第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道(Commitment)」、「実証(Actualization)」、「創造性(Creativity)」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。

 引き続き、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。

 

(1) 第3次中期経営計画の位置づけと主な施策

 第3次中期経営計画は、「独自のトータルヘルスケア企業として世界に躍進~成長の5年間~」と位置づけ、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業をコア事業として、既存事業価値の最大化と新たな価値創造に取り組みます。また資本コストを意識した経営を実践し、持続的な成長を目指します。

<業績目標>年平均成長率10%以上の事業利益成長

• 医療関連事業・ニュートラシューティカルズ関連事業の主力製品・ブランドの着実な成長により実現(オーガニックな成長)

• 積極的な研究開発投資を行い、次期中期経営計画以降の収益を牽引する新薬開発の継続

  (注)事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費+持分法による投資損益-研究開発費

 

<事業戦略>既存事業価値の最大化と新たな価値創造

① 主力製品・ブランドへの戦略的な取り組みにより成長を加速

・医療グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」「レキサルティ」「サムスカ/ジンアーク」「ロンサーフ」)、ニュートラシューティカルズ主要3ブランド(「ポカリスエット」「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランド)、ニュートラシューティカルズ育成3ブランド(デイヤフーズ社ブランド、「エクエル」「ボディメンテ」)を成長ドライバーと位置付け、戦略的な取り組みを強化

② 次世代の事業・製品への取り組み

・医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業における持続的成長を牽引する新製品群の上市と育成

医療関連事業:“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出

ニュートラシューティカルズ関連事業:環境変化を見据えた新しいコンセプトの創出、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦による、高利益率体制の継続

<財務方針> 資本コストを意識した経営の実践

・成長投資と株主還元の両立

・将来への成長投資と株主還元資金の確保

・規律ある経営実践に向け、加速するグローバル展開を支えるための経営基盤の整備

 

(2) 第3次中期経営計画の進捗

 第3次中期経営計画の2年目である2020年度の進捗は、以下のとおりです。

<業績目標の進捗>

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・2020年度の売上収益は、新型コロナウイルス感染拡大により、当社グループの事業活動も一定の影響を受けましたが、対前年1.9%増と順調に進捗しました。医療関連事業においては、患者の受診抑制や、手術件数の減少、病床稼働率の低下等により、輸液や一部の治療薬は影響を受けましたが、グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「ジンアーク」、「ロンサーフ」)等の売上収益の増加が業績を牽引しました。ニュートラシューティカルズ関連事業においては、外出機会の減少や日本の天候不順等により、飲料の消費等が影響を受けましたが、健康に対する自己管理意識の向上とともに、「ネイチャーメイド」、デイヤフーズ社ブランドや「エクエル」等が伸長し、新型コロナウイルス感染が拡大する中においても同事業の売上収益は前年並を確保しました。

・研究開発費投資前事業利益は、売上収益増加に伴う粗利益の増加及びニューノーマルに対応したコスト効率化の推進により対前年7.6%増となりました。

・研究開発費は、一部の臨床開発試験において新型コロナウイルス感染拡大の影響による遅延がみられますが、コア領域である精神・神経領域のブレクスピプラゾールのアルツハイマー型認知症に伴う行動障害及び心的外傷後ストレス障害(PTSD)、AVP-786のアルツハイマー型認知症に伴う行動障害及び統合失調症陰性症状、センタナファジンの注意欠陥多動性障害、がん領域のフチバチニブの肝内胆管がん、循環器・腎領域のバダデュスタットの腎性貧血、超音波腎デナベーション治療デバイスを対象とした臨床試験等が順調に進捗し、前年並みの進捗となりました。

・事業利益は、グローバル4製品の売上収益増加及び経費効率化に伴い、対前年15.9%増と順調に成長しました。第3次中期経営計画の業績目標である「年平均成長率10%以上の事業利益成長」に対しても順調に進捗しております。

 

<事業戦略の進捗>

・既存事業の売上収益は前年を上回って増加し、製品価値最大化に向けた、医療グローバル4製品を中心とした効能追加やエリア拡大、ニュートラシューティカルズ主要3ブランドを中心としたエリア拡大等は、以下のとおり順調に進捗しました。新たな価値創造に向けた研究開発もコア領域を中心に進捗し、第4次中期経営計画以降を見据えた積極的な投資を進めました。

・「エビリファイ メンテナ」は、2020年9月、日本で双極Ⅰ型障害が効能追加されました。

・「レキサルティ」は、アルツハイマー型認知症に伴う行動障害及び心的外傷後ストレス障害(PTSD)のフェーズ3試験が順調に進捗しています。

・「サムスカ/ジンアーク」は、経口水利尿薬としての医療現場における価値が向上し、さらに世界初の常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬として日本・米国・欧州で患者さんに貢献しています。特に米国では、ADPKD治療薬として処方が大幅に増加しています。

・「ロンサーフ」は、米国において経口抗がん剤の利便性が処方数増加につながっています。また承認国が順調に拡大しています。

・「ポカリスエット」は、アジアの新エリアへの展開を進めています。

・「ネイチャーメイド」は、消費者の生活スタイルに合わせた新たなアプローチに取り組んでいます。

・ニュートリション エ サンテ社ブランドは、欧州において流通改革に取り組んでいます。

・当連結会計年度のROEは8.2%となり、第3次中期経営計画最終年度2023年度の目標値である「8.0%以上」に対し、順調に推移致しました。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 2020年は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業活動の制限や消費機会の低下により、当社グループの事業活動にも一定の影響を受けました。一方で、従業員の安全確保と事業活動継続に取り組み、安定して製品を供給できる体制を維持してまいりました。今後の事業及び業績への影響については、長期化した場合も想定し引き続き注視してまいります。

 一方、根本的なヘルスケア業界を取り巻く事業環境は、高齢化、高額医薬品の発売、感染症対策等による医療費の増加傾向が続き、日米欧諸国において、治療に対する医療コストへの関心が高まっています。限られた財源の中で、医療指針が医療コストと治療効果のバランスの中で捉えられ、薬価制度の改革やジェネリック医薬品の浸透が進む一方、AI、機械学習や遺伝子治療等の新テクノロジーが台頭してきています。このような中、病気に対する日々の予防を含む健康への意識が一段と高まっています。当社グループは“大塚だからできる”新たな社会への貢献に引き続き取り組むとともに、これらの健康意識の高まりを成長機会と捉え、持続的成長の実現に向けて進んでまいります。

 

 大塚ホールディングスは、“Otsuka-people creating new products for better health worldwide”の企業理念のもと、「流汗悟道」「実証」「創造性」という経営の真髄に基づき、ユニークかつ多様な事業と世の中の真のニーズ・インサイト、サイエンスやテクノロジーを有機的に結合させることから生まれる新しいコンセプトや、多様な事業との重なりや派生、ニッチな領域の開拓により新たな価値を創造してきました。引き続き、日々の健康の維持・増進、疾病の診断から治療までを担うトータルヘルスケア企業として、顕在化しているが満たされないニーズと消費者が気付いていないニーズに対し、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業の独創的な製品を提供することにより、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指してまいります。

 医療関連事業は、“大塚だからできる”新領域での挑戦、未充足な医療ニーズの解決と独創的かつ多様な研究基盤からのイノベーション創出により、課題解決に向けた様々な取り組みを進めています。治療満足度の低い疾患が多く残されている精神・神経、がん、循環器・腎領域を中心に、多様な事業のシナジーを活かした独自のアプローチにより、革新的な新薬の創出を目指します。また、医療の最適化に向けた体系的なソリューションについて挑戦しています。さらに、アライアンスやオープンイノベーション、ベンチャーキャピタルとの協業等による創薬基盤の強化、創薬モダリティの多様化に取り組み、持続的な進化と成長を目指してまいります。

