第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における我が国経済は、企業業績や雇用環境の改善が見られ、景気は緩やかな回復傾向にありました。一方で、円高による国内景気の先行き懸念や中国の景気減速及び原油安の影響が世界的に波及する懸念があり、先行きの不透明な状況は続いております。

 また、医薬品業界におきましては、薬価基準の引き下げや後発品の普及促進などの薬剤費削減策の強化、主力製品の特許切れ問題及び世界的な新薬の承認審査の厳格化などにより、医薬品開発の競争はますます激化しております。

 当社グループが属する医薬品開発業務受託(CRO;Contract Research Organization)業界及び医薬品販売支援(CSO;Contract Sales Organization)業界は、医薬品開発・販売のアウトソーシング化及び国際共同治験(注)の増加を背景として、市場規模は緩やかに拡大しております。

 このような環境の下、当連結会計年度の業績は、売上高は7,666百万円(前年同期比57.4%増)、経常利益は1,985百万円(同136.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,330百万円(同204.5%増)と増収増益となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

①CRO事業

  当社グループのCRO事業につきましては、日本、アジア、米国、欧州におけるグローバル受託体制の構築を強力に推進したことにより、国内案件、海外案件及び国際共同治験のいずれも受注が好調を維持したため、日本の業績好調に加えて、海外子会社の大幅な赤字額の縮小及び黒字化を達成し、売上及び利益が大幅に増加しました。これにより、売上高は7,113百万円(前年同期比57.8%増)、営業利益は2,742百万円(前年同期比100.5%増)となりました。

②育薬事業

  当社グループの育薬事業につきましては、新薬販売後の臨床研究を中心とした案件の受託により人員の稼働率が上昇した結果、売上及び利益に貢献することとなりました。この結果、売上高は553百万円(前年同期比51.7%増)、営業利益は208百万円(前年同期比87.6%増)となりました。

 

(注)「国際共同治験」とは、主要市場国における早期・同時上市を図るため、臨床試験を複数の国または地域において同時並行的に行うことをいいます。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より1,154百万円増加し、2,910百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,817百万円(前連結会計年度は690百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,985百万円の計上及び預り金の増加616百万円があったものの、売上債権の増加額517百万円及び法人税等の支払額395百万円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は、47百万円(前連結会計年度は1,364百万円の使用)となりました。これは、主に連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入137百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、694百万円(前連結会計年度は822百万円の獲得)となりました。これは、主に社債の償還による支出350百万円があったこと等によるものであります。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

7,113,425

+57.8

育薬事業   (千円)

553,399

+51.9

合計(千円)

7,666,824

+57.4

 (注)1.金額は販売価格によっております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

CRO事業

9,843,087

+99.7

10,921,152

+33.3

育薬事業

160,362

△90.4

1,313,981

△23.0

合計

10,003,450

+51.6

12,235,133

+23.6

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

7,113,425

+57.8

育薬事業   (千円)

553,399

+51.7

合計(千円)

7,666,824

+57.4

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

      あります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

小野薬品工業株式会社

614,720

12.6

1,511,554

19.7

塩野義製薬株式会社

1,162,537

23.9

1,113,377

14.5

中外製薬株式会社

451,360

9.3

779,135

10.2

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

3【対処すべき課題】

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。近年、国内外の製薬会社はその生命線である新薬の創出のため、企業統合、買収等による研究開発費の投資効率を上げることを最大の眼目としております。同時に主要市場国における早期・同時上市を図るため、国際共同治験を行うことは避けられない状況となっております。この状況に対応していくため、当社グループでも経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。

 当社グループにおきましては、継続的な売上高及び利益の拡大、それを支える内部管理体制の充実を図るため、以下の課題を柱として取り組み、成長を期してまいります。

 

(1)モニタリング業務の品質の向上・維持

 当社グループの主要な業務でありますモニタリング業務の品質を向上・維持することは、製薬会社との良好な信頼関係を構築し、経営基盤を安定化する上で最重要の課題であります。そのため、人事考課制度を含めたマネジメントシステム、研修システムのさらなる充実化、及び品質管理部門や当社独自の組織であるプロジェクト・コミッティーの機能を強化することにより、モニタリング業務、ひいては臨床試験の品質の向上・維持に努めてまいります。

