第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第16期

第17期

第18期

第19期

第20期

決算年月

平成25年12月

平成26年12月

平成27年12月

平成28年12月

平成29年12月

売上高

(千円)

61,818

168,002

254,028

経常損失(△)

(千円)

295,372

304,463

668,904

親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

296,471

253,514

1,563,497

包括利益

(千円)

296,471

306,223

1,607,683

純資産額

(千円)

2,112,783

2,877,260

2,095,869

総資産額

(千円)

2,140,035

2,912,795

2,877,489

1株当たり純資産額

(円)

83.49

109.96

76.14

1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

12.99

10.46

59.89

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

88.1

93.5

69.5

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

322,675

333,558

797,215

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

834,584

230,797

763,123

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

87,912

1,066,537

1,406,969

現金及び現金同等物

の期末残高

(千円)

1,767,157

2,291,934

2,132,677

従業員数

(名)

15

16

15

〔外、平均臨時雇用者数〕

(注)1 第18期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2 売上高には、消費税等は含まれておりません。

3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

4 自己資本利益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

5 株価収益率については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第16期

第17期

第18期

第19期

第20期

決算年月

平成25年12月

平成26年12月

平成27年12月

平成28年12月

平成29年12月

売上高

(千円)

80,000

80,025

61,818

147,142

245,673

経常損失(△)

(千円)

221,214

191,685

282,097

173,541

557,934

当期純損失(△)

(千円)

222,171

192,642

283,196

174,770

1,496,103

持分法を適用した場合

の投資利益

(千円)

資本金

(千円)

2,347,997

2,366,684

2,400,024

2,945,154

3,365,279

発行済株式総数

(株)

22,695,900

22,768,400

22,958,400

24,758,400

26,258,400

純資産額

(千円)

2,269,440

2,116,222

1,930,081

2,830,810

2,160,999

総資産額

(千円)

2,292,033

2,135,689

1,951,221

2,857,218

2,935,773

1株当たり純資産額

(円)

99.99

92.95

82.75

113.71

82.23

1株当たり配当額

(円)

(内、1株当たり中間配当額)

1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

10.49

8.47

12.41

7.21

57.31

潜在株式調整後1株当たり

当期純利益金額

(円)

自己資本比率

(%)

99.0

99.1

97.4

98.5

73.6

自己資本利益率

(%)

株価収益率

(倍)

配当性向

(%)

営業活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

199,750

223,527

投資活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

1,002,991

286,502

財務活動による

キャッシュ・フロー

(千円)

2,026,131

36,961

現金及び現金同等物

の期末残高

(千円)

1,067,316

1,167,335

従業員数

(名)

13

13

13

12

14

〔外、平均臨時雇用者数〕

(注)1 売上高には、消費税等は含まれておりません。

2 持分法を適用した場合の投資利益については、第17期までは関連会社が存在しないため、また第18期より連結財務諸表を作成しているため記載しておりません。

3 潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

4 自己資本利益率については、当期純損失を計上しているため、記載しておりません。

5 株価収益率については、当期純損失を計上しているため記載しておりません。

6 第18期より連結財務諸表を作成しているため、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー及び現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

 

2【沿革】

年月

概要

平成11年2月

医薬品研究開発を目的とした、有限会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所を愛知県名古屋市に設立(資本金5,000千円)

平成14年9月

興和株式会社とK-134(閉塞性動脈硬化症(*))の開発及び実施契約、K-115(緑内障・高眼圧症(*))の開発及び実施契約を締結

平成16年7月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の欧州第Ⅰ相臨床試験開始

平成16年11月

有限会社より株式会社へ組織変更(資本金10,000千円)

平成17年4月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の欧州第Ⅰ相臨床試験終了

平成18年4月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の国内第Ⅰ相臨床試験開始

平成18年7月

K-115(緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅰ相臨床試験開始

平成18年12月

国立大学法人三重大学と産学官連携講座共同研究契約を締結し、同大学内に「臨床創薬研究学講座」を開設

平成19年10月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の国内第Ⅰ相臨床試験終了

K-115(緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅰ相臨床試験終了

平成20年7月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の国内前期第Ⅱ相臨床試験開始

平成20年12月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の米国前期第Ⅱ相臨床試験開始

平成21年3月

K-115(緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅱ相臨床試験開始

平成21年10月

ジャスダック証券取引所NEO(現 東京証券取引所 JASDAQ(グロース))に株式上場

平成23年1月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の米国前期第Ⅱ相臨床試験終了

K-115(緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅱ相臨床試験終了

平成23年6月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の国内前期第Ⅱ相臨床試験終了

平成23年9月

K-115(緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅲ相臨床試験開始

平成24年1月

K-134(閉塞性動脈硬化症)の国内後期第Ⅱ相臨床試験開始

平成25年3月

わかもと製薬株式会社と日本におけるH-1129[WP-1303](緑内障・高眼圧症)の開発・製造・使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を許諾する契約を締結

平成25年4月

K-115(緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅲ相臨床試験終了

平成25年10月

K-115(緑内障・高眼圧症)の国内製造販売承認申請

平成25年12月

H-1129[WP-1303](緑内障・高眼圧症)の非臨床試験開始

平成26年9月

K-115(製品名:グラナテック®点眼液0.4%、一般名:リパスジル塩酸塩水和物)(緑内障・高眼圧症)の国内製造販売承認取得

平成26年12月

グラナテック®点眼液0.4%(開発コード:K-115)(緑内障・高眼圧症)の国内上市(*)

K-134(閉塞性動脈硬化症)の国内後期第Ⅱ相臨床試験終了

平成27年6月

眼科用鎮痛剤の日本における開発・製造・使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を取得する導入契約を締結

平成27年11月

日本革新創薬株式会社を連結子会社化

平成28年3月

H-1129[WP-1303](緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅰ相臨床試験開始

平成28年4月

H-1337(緑内障)の非臨床試験開始

平成29年3月

H-1129[WP-1303](緑内障・高眼圧症)の国内第Ⅰ相臨床試験終了

平成29年4月

BBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業の譲受(開発コード:DW-1002)

平成29年8月

H-1129[WP-1303](緑内障・高眼圧症)の国内後期第相臨床試験開始

平成29年10月

DW-1002(白内障(*)手術)の九州大学病院が主体となる医師主導治験(*)(国内第Ⅲ相臨床試験)開始

平成29年12月

グラナテック®点眼液0.4%(開発コード:K-115)(緑内障・高眼圧症)の韓国製造販売承認申請

 

3【事業の内容】

 当社グループは、当社及び連結子会社日本革新創薬株式会社(以下、「JIT」)の2社で構成されており、医薬品の研究開発を行い、開発早期段階において開発品を製薬会社等にライセンスアウトすることによって収益を獲得する創薬事業を展開しております。

 

 当社グループ事業の系統図は以下の通りです。

 

0101010_001.png

 

(1)創薬事業について

① 新薬開発の流れ

 一般的に新薬の開発に際しては、基礎研究、非臨床試験、臨床試験、厚生労働省(あるいはアメリカ食品医薬品局(FDA)等の各国の医薬品許認可審査機関)への製造(輸入)承認申請、医薬品としての承認取得、薬価申請・収載を経て販売が開始され、患者様へ提供することが可能となります。このうち基礎研究活動は、新薬候補化合物の合成、スクリーニング(*)、スクリーニング毒性(*)の手続により実施されます。前述の基礎研究活動が終了した後、人に対する臨床試験の前に医薬品として満たすべき条件を、実験動物を用いて副作用及び安全性、安定性の検証を行う非臨床試験によって検証します。その後の臨床試験は、第Ⅰ相臨床試験、第Ⅱ相臨床試験、第Ⅲ相臨床試験の段階をもって実施されます。(下図参照)

 

0101010_002.png

 

② 創薬事業の概要

 通常、新薬の研究開発過程において、非臨床試験から臨床試験へと開発が進捗するにしたがって、開発コストは大幅に増加し、また一定規模以上の自社臨床開発体制が必要となります。

 当社グループは、研究開発活動の結果として、開発早期段階において開発品を製薬会社等へライセンスアウトしておりますが、これにより、臨床開発の推進に強みを持つ製薬会社等が開発を行うこととなり、自社での開発を継続する場合に比べて、早期の上市が期待されるとともに、低コストでの開発体制を維持できます。

 このように、当社グループの創薬事業の特徴は、一般的な医薬候補品を開発するベンチャー企業に比べ、比較的早期の研究開発段階においてライセンスアウトが達成される点にありますが、これは、当社グループが基礎研究推進における独自の技術力を有していることと、その技術を基礎研究段階において十分に活用することにより効率的な研究開発が行われていることが要因と考えております。

 当社グループの売上高は、主にライセンスアウト時に受領するフロントマネー収入、臨床開発進行に伴いその節目毎に受領するマイルストーン収入、製品上市後販売額の一定比率を受領するロイヤリティ収入等によるものです。既に「グラナテック®点眼液0.4%(開発コード:K-115)(以下、「グラナテック」)」、「H-1129(WP-1303)」、「K-134」及び「DW-1002(日本の白内障手術除く)」はいずれも製薬会社にライセンスアウト済みであり、「グラナテック」及び「DW-1002(欧州)」については、上市されロイヤリティ収入を得ております。これらのフロントマネー収入、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入等を新規開発プロジェクトに投入することによって、次なる新規開発品の開発を進めております。

 

 

0101010_003.png

当社グループの主な売上高は、以下のもので構成されております。

売上高

内容

フロントマネー収入

ライセンスアウト時に受領する収入。契約締結時に発生するため、契約一時金とも言う。

マイルストーン収入

臨床開発進行に伴いその節目毎に受領する収入。

ロイヤリティ収入

製品上市後販売額の一定比率を受領する収入。特許を実施する際に得られる収入のため実施料、ライセンス料とも言う。

 

