文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 競争力の強化
当社グループの主たる顧客である精密機器、電気機器の完成品メーカーの多くは、中国をはじめとしたアジア諸国へ生産拠点を移転しました。また、アジア諸国における金型製造技術の向上は、日本国内金型市場へのアジア製品進出の契機となり、競争状態を激化させることとなっております。さらに、完成品メーカーの研究開発投資動向は安定的ではなく、開発投資の循環が存在しており、試作企業、金型製造企業はこの循環において、円滑な事業機会獲得に向けて、持続的に経営の最適化を図っております。
このような経営環境に適合して事業を推進するために、当社グループとして、中国や韓国の顧客拠点に近接した製造体制を充実し、また、高難易度仕様や短納期への対応を可能とする技術水準向上や操業度の確保を図ることによって、競合他社との差別化を図り、競争力を強化することが重要であると考えております。
(2) 技術の研鑽
精密機器、電子機器の技術革新は、その部品構造の微細化を要求することとなり、このことは、当社グループの顧客要求仕様の高難易度化をもたらしております。特に加工寸法精度については、従来の100分の5mm程度から100分の2~3mmへと大幅に水準が上昇しております。一方、加工対象の形状についても、曲面加工が要求される機会が多くなるなど、複雑化する傾向にあります。
このような技術環境に対して、当社は製造設備の絶えざる革新と、創業以来培ってきた「匠」の技の更なる向上を図ることによって、より競争優位をもたらす技術力を育むことが重要であると考えております。
(3) 新規事業の創出
現在、当社「ものづくりメカトロ研究所」ではこれまでに蓄積してきた高精度製作技術に加え、電機、制御技術等を含めた装置製造の技術の蓄積、受託開発、製品試作、量産品製造を推進しておりますとともに、製品としての品質保証体制の構築、医療機器製造の認可の取得にも注力しております。従来の顧客システム設計をベースとした部品製作事業から、高精度製作技術を前提とする自社グループの設計による装置・ロボット等の事業創出をもって、成長戦略を構築することが重要であると考えております。自社グループ設計・製造する装置・ロボットにおいて国内外で定められている多様な安全規格に基づき、各分野・製品に適した品質を保証する必要があります。
また、発展途上であるロボット産業分野においては、ユーザーニーズの取得、新規製品の啓蒙のため、マーケティング・販売活動を推進することも重要であると考えております。
(4) 人材の確保、育成
変化する事業環境に最適な企業構造を保ちつつ、長期的な成長を担保するために、優秀な人材の確保、育成が急務であると考えております。社内研修プログラムによる教育を強化することにより、これまで培ってきた当社の「匠」の技の伝承を進めてまいります。さらに、次世代を担う幹部候補生と新卒者採用を積極的に行い、当社グループ全体の流れを一貫して把握しうる人材(管理職候補者)を育てることも重要な課題であると考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境の変化について
当社グループの顧客は、携帯電話、デジタルカメラ等の情報通信機器、精密電子機器、並びに事務機器メーカー及び自動車部品メーカーであり、開発試作モデルの設計から金型製造及び機構・内装部品等の製造、並びに量産製品の製造を受注しております。従いまして、当社グループの経営成績及び財政状態は、取引先の新製品開発計画、モデルチェンジの周期、開発予算及び市場動向に影響を受ける可能性があります。
(2) 機密保持について
当社グループは、顧客の新製品の開発や研究等、高度な機密情報を数多く取扱っており、機密情報の管理は経営の重要な課題と認識しております。このため「情報管理規程」を制定し、社内研修の実施、社内入出管理、作業指定区域の指定、データ・図面・製品・仕掛品・文書等の管理を行い、全従業員及び外注先に対する機密保持誓約書の徴求を行うなどして、制度・管理の両面において機密保持に関する十分な注意を払っております。しかしながら、万一機密情報が外部へ流失した場合、当社グループの信用失墜に伴う受注減少や賠償責任の発生等により経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(3) 製品の品質について
当社グループは、顧客と合意した仕様(寸法、材料、加工方法)を満たすものか否かにつき充分な検査を実施したうえで、製品を出荷いたします。さらに、当社製造過程の過失により製品欠陥が発生した場合に備え、製造物責任賠償保険に加入しております。しかしながら、製品欠陥が生じた場合は、当該保険範囲を超過した賠償請求の発生および当社グループの信用失墜によって、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(4) 納期について
