当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「すべての人に感動と喜びを」を企業理念として、我々と触れ合うすべてのお客様のニーズに耳を傾け、それを形にし、納得、満足いただけるようなサービスの提供に尽力し、今後もより一層お客様に満足していただく商品・サービスを提供することによって、社会から応援され続ける企業を目指していくことをミッションとしております。
(2) 経営戦略等
当社グループは、エネルギーに関連する事業の分野において、事業者や一般家庭を対象として、導入メリットが明確で取扱いが容易な商品をコンサルティング営業により販売し、メリットを享受した顧客に対してさらに導入メリットがある商品・サービスをクロスセルすることで、顧客満足度の向上と収益機会の拡大を実現してまいりました。
そして電力の小売全面自由化により、高圧電力需要家から低圧電力需要家まで幅広い顧客を対象としたエネル
ギーソリューションを提案できる体制を構築しております。今後もエネルギー関連の商品・サービスのラインナップを拡充すること、コンサルティングによる提案力を強化することにより、顧客基盤の拡大と収益基盤の強化、他社との差別化を図り、企業ブランドの確立に努めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業価値の継続的な向上を図るため、持続的な成長と高い収益性を維持することを経営課題としております。経営上の目標の達成状況を判断するための主な指標は、ストック利益(契約により継続的に利益を得られる利益モデルであり、電力の小売による利益などが該当します。)、営業利益であります。
(4) 経営環境
当社グループの事業領域であるエネルギーの分野においては、電力価格の上昇傾向が続くことが予想され、そのため電力コストの削減に対する需要は拡大しております。また、環境問題への社会的関心の高まりから、省エネ関連商品や、脱炭素に向けた再生可能エネルギーの活用に対する潜在的な需要が拡大しております。このような事業環境のもと、エネルギーソリューション事業において、太陽光発電システムや蓄電池、省エネ設備の販売、電力料金削減コンサルティングに関するビジネスチャンスは一層拡大していると考えております。
一方、小売電気事業につきましては、電力調達コストの高騰が利益の低下をもたらすリスクがあります。その対応策として、引き続き負荷率(最大電力に対する年平均消費電力の比率)が低い低圧電力需要家の顧客基盤を拡充するほか、独自燃調(卸電力取引市場からの調達コストの一部を電気代に反映する仕組み)の導入、市場価格連動型契約の促進、相対電源の確保、デリバティブ取引の活用により、電力市場価格の高騰に対するリスクヘッジを図ります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 人材の確保と育成
当社グループの現在の事業は、事業用太陽光発電システムや蓄電池、各種省エネ設備の販売、電力の小売、一般家庭向けの住宅用太陽光発電システムや蓄電池の販売など、直接顧客に働きかける営業形態が主流のため、当社グループの業績は優秀な営業人員の確保とその育成速度に依存しています。そのため、それぞれの営業に熟達した営業社員の早期育成が重要な課題と認識しております。
顧客情報に基づいた営業支援システムや画像認識AIを使ったマーケティングDX等の効果的な活用による営業社員の活動の一層の効率化、チーム制での人材育成による顧客応対スキルの向上、新入社員の成長速度の向上を促してまいります。また、催事を活用した販売や提携販売については、現在まで蓄積してきた営業ノウハウの向上と教育により、営業社員の早期育成の加速化を目指したいと考えております。
② 収益基盤の強化
当社グループが行う事業の収益構造は、太陽光発電システムや蓄電池等の販売、各種省エネ設備の販売といった、物品の販売によるフロー収益と、電力の小売、売電収益、電子ブレーカーのリプレイス手数料やレンタルといった、継続的な利益を得るストック収益の2種類の収益構造の形態があります。
今後、持続的に成長していくために、安定的な収益基盤を確立するためのストック収益を拡充することが重要な課題と認識しております。ストック収益としての電力の小売は電力市場価格の変動により業績が大きく変動する傾向があるため、独自燃調の導入や相対電源の確保、市場価格連動型契約の推進などのリスクヘッジ施策により業績の変動を抑え、安定的なストック収益源とする方針です。
③ 法令遵守体制の強化
当社グループは、事業者や一般家庭を対象とする販売会社であるため、厳格な法令遵守体制の構築は当然のこととして、さらに一歩進めた説明責任の徹底と顧客の当社グループサービスに対する真の理解と満足の獲得が必要と認識しております。
そのため、営業社員に対しては、営業マニュアル、コンプライアンスマニュアルを作成し、社内研修等を通じて説明責任等の理解を促しております。また顧客に対しては、販売に際して顧客が当該商品・サービスの内容を正しく理解して購入の意思決定をしているかを、商品購入におけるリスクの認識に係る確認書の徴収と営業部門のバック・オフィスである業務部門から顧客への電話連絡により確認をしております。
また、当社グループは、個人情報の保護に関する法律に定める個人情報取扱事業者に該当し、同法による規制の対象者となっています。従って、コンピュータシステムにおけるセキュリティ強化に加えて、個人情報保護に係る個人情報取扱規程を定めて厳格に運用しております。
今後におきましても、関係法令の遵守はもとより、顧客の情報管理などに対する万全な体制を確立するとともに、グループ一人ひとりの高い倫理観の醸成、社会的良識を持った責任ある行動を目指し、啓蒙活動や社内教育を徹底してまいります。
④ 内部統制システムの維持・強化
当社グループにおきましては、新しい事業の展開等の検討・実施を恒常的に行っていることもあり、内部統制システムの整備に関わる継続的な課題が発生いたします。監査等委員会監査や内部監査の過程において、状況変化に応じた内部統制システムの変更必要性を認識するとともに、対応策の早期構築に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
(1)ガバナンス
