文中の将来に関する事項は、当事業年度末(平成30年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「我々は現在の医療を見つめ明日の医療の創造を通して社会に貢献します。」という企業理念の下に、新しい医療の世界を切り開くべく未知なる技術と価値ある製品開発に全知全能を傾けております。
一.私たちは医療現場と協力し常に新しい医療機器の開発と需要の創造に努めます。
二.私たちは一人ひとりが不可能を可能にできるよう挑戦的に仕事にあたります。
三.私たちは社会人として又企業人として全人格的な成長を通して企業の発展のため励みます。
以上の基本方針3項目を掲げて当社事業運営の目的としており、全役職員が徹底実行し、医療を進化させ社会貢献できるよう日々取り組んでおります。また、当社製品ブランド名であるクーデック(COOPDECH)はクーデターバイテクノロジーという意味を持つ造語であり、独創の技術でドラスティックな医療革命を目指すという想いを表現しております。安易に時流に乗らず、常に新しい可能性に挑戦し続け、人が誰もやらない、しかも人類の生命に関する極めて価値の高い仕事を、当社の研究開発製品を通して形にしていきたいと考えております。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社の研究開発の特徴は、麻酔・手術室関連の医師、看護師及び臨床工学技士を中心とした医療現場の潜在ニーズをできるだけ同じ目線で開発担当者が捉えるように努め、特許を含め独創的な技術を駆使して製品化することを基本理念としていることであります。また、当社は研究・開発から製造・販売にいたるまで、基本的に全て一貫して行っており、量産に係わる生産技術・品質管理においてもISO規格(ISO13485:2003)に基づき管理運営しております。今後とも現場第一主義を貫き、革新性・安全性を担保した新製品を確実に上市できる体制を維持強化してまいります。
以上のことを今後も継続させていきつつ、既存製品については更なるシェア向上を目指し、また、競争が激しい海外市場でも活躍でき、かつ新たな領域への進出を可能にする新製品の研究開発を進め、飛躍的な業績及び企業価値の拡大をできるだけ早い時期に実現させていく所存であります。
(3)目標とする経営指標
当社は、医療機器製造と医療機器販売が事業のほとんどであるため、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に計るための有用な指標であると考えております。今後とも株主の出資金を有効に活用することを大前提とし、収益改善に努め、企業経営に取り組んでまいります。
(4)経営環境・会社の対処すべき課題
今後の当社を取り巻く環境は、医療費抑制策の基調が継続し、医療機関の経営環境の悪化や国内外のメーカーとの価格競争などにより、引き続き厳しい状況で推移するものと思われます。このような状況のもと、当社の営業・技術・製造が一体となって市場競争力を高めるとともに、さらなる業績の向上、企業価値の増大に向けて邁進すると同時に、顧客にとって不可欠なパートナーであり続けることを目指して取り組んでおります。また当社が対処すべき課題として以下のことに取り組んでまいります。
① 既存製品の拡充・新製品の開発
当社は「サクションの大研(吸引器…フィットフィックス、キューインポット)」、「ポンプの大研(注入器…シリンジェクター、バルーンジェクター)」のイメージを定着させるとともに、独創的な製品の研究開発活動をより一層強化し、最先端医療を支える当社のイメージを確立するよう取り組みます。
② 海外販売の拡充
当社の売上はそのほとんどを国内販売に依存しており、海外売上高の割合は、平成29年3月期2.8%、平成30年3月期3.3%です。今後も製品ラインアップ及び販売網の拡充に努め、海外での競争力をより一層高めていけるよう取り組みます。
③ 優秀な人材の確保、教育の強化
当社の企業価値は個々の従業員から創出されるものです。当社の競争力を高めるため、積極的に採用活動を行い、優秀な人材の確保・教育の強化に取り組みます。
④ 品質保証体制の充実
当社は、医薬品医療機器法を踏まえて製品の保守、点検や修理など、お客様からのご要望に対して十分に応えられるように、品質保証体制の充実を図り、顧客満足度の向上に取り組みます。
⑤ 強固な企業体質の確立
当社は、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、内部統制等の強化を図り、強固な企業体質の確立に向けて取り組みます。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(平成30年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
(1)製品開発の進度に係るリスク
当社は、日頃からレベルの高い新技術や新製品の開発を目指し、研究開発投資や設備投資を行っておりますが、様々な環境動向等により、当社の事業成長を可能にする新製品研究開発の対応不足が生じると、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)製品の販売価格引下げに伴うリスク
厚生労働省の医療費抑制政策によって償還価格(病院が特定保険医療材料を使用した場合に、国に対して請求する価格)は低下傾向にあり、医療機器販売業者による医療機関への販売価格もこれに連動し、低下傾向にあります。当社において、原価低減や販売効率の改善を進めておりますが、効果が限定される場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制に伴うリスク