③ パイプラインについて

 現在、当社グループが保有する開発パイプラインは以下の通りです。

(イ)自社創製品

開発コード等

対象疾患

開発段階

地域

ライセンスアウト先/

開発コード

グラナテック

緑内障・高眼圧症

上市

日本

興和/K-115

申請

韓国

H-1129

緑内障・高眼圧症

後期第Ⅱ相臨床試験

日本

わかもと製薬/WP-1303

緑内障

海外

未定(注1)

H-1337

緑内障(注2)

非臨床試験(注2)

米国

自社開発

K-134(注3)

日本

興和/K-134

 

(注1)H-1129の海外の権利は、国内医薬品事業会社がオプション権を有しており、現在評価中です。

(注2)平成30年1月25日付で、緑内障・高眼圧症を適応症として第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験のIND申請(治験許可申請)が行われております。

(注3)ライセンスアウト先の興和により、閉塞性動脈硬化症以外の適応症への応用を検討されているため、対象疾患と開発段階は記載しておりません。

 

(ロ)導入品

開発コード等

対象疾患

開発段階

地域

ライセンスアウト先/開発コード

起源

DW-1002

内境界膜剥離

上市

欧州

DORC

国立大学法人

九州大学

内境界膜剥離

第Ⅲ相臨床試験

米国

DORC

内境界膜染色

第Ⅲ相臨床試験

日本

わかもと製薬

/WP-1108

白内障手術

第Ⅲ相臨床試験

(注4)

日本

未定

眼科用鎮痛剤

眼の手術後疼痛

臨床試験準備中

日本

自社開発

英国企業

未熟児網膜症(*)

治療薬

未熟児網膜症

臨床試験準備中

日本

JIT開発

国立大学法人

東京農工大学

(注4)九州大学病院が主体となり医師主導治験が行われております。

 

 各開発パイプラインの詳細は以下の通りです。

(イ)グラナテック®点眼液0.4%(一般名:リパスジル塩酸塩水和物、開発コード:K-115)

(対象疾患:緑内障・高眼圧症)

 本開発品は、プロテインキナーゼ(*)の一種であるRhoキナーゼ(*)を選択的に阻害するイソキノリンスルホンアミド化合物(*)であり、眼圧下降作用により緑内障・高眼圧症を治療する点眼剤です。

 本開発品は、緑内障治療剤における世界初の作用機序(*)を有しており、Rhoキナーゼを阻害することにより、線維柱帯-シュレム管を介する主流出路からの房水流出を促進することで眼圧を下降させます。

 当社は、平成14年9月に本開発品の全世界の権利を興和株式会社(以下、「興和」)にライセンスアウトしました。その後は興和により臨床試験が進められ、平成26年9月に緑内障・高眼圧症を適応症として国内製造販売承認を取得され、同年12月に上市されました。さらに、平成29年12月に韓国における製造販売承認申請が行われました。

 また、平成26年2月より興和にて進められておりました糖尿病黄斑浮腫を伴う糖尿病網膜症患者を対象にした探索的臨床薬理試験が終了しており、興和にて適応拡大の検討がされております。

 

(ロ)H-1129(WP-1303)(対象疾患:緑内障・高眼圧症)

 本開発品は、プロテインキナーゼ阻害剤(*)を中心とする当社化合物ライブラリー(*)のシード化合物を基にして最適化された、緑内障を対象疾患とする開発品です。当社独自技術であるドラッグ・ウエスタン法(*)により、標的タンパク質(*)が特定されております。

 本開発品は、緑内障治療剤として、強い眼圧下降作用と神経保護作用を有することが動物試験で確認されております。

 本開発品は、平成25年3月に、日本における開発・製造・使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権をわかもと製薬株式会社(以下、「わかもと製薬」)にライセンスアウトしました。その後はわかもと製薬により試験が進められ、平成29年8月に国内後期第Ⅱ相臨床試験が開始されました。

 

(ハ)H-1337(対象疾患:緑内障)

 本開発品は、プロテインキナーゼ阻害剤を中心とする当社化合物ライブラリーのシード化合物を基にして最適化された、緑内障を対象疾患とする開発品です。

 本開発品は、緑内障治療剤として、長時間持続する眼圧下降作用を有していることが動物試験で確認されており、その強力な眼圧下降作用は新規な作用機序によるものと考えられております。また、滲出型加齢黄斑変性に対する治療効果も動物試験において確認されております。

 本開発品は、平成28年4月に米国で非臨床試験を開始しており、当社初の自社開発品として取り組んでおります。

(ニ)K-134(対象疾患:検討中)

 本開発品は、平成5年1月より当社代表取締役会長兼最高科学責任者 日高弘義と大塚製薬株式会社(以下、「大塚製薬」)の共同研究により、血管内膜肥厚抑制作用(*)を併せ持つ抗血小板剤(*)として開発が開始されました。

 本開発品の全世界での権利は、平成14年8月までに大塚製薬より当社へ全て譲渡され、当社は平成14年9月に全世界の権利を興和にライセンスアウトしました。その後は興和により、臨床試験が進められております。

 本開発品は、閉塞性動脈硬化症に伴う間歇性跛行(*)症状を対象疾患として開発が行われておりましたが、平成26年12月に終了した国内後期第Ⅱ相臨床試験の結果を総合的に検討した結果、閉塞性動脈硬化症を適応症とした開発は中止されました。他適応症への応用につきましては、興和にて検討されております。

 

(ホ)DW-1002(眼科手術補助剤)

 本開発品は、国立大学法人九州大学の研究グループが発見したBBG250(Brilliant Blue G-250)という染色性の高い色素を主成分とした眼科手術補助剤を、株式会社産学連携機構九州からの独占的ライセンスに基づき開発している開発品で、眼内にある内境界膜又は水晶体を保護するカプセルを一時的に安全に染色し、硝子体・白内障の手術を行いやすくするものです。

 当社は、平成29年1月に株式会社ヘリオスから本事業を譲り受ける契約を締結し、平成29年4月に当社への譲り受けが完了いたしました。

 日本以外の全世界向けの独占的なサブライセンスをDutch Ophthalmic Research Center International B.V.(以下、「DORC」)に付与しており、DORCは、平成22年9月から欧州等において、この眼科手術補助剤を製造・販売しております。

 日本国内については、わかもと製薬に眼科手術用途の内境界膜染色についての独占的サブライセンスを付与しており、わかもと製薬が製造販売承認の取得に向けて開発を進めております。また、白内障手術については、九州大学病院が主体となり医師主導治験(第Ⅲ相臨床試験)が進められておりますが、サブライセンス先が決定していないため、ライセンス活動を進めております。

 

(ヘ)眼科用鎮痛剤

 本開発品は、平成27年6月に英国企業から導入した眼科用鎮痛剤です。現在使用されている眼科用鎮痛剤としてNSAIDs(*)や局所麻酔剤がありますが、NSAIDsは角膜上皮損傷の治癒を遅らせることが知られており、局所麻酔剤は瞼が垂れ下がるなどの不便が生じますが、本開発品は、それらの障害を起こさず迅速に痛みを抑制します。

 他の疾患を適応症として既に市販されている化合物を本適応症への適応拡大を目指す、いわゆるリポジショニングの手法での開発を目指しており、開発のコスト並びにリスクは相対的に低くなることが期待されます。

 現在、製剤化の検討等を進めており、今後も臨床試験に向けた準備を行っていきます。

 

(ト)未熟児網膜症治療薬

 本開発品は、国立大学法人東京農工大学及び東京バイオマーカー・イノベーション技術研究組合により見出され、未熟児網膜症発症の重要な原因であることが患者の方々で確認されている蛋白質を阻害する化合物です。

 他の疾患を適応症として既に市販されている化合物を本適応症への適応拡大を目指す、いわゆるリポジショニングの手法での開発を目指しており、開発のコスト並びにリスクは相対的に低くなることが期待されます。

 子会社JITが導入し権利を有しており、現在臨床試験に向けた準備を進めております。

 

④ 研究開発プロジェクトについて

 当社グループは、現在新規開発プロジェクトとして、シグナル伝達阻害剤開発プロジェクトの研究を進めております。

開発コード等

対象とする疾患等

開発段階

シグナル伝達阻害剤開発プロジェクト

眼科関連疾患

神経、循環器、呼吸器系疾患

基礎研究

 

⑤ 創薬事業における当社グループ技術と研究開発の特徴について

 創薬事業における当社グループ技術と研究開発の特徴は以下の通りです。

 

(イ)プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした新薬候補化合物の創製

 当社グループは主にプロテインキナーゼ阻害剤を中心とした研究開発を進めております。

 プロテインキナーゼは、細胞の分化、増殖等の細胞内情報伝達(*)機能を担っている重要な酵素であるとされており、そのプロテインキナーゼに対し、有望な新薬候補品である阻害剤を投与することによって治療効果を高めるのが当社グループの開発の特徴であります。

 当社は、有望な新薬候補品を創製するために、独自に開発した化合物ライブラリーを保有しており、これらの開発過程で蓄積したデータやノウハウを活用して、新薬候補化合物を合成しておりますが、これらの技術力が高いことから有効な新薬候補化合物が見つかる可能性が高いと考えております。

 

(ロ)当社独自の標的タンパク質の同定(*)方法であるドラッグ・ウエスタン法の活用

 当社は、ドラッグ・ウエスタン法という独自に開発した方法を使って、新薬候補化合物の標的タンパク質を同定しております。生物学の分野では、標的タンパク質を同定するために様々な方法が利用されてきましたが、当社は、それらを踏まえて医薬品開発への応用を図り、ドラッグ・ウエスタン法を完成させました。

 この方法の活用により、他の手法を活用した際に困難である新薬候補化合物の標的タンパク質の特定が容易になるほか、1回のスクリーニングで多数の標的タンパク質を同定することが可能です。既存の方法に対して、生物材料や化合物の消費量が少ないこと、スクリーニングの操作が単純であり短時間で完了すること等の長所を持ちます。

