当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府の景気対策や日銀の経済政策により企業収益や雇用環境に改善が見られ所得環境の改善を背景に個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外では英国のEU離脱や米国の政策動向に対する懸念に加え、中国など新興国の景気減速や北朝鮮問題など景気の先行きに関しては不透明な状況が続いています。
このような環境の中、当社グループが属する情報通信機器、精密電子機器業界におきましては、熾烈な競争状態や為替相場の不安定性等の要因により、その業績に確固たる見通しは持ち得ない状態にあります。当社グループは、これらのメーカーを顧客として、新規開発の試作品製造や製品の量産製造及び受託開発を推進しており、自社一括一貫体制による、プロダクトデザイン、機構設計、金型製造、成形、加工にわたる製造工程と、「匠の技」と先端設備の融合による技術力をベースに事業活動を展開しております。取引先の要求を満たしうる技術水準、品質、納期に対し、より一層の対応力を涵養することにより、メーカーからの信頼性を確保し、競合他社との差別化を徹底する事業戦略を遂行しております。
このような状況のもと、当社グループの売上高及び受注の状況は、携帯電話・デジタルカメラ等の情報通信機器、精密電子機器メーカー、並びに複写機、プリンタ等の事務機器メーカーの研究開発及び生産の状況等厳しい経営環境を受け、新規開発試作品製造、金型製造、量産品製造全般で低水準の推移となりました。
一方、当社グループの独自製品であるマッスルスーツ等の拡販及び受託開発に注力し売上の拡大を図りました。また、中長期的な当社事業の成長に資するための研究開発活動として、マッスルスーツ、メタルマイクロポンプ、ドローン、災害対応ロボット等をはじめとした介護・医療分野及びロボット産業分野における技術の研鑚に積極的に取り組んでおります。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は5,790百万円(前年同期比2.2%減)となり、売上総利益は933百万円(同16.5%増)、営業損失が340百万円(前年同期は574百万円の営業損失)となりました。スクラップ売却収入及び受取補償金等の営業外収益196百万円を計上し、シンジケートローン手数料及び二本松工場遊休賃借費用、持分法による投資損失等の営業外費用127百万円を計上した結果、経常損失が271百万円(前年同期は407百万円の経常損失)となりました。
さらに、東京電力株式会社からの東日本大震災にかかる受取補償金等513百万円を特別利益として計上いたしました。また、特別損失に固定資産除却損等20百万円を計上いたしました。これに、税金費用49百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は222百万円(前年同期は804百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当連結会計年度より、当社の報告セグメントを単一セグメントに変更したため、セグメント別の記載を省略しております。
参考:製品別売上高
(単位:百万円、%)
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項目 |
前連結会計年度 (自 平成27年5月1日 至 平成28年4月30日) |
当連結会計年度 (自 平成28年5月1日 至 平成29年4月30日) |
増減率 |
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試作・金型製品 |
3,366 |
2,803 |
△16.7 |
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量産製品 |
1,906 |
1,792 |
△6.0 |
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ロボット・装置等 |
468 |
1,038 |
121.7 |
|
その他・ガンマカメラ関連等 |
178 |
157 |
△11.9 |
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合計 |
5,919 |
5,790 |
△2.2 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ310百万円増加し、3,025百万円(前期末比11.4%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、865百万円の収入超過(前年同期は322百万円の支出超過)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益220百万円(同791百万円の税金等調整前当期純損失)、減価償却費354百万円(前年同期比0.9%増)、たな卸資産の減少92百万円(同133百万円の増加)、主な支出要因は、仕入債務の減少166百万円(同207百万円の増加)です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、350百万円の支出超過(前年同期は1,035百万円の支出超過)となりました。主な支出要因は、生産設備への投資による有形固定資産の取得による支出206百万円(同917百万円の支出)、投資有価証券の取得による支出141百万円(同350百万円の支出)です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、212百万円の支出超過(前年同期は2,160百万円の収入超過)となりました。支出要因は、長期借入金の返済による支出190百万円(前年同期は142百万円の支出)、親会社による配当金の支払額86百万円(前年同期比8.9%増)です。