 なお、プロジェクト・コミッティーとは、受託業務に係る品質を担保するために設置されている社内の組織であり、受託した治験実施計画書に対して事前に当社グループとして特に留意すべき点の確認・指示を行います。また、治験が開始されてからは入手した症例報告書(CRF)の記載内容について、科学的及び医学・薬学的妥当性を第三者的観点で検討し、問題点・不明点をプロジェクト担当CRAにフィードバックする役割を果たすことを任としております。構成メンバーは、臨床試験を主体とする開発業務に精通した経験者及び社外の医師から成り、全社的な品質の向上と標準化に貢献するものとなっております。

 

(2)優秀な人材の確保

 モニタリング業務の受託を拡大するにあたり、その業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠であります。人材確保にあたっては、即戦力となる優秀な中途採用者を積極的に採用するとともに、CRAの適性を有する新卒者及び未経験者を見極め、採用を進めてまいります。

 

(3)国際共同治験への体制構築

 当社グループは特定業務への特化、治験段階の特化を推進することによって構築した治験の各業務における技術を、中長期的に世界に展開することで、海外における研究開発に積極的な国内製薬会社に対して、日本国内と同水準のCRO事業を海外においても提供する方針であります。

 現在、米国、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、クロアチア、オランダ、韓国、台湾、シンガポールに現地法人を有しており、今後は、現地法人の機能をさらに強化することで、国際共同治験に対応できる体制作りを進めてまいります。

 

(4)医薬品開発業務の選択と集中による差別化

 従前と比較して、CROの位置づけは重要性を増し、医薬品開発業界において一定の評価を受けるに至ったものと考えております。特に大手製薬会社は高い品質を維持し、かつ、固定費削減のために医薬品開発業務のアウトソーシングを進めておりますが、その委託先には自らと同等の能力を有し、対等の立場で医薬品開発を実行・支援できるCROを求めているものと当社グループは考えております。

 そのために、当社グループは経営資本の「選択と集中」を行い、医薬品開発の特定業務及び特定段階に注力してまいります。

 

(5)医薬品販売支援事業への展開

 当社グループは、CRO事業で取り組む医薬品開発業務の下流に位置する製造販売後の市場において、育薬事業を展開しており、販売企画、臨床研究など複数の案件を受託しております。医薬品販売支援業界の市場規模は拡大傾向にあり、CRO事業で得たノウハウ等を利用することにより、CRO事業同様、育薬事業においても高い品質を提供し、同業他社との差別化を図ってまいります。

 

(6)財務基盤の安定化

 当社グループは、優秀なCRAを獲得・育成することにより、CRO事業の品質向上に努め、開発パイプライン(注)を数多く有しCROへのアウトソーシングを積極的に進めている大手製薬会社のニーズに応えてまいります。また、CRO事業を利益率の高いモニタリング業務等を中心に受託することにより、高い収益性の確保を目指すとともに、予算実績管理及びコスト管理を徹底することにより内部留保の充実を図り、優秀な人材の確保、国際共同治験への体制構築等、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資に備えてまいります。

 

(注)「開発パイプライン」とは、製薬会社の医薬品開発初段階から販売間近の段階までに、どのような開発段階にある候補医薬品が、どの程度存在するのかを示したものです。

4【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在(平成28年6月22日)において当社グループが独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

(1)特定の製薬会社への売上割合の高さに関するリスク

 当社グループは、有望な開発品目を多く有する大手製薬会社を中心に取引を行っていく方針であり、結果として特定の製薬会社への依存度が相対的に高くなっております。平成27年3月期及び平成28年3月期における主要販売先への売上依存度は以下の通りであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

小野薬品工業株式会社

614,720

12.6

1,511,554

19.7

塩野義製薬株式会社

1,162,537

23.9

1,113,377

14.5

中外製薬株式会社

451,360

9.3

779,135

10.2

(注)本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 当社グループのこれまでの成長は、当社グループのモニタリング業務の品質が顧客である大手製薬会社に認められた結果であるものと考えております。

