第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループは、「たのしいさわぎをおこしたい」という経営理念の下、PR発想を軸にあらゆるコミュニケーション手法を用いて様々な課題を解決するコミュニケーションのプロフェッショナル集団として、新しい時代の、新しい価値観を創造しようとしています。時代とともにコミュニケーション手法は大きく変化するものの、「人の心が動けば、行動が変わり、やがて世の中全体が変わっていく」というPRが持つ普遍的な力を信じ、事業活動を通じて社会問題を解決しながら、企業価値の向上を実現してまいります。

 また、当社グループは「社会の公器としての責任」と「PRが持つ力」の双方を認識し、自社が課題とするサステナビリティ及びダイバーシティの取り組みを進めるとともに、同様の取り組みを推進する企業・団体の価値向上をコミュニケーションの側面から支援するなど、持続可能な社会の実現に資するコミュニケーションにも積極的に取り組んでまいります。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 当社グループは、2023年5月に策定した中長期経営方針「成長に向けた戦略方針」において、2026年6月期に連結営業利益20億円を達成することを経営指標として掲げております。同方針策定時に想定していなかった本社及び子会社オフィス賃借料等の固定費の増加の影響により、最終年度の連結営業利益予想は目標に届かないものの、事業ポートフォリオの中核として位置づけるブランドコミュニケーション事業の改革への取り組みは順調に進捗しており、同事業を中心に収益力の更なる向上に取り組んでまいります。また、ROIC(投下資本利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)を改善し、資本コストを上回る資本収益性を達成しながら、中長期的な企業価値向上を実現してまいります。

 

(3) 会社の対処すべき課題

 当社グループの事業環境につきましては、PR、広告、販促等の垣根がなくなりつつあるとともに、AIの急速な普及に代表されるように、テクノロジーの重要度も増してきております。コミュニケーションのあり方が大きく変容するなか、当社の事業ドメインは狭義のPR市場にとどまらず、コンサルティング市場、さらに上流に遡った大きな広告市場を対象として捉えることができます。当社グループは、コミュニケーションをデザインする企業として、この成長機会を積極的に捉えながらも、「人の心が動けば、行動が変わり、やがて世の中全体が変わっていく」との理念を持ち続け、今後もそれを実現する企業でありたいと考えております。

 上記の認識を前提とした、当社グループが対処すべき課題は次のとおりです。

 

① 中核事業の強化による収益力向上

 当社グループは、中長期経営方針「成長に向けた戦略方針」に定める中期方針期間の最終年度を迎え、主力のブランドコミュニケーション事業を中心に収益力向上への取り組みを加速させてまいります。同事業におきましては、2023年9月に完了した連結子会社3社間の統合による効果やグループシナジーを更に創出すべく、提供ソリューションの高付加価値化に引き続き取り組んでまいります。また、事業機会の拡大を図るため、マーケティング戦略支援及びコンサルティングと連携し、既存のPRからマーケティングへと領域を広げた包括的なソリューションを提供してまいります。

 

② 次期成長戦略の策定

 現中期方針期間を総括するなかで、ブランドコミュニケーション事業を中心に収益力の向上への改革は着実に進んでいるものの、成長スピードには課題があると捉えております。また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた現状分析・評価を通じて、成長期待感の醸成や業績の持続性・信頼感の確保により、市場からの評価を獲得することも課題であると認識しております。そこで、現中期方針期間の取り組みを進めつつ、中長期的な企業価値の向上を目指して、次期成長戦略策定に着手し、既存事業の強化と戦略的M&Aの融合による成長、その実現に向けたキャピタル・アロケーション等について、具体的な検討を進めてまいります。

 

③ 人的資本経営の実現

 当社グループでは、人的資本経営の実現に向けて、性別・国籍等を超えて全員が活躍できる組織づくり、教育投資の拡充、従業員のエンゲージメントの向上に取り組んでおります。2024年6月期から3か年を対象に、成長への戦略投資枠として総額15億円を設定し、対象領域をテクノロジー投資、人財投資、DX業務投資とするなか、人財投資に重点配分し、採用活動と職場環境整備を積極的に進めてまいりました。今後は教育の拡充や制度改定など、組織力の向上に資する施策をより強化してまいります。特に、ブランドコミュニケーション事業では、生産性の向上に取り組み、同事業の効率改善をグループ全体に波及させてまいります。

 

 なお、当社は社会や環境に配慮した公益性の高い企業を評価する国際的な認証制度「B Corporation(B Corp)」認証を取得しておりますが、2025年6月には国際的なサステナビリティの評価機関であるEcoVadis社(本社:フランス)より、全評価対象企業のうち上位35%に与えられるブロンズメダルを獲得しました。今後とも、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進し、企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

(4) 経営環境

 米国の通商政策等による影響が一部で見られるものの、景気は緩やかな回復基調にあり、当社グループを取り巻く経営環境は比較的良好な状況が続いています。一方、価値観が大きく変容するなか、ブランドが打ち出すメッセージや企業姿勢への共感がより重視されるとともに、メディアの多様化、AIをはじめとするテクノロジーの急速な進展等により、コミュニケーション手法が大きく変わり、変化への対応を迫られています。

 中核のブランドコミュニケーション事業につきましては、企業のマーケティング活動の活発化、地方創生の推進等を受け、サービス提供の機会が増えております。当社グループとしては、経営資源を効率的に配分し、高付加価値のサービスを提供することで、機会を積極的に捉えてまいります。また、販促施策・商品企画については、受注変動がありながらも、有力なIP(知的財産)を活用した企画提案や販路拡大に取り組み、堅調に推移してゆくことを見込んでおります。なお、同サービスはグッズ制作の一部を海外で行っておりますが、短期間で急激な為替相場の変動が頻発していることから、影響軽減に向けた管理体制を引き続き整えてまいります。

