第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、「乳幼児から社会人までの教育および保育を基本とする教育企業」を事業ドメインとして事業展開を行ってまいります。

 

[基本ビジョン]

私たちは人の成長を育む事業を通じて日本を代表する企業を目指します。

[経営理念]

私たちは、創造的で質の高い教育、保育、文化事業を通じて次世代の健全な成長と学びの支援を行い、世界で活躍できる人材の育成と豊かで平和な社会づくりに貢献します。

 

(2) 経営環境及び経営戦略等

① 教育関連事業

個別指導部門・クラス指導部門

当社グループの主要事業である学習塾では、小学生から高校生まで幅広い学齢層を対象とし、お客様のニーズに応えるため個別指導とクラス指導の両指導形態で運営しております。新規参入が比較的容易で競合が多い個別指導形態では、当社の主要ブランド「個別指導学院フリーステップ」において、ブランドの強みである「大学受験に強い」「点数アップに強い」により他塾との差異化を図り事業を拡大しております。市場規模が縮小しているクラス指導形態では、不採算教室閉鎖等の効率化により収益性の向上を図ってまいります。また両形態ともにICT教育を活用し、従来の対面授業に加えオンラインでの教育コンテンツも充実させ、サービス向上を図ってまいります。

 

保育部門

待機児童の解消という社会的要請に応えるべく、「かいせい保育園」をはじめとした認可保育所の運営を行っております。引き続きサービスを充実させ、安定した収益確保を図ってまいります。

 

その他の指導部門

2023年に政府が新たに「2033年までに外国人留学生の受入数40万人」を目標に掲げるなど、外国人留学生の受入れに関する社会的ニーズは高まっております。こうした中、「開成アカデミー日本語学校」では多様化する外国人留学生のニーズに応え、事業拡大を図ってまいります。また、中上級レベルの韓国語に特化したマンツーマン指導の「開成アカデミー韓国語学校」、学童保育付き英会話スクール「IVYKIDS」では、学習塾で培ったノウハウを活かした教育サービスを提供し事業拡大を図ってまいります。

 

② 不動産賃貸事業

所有不動産のうち、自社で利用しない余剰スペースを賃貸しております。今後も安定した事業運営に努めてまいります。

 

③ 飲食事業

人件費や原材料価格の上昇等により厳しい経営環境が続き、セグメント損失を計上する状況が続いております。価格改定、メニューの入替、SNSの活用等により他店との差異化を図るとともに、店舗運営の見直し等により、赤字から脱却する体制を構築してまいります。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)及び(2)に記載の、経営方針及び経営戦略等を実行していくうえで、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

 

ブランド力の向上、集客力の強化

ドミナント戦略に基づいた教室展開によるブランド力の向上、合格実績の積み重ねによる集客力の強化が重要な課題となっております。特に、関東圏での教室開校を積極的に行い、知名度・集客力の向上を図ります。

 

幅広い教育分野での事業展開の強化

学習塾に限らない幅広い教育分野での事業展開の強化が重要な課題となっております。認可保育所や日本語学校の運営、海外での事業展開に加え、教育コンテンツ制作会社の連結子会社化等を通じて事業を行う教育分野を拡大しております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは「私たちは、創造的で質の高い教育、保育、文化事業を通じて次世代の健全な成長と学びの支援を行い、世界で活躍できる人材の育成と豊かで平和な社会づくりに貢献します」を経営理念としています。その理念の実践を通して、塾生・保護者の方をはじめとする全てのステークホルダーの皆さまの幸福の実現と持続可能な社会への貢献を目指しております。「人の成長」にかかわる企業として、将来世代の育成と様々な事業活動を通じてSDGs(持続可能な開発目標)で示されている様々な課題解決に貢献してまいります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティに関する議論を含めた重要事項について代表取締役を委員長とする内部統制委員会及び経営会議にて討議・決定し、取締役会に報告しております。また、経営における重要事項については、取締役会にて決定し、その業務執行は全社のコーポレート・ガバナンス体制の下、監査役会により監視・監督されております。

