第2【事業の状況】
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社グループでは、収益の安定化及び持続的な成長を目指し、2025年までを見据えた中期経営計画を策定しております。
本中期経営計画では、主に下記2点の項目を重点施策として定めております。
(a) 成長事業の創出
2023年1月に設立した新たな事業創造をミッションとする社長直轄組織「新規事業推進室」が地域社会の活性化に貢献するソリューションニーズの広がりをとらえて、小田原市地域ポイントアプリ開発と運用を受注(マイナカードソリューション)し、今後の成長事業づくりの道筋をつくったものと考えております。
また、少子高齢化の加速による地域人口の減少、ならびに2024年問題による運転手不足の深刻化から、バス事業者様の経営は厳しい状態が続いています。一方、地域交通の担い手という重要な役割は不変であることから、公共交通サービスの維持と健全な経営の両立が不可欠です。
当社は、人々の移動を通じて得られる多彩なバスの利用データを集約・価値化することで移動需要の予測や運行計画の最適化等、バス事業者様の経営効率向上ニーズに着眼したデータサービスソリューションの事業化にも取組んでいます。
(b) 継続的な成長投資の実行
研究開発費は、2022年12月期に0.8億円(実績)、2023年12月期に1.6億円(実績)、2024年12月期に2.7億円(計画)、2025年12月期に3億円(計画)を見込んでおり、持続的な成長に向けて着実に拡大してまいります。
具体的には、2024年7月予定の新紙幣発行を見据えて、2023年12月期にバス運賃箱に搭載する新紙幣検定機を自社開発・生産し、他メーカーから調達していた従来に比べて、納期の短縮と売上総利益率の改善を図ることができました。また、中期経営計画の最終年度である2025年12月期に向けては、市場が伸長しているキャッシュレス決済の機能拡張や「新規事業推進室」が主導するソリューションにかかわる技術強化や商材開発を中心に投資する方針です。
成長投資の前提となる売上総利益率は、2022年12月期の22.6%に対して、2023年12月期は37.7%(+15.1p)という大幅な改善となりました。この稼ぐ力をさらに強化するために、今後2年間をかけてITインフラ投資を実行し、ものづくりを「製番方式(受注単位で生産)」から「MRP方式(需要予測に基づく見込み生産)」に変革するとともに、仕様の標準化を進めることで売上原価率の低減に取り組んでまいります。
また、今般の物価・人件費上昇を当社の仕入価格に適切に反映することと同時に、原価に見合った売価で顧客にご購入いただけるよう、適時お願いをしてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。
(1)ガバナンス
当社グループは、社是「開拓の精神で社会に貢献する」のもと、常に世の中に新しい商品とサービスを提供し、社業を通して社会に貢献する、という企業理念に基づく事業活動を通じて、持続可能な社会づくりに貢献する取組みを進めています。
サステナビリティに関連するガバナンス体制としては、ISO14001に基づく「環境マネジメントシステム」、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」があり、全社的な活動を行っております。取締役会や事業責任者から構成される事業戦略会議の場を通じて、これらの活動状況や目標に対する進捗や評価が報告・議論され、PDCAサイクルを回す形で推進しています。
(2)戦略
中期経営計画(2020年度~2025年度)において「地球温暖化の防止」、ならびに「透明性の高い経営」をサステナビリティに関する重要課題と設定し、持続可能な社会づくりに貢献する事業活動に取り組んでいます。
「地球温暖化の防止」については、環境負荷を低減するために路線バス運賃箱等の当社製品の小型化・軽量化を推進するとともに、今後EVバス・自動運転が本格的に普及することを見据えて、運転手レス・運賃箱レスを前提とする路線バス運賃収受システムの構想に着手しております。
また、近年は少子高齢化によって地域人口の減少が加速していること、ならびに運転手不足の深刻化によってバス路線の維持が困難になっていることから、当社グループの顧客であるバス会社・地方自治体の経営は厳しさを増しております。一方、地域公共交通の担い手という重要な役割は不変であることから、公共交通サービスの維持と健全な経営の両立が社会的に要請されています。当社グループは、地域の移動ニーズと公共交通サービスの運行コストを適正化(運行地域と運行時間帯の最適化)するためのデータサービスソリューションの提供によって、効率的なバスの運行を実現し、地域社会の活性化と環境負荷の低減に取り組んでまいります。
「透明性の高い経営」については、2022年3月より監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行し、過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことで、ステークホルダーの期待により応えうる体制の定着に取り組んでいます。
「人的資本」に関する戦略としては、社会的課題を解決するための新たな提供価値を創造するために、アップスキリングプログラムに基づく社内人財の育成や能力開発に取り組むとともに、専門性を持つ「とがり」人財のキャリア採用に注力しています。また、社員が会社と共に成長するモチベーションとチャレンジマインドを高めるために、2024年5月に譲渡制限付きの自社株式を当社グループ全社員に支給します。
(3)リスク管理
サステナビリティに関するリスク及び機会を識別・評価し、管理するプロセスとしては、年次ベースで実施する中期経営計画のローリングを通して、当社グループを取り巻く社会的視点・動向や市場の変化をレビューし、必要により中期経営計画や短期経営計画を適切に見直すこととしています。これらの見直しは、取締役会や業務執行を担う事業戦略会議で報告され、その適時性・妥当性を検証した上で、年次の部門別実行計画とグループ全社員の目標管理に落とし込むことで、実効性の確保に取り組んでいます。
「環境マネジメントシステム」においては、年次ベースで環境影響評価を実施し、リスク度合いに応じて必要な対策を実行しています。
