第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社グループでは、収益の安定化及び持続的な成長を目指し、2025年までを見据えた中期経営計画を策定しております。
本中期経営計画では、主に下記2点の項目を重点施策として定めております。
① 既存事業の再構築と収益構造強化
原価低減及びロスコスト削減を始めとするコスト構造改革を実行することで、既存事業の再構築を図り、収益構造の強化を目指してまいります。加えて、当社の運賃収受機器事業及びシステム開発事業が保有する開発技術を最大限活用することで、高付加価値製品を開発し他社との差別化を図るとともに、将来を見据えた開発投資体制を構築し、社会ニーズへ迅速に対応してまいります。
② 新たな成長事業の創出
当社の注力領域であるバス機器市場において、事業の更なる深耕を進めるべく、ソリューションビジネスの強化を図り、QR決済システム等の次世代を担う基幹製品を創造してまいります。また、鉄道市場、空港市場及び道路・管制市場においても、他業種との連携を拡大し当社の不足技術を補いつつ、社会インフラ市場を開拓することで、新たな成長事業を創出してまいります。
これらの諸課題に取り組むことで事業者の経営課題を解決し、新たな付加価値を提供するとともに、社会に対してストレスフリーな交通利用環境を提供してまいります。
当社グループの事業展開、業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは下記の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、下記の項目は当社株式への投資に関するリスクの全てを網羅するものではありません。
① 製品に関するリスク
当社グループの製品はバス事業者の運賃収受に係るため高い信頼性が求められており、製品の開発及び製造にあたっては品質の担保を最重要課題と捉えております。そのため、品質管理の専門部署により品質の管理を徹底するとともに、製品品質の確約を目標とした「品質保証」を実現する取組みを進めております。しかし、予期しない事象が発生した場合、改修費用の発生等により当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 開発管理に関するリスク
当社グループは非接触ICカードシステムを含めた運賃収受システム全体を一括で受注していることから、大型案件の開発については各プロジェクト毎に開発の進捗状況を管理し、また開発・製造工程を中心とした各プロセスの改善・効率化に努めております。しかし、内的要因又は外的要因により予期しない事象が発生した場合、製品開発の遅延、納期の遅延及び追加開発費用の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材に関するリスク
当社グループでは優秀な人材の確保及び育成に努めておりますが、計画通りに人材の確保及び育成が進まない場合、製品開発及び製造のノウハウが受け継がれず当社グループの技術力が低下する可能性があります。
④ 事業内容に関するリスク
当社グループは経済情勢及び市場動向等を勘案しつつ綿密に予算を作成しておりますが、景況、燃料価格の変動、バス利用者の増減及びバス事業者に対する補助金制度の見直し等によりバス事業者の設備投資計画に変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新紙幣・新硬貨の流通、消費税率の変更による運賃改定及び非接触ICカードシステムの一斉導入・更新等により、一時的に特需が発生することがあります。この場合、当該特需の発生前と終束後では、当社グループの業績及び財務状況が大きく変動する可能性があります。
加えて、当社グループの中期経営計画の達成に向けてリスクを早急に感知し、コントロールする体制の構築が不可欠となります。これら体制を適切に構築できない場合、売上高及び利益の減少、当社シェアの大幅な低下、信用の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 販売環境に関するリスク
公営のバス事業者からの受注は競争入札制度で行われるため、入札価格の低下又は競合他社の落札により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。また、民間のバス事業者においても競合他社との価格競争が激化した場合、売上高が減少し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、バス事業者が運賃箱及び精算装置等の機器について一斉更新を実施した場合、特定の販売先に売上高が集中することになります。受注獲得状況によっては、特定の販売先に対する売上高の増減が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 訴訟に関するリスク
当社グループでは製品開発の各段階で知的財産の調査を実施しておりますが、他者の知的財産権を侵害した場合には、訴訟に発展する可能性があります。また、予期しない事象により当社製品に関する損害賠償が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす虞があります。
⑦ 情報システムに関するリスク
当社グループでは情報システムが適切に運用されるよう運用状況を常時監視するとともに、サイバーリスクの発生を防ぐべく、ハード面及びソフト面ともに対策を講じております。しかし、コンピュータウイルスの感染及びサイバーテロ等により想定を超える事態が発生した場合、情報システムの停止及び機密情報の流出等が発生する虞があり、当社グループの事業運営に支障が発生するとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害に関するリスク
当社グループでは地震及び台風等の大規模災害発生時に向けて、「事業継続計画(BCP)」を策定しております。しかし、設備の復旧に伴う費用の発生若しくは生産能力の縮小に伴う売上高の減少等、大規模災害の発生時には当社グループの事業展開に影響を及ぼす虞があります。
⑨ 減損処理の影響
当社グループでは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形固定資産や繰延税金資産等を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や時価の下落等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合には、のれんの減損の発生及び繰延税金資産の取崩し等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資の増加や雇用・所得環境の改善が継続し、穏やかな回復基調で推移したものの、米中貿易摩擦問題や中国経済の成長鈍化などによる世界経済の減速等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