 フードブランディング事業につきましては、ブランディング強化への様々な施策の効果やインバウンド需要の継続を背景に、順調に推移するものと見ております。但し、原材料価格の上昇や人材確保が困難な状況は続くとの認識であることから、価格改定を伴うメニュー改廃など、機動的な対応を進めてまいります。

 ビジネスディベロップメント事業につきましては、マーケティング戦略支援及びコンサルティングにおいて、ブランドコミュニケーション事業との連携を図り、包括的なソリューションを提供するための機能を果たしてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の原点は、「たのしいさわぎをおこしたい」という経営理念にあり、「人の心が動けば、行動が変わり、やがて世の中全体が変わっていく」というPRが持つ普遍的な力を信じ、事業活動を通じて社会課題を解決しながら、企業価値の向上を実現してまいります。

当社グループのサステナビリティに関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティに関する考え方及び取組

① ガバナンス

当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会の監視、管理のためのガバナンスは、取締役会で行われております。企業の持続性に関するリスクにつきましては、取締役会において内部統制システム構築の基本方針に定めるリスク・コンプライアンス委員会より四半期毎に、重要なリスクが生じた場合にはその都度報告を受け、重要課題を確認しながら、進捗をモニタリングしております。

なお、機会につきましては、2023年5月に策定した中長期経営方針「成長に向けた戦略方針」を基に検討がなされ、中長期的な視点で機会を獲得することができるよう、取締役会でその取り組みをモニタリングしております。

 

② 戦略

当社グループは、サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処する取り組みのなかで、(ⅰ)人的資本経営の実現、(ⅱ)ソーシャルグッドに関する事業活動の推進の2点をサステナビリティに関する重要課題としております。

(ⅰ)人的資本経営の実現については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本に関する考え方及び取組」に記載しており、(ⅱ)ソーシャルグッドに関する事業活動の推進につきましては、サステナビリティ及びダイバーシティの推進に係る取り組みを推進する企業・団体に対し、当社グループが持つPRコミュニケーションを通じて支援するなど、機会として捉え、積極的に取り組んでおります。なお、(ⅱ)ソーシャルグッドに関する事業活動の推進については、中長期経営方針において、長期的な視点で社会的課題をテクノロジーで解決する「サステナブルテック」への投資に取り組むことを表明し、段階的に進めております。女性のヘルスケア、キャリアとの両立など、ライフデザインを啓発するプロジェクトに取り組んできた当社にとって、「サステナブルテック」は長期的に取り組むべき課題と考えております。

また、環境負荷低減も企業として取り組むべき課題と考えておりますが、当社グループのビジネスモデルとの関係性等を総合的に鑑み、(ⅰ)(ⅱ)の重要度が高いと判断しております。

 

③ リスク管理

当社グループのリスクは「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、経営に関するリスク、事業に関するリスク、サステナビリティに関するリスクの3つに分類されます。そのうち、企業及び社会の持続可能性に関わるリスクにつきましては、取締役会がリスク・コンプライアンス委員会より四半期毎に報告を受け、重要課題について確認するともに、進捗をモニタリングしております。

 

(人権リスクへの対応)

サステナビリティに関するリスクについて、リスク事象を発生可能性(発生頻度)と影響度(影響金額・影響範囲)の観点から分析するなか、人権リスクへの対応が必要と判断し、2024年8月1日付で人権方針を策定いたしました。なお、人権方針の策定に当たっては、当社グループの経営理念及びビジネスモデルより、従業員及び提供サービスを対象とした重要課題を抽出しております。

 

株式会社サニーサイドアップグループ及び連結子会社(以下、「当社グループ」といいます。)は、「人の心が動けば、行動が変わり、やがて世の中全体が変わっていく」というPR(パブリックリレーション)の力を信じ、コミュニケーションに係る事業活動を通じて、さまざまな課題を解決するとともに、新しい時代の新しい価値観を世の中に創り出そうとしています。

 

当社グループは、「たのしいさわぎ」の担い手である、一人ひとりの人権、多様な個性や価値観が尊重された上で、持てる能力を十分に発揮して生み出されたコミュニケーションサービスが世の中をより良くすることに繋がっていくと考えます。そのために、当社グループは、人権方針(以下、「本方針」といいます。)を策定し、人権尊重に関する継続的な取り組みを推進します。

 

人権に関わる重要課題

・多様性の尊重と差別の禁止

多様な個性や価値観を互いに認め、人種、国籍、宗教、年齢、性別、性的指向、性自認、障がい等を理由とした差別や人権侵害を禁止します。

・ハラスメントの防止

各種ハラスメントの防止を常に心がけて行動し、個人としての名誉や尊厳を傷つけることのないように努めます。

・全員が活躍できる職場環境の整備

一人ひとりが自分らしく活躍できるよう、国籍、年齢、性別等の属性に関わらず、等しく機会を提供するとともに、持てる能力を十分に発揮できるよう、労働時間を適切に管理し、安全で健康的な職場環境を整備します。

・提供サービスにおける人権尊重

当社グループが提供するコミュニケーションサービスの表現が、人権侵害につながること のないよう、チェック体制を構築し、最大限の注意を払います。

 

 

1.人権方針の適用範囲

本方針は、当社グループの役職員(役員、正社員、契約社員、アルバイト社員)及び派遣社員を対象とします。また、当社グループの取引先を含む関係者に対しても、本方針に沿って人権を尊重して行動するよう、協働して取り組むことを期待します。

 

2.国際規範及び法令の遵守

当社グループは、「国際人権章典」で規定されている人権、「労働における基本的な原則及び権利に関するILO宣言」に掲げられた基本的権利に関する原則、ユニセフ、国連グローバル・コンパクト、セーブ・ザ・チルドレンが策定した「子どもの権利とビジネス原則」等の国際規範を遵守します。また、事業活動を行う国や地域で適用される法令を遵守します。国際的に認められた人権と各国や地域の法令の間に矛盾がある場合は、人権に関する国際規範を最大限尊重するための方法を追求します。