 ニュートラシューティカルズ関連事業は、健康への意識が高まる中、医療関連事業で培われたノウハウを活かしながら、顕在化されていないニーズや社会課題に対して新しいコンセプトのソリューションを提案し、世界の人々の健康維持・増進による健康寿命の延伸に貢献することを目指します。グローバルにおける環境変化を見据え、最新のサイエンスやテクノロジーと独自のビジネスモデルを組み合わせて、新たな価値の創造、新カテゴリー・新エリア展開への挑戦を進めます。健康を取り巻く様々な社会課題に対して、課題の顕在化から啓蒙活動を継続的に実施し、各ブランドからそのソリューションをこれからも提案し続けます。さらに外部機関との連携を強化し、これらの活動を推進してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業の運営及び展開等については、様々なリスク要因があります。当社グループは、それらの想定されるリスク要因に対し、事前に軽減する、回避する、又はヘッジする等、事実上可能な範囲での施策を検討実施しておりますが、全てのリスク要因を排除又は軽減することは不可能又は著しく困難であり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 以下、当社グループのリスクマネジメント体制、及び当社グループが重要なリスクであると判断する項目を記載いたしますが、当社グループの事業等に係るリスクをすべて網羅するものではありません。また、将来に関する事項については、当連結会計年度末時点において当社グループが判断又は予想する主要なものであり、事業等のリスクはこれらに限るものではありません。

 

1. 当社グループのリスクマネジメント体制

<リスクマネジメント体制の全体像>

 当社グループは、当社及び主要事業会社における全社リスク管理の一層の充実に取り組むため、リスクを全社的視点で認識・評価し、経営資源を重要リスクに対する統制へ優先的に配分すること等を目的として、2020年7月からエンタープライズリスクマネジメント(以下「ERM」といいます。)を導入しております。

 ERMの取組みの中では、全社リスク管理のフレームワーク及びリスク評価の仕組みを構築した上、主要事業会社におけるリスク評価を通して当社グループにおける主要なリスクを識別し、リスクに対する対応策を策定しております。

 これらのリスク管理活動は、当社の代表取締役社長を委員長とする、リスク管理委員会に報告され、リスク管理委員会は重要なリスクのモニタリングや、リスク管理活動の振り返りや改善案の検討、及び管理体制の定期的な見直しを行います。

 

<リスク管理活動の内容>

 リスク評価の実施にあたっては、当社及び主要事業会社において、マネジメントインタビューによる経営上のリスク認識の共有(トップダウンアプローチ)と、現場従業員によるリスクとそのコントロール状況のアセスメント(ボトムアップアプローチ)を行い、当社グループに存在するリスクを特定しております。この中で、各社において主要なリスクと判断されたものについては、各社でリスク管理方針及びリスク管理のアクションプランを策定し、定期的にリスクの状況やアクションプランの進捗状況を把握し、見直しを行っております。

 また、各社のアセスメント結果については、当社が集約・見える化を実施し、当社グループに存在するリスクとコントロールの状況を俯瞰的に把握しています。当社はこの結果を踏まえ、当社グループの重要リスクを選定しています。(「2. 認識している重要なリスク」参照)

 

(当社グループのリスク管理体制)

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2. 認識している重要なリスク

 「1. 当社グループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、当社グループでは、当社及び主要事業会社において、全社的にリスクのアセスメントを実施した結果、以下の重要なリスクを認識しており、リスク低減のための取組みを実施しています。

 

(1) 企業理念に基づく経営に関するリスク

人材確保・育成のリスク

<リスクの概要>

 企業文化や企業理念が十分に浸透せず、グループ戦略を踏まえた事業運営が可能な人材が確保できない場合、長期的に当社グループの競争力や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外展開やM&A・アライアンス、デジタルといった重要かつ高度な戦略推進のために必要十分な人材を確保することができない場合、競争力・収益力が想定されたように成長せず、また、不祥事の防止や適切な対応がとれないことで目標達成に大きな影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、次世代を担う経営人材を早期に発掘し育成するために、「大塚グローバルアカデミー」を設置することでグループ戦略を踏まえた事業運営が可能な人材を確保しております。また、長期的な事業の成長の原動力となる革新的な製品やアイディアを生み出すためには国籍、人種、年齢、性別、障がい、性的指向等の垣根を越えた多様な人材の活躍が必要と考え「大塚グループ・グローバル行動規準」において、ダイバーシティの推進を宣言しそれらを支える制度や仕組みを整備していくことで持続的な成長を支える人材を確保しております。

 

企業の社会的責任に関するリスク

<リスクの概要>

 ESG・SDGs等に対するステークホルダーの関心は年々高まっており、サステナブルな社会実現への取組みは今後益々重要となります。当社グループが、これらの状況に適切に対応できない場合、社会的評価の低下等により、業績あるいは持続的成長に影響を与える可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、CSRを事業と一体のものと認識し、企業理念のもと自らの持続的な成長と、健康でサステナブルな社会の両立を目指しております。加えて、2019年に当社グループは、「社会(健康、人材、品質)」、「環境(気候変動、資源共生、水資源)」「ガバナンス」をマテリアリティ(重要項目)として特定しました。これらに関する社会課題を踏まえた目標を設定し、各事業会社における事業活動を通した課題解決を目指すとともに、グループの活動の共有の場として、当社取締役を委員長とした「大塚グループサステナビリティ推進委員会」を設けております。

 

(2) 事業戦略に関するリスク

持株会社としてのリスク

<リスクの概要>

 当社グループにおいて、適切な経営資源配分、グループ戦略立案や見直し及びグループ会社の監視・監督等といった持株会社統治による効果が十分発揮されなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、世界的な経済状況の変化により、資金調達が計画どおりに実施できない、もしくは資金調達コストが上昇する場合は、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、グループ各社からの事業の報告とその分析を基にして、グループ全体として適切な戦略判断と経営資源の配分を行っております。当社グループでは、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業をコア事業としており、特に、医療関連事業では「精神・神経領域の製品・パイプラインの強化」、「日本を中心とした製品・パイプラインの強化」及び「新規技術」に対して、ニュートラシューティカルズ関連事業では「ニュービジネスの強化」及び「未進出の成長市場への積極的な展開」に対して、経営資源の重点配分に取り組んでおります。

 また、国内外の市場環境変化を捉え、適切に対応するために、様々なリスクの顕在化の可能性を検討した上で、その検討結果を速やかに経営層に報告しております。具体的には、顕在化されていないニーズや社会課題に対して新しいコンセプトのソリューションを提案し、ユニークかつ多様な事業をベースとする独創的な製品の創出に注力しております。加えて、当社グループらしい多様な製品を保有することにより、事業全体のリスク分散も図られ、個人消費動向の変動に関する環境変化に対応しております。

 当社グループは、「大塚グループ・グローバル行動規準」や関連するグローバルポリシーを制定し、それらに基づく世界共通の教育研修を徹底することで、グループ会社全体を統制する仕組みを作っております。また、「取締役会規程」及び「関係会社管理規程」に規定された事項に基づき、国内外のグループ各社から定期的に情報収集・情報交換を実施し、重要な事項については当社の承認を得ることを求めることで、グループの連携体制を確立しております。加えて、国内外のグループ各社に対して定期的に当社からの内部監査を実施し、モニタリング体制を構築するとともに当社グループとして内部通報制度を整備しております。

 当社グループは、金融機関等との良好な関係の維持を図るとともに、資金調達手段の多様化に積極的に取組み、必要に応じて、社債発行等の手段を通じて調達を行っております。また、市場が不安定な混乱状況に陥り、これらの手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、複数の金融機関との間でのコミットメントラインも保持しております。加えて、最新の情報に基づいた資金計画の見直しを適時に行っております。

 

