第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、グループ理念に掲げる使命・役割のもと、「食と健康」の企業グループとしてお客さまの生活充実に貢献することで持続的な成長・発展をすべく全力を尽くし、あらゆるステークホルダーとの信頼に基づき企業価値の向上を図ってまいります。

 

[グループ理念]

私たちの使命は、「おいしさ・楽しさ」の世界を拡げ、「健康・安心」への期待に応えてゆくこと。

私たちの願いは、「お客さまの気持ち」に寄り添い、日々の「生活充実」に貢献すること。

私たち明治グループは、「食と健康」のプロフェッショナルとして、常に一歩先を行く価値を創り続けます。

 

[経営姿勢]

グループ理念を実現させていくにあたり、経営の基本姿勢を表明したものです。

1.「お客さま起点」の発想と行動に徹する。

2.「高品質で、安全・安心な商品」を提供する。

3.「新たな価値創造」に挑戦し続ける。

4.「組織・個人の活力と能力」を高め、伸ばす。

5.「透明・健全で、社会から信頼される企業」になる。

 

(2) 中長期的な経営戦略と経営環境及び優先的に対処すべき課題

当社グループは、移り変わる環境下にあってもグループ理念を体現し、成長し続ける企業グループであるために、2026年度(2027年3月期)までの長期ビジョンを策定し、その実現を目指しています。

実現に向けては3年ごとの中期経営計画を策定してより具体的な実行計画に落とし込み、取り組んでいます。

また、2021年6月1日にはグループスローガンを「健康にアイデアを」に刷新しました。当社グループは100年以上にわたり「おいしさ・楽しさ・健康・安心」の世界を拡げることに努めてまいりました。これからはグループ内外の食と医薬の知見を融合させ、新しい価値を創造します。特に「健康」というフィールドで「meijiらしい健康価値」を提供し、これまで以上に大きな役割を果たしていくことを目指します。「meijiらしい健康価値」とは、CURE(なおす)、CARE(まもる)、SHARE(わかちあう)のサイクルでひとりの健康をみんなの笑顔につなげていき、健康であることの幸せを周囲に拡げ、社会、地球が健康である「より良い未来」に貢献していくことです。

 

① 長期ビジョン「明治グループ2026ビジョン」(2018年5月発表)

目指す企業グループ像

明治グループ100年で培った強みに、新たな技術や知見を取り入れて、「食と健康」で一歩先を行く価値を創造し、日本、世界で成長し続ける

 

目標水準

・営業利益成長率 1桁台半ば以上(年平均)

・海外売上高比率 20%を目指す

・ROE     10%以上を維持

 

重点方針

1.コア事業での圧倒的優位性の獲得

2.海外市場での成長基盤の確立

3.健康価値領域での新たな挑戦

4.社会課題への貢献

 

同ビジョンの実現に向けては、重点方針に沿って策定した「事業ビジョン」「サステナビリティビジョン」「経営基盤ビジョン」をもとに、活動を推進しております。

 

事業ビジョン

(食品セグメント)

国内ではコア事業であるヨーグルト、チョコレート、栄養食品に注力すると同時に、さらなる事業ポートフォリオの強化を目指します。海外では、各地域で明治らしい、差別化された商品を展開し、独自のポジションを確立します。そしてブランド認知を獲得し、成長を加速させます。

 

(医薬品セグメント)

感染症治療薬やジェネリック医薬品、バイオ医薬品などを国内のみならず、海外展開も含めてトータルで拡大します。特に感染症領域ではアジアのリーディングカンパニーとなるべく、生産能力、研究開発、普及活動をそれぞれ強化します。

 

(グループ全体)

食品、医薬品の各セグメントで培ったノウハウ・強みを活かすとともに、オープンイノベーションにより社外の知見を積極的に取り入れることで、健康・予防領域における独自価値の創出を目指します。

 

サステナビリティビジョン

人びとが健康で安心して暮らせる持続可能な社会の実現を目指して、事業を通じた社会課題の解決に貢献すべく「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」を主要活動テーマに掲げ、推進します。

 

経営基盤ビジョン

機能的・戦略的なマネジメント体制の確立や、一人一人の力が発揮できる環境・仕組み・風土づくり、さらにはmeijiブランドの進化に向けた取り組みを推進します。

 

② 経営環境及び優先的に対処すべき課題

 当社グループを取り巻く経営環境は、原材料市況や為替の動向に加えて、国内の消費動向や世界経済の情勢など、先行きが不透明な状況が続いています。また、気候変動や環境問題への対応、人権や多様性の尊重、持続可能な調達活動など、企業が果たすべき役割や責任も増大しています。企業価値評価の考え方も大きく変わっており、企業の持続可能性、リスクへの強靭性、社会への貢献度が重視されています。

 このような環境下、当社グループはグローバルで健康・栄養の社会課題の解決に貢献できる企業として持続的な成長を目指すべく、次の課題に適切に取り組んでまいります。

 ・経済価値と社会価値を同時に実現(トレード・オン)するビジネスモデルの確立を目指します。

 ・社会課題解決への取り組みは事業成長やイノベーションのためのシーズと捉え、新たな価値創造に果敢に挑戦します。

 ・ROICを活用した経営管理体制を強化し、最適な事業ポートフォリオを構築することで、資本生産性のさらなる向上を目指します。

 ・赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代の「こころとからだの健康」に貢献するユニークな企業グループとしての強みに磨きをかけ、グループシナジーの創出を実現します。

 なお、米国の関税措置による当社グループの各事業への直接的な影響は軽微と見込んでいます。ただし、関税措置を発端にした原材料相場や為替の変動、需給バランスの変化による調達リスクの発生などについて注視し、状況に応じて適切な対応を行ってまいります。

 

 

③ 2026中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)

「2026中期経営計画」では、市場・事業・行動の変革を通じた成長軌道への回帰を目指し、「2023中期経営計画」で掲げた明治ROESG®経営をさらに進化させていきます。社会課題の解決を事業戦略に取り込み、サステナビリティ・イノベーションにより社会価値を創出します。そして、経済価値と社会価値を同時に実現(トレード・オン)することで持続的な成長を目指します。

※ ROESGは一橋大学教授・伊藤邦雄氏が開発した経営指標で、同氏の商標です。

 

重点戦略及び目標指標は、次のとおりであります。

 

重点戦略

1.成長事業への経営資源の投入

2.安定したキャッシュ創出力の維持・強化

3.経営戦略に即した人財戦略の推進

 

目標指標

 

指標

2026年度 目標

(2027年3月期)

 統合目標

 明治ROESG

9.8ポイント

 成長性・収益性

 連結営業利益

1,165億円

 ・食品セグメント

830億円

 ・医薬品セグメント

400億円

 連結当期純利益

765億円

 海外売上高

2,525億円

 効率性・安全性

 ROIC

8.5%以上

 株主還元

 ROE

9.5%以上

 総還元性向

50%以上

 

2026中期経営計画における明治ROESG計算式は次のとおりであります。

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2025年3月期における2026中期経営計画の達成状況は、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況に記載のとおりであります。

 

 重点戦略における具体的な戦略のポイントは、次のとおりであります。

 

重点戦略1.成長事業への経営資源の投入

 食品セグメントでは、海外での飛躍的な成長に向け、キューブタイプ粉ミルクなどの技術・知財面で競争優位性のある商品や、チョコスナックなどの味や食感の設計、製造技術などで差別性のある商品で、積極的な事業拡大を目指します。現地ニーズに合致した商品開発やグローバル生産・供給体制の確立、マーケティングの強化に注力するほか、M&Aやアライアンスにも取り組みます。国内では、BtoB事業において、新規開発素材や自社ブランドを活用した売上拡大を図ります。

 医薬品セグメントでは、新規発売医薬品の価値最大化に取り組むとともに、画期的な新薬パイプライン開発を確実に進めます。

 

重点戦略2.安定したキャッシュ創出力の維持・強化

 食品セグメントでは、既存事業領域においてサステナビリティを付加価値や経済価値につなげる「市場創造型」の商品開発を推進します。「明治サステナブルプロダクツ認定制度」を設け、バリューチェーン上のあらゆるプロセスでサステナビリティ活動を推進し、商品コンセプトへのサステナビリティの組み込みを促進します。また、「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」を活用し、栄養価値の高い商品の開発・改良を促進します。デジタル技術を活かした新規ソリューション事業の立ち上げや、マーケティングへの活用による既存商品の価値の最大化にも取り組みます。

 医薬品セグメントでは、国家戦略と連動した医薬品の安定供給に取り組むほか、企業連携によるジェネリック医薬品バリューチェーンの強靭化を目指します。

 また、食品、医薬品セグメントともに、ROICの活用により経営管理体制を強化し、資本生産性の向上に取り組みます。食品と医薬品でハードルレートを別に設定し、事業別のROIC管理体制を強化します。継続的に営業利益率の向上を図るとともに、投下資本をコントロールしていきます。

 

 重点戦略1・2をふまえた各事業及びサステナビリティの主な取り組みは、次のとおりであります。

 

(食品セグメント)

・デイリー事業

国内での安定的な利益体質とグローバルでの成長基盤の確立に向け、高付加価値商品の提案、生産体制の見直

しを起点とした収益性の向上、中国事業の立て直しを中心に取り組みます。

・カカオ事業

グローバル展開を前提とした付加価値の高い事業への転換を図ります。サステナブルカカオ豆調達と連動した

新たな価値提供、国内外において独自性の高い商品投入やマーケティング施策の実行、グローバルでの競争力

向上のための開発・生産・販売体制の強化に取り組みます。

・ニュートリション事業

国内での新市場育成や独自価値を持った新商品の展開に取り組むとともに、海外展開の加速やさらなる成長に

も取り組みます。

・フードソリューション事業

業務用領域を成長ドライバーとして売上規模拡大と収益性向上を目指します。アプリケ―ションセンターを活

用して新規提案力を強化し、新たな高収益事業を立ち上げます。付加価値乳原料などのグローバル展開にも取

り組みます。市販領域では、低収益事業の改革に取り組むほか、アイスクリームやチーズなど主力ブランド強

化に取り組みます。

 

(医薬品セグメント)

・国内事業

感染症治療薬やワクチンの安定供給に取り組み、新興・再興感染症の脅威への対応など社会課題解決型企業と

しての持続可能な収益基盤の確立を目指します。画期的新薬の開発や供給により、アンメット・メディカルニ

ーズにも対応していきます。

・海外事業

CMO/CDMO事業における生産能力増強により、人口が増加しているアジアやアフリカなどにおける医薬

品アクセスの向上にも貢献します。グローバル製品の開発を推進するとともに、ヒト用ワクチンの海外展開も

検討いたします。

・ワクチン・動物薬事業

 ワクチンにおいては、次世代mRNAワクチン「コスタイベ筋注用」の普及促進のほか、インフルエンザワクチンの収益最大化、5種混合ワクチン「クイントバック水性懸濁注射用」のシェア拡大、新領域への参入を進めます。動物薬においては、国内市場での収益性強化に努めるとともに、海外市場での事業拡大にも取り組みます。

 

(サステナビリティ)

<こころとからだの健康>

・健康と栄養

「Meiji NPS(明治栄養プロファイリングシステム)」による当社商品の栄養価値の評価を実施し、

栄養不良の二重負荷(低栄養・過栄養)に対応した商品開発を強化します。

・新興・再興感染症の脅威への対応

新型コロナウイルスワクチンの開発・供給に取り組むとともに、デング熱などのワクチン開発や薬剤耐性菌に

対応する医薬品開発を進めます。

・医薬品の安定供給

堅牢なサプライチェーン構築により、基礎的医薬品、安定確保医薬品、ワクチン、血漿分画製剤の安定供給体

制の確立に取り組みます。

・製品品質の安全性・信頼性

食品では、製品の安全体制強化に取り組みます。医薬品では、新分野やグローバル展開に対応した信頼性保証

体制を構築します。

 

<環境との調和>

・気候変動への対応(脱炭素社会)

省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーへの移行により、Scope1、2排出量の削減に取り組み

ます。また、酪農分野でのGHG排出量削減などによるScope3排出量の削減も推進します。

・資源循環の推進(循環型社会)

プラスチック容器包装の「リデュース」の取り組みを進めるとともに、バイオマスプラスチックや再生プラス

チックの使用比率を拡大します。また、食品ロス削減にも取り組みます。

・水資源の確保

水使用量を削減するとともに、工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動を拡大し、水リスクへの対

応を進めます。

・生物多様性

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応を強化します。

 

<豊かな社会づくり>

・多様な人財の成長と活躍

グローバルビジネス人財の育成強化や、女性社員のキャリア支援と意識醸成に注力するとともに、多様な人財

の活躍を推進する管理者マネジメントスキルの強化に取り組みます。

・バリューチェーンにおける人権の尊重

人権デュー・ディリジェンスの強化に取り組みます。

・高い倫理観に基づいたマーケティング

責任あるマーケティングの強化やポリシーの策定に取り組みます。

 

<持続可能な調達活動>

・人権や環境に配慮した責任あるサプライチェーンを構築します。またカカオ豆では、明治サステナブルカカオ豆の調達拡大、トレーサビリティの100%確立、森林減少ゼロ・児童労働ゼロに向けた調達活動の取り組みを進めます。

 

重点戦略3.経営戦略に即した人財戦略の推進

 「多様な人財が自律・挑戦・成長・共創し、イノベーションを生み出す」との考え方のもと、経営戦略に基づいた人財・組織風土のあるべき姿を定め、それを実現する人財戦略を推進します。

 

(人財・組織風土のあるべき姿)

・挑戦と成長を続け、世界の食と健康をリードするプロフェッショナル人財

・多様な人財一人一人のウェルビーイングの実現を支え、個人・チームの可能性を最大限引き出す組織風土

 

財務戦略

・営業キャッシュ・フローは、重点戦略に沿って適切に戦略投資及び経常投資に配分します。

・M&A・アライアンス実行時は、現在の信用格付維持を前提としたD/Eレシオ0.5倍程度以内での負債調達

 を必要に応じて実施します。

・株主還元については、総還元性向50%以上とし、継続的な増配を目指します。また、最適資本構成の観点から

 自己株式の取得も検討します。

・政策保有株式は2027年3月期末において、連結純資産比5%未満とします。

 

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サステナビリティ戦略

(方針)

当社グループは、2026中期経営計画において「サステナビリティと事業の融合」を重要なコンセプトの一つとして掲げています。時代とともに変化する社会課題の解決を事業戦略に取り込み、サステナビリティ・イノベーションにより社会価値を創出し、経済価値とトレード・オンにすることで持続的な成長を目指します。

 

(戦略領域)

 2026中期経営計画で特定した12のマテリアリティは4つの活動テーマに分類されます。4つの活動テーマは、明治グループらしい独自性が発揮できる取り組みと企業活動の基盤となる取り組みの2つの要素で特徴付けができ、マテリアリティを体系的に位置付けています。マテリアリティに対して、事業を通じた取り組みを積極的に推進することで「サステナビリティと事業の融合」を図ります。

 

<サステナビリティ活動の構造>

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(ESG投資)

環境分野を中心に取り組み施策を推進する為に、ESG投資枠500億円を設定しています。

主な項目

2026中期経営計画における投資計画

CO₂排出量の削減

・省エネ機器の導入

・太陽光発電設備の導入 など

脱フロン対策

・ノンフロン冷蔵/冷凍設備の導入

プラスチック使用量の削減

・容器包装軽量化のための設備投資 など

水使用量の削減

・水の効率的な使用に資する設備の導入

医薬品の安定供給

・ペニシリン原薬の国産化に資する設備投資 など

労働環境整備

・労働安全対策、ダイバーシティ推進の為の環境整備 など

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、サステナビリティに関連するリスクと機会を含む重要課題を、経営の中核テーマと位置づけ、事業及び機能横断で連携する体制を構築・運用しています。サステナビリティ戦略と経営の統合を図るとともに、各組織の役割と権限を明確化し、実行責任を担保する運営体制を構築しています。なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが合理的に判断した内容に基づいています。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ戦略の実行力を高めるため、CSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務める「グループサステナビリティ事務局会議」を月次で開催し、社会課題の解決に向けた取組の企画・実行・進捗の確認を定期的に実施しています。同会議では、主に7つの下部会議体の協議結果がCSOに報告されます。戦略と実務の整合性を図るとともに、計画・実行・評価の連携を強化し、サステナビリティ経営の実効性を高めています。

 また、代表取締役社長CEOが委員長を務める「グループサステナビリティ委員会」を年2回開催し、グループ全体のサステナビリティ活動の進捗状況をモニタリングしています。重要事項については、経営会議において審議され、最終的に取締役会が監督する体制を整えており、これにより、サステナビリティと経営の統合を、実行力をもって着実に推進しています。

 なお、取締役のスキルや専門性に関する情報は、2025年6月更新予定のコーポレートガバナンス報告書をご参照ください。

 さらに、経営陣の持続可能な成長へのコミットメントを強化するために、役員報酬制度のうち株式報酬については、ROEなどの財務指標に加え、外部ESG評価機関によるスコアなどの非財務指標も考慮し、支給水準を決定しています(詳細は「4 コーポレートガバナンスの状況等(4)役員の報酬等 c. 非金銭報酬等に関する事項」参照)。

<ガバナンス体制図>

 

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 当社グループは、リスク管理体制においても、サステナビリティを経営の中核に位置付け、全社的に展開しています。グループサステナビリティ委員会にはリスクマネジメント部門の管掌役員が参画し、サステナビリティ関連リスクを、全社的なリスクマネジメント体制に統合しています。

