第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループは、「安心で快適な生活環境の創造」の経営理念に基づき、安全で高い品質の社会インフラ、サービスの提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、誠実・公正で透明性のある企業活動と社員一人ひとりの高い倫理観に基づいた行動を通じて、あらゆるステークホルダーから信頼され続ける企業となるべく努力してまいります。さらに、安定的な受注と利益を確保し、市場競争力の維持・強化に努め、新しい成長領域の構築に向けた投資を推進しながら、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)経営環境

 当社グループが属する建設業界は、国内外の景気や政治情勢の変化により常に厳しい競争にさらされてきています。このような状況の中、公共工事における新設橋梁の発注量は中長期的には緩やかな減少傾向が続きますが、高度成長期に集中的に整備された道路橋を中心とした橋梁の老朽化に伴う大規模更新・大規模修繕事業の発注量は今後本格的に増加してくることが見込まれています。また、民間工事については、首都圏を中心とした大規模オフィスの再開発や大阪・関西万博の開催、リニア中央新幹線の開業に向けた関連施設の建設が予想され、発注量は堅調に推移することが見込まれています。

 

(3)対処すべき課題等

 このような経営環境の中、2017年度を初年度とする3ヵ年の第1次中期経営計画の最終年度の数値目標を2年目の2018年度に上回ることができました。最終年度である2019年度の業績につきましても、当初計画していた数値目標を上回る売上高1,200億円、営業利益48億円を見込んでいます。

 その一方で、建設関連業界においては人手不足が顕在化しており、また、進みつつある少子高齢化の問題と昨今の「働き方改革」への対応も含め、当社グループにおいても早急な対応が求められています。当社グループでは、ダイバーシティーの実現、活き活きと働ける職場環境の整備、公平で明確な人事制度の確立、そして人材の育成というつの課題を掲げて、職場づくり・人材づくりを目指しています。そして、これらの課題の解決を通じて、当社グループとしての考え方を社員一人ひとりに浸透させ、「働き方改革」を確実に推進してまいります。

 さらに、安全・品質については、安全は全てに優先される事項との強い認識のもと、事故の根絶に向けた不断の努力を継続してまいります。また、このような取り組みの中から生み出される社会インフラ、サービスについては、高い品質とともに提供していけるよう今後も取り組んでまいります。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、記載のうち将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断しています。

(1)市場リスク

 当社グループの鉄構セグメントにおける鋼橋事業並びに土木セグメントにおけるPC橋事業は、その大半が国、地方自治体及び高速道路会社からの発注であります。また鉄構セグメントにおける鉄骨事業と建築セグメントにおける建築事業は、国内民間設備投資による発注であります。現状では老朽化した橋梁の増加に伴い更新事業、保全補修事業のニーズ拡大や、東京オリンピック・パラリンピックに向けた民間設備投資意欲の高まりが見られる一方、新設橋梁は緩やかな減少が見込まれており、今後公共投資が減少した場合や景気後退等により国内民間設備投資が縮小した場合には、今後の受注動向に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)主要材料及び労務単価の変動リスク

 当社グループの鉄構セグメントの主要材料は鋼材であり、アジアにおける鋼材消費量、並びに鉄鉱石・石炭等の原材料価格の動向により、鋼材価格は変動します。また技能労働者不足に伴う労務費の上昇が懸念される中、当社グループはこれらの価格上昇を請負金額に転嫁する努力を続けています。しかしながら、請負契約締結後に予想を超えて大幅に上昇し、それを請負金額に反映することが困難な場合には、コスト増加につながり、採算性が悪化する可能性があります。

 

(3)事故によるリスク

 当社グループは、工場製作及び現場施工に携わる事業が大半を占めており、事故防止のための安全管理・対策には万全を期していますが、万が一事故が発生した場合には、事故による直接・間接の損害やそれらに関する補償費用が発生するだけでなく、顧客の信頼が失墜し結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)品質不具合による瑕疵等のリスク

 当社グループで製作している製品及び現場施工の品質につきまして、顧客満足を念頭に細心の注意を払い品質管理を行っていますが、万が一重大な瑕疵が発生した場合には、その損害賠償だけでなく、顧客の信頼が失墜し結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)工事遅延リスク

