第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券提出日現在(平成30年6月27日)において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。近年、国内外の製薬会社はその生命線である新薬の創出のため、グローバルでの企業統合、買収等により、開発候補品の充実を目指しています。また、新薬開発における投資効率を最大化するためには実質的な特許期間、すなわち後発品出現までの期間を最大化する必要がありますが、そのために国際共同治験を活用し、主要市場国における早期・同時発売を図ることは避けられない状況となっております。この状況に対応していくため、当社グループでも経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。

 当社グループでは、特定の領域、受託業務、治験段階に注力し、大手製薬会社と同等の立場で医薬品開発を実行・支援できる知識・技術・経験を有するCROを「CDO(Contract Development Organization)」と称しております。当社グループは前述した製薬会社の要求に応えるため、主要事業のCRO事業において、主に治験の主たる段階であるフェーズⅡ、フェーズⅢにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に特化したCDOを目指し事業展開を行うことで、同業他社との差別化を図っております。

 また、近年増加しているがん領域及び中枢神経系領域疾患の開発品目に対応するため、人材採用、教育研修及び組織改変により受託体制の強化を図っております。今後は、増加している国際共同治験に対応するため、子会社を含めた人材採用、教育研修及び組織改変により受託体制の強化を図ってまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益を目標とする経営指標にしております。

 

(3)経営環境及び経営戦略の現状と見通し

 国内におきましては、当社グループが属するCRO業界の市場規模は引き続き成長を続けております。当社グループといたしましては、これらの状況を踏まえて、今後も主に治験の主たる段階であるフェーズⅡ、Ⅲにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に注力し、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROとして、顧客への期待に応えていく所存でございます。

 そのためには、モニタリング業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠となっております。CRAの人材確保にあたっては、即戦力となる優秀な中途採用者の積極的な獲得及びCRAの適性を有する新卒者、未経験者の採用を進めるとともに、採用したCRAに対して、入社時には相当の研修期間を設け、また、入社後も継続的に研修を実施することにより、モニタリング業務の品質の向上を常に図っております。

 また、新薬の開発においては、国際共同治験を利用したグローバルな開発が増加しており、日本を含むアジア、米国及び欧州で国際共同治験を実施できる体制を整えることで、中長期的なCRO事業の拡大に努めていく方針です。現在、米国、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、クロアチア、オランダ、ポーランド、チェコ、ルーマニア、中国、韓国、台湾、シンガポールに現地法人を有しており、今後は、現地法人の機能をさらに強化することで、国際共同治験に対応できる体制作りを進めてまいります。

 さらに、当社グループは、CRO事業で取り組む医薬品開発業務の下流に位置する製造販売後の市場において、医薬品販売支援を行う育薬事業を展開しており、臨床研究、販売企画など複数の案件を受託しております。製造販売承認後の医薬品の価値を維持、増大させる活動を「育薬」と呼び、医薬品のライフサイクルマネジメントとして重要視されるようになってきています。また、臨床研究に係わる不祥事が多発したことから、臨床研究の透明化と適切な実施が求められ、平成30年4月より臨床研究法が施行されています。このような背景のもと、臨床研究を中心としてアウトソーシングニーズが増加しており、医薬品販売支援業界の市場規模は拡大傾向にあります。当社グループの育薬事業では、CRO事業で得たノウハウを活かし、より専門性の求められる業務を受託し、高い品質のサービスを提供することで、同業他社との差別化を図ってまいります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループにおきましては、継続的な売上高及び利益の拡大、それを支える内部管理体制の充実を図るため、以下の課題を柱として取り組み、成長を期してまいります。

 

 ①国際共同治験実施への体制強化

 当社グループは特定業務への特化、治験段階の特化を推進することによって構築した治験の各業務における技術を、中長期的に世界に展開することで、海外における研究開発に積極的な国内製薬会社に対して、日本国内と同水準のCRO事業を海外においても提供しております。

 平成30年4月、当社米国子会社が米国のCROであるAccelovance,Inc.を子会社化し、世界最大の市場である米国での当社グループの機能強化を図りました。これにより、日本・アジア、米国、欧州の3極を軸とする国際共同治験に対応する体制が拡充しました。

 現在、米国、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、クロアチア、オランダ、ポーランド、チェコ、ルーマニア、中国、韓国、台湾、シンガポールに現地法人を有しており、今後は、これらの国における国際共同治験の実施ニーズに合わせて規模拡大、機能強化を行い、現地法人が国際共同治験に対応できる体制を一層強化してまいります。