 さらに、外部の多様な知見を得る仕組みとして、年2回「ESGアドバイザリーボード」を開催しています。2024年度には、「カカオ事業におけるサステナブルな訴求」「酪農の環境負荷低減」などをテーマとし、社外有識者4名による実務的かつ建設的な意見を踏まえ、戦略や施策の妥当性・改善点について社内で検討しました。今後も、こうした知見を積極的に取り入れ、取組全体の透明性と実効性の向上に努めてまいります。

 

(2)リスク管理

 当社グループは、2026中期経営計画の策定にあたり、サステナビリティに関連するリスクと機会を統合的に特定・評価しました。このプロセスは、国際的な開示基準を参照し、構造的かつ透明性の高い方法論に基づいて実施しています。これにより、グループの持続的成長と社会価値の創出を両立する基盤を構築しています。

 

<STEP①: リスク・機会に関する課題の網羅的リストアップ>

 国際的に信頼性の高い基準(SASB、GRI、国連GCなど)を参照し、環境・社会・経済の三側面から多様な課題を抽出しました。抽出された課題は、食品事業及び医薬品事業それぞれの事業特性を踏まえ、リスク・機会の二軸で分析対象としました。

 

<STEP② :リスク・機会の抽出及びマテリアリティの重要度評価>

 各課題について、定量スコアリング手法(ステークホルダー:4段階、事業影響度:5段階)に基づきマトリクス化し、両方とも高い評価となったものをマテリアリティとして選定しました。

・「ステークホルダーにとっての重要度」は、2026中期経営計画で新たに定義した6つの主要ステークホルダー

(お客さま、株主・投資家、社員、ビジネスパートナー、地域社会、政府機関・業界団体)ごとに4段階で評価

・「明治グループの事業における重要度」は、IIRC(国際統合報告協議会)のフレームワークに基づき、企業価値

創造に資する6つの資本(財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会関係資本、自然資本)ごとに5段階で
評価

 

<STEP③ :外部有識者による検証と最終決定>

 マテリアリティの妥当性については、ESGアドバイザリーボードでの助言・提言に基づき、分析手法及び結果の妥当性について検証を行い、当社のマテリアリティ評価及び戦略策定に反映しました。その後、グループサステナビリティ委員会での審議を経て、取締役会に報告を行い、最終的に12のマテリアリティを特定・決定しました。これらのマテリアリティは、2026中期経営計画における指標及び目標の設計・管理プロセスに反映されています。

 

<マテリアリティ・マトリックス>

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(3)戦略

当社グループは、マテリアリティ分析を踏まえ、2026中期経営計画におけるサステナビリティ戦略を策定しています。特定した12のマテリアリティは、「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」「持続可能な調達活動」の4つのテーマに体系化しています。

各マテリアリティに対しては、2030年及び2050年を見据えた中長期の目指す姿を明確にし、2026中期経営計画の期間中は、その実現に向けた具体的施策を計画的に推進しています。2024年度は中計初年度として、個別マテリアリティに対応するKPIの設定・進捗レビューを実施し、進捗状況に応じた施策の見直しや部門横断での取組強化を図ることで、戦略を着実に実行しました。2025年度以降は、KPIの進捗状況を踏まえた柔軟な対応を通じて、実効性の向上に、引き続き取り組んでまいります。

 

活動

テーマ

マテリアリティ

中長期の目指す姿

こころとからだの健康に貢献

健康と栄養

食のリーディングカンパニーとして、地域やライフステージごとに異なる健康と栄養の課題に向き合い、科学的なアプローチで栄養価値を評価し、人々の健康な食生活に貢献している。

新興・再興感染症の脅威

感染症領域におけるアジアのリーディングカンパニーとして、予防から治療にわたる医薬品を中心としたソリューションを提供し、感染症の高まる脅威から人々を守っている。

堅牢なサプライチェーン構築

による医薬品の安定供給

国内とグローバルに堅牢なサプライチェーン体制を確立し、高品質で経済的な医薬品を安定的に提供する。

製品品質の安全性・信頼性

食薬の領域でグローバルに事業拡大をする中で、品質保証と安全管理の業務を適切に実施し、製品回収ゼロを継続的に実現している。

環境との調和

気候変動

省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す。

資源循環

3R(Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す。

水資源

水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。

生物多様性

事業活動に伴う生物多様性・自然への依存と影響を把握し、生物多様性の損失に歯止めをかけ、自然環境に対してポジティブな影響を与える取り組みを積極的に行うことで自然との共生を目指す。

豊かな社会づくり

バリューチェーンにおける

人権の尊重

自社のバリューチェーン上における人権課題を認識し、社員一人一人が自分ゴトとして捉え、その対応に取り組んでいる。

高い倫理観に基づいた

マーケティング

サプライチェーン下流でのマーケティングによる影響を理解し、人権や環境に配慮した適切なコミュニケーションを実施している。

多様な人財の成長と活躍

社員と会社が共に成長している。

~ イキイキと働く多様な人財が新たな価値を創出 ~

共通

人権・環境に配慮した

サプライチェーンの構築

サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。

個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。

 

(4) 2026中期経営計画における指標及び目標

 2026中期経営計画においては、戦略(前項(3)戦略)で示したマテリアリティごとの中長期の「目指す姿」の実現に向け、関連する「主な取り組み」と、その進捗・成果を測定・管理するための「指標」及び「目標」を定めています。以下に、2024年度における各マテリアリティに対応するKPIの実績を一覧で示します。

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

健康と栄養

明治栄養プロファイリングシステム(Meiji NPS)による自社商品の栄養価値の評価実施および今後の栄養価値向上に向けた基礎データの整備

Meiji NPSによる自社商品評価比率(売上高比率)

㈱明治が国内で製造販売する商品のうち、業務用の商品、特殊な栄養設計を行っている商品、受託製造品を除く全商品

31.8%

対象商品の売上高比率90%以上

Meiji NPSにおける評価対象ライフステージの拡大

完成のターゲット年度

開発中

2026年度

健康な食生活・食文化の普及・啓発に向けた食育活動の拡充

3年間の食育活動の参加人数

29.3万人

累計80万人

体験型イベントの実施回数

10回

累計30回以上

健康志向食品などサステナブルな取り組みを重視するブランド群の拡大

KPIに関しては、食品セグメントの「明治ROESG対象のブランド群」の指標 (売上高年度計画の達成)と同一

“咀嚼~嚥下”のプロセスにおける、嚥下運動の可視化、新たな模擬装置の開発、実験方法の確立

スワロービジョンにより可視化・分析した医用画像の事例数

開発中

嚥下運動
事例数:10例

加齢に伴う咀嚼特性変化を反映した模擬実験法の確立

開発中

高齢者の咀嚼を模擬する実験法に関する論文公表

模擬送り込み装置による食塊の閉塞因子を評価する方法の確立

開発中

食塊の閉塞因子
評価方法に関する論文公表

新興・

再興感染症の
脅威

レプリコンワクチン「コスタイベ筋注用」の上市および国内供給体制の整備

国内製造供給比率

19.0%

30%以上

小児を対象とした安全で有効な不活化ワクチン「KD-414」の上市および国内供給体制の整備

ワクチン供給量

(生産能力ベース)

実際の供給量は感染状況で変わるため、生産能力ベースの指標とする

計画通り進捗

150万回分

先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の公募事業への参画による、デングワクチン「KD-382」の開発

開発Phaseの進捗

計画通り進捗

臨床試験Phase2

(人での用量確認試験)

の開始

2032年度の上市を目指す

カルバペネム耐性腸内細菌に対するβ‐ラクタマーゼ阻害剤「OP0595」の開発

承認を取得する国数

Phase3進行中

承認取得1カ国
以上

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

堅牢な

サプライチェーン

構築による

医薬品の安定供給

安定確保医薬品 カテゴリA製品(「バンコマイシン」「メロペネム」「スルバシリン」「タゾピペ」)の在庫月数のコントロールによる安定供給体制の確立

安定供給を確保できる在庫月数

平均3カ月

各製品6カ月

海外依存度の高いペニシリン原薬の国内生産体制の構築(岐阜工場における製造設備導入)

岐阜工場の生産稼働開始ターゲット年度

計画通り進捗

2025年度後期

ワクチンおよび血漿分画製剤の安定供給
体制の確立

製品欠品回数

欠品の定義:自社起因の欠品に限定

0回

0回

製品品質の

安全性・

信頼性

明治グローバル品質方針(Meiji’s Quality Policy)に基づく「明治品質コミュニケーション(Meiji Quality Comm)」活動の推進による品質への取り組み強化

重大品質事故件数

重大事故の定義:法令違反による回収および表示ミスや品質不良による自主回収を行った案件(海外含む)

1件

0件

協力会社(製品の委託/仕入れ先)
全拠点でのGFSI承認規格取得率

94.2%

100%

重点管理原料サプライヤーの工場
監査率

80.9%

100%

・新分野およびグローバル展開に対応した信頼性保証体制の強化

・製品ライフサイクル全般にわたる信頼性保証システムの変革

・品質マネジメントレビューの着実な
実施と信頼性保証活動(製造所監査、安全管理業務など)の徹底による未然防止

製販品目における回収などの重大
不適合の発生件数

0件

0件

規制当局対応における重大な指摘
件数

0件

0件

 

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

気候変動

省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減

Scope1、2排出量削減率

(基準年2019年度比)

25.0%

32%以上

酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減

Scope3排出量削減率

(基準年2019年度比)

範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ
1,4,9,12)

11.1%

15%以上

太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進

再生可能エネルギー比率

(比率:総使用電力量に占める割合)

24.2%

30%以上

資源循環

環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進

プラスチック使用量(総量)の削減率

(基準年2017年度比)

22.1% ※1

25%以上

再生プラスチック、バイオマスプラスチックの活用強化によるバージンプラスチックの使用量削減

バージンプラスチック使用量の削減率

(基準年2017年度比)

集計中

40%以上

PETボトルに使用する再生プラスチック使用比率の拡大

再生PETの使用比率

集計中

2025年度目標

70%以上

需給精度の向上による不良在庫削減、賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化などによる食品ロスの削減

食品事業における製品廃棄量の削減率

(基準年2016年度比)

26.8% ※1

2025年度目標

50%以上

生産(原料廃棄など)から販売(返品製品の廃棄)までのサプライチェーン上における食品廃棄物削減の推進

食品ロス発生量の削減率

(基準年2023年度比)

発生量対売上高原単位

集計中

2030年度目標

50%以上

工場での排出物の発生抑制などによる最終処分量の削減

再資源化率

85.3%

90%以上

動植物性残渣の再資源化(飼料化、肥料化、メタン発酵等)などによる食品廃棄物の削減

食品事業における食品リサイクル率

96.0%

※1

95%以上

水資源

水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減

水使用量の削減率

(基準年2020年度比)

売上高原単位あたり

27.1%

20%以上

工場の水源地での森林保全などによる水源涵養活動の拡大

水源涵養率

190.3%

80%以上

生物多様性

自然共生サイトへの認定登録の推進

(OECM国際データベースへの登録)

新規認定区域数

新規登録1件

(累計2件)

森林保全活動を行うための保守管理契約の締結

保守管理契約をする森林面積

15ha

40ha以上

・生乳、カカオを対象とした、TNFDフレームワークに沿った分析、対応策の策定

・カカオ、パーム油など主要原材料の森
 林減少への取り組み推進

KPIに関しては、次ページ「人権・環境に配慮したサプライチェーンの構築」の「(カカオ)GPSマッピング等の実態把握率」及び「(パーム油)森林減少に関与していないパーム油の調達比率」と同一。

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗(2024年度)

目標

(2026年度)

バリューチェーンにおける

人権の尊重

人権尊重に関する人権教育の実施

国内グループ会社社員に対する人権教育の実施率

受講率94.7%

受講率90%以上

年1回の受講

海外グループ会社(23社)に対する人権教育の実施率

34.8%(8社)

100%

海外における人権デュー・ディリジェンスの強化

海外リスク国の人権影響評価実施国数

0カ国

2025年度1カ国

実施予定

3カ国

高い倫理観に

基づいた

マーケティング

責任あるマーケティングコミュニケーションポリシーの制定および社員教育の実施

ポリシー制定のターゲット年度

未制定

2024年度中

ポリシー内容周知のための勉強会実施回数

1回(子ども向けマーケティングポリシー)

年1回以上

多様な人財の

成長と活躍

「●明治グループにおける人的資本への取組 (3) 指標及び目標」に記載をしております。

 

 

 

マテリアリティ

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗
(2024年度)

目標

(2026年度)

人権・環境に配慮した

サプライチェーンの構築

サステナブル調達アンケートの結果分析によるリスク評価、監査を含むエンゲージメントの実施

重要サプライヤーへの監査実施数

2社

累計30社以上

海外グループ会社サプライヤーに対するリスク評価実施

リスク評価対象先を選定

15社以上

メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)※2を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援

Meiji Dairy Advisory
(MDA)取り組み戸数

累計56戸

累計100戸以上

酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進

〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数

4戸(2,100頭)

累計30戸以上

メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)※3を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大

〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率

100%

100%

全ての調達先における農園までのトレーサビリティの確立

〈カカオ〉カカオ農園までのトレーサビリティ比率

97.7%

100%

児童労働監視改善システム(CLMRS)もしくは同等のシステムの導入による、児童労働ゼロに向けた取り組みの推進

〈カカオ〉児童労働監視改善システム導入率

ガーナの調達先:
98.7%

100%

全ての調達先:

59.4%

2030年度目標

100%

GPSマッピングなどによる農園の実態把握と森林の保護・回復を目的とした取り組みの推進

〈カカオ〉GPSマッピング等の実態把握率

ガーナの調達先:
91.2%

100%

全ての調達先:

88.6%

2030年度目標

100%

森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進

〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率

N/D

2025年度中
(上期)に
目標設定

大豆および大豆製品のうち、分離大豆たんぱくに対して、第一集荷所※4までのトレーサビリティを確立

〈大豆〉分離大豆たんぱくの第一集荷所までのトレーサビリティ比率

90.8%

100%

製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え

〈紙〉環境配慮紙の比率

製品包装:100%

製品以外
(事務用品、定型発行物):99.4%

100%

※1 2023年度実績を記載しています。

※2 酪農現場の人材マネジメントに焦点を当て、「持続可能性のある酪農経営」を支援する活動です。

※3 2006年に始まった「カカオ農家支援活動」のことです。

※4 生産地域の複数の農家から最初に搬入される場所のことです。

※5 KMバイオロジクス㈱及び明治アニマルヘルス㈱は除く

 

最新の実績は当社Webサイトを参照願います。

https://www.meiji.com/pdf/sustainability/stance/materiality-kpi.pdf

 なお、本表に記載された各指標及び目標の進捗状況については、各マテリアリティを主管する部門が年1回を基本に確認し、その状況を踏まえて必要に応じてグループサステナビリティ委員会において協議・見直しを行います。2025年度以降も、外部環境やステークホルダーの要請を踏まえ、KPIの柔軟かつ実効性の高い運用に努めてまいります。

●気候変動に関する考え方及び取組(TCFD提言に基づく開示)

 

 当社グループの事業は、豊かな自然の恵みの上に成り立っており、地球環境と共に生き「自然と共生」することが責務であると考えております。しかし、近年、地球環境の持続可能性が危ぶまれており、気候変動が中長期的に事業活動に与える影響も大きく、重要な経営課題であると認識しております。また、「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」でも気候変動への対応強化が求められており、当社グループはこうした国際的な枠組みに貢献すべく、脱炭素社会の実現に向けて気候変動への対応を推進しております。

 なお、気候変動に関しては、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに基づいて記載しています。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、サステナビリティ戦略を推進するために、責任者であるCSO(Chief Sustainability Officer)が議長を務めるグループサステナビリティ事務局会議を毎月開催し、気候変動をはじめとする社会課題解決に向けた取り組みを強化しています。また、当社CEO(Chief Executive Officer)が委員長を務めるグループサステナビリティ委員会では、半期ごとにサステナビリティ活動全般の進捗状況を報告し、新たな取り組みについて審議しています。特に、気候変動は重要な課題と位置づけています。

ガバナンスに関して、当社グループは、気候変動によるリスク・機会の分析と対応策について、グループTCFD会議(2024年度2回実施)において議論した後、その結果を経営会議で審議し、取締役会が監督し、経営に反映しております。

 

 リスク管理に関して、当社グループは、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに適切に対処するため、グループ全体でリスクマネジメントを推進しております。この中で、「気候変動」は主要な経営リスクと位置づけております。気候変動によるリスクや機会が時代とともに変化する事を認識し、グループTCFD会議では、TCFD提言に沿ったシナリオ分析を活用し、定量的な分析と評価を行い、優先度の高い主要インパクトを特定しています。これに基づいて、リスク管理フローに沿って対応策を検討しております。グループTCFD会議は、当社リスクマネジメント部も参画し、気候変動の影響をグループ全体の重大なリスクとして認識し、それに対応できる体制を構築しております。

0102010_006.png

 

(2) 戦略

 当社グループは、気候変動によるリスクと機会を重要な経営課題の一つであると認識しており、短・中期的には「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、長期的には、明治グループ長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」に基づき「気候変動」や「資源循環」などのマテリアリティとKPIを設定し、将来にわたって自然と共生していくための取り組みを推進しております。

 

<2024年度の取り組み及び開示内容のポイント>

・「Meiji Green Engagement for 2050」の達成に向けて、太陽光発電設備の導入など移行計画(トランジションプラン)に基づく対応策の強化

・2021年時点で策定した対応策への具体的な取り組みの推進

・前回特定した気候変動における事業機会に対する具体的取り組み事項の例示
 

1)リスクの財務インパクト評価

 

