第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、「安心で快適な生活環境の創造」の経営理念に基づき、安全で高い品質の社会インフラ、サービスの提供を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、誠実・公正で透明性のある企業活動と社員一人ひとりの高い倫理観に基づいた行動を通じて、あらゆるステークホルダーから信頼され続ける企業となるべく努力してまいります。さらに、安定的な受注と利益を確保し、市場競争力の維持・強化に努め、新しい成長領域の構築に向けた投資を推進しながら、企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2)経営環境

 当社グループが属する建設業界は、国内外の景気や政治情勢の変化により常に厳しい競争にさらされており、各セグメントにおける経営環境の認識は以下のとおりです。

セグメント

経 営 環 境

鉄 構

(橋梁事業)

○市況

・新設鋼製橋梁の発注量は、短期的には暫定2車線で開通している高速道路の4車線化や関西方面での大型案件などがあり堅調な事業環境にあるものの、中長期的には緩やかな減少傾向

大規模更新・大規模修繕については高速道路会社を中心として発注量は増加傾向

○競合他社との差別化

・技術と経験ある人材を多く確保し、複合橋梁が得意

 

(鉄骨事業)

○市況

・首都圏においては大型再開発プロジェクトの始動まで軟調な事業環境

・西日本地区においては大阪・関西万博関連施設や梅田北再開発など堅調な事業環境

○競合他社との差別化

・製作から施工(建方含む)までの一括請負

土 木

○市況

・新設プレストレス・コンクリート橋梁の発注量は減少傾向

・高速道路会社による大規模更新・大規模修繕は大幅な増加傾向

○競合他社との差別化

・長年の首都高速道路における保全工事を通じて蓄積してきた各種保全技術ノウハウ

建 築

○市況

・人手不足などにより在来工法からのシフトが進みシステム建築市場が拡大

・電子商取引の拡大による大型物流施設の需要が旺盛

○競合他社との差別化

・提案から設計・施工・アフターメンテナンスまでONE STOPサービス

 

 なお、上記経営環境に関しましては、今後全てのセグメントにおいて新型コロナウイルス感染症の影響を受ける可能性があります。特にいわゆる民間事業(鉄構セグメントにおける鉄骨事業や建築事業さらにはその他事業の中の一部事業)の市況は大きく影響を受けることが見込まれますが、それらに係る事業上の具体的なリスクは、「2 事業等のリスク(14)新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク」に記載したとおりであります。

 

(3)対処すべき課題等

 当社グループは2020年度を初年度とする第2次中期経営計画(2020年度から2022年度まで)を策定し、当社グループ全体として以下のとおりテーマ、その実現のために4つの基本方針、そして、3つの経営目標数値を定めています。

テーマ

収益基盤の強化と変革の加速

基本方針

①既存事業の収益力強化

 ・質を重視した受注の推進

 ・生産性向上による徹底的なコスト削減

②事業ポートフォリオの全体最適化

 ・事業環境の変化を先取りした効率的な経営資源の投入

イノベーションの加速

 ・新たな事業領域へのチャレンジ

人材の確保・育成、働き方改革の推進

 ・多様な人材の確保

 ・社員のスキルアップ

 ・「働きがい」の継続的な向上

経営目標数値

①売上高(3か年平均※)

 1,160億円

②営業利益(3か年平均※)

 42億円

③自己資本比率(2019年度比)

 3%以上改善

※当社グループは複数年に亘る事業を行っており、工事の進捗や設計変更獲得状況などにより年度ごとの数値にバラツキが生じるため、3か年平均の数値を設定しています。

 

 そして、計画初年度である2020年度の経営数値は次のとおり、順調な滑り出しとなっています。

売上高

1,155億円

営業利益

55億円

自己資本比率

1.8%改善

 

 しかし、計画2年目となります2021年度においては、鉄構、土木、建築のいずれのセグメントにおきましても当年度の施工量が減少する見込みであることに加え、鉄構、土木セグメントにおける設計変更が前年度ほど期待できないため、売上高、営業利益とも目標金額の水準には届かない見込みとなっています。

 今後につきましては、今一度、次のとおり各セグメントにおける課題と向き合い、各種施策の追加と軌道修正を加えながら、安定的な受注の確保と採算性の改善に努めることで、第2次中期経営計画の目標達成を目指してまいります。

セグメント

対処すべき課題

鉄 構

(橋梁事業)

製作部門におけるコスト競争力の強化と各種土木構造物など新規分野への挑戦

・施工部門における現場作業の省人化・省力化と収益性の確保

 

(鉄骨事業)