(4)指標及び目標
温室効果ガスが地球環境に与える影響を低減させるべく、世界的に脱炭素社会の実現に向けた取組みが進められており、日本政府も2030年には温室効果ガスを2013年比46%削減、2050年にカーボンニュートラルの達成を目標としています。
当社グループとしても、(2)項の戦略に記載の通り、製品開発やサービス提供等の事業活動を通して環境負荷の低減に取り組んでいますが、現時点では定量的な目標は設定しておりません。
多様な人財を確保するために、性別、国籍、キャリア等に関わらず門戸を開いており、管理職についても何ら制約を設けることなく、適性を見て登用しております。しかし、現時点では、女性の管理職比率が6.6%にとどまっているため、女性登用の母集団を増やすための採用施策を検討してまいります。
今後とも大きく変化していく社会に適応して、当社グループの価値を提供し続けるためには、多様な人財によって活性化した組織風土を創り上げなければなりません。そのためには、性別等に関係なく、社員一人ひとりがエンゲージメントを高めつつ、生活の充実・働きやすさと仕事の成果をバランスさせるための環境整備や制度設計が必要であると考えています。
例えば、勤務地を限定することなく社員最適な場所で就労できる、就労時間帯を選択できる、高い専門性を持つ社員は別賃金体系で処遇する等、当社グループには従来なかった発想で、代表取締役社長を委員長とする「人財委員会」と「社員代表」の間で建設的な議論を進めてまいります。
当社グループの事業展開、業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは下記の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、下記の項目は当社株式への投資に関するリスクの全てを網羅するものではありません。
① 製品に関するリスク
当社グループの製品はバス事業者の運賃収受に係るため高い信頼性が求められており、製品の開発及び製造にあたっては品質の担保を最重要課題と捉えております。そのため、品質管理の専門部署により品質の管理を徹底するとともに、製品品質の確約を目標とした「品質保証」を実現する取組みを進めております。しかし、予期しない事象が発生した場合、改修費用の発生等により当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
② 開発管理に関するリスク
当社グループは非接触ICカードシステムを含めた運賃収受システム全体を一括で受注していることから、大型案件の開発については各プロジェクト毎に開発の進捗状況を管理し、また開発・製造工程を中心とした各プロセスの改善・効率化に努めております。しかし、内的要因又は外的要因により予期しない事象が発生した場合、製品開発の遅延、納期の遅延及び追加開発費用の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材に関するリスク
当社グループでは優秀な人材の確保及び育成に努めておりますが、計画通りに人材の確保及び育成が進まない場合、製品開発及び製造のノウハウが受け継がれず当社グループの技術力が低下する可能性があります。
④ 事業内容に関するリスク
当社グループは経済情勢及び市場動向等を勘案しつつ綿密に予算を作成しておりますが、景況、燃料価格の変動、バス利用者の増減及びバス事業者に対する補助金制度の見直し等によりバス事業者の設備投資計画に変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新紙幣・新硬貨の流通、消費税率の変更による運賃改定及び非接触ICカードシステムの一斉導入・更新等により、一時的に特需が発生することがあります。この場合、当該特需の発生前と終束後では、当社グループの業績及び財務状況が大きく変動する可能性があります。
加えて、当社グループの中期経営計画の達成に向けてリスクを早急に感知し、コントロールする体制の構築が不可欠となります。これら体制を適切に構築できない場合、売上高及び利益の減少、当社シェアの大幅な低下、信用の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 販売環境に関するリスク
公営のバス事業者からの受注は競争入札制度で行われるため、入札価格の低下又は競合他社の落札により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。また、民間のバス事業者においても競合他社との価格競争が激化した場合、売上高が減少し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、バス事業者が運賃箱及び精算装置等の機器について一斉更新を実施した場合、特定の販売先に売上高が集中することになります。受注獲得状況によっては、特定の販売先に対する売上高の増減が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 訴訟に関するリスク
当社グループでは製品開発の各段階で知的財産の調査を実施しておりますが、他者の知的財産権を侵害した場合には、訴訟に発展する可能性があります。また、予期しない事象により当社製品に関する損害賠償が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報システムに関するリスク
当社グループでは情報システムが適切に運用されるよう運用状況を常時監視するとともに、サイバーリスクの発生を防ぐべく、ハード面及びソフト面ともに対策を講じております。しかし、コンピュータウイルスの感染及びサイバーテロ等により想定を超える事態が発生した場合、情報システムの停止及び機密情報の流出等が発生する虞があり、当社グループの事業運営に支障が発生するとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 自然災害に関するリスク
当社グループでは地震及び台風等の大規模災害発生時に向けて、「事業継続計画(BCP)」を策定しております。しかし、設備の復旧に伴う費用の発生若しくは生産能力の縮小に伴う売上高の減少等、大規模災害の発生時には当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 減損処理の影響