当社が行っております医療機器の開発、製造及び販売については、国内では医薬品医療機器法により規制を受けますが、改正法が平成26年11月に施行され、品質管理、安全管理体制の一層の強化と充実が求められております。
これまで当社は医薬品医療機器法に係る許認可の否認や承認の取消しを受けたことはありませんが、医薬品医療機器法第75条においては当該取消事由が定められており、何らかの理由により当該取消事由が生じた場合には、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
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許可の種類 |
有効期限 |
関連する法令 |
取消等となる事由 |
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第一種医療機器製造販売業許可 |
平成32年3月 |
医薬品 医療機器法 |
第75条に該当した場合の取消 又は更新漏れ |
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医療機器製造業登録 |
平成32年3月 |
〃 |
〃 |
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高度管理医療機器等販売業許可 |
平成31年3月~ 平成36年4月 |
〃 |
〃 |
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医療機器修理業許可 |
平成30年12月~ 平成35年3月 |
〃 |
〃 |
なお、欧州市場へ輸出するにはMDD(欧州医療機器指令)の要求事項を満たす必要があり、米国市場へはFDA(連邦食品・医薬品・化粧品法)の要求事項を満たす必要があります。当社は輸出先国の法律に係る許認可の否認や承認の取消しを受けたことはありませんが、法規制等が変更、強化された場合は当社の業績及び事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
(4)製品の安全性に係るリスク
当社は、高度な技術を要する医療機器を取り扱っており、品質管理の充実に常に努めておりますが、様々な要因による不良品発生や医療現場での不適切な取扱いの可能性を完全に否定することはできません。医療事故等が発生した場合には製造物責任によって係争等に発展する可能性があり、また製造工程での不具合発生により、自主回収を行う可能性があります。その場合は、特別的な損失として自主回収関連費用が発生し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)特定製品への依存に係るリスク
当社の主力製品であるフィットフィックスを中心とした吸引器関連製品の売上比率が全体の50%を超えてきており、過度な価格競争による販売価格低下等により、当社の業績及び事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。吸引器関連の売上高及び売上比率は、平成29年3月期 5,310百万円(63.2%)、平成30年3月期 5,541百万円(64.5%)であります。
(6)知的財産権に係るリスク
当社は研究開発に注力しており、知的財産権の確保並びに他社の知的所有権への侵害防止に努めておりますが、係争に発展する可能性を完全には否定できず、その場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、医療機器の製造販売には許可や承認を必要とし、比較的参入障壁が高い業界ではありますが、さらに競合他社を排除するため、当社は、自社開発製品を知的財産権で保護しております。医療現場と密接な関係を築き営業活動を行っておりますが、権利満了に伴う新規参入により競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材確保、育成に係るリスク
医療現場の顧客満足度を高めていくためには、顧客の業務及び先進技術に関する専門知識を常に習得・蓄積する必要があり、事業推進に必要な人材を適時適切に確保し育成・活用できない場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)製造拠点の集中、自然災害に係るリスク
当社が販売している注入器関連製品は大阪府和泉市の当社アセンブリーセンターにて製造しております。製造工場が地震や火災等の災害を被った場合、生産設備の機能停止による製造停止、修繕費用発生等により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製造委託先の業績悪化等により、生産に支障をきたした場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、会社法第236条、第238条、第239条及び第240条の規定に従い、当社の業績向上に対する役員及び従業員の意欲や士気を高めることを目的として、ストック・オプション制度を導入し、当社役員及び従業員に新株予約権を付与しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善などが見られ、緩やかな回復基調で推移しました。一方、海外においては、米国や中国の財政・金融政策の動向並びに東アジアを始めとする世界各地の地政学的リスクの高まり等により先行き不透明な状況が続いております。
