第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

当社グループは、人々の生命や健康にかかわる医療機器を取り扱う企業として、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制確保に資する責任を果たすために『地域医療への貢献』を理念として掲げ、迅速かつ適切で安定した医療機器の供給、それぞれの地域に適応した付加価値の高いサービスの提供、最新の情報提供等を通じて、地域社会、ひいてはすべての人々の健康と豊かな生活へ貢献することを目指しております。

このような企業理念の実現のため、各地域において顧客を始めとしたステークホルダーから最も信頼される存在となることをビジョンとして掲げております。経営環境の目まぐるしい変化に対応するため、当社グループ独自のサービス提案の強化、M&Aによる企業規模の拡大と効率的な資源配分、シナジーの創出により安定的な成長を目指し、業績においても業界におけるリーディングカンパニーとなることを目指してまいります。当社グループの持続的な成長にあたり、その基盤となるのは従業員であると認識しております。そのため、人的資本強化に関する取り組みを推進することで、従業員が最良のパフォーマンスを発揮できる環境を整備してまいります。

また、利潤の追求のみならず、当社グループの社会的価値の向上も重視し、リスク管理・コンプライアンス体制及びコーポレート・ガバナンスの強化による透明性・健全性の高い経営体制の構築、ESG、SDGsへの取り組みも推進することで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

政府は高齢化進展による2025年問題等を背景に、診療報酬の見直し、病院の機能分化等の医療提供体制の整備を図っており、医療機器販売業界では償還価格の下落や競争激化による利益率の低下という影響を受けております。一方、高齢化進展に伴う医療機器の需要増加の影響もあり、市場規模自体は緩やかに拡大しております。また、「医師の働き方改革」の施行に伴う人手不足や、資源高騰や円安に伴う物価上昇等の制約の中でも医療の質の維持・向上と併せて業務効率化が一層求められる、医療機関にとって厳しい環境となることが想定されます。そのため、医療経営に資するサービスの提供がより一層求められるものと予想しております。加えて、医療機器メーカーによるリスク低減施策として大手ディーラーへの取引先集約という動きもあることから、中小企業の多い医療機器販売業界においては、企業規模、商圏の拡大を目的とした合従連衡の機運が一層高まるものと考えられます。

このような状況の中、当社グループが中長期的な成長を維持して企業価値の最大化を図っていくために取り組むべき課題は次のとおりであります。

 

① 顧客価値の最大化

当社グループの提供価値の最大化にあたって、その中核となる地域は、国内最大の市場である東京都を中心とする首都圏です。今までに培ったノウハウと情報ネットワークを活用して、医療機器の販売だけでなく、当社グループが独自に構築した日本最大級の医療材料データベースである「ASOURCE® DATABASE」を基盤とした、物流管理システムや手術室運営支援プログラム「SURGELANE®」、材料価格最適化支援システム「meccul®」等の各種ソリューションツールを組み合わせることで、良質な医療環境の提供及び病院の経営改善に総合的に貢献できる企業として引き続き首都圏の医療機関へ積極的に提案を行ってまいります。また、急性期医療を提供する医療機関への営業強化並びに低侵襲手術分野への注力により市場シェアの獲得を図る方針です。併せて、各地域においても営業体制の更なる盤石化を図ります。
 加えて、当社グループの品質と価格のベストバランスを追求したプライベートブランド商品である「ASOURCE® SELECT」の製品拡充を通じて、医療機関の皆様が医療機器を安全に安心してお使いいただけるように取り組んでいく方針です。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大は、人々の生活様式を一変させました。いかなる状況にも対応した医療提供体制の再構築が喫緊の課題であると認識しており、当社グループの各地域においてBCP対応が可能な体制を整備していくことで、機能的かつ持続可能な医療材料の提供体制を構築してまいります。

 

