第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 「大幸薬品は『自立』『共生』『創造』を基本理念とし、世界のお客様に健康という大きな幸せを提供します。」という企業理念を実現するに当たり、「健康社会の『ないと困る』を追求する。」をスローガンとして掲げすべての企業活動の指針としております。

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは事業の持続的成長を図る観点より、売上高及び営業利益の成長性を重視しております。また、資本の効率化による株主利益の最大化を目指し、自己資本利益率(ROE)も重視しております。

 しかしながら、当連結会計年度は大幅な赤字を計上するに至りました。当連結会計年度より進めております構造改革の成果を発揮し、まずは黒字化を早期に達成できるよう目指してまいりたいと考えております。

 

(3) 経営環境、経営戦略並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 医薬品事業

 国内市場においては、人口の高齢化等に伴う医療費の高騰が社会問題化する中で、セルフケアとしてのセルフメディケーションの推進により、一般用医薬品の市場はさらに拡大するものと予測されます。一方で、当社の主力製品「正露丸」が属する止瀉薬市場は、多数のメーカーによる厳しい競争環境下にあり、国内人口の減少による市場規模の縮小等と相まって、当社製品のシェアは45.2%と5割を切り、低下傾向にあります。<出所:株式会社インテージ>。

 新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響により、下落傾向にあった国内及び海外の需要は当連結会計年度に入り、着実に持ち直してきている中、当社においては一時的な生産量の減少により当該需要に応えることができず、一部で店頭欠品になる等安定供給が喫緊の課題となっております。

 このような厳しい環境が続きますが、当社グループでは研究開発活動を継続し、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」の主成分「木クレオソート」の新たな知見と成果の探求に努めてまいります。近年では、「木クレオソート」がヒトの腸内細菌に対して作用しないことを臨床的に実証し、日本薬局方ではかつて「化学薬品等」の分類でありましたが、「生薬等」に改正されました。これを受けて一般薬承認基準(胃腸薬)でも同様に、「殺菌剤」から「生薬」に分類が改められました。さらには、アニサキス症に対する効果検証やメトホルミン等の薬物による下痢への効果、安全性として他のお薬との飲み合わせに対する影響の調査等、複数の研究も進めており、引き続き胃腸内環境改善による“健全な体内環境”を実現するための実績と信頼を培ってまいります。

 国内の顧客基盤強化策については、明確なポジショニングとわかりやすいストーリー展開で、若年層を中心とした新規ユーザーの製品理解の深耕に努め、市場シェア拡大を図ってまいります。

 海外市場においては、特に当社グループの主要市場である中国本土、香港、台湾を含むアジア地域で、所得水準の向上等に伴う潜在的な消費需要の拡大が見込まれています。また、日本製品は安全性、信頼性、高品質の点で高く評価されていることもあり、当社製品への需要拡大の期待が持たれます。引き続き、現地の販売代理店と連携を強化し、営業・マーケティング体制を整備し、国内で蓄積した経験・ノウハウ等を活かしながら、主力製品「正露丸」、「セイロガン糖衣A」の販売を強化してまいります。

 生産体制につきましては、上述した通り増加傾向にある需要に対する安定供給が課題であり、吹田工場を中心に適切な増産体制を構築するとともに、京都工場・研究開発センターにおける医薬品生産への本格的な移行時期を検討してまいります。

 

② 感染管理事業

 感染管理事業においては、世界的な感染症の脅威により、医療・生活等に関わるあらゆる場面で、感染予防と衛生対策への重要性が高まっております。特に2019年末頃に確認された新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は未だ沈静化には至っておりません。

 当社グループは、新型コロナウイルス感染症の流行拡大時に想定した衛生管理製品のその後の需要が計画よりも大きく下回ったことに加え、2022年1月20日及び4月15日に「クレベリン」6品目に対し、消費者庁より景品表示法に基づく措置命令を受けたこと等により2期連続の大幅な赤字を計上することになりました。

 今後の衛生管理製品の市場環境につきましては、非常に予測が難しいものとなりますが、新型コロナウイルス感染症は未だ収束段階には至っておらず、また人類の敵となる新たな未知のウイルスは今後も発生し得るものと当社グループは考えており、その感染予防に備える製品として当社の衛生管理製品の存在感を発揮させていきたいと考えております。今後はコストを抑制しながら、主要製品の供給可能な体制を維持し、また製品ラインナップも当社の強みである商品に絞りつつ、その研究やマーケティングにリソースを集中してまいりたいと考えております。

