第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 「大幸薬品は『自立』『共生』『創造』を基本理念とし、世界のお客様に健康という大きな幸せを提供します。」という企業理念を実現するに当たり、「健康社会の『ないと困る』を追求する。」をスローガンとして掲げすべての企業活動の指針としております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは事業の持続的成長を図る観点より、売上高及び営業利益の成長性を重視しております。また、資本の効率化による株主利益の最大化を目指し、自己資本利益率(ROE)も重視しております。

 

(3) 経営環境、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 医薬品事業

 国内市場におきましては、人口の高齢化等に伴い医療費の高騰が社会問題化する中で、セルフケアとしてのセルフメディケーションの推進に期待が高まることにより、一般用医薬品の重要性が再認識されつつあります。当社の主力製品が属する止瀉薬市場につきましては、多数のメーカーが競合する厳しい競争環境下にあり、国内人口の減少による市場規模の縮小等の脅威にさらされております。また、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」は他社においても同一又は類似した名称での販売が行われており、消費者が当社製品と誤認して購入する可能性があります。なお、市場シェアにつきましては、当社製品は47.7%となっております(出所:株式会社インテージ)。

 このような環境の中、当社グループは古き良き伝統薬を時代に合わせた形で提供し続けていくことが重要なテーマであると考えております。当社製品は主に大手医薬品卸売業者を通じ、全国の薬局やドラッグストア等において広く消費者に販売されております。新製品・リニューアル品の発売の際には、これら販売網を通じ迅速に消費者へアプローチできる体制となっております。

 顧客基盤の強化につきましては、減少傾向にある既存顧客の維持拡大に向け再度ポジショニングを明確化し、わかりやすいストーリーにして伝達するとともに、製品理解の促進及び使用用途の深耕を図ることによって、他社の類似品との差別化を図りシェア向上を目指してまいります。さらに、ドラッグストアを中心とする既存市場へ新製品を投入していくとともに、新規市場開拓も行ってまいります。

 

 海外市場におきましては、主要市場である中国本土、香港、台湾を含むアジア地域における所得水準の向上等に伴う潜在的な消費需要の拡大が見込まれています。また、海外市場においては、安全性、信頼性、高品質性等から日本製品は高く評価されており、当社製品に対する需要拡大の可能性も見込まれます。

 このような環境の中、国内において蓄積した経験・ノウハウ等を活かし、当社の主力製品「正露丸」、「セイロガン糖衣A」を世界に広めてまいります。当社製品は主に現地の販売代理店を通じ、小売店等で消費者に販売されておりますが、新たに設立予定の中国(深圳)、台湾の子会社において営業・マーケティング体制を整備し、現地の販売代理店との連携を強化し、顧客の維持拡大に向けた販売体制を強化してまいります。

 

 なお、足元における国内外の市場環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、国内ではインバウンド関連の需要が低下し、海外では中国本土や香港を中心とした、消費の冷え込みによる需要低下が危惧される状況にあります。このような環境下におきましても、上記の方針に基づき、長期的に国内外の潜在需要を喚起することに注力してまいります。

 

② 感染管理事業

 感染管理事業におきましては、様々な感染症の発生と脅威に伴い医療分野のみならず生活に関わるすべての分野において、世界的に感染予防と衛生管理に対する関心と需要が高まりつつあります。さらに、足元においては、新型コロナウイルスの世界的な流行により、除菌市場が急拡大しております。

 このような環境の中、当社グループは、濃度長期保持型二酸化塩素ガス溶存液や低濃度二酸化塩素ガス関連製品等の特許技術を用いた製品を販売するとともに、二酸化塩素の基礎研究及び製品の安全性と有効性の研究データを蓄積することにより、他社との差別化を図り世界に先駆けて物体・空間除菌市場を創造してまいりました。