コーポレートブランド管理及びレピュテーションに関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループのコーポレートブランド育成・管理が適切に実行されていない場合、コーポレートブランドが毀損され、企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。当社グループの広告等における不適切な表現等がSNS等を通じて拡散した場合や、当社グループの事業活動やイメージについて批判的な評価や誤った情報が拡散した場合等、様々な要素によって当社グループのブランド価値や信用が低下し、業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループのコーポレートブランドを適切に育成・管理するために、コーポレートブランドのグループ各企業における使用ルールを整備し、コーポレートブランドの管理とその価値の維持・向上に向けた取組みを推進しております。当社グループのコーポレートシンボルは、「CI管理委員会」を中心に、グループ統一ルールのもと適切な管理を行っております。

 また、広告及びSNS等での不適切表現防止等を社内教育に取り込んでいるほか、レピュテーションに影響を及ぼす事象についてグループ各社から情報を収集する体制を整備しております。当社グループのレピュテーションに影響を及ぼす問題が発生した場合の適切なメディア対応に備え、「大塚グループ PRガイドライン」において、メディアとの適切なコミュニケーションについてのプロセスや職責をあらかじめ明確化しております。また、グループ各社のマネジメント層を対象として、リスク発生時における外部との適切なコミュニケーションについての演習を実施しております。

 

新薬開発の不確実性に関するリスク

<リスクの概要>

 医療用医薬品の開発には多額の研究開発投資を必要とし、厳格な審査に基づく承認取得等そのプロセスは長期にわたります。後期臨床試験で想定した効能が確認できないことによる開発の遅延・中止により、特許満了までの独占事業期間が短縮されたり、競合品が先行したりすることで、研究開発費に見合う売上収益が計上できず、中長期的な事業計画に影響を与える可能性があります。また、上市を見込んで投資した設備等の稼働率の低下等による利益率の低下や無形資産の減損損失の計上等により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、医薬品開発に関する計画について取締役会で意思決定を行っております。また、諮問機関であるグローバル戦略会議等で開発に関する予算順位付け等を行い、適宜研究開発方針を見直し、適切にポートフォリオを管理しております。また、当社グループでは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブケア領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発に注力し、当該領域におけるパイプラインの充実化を進めております。また、試験のモニタリングを実施し、課題が認められた場合は関連部署と連携した対応策を実施しております。加えて、開発計画通りにプロジェクトが進まない場合も想定した影響分析や、開発品の導入による開発品目の拡充等によりリスクを低減しております。

 

 

各種業務提携及び買収に関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループとしての重要な成長戦略に関する各種業務提携及び買収について、買収・提携の実施以後の事業環境の変化等により、当初計画されていたグループシナジーを得られないことによる提携解消や損失計上の可能性があります。その場合、買収・提携により見込まれていた利益が実現できず、提携の解消やのれん・無形資産の減損損失を計上すること等により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループは、戦略的提携及び買収を適切に実践し、その後の持続的な成長を目指すため、対象企業や資産に対する詳細なデューディリジェンスと価値評価、取締役会での十分な審議、投資後の事業運営のモニタリング等を実施しております。また、外部の専門家を適宜起用するとともに、案件執行能力を備えた社内の人材育成にも努めております。

 

デジタライゼーションに関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループとしてのデジタライゼーションに対する取組方針や、その支援施策が適切になされない場合、当社グループの各事業会社においてデジタル化の遅れが発生し、競争の優位性の確保やシェアの拡大ができなくなり、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、グループの総合力を活かしながらグループ各社及び各事業部門を中心として、スピード感を持った最新テクノロジーの導入を目指しております。具体的な取組みとして、研究分野・生産分野から患者様向けのスマートフォンアプリケーションまで、様々な場面で実証実験や実務適用を行っております。また、ITリテラシー向上を目的としたAI・機械学習やIoT等の最新テクノロジーに関する従業員向けセミナー等の開催及びグループ内の好事例の共有により、グループ全体のIT知識・スキルの底上げを推進しております。

 

医療費抑制策に関するリスク

<リスクの概要>

 我が国において、厚生労働省は増え続ける医療費に歯止めをかけるため、医療費の伸びを抑制していく方針を示しており、定期的な薬価引き下げをはじめ、ジェネリック医薬品の使用促進等が進んでおります。また、当社グループの重要市場である米国においても、マネジドケア、保険会社及び2010年3月に改定された米国の医療保険改革法案等による先発医薬品(ブランド品)への価格引き下げへの圧力のほか、低価格のジェネリック医薬品の使用促進も進んでおり、今後の医療費政策の動向が当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループは、革新的な新薬を適正価格で提供し、医療を取り巻く環境整備等にも配慮する一方で、新薬のもつ価値の立証に努めております。また、規制を遵守する体制を整備すると共に、薬価の毎年改定を含めた薬価制度改革の他、海外を含めた行政動向を継続的に注視しており、適時に対応策を検討しております。一方で、医療費の高騰等に伴う人々の予防、健康に対する意識の高まりに対し、トータルヘルスケア企業である当社グループの特徴を活かして貢献し、「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指しております。

 

(3) 製品の生産及び販売活動に関するリスク

副作用等に関するリスク

<リスクの概要>

 医薬品・医療機器等の製品では、安全性プロファイルに影響する予期せぬ重大な副作用が生じることがあります。そのような場合、添付文書の改訂、販売中止、回収等の対応が必要になり、売上収益や開発計画への影響が発生する可能性があります。

<対応>

 当社グループは製品の安全管理に係るグローバルな組織体制を構築し、全世界で一貫した業務実施手順を定め、従業員全社員への教育を行うことで安全性情報の収集に努めております。製品を販売しているすべての国・地域において、グループ各社または提携会社等により収集された安全性情報は、グローバルデータベースで一元的に管理しております。安全性情報は社内で医師による評価を行い、各国・地域の規制に応じ適切に当局に報告するとともに、安全対策を実施する体制を整備しております。

 

食の安全性に関するリスク

<リスクの概要>

 近年、国内外の食品業界においては、有害物質の混入等の様々な問題が発生しており、当社グループの品質管理体制の範囲を超えた事態が生じた場合は、当社グループの業績及び財政状態並びに社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループは、「食の安全」をお客様に提供するため、自社製造品のみならず委託製造品を含む国内外全ての製品の品質管理や安全性保証等に関して万全を期すよう努めております。具体的な取組みとしては、法令や行政・業界基準(医薬品医療機器等法、食品衛生法、等)に準拠するとともに、「ISO9001」(品質)、「ISO22000」、「FSSC22000」(食品安全)の認証の取得を進めております。また、グローバルネットワークを活かし、ガイドラインの制定、品質活動をモニタリングするための指標を設け、当社グループ内での監査を通じて継続的な品質向上に取組んでおります。さらにグローバルでは各国・地域で制度や規程が異なるなかで、各工場で国際規格の取得を推進するとともに、定期的に各工場の内部監査を実施しております。以上のような取組みから、当社グループでは食の安全性に関するリスクを低減しております。

 

自然災害・パンデミックに関するリスク

<リスクの概要>

 自然災害・パンデミックが発生した場合における当社グループの対応方針の策定や対応施策の実施が十分でない場合、当社グループの工場、研究所、事業所等の施設が被災した場合の回復が遅れ、また、ニュートラシューティカルズ関連事業等に関する製品の消費低迷により、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、大規模地震等の災害発生時にも最大限事業活動を継続し、製品の安定供給が図れるよう、事業継続計画(BCP)を策定しております。具体的には、自然災害の発生に備えて、従業員及び家族の安否確認、グループ各社の拠点間の通信手段、災害対応備蓄品等を備え、定期的な訓練等を実施しております。事業継続マネジメント(BCM)の観点では、グループ各社が協働してグループ全体で事業継続に取組む体制を構築し、適正な原材料・製品在庫量の確保、代替生産体制及び物流体制等に関する対策の強化に努めており、その一環としてグループ会社合同の机上シミュレーション演習を毎年実施しております。また、自然災害・パンデミックによりニュートラシューティカルズ関連事業等の製品に関する国内外の消費動向変化に適切に対応するために、様々なリスクの顕在化の可能性を検討した上で、その検討結果を速やかに経営層に報告しております。