 当社グループを取り巻く気候関連リスク・機会の財務的影響を評価するため、シナリオ分析を実施しました。2つのシナリオ(1.5℃・4℃シナリオ)での分析結果のうち、影響の大きい主要インパクトの分析結果は次のとおりであります。

 

〈分析対象範囲〉当社グループ全体

対象事業セグメント

食品、医薬品

対象原材料

主要原材料[乳原料、カカオ豆、パーム油、砂糖、木材(紙)]

分析基準年

現状、2030年(中期)、2050年(長期)

 

〈分析結果の概要〉

<1.5℃シナリオ(移行リスク)における当社グループへの影響>

気候変動に関わる変化

主要インパクトと具体的な影響

当社グループへの影響

関係するサプライチェーン

影響額(億円)

2030年

2050年

政府の環境規制の強化

カーボンプライシング導入による影響額

製造

44

100

調達

物流

465※

475※

再生可能エネルギー普及に向けた設備投資の拡大

電力購入金額による影響額

製造

105

△48

※ 当影響額については、当社グループだけでなくサプライチェーン全体で負担するものと考えております。

 

<4℃シナリオ(物理的リスク)における当社グループへの影響>

気候変動に関わる変化

主要インパクトと具体的な影響

当社グループへの影響

関係するサプライチェーン

影響額

2050年

台風・豪雨などの激甚化や発生頻度増加

洪水被害による機会損失

製造

物流

国内外15拠点浸水リスクあり

年間リスク増分8.3億円※

気温上昇や水リスクなどによる原材料の生育環境変化

原材料調達コストの増加

調達

-

-

※ 国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、洪水被害における財務インパクトを算出しています。年間リスク増分とは、2050年までの時間軸で想定される将来リスクの増分を一年間に換算した金額です。詳細は、後続の「<4℃シナリオ>・洪水被害による操業停止などの機会損失」の項目をご覧ください。

 

〈分析方法及び結果の詳細〉

 

□ 主要インパクトと具体的影響

<1.5℃シナリオ>

・カーボンプライシング導入による影響額(自社)

2030年は、省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などにより16億円の削減を見込めるものの、44億円のコスト増加を想定しています。2050年は、新たな技術や次世代エネルギーの積極的導入など移行計画(トランジションプラン)に基づき、24億円の削減を見込んでいます。しかし、現在の技術では2050年にCO₂排出量をゼロにすることが困難なため、50億円のカーボンクレジットの購入が必要となり、100億円のコスト増加を想定しています。

 

   (単位:億円)

影響の内容

2030年

2050年

対応策未実施のカーボンプライシング負担額

60

74

対応策によるカーボンプライシング削減額

△16

△24

カーボンクレジット購入金額

-

50

合 計

44

100

 

 

 

・カーボンプライシング導入による影響額(主要原材料)

 主要原材料を調達する各国のカーボンプライスを基にした影響額は、原材料ごとに上昇するも、各種対応策の実施により、最終的には2030年は465億円の増加、2050年は同様に475億円の増加を想定しています。

 

 ※ 1.5℃シナリオにおけるカーボンプライシング導入による影響額については、国際エネルギー機関
(IEA)のWorld Energy Outlook (WEO) 2023で公表されているNZEシナリオのカーボンプライス(2030年、2050年)を基に算出しています。

 

・電力購入金額による影響額(自社)

2030年は、省エネ活動や創エネ活動などにより44億円の削減を見込んでいますが、電力価格の上昇や再エネ由来電力のプレミアム価格によるコスト増加があり、105億円のコスト増加を想定しています。一方、2050年は、技術の革新により電力価格は現状並みに下がり、省エネ活動などによる電力使用量削減が影響し、48億円の減少を想定しています。

   (単位:億円)

影響の内容

2030年

2050年

電力単価上昇に伴う増加額

140

1

省エネ活動、創エネ活動等による電力使用削減額

△44

△64

再エネ由来電力購入に伴う増加額

10

14

合 計

105

△48

 

 ※ 1.5℃シナリオにおける電力購入金額による影響額は、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク
  (NGFS)のNet Zero2050シナリオの情報を基に算出しています。

 

 

<4℃シナリオ>

・洪水被害による操業停止などの機会損失

 洪水による被害額は、国土交通省の「TCFD提言における物理的リスク評価の手引き」に基づき、財務インパクトを算出しました。国内外の生産拠点51拠点を対象としてリスク評価を実施した結果、国内13拠点、海外2拠点で浸水リスクが想定されました。財務インパクトは、各拠点で想定される浸水深などを元に、資産の被害額や操業停止による機会損失額を、年間のリスク増分として算出しています。2050年において、100年に1度の洪水規模での15拠点合計の年間リスク増分は、8.3億円/年を想定しています。

 

 

年間リスク増分(億円)

物件被害額

営業停止
損失額

償却資産
被害額

在庫資産
被害額

合計

国内

0.8

2.6

3.7

1.1

8.2

海外

0.1>

0.1>

0.1

0.1>

0.1

合計

0.8

2.6

3.8

1.1

8.3

 

・主要原材料調達への影響

原材料の生産地においても、気候変動による気温上昇や水リスクによって農作物の収量減少に伴う原材料単価の上昇が想定されます。主要原材料の生産地における収量変化や水リスクの分析を実施し、その結果の概要は以下のとおりです。

 

~想定される収量変化~

・カカオ豆や砂糖の調達国では、将来的に収量が減少すると予測されます。

・乳原料への影響は、2030年、2050年においても数%の減少に留まると予測されています。

 

~想定される水リスク~

・洪水リスクは、将来的にほとんどの地域でリスクが高くなると想定されるため、各生産地の洪水リスクを確認した上で、改善策の検討が必要であると考えています。

 

※ 4℃シナリオにおける主要原材料調達への影響については、FAOが公表しているGAEZv4データベース(RCP8.5)や文献調査に基づいた将来の収量予測情報を基に算出しています。

 

なお、原材料として調達する農作物は気候変動のみならず、自然資本・生物多様性の保全と密接に関係しています。自然関連財務情報の開示フレームワーク(TNFD)のLEAPアプローチを活用し、当社グループの重要原材料であるカカオ豆と乳原料の自然への依存と影響を分析しました。

 

~カカオ豆や乳原料の生産地での自然関連リスク分析~

・カカオ豆や乳原料の生産活動は、自然への依存度が高いため、主要な生産拠点における依存・影響状況を把握するための調査を行いました。

<カカオ豆>

「土地利用転換、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、土壌浸食の抑制、自然災害の影響緩和」という6項目について、特に重要度が高いということが分かり、そのうち、「土地利用転換・大気汚染」の2項目については、リスクが特に高い拠点数が多い結果となりました。

 ・土地利用転換のリスクが非常に高い拠点数      12ヵ所

 ・大気汚染(焼き畑など)のリスクが非常に高い拠点数 11ヵ所

 

<乳原料>

「水ストレスの脅威、水質汚濁、土壌肥沃度の維持、地下水・地表の利用」という5項目について、特に

重要度が高いということが分かり、そのうち、「水質汚濁」については、リスクが特に高い拠点数が多い

結果となりました。

 ・水質汚濁のリスクが非常に高い拠点数:26カ所

 

カカオ豆及び乳原料ともに、今後は生産地でのギャップ分析等を行う中で収量減少の回避に向けた取り組みを推進してまいります。

 

2)リスク低減に向けた取り組み

 当社グループは、気候変動の移行リスク・物理的リスクへの対応策として、GHG排出量削減の緩和策と、物理的リスクに対する備えである適応策を推進しています。

緩和策については、IEMA(Institute of Environmental Management and Assessment)のGHG管理ヒエラルキーに基づき、GHG排出量削減への取り組みを推進しています。

ⅰ Eliminate(回避)    :ビジネスモデルや事業ポートフォリオの変更等を通じライフサイクルを通じてGHGを排出しない事業構造へ転換

ⅱ Reduce(削減)        :製造工程や輸送の効率化等を通じ、エネルギー使用量やGHG排出量を削減

ⅲ Substitute(代替)    :再生可能エネルギーの活用、低炭素素材の調達等を通じ、よりGHG排出量の少ないエネルギー・調達物品への変更

ⅳ Compensate(補償・相殺) :削減しきれなかったGHG排出量に対し、カーボンクレジット購入等のオフセットによって相殺

 

 

・自社拠点の緩和策(GHG排出量削減に向けた取り組み)

自社におけるGHG排出量を削減するため、現在実施している省エネ活動、創エネ活動、再エネ由来電力の購入などに加え、新たな技術や次世代エネルギーの積極的な導入などを織り込んだ移行計画(トランジションプラン)を策定しました。概要は以下のとおりです。

 

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※ Scope1 事業者自らによるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

  Scope2 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴うGHGの間接排出

 

 緩和策については、当社工場等に太陽光発電設備や省エネ設備の導入をはじめ、RE100対応の再生可能エネルギー由来電力の購入等、様々な取り組みを行っています。移行計画を基に各取り組みを推進し、その結果、2024年度において、総使用電力に占める再生可能エネルギー比率が24.2%となりました。引き続き、2050年の100%達成を目指して取り組みを推進していきます。

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緩和策の例〈守谷工場における太陽光パネルの導入〉

 守谷工場において、太陽光パネルを導入しました。2025年1月より稼働し、年間約1,200tのCO₂を削減する見込みです。

 

・サプライチェーンの緩和策(GHG排出量削減に向けた取り組み)

主要原材料におけるGHG排出量については、CO₂だけでなく酪農業由来のメタンなどGHG全般での排出量削減が重要な課題と捉えています。GHG排出量削減に向けて、酪農を中心としたScope3における移行計画を策定しました。GHG排出量削減を効果的に行うために、サプライチェーンにおけるGHG排出量の多いプロセスを特定すべく、まずは牛乳のカーボンフットプリント(CFP)を算定し、次にそのプロセスでの排出量削減策を策定し取り組みを開始しました。さらに、その他の原材料における対応策も検討すると同時に、GHG排出量削減に向けたサプライヤーとのエンゲージメント(対話)を実施することで、サプライヤーの排出量削減、ひいてはサプライチェーン全体の排出量削減を促進していきます。

 

Scope3削減の移行計画(トランジションプラン)の概要は以下のとおりです。

図中の1~5については、以下に対応策詳細を記載しております。

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※ Scope3 Scope1、2以外のGHG間接排出(購入した原料・包材等の生産・製造・輸送から、それらを加工した製品の販売・輸送・使用・廃棄に至るまでの企業活動におけるサプライチェーン上で発生するGHG排出)のこと。

対応策1 乳牛由来のGHG削減施策 (乳牛の呼気メタン削減に向けた実証実験)

2024年5月にはスイス・オランダに本拠を置く飼料・食品添加物大手のdsm-firmenich社の協力のもと、酪農に伴うGHGの中でも最大の課題である、牛のゲップに含まれるメタンの削減プロジェクトに着手しました。同社が開発した「ボベアー®」を牛に投与することで牛の消化管由来のメタンの排出を平均約30%削減できると見込んでいます。「ボベアー®」を投与した乳牛から採取した生乳の品質を検査し、大きな悪影響がないことを確認しました。

 

対応策2 カーボンファーミング(炭素貯留農業)に関する取り組み

カーボンファーミングは、大気中のCO₂を土壌に取り込むことで、農地土壌の質を向上させると同時に、GHG排出量削減を目指す農法です。2023年8月、酪農家や別海町と共に道東カーボンファーミング研究会を立ち上げ、別海町の土壌のCO₂貯留量を測定しました。2024年度は、その結果を基にカバークロップ、堆肥の有効利用などCO₂貯留量を増加させる農法の確立を目指し検証しました。

 

対応策3 カカオに関する取り組み

気候変動への対応として、ガーナにおいて気候変動に適応する栽培法を指導したり、アグロフォレストリーを通じて森林伐採地に多品種の作物を植え、森を再生したりしています。また、気候変動に伴い生産量の減少が想定されるため、その対策として、カカオ細胞培養スタートアップ(California Cultured Inc.)に出資し、持続可能なカカオの調達を推進します。

 

対応策4 プラスチック資源循環の取り組み

容器包装材料の主たる原料である石油由来のプラスチックを削減することはGHG排出量の削減にも繋がります。石油由来原料のプラスチックの削減策として、「明治おいしい牛乳」のキャップや注ぎ口にバイオマスプラスチックを使用しています。また、リデュースを推進する取り組みとして、「明治ブルガリアヨーグルト」カップの軽量化などを行っております。さらに、「R-1ドリンクタイプ」に順次リサイクルプラスチックを採用しています。2024年度には、サントリーグループや各自治体と「ボトル to ボトル」水平リサイクルに関する協定を締結しました。この産官民の三位一体のスキームを通じて使用済みペットボトルをペットボトル容器として再生・使用します。この取組を通じて石油由来原料プラスチックの新規使用量の削減を目指します。

 

 プラスチック使用量推移、目標

年度

2017年度
(基準)

2023年度

(実績)

2030年度
(目標)

実績 (t)

30,807

24,003

21,567

(うち、再生プラスチック・バイオマスプラスチックの使用量(t))

1,601

削減量(t)

6,804

9,240

削減率(%)

22.1

30.0

 

 

対応策5 サプライヤーエンゲージメントの実施

サプライチェーンにおけるCO₂排出量削減努力をScope3に反映させるために、サプライヤーとのエンゲージメント(対話)を通じて、サプライヤーの実際の排出量に基づく1次データの取得に取り組んでいます。

 

0102010_010.png

 

対象サプライヤー

エンゲージメント内容

2024年度実績

・GHG排出量が多いサプライヤー22社

 

2025年度計画

・上記に加え、コンシューマーグッズフォーラムでの協働エンゲージメントで対象を拡大

依頼事項

・明治グループが調達する原材料ごとの排出量の算出

・GHG排出量の実績算出、削減目標の設定

 

課題事項

・サプライヤーから入手した排出量データのScope3への反映

 

・適応策(洪水リスクの低減に向けた取り組み)

洪水リスクへの対応策として次の取り組みを実施しています。

・リスクの高い拠点において、現地と連携しリスク評価結果のギャップ分析を行い、実態を把握しています。

・特に優先度の高い事業所に対しては、詳細な調査を行い、浸水エリアや浸水深を想定したハード面での対策を検討し、実施しています。例えば、ボックスウォール(仮設止水版)や防水壁の設置などがあります。

 

3)事業機会の創出

気候変動は、社会や生活に変化をもたらし、新たなニーズや機会創出に繋がると考えています。また、気候変動の緩和に取り組むことがコスト削減などの機会に繋がると認識しています。当社グループでは、現在の事業基盤を活かし、新たな資源を取り入れることで以下のような機会獲得の可能性を想定しています。

 

<事業機会の概要>

機会要因

当社グループへの影響

低エネルギー・

資源効率

緩和策の推進による自社の事業コスト(電気料金・カーボンプライスなど)の低減

2030年度:60億円、2050年度:88億円

(未対策の場合と比較したコスト削減額を記載)

技術・市場

気候変動の直接的影響により社会や生活への影響が生じ、製品・市場のニーズが向上

下記のような製品・市場へのニーズが拡大

・生活様式の変化による巣ごもりなどへの対応

・環境意識の高まりへの対応

・新興・再興感染症への対応

 

 

   <緩和策による事業コスト(電力購入金額・カーボンプライスなど)の低減>

1.5℃シナリオの分析において示すとおり、今後CO₂排出量に応じて事業コストが見込まれる一方、緩和策に取り組むことはそれらのコストの削減につながります。

    (単位:億円)

影響の内容

2030年

2050年

緩和策によるカーボンプライス削減額

16

24

省エネ活動、創エネ活動等による電力購入金額削減額

44

64

合 計

60

88

 

   <気候変動の影響による製品・市場のニーズの高まり>

次のプロセスを通じて事業への影響を検討しました。

 ・グループTCFD会議の事務局メンバーが、機会検討に関係する組織に個別にヒアリングを実施しました。

 ・グループTCFD会議にて、「機会の方向性」を審議しました。

 ・既存事業との関係、現状の自社アセットでの対応可否、実現可能性等の観点から、定性的に整理しました。

 ・機会獲得のポイントを実現可能性の高いものに絞り込み、事業機会を特定しました。

 

気候変動の直接的影響

気候変動による社会や生活への影響

・平均気温の上昇

・災害の激甚化

・降水パターンの変化

・生物多様性毀損

・農産物の収量減少

・海面の上昇

・永久凍土の溶解

  など

・気温上昇での生活様式変化(外出・移動自粛、巣ごもり、止渇・熱中症など)

・食品・エネルギー価格の上昇、生産者の支出の変化

・GHG排出規制の強化や水リスク(渇水、水質悪化)顕在化

・環境負荷を低減させる生活の推進(ロスや廃棄削減、省エネ、エシカル消費など)

・医療ひっ迫の恒久化や感染症予防意識の高まり

・災害対策の意識の高まり

・開発途上国の栄養不足深刻化

 

機会獲得のポイント

高まることが想定されるニーズ

明治グループにおける機会

生活様式の変化による

巣ごもりなどへの対応

・気温上昇による止渇、熱中症対策

・家庭内で生活を完結できる商品や仕組み

・栄養バランスの改善による健康維持

・暑さ対策商品の拡大

・カスタマイズ型栄養支援ビジネス

環境意識の高まりへの対応

・環境負荷の小さい商品

(植物由来、細胞培養、循環型農業など)

・廃棄ロスやエネルギー使用を低減した商

 品や生活様式

・原材料の持続可能な調達

・環境負荷低減型商品の拡大

・環境配慮、支援型ビジネス

・持続可能な原料活用商品の拡大

新興・再興感染症への対応

・感染症予防のための行動の習慣化

(うがい、手洗いの励行、マスク着用、免

 疫力強化など)