当社グループの試作・金型事業では、顧客の試験研究・新規開発に使用される試作品を製造しているため、開発競争の激化による新製品開発サイクルの短期化等の要因により、従来にも増して当社グループへの短納期化が求められている状況であります。当社グループでは、納期を厳守するために製造管理をしておりますが、納期遅延が発生した場合には、継続的な受注が確保出来なくなるおそれもあり、この結果当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(5) 原材料価格の変動等について
当社グループ製品は、概ね金属や樹脂を材料としております。鉄、銅、真鍮等の金属や、原油の市況高騰によって、材料の入手が困難となった場合には、製品の製造遅延及び原価上昇等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(6) 人材確保及び育成について
当社グループの事業成長や安定的な経営体制確立のため、経営管理部門及び製造部門における人的資本の充実が必須であると考えられます。しかし、今後の急激な業容拡大や熟練技術者の一時的な大量退職により、人材確保及び技術者育成等が追いつかない場合、納期遅延、品質低下等の問題が発生し、継続的な受注が確保できなくなることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(7) 為替変動の影響について
当社グループは、経営戦略に基づき、海外(中国及び韓国)での製造業務を行っており、その製品の一部を当社が仕入れております。従いまして当社グループでは、為替変動リスクの軽減、回避に努めておりますが、外貨建取引においては、為替変動が取引価格や売上高、当該取引に係る資産及び負債の日本円換算額等に影響を与え、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(8) 製造拠点の集中について
当社グループの工場は、東京都八王子市及び福島県相馬郡飯舘村に集中しております。この地域において、当社の想定を超える自然災害等が発生し、人的・物的被害を受けた場合は、工場の生産能力が著しく低下することが予想され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
(9) 技術力の向上について
当社グループが提供する金型・試作及び量産の技術による製品は、顧客の試験研究・新規開発に使用されます。開発競争の激化による新製品開発サイクルの短期化等の要因により、新技術開発の必要性が高まっており、従来にも増して技術力の向上を図っておりますが、顧客の要求を満たす新しい技術を常時提供できる保証はないため、今後当社が同業他社と比較して優位性ある提案等ができず、受注機会を逸した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益や雇用情勢の改善等を背景に、緩やかな回復基調が継続したものの、米中貿易摩擦の長期化に伴う中国経済の減速や米国の保護主義的な通商政策の影響など、海外経済動向の不確実性の高まりによる国内景気への影響が懸念されるなど、先行きに関しては不透明な状況が続いています。
このような環境の中、当社グループが属する情報通信機器、精密電子機器業界におきましては、熾烈な競争状態や為替相場の不安定性等の要因により、その業績に確固たる見通しは持ち得ない状態にありますが、当社としましては、電気自動車、医療機器、各種ロボット業界への受注拡大に注力しております。新規開発の試作品製造や製品の量産製造及び受託開発を推進しており、自社一括一貫体制による、プロダクトデザイン、機構設計、金型製造、成形、加工にわたる製造工程と、「匠の技」と先端設備の融合による技術力をベースに事業活動を展開しております。取引先の要求を満たしうる技術水準、品質、納期に対し、より一層の対応力を涵養することにより、メーカーからの信頼性を確保し、競合他社との差別化を徹底する事業戦略を遂行しております。
このような状況のもと、当社グループの売上高及び受注の状況は、当社主要顧客である情報通信機器、精密機器、自動車メーカーなどの研究開発及び生産の状況に改善が見られ、新規開発試作品製造、金型製造に於いては緩やかではありますが回復傾向となりました。量産品製造に於いては、時計部品・半導体製造装置部品等の受注が拡大し、堅調に推移しました。一方、ロボット・装置関連製品については、当社グループの独自製品であるアシストスーツ、ドローン、配膳サービスロボット等をはじめとし介護・医療分野並びにサポート・サービスロボット分野における技術の研鑽に積極的に取り組み、新製品を市場へ投入するとともに、同分野を中心としたスタートアップ企業への包括事業連携を掲げて開始した「WORLD ROBOTEC」の取り組みを核として、受託開発や受託製造を拡大してまいります。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は6,037百万円(前年同期比5.8%増)となり、売上総利益は1,408百万円(同30.3%増)、営業利益が114百万円(前年同期は95百万円の営業損失)となりました。スクラップ売却収入及び受取配当金等の営業外収益119百万円を計上し、持分法による投資損失等の営業外費用115百万円を計上した結果、経常利益が118百万円(前年同期は111百万円の経常損失)となりました。