 なお、今般発生している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対しては、リスク管理委員会が主体となって対応方針を策定し、グループ各社と共有しております。毎日の検温・手洗い・マスク着用等基本的な感染防止策の徹底のほか、在宅勤務体制の推進、Web会議のためのシステムの整備・強化、生産拠点におけるサーモグラフィカメラによる来訪者の発熱者チェック等、できうる限りの対策に取り組んでおります。

 

 

サプライチェーンの安定性に関するリスク

<リスクの概要>

 新型コロナウイルス感染拡大による世界経済の停滞や地政学的なリスクの高まり等に起因して、当社グループのサプライチェーンが不安定になるリスクが高まる中、グループとしての影響調査や戦略の立案・実行が遅れた場合、事業の継続に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループは、公平・公正で透明性を持った調達と調達先との良好な関係構築に努めるとともに、原材料等の品質の確保と安定調達・供給の実現に努めております。医薬品の製造工程においては製造・品質管理の基準 (GMP) 及び適正流通の基準 (GDP) に準拠した独自の基準を設定することで、高水準の品質管理を徹底しております。また、主要原材料については事前にリスクアセスメントを行い、想定されるリスクを明確化し対策を講じております。また、原則として複数社購買等による調達先の分散化、代替原料の確保、適正在庫の確保及び生産拠点の複数化等を実施し、加えて、新型コロナウイルス感染拡大に対してはグループ全体で事業継続に取り組む体制を構築しております。

 

原材料価格の高騰等に関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループの製品に使用する主要な原材料の価格は、天候、自然災害、市場価格、経済情勢、燃料費、為替等によって変動し、当該価格が何らかの原因により高騰した場合には、当該製品の製造コストは上昇します。また、市場の状況又は取引先との交渉等によって対応できない場合、その他調達先の問題等により原材料の調達に何らかの問題が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループは、公平・公正で透明性を持った調達と調達先との良好な関係構築に努めるとともに、原材料等の品質の確保と安定調達・供給の実現に努めております。当社グループでは原材料価格の高騰等に関するリスクを低減させるために、原則として原材料の複数社購買、原材料の市場動向等の情報収集、代替原料の確保、適正在庫の確保及び生産性向上による原価低減等の様々な対応策を実施しております。また、このような対策を実施したうえで、原材料価格の上昇については販売価格に転嫁することにより対応する可能性もあります。

 

特許権の保護期間満了に関するリスク

<リスクの概要>

 医療関連事業におきましては、当社グループが排他的に利用可能な特許権の保護期間が満了した後には、当社グループが製造又は販売する医薬品と競合するジェネリック医薬品の出現により競争の激化が予想され、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループは、持続的成長を牽引する新製品の研究開発に注力する等、新製品の上市実現に向けた取組みを実施しております。加えて、効能追加や剤型変更等による製品ライフサイクル延長に努めております。

 

特許権の侵害に関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループでは、当社グループが保有し又は当社グループが他社からライセンスを受けている知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社グループの製造又は販売する製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該製品を回収し、又はその製造もしくは販売を中止することを求められる他、多額の損害賠償を請求される可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、特許権を含む知的財産権を適切に管理する体制を整え、また、継続的なモニタリングを実施することで、第三者からの知的財産権の侵害のリスクに常に注意を払っております。また、専門家、データベース及び調査機関等を利用した調査・情報収集等を行うことで、第三者の知的財産権に対する侵害のリスクに常に注意を払っております。加えて、実際に知的財産係争が発生した場合には、社内外の関係者と協力し、事業への影響を最小限にとどめるよう対応しております。

 

 

訴訟に関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任、労務問題、特許権の侵害、契約の不履行、環境汚染等に関して第三者から訴訟を提起される可能性があり、当社グループに不利益な内容の判決、決定又は和解がなされた場合、当社グループの業績及び財政状態並びに事業戦略及び社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、訴訟情報の前兆を把握するため当社グループ内での報告体制を構築するとともに、当社法務部がグループ各社と情報を交換し、適切な対応をとっております。また、適宜、顧問弁護士等と協議を行い、訴訟リスクの低減に努めております。

 

(4) その他経営全般に関するリスク

情報管理に関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループでは、情報管理についてシステム障害、事故及び外部からのサイバー攻撃を含む様々な原因で情報の改ざん、悪用及び漏洩等が発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、情報管理及びセキュリティについての基本的な考え方を示した「大塚グループ・情報グローバルセキュリティポリシー」を制定し、グループ各社に向けて情報管理及び情報セキュリティの重要性に関して認識を統一させるとともに、役員・従業員へ教育研修等を通じて重要性の周知徹底を図っております。また、情報管理及び情報セキュリティに関する具体的な施策の検討や最新情報の共有等を目的とした「グループ情報セキュリティ委員会」を組織し、グループ全体の包括的なセキュリティレベルの向上と継続的な改善を図っております。加えて、CSIRT (Computer Security Incident Response Team)が主体となって、外部からのサイバー攻撃へのリスク対策や基幹システムの災害時訓練対応等により、緊急事態に対応できる体制を構築しております。

 

海外展開におけるリスク

<リスクの概要>

 当社グループは、日本以外にも米国、欧州及びアジアを中心に、研究開発、製造及び販売活動を行っております。グローバルな事業活動を行うにあたり、各国の法的規制、経済情勢、政情不安や事業環境の不確実性等のリスクを完全に回避することができない場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループは、情報収集、現地経営環境を踏まえた事業運営の適切な管理・サポート及び必要に応じて長期的な視点による経営戦略の見直し等を実施するとともに、関係部署が適宜連携して対応に当たることで海外展開におけるリスクを低減しております。

 

 

為替相場及び株価に関するリスク

<リスクの概要>

 当社グループの2020年12月期の連結売上収益のうち、53.6%が海外売上収益となっており、今後も当社グループの売上収益の相当程度は海外における外貨建取引となることが見込まれております。当社の想定を超える為替相場の急激な円高の進行により、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社は連結財務諸表を円表示で作成しているため、外貨表示で作成されている在外子会社等の財務諸表を円表示へ換算するに際して、為替相場の変動によって当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、株式市況等が低迷した場合には、当社グループが保有する株式等の評価損の計上や年金資産の減少に伴う退職給付に係る負債の増加等、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

<対応>

 当社グループでは、一部の外貨建取引及び外貨建金銭債権債務の為替変動リスクに対して、為替予約取引を活用して対応しております。また、当社グループが保有する株式等については、定期的に公正価値や発行体の財務状況等を把握するとともに、当該企業との関係を勘案し、必要に応じて保有状況を見直しております。加えて、年金資産を複数の運用商品に分散投資し、必要に応じてポートフォリオを見直しております。これらの対応によって、為替相場及び株価に関するリスクを低減しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

 当社グループは、経常的な収益力を示す指標として事業利益を採用しております。

 事業利益とは、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費並びに研究開発費を控除した額に持分法による投資損益を加減算した額であります。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2019年12月期)

当連結会計年度

(2020年12月期)

増減額

増減率

売上収益

1,396,240

1,422,826

26,585

1.9%

研究開発費投資前事業利益

402,957

433,729

30,771

7.6%

事業利益

187,168

216,887

29,719

15.9%

営業利益

176,585

198,582

21,997

12.5%

税引前当期利益

173,515

189,988

16,472

9.5%

当期利益

131,187

151,733

20,546

15.7%

親会社の所有者に帰属する
当期利益

127,151

148,137

20,986

16.5%

 

 

 

 

 

研究開発費

215,789

216,841

1,051

0.5%

減損損失

13,476

26,110

12,634

93.8%

 

 これまで当社グループは、「トータルヘルスケア企業」として、健康の維持・増進、病気の診断から治療までを担う企業活動を進めてまいりました。今後のニューノーマルという時代の中でも、健康意識の高まりを成長機会と捉え、今こそ「トータルヘルスケア企業」の真価を発揮し、引き続き持続的成長の実現に向け、進んでまいります。