 

3.人権に関するガバナンス

本方針に規定する人権尊重の取り組みについては、当社の取締役会が監督します。取締役会では、リスク・コンプライアンス委員会より定期的に人権侵害リスクについて報告を受けるとともに、人権に関わる重要課題について議論し、事業活動への影響を監督します。

 

4.是正・救済

当社グループの事業活動を通じて、人権に負の影響を引き起こしたり、助長したりすることが明らかになった場合、適切な手段を通じてその是正に取り組みます。人権に関して寄せられた相談及び通報の内容について、事実確認を行い、人権侵害が確認された場合は、是正措置を講じます。

 

 

 

 

④ 指標及び目標

サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処する取り組みのうち、重要課題とする(ⅰ)人的資本経営の実現の指標及び目標につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本に関する考え方及び取組」に記載しております。また、(ⅱ)ソーシャルグッドに関する事業活動の推進につきましては、中長期経営方針に記載の中長期目標達成に不可欠な事業と位置付けており、その目標は中長期目標と連動させております。

指標としましては、2024年6月期より3か年を対象に、成長への戦略投資枠として総額15億円を設定し、進捗及び効果をモニタリングしております。対象領域をテクノロジー投資、人財投資、DX業務投資とし、それぞれ8億円、5億円、2億円を投資することを予定しておりましたが、ブランドコミュニケーション事業による成長に手応えを感じたことから、人財投資に重点配分し、採用活動と職場環境整備を積極的に進めてまりいました。今後は教育の拡充や制度改定など、組織力の向上に資する施策をより強化してまいります。

 

2026年6月期までの戦略投資枠

 

指標及び目標

(2026年6月期までの3か年対象)

実績

(2025年6月期までの2か年累計)

テクノロジー投資

8億円

1.0億円

人財投資

5億円

6.7億円

DX業務投資

2億円

0.4億円

 

  なお、環境負荷低減につきましては、当社グループのビジネスモデル等を総合的に勘案し、他の課題の重要度がより高いと判断したものの、企業の社会的責任を果たすべく、低減を図ってまいります。なお、当社で把握する温室効果ガス排出量は次のとおりです。

 

 温室効果ガス排出量                                   (単位:t-CO2)

 

スコープ1

スコープ2

スコープ3

合計

 

 

(ロケーション基準)

1.

購入

2.

資本財

3.

その他燃料

4.

輸送(上流)

5.

事業廃棄物

6.

従業員の出張

7.

従業員の通勤

8.

リース資産(上流)

 

前連結

会計年度

-

1,487

(-)

56.96

-

-

0.35

0.00

439

123

0.00

619

2,106

当連結

会計年度

191

1,034

(1,031)

3,084

1,346

222

345

3.56

462

115

7.13

5,585

6,810

(注)1.当社及び国内連結子会社を対象に測定しております。

   2.当連結会計年度より、第三者の排出量測定システムを使用して算出しており、主にスコープ1、スコープ3のカテゴリー1~4で数値が変動しております。

 

(2)人的資本に関する考え方及び取組

① 戦略

1)人材の育成に関する方針

 当社グループは、先進的な人的資本経営を目指して、「人的資本経営ガイドライン」を定めております。その柱は、(ⅰ)性別・国籍等を超えて全員が活躍できる組織づくり、(ⅱ)教育投資の拡充、(ⅲ)従業員のエンゲージメント・スコアの向上であります。

 (ⅰ)につきましては、性別・国籍等の属性に関わらず、機会を等しく提供することを基本方針としており、多様なキャリアプランを支援する制度を拡充しております。(ⅱ)につきましては、教育投資を拡充し、クライアント・リレーションの強化及び経営力向上を目的に実践的な教育プログラムを提供しております。(ⅲ)につきましては、2023年9月に完了した連結子会社間の吸収合併を含む組織体制や事業環境が変化するなか、従業員及び組織の満足度を定期的に測定し、エンゲージメント・スコアの向上に取り組んでおります。

 

2)社内環境整備に関する方針

 当社グループでは、コアタイムなしのフレックスタイム制の導入、独自の福利厚生「32の制度」の拡充など、多様な働き方を支援する環境を整備しております。福利厚生制度には、従業員の健康管理推進や女性の身体ケアに関わるプログラムがあり、自分らしい働き方や生き方を確立するための選択肢を提供しております。なお、同制度は、従業員の状況・ニーズ等を踏まえて定期的に見直し、子育てや介護と仕事の両立をサポートする制度を新たに導入しております。

 

② 指標及び目標

 当社グループでは、上記の先進的な人的資本経営を実現するため、次の指標及び目標を用いております。

 

 人的資本経営ガイドラインの指標及び目標

 

指標及び目標

実績

(2026年6月期)

前連結会計年度

当連結会計年度

(ⅰ)女性活躍推進

当社取締役女性比率

30

50.0%(注)

50.0%(注)

連結管理職女性比率

50目途

44.4%

44.3

(ⅱ)教育投資の

   拡充

人財投資額

5億円以上

(3か年累計)

人財投資額 2.5億円/年

(本社オフィス改装を含む)

専門教育プログラム

1人当たり3.5回受講

人財投資額 6.7億円(2か年累計)

(子会社オフィス拡張移転を含む)

専門教育プログラム

1人当たり4.1回受講

(ⅲ)エンゲージメント・スコアの向上

エンゲージメント・

スコア

150~200

改善

定性目標の設定

・プロフェッショナル

 (個と組織の成長機会の提供)

・ウェルビーイング

 (職場環境の整備、福利厚生制度の拡充)