・感染症に対するセルフメディケーション

・開発途上国における感染症対策

・グローバルでの抗感染症薬、免疫

 力強化商品の拡大

・自然免疫、獲得免疫、治療薬など

 感染症トータルケアビジネス

・開発途上国、原料生産国への感染

 症対策商品の提供や支援

 

 

さらに、これら8つの事業機会を、現在既に手掛けているものから、中長期的に仕掛けていくものへと時間軸で優先順位付けを行いました。

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事業機会①⑤ 「環境負荷低減商品の拡大」や「持続可能な原料活用商品の提供」の事例

 

「meiji サステナブルプロダクツ社内認定制度」の取組強化による事業機会の創出

 バリューチェーンの各プロセス(開発、調達、生産、物流、消費)において、サステナビリティ活動に積極的に取り組み、社会課題解決型商品としてお客様に訴求することで、新たな価値の創造を目指しています。

事業機会

認定基準

主な要件事項

機会① 環境負荷低減商品の拡大

人権、環境に配慮した

容器包装

プラスチック使用量削減、
再生プラスチック・バイオマス素材使用、
リサイクルしやすい設計など

機会⑤ 持続可能な原料活用商品の提供

人権、環境に配慮した

原料調達

認証原料の使用、
環境配慮農法により生産された原料の使用など

 

事業機会③ 「感染症トータルケアビジネス」の事例

 

<新規モダリティの獲得>

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「コスタイベ筋注用」の国内製造販売承認を取得しました。今回の承認は、次世代 mRNAワクチン(レプリコン)として世界初となります。「コスタイベ筋注用」は、新規の sa-mRNA技術を使用しており、少量の mRNAで高い免疫応答が期待できます。当社グループは、先進的なモダリティ技術を獲得し、将来に向けた新たなワクチン開発の技術基盤を築いてまいります。

 

(ⅰ)デングウイルス感染症に対する新規ワクチンの開発

 気候変動による温暖化や降水量の変化に伴い、病原体の媒介生物の生息地や生活環境が変化しつつあります。この結果、デングウイルス感染症の流行地域が拡大しています。

デングウイルスは、ヒトにデング熱、デング出血熱及びデングショック症候群をおこす蚊媒介ウイルスの一種で、WHO報告によると熱帯・亜熱帯地域の100カ国以上で、世界人口の約50%に相当する39億人が感染リスクにさらされ、毎年1~4億人が感染するとされています。年間3.9億人が感染し、9,600万人が発症したとする推計も報告されています。世界経済フォーラムによると今世紀末には、84億人がデングウイルス感染症などの蚊媒介感染症に感染する可能性があるとの調査結果もあります。

 KD-382(弱毒生4価デング熱ワクチン)は、非臨床試験及び健康成人を対象として非流行国で実施した第Ⅰ相臨床試験において良好な安全性と免疫原性・防御効果を示すことが確認されています。デングウイルス感染症は小児の重症化リスクが高いことから、現在、小児における安全性と免疫原性を検討するため、先進的研究開発戦略センター(SCARDA)の支援のもと、第Ⅱ相臨床試験の準備が進められており、さらに、厚生労働省が実施する「ワクチン大規模臨床試験等事業」にも採択され、本事業による助成金を活用し、第Ⅲ相臨床試験を実施していく計画であり、デングウイルス感染症の予防に向けた新たな選択肢として期待されています。

 

(ⅱ)既承認ワクチンによるエムポックス(急性発疹性疾患)流行制圧への国際貢献

 地球規模の気候変動が干ばつなどを通じて各地の気象条件を急激に変化させた結果、動物間の感染にとどまっていたエムポックスなどのウイルスが人に伝播する傾向が強まっており、感染症の拡大がより持続的で頻繁になっているとの見解がWHOにより示されています。

 現在、コンゴ民主共和国を中心にアフリカ諸国では、エムポックスの流行が継続しており、多くの感染者数・死亡者数が報告されています。当社グループの『乾燥細胞培養痘そうワクチンLC16「KMB」』は、2022年8月に「エムポックスの予防」の効能追加承認を得ており、2024年11月にWHO緊急使用リストに登録されています。1回接種で予防効果を発揮でき、乳幼児を含むすべての年齢層に使用可能な弱毒生ワクチンです。2025年1月25日には、日本政府よりコンゴ民主共和国に対して5万回分が無償供与されました。今後、当社グル-プは、WHO事前認証の取得を目指します。また、引き続きWHOや厚生労働省などの関係機関と協力しながら、コンゴ民主共和国を中心とするアフリカ諸国でのエムポックスの深刻な流行の制圧に繋がることを目指し、本ワクチンの流行地域での接種拡大を通じて国際的な公衆衛生上の緊急事態への対応に貢献してまいります。

 

(3) 指標及び目標(進捗状況含む)

当社グループでは、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」、明治グループの長期環境ビジョンである「Meiji Green Engagement for 2050」を策定し、それぞれのビジョンに基づいてマテリアリティとKPIを設定しています。長期環境ビジョンにおいて、気候変動に関するKPIは、パリ協定の努力目標である世界全体の平均気温を1.5℃ に抑えることを目標としています。

気候変動に関わるリスクや機会への対応は、環境負荷低減活動に加えて、原材料調達など多岐にわたります。そのため、以下のKPIを設定し、定期的に進捗状況を確認し、達成に向けて計画的に取り組んでおります。また、これらの取り組みは、明治ROESG指標の一部として評価され、役員報酬に反映されます。

 

※ 明治ROESGのうち気候関連の評価項目に係る部分を区分して割合を示すことは困難であると認識しています。

 

<ESG投資枠の拡大>

Scope1、2、3における移行計画の推進のため、2026中期経営計画において「ESG投資」を500億円と設定し、サステナビリティ施策を着実に推進します。主な施策は、以下の通りです。

 ・酪農業のGHG排出量削減に向けた取り組み

 ・太陽光発電設備の導入

 ・脱フロン対策(例:ノンフロンターボ冷凍機の導入)

 ・脱プラスチック対策(例:小型ペットボトル軽量化に向けた設備導入)

 

<インターナルカーボンプライシング制度の見直し>

2024年度から、インターナルカーボンプライシング制度の炭素価格を1t-CO₂当たり5,000円から15,000円に変更し、カーボンプライシング本格導入後の円滑な対応に向けた準備も進めております。

 

<サステナビリティボンドの発行>

当社のサステナビリティビジョンを達成するための必要資金として、2021年にサステナビリティボンドを発行し、資金調達を実施しています。

サステナビリティ関連の資金調達に関しては、当社のウェブサイト「サステナブルファイナンス」をご参照ください。(https://www.meiji.com/sustainability/stance/finance/)

 

 

<2026中期経営計画における気候変動によるリスクと機会に関係するKPI>

中長期の目指す姿

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗

(2024年度)

目標

(2026年度)

サプライヤーと連携・協力してサプライチェーン全体で人権・環境などの社会的責任に配慮した調達活動に取り組み、責任あるサプライチェーンを確立している。

メイジ・デイリー・アドバイザリー(Meiji Dairy Advisory:MDA)を通じた、酪農現場の人材マネジメントによる人の成長および人権、アニマルウェルフェア、GHG排出量削減などの社会課題の解決支援

Meiji Dairy Advisory

 (MDA)取り組み戸数

累計56戸

累計100戸

以上

個々の原材料についてトレーサビリティの確立に努め、原材料生産地での人権・環境などに関わる社会課題を把握し、その課題解決により持続可能な原材料調達を実現している。

酪農家におけるGHG排出量削減に向けた取り組みの推進

〈生乳〉GHG排出量削減に取り組む酪農家戸数

4戸

(2,100頭)

累計30戸

以上

メイジ・カカオ・サポート(Meiji Cocoa Support:MCS)を通じ、農家支援を実施した地域で生産された明治サステナブルカカオ豆の調達拡大

〈カカオ〉明治サステナブルカカオ豆の調達比率

100%

100%

森林モニタリングを通じたサプライチェーン上の森林減少のリスクの特定・検証による、森林減少に関与していないパーム油の調達推進

〈パーム油〉森林減少に関与していないパーム油の調達比率

2025年度中

(上期)に

目標設定

製品の容器包装の環境配慮紙100%維持および事務用品や定型発行物の環境配慮紙への切り替え

〈紙〉拡張した対象範囲における環境配慮紙の比率

対象範囲:事務用品、定型発行物

100%

100%

 

中長期の目指す姿

主な取り組み

指標(KPI)

実績/進捗

(2024年度)

目標

(2026年度)

省エネ・創エネ活動の強化、再生可能エネルギーの利活用、酪農分野でのGHG排出量削減などによりサプライチェーン全体のCO₂排出量の削減を図り、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指す

省エネ・創エネ活動の強化、カーボンクレジットの活用などによるScope1、2におけるCO₂排出量の削減

Scope1、2

 排出量削減率

(基準年2019年度比)

25.0%

32%以上

酪農分野でのGHG排出量削減、容器包装材料の使用量削減、サプライヤーとの連携強化などによるScope3におけるCO₂排出量の削減

Scope3排出量削減率

(基準年2019年度比)

範囲(調達・物流・廃棄カテゴリ1,4,9,12)

11.1%

15%以上

太陽光発電設備の導入拡大、再エネ由来電力の活用強化による再生可能エネルギーへの移行推進

再生可能エネルギー比率

比率:総使用電力量に占める割合

24.2%

30%以上

3R (Reduce, Reuse, Recycle)+Renewableの取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えながら付加価値を生み出す活動を推進することで、製品価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑制などを図り、サーキュラーエコノミーへの移行を目指す

環境配慮型素材の研究開発を進めながら、プラスチック容器包装のリデュース推進

プラスチック使用量(総量)の削減率

(基準年2017年度比)

22.1% ※

25%以上

(海外子会社除く)

水使用量の継続的な削減に加え、水源涵養など水源保全活動への積極的な取り組みによりウォーターニュートラルを実現している。

水の効率的な使用、節水型設備の積極的導入などによる水使用量の削減

水使用量の削減率

(基準年2020年度比)

売上高原単位あたり

27.1%

20%以上

※ プラスチック使用量削減値については、2023年度実績をもとにしています。

 

 なお、当社グループにおける2023年度のGHG排出量(Scope1、2、3)の実績については、下記の当社ウェブサイトで開示しております。(https://www.meiji.com/sustainability/harmony/climate_change/)

 

●明治グループにおける人的資本への取組

 

(1)ガバナンス

 グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、経営会議の諮問機関として、当社代表取締役社長CEOが委員長を務める「グループ人財委員会」を年に2回開催し、その内容については取締役会に報告しています。本体制は2022年度から始まり、2023年はグループ全体の人財戦略の推進責任者としてCHRO(Chief Human Resource Officer)を設置、現在は「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」「人財開発」「健康経営」「労働安全」「スマートワーク」の5つをテーマに掲げ、それぞれ分科会を設置し、グループ横断での取り組みを推進しています。

 

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(2)リスク管理

 経営戦略に則した人財戦略の推進にあたって、人財・組織風土の課題は企業活動に重大な影響を及ぼす経営リスクの一つであると認識しています。外部環境の変化を見据えた人財・組織風土の課題について、グループ人財委員会にて議論を重ね、グループ全体の経営リスクを所管するリスクマネジメント部とも連携し、以下の3点をリスクとして特定・管理しております。

 

ⅰ 企業成長に必要な人財獲得および能力開発

 ・経営人財・事業マネジメント人財・高度人財等の獲得・育成ができないリスク

 ・DE&Iが推進されないことによる採用力低下、お客さま目線での事業推進力低下のリスク

ⅱ 業務環境による生産性への影響

 ・労働環境・安全衛生の対応不足による生産性低下、離職者増加のリスク

 ・社員の適切な健康課題の把握・改善に向けたアプローチ不足による休職者増加のリスク

 ・時代に合わせた働く環境(職場・IT等)整備の遅延によるクリエイティビティ停滞のリスク

ⅲ 社員エンゲージメント

 ・経営計画や組織目標の理解・浸透不足や階層・部署を跨いだコミュニケーション不足による組織力低下のリスク

 ・会社への共感度低下による離職者増加のリスク

 

 上記リスクについては、顕在化している事例を検証するとともに対応策を検討し、人事部門を中心に関連部署と連携して、リスク低減に努めています。

 

(3)戦略

 人財は、明治グループの価値創造を支えるきわめて重要な資本です。社員の多様性を尊重し、一人ひとりの能力を最大限に発揮させることが明治グループの持続的な成長につながるという考えのもと、経営戦略に則し、戦略的な投資を行ってまいります。

 

2026中期経営計画における、経営戦略に基づく人財戦略コンセプト

 「2026中期経営計画」では、「明治ROESG経営の進化」に取り組み、“市場、事業、行動を変える”ことで成長力を取り戻します。グローバルに事業を拡大し、社会課題解決を通じサステナビリティと事業を融合することで競争優位性を強化し、明治グループの価値を最大化することで、持続的な成長を実現してまいります。この経営戦略に基づく人財戦略において、自律・挑戦・成長・共創し、イノベーションを生み出すことのできる多様な人財の獲得・育成と多様な人財が可能性を最大限引き出すことのできる組織風土および更なるDE&Iの推進と社員の健康が不可欠であると考えます。この「人財・組織風土のあるべき姿」を実現するために、グローバルで戦うための人財・環境づくり、人的資本のサステナビリティ推進、グループ人事機能の実効性向上を掲げ実行してまいります。

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1)人財育成方針

 明治グループの持続的な成長に向け、戦略を立案・遂行する高い能力を有する人財への投資を強化しています。一人ひとりの持つ知識・スキル・能力を強化し、その力を職務で最大限発揮できるよう取り組んでいます。

 

<新人事制度の導入>

 明治グループでは、社員が意欲的に挑戦と成長を続け、持続的に能力を発揮できる環境づくりを重視し、2025年4月に新人事制度を導入しました。新制度では職務/役割を等級の基軸とし、「適所適財の登用」や「年齢にとらわれない昇格・抜擢の実現」を通じて意欲ある人財の活躍を促すことを狙いとしています。また、リーダー以上に適用する「行動評価」においては、「社会との対話と共創」「挑戦・自己実現の促進」などの項目を盛り込むことによって、ステークホルダーや社会との共創を意識したアクションの創出を求めます。

 

 新人事制度における評価制度では、社員一人ひとりが高い成果をあげるために、組織目標と連動したチャレンジングな業務目標を設定することを推進・賞賛し、上職者がその達成をこれまで以上にサポートしていきます。また、創出した成果・行動は絶対評価での判定とし、各人が納得し、次なる成長に向かうサイクルを運用していきます。

 

<明治グループ能力開発方針>

 明治グループ2026ビジョンの「目指す企業グループ像」、企業価値創造ストーリーに掲げる「人財・組織風土のあるべき姿」を実現するために、明治グループが求める資質や能力を持つ人財を育成するべく、「明治グループ能力開発方針」を定めています。

 

明治グループ能力開発方針

 

 ①挑戦・自律の促進と一歩先を行く専門性の獲得

 ②一人ひとりの成長とキャリア・自己実現の支援

 ③高い視座・視野の醸成と社内外とのオープンな関係構築の促進

 ④会社の目指す姿・グループ理念への共感

 

 

<能力開発体系>

 「明治グループ能力開発方針」に基づき、社員一人ひとりの成長とキャリア開発を図る能力開発体系を整えています。

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2024年度研修受講者数 対象(管理職・一般職、平均受講時間、平均受講費用)

※ ㈱明治・Meiji Seika ファルマ㈱・KMバイオロジクス㈱

 

プログラムの目的

受講人数

(延べ人数)

平均受講
時間

(時間)

平均受講
費用
(千円)

次世代リーダー育成

・広い視野と高い視座をもった人財の育成
・戦略的思考、判断力、決断力、発信力の習得

146

75.6

774.0

グローバル研修
ダイバーシティマネジメント

DX人財育成

・世界をフィールドに成果を出せるグローバル
 ビジネス人財育成
・多様な人財が活躍できる風土の醸成

1,756

12.0

8.6

階層別研修

それぞれのステージごとに必要なスキルの習得
・部下/後進を育成する力の強化
・チーム/組織の活力を引き出すマネジメント
 能力の向上
・次世代/経営リーダーを目指す自己革新意識
 の醸成

1,184

22.2

59.8

自主参加型研修・自己啓発

など

・社員の「学びの自律」の促進、自律型人財の

 育成

3,468

21.6

25.4

部門別・グループ会社研修
など

・業務上必要となるビジネススキルの習得

111,372

0.7

2.0

 

<グループ経営人財の育成>

 明治グループ2026ビジョンの実現とその先の成長を見据えて、特にグループ横断的な経営人財の育成に注力しています。各事業における戦略遂行のための知識・スキル・能力だけでなく、グループ経営戦略の策定・推進に欠かせない視座・視野・視点を備える「変革・戦略人財」を中心とした人財を計画的に発掘・育成するべく、2021年度よりグループ経営人財育成プログラムを始動しました。執行役員および上級部長の選抜メンバーを対象に、CEOを座長に据えた開発プログラムを通して、ビジョン実現を強力にリードする明治グループ経営陣に求める人財像(リーダーシップバリュー)に沿ったコンピテンシー・能力の開発を行っています。

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<グローバルビジネス人財の育成>

 明治グループがグローバル市場でさらなる飛躍を遂げるためには、グローバルへの事業拡大に貢献できるためのスキル・能力を持った人財が必要不可欠です。グローバルでリーダーシップやコミュニケーション力を発揮しながら、目標達成に向けてやり抜ける人財の育成・開発に向けて、必要なスキル・能力の定義、育成体系・研修プログラムの強化・再構築、海外事業部門への異動公募等を行っています。