 一方で、国際共同治験の実施には、参加国における規制当局の考え方、医療保険制度、医療機関の体制、治験に対する患者側の参加姿勢など、様々な環境の違いがあります。当社グループにおいても、各拠点の環境の相互理解に基づく手順やシステムの統合、プロジェクトマネジメントの強化は、喫緊の課題となっております。

 

 ②モニタリング業務の品質の向上・維持

 当社グループの主要な業務でありますモニタリング業務の品質を向上・維持することは、製薬会社との良好な信頼関係を構築し、経営基盤を安定化するうえで最重要の課題であります。そのため、人事考課制度を含めたマネジメントシステム、研修システムのさらなる充実化、ITシステム等を活用したモニタリングの効率化、及び品質管理部門や当社独自の組織であるプロジェクト・コミッティーの機能を強化することにより、モニタリング業務、ひいては臨床試験の品質の向上・維持に努めてまいります。なお、プロジェクト・コミッティーとは、受託業務に係る品質を担保するために設置されている社内の組織であり、受託した治験実施計画書に対して事前に当社グループとして特に留意すべき点の確認・指示を行います。また、国際共同治験の増加に伴い、治験実施計画書の日本における実施可能性の検討や代替案の提示など役割範囲が拡大しております。構成メンバーは、臨床試験を主体とする開発業務に精通した経験者及び社外の医師から成り、グローバル化した当社グループの全社的な品質の向上と標準化に貢献するものとなっております。

 

③医薬品販売支援事業への展開

 当社グループは、CRO事業で取り組む医薬品開発業務の下流に位置する発売後の市場において、医薬品販売支援を行う育薬事業を展開しており、販売企画、臨床研究など複数の案件を受託しております。

 また、日本では、平成30年4月に臨床研究法が施行され、発売後の医薬品に関する臨床研究は、治験とほぼ同様のルールによる規制を受けることになりました。この臨床研究法は、治験と同様に臨床研究においても責任の所在を明確化しデータの信頼性を確保するためのものとなっており、これによって客観性とリソースを確保するためのアウトソーシングニーズが新たに発生してきております。育薬事業にとっても大きなビジネスチャンスであり、CRO事業で得たノウハウ等を利用することにより、CRO事業同様、育薬事業においても高い品質のサービスを提供できるよう対応してまいります。

 

④優秀な人材の確保と育成

 モニタリング業務の受託を拡大するにあたり、その業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠であります。また国際共同治験の増加に伴い、これらに特有の業務や、各国間のプロジェクトマネジメント業務が増大いたします。このための人材育成も喫緊の課題であります。

 

⑤財務基盤の安定化

 当社グループは、各事業において利益率の高いモニタリング業務を中心に高品質なサービスを提供し続け、リピートで業務を受託することにより高い収益性の確保を目指します。また、予算実績管理及びコスト管理を徹底することにより内部留保の充実を図り、優秀な人材の確保、国際共同治験への体制構築等、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資に備えてまいります。

2【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在(平成30年6月27日)において当社グループが独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

(1)特定の製薬会社への売上割合の高さに関するリスク

 当社グループは、有望な開発品目を多く有する大手製薬会社を中心に取引を行っていく方針であり、結果として特定の製薬会社への依存度が相対的に高くなっております。平成29年3月期及び平成30年3月期における主要販売先への売上依存度は以下の通りであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

小野薬品工業株式会社

2,050,819

24.5

2,006,256

22.0

中外製薬株式会社

1,089,567

13.0

1,684,876

18.5

塩野義製薬株式会社

935,036

11.2

550,217

6.0

(注)本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 当社グループのこれまでの成長は、モニタリング業務の品質が顧客である大手製薬会社に認められた結果であるものと考えております。

 しかしながら、特定の製薬会社への依存が継続し、他の製薬会社との業務受託案件に対して適切に人材を配置できない場合、または当社グループの顧客である製薬会社が合併・統合等により経営方針を転換した場合や、主要取引先が消滅した場合には、特定の製薬会社を中心に取引を行う当社グループの事業方針の変更を余儀なくされる可能性や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、製薬会社が当社グループに委託中のプロジェクトの開発中止を決定した場合に、CRAの稼働率が低下すること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)治験の事故等によるリスク

