第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、地球資源の有効活用や環境保全に目を向け、それら資源の再生技術を柱としております。環境保全意識の高まりや希少資源の重要性の高まりなど、資源のリサイクルに対する経済的、社会的重要性はますます増していくものと捉えており、当社グループの担うべき役割もさらに重要なものになっていくと考えております。

当社グループでは長期ビジョンである「新たな挑戦を通じて資源循環社会の実現に貢献できるNo.1企業になる」を実現するため、既存事業の成長と新規事業の創造に取り組んでおります。「市場創造型企業」として、独自の技術で新たな製品・サービスを開発するとともに、社是である「豊かな創造性を発揮し、社会貢献を果たす」の実現を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 経営戦略等

①事業戦略

当社グループは、持続的な成長を果たすべく、最優先で取り組むべき事項を選択し、経営資源を集中させております。既存事業では主要取引先である電子部品・デバイスメーカーとのリレーション強化に努めるとともに、いち早く市場ニーズに応えるべく、技術開発を含めた既存工程の改善に努め、更なる収益力の強化に取り組んでおります。新規事業であるリチウムイオン電池(LiB)再生事業では世界中で需要の高まりが見込まれている車載用リチウムイオン電池のリサイクルを実現すべく、独自技術の開発及び電池メーカーとの提携を実施し、量産工場の稼働開始に向け注力しております。持続的な成長を果たすべく、既存事業での裾野拡大、新規事業であるLiB再生事業の早期収益化に注力し、企業価値向上に努めてまいります。

②財務戦略

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、資本の効率的な運用と高い収益性を追求するために、資本コストや株価を意識した経営の実現に取り組んでおります。

 当社の株主資本コストは7~8%と試算しており、当社グループは、株主資本コストを上回るROEおよびROICの継続的に達成することを重要な指標としております。2025年9月期は、LiB再生事業の研究開発や事業開始に向けた成長投資により株主資本コストを下回る水準となりましたが、同事業による収益が安定化していくことで、段階的にROEおよびROICは向上し、株主資本コストを継続的に上回ると見込んでおります。

 

(3) 経営環境

当社グループにおきましては、主に都市鉱山として貴金属を多く使用する電子部品やデバイス工業の部品からの貴金属回収を行っていることから、電子部品・デバイス工業の業界における生産動向や貴金属相場の変動による影響を受けます。

当社グループの主要取引先である電子部品・デバイスメーカーにおいては、スマートフォンやパソコン向けの生産は低調に推移しております。一方で、自動車関連部品や生成AI関連投資の分野における需要の拡大により生産量の増加が見込まれております。また、スマートフォンをはじめとした移動体通信機器についても今後緩やかに需要が回復し、生産量も徐々に回復していくと見込んでおります。

主要製品のうち、金の価格は米国による関税強化への不安感や紛争に伴う安全資産としての需要の高まりにより、ドル建て価格は過去最高値を更新する高い水準で推移し、円建て価格においても引き続き高水準で推移することが見込まれています。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①事業上の課題

当社グループは、持続的な成長に向けた事業構造転換に取り組んでおります。

当社グループの主要なお客様は、電子部品・デバイス工業分野に属しており、同分野の生産は、世界経済の変動によって大きくかつ急激に変動する傾向にあります。また、製品では金を中心とした貴金属及び銅の比率が高く、世界各国の財政政策の動向によって、短期間に価格が大きく変動する可能性があります。

このように、当社グループの事業は、電子部品・デバイス工業分野の生産と、貴金属及び銅相場の変動の影響を受けやすい状態にあり、持続的かつ安定的な成長を図るためには、これらの影響を受けにくい事業を創出し続けることによって、事業構造の転換を図り、影響度を相対的に引き下げていく必要があります。

②財務上の課題

当社グループが金融機関と締結しているローン契約には、財務制限条項やその他の誓約事項が規定されている場合があります。当社の経営成績、財政状態が悪化することにより、いずれかの財務制限条項等に抵触した場合には、これらの条項に基づき金融機関から既存借入金の一括返済、金利及び手数料率の引上げ、担保権の設定等を要求される可能性があります。