当社は、気候変動を重要な経営課題の一つとして認識するとともに、気候変動を含めた環境の問題、労働環境や人材育成といった社会に関する問題など、持続可能性に関する基本方針や重要事項について総合的な意思決定を行い、経営戦略の策定などに活用するため、取締役会の下部機構としてサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、執行会議、各部門・グループ会社の責任者を加えた人員で構成され、定期的(年1回)に気候変動や人的資本など持続可能性に関するリスク・機会や目標とその進捗について確認及び審議しております。なお、経営陣は同委員会の構成員として気候関連事項をモニタリングしております。
また、サステナビリティ委員会にて審議された内容は定期的(年1回)取締役会に報告され、取締役会にて気候変動や人的資本など持続可能性に関する重要なリスク・機会、目標とその進捗について審議を行い、対応の指示及びその進捗に対する監督を行い、気候変動及び人的資本に関するガバナンスの強化を進めてまいります。
また、持続的な成長のために人材の育成と管理も重要な経営課題と認識していることから、毎週開催する役員・部長連絡会において、各事業会社における人員の状況を常に共有・把握するようにしております。
(2)戦略
当社グループでは、シナリオ分析実施に際して、サステナビリティ委員会での気候変動に関する重要リスク・機会の特定と、それらが及ぼす具体的な財務的影響額の評価を行っております。
シナリオ分析として、2つのシナリオ(4℃シナリオ及び1.5℃シナリオ)を用い、2030年、2050年時点での当社グループの事業への気候変動起因の影響度合を考察いたしました。
今回実施したシナリオ分析の前提は以下のとおりであります。
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対象期間 |
国内グループ全体 |
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時間軸 |
2030年度、2050年度 |
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対象温度シナリオ |
4℃シナリオ、1.5℃シナリオ |
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4℃シナリオ |
1.5℃シナリオ |
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想定内容 |
21世紀末の世界平均気温が産業革命比で4℃上昇し、台風などの物理的被害が増加するシナリオ。政策・規制、技術開発は既存のまま推移すると想定。 |
21世紀末の世界平均気温の上昇を産業革命前比で1.5℃に抑えるため、脱炭素に向けた政策・規制の導入や技術開発が進展することを想定するシナリオ。 |
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参照シナリオ |
・IEA Stated Policies Scenario(STEPS) ・IPCC SSP 5-8.5シナリオ |
・IEA Net Zero Emissions(NZE) ・IPCC SSP 1-1.9 |
シナリオ分析として、まずはバリューチェーン全体の気候変動リスク・機会を洗い出し、自社への影響が大きいと想定される項目を抽出いたしました。次に、抽出したリスク・機会の4℃および1.5℃シナリオの外部環境をもとに、財務影響の算定ロジックを整理し、必要なデータを収集して財務影響を算定いたしました。その後、各リスク・機会について発生可能性と影響度から重要度を評価し(注)、結果を踏まえて対応方針を検討いたしました。
(注)重要度評価は、影響度の評価(1~3)と発生可能性の評価(1~3)を掛け合わせ、大・中・小の3段階で評価いたしました。
影響度評価については、年平均成長率の想定から2030年・2050年時点の売上総利益成長を予測し、各リスク・機会の影響額が売上総利益の3%未満の場合は「小」、3~10%の場合は「中」、10%以上の場合は「大」といたしました。
当社グループにおける事業戦略の柱は下記2点です。
・エネルギーコストソリューション事業(2026年3月期よりエネルギーソリューション事業)は事業用太陽光発電
システムの販売を拡大。
・小売電気事業は調達価格変動リスクへの対策を徹底し、安定的なストック収益へ。
シナリオ分析にて特定したリスクと機会と財務影響、及び対応方針は以下のとおりであります。
4℃シナリオにおいては、化石燃料の需要が引き続き大きいと想定されることから、卸電力市場による電力調達価格の増加リスクがあると認識しておりました。しかしシナリオ分析の結果、現在開発が進んでいる発電技術により調達価格の減少が見込まれると特定し、機会になり得るとの認識に改めました。1.5℃シナリオにおいては、脱炭素化に向けた炭素税や法規制の導入による対応コストの増加が考えられる一方で、脱炭素政策の推進による省・再エネ需要の高まりにより、太陽光発電システム、蓄電池や各種省エネ設備の販売機会が増大し、当社の企業価値向上の機会があると認識しております。
今後も継続的にシナリオ分析を実施することでさらなる精度向上に努め、分析により立てた将来見通しを経営戦略の検討プロセスに組み込んでいくことにより、不確実な将来世界に対応できるレジリエンス性を高めてまいります。
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分類 |
カテゴリ |
項目 |
自社への影響 |
4℃シナリオ |
1.5℃シナリオ |
対応方針 |
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2030 |
2050 |
2030 |
2050 |
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移行 リスク |
政策・法規制 |
炭素税 (調達時) |
原材料調達時のCO2排出に対する炭素税導入により、対応コストが増加 |
小 |
中 |
中 |
中 |
・2050年カーボンニュートラルに向けたCO2排出量削減目標設定 ・インターナルカーボンプライシングの導入 ・将来的に、削減しきれないCO2排出量に対してカーボンクレジットを購入(長期) |
