文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、人々の生命や健康にかかわる医療機器を取り扱う企業として、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保に資する責任を果たすために『地域医療への貢献』を理念として掲げ、迅速かつ適切で安定した医療機器の供給、それぞれの地域に適応した付加価値の高いサービスの提供、最新の情報提供等を通じて、地域社会、ひいてはすべての人々の健康と豊かな生活へ貢献することを目指しております。
この企業理念の実現のため、各地域において顧客を始めとしたステークホルダーから最も信頼される存在となることをビジョンとして掲げております。経営環境の目まぐるしい変化に対応するため、当社グループ独自のサービス提案の強化、M&Aによる企業規模の拡大と効率的な資源配分、シナジーの創出により安定的な成長を目指し、業績においても業界におけるリーディングカンパニーとなることを目指してまいります。当社グループの持続的な成長にあたり、その基盤となるのは従業員であると認識しております。そのため、人的資本強化に関する取り組みを推進することで、従業員が最良のパフォーマンスを発揮できる環境を整備してまいります。
また、利潤の追求のみならず、当社グループの社会的価値の向上も重視し、リスク管理・コンプライアンス体制及びコーポレート・ガバナンスの強化による透明性・健全性の高い経営体制の構築、ESG、SDGsへの取り組みも推進することで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
政府は高齢化進展による2025年問題を見据え、診療報酬の見直し、病院の機能分化等の医療提供体制の整備を図っており、医療機器販売業界では償還価格の下落や競争激化による利益率の低下という影響を受けております。一方、高齢化進展に伴う医療機器の需要増加の影響もあり、市場規模自体は緩やかに拡大しております。足元では、「医師の働き方改革」が施行され、人手不足や物価上昇等の制約の中でも医療の質の維持・向上と併せて業務効率化が一層求められる、医療機関にとって厳しい環境となることが想定されます。そのため、医療経営に資するサービスの提供がより一層求められるものと予想しております。また、医療提供体制に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置付けが5類感染症に移行し、医療需要も回復してきておりますが、本感染症の感染拡大に端を発し、増加している医療機関における感染対策に係るコストは今後も医療機関の経営を圧迫する要因になりうるものと認識しております。そして、本感染症拡大は、当社グループ、医療機関双方において緊急事態下でも医療を提供できる体制の重要性を改めて認識させる機会でもありました。そのため、いかなる状況においても医療を止めない体制を医療機関とともに構築していく必要性があるものと認識しております。加えて、医療機器メーカーによるリスク低減施策として大手ディーラーへの取引先集約という動きもあることから、中小企業の多い医療機器販売業界においては、企業規模、商圏の拡大を目的とした合従連衡の機運が一層高まるものと考えられます。
このような状況の中、当社グループが中長期的な成長を維持して企業価値の最大化を図っていくために取り組むべき課題は次のとおりであります。
① 顧客価値の最大化
当社グループの提供価値の最大化にあたって、その中核となる地域は、国内最大の市場である東京都を中心とする首都圏です。今までに培ったノウハウと情報ネットワークを活用して、医療機器の販売だけでなく、当社グループが独自に構築した日本最大級の医療材料データベースである「ASOURCE® DATABASE」を基盤とした、物流管理システムや手術室運営支援プログラム「SURGELANE®」、材料価格最適化支援システム「meccul®」等の各種ソリューションツールを組み合わせることで、良質な医療環境の提供及び病院の経営改善に総合的に貢献できる企業として引き続き首都圏の医療機関へ積極的に提案を行ってまいります。また、急性期医療を提供する医療機関への営業強化並びに低侵襲手術分野への注力により市場シェアの獲得を図る方針です。併せて、各地域においても営業体制の更なる盤石化を図ります。
加えて、当社グループの品質と価格のベストバランスを追求したプライベートブランド商品である「ASOURCE® SELECT」の製品拡充を通じて、医療機関の皆様が医療機器を安全に安心してお使いいただけるように取り組んでいく方針です。
また、近年における新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の生活様式を一変させました。いかなる状況にも対応した医療提供体制の再構築が喫緊の課題であると認識しており、当社グループの各地域においてBCP対応が可能な体制を整備していくことで、機能的かつ持続可能な医療材料の提供体制を構築してまいります。
② M&A及びアライアンスの推進とグループ経営管理体制の強化による収益性向上
競争激化や人材不足等の要因で厳しさを増す経営環境に対応するため、継続的にM&A及びアライアンスを推進し、事業規模の拡大や人材の獲得を図る方針です。
委員会等の組織横断的な取り組みや人事交流を通じてグループ内の連携を強化し、ノウハウを共有するとともに当社グループの有するソリューションツールの活用を推進していくことで生産性の向上を図ります。売上原価率の低減に向けた取り組み、IT、物流等の業務インフラの整備や管理業務の集約による効率化に加え、働き方改革に向けた業務環境の改善についてもグループ一体となって注力してまいります。これらの取り組みについては、DXを推進していくことで効果の最大化を図ります。併せて、PMI(Post Merger Integration:統合効果の最大化)の推進についてもシナジーの早期発現に向けて重点課題として取り組んでまいります。