 

(2) リスク管理

当社グループでは、サステナビリティを含めた事業活動等に係るリスクの管理に関し、各部署が抽出したリスク及び機会について内部統制委員会にて発生の可能性と影響度を検討し、適宜経営会議や取締役会に報告しております。

また、コンプライアンス経営の強化に資するべく、従業員等からの通報又は相談に応じる窓口を当社外部にも設置しております。法令違反等に関する通報又は相談を迅速に汲み上げ、不正行為等の早期発見と是正を図っております。

さらに、お客様からのご意見・ご要望を経営陣幹部・マネジメント層とスピーディに情報共有することで、迅速な顧客対応と課題解決に努めております。

 

 

(3) 戦略

当社グループは、人の成長を育む事業を通じて日本を代表する企業への発展を目指し、創業以来40年以上にわたり社会の変化とニーズに積極的に対応し事業展開を行ってまいりました。引き続き「育」の分野で事業を行う当社グループにおいて人材の確保と育成は重要なテーマと考えております。また、当社グループの発展と社員の幸福実現のために社内環境整備にも取り組んでおります。

<人材の確保>

当社グループでは、性別・国籍等を問わず能力のある者を採用し、管理職等の中核人材も属性にとらわれず能力を重視し登用しております。また、残業時間の抑制、勤務時間の多様化、介護、育児等で退職した正社員の再雇用の推進等を通じて、あらゆる人材の確保を図っております。

<人材の育成>

「人の成長」にかかわる企業として、当社グループにとって人材の育成は重要なテーマであります。

当社では、より質の高いサービスの提供には教員・講師の成長が不可欠であり、教員・講師の成長が当社の発展、ひいては社会の発展に寄与すると考え、様々な教員・講師の成長機会を提供しております。

① 「講師全体研修会」及び「講師フォーラム」の開催

個別指導学院フリーステップでは年2回の大型研修を行うことで、講師の指導力、教育サービスの質の向上を目指しております。「講師全体研修会」は、最新の受験結果から分析された指導方法を講師全員が共有し、指導力を向上することを目的として毎年5月に開催しております。また「講師フォーラム」は、講師の1年間の取り組みを評価するとともに、優秀教室、優秀講師として選ばれた大学生講師が約5,000名の講師に向けてその成果や目標達成に至った行程を発表する機会として毎年10月に開催しております。「講師フォーラム」を通じて、困難な課題に挑戦し、目標を達成する力、多くの人と力を合わせて目標に到達する力を育成しております。

② 「教師フォーラム」の開催

クラス指導部門に従事する教員が一同に会する大規模なフォーラムであり、全教員の前で模擬授業を披露する「授業研修」、地域・エリア単位での目覚ましい成果をプレゼンテーションする「優良事例の共有」など、より効果的な成果を上げた取り組みを評価するとともに、全体の水準を高めるためにナレッジ共有を行っております。

③ 「開成講師学力テスト」の実施

クラス指導部門に従事する全ての教員に対し、担当教科の学科テストを年に1回行い、より質の高い教育サービスを提供するため、指導力の根幹となる「教科能力」についても一定期間で測定、評価しております。

④ 「講師認定証」の発行

個別指導部門及びクラス指導部門の講師・教員に対し「塾生たちにとってわかりやすく、満足感を与える授業ができる講師・教員」として認定した者に「講師認定証」を発行しております。模擬授業等による厳しい認定基準を設け、講師・教員としての能力や意識等が高く一定水準に達した者を認定しております。

⑤ 「イノベーションアワード」の導入

現場社員からの業務における改善提案を積極的に受け入れる制度であり、当該制度の導入により現場社員の改革・改善への参画意識が向上しております。さらに社員の問題解決への意識や解決能力の向上に繋がっております。