② M&A及びアライアンスの推進とグループ経営管理体制の強化による収益性向上

競争激化や人材不足等の要因で厳しさを増す経営環境に対応するため、継続的にM&A及びアライアンスを推進し、事業規模の拡大や人材の獲得を図る方針です。

委員会等の組織横断的な取り組みや人事交流を通じてグループ内の連携を強化し、ノウハウを共有するとともに、当社グループの有するソリューションツールの活用を推進していくことで生産性の向上を図ります。売上原価率の低減に向けた取り組みや、IT・物流等の業務インフラの整備や管理業務の集約による効率化に加え、働き方改革に向けた業務環境の改善についてもグループ一体となって注力してまいります。これらの取り組みについては、DXを推進していくことで効果の最大化を図ります。併せて、PMI(Post Merger Integration:統合効果の最大化)の推進についてもシナジーの早期発現に向けて重点課題として取り組んでまいります。

また、医療機器物流においては、新たに設立した子会社を通じて病院や医療機関とのより密接な関係を構築し、サプライチェーンの最適化に向けた取り組みを強化してまいります。

以上の取り組みにより、当社グループは事業規模の拡大と収益性の向上を実現し、長期にわたり安定的な成長を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

① ガバナンス

  当社グループは、取締役会、サステナビリティ委員会といった会議体から構成されるガバナンス体制を敷い 

ております。サステナビリティ委員会は代表取締役社長が委員長、サステナビリティ担当取締役が実行委員長

を務め、年4回開催されております。

  サステナビリティ委員会はマテリアリティ(重要課題)の特定、戦略・目標の策定、施策の進捗管理・評

価、グループ全体への展開等の機能を担っております。5つのサステナビリティ専門委員会を設置し、各専門

委員会にて検討された内容が集約され、サステナビリティ委員会を通して取締役会に報告されます。取締役会

は執行側の取り組み状況を監督し、サステナビリティ委員会へフィードバックしていく仕組みとなっておりま

す。

 

<サステナビリティの推進体制>


 

 

<2025年6月期 サステナビリティ関連審議、報告実績>

サステナビリティ

関連会議体

開催数

主な承認・審議・報告事項

取締役会

4回

  ・サステナビリティ規程改訂
  ・サステナビリティ取組み、開示、外部評価報告

サステナビリティ

委員会

4回

  ・サステナビリティ関連開示について
  ・マテリアリティ中長期ビジョンについて
  ・サステナビリティ理念について
  ・専門委員会活動の定例報告
  ・サステナビリティ啓蒙について
  ・外部評価について

 

 

 

② 戦略

  当社グループでは、サステナビリティ理念およびサステナビリティ関連の方針・ガイドラインを定めており

ます。今後は、グループ全体の共通理解のもとに組織横断的にサステナビリティ関連の取り組みを推進してま

いります。
 
  (a)サステナビリティ理念および関連方針


 

(b)マテリアリティ
     持続可能な社会の実現と当社グループの持続的・発展的成長の実現のため、長期的な視野で持続可能な経営を

  推進するため、当社グループの中長期的な重要課題として5つのマテリアリティを特定いたしました。


 

<マテリアリティの特定プロセス>

以下のプロセスを経て、マテリアリティを特定いたしました。

STEP1 課題の把握と抽出

市場の変化(メガトレンド)、GRIスタンダード等の国際的ガイドライン、ESG評価機関の評価項目を参照し、社会課題を網羅的に把握しました。社会課題と照らし合わせ、当社グループ課題を抽出するため、バリューチェーン分析、経営/事業分析、メガトレンド分析、ステークホルダー分析を実施し、課題を抽出いたしました。

 

STEP2 課題の整理と集約

当社グループの理念、方針、戦略、及び当社グループへの社会からの期待と要請と、STEP1の各分析で抽出した課題とを照らし合わせ、課題の整理と集約を実施いたしました。

 

STEP3 影響評価

STEP2で整理・集約した課題について、「当社グループが社会・環境に与える影響度」と「社会・環境が当社グループの経営に与える影響度」との2軸で評価し、それぞれの影響度が高いものをマテリアリティ候補として位置付けをいたしました。