・ダイバーシティ

 (個性と多様性の尊重)

スコアの推移

(2023年6月期を基準とした推移)

当社:1⇒0.87⇒1.01

主要子会社:1⇒1⇒1

福利厚生制度の拡充

子育てや介護と仕事の両立を支援する制度等を導入

(注)有価証券報告書提出日現在となります。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、当社グループ及び事業の持続可能性や投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主なリスクについて、以下に記載しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の影響の軽減等の対応に努める方針であります。

 なお、以下の記載事項は当社株式への投資に関連するリスクを網羅するものではなく、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

(1)重要なリスクの抽出・分析

 当社グループは、事業等のリスクを「経営に関するリスク」、「事業に関するリスク」、「サステナビリティに関するリスク」の3つに分類し、それぞれの項目のリスク事象を発生可能性(発生頻度)と影響度(影響金額・影響範囲)の観点から分析しています。

 重要なリスクとして抽出された項目と事象は、①経営に関するリスク(イ.ビジネスモデル:人財の確保・育成)、②事業に関するリスク(ウ.ブランドコミュニケーション事業:販促施策・商品企画の受注変動、生産国の為替相場変動)、③サステナビリティに関するリスク(カ.人権:従業員の健康・安全)となります。

 

 リスク分類

 

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

評価

発生

可能性

影響度

評価

①経営に関する

リスク

ア.経済状況・市場環境

イ.ビジネスモデル

B

A

中~大

A

A

②事業に関する

リスク

ウ.ブランドコミュニケーション事業

エ.フードブランディング事業

オ.ビジネスディベロップメント事業

A

B

S

中~大

A

B

C

③サステナビリティに関するリスク

カ.人権

キ.取引

ク.社会・環境

ケ.情報管理

コ.自然災害・疾病

A

C

C

B

C

低~中

低~中

低~中

低~中

A

B

B

B

C

 (注)評価はS、A、B、Cの順に重要度を示しております。

 

         リスク項目分析               重要なリスク項目の事象分析

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(2)リスク項目と事象

① 経営に関するリスク

ア.経済状況・市場環境

一般的に企業が支出するマーケティング、コミュニケーションサービスに関する費用は、景気動向によって増減する傾向にあります。従って、ブランドコミュニケーション事業を中心として、企業からの受注件数や受注金額は、景気の影響を受ける可能性があります。また、AIをはじめとする新しい技術の台頭は、サービス提供に至るプロセス及び提供内容に影響を与える可能性があります。

 

イ.ビジネスモデル

(ⅰ)人財の確保・育成について

当社グループの事業を支える人財の確保・育成は、当社の競争力を維持していく上で必要不可欠なものであります。自社のブランディングを強化することで採用活動を優位に進めるとともに、当社グループ企業間の異動・出向を通じた活発な人的交流、さらには外部講師を招いた研修等を定期的に行うことで、人財の確保・育成に努めております。現在、当社グループの長期的な成長を担う新規事業開発、更にグローバルなビジネスフィールドで活躍できる人財確保・育成に注力しておりますが、必要な能力を有する十分な人財確保ができなかった場合や人財の流出が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅱ)特定人物への依存について

当社グループの経営方針及び事業戦略は、当社役員等に依存しております。当社グループでは、企業価値向上に向けた持続的かつ飛躍的成長を機動的に実現するため、積極的な権限委譲を進めると同時に、当社グループの各社役員等による情報の共有機会を継続的に維持することで、経営組織の強化を図っておりますが、今後何らかの理由により、当社役員等が当社グループの経営執行を継続することが困難となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅲ)業務提携、合弁事業、戦略的投資、M&Aについて

当社グループは、企業価値向上を目的とした飛躍的成長の実現の有効な手段として、業務提携、合弁事業、戦略的投資及びM&Aを引き続き検討していく方針であります。しかしながら、業務提携及び合弁事業において協力パートナーの経営状況により提携の維持が困難となる場合や、戦略的投資において投資先の財務状況等により期待する成果が得られない場合、保有株式の評価減処理を行う可能性があります。M&Aについては、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等の問題が発生、または事業計画の著しい乖離が発生した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があり、これらが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅳ)のれんの減損について

当社グループが必要に応じてM&Aを実施する際には、将来の収益性について十分に精査を行いますが、M&A実施時における将来予測や事業環境の変化によって十分なキャッシュ・フローを生み出せない場合、M&A後においてのれんの減損が発生するリスクがあります。当社グループは、2025年6月期末の連結貸借対照表において、2020年3月に子会社化した株式会社ステディスタディののれん193百万円を計上しております。当該資産について、減損の兆候が認められた場合に減損テストを行い、十分な将来キャッシュ・フローを生み出さないとの結果を得られた場合には減損損失を認識する必要が生じます。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅴ)投資有価証券の評価損について

当社グループは、事業収益機会の創出に向けた施策の一つとして、「資本参加型PRサービス」を展開しております。国内外の将来有望なベンチャー企業との連携を進め、当社グループでPR等のサービスを提供しております。同施策により取得した当該有価証券について、その価額が著しく低下し、帳簿価額を下回った場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

② 事業に関するリスク

ウ.ブランドコミュニケーション事業

(ⅰ)販促施策・商品企画の受注変動について

販促施策・商品企画については、継続的な契約を締結するリテナー契約ではなく、提案ごとに個別契約を締結するスポット契約が多く、受注変動が大きいことから、計画通り受注が進まない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅱ)生産国の為替相場変動、経済情勢及び輸出入関税等について