 今後の感染管理事業の回復に向けては、消費者の皆様の安心感の醸成が重要と考え、そのためにも当社の強みである研究開発活動への注力とその結果である論文発表や特許取得等を効果的に消費者の皆様へ発信してまいります。現在、大阪大学大学院医学研究科に「空間感染制御学共同研究講座」を設置し、低濃度二酸化塩素ガスによる空間除菌システムを中心に、細胞レベルでの安全性及び有用性研究を行うことで再生医療分野での利用やさらには医学分野での臨床試験に向けての研究を進めております。また、順天堂大学大学院医学研究科に「集団感染予防学講座」を設置し、医療及び社会環境での感染対策における二酸化塩素の有用性と応用についての臨床的な検証も進めてまいりました。

 海外市場につきましては、当社製品は主に現地の販売代理店を通じ、小売店やECサイト等で消費者に販売されております。世界的な感染予防意識の高まりを背景に、さらなる潜在需要が見込まれることから、中国、香港、台湾、メキシコの子会社等を拠点に現地での拡販を目指すとともに、その他の国でも代理店を通じた拡販により海外の消費者にも当社製品の需要喚起、認知度向上を図ってまいります。

 生産体制につきましては、需要が伸び悩む中、当連結会計年度中の稼働は極めて少ない状況となっております。当面は生産体制の維持とコスト抑制を重要な課題と認識し、取り組んでまいります。

 

③ 財務体質の改善、資金繰り

 前連結会計年度からの感染管理事業の需要減少による各種損失や事業構造、組織の再構築に係るコスト等により運転資金が不足し、前連結会計年度において金融機関より長期借入において50億円を調達しており、期末時点で約37億円の残高となっております。今後措置命令による課徴金納付等も予定していることから財務体質の改善と資金繰りは重要な課題と考えております。

 当連結会計年度においてコスト圧縮を含む事業再構築に係る取り組みは概ね目途が立ち、希望退職の実施により組織のスリム化もおこなったことから、今後財務体質は一定改善されていくものと考えておりますが、引き続き更なる体質改善に取り組んでまいります。

 なお、資金繰りと致しましては、運転資金の安定的な確保を目的に当連結会計年度において、取引銀行4行とシンジケーション方式のコミットメントライン契約を締結し、50億円分の融資枠を確保する等の対策を取っております。

 

④SDGsへの取り組み

 当社グループでは、事業活動を通じて、環境・エネルギー問題や社会課題に対応していくことを経営課題のひとつに掲げております。世界では新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のような新たな未知の感染症の発生やそれらによるパンデミックの脅威への対応、さらには薬剤耐性(AMR)菌による院内感染等への対応が急務になっております。感染症の流行下では室内空間の換気が推奨されますが、一方で空調等に係るエネルギー消費が伴います。当社が提唱する低濃度二酸化塩素による衛生対策を普及させることで、脱炭素社会の実現にも寄与できればと考えております。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。当社グループでは、これらリスク顕在化の未然防止及びリスク顕在化の最小化のための対策を講じるよう努めております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)特定製品への依存について

 当社グループにおける売上高の大半が「クレベリン 置き型」、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」によって構成されております。当該製品の製造につきましては、培ってきたノウハウをもとに万全の品質管理・品質保証体制をもって臨んでおりますが、万一品質等に問題が発生した場合には販売中止・回収を余儀なくされることも考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、感染管理事業においては、当社グループの強みとなる商品を軸に、研究やマーケティングへのリソースの分散を避けながら、製品ラインナップを拡げていくことと考えております。

 

(2)特定取引先への依存について

 当社グループの売上高のうち、国内においてはアルフレッサヘルスケア㈱、㈱PALTAC、海外では香港の一徳貿易有限公司の上位3社への売上高が当連結会計年度において全体の約63%と大きな割合を占めております。これら取引先の経営施策や取引方針の変化、財政状態の悪化等により、販売機会の一時的な喪失等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、取引先の状況を早期に把握できるよう定期的に与信調査等の顧客管理を実施しており、また、新規取引先や新規販売チャネルの開拓も継続して検討してまいります。

 

