第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 「大幸薬品は『自立』『共生』『創造』を基本理念とし、世界のお客様に健康という大きな幸せを提供します。」という企業理念を実現するに当たり、「健康社会の『ないと困る』を追求する。」をスローガンとして掲げすべての企業活動の指針としております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは事業の持続的成長を図る観点より、売上高及び営業利益の成長性を重視しております。また、資本の効率化による株主利益の最大化を目指し、自己資本利益率(ROE)も重視しております。

 

(3) 経営環境、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 医薬品事業

 国内市場においては、人口の高齢化等に伴う医療費の高騰が社会問題化する中で、セルフケアとしてのセルフメディケーションの推進により、一般用医薬品の市場はさらに拡大するものと予測されます。一方で、当社の主力製品「正露丸」が属する止瀉薬市場は、多数のメーカーによる厳しい競争環境下にあり、国内人口の減少による市場規模の縮小等と相まって、当社製品のシェアは49.4%と5割を切っております<出所:株式会社インテージ>。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、インバウンド関連の需要消失のみならず、消費者の外出自粛やリモートワークの拡大等で、医薬品の利用機会の減少が続き、国内需要の縮小は当連結会計年度末時点においても復調の兆しが見られておりません。また、中国本土や香港を中心とした海外市場でも、国内同様の状況にあり、消費の冷え込みが改善しておりません。

 このような厳しい環境ではありますが、当社グループでは研究開発活動を継続し、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」の主成分「木クレオソート」の新たな知見と成果の探求に努めてまいります。近年では、「木クレオソート」がヒトの腸内細菌に対して作用しないことを臨床的に実証し、日本薬局方ではかつて「化学薬品等」の分類でありましたが、「生薬等」に改正されました。これを受けて一般薬承認基準(胃腸薬)でも同様に、「殺菌剤」から「生薬」に分類が改められました。さらには、アニサキス症に対する効果検証や、安全性として他のお薬との飲み合わせに対する影響の調査等、複数の研究も進めており、引き続き胃腸内環境改善による“健全な体内環境”を実現するための実績と信頼を培ってまいります。

 国内の顧客基盤強化策については、明確なポジショニングとわかりやすいストーリー展開で、若年層を中心とした新規ユーザーの製品理解の深耕に努め、市場シェア拡大を図ってまいります。

 海外市場においては、特に当社グループの主要市場である中国本土、香港、台湾を含むアジア地域で、所得水準の向上等に伴う潜在的な消費需要の拡大が見込まれています。また、日本製品は安全性、信頼性、高品質の点で高く評価されていることもあり、当社製品への需要拡大の期待が持たれます。引き続き、現地の販売代理店と連携を強化し、営業・マーケティング体制を整備し、国内で蓄積した経験・ノウハウ等を活かしながら、主力製品「正露丸」、「セイロガン糖衣A」の販売を強化してまいります。

② 感染管理事業

 感染管理事業においては、世界的な感染症による脅威により、医療・生活等に関わるあらゆる場面で、感染予防と衛生対策への重要性が高まっております。特に2019年末頃に確認された新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は未だ沈静化には至っておらず、衛生対策関連製品への需要は依然、高い状態が続いております。このような背景下、市場では様々な除菌製品が見られるようになり、競合する類似製品も顕著に増加しています。そのため、当社グループでは国内顧客基盤の強化策として、衛生意識の高い層に対し、自社の製品ブランド力を高める効果的なコミュニケーションを展開することが重要であると考えております。これまで、製品ラインナップの充実、パッケージデザインのリニューアル等に加え、伝わるメッセージにより製品への関心を高め、顧客接点を増やすことに注力してまいりました。引き続き、顧客ニーズを探しながら、新たな製品開発や用途提案を通じて、浮遊ウイルス関連特許を有する「クレベリン」ブランドの更なる認知向上に努めてまいります。

 また、当社グループは、これまで培ってきた二酸化塩素の基礎研究及び製品の安全性と有効性の研究データを蓄積することにより、世界に先駆けて物体・空間除菌市場を創造し、拡大してまいりました。