当社グループでは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形固定資産や繰延税金資産等を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や時価の下落等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合には、のれんの減損の発生及び繰延税金資産の取崩し等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
業績等の概要
(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除され、社会経済活動の正常化が進み、緩やかな景気の持ち直しの動きが見られました。先行きについては、雇用・所得環境が改善するもとで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れによる我が国の景気を下押しするリスク、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
当社グループ製品の主要市場である路線バス業界においては、人流が回復しつつあることから、設備投資は以前の慎重姿勢から復調傾向にあります。一方で2024年問題と言われる労働時間の上限規制も間近に控えており、乗務員不足が顕著になりつつあることから、依然として経営環境は、先行きの不透明な厳しい状況が続くと思われます。
このような状況のもとで当社グループはキャッシュレス決済事業の需要等の取り込み、新紙幣関連での機器更新需要等の取り込みに努め、順次納入を進めております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,930,456千円(前期比16.1%減)、営業利益は209,178千円(前期比722.5%増)、経常利益は221,280千円(前期比624.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は191,581千円(前期は42,575千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(運賃収受機器事業)
運賃収受機器事業においては、路線バス及びワンマン鉄道車両での運賃収受機器等の設計、開発、製造、販売及びメンテナンスサービスを展開しております。
当事業における売上高は3,503,116千円(前期比18.1%減)、営業利益は189,893千円(前期比707.7%増)となりました。売上高については、一部案件について客先要望及び開発計画の遅延により翌期以降へ売上が先送りとなった影響により、前期比で減収となりましたが利益面については、新札特需のニーズを捉えたことにより増益となりました。
(システム開発事業)
システム開発事業においては、主に交通系インフラ案件、ETC関連開発案件及びその他社会インフラ系案件のシステム開発、エンジニアリング、ソフトウエア設計並びにシステム及び機器の輸出入販売を展開しております。
当事業における売上高は934,389千円(前期比29.5%増)、営業利益は74,561千円(前期比199.3%増)となりました。親会社向けのソフトウエア売上が増加したことから、増収増益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ399,134千円増加し(前期は205,232千円の減少)、2,318,419千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動に使用した資金は1,052,575千円(前期は375,017千円の収入)となりました。これは主に、売上債権の増加895,222千円及び棚卸資産の増加882,666千円により資金が減少いたしましたが、仕入債務の増加402,843千円により資金が増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は56,319千円(前期は129,605千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出41,382千円、無形固定資産の取得による支出4,060千円により資金が減少したものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動で獲得した資金は1,508,029千円(前期は450,643千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の増加1,770,000千円により資金が増加いたしましたが、長期借入金の返済による支出213,476千円により資金が減少したものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
運賃収受機器事業 |
3,497,427 |
95.4 |
|
システム開発事業 |
394,308 |
99.7 |
|
合計 |
3,891,736 |
95.8 |
(注)金額は販売価格によっております。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
運賃収受機器事業 |
8,883,086 |
181.4 |
5,379,970 |
274.5 |
|
システム開発事業 |
565,510 |
135.2 |
138,169 |
258.4 |
|
合計 |
9,448,596 |
177.8 |
5,518,139 |
274.1 |
(注)金額は販売価格によっております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
品目 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
運賃収受機器事業 |
3,503,116 |
81.9 |
|
システム開発事業 |
427,340 |
103.6 |
|
合計 |