超高層建築物における躯体構造の変化に対応した製作、施工そして営業体制の再構築

土 木

長年の首都高速道路における保全工事で蓄積してきた各種保全技術ノウハウの共有と活用

・エリアごとに、新設PC橋梁、更新工事、保全工事を設計・施工できる体制の確立

・大規模更新・大規模修繕への適応力の向上

建 築

・物流倉庫建設資金の多様化に対応した提案型営業

(当社グループ全体)

  生産性の向上を図るため、そして成長を推し進めるための設備投資やグループ事業全体の最適化のために人材をはじめとした経営資源の最適配分

 

 なお、各事業を通して、「安全は全てに優先される」との強い認識のもと、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた取り組みも含め、事故などの根絶に向けた不断の努力を継続してまいります。また、このような取り組みの中から生み出される社会インフラ、サービスについては、高い品質とともに提供していけるよう今後も取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)市場リスク

 鉄構セグメントにおける鋼橋事業並びに土木セグメントにおけるPC橋事業(以下「橋梁事業」)は、その相当部分が国、地方自治体からの発注であり、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化する可能性があります。今後の発注量については、短期的には回復すると予測していますが、中長期的な発注量は不透明な状況であります。

 また、橋梁事業においては、市場が新設から保全・補修へと変化していることで、工場製作を中心とした事業形態から現場を中心とした事業形態へと変わりつつあり、この変化に適切に対応できない場合、業績に影響が出る可能性があります。

 次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業と建築セグメントにおける建築事業は、民間設備投資による発注であるため、景気動向に左右される傾向にあります。

 今後とも公共事業、民間事業それぞれの受注活動を強化し、リスクの低減を図ってまいりますが、受注が低迷した場合には業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)工事進行基準における収益変動リスク

 当社グループは当連結会計年度末までに進捗部分について成果の確実性が認められる工事については、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、工事進行基準を適用しています。工事原価総額は過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、建設工事は工事期間が長期に亘る中で鉄構セグメントの主要材料である鋼材や技能労働者不足等に伴う労務費の上昇など見積り特有の不確実性があります。請負契約締結後に予想を超えて大幅に増加するコストについては発注者と協議を重ね、追加の請負金額を獲得する努力を続けていますが、それを請負金額に反映することが困難となった場合には、採算性が悪化するリスクがあります。

 また設計変更に対するコストにつきましても、市況の変動の外的要因などにより請負金額に反映することが困難となった場合には、採算性が悪化するリスクがあります。

 これら採算性の悪化リスクを回避・軽減するため、早期調達及び多様な調達先の確保を図るとともに、発注者との交渉を早期に進めるなどの対策を実施しています。

 

(3)事故によるリスク

 当社グループは、工場製作及び現場施工に携わる事業が大半を占めており、事故防止のための安全管理・対策には万全を期していますが、万が一事故が発生した場合には、事故による直接的な損害と補償費用が発生するだけでなく、工事成績評点への影響や発注者から指名停止等の処分を受けるなど、今後の受注活動にも影響が生じるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)品質不具合による瑕疵等のリスク

 当社グループで製作している製品及び現場施工の品質につきまして、細心の注意を払い品質管理を行っていますが、万が一重大な瑕疵が発生した場合には、その損害賠償だけでなく、顧客の信頼が失墜し結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)工事遅延リスク

 工事の遂行にあたっては、鋼材や購入品が当初予定した時期に納品されない場合に工程が遅れ、工期が伸びる可能性があります。また現場条件の見直しや下部工工事の遅れなどが生じた場合、発注者と協議のうえ当初の架設工法を見直すことがあります。設計変更については発注者と協議を重ね、追加の請負金額を獲得する努力を続けていますが、架設工法変更に伴う原価の見直し時期と設計変更の計上時期にずれが生じた場合、原価が先行することで一時的に収益が悪化するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)法令等に関わるリスク

 当社グループの事業は、建設業法や労働安全衛生法等の各種法的規制を受けます。監査部門による内部監査や法務部門による講習会実施、安全品質環境本部長又は事業部長による全現場パトロールの実施により法令遵守の徹底に努めていますが、万が一法令違反が発生した場合には、指名停止、営業停止等の処分により業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)取引先の信用リスク

 当社グループでは、新たな取引先については契約前に取引先の信用調査を実施し、リスクの軽減を図っていますが、発注者・協力業者などの取引先に信用不安が発生した場合には、貸し倒れの発生や引当金の計上により業績が悪化する可能性があります。

 

(8)為替の変動リスク

 当社グループの持分法適用会社は海外での事業を行っているため、外貨建の債権債務が発生します。このため大幅な為替変動が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)担い手不足によるリスク