また、トラックドライバーの残業上限規制が適用されたことで輸送コストの上昇が見込まれる中でも、当連結会計年度より稼働いたしました倉庫管理システムを起点とした物流ソリューションによる業務の効率及び品質の向上並びにサプライチェーン全体の最適化に向けた新規施策への取組及びアライアンスを推進することで生産性を高めてまいります。
以上の取り組みにより、当社グループは事業規模の拡大と収益性の向上を実現し、長期にわたり安定的な成長を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
以下の記載事項のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
①ガバナンス
当社グループは、ESGの側面を経営戦略に統合し、長期的な視野で持続可能な経営を実践することを目的に、取締役会の諮問機関として「サステナビリティ委員会」及び「サステナビリティ専門委員会」を設置しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、実行委員長であるサステナビリティ担当取締役や執行役員、専門委員長等の委員で構成されており、マテリアリティ(重要課題)の特定、戦略・目標の策定、施策の進捗管理・評価、グループ全体への展開等の機能を担っております。5つのサステナビリティ専門委員会を設置し、各専門委員会にて検討された内容が集約され、サステナビリティ委員会を通して取締役会に報告されます。取締役会では、執行側の取り組み状況を監督しており、サステナビリティ委員会へフィードバックしていく仕組みとなっております。
<サステナビリティの推進体制>

<2024年6月期 サステナビリティ関連審議、報告実績>
②リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ専門委員会として「リスク委員会」を設置し、グループ全体のリスク管理を行い、各社の対応状況をモニタリングする体制としています。リスク委員会では、「コンプライアンス委員会」「当社グループを横断した委員会(情報システム委員会、人事委員会等)」「サステナビリティ専門委員会(社会共生委員会、人的資本委員会等)」の各委員会で評価・分析され報告された重要なリスクを集約・精査し、サステナビリティ委員会と連携のうえ取締役会に報告することとしています。なお環境・社会に関するリスクは、
③戦略
持続可能な社会の実現と当社グループの持続的・発展的成長の実現のため、長期的な視野で持続可能な経営を推進するための大きな柱としてのマテリアリティ特定に向けて、サステナビリティ委員会が中心となり推進、取締役会で審議・承認を経て特定いたしました。今後はマテリアリティを基盤とし、サステナビリティ活動を当社グループ全体で推進してまいります。
マテリアリティとサブトピックス

マテリアリティの特定プロセス
以下のプロセスを経て、マテリアリティを検討し、特定いたしました。
STEP1 課題の把握と抽出
市場の変化(メガトレンド)、GRIスタンダード等の国際的ガイドライン、ESG評価機関の評価項目を参照し、社会課題を網羅的に把握しました。社会課題と照らし合わせ、当社グループ課題を抽出するため、バリューチェーン分析、経営/事業分析、メガトレンド分析、ステークホルダー分析を実施し、課題を抽出いたしました。
STEP2 課題の整理と集約
当社グループの理念、方針、戦略、及び当社グループへの社会からの期待と要請と、STEP1の各分析で抽出した課題とを照らし合わせ、課題の整理と集約を実施いたしました。
STEP3 影響評価
STEP2で整理・集約した課題について、「当社グループが社会・環境に与える影響度」と「社会・環境が当社グループの経営に与える影響度」との2軸で評価し、それぞれの影響度が高いものをマテリアリティ候補として位置付けをいたしました。

STEP4 マテリアリティの特定
STEP3で候補となったマテリアリティについて、サステナビリティ委員会での議論、取締役会で審議・承認を経て、当社グループのマテリアリティを特定いたしました。
(2)気候変動対応
当社グループは、パリ協定、TCFD提言を支持し、気候変動への対応を緊急性の高い重要な問題と認識しております。気候変動による大きなリスクへの対応に努めるとともに、新たな機会をもたらす成長機会と捉え、気候変動への対応を当社グループ全体で積極的に推進してまいります。
①ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ専門委員会として「社会共生委員会」を設置しております。社会共生委員会では、気候変動に関わる項目(GHG排出量測定、リスクと機会の分析、対応方針、目標、取り組み等)の検討、議論、特定を行う体制としております。気候変動に関わる重要事項については、サステナビリティ委員会より取締役会に報告されます。
②リスク管理
気候変動に伴うリスクは社会共生委員会にて評価・分析されます。リスク委員会では、社会共生委員会で評価・分析され報告された重要なリスクを集約・精査し、サステナビリティ委員会と連携のうえ取締役会に報告することとしています。
③戦略
TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼすリスク・機会に関して、以下のステップで検討いたしました。