また、当社を取り巻く事業環境は、高齢化の進展による手術数の増加、院内感染や医療事故防止対策の推進により、医療用消耗品のニーズの拡大が続いております。
しかしながら、増加の一途をたどる医療費の抑制を目的とした医療制度改革は進められ、各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、医療現場においてより効率的で効果的な医療サービスを提供できるような製品供給体制が望まれております。
このような状況のもと、当社は、高品質製品の常時安定供給を優先事項と掲げ、医療現場と密着した営業活動の推進、品質を確保しながらもコスト競争力をもった生産体制の構築並びに独創的な製品の研究開発活動の強化に取り組んでまいりました。
これらの結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて129百万円増加し、11,137百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて714百万円増加し、4,442百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて584百万円減少し、6,694百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高8,585百万円(前期比2.2%増)、営業利益1,505百万円(前期比12.0%減)、経常利益1,504百万円(前期比12.3%減)、当期純利益1,012百万円(前期比18.8%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて48百万円増加し、2,368百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社の事業は、医療機器等の製造販売及びこれらの付随業務の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績につきましては、当社の製品群別に記載しております。
a.生産実績
当事業年度における生産実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
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製品群 |
生産高(千円) |
前期比(%) |
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吸引器関連 |
2,688,710 |
+13.0 |
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注入器関連 |
1,199,106 |
△2.7 |
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電動ポンプ関連 |
99,489 |
+71.6 |
|
手洗い設備関連 |
251,185 |
△14.9 |
|
その他 |
244,322 |
+20.9 |
|
合計 |
4,482,813 |
+7.5 |
(注)1 金額は、製造原価により算定しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社は、見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績を製品群別に示すと、次のとおりであります。
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製品群 |
販売高(千円) |
前期比(%) |
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吸引器関連 |
5,541,460 |
+4.3 |
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注入器関連 |
2,057,810 |
△3.5 |
|
電動ポンプ関連 |
145,638 |
+33.0 |
|
手洗い設備関連 |
584,311 |
△6.3 |
|
その他 |
256,056 |
+14.3 |
|
合計 |
8,585,276 |
+2.2 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末(平成30年3月31日)現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 重要な会計方針」に記載のとおりであり、過去の実績や状況等に応じ合理的と考えられる要因に基づき見積り及び判断を行っております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産合計)
