当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米中貿易摩擦の他、米国における政府機関の一部閉鎖への懸念、欧州における英国のBrexitの不確実性やフランスの財政再建をめぐるデモ拡大への懸念等はあるものの、良好な雇用・所得環境による堅調な個人消費が景気を牽引し、好調を維持しました。また、我が国経済につきましては、政府の経済政策や日本銀行による金融緩和策などを背景に、企業収益や雇用・所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調を保ちました。しかしながら、米中貿易摩擦を始め米国の保護主義的な通商政策による主要国間での貿易摩擦への懸念などを背景に、世界景気の先行き不透明感は増しており、企業の景況感は悪化傾向にあります。
医薬品業界におきましては、増大する医療費の抑制は各国共通の課題となっており、保険者の影響力の高まりや
後発医薬品の使用促進などの動きが加速しております。日本においては、平成30年度から実施されている抜本的薬価制度改革では、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の抜本的見直しや長期収載品の薬価等の見直しなど、新薬創出を目指す製薬会社に経営的側面から大きなインパクトを与えており、手持ちのパイプライン品目の見直しを迫られるなど、新薬開発の生産性や効率性の向上が求められております。他方、治療満足度の低い疾患や希少疾病用医薬品へのニーズは依然として数多く存在しており、革新性の高い医薬品は待ち望まれております。日本では、希少疾病用医薬品指定制度、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度も運用されるに至っており、米国、欧州の規制当局も同様に優遇政策を導入しております。このような環境下において、製薬会社は主力製品の特許切れ問題への対応も含め、革新的新薬の創出に向け、ビジネスモデルや研究開発活動の転換を加速するものと思われます。
当社グループが属する医薬品開発業務受託(CRO;Contract Research Organization)業界及び医薬品販売支援(CSO;Contract Sales Organization)業界は、医薬品開発・販売のアウトソーシング化及び国際共同治験(注)の増加を背景として、市場規模は緩やかに拡大しております。また、上述の医薬品業界の状況を踏まえると、製薬会社は革新的新薬の創出並びにその生産性や効率性を更に向上させるため、医薬品開発・販売のアウトソーシングを一層加速させることが見込まれます。
以上のような事業環境の下、当社は製薬会社の北米を含むグローバル開発ニーズへの対応力の強化等のために、平成30年4月16日(米国東部標準時)にLINICAL USA,INC.(本社:ニューヨーク州)を通じて米国を本拠にCRO事業を営むAccelovance,Inc.(本社:メリーランド州、現Linical Accelovance America,Inc. 以下「LAA社」)の発行済株式の100%を取得して完全子会社化し、平成31年3月期から連結業績に含めております。
当社は、LAA社の買収後、当社取締役をLAA社の責任者として派遣するなど経営体制の掌握に努めるとともに、上場企業のグループ会社にふさわしい管理体制の整備として、当社既存の米国部門、欧州部門との重複機能の整理・統廃合、米国内拠点の整理、管理部門のマネジャークラスを中心とした余剰人員の整理やシステムの統合などLAA社の今後の事業展開を見据えた積極的なポスト・マージャー・インテグレーション(当初計画した買収後の統合効果を最大化するための統合プロセス)を進めております。
しかしながら、LAA社において、買収当初に契約締結直前での発注の見合わせがあったことや複数件の受託プロジェクトの開発中止などが発生し、その後も新規受託が計画を下回る状況が続いており、当第3四半期連結累計期間において、売上高が予想を大幅に下回る状況となりました。また、拠点の整理、余剰人員の削減やシステムの統合など積極的なリストラクチャリングを進めておりますが、コスト削減効果の発現時期に遅れが生じていることや、リストラクチャリングの進展を加速させるための拠点整理、人員削減に伴う一時的な事業構造改善費用を計上することから利益面でも予想を下回る状況となりました。
一方、日本においても、期初に受託が内定していたものの開発の開始が遅れていた案件で開発の中止が決定した他、当第3四半期に開始予定であった複数案件において、製薬会社の開発計画の見直しにより来期に延期となったこと等から期初に想定していなかった新規案件を深耕し、複数案件を受託したものの挽回するには及ばず、売上高、利益ともに予想を下回りました。
現在の受注状況については、平成31年1月に日本、韓国及び中国の3カ国で実施する大型の国際共同治験を獲得(一部契約締結手続き中)した他、米国やアジア、欧州を含めた国際共同治験案件など多くの新規案件の打診を受けて来期以降の業績に寄与する案件の営業活動が活発化しており、受注残高が大幅に積み上がり始めています。このことは、LAA社の買収によって日本、アジア、米国、欧州で一定規模のグローバル受託体制が整ったことによる営業面での効果が発現し始めたものと考えています。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は受託案件の増加に加え、LAA社買収により同社及びその子会社の売上高を取り込んだ結果、8,574百万円(前年同四半期比27.7%増)となりました。