また、1.5℃シナリオと、4℃シナリオの二つのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施いたしました。
<事業に影響を及ぼすリスク>

<事業に影響を及ぼす機会>

※時間軸 短期:3年以内、中期:3~10年、長期:10~30年
※影響度 大:10億円以上、中:3~10億円、小:3億円未満
④指標及び目標
当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき2022年度の温室効果ガス排出量(Scope1-3)の算定を実施いたしました。温室効果ガス排出量の削減目標については、当社グループを対象に2030年度に2022年度の基準排出量からScope1,2を42%削減する水準を設定しております。なお、今後はScope3の削減目標についても設定し、サプライチェーン全体で温室効果ガスの削減を図ってまいります。
<2022年度の温室効果ガス排出量(Scope1-3)の算定結果>

※Scope3 8 リース資産(上流)、9 輸送(下流)、10 商品の加工、13 リース資産(下流)、
14 フランチャイズ、15 投資は当社の事業と関連性がないため、算定対象外としております。
(3)人的資本
当社グループにおいて、企業価値を創造する源泉として人的資本が最も重要な要素の一つであり、従業員が自身の力を最大限に発揮するための環境構築が重要であると考えております。さらに社会的にも人権尊重・安全衛生等をより高いレベルで行うことが求められております。このような背景から、人的資本に関わる取り組みを当社グループ全体で積極的に推進してまいります。なお、管理職に占める女性管理職の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異については、「従業員の状況」をご参照ください。
①ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ専門委員会として「人的資本委員会」を設置しております。人的資本委員会では、当社グループにおける企業価値向上に向けた人的資本分野での課題や、課題を克服するための取り組み、指標及び目標設定について議論を行っております。人的資本に関わる重要事項についてはサステナビリティ委員会より取締役会に報告されます。
②リスク管理
各部門及びグループ会社各社は、顕在化あるいは潜在化している人的資本に伴うリスクに関して、コンプライアンス委員会、人的資本委員会、人事委員会に報告し、各委員会は評価・分析した重要なリスクについて、リスク委員会へ報告します。リスク委員会は四半期に1回開催され、評価の結果、特に重要と判断されたリスクに関しては必要に応じて、サステナビリティ委員会より取締役会へ報告されます。
③戦略並びに指標及び目標
社内環境整備方針と人材育成方針
当社グループでは人的資本を推進するにあたり、組織価値観の共有、行動規範の体現のために、社内環境整備方針及び人材育成方針を以下のとおりとしております。
<社内環境整備方針>

※ C&I(チェンジ&イノベーション)活動の目的
C (チェンジ):全社員の業務に対する意識を変え、大きく変わることの無かったワークスタイルや業務手法を改めて見直し、新しく機能的な業務・時間の使い方にチェンジする。
I (イノベーション):新たな価値観で業務に取り組み、今後の業界の変化・市場の変化に対応可能なワークスタイルを創造する。社員の能力向上を引き出す『チェンジ・リーダー』が生まれ、変化を歓迎する気風を組織の中に醸成させる。
<人材育成方針>

重点取組課題
マテリアリティ・方針(社内環境整備・人材育成)を踏まえ、当社グループの課題について、人的資本委員会にて総合的に検討いたしました。その結果、以下の3点を人的資本委員会の重点取組課題として設定いたしました。
a. エンゲージメント向上
b. 心理的安全性の向上
c. 働き方改革(業務効率化・多様な働き方の推進)
なお、マテリアリティ、方針(社内環境整備・人材育成)、人的資本委員会の重点取組課題及びその他課題について、以下のように考えております。

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下に記載のとおりであります。当該リスクについては、当社の取締役会の諮問機関として設置したサステナビリティ委員会の分科会(専門委員会)である「リスク委員会」において審議し、当社の取締役会において決議されたものであります。当社グループはこれらのリスクが発生する可能性を認識し、事業活動を行っております。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 業界環境について
① 国の医療政策について
我が国においては、少子高齢化が進む中、いわゆる団塊の世代が75歳以上となる2025年にかけて急速な医療ニーズの増加が見込まれることから、2014年に制定された医療介護総合確保促進法に基づき、病院・病床機能の分化・強化、在宅医療の充実、チーム医療の推進、医師等の確保・偏在対策等によって、患者個々の状態にふさわしい、良質かつ適切な医療を効果的・効率的に提供する体制の構築を目指す医療法の改正が行われております。この改正に基づき、各都道府県では、2025年の医療需要と医療機能ごとの病床の必要量を推計し地域の実情に応じた医療提供体制実現のための施策を内容とする「地域医療構想」を策定し、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの医療機能ごとの分化と連携を推進しております。