当社グループ製品の主要市場である路線バス業界においては、東京オリンピック・パラリンピックに向けた設備更新需要を背景に、主に首都圏のバス事業者の機器更新需要が本格化しております。
このような状況のもとで当社グループは、「次世代型ICカード機器」及び「首都圏向け運賃箱」の研究開発を前期に完了したことから、これらの新製品を市場に投入し、拡販を進めました。また、首都圏を中心とした運賃収受システムの更新案件を取り込み、順次納入を進めております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,218,178千円(前期比86.1%増)、営業利益は252,033千円(前期は1,031,912千円の営業損失)、経常利益は263,002千円(前期は1,030,406千円の経常損失)親会社株主に帰属する当期純利益は194,906千円(前期は1,138,340千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(運賃収受機器事業)
運賃収受機器事業においては、路線バス及びワンマン鉄道車両での運賃収受機器等の設計、開発、製造、販売及びメンテナンスサービスを展開しております。
当事業における売上高は6,012,880千円(前期比91.0%増)、営業利益は239,540千円(前期は1,068,933千円の営業損失)となりました。売上高については、首都圏における機器更新需要が本格化したことから大幅に増加しました。利益面については、売上高の大幅増加に加え、設計開発費の管理を徹底したことにより、増益となりました。
(システム開発事業)
システム開発事業においては、主に交通系インフラ案件、ETC関連開発案件及びその他社会インフラ系案件のシステム開発、エンジニアリング、ソフトウエア設計並びにシステム及び機器の輸出入販売を展開しております。
当連結会計年度においては、交通系インフラ案件が順調に推移した結果、当事業における売上高は348,395千円(前期比2.6%増)、営業利益は19,958千円(前期比26.9%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,807,194千円増加し(前期は528,917千円の減少)、3,106,201千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,413,476千円(前期は2,785,268千円の支出)となりました。これは主に、仕入債務の減少427,605千円により資金が減少いたしましたが、税金等調整前当期純利益の計上260,069千円、売上債権の減少284,046千円及びたな卸資産の減少954,979千円により資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は461,526千円(前期は834,642千円の収入)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入536,068千円により資金が増加したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は67,808千円(前期は1,421,708千円の収入)となりました。これは主に、長期借入れによる収入500,000千円により資金が増加いたしましたが、長期借入金の返済による支出521,480千円により資金が減少したものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
運賃収受機器事業 |
5,534,643 |
134.9 |
|
システム開発事業 |
182,078 |
112.3 |
|
合計 |
5,716,722 |
134.0 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
運賃収受機器事業 |
4,748,034 |
72.4 |
2,645,239 |
67.7 |
|
システム開発事業 |
177,621 |
96.2 |
28,277 |
50.5 |
|
合計 |
4,925,655 |
73.1 |
2,673,516 |
67.4 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
運賃収受機器事業 |
6,012,880 |
191.0 |
|
システム開発事業 |
205,298 |
106.3 |
|
合計 |
6,218,178 |
186.1 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年1月1日 至 2018年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
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|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社井浦商会 |
- |
- |
1,145,107 |
18.4 |
|
株式会社神奈中商事 |
- |
- |
715,768 |
11.5 |
|
京成バス株式会社 |
362,099 |
10.8 |
- |
- |
2.前連結会計年度及び当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)財政状態の分析
① 資産
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて491,628千円増加し、5,912,725千円となりました。これは主に、売上債権が284,046千円、たな卸資産が954,979千円、未収消費税等が147,739千円減少したものの、現金及び預金が1,807,194千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて571,725千円減少し、1,220,317千円となりました。これは主に、投資有価証券が556,544千円減少したことによるものであります。
② 負債