 当社グループの主要セグメントが属しています建設業界におきましては、建設業従事者の数が2025年までに20%減少すると予測されています。加えて2019年4月に施行された改正労働基準法により、建設業では2024年4月から時間外労働の上限が規定され、これを見据えた「働き方改革」が、業界各社の緊喫の課題となっています。

 今後、人材の確保・育成をより一層強化していくとともに、現場作業の効率化を推進してまいりますが、担い手不足が解消できなかった場合に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)大規模自然災害等によるリスク

 当社グループは鉄構セグメント及び土木セグメントにおいて全国5か所に工場を保有しています。従いましてそれらが所在する地域におきまして大規模災害等で操業に支障が出た場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。また、橋梁事業や建築事業に関しては屋外での作業が中心となりますので、季節や天候などの自然条件の影響を受ける可能性があります。

 

(11)固定資産の減損に関わるリスク

 当社グループは鉄構セグメント及び土木セグメントの事業に係る固定資産として全国5か所に工場を保有しています。今後経営環境や収益状況が悪化した場合には減損損失を計上する必要性が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)有利子負債への依存と金利変動によるリスク

 当社の橋梁事業や鉄骨事業につきましては、その事業形態から運転資金の立て替えが発生します。特に近年の橋梁事業では案件の大型化や長期化が進んでいることからその傾向が強まっています。

 当社グループにおける運転資金は金融機関からの長期及び短期借入金により調達しており、2021年3月末時点での借入金は合計336億円となっています。当社グループでは取引銀行14行との当座貸越契約の弾力的な運用と年度計画に沿った長期借入金の調達で対応しており、平素より当社グループの業績や見込等を適時適切に説明し、円滑な調達に努めています。

 その一方で常に相当額の借入金残高が存在しますので、将来において金利水準が大幅に上昇した場合には業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)機密情報漏洩リスク

 外部からのサイバー攻撃や従業員の不正等により個人情報、機密情報が漏洩した場合、その損害賠償だけではなく、社会的な信用が失墜し結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは当該リスクへの対応策として、「情報セキュリティポリシー」を制定し、情報管理体制を確立するとともに、リスクの変化に応じた技術的な対策及び教育・啓発等の人的マネジメント対策を継続的に実施することで、個人情報、機密情報の漏洩防止に努めてまいります。

 

(14)新型コロナウイルス感染症拡大によるリスク

 新型コロナウイルス感染症の長期化により日本を含む世界経済は大きく減速し、総じて厳しい状況が続いています。当社グループにおける影響につきましては、収束の時期が未だ不透明であることから、現時点において合理的に算定することが困難な状況でありますが、当社グループにおける新型コロナウイルス感染症拡大によるリスクとしては次のようなものを予想しています。

① 民間設備投資意欲の減退による計画の中止、見直し (鉄構、建築)

② 需給バランスの崩れによる単価の下落 (鉄構、建築)

③ 工場、工事現場における感染者発生による各種工程遅延 (鉄構、土木、建築)

④ 東京五輪開催に関連した事業収益の変動(その他)

⑤ 航空機使用事業における利用者の減少 (その他)

⑥ 主に民間事業における営業活動への制約による売上減少 (その他)

(注:カッコ内は影響が想定されるセグメント)

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ① 財政状態の状況

 当連結会計年度末における「資産の部」は147,408百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,314百万円(前連結会計年度比+6.0%)増加しました。これは主に、受取手形・完成工事未収入金等が3,108百万円、関係会社株式が2,891百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 また、「負債の部」は80,443百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,980百万円(前連結会計年度比+2.5%)増加しました。これは主に、短期借入金が9,349百万円、未成工事受入金が2,442百万円それぞれ増加した一方、支払手形・工事未払金等が9,432百万円減少したことによるものであります。

 一方、「純資産の部」は66,964百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,334百万円(前連結会計年度比+10.4%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の43.0%から44.8%となりました。

 

 ② 経営成績の状況

 当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症が長期化していることもあり、これまで以上に不透明で厳しい状況が予想されます。

 鉄構セグメントの鋼製橋梁事業や土木セグメントに大きく影響する公共投資は、新設橋梁の発注量の減少傾向が続く一方で、高速道路会社の大規模更新や補修・保全など老朽化や防災・減災対策などの発注が増加しており、概ね堅調に推移すると思われます。

 鉄構セグメントの鉄骨事業や建築セグメントが関わる民間投資につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大が続き収束時期が見通せない環境下では設備投資への慎重姿勢が拡がることは避けられず、その結果として案件減少による受注競争激化が予想されるとともに、採算性の悪化が危惧されています。