 

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染拡大により、当社グループの事業活動も一定の影響を受けましたが、連結売上収益は1,422,826百万円(前期比1.9%増)と増収となりました。医療関連事業においては、患者の受診抑制や、手術件数の減少、病床稼働率の低下等により、輸液や一部の治療薬は影響を受けましたが、グローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「ジンアーク」、「ロンサーフ」)等の売上収益の増加が業績を牽引しました。ニュートラシューティカルズ関連事業においては、外出機会の減少や日本の天候不順等により、飲料の消費等が影響を受けましたが、健康に対する自己管理意識の向上とともに、「ネイチャーメイド」、デイヤフーズ社ブランドや「エクエル」等が伸長し、新型コロナウイルス感染が拡大する中においても同事業の売上収益は前期並を確保しました。

 また、経費効率化による効果もあり、研究開発費投資前事業利益は433,729百万円(同7.6%増)、「レキサルティ」、フチバチニブ、センタナファジン及びVIS649等に係る開発費が増加したことから研究開発費は216,841百万円(同0.5%増)となり、その結果、事業利益は216,887百万円(同15.9%増)となりました。

 営業利益につきましては198,582百万円(同12.5%増)、当期利益は151,733百万円(同15.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は148,137百万円(同16.5%増)となりました。

 なお、グアデシタビン及びバダデュスタットに係る無形資産(仕掛研究開発)等の減損損失を計上した結果、当連結会計年度における減損損失は26,110百万円となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりです。

(単位:百万円)

 

医療関連
事業

ニュートラシューティカルズ
関連事業

消費者
関連事業

その他
の事業

調整額

連結

売上収益

955,159

334,088

31,356

140,115

△37,893

1,422,826

事業利益

197,185

41,988

10,641

10,453

△43,381

216,887

 

(参考-前連結会計年度)

(単位:百万円)

 

医療関連
事業

ニュートラシューティカルズ
関連事業

消費者
関連事業

その他
の事業

調整額

連結

売上収益

924,250

333,780

33,553

143,833

△39,176

1,396,240

事業利益

167,298

42,875

9,470

9,045

△41,521

187,168

 

(医療関連事業)

 当連結会計年度における売上収益は955,159百万円(前期比3.3%増)、事業利益は197,185百万円(同17.9%増)となりました。

 

<主要製品の状況>

●グローバル4製品

 当社がグローバル4製品と位置付ける持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」、抗精神病薬「レキサルティ」、V2-受容体拮抗剤「サムスカ/ジンアーク」、抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」の売上収益の合計は、前期比14.5%増の429,714百万円となりました。

 

・持続性抗精神病薬「エビリファイ メンテナ」

 グローバルでの統合失調症治療薬としての有効性の訴求と製剤の利便性に対する認知向上に加え、2017年に米国において効能追加となった双極性障害治療薬としての処方拡大が引き続き売上収益に貢献しています。日本では2020年9月に双極Ⅰ型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制の新たな適応を追加しました。これらの結果、売上収益は前期比14.0%増の116,028百万円となりました。

 

・抗精神病薬「レキサルティ」

 大うつ病補助療法及び統合失調症治療薬として販売する米国では、両疾患における新たな治療選択肢として有効性と安全性に対する高い評価を受け、売上収益が増加しています。統合失調症治療薬として販売する日本では、2019年5月より処方日数制限が解除され、また新規処方も拡大し、急性期を中心に処方数が大きく伸長しています。これらの結果、売上収益は前期比16.5%増の104,634百万円となりました。

 

・V2-受容体拮抗剤「サムスカ」

 日本では、常染色体優性多発性のう胞腎(ADPKD)治療薬としての処方は引き続き拡大している一方、4月の薬価改定における市場拡大再算定による大幅な薬価切り下げと、心性浮腫治療薬としての処方については新型コロナウイルス感染拡大による入院患者数減少の影響を受けました。また、低ナトリウム血症治療薬として販売する米国では、独占期間満了に伴い後発品が発売されています。これらの結果、売上収益は前期比3.7%減の88,335百万円となりました。

 

・V2-受容体拮抗剤「ジンアーク」

 米国では、ADPKDの治療薬として疾患啓発や臨床データの情報提供活動等により、疾患と製品に対する認知が広まり、処方が順調に増加しています。欧州の販売国においても処方が増加しています。これらの結果、売上収益は前期比39.6%増の79,989百万円となりました。

 

・抗悪性腫瘍剤「ロンサーフ」

 日本では、結腸・直腸がん治療薬としての処方数の伸長に加え、2019年8月に承認された進行・再発胃がんに対しても同様に処方数が伸長しています。米国では、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、在宅治療や経口抗がん剤の使用が推奨されており*1,2、増収となりました。欧州では、処方の順調な推移と承認国の拡大により、増収となりました。これらの結果、売上収益は前期比18.1%増の40,726百万円となりました。

*1 Pelin Cinar et al., Safety at the Time of the COVID-19 Pandemic: How to Keep our Oncology Patients and Healthcare Workers Safe. J Natl Compr Canc Netw, 2020 Apr 15;1-6.

*2 ASCO. COVID-19 Patient Care Information, Cancer Treatment and Supportive Care.
https://www.asco.org/asco-coronavirus-resources/care-individuals-cancer-during-covid-19/cancertreatment-supportive-care. Updated 23, July 2020. Accessed 31 July 2020.

 

(ニュートラシューティカルズ関連事業)

 当連結会計年度における売上収益は334,088百万円(前期比0.1%増)、事業利益は41,988百万円(同2.1%減)となりました。

 

<主要製品の状況>

 当社が主要3ブランドと位置付ける「ポカリスエット」、「ネイチャーメイド」、ニュートリション エ サンテ社ブランドの売上収益の合計は、前期比2.1%減の199,584百万円となりました。育成3ブランドと位置付けるデイヤフーズ社ブランド、「エクエル」、「ボディメンテ」の売上収益の合計は、前期比28.0%増の27,162百万円となりました。

 

●主要3ブランド

 水分・電解質補給飲料「ポカリスエット」は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、消費者の活動量が減少したことに加え、飲料最需要期である夏期の天候不順や、インフルエンザ罹患数が限定的であったこと等により飲用機会が減少し、売上収益は前期比で減少しました。一方、ニューノーマルにおいて生じる新たな健康課題に対し、「巣ごもり熱中症」予防対策や体調管理における水分・電解質補給の重要性など、様々な情報発信や啓発活動を続けています。

 ファーマバイト社のサプリメント「ネイチャーメイド」は、消費者の体調管理に対する意識が高まる中、ブランドや品質に対する信頼性が再認識され、主にビタミン剤を中心とした需要が増加し、さらに新製品の売上も貢献した結果、増収となりました。

 欧州を中心に健康食品を展開するニュートリション エ サンテ社ブランドは、都市封鎖や外出規制等の影響を大きく受け、売上収益は減収となりました。しかし植物性食品の家庭内消費等ニューノーマルに対応した展開を進め、足元は堅調に推移しています。

 

●育成3ブランド

 プラントベース(植物由来)食品であるデイヤフーズ社ブランドは、北米において、乳代替品の市場の成長に加えて家庭内需要の増加により、大幅増収となりました。

 女性の健康と美をサポートするエクオール含有食品「エクエル」は、幅広い情報提供活動により製品の認知が進み、売上収益は順調に増加しています。

 植物由来の乳酸菌B240*3を含有する「ボディメンテ」は、健康意識や体調管理に対する意識の高まり、需要の高まりを受け、大幅な増収となりました。

*3 Lactobacillus pentosus ONRICb0240:東京農業大学が単離、大塚製薬㈱が有効性を確認した乳酸菌

 

(消費者関連事業)