 

2)社内環境整備方針

ⅰ DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

 明治グループ2026ビジョンの実現に向けてDE&I推進を加速する考え方として、「明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー」を制定しています。多様な社員が、イキイキとやりがいをもって働ける環境を整備し、イノベーションや新たな価値を創出することで、持続的な企業成長を実現します。

 

明治グループ ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンポリシー

 

私たち明治グループは、赤ちゃんからお年寄りまで、それぞれのライフステージで多様な価値観を持つお客さまの気持ちや日々の生活に寄り添うことで、成長を重ねてきました。これからも、そうしたアプローチをグループの強みとし、日本、世界のお客さまに「食と健康」で一歩先を行く価値をお届けするために、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進します。

 

<明治グループにとっての多様性>

性別、性的指向、ジェンダーアイデンティティ、性表現、年齢、国籍、宗教、健康、障がいの有無、雇用形態、
キャリア、育児・介護中などの多様な背景や、一人ひとりの価値観・知見・能力などのあらゆる違い

 

1. ダイバーシティ

多様な人財の採用・育成・登用を推進し、多様な人財が様々な職域で活躍できる環境をつくります。

 

2. エクイティ

多様な人財が能力を最大限に発揮するために、障壁となるものを取り除き、一人ひとりの多様な背景や

志向に合わせて成長・挑戦する機会を一律ではなく公平に提供します。

 

3. インクルージョン

多様な人財が自分らしさを発揮し、互いを尊重して認め合い、多様性を活かし合える組織風土を実現

します。

 

私たち明治グループは、多様な人財がイキイキとやりがいを持って働ける環境を実現し、イノベーションや新たな
価値を創出することで、持続的な企業成長につなげていきます。

 

 グループ人財委員会では、明治グループが目指すべき「DE&Iが実現した姿」を掲げ、重点属性(女性・キャリア採用者・海外人財)への取り組みを強化しています。

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<女性活躍>

 DE&Iの第一歩としての女性活躍推進については、トップのコミットメントのもと、以下の3本柱で取り組みを行っています。リーダーシップパイプラインの構築においては、国際女性デーに合わせて3月にグループ合同女性管理職ネットワーク交流会を開催し、女性役員や部長による講演や座談会等を行い、上級管理職への視座醸成とパイプラインの構築につなげています。また、育児期者社員の活躍支援と上司マネジメントにおいては、育児期社員とその上司に対して研修を実施し、育児期社員については「周囲を巻き込む伝え方」、上司については「個別マネジメントと活躍支援の重要性」を学んだ上で、育児期社員と上司合同の他者理解ワークを実施しました。今後も性別や制約の有無に関わらず、社員一人ひとりがあらゆる職務・階層で能力を発揮し、活躍できる環境づくりを行います。

 

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<キャリア採用者>

 幅広い知見や新たな視点を取り入れ、一歩先を行く価値を創造するために、新卒採用に加え、他社でキャリアを積んだ人財のキャリア採用にも積極的に取り組んでいます。また、一度退職した社員の再就職を可能とする「カムバック制度」を導入しています。明治グループで得たノウハウや知見を有し、退職後に多様な経験や知識を培った退職者の再雇用を通じて、社内のさらなる活性化や、新たな価値創出を図ります。

 

<海外人財>

 グローバルな視点を意思決定に反映させ、世界で成長し続ける明治グループとなるために、海外人財(外国籍人財を含む海外留学・在住経験等のグローバルな経験を半年以上有する人財)の採用を強化しています。また、複数の海外トレーニー制度を導入し、継続的な取り組みを行うなど、海外人財の育成にも力を入れています。

 

<男性育休>

 男女問わず、誰もが働きやすい職場づくりの一環として、男性育休の取得を推進しています。今般、男性育休の有給休暇日数の上限を28日まで引き上げ、男性もこれまで以上にしっかりと育児参画する取り組みを進めます。乳幼児向けミルク・ワクチンを扱う会社としての自覚の下、こうした取り組みを企業価値向上に繋げていきます。

 

ⅱ 健康経営

 グループスローガン「健康にアイデアを」を体現する企業グループとして、成長し続ける原動力は、社員の“こころとからだの健康”であるとの考えのもと、社員の健康の維持・増進に戦略的に投資をし、生産性の最大化・組織活性化を図っています。「明治グループ健康経営宣言」のもと、健康経営投資から施策の効果までのつながりを明らかにした「健康経営戦略マップ」を策定し、運用しています。

 これからの取り組みが評価され、当社は2023年から3年連続で経済産業省と東京証券取引所が共同で選定する「健康経営銘柄」に選ばれました。なお、「健康経営優良法人」には9年連続で認定されています。

 

<健康経営戦略マップ>

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2024年度に実施した具体的な取り組み

・個人やチームで健康目標を宣言し、継続的に活動に取り組む「Kenko My Boom宣言」

・朝食喫食習慣化に向けた「朝食サポートBOX」の設置(一部事業所)

・朝のラジオ体操の全社展開

・事業所対抗ウォーキングキャンペーン

・部長クラス喫煙者に対するセミナー&全員面談、役員喫煙率0宣言、禁煙サポートプログラム

・eラーニング(セルフケア・ラインケア、明治グループの健康課題、等)

・ストレスチェック

 

ⅲ 労働安全

 「明治グループ労働安全衛生ポリシー」に基づき、「安全は全てに優先する」の認識のもと、協力会社と連携しながら、職場の安全確保に継続的に取り組んでいます。明治グループでは労働災害ゼロの実現に向け、2026中期経営計画では、「重大災害ゼロ」、「挟まれ・巻き込まれ災害ゼロ」、「重大交通事故ゼロ」といった労働安全に関するKPIを掲げています。具体的には、社員の安全意識醸成に向けた施策や、新設設備の稼働前リスクアセスメントならびに既存設備の安全監査・点検をグループ横断で実施し、安全対策とルールの周知・遵守により労働災害や法令違反の未然防止に向けた取り組みを強化しています。

 

 

明治グループ労働安全衛生ポリシー

 

明治グループは、「安全は全てに優先する」という認識のもと職場の安全確保に継続的に取り組むとともに、従業員の健康維持・増進に努めます。

 

1. 法令・社内規程の遵守

私たちは、職場の労働安全衛生に関する法令、社内規程を遵守します。

 

2. 労働災害の防止

私たちは、職場における危険源の特定・評価、対策によるリスクの除去・低減を通じて、

労働災害の発生防止に努めます。

 

3. 心身の健康管理

私たちは、心身ともに安心して働くことのできる職場環境づくり、健康管理に努めます。

 

4. 従業員教育の推進

私たちは、労働災害・交通災害を防ぐための社内教育を積極的に実施し、従業員の意識向上に努めます。

 

 

ⅳ スマートワーク

 明治グループは、これまで働き方改革を推進し、全社としての労働環境は着実に向上してまいりました。一方で、DE&I推進や健康経営の取り組みを進める上では、共通して「働き方」に課題があることが明らかになっており、「健康にアイデアを」を体現する企業として、多様な社員一人ひとりが心身ともに健康に働き、能力を最大限発揮するためには、より一層の働きやすい環境づくりが肝要と捉えています。

 その上で、明治グループの更なる企業価値向上に向けて、これから実現したいのは、創造的業務へシフトし、社員一人ひとりが自律・挑戦・成長・共創に向かう働き方であり、これこそが「スマートワーク」です。「社員一人ひとりが生産性高く働き、個人・チームの可能性が最大限引き出された状態」の実現に向けて、スマートワークを推進しています。

 

2024年度に実施した具体的な取り組み

① 会社の制度・仕組みの整備

・年休取得推進、 労働時間の把握強化

・全社的な業務改善によるスマート ワークスタイル構築

 

② 職場でのプロセス改善

・タイムマネジメント研修や会議の 改善に挑戦

・部署伴走施策とプロセス改善による効率の追求

 

③ 社員の意識・行動の変革

・タイムマネジメントTipsの配信により意識向上を促進

 

v 社員エンゲージメント

 明治グループは、社員エンゲージメントを中長期の企業価値向上を測る指標の一つに据え、毎年、サーベイでモニタリングしています。経営戦略と人財戦略の連動による人的資本経営をより強力に推進するべく、グループ理念・経営戦略の実現に向けて、社員と会社が一体となって、明治グループの成長に向かう組織風土づくりを推進してまいります。

 

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2024年度に実施した具体的な取り組み

・経営層からのビジョン発信強化(タウンホールミーティング、「トップと語ろう!」企画)

・「職場ミーティング」の定期開催・meiji Brand Award(2024年度応募数:488件)

 

(4) 指標及び目標

 グループ全体の人財戦略の推進にあたっては、テーマごとに定量的に計測できる目標を設定し、モニタリングを行いながら、施策の効果測定や改善を行っています。

 

2026中期経営計画

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(注) 対象範囲:明治ホールディングス㈱、㈱明治、Meiji Seika ファルマ㈱、KMバイオロジクス㈱
 ただし、重大労働災害件数は明治グループ連結(国内のみ)。

3【事業等のリスク】

当社グループは、企業活動に重大な影響を及ぼす緊急事態の発生時における対応だけでなく、さまざまな経営リスクの発生を未然に防ぐこと、及び経営リスクの回避・軽減措置を講じることが肝要であるとの考えに基づいてリスクマネジメントを推進しています。

 

(1) リスクマネジメント体制

当社グループでは、「明治グループ2026ビジョン」の実現に向けて新たな成長を促進するために、グループ全体の経営リスクを把握しリスクの低減化に適切に取り組むとともに、果断なリスクテイクに資するリスクマネジメント体制を構築しています。

当社は、グループ全体の経営リスクのマネジメント機能を強化するため、リスクマネジメント全般を担う部門として、独立したリスクマネジメント部を設置し、リスクマネジメント部を管掌する執行役員を任命しています。経営リスクをグループビジョンと一体化させ、これらグループ全体の経営リスク及びその管理状況について、当社の経営会議において評価・確認の上、取締役会に報告し、取締役会が評価・監督することにより、経営環境の変化に即応したリスクマネジメントを実践できる体制としています。

また、食品セグメント、医薬品セグメントそれぞれの業態に適したリスクマネジメント体制の構築を推進するべく、定期的に情報を共有化し、課題を抽出して適切に対処します。加えて、各セグメントに共通し、または当社グループ全体に影響を及ぼすリスクに関しては、グループで速やかに共有化する体制を整備し、早期の認知・対応に努めるとともに、随時、リスクマネジメント部を管掌する執行役員が代表取締役社長CEOに報告しています。

 

<リスクマネジメント体制>

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(2) 当社グループにおける経営リスク

全社横断的な経営視点で適切にリスクを把握し、影響度を考慮した対応策を策定することは、リスクの軽減はもちろん、当社グループの持続的成長及び新たな成長機会の獲得にもつながります。そこで「明治グループ2026ビジョン」で掲げる「事業ビジョン」「サステナビリティビジョン」「経営基盤ビジョン」の3つのビジョンに則して、「明治グループにおける経営リスク」を特定しました。各経営リスクにおいてリスクオーナーを設置しリスクの回避・軽減措置を進めています。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

下表の将来に関するリスクは、当社グループの中長期的な経営戦略に基づき、分類したものです。グループにおける重要度は、リスクが顕在化する可能性や顕在化した場合のグループへの影響度などを考慮し、当社グループが判断したものです(より重要度が高いと判断したものを◎の記載としています)。

また、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであり、全ての事業等のリスクを網羅したものではありません。

 

 

リスク

対応策

リスク認識の前年からの

変化

グループにおける

重要度

1 事業に関するリスク

1.1 製品・サービスの販売・提供

・計画した製品の上市断念

・お客さまのライフスタイル・価値観の変化

・当社グループの強みとする
素材(乳・カカオ等)への
ネガティブな風評

・POC(Proof of Concept)の
確実な取得

・市場トレンドの積極的情報収集

・環境や社会に配慮した商品開発

・明治らしい社会課題解決型製品・サービスの創出

・製品・素材に関する適切な情報
発信

1.2 特定製品への

利益偏重

・売上・利益構成比の高い製品の販売不振

・独自価値を最大化するマーケティング施策の実行

・製品ポートフォリオマネジメントの充実

・新市場や新規領域の探索

1.3 サプライチェーン

・原材料の調達不足・余剰、
価格高騰

・生産トラブル等による生産
活動の停止

・生乳調達の困難化

・物流起因による製品供給の
不安定化

・原材料市場の積極的情報収集及び調達戦略推進

・生産販売部門の連携強化

・調達先の分散や代替原料の検討

・省人/無人化による物流効率化

1.4 技術進歩

・デジタル技術の急速な進歩への適応不足

・画期的な治療法・製法・製剤の台頭

・新技術導入検討の早期着手

・新たな製法・製剤の研究、アライアンス探索

1.5 法・制度

・企業活動に大きく影響する
諸制度の改正

・薬価改定

・諸制度改正の早期情報入手と対応策の実施

・行政への適切な働きかけ

・薬価改定を受けない製品ポートフォリオの充実

1.6 海外展開、

海外グループ会社

・社会情勢の急激な変化や戦争・テロの発生

・諸外国における想定を大きく超える諸制度の改正

・情報収集及び対応策の早期検討・実施

・複数拠点からの製品供給体制の構築

1.7 事業計画等

・環境変化等によるビジョン、中期経営計画の未達成

・コア事業の成長鈍化、海外市場や新規領域における計画
未達

・固定資産・のれんの減損

・為替・金利変動

・独自価値のさらなる強化、新たな価値の継続的な探索

・収益性、成長性、生産性の観点での事業ポートフォリオ管理

・投資、M&A、研究開発計画に
おける適切な意思決定、モニタリングの実施

・為替予約及び固定金利での借入

 

 

 

 

リスク

対応策

リスク認識の前年からの

変化

グループにおける

重要度

2 サステナビリティに関するリスク

2.1 環境との調和

・企業活動における環境への
配慮

・CO₂排出量・フロン漏えい量の削減、省エネ活動の推進、太陽光発電設備の設置拡大、再エネ由来電力の活用、排水・廃棄物処理の適正実施、ISO14001に準じた環境マネジメントの推進

・プラスチック資源循環の推進

・環境に関する各種ポリシー、方針等の徹底

2.2 気候変動

・気候変動への対応

・TCFDの枠組みに沿った気候変動シナリオ分析と戦略策定及び情報開示

2.3 豊かな社会

づくり

・持続可能な原材料調達

・多様性への理解、多様な人財の活用

・人権への配慮、人権課題

 

・サステナブル調達原料(カカオ豆・パーム油)の比率向上

・酪農業における社会課題解決に向けた業界団体、他企業との協業・連携強化

・多様な価値観・能力を活かし合う組織・風土づくり

・人権デュー・ディリジェンスを踏まえた課題解決の取り組み

・調達、人権、社会等に関する各種ポリシー、ガイドライン等の徹底

3 経営基盤に関するリスク

3.1 ガバナンス

・適時適切な意思決定

・社内外のコンプライアンス
違反

・取締役会の実効性の向上

・グループガバナンス体制の強化

・明治グループ行動規範に基づくコンプライアンス・ソーシャルメディア利用の教育、各種方針・ポリシーの社内外への徹底

3.2 明治ブランド

の毀損

・品質不備、薬品の予期せぬ
副作用などによる製品回収

・当社グループまたは製品への予期せぬ風評被害

・安全安心の徹底追求

・各ステークホルダーとの適切な
コミュニケーション

3.3 人財・風土

・企業成長に必要な人財獲得
及び能力開発

・社員エンゲージメント

・業務環境による生産性への
影響

・サクセッションプランに繋がる
経営人財プールの運用

・社員研修の充実

・社員エンゲージメントサーベイ
結果を受けた各種施策

・スマートワークの推進、健康経営の推進体制強化、グループ共通での労働安全体制の構築

3.4 情報資産の

漏えい

・不正アクセス等による情報漏えいやシステム機能の停止

・不適切な管理体制による情報の流出

・情報管理体制及び情報セキュリティの強化

・情報管理の教育強化と各種規程・ポリシーの徹底

3.5 災害や不測の

事態

・災害やパンデミックなど予期せぬ非常事態による企業活動の停滞・中止

・非常事態下の環境変化による製品需要の増減

・早期的回復に向けたBCP、リスクマネジメント計画の整備

・グループとして幅広い製品ポートフォリオ保持

 

 当社は、取締役会において、当社グループ経営リスクに対する2024年度における重点取り組みテーマを選定し、各事業会社における取り組みについて確認しました。

 

<2024年度重点取り組みテーマ>

① 原材料の調達不足・余剰、価格高騰

  海外における社会情勢の急激な変化や戦争・テロの発生など地政学リスクが顕在化する中、輸入原材料のうち海外依存度の高い主要原材料のリスク内容と対策、特に価格高騰が続くカカオ豆の調達状況及びその対策について確認しました。

  当社グループでは、カカオ豆生産の持続可能性を高めるために、産地に直接足を運んだり、さまざまなパートナーと協働したりしながら、カカオ豆の品質向上への技術支援や農家の生活向上、地域の環境保全・回復などの社会課題解決に取り組む、明治独自のカカオ農家支援活動「メイジ・カカオ・サポート」を実施しており、さらに、農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆を「明治サステナブルカカオ豆」として調達することで、カカオ豆の調達量を確保するなどリスク低減に努めています。

 

② 画期的な治療法・製法・製剤の台頭への対応

  接種率が減少しているインフルエンザワクチンにおいて、新しいモダリティ製剤や海外製ワクチンの参入による、当社グループが有する製法・製剤への影響や対応策・方針について確認しました。