以上のことから、当社グループとして重要課題と捉えているものには、次のものが挙げられます。

・研究開発体制の強化

新規事業創出のための研究開発に人的リソースを集中し、研究開発力の強化と開発期間の短縮を図る

・会社を支える人材の活性化

事業環境や社会情勢が大きく変化する中で、イノベーションを牽引する人材の採用・育成・評価・登用に取り組む

・新規事業であるLiB再生事業の早期収益化

LiB再生事業に対しての調達資金を基に、いわき工場への生産設備の導入を進めることで早期収益化を実現する

・既存事業の収益力向上

  当社の技術力を活かした独自性のある商品提供による取引市場の拡大、製造工程の効率化によるコスト低減等を

通じて収益力の向上を図る

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、「豊かな創造性を発揮し、社会貢献を果たす」を社是として掲げ、人と地球の健全な未来のために、創業当時より培ってきた再生技術を活かして都市鉱山から貴金属やレアメタルなどの有価金属の回収・資源化を行っております。資源循環モデルの確立に努め、地球環境に配慮した事業活動を通して資源循環型社会の実現に貢献しております。サステナビリティに係る重要事項については、執行役員や各本部長等によって構成される経営委員会で協議し、その後、取締役会において社外取締役や監査等委員の知見を活かし、経営方針に反映させております。また、当社グループが提供するサービス及び製品の品質を保証すると同時に、環境保護活動の一環としてISO9001、ISO14001の認証取得・維持に努めております。

当社グループのガバナンス体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」も合わせてご参照ください。

 

(2)戦略

①地球環境保全への取組方針

当社グループは、再生技術を活かした事業活動を通じて、資源の有効活用と環境負荷の低減を図り、持続可能な資源循環型社会の実現を目指しております。世界的な課題となっている資源の枯渇に真摯に向き合い、限りある資源の再利用を促進してまいります。

2019年からは、リチウムイオン電池(LiB)再生事業に参入し、研究開発・事業化を進めております。廃棄されたLiBに含まれるレアメタルを再生し、再び材料として安定的に供給する資源循環モデルを構築することで、レアメタルの鉱山開発、原料の安定調達、廃棄品の処分といったサプライチェーンにおける世界的な課題の解決を目指します。LiBの安定的な生産活動を下支えし、再生可能エネルギーの普及を通じた温室効果ガスの削減に貢献してまいります。

 

②人的資本経営への取組方針

 当社グループは、中・長期的な発展のためには、人的資本経営に取り組み、社員の能力や働きがいを向上させることが重要であると捉え、すべての社員が働きがいを感じ、健康で安心して活躍できる職場環境・組織風土の実現を目指しております。社員一人ひとりが備える能力、経歴、専門知識・技能などの強みを最大限発揮でき、自身の働きに誇りを持てるよう、新入社員から管理職、役員を対象に様々な研修プログラムを提供しております。

事業運営においては、安全衛生を最優先事項として捉えております。事業責任者や管理部門責任者が安全衛生上改善すべき点がないか工場内を巡視し、労働災害の発生を未然に防止するとともに、健康診断や人間ドッグの受診を通じた従業員の健康管理を実施しております。安全衛生への配慮と同時に、ワークライフバランスの充実に向けた取組も継続的に推進しております。有給休暇の計画的な取得の推奨、育児に伴う休暇取得制度の導入など、各従業員の事情に応じた働き方が選択できる環境整備に取り組んでいます。

 

 

(3)リスク管理

当社グループがリスクとして認識している事項は、「3 事業等のリスク」に記載した通りです。サステナビリティに係るリスクとしては、地震、台風、洪水などの自然災害や予期せぬ事故などによる災害への対策、環境汚染の防止などを重要課題と認識しております。

また、自然災害や事故災害、環境汚染に関するリスクについては、危機管理委員会を設置してリスクの分析を行い、想定されるリスクごとに担当部署へ改善指示を出すなどの対応を取り、取締役会に報告しております。

その他のリスクについては、執行役員や各本部長によって構成される経営会議でリスクの洗い出しと分析を行い、対策案を取締役会で審議したうえで、事業計画に反映させております。取締役会においては、社外取締役や監査等委員を含む全員による活発な議論を経て、企業戦略やサステナビリティへの取組などの会社の方針を決定し、リスクの低減に努めております。
 

