示す指標として「事業利益」を採用しております。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2018年12月期)

当連結会計年度

(2019年12月期)

増減額

増減率

売上収益

1,291,981

1,396,240

104,259

8.1%

研究開発費投資前事業利益

313,824

402,957

89,133

28.4%

事業利益

120,892

187,168

66,275

54.8%

営業利益

108,304

176,585

68,280

63.0%

税引前当期利益

109,497

173,515

64,017

58.5%

当期利益

85,395

131,187

45,791

53.6%

親会社の所有者に帰属する
当期利益

82,492

127,151

44,659

54.1%

 

 

 

 

 

研究開発費

192,931

215,789

22,858

11.8%

減損損失

34,742

13,476

△21,266

△61.2%

 

 当連結会計年度における売上収益は、医療関連事業におけるグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)等の売上収益の増加が貢献し、1,396,240百万円(前期比8.1%増)となり、研究開発費投資前事業利益は402,957百万円(同28.4%増)となりました。また、AVP-786、超音波腎デナベーション治療デバイス、センタナファジン、「レキサルティ」、TAS-120及びビステラ社開発品による開発費が増加したことから研究開発費は215,789百万円(同11.8%増)となり、その結果、事業利益は187,168百万円(同54.8%増)となりました。

 営業利益につきましては176,585百万円(同63.0%増)、当期利益は131,187百万円(同53.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は127,151百万円(同54.1%増)となりました。

 なお、当連結会計年度における減損損失は、13,476百万円(同61.2%減)でした。

 

 セグメントの業績は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

医療関連
事業

ニュートラシューティカルズ
関連事業

消費者
関連事業

その他
の事業

調整額

連結

売上収益

924,250

333,780

33,553

143,833

△39,176

1,396,240

事業利益

167,298

42,875

9,470

9,045

△41,521

187,168

 

(参考-前連結会計年度)

(単位:百万円)

 

医療関連
事業

ニュートラシューティカルズ
関連事業

消費者
関連事業

その他
の事業

調整額

連結

売上収益

817,110

338,957

33,807

141,249

△39,144

1,291,981

事業利益

97,197

43,035

8,966

9,538

△37,845

120,892

 

(医療関連事業)

 当連結会計年度における売上収益は924,250百万円(前期比13.1%増)、事業利益は167,298百万円(同72.1%増)となりました。

 

<主要製品の状況>

●グローバル4製品

 当社がグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、前期比34.9%増の375,133百万円となりました。

 

・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」

 グローバルでの統合失調症治療薬としての有効性の訴求と製剤の利便性に対する認知向上に加え、2017年に米国において効能追加となった双極性障害治療薬としての処方拡大が引き続き貢献し、売上収益は前期比15.7%増の101,779百万円となりました。

 

・抗精神病薬「レキサルティ」

 大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬として販売する米国では、両疾患における新たな治療選択肢として有効性と安全性に対する高い評価を受け、売上収益は順調に増加しています。統合失調症治療薬として販売する日本では、2019年5月より処方日数制限が解除され、処方数が大きく伸長しています。欧州においても、2019年4月から順次販売を開始しました。これらの結果、売上収益は前期比29.3%増の89,822百万円となりました。

 

・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」

 日本において、各種ガイドラインにおける高い推奨を受け心性浮腫・肝性浮腫治療薬としての処方拡大に貢献しました。また、腎臓の難病である常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬としても、診療ガイドラインに基づいた適正使用の推進や疾患啓発活動を通して、処方数は伸長しました。これらの結果、全体の売上収益は前期比20.8%増の91,736百万円となりました。

 

・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」

 ADPKDの治療薬として2018年5月に発売した米国では、疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により、疾患と製品に対する認知が広まり、処方が順調に拡大しています。欧州の販売国においても治療患者数が増加し、売上収益は前期比300.0%増の57,315百万円と大幅な増収となりました。

 

