第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、有価証券提出日現在(2022年6月24日)において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。近年、国内外の製薬会社はその生命線である新薬の創出のため、自社の研究所以外に大学等との共同研究による効率的な創薬研究の活性化、グローバルでの企業統合、買収等により、開発候補品の充実を目指しています。また、新薬開発における投資効率を最大化するためには実質的な特許期間、すなわち後発品出現までの期間を最大化する必要がありますが、そのために国際共同治験を活用し、主要市場国における早期・同時発売を図ることは避けられない状況となっております。このような状況に対応していくため、当社グループでも経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。

 当社グループでは、特定の領域、受託業務、治験段階に注力し、大手製薬会社と同等の立場で医薬品開発を実行・支援できる知識・技術・経験を有するCROを「CDO(Contract Development Organization)」と称しております。当社グループは前述した製薬会社の要求に応えるため、主要事業のCRO事業において、主に治験の主たる段階であるフェーズⅡ、フェーズⅢにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に特化したCDOを目指し事業展開を行うことで、同業他社との差別化を図っております。

 また、近年増加しているがん領域及び中枢神経系領域疾患の開発品目に対応するため、人材採用、教育研修及び組織改変により受託体制の強化を図っております。今後も、増加する国際共同治験に対応するため、子会社を含めた人材採用、教育研修及び組織改変により受託体制の強化を図ってまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益(注)を目標とする経営指標にしております。

 

(注)1株当たり当期純利益は、親会社株主に帰属する当期純利益を発行済株式数で除した数値であり、株主価値を形成する重要な指標です。株式の評価指標の一つであるPER(株価収益率)の計算根拠の一つでもあり、株価収益率が一定水準に収束すると、1株当たり当期純利益の向上は株価水準の向上に結び付き、結果として株主価値の向上に寄与するものとなります。

 

(3)経営環境及び経営戦略の現状と見通し

 国内におきましては、当社グループが属するCRO業界の市場規模は引き続き成長を続けております。当社グループといたしましては、これらの状況を踏まえて、今後も主に治験の主たる段階であるフェーズⅡ、Ⅲにおけるモニタリング業務並びにこれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に注力し、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROとして、顧客への期待に応えていく所存であります。

 そのためには、モニタリング業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠となっております。CRAの人材確保にあたっては、即戦力となる優秀な中途採用者の積極的な獲得及びCRAの適性を有する新卒者、未経験者の採用を進めるとともに、採用したCRAに対して、入社時には相当の研修期間を設け、また、入社後も継続的に研修を実施することにより、モニタリング業務の品質の向上を常に図っております。

 また、新薬の開発においては、国際共同治験を利用したグローバルな開発が増加しており、日本を含むアジア、米国及び欧州で国際共同治験を実施できる体制を整えることで、中長期的なCRO事業の拡大に努めていく方針です。現在、米国、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、オランダ、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ハンガリー、中国、韓国、台湾、シンガポール等に現地法人を有しており、今後は、現地法人の機能をさらに強化することで、国際共同治験に対応できる体制作りを進めてまいります。

 さらに、当社グループは、CRO事業で取り組む医薬品開発業務の下流に位置する製造販売後の市場において、医薬品販売支援を行う育薬事業を展開しており、企業・医師主導の臨床研究、販売企画など複数の案件を受託しております。製造販売承認後の医薬品の価値を維持、増大させる活動を「育薬」と呼び、医薬品のライフサイクルマネジメントとして重要視されるようになってきています。また、臨床研究に係わる不祥事が多発したことから、臨床研究の透明化と適切な実施が求められ、2018年4月より臨床研究法が施行されています。このような背景のもと、臨床研究を中心としてアウトソーシングニーズが増加しており、医薬品販売支援業界の市場規模は拡大傾向にあります。当社グループの育薬事業では、CRO事業で得たノウハウを活かし、より専門性の求められる業務を受託し、高い品質のサービスを提供することで、同業他社との差別化を図ってまいります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループにおきましては、継続的な売上高及び利益の拡大、それを支える内部管理体制の充実を図るため、以下の課題を柱として取り組み、成長を期してまいります。

 

① 国際的な治験業務の体制強化

 当社グループはアンメット・メディカル・ニーズが高く、治験難易度の高いがん、中枢神経系、免疫疾患などの特定疾患領域への特化、特定治験段階への特化を推進することによって構築した治験の各業務における多様な知見・技術を欧州、米国など世界各地に展開することで、グローバルでの研究開発に積極的な製薬会社に対して、高品質のCROサービスをグローバルワンストップに提供しております。