 工事の遂行にあたっては、鋼材やボルトなどの購入品が当初見込んでいた時期に納品されない場合に着工時期が遅れるおそれがあります。また現場条件の変更や下部工工事の遅れなどが生じた場合、発注者と協議のうえ当初の架設工法を見直すことがあり、その場合、架設時期が遅れるおそれがあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法令等に関わるリスク

 当社グループの事業は、建設業法等の法的規制を受けます。これらの規則を遵守できなかった場合、指名停止、営業停止等の処分により業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)取引先の信用リスク

 景気後退や建設市場の縮小などにより、発注者・協力業者などの取引先が信用不安に陥った場合には、資金の回収不能や施工遅延などの事態が発生する可能性があります。

 

(8)為替の変動リスク

 当社グループの持分法適用会社は海外事業を行っており、工事代金の回収は外貨建となっています。為替の変動により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態の状況

 当連結会計年度末における「資産の部」は128,062百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,479百万円(前連結会計年度比+3.6%)増加しました。これは主に、建物・構築物が784百万円、建設仮勘定が1,274百万円、関係会社株式が2,666百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 また、「負債の部」は72,817百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,004百万円(前連結会計年度比△2.7%)減少しました。これは主に、支払手形・工事未払金等が2,920百万円、未払法人税等が1,351百万円、未成工事受入金が1,633百万円それぞれ増加した一方、短期借入金が7,057百万円、長期借入金が889百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 一方、「純資産の部」は55,245百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,483百万円(前連結会計年度比+13.3%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の38.9%から42.6%となりました。

 

 ② 経営成績の状況

 当社グループは2017年度を初年度とする3ヵ年の第1次中期経営計画を策定し、基本方針に基づき、企業価値の向上に取り組んでいます。この2年間は、公共建設投資がピークアウトしている状況は変わりませんが、民間建設投資を含めると高い水準を維持している環境の中、それぞれのセグメントにおいて受注及び利益の確保に努めてきた結果、2年目で最終年度の数値目標を達成することができました。

 その一方で、建設関連業界においては人手不足が顕在化しており、また、進みつつある少子高齢化の問題と昨今の「働き方改革」への対応も含め、当社グループにおいても早急な対応が求められています。当社グループでは今後限られた人材の有効活用による施工体制の確立に加え、ICT、ロボット、AIを活用し合理化・省人化を実現した工場、工事現場を目指すとともに、建設業の将来的な担い手確保に向けた魅力ある労働環境を整備して、人と技術の両面から高い競争力を有する企業を目指していきます。

 中期経営計画の最終年度にあたる2019年度につきましても、継続してグループ全体での「収益力」の改善を意識し、持続的な成長と企業価値の向上を目指していきます。

 当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高118,369百万円(前連結会計年度比10.4%増)、営業利益6,065百万円(同36.7%増)、経常利益8,541百万円(同86.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,063百万円(同48.9%増)となりました。受注高につきましては、土木セグメントで前連結会計年度を大幅に上回ったことで、全体では141,585百万円(同15.9%増)と過去最高を記録し、その結果、次期繰越高も過去最高水準となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)

 

(鉄構セグメント)

 鉄構セグメントにおきましては、売上高は、鉄骨事業において東京オリンピック・パラリンピック開催前の再開発関連工事の製作が最盛期を越えたことにより前連結会計年度に比べ減少したものの、橋梁事業において前連結会計年度からの豊富な繰越高を受け、高速道路会社をはじめとした大型新設鋼製橋梁や大規模更新工事が順調に進捗したことにより、53,044百万円(前連結会計年度比0.5%増)となりました。損益面は、橋梁事業において大型工事の竣工時設計変更が獲得できたことによる採算性の改善に加え、鉄骨事業においても採算性の良い工事の進捗が順調に推移したことや原価低減に努めたことにより、営業利益は4,567百万円(同21.1%増)となり、大幅に改善いたしました。受注高は、橋梁事業において当連結会計年度の上半期で高速道路会社や国土交通省を中心とした大型工事の受注を積み重ねることができましたが通期では過去最高だった前連結会計年度を下回ったことに加え、鉄骨事業において当第4四半期で首都圏を中心とした大型再開発工事の受注を積み重ねることができたものの、当第3四半期までの伸び悩みを補うまでには至らなかったことで、鉄構セグメント全体の受注高は54,719百万円(同12.6%減)となりました。しかしながら、当連結会計年度における次期繰越高は前連結会計年度を上回る高い水準を維持しています。