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技術 |
新技術 |
ペロブスカイト太陽電池や新しいタイプの蓄電池などの技術導入に遅れることにより、売上が減少 |
- |
- |
小 |
小 |
・太陽電池の市場、技術動向の継続的なモニタリング ・新技術の導入体制の構築(新技術関連の人材育成、部門新設等) |
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物理 リスク |
慢性 |
気温上昇 |
気温上昇により電力需要が高まり、電力市場における電力価格が上昇し、調達コストが増加 |
- |
- |
小 |
- |
・相対契約の比率見直し ・自社電源の検討 ・販売価格への転嫁(市場価格連動型契約)の継続 ・安定した電力調達価格の確保 |
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分類 |
カテゴリ |
項目 |
自社への影響 |
4℃シナリオ |
1.5℃シナリオ |
対応方針 |
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2030 |
2050 |
2030 |
2050 |
|||||
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機会 |
慢性 |
気温上昇 |
気温上昇により再エネ技術が進展し、電力市場における電力価格が変動し、調達コストが減少 |
大 |
大 |
- |
大 |
・相対契約の比率見直し ・自社電源の検討 ・販売価格への転嫁(市場価格連動型契約)の継続 ・安定した電力調達価格の確保 |
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エネルギー源 |
再エネ政策 |
再生可能エネルギーの需要拡大に伴い、太陽光発電システム、蓄電池の販売機会が増加 |
大 |
大 |
大 |
大 |
・人材の拡充、育成やマーケティングDXの活用による再エネ関連商材の販売拡大 ・アフターサービス体制強化(顧客満足度と継続的関係構築) |
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省エネ政策 |
省エネルギー政策の推進により、各種省エネ設備の販売機会が増加 |
小 |
小 |
小 |
中 |
・営業体制の強化による省エネ関連商材の販売拡大 ・省エネ効果や経済効果が高い製品ラインナップの拡充 |
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製品・サービス |
新技術 |
ペロブスカイト太陽電池や新しいタイプの蓄電池などの技術の導入による売上増加の機会 |
- |
- |
小 |
大 |
・太陽電池の技術動向の継続的なモニタリング ・新技術の導入体制の構築(新技術関連の人材育成、部門新設等) ・市場ニーズに合わせた製品ポートフォリオ調整(従来品からの移行戦略) |
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市場 |
系統用 蓄電池 |
電力ネットワークや再生可能エネルギー発電所へ電力を安定供給する系統用蓄電池の市場へ参入することにより、販売機会及び売上が増加 |
中 |
中 |
中 |
中 |
・営業体制の構築、販売の拡大 ・系統用蓄電池事業の戦略策定 |
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また、当社グループの最も重要な経営基盤は人材であります。企業価値を持続的に高めるためには人的資本の強化が必要であり、その実現のための人材育成と社内環境整備に関する方針は以下の通りであります。
人材の育成に関する方針
当社グループは、全ての社員がそれぞれの業務においてモチベーションをもって働くことができ、キャリア構築についても一人一人のビジョンを踏まえてフォローアップすることができるよう、きめ細やかな人材育成体制を構築することを方針としております。そのため、以下のような施策を実施しております。
・少人数のチーム制による育成体制
・半期毎の目標設定及び人事評価面談の実施
・新入社員研修
・e-ラーニングによるコンプライアンス研修など、各種研修制度
社内環境整備に関する方針
当社グループの経営理念である「すべての人に感動と喜びを」を実現するため、個々の社員がその能力を発揮することができ、キャリアビジョンを描くとともに、働きやすい社内環境を構築することを方針としております。性別・年齢・国籍・人種・宗教・性的指向・障がいの有無にとらわれることなく公正に人材を評価・登用し、社員の多様性を活かすことで企業価値の向上を追求いたします。
(3)リスク管理
当社は、事業の継続的・安定的な発展のため、当社グループに経済的損失や事業の中断・停止、又は信用・企業イメージの失墜をもたらし、経営理念、経営目標、経営戦略の達成を阻害する可能性があるさまざまなリスクに対して、合理的なコストで適切な処理を行うことにより、リスク管理を行っております。平常時は、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、気候変動関連を含めた全事業上のリスクに関わる課題・対応策を協議・承認します。リスク管理委員会は原則として年2回開催し、テーマに応じて関連する従業員を招集いたします。また、必要に応じてリスク管理の個別検討課題ごとにワーキンググループを編成し、具体策を検討・実行します。気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ委員会と連携し、気候変動や関連規制の動向をモニタリングしながら、リスクの特定及びその影響度の評価を行っております。
リスク管理委員会にて評価した内容は取締役会に報告され、取締役会にて報告された内容を審議し、最終的に重要課題として確定されます。確定された重要課題について進捗管理や見直しを都度行い、リスク管理委員会に対して必要な指示などを行うことで適切なリスク管理体制を構築しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、気候変動対応の進捗管理するための指標として、自社企業活動によるCO2排出量(スコープ1,2,3)を設定し、毎年算定を行うとともに、その精度を高めてまいります。また、自社企業活動における2050年のカーボンニュートラルを目標とし、省エネ活動・再エネ導入等による自社のCO2削減を進めるだけでなく、事業を通じたCO2削減を通じ、社会貢献を行ってまいります。