(4)指標及び目標

①気候変動対応

当社グループは、気候変動の指標をScope1及びScope2において温室効果ガス排出量を算定し、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて温室効果ガスの削減に取り組んでまいります。当連結会計年度はグリーン電力への移行が進んだこと等の要因で温室効果ガスの排出量が減少しております。

今後、いわき工場でLiB再生事業が開始されることで、当社グループ全体での温室効果ガスの排出量は増加する見込みとなっておりますが、今後の動向を踏まえて工場および事業所ごとに削減目標値を設定してまいります。

 

〇温室効果ガス排出量

 

2023年9月期 (t-CO₂)

2024年9月期 (t-CO₂)

2025年9月期 (t-CO₂)

Scope1

(単体)419

(連結)1,005

(単体)435

(連結)1,093

(単体)403

(連結)1,040

Scope2

(単体)1,720

(連結)1,986

(単体)1,647

(連結)1,927

(単体)1,488

(連結)1,770

Scope1+2

(単体)2,140

(連結)2,991

(単体)2,083

(連結)3,020

(単体)1,891

(連結)2,809

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、ガソリン)

 Scope2:他社から供給された電力の使用に伴う間接排出

 

②人的資本経営・多様な働き方の推進

人的資本の現状及び人的資本経営への取組については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」や上記「(2)戦略 ②人的資本経営への取組方針」に記載した通りです。ワークライフバランスの実現により働きやすさを向上させるために、以下の指標について目標を設定しております。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

男性労働者の育児休業等取得率

(直近5事業年度平均)

50以上の維持

100

(注) 1.「男性労働者の育児休業等取得率」は連結グループにおける記載が困難であるため、当社単体での実績と目標

     を記載しております。

2.「男性労働者」は役員と人材派遣社員、社外から当社への出向者は除き、正社員、契約社員、嘱託社員を対象

  としております。

3.育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年

   法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施

  行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算定したうえで平均

  としております。

4.当社においては、該当者がいない事業年度もあることから、取得率は当事業年度を含む直近5年分のデータを

  使用しております。

 

3【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上、様々なリスク要因があります。それら想定されるリスクに対し、事前に軽減する、回避する、ヘッジする等、現実的に可能な範囲での施策を検討実施しておりますが、全てのリスク要因を排除することは不可能であり、想定外の事態、あるいは影響を軽減できない事態が発生した場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、これらリスク要因は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断する主要なものであり、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。

(1) 事業環境の変動

当社グループの主たる事業は、電子部品の製造工程から発生する有価金属を回収する貴金属事業と、エッチング廃液を再生し、銅を回収する環境事業の二つですが、それぞれ主要なお客様が属する業界の需給変動幅が大きいため、その動向により、当社グループの業績は大きく影響を受ける可能性があります。貴金属事業においては電子部品・デバイス業界のお客様、環境事業においてはプリント基板業界のお客様が多く、景気変動や各業界の需給状況等、これら業界の動向に影響を与える事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、貴金属事業に係る仕入について、特定の取引先からの仕入の割合が高い状況が続いております。貴金属価格の高騰や、リサイクル需要の高まりなどから、業者間競争が激化するとともに、お客様からのコストダウン要求も厳しくなってきております。競争激化に伴うお客様の他社への乗換え、利益率の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、当社グループでは、既存のお客様との取引維持を図るとともに、これまで培ってきた独自の技術力を武器に積極的な営業活動を実施し、新規取引先の獲得に注力することで、主要なお客様に対する依存度を相対的に低減するよう努めております。また、LiB再生事業をはじめとした新規事業の創出により、収益基盤の多角化を図り、特定のお客様に対する依存度を相対的に低減するよう努めております。

(2) 金属相場の変動

当社グループの主力製品である貴金属及び銅加工品等は、金属が取引される市場の相場の影響を受けており、その価格は、供給国及び需要国の政治経済動向、為替相場等、世界の様々な要因により変動しております。変動要因の内容によっては貴金属及び銅相場が著しく変動することもあり、その場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、当社グループでは、貴金属の仕入を行うタイミングと同時に、販売先と販売価格を約定する「先渡取引」を利用しており、仕入から販売までの価格変動リスクの低減を図っております。また、加工賃取引など、金属相場変動の影響を受けない収益源の確保にも努めております。