 ウォーター類は、主力製品「クリスタルガイザー」において、パーソナルサイズとしては最大サイズである700mlボトルの販売数量が引き続き好調に推移しているものの、外出機会の減少等の影響を受け、自販機チャネルを中心にブランド全体の販売数量は減少しました。ビタミン炭酸飲料「マッチ」は、天候不順や外出機会の減少等の影響を受け、販売数量が減少しました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上収益は31,356百万円(前期比6.5%減)、また、持分法投資利益の増加とニューノーマルに対応した経費効率化等により、事業利益は10,641百万円(同12.4%増)となりました。

 

(その他の事業)

 機能化学品分野は、新型コロナウイルス感染拡大により自動車や住宅産業が影響を受け、発泡剤やチタン酸塩、複合材料などの出荷数量が減少した結果、減収となりました。ファインケミカル分野は、2019年6月に譲受したセフィキシムの海外ライセンシーに対する原薬供給事業に係る売上収益等により、増収となりました。

 運輸・倉庫分野は、『共通プラットフォーム戦略』により新規の外部顧客は増えているものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響で取引先荷主の取扱数量が減少し、減収となりました。

 以上の結果、当連結会計年度のその他の事業の売上収益は140,115百万円(前期比2.6%減)となりましたが、ニューノーマルに対応した経費効率化等により、事業利益は10,453百万円(同15.6%増)となりました。

 

※ その他、製品別の売上収益等につきましては、決算補足資料(ファクトブック)をご参照ください。

https://www.otsuka.com/jp/ir/library/earnings.php

 

<新型コロナウイルス感染拡大による事業及び業績への影響>

 新型コロナウイルス感染拡大に関する当社グループの現状と、今後懸念される経営リスクは、以下のとおりです。

販売)

医療関連事業においては、外出自粛等に伴い外来患者の来院数が減少している一方、慢性疾患において長期処方が増加する傾向がみられます。今後、これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、医療施設への訪問規制や疾患啓発活動の自粛に伴う新規処方の減少や、来院を要する注射剤等の処方減少がさらに進み、売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。

・医療関連事業以外においては、一部の製品について、健康意識の高まりや家庭内消費の増加、通信販売の利用増加等により需要が増加している一方、外出自粛に伴う屋外活動の制限等による消費機会の低下もみられます。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化した場合には、営業活動の自粛や制限に伴う新規顧客の獲得減少や消費機会の消失により、売上収益にも影響を及ぼす可能性があります。

(生産)

原材料の調達は、一部の輸入品に遅延がみられますが、概ね順調に確保できています。生産活動は一部のラインで従業員の自宅待機等により一時的に生産が停止しましたが、現在はほぼ復旧し、人員確保も含め順調に稼働しています。今後、新型コロナウイルス感染拡大が長期化もしくは深刻化し、原材料調達に停滞が生じた場合、あるいは生産工場内でのクラスター発生が生じた場合等には、一部製品の供給の遅延も考慮する必要があります。

(研究開発)

・臨床試験を実施している開発品の一部においては、治験実施施設の立上げや患者登録を中断していましたが、徐々に再開しています。患者登録等の中断もしくは遅延が深刻化した場合には、臨床試験の進捗や製造販売承認申請時期等の開発戦略を変更する可能性もあります。

・研究活動については、外出規制等の影響もあり、これらの状況が長期化もしくは深刻化した場合には、研究活動の減速により、中長期での新製品上市時期が遅延する可能性もあります。

 

 以上のとおり、新型コロナウイルス感染拡大による当社グループ事業への影響を多岐にわたり想定しておりますが、経営リスクを予め十分認識した上で個々に万全の対策を取り、企業価値の向上及び第3次中期経営計画の達成を図ってまいります。

 

② 財政状態の状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2019年12月31日)

当連結会計年度

(2020年12月31日)

増減額

流動資産

988,351

1,003,727

15,375

非流動資産

1,592,957

1,624,079

31,121

資産合計

2,581,309

2,627,807

46,497

流動負債

440,891

416,213

△24,678

非流動負債

344,977

328,161

△16,815

負債合計

785,869

744,374

△41,494

資本合計

1,795,440

1,883,432

87,992

 

a. 資産

 当連結会計年度末における総資産は2,627,807百万円(前連結会計年度末は2,581,309百万円)となり、46,497百万円増加しました。その内訳は、流動資産が15,375百万円の増加、非流動資産が31,121百万円の増加であります。

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は1,003,727百万円(前連結会計年度末は988,351百万円)となり、15,375百万円増加しました。その主たる内訳は、売上債権及びその他の債権が22,310百万円減少したものの、現金及び現金同等物が22,810百万円、棚卸資産が13,836百万円増加したこと等によるものであります。

(非流動資産)

 当連結会計年度末における非流動資産は1,624,079百万円(前連結会計年度末は1,592,957百万円)となり、31,121百万円増加しました。その主たる内訳は、無形資産が21,347百万円減少したものの、その他の金融資産が36,533百万円、持分法で会計処理されている投資が10,442百万円増加したこと等によるものであります。無形資産の減少は、主に償却、グアデシタビン及びバダデュスタットに係る減損及び為替相場の変動による影響であります。その他の金融資産の増加は、保有する投資有価証券の時価が上昇したこと等によるものです。

b. 負債

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は416,213百万円(前連結会計年度末は440,891百万円)となり、24,678百万円減少しました。その主たる内訳は、その他の流動負債が9,440百万円増加したものの、社債及び借入金が21,343百万円、未払法人所得税が11,772百万円減少したことによるものであります。

(非流動負債)

 当連結会計年度末における非流動負債は328,161百万円(前連結会計年度末は344,977百万円)となり、16,815百万円減少しました。その主たる内訳は、リース負債が5,320百万円増加したものの、社債及び借入金が11,928百万円、契約負債が11,628百万円減少したことによるものであります。

c. 資本

 当連結会計年度末における資本は1,883,432百万円(前連結会計年度末は1,795,440百万円)となり、87,992百万円増加しました。その主たる内訳は、配当金の支払い54,230百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益148,137百万円の計上等により利益剰余金が98,075百万円増加したこと、為替相場の変動等の影響によりその他の資本の構成要素が12,983百万円減少したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は356,851百万円となり、前連結会計年度末より22,810百万円増加しました。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、232,839百万円となりました。一方で、将来の持続的成長に向けて、主に医療関連事業において投資等を行ったことにより、投資活動によるキャッシュ・フローは△99,863百万円となりました。財務活動につきましては、借入金及びリース負債を返済し、配当金の支払額が△55,695百万円となったことから、財務活動によるキャッシュ・フローは△104,932百万円となりました。

 これらの結果、営業活動によるキャッシュ・イン・フローは、投資活動及び財務活動を合わせたキャッシュ・アウト・フローを上回り、円高の影響により現金及び現金同等物に係る換算差額が△5,232百万円となったものの、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より増加し、356,851百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、232,839百万円(対前期比40,205百万円増)となりました。当連結会計年度の主な内容は、税引前当期利益189,988百万円、減価償却費及び償却費79,423百万円、減損損失及びその戻入益26,110百万円、棚卸資産の増減額△19,245百万円、売上債権及びその他の債権の増減額16,680百万円、仕入債務及びその他の債務の増減額9,152百万円、法人所得税等の支払額△59,448百万円となっております。当連結会計年度における対前期比40,205百万円のキャッシュ・フロー増加の主な要因は、医療関連事業におけるグローバル4製品(「エビリファイ メンテナ」、「レキサルティ」、「ジンアーク」、「ロンサーフ」)の伸長等により業績が堅調に推移したこと、及び売上債権及びその他の債権、仕入債務及びその他の債務の増減額の影響によるキャッシュ・フローの増加が、法人所得税等の支払額の対前期比35,447百万円増によるキャッシュ・フローの減少を上回ったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、△99,863百万円(対前期比47,584百万円減)となりました。当連結会計年度の主な内容は、有形固定資産の取得による支出△48,802百万円、日本における「エンレスト」の共同プロモーション契約に係る契約一時金等を含む無形資産の取得による支出△49,073百万円、投資の売却及び償還による収入17,486百万円、投資の取得による支出△18,082百万円等であります。当連結会計年度における対前期比47,584百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、主として医療関連事業の投資により無形資産の取得による支出が34,237百万円増加したこと、及び定期預金の増減額が対前期比△20,697百万円となったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、△104,932百万円(対前期比15,665百万円減)となりました。当連結会計年度の主な内容は、短期借入金の増減額(△は減少)△10,614百万円、長期借入による収入10,201百万円、長期借入金の返済による支出△31,084百万円、リース負債の返済による支出△17,749百万円、配当金の支払額△55,695百万円であります。当連結会計年度における対前期比15,665百万円のキャッシュ・フロー減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出が対前期比68,302百万円減少した一方で、2019年3月の国内無担保普通社債の発行による収入の計上80,000百万円の影響がなくなったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