 国内市場におきましては、一般用製品は、当社製品は医薬品事業で確立された販売チャネルをベースとして、主に大手医薬品卸売業者を通じ、全国の薬局、ドラッグストア、スーパー等において広く消費者に販売されております。新製品・リニューアル品の発売の際には、これら販売網を通じ迅速に消費者へアプローチできる体制となっております。

 顧客基盤の強化につきましては、インフルエンザ等への感染に対し最も意識が高い層を明確なターゲットとし、コミュニケーションを効率化するとともに、製品及びパッケージデザインの見直しや新製品開発、新たな使用用途及び使用機会の提案等により、「クレベリン」ブランドの認知向上を図りさらなる市場拡大に努めてまいります。また、新ブランド「クレベ&アンド」を立ち上げ、より幅広い生活シーンに対応した除菌製品を拡充し、新規顧客の獲得と定着化を図ってまいります。

 業務用製品につきましては、「クレベリン」、低濃度二酸化塩素ガス発生装置である「クレベリン発生機」、「クレベリン LED」等を医薬品卸売業者、販売代理店を通じ、一般企業、医療施設、老健施設、家電量販店等の顧客に販売しております。「車両用クレベリン」のようにパートナー企業との共同製品開発も行っており、今後もさらなる顧客基盤の強化を図ってまいります。

 

 海外市場におきましては、当社製品は主に現地の販売代理店を通じ、小売店やEC等で消費者に販売されております。世界的な感染予防意識の高まりを背景にさらなる潜在需要が見込まれることから、新たに設立予定の中国(深圳)、台湾の子会社を拠点とした拡販を目指すとともに、その他の国・地域に対してもアプローチを強化し、顧客基盤を確立してまいります。

 

 なお、中長期的には、様々な研究機関との共同研究をはじめ、知的財産のさらなる蓄積、新たな許認可の取得及び新たな技術開発をしていくとともに、新製品・サービスの企画、販売、マーケティング等に関する国内外のパートナー企業とのアライアンスも積極的に活用し飛躍的な成長を図ってまいります。

 

③ 生産体制、経営システムに係る課題

 生産体制につきましては、成長を支えるための体制強化を図るべく、京都工場・研究開発センターにおいて2021年度に医薬品事業を本格稼働させることにより生産活動の拡大と生産性の向上を図ってまいります。また、感染管理事業においては、足元の新型コロナウイルスによる需要に応えるとともに、今後の市場成長に伴う需要の大幅な拡大に備え、生産能力の増強等を急務として実施してまいります。

 さらに、意思決定メカニズムと経営管理システムを洗練させ、経営の健全性と透明性を確保するとともに成長の源泉となる人材の採用・育成と組織力を強化してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。当社グループでは、これらリスク顕在化の未然防止及びリスク顕在化の最小化のための対策を講じるよう努めております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特定製品への依存及び生産拠点の集中について

 当社グループにおける売上高の大半が「クレベリン 置き型」、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」によって構成されております。当該製品の製造につきましては、培ってきたノウハウをもとに万全の品質管理・品質保証体制をもって臨んでおりますが、万一品質等に問題が発生した場合には販売中止・回収を余儀なくされることも考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、感染管理事業においては、既に立ち上げております新ブランド「クレベ&アンド」のように、除菌製品のラインナップを拡充し販売促進していくことにより、特定製品への依存度を下げてまいります。

 また、当該製品の製造について、現状は代替拠点を持たないために、各工場の所在する地域において地震等の災害発生や新型コロナウイルスのような感染症が蔓延した場合にはこれらの製品の供給が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、一時的に生産を請け負ってもらえる外部の協力先の確保を進めており、また、将来的には複数拠点での製品製造も検討してまいります。

 

(2)特定取引先への依存について

 当社グループの売上高のうち、国内においてはアルフレッサヘルスケア㈱、㈱大木、㈱PALTAC、海外では香港の一徳貿易有限公司の上位4社への売上高が当連結会計年度において全体の約77%と大きな割合を占めております。これら取引先の経営施策や取引方針の変化、財政状態の悪化等により、販売機会の一時的な喪失等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、取引先の状況を早期に把握できるよう定期的に与信調査等の顧客管理を実施しており、また、新規取引先や新規販売チャネルの開拓も継続して検討してまいります。