 現在、積極的に産学共同研究も進めており、2017年からは、大阪大学大学院医学研究科とは「空間環境感染制御学共同研究講座」を設け、低濃度二酸化塩素ガスによる空間除菌システムを中心に、再生医療分野での臨床試験に向けての研究を進めております。また、順天堂大学大学院医学研究科とは「集団感染予防学講座」を開設し、医療空間等での環境感染対策での二酸化塩素の有用性と応用について臨床的な検証も進めております。なお、新型コロナウイルスに対する二酸化塩素の有効性の検証を既に進めており、当連結会計年度においては、二酸化塩素分子がヒトの体内への感染を阻止するメカニズムを解明し、英文科学雑誌に発表しました。これからも、消費者の皆様の安心感の醸成が重要であると考え、研究開発活動に注力してまいります。

 海外市場につきましては、当社製品は主に現地の販売代理店を通じ、小売店やECサイト等で消費者に販売されております。世界的な感染予防意識の高まりを背景に、さらなる潜在需要が見込まれることから、中国、香港、台湾の子会社を拠点に現地での拡販を目指すとともに、シンガポール、マレーシアでも代理店を通じた販売を開始しました。また、欧米や中東、南米等の新規の国・地域に対するアプローチを強化するための子会社も設立しており、さらに顧客エリアを拡大してまいります。新型コロナウイルス感染症の世界的流行下においては、これまで国内で培ってきた感染管理のノウハウを活かし、海外の消費者にも当社製品の需要喚起、認知度向上を図ってまいります。

③ 生産体制、経営システムに係る課題

 生産体制につきましては、成長を支えるための体制強化を図るべく、京都工場・研究開発センターにおいて2021年度に医薬品事業を本格稼働させることにより生産活動の拡大と生産性の向上を図ってまいります。また、感染管理事業においては、昨年、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い衛生管理市場の需要が急拡大した際に、当社製品の供給が対応できず、必要な時期に必要とされる方々へお届けできなかった時期がありました。この反省を踏まえ、直ちに新たな工場を稼働させることにより、短期間で「クレベリン」の供給能力の大幅増強を実現しました。今後は、更なる需要の急拡大時に備え、サプライチェーンマネジメントの強化に取り組んでまいります。

 また当社グループでは、事業活動を通じて、環境・エネルギー問題や社会課題に対応していくことを経営課題のひとつに掲げております。世界では感染症やパンデミックの脅威、薬剤耐性(AMR)菌による院内感染等への対応が急務になっており、これら人類の脅威に対処していくためにも、当社グループが日本で培った「クレベリン」による「空間除菌」の概念を世界の人々の暮らしに浸透させ、衛生観念を文化として根付かせてまいります。また特に、感染症の流行下では室内空間の換気が推奨されますが、一方で空調等に係るエネルギーの消費が伴います。当社が提唱する低濃度二酸化塩素による「空間除菌」を普及させることで、脱炭素社会の実現にも寄与できればと考えております。

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。当社グループでは、これらリスク顕在化の未然防止及びリスク顕在化の最小化のための対策を講じるよう努めております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特定製品への依存について

 当社グループにおける売上高の大半が「クレベリン 置き型」、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」によって構成されております。当該製品の製造につきましては、培ってきたノウハウをもとに万全の品質管理・品質保証体制をもって臨んでおりますが、万一品質等に問題が発生した場合には販売中止・回収を余儀なくされることも考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、感染管理事業においては、既に立ち上げております新ブランド「クレベ&アンド」のように、除菌製品のラインナップを拡充し販売促進していくことにより、特定製品への依存度を下げてまいります。

 

(2)特定取引先への依存について

 当社グループの売上高のうち、国内においてはアルフレッサヘルスケア㈱、㈱大木、㈱PALTAC、海外では香港の一徳貿易有限公司の上位4社への売上高が当連結会計年度において全体の約76%と大きな割合を占めております。これら取引先の経営施策や取引方針の変化、財政状態の悪化等により、販売機会の一時的な喪失等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、取引先の状況を早期に把握できるよう定期的に与信調査等の顧客管理を実施しており、また、新規取引先や新規販売チャネルの開拓も継続して検討してまいります。

 