(3)海外事業展開に伴うリスク

 当社グループは、中国本土・香港・台湾を中心とする海外市場において、従来より「正露丸」、「セイロガン糖衣A」等の販売をしており、近年では「クレベリン」等の販売も進めております。また、感染管理事業においては、海外展開を拡大するにあたり、欧州や中南米等の新規の国・地域に対するアプローチを強化するための子会社を設立しております。当該地域における政治、経済、法律、文化、ビジネス慣習、競合企業、為替、その他様々なカントリーリスク等による予想し得ない事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、海外市場の各地域におけるリスク情報を継続的に収集し対応策を検討するとともに、さらなる各地域への事業展開については慎重かつ迅速に行ってまいります。

 

(4)類似品の存在について

 当社グループが製造・販売しております「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」は、他社においても同一又は類似した名称で製造・販売が行われております。このため、当社グループが製造・販売しております製品と類似した商品が市場には多数存在しており、特に類似したパッケージの場合には消費者が当社グループの製品と誤認して購入する可能性が否定できません。また、感染管理事業における主要製品である「クレベリン」についても他社から類似品の製造・販売が行われており、消費者が当社グループの製品と誤認して購入する可能性を否定できません。

 さらには、これらの類似品において品質問題等が発生した場合には、当社グループの製品のイメージダウン及び予期せぬ風評被害が発生する可能性も否定できず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、さらなるブランド力の強化、継続的な新製品の市場投入、エビデンスの蓄積・公表等により、類似品との差別化を図り消費者の当社製品への理解が深まるような事業活動を継続してまいります。

 

(5)急激な需要の変化等に関するリスク

 感染管理事業においては、衛生管理製品を市場に提供していくために二酸化塩素ガス特許技術を応用した製品等の企画・開発・販売を進めております。そのため、当該事業は感染対策を中心とした市場環境に影響を受け、新たな感染症の流行拡大及び予防意識の動向等によっては、製品の需要に急激な変化が生じます。想定以上の需要の変化が生じた場合には、一時的な製品供給不足や過剰生産能力、過剰在庫に陥る可能性があり、その結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、急激な需要の変化に柔軟に応じられるサプライチェーンマネジメント体制の強化に取り組んでまいるとともに、長期的な需要を冷静に分析し、投資を意思決定する仕組みを強化してまいります。

(6)原材料価格及び調達に関するリスク

 当社グループは、原材料等について急激に価格が高騰した場合、あるいは一部の原材料等について供給が滞り、代替の調達先が確保できない場合には、製品の利益率の悪化や機会損失の発生により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、複数の仕入先の確保、供給能力の高い仕入先との取引等により供給体制強化・安定化を図ってまいります。

 

(7)製造物責任に関するリスク

 当社グループの製品については、品質管理体制を整備し、高い品質水準の確保に努めておりますが、予期せぬ事情により大規模なリコールや生産物賠償責任につながるような大きな品質問題が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、当社に起因する生産物責任における損害賠償に備えた適切な保険に加入しております。

 

(8)競合に関するリスク

 医薬品事業における「正露丸」、「セイロガン糖衣A」を中心とする当社グループの製品について認知率と市場シェアをより高めるためのマーケティング施策を実施しており、その結果安定的な収益の獲得が出来ております。 また、感染管理事業における「クレベリン」等の製品については、当社の有する特許技術や蓄積されたエビデンス等が他社にとって高い参入障壁となっており、競合の数が限定的となっております。しかし、他社の優れた製品の出現や競合品の価格引き下げが行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、ブランド力の一層の強化、継続的な新製品の市場投入、さらなるエビデンスの蓄積・公表等により、当社の競争力を高めてまいります。

 

(9)知的財産権に関するリスク

 当社グループの感染管理事業における製品は、関連特許により国内を中心に一定の範囲・期間保護されております。しかし、当社グループの保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合には、期待される収益が失われる可能性があります。また、当社グループの自社製品が意図せず第三者の知的財産権を侵害した場合には、その第三者から損害賠償を請求される可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、当社グループでは、保有する知的財産権を管理し、新たな知的財産権の取得について適切な契約の締結・管理を行い、第三者の知的財産権を侵害する恐れがある場合には、事前に専門家を利用した調査・情報収集等を行っております。

 