当社グループは「金属製品加工事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
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金属製品加工事業 |
5,509,213 |
△7.0 |
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは「金属製品加工事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
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金属製品加工事業 |
5,765,188 |
△1.4 |
455,604 |
△5.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは「金属製品加工事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
金属製品加工事業 |
5,790,611 |
△2.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 競争力の強化
当社グループの主たる顧客である精密機器、電気機器の完成品メーカーの多くは、近年、中国をはじめとしたアジア諸国へ生産拠点を移転しました。また、アジア諸国における金型製造技術の向上は、日本国内金型市場へのアジア製品進出の契機となり、競争状態を激化させることとなっております。さらに、完成品メーカーの研究開発投資動向は安定的ではなく、開発投資の循環が存在しており、試作企業、金型製造企業はこの循環において、円滑な事業機会獲得に向けて、持続的に経営の最適化を図っております。
このような経営環境に適合して事業を推進するために、当社グループとして、中国や韓国の顧客拠点に近接した製造体制を充実し、また、高難易度仕様や短納期への対応を可能とする技術水準向上や操業度の確保を図ることによって、競合他社との差別化を図り、競争力を強化することが重要であると考えております。
(2) 技術の研鑽
精密機器、電子機器の技術革新は、その部品構造の微細化を要求することとなり、このことは、当社グループの顧客要求仕様の高難易度化をもたらしております。特に加工寸法精度については、従来の100分の5mm程度から100分の2~3mmへと大幅に水準が上昇しております。一方、加工対象の形状についても、曲面加工が要求される機会が多くなるなど、複雑化する傾向にあります。
このような技術環境に対して、当社は製造設備の絶えざる革新と、創業以来培ってきた「匠」の技の更なる向上を図ることによって、より競争優位をもたらす技術力を育むことが重要であると考えております。
(3) 新規事業の創出
現在、当社「ものづくりメカトロ研究所」では、これまでに蓄積してきた高精度製作技術に加え、電気、制御等を含めた装置製造の技術の蓄積、受託開発、製品試作、量産製品製造を推進しておりますとともに、製品としての品質保証体制の構築、医療機器製造の認可の取得等にも注力しております。従来の顧客システム設計をベースとした部品製作事業から、高精度製作技術を前提とする自社システム設計による装置等の事業創出をもって、成長戦略を構築することが重要であると考えております。また、発展途上であるロボット産業分野においては、ユーザーニーズの取得、新規製品の啓蒙のため、マーケティング・販売活動を推進することも重要であると考えております。
(4) 人材の確保、育成
変化する事業環境に最適な企業構造を保ちつつ、長期的な成長を担保するために、優秀な人材の確保、育成が急務であると考えております。社内研修プログラムによる教育を強化することにより、これまで培ってきた当社の「匠」の技の伝承を進めてまいります。さらに、次世代を担う幹部候補生と新卒者採用を積極的に行い、当社グループ全体の流れを一貫して把握しうる人材(管理職候補者)を育てることも重要な課題であると考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境の変化について
当社グループの顧客は、携帯電話、デジタルカメラ等の情報通信機器、精密電子機器、並びに事務機器メーカー及び自動車部品メーカーであり、開発試作モデルの設計から金型製造及び機構・内装部品等の製造、並びに量産製品の製造を受注しております。従いまして、当社グループの経営成績及び財政状態は、取引先の新製品開発計画、モデルチェンジの周期、開発予算及び市場動向に影響を受ける可能性があります。
(2) 機密保持について
当社グループは、顧客の新製品の開発や研究等、高度な機密情報を数多く取扱っており、機密情報の管理は経営の重要な課題と認識しております。このため「情報管理規程」を制定し、社内研修の実施、社内入出管理、作業指定区域の指定、データ・図面・製品・仕掛品・文書等の管理を行い、全従業員及び外注先に対する機密保持誓約書の徴求を行うなどして、制度・管理の両面において機密保持に関する十分な注意を払っております。しかしながら、万一機密情報が外部へ流失した場合、当社グループの信用失墜に伴う受注減少や賠償責任の発生等により経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(3) 製品の品質について