(3)海外事業展開に伴うリスク

 当社グループは、中国本土・香港・台湾を中心とする海外市場において、従来より「正露丸」、「セイロガン糖衣A」等の販売をしており、近年では「クレベリン」等の販売も進めております。また、中国(深圳)、台湾に新たに子会社を設立し、医薬品事業及び感染管理事業の営業・マーケティング体制等をさらに強化しております。当該地域における政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、競合企業、為替、その他様々なカントリーリスク等による予想し得ない事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、海外市場の各地域におけるリスク情報を継続的に収集し対応策を検討するとともに、さらなる地域への事業展開については慎重かつ迅速に行ってまいります。

 

(4)類似品の存在について

 当社グループが製造・販売しております「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」は、他社においても同一又は類似した名称で製造・販売が行われております。このため、当社グループが製造・販売しております製品と類似した商品が市場には多数存在しており、特に類似したパッケージの場合には消費者が当社グループの製品と誤認して購入する可能性が否定できません。また、感染管理事業における主要製品である「クレベリン」についても他社から類似品の製造・販売が行われており、消費者が当社グループの製品と誤認して購入する可能性が否定できません。

 さらには、これらの類似品において品質問題等が発生した場合には、当社グループの製品のイメージダウン及び予期せぬ風評被害が発生する可能性も否定できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、さらなるブランド力の強化、継続的な新製品の市場投入、エビデンスの蓄積・公表等により、類似品との差別化を図り消費者の当社製品への理解が深まるような事業活動を継続してまいります。

 

(5)急激な需要の変化等に関するリスク

 感染管理事業においては、衛生管理製品を市場に提供していくために二酸化塩素ガス特許技術を応用した製品等の企画・開発・販売を進めております。そのため、当該事業は感染対策を中心とした市場環境に影響を受け、新型コロナウイルス等の感染症の流行拡大及び予防意識の動向等によっては、製品の需要に急激な変化が生じます。想定以上の需要の変化が生じた場合には、一時的な製品供給不足や過剰生産に陥る可能性があり、その結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、急激な需要の変化に柔軟に応じられるサプライチェーンマネジメント体制の強化に取り組んでまいります。

(6)原材料価格及び調達に関するリスク

 当社グループは、原材料等について急激に価格が高騰した場合、あるいは一部の原材料等について供給が滞り、代替の調達先が確保できない場合には、製品の利益率の悪化や機会損失の発生により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、複数の仕入先の確保、供給能力の高い仕入先との取引等により供給体制強化・安定化を図ってまいります。

 

(7)製造物責任に関するリスク

 当社グループの製品については、品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めておりますが、予期せぬ事情により大規模なリコールや生産物賠償責任につながるような大きな品質問題が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、当社に起因する生産物責任における損害賠償に備えた適切な保険に加入しております。

 

(8)競合に関するリスク

 医薬品事業における「正露丸」、「セイロガン糖衣A」を中心とする当社グループの製品について認知率と市場シェアをより高めるためのマーケティング施策を実施しており、その結果安定的な収益の獲得が出来ております。 また、感染管理事業における「クレベリン」等の製品については、当社の有する特許技術や蓄積されたエビデンス等が他社にとって高い参入障壁となっており、競合の数が限定的となっております。しかし、他社の優れた製品の出現や競合品の価格引き下げが行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、ブランド力の一層の強化、継続的な新製品の市場投入、さらなるエビデンスの蓄積・公表等により、当社の競争力を高めてまいります。

 

(9)知的財産権に関するリスク

 当社グループの感染管理事業における製品は、関連特許により国内を中心に一定の範囲・期間保護されております。しかし、当社グループの保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社グループの自社製品が意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合には、その第三者から損害賠償を請求される可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、当社グループでは、保有する知的財産権を管理し、新たな知的財産権の取得について適切な契約の締結・管理を行い、第三者の知的財産権を侵害する恐れがある場合には、事前に専門家を利用した調査・情報収集等を行っております。

 

(10)法的規制等に関するリスク

 当社グループの属する医薬品事業は、国内市場においては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という。)等関連法規、また、中国本土・香港・台湾を中心とする海外市場においても同等の法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、予期しない法令違反等によりその許認可等が取り消された場合や何等かの事由により許認可等の更新が出来なかった場合には、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 経営成績の状況