・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」

 米国では、切除不能進行・再発結腸・直腸がん治療薬としての情報提供活動を強化したことに加え、2019年2月に効能追加の承認を取得した切除不能進行・再発胃がん治療薬としての処方が開始され、増収となりました。日本においても、同年8月に進行・再発胃がんに対する効能が追加され、処方数が伸長しています。欧州では、導出先のセルヴィエ社に対する製品出荷時期の期ずれの影響を受け、微減となりましたが、現地での処方は堅調に推移しています。これらの結果、全体の売上収益は前期比13.6%増の34,479百万円となりました。

 

●その他主力製品

 抗てんかん剤「イーケプラ」(売上収益46,751百万円、前期比16.1%増)は、高い有効性と安全性、使いやすさが専門医の評価を得て、処方数が順調に伸長しています。抗悪性腫瘍剤「アブラキサン」(売上収益28,998百万円、前期比13.9%増)は、胃がん・肺がんでの処方が増え増収となりました。アレルギー性疾患治療剤「ビラノア」(売上収益12,225百万円、前期比84.3%増)は、花粉症治療に対する選択肢として専門医や患者さんより高い評価を受け、大幅な増収となりました。

 

(ニュートラシューティカルズ関連事業)

 当連結会計年度における売上収益は333,780百万円(前期比1.5%減)、事業利益は42,875百万円(同0.4%減)となりました。

 

<主要製品の状況>

 当社が主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、前期比5.0%減の200,124百万円となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、前期比18.0%増の21,217百万円となりました。

 

●主要3ブランド

 日本では飲料最需要期である7月に天候不順な日が続き、猛暑であった2018年と比べスポーツドリンクカテゴリーは減少しました*1。水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」においてもこれらの影響等から、日本の売上収益は前期比で減少となりました。一方、アジアを中心に展開する海外では、各地域の特性やニーズに基づいた啓発活動によりインドネシアやベトナムを中心に販売数量が伸長したものの、日本での減収をカバーできず、ブランド全体の売上収益は前期比で減少しました。

 ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、米国のサプリメント市場における競争激化等の影響で、売上収益は前期比で減少しました。

 欧州を中心に40カ国以上で栄養・健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、シュガーフリー製品は伸長しましたが、栄養食品市場における競合激化や為替の影響を受け、前期比で減収となりました。

 

●育成3ブランド

 プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米においてチーズ代替品や新製品の成長により、前期比で増収となりました。

 女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、女性の健康に関するセミナーや、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、売上収益は前期比で大幅に増加しました。

 植物由来の乳酸菌B240*2を含有する「ボディメンテ」は、コンディショニング栄養食「ボディメンテ ゼリー」に加えて、2018年10月よりコンディショニング飲料「ボディメンテ ドリンク」を全国発売し、堅調に推移しています。

 

*1 インテージSRI 2019年1月7日~12月29日 ▲5.4%

*2 Lactobacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬が有効性を確認した乳酸菌

 

(消費者関連事業)

 ミネラルウォーターは、主力製品「クリスタルガイザー」の若者を中心としたユーザー層拡大に向けた積極的なコミュニケーション・マーケティング活動により、パーソナルサイズとしては最大サイズの700mlボトルや通販チャネルを中心に販売数量が伸長しました。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、冷夏の影響もあり、前期比で販売数量は減少しましたが、新たなラインアップとして2019年4月にゼリータイプの「マッチゼリー」を発売し、市場導入が順調に進んでいますこれらの結果、当連結会計年度における売上収益は33,553百万円(前期比0.8%減)、経費の効率化等により、事業利益は9,470百万円(同5.6%増)となりました。

(その他の事業)

 機能化学品分野は、タイヤ用添加剤やブレーキ用摩擦材の出荷数量の減少により、前期比で微減となりました。ファインケミカル分野は、2019年6月に譲受したセフィキシムの海外ライセンシーに対する原薬供給事業に係る売上収益等により、増収となりました。

 運輸・倉庫分野は、グループ製品の取扱数量増加と、外部顧客との共同物流『共通プラットフォーム戦略』による新規顧客の拡大等により、前期比で増収となりました。

 以上の結果、当連結会計年度のその他の事業の売上収益は143,833百万円(前期比1.8%増)となりました。また、持分法投資利益の減少等が影響し、事業利益は9,045百万円(同5.2%減)となりました。