(3) 財務・資金に関するリスク

当社グループの2025年9月末日時点の有利子負債(5,621,357千円)の総資産に対する依存度は40.72%と高い状況にあり、現行の金利水準が大幅に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、当社グループでは、長期借入金に関しては原則固定金利での借入とし、変動金利の場合も金利スワップ等のヘッジ取引活用等により金利の固定化を行い、金利変動リスクの低減に努めております。なお、2024年12月に契約を締結した金融機関からの60億円の長期借入金についても、金利スワップによる金利の固定化を実施しております。

また、当社グループの借入金の一部には財務制限条項が付されており、純資産及び経常利益が一定金額以上であることを求められております。万一、当社の業績が悪化し、当該財務制限条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、一括返済を求められることとなり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、財務制限条項に抵触する可能性がある場合には、早期に財務状況の改善を図るとともに、当該借入金について金融機関と即座に協議を行うことができるよう、良好な関係を維持しております。

 

(4) 法令規制等

当社事業は化学薬品等を数多く使用するため、化学物質排出把握管理促進法や水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、毒物及び劇物取締法などの法令等を遵守する必要があります。これらの法令基準の強化がなされることで、当社グループの設備投資等の追加的負担が求められる可能性があります。

責任ある原料調達に関しては、規制の強化、サプライヤーの対応不備等により、原料の調達ができなくなった場合には、製品販売量が減少する可能性があります。

これらの事象が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、当社グループでは、役職員への教育及び研修等の機会を必要に応じて設定し、啓発を行うとともに、紛争鉱物等の不使用に対応した認証取得を実施しております。また、担当部署において遵守すべき法令に関する情報をタイムリーに取得し、改正があった際は速やかに関係部署に情報共有を行う体制を整えることで、発生リスクの低減に努めております。

 

(5) 毒物や劇物の取扱い

当社グループは、毒物や劇物を使用しておりますが、酸廃液及びアルカリ廃液を中和するなど、環境に配慮した適切な処理をしております。しかしながら、工場及び運搬車両の事故等により、これらの管理に何らかの問題が生じ、事故が発生した場合には、従業員及び事故現場周辺地域に被害が生じる可能性があるほか、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、当社グループでは、設備の定期点検や老朽化した建物等に対する修繕、防災訓練の実施、業務マニュアルの徹底しております。災害を未然に防止するとともに被害を最小限に抑え速やかに事業復旧が行えるよう備えており、事業継続力強化計画認定制度において、経済産業大臣の認定を取得しております。

(6) 災害の発生

当社グループは、生産拠点が福島県郡山市に集中しているため、地震、台風、洪水などの自然災害や、水素やチタン等の可燃性の元素による爆発や火災など、予期せぬ事故による災害などにより、事業運営を継続することが困難な状況が発生する可能性があります。また、建物等において老朽化が進んでいるものもあるため、特に地震などの自然災害により事業運営に支障をきたす事態が発生する可能性があります。災害による被害を完全に回避することは不可能であり、被害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、当社グループでは、設備の定期点検や老朽化した建物等に対する修繕、防災訓練の実施を通じて、災害防止や被害を最小限に抑える、被災時の速やかな事業復旧が行えるよう備えており、事業継続力強化計画認定制度において、経済産業大臣の認定を取得しております。

(7) 新規事業投資

当社グループは、中長期的に持続的な成長を果たすため、事業ポートフォリオの再構築に取り組んでおり、新規事業の立ち上げに対して積極的に経営資源を投入しております。新規事業には不確定な要因が多く、研究開発において目標を達成できない場合や、事業計画を予定通り達成できない場合には、先行投資分を回収できず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、計画構想段階より経営企画部を中心として関連部門間の情報交換を活発に行っており、綿密な戦略策定、効率的なスケジュール管理、専門知識・技術の継続的習得により、成功確率の向上に努めております。

(8) システム障害

当社グループの業務は、ITシステムに大きく依存しております。何らかの事由によりシステムが利用不可能となった場合には、業務に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、ファイアウォールの設置、ウイルス対策、予備機器の準備、定期的なデータのバックアップ等の対策を講じ、発生リスクの低減に努めております。