 こうした中、当社グループは昨年6月に「KAWADA VISION~10年後のあるべき姿~」を策定し、その実現に向けた「第2次中期経営計画(2020年度~2022年度)」を公表し、当該計画に定める各種施策に取り組んでいます。

 その結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高115,545百万円(前連結会計年度比9.1%減)、営業利益5,565百万円(同17.7%減)、経常利益8,048百万円(同5.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,340百万円(同1.7%減)となりました。受注高につきましては、鉄構セグメントにおける鋼製橋梁事業での受注が伸びたことで118,978百万円(同11.8%増)になりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)

 

(鉄構セグメント)

 当セグメントの中の鋼製橋梁事業につきましては、受注は大型特定更新工事や高速道路会社発注の大型工事を積み上げることができたことに加え、当第4四半期において高速道路会社や国土交通省発注の大型工事における設計変更協議が完了したことで、前連結会計年度を大幅に上回る結果となりました。売上高は、高速道路会社や北陸新幹線敦賀延伸関連の大型工事が概ね順調に進捗したことで前連結会計年度を上回ることができました。損益面は、一部工事で設計変更の獲得までには至っていない工事があるものの、当第4四半期において、高速道路会社や国土交通省発注の大型工事での設計変更交渉が想定以上に進捗したことなどにより大幅に改善いたしました。

 鉄骨事業につきましては、受注は当第4四半期に首都圏及び関西地区において大型再開発工事の受注を積み上げることができましたが、当第3四半期までの伸び悩みを補うまでには至らず、前連結会計年度を下回る結果となりました。売上高につきましては、首都圏及び関西地区とも順調に進捗しましたが、前連結会計年度において大型工事の設計変更獲得があった反動で、前連結会計年度に対し減少いたしました。損益につきましても同様の理由に加え、案件の端境期における受注競争激化で採算性が悪化し、減少いたしました。

 セグメント全体では売上高61,287百万円(前連結会計年度比0.7%減)、営業利益4,406百万円(同2.3%増)となりました。また受注高は、65,193百万円(同55.0%増)となりました。

(土木セグメント)

 土木セグメントにつきましては、受注高は当第4四半期に高速道路会社発注の大型床版取替工事を受注できたものの、PC橋梁の新設事業や保全事業が伸び悩んだことで、31,315百万円(前連結会計年度比18.7%減)と前連結会計年度を下回りました。

 売上高は、新設事業及び高速道路の床版取替を中心とした更新事業を中心に工事が順調に進捗したものの、前連結会計年度において複数の大型工事の設計変更獲得があった反動で、34,625百万円(同5.6%減)となり、また、営業利益につきましても2,524百万円(同15.0%減)といずれも前連結会計年度に対し減少する結果となりました。

(建築セグメント)

 建築セグメントにつきましては、新型コロナウイルス感染症が長期化する中、当連結会計年度に受注を予定していた案件が計画の見直しや先送りとなったことにより、受注高は10,390百万円(前連結会計年度比22.9%減)に止まりました。また、前期からの繰越工事高の減少に加え、当期の受注の伸び悩みにより売上高は10,647百万円(同46.6%減)と大きく減少いたしました。損益面は、売上ボリュームが大幅に減少する中、一部システム建築及びS造建築の採算性が改善したものの、売上ボリューム減少による減益を補うまでには至らず、営業利益648百万円(同52.9%減)となりました。

(その他)

 その他につきましては、航空機使用事業を中心に新型コロナウイルス感染症の影響が長期化しており、売上高は11,734百万円(前連結会計年度比7.2%減)、営業利益431百万円(同35.5%減)となりました。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,492百万円増加し10,767百万円(前連結会計年度比+16.1%)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,547百万円の資金減少(前連結会計年度は4,126百万円の資金減少)となりました。これは主に、仕入債務の減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,183百万円の資金減少(前連結会計年度は2,764百万円の資金減少)となりました。これは主に、設備投資による固定資産の取得等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、8,220百万円の資金増加(前連結会計年度は5,535百万円の資金増加)となりました。これは主に、借入金の増加によるものであります。

 

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しています。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鉄構

65,193

55.0

72,416

5.7

土木

31,315

△18.7

48,855

△6.3

建築

10,390

△22.9

11,857

△2.1

その他

12,078

△2.2

1,562

28.3

合計

118,978

11.8

134,693

0.5

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

鉄構

61,287

△0.7

土木

34,625

△5.6

建築

10,647

△46.6

その他

11,734

△7.2

合計

118,294

△9.7

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。

 

 なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

a.生産実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

63,658

61,605( 3.2%減)

建築

19,570

10,575(46.0%減)

その他

272

105(61.4%減)

合計

83,501

72,287(13.4%減)