 2018年4月、当社米国子会社が米国のCROであるAccelovance,Inc.(Linical Accelovance America, Inc.に商号変更済み)を子会社化し、世界最大の市場である米国での当社グループの機能強化を図りました。これにより、日本・アジア、米国、欧州の3極を枢軸とする国際共同治験に対応する体制を一層充実させました。さらに、2019年5月には中国上海に新たに子会社を設立しております。

 現在、米国、ドイツ、フランス、スペイン、イギリス、オランダ、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ハンガリー、中国、韓国、台湾、シンガポール等に現地法人を有しており、今後も、これらの国における国際共同治験の実施ニーズに合わせて規模拡大、機能強化を行い、現地法人の国際共同治験に対応できる体制を一層強化してまいります。

 一方で、国際共同治験の実施には、参加国における規制当局の考え方、医療保険制度、医療機関の体制、治験に対する患者側の参加姿勢など、様々な環境の違いがあります。当社グループにおいても、各拠点の環境の相互理解に基づく手順やシステムの統合、プロジェクトマネジメントの強化は、喫緊の課題となっております。

 加えて、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなど、季節性や地域性のある疾患に対するワクチンや治療薬等の開発を迅速に実施するためには、北半球だけでなく南半球においてもサービス拠点を確立し、年間を通して対象症例の組み入れが可能となる治験実施体制の構築が必要であると考えております。

 

② モニタリング業務の品質の向上・維持

 当社グループの主要な業務でありますモニタリング業務の品質を向上・維持することは、製薬会社との良好な信頼関係を構築し、経営基盤を安定化するうえで最重要の課題であります。そのため、品質マネジメントシステム、教育研修のさらなる充実化、ITシステム等を活用したモニタリングの効率化などを推進しています。また、日本では品質管理部門や当社独自の組織であるプロジェクト・コミッティーの機能を強化することにより、モニタリング業務、ひいては臨床試験の品質の向上・維持に努めてまいります。なお、プロジェクト・コミッティーとは、受託業務に係る品質を担保するために設置されている社内の組織であり、受託した治験実施計画書に対して事前に当社グループとして特に留意すべき点の確認・指示を行います。また、国際共同治験の増加に伴い、治験実施計画書の日本における実施可能性の検討や代替案の提示など役割範囲が拡大しております。構成メンバーは、臨床試験を主体とする開発業務に精通した経験者及び社外の医師から成り、グローバル化した当社グループの全社的な品質の向上と標準化に貢献するものとなっております。

 

③ 創薬支援、育薬への展開

 当社グループは、CRO事業の一部として、従前のモニタリング業務に加え、医薬品市場分析と開発戦略立案、規制当局に対する届出・相談・申請業務および共同開発や導出などパートナリング支援等を行う創薬支援業務や、これらの後工程に位置する医薬品発売後の期間において、医薬品の適正使用に寄与するデータ等を収集するための臨床研究等の企画、モニタリング業務、監査業務等を行う育薬事業を展開し、サービス提供領域を拡大しております。CRO事業における創薬支援業務については、サービス提供に高度な知識・経験が求められるため、人材確保・育成による受注能力の拡充が課題と考えております。また、創薬支援業務は、医薬品開発におけるワンストップサービスの導入部分となるため、当該業務の拡充は、グローバルのヘルスケア市場において存在感を高めているバイオテック企業の開拓と中長期的な関係構築のために極めて重要な課題と考えております。また、日本では、2018年4月に臨床研究法が施行され、発売後の医薬品に関する臨床研究は、治験とほぼ同様のルールによる規制を受けることになりました。この臨床研究法は、治験と同様に臨床研究においても責任の所在を明確化しデータの信頼性を確保するためのものとなっており、これによって客観性とリソースを確保するためのアウトソーシングニーズが拡大してきております。育薬事業にとっても大きなビジネスチャンスであり、CRO事業で得たノウハウ等を利用することにより、CRO事業同様、育薬事業においても高い品質のサービスを提供できるよう対応してまいります。

 