さらに、投資有価証券売却益、補助金収入等の特別利益1,786百万円を計上いたしました。また、固定資産圧縮損、減損損失等の特別損失514百万円を計上いたしました。これに、税金費用530百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は917百万円(前年同期は127百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループの事業は、「金属製品加工事業」の単一セグメントであるためセグメント別の記載を省略しております。
参考:製品別売上高
(単位:百万円、%)
(財政状態の状況)
a.資産の部
当連結会計年度における資産は12,749百万円となり、前年同期と比べ3,321百万円(35.2%)の増加となりました。 これは主に、当社が株式を所有している会社が株式公開を実施したことに伴い、投資有価証券の評価額が増加したことのほか、その株式公開に合わせ一部株式を売却したことによる収入及び補助金の受取りにより現金及び預金が増加したこと、一方で補助金の受取に伴い固定資産の圧縮記帳を行ったことにより建物及び構築物・機械装置及び運搬具が減少しました。また、売上の増加に伴い受取手形及び売掛金・電子記録債権が増加したことによるものです。
b.負債の部
当連結会計年度における負債は3,784百万円となり、前年同期と比べ1,435百万円(61.1%)の増加となりました。これは主に、未払法人税等及び繰延税金負債と固定負債のその他に含まれる持分法適用に伴う負債の増加によるものです。
c.純資産の部
当連結会計年度における純資産は8,964百万円となり、前年同期と比べ1,885百万円(26.6%)の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益が前年比大幅に増加したことにより利益剰余金が増加したこと及びその他の包括利益累計額において、その他有価証券評価差額金が増加したことによるものです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ899百万円増加し、3,417百万円(前期末比35.7%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、976百万円の収入超過(前年同期比137.0%増)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益1,391百万円(前年同期は98百万円の損失)、固定資産圧縮損441百万円(同123.4%増)、減価償却費191百万円(同33.8%減)、主な支出要因は、投資有価証券売却益1,119百万円(同419.2%増)、売上債権の増加167百万円(前年同期は226百万円の減少)です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは436百万円の収入超過(前年同期は713百万円の支出超過)となりました。主な収入要因は、投資有価証券の売却による収入1,189百万円(前年同期比218.4%増)、主な支出要因は、生産設備への投資による有形固定資産の取得による支出294百万円(同346百万円の支出)、投資有価証券の取得による支出352百万円(同823百万円の支出)です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、494百万円の収入超過(前年同期は194百万円の支出超過)となりました。主な収入要因は、非支配株主からの払込による収入806百万円(前年同期は該当なし)、主な支出要因は、自己株式取得のための預託金の支出300百万円(前年同期は該当なし)です。
当社グループは「金属製品加工事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは「金属製品加工事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは「金属製品加工事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)1.主要顧客ごとの情報
(注)2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。これらの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析
(売上高)
試作・金型製品は前年同期比5.0%減少の3,268百万円、量産製品は同25.1%増加の2,088百万円、ロボット・装置等は同25.4%増加の529百万円、その他・ガンマカメラ関連等は同12.5%減少の150百万円となり、全体では、同5.8%増加の6,037百万円となりました。