販促施策・商品企画において、プレミアムグッズ(販促用景品)等の制作の一部を中国等の海外工場へ外注しており、これらの輸入取引は原則として米ドル建て決済で行っているため、連結財務諸表はドル円相場の為替変動の影響を受ける可能性があります。為替変動リスクに対応するため、自社為替レートを定めて販売価格を決定しているものの、その範囲を超える下げ幅で、且つ、非常に短期間で円安が進行した場合、クライアントへの価格転嫁が一部に留まらざるを得ず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、生産国の政治情勢及び経済情勢、輸出入関税等に著しい変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅲ)不良品の発生及び製造物責任について

販促施策・商品企画において、制作するプレミアムグッズの外注先選定については、外注先の過去の取引実績や品質管理体制を確認した上で取引を開始していることに加え、生産過程においても、当社グループ従業員が現地工場にて検品を行うなど、不良品の発生防止のための措置を講じております。しかしながら、万一、不良品が発生し、それらを取引先に納品した際に当該取引先からの値引きや返品・交換等の負担が発生し、当社グループの取引先に対する信用の失墜にもつながった場合、また、制作物の欠陥が原因となり事故が発生した場合には、損害賠償により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅳ)代替工場について

販促施策・商品企画において、プレミアムグッズの制作の一部を海外工場へ外注しているため、国策による急激な人件費高騰をはじめ当該地域における特有のビジネス環境の変化により、外注先工場の新規開拓を迫られる可能性があります。普段より外注先工場とは良好な関係構築に努めているものの、高品質・低価格・納期遵守を実現できる工場への発注ができない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅴ)企業活動におけるレピュテーションリスクについて

当社グループは、広範な分野を収益機会として捉え、積極的な事業展開を行う方針でありますが、とりわけ社会貢献活動に係る支援業務につきましては、PR活動等のあり方の重要性を強く認識しております。また、各事業の企画・立案にあたりましては、当社へのレピュテーションリスク等を詳細に分析・評価することが不可欠であると考えております。しかしながら、このような適切なリスク管理体制の構築ができなかった場合には、企業に求められる説明責任を十分に果たせないことになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

エ.フードブランディング事業について

(ⅰ)出退店政策について

フードブランディング事業が運営する店舗は、ブランディングへの寄与、集客性が高い等の立地条件、賃貸条件及び投資回収期間等を総合的に勘案しておりますが、ライセンスビジネスであることから、ライセンサーの許諾を得て出店候補地及び初期投資額を決定しているため、すべての条件に合致する物件が確保できない可能性があります。また、当社グループにおける業績をベースにした退店検討基準により、「bills」ブランドの毀損や業績回復の見通しが立たない場合には、退店を実施することがあります。その退店に伴い、固定資産の除却損、減損損失の計上、各種契約の解除による違約金、退店時の原状回復費用等が想定以上に発生する可能性があり、これらが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅱ)固定資産の減損損失について

フードブランディング事業が保有する店舗等の固定資産について、資産価値の下落や将来的なキャッシュ・フローの低下等により、減損処理を行う可能性があります。その際には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅲ)ライセンサーまたは事業パートナー会社との関係について

フードブランディング事業は、「bills」ブランドのライセンスビジネスであるため、ライセンス契約が継続されない場合、また、国内bills店舗はその店舗運営を事業パートナー会社に委託しているため、その事業パートナー会社との業務委託契約が継続できない場合には、フードブランディング事業の継続が難しくなるため、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅳ)海外展開について

これまでの出店ノウハウを生かし万全の準備態勢で新店舗の出店を進行するも、特に海外においては、固有のビジネス文化や出店地域当局による許認可等、コントロールできる範疇を超えた要因により、当初計画していた出店スケジュールに遅延が生じ、店舗賃料や人件費等の支出のみの発生が長引くことで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(ⅴ)食品事故の発生について

フードブランディング事業においてレストランを展開する当社グループにとって、最大のリスク要因は食中毒や食品アレルギーなどの食品事故の発生と認識しており、店舗において、衛生管理に関するマニュアルに基づく衛生・品質管理を徹底しております。しかしながら、万一、不可抗力的な食品事故が発生した場合、社会的信用を失うことによる売上高の減少、損害賠償による損失の発生、一定期間の営業停止や営業許可の取り消し等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

オ.ビジネスディベロップメント事業

事業規模の拡大と高収益化を目指す当社グループは、既存の受託型事業に留まらず、新規事業開発に積極的に取り組んでいく方針でありますが、新規事業の立ち上げは既存の受託型事業よりもリスクが高いことを認識しております。入念な市場分析や事業計画設計にも関わらず、予測とは異なる状況が発生して計画どおりに進まない場合は、投下資金を回収できず、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ サステナビリティに関するリスク

カ.人権

 人権に関するリスク及び対応方針につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

 

キ.取引

情報統制の必要性から一業種一社制(一業種につき一社のみをクライアントとする制度)が望まれる傾向にあり、同業種クライアントとの契約により、新規クライアントの獲得が制限される場合があります。当社グループでは、複数の事業会社及び部署で情報管理の徹底を図ることで、同業種における複数のクライアント獲得を目指しておりますが、国内外のクライアントを問わず一業種一社制が浸透した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループが展開する各事業において、取引の機動性と柔軟性を重視する業界特有の取引慣行により、正式な契約書、発注書が発行されない場合も多く、役務提供過程において企画内容、実施時期、報酬額及びその支払時期等が変更される場合があります。当社グループでは、契約書、発注書等が発行されない場合でも、取引先との間で受注確認票等の文書を取り交わすこととしており、取引の明確化を徹底しております。しかしながら、取引条件について取引先との認識の相違や係争が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

ク.知的財産権等について

当社グループは、各事業の推進に当たって、各種知的財産権等の権利物を扱う場合があります。こうした権利物を扱う場合には、権利関係の事前調査や顧問弁護士への相談を徹底し、第三者の知的財産権等の各種権利の侵害がないように努めておりますが、かかる措置にもかかわらず、第三者の権利を侵害してしまった場合、損害賠償金や訴訟費用の支出を余儀なくされ、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