当社グループでは、地域における医療政策・外部環境の変化や医療機関の経営状況についてきめ細やかな情報収集に努め、ソリューションビジネスの推進による提案力の強化やスケールメリットを活かした物流効率化等、より一層地域医療への貢献を果たす施策に取り組む考えですが、医療機関における機能分化・集約が促進することで、医療機関ごとに購入する医療機器の集約が生じ販売先となる医療機関が減少する可能性、また、医療機器販売業界における競争を更に激化させる可能性があり、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
② 償還価格の改定について
償還価格とは、公的医療保険制度において医療機関が診療報酬として保険機関(一部は患者の負担)に請求できる代金のうち、医療材料として請求できる材料(特定保険医療材料)の請求価格であります。原則2年に1回行われる診療報酬の改定に伴い、償還価格も改定されます。特定保険医療材料の医療機関への販売価格及び仕入先からの仕入価格は、償還価格を基準にするものの、一定ではありません。また、償還価格の改定価格も各々の医療材料によりすべて異なります。従って、償還価格の改定による販売額や収益への影響額を事前に算定することは困難であります。
当社グループにおいては、このような償還価格の対象となる特定保険医療材料の販売高が全体の3分の1程度を占めており、償還価格の改定が当社グループの販売価格や売上総利益率の低下傾向に作用する場合には、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 経営戦略及び対処すべき課題について
① M&Aについて
当社グループでは、変化する業界環境に対応して成長を維持し、多様化する医療現場のニーズに応えるため、中長期的な経営戦略として、各地域に密着した企業とのM&Aによる企業規模の拡大を目指しています。スケールメリットを活用したコスト削減や業務効率化により、安定的な成長と企業価値の向上を図る考えです。
しかしながら、医療機器販売業界は中小規模の企業が多く、そのほとんどが非上場企業であり、必ずしも企業価値算定の基準となる市場価格が存在するわけではなく、財務内容の精緻化及び透明性においても十分ではないものと認識しております。当社グループでは、取得価格や合併比率等の決定にあたっては、事前調査を実施の上で財務状況や事業計画の進捗状況、将来の見通し等を総合的に勘案し、規模等に応じ独立した第三者算定機関による企業価値算定結果をも踏まえたうえで、可能な限り慎重に交渉・協議する考えですが、根拠とした事業計画を達成できる保証は無く、結果として予測通りの収益を得られないと判断された場合には、「のれん」の減損損失を計上する可能性があり、これにより当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。また、事前調査にあたっては、細心の注意を払い可能な限り正確に実施する考えですが、買収・合併後に簿外債務やコンプライアンス上の問題が発生する可能性があり、これにより当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。
また、M&Aの対象となる各社にはそれぞれの企業文化と従業員がいることを認識しております。当社グループでは、地域に密着した各社の企業文化と従業員を尊重し、グループとして手を携えていく考えですが、企業文化の融合や人事交流が円滑に実施できず、人材が流出してしまう場合や基幹システム・業務手順の統合が徹底できない場合には、M&Aによる業務の効率化やシナジー効果等の予測された効果が発揮できない可能性があり、これにより当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
② 新規事業について
当社グループでは、多様化する医療現場のニーズに応えるため、ソリューションビジネスの推進による提案力の強化やスケールメリットを活かした物流効率化等、より一層、地域医療への貢献を果たす施策に取り組み、企業価値の向上に努めていく考えです。当社グループが新規事業に取り組む場合には、事前に十分な検討を行ったうえで事業計画が策定され、取締役会における承認のうえで行われます。しかしながら、新規事業の展開には先行投資が必要となるケースが多く、当該事業が安定して収益を計上するまでには相当の時間を要することが予想されるため、一時的に当社グループの利益率が低下する可能性があります。また、医療業界の環境変化等により当該事業が当初の事業計画通りに展開できなかった場合には、投資を回収できなくなる可能性があり、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 効率的な経営体質について
当社グループは、購買から販売、請求・入金といった各業務を連携・統合する基幹システムをグループ事業会社に導入することで効率的な経営体質と内部統制の強化を図っており、各部が連携し、運用する営業現場や管理部門からの情報・意見を汲み上げながら、今後も、システムの機能強化や更なる整備に取り組み、より付加価値の高いシステム環境を構築していく方針です。しかしながら、システム環境の構築には多額の設備投資が必要となる一方で、医療現場の運用や多様化するニーズとの間に齟齬が生じてしまった場合、新規運用についての成熟が思うように進まなかった場合には、かえって営業生産性や業務効率性を低下させる可能性があり、これにより投資を回収できなくなる可能性、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 当社グループの事業に係る法的規制について