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,258,767千円増加し、2,916,166千円となりました。これは主に、仕入債務が427,605千円減少したものの、長期借入金を1年内返済予定の長期借入金へ振替えたことで、1年内返済予定の長期借入金が1,500,000千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,527,649千円減少し、421,966千円となりました。これは主に、長期借入金が1,521,480千円減少したことによるものであります。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて188,784千円増加し、3,794,909千円となりました。これは主に、利益剰余金が148,597千円増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は6,218,178千円(前期比86.1%増)となりました。これは、首都圏を中心とした運賃収受システムの更新案件を取り込み、順次納入を進めたことによるものであります。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は1,565,821千円(前期比467.4%増)となりました。これは、売上高が増加したことに加えて、原価の低減を徹底した結果、売上原価率が低下したことによるものであります。
③ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は263,002千円(前期は1,030,406千円の経常損失)となりました。これは、売上総利益の増加によるものであります。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は194,906千円(前期は1,138,340千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。これは、経常利益の増加によるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
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2018年12月期 |
2019年12月期 |
|
自己資本比率(%) |
50.0 |
53.2 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
30.5 |
28.7 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
1.2 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
100.2 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.2018年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、キャッシュ・フローがマイナスのため、記載を省略しております。
②資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは当社グループの運賃収受機器事業に関わる材料仕入、外注費及び製造費、システム開発事業に関わるシステム開発費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、工具器具備品等固定資産購入によるものであります。
③財務政策
当社グループは、事業活動のため適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としており、必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、原則自己資金及び金融機関からの借入により調達することとしております。
(1) シンジケートローン契約の締結
当社は、2018年9月26日付で株式会社横浜銀行をアレンジャー兼エージェント、株式会社三菱UFJ銀行をコアレンジャーとする、運転資金の確保を目的としたシンジケートローン契約を締結しております。
その主な内容は、以下のとおりであります。
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① 組成金額 |
2,000百万円 |
|
② 資金使途 |
運転資金 |
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③ 契約形態 |
タームローン |
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④ 契約締結日 |
2018年9月26日 |
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⑤ 初回借入実行日 |
2018年9月28日 |
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⑥ 初回借入実行金額 |
1,500百万円 |
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⑦ 満期日 |
2020年12月30日 |
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⑧ アレンジャー兼エージェント |
株式会社横浜銀行 |
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⑨ コアレンジャー |
株式会社三菱UFJ銀行 |
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⑩ 参加金融機関 |
株式会社横浜銀行 株式会社三菱UFJ銀行 さがみ信用金庫 株式会社静岡銀行 |
(1)研究開発活動
当社グループにおける研究開発活動は、バスの省エネルギー化の一環として、バス小型化に対応する「省資源化」、少子化及び高齢化に対応した「省力化」による「ユーザーへの貢献」及びバス利用客への「サービス向上」を基本方針としており、当該方針に則って製品の開発、改良を進めております。
研究開発活動は、当社の技術部門が担当し、新製品・新技術の開発に取り組んでおります。当連結会計年度における当社グループの研究開発費の金額は、
(2)研究開発の体制
研究開発の体制は、当社製品の特徴から、メカ(機構設計・回路設計)、ソフト(プログラム設計)を切り離すことが出来ないため、これらの担当者が共同で開発に携わる「プロジェクト制」としております。プロジェクトでは基本構想から試作、製品レビュー、動作検証と妥当性確認、納入後の確認まで一貫して行い、最終段階の検証は品質管理担当部署と連携して行い、得られた情報を技術開発のノウハウとしております。2019年12月末現在、当社グループの技術部員は全体の社員数の約半数を占め、研究開発型企業として自負と自覚をもって開発に取り組んでおります。