 

STEP4 マテリアリティの特定 

STEP3で候補となったマテリアリティについて、サステナビリティ委員会での議論、取締役会で審議・承認を経て、当社グループのマテリアリティを特定いたしました
 

③ リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ専門委員会として「リスク委員会」を設置し、グループ全体のリスク管理を行う体制としています。リスク委員会では、「コンプライアンス委員会」「当社グループを横断した委員会(情報システム委員会、人事委員会等)」「サステナビリティ専門委員会(社会共生委員会、人的資本委員会等)の各委員会で評価・分析され報告された重要なリスクを集約・精査し、サステナビリティ委員会と連携のうえ取締役会に報告することとしています。なお当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する主要なリスクは、「事業等のリスク」を併せてご参照ください。

 

 

④ 指標及び目標

マテリアリティにおける中長期ビジョンおよび指標を定めました。今後はマテリアリティをサステナビリティアクションプランに落とし込み、サステナビリティ活動を当社グループ全体で推進してまいります。
 

マテリアリティ

中長期ビジョン

主な指標

確かな医療・介護機器の

安定的な供給

・安全性、品質、価格、納期、サービスに

 おける顧客の高い満足度を維持、継続

・災害等の事業環境の変動に迅速に対応が

 可能な体制の整備

・サプライチェーン全体におけるサステナ

 ビリティのリスクと機会の把握、対応の

 実施

・BCP策定

・サステナビリティ調達方針策定

イマジネーションによる
医療・介護の変革支援

・地域特性の把握、地域に必要な医療・介護  

 のインフラ整備への貢献

・ソリューション力を活用し、医療介護施設

 の経営改善に資する複合的サービスの提供

・EDI(電子データ交換)
  プラットフォーム構築

環境保全への対応

・カーボンニュートラルに向けた、着実な温

 室効果ガスの削減

・環境に配慮された商品の取扱比率の増加

・温室効果ガス排出量
 (Scope1+2)削減

 目標:2030年度2022年度比42%削減

 

・環境マネジメントシステム構築

価値創造につながる
人材活躍の推進

・従業員全員が高いモチベーションを持ち、

 生き生きと働くことができ、安全で、長く

 安心して働ける職場環境、雇用制度、教育 

 制度の整備

・バリューチェーン全体において人権侵害が

 起こらない管理の実施

・事業の維持と成長のために必要となる人材

 の確保

・女性管理職比率
 目標:2030年度 10%以上

 

・男性育児休業取得率
 目標:2030年度 60%以上

 

・年間有給休暇取得日数

 目標:2030年度 年間10日以上

持続的な信頼の確立と
成長の両立

・公正なビジネスの遂行とコンプライアンス

 と腐敗行為防止の徹底

・情報セキュリティの適切な実施とインシデ

 ントの防止

・経営環境や自社の状況の分析、リスクや

 ビジネスチャンスの把握と対応の実施

・高い売上と収益を確保、安定した経営基盤 

 確立、新たな収益の柱の確立と新規事業・ 

 取組みへの投資の実施

・取締役会における
 独立社外取締役比率 

 目標:1/3以上維持

 

・内部統制研修受講率

 目標:グループ全体100%維持

 

 

(2)気候変動対応

 当社グループは、パリ協定、TCFD提言を支持し、気候変動への対応を緊急性の高い重要な問題と認識しております。気候変動による大きなリスクへの対応に努めるとともに、新たな機会をもたらす成長機会と捉え、気候変動への対応を当社グループ全体で積極的に推進してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ専門委員会として「社会共生委員会」を設置しております。社会共生委員会では、気候変動に関わる項目(GHG排出量測定、リスクと機会の分析、対応方針、目標、取り組み等)の検討、議論、特定を行う体制としております。気候変動に関わる重要事項については、サステナビリティ委員会より取締役会に報告されます。