 しかしながら、特定の製薬会社への依存が継続し、他の製薬会社との業務受託案件に対して適切に人材を配置できない場合、または当社グループの顧客である製薬会社が合併・統合等により経営方針を転換した場合や、主要取引先が消滅した場合には、特定の製薬会社を中心に取引を行う当社グループの事業方針の変更を余儀なくされる可能性や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、製薬会社が当社グループに委託中のプロジェクトの開発中止を決定した場合に、CRAの稼働率が低下すること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)治験の事故等によるリスク

 当社グループは日常よりCRAに対して継続的に研修を実施し、品質の確保に努めております。また、治験薬の副作用が生じた場合の直接の責任は製薬会社が負うことになりますが、当社グループを含むCRO業界が関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故が発生した際に当社グループが顧客への報告等、十分に対応できなかった場合において、治験受託件数が減少し、もしくは訴訟を受けることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループのCRAが関わった治験において、過失等により、治験標準業務手順書その他の規則の遵守を怠り、回収した症例報告書の信頼性等に問題があることとなった場合において、その治験の委託者である製薬会社に損害を与え、当社グループが損害賠償の責めを負うとき、または、委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときは、訴訟の提起や治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3)CRO業界内の競争激化に関するリスク

 近年、当社グループが特定の業務、治験段階に注力するのと同様に特定の業務、治験段階、領域等に注力するCROが登場してきております。一方で、中小規模で特徴を持たないCROにおいては、同業他社との差別化を図ることができず、吸収合併や倒産等により淘汰されてきております。当社は平成17年の設立以来、大手製薬会社から治験を継続して受託しており、業績は順調に推移しておりますが、当社グループと類似したビジネスモデルを有するCROの増加や、差別化が難しいCROが行う低価格戦略に伴う価格競争の激化により、受託契約価格の下落が起こった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)国内における治験の海外シフトに関するリスク

 日本での新薬製造承認申請には、基本的に国内で実施した治験のデータが必要です。これまで、厚生労働省及び文部科学省により「新たな治験活性化5ヵ年計画(注)」が策定され、国内における治験の活性化に向けた取り組みが図られております。

 しかしながら、当該計画が実効性の低いものにとどまり、かつガイドラインに基づき海外治験データの国内申請時における利用が加速された場合には、国内で行われる治験数が減少し、当社グループの治験受託件数が減少することにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

  (注)「新たな治験活性化5カ年計画」とは、平成19年3月に文部科学省とともに厚生労働省が策定した「新たな治験活性化5カ年計画」のことを指します。同計画は、平成15年4月に策定された「全国治験活性化3カ年計画」の成果と課題を踏まえ、国民に品質の高い最先端の医療が提供され、国際競争力強化の基礎となる医薬品・医療機器の治験・臨床研究実施体制を確保するために、我が国における治験環境の充実を図り、医薬品の開発に資する魅力ある創薬環境を実現するために策定されました。なお、平成24年3月30日に「臨床研究・治験活性化5カ年計画2012」が公表されております。

 

(5)製薬会社による治験の委託数減少のリスク

 近年、研究開発のスピードアップと固定費の削減を目的とした医薬品開発業務のアウトソーシング化が加速し、ことに治験のモニタリング業務において、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROに対する製薬会社の高い期待を背景としてCRO業界は堅調に成長しており、今後ともこの傾向は続くものと当社グループは考えております。

 しかしながら、当社グループの顧客である製薬会社の医薬品開発戦略の変更や治験の内製化等のアウトソーシングに係る方針転換等があった場合に、当社グループの治験受託件数が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)法改正及び法規制等に関するリスク

① 当社グループが属するCRO業界は、薬機法、薬機法施行規則及びそれらに関連するGCP等の関連法令の規制を受けており、治験の各業務を受託するCROは、これらの法令を遵守し、治験によって得られた資料及びデータを顧客に提供する義務がありますが、これらの規制の強化、または新たな規制の導入により、事業活動が制約され治験の各業務の遅滞が発生した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 当社グループが、受託するモニタリング業務の実施等において、関連する諸法令に対して重大な違反の事実があった場合には、製薬会社から信用を失うことにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)人材獲得に関するリスク