(9) 固定資産の評価

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。当該会計基準では、それぞれの固定資産について回収可能額を測定し、回収可能額が帳簿価額を下回る場合、その差額を減損損失として認識することとされており、資産価値が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、経営委員会において、事業毎の収益性を把握し、収益力の維持向上を図るとともに、業績悪化の兆候が見られる場合には、適時適切な対策が打てるような体制を構築しております。

(10) 人材の確保

労働人口が減少する中で、今後、優秀な人材の確保がより困難になると考えております。雇用環境が急速に変化していく中で、優秀な人材の確保ができない場合には、長期的な視点では当社グループの成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

このような状況に対処するため、当社グループでは、新卒者に限らず、経験者の採用を積極的に展開するとともに、教育研修制度の充実や、OJTを通じた経験学習を効果的に循環させる等、人材の育成に注力しております。また、従業員意識調査を定期的に実施し、職場環境の課題抽出及び改善を継続して行っていくことで、離職率の低減を図っております。

(11)感染症の拡大による影響

当社グループは、新型コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症が拡大した場合、サプライチェーンの分断や取引先の生産活動の自粛等のマイナス影響を受ける可能性があります。また、当社グループにおける感染者の発生等により、一時的に操業を停止する等、当社グループの経営、財務状況に影響を与える可能性があります。当社グループでは感染予防や感染拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、各国の通商政策等の影響や物価上昇の影響による消費者マインドの弱さがみられましたが、雇用や所得環境の緩やかな改善に伴う個人消費の増加基調及び企業収益の改善により、緩やかに回復しました。

当社グループにおいては、主要製品である貴金属のうち、金はロシアによるウクライナ侵攻や中東情勢の緊張に伴う安全資産としての需要の高まり、米ドルの信認低下による代替資産としての需要の高まりにより、ドル建て価格は過去最高値を更新する高い水準で推移し、円建て価格も前期を上回りました。銅の価格は、生産国からの供給不安等の要因で需要が高まり、ドル建て価格は高い水準で推移し、円建て価格も前期を上回りました。

このような事業環境の中、既存事業では、回収した貴金属をお客様のニーズに沿った材料に加工して返却する等、当社の技術力を活かした多様なビジネススキームの提案により、新規顧客の獲得や既存顧客の維持・拡大に努めました。また、製造工程の効率化によるコスト低減を強みとした収益力向上にも注力しました。

新規事業では、リチウムイオン電池(以下、LiB:Lithium-ion Battery)再生事業の開始に向け、研究開発及び電池メーカーとの事業スキーム確立に向けた協業に注力しました。CO₂排出量の削減とレアメタルの高回収率を両立するプロセスを構築し、プロセスの安定化及び生産効率の向上を目的とした研究開発を進めるとともに、当社いわき工場への生産設備の導入を並行して進めました。なお、生産効率の大幅な向上及び安定的な生産体制の確立を目的に2025年5月に本事業への設備投資額を25億円増額し、総額95億円とすることを意思決定しております。事業スキームについては、電池メーカーの工場から排出される工程廃材の一部について、当社がリサイクル業務を受託する覚書(MOU)に基づき、ビジネスモデルの確立に向けた対応を継続しました。本事業は2028年4月の当社いわき工場での量産稼働開始に向けて順調に進捗しております。

当連結会計年度の連結業績は売上高8,685,989千円(対前期9.0%増)、営業利益492,944千円(同67.9%増)、経常利益428,742千円(同60.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益300,240千円(同19.2%減)でした。電子部品の需要低下に伴う取引先の減産基調が継続するも、金の相場上昇等により前期比較で売上高は増収となり営業利益と経常利益は増益となりました。一方で前期に補助金収入による特別利益の計上があったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となっております。

 

各セグメントの経営成績は、次のとおりです。なお、売上高については、セグメント間取引の消去前の数値であり、セグメント利益については、セグメント間取引の消去後の数値であります。また、間接部門の経費負担には、LiB再生事業における研究開発費用を含んでおります。

 

(貴金属事業)