 

※ その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。

https://www.otsuka.com/jp/ir/library/earnings.php

 

② 財政状態の状況

 前連結会計年度において行われた企業結合に係る暫定的な会計処理が当連結会計年度に確定しており、前連結会計年度の関連する数値については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額によっております。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2018年12月31日)

当連結会計年度

(2019年12月31日)

増減額

流動資産

933,102

988,351

55,249

非流動資産

1,544,260

1,592,957

48,696

資産合計

2,477,363

2,581,309

103,945

流動負債

427,502

440,891

13,389

非流動負債

317,594

344,977

27,382

負債合計

745,097

785,869

40,771

資本合計

1,732,266

1,795,440

63,173

 

a. 資産

 当連結会計年度末における総資産は2,581,309百万円(前連結会計年度末は2,477,363百万円)となり、103,945百万円増加しました。その内訳は、流動資産が55,249百万円の増加、非流動資産が48,696百万円の増加であります。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は988,351百万円(前連結会計年度末は933,102百万円)となり、55,249百万円増加しました。その主たる内訳は、その他の金融資産が18,381百万円減少したものの、現金及び現金同等物が49,017百万円、売上債権及びその他の債権が22,897百万円増加したこと等によるものであります。当連結会計年度においては、業績が堅調に推移したことに加え、2019年3月に借入金返済資金及び運転資金に充当するために国内無担保普通社債80,000百万円を発行し、借入金返済をしたこと等の結果、現金及び現金同等物が増加しました。

(非流動資産)

 当連結会計年度末における非流動資産は1,592,957百万円(前連結会計年度末は1,544,260百万円)となり、48,696百万円増加しました。その主たる内訳は、のれんが6,228百万円、無形資産が9,238百万円減少したものの、有形固定資産が59,807百万円増加したことによるものであります。のれんの減少は、為替相場の変動及び減損による影響、無形資産の減少は、償却、減損及び為替相場の変動による影響であります。有形固定資産の増加は、IFRS第16号「リース」(以下「IFRS第16号」)の適用による影響及び医療関連事業の徳島美馬工場、松茂工場の生産設備への投資等によるものであります。

 

b. 負債

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は440,891百万円(前連結会計年度末は427,502百万円)となり、13,389百万円増加しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が15,878百万円減少したものの、リース負債が12,901百万円、未払法人所得税が19,305百万円増加したことによるものであります。リース負債の増加は、IFRS第16号の適用による影響等によるものであります。

(非流動負債)

 当連結会計年度末における非流動負債は344,977百万円(前連結会計年度末は317,594百万円)となり、27,382百万円増加しました。その主たる内訳は、社債及び借入金が3,479百万円、契約負債が6,452百万円、繰延税金負債が9,716百万円減少したものの、リース負債が45,834百万円増加したことによるものであります。社債及び借入金の減少は、社債80,000百万円を発行による増加の一方で、アバニア買収資金の借入返済等により減少したことによるものであります。リース負債の増加は、IFRS第16号の適用による影響等によるものであります。

c. 資本

 当連結会計年度末における資本は1,795,440百万円(前連結会計年度末は1,732,266百万円)となり、63,173百万円増加しました。その主たる内訳は、株式相場及び為替相場の変動等の影響によりその他の資本の構成要素が14,313百万円減少、及び配当金の支払により利益剰余金が54,205百万円減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益127,151百万円の計上等により利益剰余金が75,208百万円増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は334,040百万円となり、前連結会計年度末より49,017百万円増加しました。当連結会計年度は営業活動によるキャッシュ・フローにより192,634百万円の資金を獲得しました。一方で、将来の持続的成長に向けて、医療関連事業において徳島美馬工場、松茂工場の生産設備への投資等を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△52,279百万円となりました。財務活動につきましては、社債の発行により80,000百万円を調達した一方で、借入金の繰り上げ返済も一部行ったことから長期借入金の返済額が△99,386百万円となり、配当金の支払額が△55,560百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△89,267百万円となりました。