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べて129百万円増加し、11,137百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて272百万円増加し、6,562百万円となりました。これは主として、受取手形が83百万円減少したものの、原材料が144百万円、売掛金が107百万円、製品が67百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて142百万円減少し、4,574百万円となりました。これは主として、建物が1,518百万円、工具、器具及び備品が143百万円それぞれ増加したものの、増築・改修工事を行っていた和泉アセンブリーセンターの稼動により建設仮勘定が1,785百万円、ソフトウエア仮勘定が9百万円、投資有価証券が売却により7百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(負債合計)
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べて714百万円増加し、4,442百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて151百万円減少し、3,051百万円となりました。これは主として、支払手形が109百万円、1年内返済予定の長期借入金が107百万円、短期借入金が50百万円、未払費用が58百万円それぞれ増加したものの、未払金が415百万円、買掛金が32百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて865百万円増加し、1,390百万円となりました。これは、主として長期借入金が861百万円増加したこと等によるものです。
(純資産合計)
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べて584百万円減少し、6,694百万円となりました。これは主として、当期純利益を1,012百万円計上したものの、自己株式が自己株式の取得と処分により316百万円増加し、利益剰余金が剰余金の配当により809百万円及び自己株式の処分により364百万円、資本剰余金が104百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
2)経営成績
(売上高)
売上高は、8,585百万円(前期比2.2%増)となりました。これは主として、主力の吸引器関連において、病棟用の吸引器であるキューインポットが好調に推移したこと等によるものです。
(営業利益)
営業利益は、1,505百万円(前期比12.0%減)となりました。これは主として、当期より新工場が稼動したことに伴う減価償却費などの固定費の増加及び新製品開発の推進に伴う研究開発費が増加したこと等によるものです。
(経常利益)
経常利益は、1,504百万円(前期比12.3%減)となりました。これは主として、営業利益が減少したこと等によるものです。
(当期純利益)
当期純利益は、1,012百万円(前期比18.8%減)となりました。これは主として、固定資産除却損及び50周年記念行事費用が特別に発生したこと等によるものです。
3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べて48百万円増加し、2,368百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は1,255百万円(前期比95百万円減)となりました。これは主として、税引前当期純利益を1,362百万円、減価償却費を250百万円それぞれ計上したものの、法人税等を390百万円支払ったこと、たな卸資産が242百万円増加したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は624百万円(前期比20百万円増)となりました。これは主として、有形固定資産の取得により、615百万円支出したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は581百万円(前期比147百万円減)となりました。これは主として、長期借入れによる収入を1,589百万円計上したものの、配当金を809百万円支払い、自己株式の取得により789百万円を支出し、長期借入金を619百万円返済したこと等によるものです。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の経営に影響を与える大きな要因として、医療費抑制政策をはじめとする国による社会保障政策への動向があります。医療費の抑制により各医療機関の経営環境はより一層厳しさが増してきており、国内外メーカーとの競走激化等当社の経営環境は依然として厳しい状況で推移するものと認識しております。
このような状況の中、当社といたしましては、「医療現場第一主義」の研究開発型メーカーとして当社の特徴でもある独創的な製品を開発し、供給することにより医療現場が抱える課題解決を図ってまいります。
また、海外販売比率を高めることで事業規模の拡大とさらなる経営基盤の強化・確立を図ってまいります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社の事業活動における運転資金需要につきましては、製品を製造するための国内外の仕入先からの部材仕入、製造費、また、営業管理費や荷造運賃などの販売費及び一般管理費があります。また、設備資金需要につきましては、製品製造にあたっての設備の維持・金型の更新投資や新製品開発にあたっての設備や金型の新規投資があります。さらには、インフラとして生産効率や事務効率の向上を目的とした投資等があります。
(財務政策)