 当社は、2020年6月26日開催の第74回定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されたことを受け、2020年度より決算日を3月31日から12月31日に変更致しました。このため、当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社並びに3月決算であった連結子会社は9ヵ月(2020年4月1日~2020年12月31日)、12月決算の連結子会社は12ヵ月(2020年1月1日~2020年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、対前期比については記載しておりません。

 

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い緊急事態宣言が発出されたこと等により、経済活動が大幅に抑制されました。緊急事態宣言解除後は段階的な経済活動の再開によって景気回復の兆しが見られたものの、秋頃から年末にかけて再び感染が拡大し始め、年明けには緊急事態宣言が再発出される等先行きが不透明な状況が継続しております。

 こうした中、当社グループは「世界のお客様に健康という大きな幸せを提供する」という企業理念のもと、特に衛生管理製品である「クレベリン」の安定供給に最大限努めるとともに、感染拡大防止に向け尽力される政府諸官庁や自治体、医療関係者の方々への衛生対策の支援として、当社製品の寄贈等も行ってまいりました。

また、「クレベリン」の主成分である二酸化塩素のウイルス・菌に対する安全性・有効性のエビデンスを蓄積する中で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するデータ取得等も行ってまいりました。

※「クレベリン」は日用雑貨品のため、特定ウイルス・菌、疾病等に対する効果・予防等を謳うことはできません。

 

 当連結会計年度の業績は、医薬品事業につきましては、新型コロナウイルスの影響を受け店頭消化が伸び悩んだことから国内・海外共に低調に推移した一方で、感染管理事業につきましては、消費者の衛生管理意識の高まりを受け、当社製品に対する需要は高い水準で推移しました。

 その結果、売上高は17,582百万円、営業利益は5,650百万円、経常利益は5,454百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,851百万円となりました。

 セグメント別の経営成績につきましては以下の通りであります。

 

(医薬品事業)

 医薬品事業は3,575百万円の売上高となりました。

 国内向けの売上高は2,534百万円、海外向けの売上高は1,040百万円となりました。セグメント利益は1,144百万円となりました。

 

(感染管理事業)

 感染管理事業は14,000百万円の売上高となりました。

 国内一般用製品の売上高は11,185百万円、国内業務用製品の売上高は2,265百万円、海外向けの売上高は549百万円となりました。セグメント利益は5,765百万円となりました。

 

(その他事業)

 その他事業は7百万円の売上高となりました。セグメント損失は61百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は31,757百万円(前連結会計年度末比6,283百万円増)となりました。また、負債合計は8,976百万円(同2,876百万円増)、純資産合計は22,781百万円(同3,407百万円増)となりました。前連結会計年度末からの主な変動要因は、売上高の増加に伴う受取手形及び売掛金の増加や需要増加に備えたたな卸資産の増加等による流動資産3,238百万円の増加、生産能力増強を目的とした有形固定資産の増加等による固定資産3,045百万円の増加、増産に伴う原材料資材等調達に起因した支払手形及び買掛金の増加等による負債2,876百万円の増加、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加による純資産3,407百万円の増加であります。なお、自己資本比率は前連結会計年度末から4.3ポイント減少の71.7%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)が前連結会計年度末より4,947百万円減少し、当連結会計年度末残高は、4,698百万円となりました。なお、当連結会計年度については、当社並びに3月決算であった連結子会社は9ヵ月(2020年4月1日~2020年12月31日)、12月決算の連結子会社は12ヵ月(2020年1月1日~2020年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、対前期比については記載しておりません。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果支出した資金は1,516百万円となりました。主には税金等調整前当期純利益5,374百万円、仕入債務の増加1,943百万円等の増加要因の一方で、たな卸資産の増加4,380百万円、売上債権の増加3,524百万円、法人税等の支払額1,419百万円等の減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は2,759百万円となりました。主には有形固定資産の取得による支出2,144百万円、投資有価証券の取得による支出500百万円等の減少要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は649百万円となりました。主には株式の発行による収入222百万円の増加要因に対し、配当金の支払額845百万円等の減少要因によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2020年12月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(千円)

4,434,503

感染管理事業

(千円)

25,058,015

その他事業

(千円)