ケ.情報管理

当社グループは、業務の性質上、クライアントの企業情報やマーケティングに関する機密情報、また、イベントや消費者キャンペーン等において個人情報等を入手する場合があります。当社では、2008年3月にISO27001情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、各種情報の管理体制を構築し、社員教育等により従業員のモラル向上を図るなど、情報の取扱いには細心の注意を払っておりますが、かかる措置にもかかわらず、情報の漏洩や不正使用があった場合、損害賠償金や訴訟費用の支出を余儀なくされ、当社グループの業績及び社会的信用に影響を与える可能性があります。

 

コ.自然災害・疾病

当社グループは、本社及び店舗等が首都圏に集中しており、首都圏において大規模な地震や台風等による自然災害、その他予期せぬ事態が発生した場合、その直接的又は間接的な影響により事業活動が妨げられ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。新型コロナウイルスをはじめとする感染症の世界的流行は、国内外の経済状況を著しく下振れさせるリスクがあります。当社グループは、テレワークへの対応など、事業活動に支障をきたさないための対策を講じておりますが、その直接的又は間接的な影響により事業活動が妨げられ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)リスク管理体制と対応方針

当社グループ全体を対象としたリスク管理体制は、当社代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を原則として四半期に一度開催し、事業に関するリスク、サステナビリティに関するリスクを中心に会社単位及び業務単位で検討し、管理しております。リスク・コンプライアンス委員会での検討結果は、取締役会に報告する体制を採用するとともに、監査等委員会にも報告しております。重要なリスクと抽出された項目と、経営に関するリスクについては、取締役会を中心に対応方針の検討と管理を行っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況

 当連結会計年度(2024年7月1日~2025年6月30日)における当社グループは、PR(パブリックリレーションズ)発想を軸に、コミュニケーション戦略の策定から施策立案・支援まで、幅広いサービスを提供してまいりました。

中長期的な企業価値向上を目指す当社グループは、中長期経営方針「成長に向けた戦略方針」に沿って、事業ポートフォリオの中核と位置づけるブランドコミュニケーション事業を中心に収益力の向上を図るため、クライアントの維持・開拓や多様かつ付加価値の高いサービスの提供に取り組んでまいりました。さらに、従来のPRからマーケティングへ領域を広げて包括的なソリューションを提供し、事業機会の拡大を図るため、ビジネスディベロップメント事業に属する株式会社TKG Consulting(2024年10月1日付で株式会社サニーサイドエックスより商号変更)の主力事業をマーケティング戦略支援及びコンサルティング事業へと変更いたしました。

当社グループでは、2024年6月期からの3か年を対象に、成長への戦略投資枠として総額15億円を設定するなか、事業成長を支える人財への投資を加速し、新卒採用の継続と専門人財の獲得を進めました。教育も拡充し、専門教育プログラム「SUNNY UNIVERSITY」では、生成AIの活用など、実務に即したテーマを組み込んだほか、メディア担当から営業職へ移行する若手スタッフを対象とした教育プログラムを新設いたしました。また、前連結会計年度に改装した本社オフィスに続く職場環境整備を進め、2020年3月の連結子会社化以降、業績が好調に推移してきた株式会社ステディスタディの更なる成長を見据えて、同社オフィスを2024年12月に拡張移転いたしました。

売上高につきましては、2期ぶりの増収を確保し、過去最高を更新いたしました。増収に寄与したブランドコミュニケーション事業では、IP(知的財産)コンテンツを活用した販促施策・商品企画の受注が拡大するとともに、PRも伸長いたしました。コスメ、商業施設・ホテルなど、これまで実績を積み重ねてきた業種で好調に推移したほか、近年注力してきた地方創生でも受注が拡大し、地域の食や観光資源の魅力を伝えるPRを担当いたしました。

営業利益につきましては、株式会社ステディスタディのオフィス移転費用及び賞与関連費用の平準化の影響により、第3四半期連結累計期間まで軟調に推移しておりましたが、第4四半期の大幅増収が寄与し、5期連続の増益を達成いたしました。なお、賞与関連費用は、これまで予測可能性を低下させる要因の一つとなっていたため、当連結会計年度より四半期ごとの費用を計画段階で平準化し、業績進捗を勘案して計上するよう変更しております。

経常利益も5期連続の増益を達成し、親会社株主に帰属する当期純利益は2期ぶりの増益を確保したことから、営業利益以下の各段階利益はいずれも過去最高を更新いたしました。

 

これらの結果、当連結会計年度末の財政状態及び当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(財政状態)

 資産合計  104億9百万円(前連結会計年度末比 19億36百万円増)

 負債合計   57億8百万円(前連結会計年度末比 13億72百万円増)

 純資産合計  47億1百万円(前連結会計年度末比 5億64百万円増)

 

(経営成績)

  売上高             195億87百万円(前年同期比 9.4%増)

  営業利益            15億97百万円(前年同期比  9.0%増)

  経常利益            16億35百万円(前年同期比 9.0%増)

  親会社株主に帰属する当期純利益 9億48百万円(前年同期比 19.3%増)

 

当社グループの報告セグメントの構成及び業績は次のとおりであります。

 

報告セグメントの構成

報告セグメント

構成子会社

イ.ブランドコミュニケ―ション事業

株式会社サニーサイドアップ

株式会社クムナムエンターテインメント

株式会社エアサイド

株式会社ステディスタディ

ロ.フードブランディング事業

株式会社フライパン

SUNNY SIDE UP KOREA, INC

ハ.ビジネスディベロップメント事業

株式会社グッドアンドカンパニー

株式会社TKG Consulting(注)

(注)2024年10月1日付で、株式会社サニーサイドエックスより商号変更しております。

 

報告セグメントごとの売上高及び利益

 