3,930,456 |
83.9 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
茨城交通株式会社 |
- |
- |
737,818 |
18.8 |
|
新和商事株式会社 |
- |
- |
458,853 |
11.7 |
|
モバイルクリエイト株式会社 |
700,054 |
14.9 |
- |
- |
2.前連結会計年度及び当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)財政状態の分析
① 資産
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,221,494千円増加し、6,474,818千円となりました。これは主に、現金及び預金が399,134千円、売上債権が895,222千円、仕掛品が430,673千円、原材料が428,539千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて32,416千円増加し、1,195,606千円となりました。これは主に、建物及び構築物が39,198千円、ソフトウエアが13,828千円減少した一方で、投資有価証券が77,986千円増加したことによるものであります。
② 負債
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,260,743千円増加し、3,402,562千円となりました。これは主に、仕入債務が402,843千円、短期借入金が1,770,000千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べて210,945千円減少し、328,162千円となりました。これは主に、長期借入金が191,322千円、退職給付に係る負債が24,807千円減少したことによるものであります。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて204,112千円増加し、3,939,699千円となりました。これは主に、利益剰余金が144,582千円、その他有価証券評価差額金が53,255千円増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は3,930,456千円(前期比16.1%減)となりました。これは、一部案件について客先要望及び開発計画の遅延により翌期以降へ売上が先送りとなった影響によるものであります。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は1,482,186千円(前期比40.0%増)となりました。これは、売上高は前期比で減収となりましたが、新札特需のニーズを捉えたことによるものであります。
③ 経常利益
当連結会計年度の経常利益は221,280千円(前期比624.0%増)となりました。これは、売上総利益の増益によるものであります。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は191,581千円(前期は42,575千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。これは、経常利益の増益によるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。
|
|
2022年12月期 |
2023年12月期 |
|
自己資本比率(%) |
69.0 |
51.4 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
28.3 |
43.6 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.5 |
- |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
108.2 |
- |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.2023年12月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
②資金需要
当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要のうち主なものは当社グループの運賃収受機器事業に関わる材料仕入、外注費及び製造費、システム開発事業に関わるシステム開発費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、固定資産購入によるものであります。
③財務政策
当社グループは、事業活動のため適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としており、必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、原則自己資金及び金融機関からの借入により調達することとしております。
該当事項はありません。
(1)研究開発活動
当社グループにおける研究開発活動は、これまでのバスの省エネルギー化の一環として、バス小型化に対応する「省資源化」、少子化及び高齢化に対応した「省力化」に加えて、DXの進化に伴う「データ利活用」による「ユーザーへの貢献」及びバス利用客への「サービス向上」を基本方針としており、当該方針に則って製品の開発、改良を進めております。
研究開発活動は、当社の技術部門が担当し、新製品・新技術の開発に取り組んでおります。当連結会計年度における当社グループの研究開発費の金額は、
(2)研究開発の体制
研究開発の体制として、公共交通事業環境の変化および新技術に適応する新たな価値を創造するため、営業部門と技術部門からなる社内プロジェクト体制を構築してマーケティング活動および商材企画を行っております。商材開発に必要な技術開発については、技術部を中心に、グループ会社のソタシステムおよびアズマと連携し、各部門の開発経験を活かしつつ、効果的かつ効率的に計画から開発、ユーザー環境での実証実験等による評価までを行い、新たな価値創造に取り組んでおります。