 ドラッグ・ウエスタン法を活用した際の効果は、以下の通りと考えられます。

 

a. 有効性:高い有効性を持つ新薬候補化合物の開発の可能性が高まります。新薬候補化合物の標的タンパク質を早期に同定することによって、その新薬候補化合物の作用機序が明らかになり、その結果から、有効な新薬候補化合物の開発へとつなげていくことが可能になると考えております。

 

b. 安全性:副作用や他の医薬品との相互作用の予測により、高い安全性を持つ新薬候補化合物の開発の可能性が高まります。早期に標的タンパク質を同定することによって、副作用が起こるメカニズムの推測もしやすくなり、それにより、安全性の高い新薬候補化合物の開発が可能となります。また、作用メカニズムが明らかになることにより、他の薬剤との併用の可能性の分析がしやすくなり、薬としての利用機会の拡大とリスクの低減につながりやすいと考えます。

 

 既にこの方法を用いて、当社グループのパイプラインの「H-1129(WP-1303)」、「K-134」についても標的タンパク質が同定されました。

 なお、ドラッグ・ウエスタン法については、「薬物の生体内における標的蛋白の遺伝子の検出方法」として特許登録されております。

 

(ハ)細胞内情報伝達研究に由来する分子薬理学(*)に関する経験及びノウハウの活用

 当社グル―プの創業者であり、当社代表取締役会長兼最高科学責任者 日高弘義は、長年にわたって細胞内情報伝達の研究活動及び創薬活動に従事してきており、その研究・創薬活動の中で、これまでに製薬会社と共同で2つの上市薬の誕生に貢献しております。当社グループは、日高弘義のこうした活動において獲得した経験とノウハウを基盤に、研究開発活動を行い、平成26年12月には当社設立以来初の上市薬が誕生しております。

 当社グループの新薬の開発は、この分子薬理学に関する経験及びノウハウを駆使し、新薬候補化合物を設計し、合成することによって開始されております。ここで合成された新薬候補化合物の薬理学的傾向は、過去の分子薬理学に関する経験及びノウハウからある程度予測することが可能であるため、その予測を基に効率的な研究開発が可能になると考えております。

 

(ニ)提携関係を活用した研究開発体制

 当社グループは、国立大学法人三重大学との産学官連携講座(後述「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」参照)による共同研究等の提携関係を構築し、技術の取り込みを図り研究活動を進めております。また、研究開発の推進に向けては、業務受託企業等外部の企業を積極的に活用しております。こうした企業外部との提携関係を活用することによって、効率的な研究開発体制を構築することが可能となっております。

 

当社グループと外部機関との関係図(研究開発体制)

 

0101010_004.png

 

<用語解説>(アルファベット、あいうえお順)

 

* NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)

 非ステロイド性抗炎症薬のことで、ステロイド以外の抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称です。鎮痛効果が高く、疼痛・発熱等に広く使用されています。

 

* Rhoキナーゼ

 タンパク質リン酸化(*)酵素(プロテインキナーゼ)の1つであり、Rho-ROCK経路を介する多彩な細胞応答の制御機構に関与する酵素です。

 

* 医師主導治験

 医師・医療機関が主体となって行う臨床試験のことです。

 

* イソキノリンスルホンアミド化合物

 当社が開発している化合物の有する骨格(形)の名称です。

 

* 化合物ライブラリー

 当社が長年にわたり蓄積してきた新薬候補化合物のタネとなる化合物群です。これらの化合物の一つ一つが特徴的な性質を有しており、基礎研究や新薬候補化合物発見に利用されます。

 

* 間歇性跛行

 閉塞性動脈硬化症により引き起こされる典型的な症状です。一般に下肢筋肉への動脈血供給を妨げる閉塞性病変が原因となって血流障害が引き起こされ、歩行運動に伴って虚血性の疼痛を発生させます。この疼痛は一定の運動負荷で引き起こされ、安静により数分以内に緩和される特徴があります。跛行症状の治療には、下肢血行動態の改善を目的とした監視下運動療法、薬物療法及び血行再建術があります。

 

* 血管内膜肥厚抑制作用

 血管内膜肥厚とは、血管壁の損傷により血管壁が厚くなることであり、その結果血液の流路が細くなり、血行障害が生じやすくなります。この血管内膜肥厚を抑制することは動脈硬化を防ぐためには重要であると考えられており、その抑制作用を血管内膜肥厚抑制作用と言います。

 

* 抗血小板剤

 血小板(血液の成分の1つで血液の凝固や止血に重要な役割を果たしている成分)が有する機能の1つである凝集機能を阻害(抑制)する薬です。

 

* 細胞内情報伝達

 神経刺激やホルモン等の細胞外からのシグナル(信号)を細胞内の必要な箇所へ伝えるシステムのことを言います。細胞内シグナル伝達とも言います。

 

* 作用機序

 薬物が作用する仕組みのことを言います。近年では薬物作用の明確化の重要性が高まっており、この作用機序の解明が新薬開発において注目されております。

 

* 上市(じょうし)

 新薬が承認され、実際に市場に出る(市販される)ことを言います。

 

* スクリーニング

 新薬を開発するには、多数の候補化合物の中から、効果があり安全性が高いものを選び出すことが必要となります。このような多数の化合物から新薬の候補を探す一連の流れをスクリーニングと言います。

 

 

* スクリーニング毒性

 細菌を用いる復帰突然変異試験(化学物質による、発癌性を含めた遺伝子に与える変化である変異原性を、細菌を用いてテストする試験)、ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験(明確な染色体構造を持たない最近においては、染色体異常を検出できないため、人為的に生体外で培養したほ乳動物の細胞を用いて、染色体に対する遺伝毒性がないかをテストする試験)及びほ乳類を用いる28日間の反復毒性試験(ラット等の動物に一定期間毎日反復投与したときに現れる生体機能及び形態の変化を観察する試験)によって検出される毒性を指します。

 

* 阻害剤

 生体内の様々な酵素分子に結合して、その酵素の活性を低下もしくは消失させる物質を指します。化学物質が特定の酵素の活性を低下もしくは消失させることにより、病気の治療薬として利用されることがあります。

 

* タンパク質リン酸化

 タンパク質にリン酸基を移転する化学反応であり、タンパク質の働きを調節すると考えられております。

 

* 同定

 単離した化学物質等の標的が何であるかを決定することを指します。

 

* ドラッグ・ウエスタン法

 薬物の標的タンパク質の同定に用いられる手法で、当社がバイオテクノロジーを応用して発明し、特許を保有しております。煩雑なタンパク質精製プロセスを介さずに、薬物が結合する少量のタンパク質を検出し、その遺伝子を特定することにより標的タンパク質を同定することができる方法です。

 

* 白内障

 水晶体が白く濁り、視力障害を引き起こす病気です。主な原因は加齢によるもので、症状が進行している場合には、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを挿入する手術が行われます。日本では年間およそ120万件の手術が行われています。

 

* 標的タンパク質

 薬物が作用する対象となるタンパク質を標的タンパク質と呼びます。生体においては多くのタンパク質が相互に作用することによって様々な機能を果たしており、多くの病気が特定のタンパク質の異常な働きによって引き起こされております。これらの病気には、これらのタンパク質を標的タンパク質として、その異常な動きを抑制する薬剤が有効となりうると考えられております。

 

* プロテインキナーゼ

 ATP(アデノシン三リン酸と言われ、体内で作られる高エネルギー化合物)等、生体においてエネルギーの元となる低分子物質等のリン酸基を、タンパク質分子に転移する(リン酸化)酵素です。一般にリン酸化を触媒する酵素をキナーゼと呼び、特にタンパク質をリン酸化するキナーゼをプロテインキナーゼと言います。

 

* 分子薬理学

 薬理学とは、薬物が生体に対してどのような作用により、影響・効果を発揮しているかを調べたり、薬物を用いて生体の機能を明らかにしたりする学問のことです。分子薬理学とは、その薬理学の調査の対象を生物の化学的性質を失わない最小の構成単位、つまり遺伝子のレベルで調べる学問です。

 

* 閉塞性動脈硬化症

 動脈硬化(動脈壁が肥厚し硬化した状態)により、主として下肢の大血管が慢性的に閉塞することによって、軽い場合には冷感、重症の場合には下肢の壊死にまで至ることがある病気を言います。軽度の場合には抗血小板剤が処方されることが多く、症状が悪化するにつれて他の薬剤を使用します。

 

* 未熟児網膜症

 低出生体重児(未熟児)は、出生後保育器で高酸素下の環境におかれますが、その後通常の環境に戻された際、その環境に適応するため、急激に血管を産生しようと努めます。それは網膜においても起こり、急激な血管産生の結果、脆い異常な血管が形成されることで網膜剥離につながり、最終的には失明に至ることがある疾患です。現在は、レーザー照射による治療が行われていますが、必ずしも視力が戻るわけではなく、満足されている治療というわけではありません。

 

* 緑内障・高眼圧症

 緑内障とは、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患です。適切に治療されずに放置すると視野狭窄から失明に至る疾患であり、日本の中途失明原因の第一位(2005年)となっております。また、高眼圧症とは、視野狭窄が無いものの、眼圧が正常値を超えている病態です。

 現在、緑内障のエビデンスに基づいた唯一確実な治療法は、「眼圧を下降すること」とされており、原発開放隅角緑内障(広義)に対する治療では、薬物治療が第1選択とされております。

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業の

内容

議決権の所有割合又は被所有割合(%)

関係内容

(連結子会社)

名古屋市千種区

254,800

創薬事業

60.38

業務委受託

役員の兼任あり

日本革新創薬株式会社

(注)1、2

(注)1 「主要な事業の内容」欄には、セグメントの名称を記載しております。

2 特定子会社に該当しております。

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

平成29年12月31日現在

 

従業員数(名)

15

(注)1 従業員数は就業人員であります。

2 当社グループの事業は創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)提出会社の状況

平成29年12月31日現在

 