 

(3)海外事業展開に伴うリスク

 当社グループは、中国本土・香港・台湾を中心とする海外市場において、従来より「正露丸」、「セイロガン糖衣A」等の販売をしており、近年では「クレベリン」等の販売も進めております。その結果、海外市場における売上高は当連結会計年度において約14%を占めております。また、中国(深圳)、台湾に新たに子会社を設立し、医薬品事業及び感染管理事業の営業・マーケティング体制等をさらに強化することも計画しております。当該地域における政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、競合企業、為替、その他様々なカントリーリスク等による予想し得ない事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、海外市場の各地域におけるリスク情報を継続的に収集し対応策を検討するとともに、さらなる地域への事業展開については慎重かつ迅速に行ってまいります。

 

(4)類似品の存在について

 当社グループが製造・販売しております「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」は、他社においても同一又は類似した名称で製造・販売が行われております。このため、当社グループが製造・販売しております製品と類似した商品が市場には多数存在しており、特に類似したパッケージの場合には消費者が当社グループの製品と誤認して購入する可能性が否定できません。また、感染管理事業における主要製品である「クレベリン」についても他社から類似品の製造・販売が行われており、消費者が当社グループの製品と誤認して購入する可能性が否定できません。

 さらには、これらの類似品において品質問題等が発生した場合には、当社グループの製品のイメージダウン及び予期せぬ風評被害が発生する可能性も否定できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、さらなるブランド力の強化、継続的な新製品の市場投入、エビデンスの蓄積・公表等により、類似品との差別化を図り消費者の当社製品への理解が深まるような事業活動を継続してまいります。

(5)急激な需要の変化等に関するリスク

 感染管理事業においては、衛生管理製品を市場に提供していくために二酸化塩素ガス特許技術を応用した製品等の企画・開発・販売を進めております。そのため、当該事業は感染対策を中心とした市場環境に影響を受け、新型コロナウイルス等の感染症の流行拡大及び予防意識の動向等によっては、製品の需要に急激な変化が生じます。想定以上の需要の変化が生じた場合には、一時的な製品供給不足や過剰生産に陥る可能性があり、その結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、短期的には製造設備の一部強化・製造時間の延長や外注先の利用等により生産能力を増強してまいります。また、長期的には製造拠点の複数化等により、急激な需要の変化に柔軟に応じられる生産体制を確立してまいります。

 

(6)原材料価格及び調達に関するリスク

 当社グループは、原材料等について急激に価格が高騰した場合、あるいは一部の原材料等について供給が滞り、代替の調達先が確保できない場合には、製品の利益率の悪化や機会損失の発生により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に伴う急激な需要増加により、資材の供給が不足気味となっており機会損失が生じております。こうしたリスクへの対応策として、複数の仕入先の確保、供給能力の高い仕入先との取引等により供給体制強化・安定化を図ってまいります。

 

(7)製造物責任に関するリスク

 当社グループの製品については、品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めておりますが、予期せぬ事情により大規模なリコールや生産物賠償責任につながるような大きな品質問題が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、当社に起因する生産物責任における損害賠償に備えた適切な保険に加入しております。

 

(8)競合に関するリスク

 医薬品事業における「正露丸」、「セイロガン糖衣A」を中心とする当社グループの製品について認知率と市場シェアをより高めるためのマーケティング施策を実施しており、その結果安定的な収益の獲得が出来ております。 また、感染管理事業における「クレベリン」等の製品については、当社の有する特許技術や蓄積されたエビデンス等が他社にとって高い参入障壁となっており、競合の数が限定的となっております。しかし、他社の優れた製品の出現や競合品の価格引き下げが行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、ブランド力の一層の強化、継続的な新製品の市場投入、さらなるエビデンスの蓄積・公表等により、当社の競争力を高めてまいります。