⑥ 「学習プランニング検定」の実施

個別指導部門では、教室を運営する学習プランナーの教務力向上を目的として社内独自の検定「学習プランニング検定」を実施しており、教務力を向上させることで、顧客満足度の高いサービスを提供できるように努めております。

⑦ ベストプラクティスの共有

個別指導部門では、学習プランナーとして成果をあげた現場社員が成功事例を「ベストプラクティス」として全体会議で発表し、それらを動画化して社内アーカイブにて閲覧・視聴できる仕組みを導入しております。新人研修や各種マニュアルにも反映させ、全体波及を促します。

<社内環境の整備>

① 「部署間連携」

当社では、部署間の隔たりをなくし従業員それぞれの意識を高め合い、共有することが必要と考えており、他部署とのコミュニケーション向上や業務を円滑に行うため、部署間連携会議を年1回行っております。

② 「健康経営」

当社では、未来を担う次世代の健全な成長と学びの支援を行い、温もりの伝わる、安心と信頼の指導を実践するためには、従業員一人ひとりが、心身ともに健康な状態を維持することが必要と考えており、健康保持・増進に関する企画の立案・実施について担当役員が責任者となり、経営トップも関与する体制を構築し取り組んでおります。

当社では、全従業員に年1回の健康診断(教員・講師については年2回)の実施、インフルエンザ予防接種の補助金の支給及び年4回食生活の改善方法や運動など健康に関するアドバイスを配信し、全国健康保険協会との連携や産業医による健康保持・増進活動を行うなど、積極的に健康増進活動に取り組んでおります。

 

 

(4) 指標及び目標

女性の活躍推進を含む人材の多様性の確保、社内環境整備に関する指標については以下の通りです。社内多様性の確保・人材の育成・働きやすい社内環境づくりに努めてまいります。なお、下記指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のもののみを記載しております。

 

指標

目標

実績(前連結会計年度)

実績(当連結会計年度)

女性の年間採用率

40以上の維持

61.7%

53.7%

全社員に占める女性社員の割合

40以上の維持

42.3%

42.6%

全正社員の残業時間

月平均20時間以内

15.3時間

17.8時間

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。以下に記載したリスクは、当社グループの事業活動等に係る全てのリスクを網羅したものではなく、記載していない他のリスクの影響を受ける可能性もあります。

なお、リスクが顕在化する可能性のある時期は、予見することが困難なため記載しておりません。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)外部環境変化に係るリスク

リスク

1.学齢人口及び待機児童の減少(発生可能性:高 影響度:大)

内容

日本国内は、出生率の低下等により少子化の問題に直面しております。少子化は、塾生となりうる児童の絶対数の減少という直接的な影響に留まらず、入学試験の平易化等により、入塾動機の希薄化に繋がる可能性があります。

また、保育業界においては、政府の施策等により保育の受け皿が拡大し、待機児童は減少傾向にあります。

今後、予想以上に少子化等が進行し学習塾や保育施設のニーズが低下した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、少子化等の進行が比較的緩やかで学習塾等のニーズが高い地域を営業エリアとしております。

学習塾では、個別指導の「個別指導学院フリーステップ」、クラス指導の「開成教育セミナー」等の複数ブランドを運営し、様々なニーズに対応しております。また、従来と異なる顧客層をターゲットにしたサービスの導入や医学部・難関大学の受験に特化した「一会塾」が当社グループに加わり、顧客層を拡大しております。

保育施設では地域に根付いた保育サービスを提供しております。

 

 

リスク

2.競合の影響(発生可能性:中 影響度:大)

内容

当社グループが主要なターゲットとしている高校受験、大学受験に向けた教育サービスを提供する学習塾等の競合先は多数存在いたします。また、生成AIの出現等によりオンラインコンテンツも充実し、競合サービスも増加しております。