④ 優秀な人材の確保と育成

 開発難易度の上昇、研究開発費の高騰する新薬開発効率化ニーズに対応し、モニタリング業務の受託を拡大するにあたり、その業務の中心となる優秀なCRAの確保及び育成は必要不可欠であります。また国際共同治験の増加に伴い、これらに特有の業務や、各国間のプロジェクトマネジメント業務が増大いたします。このための人材育成も喫緊の課題であります。

 

⑤ 財務基盤の安定化

 当社グループは、グローバルに高品質なサービスを提供し続け、製薬会社から信頼を得て業務を継続的に受託することにより高い収益性の確保を目指します。また、予算実績管理及びコスト管理を徹底することにより内部留保の充実を図り、優秀な人材の確保、国際共同治験への体制構築等、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資に備えてまいります。

 

(5)次期の見通し

 

① 概要

 売上高は、欧米事業において順調に大型グローバル案件の受注獲得が進んでいることから、対前期比で増収となる12,440百万円(前期比7.7%増)を見込んでおります。営業利益は、欧米での事業拡大に伴う人材投資や、業務のデジタル化や情報セキュリティ等のIT投資が発生するものの、日本事業を中心に原価を厳密にコントロールすることで、前期比大幅増となる1,224百万円(前期比12.7%増)を見込んでおります。地域別の詳細は下記の通りです。

 

 米国におきましては、直近に米国発の大型の米欧試験の受注を獲得するなど、米国市場の新薬開発は旺盛で、足元の新規案件の引き合いも大きく増加しており、次期の売上に貢献する新規受注を順調に獲得しております。また、営業部門の強化を含め、引き続き米国市場の深耕に注力し、過去最高を記録した当期の業績をもとにさらなる持続的な成長を図ります。このような状況を反映し、米国においては次期においても順調に業績が推移するものと見込んでおります。

 

 欧州におきましては、営業部門強化が大きな成果を出しており、日亜米欧で実施される大型グローバル案件等を含む複数案件の受注を獲得し、次期以降の売上に貢献する受注残高が大きく増加しています。また、足元の新規案件の引き合いも大きく増加しており、欧州市場においても新薬の開発需要は旺盛な状況です。さらに、米国で獲得した大型の米欧試験については、その一部が欧州で実施されるなど、グループ内で営業面でのグローバル・シナジーも増加しています。このような状況を反映し、欧州においては次期においても順調に業績が推移するものと見込んでおります。

 

 日本・アジア地域におきましては、まず、日本において、新型コロナウイルス感染症への対応の相違等から欧米市場ほどの新薬開発需要の回復には至っておらず、引き続き地道な営業活動による新規案件の掘り起こしが必要な状況にあります。しかしながら、足元では大型の新規案件の引き合いも発生しており、受注環境に好転の兆しも見られます。また、中国において、上海市等でロックダウンが実施されるなどしたため、業績全体への影響は小さいものの状況を注視しております。

 

 以上の当社グループの展開地域の状況に基づき、次期の業績見通しにつきましては、売上高は12,440百万円(前期比7.7%増)、営業利益1,224百万円(前期比12.7%増)、経常利益1,204百万円(前期比1.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益871百万円(前期比10.2%増)を見込んでおります。

 

② 受注残高の推移

 当社グループにおいて受託する業務では、1年から3年程度の主な実施期間において、症例数や対象疾患に起因する治験の難易度などにより受託総額が決定します。この実施期間についてクライアントと委受託契約を締結し、契約に従い毎月売上が発生します。

 受注残高は、既に契約を締結済みの受託業務の受注金額の残高であります。これは、今後1年から5年程度の契約期間で発生する売上高を示しており、当社グループの今後の業績予想の根拠となる指標であります。

 各地域の受注状況につきましては、以下のとおりです。

 米国においては、直近に米国発の大型の米欧試験の受注やその他複数の新規案件を受注するなど、米国市場の新薬開発は旺盛で、次期以降の売上に貢献する新規受注を順調に獲得しております。また、その他にも複数の新規案件の打診を受けており、契約獲得に向けた交渉を行っております。

 欧州地域においては、前期からの営業部門強化が当期に大きな成果を出しており、日米欧で実施される大型グローバル案件等を含む複数案件の受注を獲得しております。また、現在、複数の大型案件を含む新規案件の打診を受けており、次期以降の売上に貢献する受注の積み上げに向け、営業活動を活発化しております。