6,733

合計

(千円)

29,499,252

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社並びに3月決算であった連結子会社は9ヵ月(2020年4月1日~2020年12月31日)、12月決算の連結子会社は12ヵ月(2020年1月1日~2020年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2020年12月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(千円)

9,431

感染管理事業

(千円)

1,386,706

その他事業

(千円)

合計

(千円)

1,396,138

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社並びに3月決算であった連結子会社は9ヵ月(2020年4月1日~2020年12月31日)、12月決算の連結子会社は12ヵ月(2020年1月1日~2020年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。

 

c.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2020年12月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(千円)

3,575,003

感染管理事業

(千円)

14,000,778

その他事業

(千円)

7,206

合計

(千円)

17,582,989

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社並びに3月決算であった連結子会社は9ヵ月(2020年4月1日~2020年12月31日)、12月決算の連結子会社は12ヵ月(2020年1月1日~2020年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2020年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

アルフレッサヘルスケア㈱

6,088,617

40.7

7,559,929

43.0

㈱大木

2,175,502

14.5

2,589,973

14.7

㈱PALTAC

1,775,736

11.9

2,448,822

13.9

4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は、2020年6月26日開催の第74回定時株主総会で「定款一部変更の件」が承認されたことを受け、2020年度より決算日を3月31日から12月31日に変更致しました。このため、当連結会計年度は決算期変更の経過期間となり、当社並びに3月決算であった連結子会社は9ヵ月(2020年4月1日~2020年12月31日)、12月決算の連結子会社は12ヵ月(2020年1月1日~2020年12月31日)を連結対象期間とした変則決算となっております。このため、対前期比については記載しておりません。

 

ⅰ 経営成績の分析

 当連結会計年度の売上高につきましては、主に感染管理事業の大幅な増収により17,582百万円となりました。売上総利益につきましては、増収影響等から12,420百万円となり、売上総利益率は70.6%となりました。

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費につきましては、マーケティング強化に伴う販売費の増加等により6,769百万円となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の営業利益につきましては5,650百万円、経常利益は5,454百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,851百万円となりました。

 なお、当連結会計年度の自己資本利益率(ROE)につきましては、18.3%となりました。

 セグメント別の経営成績につきましては以下の通りであります。

 

(医薬品事業)

 医薬品事業につきましては3,575百万円の売上高となりました。

 国内向けの売上高は、「セイロガン糖衣A」の特長を訴求した新しいテレビCMの放映等のマーケティング施策を行ったものの、消費者の外出自粛による携帯用アイテムの不振やインバウンド需要の消失等による店頭消化の伸び悩みは期中において回復の兆しを見せることなく、主力の「正露丸」「セイロガン糖衣A」が低調に推移し、2,534百万円となりました。

 海外向けの売上高につきましても、国内と同様に新型コロナウイルスの影響を大きく受け、現地での需要は縮小し、1,040百万円となりました。

 セグメント利益につきましては、売上高の減少影響により1,144百万円となりました。

 

(感染管理事業)

 感染管理事業につきましては新型コロナウイルス感染症の流行拡大に伴い消費者の衛生管理意識が高い水準で推移したこと等から14,000百万円の売上高となりました。

 国内一般用製品では「クレベリン 置き型」を中心に「クレベリン スティック」や「クレベ&アンド」シリーズの販売が好調に推移しました。また11月に販売を開始した「ウイルスプロテクトマスク」等の新製品も寄与したことから、売上高は11,185百万円となりました。

 国内業務用製品の売上高につきましても国内一般用製品と同様の傾向にあり、「クレベリンカートリッジ(車両用)」やオフィス向けの需要が高い水準で推移し、2,265百万円となりました。

 海外向けにつきましては、中国や台湾を中心に新規代理店の開拓やECチャネルの強化を進め、売上高は549百万円となりました。

 セグメント利益につきましては、上記の売上高の大幅な増加により5,765百万円となりました。

 

(その他事業)

 その他事業につきましては、主に木酢液を配合した入浴液や園芸用木酢液等の製造販売を行っております。売上高は7百万円、セグメント損失は61百万円となりました。

 