 

(9)知的財産権に関するリスク

 当社グループの感染管理事業における製品は、関連特許により国内を中心に一定の範囲・期間保護されております。しかし、当社グループの保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社グループの自社製品が意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合には、その第三者から損害賠償を請求される可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、当社グループでは、保有する知的財産権を管理し、新たな知的財産権の取得について適切な契約の締結・管理を行い、第三者の知的財産権を侵害する恐れがある場合には、事前に専門家を利用した調査・情報収集等を行っております。

 

(10)法的規制等に関するリスク

 当社グループの属する医薬品事業は、国内市場においては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という。)等関連法規、また、中国本土・香港・台湾を中心とする海外市場においても同等の法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、予期しない法令違反等によりその許認可等が取り消された場合や何等かの事由により許認可等の更新が出来なかった場合には、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、各種政策の効果による雇用・所得環境の改善等から景気は緩やかな回復基調となったものの、1月以降の新型コロナウイルスの感染拡大により世界経済の停滞が懸念される等、先行き不透明な状況で推移しました。

 

 この様な状況の下、当社グループの連結経営成績は、以下の通りとなりました。

 

 当連結会計年度の経営成績につきましては売上高14,966百万円(対前連結会計年度比43.6%増)、営業利益3,824百万円(同88.4%増)、経常利益3,633百万円(同92.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,453百万円(同73.3%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績につきましては以下の通りであります。

 

(医薬品事業)

 医薬品事業は5,646百万円(同1.9%増)の売上高となりました。

 国内向けの売上高は3,754百万円(同1.3%増)、海外向けの売上高は1,891百万円(同3.0%増)となりました。セグメント損益は1,693百万円(同10.9%減)となりました。

 

(感染管理事業)

 感染管理事業は9,312百万円(同91.5%増)の売上高となりました。

 国内一般用製品の売上高は7,211百万円(同93.4%増)、国内業務用製品の売上高は1,853百万円(同71.2%増)、海外向けの売上高は246百万円(同389.6%増)となりました。セグメント損益は3,482百万円(同164.7%増)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業は7百万円(同44.1%減)の売上高となりました。セグメント損益は36百万円の損失(前連結会計年度は34百万円の損失)となりました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は25,473百万円(前連結会計年度末比3,873百万円増)となりました。また、負債合計は6,099百万円(同1,985百万円増)、純資産合計は19,373百万円(同1,888百万円増)となりました。前連結会計年度末からの主な変動要因は、現金及び預金の増加、受取手形及び売掛金の増加等による流動資産4,012百万円の増加と、未払法人税等の増加、支払手形及び買掛金の増加等による流動負債1,968百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益計上による利益剰余金増加等による純資産1,888百万円の増加であります。なお、自己資本比率は前連結会計年度末から4.8ポイント減少し、76.0%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)が前連結会計年度末より2,453百万円増加し、当連結会計年度末残高は9,645百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りになります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は3,493百万円(前連結会計年度は1,748百万円の獲得)となりました。主に売上債権の増加額776百万円、法人税等の支払額724百万円等の減少要因の一方で、税金等調整前当期純利益3,504百万円、減価償却費495百万円、仕入債務の増加494百万円、賞与引当金の増加271百万円、未払金の増加270百万円の増加要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は448百万円(前連結会計年度は746百万円の使用)となりました。主に定期預金の預入による支出262百万円、有形固定資産の取得による支出157百万円、無形固定資産の取得による支出62百万円等の減少要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は581百万円(前連結会計年度は338百万円の使用)となりました。主に株式の発行による収入486百万円の増加要因の一方で、自己株式の取得による支出540百万円、配当金の支払額499百万円等の減少要因によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(千円)

5,903,037

105.6

感染管理事業

(千円)