保育業界においては、早期の待機児童の解消を目指すべく保育の受け皿が拡大しており、競合先は増加する傾向にあります。

今後、競合先の優位により相対的に当社サービスの需要が低下した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループの学習塾では、独自の教育コンテンツの運用、良好な合格実績等、当社の特色をアピールし集客を図っております。また、「オンライン個別指導 フリーステップ Link One」等を開講し、対面授業だけではなく、オンライン授業も提供しております。

保育施設では、学習塾のノウハウを生かした知育を実施し、競合先との差異化を図っております。

 

 

 

リスク

3.近畿圏の人口動向及び経済動向(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社グループは、2025年3月末において、フランチャイズ教室を含めた学習塾等を327教室展開しており、大阪府の教室数は48.0%(近畿圏77.7%)を占めております。

このため、大阪府及び近畿圏の人口動向及び経済動向によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

2011年に東京都に教室を初開校し、2025年3月末の関東圏の教室の割合は21.2%と事業展開地域の分散を進めております。また、通塾エリアを問わないオンライン授業も提供しております。

 

 

リスク

4.教育制度等の変更(発生可能性:中 影響度:小)

内容

学習指導要領の改訂や入試制度の変更など教育制度の変更が度々行われ、当社グループでは、これらに対応したサービスを提供しております。

今後、これらの制度変更に早期に対応できなかった場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

入試情報を取り扱う専門部署を設置するとともに、各部署は社外セミナー等を通じた情報収集等に努め、教育制度の変更等に応じたカリキュラムの設定やサービスの提供を実施しております。

 

 

(2)事業戦略リスク

リスク

5.人材確保と育成(発生可能性:高 影響度:大)

内容

当社グループの学習塾では、正社員又は契約社員が教員として学習指導及び進路指導を行うとともに、優秀な大学生等を講師として採用し、教務にあたっております。また、保育施設では、保育士の資格保有者が保育サービスを提供しております。当社グループにおいて、人材は重要な経営資源であり、教員・講師及び保育士の安定的確保と内部育成は、提供する教育及び保育の質に直結するものであります。

今後、人材の確保や育成が計画通りに行えない場合は、新規教室開校計画の遂行に支障が生じる可能性があります。また、提供する教育及び保育の質の低下から塾生等のニーズを満たすことが困難になること等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、要員計画に沿った適切な人材を確保するために新卒採用及び中途採用を実施しております。また、長期インターンシップの導入、大学生の非常勤講師の内部リクルートの活用等により若い人材の確保にも努めております。

様々な研修を実施し従業員教育に努めることにより、人材の早期育成を図り、能力を公正に評価する人事評価制度や褒賞制度により社内の活性化を図っております。

 

 

リスク

6.教室展開(発生可能性:中 影響度:中)

内容

当社グループでは、事業拡大すべく、積極的に教室を新規開校しておりますが、希望する物件が確保できない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、一定の開校基準に則り物件を選定しております。恒常的に不動産仲介業者から情報提供を受け、物件確保に努めております。

 

 

リスク

7.固定資産の減損損失(発生可能性:高 影響度:小)

内容

当社グループでは、教室設備等の有形固定資産、事業譲受に係るのれんやソフトウエア等の無形固定資産を計上しております。

今後、当該資産の将来キャッシュ・フローが当初の想定を下回り、設備投資の金額を回収できない場合は、減損損失を認識することになり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

教室の新規開校にあたっては経営会議で十分議論し、将来のキャッシュ・フローを生み出すものに設備投資を行っております。また、事業譲受を行う場合は当社グループの事業とのシナジー効果、相手方の収益性、将来性等を十分に検討し意思決定を行っております。

 

 

 

リスク

8.業績の季節変動(発生可能性:中 影響度:小)