 

② 戦略

TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼすリスク・機会に関して、以下のステップで検討いたしました。
 


 

また、1.5℃シナリオと、4℃シナリオの二つのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施いたしました。

 

<事業に影響を及ぼすリスク>


<事業に影響を及ぼす機会>


※時間軸 短期:3年以内、中期:3~10年、長期:10~30年
※影響度 大:10億円以上、中:3~10億円、小:3億円未満
 

 

③ リスク管理

気候変動に伴うリスクは社会共生委員会にて評価・分析されます。リスク委員会では、社会共生委員会で評価・分析され報告された重要なリスクを集約・精査し、サステナビリティ委員会と連携のうえ取締役会に報告することとしています。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき2022年度(2022年7月~2023年6月)より温室効果ガス排出量(Scope1-3)の算定を開始し、2023年度(2023年7月~2024年6月)についても算定を実施いたしました。温室効果ガス排出量の削減については、当社グループを対象に2030年度に2022年度基準排出量からScope1-2を42%削減する目標を設定しております。なお今後は、当社グループのみならず、サプライチェーン全体を意識し、温室効果ガスの削減を図ってまいります。

 

                 <2023年度の温室効果ガス排出量(Scope1-3)の算定結果>

Scope

Scope3カテゴリー

排出量(t-CO2)

 

Scope1-2 合計

 

10,133

 

Scope1

 

7,124

 

Scope2

 

3,009

 

Scope3

1 購入

1,380,365

 

2 資本財

4,837

 

3 その他燃料

2,034

 

4 輸送(上流)

1,666

 

5 廃棄物

143

 

6 従業員の出張

441

 

7 従業員の通勤

1,044

 

11 商品の使用

213,174

 

12 商品の廃棄

81

 

Scope3 合計

1,603,786

 

    合計                                            1,613,919

 

 

※Scope3 8 リース資産(上流)、9 輸送(下流)、10 商品の加工、13 リース資産(下流)、

14 フランチャイズ、15 投資は当社の事業と関連性がないため、算定対象外としております。

※Scope3 11 商品の使用、12 商品の廃棄は、協和医科器械(株)、(株)栗原医療器械店、

 (株)アルバース、(株)秋田医科器械店、佐野器械(株)の5社を算定対象としております。

 

(3)人的資本

当社グループにおいて、企業価値を創造する源泉として人的資本が最も重要な要素の一つであり、従業員が自身の力を最大限に発揮するための環境構築が重要であると考えております。さらに社会的にも人権尊重・安全衛生等をより高いレベルで行うことが求められております。このような背景から、人的資本に関わる取り組みを当社グループ全体で積極的に推進してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ専門委員会として「人的資本委員会」を設置しております。人的資本委員会では、当社グループにおける企業価値向上に向けた人的資本分野での課題や、課題を克服するための取り組み、指標及び目標設定について議論を行っております。人的資本に関わる重要事項についてはサステナビリティ委員会より取締役会に報告されます。

 

② 戦略

社内環境整備方針と人材育成方針

当社グループでは人的資本を推進するにあたり、組織価値観の共有、行動規範の体現のために、社内環境整備方針及び人材育成方針を以下のとおりとしております。

<社内環境整備方針>


※ C&I(チェンジ&イノベーション)活動の目的

C (チェンジ):全社員の業務に対する意識を変え、大きく変わることの無かったワークスタイルや業務手法を改めて見直し、新しく機能的な業務・時間の使い方にチェンジする。

I (イノベーション):新たな価値観で業務に取り組み、今後の業界の変化・市場の変化に対応可能なワークスタイルを創造する。社員の能力向上を引き出す『チェンジ・リーダー』が生まれ、変化を歓迎する気風を組織の中に醸成させる。

 

<人材育成方針>


 