 日本・アジア地域においても、来期以降の売上に貢献する新規案件の引き合いが増加しており、受注獲得に向けた営業活動を活発化しております。

 以上の改善傾向にある受注環境のもと、2022年3月期末時点の受注残高は2021年3月期末と比較して17.3%増の225億円となりました。

 

表.受注残高の推移

(単位:百万円)

 

2020年

3月期末

2021年

3月期末

(A)

2022年

3月期末

(B)

増減率%

(B-A)/A

受注残高

19,900

19,196

22,514

17.3

内訳

中外製薬

3,227

3,351

3,786

13.0

エーザイ

3,802

2,926

2,795

△4.5

小野薬品工業

1,328

841

653

△22.3

その他

11,541

12,077

15,279

26.5

 

2【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。

 当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在(2022年6月24日)において当社グループが独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 また、以下の記載は、当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんので、ご留意ください。

 

(1)特定の製薬会社への売上割合の高さに関するリスク

 当社グループは、有望な開発品目を多く有する大手製薬会社を中心に取引を行っていく方針であり、結果として特定の製薬会社への依存度が相対的に高くなっております。2021年3月期及び2022年3月期における主要販売先への売上依存度は以下の通りであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

エーザイ株式会社

1,488,231

14.5

1,593,305

13.8

中外製薬株式会社

1,521,281

14.8

1,477,359

12.8

 

 当社グループのこれまでの成長は、モニタリング業務の品質が顧客である大手製薬会社に認められた結果であるものと考えております。

 しかしながら、特定の製薬会社への依存が継続し、他の製薬会社との業務受託案件に対して適切に人材を配置できない場合、または当社グループの顧客である製薬会社が合併・統合等により経営方針を転換した場合や、主要取引先が消滅した場合には、特定の製薬会社を中心に取引を行う当社グループの事業方針の変更を余儀なくされる可能性や当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、製薬会社が当社グループに委託中のプロジェクトの開発中止を決定した場合に、CRAの稼働率が低下すること等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、創薬支援サービスなど業容の拡大により国内外のバイオベンチャー企業の需要の取り込みを図るなど顧客基盤の拡大に努めてまいります。

 

(2)治験の事故等によるリスク

 治験薬の副作用が生じた場合の直接の責任は製薬会社が負うことになりますが、当社グループを含むCRO業界が関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験において、重篤な副作用その他の重大な事故が発生した際に当社グループが顧客への報告等、十分に対応できなかった場合において、治験受託件数が減少し、もしくは訴訟を受けることにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループのCRAが関わった治験において、過失等により、治験標準業務手順書その他の規則の遵守を怠り、回収した症例報告書の信頼性等に問題があることとなった場合において、その治験の委託者である製薬会社に損害を与え、当社グループが損害賠償の責めを負うとき、または、委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときは、訴訟の提起や治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、当社グループではCRAに対して継続的に研修を実施し、業務品質の確保に努めております。

 

(3)CRO業界内の競争激化に関するリスク

 近年、中小規模で特徴を持たないCROにおいては、同業他社との差別化を図ることができず、吸収合併や倒産等により淘汰されてきております。当社は2005年の設立以来、大手製薬会社から治験を継続して受託しており、業績は順調に推移しておりますが、当社グループと類似したビジネスモデルを有するCROの増加や、差別化が難しいCROが行う低価格戦略に伴う価格競争の激化により、受託契約価格の下落が起こった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、当社グループでは製薬会社のグローバル開発ニーズに対応するべく日亜米欧でのグローバル受託体制をより一層推進し、高品質なグローバルワンストップサービスを提供することにより同業他社との差別化を図ってまいります。

 

(4)国内における治験の海外シフトに関するリスク

 医薬品の審査・承認制度は国ごとに異なっており、新薬の有効性や安全性等のデータには人種差があることから新薬製造承認申請には、基本的に各国で実施した治験のデータが必要です。しかし、「医薬品規制調和国際会議(ICH : International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use)において、新薬の承認審査データを相互活用するための条件整備に向けた、海外臨床試験データの受入れに関するガイドラインが最終合意されたことにより、日本国内においても一定の確認試験を基に、海外臨床試験データを用いて承認申請を行うことが認められるようになりました。また、医薬品開発の国際競争は益々過熱しており、いち早く各国で承認・販売を勝ち得るために、グローバル開発が製薬会社の主要な戦略となっております。当社では、このような医薬品開発の環境変化や製薬会社のグローバル開発ニーズに対応すべく、米国、韓国、台湾等での海外子会社の設立や、韓国、欧州、米国での企業買収を通じて医薬品のグローバル開発体制を整備しております。