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

14

39.4

8.0

4,893

(注)1 従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であります。

2 平均年間給与は、基準外賃金を含んでおります。

3 当社の事業は創薬事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3)労働組合の状況

 当社グループには労働組合は組成されておりませんが、労使関係は良好であります。

 

第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動により、国内経済に影響を及ぼす懸念が強く、先行き不透明な状態が続いております。

 国内医薬品業界におきましては、医療費抑制政策による後発医薬品への切り替えや高額医薬品の薬価引き下げの影響等から、市場規模の拡大ペースは鈍化しております。

 このような状況の下、当社グループは新薬の継続的な創出とパイプラインの拡充を目指し、研究開発活動を推進いたしました。

 自社創製品につきましては、ライセンスアウト先の興和株式会社(以下、「興和」)により、「グラナテック®点眼液0.4%(一般名:リパスジル塩酸塩水和物、開発コード:K-115)(以下、「グラナテック」)」が緑内障・高眼圧症を適応症として国内上市されており、販売状況は順調に推移しております。12月には、韓国における製造販売承認申請が行われました。また、ライセンスアウト先のわかもと製薬株式会社(以下、「わかもと製薬」)により、8月に「H-1129(WP-1303)」の緑内障・高眼圧症を適応症とした国内後期第Ⅱ相臨床試験が開始されました。さらに、2月に「H-1129」の緑内障等を対象に、日本を除く全世界の権利を付与するオプション契約を国内の医薬品事業会社と締結いたしました。当社においては、「H-1337」の非臨床試験を進め、平成30年1月25日に緑内障・高眼圧症を適応症として、米国における第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験のIND申請(治験許可申請)を行いました。

 導入品につきましては、1月に株式会社ヘリオスより、BBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業を譲り受ける契約を締結し、4月に当社への譲り受けが完了いたしました(当社開発コード「DW-1002」)。既に上市済みの製品(製品名:ILM-Blue®、MembraneBlue-Dual®、市場:欧州、適応症:内境界膜剥離、ライセンスアウト先:Dutch Ophthalmic Research Center International B.V.(以下、「DORC」))につきましては、譲受日以降、当社はDORCより売上高に係るロイヤリティを受領しております。また、10月に日本の白内障手術時の水晶体前嚢染色を対象として、九州大学病院が主体となり医師主導治験(国内第Ⅲ相臨床試験)が開始されました。

 研究開発プロジェクトにつきましては、シグナル伝達阻害剤開発プロジェクトにおいて、眼科関連疾患を中心に新薬候補化合物の探索のための研究開発活動を行いました。その中で、適応拡大の取組みとして、7月に医薬品事業会社と「H-1129」の再生医療への応用に関する共同研究契約を締結、9月に国立大学法人千葉大学と「H-1337」の肺高血圧症に関する共同研究契約を締結することを決議し、その後、研究活動を進めております。また、子会社日本革新創薬株式会社(以下、「JIT」)は、2月に株式会社アイ・エヌ・アイが出願中の神経変性抑制剤に関する特許の下、眼科領域の実施許諾を受ける契約を締結いたしました。

 売上高につきましては、「グラナテック」、「DW-1002」のロイヤリティ収入及び「H-1129(WP-1303)」のマイルストーン収入等により合計254百万円(前期比51.2%増)を計上し、売上原価に7百万円を計上しました。

 販売費及び一般管理費につきましては、880百万円(前期比82.6%増)となりました。その内訳は、研究開発費が「H-1337」の非臨床試験費用の増加等により603百万円(前期比165.8%増)、その他販売費及び一般管理費が支払手数料及び新株予約権の権利行使による租税公課の増加等により277百万円(前期比8.6%増)となりました。

 これらにより、営業損失は633百万円(前期営業損失319百万円)となりました。営業外費用に支払手数料18百万円及び為替相場の変動による為替差損9百万円を計上したこと等の結果、経常損失は668百万円(前期経常損失304百万円)となりました。特別利益に投資有価証券売却益101百万円、特別損失に減損損失1,040百万円を計上したこと等の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,563百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失253百万円)となりました。

 また、当連結会計年度における新薬候補化合物開発状況は以下の通りです。

 

(イ)自社創製品

開発コード等

対象疾患

開発段階

地域

ライセンスアウト先/開発コード

グラナテック

緑内障・高眼圧症

上市

日本

興和/K-115

申請

韓国

H-1129

緑内障・高眼圧症

後期第Ⅱ相臨床試験

日本

わかもと製薬/WP-1303

緑内障

海外

未定(注1)

H-1337

緑内障(注2)

非臨床試験(注2)

米国

自社開発

K-134(注3)

日本

興和/K-134

(注1)H-1129の海外の権利は、国内医薬品事業会社がオプション権を有しており、現在評価中です。

(注2)平成30年1月25日付で、緑内障・高眼圧症を適応症として第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験のIND申請(治験許可申請)が行われております。

(注3)ライセンスアウト先の興和により、閉塞性動脈硬化症以外の適応症への応用を検討されているため、対象疾患と開発段階は記載しておりません。

 

(ロ)導入品

開発コード等

対象疾患

開発段階

地域

ライセンスアウト先/開発コード

起源

DW-1002

内境界膜剥離

上市

欧州

DORC

国立大学法人

九州大学

内境界膜剥離

第Ⅲ相臨床試験

米国

DORC

内境界膜染色

第Ⅲ相臨床試験

日本

わかもと製薬

/WP-1108

白内障手術

第Ⅲ相臨床試験(注4)

日本

未定

眼科用鎮痛剤

眼の手術後疼痛

臨床試験準備中

日本

自社開発

英国企業

未熟児網膜症治療薬

未熟児網膜症

臨床試験準備中

日本

JIT開発

国立大学法人

東京農工大学

(注4)九州大学病院が主体となり医師主導治験が行われております。

 

(ハ)研究開発プロジェクト

開発コード等

対象とする疾患等

開発段階

シグナル伝達阻害剤開発プロジェクト

眼科関連疾患、神経、循環器、呼吸器系疾患

基礎研究

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前連結会計年度末に比べ159百万円減少し、2,132百万円となりました。

 なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と要因は次の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は797百万円(前期は333百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失1,605百万円及び投資有価証券売却益101百万円があった一方で、減損損失1,040百万円があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は763百万円(前期は230百万円の支出)となりました。これは主に事業譲受による支出1,300百万円があった一方で、有価証券の償還による収入340百万円及び投資有価証券の売却による収入202百万円があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は1,406百万円(前期は1,066百万円の収入)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入824百万円及び長期借入れによる収入582百万円があったことによるものです。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)生産実績

 該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 該当事項はありません。

 

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次の通りです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

創薬事業

254,028

151.2

合計

254,028

151.2

(注)1 当連結会計年度の主な販売実績は、ロイヤリティ収入及びマイルストーン収入です。

 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りです。

相手先

前連結会計年度

(自 平成28年1月1日

至 平成28年12月31日)

当連結会計年度

(自 平成29年1月1日

至 平成29年12月31日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

興和株式会社

97,142

57.8

119,831

47.2

Dutch Ophthalmic Research Center International B.V.

63,966

25.2

わかもと製薬株式会社

50,000

29.8

50,000

19.7

 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 前連結会計年度のDutch Ophthalmic Research Center International B.V.に対する販売実績はありません。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 「日本発の画期的な新薬を世界へ」という理念のもとに設立された当社グループは、設立以降プロテインキナーゼ阻害剤開発の研究から得た独自の科学技術を基に医薬品の研究開発を行っております。また、近年は他社からの開発パイプラインの導入を行い、従来に比してより有用な医薬品を早期に患者の皆様に提供することを目的に事業を推進しております。

 当社グループは、新薬開発の上流である基礎研究から初期の臨床開発までに経営資源を集中させ、創薬バイオベンチャーの先導企業を目指します。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、創薬バイオベンチャー企業として、開発パイプラインの拡充、ライセンスアウトの実施、ライセンスアウトが完了した開発品の上市に向けた臨床開発支援活動が、企業価値向上のための重要な要素と考えており、今後もこれら諸活動を含めた研究開発活動に経営資源を投下する方針です。

 なお、これにより、安定的に利益を確保できるようになるのは、現在開発中の新薬候補品が臨床試験を完了し、上市達成を契機とする医薬品販売によるロイヤリティ収入が計上され、当該収入規模が研究開発費を中心とする諸費用を超過する時期と当社は見込んでおり、これらを早期に達成して黒字化することを目標としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 一般的に新薬が開発されて最終的に患者の皆様に届くまでには、10年以上の期間と多額の開発費用を要し、成功する確率も高くはありません。

 このような中、当社グループは、自社技術を基とした研究型の事業を展開しておりましたが、今後はこれらの研究の成果を今まで以上に活かす必要があるため、中長期的には、研究のみではなく開発も行う研究・開発型へとシフトしてまいります。これにより、ライセンスアウトによる収入(すなわち、フロントマネー収入、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)を増加させていくとともに、自社新薬の継続的な研究開発と他社からのインライセンスを積極的に進めることによる開発パイプラインの拡充に取り組み、収益の最大化を目指してまいります。

 

(4)経営環境

 当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境の改善が続く中、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動により、国内経済に影響を及ぼす懸念が強く、先行き不透明な状態が続いております。

 国内医薬品業界におきましては、医療費抑制政策による後発医薬品への切り替えや高額医薬品の薬価引き下げの影響等から、市場規模の拡大ペースは鈍化しております。

 このような状況の下、当社グループは新薬の継続的な創出とパイプラインの拡充を目指し、研究開発活動を推進しております。

 

(5)対処すべき課題と施策

 当社グループの対処すべき課題と施策として以下のように考えております。

 