内容

当社グループの学習塾部門では、月々の通常授業に加え、学校の長期休暇を利用した講習会や合宿を実施しており、これらの実施月の売上高は増大いたします。また、塾生数は、期首より月を追うほどに増加し、11月から12月にかけてピークを迎え、卒塾を迎える2月から3月にかけて最も塾生数が少なくなる傾向にあります。一方、教室運営費用(人件費・家賃等)の固定費は毎月継続して発生いたします。そのため、講習会等を実施せず塾生数も少ない第1四半期(4月~6月)の収益性が低くなる傾向にある一方、第2四半期(7月~9月)・第3四半期(10月~12月)は収益性が高くなる傾向にあります。

今後、学校の長期休暇の短縮、長期的な天候不良等により想定した授業が行えない場合は、収益性の悪化を招き当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、学習塾に限らない教育分野を事業領域としております。主力事業である学習塾では、固定費削減等に努めておりますが、進級時の塾生数の減少は避けられず、第2四半期・第3四半期に収益が偏る傾向は続くものと考えております。

 

 

リスク

9.フランチャイズ事業展開(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社グループでは、2025年3月末日現在、「個別指導学院フリーステップ」のフランチャイズ教室を48教室展開しております。フランチャイズ教室は、当社グループと同様のカリキュラム及び教材を使用し、直営教室と同水準の教育サービスを提供しております。

しかしながら、何らかの理由で直営教室と同水準のサービスが提供できない事態が生じた場合は、ブランド価値を毀損し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

フランチャイズ教室の開校地域は当社が指定するとともに、当社グループの理念を共有できる者をフランチャイジーとして選定しております。また、教室運営経験を有するスーパーバイザーが定期的にフランチャイズ教室を巡回し、運営指導や運営指導等の助言を行い、フランチャイズ教室の品質維持に努めております。

 

 

リスク

10.差入保証金等の保全(発生可能性:中 影響度:小)

内容

当社グループの教室等は賃借物件を基本としており、2025年3月末における差入保証金の残高は連結総資産の10.3%を占めております。

また、新たに建物を建設する際に、賃貸人に対して賃借料と相殺して返済を受ける建設協力金を拠出する場合があります。

このため、賃貸人の経営破綻等によって差入保証金等の返済が受けられない場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、可能な限り賃貸人の経営状況等を確認したうえで賃貸借契約を締結しております。また、契約締結後も管轄部署が賃貸人等の状況把握に努めております。

 

 

(3)オペレーションリスク

リスク

11.災害・感染症等の発生(発生可能性:中 影響度:大)

内容

当社グループが事業展開している地域において、大規模な地震等の災害の発生、大規模な感染症等が蔓延した場合は、当社グループの一部又は全部の業務遂行が困難となり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、災害時のマニュアルの制定、防災防犯訓練の実施、保護者への連絡手段の確保等、有事に備えた体制づくりに努めております。

また、オンライン授業の提供、在宅勤務制度の導入等、事業継続のための対策を講じております。

 

 

リスク

12.個人情報の取扱(発生可能性:低 影響度:大)

内容

当社グループは、相当数の塾生等に関わる個人情報を有しております。今後、何らかの原因により当社グループが保有するこれらの情報が外部に流出した場合は、当社グループの信用低下を招き、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

社内規程の制定並びに従業員への啓蒙、データの社外持ち出し制御措置等により、情報漏洩の未然防止を徹底しております。

 

 

リスク

13.情報セキュリティ(発生可能性:低 影響度:大)

内容

当社グループの事業活動において、情報システムへの依存度は年々高まっております。また、近年ではサイバー攻撃やコンピューターウイルス等による被害も増加傾向にあり、その手口も巧妙化しております。今後、サイバー攻撃やその他の要因により深刻なシステム障害が発生した場合は、業務の中断等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

回線や重要なデータの完全二重化により障害発生時にも適時に対応できる体制を構築しております。また、全従業員にサイバー攻撃やコンピューターウイルス感染の未然防止について啓蒙しております。

 

 

