第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループでは、収益の安定化及び持続的な成長を目指し、2025年を最終年度とする中期経営計画を策定しております。

 本中期経営計画では、主に下記2点の項目を重点施策として定めております。

 

(a) 成長事業の創出

 新たな事業創造をミッションとする社長直轄組織「新規事業推進室」が地域社会の活性化に貢献するソリューションニーズの広がりをとらえて、小田原市地域ポイントアプリの運用を開始(マイナカードソリューション)し、今後の成長事業づくりの道筋をつけたものと考えております。

 また、少子高齢化の加速による地域人口の減少、ならびに2024年問題による乗務員様不足の深刻化から、バス事業者様の経営は厳しい状態が続いています。一方、地域交通の担い手という重要な役割は不変であることから、公共交通サービスの維持と健全な経営の両立が不可欠です。

 当社は、人々の移動を通じて得られる多様なバスの乗降データを集約・価値化することで移動需要の予測や運行計画の最適化等、バス事業者様の経営効率向上ニーズに着眼したデータサービスソリューションの事業化にも取組んでいます。

 

(b) 継続的な成長投資の実行

 研究開発費は、2024年12月期に1.6億円(実績)、2025年12月期に1.7億円(計画)を見込んでおり、持続的な成長に向けて着実に成長投資を実行してまいります。

 具体的には、2024年7月の新紙幣発行に伴い、バス運賃箱に搭載する新紙幣検定機を自社開発・生産し、他メーカーから調達していた従来に比べて、納期の短縮と売上総利益率の改善を図ることができました。また、2025年12月期以降に向けては、今後見込まれている首都圏の大規模機器更新需要を見据えて、次世代の運賃収受機器やキャッシュレス決済端末の開発に取り組むとともに、「新規事業推進室」が主導するソリューションにかかわる技術強化や商材開発を中心に投資する方針です。

 成長投資の前提となる売上総利益率は、2024年12月期は33.8%と、目標とする30%を達成することができました。この稼ぐ力をさらに強化するために、現在ITインフラ投資を実行しており、ものづくりを「製番方式(受注単位で生産)」から「MRP方式(需要予測に基づく見込み生産)」に変革するとともに、仕様の標準化を進めることで売上原価率の低減に取り組んでおります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものです。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、社是「開拓の精神で社会に貢献する」のもと、常に世の中に新しい商品とサービスを提供し、社業を通して社会に貢献する、という企業理念に基づく事業活動を通じて、持続可能な社会づくりに貢献する取組みを進めています。

 サステナビリティに関連するガバナンス体制としては、ISO14001に基づく「環境マネジメントシステム」、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」があり、全社的な活動を行っております。取締役会や事業責任者から構成される事業戦略会議の場を通じて、これらの活動状況や目標に対する進捗や評価が報告・議論され、PDCAサイクルを回す形で推進しています。

 

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(2)戦略

 中期経営計画(2020年度~2025年度)において「地球温暖化の防止」、ならびに「透明性の高い経営」をサステナビリティに関する重要課題と設定し、持続可能な社会づくりに貢献する事業活動に取り組んでいます。

 「地球温暖化の防止」について、気候変動は政策や法規制の強化や市場環境の変化への対応等を求められるため、当社グループにとってリスクであると同時に、当社グループの製品・サービスを通じて、環境負荷の低減に貢献できる機会でもあると捉えております。具体的な取り組みとして、路線バス運賃箱等の当社製品の小型化・軽量化を推進するとともに、今後EVバス・自動運転が本格的に普及することを見据えて、運転手レス・運賃箱レスを前提とする路線バス運賃収受システムの構想に着手しております。

 また、近年は少子高齢化によって地域人口の減少が加速していること、ならびに運転手不足の深刻化によってバス路線の維持が困難になっていることから、当社グループの顧客であるバス会社・地方自治体の経営環境は厳しさを増しております。一方、地域公共交通の担い手という重要な役割は不変であることから、公共交通サービスの維持と健全な経営の両立が社会的に要請されています。当社グループは、地域の移動ニーズと公共交通サービスの運行コストを適正化(運行地域と運行時間帯の最適化)するためのデータサービスソリューションの提供によって、効率的なバスの運行を実現し、地域社会の活性化と環境負荷の低減に取り組んでまいります。

 「透明性の高い経営」については、2022年3月より監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行し、過半数が社外取締役で構成される監査等委員会が業務執行の適法性、妥当性の監査・監督を担うことで、ステークホルダーの期待により応えうる体制の定着に取り組んでいます。