ⅱ 財政状態の分析

 詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。

ⅲ 経営成績等に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因としましては、以下のようなものがあります。

イ.特定製品への依存

 当社グループにおける売上高の大半が「クレベリン 置き型」、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」によって構成されており、万一品質等に問題が発生した場合には、販売中止・回収を余儀なくされることも考えられ、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、当社グループでは、様々な研究機関との共同研究をはじめ、知的財産のさらなる蓄積、新たな許認可の取得及び新たな技術開発をしていくとともに、新製品・サービスの企画、販売、マーケティング等に関する国内外のパートナー企業とのアライアンスも積極的に活用することで、さらなる商品ラインナップの充実を図ってまいります。

 

ロ.国内市場規模の縮小

 当社グループは日本国内を主要な販売地域のひとつとしているため、国内人口の減少等による市場規模の縮小の脅威にさらされており、今後国内市場の需要減少等により当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、医薬品事業につきましては国内では市場の維持拡大に向けて新製品開発及び新規市場の開拓も行うとともに、海外では当社製品への潜在的需要が拡大しているアジア諸国において市場の開拓を強化してまいります。

 一方、感染管理事業につきましては世界的に感染予防と衛生管理への関心が高まりつつあることから、国内ではさらに「クレベリン」「クレベ&アンド」の積極的な販売拡大を目指してまいります。また海外では中国、香港、台湾の子会社を拠点に現地での拡販を目指すとともに、欧米や中東、南米等の新規の国・地域に対するアプローチを強化し、顧客エリアを拡大してまいります。

 

ハ.競合他社の存在

 当社グループは多数のメーカーが競合する厳しい競争環境にさらされており、今後他社による新たな製品開発及び競合品の価格引下げ等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、当社グループでは、マーケティング戦略を刷新し正露丸シリーズ及びクレベリンシリーズのブランディングを見直すとともに、製品理解の促進及び使用用途の深耕を図り競合他社との差別化を打ち出すことで市場シェア向上を目指してまいります。

 

ニ.急激な需要の変化等

 感染管理事業においては、感染対策を中心とした市場環境の影響を受け、感染症の流行及び予防意識の動向等によっては製品の需要に急激な変化が生じ、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、当社グループでは、感染症への感染に対し最も意識が高い層を明確なターゲットとしコミュニケーションの効率化を図り、新製品開発や新たな使用用途及び使用機会を提案していくこと、また、需要予測の精度を高め最適な生産・物流体制を目指していくこと等により、一般用、業務用ともに感染症の流行等に左右されない安定的な収益確保に努めてまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払い等によるものです。投資を目的とした資金需要は、企業価値の向上を図るための設備投資や研究開発等の投資等によるものです。

 運転資金及び投資資金については、主に自己資金により調達しております。

 なお、当連結会計年度末時点における長短借入金や社債等の残高はありません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は以下の通りであります。

ⅰ 固定資産の減損

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見

書」(企業会計審議会))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)

等を適用しております。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化及び市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

 

ⅱ 返品調整引当金

 当社グループは、販売した製商品の返品に備えるため、過去の返品実績率及び将来の販売計画等を考慮し、将来の返品に伴う損失見込額を返品調整引当金として計上しております。そのため、返品実績率の悪化及び市場環境の変化等により、繰入額の増額が必要となる可能性があります。

 

ⅲ 新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積り

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少なくとも一定期間続くとの仮定のもと会計上の見積りを行い、翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響は軽微であると考えております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、感染が再拡大した場合は翌連結会計年度の当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは「自立」、「共生」、「創造」の基本理念を実践し、世界のお客様に健康という大きな幸せを提供することを使命と考え、生活者が健康で快適な生活を送るために必要とされる製品を提供すべく研究開発活動を行っております。

 現在の研究開発は主に当社の京都工場・研究開発センターにおいて、医薬品事業及び感染管理事業を中心に推進されております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次の通りであります。

 

(1)医薬品事業

 消化器管関連医薬品のスペシャリティ・ファーマとして、下痢のメカニズムの解明や、100有余年にわたり利用されてきた「正露丸」の主成分である日局木クレオソートについて、薬理薬効の研究を続けてまいりました。日局木クレオソートの有効性や安全性等の研究成果については、国内外の専門学術雑誌を中心に成果の発表を行うとともに、新規効能に対する研究を各大学と提携し進めてきました。さらに、健康サポート薬局に対応するエビデンスとして、日局木クレオソートと他の薬物との相互作用の研究を進めております。