(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。

2 生産高には、外注生産高が含まれています。

 

b.受注実績

期別

セグメントの名称

前期繰越工事高(百万円)

当期受注工事高(百万円)

(百万円)

当期完成工事高(百万円)

次期繰越工事高(百万円)

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

鉄構

88,205

41,984

130,190

61,500

68,689

建築

18,586

13,479

32,066

19,951

12,114

その他

171

171

171

合計

106,791

55,635

162,427

81,623

80,803

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

鉄構

68,689

65,107

133,797

61,380

72,416

建築

12,114

10,390

22,505

10,647

11,857

その他

164

164

164

合計

80,803

75,663

156,467

72,192

84,274

(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。

2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額60億円以上の主なものは、次のとおりであります。

西日本高速道路㈱

中国自動車道(特定更新等)吹田JCT~中国池田IC間橋梁更新工事

2024年6月完成予定

首都高速道路㈱

高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事

2025年7月 

㈱竹中工務店

八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業新築工事 A-1街区

2021年8月  〃

清水建設㈱

鉄骨関連その他工事

2022年7月  〃

中日本高速道路㈱

名古屋第二環状自動車道 服部高架橋他2橋(鋼上部工)工事

2021年5月  〃

c.販売実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当事業年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

61,500

61,380( 0.2%減)

建築

19,951

10,647(46.6%減)

その他

171

164( 3.6%減)

合計

81,623

72,192(11.6%減)

(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。

渋谷駅街区東棟新築工事共同企業体

渋谷駅街区東棟新築工事

鹿島建設㈱

(仮称)OH-1計画新築工事

中日本高速道路㈱

名古屋第二環状自動車道 飛島ジャンクションCランプ橋他3橋(鋼上部工)工事

首都高速道路㈱

(改)小松川JCT陸側上部工事

合同会社シャロンテック天戸町

(仮称)天戸町特定流通業務施設計画

当事業年度の完成工事高のうち請負金額20億円以上の主なものは、次のとおりであります。

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 八幡ジャンクションBランプ1号橋他4橋(鋼上部工)工事

中日本高速道路㈱

名古屋第二環状自動車道 西蟹田第一高架橋他6橋(鋼上部工)工事

国土交通省

国道45号 気仙沼湾横断橋小々汐地区上部工工事

国土交通省

福岡208号 筑後川橋上部工(P4-P8)工事

東急不動産㈱

(仮称)浅草二丁目計画新築工事

 

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

100分の10以上の相手先はありません。

当事業年度

100分の10以上の相手先はありません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ)財政状態

 財政状態の状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましても前連結会計年度に引き続き鉄構セグメントの中の橋梁事業において複数の大型案件が進行したことで、運転資金が増加しました。その結果、売掛債権(受取手形・完成工事未収入金等)が3,108百万円、短期借入金が9,349百万円、いずれも前連結会計年度に比べ大きく増加いたしました。

 また、関係会社株式が同じく2,891百万円増加していますが、これは持分法適用会社に係る持分法による投資利益を2,516百万円計上したことによるものであります。

(ロ)経営成績

 当連結会計年度は第2次中期経営計画の初年度でしたが、前連結会計年度においてすべてのセグメントで受注高が減少したことに加え、当連結会計年度においても新型コロナウイルス感染症の影響で民間設備投資が抑制されたことで民間事業関連事業の受注が低迷し、厳しい事業環境となりました。

 当連結会計年度の経営成績の具体的な内容としましては、売上高は、鉄構セグメントの中の橋梁事業は大型新設工事や大規模更新工事が順調に進捗したことで増加しましたが、建築セグメントが大幅な減収となったことで、前連結会計年度に比べ9.1%減の115,545百万円と前連結会計年度を大幅に下回りました。営業利益は、設計変更が前倒しで獲得できた鉄構セグメントは多少増加したものの、売上高が減少した土木や建築セグメントで減益となったことで、前連結会計年度に比べ1,193百万円減の5,565百万円となりました。経常利益は持分法による投資利益が前連結会計年度より269百万円増加したことや海外子会社の清算に伴う配当等もあり、前連結会計年度から495百万円減少の8,048百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失が前連結会計年度に比べ減少したことで、前連結会計年度とおおよそ同程度の6,340百万円となりました。

 なお、セグメントごとの経営成績の状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(ハ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業は基本的に個別受注方式でありますので、それぞれの事業の市場環境や発注状況が事業ボリュームや採算性に大きな影響を与えますが、その具体的な内容は以下のとおりです。