 当社グループは日常よりCRAに対して継続的に研修を実施し、品質の確保に努めております。また、治験薬の副作用が生じた場合の直接の責任は製薬会社が負うことになりますが、当社グループを含むCRO業界が関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故が発生した際に当社グループが顧客への報告等、十分に対応できなかった場合において、治験受託件数が減少し、もしくは訴訟を受けることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループのCRAが関わった治験において、過失等により、治験標準業務手順書その他の規則の遵守を怠り、回収した症例報告書の信頼性等に問題があることとなった場合において、その治験の委託者である製薬会社に損害を与え、当社グループが損害賠償の責めを負うとき、または、委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときは、訴訟の提起や治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3)CRO業界内の競争激化に関するリスク

 近年、当社グループが特定の業務、治験段階に注力するのと同様に特定の業務、治験段階、領域等に注力するCROが登場してきております。一方で、中小規模で特徴を持たないCROにおいては、同業他社との差別化を図ることができず、吸収合併や倒産等により淘汰されてきております。当社は平成17年の設立以来、大手製薬会社から治験を継続して受託しており、業績は順調に推移しておりますが、当社グループと類似したビジネスモデルを有するCROの増加や、差別化が難しいCROが行う低価格戦略に伴う価格競争の激化により、受託契約価格の下落が起こった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)国内における治験の海外シフトに関するリスク

 医薬品の審査・承認制度は国ごとに異なっており、新薬の有効性や安全性等のデータには人種差があることから新薬製造承認申請には、基本的に各国で実施した治験のデータが必要です。しかし、「医薬品規制調和国際会議(ICH : International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)において、新薬の承認審査データを相互活用するための条件整備に向けた、海外臨床試験データの受入れに関するガイドラインが最終合意されたことにより、日本国内においても一定の確認試験を基に、海外臨床試験データを用いて承認申請を行うことが認められるようになりました。また、医薬品開発の国際競争は益々過熱しており、いち早く各国で承認・販売を勝ち得るために、グローバル開発が製薬会社の主要な戦略となっております。当社では、このような医薬品開発の環境変化や製薬会社のグローバル開発ニーズに対応すべく、米国、韓国、台湾等での海外子会社の設立や、韓国、欧州、米国での企業買収を通じて医薬品のグローバル開発体制を整備してまいりました。

 しかしながら、当社グループの地域別の売上構成に占める日本の比率は依然大きく、当社グループの医薬品のグローバル開発体制の整備・進展を大きく超えるスピードで治験環境のグローバル化が起こり、海外治験データの国内申請時における利用が急激に加速して国内で行われる治験数が減少し、当社グループの治験受託件数が減少するような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)製薬会社による治験の委託数減少のリスク

 近年、研究開発のスピードアップと固定費の削減を目的とした医薬品開発業務のアウトソーシング化が加速し、ことに治験のモニタリング業務において、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROに対する製薬会社の高い期待を背景としてCRO業界は堅調に成長しており、今後ともこの傾向は続くものと当社グループは考えております。

 しかしながら、当社グループの顧客である製薬会社の医薬品開発戦略の変更や治験の内製化等のアウトソーシングに係る方針転換等があった場合に、当社グループの治験受託件数が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)法改正及び法規制等に関するリスク

① 当社グループが属するCRO業界は、薬機法、薬機法施行規則及びそれらに関連するGCP等の関連法令の規制を受けており、治験の各業務を受託するCROは、これらの法令を遵守し、治験によって得られた資料及びデータを顧客に提供する義務がありますが、これらの規制の強化、または新たな規制の導入により、事業活動が制約され治験の各業務の遅滞が発生した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 当社グループが、受託するモニタリング業務の実施等において、関連する諸法令に対して重大な違反の事実があった場合には、製薬会社から信用を失うことにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)人材獲得に関するリスク

 当社グループは、治験の各業務のうちモニタリング業務等に特化することにより、これまでの成長を実現してきたものと考えております。従いまして、当社グループの業容拡大において即戦力となるCRA経験者や医学・薬学知識を有する新卒者、未経験者の確保が必要不可欠であります。

 これまでのところ、当社グループは人材獲得の面で大きな問題に直面はしておりませんが、製薬会社、薬局チェーン業界及びCRO業界等における人材獲得競争の激化等により、当社グループの計画どおりに人材を採用できない可能性があります。

 モニタリング業務に必要な人材を確保できなかった場合、人材の教育・研修が遅れた場合、または他社からの人材引抜により当社グループの人材流出が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(8)人員増加に伴う品質の低下のリスク