  当社グループでは、現行ワクチンの価値最大化を図りつつ、各モダリティの開発状況の進捗を見極めるなど、ワクチン市場の多様化するニーズに対応しています。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

① 事業全体の状況

   (単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

1株当たり

当期純利益

(円 銭)

当連結会計年度

1,154,074

84,702

82,013

50,800

186.08

前連結会計年度

1,105,494

84,322

76,020

50,675

181.64

前年同期比(%)

104.4%

100.5%

107.9%

100.2%

-

 

2025年3月期は、国内において雇用・所得環境の改善が見られたものの、物価上昇にともなう生活防衛意識から消費の二極化傾向が顕在化しました。カカオ原料など原材料市況は不安定となり、中国の個人消費の低迷も続きました。このような環境の中、当社グループは、2024年4月より「2026中期経営計画(2026中計)」をスタートしました。2026中計では「明治ROESG経営の進化」を掲げ、経済価値と社会価値を同時に実現(トレード・オン)することで、持続的な成長を目指します。

 

食品セグメントでは、価格改定によるコスト上昇分の吸収に取り組む一方、付加価値提案の強化、BtoB事業の成長拡大にも注力しました。また、社会課題の解決に向け、サステナビリティの概念を商品開発や販売戦略に取り入れました。海外では、米国において明治ブランド品の展開強化を進め、中国ではリバイバルプランの実行を通じて収益性の改善に取り組みました。

 

医薬品セグメントでは、抗菌薬やワクチンの安定供給に取り組むとともに、経済安全保障上の課題である抗菌薬原薬の国内生産体制の構築を進めました。また、新規β-ラクタマーゼ阻害剤「OP0595(ナキュバクタム)」などのグローバル製品の開発も着実に進行しました。加えて、コンソーシアム構想など、ジェネリック医薬品業界が抱える供給不安の構造的問題の解決にも取り組みました。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は 1兆1,540億74百万円(前期比 4.4%増)、営業利益は 847億2百万円(同 0.5%増)、経常利益は 820億13百万円(同 7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は 508億円(同 0.2%増)となりました。また、ROEは 6.8%、1株当たり当期純利益は 186.08円となりました。

 

② セグメントの状況

   (単位:百万円)

 

報告セグメント

合計

食品

医薬品

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減

売上高

900,127

925,554

25,426

206,109

229,650

23,541

1,106,237

1,155,205

48,968

セグメント

利益

64,315

64,629

313

22,717

24,749

2,032

87,032

89,378

2,345

(注) 売上高、セグメント利益は、セグメント間の取引を消去する前の金額によっております。

 

セグメントの業績の詳細は、次のとおりであります。

 

Ⅰ.食品

当セグメントにはデイリー事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、牛乳、海外)、カカオ事業 (チョコレート、グミ、海外)、ニュートリション事業(乳幼児ミルク、スポーツ栄養、高栄養食品、海外)、フードソリューション事業(BtoB、チーズ、フローズンデザート、海外)、その他事業 (乳原料、国内独立系子会社)による製造・販売、運送等が含まれております。

 

売上高は前連結会計年度を上回りました。カカオ事業は前連結会計年度を大幅に上回り、ニュートリション事業、フードソリューション事業は前連結会計年度を上回りました。デイリー事業は前連結会計年度を下回りました。

セグメント利益は前連結会計年度並みとなりました。デイリー事業は前連結会計年度を大幅に上回り、カカオ事業は前連結会計年度を上回りました。一方、ニュートリション事業、フードソリューション事業は前連結会計年度を大幅に下回りました。

 

事業別の概況は、次のとおりです。

 

デイリー事業 (プロバイオティクス、ヨーグルト、牛乳、海外)

売上高は前連結会計年度を下回りました。国内では、プロバイオティクスやヨーグルトが第3四半期以降好調に推移しましたが、一部商品の終売影響などにより前連結会計年度並みとなりました。海外では、中国の市販用牛乳・ヨーグルト事業が、リバイバルプランの実施にともなう販売先の絞り込みにより減収となりました。

営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。国内では、原材料コストの増加を価格改定でカバーしたことに加え、生産体制の見直しに伴う製造間接費の低減などにより増益となりました。海外では、中国の市販用牛乳・ヨーグルト事業におけるリバイバルプランの遂行により赤字額が縮小しました。

 

カカオ事業 (チョコレート、グミ、海外)

売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。国内では、チョコレートが価格改定効果に加え、「チョコレート効果」を中心に主力ブランドが好調に推移したことで増収となりました。グミは、主力品の「果汁グミ」が好調に推移しましたが、一部商品の終売影響などにより減収となりました。海外では、中国事業は「アーモンドチョコレート」が好調に推移し、米国事業はチョコレートスナックを中心に伸長しました。

営業利益は前連結会計年度を上回りました。国内は、原材料コストの増加を価格改定効果や容量変更によりカバーし増益となりました。海外は、中国事業及び米国事業での設備増強によるコスト増などにより減益となりました。

 

ニュートリション事業(乳幼児ミルク、スポーツ栄養、高栄養食品、海外)

売上高は前連結会計年度を上回りました。国内では、スポーツプロテイン「ザバス」が増収となりましたが、粉ミルクがインバウンド需要の減少により減収となったことで前連結会計年度並みとなりました。海外では、ベトナムなどでの粉ミルクの販売が好調に推移し大幅な増収となりました。

営業利益は前連結会計年度を大幅に下回りました。国内では、宣伝費や製造間接費の増加により大幅な減益となりました。海外では、事業拡大のための先行投資費用が増加しました。

 

フードソリューション事業(BtoB、チーズ、フローズンデザート、海外)

売上高は前連結会計年度を上回りました。国内では、業務用商品が、提案強化による取り扱い拡大により好調に推移し、フローズンデザートも主力の「明治エッセルスーパーカップ」が好調に推移しました。海外は前連結会計年度を下回りました。中国のBtoB事業は好調に推移しましたが、フローズンデザート事業が需要期における天候不順の影響により大幅な減収となりました。

営業利益は前連結会計年度を大幅に下回りました。中国の業務用牛乳・クリーム事業やフローズンデザート事業の新工場稼働によるコスト増に加え、中国のフローズンデザート事業の減収が影響しました。一方、国内は原材料コストの増加を価格改定効果でカバーしたことに加え、数量増効果もあり大幅な増益となりました。

 

その他事業 (乳原料、国内独立系子会社)

売上高は前連結会計年度を下回りました。バターなど乳原料の販売が減少したほか、受託製造品の減収が影響しました。子会社では、糖類を扱う商社が好調に推移しましたが、飼糧子会社が減収となりました。

営業利益は受注製造品の減収などにより前連結会計年度を大幅に下回りました。

 

Ⅱ.医薬品

当セグメントには、国内事業(感染症、免疫、CNS、ジェネリック医薬品)、海外事業(海外自販、海外CMО/CDMО、グローバル品)、ワクチン・動物薬事業(ワクチン、動物薬、新生児マススクリーニング)が含まれております。

 

売上高は前連結会計年度を上回りました。国内事業、海外事業、ワクチン・動物薬事業の全ての事業で前連結会計年度を大幅に上回りました。

セグメント利益は前連結会計年度を上回りました。国内事業は前連結会計年度を大幅に上回りました。海外事業は前連結会計年度を大幅に下回り、ワクチン・動物薬事業は営業損失となりました。

 

事業別の概況は、次のとおりです。

 

国内事業(感染症、免疫、CNS、ジェネリック医薬品)

売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。抗菌薬「スルバシリン」や「メイアクト」に加え、血漿分画製剤が好調に推移したほか、2024年5月発売の選択的ROCK2阻害剤「レズロック錠」も増収に貢献しました。

営業利益は前連結会計年度を大幅に上回りました。主力品の増収に加え、ジェネリック医薬品販売子会社などの増益が寄与しました。

 

海外事業(海外自販、海外CMО/CDMО、グローバル品)

売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。為替影響に加えて、インドやタイの子会社が好調に推移しました。

営業利益は前連結会計年度を大幅に下回りました。インドやタイの子会社が増益となったものの、グローバル品目の研究開発費の増加が影響しました。

 

■ワクチン・動物薬事業(ワクチン、動物薬、新生児マススクリーニング)

売上高は前連結会計年度を大幅に上回りました。インフルエンザワクチンの出荷本数が前連結会計年度を大幅に上回りました。

営業利益は、新型コロナウイルス感染症に対する次世代mRNAワクチン「コスタイベ」の評価減などの影響により営業損失となりました。

 

③ 2026中期経営計画の進捗状況(2025年3月期~2027年3月期)

2026中計では前中計に引き続き「明治ROESG」を最上位の経営目標に掲げています。「明治ROESG」は稼ぐ力を示すROEと、ESGの目標達成度の2つの要素で構成されます。ROEの向上に向けては、ROICを活用した資本効率の改善に取り組んでおります。ESG目標では外部評価機関の評価のほか、サステナビリティと事業の融合を象徴する指標として、「明治ROESG対象ブランド群(製品)の売上高」を設定しています。

 

2026中期経営計画の目標指標に対する当連結会計年度の実績は、次のとおりであります。

 

指標

2024年度 実績

(2025年3月期)

2026年度 目標

(2027年3月期)

統合目標

 明治ROESG

9.5ポイント

9.8ポイント

成長性・収益性

 連結営業利益

847億円

1,165億円

 ・食品セグメント

646億円

830億円

 ・医薬品セグメント

247億円

400億円

 連結当期純利益

508億円

765億円

 海外売上高

1,520億円

2,525億円

効率性・安全性

 ROIC

6.8%

8.5%以上

株主還元

 ROE

6.8%

9.5%以上

 総還元性向

112.8%

50%以上

 

 

明治ROESGの達成状況の詳細は、次のとおりであります。

 

0102010_022.png

2025年3月期の総括は次のとおりであります。

・売上高は食品セグメント、医薬品セグメントともに増収。全体で計画並みの着地。

・営業利益は前期並み。計画比では、食品はニュートリション事業の未達が影響。医薬品はほぼ計画並み。

・当期純利益は前期並み。計画比は税金費用の見込額との差が主な要因。

 

④ 来期の見通しについて

2026年3月期は、原材料価格及びエネルギーコストの高騰、為替変動による世界経済や国内の消費動向への影響が懸念されますが、当社グループは「2026中期経営計画」の目標達成に向けて各戦略を着実に実行してまいります。

なお、米国の関税措置による当社グループの各事業への直接的な影響は軽微と見込んでいます。ただし、関税措置を発端にした原材料相場や為替の変動、需給バランスの変化による調達リスクの発生などについて注視し、状況に応じて適切な対応を行ってまいります。

 

食品セグメントでは、国内は、原材料価格などのコストアップに対し、スピード感を伴った対応を継続します。また、既存ブランドにおける高付加価値商品の市場定着に引き続き取り組むとともに、プロバイオティクスやチョコレートなどで新商品を投入し新市場の創造を目指します。ニュートリション事業は商品ラインアップを強化し競争力回復に取り組みます。フードソリューション事業では、好調な業務用事業において取引先のニーズを充足する独自技術商品の提案強化により、さらなる成長を目指します。海外は、中国ではリバイバルプランに沿った構造改革に引き続き注力します。米国では生産能力を増強しチョコレートスナックを中心に販路を拡大します。アジアではチョコレートや乳幼児ミルクの展開を加速させます。

 

医薬品セグメントでは、国内は、高い需要が続いている注射用抗菌薬の安定供給に取り組みます。また、2024年5月発売の選択的ROCK2阻害剤「レズロック錠」の価値最大化に注力するほか、不眠症治療薬の普及促進にも取り組みます。ワクチン事業では、インフルエンザワクチンのトップメーカーとして接種率拡大に向けた啓発活動に注力します。海外は、CMO/CDMO事業のさらなる成長に取り組みます。

 

 

⑤ 主要な経営指標等の推移

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(注)2021年度の期首より「収益認識に関する会計基準」等を適用しており、上記の2021年度以降の指標については当該会計基準等を適用した後の金額となっております。

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品

1,275,312

-

医薬品

178,327

-

 報告セグメント計

1,453,640

-

合計

1,453,640

-

(注)1.セグメント間の取引は含まれておりません。

2.当連結会計年度は一部連結子会社の決算期変更による15カ月の変則決算のため、前年同期比は記載しておりません。

 

② 受注実績

当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画を立てて生産しております。

一部受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業のセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品

924,444

102.8

医薬品

229,630

111.4

 報告セグメント計

1,154,074

104.4

合計

1,154,074

104.4

(注)1.総販売実績に対する売上の割合が10%以上の相手先はありません。

2.セグメント間の取引は含まれておりません。

 

(3)財政状態の分析

資産の部では、現金及び預金が前連結会計年度末に比べて 286億66百万円減少し、781億91百万円となりました。コミットメントラインの設定額200億円と合わせた手元流動性の残高は981億91百万円で、2026中期経営計画で目安としている手元流動性の水準(連結売上高の1カ月程度)を確保いたしました。受取手形及び売掛金は、前連結会計年度末に比べて 127億6百万円減少し、1,895億33百万円となりました。これは主に前連結会計年度の期末日が金融機関休業日であった影響などによるものであります。商品及び製品は、前連結会計年度末に比べて 86億85百万円増加し、1,276億21百万円となりました。これは原材料価格の高騰や、新製品の在庫増加などによるものであります。有形固定資産は前連結会計年度末に比べて 33億94百万円増加し、4,839億1百万円となりました。これは医薬品工場での設備投資などによるものであります。投資有価証券は、前連結会計年度末に比べて 95億81百万円減少し、783億54百万円となりました。これは主に政策保有株式の売却による減少や、AustAsia Group Ltd.における持分法投資損失の計上などによるものであります。その結果、当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて 208億16百万円減の 1兆1,844億72百万円となりました。

 

 負債の部では、支払手形及び買掛金が前連結会計年度末に比べて 245億2百万円減少し、1,028億46百万円となりました。これは主に前連結会計年度の期末日が金融機関休業日であった影響によるものであります。未払費用が前連結会計年度末に比べて 114億7百万円増加し、487億85百万円となりました。有利子負債(社債、借入金)は、長期借入金の約定返済などにより前連結会計年度末に比べて 21億26百万円減少し、478億0百万円となりました。その結果、当連結会計年度における負債合計は、前連結会計年度末に比べて 248億5百万円減の 3,926億88百万円となりました。

 

 

純資産の部では、株主資本は利益剰余金が 231億円増加の一方、自己株式の消却により資本剰余金が 337億2百万円減少し、前連結会計年度末に比べて 63億21百万円減少しました。純資産合計では、政策保有株式の売却に伴いその他有価証券評価差額金が 54億61百万円減少の一方、為替換算調整勘定が 52億34百万円、退職給付に係る調整累計額が84億1百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて 39億89百万円増の 7,917億83百万円となりました。

 

この結果、流動比率は前連結会計年度末に比べて 1.4ポイント増の176.1%、D/Eレシオは0.003ポイント減の0.06倍、自己資本比率は 1.2ポイント増の63.2%となり、資金の流動性及び財務の安定性を維持しております。なお、1株当たり純資産は前連結会計年度末に比べて 87円60銭増加し、2,762円33銭となりました。

 

自己資本及び自己資本比率の推移は、次のとおりであります。

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(4)資本の財源及び資金の流動性

① 資本政策の方針

事業活動により得た資金は、持続的な成長に向けて、将来への成長投資や研究開発へ積極的に充当してまいります。また、グループ全体の資本効率の観点から、成長投資については財務規律との調和を図るとともに、政策保有株式などの非事業用資産については縮減します。

株主還元についても経営における重要課題と認識しており、各年度で総還元性向50%以上を目安とし、1株当たり配当額の継続的な増配を目指します。

 

② 資金調達の方針

資金調達については、資金需要や金利環境等を踏まえつつ、多様化した調達手段の中から資本コストの低減を第一義として、負債により調達することを基本方針とします。一方で、負債の増加に伴う信用リスクの観点から、原則としてD/Eレシオは0.5倍までを上限とし、金融情勢に左右されないような高い信用格付の維持にも努めます。なお、本報告書提出時点において、当社は日本格付研究所より「ダブルAマイナス(安定的)」の信用格付を取得しております。

主要な金融機関とは良好な取引関係を維持しており、加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業拡大、運営に必要な投資資金及び運転資金の金融機関からの調達に関しては問題なく実施できると認識しております。なお、国内の金融機関との間で合計200億円のコミットメントラインを設定しており、期中の現預金残高とコミットメントライン設定額を合わせた手元流動性の水準を、連結売上高の1カ月程度に設定することで、緊急時の流動性を確保いたします。

また、グループ会社を対象に、資金調達の安定化と調達コストの低減を図るため、グループファイナンス制度を導入しております。

当社は、「明治グループサステナビリティ2026ビジョン」の実現に向けた活動に必要な資金調達の手段として、ICMA(国際資本市場協会:International Capital Market Association)の定めるグリーンボンド原則及びソーシャルボンド原則に基づいた、「サステナビリティファイナンス・フレームワーク」を策定しており、2021年4月に第10回無担保社債(サステナビリティボンド、5年100億円)を発行して資金を調達しました。今後も、本フレームワークに基づき、サステナビリティファイナンスを積極的に活用し、社会課題解決への貢献を一層進めてまいります。

③ キャッシュ・フローの状況

区分

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減額

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

107,983

68,979

△39,004

投資活動によるキャッシュ・フロー

△24,604

△40,636

△16,032

フリー・キャッシュ・フロー

83,378

28,342

△55,036

財務活動によるキャッシュ・フロー

△43,772

△61,671

△17,899

現金及び現金同等物に係る換算差額

2,286

△496

△2,783

現金及び現金同等物の増減額(△減少)