 「人的資本」に関する戦略としては、「成長事業を創出する人財の確保」「経営・マネジメント人財の確保」といった当社グループが必要とする人財育成に取り組んでいます。2024年10月には人事担当部署である人事グループの人員を増員、課題解決に向けた取り組みを強化しています。具体的には、新たに社員の自律的・計画的なキャリア開発を促す施策として、CDF((Career Development Framework)の構築に着手しました。また、社員が会社と共に成長するモチベーションとチャレンジマインドを高めるために、エンゲージメント施策の一環として、2024年5月に続き、2025年5月にも譲渡制限付きの自社株式を当社グループ全社員に支給します。中長期的な取り組みとしては、取締役会の下に設置した指名・報酬委員会がポスト中期経営計画を見据えた次期経営幹部候補の選任と育成に関する基本方針を策定の上、代表取締役社長を委員長とする「人財委員会」が具体的な育成計画を立案・ローリングしております。また、働きやすい社内環境の整備については、老朽化した設備の更新や社員間のコミュニケーションを促進する快適な空間づくりを順次進めています。

 

(3)リスク管理

 サステナビリティに関するリスク及び機会を識別・評価し、管理するプロセスとしては、年次ベースで実施する中期経営計画のローリングを通して、当社グループを取り巻く社会的視点・動向や市場の変化をレビューし、必要により中期経営計画や短期経営計画を適切に見直すこととしています。これらの見直しは、取締役会や業務執行を担う事業戦略会議で報告され、その適時性・妥当性を検証した上で、年次の部門別実行計画とグループ全社員の目標管理に落とし込むことで、実効性の確保に取り組んでいます。

 「環境マネジメントシステム」においては、年次ベースで環境影響評価を実施し、リスク度合いに応じて必要な対策を実行しています。

 

(4)指標及び目標

 温室効果ガスが地球環境に与える影響を低減させるべく、世界的に脱炭素社会の実現に向けた取組みが進められており、日本政府も2030年には温室効果ガスを2013年比46%削減、2050年にカーボンニュートラルの達成を目標としています。

 当社グループでは、製品開発やサービス提供等の事業活動を通じて環境負荷の低減に取り組んでおり、2024年からは、温室効果ガス排出量(Scope1、2)の算定をしております。当社グループの2024年度の温室効果ガス排出量(Scope1+2)は331トンとなりました。

 今後は、省エネの推進や再生可能エネルギーの導入などにより、2030年に温室効果ガス排出量を2024年比で50%削減、そして2050年にカーボンニュートラルの達成を目指してまいります。なお、具体的な取り組み内容は、当社ウェブサイトに今後掲載予定です。

 

 2024年度温室効果ガス排出量実績と2030年度目標値

区分

2024年度実績

2030年度目標

Scope1

79 t-CO2

Scope2

252 t-CO2

合計(Scope1+2)

331 t-CO2

165 t-CO2

 注1 提出会社および連結子会社を算定対象としています。

 注2 Scope2はマーケット基準を採用しています。

 

 (図1)GHG削減目標イメージ

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 (図2)カーボンニュートラルに向けたロードマップ

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 今後とも大きく変化していく社会に適応して、当社グループの価値を提供し続けるためには、多様な人財によって活性化した組織風土を創り上げなければなりません。そのためには、性別等に関係なく、社員一人ひとりがエンゲージメントを高めつつ、生活の充実・働きやすさと仕事の成果をバランスさせるための環境整備や制度設計が必要であると考えています。

 多様な人財を確保するために、性別、国籍、キャリア等に関わらず門戸を開いており、管理職についても何ら制約を設けることなく、適性を見て登用しております。しかし、現時点では、女性の管理職比率が6.1%にとどまっているため、女性登用の母集団を増やすため育児・介護制度の拡充を進めています。現在、人的資本経営の向上に向けた、人事制度の見直しの検討を進めています。具体的な指標・目標の設定には至っていませんが、2026年度からの次期中期経営計画には折り込み、取組みを加速していきます。

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開、業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは下記の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、下記の項目は当社株式への投資に関するリスクの全てを網羅するものではありません。

 

① 製品に関するリスク

 当社グループの製品はバス事業者の運賃収受に係るため高い信頼性が求められており、製品の開発及び製造にあたっては品質の担保を最重要課題と捉えております。そのため、品質管理の専門部署により品質の管理を徹底するとともに、製品品質の確約を目標とした「品質保証」を実現する取組みを進めております。しかし、予期しない事象が発生した場合、改修費用の発生等により当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 開発管理に関するリスク

 当社グループは非接触ICカードシステムを含めた運賃収受システム全体を一括で受注していることから、大型案件の開発については各プロジェクト毎に開発の進捗状況を管理し、また開発・製造工程を中心とした各プロセスの改善・効率化に努めております。しかし、内的要因又は外的要因により予期しない事象が発生した場合、製品開発の遅延、納期の遅延及び追加開発費用の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 人材に関するリスク