 また、日局木クレオソートが腸内細菌に対して影響を及ぼさないことを臨床研究で検証して、その薬理作用は腸内の殺菌ではなく腸の蠕動運動や水分調節であることを示しました。日局木クレオソートを使用した薬剤の開発も行っており、その効果有効性を周知させるための薬剤の開発も行っております。

 さらに、日局木クレオソートの止瀉以外の有用性研究として、アニサキスに対する殺虫作用を検証して学会発表を行い、その作用機序も論文発表致しました。

 

(2)感染管理事業

 二酸化塩素の基礎応用研究としましては、微生物に対する作用メカニズムの研究、各種ウイルス、細菌、真菌等に対する有効性の研究(二酸化塩素関連製品を用いた研究を含む。)、各種応用研究、安全性の研究を自社及び各研究機関と連携をとりながら進めております。これまで実施してきた多くの基礎研究をより高めるため、低濃度二酸化塩素ガス及び二酸化塩素ガス溶存液の付着菌や付着ウイルス、浮遊菌や浮遊ウイルスへの効果試験も継続して行っており、製品の信頼性を一層高めるよう努めております。昨今話題となっている新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する二酸化塩素の有効性の研究も進めており、作用機序の解明を行い、論文発表しております。

 また、大阪大学大学院医学研究科の空間環境感染制御学共同研究講座におきまして、二酸化塩素ガスの細胞レベルの安全性と細胞培養における有効性の検証として、ヒト臍帯由来間葉系幹細胞を用いた研究を行い、学会発表や論文発表を行いました。現在、iPS細胞を用いた研究を進めており、学会発表を行いました。

 2020年より、順天堂大学大学院医学研究科に設置した集団感染予防学共同研究講座で、教育機関や医療空間の環境感染対策での二酸化塩素の有用性と応用について臨床的な検証を行っています。

 一方、製品開発は、二酸化塩素製品の市場拡大を推進させるべく、新しい発生機構を持つ新製品の開発に加え、無人空間でのくん蒸施工を想定した新しいジャンルの製品開発を進めております。さらに、低濃度二酸化塩素ガス発生装置である「クレベリン発生機」に関しては、社外パートナーと業務提携を行い、2020年12月に「クレベリン発生機 エレクローラー」を上市致しました。この新製品の投入によりオフィス空間を始めとした、広い空間を対象とした製品ラインナップの強化を図っており、感染管理事業の更なる成長を目指してまいります。

 また、濃度長期保持型二酸化塩素ガス溶存液は、衛生製品として製造販売しておりますが、日本国内では動物用を視野に入れた研究開発活動を推進しております。

 その他、現在着手している研究開発活動は以下の通りであります。

安定した二酸化塩素ガスを発生させる装置の開発を行うことで、標準ガスを作り出すことが可能となり、多方面での活用用途が広がります。

低濃度の二酸化塩素ガスを検知できる二酸化塩素濃度センサーについて基礎研究を行うことで、低濃度二酸化塩素ガス濃度を検出する機器の開発につなげ、信頼性と安全性が向上することでお客様に最適な空間除菌を提供することが可能となり、感染管理事業の拡大が図れます。

アライアンスを活用した製品開発にも着手しており、今後二酸化塩素製品の拡大が可能となります。

二酸化塩素ガス発生装置から発生させた二酸化塩素ガスの実空間での分布や拡散についてシミュレーションで予測する研究も行っており、実空間でのより高度な二酸化塩素ガス濃度制御を目指しております。

 

(3)その他事業

 木酢を使用した種子消毒製品の農薬開発に取り組んでおり、実使用に向けた現場試験も実施しております。 さらに大学等との研究機関との共同研究により、木酢液の植物や土壌に対する作用について研究を進めており、木酢液の用途開拓を行っております。

 なお、当連結会計年度における研究開発費をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(千円)

医薬品事業

68,597

感染管理事業

293,051

その他事業

13,160

合計

374,809