① 開発パイプラインの拡充

 当社グループは、保有している開発パイプラインを患者の皆様に届けることを目指しておりますが、新薬開発の成功確率は年々低下しており、保有する開発パイプラインが様々な理由で開発の遅延や中断、中止等になるリスクがあります。そのリスクに対応するためには、開発パイプラインを拡充することが必要であると考えております。基礎研究による新薬候補化合物の発見を一層推進するとともに、様々な開発ステージで構成された複数の開発パイプラインを保有するため、大学や企業等からのインライセンス活動を積極的に進めてまいります。

 

② 事業領域の拡大とライセンス活動の推進

 当社グループは、比較的早期のライセンスアウトを目指しておりますが、ライセンスアウト時の収益性の向上が重要であると考え、非臨床試験以降の自社開発の取り組みを進めております。今後は、この事業領域の拡大に取り組み、収益の最大化を図ってまいります。

 また、当社グループの収益源は、ライセンスアウトによるフロントマネー収入、マイルストーン収入、上市によるロイヤリティ収入等であるため、製薬会社等との新たな協業が重要な課題となります。そのため、製薬会社等とのネットワークの充実を図り、パートナーが決まっていない開発パイプラインのライセンスアウトを達成するための活動を進めてまいります。

 

③ 既にライセンスアウトが完了している開発パイプラインの開発支援

 当社グループは、現在上市された薬剤を2つ保有しておりますが、持続的な企業成長を図るために、今後も研究開発活動を推進していく計画であり、それに掛かる費用も継続することが想定されます。

 このため、既に製薬会社にライセンスアウトされている開発パイプラインに対し、製薬会社との協力体制の下、順調な臨床試験の推進を支援し、当該開発パイプラインの早期上市を図ることによって、安定的な経営基盤の構築に努めてまいります。

 

④ 研究開発体制の効率化

 当社グループは、新薬候補品を創製できることが大きな強みであるバイオベンチャーです。そのため、今後もこれらの強みを最大限に生かして基礎研究を加速させる予定です。

 また、新薬候補品の非臨床試験以降の開発についても、グループ一体で取り組むとともに大学や企業等の外部機関の利用を推進し、研究開発体制の効率化に努めてまいります。

 

⑤ 財務基盤の充実

 当社グループは、今後も付加価値の高い収益構造を生み出すことを目指し、保有する開発パイプラインのステージアップや開発パイプラインの拡充を図る予定であります。そのために必要に応じて、金融・資本市場からの資金調達を実施することにより、当社グループの財務基盤の充実を図ってまいります。

 

4【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。

 なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項記載以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。

 また、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業の内容について

① 当社グループの医薬品の研究開発に関する事項

(イ)研究開発の不確実性に関する事項

 当社グループは医薬品開発を主業務としております。一般的に、医薬品の研究開発期間は、基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、相当規模の研究開発投資が必要と考えられております。さらに、その成功の可能性は、他産業に比して極めて低いものとされております。従って、当社グループのライセンスアウト済パイプライン及び新規開発品にも、かかるリスクは付随しており、医薬品としての安全性・有効性が確認され上市に至るかどうかは不確定であり、新規開発品についても想定通りに開発が進められるとは限りません。これらのライセンスアウト済パイプライン及び新規開発品の不確実性は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ロ)医薬品業界の競合関係に関する事項

 当社グループが参画する医薬品業界は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等による競争が激しい状態にあります。また、その技術革新は急速に進んでいる状態にあります。従って、これら競合相手との、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動における競争の結果により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ハ)副作用に関する事項

 医薬品は、臨床試験段階から上市後に至るまで、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、信用力の失墜、訴訟の提起等により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ニ)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「薬機法」)その他の規制に関する事項

 当社グループが参画する医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬機法及び薬事行政指導、その他関係法令等により、様々な規制を受けております。

 医薬品は基礎研究から製造販売承認等を取得するに至るまでには、多大な開発コストと長い年月を必要としますが、品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品としての有用性を示すことができない場合には、承認が計画通り取得できず、上市が困難になる可能性があります。これは新規開発品を他社にライセンスアウトする場合も同様であり、薬機法その他の規制により、当初計画した条件でのライセンスアウトもしくはライセンスアウトそのものが困難になる可能性があります。

 このような事象が生じた場合、また、将来各国の薬機法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ホ)製造物責任に関する事項

 医薬品事業においては、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において製造物責任を負う可能性があり、製造物責任にかかる多額の負担金の支払い等により、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

② 当社グループの事業活動に関する事項

(イ)提携関係に関する事項

 当社グループは研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ専門性の高い技術の取込みを図っております。当社グループは自社の研究開発人員とこれらの提携関係により、戦略的かつ柔軟な研究開発体制を構築しており、さらにその他の事業活動においても様々な提携関係等を構築しております。これらの提携関係に変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 当社グループでは、今後も事業基盤の強化、効率的な新薬開発の実現に向けて、広範な提携関係の構築を検討してまいります。しかしながら、期待通りに提携関係が構築できない可能性があります。

 

(ロ)大学との共同研究実施に関する事項

 当社グループは、国立大学法人三重大学(以下、「三重大学」)との間で産学官連携講座共同研究契約に基づく共同研究を実施しております。

 当該共同研究にかかる当社グループの費用負担については、三重大学との協議により、当社グループが共同研究に派遣する民間等共同研究員の人数に応じた研究料及び当該共同研究において必要と見込まれる直接経費について、共同研究費として三重大学に支払っております。当該費用については、契約期間内に支払うことになっており、契約期間に対応して費用計上しております。なお、共同研究における活動状況に応じて生じる追加費用等については、相互協議による契約変更の手続きにより追加支払いを行う場合もあります。

 当社グループは、今後においても当社グループの事業基盤である共同研究を継続していく方針であり、相応の共同研究費を負担することになりますが、医薬品の研究開発活動は既述の通り不確実性が高い性質を有しており、現時点では収益基盤も不安定であるため、当該研究費を吸収するだけの収益が継続的に発生しなかった場合、もしくは予期せぬ研究開発活動中の事故、外的要因や自然災害による事故が発生し、当該共同研究実施が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ハ)ライセンスアウトに関する事項

 当社グループは、中期事業計画に基づき、自社開発品のライセンスアウトに伴うフロントマネー収入及びライセンスアウトした薬剤の開発工程で計上するマイルストーン収入、製品上市後販売額の一定比率を受領するロイヤリティ収入を収益基盤としております。

(a)ライセンスアウトに伴う収益時期にかかわるリスク

 ライセンスアウト後に当該開発品の開発スケジュールが変更となる等により、ライセンスアウトによる収入を受領する事業年度が当社グループ予想と異なる場合、又は、ライセンスアウトを予定している開発品に関して、ライセンスアウトを達成する時期が変更となったり、ライセンスアウトそのものが困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(b)開発品の開発中断及び中止にかかわるリスク

 ライセンスアウト後に当該開発品の開発が中断及び中止等になり、それ以降のライセンスアウトによる収入が得られなくなる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

(c)開発品の販売開始後の売上変動リスク

 製造販売承認後の販売計画はライセンスアウト先に依存しており、ライセンスアウト先において、販売計画の変更や経営環境の悪化等により販売計画を達成できない等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ニ)特定の契約先からの収入への依存に関する事項

 当社グループのライセンス契約に基づく収入は、ライセンスアウト先への依存度が高いビジネスモデルとなっております。

 ライセンスアウト先との契約は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載した契約期間において有効であります。しかしながら、今後、当社グループがライセンスアウトした開発品をライセンスアウト先が当初計画通りに開発推進する保証はありません。従いまして、当社グループがライセンスアウトした開発品について、ライセンスアウト先の研究開発活動に計画変更や停止が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ホ)契約に基づく支払義務の負担に関する事項

 当社グループは開発パイプラインに関する提携企業等との契約において、販売に至る前の開発段階及び販売開始後に提携先等に対する支払義務を負っている場合があります。これらの対価の支払形態は、創薬バイオベンチャー企業の事業の性質上当然のものと認識しておりますが、この結果として、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ヘ)子会社に関する事項

 当社は、平成27年11月より子会社を有しておりますが、子会社における事業活動が計画通りに進展しない場合、また事業展開に伴う開発費用の増加等が発生する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 また、子会社に関して提携企業等と共同出資等の資本関係を有していることがありますが、提携企業等との関係に変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ト)特定の人物への依存に関する事項

 当社の代表取締役会長兼最高科学責任者である日高弘義は、京都大学医学部薬理学教室の助教授、三重大学医学部薬理学教室の教授、名古屋大学医学部薬理学教室の教授を経て、同氏の研究領域である薬理学、特にカルシウム情報系の細胞生物学的研究、細胞内情報伝達系の研究の実績と経験を基に、平成11年2月に当社を設立した創業者であります。

 従って、当社グループは、これまで研究開発分野における権限の委譲や人員拡充をすすめ、同氏への依存度の低下を図っておりますが、何らかの理由により同氏が代表取締役会長兼最高科学責任者としての関与継続が困難となった場合、当社グループの研究開発活動に大きな影響が及ぶ可能性があります。

 

(チ)小規模組織であることについての事項

 当社グループは、当連結会計年度末において、従業員15名の小規模な組織であり、現在の内部管理体制はこのような組織規模に応じたものとなっております。今後においては、組織規模に応じた適切な水準を維持、強化するとともに、内部管理体制の一層の充実を図る方針であります。

 

(リ)人材の確保及び育成に関する事項

 当社グループの事業活動は、経営陣、事業を推進する各部門の責任者や構成員等に強く依存しております。そのため、常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、このような人材確保又は育成が順調に進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ヌ)資金調達に関する事項

 当社グループは、医薬品開発のための継続した研究開発活動の実施に伴い、増資を中心とした資金調達を機動的に実施していく方針であります。その場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。また、資金調達の機動的な実施が困難な場合、当社グループの資金繰りや事業活動等に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ル)配当政策に関する事項

 当社は創業以来配当を実施しておらず、また、当事業年度末においては、会社法の規定上、配当可能な財政状態にはありません。当面は内部留保に努め、研究開発活動の継続的実施に備えることを優先していく方針ですが、株主への利益還元を重要な経営課題として、その時点における経営成績及び財政状態を勘案しつつ利益配当を検討する所存であります。しかしながら、今後も利益を安定的に計上できない場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。