スコープ1,2,3排出量(単位:t-CO2)
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項目 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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スコープ1排出量 |
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スコープ2排出量(マーケット基準) |
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スコープ2排出量(ロケーション基準) |
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スコープ3排出量 |
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(注) 1.GHGプロトコルを参照し、グループ全体を対象に算定しております。
2.「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドラインVer.2.7(2025年3月 環境省 経済産業省)」・「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベースVer.3.5(2025年3月)」・「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度/電気事業者別排出係数一覧 令和7年提出用」・「産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)グローバルGHG排出原単位」・IDEAv2.3に基づき算出しております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針についての指標につきまして、目標及び実績は以下の通りであります。
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指標(注)1 |
目標 |
実績(2025年3月期) |
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(注) 1.集計対象となる会社の範囲は、当社及び連結対象子会社であります。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働者令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及び
キャッシュ・フローの状況に重要な影響を与えると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、当社グループとして必ずしもそのようなリスクには該当しない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社グ
ループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生時の対応に努めてまいります。なお、以下の事項における将来に関する事項については、本書提出日現在において当社グループで想定される範囲で記載したものです。また、以下の記載は当社グループ株式への投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありません。
(1) 電力をめぐる状況の変化
① 電力業界の動向変化
当社グループは、電力契約の種類変更や電気機器の運用方法の改善を提案することにより、顧客の電力基本料金の引き下げを行う電力基本料金削減コンサルティングを行っております。電力供給事業者が電力契約の内容を変更することで顧客にとって契約種類を変更するメリットが低下した場合、電力基本料金の仕組みが変更されることにより電力基本料金の引き下げのメリットが低下した場合、また、燃料価格の下落や原子力発電所の稼働などの影響で電力単価が大幅に下落し、当社グループの提案による顧客の電力料金削減効果が希薄化した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
② 電力調達価格の変動
当社グループは、事業者等に対して電力を供給する電力の小売を行っております。顧客へ販売する電力は、発電事業者との相対取引や常時バックアップにより、また、仲介事業者を通じて一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX)から購入しておりますが、燃料価格や為替相場の変動、天候の影響による電力需要の変動などによりJEPXから調達する電力の調達価格が上昇した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ インバランス料金
小売電気事業者は、一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則に基づき、需要計画と実際の需要量を30分単位で一致させる義務(計画値同時同量制度)を負っており、需要計画と需要実績に過不足(インバランス)が生じた場合、インバランス料金として一般送配電事業者との間で精算が必要になります。
当社グループは、バランシンググループ(複数の小売電気事業者が1つのグループを形成し、一般送配電事業者との間で1つの託送供給規約を結ぶ仕組み)に参加するとともに、需給管理を仲介事業者に委託することで需給バランスの最適化を図り、インバランスが生じるリスクを抑えておりますが、需給バランスの調整に差異が生じ、同時同量が達成できないことでインバランス料金が多額に生じる場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 競争激化に伴うリスク