(売上原価)
内製化の強化、原価低減の意識改革等により外注加工費等を中心に削減したことにより、売上は増加(332百万円、5.8%増)となりましたが、売上原価は前年同期比0.1%増加の4,628百万円(5百万円増)と増加額を抑制することができました。
(売上総損益)
売上総利益率が上記の効果により前年同期比で4.4%改善し23.3%となり、前年同期比30.3%増加の1,408百万円となりました。
(販売費及び一般管理費)
研究開発費等の費用が一部子会社で増加し、ならびに租税公課・広告宣伝費等の費用が増加したことにより、前年同期比10.0%増加の1,293百万円となりました。
(営業損益)
営業損益は売上の増加ならびに上記の原価低減策の効果により、前年同期比209百万円の改善となり、114百万円の営業利益(前年同期は95百万円の営業損失)となりました。
(営業外収益)
受取配当金等の増加により、前連結会計年度比16百万円増加の119百万円となりました。
(営業外費用)
為替差損が増加となりましたが、持分法による投資損失等の費用が減少した結果、前連結会計年度比4百万円減少の115百万円となりました。
(経常損益)
営業損益の改善により、118百万円の経常利益(前年同期は111百万円の経常損失)となりました。
(特別利益)
投資有価証券売却益、補助金収入等により、前連結会計年度比1,152百万円増加の1,786百万円となりました。
(特別損失)
固定資産圧縮損、減損損失等の計上はありましたが、前連結会計年度比107百万円減少の514百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は、前連結会計年度比419百万円増加し530百万円となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、917百万円(前年同期は127百万円の当期純損失)となりました。
b. 経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のある事項
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 財政状態及び経営成績の状況
当社グループの財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析の状況 (1)経営成績等の状況等の概要 ①財政業態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
d. キャッシュ・フローの分析
当社グループのキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャシュッ・フローの分析の状況」に記載のとおりであります。
e. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は主に設備投資資金であります。
現在、設備投資資金につきましては、内部資金、銀行借入金及び新株の発行等により資金調達することとしております。
2019年4月30日現在、長期借入金の残高は144百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計1,300百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。(借入実行残高500百万円、借入未実行残高800百万円)
該当事項はありません。
(1) 研究開発活動の目的
①既存事業にて培われた技術基盤
当社グループは、主に精密電子機器、事務機器及び自動車部品等のメーカーを顧客として、顧客の製品開発及び生産活動に貢献する試作品、金型、量産品の製造を行っております。これら製造に用いられる金型設計・製作、板金加工、機械加工、成形加工、プレス加工等の各技術は、先端製造設備と当社創業以来培ってまいりました「匠の技」の融合によって構築されております。
②「匠の技」の活用による自社製品創出
当社グループにおいて、創業より培ってまいりましたものづくりのノウハウ、すなわち「匠の技」は競争力の源泉であります。当社はこれを既存事業に活用するのみならず、新規事業(自社製品)の開発に投入し、次世代の収益源として育むべく「ものづくりメカトロ研究所」を社内に設置、研究開発活動を推進しております。大学や研究機関で生み出された先端の要素技術やアイデアは、それを具現化するプロセスが重要であり、このプロセスに対し「“匠の技”によるものづくり」を施すことによって、革新的な自社製品の創出を図っております。

(2) 研究開発体制(組織、人員)
当社「ものづくりメカトロ研究所」は、「ものづくり」によって培われた「匠の技」を有する技術者、そして 機械工学に精通した技術者、合計27名によって運営されております。更に、高度先端シード技術の導入等を目的として、国内外の大学、研究機関との提携関係を構築しております。そのうえ、研究開発が進展した場合には、ものづくりの実践として先端製造設備を有する当社工場を活用いたします。これらの体制をもって研究開発活動を運営しております。