 当社グループでは優秀な人材の確保及び育成に努めておりますが、計画通りに人材の確保及び育成が進まない場合、製品開発及び製造のノウハウが受け継がれず当社グループの技術力が低下する可能性があります。

 

④ 事業内容に関するリスク

 当社グループは経済情勢及び市場動向等を勘案しつつ綿密に予算を作成しておりますが、景況、燃料価格の変動、バス利用者の増減及びバス事業者に対する補助金制度の見直し等によりバス事業者の設備投資計画に変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新紙幣・新硬貨の流通、消費税率の変更による運賃改定及び非接触ICカードシステムの一斉導入・更新等により、一時的に特需が発生することがあります。この場合、当該特需の発生前と終束後では、当社グループの業績及び財務状況が大きく変動する可能性があります。

 加えて、当社グループの中期経営計画の達成に向けてリスクを早急に感知し、コントロールする体制の構築が不可欠となります。これら体制を適切に構築できない場合、売上高及び利益の減少、当社シェアの大幅な低下、信用の失墜等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 販売環境に関するリスク

 公営のバス事業者からの受注は競争入札制度で行われるため、入札価格の低下又は競合他社の落札により当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。また、民間のバス事業者においても競合他社との価格競争が激化した場合、売上高が減少し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、バス事業者が運賃箱及び精算装置等の機器について一斉更新を実施した場合、特定の販売先に売上高が集中することになります。受注獲得状況によっては、特定の販売先に対する売上高の増減が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 訴訟に関するリスク

 当社グループでは製品開発の各段階で知的財産の調査を実施しておりますが、他者の知的財産権を侵害した場合には、訴訟に発展する可能性があります。また、予期しない事象により当社製品に関する損害賠償が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 情報システムに関するリスク

 当社グループでは情報システムが適切に運用されるよう運用状況を常時監視するとともに、サイバーリスクの発生を防ぐべく、ハード面及びソフト面ともに対策を講じております。しかし、コンピュータウイルスの感染及びサイバーテロ等により想定を超える事態が発生した場合、情報システムの停止及び機密情報の流出等が発生する虞があり、当社グループの事業運営に支障が発生するとともに、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 自然災害に関するリスク

 当社グループでは地震及び台風等の大規模災害発生時に向けて、「事業継続計画(BCP)」を策定しております。しかし、設備の復旧に伴う費用の発生若しくは生産能力の縮小に伴う売上高の減少等、大規模災害の発生時には当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 減損処理の影響

 当社グループでは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形固定資産や繰延税金資産等を計上しております。これらの資産については、今後の業績計画との乖離や時価の下落等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出せない場合には、のれんの減損の発生及び繰延税金資産の取崩し等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用や所得環境の改善により、緩やかな回復基調で推移して参りました。一方でエネルギー価格の高止まり、物価の上昇、人手不足など、引き続き先行きの不透明な状況が続いております。

 当社グループ製品の主要市場である路線バス業界においては、少子高齢化や深刻化する運転士不足など多くの課題を抱えているものの、運賃改定やキャッシュレス対応の加速、DX推進といった課題解決に向けた取組みにより、バス事業者の設備投資は徐々に回復を見せてきました。

 このような状況のもとで当社グループは、新紙幣関連での機器更新やキャッシュレスに対応したマルチ決済端末導入等の需要取り込みに努め、納入を進めてきました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,110,019千円(前期比55.5%増)、営業利益は390,225千円(前期比86.6%増)、経常利益は382,348千円(前期比72.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は293,396千円(前期比53.1%増)となりました。

 

(運賃収受機器事業)
 運賃収受機器事業においては、路線バス及びワンマン鉄道車両での運賃収受機器等の設計、開発、製造、販売及びメンテナンスサービスを展開しております。
 当事業における売上高は5,549,074千円(前期比58.4%増)、営業利益は223,114千円(前期比17.5%増)となりました。新紙幣発行に伴う機器更新需要の取込みや堅調なキャッシュレス決済端末のニーズを受け、増収増益となりました。

 

(システム開発事業)

 システム開発事業においては主に交通系インフラ案件、ETC関連開発案件及びその他社会インフラ系案件のシステム開発、エンジニアリング、ソフトウエア設計並びにシステム及び機器の輸出入販売を展開しております。