(10)法的規制等に関するリスク

 当社グループの属する医薬品事業は、国内市場においては「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「薬機法」という。)等関連法規、また、中国本土・香港・台湾を中心とする海外市場においても同等の法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、予期しない法令違反等によりその許認可等が取り消された場合や何等かの事由により許認可等の更新が出来なかった場合には、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は2022年1月20日及び4月15日に「クレベリン」6品目に対し、消費者庁より景品表示法に基づく措置命令を受けたことにより、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載の通り、当連結会計年度において巨額の親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。今後のこうしたリスクへの対応策として、消費者の皆様の安心感の醸成のため、研究開発活動に注力し、商品としての信頼性を高めるとともに、社内の法令遵守体制を強化することで、本件のようなリスクを低下させてまいります。

 

(11)継続企業の前提に関する重要事象等について

 当社グループでは、感染管理事業における需要の急激な減少に加え、消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を受けたことにより、対象製品の多くが店頭から一時撤去となるとともに、多額の返品が発生しました。この結果、売上高が大幅に減少し、2期連続の営業損失及び経常損失を計上するに至ったことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループでは、当該事象又は状況の解消に向けて、業績回復のために実行していた広告宣伝費や販売促進費、在庫保管費用を中心とする販売費の圧縮や、当連結会計年度に実施した従業員希望退職施策の結果を踏まえた組織のスリム化、役員報酬の減額等による人件費の圧縮等のコスト削減を中心とした事業構造改革を継続して実行してまいります。感染管理事業では、大学や研究機関との共同研究による二酸化塩素の有効性や安全性に関する試験結果や論文等の情報発信の強化等により信頼回復に取り組み、収益回復を図ってまいります。また、医薬品事業においては、増加基調にある需要状況に対し、供給体制を強化することで、安定的な収益獲得に取り組んでまいります。

 当連結会計年度末において現金及び預金3,105百万円を保有しており、コミットメントライン契約による追加の資金調達余力もあることから、事業運営に必要な資金については確保していると判断しております。

 以上のことから、現時点で当社グループにおいて、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、以下の経営成績等に関して増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載の通りであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会経済活動の制限が段階的に緩和され、景気の持ち直しの動きが見られておりますが、ウクライナ情勢の長期化に伴うエネルギー高や資源価格の高騰に加え、外国為替市場における円安・ドル高やインフレへの警戒感が拭えない等、不透明な状況が続いております。

 このような中、感染管理事業における需要の急激な減少に加え、2022年1月20日及び4月15日に消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を受けたことにより、対象製品の多くが店頭から一時撤去となるとともに、多額の返品が生じました。当連結会計年度において、製品パッケージの表示を変更したリニューアル品の販売を開始致しておりますが、上記の返品影響をカバーするまでには至っておりません。また医薬品事業においては、消費者の行動が徐々に元に戻りつつある中で需要は堅調に推移致しましたが、一時的な生産量低下の影響もあり、供給不足が継続致しました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は5,040百万円(前期は11,299百万円)となりました。また、措置命令に伴う販売量低下の影響により、棚卸資産評価損等を売上原価に計上致しておりますため、差引売上総利益は1,078百万円(前期は2,746百万円)となりました。

 販売費及び一般管理費につきましては、売上高の低下傾向を踏まえ収益体質の改善が喫緊の課題であることから、期首より広告宣伝費や販売促進費を中心に費用発生の抑制に取り組むとともに、従業員希望退職施策の結果を踏まえた組織のスリム化、役員報酬の減額等による人件費の圧縮もおこなったことから、前期比で3,536百万円減少し、4,157百万円となりました。

 これらの結果、当連結会計年度の営業損失は3,079百万円(前期は4,947百万円の営業損失)となりました。

 営業外損益につきましては、前連結会計年度より引き続き感染管理事業の生産を停止していることから、工場で発生した製造関連費用を操業停止関連費用として営業外費用に計上しております。これらの結果、経常損失は3,352百万円(前期は6,131百万円の経常損失)となりました。また、特別損失には希望退職関連費用226百万円や感染管理事業における購入契約の中途解約に係る支払補償費499百万円に加え、措置命令に伴う課徴金引当金繰入額607百万円等を計上しております。その結果、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては4,895百万円(前期は9,594百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 セグメント別の経営成績につきましては以下の通りであります。

 

(医薬品事業)