(土木セグメント)

 土木セグメントにおきましては、売上高は、高速道路会社をはじめとした大型新設PC橋梁のほか、大型床版取替工事が順調に進捗したことにより、33,385百万円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。損益面は、当第4四半期に大型工事での設計変更が獲得でき、損益改善が図れたものの、施工工法変更に伴う工期の延長で原価が先行している工事等もあり、営業利益は1,789百万円(同4.4%減)となりました。受注高は、新設のみならず補修、保全についても大型工事での受注を積み重ねることができたことにより51,234百万円(同76.3%増)となり、前連結会計年度を大幅に上回ることができました。

(建築セグメント)

 建築セグメントにおきましては、売上高は、前連結会計年度に受注したシステム建築をはじめとした大型工事が概ね順調に進捗したことにより、21,489百万円(前連結会計年度比67.6%増)となり、大幅に増加いたしました。損益面は、売上ボリューム増加に伴い利益が増加したことに加え、竣工を迎えた一般建築での採算性が改善したことにより、営業利益は1,555百万円(同88.3%増)となり、大幅に改善いたしました。受注高は、システム建築をはじめとした大型工事の受注を積み重ねることができたことにより、22,811百万円(同25.1%増)となりました。

(その他)

 その他におきましては、売上高は12,401百万円(前連結会計年度比1.3%減)、損益面につきましては、ソフトウエア関連の売上増加で利益が増加したことなどにより、営業利益414百万円(前連結会計年度は営業損失26百万円)となりました。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、611百万円減少し10,629百万円(前連結会計年度比△5.4%)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、13,031百万円の資金増加(前連結会計年度は3,328百万円の資金増加)となりました。これは主に、売上債権の回収による減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,811百万円の資金減少(前連結会計年度は3,232百万円の資金減少)となりました。これは主に、設備投資による固定資産の取得等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、9,847百万円の資金減少(前連結会計年度は2,774百万円の資金増加)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。

 

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しています。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鉄構

54,719

△12.6

88,144

1.9

土木

51,234

76.3

50,330

55.0

建築

22,811

25.1

18,586

7.7

その他

12,819

4.4

1,510

38.2

合計

141,585

15.9

158,572

15.5

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

鉄構

53,044

0.5

土木

33,385

6.8

建築

21,489

67.6

その他

12,401

△1.3

合計

120,320

9.9

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。

 

 なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

a.生産実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

52,786

52,761( 0.0%減)

建築

12,462

21,029(68.7%増)

その他

462

416( 9.9%減)

合計

65,711

74,208(12.9%増)

(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。

2 生産高には、外注生産高が含まれています。

 

b.受注実績

期別

セグメントの名称

前期繰越工事高(百万円)

当期受注工事高(百万円)

(百万円)

当期完成工事高(百万円)

次期繰越工事高(百万円)

前事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

鉄構

76,660

62,477

139,138

52,613

86,524

建築

11,847

18,235

30,082

12,818

17,264

その他

154

154

154

合計

88,508

80,867

169,375

65,587

103,788

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

鉄構

86,524

54,643

141,168

52,963

88,205

建築

17,264

22,811

40,075

21,489

18,586

その他

160

160

160

合計

103,788

77,616

181,405

74,613

106,791

(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。

2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額40億円以上の主なものは、次のとおりであります。

渋谷駅街区東棟新築工事共同企業体

渋谷駅街区東棟新築工事

2019年6月完成予定

首都高速道路㈱

高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事

2025年7月  〃

㈱竹中工務店

八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業新築工事 A-1街区

2021年4月 

首都高速道路㈱

(修)上部工補強工事1-207

2020年1月  〃

中日本高速道路㈱

名古屋第二環状自動車道 服部高架橋他2橋(鋼上部工)工事

2019年11月  〃

c.販売実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

52,613

52,963( 0.7%増)

建築

12,818

21,489(67.6%増)

その他

154

160( 4.1%増)

