当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当中間会計期間におけるわが国経済は、世界的な原材料の値上がりなどの影響を受けた物価高による内需の低迷を背景とした停滞感がぬぐいきれない状況が続きました。
一方で、国内経済においては、インバウンドなどの活況により、一部産業や地域において明るい兆しも出てきております。
いずれにしても収束が見えない中東やウクライナなどの国際情勢、米国や日本における安定しない政治の状況、乱高下が見られる不安定な株式市場など、先行きは依然不透明な面が多くあり、依然としていわゆるVUCA(ブーカ)Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性)の時代にあるといえます。
そのような時代において、世界、そして日本においても、会社や個々人のパーパス(存在理由や目的)へのより本質的な向き合い方、より自分らしく生きるウェル・ビーイングなどの価値観が今後ますます重要になってくることが見込まれております。
そのような変化の中では、経済活動においても、人的資本経営など見えない資産価値の重要性はもちろんのこと、企業、ブランド、製品、サービスが持つ情緒的価値、感性価値は、従来以上に重要な要素となり、当社独自の感性AI、感性メタデータの活用意義が深い社会環境になりつつあります。
またそのような価値観がより重視されていく時代だからこそ、当社主力事業分野であるエンターテイメントの社会貢献性は今後より高まってくることも予想されております。
そのような環境の中、エンターテイメント分野のデータ利活用は、他の産業と比較してもまだまだ進展の余地がある分野となっており、当社独自の感性AIを活用したエンターテイメント分野でのデータサービスの事業機会は、エンターテイメント業界における事業機会として更に増加して行きます。またエンターテイメント分野で培った感性AI技術の活用先は、エンターテイメント分野以外の美容、健康、ファッション、食、飲料、旅、住、金融など日々の暮らしに関わる領域に広がっており、インターネット媒体での記事・コンテンツのレコメンド(おすすめ)や広告などにおいて利活用が当該期間においても一層の進展がありました。
当社の独自感性データ技術は、エンターテイメント分野でいえば、当社データ・技術を活用した音楽・映像サービスは、利用者の好みをより理解することで、コンテンツの出会い方、楽しみ方をより進化させることが可能となります。また感性マーケティング分野における生活者視点でいえば、自分らしく生きる、社会と共に生きる、自らのライフスタイルを見つけてより良く暮らす、そうしたニーズを繋ぎ広げることに可能な技術です。企業視点から見ても、今後、より自社のフィロソフィー、カルチャー、ストーリー、こだわり、期待価値などを丁寧に訴求することで、自社の感性価値、情緒的価値に基づいた共感で繋がる生活者との長期的でより深いコミュニケーションが可能となります。それらの生活者と企業とのエモーショナルな繋がりを創ることにおいて、当社独自の感性AIの有用性があります。それらを可能とする独自の感性AIやデータ開発、データマネジメントを当該期間においてその基盤の構築を一層進めてまいりました。
その上で、中期的には、当社の既存主力事業であるエンターテイメント分野と新規事業である感性マーケティング分野を繋ぎ、日本全国の大企業から個人事業者や生産者と生活者のコミュニケーション活動とエンターテイメントが持つ共感を増幅する力を掛け合わせ、アーティスト、クリエイター、企業、生産者、生活者、ファン、それぞれのフィロソフィーやストーリー、気持ちを繋げる“新しいコミュニケーション”の実現に貢献してまいります。
当社の強みは、感性メタデータを活用した独自の感性AIの開発と音楽、映像を中心としたエンターテイメント分野を通じて人間が持つ感性や感情を体系的、網羅的、詳細にデータベース化を行い、国内最大級の感性データベースであるメディアサービスデータベース(以下「MSDB」といいます)として開発、運用しているところにあります。それらのデータ・技術開発を通じて、“新しいコミュニケーション”“セレンディピティ=偶然の幸せな出会い”を生む独自のサービスを創ることで人と人がより深く繋がる社会に役に立ちます。
当社は、「データベース・サービスカンパニー」として、創業以来『人の気持ちをつなぐ』というビジョンのもと、コンテンツに紐づく情報をデータベース化したオリジナルのMSDBを開発し、主にインターネットサービス会社を対象に、データ提供、検索機能提供、レコメンド・パーソナライズ機能提供、データ分析などの多様なデータベース関連サービスの開発および提供を行っております。具体的には現在、「音楽データサービス」「映像データサービス」「感性ターゲティング広告サービス」の3事業を展開しております。
これらのサービスについては、ユーザーベースをもつパートナー企業への技術ライセンス提供として、KDDI株式会社、株式会社レコチョク、株式会社NTTドコモ、LINEヤフー株式会社、楽天グループ株式会社、LINE MUSIC株式会社、HJホールディングス株式会社(サービス名「Hulu」)、株式会社サイバーエージェント(サービス名「Ameba News」)、株式会社フジテレビジョン(サービス名「FOD」)、株式会社集英社、株式会社世界文化ホールディングス、株式会社CCCメディアハウス、株式会社ハースト婦人画報社などのサービスにて利用されております。
開発・運用型売上ではなく、技術ライセンス収入主体への事業モデルの転換に向けたデータ・テクノロジーライセンス事業に一段と主力事業がシフトする一方で、当該期間においては、感性ターゲティング広告サービスへの投資をより一層増加し、エンターテイメント分野含め売上の25%を目処に積極的な投資を実行しております。それら事業活動の結果として、売上高483,749千円(前年同中間期比99.8%)、営業損失81,316千円(前年同中間期は51,018千円の営業損失)、経常損失81,177千円(前年同中間期は47,513千円の経常損失)、中間純損失71,460千円(前年同中間期は46,864千円の中間純損失)となりました。
(2)財政状態の分析
当中間会計期間末における総資産は、865,205千円(前事業年度末比105,648千円減)となりました。流動資産につきましては777,214千円(同108,234千円減)となり、増減の主な要因としましては、現金及び預金の減少(同69,482千円減)、売掛金の減少(同44,012千円減)などがあったことによります。固定資産につきましては、87,990千円(同2,585千円増)となりました。
負債は、246,773千円(同18,027千円減)となりました。増減の主な要因としましては、買掛金の減少(同9,188千円減)、未払金の減少(同6,587千円減)などがあったことによります。
以上の結果、純資産は、618,431千円(同87,621千円減)となり、自己資本比率は、前事業年度末の68.7%から68.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は前事業年度末に比べ、
69,482千円減少し、609,176千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、57,426千円(前年同中間期は22,726千円の獲得)となりました。主な収入要因としては、売上債権の減少44,012千円であります。一方で主な支出要因としては、税引前中間純損失71,195千円の計上および仕入債務の減少9,188千円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、4,730千円(前年同中間期は206千円の獲得)となりました。主な支出要因としては、貸付による支出5,000千円であります。一方で主な収入要因としては、貸付金の回収による収入269千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、7,324千円(前年同中間期比34千円増)となりました。主な支出要因としては、配当金の支払額7,323千円であります。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更及び新たに定めた経営方針・経営戦略等はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間会計期間における研究開発活動の金額は、39,180千円であります。
なお、当中間会計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当中間会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者の問題意識と今後の方針について」に重要な変更はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。