 医薬品事業は3,624百万円の売上高となりました。

 国内向けの売上高は2,527百万円、海外向けの売上高は1,097百万円となりました。セグメント利益は297百万円となりました。

 

(感染管理事業)

 感染管理事業は1,408百万円の売上高となりました。

 国内一般用製品の売上高は581百万円、国内業務用製品の売上高は658百万円、海外向けの売上高は167百万円となりました。セグメント損失は2,179百万円となりました。

 

(その他事業)

 その他事業は7百万円の売上高となりました。セグメント損失は44百万円となりました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は15,046百万円(前連結会計年度末比7,489百万円減)となりました。また、負債合計は7,001百万円(同2,726百万円減)、純資産合計は8,044百万円(同4,763百万円減)となりました。前連結会計年度末からの主な変動要因は、売上高の減少に伴う受取手形及び売掛金の減少や感染管理製品の在庫圧縮に伴う棚卸資産の減少等による流動資産6,227百万円の減少、減価償却による有形固定資産の減少や投資有価証券の償還による投資その他の資産の減少等による固定資産1,262百万円の減少、未払金や返品調整引当金の減少による流動負債1,527百万円の減少、長期借入金の返済等による固定負債1,198百万円の減少、主に親会社株主に帰属する当期純損失に伴う利益剰余金の減少による純資産4,763百万円の減少であります。

 なお、自己資本比率は前連結会計年度末から3.3ポイント低下し、53.5%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)が前連結会計年度より2,724百万円減少し、当連結会計年度末残高は2,797百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は1,994百万円(前期は1,595百万円の使用)となりました。主には税金等調整前当期純損失4,869百万円、支払補償費の支払額859百万円、返品調整引当金の減少699百万円等の減少要因の一方で、売上債権の減少2,315百万円、棚卸資産の減少1,257百万円、減価償却費737百万円の増加要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は190百万円(前期は1,622百万円の使用)となりました。主には投資有価証券の償還による収入300百万円等の増加要因によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は997百万円(前期は3,959百万円の獲得)となりました。主には長期借入金の返済による支出923百万円等の減少要因によるものであります。

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(百万円)

3,017

164.2

感染管理事業

(百万円)

1,678

46.0

その他事業

(百万円)

6

100.9

合計

(百万円)

4,703

85.6

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。医薬品事業につきましては、前期において在庫過多により在庫消化を優先した反動によるものです。また、感染管理事業につきましては、消費者庁から受けた景品表示法に基づく措置命令及び需要低迷を受けて生産調整をしたことによるものです。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(百万円)

40

195.4

感染管理事業

(百万円)

410

7.6

その他事業

(百万円)

合計

(百万円)

451

8.3

 (注)当連結会計年度において、商品仕入実績に著しい変動がありました。医薬品事業につきましては、前期と当期における仕入スケジュールのズレによるものです。また、感染管理事業につきましては、主要仕入先との購買契約を見直したことによるものです。

 

c.受注実績

当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

医薬品事業

(百万円)

3,624

83.3

感染管理事業

(百万円)

1,408

20.3

その他事業

(百万円)

7

113.7

合計

(百万円)

5,040

44.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.感染管理事業につきましては、2022年1月20日及び4月15日に消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を受けたことにより、多額の返品が生じましたことにより減少しております。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱PALTAC

1,527

13.5

1,250

24.8

アルフレッサヘルスケア㈱

4,062

36.0

1,003

19.9

一徳貿易有限公司

985

8.7

919

18.2

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

ⅰ 経営成績の分析

 当連結会計年度は、医薬品事業、感染管理事業とも減収となり、売上高は5,040百万円(前期は11,299百万円)となりました。売上高の減少に伴う売上総利益の減少に加え、販売量低下に伴う棚卸資産の評価損等を計上したことから、差引売上総利益は1,078百万円(前期は2,746百万円)、差引売上総利益率は21.4%となりました。販売費及び一般管理費につきましては、期首より広告宣伝費や販売促進費を中心に費用の抑制に取り組むとともに、希望退職施策等により人件費の圧縮も行ったことから4,157百万円(前期は7,694百万円)と大きく減少致しました。