主要製品の金の価格が前期を上回ったことで、売上高は7,267,727千円(対前期11.3%増)、セグメント利益は301,947千円(同111.9%増)の増収増益となりました。

 

(環境事業)

主要製品である銅の生産数量が減少したことで、売上高は1,202,378千円(同0.2%減)、セグメント利益は71,052千円(同5.1%減)の減収減益となりました。

 

 

(システム事業)

主力製品である品質管理システムの販売において前期に大型案件があった反動により、売上高は196,144千円(同9.5%減)、セグメント利益は16,379千円(同4.9%減)の減収減益となりました。

 

(その他)

その他に含まれる運輸事業等は、連結グループ内の取引額の増加により、売上高は347,522千円(同2.3%増)、セグメント利益は39,362千円(同21.6%増)の増収増益となりました。

 

②財政状態の状況

(資産の部)

前連結会計年度末に比べて5,262,673千円増加し、13,806,370千円となりました。

主な要因は、現金及び預金が2,632,975千円、受取手形及び売掛金が112,263千円、棚卸資産が1,351,081千円、その他(流動資産)が106,224千円、機械装置及び運搬具(純額)133,225千円、建設仮勘定が991,568千円増加し、その他(投資その他の資産)が144,760千円減少したことです。

(負債の部)

前連結会計年度末に比べて4,986,616千円増加し、8,880,622千円となりました。

主な要因は、借入金が3,697,719千円、借入金地金が1,245,829千円増加したことです。

(純資産の部)

前連結会計年度末に比べて276,056千円増加し、4,925,747千円となりました。

主な要因は、利益剰余金が260,119千円、自己株式処分により自己株式が12,875千円増加したことです。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ3,160,566千円増加し、4,050,929千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、409,988千円の収入となりました(前期は799,943千円の収入)。

この主な内訳は、税金等調整前当期純利益が380,183千円、減価償却費が343,186千円、売上債権の増加額が107,640千円、棚卸資産の増加額が1,351,081千円、借入金地金の増加額が1,245,829千円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、801,169千円の支出となりました(前期は254,556千円の支出)。

この主な内訳は、定期預金の払戻による収入が527,591千円、有形固定資産の取得による支出が1,541,093千円、保険積立金の解約による収入が218,124千円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、3,551,265千円の収入となりました(前期は785,432千円の支出)。

この主な内訳は、長期借入金の返済による支出が202,280千円、長期借入れによる収入が3,900,000千円です。

 

 

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりです。

 

2023年9月期

2024年9月期

2025年9月期

自己資本比率(%)

50.4

54.0

35.4

時価ベースの自己資本比率(%)

74.7

53.2

46.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

3.8

2.4

13.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

45.3

37.7

6.8

(注)  自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年10月1日

至  2025年9月30日)

前年同期比(%)

貴金属事業(千円)

7,651,529

109.2

環境事業(千円)

1,079,674

100.3

システム事業(千円)

196,144

90.5

報告セグメント計(千円)

8,927,348

107.6

その他(千円)

20,239

123.0

合計(千円)

8,947,588

107.6

(注)金額は販売価格により、セグメント間の取引は含んでおりません。

 

b.受注実績

貴金属事業、環境事業ともに回収量に応じて生産しているため該当事項はありません。システム事業においては、受注生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

システム事業

233,475

133.9

109,228

162.6

(注)セグメント間の取引は含んでおりません。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2024年10月1日

至  2025年9月30日)

前年同期比(%)

貴金属事業(千円)

7,267,727

111.3

環境事業(千円)

1,201,876

99.8

システム事業(千円)

196,144

90.5

報告セグメント計(千円)

8,665,749

109.0

その他(千円)

20,239

123.0

合計(千円)

8,685,989

109.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2023年10月1日

至  2024年9月30日)

当連結会計年度

(自  2024年10月1日

至  2025年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ローム・アポロ株式会社

326,449

4.1

1,873,799

21.6

JX金属サーキュラー

ソリューションズ株式会社

1,089,658

13.7

1,085,876

12.5

住商マテリアル株式会社

1,492,092

18.7

949,269

10.9

三菱商事RtMジャパン株式会社

1,309,126

16.4

731,629

8.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の連結業績は売上高8,685,989千円(対前期9.0%増)、営業利益492,944千円(同67.9%増)、経常利益428,742千円(同60.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益300,240千円(同19.2%減)でした。電子部品の需要低下に伴う取引先の減産基調が継続するも、金の相場上昇等により前期比較で売上高は増収となり営業利益と経常利益は増益となりました。一方で前期に補助金収入による特別利益の計上があったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となっております。