41,893

△33,825

△75,718

現金及び現金同等物の期首残高

60,939

102,832

41,893

現金及び現金同等物の期末残高

102,832

66,398

△36,434

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりであります。

区分

第12期

第13期

第14期

第15期

第16期

自己資本比率(%)

58.2

60.3

62.7

61.9

63.2

時価ベースの自己資本比率(%)

96.8

83.3

77.4

78.4

74.3

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.8

0.6

0.8

0.5

0.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

197.2

246.3

193.6

266.3

179.9

 

(注)各指標の算出方法

自己資本比率:(純資産の部-非支配株主持分)/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額(期末株価終値×発行済株式総数)/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い(利息の支払額)

※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。

※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうちリース債務を除く利子を支払っている負債を対象としております。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 390億4百万円収入減の 689億79百万円の収入となりました。これは売上債権が減少した一方で、棚卸資産の増加や仕入債務の減少、法人税等の支払額の増加などがあったためであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 160億32百万円支出増の 406億36百万円の支出となりました。これは前連結会計年度に比べて有形及び無形固定資産の取得による支出、投資有価証券の取得による支出、定期預金の預け入れによる支出などが増加したためであります。

これにより、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、前連結会計年度より 550億36百万円収入減の 283億42百万円の収入となりました。

創出したフリー・キャッシュ・フローについては、配当金の支払いにより株主還元を行うとともに、有利子負債の返済に充当しております。配当については増配を実施し、株主還元の充実に努めました。今後も安定的継続的な利益還元を実施します。なお、配当金の支払額は前連結会計年度より 3億9百万円支出増の 267億54百万円、配当性向は 53.7%であります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 178億99百万円支出増の 616億71百万円の支出となりました。これは当連結会計年度において、有利子負債の増加による収入を自己株式の取得による支出が上回ったためであります。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は 663億98百万円となりました。

 

当連結会計年度においては、事業活動に伴う運転資金は金融機関からの借入れ及びコマーシャル・ペーパーにより調達いたしました。

 

当連結会計年度におけるキャッシュアロケーションは、次のとおりであります。

 

   0102010_026.png

 

配当金及びEPS(1株当たり当期純利益)の推移は、次のとおりであります。

0102010_027.png

(注)2015年10月1日付及び2023年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しており、2013年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して、1株当たり配当金及び1株当たり当期純利益を算定しております。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

5【重要な契約等】

(1)技術援助契約

  技術導入

契約会社名

相手先

契約の発効年月

有効期限

目的

実施料

㈱明治

ブルガリア国

LBブルガリクム

2000年5月

2020年4月まで。以後2040年4月まで5年間毎に自動延長

ヨーグルトの製造技術導入

生産高の一定率を支払う

 

Meiji Seika

ファルマ㈱

 

オルガノン㈱

2013年3月

販売開始から10年間又は特許の存続期間の何れか長い期間

アセナピンの製造及び販売に関する実施許諾契約

一定額の一時金を支払う

 

(2)業務提携契約

契約会社名

相手先

契約の発効年月

有効期限

目的

実施料

Meiji Seika

ファルマ㈱

大鵬薬品工業㈱

2015年12月

2015年12月17日よりビラスチン後発医薬品の発売日まで

ビラスチン製剤の共同販売契約

一定額の一時金を支払う

Meiji Seika

ファルマ㈱

米国

Seqirus Inc.

2024年1月

Initial Termは2033年4月11日までとし、その後5年間の自動延長。その後の延長については契約満了日の12カ月前までに合意のうえ決定

ライセンス対象物をARCT-154に限定せず、将来の変異株対応品・二価ワクチン等複数株品に対応。日本国内での開発権を取得

一定額の一時金を支払う

 ※ 2023年4月に締結した契約の内容を一部変更し、2024年1月に再締結しております。

 

(3)合弁契約

契約会社名

相手先

契約の発効年月

有効期間

合弁会社の内容

契約会社出資額

Meiji Seika

ファルマ㈱

インドネシア国

チプト・プスポスハルト氏外

1974年3月

合弁会社の

存続期間

社名 :P.T.Meiji Indonesian

Pharmaceutical

Industries

目的 :抗生物質ほか各種薬品の製造、販売。

資本金:380億73百万ルピア

設立 :1974年5月

355億38万ルピア

(資本金の93.34%)

Meiji Seika

ファルマ㈱

タイ国

ナナ・チャート社外

1979年9月

合弁会社の

存続期間

社名 :Thai Meiji Pharmaceutical

Co.,Ltd.

目的 :抗生物質ほか各種薬品の製造、販売。

資本金:2億9,700万バーツ

設立 :1979年11月

2億8,100万バーツ

(間接所有含む)

(資本金の94.61%)

㈱明治

タイ国

バンコックインエックス社

CPグループオブカンパニー社

1989年1月

規定なし

社名 :CP-MEIJI Co.,Ltd.

目的 :タイ国における飲用牛乳・ヨーグルト等の製造・販売。

資本金:5億バーツ

設立 :1989年2月

2億バーツ

(資本金40%)

 

(4)その他

相手先

期間

内容

㈱明治

2009年4月1日から

経営を管理・監督・指導するための経営管理契約。

Meiji Seika ファルマ㈱

2009年4月1日から

経営を管理・監督・指導するための経営管理契約。

KMバイオロジクス㈱

2019年4月1日から

経営を管理・監督・指導するための経営管理契約。

 

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発費の総額は38,889百万円であります。

当連結会計年度における研究開発活動に関し、新たに取り組んだ事項及び変更事項は次のとおりであります。

 

(1) 食品

当連結会計年度における研究開発活動の金額は、12,913百万円であります。

 

① デイリー

(プロバイオティクス)

『明治プロビオヨーグルトR-1』ブランドでは2024年10月に「明治プロビオヨーグルトR-1 The GOLD」を発売しました。R-1乳酸菌が産生するEPS(菌体外多糖体)を従来商品の2倍配合した高価格帯の商品で、同ドリンクタイプ2品に続く、食べるタイプの新商品です。また、2024年9月に満たすカラダシリーズの『マルチビタミン(食べるタイプ・ドリンクタイプ)』を発売し、2024年度下期にはR-1シリーズの賞味期限延長を実施しています。2025年3月には”L.bulgaricus OLL1247株及びS.thermophilus 3078株(SC-2乳酸菌)、コラーゲンペプチド、スフィンゴミエリン”の働きにより”紫外線刺激から肌を保護するのを助ける機能”、”肌の潤いを保ち、肌の乾燥を緩和する機能”という2つの機能を有する機能性表示食品「明治Wのスキンケアヨーグルト」を発売しました。「明治プロビオヨーグルトPA-3」、「明治脂肪対策ヨーグルト」は2024年10月に風味改良のリニューアルを行っています。

 

(ヨーグルト)

『明治ブルガリア』ブランドでは2024年10月にブランドの中心的存在であるプレーン食べるタイプをそのままなめらかな液状に仕上げた、特定保健用食品「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン(ドリンクタイプ)」を発売しました。砂糖不使用、無添加で、そのまま飲むだけではなく、幅広いアレンジが可能です。フルーツヨーグルトシリーズでは2024年10月にフルーツの奥深いあじわいが楽しめて新たなターゲット・シーンを開拓する70g×4個『Deep Blend』シリーズで「同ほろ苦檸檬ミックス」と「同芳醇赤葡萄ミックス」を発売しました。2025年4月には『大人のDeep Blend』シリーズとして改良を行い、「同檸檬ミックス」、「同白桃ミックス」を定番シリーズよりも高価格帯で展開しています。脂肪0のパーソナルタイプでは果肉を従来品の2倍配合した『たっぷりリッチ』シリーズで「同白桃&白桃」、「同メロンミックス」、「同さくらんぼ&白桃」、「同シャインマスカット&りんご」と、新規性の高いフレーバーを発売しました。2025年1月にはパーソナルタイプの新商品として濃厚な乳のコクを贅沢に楽しめる「あじわい芳醇アカシアはちみつ」、「同いちごコンフィチュール」を発売しています。ドリンクタイプでは2024年9月から2025年5月にかけて、中容量400gの「同ピーチ&ローズ」、「同柑橘ミックス」、「同カルシウムと鉄分」、「同塩レモン」を発売しました。

『ザバスMILK PROTEINヨーグルト』ブランドでは、食べるタイプで2024年10月に「同ココア」、「同バナナ」、2025年4月に「同マンゴー」を発売しました。ドリンクタイプでは2024年10月から2025年4月にかけて、「同ピンクグレープフルーツ」、「同ホワイトグレープ」、「同ミックスベリー」、「同ホワイトグレープフルーツ」を発売し、トライアル促進及び風味改良による継続性向上を図っています。その他に、『明治北海道十勝』ブランドでは2025年3月に2品目として「同メロン」を発売しました。また、2025年4月にSNF原料(脱脂粉乳)の有効活用も目指した新容量700mlの『明治乳ヘルシーボトル』シリーズとして、乳飲料2品とあわせて「乳酸菌飲料ホワイトラクト」を発売しました。2024年11月には韓国の果実酢ブランドとのコラボ商品「美酢のむヨーグルトざくろ」、「同マンゴー」の2品を発売しました。

 

(牛乳)

牛乳市場トップシェアの『明治おいしい』シリーズにて、「明治おいしい牛乳」に使われるこだわりの生乳を50%以上配合し、ミルクをおいしく・たのしく飲むために開発した乳飲料「明治おいしいミルクコーヒー」を2024年10月に発売しました。「明治おいしい牛乳」のおいしさを引き立たせる香り豊かなコーヒーを、こだわりのミルクと組み合わせたやさしい味わいは、リラックスしたい時やほっとひと息つきたい時などにぴったりです。パッケージデザインは「明治おいしい牛乳」と同じグラフィックデザイナーの佐藤卓氏を起用し、『明治おいしい』ブランドであることが伝わるアーチ型のイラストや牛乳のシズル感を表現しました。

一方、近年、健康意識の高まりや、環境保護や食糧危機問題といった社会的観点から注目されるプラントベースフードに対するお客様のニーズに応えるため「明治まるごとオーツ オーツミルク」を2024年4月に関東エリア限定発売、2024年10月より全国発売しました。2025年4月にはオーツミルクと相性のよいコーヒーフレーバーの「明治まるごとオーツ オーツミルクコーヒー」を追加しました。本シリーズでは、表皮や胚芽などを含む全粒オーツ麦をまるごと使用することで、クリーミーでまろやかな味わいを実現するとともに、全粒オーツ麦由来の食物繊維“全粒穀物繊維”に含まれる水溶性食物繊維の“βグルカン”を含有しています。

宅配専用商品では、環境に配慮したキャップ付き紙容器を採用した「明治宅配の牛乳」、「明治宅配のコーヒー」を2025年4月に発売しました。従来の瓶容器から、キャップ付き紙容器に変更したことで、CO2排出量や瓶洗浄時の水使用量削減といった効果が期待できます。また、中味も脂肪球の大きさに着目した“あじわい贅沢製法”により、脂肪分の量はそのままでコクをアップしました。さらに、賞味期限を瓶容器品と比べて4日延長することでフードロス削減にも取り組んでいます。

 

(飲料その他)

『明治それいけ!アンパンマン』飲料シリーズより、お子様のすこやかな成長をサポートする商品として、不足しがちな栄養素を含む3種類の新商品「明治それいけ!アンパンマンの朝のヨーグルジョイ 乳酸菌・オリゴ糖」、「明治それいけ!アンパンマンの朝のフルーツ&ミルク カルシウム・ビタミンD」、「明治それいけ!アンパンマンの朝のみかんとりんご 鉄・ビタミンC」を2025年3月に発売しました。

また、宅配専用商品では、機能性関与成分“3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)プロピオン酸(HMPA)”を23mg配合した1本100ml飲みきりサイズの機能性表示食品「明治コレステさらり」を2025年3月に発売しました。“HMPA”は、米ぬかを特別な乳酸菌で発酵させ、精製し、乾燥させた米ぬか発酵物に含まれる成分です。HMPAの働きとして“LDLコレステロールや総コレステロール”“食後に上昇した血糖値”を下げ、“腹部の脂肪(内臓脂肪)とウエスト周囲径”を減らす、3つの機能が報告されています。本飲料の発売を通じてお客さまの健康な毎日に貢献してまいります。『MICHITAS』ブランドでは、2024年3月にたんぱく質を強化した宅配小型ビン100ml「明治MICHITASのむヨーグルト」を発売しました。また、2024年9月から10月にかけて宅配商品群9品の賞味期限を延長しました。

 

② カカオ

(チョコレート)

高カカオチョコレート市場売上No.1ブランドである『チョコレート効果』は、全粒粉ビスケットを混ぜ込むことで苦みを抑えて幅広いユーザーに食べていただける「カカオクランチ」を2024年10月東日本エリアで限定発売しました。また、“美容”を意識した商品として、世界で初めてカカオから素材化したセラミドを配合した「カカオドリップ」を化粧品ブランド『アルビオン』直営専門店で2024年10月に発売し、更に同じくカカオ由来セラミドを配合したチョコレート「カカオボーテ」を一般市場にて2025年1月に発売しました。嗜好性を追求した『ザ・チョコレート』ブランドを、タブレット以外の新しいカカオの魅力をお届けするために2024年10月に『ザ・カカオ』ブランドへリニューアルし、当社独自製法の常温で日持ちする“ガナッシュ”を生かした「同琥珀」を、バレンタイン商品として2025年1月に発売し、好評を得る事ができました。また、当社独自の高い風味品質のカカオと和素材を組み合わせた四季を感じるチョコレート「同フルーティカカオ&ゆず」、「同フローラルカカオ&抹茶」を2024年10月に発売、「同フローラルカカオ&桜」を2025年3月に発売しました。

グローバル視点では、海外で製造・販売している『ハローパンダ』ブランドのビスケットをプレッツェルに変更した「ハローパンダプレッツェル」を日本で製造、2024年10月からアメリカで発売を開始し、アメリカ市場での新たな需要拡大を目指しています。

 

(グミ)

グミでは官能評価及び科学的分析の結果から、2024年5月より全ての商品において賞味期限を10カ月から12カ月に延長しました。

『果汁グミ』ブランドでは定番商品に加えて、2024年6月「同南国フルーツミックス」、2024年12月「同和歌山県産南高梅」を発売しました。今後も季節を感じられるフレーバーや、限定果汁など特別感のあるラインアップを強化していきます。また、同ブランドのハード食感タイプ『果汁グミ 弾力プラス』では、2024年10月に「同マスカット」を容量1.5倍でリニューアルし、2025年3月に「同いちご」を発売しました。今後もお客様の嗜好に合わせて選択いただけるようにラインアップ拡充を進めていく予定です。その他、小分け包装をコンパクトにまとめて包装した『果汁グミスマートパック』では、ぶどう味に加えて、2025年3月より「同マスカット味」を追加し、ラインアップを拡充しました。ハード食感タイプのエナジードリンクグミ『ブーストバイツ』では、2025年2月「ブーストバイツMEGAスパーク」を発売しラインアップ強化を行いました。これまでのグミにはない刺激的な辛さと、ブランド内で最もハードな弾力食感を両立しています。『キシリッシュグミ』ブランドでは、グミのリフレッシュメント目的での利用を目指し、メントールの強い刺激と辛みが特徴の「同ハイパークール」を2025年3月発売しました。今後は海外展開を見据えたスペックの検討を進めると共に、若年層から高齢者まで拡大しているグミユーザーに選択いただけるよう、ラインアップ拡充、商品力強化を進めてまいります。

 

(カカオその他)

お土産市場では、西日本限定で販売している『カール』ブランドを活用し、ナッツにカール味を付与した商品「チーズあじカカールアーモンド」「うすあじカカールアーモンド」を2024年9月に西日本で発売し、お土産として好評を得ました。

カカオ豆研究においては、2019年からJICA(独立行政法人国際協力機構)と連携し、マダガスカルにおいて“高品質カカオのバリューチェーン構築 のための普及・実証・ビジネス化事業”に取り組み、カカオ豆の品質向上と商流確保に繋がる成果を得ることができました。今後マダガスカル産カカオ豆の活用を検討していきます。

 

③ ニュートリション

(乳幼児・女性栄養)

「明治ほほえみ/明治ステップ800g」「明治ほほえみ/明治ステップ2缶パック」を、容量はそのままに缶サイズの変更、オーバーキャップの薄肉化など環境に配慮した形状、包材へリニューアルしました。ベトナム、台湾向けの商品も同様の容器変更を実施しました。食品ロス削減への取り組みとして「明治ほほえみ らくらくミルク」(120ml)の賞味期限を3カ月延長、「明治ほほえみ」など乳幼児用粉ミルク10品の賞味期限を6カ月延長しました。

2023年1月から実施している大規模母乳調査(コホート研究)では、2024年12月までに1,100組以上の母子が計画通り研究に組み入れられました。今後、母乳分析を実施するとともに子どもが5歳になるまで調査を継続し、子どもの成長、発達に関連する要因を明らかにしていきます。順天堂大学、東京大学、東邦大学との共同研究により、乳児用ミルクの主な脂質である“トリグリセリド”の構造を母乳に近づけることで、脂肪の便中排泄の増加を回避できる可能性を見出し、国際学術誌Nutrientsで発表しました。大阪大学及び東北大学との共同研究により、8種の母乳中ヒトミルクオリゴ糖濃度の測定法を開発し、それらの濃度と子の頭囲の成長や精神神経発達指数との関連を日本で初めて評価し、国際学術誌Journal of Food Scienceで発表しました。

 

(スポーツ)