2024年6月期

2025年6月期

前年同期比

イ.ブランドコミュニケ―ション事業

売上高

144億47百万円

162億25百万円

12.3%増

利 益

25億32百万円

27億27百万円

7.7%増

ロ.フードブランディング事業

売上高

32億68百万円

32億95百万円

0.8%増

利 益

1億16百万円

93百万円

19.8%減

ハ.ビジネスディベロップメント事業

売上高

1億92百万円

66百万円

65.4%減

利 益

26百万円

16百万円

39.3%減

 

イ. ブランドコミュニケーション事業

 当事業では、クライアントである企業・団体等の活動や商品・サービスの価値を広く伝え、様々なステークホルダーと良好な関係性を構築するための戦略策定、施策立案・支援を担っております。具体的な施策は、プレスリリースの作成・配信、記者発表会、メディアリレーション、PRイベント、SNS戦略立案など、多岐に渡っております。また、販売施策・商品企画の立案・支援を手掛け、店頭等の消費者とのコンタクトポイントで購買・成約の意思決定を促すためのノウハウ・ソリューションを提供しております。前連結会計年度に従来のマーケティング&コミュニケーション事業とセールスアクティベーション事業を統合し、一体的にサービスを提供する体制を構築しております。

 株式会社サニーサイドアップでは、クライアントニーズにきめ細かく対応した企画力とメディアリレーションを強みとし、特定の業種に限定することなく、国内外のクライアントの商品・サービス、施設等のPRを担当するとともに、インフルエンサーとYouTube、Instagram等のSNSを組み合わせたマーケティングサービスを提供しております。また、PRと並ぶ主力サービスとして、キャラクター等のIPを活用したコンテンツ制作及び販促施策を手掛けるほか、商品キャンペーンの企画及びグッズ制作、雑貨の商品企画やOEMの機能・ノウハウを有しております。株式会社クムナムエンターテインメントでは、強力なキャスティングネットワークと企画力を強みとし、日本及び韓国の人気ア-ティストや有名プロスポーツ選手等を起用したブランディング、コンテンツ開発を手掛けております。株式会社エアサイドでは、高いクリエイティビティとエンターテインメント業界とのリレーションを武器に、人気アーティストを起用したCMをメディアに紹介するPR等を手掛けております。株式会社ステディスタディでは、ファッションやライフスタイルブランドに関する専門的な知見やキャスティング力を活かし、PRやコンサルティングを提供しております。

当連結会計年度におきましては、クライアントとの関係性構築に向けて、大手企業のマーケティング責任者との接点を増やし、広報からマーケティング部門へと対象を広げて包括的な提案を行ったほか、PRと商品企画部門やグループ企業間で連携して提案する機会を増やすなど、付加価値の高い提案に取り組みました。主力の株式会社サニーサイドアップでは、アップセルを意識した提案が徐々に結実し、クライアント当たりの売上高が増加いたしました。

売上高につきましては、IPコンテンツを活用した販促施策・商品企画が大幅に伸長し、人気キャラクターや映画連動の大型企画が牽引するなか、新たに取り組んだ販路拡大も増収に寄与いたしました。四半期ベースで減収が続いていたPRも第3四半期より増収に転じ、コスメ・ファッション、商業施設・ホテル、旅行・地方創生等の受注が拡大いたしました。商業施設・ホテルにつきましては、開業PRに携わった施設からのリテナー契約獲得を基盤として、東京都心で国内最大規模となる施設や関西・九州・沖縄地方のホテルの開業PRを新たに受注いたしました。なお、大阪・関西万博関連のPRは、万博が開幕した第4四半期を中心に寄与いたしました。利益につきましては、増収が寄与し、事業全体で増益を確保いたしました。

 

 これらの結果、当事業の当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。

 売上高       162億25百万円(前年同期比 12.3%増)

 セグメント利益   27億27百万円(前年同期比  7.7%増)

 

ロ. フードブランディング事業

 当事業では、オーストラリア・シドニー発のオールデイダイニング「bills」の国内におけるブランディング、ライセンシングビジネス及び韓国におけるライセンス管理と店舗運営を行っております。国内で直営7店舗、韓国で直営2店舗を展開する当事業では、当連結会計年度に出退店及び改装はなく、休業期間は発生しておりません。

当事業では、年2回のメニュー改定を行い、ヴィーガンやグルテンフリーなど、幅広い客層を対象とした秋冬メニューを展開したほか、春夏メニューとして「地中海式コンフォート・フード」を展開いたしました。また、お台場店(東京都港区)でのイベントを機に、横浜赤レンガ店(神奈川県横浜市中区)、福岡店(福岡県福岡市中央区)でペット同伴可能なエリアを拡大するなど、顧客層や立地特性に合わせたブランディングの強化に取り組みました。

当事業では、客単価が高水準で推移するなか、インバウンド需要に支えられた銀座店(東京都中央区)及び大阪店(大阪府大阪市北区)、前連結会計年度に改装した七里ヶ浜店(神奈川県鎌倉市)及び表参道店(東京都渋谷区)で客数が増加し、増収となりました。利益につきましては、原材料費やブランド価値維持を目的としたメンテナンス費用が増加し、事業全体で減益となりました。

 

 これらの結果、当事業の当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。

 売上高         32億95百万円(前年同期比  0.8%増)

 セグメント利益       93百万円(前年同期比 19.8%減)

 

ハ. ビジネスディベロップメント事業

 当事業は、新規事業の開発・創出を通じてグループの事業領域を拡充する位置づけにあり、セグメント特性上、費用が先行する傾向にあります。

 株式会社グッドアンドカンパニーでは主に、ウェルビーイングや女性活躍推進等、社会課題の解決に資するコミュニケーションサービスを提供しています。株式会社TKG Consultingでは、商業施設及び建物の企画、開発、管理運営のほか、XR映像を活用したソリューションを提供してまいりましたが、主力事業をマーケティング戦略支援及びコンサルティング事業へ転換しております。