合計

65,587

74,613(13.8%増)

(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

大塚倉庫㈱

(仮称)大塚倉庫㈱赤穂営業所 赤穂第3倉庫新築工事

㈱竹中工務店

構真柱・地下・地上低層鉄骨工事

㈱大林組

鉄骨工事(C棟)

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 北山川橋(鋼上部工)工事

西日本高速道路㈱

高松自動車道 津田川橋他2橋(鋼上部工)工事

当事業年度の完成工事高のうち請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。

東日本高速道路㈱

北海道横断自動車道 塩谷川橋(鋼上部工)工事

大成建設㈱

新国立競技場整備事業(第2期)

渋谷駅南街区プロジェクト新築工事共同企業体

渋谷駅南街区プロジェクトJVに伴うB-1棟地上1節~7節本体鉄骨現場工事(工期延伸)

国土交通省

平成26年度 三遠南信天龍峡大橋鋼上部工事

日本梱包運輸倉庫㈱

(仮称)日本梱包運輸倉庫㈱狭山梱包センター第4期柏原倉庫建設工事

 

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

渋谷駅街区東棟新築工事共同企業体(代表 東急建設㈱)  7,391百万円  11.3%

当事業年度

100分の10以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。その詳細は「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されています。

 これらの中で当連結会計年度の報告に大きく影響を与えるものに工事進行基準の適用があり、これによる売上高は、105,615百万円を計上しています。

 また、前連結会計年度同様、工事損失引当金の計上は大きな影響があります。当連結会計年度末においては、当社グループは、昨今の受注環境の悪化を背景とした未成工事の将来の損失に備え、1,211百万円を計上しています。

 また、見積りの中で大きな影響を持つものとして、繰延税金資産の評価があります。当社グループは、各社の将来の収益力を源泉とした課税所得に基づくタックスプランニングを行い、充分に回収可能性を検討し同資産の評価額を決定しています。当連結会計年度においては、グループ各社の回収可能性を検討した結果、繰延税金資産は1,904百万円となっています。

 このほか、当社グループの保有する資産に将来キャッシュ・フローを見積もり、その見積もった将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで直接減額しています。当連結会計年度において検討した結果、減損損失として788百万円を計上しています。

 

 ② 当連結会計年度の経営成績等状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ)当社グループの当連結会計年度の経営成績については、売上高は大型工事が順調に進捗したことにより、前連結会計年度に比べ10.4%増の118,369百万円となりました。営業利益は鉄構セグメントにおける工場製作の原価改善や橋梁及び鉄骨案件での設計変更獲得などにより、前連結会計年度に比べ36.7%増の6,065百万円となりました。また、経常利益は持分法による投資利益が前連結会計年度より2,223百万円増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ86.2%増の8,541百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は法人税等の増加により、前連結会計年度に比べ48.9%増の6,063百万円となりました。

(ロ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、次のとおりであります。

・当社グループを取り巻く事業環境は、基本的に建設市場が縮小していく中での供給過剰状態にあり競争が熾烈であります。

・鉄構セグメントの鋼橋事業、土木セグメントのPC橋事業、その他のソフトウエア事業並びに橋梁用品販売の市場は公共工事予算、特に道路関係予算の影響を直接受けます。発注先の入札制度等の改革も大きな影響があります。

・鉄構セグメントの鉄骨事業は、超高層ビルを主体としたオフィス需要の影響を受け、建築セグメントの建築事業は民間非住宅需要や住宅マンション需要による民間設備投資に影響を強く受けます。

・鉄構セグメントの主要な材料は熱延鋼板等の鋼材であり、原料価格、高炉各社の供給体制・経営戦略、海外のインフラ需要等の影響を強く受けます。

・地震等の自然災害や突発的事象に起因する生産工場等の設備の損壊、電力・水道等のインフラ途絶による操業の中断は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(ハ)セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 当社グループとしましては、法令等遵守意識の徹底はもとより、内部統制システムを効率的に実施することにより、信頼の確保に最大限の努力をしてまいります。