 これらの結果、営業活動によるキャッシュ・イン・フローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウト・フローを上回り、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より49,017百万円増加しました。

 なお、2019年12月末現在の社債及び借入金の合計額は186,527百万円であり、現金及び現金同等物が社債及び借入金の合計額を上回っていることから、財政的に健全性を維持していると考えております。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、192,634百万円(対前期比56,812百万円増)となりました。当連結会計年度の主な内容は、税引前当期利益173,515百万円、減価償却費及び償却費75,690百万円、売上債権及びその他の債権の増減額△24,440百万円、仕入債務及びその他の債務の増減額△11,105百万円、法人所得税等の支払額△24,000百万円となっております。当連結会計年度における対前期比56,812百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、医療関連事業におけるグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「サムスカ/ジンアーク」、「ロンサーフ」)の伸長により業績が堅調に推移したこと及び法人所得税等の支払額の対前期比5,588百万円減少等によるキャッシュ・フローの増加が、売上債権及びその他の債権、棚卸資産、仕入債務及びその他の債務の増減額の影響による対前期比16,865百万円のキャッシュ・フローの減少を上回ったことによるものであります。また、IFRS第16号を適用することになったことに伴い、従来のオペレーティング・リース契約に係る使用権資産の減価償却費及び償却費が増加しております。一方で、従来のオペレーティング・リース契約に係るリース負債の返済による支出は、財務活動によるキャッシュ・フローに減額項目として計上されております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、△52,279百万円(対前期比41,062百万円増)となりました。当連結会計年度の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△48,602百万円、無形資産の取得による支出△14,835百万円、投資の売却及び償還による収入44,446百万円、投資の取得による支出△49,656百万円、定期預金の増減額18,577百万円等であります。当連結会計年度における対前期比41,062百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、定期預金の増減額が対前期比△28,709百万円となった一方で、前連結会計年度におけるリコーメディカル Inc.及びビステラ Inc.の買収の影響がなくなったことにより、キャッシュ・フローが対前期比68,101百万円増加した影響等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、△89,267百万円(対前期比68百万円減)となりました。当連結会計年度の主な内容は、社債の発行による収入80,000百万円、長期借入金の返済による支出△99,386百万円、リース負債の返済による支出△15,701百万円、配当金の支払額△55,560百万円であります。当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前期比微減となりましたが、その主な要因は、2019年3月の国内無担保普通社債の発行による収入の計上80,000百万円、IFRS第16号を適用することになったことに伴い、リース負債の返済による支出の増加による対前期比△13,499百万円の影響、及びアバニア買収資金の返済等に伴う長期借入金の返済による支出の増加による対前期比△57,631百万円の影響等であります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医療関連事業

137,558

104.9

ニュートラシューティカルズ関連事業

138,407

94.3

消費者関連事業

16,661

99.3

その他の事業

60,724

97.4

合計

353,351

99.0

(注)1.ニュートラシューティカルズとは、栄養「Nutrition」+薬「Pharmaceuticals」の造語であり、科学的根拠をもとに開発された医薬部外品や機能性食品及び栄養補助食品等を取り扱うセグメントです。

2.金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b. 受注実績

 連結子会社は主として受注見込みによる生産方式をとっております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医療関連事業

924,250

113.1

ニュートラシューティカルズ関連事業

333,757

98.6

消費者関連事業

33,553

99.7

その他の事業

104,680

102.0

合計

1,396,240

108.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載されているとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

 当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は334,040百万円であり、社債及び借入金の合計額186,527百万円を上回っています。なお、資金調達手段の多様化と経営の機動性確保を目的に2019年3月7日に国内無担保普通社債を80,000百万円発行し(5年債20,000百万円、7年債30,000百万円、10年債30,000百万円)、その一部を借入金の繰り上げ返済に充当いたしました。

 