 

(ヲ)為替変動リスクに関する事項

 当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外での研究開発活動や海外企業とのライセンス等において外貨建取引が存在しますが、特段の為替リスクヘッジは行っておりません。そのため、大幅な為替変動が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ワ)医療費抑制について

 日本では医療費抑制策として、医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品の使用促進等の施策が行われております。海外においても、先進国を中心として薬剤費の引き下げの圧力が高まっています。今後の医療費政策の動向が当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(カ)重要な契約に関する事項

 「第一部 企業情報 第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております契約のうち、特に当社グループの研究開発体制の維持のためには三重大学との契約が重要であり、現パイプラインについては興和、わかもと製薬及びDORCとの契約が重要でありますが、三重大学、興和、わかもと製薬及びDORCとは契約の継続性に支障がない関係にあるものの、将来、契約内容の変更、期間満了、解除その他何らかの理由により契約の終了が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(ヨ)知的財産権に関する事項

 当社グループは研究開発活動等において様々な知的財産権を使用しており、これらは当社グループ所有の権利であるか、あるいは適法に使用許諾を受けた権利であるものと認識しております。

 なお、当連結会計年度末において当社グループが保有している特許権及び特許出願は全部で16種類あり、次頁の表に自社創製品及び導入品に関する重要な特許の状況について記載いたします。

 しかしながら、当社グループが保有している出願中の特許が全て成立する保証はありません。また、特許が成立した場合でも、当社グループの研究開発を超える優れた研究開発により、当社グループの特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在しております。当社グループの特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合には、当社グループ事業の継続、財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 また、当連結会計年度末において、当社グループの開発に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありません。当社グループは、他者の特許権の侵害を未然に防止するため特許調査を実施しておりますが、当社グループのような研究開発型企業にとって知的財産権の問題を完全に回避するのは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、当社グループ事業の継続、財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

≪当社グループのパイプラインに関連する主な特許の状況≫

(a)自社創製品

開発コード

発明の名称

権利化の状況

権利者・出願人

グラナテック

イソキノリン誘導体及び医薬

日本、米国、欧州等18カ国で登録

当社

興和株式会社

(S)-(-)-1-(4-フルオロイソキノリン-5-イル)スルホニル-2-メチル-1,4-ホモピペラジン塩酸塩・二水和物

日本、米国、欧州等21カ国で登録

アジア等3カ国で審査中

当社

興和株式会社

H-1129

(WP-1303)

置換されたイソキノリン誘導体

日本、米国、欧州等48カ国で登録

他1カ国で審査中

当社

H-1337

新たな置換イソキノリン誘導体

日本、米国、欧州等46カ国で登録

アジア等4カ国で審査中

当社

 

(b)導入品

開発コード
(対象疾患)

発明の名称

権利化の状況

権利者・出願人

未定

(眼科用鎮痛剤)

眼科疼痛治療

日本で登録

英国企業(注1)

DW-1002

眼膜染色に用いる染色組成物

日本、米国、欧州等25カ国で登録

国立大学法人九州大学(注2)

未定

(未熟児網膜症)

未熟児網膜症の治療又は予防剤、未熟児網膜症の検査方法及び未熟児網膜症の治療又は予防物質のスクリーニング方法

日本、米国等3カ国で審査中

他1カ国で出願中

日本革新創薬株式会社

(当社連結子会社)

国立大学法人東京農工大学

(注1)当社は当該特許の日本における独占実施権を有しております。

(注2)当社は当該特許の全世界における独占実施権を有しております。

 

(タ)訴訟等に関する事項

 当社グループは当連結会計年度末において訴訟は提起されておりませんが、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、この結果、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

(レ)情報管理に関する事項

 当社グループは、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しています。これらの情報の流出リスクを低減するために、当社グループは、役職員、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結する等、厳重な情報管理に努めております。しかしながら、万一これらの情報が外部に漏えいした場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)業績等に関する事項

① 経営成績について

 当社グループの売上高は、ライセンスアウト時に受領するフロントマネー収入、ライセンスアウトされた開発品の一定の進捗により受領するマイルストーン収入、上市によってもたらされるロイヤリティ収入等により得られます。当社グループは現在上市された薬剤を2つ保有しているため、毎期継続的な収入が計上されると見込んでおりますが、ロイヤリティ収入はライセンスアウト先の売上高に依存するため、将来に期待していた収入が見込めない可能性があります。また、フロントマネー収入、マイルストーン収入は、ライセンスアウト及び開発品の一定の進捗の有無により、毎期経常的に計上されているものではなく、不安定に推移しております。従いまして、過年度の経営指標及び今後開示される業績は、期間業績比較を行うための材料として、さらに今後の当社グループ業績を予測する材料としては不十分な面があります。

 当社グループは、医薬品の研究開発とライセンスアウトを推進することによって、将来の黒字化を目指しておりますが、連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上しており、当社グループが将来において親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社グループは連続して営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであり、将来において営業活動によるキャッシュ・フローがプラスにならない可能性もあります。

 

② マイナスの繰越利益剰余金が計上されていることについて

 当社グループは創薬バイオベンチャー企業であり、ライセンスアウト済パイプラインが上市し、ロイヤリティ収入等の安定的な収入を確保し、その収入が研究開発費等の費用の合計を上回るまでは、連続して親会社株主に帰属する当期純損失を計上することになります。

 当社グループは開発パイプラインの拡充、ライセンスアウトの実施、ライセンスアウトが完了した開発品の上市に向けた臨床開発支援活動を行うことにより、早期の利益確保を目指しておりますが、将来において計画通りに親会社株主に帰属する当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社グループの事業が計画通りに進展せず、親会社株主に帰属する当期純利益を獲得できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が遅れる可能性があります。

 

③ 業績予想に関する事項

 当社グループは、連結会計年度毎に業績予想を公表しています。しかし、事業や経済環境の変化及び不確実性等の予測不可能な要因により、これら業績予想や目標を期限内に達成することや、目標を維持することが困難になる可能性があります。

 

④ 資金繰りについて

 当社グループの事業計画が計画通りに進展しない等の理由から、想定したタイミングで資金を確保できなかった場合には資金不足となり、当社グループの資金繰りの状況によっては、事業存続に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 税務上の繰越欠損金について

 当連結会計年度末において、当社グループは税務上の繰越欠損金を有しております。そのため、当社グループの業績が順調に推移する等、繰越欠損金による課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることになり、親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失及びキャッシュ・フローに影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)その他

① 調達資金の使途に関する事項

 増資を中心とした調達資金の使途については、開発パイプラインの拡充をしていくための研究開発資金及び事業運転資金に充当する予定です。

 但し、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が当社グループの収益に結び付くには長期間を要する一方で、研究開発にかかる成果が得られない場合もあるため、調達した資金が投資家の期待している収益に結び付かない可能性があります。

 

② 新株予約権等に関する事項

 当社グループはストックオプション制度を採用しております。当該制度は、会社法第236条、第238条、第239条及び第240条の規定に基づき、新株予約権を当社取締役、監査役及び従業員に対して付与しております。

 これらの新株予約権の目的となる株式数は当連結会計年度末において合計235,000株となり、発行済株式総数の0.9%に相当します。これらの新株予約権等の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社が締結する契約

① ライセンス契約

(イ)自社創製品

(a)グラナテック(K-115)

契約書名

H-4開発及び実施契約書

契約先

興和株式会社

契約締結日

平成14年9月11日

契約期間

契約締結日から実施料の支払が満了する日まで

主な契約内容

① 当社は、興和株式会社に全世界における開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を許諾する。

② 当社は、実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーンを受領する。

③ 製品の上市後、興和株式会社は、当社に対し純売上高の一定料率をロイヤリティとして支払う。

④ 第三者へライセンスを実施した場合に、興和株式会社は、当社に対しライセンシーから受領する一時金、実施料の一定料率を支払う。

⑤ 本件の契約期間については、契約締結日から実施料の支払が満了する日までとする。

⑥ 新効能、新剤形及び本開発品を含む配合剤として医薬品が販売された場合、これらも実施料支払の対象とする。

 

(b)H-1129(WP-1303)

契約書名

実施許諾契約書

契約先

わかもと製薬株式会社

契約締結日

平成25年3月29日

契約期間

契約締結日から実施料の支払が満了する日まで

主な契約内容

① 当社は、わかもと製薬株式会社に日本における緑内障治療剤の開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を許諾する。

② 当社は、実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーンを受領する。

③ 製品の上市後、わかもと製薬株式会社は、当社に対し純売上高の一定料率をロイヤリティとして支払う。

④ 本件の契約期間については、契約締結日から契約書が指定する特許の満了期間もしくは販売から10年経過する日までとする。

 

 

(c)H-1129

契約書名

オプション契約書

契約先

国内の医薬品事業会社

契約締結日

平成29年2月2日

契約期間

契約締結日から1年、もしくは「H-1129」の後期第Ⅱ相試験が終了するまでの長い方の期間

主な契約内容

① 当社は、国内の医薬品事業会社に「H-1129」の特許実施許諾を受ける権利を付与し、その対価としてオプション料を受領する。

② 国内の医薬品事業会社は、契約期間中特許実施許諾を受ける権利を行使することができる。

③ 特許実施許諾を受ける権利が行使された場合は、60日以内に「H-1129」の特許実施許諾契約の締結を行う。

④ 本契約で定めた「H-1129」の特許実施許諾契約の主な契約内容な以下のとおり。

(1) 当社は、国内の医薬品事業会社に日本を除く全ての国又は地域における緑内障等の領域の開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を許諾する。

(2) 当社は、実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーンを受領する。

(3) 製品の上市後、国内の医薬品事業会社は、当社に対して総売上高の一定料率をロイヤリティとして支払う。

(4) 本契約の契約期間については、契約締結日から特許の満了まで、販売開始後10年もしくは後発医薬品が販売され当該後発医薬品の売上高の合計が本製品の売上高の10%超となった年までのうち、最も長い期間とする。

 

(d)H-1337

契約書名

Master Service Agreement

契約先

Allysta Pharmaceuticals, Inc.