 当社グループは、治験の各業務のうちモニタリング業務等に特化することにより、これまでの成長を実現してきたものと考えております。従いまして、当社グループの業容拡大において即戦力となるCRA経験者や医学・薬学知識を有する新卒者、未経験者の確保が必要不可欠であります。

 これまでのところ、当社グループは人材獲得の面で大きな問題に直面はしておりませんが、製薬会社、薬局チェーン業界及びCRO業界等における人材獲得競争の激化等により、当社グループの計画どおりに人材を採用できない可能性があります。

 モニタリング業務に必要な人材を確保できなかった場合、人材の教育・研修が遅れた場合、または他社からの人材引抜により当社グループの人材流出が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(8)人員増加に伴う品質の低下のリスク

 当社グループは製薬会社からの治験受託件数を着実に増加させており、それに伴って受注残高も増加傾向にあります。当社グループでは、更なる業容拡大に備えて必要な人員を積極的に採用しており、その中には新卒者その他のモニタリング業務未経験者を含んでおります。これら未経験者の大量採用を行うことにより、一時的な品質や稼働率の低下及び研修期間の人件費・研修費の負担により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、CRAに対して入社時のみならず入社後も継続的に研修を実施し、一定水準の品質のモニタリング業務の提供に努めておりますが、研修の遅延等により、これら大量採用を行ったモニタリング業務未経験者の育成が順調に進まない場合には、当社グループのモニタリング業務の品質の低下を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)社内管理体制について

 当社グループは平成28年3月31日時点において、従業員529名と組織が小さく、社内管理体制もこの規模に応じたものとなっております。今後、事業拡大に伴い人員増加を図る方針であり、内部管理体制もこれに合わせて強化させていく予定ですが、事業の拡大や人員の増加に対して適切かつ十分な組織対応ができなかった場合には、当社グループの事業遂行及び拡大に制約が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報の流出によるリスク

 当社グループを含むCRO業界が関わった治験にかかる個人情報の流出によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験にかかる個人情報の流出により製薬会社から信用を失った場合において、治験受託件数の減少や、訴訟の提起により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが関わった治験にかかる症例報告書等の機密情報について、その情報の流出があった場合において、当社グループが委託者である製薬会社から損害賠償の責めを負うとき、または、その情報の流出により委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときには、訴訟の提起、もしくは治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)海外進出によるリスク

 当社は、増加する国際共同治験に対応するために、米国、ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、クロアチア、オランダ、韓国、台湾、シンガポールに現地法人を有しております。今後、当事業を拡大するにあたって追加的な出資を行う場合や計画通りに事業が進展しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(平成28年6月22日)において当社グループが判断したものであります。

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当りまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。

 なお、当社は、収益の認識について、顧客との業務委託契約に基づき役務提供を行った時に収益を認識する役務提供基準を採用しております。

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,479百万円増加し、7,122百万円(26.2%増)となりました。これは、主に現金及び預金の増加によるものであります。

② 負債の部

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ523百万円増加し、4,105百万円(14.6%増)となりました。これは、主に預り金の増加によるものであります。

③ 純資産の部

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ956百万円増加し、3,016百万円(46.4%増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、大手製薬会社からの治験業務受託件数が引き続き拡大したこと及び、米国、韓国、台湾、欧州の各子会社が売上に貢献したことにより、前連結会計年度に比べ2,794百万円増加し、7,666百万円(前年同期比57.4%増)となりました。

② 売上原価

 当連結会計年度の売上原価は、主に治験業務受託件数の拡大に伴う人員の採用により人件費等が増加した結果、前連結会計年度に比べ1,128百万円増加し、4,212百万円(前年同期比36.6%増)となりました。

③ 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主に前連結会計年度に買収した欧州子会社を中心とする子会社関連費用が増加した結果、前連結会計年度に比べ530百万円増加し、1,441百万円(前年同期比58.2%増)となりました。

④ 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、売上の増加が売上原価並びに販売費及び一般管理費の増加を上回った結果、前連結会計年度に比べ1,135百万円増加し、2,012百万円(前年同期比129.5%増)となりました。