(3) 研究開発テーマ
①ロボット開発
当社は、分野毎にそれぞれ秀でた技術を有する大学、ならびに当社グループ関係会社、また注力して推進するスタートアップ企業の包括的事業化支援事業「プラットフォーム構想」と「WORLD ROBOTEC」の取り組みにおいて生まれる共同開発により、以下の各種ロボット開発を推進しております。
a. マッスルスーツ
東京理科大学が開発した腰痛防止・疲労軽減を目的とした筋力補助装具「マッスルスーツ」につき、持分法適用関連会社の株式会社イノフィスより受託して、継続的に開発を推進しております。これまで製品化したモデルに加え、軽量化及び稼動範囲を拡張した「Edgeモデル」や腕補助を含めた「アッパーモデル」などの製造販売を開始し、ラインナップの拡張のほか、当連結会計年度には、更なる軽量化、作業性向上の開発、バリエーション拡大に取り組んでおります。
b. ドローン
千葉大学発のドローンフライトコントローラ開発会社の株式会社自律制御システム研究所と連携して国内初の量産機体を製造した当社は、量産機体の高度化に取り組んでおります。ドローン運用の法整備も急速に進められる昨今、当連結会計年度は、安全性・信頼性の向上に取り組んでおり、消音装置、安全装置、フライトレコーダ、密閉型モータ、長時間航行を可能とする有線給電とバックアップ電源のハイブリッド電源、エンジン式ドローンなど要素技術の開発にも着手しております。また、農業・警備・構造物検査などの具体的な案件に対し、顧客より受託にてカスタム機体の開発・製造にも取り組んでいます。
c. 歩行支援ロボット
東京工業大学が開発した「WALK MATEロボット」は、パーキンソン病患者の歩行安定化や高齢者の歩行促進を目的とした歩行支援ロボットです。当連結会計年度には、連結子会社であるWALK-MATE LAB株式会社と共同で試作機の製作ならびに国内外で実証試験を実施しております。また、歩行の幅や軌道を分析するセンサ「WALK MATE VIEWER」の販売と機能拡充に取り組みました。
d. 遠隔操作作業ロボット
早稲田大学が開発した「オクトパス」は、4つの腕と脚(クローラ)を持った移動性・作業性に優れた遠隔操作型作業ロボットです。当連結会計年度には、持分法適用関連会社であるフューチャーロボティックス株式会社より受託で4腕の操作性を向上させるソフト開発のほか、小型化・電動化の開発にも取り組んでいます。また、床下や屋根裏などの狭小エリアを作業する「WAMOT」の販売と機能拡充に取り組みました。
e. 案内ロボット
可積重量100キロの自律移動ロボットと様々なアプリを搭載することのできるインタ-フェイスシステムの開発を持分法適用関連会社であるSOCIAL ROBOTICS株式会社より受託して推進しております。当連結会計年度は、「キャリアージュロボット」は、介護・医療施設の間接業務を支援する自律移動ロボットとして施設内での試験運用を実施しました。また、「BUDDY」は、レストランやイベント会場などで配膳、記念撮影や案内業務、工場での運搬作業補助などの具体的な仕様フィールドで顧客と共同で、リスクアセスメント中心に実証試験を重ねました。
f. 手術支援ロボット
臨床外科手術について、遠隔操作、微細操作を可能とするための手術支援ロボットの開発を推進しております。連結子会社であるTCC Media Lab株式会社、電気通信大学、九州大学、早稲田大学等との共同開発をもって推進しており、当連結会計年度には、超音波画像に基づく高度医療情報を提示可能とする汎用かつ簡便な医療「3D-AR(3次元拡張現実)システム」を活用した静脈穿刺支援システムなどの試作品を製作し、機能実証を行いました。
② その他
当社の微細加工技術を生かしたデバイス開発、新たな加工技術の創出にも取り組んでいます。
a. マイクロ流体デバイス開発
従来のシリコン材料を用いたポンプに比して低コスト生産が可能な金属薄膜材料で製作したメタルマイクロポンプを用いたシステムの開発を推進しております。当連結会計年度には、メタルマイクロポンプを用いた応用製品の機能検証を行いました。また、メタルマイクロポンプを用いた「エアブロアー」の開発のほか、当該ポンプデバイスの様々な応用開発にも取り組んでおります。
b. ホットチャンバ式アルミダイカスト
純度の高いアルミを鋳造する技術の開発を推進しております。本技術で製造された部品は、従来品に比べ、放熱性、表面加工性が高く、微細構造が可能となります。当連結会計年度には、製造装置の量産性向上の開発を推進するとともに具体的な適用分野に対しテストサンプルを多数製作し、適用範囲の拡大に取り組みました。
(4) 研究開発費
当連結会計年度において支出した研究開発費は
ただし、販売費及び一般管理費における研究開発費は242,169千円となっております。これは、研究開発に係る助成金収入を、販売費及び一般管理費の控除項目として処理したことによるものです。