契約締結日

平成28年4月18日

主な契約内容

① 当社は、Allysta Pharmaceuticals, Inc.に「H-1337」の米国における前期第Ⅱ相臨床試験までの開発を委託する。

② 当社は、前期第Ⅱ相臨床試験終了後、一定の条件下で、米国・EU・オーストラリア・中国におけるオプション権を付与する。

③ Allysta Pharmaceuticals, Inc.がオプション権を行使した際は、当社は実施権の対価を受領する。

④ 当社は、理由の有無を問わず本契約の解約権を有する。

 

(e)K-134

契約書名

H-1開発及び実施契約書

契約先

興和株式会社

契約締結日

平成14年9月11日

契約期間

契約締結日から実施料の支払が満了する日まで

主な契約内容

① 当社は、興和株式会社に全世界における開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を許諾する。

② 当社は、実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーンを受領する。

③ 製品の上市後、興和株式会社は、当社に対し純売上高の一定料率をロイヤリティとして支払う。

④ 第三者へライセンスを実施した場合に、興和株式会社は、当社に対しライセンシーから受領する一時金、実施料の一定料率を支払う。

⑤ 本件の契約期間については、契約締結日から実施料の支払が満了する日までとする。

⑥ 新効能、新剤形及び本開発品を含む配合剤として医薬品が販売された場合、これらも実施料支払の対象とする。

(注) 当該開発品に関わる特許は、当社代表取締役会長兼最高科学責任者 日高弘義から当社が無償で譲り受けております。なお、本開発品は日高弘義と大塚製薬株式会社との間の共同研究によるものであり、大塚製薬株式会社が負担した本開発品にかかる諸費用の清算金として、パイプラインの開発の進捗等に応じた金額を当社が支払う旨、平成13年2月22日付で当社と大塚製薬株式会社との間で合意しております。具体的には、当社が本開発品に関する特許を譲渡する場合、もしくは本開発品にかかる薬剤が上市した場合、これらから得られる契約金等(フロントマネー、マイルストーン、ロイヤリティ)に一定の料率を乗じた金額を研究開発費の清算金として大塚製薬株式会社に当社が支払うこととなっております。但し、支払額の上限は5億円になります。

 

(ロ)導入品

(a)眼科用鎮痛剤

契約書名

実施許諾契約書

契約先

英国企業

契約締結日

平成27年6月2日

契約期間

契約締結日から製品販売後10年、もしくは全ての特許満了のいずれか遅い時点まで

主な契約内容

① 当社は、英国企業より日本における眼科領域の開発、製造、使用及び販売の再実施許諾権付き独占的実施権を取得する。

② 当社は、実施権の対価として、フロントマネー、マイルストーン等を支払う。

③ 製品の上市後、英国企業に対し純売上高の一定料率をロイヤリティとして支払う。

④ 本件の契約期間については、契約締結日から製品販売後10年、もしくは全ての特許満了のいずれか遅い時点までとする。

 

(b)DW-1002

契約書名

事業譲渡契約書

契約先

株式会社ヘリオス

契約締結日

平成29年1月31日

契約期間

契約の期間の定めなし。但し、株式会社ヘリオスは、本契約の締結に伴い、本事業譲渡日以降10年間、もしくは譲渡対象となっている特許が満了する日までの長い期間まで、競業避止義務を負う。

主な契約内容

① 当社は、株式会社ヘリオスよりBBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業を譲り受ける。

② 当社は、株式会社ヘリオスより本件に関する特許及び特許出願並びに株式会社ヘリオスが第三者と締結している実施許諾契約等を含む本件事業を進めるために必要な株式会社ヘリオス所有の全ての有形又は無形の資産を譲り受ける。

③ 当社は、本事業譲受の対価として、一時金のほか、開発や導出の進展等に伴い、マイルストーンの支払いが発生する可能性がある。

④ 当社及び株式会社ヘリオスは、相手方に契約義務違反があった場合は本契約を解除できる。また、当社は、株式会社ヘリオスに表明保証違反があった場合は本契約を解除できる。

 

 

契約書名

実施許諾契約書

契約先

株式会社産学連携機構九州、株式会社ヘリオス

契約締結日

平成29年4月28日

契約期間

平成29年4月30日から特許権の存続期間の満了日まで

主な契約内容

① 株式会社産学連携機構九州と株式会社ヘリオス間で締結していた包括実施許諾契約書における株式会社ヘリオスの地位を当社が承継し、株式会社産学連携機構九州からBBG250に関する特許権の再実施許諾権付独占的通常実施権を当社が許諾を受ける。

② 許諾の対価として、当社は、株式会社産学連携機構九州に対して一定の実施料を支払う。

 

 以降の契約書は、平成29年4月30日付で、株式会社ヘリオスからBBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業を譲り受けた際に承継した契約であります。

契約書名

実施権許諾契約書

契約先

わかもと製薬株式会社

契約締結日

平成26年12月3日

契約期間

契約締結日から特許権の存続期間の満了日まで

主な契約内容

① 日本における内境界膜染色についてのBBG250を含有する医薬品の開発、使用、販売に関する独占的通常実施権を許諾する。

② 許諾の対価として、当社は一定の実施料の支払いを受ける。

 

契約書名

LICENSE AGREEMENT FOR DYME

契約先

Dutch Ophthalmic Research Center International B.V.

契約締結日

平成21年9月9日

契約期間

平成21年9月4日から平成37年12月6日まで

主な契約内容

① 日本以外の全世界におけるBBG250を含有する医薬品の開発、製造、製造委託、輸入、使用、市場取引、販売、流通に関する独占的実施権を許諾する。

② 許諾の対価として、当社は一定の実施料の支払いを受ける。

 

② 大学との共同研究

契約書名

産学官連携講座共同研究契約書

契約先

国立大学法人三重大学

契約締結日

平成21年12月25日

契約期間

平成22年1月1日から平成32年12月31日

主な契約内容

当社は国立大学法人三重大学と教育研究活動の活性化、当社の研究開発業務の支援を目的として、産学官連携講座「臨床創薬研究学講座」を設置する。当該講座における共同研究により得られる知的財産権の帰属は、本契約に従い、当社、国立大学法人三重大学の各研究者が単独で発明したものはそれぞれの単独所有となり、両者共同で発明したものは協議の上貢献度を踏まえて両者間の共有となる。

 

③ 子会社関連の契約

契約書名

株主間契約書

契約先

ロート製薬株式会社

契約締結日

平成27年11月13日

契約期間

平成27年11月13日から契約当事者いずれか一方が日本革新創薬株式会社の株式を保有しなくなるか契約当事者同士が契約書の終了を合意するまで

主な契約内容

① 当社とロート製薬株式会社は、日本革新創薬株式会社に共同で出資し、新たに発行する株式の60%を当社、40%をロート製薬株式会社が引き受けする。

② 日本革新創薬株式会社の株式譲渡を行うには、日本革新創薬株式会社取締役会の承認を要する。

③ 日本革新創薬株式会社の取締役の過半数は当社が指名するものとする。

④ 当社は、日本革新創薬株式会社の経営管理を行い、経営が維持できるように努める。

⑤ 日本革新創薬株式会社の重要事項の決定には、ロート製薬株式会社の事前承認を要する。

⑥ ロート製薬株式会社は、一定の条件のもと保有する株式について当社に買取りを請求することができる。

 

 

④ その他の契約

契約書名

金銭消費貸借契約証書

契約先

株式会社みずほ銀行

契約締結日

平成29年2月16日

借入金額

600百万円

借入実行日

平成29年2月22日

返済期日

平成35年12月31日

主な契約内容

① 無担保・無保証

② 本借入において、主に以下の遵守事項や期限の利益の喪失事項が定められております。

③ 遵守事項としては、本借入の債務完済までの間、以下の事項を借入先に対して遵守する。

(1) 各年度の決算期末日における単体および連結の貸借対照表における純資産の部の金額を正の数に維持すること。

(2) 単体の貸借対照表における現預金が10億円を下回った場合速やかに、借入先に当該事由の発生を報告し、発生した日以降の研究開発計画について借入先と協議すること。

(3) 以下に掲げる行為を行う場合は、事前に借入先の承諾を得ること。

1.組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転(当社の連結子会社のみが当事者となる組織再編行為を除く)

2.自己信託の設定

3.事業又は資産の全部又は一部の第三者への譲渡(セールアンドリースバックのための譲渡を含む)

4.第三者の事業又は資産の全部又は一部の譲受け

(4) 資産の全部若しくは一部について担保物権の設定又は当該担保物権について対抗要件の具備を行わないこと。

(5) 東京証券取引所(市場第一部、市場第二部、マザーズ又はジャスダックのいずれかを問わない)における上場を維持すること。

④ 期限の利益の喪失としては、以下の事由が生じた場合には、借入先は本借入の全部又は一部の期限を喪失させることが出来る。

(1) 当社が事業譲渡(BBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業譲渡)に関わる「新規パイプライン」の全ての中止を決定したとき。

(2) 当社が借入先に「新規パイプライン」の一部の中止決定の報告をした場合において、当社の債務履行に重大な影響を及ぼすおそれがあると借入先が判断したとき。

(3) 当社が借入先と合意した「新規パイプライン」の進捗状況(最短2019年6月末時点)に応じて、借入先が満足する内容の資金調達計画を当社が作成しない場合。

(4) 当社が本借入に基づく義務の履行を怠り、当該不履行が10営業日以上治癒されないとき。

 

 