 これらの結果、当連結会計年度の営業損失は3,079百万円(前期は4,947百万円の営業損失)、経常損失は3,352百万円(前期は6,131百万円の経常損失)となりました。また、特別損失の計上もあり親会社株主に帰属する当期純損失は4,895百万円(前期は9,594百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 セグメント別の経営成績につきましては以下の通りであります。

 

(医薬品事業)

 当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症に関連する規制が段階的に緩和され、消費者の行動も元に戻りつつある状況の中で需要状況は着実に改善してまいりましたが、セイロガン糖衣Aの一部原材料変更に起因する一時的な生産量低下によって供給不足が継続致しました。また、正露丸につきましても、セイロガン糖衣Aの代替需要や他社製品欠品の影響を受け、高い需要状況で推移していることから、供給体制が追い付いておらず出荷制限をしながらの販売が継続致しました。これらの結果、国内向けの売上高は対前期比18.6%減少の2,527百万円となりました。また海外向けにつきましても、国内同様、需要は回復傾向にあるものの、国内向けの生産を優先していることから海外向けの供給数量が不足し、対前期比11.9%減少の1,097百万円となりました。

 これらの結果、医薬品事業につきましては、対前期比16.7%減少の3,624百万円の売上高となりました。また、セグメント利益につきましては、売上高の減少や京都工場医薬品生産設備の稼働に伴う減価償却費等の増加等により、297百万円のセグメント利益(対前期比79.8%減)となりました。

 

(感染管理事業)

 感染管理事業につきましては、2022年1月20日及び4月15日に「クレベリン」6品目に対し、消費者庁より景品表示法に基づく措置命令を受けたことに伴い、多くの販売店で対象製品等の一時撤去及び返品が行われたため、当連結会計年度の売上高は大きく減少致しました。当連結会計年度において措置命令の対象製品の表示の見直しは完了しており、リニューアル品の販売を開始致しましたものの、需要は伸び悩み当該返品影響をカバーするまでには至っておりません。また、事業再構築の一環として、一部在庫の廃棄や収益性が低下した棚卸資産に対して評価損を計上致しました。

 これらの結果、売上高は1,408百万円(前期は6,942百万円)、セグメント損失は2,179百万円(前期は4,936百万円のセグメント損失)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業につきましては、主に木酢液を配合した入浴液や園芸用木酢液等の製造販売を行っております。売上高は7百万円、セグメント損失は44百万円となりました。

 

ⅱ 財政状態の分析

 詳細は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。

 

ⅲ 経営成績等に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因としましては、以下のようなものがあります。

イ.特定製品への依存

 当社グループにおける売上高の大半が「クレベリン 置き型」、「正露丸」及び「セイロガン糖衣A」によって構成されております。当該製品の製造につきましては、培ってきたノウハウをもとに万全の品質管理・品質保証体制をもって臨んでおりますが、万一品質等に問題が発生した場合には販売中止・回収を余儀なくされることも考えられ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、感染管理事業においては、当社グループの強みとなる商品を軸に、研究やマーケティングへのリソースの分散を避けながら、製品ラインナップを拡げていくことと考えております。

 

ロ.国内市場規模の縮小

 当社グループは日本国内を主要な販売地域のひとつとしているため、国内人口の減少等による市場規模の縮小の脅威にさらされており、今後国内市場の需要減少等により当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、医薬品事業につきましては国内では市場の維持拡大に向けて新製品開発及び新規市場の開拓も行うとともに、海外では当社製品への潜在的需要が拡大しているアジア諸国において市場の開拓を強化してまいります。

 一方、感染管理事業につきましては世界的に感染予防と衛生管理への関心が高まりつつあることから、二酸化塩素へのリソース集約を図り、「クレベリン」の信頼醸成に取り組み更なる販売拡大を目指してまいります。

 

ハ.競合他社の存在

 当社グループは多数のメーカーが競合する厳しい競争環境にさらされており、今後他社による新たな製品開発及び競合品の価格引下げ等により、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

 こうした中、当社グループでは、マーケティング戦略を刷新し正露丸シリーズ及びクレベリンシリーズのブランディングを見直すとともに、製品理解の促進及び使用用途の深耕を図り競合他社との差別化を打ち出すことで市場シェア向上を目指してまいります。

 