当社グループは、顧客と合意した仕様(寸法、材料、加工方法)を満たすものか否かにつき充分な検査を実施したうえで、製品を出荷いたします。さらに、当社製造過程の過失により製品欠陥が発生した場合に備え、製造物責任賠償保険に加入しております。しかしながら、製品欠陥が生じた場合は、当該保険範囲を超過した賠償請求の発生および当社グループの信用失墜によって、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(4) 納期について
当社グループの試作・金型事業では、顧客の試験研究・新規開発に使用される試作品を製造しているため、開発競争の激化による新製品開発サイクルの短期化等の要因により、従来にも増して当社グループへの短納期化が求められている状況であります。当社グループでは、納期を厳守するために製造管理をしておりますが、納期遅延が発生した場合には、継続的な受注が確保出来なくなるおそれもあり、この結果当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(5) 原材料価格の変動等について
当社グループ製品は、概ね金属や樹脂を材料としております。鉄、銅、真鍮等の金属や、原油の市況高騰によって、材料の入手が困難となった場合には、製品の製造遅延及び原価上昇等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(6) 人材確保及び育成について
当社グループの事業成長や安定的な経営体制確立のため、経営管理部門及び製造部門における人的資本の充実が必須であると考えられます。しかし、今後の急激な業容拡大や熟練技術者の一時的な大量退職により、人材確保及び技術者育成等が追いつかない場合、納期遅延、品質低下等の問題が発生し、継続的な受注が確保できなくなることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(7) 為替変動の影響について
当社グループは、経営戦略に基づき、海外(中国及び韓国)での製造業務を行っており、その製品の一部を当社が仕入れております。従いまして当社グループでは、為替変動リスクの軽減、回避に努めておりますが、外貨建取引においては、為替変動が取引価格や売上高、当該取引に係る資産及び負債の日本円換算額等に影響を与え、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(8) 製造拠点の集中について
当社グループの工場は、東京都八王子市及び福島県相馬郡飯舘村に集中しております。この地域において、当社の想定を超える自然災害等が発生し、人的・物的被害を受けた場合は、工場の生産能力が著しく低下することが予想され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(9) 技術力の向上について
当社グループが提供する金型・試作及び量産の技術による製品は、顧客の試験研究・新規開発に使用されます。開発競争の激化による新製品開発サイクルの短期化等の要因により、新技術開発の必要性が高まっており、従来にも増して技術力の向上を図っておりますが、顧客の要求を満たす新しい技術を常時提供できる保証はないため、今後当社が同業他社と比較して優位性ある提案等ができず、受注機会を逸した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
該当事項はありません。
(1) 研究開発活動の目的
①既存事業にて培われた技術基盤
当社グループは、主に精密電子機器、事務機器及び自動車部品等のメーカーを顧客として、顧客の製品開発及び生産活動に貢献する試作品、金型、量産品の製造を行っております。これら製造に用いられる金型設計・製作、板金加工、機械加工、成形加工、プレス加工等の各技術は、先端製造設備と当社創業以来培ってまいりました「匠の技」の融合によって構築されております。
②「匠の技」の活用による自社製品創出
当社グループにおいて、創業より培ってまいりましたものづくりのノウハウ、すなわち「匠の技」は競争力の源泉であります。当社はこれを既存事業に活用するのみならず、新規事業(自社製品)の開発に投入し、次世代の収益源として育むべく「ものづくりメカトロ研究所」を社内に設置、研究開発活動を推進しております。大学や研究機関で生み出された先端の要素技術やアイデアは、それを具現化するプロセスが重要であり、このプロセスに対し「“匠の技”によるものづくり」を施すことによって、革新的な自社製品の創出を図っております。

(2) 研究開発体制(組織、人員)
当社「ものづくりメカトロ研究所」は、「ものづくり」によって培われた「匠の技」を有する技術者、そして機械工学に精通した技術者、合計31名によって運営されております。更に、高度先端シード技術の導入等を目的として、国内外の大学、研究機関との提携関係を構築しております。そのうえ、研究開発が進展した場合には、ものづくりの実践として先端製造設備を有する当社工場を活用いたします。これらの体制をもって研究開発活動を運営しております。
(3) 研究開発テーマ
①ロボット開発
当社は、分野毎にそれぞれ秀でた技術を有する大学、ならびに当社グループ関係会社との共同開発により、以下の各種ロボット開発を推進しております。
a. マッスルスーツ
東京理科大学が開発した腰痛防止・疲労軽減を目的とした筋力補助装具「マッスルスーツ」の開発を推進しております。当連結会計年度には、これまで製品化した「標準モデル」、「軽補助モデル」、圧縮空気供給が不要なスタンドアローンモデル」の製造に加え、軽量化及び稼動範囲を拡張した「スタンドアローン・ソフトフィットモデル」やリハビリ・トレーニングに使用する「機能回復モデル」などの製造販売を開始し、ラインナップの拡張に取り組んでおります。
b. ドローン