 鉄構セグメントにおける鋼橋事業並びに土木セグメントにおけるPC橋事業の市場は、その相当部分が公共事業となる国や地方自治体からの発注と、同様の色彩が強い高速道路会社からの発注であるため、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化します。次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業と建築セグメントの建築事業が対象とする市場は、民間設備投資に係るものであるため、景気動向に左右される傾向にあります。

 また、当社グループの損益においては持分法適用関連会社である佐藤工業株式会社を筆頭とする佐藤工業グループの持分法投資損益が大きく影響する傾向にあります。すなわち当社グループは佐藤工業株式会社の49.9%の株式を保有しており、佐藤工業グループの資本及び対応する期間損益が持分割合に応じて当社グループの損益に反映されることになりますが、佐藤工業グループの事業規模が当社グループより大きいこともあり、その資本及び対応する期間損益の状況によって当社グループの経常損益以下に影響が生じる可能性があります。

 その他、影響を与える要因やリスクにつきましては「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

(ニ)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について

 当社の基本戦略は、当社グループの企業が各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め売上と利益の拡大を継続的に図るとともに、関連する新市場への進出を図ることでありますが、セグメント別の認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 鉄構セグメントの鋼橋事業では、当面は関西方面での大型案件や「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に係る道路の4車線化に向けた発注等が見込まれることから、一定程度の発注量が見込まれていますが、長期的には緩やかな減少が想定されています。そのような状況の下、ますます受注競争が激化することが見込まれますが、当社グループでは受注力の強化に向けて入札における技術提案力を向上させ、適切な入札価格の設定を行うことで適正な事業量と収益の確保・拡大を目指します。また、新設鋼橋市場の縮小により工場で製作する鋼構造製品の減少に備え、複合構造橋梁・合成床版の拡販と土木・海洋構造物市場等への展開に努力してまいります。

 また同セグメントの鉄骨事業では、これまで東京都内の再開発案件を中心に事業展開を行ってきましたが、東京五輪前の案件が一段落した後、現在は五輪後の案件の商談本格化までの端境期が想定以上に長引き、受注競争が激化してきています。そういう状況の下、鉄骨製作とともに建方まで一貫して対応できる強みを生かしつつ、工場の操業度等も勘案の上全体としての事業収益の維持拡大を目指してまいります。

 土木セグメントではPC橋梁市場において「新設」・「更新」・「保全」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、プロジェクト・マネジメントを取り入れ、受注と利益拡大、固定費圧縮、原価低減の徹底を図ります。なかでも特に現在拡大しつつある道路会社の床版取替えを中心とした更新工事市場での受注確保と採算性の確立で一層の収益拡大を目指してまいります。

 建築セグメントにおける建築分野では、当面は引き続き新型コロナウイルス感染症の影響による市場の低迷が見込まれますが、得意とするシステム建築市場を中心に事業ボリュームを確保しつつ、技術提案等によるコスト削減を進め、収益性の高いセグメントを目指します。

 その他のソフトウエア事業並びに橋梁用品販売事業は新商品の拡販と引き続き固定費の圧縮を行うことにより採算性の向上を図ります。ロボティクス事業では、人間型ロボット等で蓄積されたデバイス技術の商用化と位置づける次世代産業型ロボットの受注拡大と収益力の向上を図ります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 その中で、当連結会計年度のキャッシュ・フローの特徴的な点として税金等調整前当期純利益を8,043百万円計上したにも関わらず、営業活動によるキャッシュ・フローが2,547百万円のマイナスとなっています。これは前連結会計年度に続き、鉄構セグメントの橋梁事業で長期の大型案件が複数進行していることで運転資金が膨れ上がり、売上債権が3,108百万円増加したことや仕入債務が9,432百万円減少したことが主な要因です。これに対し、短期借入金を9,349百万円増加させて対応いたしましたため、財務活動によるキャッシュ・フローは8,220百万円のプラスとなりました。

 当該運転資金の膨れ上がりは翌連結会計年度以降解消に向かう見込みであります。

・資金需要

 当社グループの事業活動における資金需要には大きく分けて運転資金と設備資金があります。

 運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、一般管理費等があります。当連結会計年度におきましては特に鉄構セグメントで増加いたしました。

 また、設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空関連事業に必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。当連結会計年度におきましては全体で3,323百万円の設備投資を行っていますが、その内訳は「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。

・財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部資金の活用とともに金融機関からの借入を中心とした資金調達を行っています。

 運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。そのことを踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期借入と長期借入を組み合わせ、資金調達の弾力性を確保しています。短期資金については金融機関14行との間で総額311億円の当座貸越契約を個別に締結し、十分な借入枠を確保するとともに、長期資金については年間の調達計画を作成の上、その計画に沿って随時調達を行っています。