当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。基本的に、経常的な設備投資については、減価償却費の範囲内にとどめ、一定程度のキャッシュポジションを維持した上で余剰資金については有利子負債の削減に充当しております。また、過度に金利変動リスクに晒されないよう短期借入と長期借入のバランスを図りつつ、タイミングをみて長期借入へシフトするなど、資金調達コストの低減・安定にも努めております。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社は、医療機器製造と医療機器販売が事業のほとんどであるため、売上高総利益率と売上高経常利益率が本業の収益性を明確に図るための有用な指標であると考えております。当事業年度における「売上高総利益率」は、49.2%(前期比3.3ポイント悪化)であります。また、「売上高経常利益率」については、17.5%(前期比2.9ポイント悪化)であります。いずれの指標も新工場の稼動等による固定費負担等により低下傾向にありますが、生産効率の改善や固定費削減を図り、これらの指標が改善されるように取り組んでまいります。
該当事項はありません。
当社は、研究開発型の医療機器メーカーとして、血液凝固技術、メカトロニクス技術、エンジニアリングプラスチックによる接着、溶着等の接合技術、MEMS(※1)開発に必要な精密加工技術等のコア技術を蓄積し、新たな技術開発の基盤としております。また大学や研究機関等との共同研究にも積極的に取り組み、各分野の医師のご理解、ご協力のもと、協力体制を構築し、医療現場の課題を当社の課題として捉え、細部までこだわりぬいた製品の開発を行っております。
これら強固な基盤の上に、今後は当社の強みを発揮できる分野、将来有望な新商品の開発に経営資源を集中させ、顧客が望んでおられる新しい医療機器を一日も早く医療現場にお届けすることが当社の研究開発の基本戦略であります。
加えて当社は、顧客に信頼される製品を開発することは当然のこと、医療の「現場ニーズ」の源泉に立ち返り、他社との差別化・高付加価値を伴った独創的な製品に結びつくような企画、研究、開発を推し進めております。企画、研究段階では、医療従事者との人脈を活かしたマーケティング活動を通して医療現場の潜在ニーズを探り、近い将来において、医療に貢献しうる新技術の研究や製品のプロトタイプ(試作品)による妥当性を確認することで本ニーズの信憑性を確実なものとし、開発段階では、量産性を可能とするべく、開発の初期段階から設計部門と生産部門とで、生産方法や製造原価等の情報を共有しながら進める“設計製造コンカレント開発”を常態化させております。
当社研究開発部門の平成30年3月期末の在籍者数は33名であり、当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は532百万円であります。
(※1) Micro Electro Mechanical Systemsの頭文字からMEMSと呼ばれています。その技術範囲として、機械要素部品、センサー、作動装置、電子回路の集積化などが挙げられ、今後は自動車、家電、産業用のみならず、医療への適用拡大のための研究開発及び採用が加速すると考えられております。
現在、主に取り組んでいる研究開発活動は次のとおりであります。
(1)胸腔ドレナージ
ドレナージとは、患者の体内に貯留した血液、膿などの体液を体外に排泄する手技であり、部位によって使用する吸引器が異なります。本件は、気胸や肺がんなどの肺切除術後に胸腔(※2)の中の気体や排液を吸引することを目的とした製品であります。
当研究開発では、MEMS技術を応用した最初の製品として、既存製品よりも製品サイズの小型・軽量化を実現し、また新技術として、患者が咳き込んだ時に起こる急激な圧力変化を解消し、その時に起こりうる感染を予防するメカニズムを開発したことにより、患者のQOL向上、医療従事者の負担軽減や医療安全の向上を目指しております。
なお、本件は、平成30年3月22日付にて製造販売認証を取得しております。
(※2) 肋骨や胸椎、胸骨や横隔膜で囲まれた体内空間のこと。
(2)高性能低コストマイクロポンプを用いた薬液注入器
本件は、平成26年に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)が実施する医工連携事業化推進事業として採択され、国立大学法人岡山大学及び学校法人川崎学園川崎医科大学と共同で実施している研究開発であります。
現在の薬液注入器は、薬剤の種類、量、投与精度等により使い分ける必要があるため種々の装置に分類されています。これらは医療機関にとって機器の導入費用や管理コストを増大させており、また薬剤の種類、機器の操作性も様々であるため、間違いを誘発させるという医療安全面での課題があります。
そこで、当研究開発では、高性能低コストマイクロポンプをキーデバイスとして、数ある薬液注入器を統合していくのと同時に、安全で使い易い製品にすることで、患者のQOL向上、医療従事者の負担軽減や医療安全の向上を目指しております。
また、平成27年11月27日付にて「マイクロポンプ(MEMSデバイス)を用いたディスポーザブル型医療機器の開発」について、内閣総理大臣より関西圏国家戦略特区における事業として認定されました。上記、「胸腔ドレナージ」及び「高性能低コストマイクロポンプを用いた薬液注入器」は、「マイクロポンプを用いたディスポーザブル型医療機器の開発」の一端を担うものであります。