 当事業における売上高は1,071,583千円(前期比14.7%増)、営業利益は95,263千円(前期比27.8%増)となりました。グループ外への売上が増加したことから、増収増益となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ230,723千円増加し(前期は399,134千円の増加)、2,549,143千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動に使用した資金は1,140,154千円(前期は1,052,575千円の支出)となりました。これは主に、棚卸資産の増加2,225,181千円により資金が減少いたしましたが、売上債権の減少347,145千円及びその他の負債の増加302,400千円により資金が増加したものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は144,491千円(前期は56,319千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出106,695千円、無形固定資産の取得による支出35,378千円により資金が減少したものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動で獲得した資金は1,515,369千円(前期は1,508,029千円の獲得)となりました。これは主に、短期借入金の増加1,630,000千円により資金が増加いたしましたが、長期借入金の返済による支出31,330千円及び配当金の支払額81,815千円により資金が減少したものであります。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

品目

金額(千円)

前年同期比(%)

運賃収受機器事業

6,265,957

179.2

システム開発事業

794,825

201.6

合計

7,060,782

181.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

(2)受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

品目

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

運賃収受機器事業

4,459,601

64.4

4,290,496

79.7

システム開発事業

566,182

110.6

143,408

103.8

合計

5,025,784

67.6

4,433,904

80.4

(注)金額は販売価格によっております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

品目

金額(千円)

前年同期比(%)

運賃収受機器事業

5,549,074

158.4

システム開発事業

560,944

131.3

合計

6,110,019

155.5

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

当連結会計年度

(自 2024年1月1日

至 2024年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

茨城交通株式会社

737,818

18.8

新和商事株式会社

458,853

11.7

株式会社神奈中商事

1,119,822

18.3

2.前連結会計年度及び当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行っております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

① 資産

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,172,862千円増加し、8,647,680千円となりました。これは主に、商品及び製品が1,301,486千円、仕掛品が676,244千円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて8,218千円増加し、1,203,825千円となりました。これは主に、投資有価証券が52,761千円減少した一方で、建物及び構築物が20,223千円、繰延税金資産が43,614千円増加したことによるものであります。

 

② 負債

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて2,014,947千円増加し、5,417,510千円となりました。これは主に、短期借入金が1,630,000千円増加したことによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べて33,509千円減少し、294,653千円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が16,139千円減少したことによるものであります。

 

③ 純資産

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて199,642千円増加し、4,139,342千円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が38,119千円減少した一方で、利益剰余金が211,608千円増加したことによるものであります。

 

(3)経営成績の分析

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は6,110,019千円(前期比55.5%増)となりました。これは、新紙幣発行を契機とした、運賃収受機器更新需要やキャッシュレス決済端末需要を取込めたことによるものです。

 

② 売上総利益

 当連結会計年度の売上総利益は2,064,043千円(前期比39.3%増)となりました。これは、売上高が増加したことにより、売上高総利益も増加したものです。

 

③ 経常利益

 当連結会計年度の経常利益は382,348千円(前期比72.8%増)となりました。これは、売上高の増加を主因とした売上総利益の増益によるものであります。

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は293,396千円(前期比53.1%増)となりました。これは、売上高の増加を主因とした経常利益の増益によるものであります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりであります。

 

2023年12月期

2024年12月期

自己資本比率(%)

51.4

42.0

時価ベースの自己資本比率(%)

43.6

39.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

4.キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。

 

②資金需要

 当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。

 運転資金需要のうち主なものは当社グループの運賃収受機器事業に関わる材料仕入、外注費及び製造費、システム開発事業に関わるシステム開発費、共通するものとして販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、固定資産購入によるものであります。

 

③財務政策

 当社グループは、事業活動のため適切な資金調達、適切な流動性の維持及び財務構造の安定化を図ることを財務方針としており、必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、原則自己資金及び金融機関からの借入により調達することとしております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

(1)研究開発活動

 当社グループにおける研究開発活動は、これまでのバスの省エネルギー化の一環として、バス小型化に対応する「省資源化」、少子化及び高齢化に対応した「省力化」に加えて、DXの進化に伴う「データ利活用」による「ユーザーへの貢献」及びバス利用客への「サービス向上」を基本方針としており、当該方針に則って製品の開発、改良を進めております。また、新たな事業創出に向けた技術強化や商材開発も進めております。

 研究開発活動は、当社の技術部門が担当し、新製品・新技術の開発に取り組んでおります。当連結会計年度における当社グループの研究開発費の金額は、162,142千円となりました。また、研究開発費については、セグメント別に関連付けることが困難であるため、その総額を記載しております。

 

(2)研究開発の体制

 研究開発の体制として、公共交通事業環境の変化および新技術に適応する新たな価値を創造するため、営業部門と技術部門からなる社内プロジェクト体制を構築してマーケティング活動および商材企画を行っております。商材開発に必要な技術開発については、技術部を中心に、グループ会社のソタシステムおよびアズマと連携し、各部門の開発経験を活かしつつ、効果的かつ効率的に計画から開発、ユーザー環境での実証実験等による評価までを行い、新たな価値創造に取り組んでおります。