 しかしながら、当社グループの地域別の売上構成に占める日本の比率は依然大きく、当社グループの医薬品のグローバル開発体制の整備・進展を大きく超えるスピードで治験環境のグローバル化が起こり、海外治験データの国内申請時における利用が急激に加速して国内で行われる治験数が減少し、当社グループの治験受託件数が減少するような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、当社グループでは製薬会社のグローバル開発ニーズに対応する日亜米欧でのグローバル受託体制の確立・進行による国際共同治験対応力の向上や海外子会社の受注獲得力向上を通じた海外受注比率の拡大を目指してまいります。

 

(5)製薬会社による治験の委託数減少のリスク

 近年、研究開発のスピードアップと固定費の削減を目的とした医薬品開発業務のアウトソーシング化が加速し、殊に治験のモニタリング業務において、適正な受託費で信頼性の高いデータの収集能力を有するCROに対する製薬会社の高い期待を背景としてCRO業界は堅調に成長しており、今後ともこの傾向は続くものと当社グループは考えております。

 しかしながら、当社グループの主要顧客である製薬会社の医薬品開発戦略の変更や治験の内製化等のアウトソーシングに係る方針転換等があった場合に、当社グループの治験受託件数が減少し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)法改正及び法規制等に関するリスク

① 当社グループが属するCRO業界は、薬機法、薬機法施行規則及びそれらに関連するGCP等の関連法令の規制を受けており、治験の各業務を受託するCROは、これらの法令を遵守し、治験によって得られた資料及びデータを顧客に提供する義務がありますが、これらの規制の強化、または新たな規制の導入により、事業活動が制約され治験の各業務の遅滞が発生した場合等には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

② 当社グループが、受託するモニタリング業務の実施等において、関連する諸法令に対して重大な違反の事実があった場合には、製薬会社から信用を失うことにより当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

  こうしたリスクへの対応として、品質管理の仕組みの充実やCRAに対する継続的な研修を通じた業務品質の確保に努めてまいります。

 

(7)人材獲得に関するリスク

 当社グループは、治験の各業務のうちモニタリング業務等に特化することにより、これまでの成長を実現してきたものと考えております。従いまして、当社グループの業容拡大において即戦力となるプロジェクトマネジャー、CRA経験者、医学・薬学知識を有する新卒者、未経験者の確保が必要不可欠であります。また、創薬支援業務については、より高度な知識・経験が求められるため、人材の確保・育成が必要不可欠であります。

 これまでのところ、当社グループは人材獲得の面で大きな問題に直面はしておりませんが、製薬会社やCRO業界等における人材獲得競争の激化等により、当社グループの計画どおりに人材を採用できない可能性があります。

 モニタリング業務等に必要な人材を確保できなかった場合、人材の教育・研修が遅れた場合、または他社からの人材引抜きにより当社グループの人材流出が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、通年採用やキャリア採用など人材獲得手段の多様化に努めるとともに、新卒者や未経験中途採用者への充実した導入研修や継続研修の実施など人材教育の拡充や働き方の多様化に対応する社内体制の整備・充実を図っております。

 

(8)情報の流出によるリスク

 当社グループを含むCRO業界が関わった治験にかかる個人情報の流出によりCRO業界全体が製薬会社から信用を失った場合、または当社グループが関わった治験にかかる個人情報の流出により製薬会社から信用を失った場合において、治験受託件数の減少や、訴訟の提起により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが関わった治験にかかる症例報告書等の機密情報について、その情報の流出があった場合において、当社グループが委託者である製薬会社から損害賠償の責めを負うとき、または、その情報の流出により委託者以外の製薬会社からも信用を失ったときには、訴訟の提起、もしくは治験受託件数の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、医薬品の開発業務において情報のデジタル化が進展する中、当社グループにおいてもこれまでITセキュリティの強化を随時実施しておりますが、その想定を超えたサイバー攻撃などにより、当社グループのITを利用したサービスの障害や情報漏洩が起こるリスクも増大しております。

 こうしたリスクへの対応として、外部専門家から指導・助言を得て、技術的・組織的な情報セキュリティをより一層強化しております。今後も継続的に情報セキュリティの運営・監視機能の維持・強化に取り組んでまいります。

 