 当社の基本戦略は、当社グループの企業が各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め売上と利益の拡大を継続的に図るとともに、関連する新市場への進出を図ることであります。当社グループのコアコンピタンスである公共建設事業においては、入札制度改革の中で技術力による差別化の重要性を強く認識し、設計・製作・施工技術の強化を図るとともに、発注価格を市場価格ととらえ、グループ全体としてのコスト縮減を図り、利益を確保することにより、内部留保の厚みを増すと共に、配当を安定的かつ継続的に行うことを重要課題として取り組みます。

・鉄構セグメントにおける鋼橋分野では、複合構造橋梁・合成床版の拡販と海外市場並びに土木・海洋土木構造物市場への展開に努力してまいります。鉄骨分野では、採算性を重視した選別受注に努め、大重量を扱える利点を損なうことなく新たな構造への対応を図るとともに、鉄骨建方への挑戦を続けてまいります。また、海外市場へは十分なリスク管理のもとで展開を図ってまいります。

・土木セグメントにおけるPC橋分野では、「PC」・「保全」・「プレキャスト」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、プロジェクト・マネジメントを取り入れ、受注と利益拡大、固定費圧縮、原価低減の徹底を図ります。

・建築セグメントにおける建築分野では、工事規模の適正化を図り、技術提案等によるコスト削減を更に進め、システム建築市場の拡張を図ります。

・その他のソフトウエア事業並びに橋梁用品販売事業は新商品の拡販と引き続き固定費の圧縮を行うことにより採算性の向上を図ります。ロボティクス事業では、人間型ロボット等で蓄積されたデバイス技術の商用化と位置づけた次世代産業型ロボットの受注機会拡大と収益力の向上を図ります。

・持分法適用会社である佐藤工業㈱との業務提携につきましても、技術交流、保有資産の相互利用等を通じ、相互補完体制の確立・強化を図っています。

(ニ)当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

・資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、それらについての一般管理費等があります。また、設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空関連事業を営むために必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。

・財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部資金の活用とともに金融機関からの借入を中心とした資金調達を行っています。

 運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。そのことを踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期資金と長期資金とを組み合わせ、資金調達の安定性と流動性を確保するとともに、金利面については過度の金利変動リスクを回避すべく、一部資金調達においては金利スワップなどの手段を活用しています。

 金融機関とは179億円の当座貸越契約を締結するなど、十分な借入枠を確保するとともに、平素より業績や資金の状況について説明を行うことで、信頼関係の維持を図っています。

 

4【経営上の重要な契約等】

契約会社名

相手方の名称

契約品目

契約内容

契約期間

川田建設㈱

(連結子会社)

極東鋼弦コンクリート振興㈱

フレシネー工法

1.フレシネージャッキの有償借入

2.PC鋼材及び定着装置・ケーブル付属品の有償購入

1977年10月11日より

1982年10月11日まで

以後2年毎更新

㈱橋梁メンテナンス

(連結子会社)

S.A.S FPC

(フランス国)

シーペックジョイント

同製品の国内製作・販売ライセンス契約

2015年7月11日より

2018年7月9日まで

以後3年毎更新

(注) 上記の技術受入契約においては、それぞれロイヤルティとして、資・機材の利用あるいは売上に対して一定額を支払っています。

 

5【研究開発活動】

  当社グループは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し、新しい技術や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所がグループをまたいだ分野の技術開発を担当し、グループ各社が現業事業に直結する内容の研究開発を担当しています。

 当連結会計年度における研究開発費は1,050百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。

 

(鉄構セグメント)

 主に川田工業㈱の鋼構造事業部が、鋼構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は327百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 複合構造に関する研究開発

 当社グループが得意とする複合構造物では、プレビーム合成桁、鋼・コンクリート合成床版(SCデッキ)、鋼・コンクリート混合桁などの開発に注力し、多くの実績を収めています。これらに関しては、経済性や施工性における優位性を高めるための研究開発を進めています。

② 橋梁保全技術に関する研究開発

 高速自動車道などで計画されている既設橋の大規模更新・大規模修繕を睨み、特にRC床版の撤去方法、早強コンクリートによる急速施工、疲労耐久性に優れた鋼床版、腐食耐久性に優れた防食工法など、客先ニーズに応え、競争力のある固有の研究開発を行っています。