 当社グループにおける経常的な資金需要としましては、主に事業の拡大に伴う運転資金需要、生産設備の増強・更新に伴う設備投資資金及び研究開発資金がありますが、基本的に営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。現在、徳島工場、徳島美馬工場等で生産設備の増強を行っております。一方、事業の買収等に伴う非経常的な資金需要につきましては、必要に応じて外部から調達しております。

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

 

(のれんの償却)

 日本基準では、のれんは、その効果が発現すると認められる期間で償却することとしておりましたが、IFRSでは、移行日以降、のれんの償却を行っておりません。

 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」が前連結会計年度13,689百万円、当連結会計年度14,674百万円減少しております。

 

(研究開発費の資産計上)

 日本基準では、技術導入契約等の支出は、「研究開発費」として認識しておりましたが、IFRSでは、IAS第38号による無形資産の定義を満たすものについて資産化し、「仕掛研究開発」として無形資産に計上しております。当該資産は、未だ使用可能ではない無形資産であるため、償却をせず、減損テストを行っております。「仕掛研究開発」については、その後の期間に規制当局の許認可が得られ使用可能となった時点で「商標権及び販売権等」に振替を行い、その時点から見積耐用年数にわたり定額法で償却を開始しております

 この結果、IFRSでは日本基準に比べて、連結財政状態計算書の「無形資産」が前連結会計年度66,792百万円、当連結会計年度75,843百万円増加しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) アライアンス契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約年

大塚製薬㈱

H.ルンドベックA/S

デンマーク

共同開発・商業化

(注)1

2011年

大鵬薬品工業㈱

及び

アステックスセラピューティクス Ltd.

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.

(米国及びカナダ以外ではMSD)

米国

戦略的提携

(注)2

2019年

(注)1.大塚製薬㈱は、H.ルンドベックA/Sと中枢神経領域におけるグローバル・アライアンス契約を2011年11月に締結しております。本契約は、「Abilify Maintena」(アリピプラゾール持続性注射剤(月1回製剤))、「REXULTI(レキサルティ)」(一般名:ブレクスピプラゾール)、Lu AE58054(一般名:idalopirdine及びH.ルンドベックA/Sが研究開発を進めている中枢神経疾患を対象にした最大2つの新規化合物をあわせた最大5つの化合物についての共同開発・商業化に関する契約であります。

2.大鵬薬品工業㈱及びアステックスセラピューティクス Ltd.は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(米国及びカナダ以外はMSD)とKRASがん遺伝子を含む複数の薬剤ターゲットに対して開発中の低分子阻害剤に特化したグローバルでの研究提携とライセンスに関する独占的契約を2019年12月に締結しております。

 

(2) 技術導出

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

契約内容

契約年

大塚製薬㈱

糖尿病治療薬

協和キリン㈱

(注)1

日本

契約一時金等(注)2

一定料率のロイヤリティ

2012年

大鵬薬品工業㈱

抗悪性腫瘍剤

セルヴィエ社

(LES LABORATOIRES SERVIER)

フランス

契約一時金等(注)3

一定料率のロイヤリティ

2015年

(注)1.協和キリン㈱は2019年7月1日付で協和発酵キリン㈱より商号変更しております。

2.大塚製薬㈱は、協和キリン㈱と糖尿病治療薬「オングリザ」(一般名:サキサグリプチン)について、日本における開発・販売権の譲渡に関する契約を2012年6月に締結しております。

3.大鵬薬品工業㈱とセルヴィエ社は、大鵬薬品工業㈱が創製し、現在グローバルで開発中の抗悪性腫瘍剤TAS-102(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、日本での製品名:「ロンサーフ®配合錠T15・T20」)について、欧州・その他地域(北米・アジア以外)における開発・販売権に関するライセンス契約を2015年6月に締結しております。

 

(3) 技術導入

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

販売地域

契約年

大塚製薬㈱

抗てんかん薬

ユーシービーファーマ

ベルギー

日本

2008年

  〃

抗悪性腫瘍剤

(2品目)