重点取組課題

マテリアリティ・方針(社内環境整備・人材育成)を踏まえ、当社グループの課題について、人的資本委員会にて総合的に検討し、以下の3点を人的資本委員会の重点取組課題として設定しております。

a. エンゲージメント向上

b. 心理的安全性の向上

c. 働き方改革(業務効率化・多様な働き方の推進)

 

なお、マテリアリティ、方針(社内環境整備・人材育成)、人的資本委員会の重点取組課題及びその他課題について、以下のように考えております。


 

 

③ リスク管理

人的資本に伴うリスクは人的資本委員会にて評価・分析されます。リスク委員会では、人的資本委員会で評価・分析され報告された重要なリスクを集約・精査し、サステナビリティ委員会と連携のうえ取締役会に報告することとしています。

 

④ 指標及び目標

指標

目標(2030年度)

当期実績

女性管理職比率(注1)

10以上

8.5

男性育児休業取得率

60以上

47.5

年間有給休暇取得日数

年間10以上

9.5

 

注1 管理職は課長職(若しくは課長職相当)以上の社員とし、取締役を除きます。

※目標および当期実績はグループ全社の平均値としております。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下に記載のとおりであります。当該リスクについては、当社の取締役会の諮問機関として設置したサステナビリティ委員会の分科会(専門委員会)である「リスク委員会」において審議し、当社の取締役会において決議されたものであります。当社グループはこれらのリスクが発生する可能性を認識し、事業活動を行っております。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 業界環境について

① 国の医療政策について

我が国では、各都道府県において医療需要と医療機能ごとの病床の必要量を推計し地域の実情に応じた医療提供体制実現のための施策を内容とする「地域医療構想」を策定することとし、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの医療機能ごとの分化と連携を推進しております。

当社グループでは、地域における医療政策・外部環境の変化や医療機関の経営状況についてきめ細やかな情報収集に努め、ソリューションビジネスの推進による提案力の強化やスケールメリットを活かした物流効率化等、より一層地域医療への貢献を果たす施策に取り組む考えですが、医療機関における機能分化・集約が促進することで、医療機関ごとに購入する医療機器の集約が生じ販売先となる医療機関が減少する可能性、また、医療機器販売業界における競争を更に激化させる可能性があり、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 医療材料の償還価格の改定について

償還価格とは、公的医療保険制度において、医療機関が診療報酬として保険機関(一部は患者の負担)に請求できる代金のうち医療材料として請求できる材料(特定保険医療材料)の請求価格であります。原則2年に1回行われる診療報酬の改定に伴い、償還価格も改定されます。特定保険医療材料の医療機関への販売価格及び仕入先からの仕入価格は、償還価格を基準にするものの、一定ではありません。また、償還価格の改定価格も各々の医療材料により全て異なります。従って、償還価格の改定による販売額や収益への影響額を事前に算定することは困難であります。

当社グループにおいては、このような償還価格の対象となる特定保険医療材料の販売高が全体の3分の1程度を占めており、償還価格の改定が当社グループの販売価格や売上総利益率の低下傾向に作用する場合には、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 経営戦略及び対処すべき課題について

① M&Aについて

当社グループでは、変化する業界環境に対応して成長を維持し、多様化する医療現場のニーズに応えるため、中長期的な経営戦略として、各地域に密着した企業とのM&Aによる企業規模の拡大を目指しています。スケールメリットを活用したコスト削減や業務効率化により、安定的な成長と企業価値の向上を図る考えです。

しかしながら、医療機器販売業界は中小規模の企業が多く、そのほとんどが非上場企業であり、必ずしも企業価値算定の基準となる市場価格が存在するわけではなく、財務内容の精緻化及び透明性においても十分ではないものと認識しております。当社グループでは、取得価格や合併比率等の決定にあたっては、事前調査を実施の上で財務状況や事業計画の進捗状況、将来の見通し等を総合的に勘案し、規模等に応じ独立した第三者算定機関による企業価値算定結果をも踏まえた上で、可能な限り慎重に交渉・協議する考えですが、根拠とした事業計画を達成できる保証は無く、結果として予測どおりの収益を得られないと判断された場合には、「のれん」の減損損失を計上する可能性があり、これにより当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。また、事前調査にあたっては、細心の注意を払い可能な限り正確に実施する考えですが、買収・合併後に簿外債務やコンプライアンス上の問題が発生する可能性があり、これにより当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