電力の小売は、経済産業省により小売電気事業者としての登録を受けることにより事業を開始することが可能となりますが、参入障壁は高くないため、新規参入は難しくありません。当社グループが行う小売電気事業は、エネルギーコストソリューション事業により開拓した低圧電力需要家の既存顧客を主な対象としているため実質的な競合は少ないものの、新規参入者の拡大により競合他社が増加した場合、新規契約の獲得ペースが低下することにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 電気事業法の改正
当社グループは、電気事業法に基づいた事業を行っております。電気事業法の改正により想定外の制度変更等がある場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 信用リスクの変化
当社グループは、事業者向けの販売については、業務提携しているリース会社に対し商品を販売しリース会社より顧客へ商品をリース供与する販売方法や、クレジット会社による顧客への信用供与と、現金販売による顧客への商品提供を行っております。一般家庭向けの販売については、クレジット会社による顧客への信用供与と、現金販売による顧客への商品提供を行っております。
従って、当社グループが顧客の信用リスクにより直接影響を受ける度合いは限定されていますが、当該顧客の信用状態が悪化しリース及びクレジット債務支払いの延滞事例が増加してきた場合や、リース会社及びクレジット会社(以下リース会社等)に対する業法上の規制強化等がなされた場合には、リース会社等の顧客に対する与信承認率の低下を通じて、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 商品仕入に関するリスク
当社グループは、商社・メーカー等から商品を仕入れて顧客に販売しております。仕入先については複数確保しておりますが、為替相場の変動や原材料の不足等により、仕入価格の上昇や、商品の調達に支障が生じた場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 提携先の確保
当社グループは、住宅メーカー等と業務提携を行い、提携先の顧客に住宅用太陽光発電システム・蓄電池等を販売しております。提携先は随時拡大しておりますが、提携先が確保できず、販売対象が減少した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 新規事業等の展開と推進について
当社グループは、今後も継続的な成長を維持するため、新規事業等の展開と推進に取り組んでまいります。しかし、新規事業等を展開・推進する過程におきましては、急激な市場環境の変化や想定し得ないリスクが発生する可能性があり、これらにより当初計画を達成できない場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 法的規制
当社グループは、個人情報の保護に関する法律に定める「個人情報取扱事業者」に該当し、そのため同法の適用があります。当社グループは、同法を遵守するために、社内規程として個人情報取扱規程を定め、厳格に運営し個人情報の保護体制には万全を期していますが、何らかの原因で当社グループが保有している個人情報が漏洩するなどした場合、適切な対応を行うためのコスト負担、当社グループの社会的信用の低下、当社グループに対する損害賠償請求等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは一般家庭を対象として住宅用太陽光発電システム等を販売していることから、特定商取引に関する法律、消費者契約法及び不当景品類及び不当表示防止法の適用を受けており、当該法令等に抵触した場合には、業務の改善指示、停止命令等の行政処分、優良誤認表示及び有利誤認表示に該当する可能性があります。
当社グループは、これらの法的規制に対しコンプライアンス研修を実施すると同時に営業活動の厳格な管理を行うなど、従業員が法令に違反する行為を行わないよう指導しており、これまで業務改善指示、停止命令等の行政処分を受けたことはありませんが、今後何らかの理由で当社グループが行政処分を受けた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 太陽光発電に対する天候の影響
当社グループは、再生可能エネルギーの開発として、太陽光発電設備による発電を行い、売電にて収益を計上します。天候不順などの影響により日射量や日照時間が少なくなった場合、発電量の低下により売電収入が減少し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 気候変動の影響
気候変動による気温上昇が進んだ場合、電力需要の増大を通じた電力価格の上昇により、小売電気事業の電力調達価格の増大、冷房コストの増加等、当社グループの業績に様々な影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境は、企業収益の改善による雇用・所得環境の改善、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがあるなど、景気は緩やかな回復傾向にあるものの、為替相場の変動や資源価格の高騰による物価上昇や、米国の通商政策による景気の下振れリスクなど、先行きは不透明な状況が続いております。
エネルギーをめぐる状況として、引き続き電力コストの上昇や、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた再生可能エネルギーの活用拡大が見込まれることから、当社グループとしては事業用太陽光発電システムを成長の主軸として経営資源を集中し、販売を拡大いたしました。電力小売については、低圧電力における独自燃調(電力市場調達コストの一部を電気代に反映する仕組み)の運用や高圧電力における市場価格連動型契約の促進による電力調達価格変動リスクの低減といった取り組みによるリスクヘッジの徹底を行い、安定的なストック収益として収益基盤の拡充を図ってまいりました。その他、コスト削減・省エネルギー・再生可能エネルギー関連の商品・サービスについての販売も堅調に推移いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は33,340百万円(前期比11.5%増)、営業利益は6,500百万円(前期比24.6%増)、経常利益は6,645百万円(前期比26.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,558百万円(前期比28.7%増)となりました。売上高、各利益は過去最高を更新しております。