 また、老朽化している橋梁点検の合理化・効率化を支援する技術として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所にて橋梁点検用ドローン「マルコ」の開発を実施しています。本開発については、2018年度は開発した「マルコ」の試行業務への適用を行い、その結果を受けた改良開発を行いました。また、2019年2月に公開された国土交通省発行の「点検支援技術性能カタログ」への掲載が実現しました。

③ 生産技術に関する研究開発

  鋼橋においては、溶接部の疲労耐久性の向上を、鉄骨においては溶接作業の高能率化及び高品質化をキーワードに研究開発を進めています。また、より高品質で低コストである新溶接法の開発や、若年溶接技能者に向けた技量向上システムの開発も進めています。

④ AI、IoTの活用に関する研究開発

 橋梁の施工現場にAIやIoTを導入し、労働生産性の向上を図るための技術開発を進めています。開発中の技術は、昨年度、国土交通省が公募した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」で試行するなど、様々な現場検証を通じて実用化を目指しています。

 また、建設現場作業の省人・省力化と技能伝承の一環として、建築現場における鉄骨建て方工事の支援システムの研究開発を川田テクノロジーズ㈱技術研究所と川田工業㈱の鉄構・建築部門と共同で実施しています。本研究開発では、少子高齢化により労働者人口が減少すると言われている将来において、鉄骨建て方工事プロセスでの時間短縮とノウハウのデータ収集と活用を行い、建築・建設業での建設現場における生産性向上を目的に開発を実施しています。

 

(土木セグメント)

 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は112百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発

 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的として研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる、全自動緊張管理システムを実現場の縦締めPC鋼材に適用しています。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を実施しており、今後もプレキャスト製品のJIS認定範囲を拡張することで、プレキャスト製品の販路拡大を図ってまいります。

② 更新技術に関する研究開発

 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着工法の研究開発を継続して推進しています。プレキャストPC床版についてはNEXCOでの新たな工事受注をいたしました。競争力向上のために開発を進めている繊維補強軽量プレキャストPC床版についても適用研究を実施しています。PC中間定着工法については、さらにPC鋼材サイズが大きな中間定着具を作成するとともに、疲労試験を実施して永久定着具としての安全性も確認することができました。

③ 保全技術に関する研究開発

 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続しています。延命化・長寿命化技術のひとつとして、KKグラウト注入工法を開発し、月にNETIS登録されました。また、保全工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で現場ビューワーや採寸治具などの作業補助装置の開発にも挑戦しています。

 

(建築セグメント)

 川田工業㈱建築事業部が、事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費は81百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発

 研究・開発を継続している耐震用ブレース「ハイパー・ブレース」は、2018年度に3棟の大型倉庫に採用され、竣工・引渡しをいたしました。また、制振用ブレースについても1棟の高層建物において採用が決定するなど着実に実績を重ねています。各ブレースは量産体制を整えるために栃木工場において一般評定の追加取得を行なっています。2018年度は栃木工場において耐震用ブレースの一般評定を取得しましたが、次年度は引き続き制振用ブレースの一般評定を追加取得する予定です。

② 環境事業に関する研究開発

 水遣りが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、昨年度行なった米国・カリフォルニア州、フィリピン・マニラの実験経過が良好で、引き続きモニタリングを行うと同時に今後も海外事業展開を検討していきます。また、2018年度は新たにシンガポール、インドから実験施工の引き合いがあり、次年度においては現地企業や大学との共同実験施工を行う予定です。2018年度も香港において地下鉄駅舎の緑化工事を中心に実績数を伸ばしており、今後も更なる海外展開を目指して積極的な研究開発を行っていきます。

 地中熱利用ヒートポンプ空調システム「GEOneo」に関しましては、複数の熱源からのエネルギーを効率的にマネジメントできるハイブリッドシステムに関する制御アルゴリズムの開発を実施し、システムの価値の向上を行いました。

 

(その他)

 カワダロボティクス㈱は双腕ロボットに関する研究開発を継続して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は529百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発

双腕ロボット関連では、「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施しています。

② ロボットの統合拡張プラットフォーム化に関する研究開発

 双腕ロボットの導入拡大に向けた研究開発として、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトに参画し、ロボット作業システムを迅速に構築可能な基幹モジュール及び拡張モジュールの開発及び実証試験を実施しています。