ブリストル・マイヤーズ スクイブ・カンパニー

米国

米国、欧州、日本(注)

2009年

  〃

腎性貧血治療薬

アケビア・セラピューティクス・インク

米国

米国、欧州、カナダ、

オーストラリア、中国

2016年

(注)大塚製薬㈱は、米国、欧州、日本における一定額の販売経費を負担し、米国、日本及び欧州の主要な国においてBMS社と「スプリセル」の共同開発・共同販売を行います。また、2010年から2020年まで、大塚製薬㈱は、「スプリセル」と「IXEMPRA」の売上合計額に応じて規定の分配金を受け取ります。

 

(4) 販売契約

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

販売地域

契約年

大塚製薬㈱

酸関連疾患治療薬

武田薬品工業㈱

日本

日本

2014年

(注)大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱が創製した酸関連疾患治療薬「タケキャブ®錠」(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)について日本国内での販売に関する共同プロモーション契約を2014年3月に締結しております。本契約に関して、大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱に対して契約一時金と製造販売承認時マイルストーンを支払い、「タケキャブ®錠」の売上に応じた一定の対価を武田薬品工業㈱から受領することになっております。

 

(5) 合弁関係

契約会社名

合弁会社

相手方の名称

国名

設立の目的

契約年

大塚製薬㈱

中国大塚製薬有限公司

中国医薬工業公司

中国

注射薬の製造・販売

1980年

  〃

韓国大塚製薬㈱

Jeil Pharmaceutical Co., Ltd.

韓国

循環・呼吸器官用薬の製造・販売

1982年

  〃

東亜大塚㈱

Dong-A Socio Holdings Co., Ltd.他

韓国

飲料品・健康食品・栄養製品の製造・販売

1987年

  〃

P.T.アメルタインダ大塚

P.T.マスヤ

インドネシア

飲料製品の製造、販売及び輸出入

1999年

クリスタルガイザーウォーターカンパニー

CGロクサーヌ LLC

Cameron Investment Group,Inc.

米国

飲料製品の製造、販売及び輸出

1990年

大塚製薬㈱

イーエヌ大塚製薬㈱

雪印メグミルク㈱

日本

経腸栄養剤の製造・販売

2002年

大塚化学㈱

エムジーシー大塚ケミカル㈱

三菱瓦斯化学㈱

日本

水加ヒドラジンの製造・販売

2004年

大塚製薬㈱

アルマ S.A.

ROX INVEST

フランス

飲料製品の製造、販売及び輸出

2008年

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費は、215,789百万円です。

 主な研究開発分野及び新製品の開発のセグメント別の状況は次のとおりです。

 

(医療関連事業)

 当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブ領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています

 医療関連事業における研究開発費は、205,102百万円です。

 

 当連結会計年度の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は、以下のとおりです。

 

領域

「製品名」

(一般名)

又は開発コード

 

状況

精神・神経領域

「レキサルティ」

(ブレクスピプラゾール)

OPC-34712

<米国>

・心的外傷後ストレス障害を対象としたフェーズⅢ試験を2019年10月に開始しました。

・境界性パーソナリティ障害を対象としたフェーズⅡ試験を2019年10月に開始しました。

<中国>

・統合失調症を対象としたフェーズⅢ試験を2019年5月に開始しました。

 

「エビリファイ持続性水懸筋注用」※

(アリピプラゾール)

<日本>

・双極性障害の効能で、2019年9月に承認申請しました。

 

重水素化デキストロメトルファン・キニジン

AVP-786

<米国>

・統合失調症陰性症状を対象としたフェーズⅡ/Ⅲ試験を2019年3月に開始しました。

 

(センタナファジン)

EB-1020

<米国>

・成人の注意欠陥・多動性障害を対象としたフェーズⅢ試験を2019年2月に開始しました。

 

「セリンクロ」

(ナルメフェン)

Lu AA36143

<日本>

アルコール依存症患者における飲酒量を低減する治療薬として2019年1月に承認を取得しました。

 

Lu AF20513

 