リスク

14.安全管理(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社グループでは、安全な学習環境、保育環境の提供に努めております。今後、これらに関する費用が増加した場合や、何らかの事情により当社グループの管理責任が問われる事態が発生した場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、周辺の環境を調査したうえで教室等を開校しており、一部の教室にはスクールバスを導入しております。入退室の保護者への通知、防犯カメラや防犯グッズの配備、防災防犯訓練の実施等により安全な環境を確保しております。また、事故発生時のマニュアルを制定し、万一の事故発生にも対応できる体制を整えております。

 

 

リスク

15.保育施設の許認可(発生可能性:低 影響度:中)

内容

当社の運営する「かいせい保育園」、「かいせいプチ保育園」及び子会社の運営する「アイテラス保育園」は、保育所設置に関する許認可のもとに運営しております。認可保育所は、保育所ごとに許認可権限を持つ行政機関へ保育所設置の申請を行い、審査を経たうえで許認可が付与されます。

今後、何らかの理由によりこれらの許認可が取り消された場合や営業停止となった場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、許認可を継続するための諸条件や関連法令の遵守しており、行政の指導のもとで認可保育所を運営する体制を整えております。

 

 

リスク

16.法的規制(発生可能性:低 影響度:小)

内容

学習塾運営に関連する主な関連法令は、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、消費者契約法、著作権法、個人情報の保護に関する法律等があります。また、保育施設や飲食店舗は、食品衛生法に基づき飲食を提供しております。

今後、何らかの法令違反により処分がなされた場合、訴訟等が提起された場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、全従業員に法令等の遵守の重要性及び必要性について周知、実践するとともに、組織的な予防体制を構築しております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や雇用環境の改善などにより、景気は緩やかな回復を続けているものの、不安定な国際情勢や物価上昇、金融資本市場の変動など、先行きが不透明な状態が続いております。

当業界では、少子化による学齢人口の減少や教育ニーズの多様化により一層競争は厳しさを増しております。また従来の教育サービスのみならず、大学入試制度改革やICTを活用した教育サービスや保育園・学童保育等の保育サービスへの需要の高まり等により経営環境は大きく変化しております。

このような状況の中で、当社グループは事業ドメイン「乳幼児から社会人までの教育および保育を基本とする教育企業」の下、主力の学習塾ブランドである「個別指導学院フリーステップ」に加え、クラス指導の学習塾「開成教育セミナー」、認可保育所「かいせい保育園」、外国人留学生を対象とした「開成アカデミー日本語学校」等を運営し、幅広い教育及び保育ニーズに応え事業展開を行いました。

この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末から609,439千円(6.9%)増加し9,472,503千円、負債合計は、同224,848千円(4.2%)増加し5,613,454千円、純資産合計は、同384,590千円(11.1%)増加し3,859,048千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度における売上高は14,287,096千円(前年同期比9.0%増)、営業利益は778,287千円(前年同期比10.7%増)、経常利益は758,557千円(前年同期比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は461,479千円(前年同期比6.4%増)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

教育関連事業

グループ在籍者数について

部門

2023年11月末

2024年11月末

増減率

個別指導部門

18,441人

19,739人

+7.0%

クラス指導部門

6,429人

6,412人

△0.3%

保育部門

741人

745人

+0.5%

その他の指導部門

415人

542人

+30.6%

合計

26,026人

27,438人

+5.4%

 

(注1)当社グループにおいて例年ピークを迎える11月末時点の在籍者数を記載しております。

(注2)グループ在籍者数は、当社グループが運営する学習塾等に通う者に限り、フランチャイズ教室に通う者は含んでおりません。

 

個別指導部門では、主力ブランド「個別指導学院フリーステップ」の強みである「点数アップと大学受験に強いフリーステップ」の継続的なアピール、塾生募集のWEB広告の強化等により塾生数は増加いたしました。その他の指導部門は、日本語学校の新入生受入が好調だったことにより、学生数は増加いたしました。

 

 