 金融機関に対しては平素より業績や資金の状況について説明を行うことで信頼関係を維持し、財務の安定性と流動性を確保しています。

 また、金利面につきましては過度の金利変動リスクを回避すべく、一部の借入については金利スワップなどの手段で金利の固定化を図り、変動金利部分と固定金利部分のバランスを取っています。

・経営資源の配分

 当社グループでは事業活動から得られる営業キャッシュ・フローにつきましては将来に向けての「設備投資」と「財務体質強化」、「株主還元」に適切なバランスをもって配分する方針としています。そういう中で現在の当社グループの置かれた状況を踏まえ、2020年度を初年度とする第2次中期経営計画においてはその期間中の配分計画は以下のとおりとしています。

営業キャッシュ・フロー(3年間計)                           150億円

 

設備投資      100億円

株主還元       15億円

財務体質強化     35億円

 初年度であります当連結会計年度におきましては、設備投資3,323百万円、株主還元472百万円を実施しています。その一方で、財務体質強化につきましては運転資金の高止まりで遅れていますが、今後工事代金の回収により第2次中期経営計画の期限までの達成を目指してまいります。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる結果となる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等不確実性が大きく、将来の業績予想に反映させることが困難な要素もありますが、期末時点で入手している情報を基に見積りを行っています。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しています。

 

4【経営上の重要な契約等】

契約会社名

相手方の名称

契約品目

契約内容

契約期間

川田建設㈱

(連結子会社)

極東鋼弦コンクリート振興㈱

フレシネー工法

1.フレシネージャッキの有償借入

2.PC鋼材及び定着装置・ケーブル付属品の有償購入

1977年10月11日より

1982年10月11日まで

以後2年毎更新

㈱橋梁メンテナンス

(連結子会社)

S.A.S FPC

(フランス国)

シーペックジョイント

同製品の国内製作・販売ライセンス契約

2015年7月11日より

2018年7月9日まで

以後3年毎更新

(注) 上記の技術受入契約においては、それぞれロイヤルティとして、資・機材の利用あるいは売上に対して一定額を支払っています。

 

5【研究開発活動】

 当社グループでは、社会のニーズに高い技術で応えることができるよう、研究開発活動を積極的に推進し新しい技術や知見の獲得に務めています。研究開発体制としては、川田テクノロジーズ㈱技術研究所がグループを跨いだ生産性向上技術や新しい市場を目指した技術開発を担当し、グループ各社が現業事業に直結する内容の研究開発を担当しています。

 当連結会計年度における研究開発費は941百万円であり、セグメント別の主な内容は次のとおりであります。

 

(鉄構セグメント)

 主に川田工業㈱の橋梁事業部が、鋼構造・複合構造に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は434百万円であり、材料・構造・施工・保全などに関する新技術の開発・改善を行っています。主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 複合構造に関する研究開発

 当社グループが得意とする鋼材とコンクリートの複合構造物では、プレビーム合成桁、鋼・コンクリート合成床版(SCデッキ)などの製品で多くの実績を収めてきました。合成床版に関しては施工性や耐久性を大幅に向上させた新型SCデッキの実用化を済ませ実績を増やしています。また、今後ニーズが高まる橋梁の架け替えに適したSCスラブ橋等の製品に関しても、競争優位性をさらに高めるためのリニューアルを進めています。

② 橋梁保全技術に関する研究開発

 高速道路の高架橋から地方自治体の一般橋梁まで、「最小限の労力と費用で適切な維持管理が可能な保全アイテムの創造」をコンセプトに開発を進めています。その一環として、鋼床版桁の疲労き裂部に対する補強工法を開発し、国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録しました。また、鋼桁の架け替えやPC床版・合成床版・鋼床版による床版取替え工法などの開発が完了し、多種多様なニーズに応えるためのラインナップを整えています。

③ 生産技術に関する研究開発

 高能率・高品質で低コストの新たなアーク溶接法の開発、溶接部疲労強度向上施工法の開発、溶接の可視化による溶接現象の解明と理解を通した最適溶接条件の検討等を進めています。また、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同でハイダイナミックレンジ画像処理技術を用いた溶接技量評価技術の開発も進めています。

 製作工場では部材寸法計測装置(レーザートラッカー、3Dスキャナ)を新しく導入し、出来形管理の高精度化と計測作業の省力化を進めています。

④ 現場の生産性向上に関する研究開発

 新型コロナウイルス感染症対策を契機として、橋梁の架設現場でも人同士の接触機会を減らし、テレワークを積極的に導入するなど、より一層の生産性向上を図っています。開発の一環として、橋梁の品質管理に用いる各種計測機器をIoTに対応させ、データ取得から書類作成までを全てデジタル化することで、現場の品質保証能力を高めつつ、作業の省力化、省人化を進めています。