<欧州>

開発戦略上の理由で、当社における開発を中止しました。

がん・がんサポーティブケア領域

「ロンサーフ」

トリフルリジン・

チピラシル

TAS-102

<日本・米国・欧州>

・胃がんの効能追加について、2019年2月に米国、2019年8月に日本、2019年9月に欧州で承認を取得しました。

<中国>

・結腸・直腸がん治療薬として2019年8月に承認を取得しました。

 

(decitabine・cedazuridine)

ASTX727

<日本>

・骨髄異形成症候群を対象としたフェーズⅠ試験を2019年3月に開始しました。

<米国>

・骨髄異形成症候群の効能で2019年12月に承認申請しました。

 

ASTX295

<米国>

・固形がんを対象としたフェーズⅠ/Ⅱ試験を2019年7月に開始しました。

 

TAS0313

<日本>

尿路上皮がんを対象としたフェーズⅡ試験を2019年1月に開始しました。

 

 

 

領域

「製品名」

(一般名)

又は開発コード

 

状況

 

canerpaturev

TBI-1401

<日本>

・タカラバイオ社は悪性黒色腫の効能に関する承認申請を2019年9月に取り下げました。

 

ホスネツピタント

Pro-NETU

 

<日本>

抗悪性腫瘍剤投与に伴う悪心・嘔吐を対象としたフェーズⅢ試験を2019年2月に開始しました。

 

OPB-111077

<日本>

・日本において、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象としたフェーズⅠ試験を2019年12月に開始しました。

 

TAS4464

<日本・米国・欧州>

・開発戦略上の理由で、開発を中止しました。

循環器・腎領域

(トルバプタンリン酸エステルナトリウム)

OPC-61815

<日本>

心性浮腫を対象としたフェーズⅢ試験を2019年1月に開始しました。

 

「サムスカ」

(トルバプタン)

OPC-41061

<日本>

・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の効能で2019年10月に承認申請しました。

その他領域

(ジファミラスト)

OPA-15406

<日本>

・アトピー性皮膚炎を対象としたフェーズⅢ試験を2019年4月に開始しました。

 

WT1 mRNA測定キットⅡ「オーツカ」

ODK-1003-CN

<中国>

・骨髄異形成症候群の体外診断薬として2019年3月に承認を取得しました。

 

(糖・電解質・アミノ酸

脂肪・ビタミン)

OPF-105

<日本>

・末梢静脈栄養輸液として2019年9月に承認申請しました。

 

(糖・電解質・アミノ酸・ビタミン)

OPF-109

<日本>

・慢性腎不全用高カロリー輸液として、フェーズⅢ試験を2019年11月に開始しました。

※「エビリファイ メンテナ」日本の製品名

 

(ニュートラシューティカルズ関連事業)

 当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。ミドルエイジ男性向けトータルスキンケアブランド「ウル・オス」から、保湿成分AMP*はそのままに、肌質や使用感の好みに合わせて選べるように保湿ラインの処方を進化させ、2019年8月にスキンローション、スキンミルク及びスキンジェルクリームの保湿3製品をリニューアル発売しました。また、まるごと大豆の栄養を手軽においしく摂取できる大豆バーSOYJOY(ソイジョイ)ブランドから、粗びき大豆をアクセントに、プレーンスコーン風のしっとりとした食感を実現した新シリーズ「SOYJOY スコーンバー プレーン」を10月より発売しました。バランス栄養食カロリーメイトからは、液体タイプの「カロリーメイト リキッド」(カフェオレ味、フルーツミックス味、ヨーグルト味)を2019年10月よりリニューアル発売しました。栄養補助食品市場のロングセラーブランドとして、医療ルーツの確かな製品設計で栄養摂取に対するニーズをサポートし、さらなるブランドの成長を目指します。

*:保湿成分AMP:アデノシン一リン酸

 

 ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、6,134百万円です。

 

(消費者関連事業)

 当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。

 消費者関連事業における研究開発費は、577百万円です。

 

(その他の事業)

 当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。

 その他の事業における研究開発費は、3,974百万円です。