医療関連事業

133,210

96.8

ニュートラシューティカルズ関連事業

141,668

102.3

消費者関連事業

17,271

103.6

その他の事業

57,458

94.6

合計

349,609

98.9

(注)1.ニュートラシューティカルズとは、栄養「Nutrition」+薬「Pharmaceuticals」の造語であり、科学的根拠をもとに開発された医薬部外品や機能性食品及び栄養補助食品等を取り扱うセグメントです。

2.金額は、製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b. 受注実績

 連結子会社は主として受注見込みによる生産方式をとっております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

医療関連事業

955,159

103.3

ニュートラシューティカルズ関連事業

334,054

100.1

消費者関連事業

31,346

93.4

その他の事業

102,265

97.7

合計

1,422,826

101.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下同じ)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載されているとおりであります。

 新型コロナウイルス感染拡大により、当連結会計年度における当社グループの事業活動も一定の影響を受けましたが、翌連結会計年度以降の業績に対する影響は限定的であるとの仮定に基づき、重要な会計上の見積りを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症の今後の流行等の状況の変化は、翌連結会計年度以降において、資産、負債、収益及び費用の報告額に重要な影響を及ぼすリスクとなる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

 当社グループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は356,851百万円であり、社債及び借入金の合計額153,254百万円を上回っています。

 

 当社グループにおける経常的な資金需要としましては、主に事業の拡大に伴う運転資金需要、生産設備の増強・更新に伴う設備投資資金及び研究開発資金がありますが、基本的に営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。現在、徳島工場等で生産設備の増強を行っております。一方、事業の買収等に伴う非経常的な資金需要につきましては、必要に応じて外部から調達しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1) アライアンス契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約内容

契約年

大塚製薬㈱

H.ルンドベックA/S

デンマーク

共同開発・商業化

(注)1

2011年

大鵬薬品工業㈱

及び

アステックスセラピューティクス Ltd.

Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.

(米国及びカナダ以外ではMSD)

米国

戦略的提携

(注)2

2019年

(注)1.大塚製薬㈱は、H.ルンドベックA/Sと中枢神経領域におけるグローバル・アライアンス契約を2011年11月に締結しております。本契約は、「Abilify Maintena」(アリピプラゾール持続性注射剤(月1回製剤))、「REXULTI(レキサルティ)」(一般名:ブレクスピプラゾール)、Lu AE58054(一般名:idalopirdine及びH.ルンドベックA/Sが研究開発を進めている中枢神経疾患を対象にした最大2つの新規化合物をあわせた最大5つの化合物についての共同開発・商業化に関する契約であります。

2.大鵬薬品工業㈱及びアステックスセラピューティクス Ltd.は、Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A(米国及びカナダ以外はMSD)とKRASがん遺伝子を含む複数の薬剤ターゲットに対して開発中の低分子阻害剤に特化したグローバルでの研究提携とライセンスに関する独占的契約を2019年12月に締結しております。

 

(2) 技術導出

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

契約内容

契約年

大塚製薬㈱

糖尿病治療薬

協和キリン㈱

(注)1

日本

契約一時金等(注)2

一定料率のロイヤリティ

2012年

大鵬薬品工業㈱

抗悪性腫瘍剤

セルヴィエ社

(LES LABORATOIRES SERVIER)

フランス

契約一時金等(注)3

一定料率のロイヤリティ

2015年

(注)1.協和キリン㈱は2019年7月1日付で協和発酵キリン㈱より商号変更しております。

2.大塚製薬㈱は、協和キリン㈱と糖尿病治療薬「オングリザ」(一般名:サキサグリプチン)について、日本における開発・販売権の譲渡に関する契約を2012年6月に締結しております。

3.大鵬薬品工業㈱とセルヴィエ社は、大鵬薬品工業㈱が創製し、現在グローバルで開発中の抗悪性腫瘍剤TAS-102(一般名:トリフルリジン・チピラシル塩酸塩、日本での製品名:「ロンサーフ®配合錠T15・T20」)について、欧州・その他地域(北米・アジア以外)における開発・販売権に関するライセンス契約を2015年6月に締結しております。

 

(3) 技術導入

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

販売地域

契約年

大塚製薬㈱

抗てんかん薬

ユーシービーファーマ

ベルギー

日本

2008年

  〃

抗悪性腫瘍剤

(2品目)

ブリストル・マイヤーズ スクイブ・カンパニー

米国

米国、欧州、日本(注)

2009年

  〃

腎性貧血治療薬

アケビア・セラピューティクス・インク

米国

米国、欧州、カナダ、

オーストラリア、中国

2016年

(注)大塚製薬㈱は、米国、欧州、日本における一定額の販売経費を負担し、米国、日本及び欧州の主要な国においてBMS社と「スプリセル」の共同開発・共同販売を行います。また、2010年から2020年まで、大塚製薬㈱は、「スプリセル」と「IXEMPRA」の売上合計額に応じて規定の分配金を受け取ります。

 

(4) 販売契約

契約会社名

契約品目

相手方の名称

国名

販売地域

契約年

大塚製薬㈱

酸関連疾患治療薬

武田薬品工業㈱

日本

日本

2014年

(注)大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱が創製した酸関連疾患治療薬「タケキャブ®錠」(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)について日本国内での販売に関する共同プロモーション契約を2014年3月に締結しております。本契約に関して、大塚製薬㈱は、武田薬品工業㈱に対して契約一時金と製造販売承認時マイルストーンを支払い、「タケキャブ®錠」の売上に応じた一定の対価を武田薬品工業㈱から受領することになっております。

 

(5) 合弁関係

契約会社名

合弁会社

相手方の名称

国名

設立の目的

契約年

大塚製薬㈱

中国大塚製薬有限公司

中国医薬工業公司

中国

注射薬の製造・販売

1980年

  〃

韓国大塚製薬㈱

Jeil Pharmaceutical Co., Ltd.

韓国

循環・呼吸器官用薬の製造・販売

1982年

  〃

東亜大塚㈱

Dong-A Socio Holdings Co., Ltd.他

韓国

飲料品・健康食品・栄養製品の製造・販売

1987年

  〃

P.T.アメルタインダ大塚

P.T.マスヤ

インドネシア

飲料製品の製造、販売及び輸出入

1999年

クリスタルガイザーウォーターカンパニー

CGロクサーヌ LLC

Cameron Investment Group,Inc.

米国

飲料製品の製造、販売及び輸出

1990年

大塚製薬㈱

イーエヌ大塚製薬㈱

雪印メグミルク㈱

日本

経腸栄養剤の製造・販売

2002年

大塚化学㈱

エムジーシー大塚ケミカル㈱

三菱瓦斯化学㈱

日本

水加ヒドラジンの製造・販売

2004年

大塚製薬㈱

アルマ S.A.