当連結会計年度におきましては、コンサルティング事業の提案活動が本格化したものの、株式会社TKG Consultingの既存事業の縮小により、減収となりました。利益につきましては、減収に加えて、前連結会計年度に発生したXR事業の譲渡に伴う一時的な収益要因が剥落したことから、事業全体で減益となりました。

 

 これらの結果、当事業の当連結会計年度の業績は以下のとおりとなりました。

 売上高             66百万円(前年同期比 65.4%減)

 セグメント利益      16百万円(前年同期比 39.3%減)

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて1,470百万円増加し、4,639百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて1,531百万円収入が増加し、2,186百万円の収入となりました。これは主に、売上債権の増減額が493百万円、棚卸資産の増減額が214百万円の増加となったものの、税金等調整前当期純利益が1,628百万円に、仕入債務の増減額が1,369百万円の増加となったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて9百万円支出が増加し、129百万円の支出となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の売却による収入が21百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が134百万円、出資金の払込による支出が30百万円あったことによるものであります。

 これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて1,521百万円増加し、2,056百万円の収入となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて76百万円支出が増加し、547百万円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が157百万円、短期借入金の純増減額が56百万円の減少となったことに加え、配当金の支払額が328百万円となったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

 当社グループの主たる業務は、PRを含むマーケティング活動の支援やマネジメント業務等の役務を提供する業務であるため、生産に該当する事項はありません。

 

(販売実績)

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年7月1日

至 2025年6月30日)

前年同期比(%)

ブランドコミュニケーション事業(千円)

16,225,178

12.3

フードブランディング事業   (千円)

3,295,478

0.8

ビジネスディベロップメント事業(千円)

66,572

△65.4

       合計      (千円)

19,587,229

9.4

   (注)1.セグメント間の取引は、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年7月1日

至  2024年6月30日)

当連結会計年度

(自  2024年7月1日

至  2025年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社ハピネット

2,388,538

13.3

3,234,555

16.5

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

(財政状態)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べて1,936百万円増加し、10,409百万円となりました。資産の内訳につきましては、流動資産が2,076百万円の増加により8,626百万円に、固定資産が139百万円の減少により1,783百万円となりました。流動資産の増加は主に、現金及び預金が1,470百万円、売掛金が485百万円それぞれ増加したことによるものです。また、固定資産の減少は、連結子会社のオフィス拡張移転等により有形固定資産が50百万円増加したものの、無形固定資産が47百万円、投資その他の資産が143百万円それぞれ減少したことによるものです。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べて1,372百万円増加し、5,708百万円となりました。負債の内訳につきましては、流動負債が1,503百万円の増加により4,865百万円に、固定負債が131百万円の減少により843百万円となりました。流動負債の増加は主に、買掛金が1,368百万円増加したことによるものです。また、固定負債の減少は主に、長期借入金が133百万円減少したことによるものです。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べて564百万円増加し、4,701百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が59百万円減少したものの、利益剰余金が620百万円増加したことによるものです。

当連結会計年度末における自己資本は、前連結会計年度末と比べて572百万円増加し、4,543百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度の46.9%から43.7%となりました。また、経営効率指標である自己資本当期純利益率は前連結会計年度の21.1%から22.3%、総資産経常利益率は同17.6%から17.3%となりました。

 

(経営成績)

 当連結会計年度の売上高は19,587百万円となり、前連結会計年度に比べて1,678百万円の増収となりました。これは主に、ブランドコミュニケーション事業で1,777百万円の増収となったことによるものです。同事業では、IPコンテンツを活用した販促施策・商品企画が年間を通じて好調に推移し、四半期ベースで減収が続いていたPRも第3四半期以降に増収に転じました。中長期経営方針において、同事業の売上成長率目標を3か年平均13%と設定しており、その達成に向けて、販促施策・商品企画の受注変動の影響を抑制するとともに、PRで安定的に受注を確保することを課題と捉えております。

 当連結会計年度の営業利益は1,597百万円となり、前連結会計年度に比べて132百万円の増加となりました。これは主に、ブランドコミュニケーション事業の寄与によるもので、同事業では増収効果により、194百万円の改善となりました。積極的な人的投資により従業員数が増加するなか、今後は生産性の改善を通じて、収益力の更なる向上に繋げてまいります。

 当連結会計年度の経常利益は1,635百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は948百万円となり、営業利益以下の段階利益はいずれも過去最高を更新いたしました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて特別損失が減少したことで、大幅に増加いたしました。

 当連結会計年度の経営成績につきましては、主力のブランドコミュニケーション事業を中心に収益改善が続いたことを評価しており、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)会社の対処すべき課題」に記載の事項に取り組むことにより、継続的な改善を実現したいと考えております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析)

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(資金の流動性)

 当社グループは、継続的、安定的に営業キャッシュ・フローを確保することにより、事業活動に必要な流動性を維持することを財務上の重要な目標としております。

 また、財務健全性の向上を目指し、グループ全体としての資金の効率的な調達・運用を方針としております。運転資金については原則として、自己資金で賄いますが、一時的な運転資金を効率的に調達するため、当座貸越を利用することがあります。

 ブランドコミュニケーション事業においては、キャンペーン・ノベルティグッズ等の制作について、中国を中心とした海外に発注しており、各案件の規模が大きくなることが多いため、資金繰りに細心の注意を払い、外貨保有のバランスも考慮した資金調達を行っております。

 フードブランディング事業における新規店舗開発や既存店舗の設備改修等多額の設備資金を必要とする事案につきましては、投資回収期間を精査した上で、長期借入金として効率的な資金の調達・運用を行っております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。