ニ.急激な需要の変化等

 感染管理事業においては、衛生管理製品を市場に提供していくために二酸化塩素ガス特許技術を応用した製品等の企画・開発・販売を進めております。そのため、当該事業は感染対策を中心とした市場環境に影響を受け、新たな感染症の流行拡大及び予防意識の動向等によっては、製品の需要に急激な変化が生じます。想定以上の需要の変化が生じた場合には、一時的な製品供給不足や過剰生産能力、過剰在庫に陥る可能性があり、その結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、急激な需要の変化に柔軟に応じられるサプライチェーンマネジメント体制の強化に取り組んでまいるとともに、長期的な需要を冷静に分析し、投資を意思決定する仕組みを強化してまいります。

 

ホ.法的規制等

 当社グループの属する医薬品事業は、国内市場においては薬機法等関連法規、また、中国本土・香港・台湾を中心とする海外市場においても同等の法規の厳格な規制を受けており、各事業活動の遂行に際して許認可等を受けております。これらの許認可等を受けるための諸条件及び関係法令の遵守に努めており、現時点におきましては当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかし、予期しない法令違反等によりその許認可等が取り消された場合や何等かの事由により許認可等の更新が出来なかった場合には、当社グループの運営に支障をきたし事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払い等によるものです。投資を目的とした資金需要は、企業価値の向上を図るための設備投資や研究開発等の投資等によるものです。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純損失の計上に伴う営業活動によるキャッシュ・フローや長期借入金の返済に伴う財務活動によるキャッシュ・フローにより前連結会計年度から2,724百万円減少し、現金及び現金同等物の期末残高は2,797百万円となりました。

 今後の事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、当連結会計年度において、取引銀行4行とシンジケーション方式コミットメントライン契約を締結し、総額5,000百万円の融資枠を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載の通りであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

   (コミットメントライン契約の締結)

  当社は、2022年7月22日開催の取締役会の決議に基づき、2022年8月10日付けで新たに総額50億円のシンジケーション方式コミットメントライン契約を締結致しました。

 

 (1)コミットメントライン契約締結の目的

  運転資金の確保及び財務基盤の安定性向上のために、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することを目的としております。

 

 (2)コミットメントライン契約の概要

 

トランシェA

トランシェB

①借入極度額

25億円

25億円

②契約締結日

2022年8月10日

③契約期間

2022年8月16日~2023年1月31日

(2023年2月1日より1年更新)

2022年8月16日~2023年7月31日

(2023年8月1日より1年更新)

④借入利率

借入期間に対応する全銀協TIBOR+スプレッド

⑤アレンジャー

株式会社三菱UFJ銀行

⑥ジョイント・アレンジャー

株式会社三井住友銀行

⑦エージェント

株式会社三菱UFJ銀行

⑧参加金融機関

株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行

株式会社みずほ銀行、株式会社りそな銀行

 

  なお、本契約につきましては、増担保物件に対する処分等制限条項及び増担保条項が付されております。増担保条項においては、当社グループの連結決算数値等に関連する財務維持要件があり、充足されない場合には、当社の一部の土地及び建物に根抵当権が設定されます。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは「自立」、「共生」、「創造」の基本理念を実践し、世界のお客様に健康という大きな幸せを提供することを使命と考え、生活者が健康で快適な生活を送るために必要とされる製品を提供すべく研究開発活動を行っております。

 現在の研究開発は主に当社の京都工場・研究開発センターにおいて、医薬品事業及び感染管理事業を中心に推進されております。

 当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次の通りであります。

 

(1)医薬品事業

 消化器管関連医薬品のスペシャリティ・ファーマとして、下痢のメカニズムの解明や、100有余年にわたり利用されてきた「正露丸」の主成分である日局木クレオソートについて、薬理薬効の研究を続けてまいりました。日局木クレオソートの有効性や安全性等の研究成果については、国内外の専門学術雑誌を中心に成果の発表を行うとともに、新規効能に対する研究を各大学と提携し進めてきました。さらに、健康サポート薬局に対応するエビデンスとして、日局木クレオソートと他の薬物との相互作用の研究を行い、相互作用が起こらないことを論文発表致しました。その関連として、糖尿病の治療薬であるメトホルミンに対する薬物相互作用が起こらないことを検証し、加えて、メトホルミンの副作用として起こる下痢に対して、動物実験モデルを用いた木クレオソートの止瀉作用について、既に論文発表致しました。今後は医師主導型臨床研究についても検討する予定です。