また、セグメント別の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要  ①経営成績の状況」に記載のとおりです。

経営成績に重要な影響を与える要因として、当社グループは貴金属、非鉄金属を主な製品として取り扱っているため、金属相場及び為替相場による影響を受ける可能性があります。また、当社の取引先の多くは電子部品・デバイス工業分野に属しており、この分野の景況の変化に伴い、当社の業績も連動する可能性があります。

その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要  ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、貴金属事業における材料仕入資金並びに製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、主に研究開発投資及び設備投資によるものです。

当社グループの事業運営上で必要な資金の確保は、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを中心としつつ、資金使途を踏まえ、調達する時点で最も効率的かつ安定的と判断される方法により資金調達を行っていく方針です。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1) 連結財務諸表  注記事項  (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、この連結財務諸表の作成に当たって、見積りが必要となる事項については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

 

5【重要な契約等】

当社は、財務上の特約が付されたシンジケート・ローン契約を締結しております。

契約に関する内容等は、以下の通りであります。なお、2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、

「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」

附則第3条第4項により記載を省略しております。

 

シンジケート・ローン契約の概要

(1)組織金額

60億円

(2)契約締結日

2024年12月3日

(3)借入実行日

1回目:2024年12月6日(18億円実行)

2回目:2025年5月30日(21億円実行)

3回目:2025年11月28日(21億円実行)

(4)返済期日

2035年8月31日(期日までに分割返済)

(5)担保

(6)参加金融機関

株式会社日本政策投資銀行、株式会社常陽銀行、株式会社東邦銀行

(7)財務制限条項

①各年度の決算期の末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額を2024年9月期末または前年度決算期末における連結貸借対照表の純資産の部の金額のいずれか大きい方の75%を維持すること。

②年度決算期末における連結損益計算書の経常損益の額が2期連続損失とならないこと。

 

6【研究開発活動】

(1)研究開発活動の方針

当社グループは、多様化、高度化する顧客ニーズを発掘し、それに応える技術・製品を研究開発し、提供することを基本方針としております。さらに、独自の技術によって、市場そのものを開拓する「市場創造型の開発」に取り組んでおります。この目的達成のため、

1.顧客(市場)ニーズに合致した製品の開発

2.高品質製品の開発

3.高付加価値製品・サービスの開発

を主眼としております。

(2)研究開発活動の体制

当社グループの研究開発活動は、新技術・新製品の開発と既存製品の改良・改善及び応用があります。これらの活動は、開発部が主導しております。また、必要に応じ、組織の有機的活動を強化するため、プロジェクトチームを編成し、開発活動を促進しております。

新製品に関しましては、開発した技術を効率良く、確実に量産化するために、製造本部との連携で事業化を図っております。

(3)研究開発活動の内容及び研究開発費

研究開発活動の内容に関しては、これまで蓄積した当社グループのコア技術である金属・無機薬品のリサイクル技術をさらに進化させる活動や、新たに市場を開拓するために必要な技術の研究開発、新しく事業化した分野のテーマについても推進しております。当社グループが中長期的な視点で重要だと考えている具体的なテーマは次のとおりであります。

 

・レアメタルなど希少で価値の高い元素の分離精製技術の研究開発

・貴金属・レアメタルの高純度化に関する研究開発

・リチウムイオン電池を解体し、レアメタルを回収する方法の研究開発

 

当連結会計年度において特に重点的に行った研究開発活動は次のとおりであります。

 

(その他特定の事業に区分できない研究)

・レアメタルを含んだ廃棄物からの効率的な分離精製技術に関するもの

・レアメタルの加工技術に関するもの

・レアメタルの高純度化に関するもの

・レアメタルの回収率向上に関するもの

 

なお 、当連結会計年度における研究開発費は、特定の事業に区分できない新規事業の研究に対するものであり、グループ合計では710,340千円であります。