当社グループは事業の遂行にあたって、以下のような法的規制の適用を受けております。
そのため当社グループでは、医療に携わる企業として、「正義と利益のどちらかを取らなければならない状況に遭遇したら、迷わず正義を取れ」を企業活動の基本姿勢とし、コンプライアンスガイドラインの策定、eラーニングでの社内研修制度により、当社グル―プの役員及び従業員としての行動規範の周知徹底を図り、法的規制に対する違反行為のリスクを低減するよう努めています。また、他の業務執行部門から独立した当社の内部監査室による内部監査を実施し、内部管理体制の適切性・有効性を検証、評価し、その改善を促すことにより、法令を遵守するための体制構築に取り組んでおります。しかしながら、これらの対策を行ったとしても、役員及び従業員による個人的な不正行為を含む法的規制に対する違反行為のリスクを回避できない可能性があります。法的規制に対する違反行為があった場合には、違反の内容に応じて、許認可等の取消その他の行政処分、罰金刑といった法的制裁を受ける可能性の他、取引先からの取引停止を受ける可能性、当社グループへの信頼低下等による販売活動へ影響が生じる可能性、被害者に生じた損害の賠償、内部管理体制の改善・強化等のために多額の費用が生じる可能性があり、これにより当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
① 許認可等について
医療機器の販売業・貸与業・修理業・製造販売業、医薬品及び再生医療等製品の販売業について医薬品医療機器等法による規制の適用を受けており、その他遂行する事業、取扱う商品・サービスに応じて、毒物及び劇物取締法、介護保険法、建設業法といった各種業法による規制の適用を受けております。医薬品医療機器等法を含む各種業法に基づき取得している主な許認可等については、次のとおりです。
② 贈賄防止に関する法令・独占禁止法について
当社グループの販売先には国公立病院等の公的な医療機関が含まれており、取引にあたっては入札が実施されることもあるため、贈賄防止に関する法令や入札談合を禁止する独占禁止法を遵守する必要があります。なお、当社グループは米国メーカーの医療機器を多数取り扱っており、贈賄防止に関する法令については国内法だけでなく、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)等の国外法にも注意を払う必要があります。
③ 景品表示法・医療機器業公正競争規約について
景品表示法は医療機器販売業を含む医療機器業等の業種に適用する特別の景品規制を設けており、当社グループは医療機関等に対して、医療機器の取引を不当に誘引する手段として、医療機器の使用のために必要な物品又はサービスその他正常な商慣習に照らして適当と認められる範囲を超えて景品類を提供することを禁止されております。景品規制については、同法の規制に加え、当社グループが属する業界の自主規制団体である医療機器業公正取引協議会が制定した医療機器業公正競争規約についても遵守する必要があります。。
④ 個人情報保護法について
当社グループでは従業員の個人情報の他、医療機関が保有する個人情報、医療機器・介護福祉機器の個人販売先の個人情報を取扱うことがあります。個人情報を取扱うにあたっては、個人情報保護法に基づき、適正な取得や漏えい防止のための管理体制を整備する必要があります。
(4) 大規模自然災害・新興感染症について
① 大規模自然災害について
当社グループは、首都圏をはじめとする各地に拠点を置き、広範囲に事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水、雪害等の自然災害の発生に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、当社グループも医療業界の一員として医療インフラの継続を図るための安定供給体制の整備に努めております。災害の発生に備え、神奈川県内に免震構造の物流センターを、群馬県内に倉庫面積19,000㎡超の大規模物流センターを有し、商品供給維持のためのバックアップ体制の拡充に努めております。しかしながら、当社グループの事業範囲は広範囲であり、昨今の気候変動に伴う災害の大規模化を鑑みると、災害が発生した場合のリスクを全て回避することは困難であります。災害の規模が想定を大きく上回り、当社グループの本社・事業拠点、倉庫施設等の被災により商品が汚損・破損した場合、従業員の勤務が困難となった場合、流通経路の寸断により納品が困難となった場合、顧客及び仕入先等の被災により販売及び仕入が困難となった場合には、経常的な事業運営に支障をきたし、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
② 新興感染症について
当社グループは、病院や診療所等の医療機関と日常的に密接な関わりを持ち事業活動を行っております。当社グループは、医療関係者として医療機関に準じた感染予防対策を含んだ新興感染症BCPマニュアルを策定し、従業員・顧客・取引先の安全対策の実施に努めております。しかしながら、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のような大規模な新興感染症が発生し、感染拡大の規模やスピードが想定を大きく上回った場合には、一時的な事業停止、仕入の遅滞、在庫の滞留、売掛債権回収の遅延等経常的な事業運営に支障をきたし、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 当社グループの製品について
① 取扱製品の使用期限管理について