 当社グループは製薬会社からの治験受託件数を着実に増加させており、それに伴って受注残高も増加傾向にあります。当社グループでは、更なる業容拡大に備えて必要な人員を積極的に採用しており、その中には新卒者その他のモニタリング業務未経験者を含んでおります。これら未経験者の大量採用を行うことにより、一時的な品質や稼働率の低下及び研修期間の人件費・研修費の負担により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、CRAに対して入社時のみならず入社後も継続的に研修を実施し、一定水準の品質のモニタリング業務の提供に努めておりますが、研修の遅延等により、これら大量採用を行ったモニタリング業務未経験者の育成が順調に進まない場合には、当社グループのモニタリング業務の品質の低下を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)内部管理体制について

 当社グループは、グループ企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報の流出によるリスク

 当社グループを含むCRO業界が関わった治験にかかる個人情報の流出によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験にかかる個人情報の流出により製薬会社から信用を失った場合において、治験受託件数の減少や、訴訟の提起により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが関わった治験にかかる症例報告書等の機密情報について、その情報の流出があった場合において、当社グループが委託者である製薬会社から損害賠償の責めを負うとき、または、その情報の流出により委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときには、訴訟の提起、もしくは治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)海外進出によるリスク

 当社は、増加する国際共同治験に対応するために、米国、ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、クロアチア、オランダ、ポーランド、チェコ、ルーマニア、中国、韓国、台湾、シンガポールに現地法人を有しております。今後、当事業を拡大するにあたって追加的な出資を行う場合や計画通りに事業が進展しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国の保護主義的な経済政策や米中間の貿易摩擦をめぐる懸念、英国のE
U離脱問題の不透明感や中東・アジアの地政学的リスク等の懸念により、株式市場や為替動向など不安定な状況は
あるものの、実体経済については堅調に推移しました。一方、我が国経済につきましては、政府の経済政策や日本
銀行による金融緩和策などを背景に、企業収益や雇用・所得環境の改善が見られ、緩やかな回復基調が継続する展
開となっています。
 医薬品業界におきましては、増大する医療費の抑制は各国共通の課題となっており、保険者の影響力の高まりや
後発医薬品の使用促進などの動きが加速しております。日本においては、平成30年度から実施される抜本的薬価制
度改革では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の抜本的見直しや長期収載品の薬価等の見直しなど、新薬創
出を目指す製薬会社に経営的側面から大きなインパクトを与えており、手持ちのパイプライン品目の見直しを迫ら
れていると報じられるなど、新薬開発の生産性や効率性の向上が求められております。他方、治療満足度の低い疾
患や希少疾病用医薬品へのニーズは依然として数多く存在しており、革新性の高い医薬品は待ち望まれております。日本では、希少疾病用医薬品指定制度、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度も運用されるに至っており、米国、欧州の規制当局も同様に優遇政策を導入しております。このような環境下において、製薬会社は主力製品の特許切れ問題への対応も含め、革新的新薬の創出に向け、ビジネスモデルや研究開発活動の転換を加速するものと思われます。

 当社グループが属する医薬品開発業務受託(CRO;Contract Research Organization)業界及び医薬品販売支援(CSO;Contract Sales Organization)業界は、医薬品開発・販売のアウトソーシング化及び国際共同治験(注)の増加を背景として、市場規模は緩やかに拡大しております。また、上述の医薬品業界の状況を踏まえると、製薬会社は革新的新薬の創出並びにその生産性や効率性を更に向上させるため、医薬品開発・販売のアウトソーシングを一層加速させることが見込まれます。

 このような環境の下、当連結会計年度の業績は、売上高は9,113百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益は1,846百万円(同13.2%減)、経常利益は1,826百万円(同12.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,295百万円(同10.5%減)と増収減益となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

①CRO事業

  日本、アジア、米国、欧州におけるグローバル受託体制の構築を引き続き強力に推し進めた結果、国際共同治験を中心とした受注案件が増加し、売上に貢献いたしました。一方、利益面においては、日本、アジア、欧州で開始予定であった大型国際共同治験の延期等が発生したため、期初に見込まれていなかった案件の開拓を進め、日本主導の日本・欧州での国際共同治験等の受注を獲得しましたが、上記の遅れを挽回するには至らず売上の増加が当初の想定を下回ったこと、また、前期から既に内定していたものの開始されなかった上記案件等を含めた受注計画に従い、期初に人員の採用や増床を目的とする東京オフィスの移転を行ったこと等により人件費や不動産賃借料等が計画どおり増加したことで、減益となりました。これにより、売上高は8,204百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益は2,721百万円(同5.9%減)となりました。

②育薬事業

  日本主導の日本・台湾・韓国での国際臨床研究等の企業主導型臨床研究を中心とした案件の受注増加により売上に貢献いたしました。一方、利益面においては、売上の増加が当初の想定を下回ったため、先行的な人材投資による人件費の増加や東京オフィス移転に伴う費用等を吸収しきれず、減益となりました。この結果、売上高は908百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益は288百万円(同1.7%減)となりました。