ROX INVEST

フランス

飲料製品の製造、販売及び輸出

2008年

 

5【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費は、216,841百万円です。

 主な研究開発分野及び新製品の開発のセグメント別の状況は次のとおりです。

 

(医療関連事業)

 当社グループは、精神・神経領域、がん・がんサポーティブ領域を重点領域とし、循環器・腎領域等においても未充足疾患に焦点を当てた研究開発を進めています

 医療関連事業における研究開発費は、205,762百万円です。

 

 当連結会計年度の医療関連事業における研究開発の主な進捗状況は、以下のとおりです。

 

領域

「製品名」

(一般名)

又は開発コード

 

状況

精神・神経領域

「エビリファイ持続性水懸筋注用」

(アリピプラゾール)

<日本>

・双極Ⅰ型障害における気分エピソードの再発・再燃抑制が2020年9月に効能追加されました。

 

「レキサルティ」

(ブレクスピプラゾール)

OPC-34712

<米国・欧州>

・開発戦略上の理由で、Ⅰ型双極性障害を対象とした開発を中止しました。

<中国>

・開発戦略上の理由で、大うつ病を対象とした開発を中止しました。

 

OPC-64005

<日本>

・大うつ病を対象としたフェーズⅡ試験を2020年4月に開始しました。

<米国>

・開発戦略上の理由で、注意欠陥・多動性障害を対象とした開発を中止しました。

 

OPC-214870

<米国>

・てんかんを対象としたフェーズⅠ試験を2020年2月に開始しました。

 

(pizuglanstat)

TAS-205

<日本>

・デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象としたフェーズⅢ試験を2020年12月に開始しました。

 

(フレマネズマブ)

TEV-48125

<日本>

・片頭痛発作の発症抑制の効能で2020年7月に承認申請しました。

がん・がんサポーティブケア領域

(グアデシタビン)

SGI-110

<日本・米国・欧州>

・急性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群のフェーズⅢ試験結果を受けて総合的に判断し、全ての対象疾患における開発を中止しました。

 

「INQOVI]

(decitabine・cedazuridine)

ASTX727

<欧州>

・急性骨髄性白血病を対象としたフェーズⅢ試験を2020年1月に開始しました。

<米国>

・骨髄異形成症候群と慢性骨髄単球性白血病の治療薬として2020年7月に承認を取得しました。

 

(tolinapant)

ASTX660

<日本>

・T細胞リンパ腫を対象としたフェーズⅠ試験を2020年8月に開始しました。

 

(tolinapant+decitabine・cedazuridine)

ASTX660+ASTX727

<米国>

・急性骨髄性白血病を対象としたフェーズⅠ併用試験を2020年7月に開始しました。

 

 

領域

「製品名」

(一般名)

又は開発コード

 

状況

 

(azacitidine・cedazuridine)

ASTX030

<米国>

・骨髄異形成症候群を対象としたフェーズⅠ試験を2020年7月に開始しました。

<日本>

・骨髄異形成症候群を対象としたフェーズⅠ試験を2020年11月に開始しました。

 

OPB-171775

 

<日本>

・固形がんを対象としたフェーズⅠ試験を2020年11月に開始しました。

 

(pamufetinib)

TAS-115

<日本>

・骨肉腫を対象としたフェーズⅢ試験を2020年8月に開始しました。

 

TAS-118

<日本>

・開発戦略上の理由で、胃がんを対象とした開発を中止しました。

 

TAS-119

・VITRAC社へ導出しました。

 

(フチバチニブ)

TAS-120

<米国・欧州>

・乳がんを対象としたフェーズⅡ試験を2020年2月に開始しました。

<日本・米国・欧州>

・FGFR異常がんを対象としたフェーズⅡ試験を2020年8月に開始しました。

 

TAS0612

<米国・欧州>

・固形がんを対象としたフェーズⅠ試験を2020年10月に開始しました。

 

TAS1440

<米国>

・急性骨髄性白血病を対象としたフェーズⅠ試験を2020年6月に開始しました。

 

「ブスルフェクス」

(ブスルファン)

<日本>

・公知申請により、悪性リンパ腫における自家造血幹細胞移植の前治療が2020年3月に効能追加されました。

 

「アイクルシグ」

(ポナチニブ)

AP24534

<中国>

・慢性骨髄性白血病及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病を対象としたフェーズⅡ試験を2020年7月に開始しました。

循環器・腎領域

「サムスカ」

(トルバプタン)

OPC-41061

<日本>

・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症改善が2020年6月に効能追加されました。

 

VIS649

<日本・米国・欧州>

・IgA腎症を対象としたフェーズⅡ試験を2020年8月に開始しました。

 

 

 

領域

「製品名」

(一般名)

又は開発コード

 

状況

その他領域

OPS-2071

<日本>

・開発戦略上の理由で、クロストリジウム・ディフィシル感染症と腸管感染症を対象とした開発を中止しました。

 

(ジファミラスト)

OPA-15406

<日本>

・アトピー性皮膚炎の治療薬として2020年9月に承認申請しました。

 

「エネフリード輸液」

(糖・電解質・アミノ酸・脂肪・ビタミン)

OPF-105

<日本>

・末梢静脈栄養輸液として2020年9月に承認を取得しました。

診断薬

C13-CAC

<日本>

・開発戦略上の理由で、胃酸関連検査の体内診断薬としての開発を中止しました。

 

(ニュートラシューティカルズ関連事業)

 当事業においては、医療関連事業で培ったノウハウを活かし、日々の健康の維持・増進をサポートする機能性食品・飲料を中心に世界に通用する製品の研究開発に取り組んでいます。

 まるごと大豆の栄養を手軽においしく摂取できる大豆バーSOYJOY(ソイジョイ)ブランドは、「SOYJOY ピーナッツ」を2020年2月にリニューアル発売、同年9月には「SOYJOY 抹茶&マカダミア」を新発売しました。独自の発想と技術により肌の健康を考えるCosmedics(健粧品)*1分野では、スキンケアシリーズ「インナーシグナル」より、美白*2機能と化粧水・乳液・クリームの3つの機能を集約した「インナーシグナル リジュブネイト ワン」を同年3月に新発売、さらに本ブランドは、同年10月にダブル効能の機能性化粧品*3として韓国で販売を開始し、初の海外進出をしました。

 また同年3月に近赤外線(IRA)によるヒト表皮細胞の増殖抑制作用とそのメカニズム解明について*4、研究成果を専門誌に発表しました。同年4月には、毛髪の悩みとエクオール産生能の関係について*5、研究成果を発表しました。

*1 Cosmedics(健粧品):cosmetics(化粧品)+medicine(医薬品)

*2 メラニンの蓄積をおさえ、しみ・そばかすを防ぐ

*3 「皮膚の美白に役立つ」、「皮膚のしわ改善に役立つ」の二つの効能をもつ機能性化粧品として、韓国MFDS(食品医薬品安全処)より承認を取得

*4 Syota Shimizu et al. (2020) Infrared-A Irradiation-induced Inhibition of Human Keratinocyte Proliferation and Potential Mechanisms. Photochemistry and Photobiology

*5 Soh Iwashita et al.(2020) Equol status affects hair aging in postmenopausal women: A cross-sectional study. The Journal of Japanese Society of Aesthetic Dermatology

 

 ニュートラシューティカルズ関連事業における研究開発費は、6,767百万円です。

 

(消費者関連事業)

 当事業においては、生活に身近な食品や飲料の分野でオリジナルかつユニークな製品の研究開発に取り組んでいます。社会変化に伴う、健康・環境・人口・高齢化問題など様々な課題の解決に向け「レトルト事業」「飲料事業」「プラントベース事業」を中核とし、「食」と「健康」をテーマに革新的な製品を創出、提案しています。

 

 消費者関連事業における研究開発費は、566百万円です。

 

(その他の事業)

 当事業においては、機能化学品やファインケミカルの分野で研究開発に取り組んでいます。有機、無機の合成技術を主体とし、独自の技術を核とした新製品の研究開発や、全く新しい次世代分野の研究開発を行っています。

 その他の事業における研究開発費は、3,745百万円です。