千葉大学発のドローンフライトコントローラ開発会社の株式会社自律制御システム研究所と連携して国内初の量産機体を製造した当社は、量産機体の高度化に取り組んでおります。ドローン運用の法整備も急速に進められる昨今、当連結会計年度には、安全性・信頼性の向上に取り組んでいます。また、安全装置、フライトレコーダ、密閉型モータ、長時間航行を可能とする有線給電とバックアップ電源のハイブリット電源、エンジン式ドローンなど要素技術の開発にも着手しております。
c. 歩行支援ロボット
東京工業大学が開発した「WALK MATEロボット」は、パーキンソン病患者の歩行安定化や高齢者の歩行促進を目的とした歩行支援ロボットです。当連結会計年度には、試作機の製作ならびに国内外で実証試験を実施しております。また、歩行の幅や軌道を分析するセンサ「WALK MATE VIEWER」の販売を開始いたしました。
d. 遠隔操作作業ロボット
早稲田大学が開発した「オクトパス」は、4つの腕と脚(クローラ)を持った移動性・作業性に優れた遠隔操作型作業ロボットです。当連結会計年度には、4腕の操作性を向上させるソフト開発のほか、小型化・電動化の開発にも取り組んでいます。また、床下や屋根裏などの狭小エリアを作業する「WAMOT」の販売を開始いたしました。
e. 案内ロボット
可積重量100キロの自律移動ロボットと様々なアプリを搭載することのできるインタ-フェイスシステムの開発を推進しております。当連結会計年度には、「キャリアージュロボット」は、介護・医療施設の間接業務を支援する自律移動ロボットとして施設内での試験運用を実施しました。また、レストランやイベント会場などで配膳や記念撮影、案内業務の試験運用も行いました。「コンシェルジュ」は、多言語対応の案内サポートロボとインターフェイスシステムの開発を行いました。
f. 手術支援ロボット
臨床外科手術について、遠隔操作、微細操作を可能とするための手術支援ロボットの開発を推進しております。電気通信大学、九州大学、早稲田大学等との共同開発をもって推進しており、当連結会計年度には、超音波画像に基づく高度医療情報を提示可能とする汎用かつ簡便な医療「3D-AR(3次元拡張現実)システム」などの試作品を製作し、機能実証を行いました。
② その他
当社の微細加工技術を生かしたデバイス開発、新たな加工技術の創出にも取り組んでいます。
a. マイクロ流体デバイス開発
従来のシリコン材料を用いたポンプに比して低コスト生産が可能な金属薄膜材料で製作したメタルマイクロポンプを用いたシステムの開発を推進しております。当連結会計年度には、メタルマイクロポンプを用いた「小型輸液ポンプシステム」の流量検知の機能を改善し、試作品の機能検証を行いました。また、メタルマイクロポンプを用いた「エアブロアー」の開発のほか、当該ポンプデバイスの様々な応用開発にも取り組んでおります。
b. ホットチャンバ式アルミダイカスト
純度の高いアルミを鋳造する技術の開発を推進しております。本技術で製造された部品は、従来品に比べ、放熱性、表面加工性が高く、微細構造が可能となります。当連結会計年度には、製造装置の量産性向上の開発を行いました。
(4) 研究開発費
当連結会計年度において支出した研究開発費は721,713千円であります。
ただし、販売費及び一般管理費における研究開発費は276,587千円となっております。これは、研究開発に係る助成金収入を、販売費及び一般管理費の控除項目として処理したことによるものです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。これらの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高の状況
当連結会計年度売上高の48.4%を占める試作・金型製品の売上が前年同期比16.7%減少の2,803百万円、31.0%を占める量産製品は同6.0%減少の1,792百万円、17.9%を占めるロボット・装置等の売上が121.7%増加の1,038百万円、2.7%を占めるその他・ガンマカメラ関連等は前年同期比11.9%減少の157百万円となりました。携帯電話・デジタルカメラ等の情報通信機器、精密電子機器メーカー、並びに複写機・プリンタ等の事務機器メーカーの研究開発及び生産等厳しい経営環境を受け、新規試作品製造、金型製造、量産品製造全般で低水準の推移となりました。一方、当社グループの独自製品であるマッスルスーツの拡販に注力するとともに、中長期的な当社事業の成長に資するための研究開発活動として、マッスルスーツ、メタルマイクロポンプ、ドローン、災害対応ロボット等をはじめとした介護・医療及びロボット分野における技術の研鑽に積極的に取り組んでおります。また、政府の成長戦略として、ロボット産業が取り上げられ補助金等の制度もでき動きが見られました。海外市場においても米国経済が堅調な中、中国など新興国の景気減速や輸出国の輸出減少、或いは株価・為替の変調等、景気先行きに関しては、不透明な状況が続いており、このような環境の中で、売上高は前年同期比2.2%減少の5,790百万円となりました。
②損益の状況
売上原価は売上高の減少および費用の削減効果により、材料費(前年同期比127百万円減少)ならびに外注加工費(同309百万円減少)が減少したことにより前年同期比5.1%減少し4,857百万円、売上総利益は同16.5%増加の933百万円となりました。この結果、売上総利益率は2.6ポイント改善し16.1%となりました。販売費及び一般管理費は前年同期比102百万円減少し1,273百万円となりました。主な減少理由は、研究開発テーマを絞ったことにより費用が減少したことがあります。この結果、340百万円の営業損失(前年同期は574百万円の営業損失)となりました。
営業外収益は、スクラップ売却収入及び受取補償金等の営業外収益196百万円を計上し、シンジケートローン手数料及び二本松工場遊休賃費用、持分法による投資損失等の営業外費用127百万円を計上した結果、経常損失271百万円(前年同期は407百万円の経常損失)となりました。