(9)海外進出によるリスク

 当社は、増加する国際共同治験に対応するために、米国、ドイツ、フランス、イギリス、スペイン、クロアチア、オランダ、ポーランド、チェコ、ルーマニア、ハンガリー、中国、韓国、台湾、シンガポール等に現地法人を有しております。今後、事業を拡大するにあたって追加的な出資を行う場合や計画通りに事業が進展しない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、海外拠点を含め国際共同治験や臨床研究を実施する場合において、日本に機能を持たない業務を海外子会社や国内外の外部ベンダーに委託する必要性が出てきますが、そのマネジメントが適切に行われない等の原因により委託業務で遅延やトラブルが発生し、受託プロジェクトを通じ顧客である製薬会社に損害を与え当社グループが損害賠償の責めを負うとき、または顧客や顧客以外の製薬会社から信用を失ったときは、訴訟の提起や受託件数の減少等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)新型コロナウイルス感染症の再燃に関するリスク

 当社グループは、この度の新型コロナウイルス感染症の流行状況下においても、従業員の安全を確保するため様々な施策を講じつつ、治験や臨床試験の進捗に影響が出ないようこれまで業務を継続しております。一方、新型コロナウイルス感染症の大規模な再燃等により、以下のようなリスクがあると考えています。

 

① 従業員にクラスター感染が発生するリスク

 当社グループの事業は医療機関に訪問し業務を行うことが多いため、当社グループの従業員でクラスター感染が発生し、代替の従業員を用意できない等により、業務の継続が長期間にわたり困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、細心の注意を図り状況に応じた複数の感染対策を講じています

 

② 依頼者が新型コロナウイルス感染拡大の影響により開発を中断・延期するリスク

 依頼者である製薬会社等において、新型コロナウイルス感染症の再燃等の理由から、実施中もしくは予定している治験や臨床研究を中止または延期する状況が長期化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 医療機関において新型コロナウイルス感染拡大の影響により臨床試験等の実施が困難となるリスク

 治験や臨床試験を実施する医療機関において、新型コロナウイルス感染症の再燃等により医療機関のスタッフや施設などの機能が制限または停止し、被験者(患者)の募集や治験の実施に支障が出る場合や、当社の従業員が訪問を制限され業務を実施できない場合など、治験や臨床研究の実施が長期間にわたり影響を受ける場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 こうしたリスクへの対応として、治験業務をリモートで実施すること等により治験を継続することが可能な体制を整備しています。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

(1)財政状態

 当連結会計年度における財政状態は、資産合計については、前連結会計年度末と比べ435百万円増加し、15,716百万円(2.9%増)となりました。負債合計については、前連結会計年度末と比べ394百万円減少し、9,173百万円(4.1%減)となりました。純資産合計については、前連結会計年度末と比べ830百万円増加し、6,543百万円(14.5%増)となりました。

 

(2)経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は過去最高となる11,555百万円(前期比12.4%増)となりました。営業利益及び経常利益については、新型コロナウイルス感染症の流行の兆しを見せた2020年3月期の利益水準を回復し、営業利益は1,085百万円(前期比139.5%増)、経常利益は外貨預金等に為替差益100百万円等が発生したため1,183百万円(前期比101.1%増)となりました。

 当社グループは日本発のグローバルCROとして日亜米欧など18か国に拠点を展開しており、当連結会計年度の経営環境は、新型コロナウイルス感染症の状況やワクチン接種の進捗状況によって地域間で差異が生じました。しかし、米国は当第2四半期から、欧州は当第3四半期から、日本・アジア地域は当第4四半期から業績が正常化するとの期初における想定どおり、日本事業の復調に加え、米国、欧州事業の業績がコロナ前の正常な成長軌道に回復したことにより、当社グループの業績は、2021年10月以降、過半の月で月次の連結売上高が10億円を超えるなど好調に推移しました。また、営業利益及び経常利益については、受注の増加による稼働率向上により、IT投資等の追加費用が発生したものの、グループ全体で対前期比増益となりました。

 グローバル共同治験や複数国での海外案件について、日本のみならず欧州、米国、アジア発のグローバル案件の獲得が増えつつあり、グループ全体の収益向上に寄与し始めています。当社グループが目指してきた日本・アジア、欧州、米国3極でのグローバル・コラボレーション及びグローバル・ワンストップサービスの提供によるグローバル・シナジーが次の段階に進み始めたものと考えております。