教室展開について

部門

前期末

増加

減少

当期末

個別指導部門

228

6

4

230

クラス指導部門

72

2

4

70

保育部門

17

17

その他の指導部門

5

5

直営教場数

275

7

5

277

フランチャイズ教室数

55

3

8

50

 

(注)複数の部門を開講している教室があるため、各部門の合計と直営教場数は一致いたしません。

 

直営教室は、新規開校した4教室(東京都2、神奈川県2)、直営化した1教室(大阪府)、子会社化した一会塾2教室(東京都1、神奈川県1)が増加し、閉鎖した2教室(大阪府1、兵庫県1)、移転統合した2教室(大阪府2)、フランチャイズ化した1教室(京都府)が減少いたしました。これにより、期末における直営教室数は277教室となりました。

フランチャイズ教室は、新規開校した2教室(大阪府1、徳島県1)、前述のフランチャイズ化した1教室が増加し、閉鎖した1教室(徳島県)、前述の直営化した1教室、幼稚園6園(ベトナム)の閉園により、期末におけるフランチャイズ教室数は50教室となりました。

 

損益について

個別指導部門では、塾生数の増加、物価上昇に伴う授業料の改定等により、クラス指導部門では、連結子会社化した株式会社一会塾が寄与したことにより、学習塾部門の売上高は増加いたしました。保育部門では、公定価格改定に伴う給付金の増加、運営費補助金の増加等により、売上高は増加いたしました。その他の指導部門では、日本語学校の新入生受入が好調に推移したこと等により、売上高は増加いたしました。

費用面では、従業員の処遇改善等による人件費の増加、塾生募集のためWEB広告等を積極的に行ったことによる広告宣伝費の増加、教室数の増加や教室の増床に伴う家賃の増加、株式会社一会塾の連結子会社化に伴う費用の発生等により、費用は増加いたしました。

この結果、売上高は14,177,918千円(前年同期比9.1%増)、売上高の伸びで費用を吸収したことにより、セグメント利益(営業利益)は810,629千円(前年同期比9.0%増)となりました。

 

不動産賃貸事業

所有不動産の余剰スペース(賃貸スペース)及びテナントの入居状況に大きな変動はなく、売上高は41,737千円(前年同期比3.4%増)、前期の一過性費用(修繕費用)が減少し、セグメント利益(営業利益)は24,487千円(前年同期比10.2%増)となりました。

 

飲食事業

ランチ、ディナーともに来客者数が堅調に推移したこと、客単価が向上したこと等により、売上高は67,440千円(前年同期比7.7%増)、人件費の増加、食材価格の高騰等を受けたものの、前期の一過性費用(大規模修繕)が減少したことにより、セグメント損失(営業損失)は3,900千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)9,863千円)と改善いたしました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,167,403千円となり、前連結会計年度末に比べ510,852千円増加いたしました。 
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,012,824千円(前連結会計年度比25,858千円の収入減)となりました。これは主に法人税等の支払額238,714千円を計上した一方、税金等調整前当期純利益661,417千円、減価償却費375,725千円、未払金の増加額142,171千円をそれぞれ計上したこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、338,631千円(前連結会計年度比200,361千円の支出減)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入345,142千円を計上した一方、有形固定資産の取得による支出480,610千円を計上したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、166,088千円(前連結会計年度比61,823千円の支出減)となりました。これは主に長期借入れによる収入1,008,000千円を計上した一方、長期借入金の返済による支出1,065,743千円、配当金の支払額102,543千円を計上したこと等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは塾生に対して学習指導を行うことを主たる業務としておりますので、該当事項はありません。

 

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前連結会計年度比(%)

教育関連事業

699,849

107.6

不動産賃貸事業

飲食事業

25,133

106.6

合計

724,983

107.6

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 金額は、仕入価格によっております。

 

c.受注実績

当社グループは塾生に対して学習指導を行うことを主たる業務としておりますので、該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前連結会計年度比(%)