10,291,539

206.4

その他事業

(千円)

7,875

51.2

合計

(千円)

16,202,452

153.0

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(千円)

106,030

317.7

感染管理事業

(千円)

334,739

その他事業

(千円)

合計

(千円)

440,769

1,320.5

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.感染管理事業の増加につきましては、当連結会計年度より「クレベ&アンド」の販売を開始したことによるものであります。

 

c.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(千円)

5,646,327

101.9

感染管理事業

(千円)

9,312,079

191.5

その他事業

(千円)

7,758

55.9

合計

(千円)

14,966,165

143.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アルフレッサヘルスケア㈱

4,232,075

40.6

6,088,617

40.7

㈱大木

1,409,551

13.5

2,175,502

14.5

㈱PALTAC

1,168,051

11.2

1,775,736

11.9

一徳貿易有限公司

1,442,120

13.8

1,457,900

9.7

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ 経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高につきましては、主に感染管理事業の大幅な増収により14,966百万円(対前連結会計年度比43.6%増)となりました。売上総利益につきましては、増収影響等から10,578百万円(同47.7%増)となりました。なお、前期は感染管理事業における製品リニューアルに伴う旧デザインの返品増加等があったことにより、売上総利益率は2.0ポイント改善し70.7%となりました。

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきましては、マーケティング強化に伴う販売費の増加等により6,753百万円(同31.6%増)となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の営業利益につきましては3,824百万円(同88.4%増)となりました。経常利益につきましては3,633百万円(同92.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては2,453百万円(同73.3%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の自己資本利益率(ROE)につきましては、13.3%(同4.9ポイント増)となりました。

 セグメント別の経営成績につきましては以下の通りであります。

 

(医薬品事業)

 医薬品事業につきましては5,646百万円(同1.9%増)の売上高となりました。

 国内向けの売上高につきましては、「セイロガン糖衣A」が堅調に推移したこと等により3,754百万円(同1.3%増)となりました。また、リニューアルした「ピシャット下痢止めOD錠」も増収に寄与しました。

 海外向けの売上高につきましては、全般的に堅調に推移し1,891百万円(同3.0%増)となりました。

 セグメント損益につきましては、TVCM等の販売費の増加の影響により1,693百万円(同10.9%減)となりました。

 

(感染管理事業)

 感染管理事業につきましては9,312百万円(同91.5%増)の売上高となりました。

 売上高につきましては、第3四半期連結累計期間において好調に推移したことに加え、1月以降の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費者の予防意識の高まり等から需要が急増し、通期でも大幅な増加となりました。

 国内一般用製品の売上高につきましては、前期より開始したマーケティング戦略によるブランド力アップを背景に「クレベリン 置き型」を中心に好調に推移し、新ブランド「クレベ&アンド」の製品を発売したことに加え1月以降の需要急増により7,211百万円(同93.4%増)となりました。

 国内業務用製品の売上高につきましては、オフィス向けの需要が好調に推移したことに加え1月以降の需要急増により1,853百万円(同71.2%増)となりました。

 海外向けの売上高につきましては、台湾市場向けを中心に堅調に推移したことに加え1月以降の需要急増により246百万円(同389.6%増)となりました。

 セグメント損益につきましては、上記の売上高の大幅な増加により3,482百万円(同164.7%増)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業につきましては、主に木酢液を配合した入浴液や園芸用木酢液等の製造販売を行っております。売上高は7百万円(同44.1%減)、セグメント損益は36百万円の損失(前連結会計年度は34百万円の損失)となりました。

 

ⅱ 財政状態の分析

 詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。

 

ⅲ 経営成績等に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因としましては、以下のようなものがあります。