 

 次に、各地域の状況は下記のとおりです。

 米国においては、7月以降デルタ株の感染が急速に拡大したものの、ワクチン接種が進んだことや重症化率/死亡率の低いオミクロン株への置換が進んだことなどから経済活動は改善しました。これに伴い、当社の米国事業においては、既存・新規の受注案件を順調に消化し、売上高、営業利益が過去最高を記録しました。この結果、前期比で大幅な増収・営業増益となりました。また、直近では米国発の大型の米欧試験の受注を獲得するなど、米国市場の新薬開発は旺盛であり、営業部門の強化も含め引き続き米国市場の深耕に注力し、持続的な成長を図ってまいります。

 欧州地域においては、当社の主要拠点国であるドイツ、フランス、スペイン等で米国同様に経済活動の改善傾向が続き、既存の受注案件を順調に消化し、さらに、複数の新規案件の売上貢献などにより当期の売上高、営業利益は過去最高を記録しました。この結果、前期と比較して業績は大きく回復し、増収・営業増益となりました。特に欧州事業では前期からの営業部門強化が大きな成果を出しており、日亜米欧で実施される大型グローバル案件等を含む複数案件の受注を獲得し、当期及び来期以降の売上に貢献する受注残高が大きく増加しています。以上のように、欧州事業につきましては、イギリスなどを中心に先行的な人材投資等のコスト増加要因はありますが、新型コロナウイルス流行前の成長・拡大路線に戻りつつあります。

 日本・アジア地域においては、日本では、上半期の受注活動の成果が売上に貢献したことに加え、ワクチン接種が進んだことやデルタ株が収束し重症化率/死亡率の低いオミクロン株への置換が進み経済活動が改善し受注案件の消化が進んだことや、原価の発生を抑制した結果、売上高は前期を僅かに下回ったものの、営業利益は大幅な増益となりました。

 韓国では、ワクチン接種が進んだことから、治験環境が改善し、既存の受注案件を順調に消化したことや、当期獲得した複数案件が売上に貢献したことで、売上高、営業利益が過去最高を記録し、前期比で増収・営業増益となりました。

 中国では、ワクチン接種が進み、治験環境が引き続き改善したことから受注案件を順調に消化し、前期比で売上高は増収となりましたが、先行的な人材投資等により営業利益は減益となりました。

 

 台湾では、新型コロナウイルス感染拡大により新規案件の獲得が進まなかったこと等の影響により、前期比で減収・営業赤字となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高、営業利益及び経常利益ともに前期比で大幅な増収増益となりました。

 また、親会社株主に帰属する当期純利益は、Linical Accelovance America, Inc.(以下、LAA社)の前身であるAccelovance, Inc.が買収以前に受託していた案件に関する仲裁に関連する弁護士報酬や和解金の支払、サイバー攻撃に関連した対策費等が発生する一方、LAA社の売主との間で合併契約上の補償条項等に起因する紛争等に関し和解契約を締結し、エスクローから和解金を受け取ったことから790百万円(前期比46.4%増)となりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により、売上高は226百万円増加し、営業利益及び経常利益はそれぞれ16百万円増加しております。

 上記の米国での紛争については、2021年11月12日に公表しました「(開示事項の経過報告)当社海外子会社に対する仲裁の申立に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、当社の連結子会社であるLAA社とTopical Remedy, LLC等と和解契約を締結したことにより今後これに関連する費用の発生はなくなります。

 また、2021年11月4日に公表しました「Accelovance, Inc. (現Linical Accelovance America, Inc.)の売主との和解に関するお知らせ」に記載のとおり、当社の連結子会社であるLinical USA, Inc. (以下「LUI社」)が、2018年4月に買収しましたAccelovance, Inc. (現Linical Accelovance America, Inc.)の売主との間で、合併契約上の補償条項等に起因する紛争等に関し、2021年11月3日、売主がLUI社に対して1,445,000ドルをエスクローから支払う旨の条項を含む和解契約を締結しました。本件和解によってLUI社が受け取った1,445,000ドルについては、当期において特別利益に計上しております。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① CRO事業

 当社グループのCRO事業につきましては、売上高は10,615百万円(前期比13.8%増)、営業利益は2,538百万円(前期比43.8%増)と増収増益となりました。