一方、営業利益は売上高が前年同四半期比では増加したものの当初の想定を下回ったため、先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価、販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生した取得関連費用やのれんの償却負担の増加等を吸収できず、1,001百万円(前年同四半期比25.7%減)となりました。経常利益は支払利息が生じる一方、円安により外貨預金等に為替差益が生じたこと等から1,027百万円(前年同四半期比23.2%減)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益はLAA社の米国内拠点の整理や余剰人員の整理に関連する一時的な事業構造改善費用を計上したことやLAA社で発生した税務上の繰越欠損金の将来における節税効果を現時点では繰延税金資産として認識できないこと等により458百万円(前年同四半期比49.1%減)となりました。
(注)「国際共同治験」とは、主要市場国における早期・同時上市を図るため、臨床試験を複数の国または地域において同時並行的に行うことをいいます。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①CRO事業
当社グループのCRO事業につきましては、日本、アジア、米国、欧州におけるグローバル受託体制の構築を引き続き強力に推し進めた結果、国際共同治験を中心とした受託案件が増加したことに加え、LAA社買収により同社及びその子会社の売上高を取り込んだ結果、売上に貢献いたしました。利益面においては、先行的な人材投資による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の売上原価、販売費及び一般管理費を取り込んだ他、LAA社買収に関連して発生したのれんの償却負担の増加等から減益となりました。この結果、売上高は7,819百万円(前年同四半期比29.0%増)、営業利益は1,938百万円(前年同四半期比4.6%減)となりました。
②育薬事業
当社グループの育薬事業につきましては、新薬発売後の臨床研究を中心とした案件の受注により人員の稼働率が上昇した結果、売上及び利益に貢献することとなりました。この結果、売上高は755百万円(前年同四半期比15.9%増)、営業利益は269百万円(前年同四半期比33.5%増)となりました。
(2)財政状態の分析
① 資産の部
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ4,158百万円(45.0%)増加し、13,406百万円となりました。これは、主に売掛金やのれんの増加によるものであります。
② 負債の部
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ4,139百万円(102.4%)増加し、8,182百万円となりました。これは、主に短期借入金、長期借入金の増加によるものであります。
③ 純資産の部
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ19百万円(0.4%)増加し、5,224百万円となりました。これは、主に利益剰余金が増加する一方、自己株式が増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
① 売上高
当第3四半期連結累計期間の売上高は、(1)業績の状況に記載の要因により、8,574百万円(前年同四半期比27.7%増)となりました。
② 売上原価
当第3四半期連結累計期間の売上原価は、主に治験業務受託件数の拡大に備え人員を増加させた結果、5,566百万円(前年同四半期比35.7%増)となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、主に昇格・昇給による人件費の増加やLAA社買収により同社及びその子会社の販売費及び一般管理費を取り込んだ他、当該買収に関連して発生した取得関連費用やのれんの償却負担が増加した結果、2,006百万円(前年同四半期比58.9%増)となりました。
④ 営業利益
当第3四半期連結累計期間の営業利益は、(1)業績の状況に記載の要因により、1,001百万円(前年同四半期比25.7%減)となりました。
⑤ 経常利益
当第3四半期連結累計期間の経常利益は、(1)業績の状況に記載の要因により、1,027百万円(前年同四半期比23.2%減)となりました。
⑥ 税金等調整前四半期純利益
当第3四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純利益は、経常利益が減少した結果、955百万円(前年同四半期比28.6%減)となりました。
⑦ 親会社株主に帰属する四半期純利益
当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純利益は、458百万円(前年同四半期比49.1%減)となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)経営戦略の現状と見通し
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営戦略の現状と見通しについて重要な変更はありません。
引き続き、当社グループは受託業務の選択と集中を推し進めることによって既存のCROとの差別化を図り、大手製薬会社と同等の立場で医薬品開発を実行・サポートできる知識・技術・経験を有するCROすなわち「CDO(Contract Development Organization)」を目指していく方針であります。