⑤ 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、営業利益が増加した結果、前連結会計年度に比べ1,145百万円増加し、1,985百万円(前年同期比136.2%増)となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、経常利益の増加の他、前連結会計年度は退職給付債務の計算に関して簡便法から原則法へ変更したことによる影響額が特別損失に計上されていたことから、前連結会計年度に比べ1,250百万円増加し、1,985百万円(前年同期比170.2%増)となりました。

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益が増加した結果、前連結会計年度に比べ893百万円増加し、1,330百万円(前年同期比204.5%増)となりました。

(4)経営戦略の現状と見通し

 国内におきましては、当社グループが属するCRO業界の市場規模は引き続き成長を続けております。当社グループといたしましては、これらの状況を踏まえて、今後とも治験の主たる段階であるフェーズⅡ、Ⅲにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に注力し、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROとして、顧客への期待に応えていく所存でございます。

 そのためには、モニタリング業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠となっております。CRAの人材確保にあたっては、即戦力となる優秀な中途採用者の積極的な獲得及びCRAの適性を有する新卒者、未経験者の採用を進めるとともに、採用したCRAに対して、入社時には相当の研修期間を設け、また、入社後も継続的に研修を実施することにより、モニタリング業務の品質の向上を常に図っております。

 また、新薬の開発においては、国際共同治験を利用したグローバルな開発が増加しており、日本を含むアジア、米国及び欧州で国際共同治験を実施できる体制を整えることで、中長期的なCRO事業の拡大に努めていく方針です。現在、米国、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、クロアチア、オランダ、韓国、台湾、シンガポールに現地法人を有しており、今後は、現地法人の機能をさらに強化することで、国際共同治験に対応できる体制作りを進めてまいります。

 さらに、当社グループは、CRO事業で取り組む医薬品開発業務の下流に位置する製造販売後の市場において、育薬事業を展開しており、販売企画、臨床研究など複数の案件を受託しております。現在、製薬会社における医薬品販売・マーケティング業務のアウトソーシング率は欧米に比べ決して高くありませんが、新薬発売時など必要な時に必要な数の医薬情報担当者(MR)を臨機応変に確保し、或いは自社で発売した事の無い領域の新薬を発売する時のノウハウを獲得するため、今後、製薬会社が医薬品販売支援事業者を活用する方向に進んでいくと考えております。本邦における医薬品販売支援事業では、製薬会社からの増員ニーズに対応しMRを派遣する「コントラクトMR」の形態をとることが主流ですが、当社の育薬事業では、CRO事業で得たノウハウを活かし、より専門性の求められる業務を受託することで、同業他社との差別化を図ってまいります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より1,154百万円増加し、2,910百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,817百万円(前連結会計年度は690百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,985百万円の計上及び預り金の増加616百万円があったものの、売上債権の増加額517百万円及び法人税等の支払額395百万円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は、47百万円(前連結会計年度は1,364百万円の使用)となりました。これは、主に連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入137百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、694百万円(前連結会計年度は822百万円の獲得)となりました。これは、主に社債の償還による支出350百万円があったこと等によるものであります。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。近年、国内外の製薬会社はその生命線である新薬の創出のため、企業統合、買収等による研究開発費の投資効率を上げることを最大の眼目としております。関連して臨床試験の規模の拡大と国際化は避けられない状況となっております。それに応じて、当社グループでも経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。

 当社グループでは、特定の領域、受託業務、治験段階に注力し、大手製薬会社と同等の立場で医薬品開発を実行・支援できる知識・技術・経験を有するCROを「CDO(Contract Development Organization)」と称しております。当社グループは前述した製薬会社の要求に応えるため、主要事業のCRO事業において、治験の主たる段階であるフェーズⅡ、フェーズⅢにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に特化したCDOを目指し事業展開を行うことで、同業他社との差別化を図っております。

 また、近年増加しているがん領域及び中枢神経系領域疾患の開発品目に対応するため、人材採用、教育研修及び組織改変により受託体制の強化を図っております。今後は、増加している国際共同治験に対応するため、子会社を含めた人材採用、教育研修及び組織改変により受託体制の強化を図ってまいります。