 また、日局木クレオソートが腸内細菌に対して影響を及ぼさないことを臨床研究で検証して、その薬理作用は腸内の殺菌ではなく腸の蠕動運動や水分調節であることを示しました。日局木クレオソートを使用した薬剤の開発も行っており、その効果有効性を周知させるための薬剤の開発も行っております。

 さらに、日局木クレオソートの止瀉以外の有用性研究として、アニサキスに対する運動抑制作用を検証して論文発表を行い、その作用機序も既に論文発表しており、今後は動物試験等も視野に入れて検討を進める予定です。

 

(2)感染管理事業

 二酸化塩素の基礎応用研究としましては、微生物に対する作用メカニズムの研究、各種ウイルス、細菌、真菌等に対する有効性の研究(二酸化塩素関連製品を用いた研究を含む。)、各種応用研究、安全性の研究を自社及び各研究機関と連携をとりながら進めております。これまで実施してきた多くの基礎研究をより高めるため、低濃度二酸化塩素ガス及び二酸化塩素ガス溶存液の付着菌や付着ウイルス、浮遊菌や浮遊ウイルスへの効果試験も継続して行っており、製品の信頼性を一層高めるよう努めております。新型コロナウイルス及びその変異株に対する二酸化塩素の有効性の研究も進めており、作用機序の解明を行い、既に論文発表しましたが、二酸化塩素ガスの効果について研究を続けています高病原性鳥インフルエンザウイルスA(H7N9)について、二酸化塩素ガス溶存液とガス製品について有効性を確認して論文発表致しました。

 また、大阪大学大学院医学研究科の空間感染制御学共同研究講座におきまして、二酸化塩素ガスの細胞レベルの安全性と細胞培養における有効性の検証として、ヒト臍帯由来間葉系幹細胞を用いた研究を行い、学会発表や論文発表を行いました。現在、iPS細胞を用いた研究を進めており、昨年論文発表を行いました。

 順天堂大学大学院医学研究科に設置した集団感染予防学共同研究講座で、教育機関や医療空間の環境感染対策での二酸化塩素の有用性と応用について臨床的な検証を行い、小学校の新型コロナウイルス感染に対する二酸化塩素ガス製品の効果についても検討を進めております。

 一方、製品開発は、二酸化塩素製品の市場拡大を推進させるべく、新しい発生機構を持つ新製品の開発に加え、無人空間でのくん蒸施工を想定した新しいジャンルの製品開発を進めております。さらに、低濃度二酸化塩素ガス発生装置である「クレベリン発生機」に関しては、社外パートナーと業務提携を行い、2020年12月に「クレベリン発生機 エレクローラー」を上市致しました。この製品の投入によりオフィス空間を始めとした、広い空間を対象とした製品ラインナップの強化を図っており、感染管理事業の更なる成長を目指してまいります。

 また、濃度長期保持型二酸化塩素ガス溶存液は、衛生製品として製造販売しておりますが、日本国内では動物用を視野に入れた研究開発活動を推進しております。

 その他、現在着手している研究開発活動は以下の通りであります。

 ・安定した二酸化塩素ガスを発生させる装置の開発を行うことで、標準ガスを作り出すことが可能となり、多方面での活用用途が広がります。

・低濃度の二酸化塩素ガスを検知できる二酸化塩素濃度センサーについて基礎研究を行うことで、低濃度二酸化塩素ガス濃度を検出する機器の開発につなげ、信頼性と安全性が向上することでお客様に最適な空間除菌を提供することが可能となり、感染管理事業の拡大が図れます。

・アライアンスを活用した製品開発にも着手しており、今後二酸化塩素製品の拡大が可能となります。

 

・二酸化塩素ガス発生装置から発生させた二酸化塩素ガスの実空間での分布や拡散についてシミュレーションで予測する研究も行っており、実空間でのより高度な二酸化塩素ガス濃度制御を目指しております。

 

(3)その他事業

 木酢を使用した種子消毒製品の農薬開発に取り組んでおり、実使用に向けた現場試験も実施しております。さらに大学等との研究機関との共同研究により、木酢液の植物や土壌に対する作用について研究を進めており、木酢液の用途開拓を行っております。

 

 なお、当連結会計年度における研究開発費をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

医薬品事業

91

感染管理事業

284

その他事業

8

合計

384