事業別の状況は、以下のとおりであります。
〔エネルギーコストソリューション事業〕
エネルギーコストソリューション事業につきましては、電力の自家消費を提案する事業用太陽光発電システムや蓄電池を主力商材として販売を拡大するとともに、事業者のコスト削減のための各種商材を販売してまいりました。また、事業用PPAについても、順調に規模を拡大してまいりました。
その結果、エネルギーコストソリューション事業の売上高は9,620百万円(前期比24.4%増)、セグメント利益は4,035百万円(前期比33.2%増)となりました。
〔スマートハウスプロジェクト事業〕
スマートハウスプロジェクト事業につきましては、再生可能エネルギーによる自家消費、太陽光発電の10年間の固定価格買取制度の適用が終わる卒FIT案件の増加、住宅のエネルギーレジリエンス強化へのニーズにより蓄電池への需要があることから、蓄電池の販売を推進いたしました。
その結果、スマートハウスプロジェクト事業の売上高は4,319百万円(前期比2.7%減)、セグメント利益は497百万円(前期比15.3%減)となりました。
〔小売電気事業〕
小売電気事業につきましては、契約数の増加に伴う電力販売量の増加、電力市場価格上昇の影響による販売単価の上昇、相対電源の確保等のリスクヘッジ施策による調達価格の抑制等により、売上高・利益ともに増加いたしました。
その結果、小売電気事業の売上高は19,401百万円(前期比9.4%増)、セグメント利益は2,798百万円(前期比23.4%増)となりました。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は21,518百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,605百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が3,376百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1,070百万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は4,516百万円となり、前連結会計年度末に比べ182百万円減少いたしました。これは主に、投資有価証券が296百万円減少した一方で、機械及び装置が72百万円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は7,048百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,238百万円増加いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が649百万円、1年内返済予定の長期借入金が157百万円、未払法人税等が199百万円、未払消費税等が282百万円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は2,676百万円となり、前連結会計年度末に比べ133百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金が130百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は16,309百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,317百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に係る包括利益により4,512百万円増加した一方で、剰余金の配当で1,201百万円減少したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」と言います。)は13,850百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,376百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は4,648百万円(前期は4,089百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益6,641百万円、仕入債務の増加649百万円、未払消費税等の増加286百万円等による資金の増加があった一方で、売上債権の増加1,070百万円、法人税等の支払1,887百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果得られた資金は3百万円(前期は1,787百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却1,596百万円等による資金の増加があった一方で、投資有価証券の取得1,300百万円、有形固定資産の取得303百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は1,274百万円(前期は52百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済1,273百万円、配当金の支払1,201百万円等による資金の減少があった一方で、長期借入れ1,300百万円等による資金の増加があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
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エネルギーコストソリューション事業(千円) |
2,638,642 |
△0.7 |
|
スマートハウスプロジェクト事業(千円) |
1,726,973 |
△14.8 |
|
小売電気事業(千円) |
15,919,771 |
6.4 |