 

(注)「国際共同治験」とは、主要市場国における早期・同時上市を図るため、臨床試験を複数の国または地域において同時並行的に行うことをいいます。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より818百万円増加し、5,173百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,360百万円(前連結会計年度は2,291百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益1,826百万円の計上、減価償却費109百万円、のれん償却額96百万円、売上債権の増加額63百万円、未払消費税等の減少額68百万円、未払金の増加額113百万円、前受金の減少額158百万円及び法人税等の支払額589百万円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、91百万円(前連結会計年度は374百万円の使用)となりました。これは、主に投資有価証券の取得による支出120百万円、差入保証金の回収による収入159百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、471百万円(前連結会計年度は456百万円の使用)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出139百万円、配当金の支払額227百万円があったこと等によるものであります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

8,204,347

+8.7

育薬事業   (千円)

908,810

+12.7

合計(千円)

9,113,157

+9.1

 (注)1.金額は販売価格によっております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

②受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

CRO事業

7,683,062

△13.0

11,683,573

△4.3

育薬事業

665,047

△10.8

1,009,056

△19.5

合計

8,348,109

△12.8

12,692,629

△5.7

 (注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

8,204,347

+8.7

育薬事業   (千円)

908,810

+12.7

合計(千円)

9,113,157

+9.1

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

      あります。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

小野薬品工業株式会社

2,050,819

24.5

2,006,256

22.0

中外製薬株式会社

1,089,567

13.0

1,684,876

18.5

塩野義製薬株式会社

935,036

11.2

550,217

6.0

2.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(平成30年6月26日)において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当りまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。

 なお、当社は、収益の認識について、顧客との業務委託契約に基づき役務提供を行った時に収益を認識する役務提供基準を採用しております。

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ947百万円増加し、9,247百万円(11.4%増)となりました。これは、主に現金及び預金の増加によるものであります。

② 負債の部

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ161百万円減少し、4,042百万円(3.8%減)となりました。これは、主に未払金及び退職給付に係る負債の増加と前受金及び長期借入金の減少によるものであります。

③ 純資産の部

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,108百万円増加し、5,204百万円(27.1%増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、「1[経営成績等の状況の概要] (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ757百万円増加し、9,113百万円(前年同期比9.1%増)となりました。

② 売上原価

 当連結会計年度の売上原価は、主に治験業務受託件数の拡大に備え人員を増加した結果、前連結会計年度に比べ892百万円増加し、5,579百万円(前年同期比19.0%増)となりました。

③ 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主に会社規模拡大に伴う管理部門の人員増強による人件費の増加や不動産賃借料等が増加した結果、前連結会計年度に比べ147百万円増加し、1,686百万円(前年同期比9.6%増)となりました。

④ 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、売上の増加が売上原価並びに販売費及び一般管理費の増加を上回った結果、前連結会計年度に比べ281百万円減少し、1,846百万円(前年同期比13.2%減)となりました。

⑤ 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、営業利益が減少した結果、前連結会計年度に比べ250百万円減少し、1,826百万円(前年同期比12.0%減)となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、経常利益が減少した結果、前連結会計年度に比べ184百万円減少し、1,826百万円(前年同期比9.2%減)となりました。

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益が減少した結果、前連結会計年度に比べ151百万円減少し、1,295百万円(前年同期比10.5%減)となりました。

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 1. 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

②財務政策

当社は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重要施策と位置づけ、株主の皆様からお預かりした資本に対して如何に報いるかという視点に立ち、業績を勘案した配当施策を行い、安定的に利益還元に努めてまいります。

なお、内部留保金につきましては、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資として活用し、中長期的な成長による企業価値向上を通じて株主の皆様の期待にお応えしてまいります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(取得による企業結合)

 当社は、平成30年3月27日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるLINICAL USA,INC.(本社:ニューヨーク州、以下「米国リニカル社」)及びその子会社であるMagnolia Acquisition Corp.(本社:メリーランド州、以下「特別目的会社」)が、米国を本拠として主に医薬品開発業務受託事業を展開するAccelovance,Inc.(本社:メリーランド州、以下、「Accelovance社」)との間で合併契約を締結し、特別目的会社とAccelovance社との合併を行なうことで、Accelovance社を米国リニカル社の完全子会社とすることを決議し、同日、合併契約を締結しております。

 なお、詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な後発事象 (取得による企業結合)」に記載のとおりであります。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。