② 育薬事業

 当社グループの育薬事業につきましては、売上高は939百万円(前期比1.0%減)、営業利益は276百万円(前期比11.6%増)と減収増益となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より901百万円増加し、5,985百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は、1,631百万円(前連結会計年度は23百万円の獲得)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,031百万円、減価償却費168百万円及びのれん償却費271百万円の計上に加え、売上債権及び契約資産の減少額126百万円及び立替金の減少額225百万円があったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は、20百万円(前連結会計年度は169百万円の獲得)となりました。これは、主に投資有価証券の取得による支出50百万円及び有形固定資産の取得による支出45百万円があったものの、差入保証金の回収による収入100百万円があったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、951百万円(前連結会計年度は329百万円の使用)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出539百万円、配当金の支払額316百万円及びリース債務の返済による支出84百万円があったこと等によるものであります。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社グループの業務には生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

② 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

CRO事業

14,137,769

+56.5

21,978,802

+19.1

育薬事業

735,533

+35.1

535,954

△27.6

合計

14,873,302

+55.3

22,514,756

+17.3

 

③ 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

CRO事業  (千円)

10,615,431

+13.8

育薬事業   (千円)

939,656

△1.0

合計(千円)

11,555,088

+12.4

 (注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

      あります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

エーザイ株式会社

1,488,231

14.5

1,593,305

13.8

中外製薬株式会社

1,521,281

14.8

1,477,359

12.8

 

2.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年6月24日)において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、引当金の計上等見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。但し、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果はこれら見積りと異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

① 資産の部

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ435百万円増加し、15,716百万円(2.9%増)となりました。これは、主に現金及び預金の増加によるものであります。

② 負債の部

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ394百万円減少し、9,173百万円(4.1%減)となりました。これは、主に長期借入金の減少によるものであります。

③ 純資産の部

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ830百万円増加し、6,543百万円(14.5%増)となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

① 売上高

 当社グループの当連結会計年度の売上高は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ1,275百万円増加し、11,555百万円(前期比12.4%増)となりました。

② 売上原価

 当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ431百万円増加し、7,943百万円(前期比5.7%増)となりました。

③ 販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ211百万円増加し、2,525百万円(前期比9.1%増)となりました。

④ 営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ632百万円増加し、1,085百万円(前期比139.5%増)となりました。

⑤ 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ594百万円増加し、1,183百万円(前期比101.1%増)となりました。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ673百万円増加し、1,031百万円(前期比187.7%増)となりました。

⑦ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、前連結会計年度に比べ250百万円増加し、790百万円(前期比46.4%増)となりました。

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については「1[経営成績等の状況の概要] (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

② 財務政策及び資金の流動性についての分析

 当社は、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元のバランスの最適化を図ることを重要施策と位置づけ、株主の皆様からお預かりした資本に対して如何に報いるかという視点に立ち、業績を勘案した配当施策を行い、安定的に利益還元に努めてまいります。

内部留保金につきましては、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資として活用し、中長期的な成長による企業価値向上を通じて株主の皆様の期待にお応えしてまいります。

 当社グループの資金需要のうち主なものは、従業員給付費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、将来の事業発展に必要不可欠な成長投資としてのM&Aによる企業買収等のための資金であります。

当社は、事業活動のために適正な流動性の維持及び効率的な資金の確保を基本方針としており、主に営業活動から得た資金を財源とし、必要に応じて短期または長期の借入による資金調達を実施することとしております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,192百万円、現金及び現金同等物の残高は5,985百万円となっております。また、当社の資金の流動性については、十分な余剰資金に加え、国内金融機関との間で合計2,500百万円の当座借越枠を設定し、当社グループの資金の流動性を補完しております。

 

(5)経営成績等に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中長期的な成長による企業価値向上と利益還元バランスの最適化を図ることを重要施策と位置付け、安定的な利益還元の源泉となる1株当たり当期純利益を目標とする経営指標にしております。

 当連結会計年度の1株当たり当期純利益は35.00円(前年同期比46.4%増)となりました。これは、「1[経営成績等の状況の概要] (2)経営成績」に記載の要因により、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期と比して増加したことによるものです。

 1株当たり当期純利益の2022年3月期までの実績値及び2023年3月期の計画値は、次のとおりであります。

経営指標

2019年

3月期実績

2020年

3月期実績

2021年

3月期実績

2022年

3月期実績

2023年

3月期計画

1株当たり当期純利益(円)

25.09

21.38

23.91

35.00

38.56

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。