さらに、東京電力株式会社から原発事故にかかる受取補償金等を特別利益として513百万円計上いたしました。また、特別損失に固定資産除却損等20百万円等を計上いたしました。これに、税金費用49百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は222百万円(前年同期は804百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 4.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、永続的な成長・発展を目指して企業体質の強化に取組んでまいります。そのために平成30年4月期から平成32年4月期の中期経営計画を策定いたしました。本計画に基づき、引き続き一括一貫体制を大きな柱として成長させてまいります。また、「ものづくりメカトロ研究所」を中心に新技術の開発に取組み、新たな市場の開拓も積極的に行ってまいります。
(5) キャッシュ・フローの状況に関する分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ310百万円増加し、3,025百万円(前期末比11.4%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、865百万円の収入超過(前年同期は322百万円の支出超過)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益220百万円(同791百万円の税金等調整前当期純損失)、減価償却費354百万円(前年同期比0.9%増)、たな卸資産の減少92百万円(同133百万円の増加)、主な支出要因は、仕入債務の減少166百万円(同207百万円の増加)です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、350百万円の支出超過(前年同期は1,035百万円の支出超過)となりました。主な支出要因は、生産設備への投資による有形固定資産の取得による支出206百万円(同917百万円の支出)、投資有価証券の取得による支出141百万円(同350百万円の支出)です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、212百万円の支出超過(前年同期は2,160百万円の収入超過)となりました。支出要因は、長期借入金の返済による支出190百万円(前年同期は142百万円の支出)、親会社による配当金の支払額86百万円(前年同期比8.9%増)です。
(6) 資本の財源及び運用についての分析
当連結会計年度の流動資産は、前連結会計年度に比べ39百万円増加し6,056百万円となりました。現金及び預金が305百万円、電子記録債権が277百万円増加し、受取手形及び売掛金が186百万円、仕掛品が145百万円減少しております。
固定資産は、前連結会計年度に比べ44百万円増加し3,942百万円となりました。投資有価証券が219百万円増加し、有形固定資産が151百万円減少しております。
総資産は、前連結会計年度に比べ84百万円増加し10,000百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度に比べ46百万円増加し1,951百万円となりました。未払法人税等が59百万円増加及び賞与引当金が52百万円増加し、支払手形及び買掛金が128百万円減少しております。
固定負債は前連結会計年度に比べ118百万円減少し581百万円となりました。減少の主要因は、長期借入金138百万円の減少です。
純資産は前連結会計年度に比べ155百万円増加し7,467百万円となりました。株主資本は、利益剰余金が136百万円増加し4,200百万円となり、その他の包括利益累計額合計は69百万円増加し259百万円となりました。この結果、自己資本比率は、72.1%(前連結会計年度比1.5ポイント増加)、自己資本当期純利益率(ROE)は3.1%(前連結会計年度は△11.9%)となりました。
(7) 資金需要及び財務政策
当社グループの資金需要は主に設備投資資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金、銀行借入金及び新株の発行等により資金調達することとしております。また、引続き安定的な内部留保の蓄積等を通じ、健全な財政状態の維持を図ってまいります。
(8) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、試作品製作、金型製作、精密板金加工、量産製品加工を目的として創業し、以降、開発品の試作を中心とする事業に邁進してまいりました。現在当社グループが参画する情報通信機器、精密電子機器業界におきましては、いずれも金型製作技術を基礎とした試作部品、精密板金の事業展開を行ってきた分野であります。
現在の製造業を取り巻く環境は、中国をはじめとした海外に製造拠点が移転されるなど、製造が海外に流出する製品と、技術流出を防ぐ意味において日本国内で製造される高精度を要求される製品の二極化が進行していくものと認識しております。
このような環境下、当社グループが参画するメーカー各社は新規開発の試作品製作や新製品の製造を推進しており、自社一括一貫体制によって、培った技術と最先端の加工技術をベースに事業展開を図り、顧客の要求を満たしうる対応力を強化することにより、信頼性を確保し、競合他社との差別化を徹底する事業戦略を遂行してまいります。その体制作りのための研究開発・設備投資・人材育成を継続して実行し、製造技術力を高めることで企業体質を強化していく方針であります。