医療機器や医薬品をはじめとして、当社グループで取扱う製品の一部には、製造元により使用期限が設定されています。当社グループでは、より安全で高品質な製品を医療・介護福祉の現場にお届けすることを目指し、定期的な実地棚卸の実施その他運用の徹底・検証、ITシステムの活用により使用期限管理体制の改善・強化に取り組んでおります。しかしながら、万が一、当社グループの人為的要因やシステムトラブルにより使用期限を経過した製品が流通し重大な健康被害が生じた場合には、医療機器販売業等に係る許認可等の取り消し、当社グループへの信頼低下などにより販売活動へ影響が生じる可能性や、患者様・医療機関等への補償、使用期限管理体制の改善・強化等のために多額の費用が生じる可能性があり、これにより当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
② プライベートブランド商品について
当社グループでは、医療機関のニーズを重視したプライベートブランド商品の販売を行っておりますが、医療関連製品であることから、確かな品質を追求しております。ディーラーからメーカーへと立場を変え、責任ある商品の選定・供給に努めておりますが、プライベートブランド商品に予期しがたい欠陥や不具合が発生した場合には、商品回収や損害賠償などによる多大な費用負担に加え、当社グループへの信頼低下により、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
③ 医療技術の革新について
医療技術は日々進歩しており、例えば心疾患治療における低侵襲性医療の発展により、使用される医療機器にも変化があります。当社グループは、医療機器の総合ディーラーとして、特定の領域に偏ることなくほぼ全ての領域の医療機器を取扱っておりますが、今後の医療技術の革新により、取扱っている医療機器の使用が減少する場合には、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 貸倒れリスクについて
当社グループでは、取引先の現状、将来性、経営者、業界事情等を評価・判断し与信管理規程に則った取引先別の与信限度額を設定し、与信管理を徹底することで、貸倒れ等を未然に防止し、且つ最小限に抑えるよう努めております。しかしながら、取引先の業績悪化などで予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、損失・引当の計上が必要となった場合には、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 業績の変動について
当社グループの販売先には国公立病院等の公的な医療機関が含まれており、当該医療機関は12月及び年度末である3月において設備投資を集中して行う傾向があるため当社グループの販売高は毎年第2Q及び第3Qにおいて他の期より高くなり、これに連動して利益も当該時期に増加する傾向があります。また、その反動で第4Qにかけての販売高が他の期より低くなり、これに連動して利益も当該時期に減少する傾向があります。また、医療機関の新築、移転、増築が行われる際には、多額の医療機器の一括購入が発生し、一時的に販売高が増加する場合があります。従って、当社グループの四半期の経営成績は、通期の経営成績に連動するものではなく、四半期又は半期の経営成績だけをもって、通期の経営成績を予想することは困難であります。
なお、2022年6月期から2024年6月期における各四半期の売上高及び営業利益又は営業損失の状況は、以下のとおりであります。
(注)2024年6月期の第3四半期連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、第1四半期連結会計期間、第2四半期連結会計期間及び第3四半期連結会計期間の営業利益については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、医療機関に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症の位置付けが感染症法上の5類感染症に移行したこともあり、医療需要の回復が見られた一方、エネルギー価格の高止まりや為替変動の影響に起因するコスト増加が続くことも懸念され、依然として先行きが不透明な状況が続いております。また、医療機関においては、本感染症の感染拡大に端を発し増加している感染対策に係るコストや物価上昇等の社会情勢により経営環境は厳しさを増しており、効果的・効率的な医療提供体制の構築が重点課題となっております。
このような経営環境のもと、当社グループは、持続可能な医療体制構築に向けて、製品の安定供給並びに顧客の課題解決に取り組むことを方針として事業活動を行っております。
当連結会計年度においては、医療需要の回復及び新規顧客獲得等の販売拡大により手術室関連製品等の販売が好調に推移いたしました。一方、新型コロナウイルスの検査に係る試薬及びPPE(個人用防護具)等の感染対策に関わる製品については需要の落ち着きに伴い販売が減少いたしました。売上総利益においては、物価上昇や円安の影響を受け、売上原価が増加したものの、増収に伴い増加しております。
販売費及び一般管理費については、主要子会社における事業規模拡大に伴う人員採用及びベースアップの実施により人件費が増加いたしました。加えて、販売拡大に伴う物流コストの増加、セキュリティ強化及び法令対応に伴うシステム関連費用の発生並びに事業譲受に伴うのれん償却費の増加により増加しております。なお、特別利益において279百万円を計上しておりますが、主たる要因は投資有価証券の売却益であります。