また、M&Aの対象となる各社にはそれぞれの企業文化と従業員がいることを認識しております。当社グループでは、地域に密着した各社の企業文化と従業員を尊重し、グループとして手を携えていく考えですが、企業文化の融合や人事交流が円滑に実施できず、人材が流出してしまう場合や基幹システム・業務手順の統合が徹底できない場合には、M&Aによる業務の効率化やシナジー効果等の予測された効果が発揮できない可能性があり、これにより当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 新規事業について

当社グループでは、多様化する医療現場のニーズに応えるため、ソリューションビジネスの推進による提案力の強化やスケールメリットを活かした物流効率化等、より一層、地域医療への貢献を果たす施策に取り組み、企業価値の向上に努めていく考えです。当社グループが新規事業に取り組む場合には、事前に十分な検討を行った上で事業計画が策定され、取締役会における承認の上で行われます。しかしながら、新規事業の展開には先行投資が必要となるケースが多く、当該事業が安定して収益を計上するまでには相当の時間を要することが予想されるため、一時的に当社グループの利益率が低下する可能性があります。また、医療業界の環境変化等により当該事業が当初の事業計画どおりに展開できなかった場合には、投資を回収できなくなる可能性があり、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 効率的な経営体質について

当社グループは、購買から販売、請求・入金といった各業務を連携・統合する基幹システムをグループ事業会社に導入することで効率的な経営体質と内部統制の強化を図っており、各部が連携し、運用する営業現場や管理部門からの情報・意見を汲み上げながら、今後も、システムの機能強化や更なる整備に取り組み、より付加価値の高いシステム環境を構築していく方針です。しかしながら、システム環境の構築には多額の設備投資が必要となる一方で、医療現場の運用や多様化するニーズとの間に齟齬が生じてしまった場合、新規運用についての成熟が思うように進まなかった場合には、かえって営業生産性や業務効率性を低下させる可能性があり、これにより投資を回収できなくなる可能性、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 当社グループの事業に係る法的規制について

当社グループは事業の遂行にあたって、以下のような法的規制の適用を受けております。

そのため当社グループでは、医療に携わる企業として、「正義と利益のどちらかを取らなければならない状況に遭遇したら、迷わず正義を取れ」を企業活動の基本姿勢とし、コンプライアンスガイドラインの策定、eラーニングでの社内研修制度により、当社グル―プの役員及び従業員としての行動規範の周知徹底を図り、法的規制に対する違反行為のリスクを低減するよう努めています。また、他の業務執行部門から独立した当社の内部監査室による内部監査を実施し、内部管理体制の適切性・有効性を検証、評価し、その改善を促すことにより、法令を遵守するための体制構築に取り組んでおります。しかしながら、これらの対策を行ったとしても、役員及び従業員による個人的な不正行為を含む法的規制に対する違反行為のリスクを回避できない可能性があります。法的規制に対する違反行為があった場合には、違反の内容に応じて、許認可等の取消その他の行政処分、罰金刑といった法的制裁を受ける可能性の他、取引先からの取引停止を受ける可能性、当社グループへの信頼低下等による販売活動へ影響が生じる可能性、被害者に生じた損害の賠償、内部管理体制の改善・強化等のために多額の費用が生じる可能性があり、これにより当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

許認可等について

医療機器の販売業・貸与業・修理業・製造販売業、医薬品及び再生医療等製品の販売業について医薬品医療機器等法による規制の適用を受けており、その他遂行する事業、取扱う商品・サービスに応じて、毒物及び劇物取締法、介護保険法、建設業法といった各種業法による規制の適用を受けております。医薬品医療機器等法を含む各種業法に基づき取得している主な許認可等については、次のとおりです。