『ザバス』粉末プロテインは、“アシッドホエイプロテイン”を配合した『ザバス アドバンスト ホエイプロテイン100』シリーズを『マッスルエリート』シリーズとしてリニューアルを行い、商品の差別性を明確にすることで売上向上を図りました。加えて、プレミアム商品として、たんぱく原料“β-ラクトグロブリン+アシッドホエイプロテイン”を配合し、筋肉合成促進効果のあるロイシン含量を更に高めた「ザバスプロマッスルエリートチョコレート風味」を2025年3月に発売しました。『マッスルエリート』商品群を強化し、競合商品との差別化を高めることで『ザバス』ブランド力の強化を図りました。2024年9月に「ザバスプロウェイトダウン」は、筋肉合成促進、減量に効果のあるHMB-カルシウムを新たに配合することで、運動強度が高いヘビーユーザーの獲得を推進しました。近年プロテインを摂取する女性が増加しています。そこで、女性をメインターゲットとし、10種のビタミン、カルシウム、鉄、マグネシウムに加え女性にうれしい食物繊維配合した「ザバスホエイプロテイン100ブルーベリーヨーグルト味」を2024年10月に発売し、新規女性ユーザーの開拓を推進しました。『ザバス』飲料タイプでは、プロテイン含有量増加とおいしさの両立を求めるお客様の声に応えるため、1本あたりミルクプロテイン30gを配合した「(ザバス)MILK PROTEIN脂肪0 ココア味」を2024年9月に発売しました。当社の長年にわたるたんぱく質研究と乳飲料づくりの知見を活かし、“高たんぱく”と、運動後に飲みやすいすっきりとした“おいしさ”の両立を実現しました。また、近年ボディメイクのためにトレーニングをする方が増えており、引き締まったカラダを目指す方向けに大豆プロテイン商品の拡充を行いました。まず、1本に大豆プロテイン15gを含み、おいしく飲み続けられる風味に仕上げた「(ザバス)SOY PROTEIN(ソイプロテイン)ソイラテ風味」を2024年4月に発売しました。さらに、粉末プロテインにてご好評いただいている『ザバス Shape&Beauty』より、手軽な飲料タイプとして「(ザバス) Shape&Beauty(シェイプ&ビューティ)ミルクティー風味」を2025年3月に発売しました。“大豆プロテイン”に加え、美容にもうれしい“コラーゲン”を配合し、健康的で美しいカラダづくりを応援します。

 

(高栄養食品)

発売30周年を迎えたカラダに大切な栄養素がまとめて摂れる栄養食ブランド『明治メイバランス』より、「明治メイバランスMiniカップ コーンスープ味」、「同オニオンスープ味」を2025年3月に全国で発売しました。1本125mlで200kcalの少量高エネルギー設計で、カラダに大切な6大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質、食物繊維、ビタミン、ミネラル)をまとめて摂取することができ、風味にこだわったスープタイプの2つのフレーバーを新たに『スープテイストシリーズ』として展開、“食事の一品”としての使用を提案することで、使用シーンを広げてまいります。また、消費者庁より特別用途食品“総合栄養食品”の表示許可を取得しており、本商品を通じて、食事や栄養状態で悩む多くの方の栄養補給の選択肢を広げることで、お客さまの健康な毎日に貢献してまいります。2021年に発売した病院施設向けの栄養補助食品『明治メイバランス ぎゅっとMini』シリーズは、「明治メイバランスMini」を“ぎゅっと“小さくした業界最少量100mlで、栄養とエネルギー200kcalを簡単・手軽に補給でき、様々な理由で普通の食事が十分に摂れない方や食欲のない方の補助栄養として受け入れられ堅調に売上を伸ばしております。本年度は「明治メイバランス ぎゅっとMini」に発酵乳を配合した明治独自の栄養食品「明治メイバランスぎゅっとMiniプラス」を発売しました。明治が培った発酵乳(ヨーグルト)開発技術を活用しており、乳酸菌体(死菌)を含む乳製品乳酸菌飲料(殺菌)です。乳酸菌による発酵により、美味しく豊かな風味をお楽しみ頂けます。2023年9月にリニューアルした「メイバランスソフトJelly」は押しやすく吸いやすいスパウト付パウチ容器入りの、なめらかな食感の高栄養ゼリーです。125mlで6大栄養素とエネルギー200kcalを手軽に補給でき、売上も好調に推移しています。そのような中で、少量で栄養を摂取したいニーズに応えるラインアップとして100mlでエネルギー200kcalを摂れる設計の『メイバランスぎゅっとソフトJelly』シリーズを2025年3月に発売しました。特別な配慮が必要な方の栄養管理を実現するために、基礎研究や臨床研究に基づいて設計した高機能流動食シリーズ『明治インスロー(Inslow)』は、流動食投与後の血糖値に配慮した独自の糖組成“LoGIC(Low Glycemic Index Concept)”設計はそのままに、機能性の高い食物繊維グァーガム分解物とイソマルトデキストリンのプレバイオティクス配合とし、排便コントロールと血糖値上昇へ配慮した設計へとリニューアルしました。

“即攻で元気になる”を提供価値とする『即攻元気』シリーズは、2021年以降疲労回復系のニーズの高まりを受けて売上が伸長していますが、中でもプレミアム品の売上構成比が年々拡大傾向にあります。そこで、プレミアム品のラインアップ強化を目的に、疲労回復を想起するクエン酸3,000mgとビタミンCを1,000mg配合した「即攻元気ゼリークエン酸+」を2025年3月より発売を開始しました。また、2024年4月からは台湾で「即攻元気ゼリーアミノ酸&ローヤルゼリー」を発売し、現地でのブランド浸透に挑戦しました。

 

④ フードソリューション

(BtoB:クリーム、乳製品、カカオ、その他)

業務用クリームでは、超低脂肪にも関わらずホイップ可能な植物油脂クリーム「ルミエージュ」を2024年4月に発売しました。また台湾輸出用として「明治北海道ホイップ」を2024年10月に発売しました。中国国内販売用として、明治乳業(天津)有限公司製「35%クリーム」を2024年9月に、明治乳業(蘇州)有限公司製「明治フレッシュクリーム」を2024年11月に発売しました。業務用ソースでは、カフェ向けのソースとして「カラメルソース」を2025年5月に、「カヌレフレーバーカラメルソース」を2024年9月に、「Sakura ストロベリーソース」を2025年2月に発売しました。業務用チーズでは、健康志向の高まりからリン酸塩不使用の「明治とろけるやわらかステックチーズ」を、2024年12月に発売しました。また、カット加工しやすくサンドイッチ等でご活用いただける「明治北海道十勝カマンベール業務用(冷凍)」を2025年2月に発売しました。

 

(チーズ)

Savancia Fromage & Dairy(サヴァンシア フロマージュ&デイリー)社と共同で、本場フランス産クリームチーズを使用した「明治サンモレ クリームチーズデザート ストロベリー風味」、「同バニラ風味」、「同キャラメル風味」を、2024年10月より全国にて発売しました。また、野菜不足や栄養バランスが気になっているといった課題解決を目的に「明治ベジフルスライス かぼちゃブレンド」、「同トマトブレンド」を、2024年3月より新発売しました。さらに、『明治北海道十勝』ブランドでは、『明治北海道十勝生モッツァレラ』シリーズから、バジルの爽やかな香りとコクが楽しめる生モッツァレラチーズ「明治北海道十勝生モッツァレラ バジル仕立て」を、2025年3月から全国にて発売しました。本商品は、バジル風味をお楽しみいただけるモッツァレラチーズです。バジルやバジルソースを準備することなく、バジルの香りと彩りが楽しめるカプレーゼを手軽に作ることができ、好きなサイズにカットできるので、サラダや肉料理、サンドイッチなどにアレンジしてもお楽しみいただけます。さらに「明治北海道十勝生モッツァレラ」は、2025年2月より賞味期限を42日へ延長しました。

 

(フローズンデザート)

フローズンデザートでは、2024年に発売30周年を迎えた『明治エッセルスーパーカップ』ブランドの基幹商品「同超バニラ」、「同抹茶」、「同チョコクッキー」をリニューアルしました。また、2024年9月には、お客様との新フレーバー開発プロジェクトから生まれた「同ずんだ味」を発売しました。これからもお客様に寄り添い、ご期待に応えていきます。また、『明治ブルガリアフローズンヨーグルトデザート』ブランドでは、2024年3月に「同ストロベリー」を、2024年12月には「同果肉をまとった白桃」を発売しました。当社独自のアイス専用ヨーグルトを混ぜ込んだなめらかでコクのあるアイスを活かし、健康訴求アイスの拡大に向け、これからも積極的に商品開発を行っていきます。また、2024年9月に新ブランドとして当社のゴーダチーズをたっぷり配合し、濃厚なチーズケーキ風味に仕上げた「明治十勝チーズアイス」を発売しました。これからも当社優位原料を活用した商品展開を行っていきます。2023年3月に発売した、原材料として乳製品のみを使用した「明治 Dear Milk」は、2024年4月より全国販売を開始しました。新たなプレミアムアイスとして育成を図っていきます。海外では、2024年3月より明治制果食品工業(上海)有限公司にて、アイスクリーム新製造ラインが稼働を開始しました。現地ニーズに合った商品の展開を順次行っていきます。

 

(デイリーファット)

デイリーファットでは、乳素材を配合し新しい味わいが楽しめる「明治コーンソフト」、「明治コーンソフトバター入り」を2024年9月にリニューアル発売しました。また、生クリームのおいしさを手軽に楽しめる「明治チューブでクリーミースプレッド」を2025年3月に発売しました。

 

(調理食品)

調理食品事業では“銀座カリー発売30周年”にあわせ、関連する新商品及びリニューアル品を積極的に展開しました。

冷凍食品の新商品として、2024年8月下旬に「銀座洋食オムライス2個入」、「同ビーフストロガノフ」を発売し、カレー以外の洋食メニューを提案しました。さらに、2024年9月下旬には「銀座カリードリア2個入」、「同ハヤシドリア」、「同バターチキンカリードリア」をリニューアルし面展開を強化しました。また、冬季限定商品として「明治十勝チーズリゾット2個入」を発売しました。2025年2月下旬には銀座洋食シリーズのコンセプトを見直し、容量を増して1個入りとした「銀座洋食ふわとろたまごのデミオムライス」、「同コクとうまみのビーフストロガノフ」、「同とろ~りチーズのキーマカリー」へと刷新し、スナック売り場から個食売り場へと提案の幅を広げました。また、主力商品である「明治えびグラタン3個入」、「同2個入」、「明治えびドリア3個入」、「同2個入」を明治独自の原料である凍結脱脂濃縮乳を使用した配合にリニューアルし、風味の改良を行いました。ドライ食品では2024年8月に主力商品である「銀座カリー中辛」、「同辛口」、「同ハヤシ」、「同キーマ」、「同バターチキン」を全面的にリニューアルしました。具材を従来比1.5倍に増量するとともにシリーズで初めて電子レンジ調理に対応し商品力を向上しました。また、新商品として夕食需要にも応えられる高付加価値シリーズとして「銀座洋食ビーフシチュー」、「同クリームシチュー」を発売し、提案の幅を広げました。さらに、手軽にアレンジが楽しめる「まいにちおいしい銀座カリー甘口」、「同中辛」、「同辛口」を発売し、価格訴求ができるラインアップも揃えました。2025年2月には「銀座洋食ビーフ黒カリー」を発売し、ブランドの強化を図っています。全商品において現今のコスト上昇を織り込んだ価格改定も同時に実施しています。

 

(2) 医薬品

当連結会計年度における研究開発活動の金額は、23,381百万円であります。

 

薬品事業におきましては、医療用医薬品における感染症でのリーディングカンパニーを目指すとともに、血液がん等の新領域、ジェネリック医薬品等にも注力し、積極的な研究開発活動を行っております。当事業に係る研究開発費として170億45百万円を投入いたしました。

医療用医薬品における具体的な開発品目の進捗状況は、以下のとおりです。

慢性GVHD治療薬「レズロック錠」が、日本国内で新発売となりました。3月にはPTP包装も発売し、更なる利便性の向上を目指します。新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「コスタイベ筋注用」は、JN.1系統対応ワクチンとして2024/2025シーズンに16回接種分のバイアル製剤として発売開始しました。学会発表や論文掲載、記者会見やプレスリリースで正確な情報を提供し、全社横断のプロジェクト体制で上市を達成しました。2月には、同剤を創製したArctrus Therapeutics Inc.が欧州で販売承認を取得しました。尚、2025/2026シーズン用には2回接種用の製剤を開発しており、製造販売承認申請を行いました。東亞ST株式会社と共同開発したウステキヌマブバイオ後続品「IMULDOSA®」(DMB-3115)は、米国、欧州及び英国で承認されました。β-ラクタマーゼ阻害薬「Nacubactam(OP0595)」は、当社初の国際共同第Ⅲ相臨床試験を実施しています。KMバイオロジクス株式会社と共同で開発を進めている新型コロナウイルス感染症に対するワクチン「KD-414」は、小児の国内臨床第Ⅲ相試験を実施中です。抗悪性腫瘍剤「ハイヤスタ錠」は、悪性黒色腫患者を対象とした国際共同臨床第Ⅲ相試験を実施中です。経口PDE4阻害剤「ME3183」は、臨床第Ⅱ相試験を完了しました。米国ボストンにオフィスを新たに開設し、創薬基盤強化の拠点としてグローバル研究開発を更に促進します。

 

KMバイオロジクス株式会社は、ヒト用ワクチン、血漿分画製剤の研究開発から製造販売まで行う体制を持ち、また、新生児のマススクリーニングなどを行う新生児スクリーニングセンターを保有しております。

同社において、特に注力しておりますヒト用ワクチン領域における具体的な開発品目の進捗状況は、以下のとおりです。

「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する不活化ワクチン(KD-414)」は、国立感染症研究所、東京大学医科学研究所及び医薬基盤・健康・栄養研究所との協業で開発を開始しました。また、厚生労働省や日本医療研究開発機構(AMED)等からの助成金を活用し、Meiji Seikaファルマ株式会社との共同開発により、研究開発及び生産体制整備を推進しております。現在の開発状況は、成人を対象とした第Ⅲ相臨床試験(日本及びフィリピン)、小児を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(日本)及び小児を対象とした第Ⅲ相臨床試験(日本)は試験終了、小児を対象としたVE*第Ⅲ相臨床試験(日本)を実施中です。これまでの開発は起源株を用いておりましたが、直近に開始した小児を対象としたVE第Ⅲ相臨床試験では変異株対応のワクチンを用いており、今後は国内で求められる変異株対応のワクチンを供給すべく開発を進めてまいります。

「デング熱ワクチン(KD-382)」は、 第Ⅰ相臨床試験(オーストラリア)が完了しており、健康な成人に対して良好な安全性及び免疫原性が確認できています。現在、国立研究開発法人日本医療研究開発機構 先進的研究開発戦略センター(SCARDA)による「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業(一般公募)」、更に、2024年6月に厚生労働省の「ワクチン大規模臨床試験等事業」の事業者への採択を受け、第Ⅱ相臨床試験の準備を進めています。

「5種混合ワクチン(KD-370)」(クイントバック水性懸濁注射用)は、2023年9月に製造販売承認を取得し、2024年3月に販売開始しております。5種混合ワクチン(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン)については、2024年4月より定期接種の対象となりました。現在「小児用6種混合ワクチン(KD2-396)」の第Ⅱ相臨床試験(日本)を実施中です。

また、血漿分画製剤につきましては、「免疫グロブリン製剤(KD-380)」の第Ⅲ相臨床試験を2024年6月より、「血液凝固第X因子製剤(KD-416)」の第Ⅰ/Ⅲ相臨床試験を2024年10月より開始しました。なお、KD-416は2024年6月に希少疾病医薬品指定を受けております。

 

*VE: Vaccine E¬fficacy(ワクチン有効性)

 

明治アニマルヘルス株式会社での具体的な開発品目の進捗状況は、以下のとおりです。

豚用抗菌剤「ME4137」は2024年5月18日に、牛用ワクチン「KD-412」は2024年5月29日に、牛豚馬用の解熱鎮痛、抗炎症薬「MD-22-3002」についても、2025年1月9日に製造販売承認を取得しました。承認事項変更申請中である牛馬豚用繁殖薬「MD-22-3001-1」は現在審査中です。牛用抗菌剤「ME4305」、豚用ワクチン「MD-22-2001」及び牛用抗菌剤「MD-22-1001-1」は、製造販売承認申請に必要な試験を開始しました。

 

(3) その他

当連結会計年度における研究開発活動の金額は、2,595百万円であります。

 

明治ホールディングス株式会社 ウェルネスサイエンスラボでは、これまで継続的に取り組んできた研究領域(マイクロバイオーム、抗老化、免疫、母子栄養、カカオ機能性など)において、今年度も数多くの成果が得られました。これらの成果は学会や論文発表を通じて社会に発信されています。

2023年度から始まった「微生物を活用するバイオものづくり」研究や、酪農分野におけるサステナビリティー研究も着実に進行しており、今後の明治グループの事業基盤を支える新たな取り組みとして大きな期待を寄せていただける内容となっています。私たちは、これらの研究を通じて持続可能な未来と新たな市場機会を創出していきます。

さらに、海外とのオープンイノベーションが進展しており、特に米国のCalifornia Cultured社との協力により、細胞培養カカオの生産に向けた技術開発を加速しています。このように、国内外の研究機関と密に連携しながら、先進的な技術の開発に取り組んでおります。

2025年度も、ウェルネスサイエンスラボは明治グループ全事業会社のもつ知識と技術を結集し、次世代の明治グループを支える革新的な技術を創造し続けます。