 

(土木セグメント)

 川田建設㈱が、コンクリート構造物に関する研究開発を推進しています。当連結会計年度における研究開発費は109百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 新設構造物の品質・耐久性向上技術に関する研究開発

 各種施工管理システムの高精度化・全自動化を目的とした研究開発を推進しています。ジャッキの油圧ポンプ操作を含めてタブレットで集中管理できる、全自動緊張管理システムを2件の現場の縦締めPC鋼材に適用し、来年度は3件目を予定しています。また、高炉スラグ微粉末やフライアッシュを配合した高品質・高耐久性コンクリートの研究開発を継続実施しており、今年度は石川県産のフライアッシュを2件の現場に適用しました。今後とも当社プレキャスト製品のJIS認定範囲を拡張することで、製品の販路拡大を図っていきます。

② 更新技術に関する研究開発

 今後需要が増大する橋梁の改修・更新技術に着目して、更新用プレキャストPC床版とPC中間定着システムの研究開発を継続して推進しています。前者についてはNEXCOでの11件目の工事受注に結びつき、昨年度から現場作業の省力化技術の検討を開始しています。競争力向上のために開発を進めていた繊維補強軽量プレキャストPC床版は輪荷重走行試験が完了し、NEXCO基準における100年相当の耐疲労性が確認できました。後者については適用PC鋼材種類の増加に伴い、金具の更なるコンパクト化を検討するとともに、拡幅工事に適用可能な特殊接続具等の開発も進めています。

③ 保全技術に関する研究開発

 既設PC橋梁の維持管理をターゲットにした非破壊検査技術、延命化・長寿命化技術について工法化を目指して、大学や専門会社と共同して基礎的な研究開発を継続して実施しています。非破壊検査技術として塩害劣化したプレキャスト桁におけるPC鋼材の破断検知の研究を開始し、長寿命化技術としてKKグラウト注入工法が完成し、予防保全技術として簡易な塩分除去工法を研究中です。また、補修工事における作業環境改善対策として、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で現場ビューワーによるデジタルツイン化や作業補助装置の開発を継続して実施しています。

 

(建築セグメント)

 川田工業㈱建築事業部が、川田工業㈱事業企画部と連携して研究開発を実施しています。当連結会計年度における研究開発費17百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 耐震/制振用の座屈拘束ブレースに関する研究開発

 研究・開発を継続している座屈拘束ブレース「ハイパー・ブレース」は、拘束材断面の最小化を図るために局部崩壊確認実験を実施し、設計に用いる検討式の妥当性を確認しました。また、来年度から市販の一貫構造計算ソフトにハイパー・ブレースが組み込まれるため、今後の拡販に期待できます。

② 環境事業に関する研究開発

 水やりが基本的に不要な屋上緑化システム「みどりちゃん」は、シンガポール、インド、北米において追加実験施工を行いました。これらの3地域においては具体的案件の採用検討の話があり、将来に向けてより多くの植物の実験や、現地での材料調達可能性調査を行っていきます。また、雨量がほとんどない地域からの引合いに対応するため、最小限の潅水による植物の生育を目指し、潅水用IoTデバイスの開発にも着手しました。

 

(その他)

 主にカワダロボティクス㈱が双腕ロボットに関する研究開発を継続して実施しています。当連結会計年度における研究開発費は381百万円であり、主な研究開発の状況は次のとおりであります。

① 双腕型産業用ロボット「NEXTAGE」に関する研究開発

 双腕ロボット関連では、川田テクノロジーズ㈱技術研究所と共同で「NEXTAGE」のハードウエア及びソフトウエアの性能・機能、拡張性向上を目的とした要素技術開発を実施しています。

② 外部研究機関との共同開発

 エディンバラ大学などの外部研究機関との共同開発により、ビジュアルフィードバック、APIを使用した様々な周辺機器・装置への接続などの双腕ロボットの市場価値を高めるための技術開発を実施しています。

 

 この他、新エネルギーに関する基礎研究として、川田工業㈱では、非平衡プラズマによる気相化学反応を利用した水素製造やCO分離還元技術の研究開発に取り組んでいます。昨年度は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトである「カーボンリサイクル技術の共通基盤技術開発」に、国立大学法人東海国立大学機構(岐阜大学)と澤藤電機株式会社(本社:群馬県太田市、代表取締役社長:吉川昭彦)との共同研究による「放電プラズマによるCO還元・分解反応の基盤研究開発」のテーマが採択され、現在研究を進めているところです。