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合 計(千円) |
20,285,388 |
3.2 |
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前期比(%) |
|
エネルギーコストソリューション事業(千円) |
9,620,080 |
24.4 |
|
スマートハウスプロジェクト事業(千円) |
4,319,340 |
△2.7 |
|
小売電気事業(千円) |
19,401,397 |
9.4 |
|
合 計(千円) |
33,340,818 |
11.5 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、本文における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度における経営成績は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおり、売上高・各段階利益ともに増加しており、いずれも過去最高となりました。当期純利益の増加により自己資本比率は62.3%となっており、引き続き財政状態は健全です。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、電力をめぐる状況があります。当連結会計年度における小売電気事業は電力調達価格高騰に対するリスクヘッジ施策を講じていることから利益は増加いたしましたが、燃料価格高騰や電力需給の逼迫などの要因による電力調達価格の上昇懸念は常にあるため、引き続きリスクヘッジを十分に行うことにより、安定的なストック収益源とする方針です。一方、そのような電力コストの上昇を背景に、エネルギーコストソリューション事業において、電気を創って自家消費することで経済的メリットを得るとともに再生可能エネルギーの普及にもつながる事業用太陽光発電システムは好調に販売を拡大しました。また、スマートハウスプロジェクト事業における蓄電池の販売についても、受注は堅調に推移しています。
(売上高及び売上総利益)
当連結会計年度における売上高は、過去最高の33,340百万円(前期比11.5%増)となりました。売上総利益は、過去最高の10,984百万円(前期比18.6%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は売上総利益と同様に伸長し、過去最高の6,500百万円(前期比24.6%増)となりました。
なお、セグメント別の内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりです。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高の4,558百万円(前期比28.7%増)となりました。また、1株当たり当期純利益は197.30円となり、前連結会計年度に比べ43.47円増加いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フ
ローの状況」に記載のとおり、増益に伴い営業活動によるキャッシュ・フローが順調に拡大しております。
当社グループは、主に営業活動によるキャッシュ・フローを財源として企業活動を行っております。また、安定的な資金の確保のため金融機関から長期借入金を調達しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は3,691百万円、現金及び現金同等物の残高は13,850百万円となっております。また、当連結会計年度末における自己資本比率は62.3%となっております。
③ 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。その作成は、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、電力料金収益の算定、棚卸資産の評価及び貸倒引当金の計上につきまして、過去の実績等を勘案して合理的に見積りを行っております。
当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。
(1) 仕入・外注に関する契約
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契約締結日 |
契約書名 |
契約相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
|
2007年11月30日 |
商品売買基本契約書 |
株式会社ネオ・ コーポレーション |
電子ブレーカーの 継続的売買の契約 |
1年間(自動更新の条項有り) |
(2) リースに関する契約
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契約締結日 |
契約書名 |
契約相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
|
2005年9月8日 |
リース契約・割賦販売契約の取扱いに関する基本契約書 |
エヌ・ティ・ティ・リース株式会社(現:NTTファイナンス株式会社) |
電子ブレーカーのリース契約等の取扱い |
1年間(自動更新の条項有り) |
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契約締結日 |
契約書名 |
契約相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
|
2005年9月13日 |
リース業務提携 申込書 |
株式会社 クレディセゾン |
電子ブレーカーのリース契約等の取扱い |
1年間(自動更新の条項有り) |
(3) 包括的な協業に関する契約
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契約締結日 |
契約書名 |
契約相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
|
2013年12月26日 |
包括的な協業に関する契約書 |
株式会社エナリス |
電力分野における様々な分野での協業 |
1年間(自動更新の条項有り) |
該当事項はありません。