(2)日本革新創薬株式会社が締結する契約

① ライセンス契約

(イ)導入品

(a)未熟児網膜症治療薬・診断薬

契約書名

特許出願の持分譲渡に係る契約書

契約先

国立大学法人東京農工大学

契約締結日

平成27年4月27日

契約期間

平成27年4月27日から特許期間満了日まで

主な契約内容

① 国立大学法人東京農工大学の特許出願した「未熟児網膜症の治療又は予防剤、未熟児網膜症の検査方法及び未熟児網膜症の治療又は予防物質のスクリーニング方法」の持分の半分を日本革新創薬株式会社に譲渡する。

② 日本革新創薬株式会社は、当該特許の再実施許諾権付き独占的実施権を取得する。

③ 日本革新創薬株式会社は、実施権の対価として、ロイヤリティ収入等を支払う。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動はプロテインキナーゼ阻害剤を中心とした新薬候補化合物の研究開発を行っております。基礎研究から初期の臨床開発までに経営資源を集中させるほか、それを支える研究開発体制の整備に努めております。

 当連結会計年度における研究開発費は603百万円となっており、以下に記載の通り研究開発活動を実施いたしました。

 

(1)研究開発の特徴について

① プロテインキナーゼ阻害剤を中心とした新薬候補化合物の創製

 当社グループはプロテインキナーゼを中心とした阻害剤の研究開発を進めております。

 プロテインキナーゼは、細胞の分化、増殖等の細胞内情報伝達機能を担っている重要な酵素であるとされており、そのプロテインキナーゼに対し、有望な新薬候補品である阻害剤を投与することによって治療効果を高めるのが当社グループの開発の特徴であります。

 当社は、有望な新薬候補品を創製するために、独自に開発した化合物ライブラリーを保有しており、これらの開発過程で蓄積したデータやノウハウを活用して、新薬候補化合物を合成しておりますが、これらの技術力が高いことから有効な新薬候補化合物が見つかる可能性が高いと考えております。

 

② 当社独自の標的タンパク質同定方法であるドラッグ・ウエスタン法の活用

 当社は、ドラッグ・ウエスタン法という独自に開発した方法を使って、新薬候補化合物の標的タンパク質を同定しております。生物学の分野では、標的タンパク質を同定するために様々な方法が利用されてきましたが、当社は、それらを踏まえて医薬品開発への応用を図り、ドラッグ・ウエスタン法を完成させました。

 この方法の活用により、他の手法を活用した際に困難である新薬候補化合物の標的タンパク質の特定が容易になるほか、1回のスクリーニングで多数の標的タンパク質を同定することが可能です。既存の方法に対して、生物材料や化合物の消費量が少ないこと、スクリーニングの操作が単純であり短時間で完了すること等の長所を持ちます。

 既にこのドラッグ・ウエスタン法を用いて、当社グループのパイプラインの「H-1129(WP-1303)」、「K-134」についても標的タンパク質が同定されました。

 

③ 細胞内情報伝達研究に由来する分子薬理学に関する経験及びノウハウの活用

 当社代表取締役会長兼最高科学責任者 日高弘義は、長年にわたって細胞内情報伝達の研究活動及び創薬活動に従事してきており、その研究・創薬活動の中で、これまでに製薬会社と共同で二つの医薬品の誕生に貢献しております。当社グループは、日高弘義のこうした活動において獲得した経験とノウハウを基盤に、研究開発活動を行い、平成26年12月には当社設立以来初の上市薬が誕生しております。

 当社グループの新薬の開発は、この分子薬理学に関する経験及びノウハウを駆使し、新薬候補化合物を設計し、合成することによって開始されております。ここで合成された新薬候補化合物の薬理学的傾向は、過去の分子薬理学に関する経験及びノウハウからある程度予測することが可能であるため、その予測を基に効率的な研究開発が可能になると考えております。

 

 

(2)当社グループ研究開発体制について

 当社グループは、効率的な研究開発を可能とするための当社グループ体制と社外提携関係による研究開発協力体制を構築しております。

① 当社グループ研究開発体制

 当社グループの研究開発体制は、当社開発研究所(生物科学、合成化学及び開発企画管理の各グループによって構成)において新薬候補化合物探索活動等を行うほか、臨床開発部がJITと協力して製薬会社等との情報交換及びライセンスアウトに関する業務、事業開発及び臨床開発に関する業務を行っております。

 

② 社外提携関係

 当社グループは、国立大学法人三重大学との産学官連携講座による共同研究等の提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ、技術の取り込みを図っております。また、基礎研究における原薬の製造や毒性試験等の実施だけでなく、自社開発の推進においても、業務受託企業を積極的に活用しております。

 

(3)研究開発活動について

 自社開発品につきましては、「H-1337」の非臨床試験を進め、平成30年1月25日に緑内障・高眼圧症を適応症として、米国における第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験のIND申請(治験許可申請)を行いました。これに続く新薬候補化合物の創製のために、シグナル伝達阻害剤開発プロジェクトの基礎研究を進めており、眼科関連疾患を中心に研究開発活動を行いました。その中で、適応拡大の取組みとして、7月に医薬品事業会社と「H-1129」の再生医療への応用に関する共同研究契約を締結、9月に国立大学法人千葉大学と「H-1337」の肺高血圧症に関する共同研究契約を締結することを決議し、その後、研究活動を進めております。

 また、自社開発品以外の取組みとして、導入品につきましては、1月に株式会社ヘリオスより、BBG250を含有する眼科手術補助剤にかかる事業を譲り受ける契約を締結し、4月に当社への譲り受けが完了いたしました(当社開発コード「DW-1002」)。10月には日本の白内障手術時の水晶体前嚢染色を対象として、九州大学病院が主体となり医師主導治験(国内第Ⅲ相臨床試験)が開始されました。また、眼科用鎮痛剤及び未熟網膜症治療薬について臨床試験に向けた準備を進めました。さらに、子会社JITは、2月に株式会社アイ・エヌ・アイが出願中の神経変性抑制剤に関する特許の下、眼科領域の実施許諾を受ける契約を締結いたしました。

 ライセンスアウト済パイプラインにつきましては、ライセンスアウト先の興和により、「グラナテック」が緑内障・高眼圧症を適応症として、平成26年12月より国内上市されております。平成29年12月には、韓国における製造販売承認申請が行われました。また、ライセンスアウト先のわかもと製薬により、8月に「H-1129(WP-1303)」の緑内障・高眼圧症を適応症とした国内後期第Ⅱ相臨床試験が開始されました。その他として、2月に「H-1129」の緑内障等を対象に、日本を除く全世界の権利を付与するオプション契約を国内の医薬品事業会社と締結いたしました。

 当社グループは、既にライセンスアウトされている開発品に対し、ライセンスアウト先の製薬会社との協力体制の下、順調な臨床試験の推進を支援し、当該開発品の早期上市を図るべく取り組んでおりますが、研究開発費(「DW-1002(日本)」の一部を除く)はライセンスアウト先の資金により賄われており、当社において研究開発費負担は発生しておりません。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、下記に記載の項目のうち、将来に関する事項は、入手可能な情報及び将来の業績に与える不確定要素についての仮定をもとに、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態の分析

① 資産

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から35百万円減少し、2,877百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が159百万円、有価証券が353百万円及び投資有価証券が89百万円減少した一方で、流動資産のその他が237百万円及び「DW-1002」の事業譲受により契約関連無形資産が329百万円増加したこと等によるものです。

 なお、総資産に占める流動資産の比率は当連結会計年度末87.4%、前連結会計年度末95.3%です。

 

② 負債、純資産

 負債は、前連結会計年度末から746百万円増加し、781百万円となりました。主な要因は、長期借入金が600百万円及び未払金が118百万円増加したこと等によるものです。

 純資産は、前連結会計年度末から781百万円減少し、2,095百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が1,563百万円減少した一方で、行使価額修正条項付第9回新株予約権の権利行使により、資本金が420百万円、資本剰余金が420百万円増加したこと等によるものです。

 また、負債純資産合計に占める純資産の比率は当連結会計年度末72.8%、前連結会計年度末98.8%です。

 

(2)経営成績の分析

① 売上高、売上原価

 売上高は、「グラナテック」、「DW-1002」のロイヤリティ収入及び「H-1129(WP-1303)」のマイルストーン収入等により合計254百万円(前期比51.2%増)を計上し、売上原価に7百万円を計上しました。

 

② 販売費及び一般管理費、営業損失

(イ)研究開発費

 研究開発費は、「H-1337」の非臨床試験費用の増加等により603百万円(前期比165.8%増)となりました。

 なお、当社グループのライセンスアウト済みパイプラインの研究開発費は、「DW-1002(日本)」の一部を除いてライセンスアウト先の資金により賄われており、当社グループにおいて研究開発費負担は発生しておりません。

 

(ロ)その他販売費及び一般管理費

 その他販売費及び一般管理費は、支払手数料及び新株予約権の権利行使による租税公課の増加等により277百万円(前期比8.6%増)となりました。

 これらにより、営業損失は633百万円(前期営業損失319百万円)となりました。

 

③ 経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失

 営業外費用に支払手数料18百万円及び為替相場の変動による為替差損9百万円を計上したこと等の結果、経常損失は668百万円(前期経常損失304百万円)となりました。特別利益に投資有価証券売却益101百万円、特別損失に減損損失1,040百万円を計上したこと等の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,563百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失253百万円)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前連結会計年度末に比べ159百万円減少し、2,132百万円となりました。

 なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況と要因は次の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は797百万円(前期は333百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失1,605百万円及び投資有価証券売却益101百万円があった一方で、減損損失1,040百万円があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は763百万円(前期は230百万円の支出)となりました。これは主に事業譲受による支出1,300百万円があった一方で、有価証券の償還による収入340百万円及び投資有価証券の売却による収入202百万円があったこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は1,406百万円(前期は1,066百万円の収入)となりました。これは、新株予約権の行使による株式の発行による収入824百万円及び長期借入れによる収入582百万円があったことによるものです。

 

(4)経営者の問題認識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。