この結果、当連結会計年度における売上高は259,789百万円(前期比8.7%増)、営業利益は1,327百万円(同29.4%減)、経常利益は1,750百万円(同27.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,124百万円(同24.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(医療機器販売事業)
医療機器販売事業につきましては、検査試薬、PPE(個人用防護具)等の新型コロナウイルス感染症に係る製品の販売は減少したものの、整形外科領域を中心に手術室関連製品の販売が拡大いたしました。また、循環器領域においても新規顧客の獲得及び症例回復により販売が拡大し、売上高及び売上総利益は前期と比較して増加いたしました。
しかし、事業規模拡大に伴う人員増加、営業拠点の移転及び開設に関する費用の発生並びに物流関連コストの増加等により販売費及び一般管理費が増加したことでセグメント利益については減少いたしました。
この結果、売上高は253,996百万円(前期比8.7%増)、売上総利益は28,853百万円(同6.2%増)、セグメント利益(営業利益)は9,186百万円(同0.7%減)となりました。
(介護・福祉事業)
介護・福祉事業につきましては、介護機器のレンタル事業及びストーマ製品の販売が好調に推移したことで、前期と比較して売上高、売上総利益及びセグメント利益は増加いたしました。
この結果、売上高は5,792百万円(前期比5.6%増)、売上総利益は2,250百万円(同4.7%増)、セグメント利益(営業利益)は436百万円(同7.8%増)となりました。
(注)当社グループのセグメントは、次のとおりであります。
医療機器販売事業……(医療機器販売事業)
国内の医療機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた医療機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設に販売しており、当社グループの基幹となる事業であります。
(医療機器の修理及びメンテナンス事業)
当社グループが病院等医療施設に販売した医療機器の修理及びアフターサービス、病院等医療施設との保守契約に基づく医療機器全般のメンテナンスを行っております。
介護・福祉事業……… 国内外の介護福祉機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた介護福祉機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設及び介護施設並びに医療機器販売業者、一般個人に販売しております。また、介護福祉機器の一般個人へのレンタルを行っております。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から17,371百万円増加し114,826百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末から15,024百万円増加し91,252百万円となりました。これは主に現金及び預金が3,311百万円、受取手形及び売掛金が7,777百万円、未収入金が3,012百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末から2,346百万円増加し23,574百万円となりました。これは主に有形固定資産が1,058百万円、無形固定資産が782百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から16,205百万円増加し95,089百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末から12,783百万円増加し84,326百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が7,665百万円、短期借入金が4,997百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末から3,421百万円増加し10,762百万円となりました。これは主に長期借入金が384百万円減少した一方で、長期前受収益が3,292百万円、役員退職慰労引当金が159百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から1,165百万円増加し19,737百万円となりました。これは主に利益剰余金が642百万円、その他有価証券評価差額金が261百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ3,253百万円増加し、13,544百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,921百万円の収入(前期は1,224百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、税金等調整前当期純利益1,946百万円、減価償却費1,532百万円、仕入債務の増加額6,175百万円等の収入要因が、売上債権の増加額6,711百万円、棚卸資産の増加額781百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,674百万円の支出(前期は862百万円の支出)となりました。