教育関連事業

14,177,918

109.1

不動産賃貸事業

41,737

103.4

飲食事業

67,440

107.7

合計

14,287,096

109.0

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の販売総実績に対する割合については、相手先が塾生及び不特定多数の一般顧客へのものが全体の100分の90以上を占めており、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの事業セグメントは、教育関連事業、不動産賃貸事業、飲食事業で構成しております。なかでも、教育関連事業は、当連結会計年度における連結売上高の99.2を占める事業セグメントとなっております。

 

a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度より1,184,692千円(9.0%)増加し、14,287,096千円となりました。売上高の内訳の詳細については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度より857,628千円(8.3%)増加し、11,157,104千円となりました。これは主として従業員の処遇改善等により人件費が前連結会計年度比682,274千円(10.2%)増の7,384,783千円となったことによるものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より251,727千円(12.0%)増加し、2,351,704千円となりました。これは主として塾生募集のためWEB広告等を積極的に行ったことにより広告宣伝費が前連結会計年度比173,037千円(23.3%)増の915,865千円、従業員の処遇改善等により人件費が同77,354千円(15.9%)増の562,663千円となったことによるものであります。

 

(営業外収益、営業外費用)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度より17,956千円(48.0%)減少し、19,428千円となりました。これは主として前連結会計年度に為替差益13,338千円を計上したことによるものであります。

また、営業外費用は、前連結会計年度より9,948千円(34.1%)増加し、39,158千円となりました。これは主として為替差損3,240千円を計上したことによるものであります。

 

(特別利益、特別損失)

当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度より3,497千円(56.7%)減少し、2,675千円となりました。これは主として前連結会計年度に受取和解金2,400千円を計上したことによるものであります。

また、特別損失は、前連結会計年度より35,193千円(54.5%)増加し、99,815千円となりました。これは主として為替換算調整勘定取崩損22,319千円を計上したことによるものであります。

 

b.財政状態の分析

(流動資産)

流動資産は、前連結会計年度末から329,223千円(9.4%)増加し、3,848,057千円となりました。これは主として現金及び預金が前連結会計年度に比べ180,995千円、営業未収入金及び契約資産が同120,343千円増加したことによります。

 

(固定資産)

固定資産は、前連結会計年度末から280,216千円(5.2%)増加し、5,624,445千円となりました。これは主としてのれんが前連結会計年度に比べ138,426千円、建物及び構築物(純額)が同59,737千円、差入保証金が同45,431千円、リース資産(純額)が同14,518千円増加したことによります。

 

(流動負債)

流動負債は、前連結会計年度末から89,975千円(2.7%)増加し、3,478,552千円となりました。これは主としてその他に含まれる未払人件費が前連結会計年度に比べ121,992千円、未払金が同98,324千円増加し、1年内返済予定の長期借入金が前連結会計年度に比べ120,924千円減少したことによります。

 

 

(固定負債)

固定負債は、前連結会計年度末から134,873千円(6.7%)増加し、2,134,901千円となりました。これは主として長期借入金が前連結会計年度に比べ86,667千円、資産除去債務が同33,286千円、リース債務が同14,006千円増加したことによります。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末から384,590千円(11.1%)増加し、3,859,048千円となりました。これは主として利益剰余金が前連結会計年度に比べ358,843千円、為替換算調整勘定が同25,746千円増加したことによります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。

当社グループの資金需要は、教室運営等に係る運転資金、教室開校等に係る設備投資資金であります。短期運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本とし、長期運転資金及び設備投資資金の調達は金融機関からの長期借入を基本としております。当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を含む)の残高は2,342,174千円、現金及び現金同等物の残高は2,167,403千円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストが含まれますが、これらの条件は長期的な見積りに基づくため、経営環境や市場環境の変化により、回収可能性を著しく低下させる変化が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、将来の課税所得が十分に確保できること及び回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討しておりますが、繰延税金資産の一部又は全部を回収できないと判断した場合、繰延税金資産を減額し、調整額を費用として計上する可能性があります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。