イ.特定製品への依存

 当社グループにおける売上高の大半が「クレベリン 置き型」、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」によって構成されており、万一品質等に問題が発生した場合には、販売中止・回収を余儀なくされることも考えられ、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、当社グループでは、様々な研究機関との共同研究をはじめ、知的財産のさらなる蓄積、新たな許認可の取得及び新たな技術開発をしていくとともに、新製品・サービスの企画、販売、マーケティング等に関する国内外のパートナー企業とのアライアンスも積極的に活用することで、さらなる商品ラインナップの充実を図ってまいります。

 

ロ.国内市場規模の縮小

 当社グループは日本国内を主要な販売地域のひとつとしているため、国内人口の減少等による市場規模の縮小の脅威にさらされており、今後国内市場の需要減少等により当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、医薬品事業につきましては国内では市場の維持拡大に向けて新製品開発及び新規市場の開拓も行うとともに、海外では当社製品への潜在的需要が拡大しているアジア諸国において市場の開拓を強化してまいります。

 一方、感染管理事業につきましては世界的に感染予防と衛生管理への関心が高まりつつあることから、国内ではさらに積極的な新製品の企画・販売を行うとともに、海外では有力なパートナー企業とともに新規チャネルを開拓し売上拡大を目指してまいります。

 なお、2020年度においては中国(深圳)、台湾に新たに子会社を設立し、医薬品事業及び感染管理事業の営業・マーケティング体制等をさらに強化することを計画しております。

 

ハ.競合他社の存在

 当社グループは多数のメーカーが競合する厳しい競争環境にさらされており、今後他社による新たな製品開発及び競合品の価格引下げ等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、当社グループでは、マーケティング戦略を刷新し正露丸シリーズ及びクレベリンシリーズのブランディングを見直すとともに、製品理解の促進及び使用用途の深耕を図り競合他社との差別化を打ち出すことで市場シェア向上を目指してまいります。

 

ニ.急激な需要の変化等

 感染管理事業においては、感染対策を中心とした市場環境の影響を受け、感染症の流行及び予防意識の動向等によっては製品の需要に急激な変化が生じ、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、当社グループでは、感染症への感染に対し最も意識が高い層を明確なターゲットとしコミュニケーションの効率化を図り、新製品開発や新たな使用用途及び使用機会を提案していくこと、また、需要予測の精度を高め最適な生産・物流体制を目指していくこと等により、一般用、業務用ともに感染症の流行等に左右されない安定的な収益確保に努めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払い等によるものです。投資を目的とした資金需要は、企業価値の向上を図るための設備投資や研究開発等の投資等によるものです。

 運転資金及び投資資金については、主に自己資金により調達しております。

 なお、当連結会計年度末時点における長短借入金や社債等の残高はありません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下の通りであります。

 

ⅰ 固定資産の減損

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見

書」(企業会計審議会))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)

等を適用しております。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化及び市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

 

ⅱ 返品調整引当金

 当社グループは、販売した製商品の返品に備えるため、過去の返品実績率及び将来の販売計画等を考慮し、将来の返品に伴う損失見込額を返品調整引当金として計上しております。そのため、返品実績率の悪化及び市場環境の変化等により、繰入額の増額が必要となる可能性があります。

 

ⅲ 新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積り

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少なくとも一定期間続くとの仮定のもと会計上の見積りを行い、翌年度の連結財務諸表に与える影響は軽微であると考えております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、感染が再拡大した場合は翌連結会計年度の当グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは「自立」、「共生」、「創造」の基本理念を実践し、世界のお客様に健康という大きな幸せを提供することを使命と考え、生活者が健康で快適な生活を送るために必要とされる製品を提供すべく研究開発活動を行っております。

 現在の研究開発は主に当社の京都工場・研究開発センターにおいて、医薬品事業及び感染管理事業を中心に推進されております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次の通りであります。

 