これらの要因は主に、投資有価証券の売却による収入358百万円等の収入要因が、有形固定資産の取得による支出1,218百万円、無形固定資産の取得による支出442百万円、長期前払費用の取得による支出551百万円、事業譲受による支出800百万円等の支出要因を下回ったことによるものであります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,006百万円の収入(前期は862百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、短期借入金の純増額5,150百万円、長期借入れによる収入660百万円等の収入要因が、長期借入金の返済による支出1,251百万円、配当金の支払額482百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の売上高は259,789百万円(前期比8.7%増)となりました。これは主に、医療機関における手術・検査症例数の増加及び整形外科を中心とした新規症例獲得に伴う手術関連製品の販売増加によるものです。また循環器領域においても新規顧客の獲得及び症例回復による販売増加も増収に寄与しております。
販売費及び一般管理費については、事業規模拡大に伴う人員採用、物流関連コストの増加及び事業譲受に伴うのれん償却費の増加により増加しております。増収に伴う売上総利益の増加に加え、メーカーからのリベートの増加も収益に寄与しているものの、販売費及び一般管理費の増加を吸収するには至らず、営業利益は1,327百万円(前期比29.4%減)、経常利益は1,750百万円(前期比27.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,124百万円(前期比24.9%減)となりました。
ⅰ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローにつきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ⅱ 資金の需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、医療機器及び医療材料の仕入の他、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金につきましては、内部資金又は金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資やM&A等による投資資金は金融機関からの長期借入れを基本としております。
当社グループは長期にわたる安定的な成長を目指しており、そのためには、収益性、効率性向上による利益拡大が重要であると考えております。このような認識のもと自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とし、指標の最大化に向けて邁進してまいります。前期と比較して手術症例数が増加したこと及び新規施設における販売により手術室関連製品等の販売が好調に推移した一方、事業規模拡大に伴うコスト増加により当連結会計年度においては5.9%となりました。収益性及び資本効率を高めることで中長期的には8.0%以上を維持していくことを目標としております。
当社グループの属する医療機器販売業界は、政府の医療費抑制政策を受けて、地域における効率的な医療供給体制の構築に向けた病院の再編及び高額医療機器や材料価格の見直しが行われております。このような環境のもと、既存エリアにおける業容拡大のみならず、M&Aによる事業基盤の拡大により更なるマーケットシェアの向上を図っております。また、販売単価が下落傾向にある中、利益を確保するために、販売価格と仕入価格の継続的な交渉、スケールメリットを活かした購買力の強化、物流体制の改善、適正な在庫管理体制、プライベートブランドの販売推進等による収益性改善に取り組んでまいります。また、SPD、「SURGELANE®」、「meccul®」等の様々なソリューションビジネスの更なる推進により、医療機関の経営改善の支援をしていくことで、地域医療の課題解決へ貢献し、当社グループの社会的価値の向上を図ってまいります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(株式取得及び簡易株式交換によるマコト医科精機㈱の完全子会社化)
当社は、2024年2月21日開催の取締役会において、マコト医科精機㈱の株式を取得し子会社化すること(以下「本株式取得」という。)を決議し、当該決議に基づき同日付で株式譲渡契約書を締結いたしました。
その後、同年3月1日付で本株式取得によりマコト医科精機㈱の株式を一部取得した後、同年3月5日開催の取締役会において、当社を株式交換完全親会社、マコト医科精機㈱を株式交換完全子会社とする簡易株式交換を行うこと(以下「本株式交換」という。)を決議し、当該決議に基づき同日付で株式交換契約書を締結いたしました。なお、同年4月30日付で本株式交換は完了し、マコト医科精機㈱は当社の完全子会社となりました。
本株式取得及び本株式交換の詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
(連結子会社間における組織再編)
当社は、2024年5月22日開催の取締役会において、当社連結子会社である協和医科器械㈱が、会社分割(吸収分割)により協和医科器械㈱の山梨県内で展開する事業に係る資産その他権利義務を当社連結子会社であるマコト医科精機㈱へ承継すること(以下「本組織再編」という。)を決議いたしました。協和医科器械㈱とマコト医科精機㈱とは、当該決議に基づき同日付で会社分割契約書を締結しております。
本組織再編の詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。