(1)医薬品事業

 消化器管関連医薬品のスペシャリティ・ファーマとして、下痢のメカニズムの解明や、100有余年にわたり利用されてきた「正露丸」の主成分である日局木クレオソートについて、薬理薬効の研究を続けてまいりました。日局木クレオソートの有効性や安全性等の研究成果については、国内外の専門学術雑誌を中心に成果の発表を行うとともに、新規効能に対する研究を各大学と提携し進めてきました。さらに、健康サポート薬局に対応するエビデンスとして、日局木クレオソートと他の薬物との相互作用の研究を進めております。

 また、日局木クレオソートが腸内細菌に対して影響を及ぼさないことを臨床研究で検証して、その薬理作用は腸内の殺菌ではなく腸の蠕動運動や水分調節であることを示しました。日局木クレオソートを使用した薬剤の開発も行っており、その効果有効性を周知させるための薬剤の開発も行っております。

 さらに、日局木クレオソートの止瀉以外の有用性研究として、アニサキスに対する殺虫作用を検証して学会発表を行い、その作用機序の検証も進めております。

 

(2)感染管理事業

 二酸化塩素の基礎応用研究としましては、微生物に対する作用メカニズムの研究、各種ウイルス、細菌、真菌等に対する有効性の研究(二酸化塩素関連製品を用いた研究を含む。)、各種応用研究、安全性の研究を自社及び各研究機関と連携をとりながら進めております。これまで実施してきた多くの基礎研究をより高めるため、付着菌や浮遊菌への効果試験も継続して行っており、製品の信頼性を一層高めるよう努めております。

 また、大阪大学大学院医学研究科と空間環境感染制御学共同研究講座におきまして、二酸化塩素ガスの細胞レベルの安全性と細胞培養における有効性の検証として、ヒト臍帯由来間葉系幹細胞を用いた研究を行い、学会発表や論文発表を行いました。現在、iPS細胞を用いた研究を進めております。

 当連結会計年度より、順天堂大学大学院医学研究科に集団感染予防学共同研究講座を開設し、教育機関や医療空間の環境感染対策での二酸化塩素の有用性と応用について臨床的な検証を開始いたしました。

 一方、製品開発は、低濃度二酸化塩素ガス発生装置の開発を中心に、これまで測定することができなかった低濃度の二酸化塩素ガス濃度を測定できる検知器の開発や、その警報システムの開発を行うことで、装置事業のさらなる発展を進めております。加えて、二酸化塩素ガスの新規発生機構の開発を開始し、新規用途の新製品開発に着手しております。中でも、低濃度二酸化塩素ガス発生装置である「クレベリン発生機」に関しては、二酸化塩素ガス発生方法の研究開発を継続して展開しております。

 また、濃度長期保持型二酸化塩素ガス溶存液は、衛生製品として製造販売しておりますが、日本国内では動物用を視野に入れた研究開発活動を推進しております。

 その他、現在着手している研究開発活動は以下の通りであります。

・二酸化塩素の付着緑膿菌に対する殺菌効果の作用機序をさらに解明して学会発表しています。

・大阪大学大学院医学研究科の空間環境感染制御学共同研究講座で細胞培養における細胞に対する長期安全性検証結果を学会発表及び論文発表しています。

・安定した二酸化塩素ガスを発生させる装置の開発を行うことで、標準ガスを作り出すことが可能となり、多方面での活用用途が広がります。

・低濃度の二酸化塩素ガスを検知できる二酸化塩素濃度センサーを開発することで、低濃度二酸化塩素ガス濃度を検出することができ、信頼性と安全性が向上しお客様に最適な空間除菌を提供することが可能となり、感染管理事業の拡大が図れます。

・アライアンスを活用した製品開発にも着手しており、今後二酸化塩素製品の拡大が可能となります。

・開発した検知器を用い、実空間での実証試験や拡散・検証を行い製品の信頼性を高めております。

 

(3)その他事業

 木酢を使用した種子消毒製品の農薬開発に取り組んでおり、実使用に向けた現場試験も実施しております。

 

 なお、当連結会計年度における研究開発費をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

医薬品事業

84,184

感染管理事業

343,685

その他事業

21,510

合計

449,380