対象

法令等名

法的規制の内容

高度管理医療機器等販売業・貸与業

医薬品

医療機器等法

医薬品医療機器等法第39条第1項の規定により許可を受けております。

動物用高度管理医療機器等販売業・貸与業

医薬品

医療機器等法

医薬品医療機器等法第39条第1項の規定により許可を受けております。

医療機器修理業

医薬品

医療機器等法

医薬品医療機器等法第40条の2第1項の規定により許可を受けております。

第二種医療機器製造販売業

医薬品

医療機器等法

医薬品医療機器等法第23条の2第1項の規定により許可を受けております。

医薬品販売業

医薬品

医療機器等法

医薬品医療機器等法第24条第1項の規定により卸売販売業の許可を受けております。

再生医療等製品販売業

医薬品

医療機器等法

医薬品医療機器等法第40条の5第1項の規定により許可を受けております。

動物用医薬品販売業

医薬品

医療機器等法

医薬品医療機器等法第24条第1項の規定により卸売販売業の許可を受けております。

毒物劇物販売業

毒物及び

劇物取締法

毒物及び劇物取締法第4条第1項の規定により一般販売業の登録を受けております。

福祉用具販売事業

介護保険法

介護保険法第70条第1項及び第115条の2第1項の規定により指定特定福祉用具販売事業者及び指定特定介護予防福祉用具販売事業者の指定を受けております。

福祉用具貸与事業

介護保険法

介護保険法第70条第1項及び第115条の2第1項の規定により指定福祉用具貸与事業者及び指定介護予防福祉用具貸与事業者の指定を受けております。

一般建設業

建設業法

建設業法第3条第1項の規定により一般建設業の許可を受けております。

 

 

② 贈賄防止に関する法令・独占禁止法について

当社グループの販売先には国公立病院等の公的な医療機関が含まれており、取引にあたっては入札が実施されることもあるため、贈賄防止に関する法令や入札談合を禁止する独占禁止法を遵守する必要があります。なお、当社グループは米国メーカーの医療機器を多数取り扱っており、贈賄防止に関する法令については国内法だけでなく、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)等の国外法にも注意を払う必要があります。

 

③ 景品表示法・医療機器業公正競争規約について

景品表示法は医療機器販売業を含む医療機器業等の業種に適用する特別の景品規制を設けており、当社グループは医療機関等に対して、医療機器の取引を不当に誘引する手段として、医療機器の使用のために必要な物品又はサービスその他正常な商慣習に照らして適当と認められる範囲を超えて景品類を提供することを禁止されております。景品規制については、同法の規制に加え、当社グループが属する業界の自主規制団体である医療機器業公正取引協議会が制定した医療機器業公正競争規約についても遵守する必要があります

 

個人情報保護法について

当社グループでは従業員の個人情報の他、医療機関が保有する個人情報、医療機器・介護福祉機器の個人販売先の個人情報を取扱うことがあります。個人情報を取扱うにあたっては、個人情報保護法に基づき、適正な取得や漏えい防止のための管理体制を整備する必要があります

 

(4) 大規模自然災害・新興感染症について

大規模自然災害について

当社グループは、首都圏をはじめとする各地に拠点を置き、広範囲に事業活動を展開しております。地震、火災、台風、洪水、雪害等の自然災害の発生に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、当社グループも医療業界の一員として医療インフラの継続を図るための安定供給体制の整備に努めております。災害の発生に備え、神奈川県内に免震構造の物流センターを、群馬県内に倉庫面積19,000㎡超の大規模物流センターを有し、商品供給維持のためのバックアップ体制の拡充に努めております。しかしながら、当社グループの事業範囲は広範囲であり、昨今の気候変動に伴う災害の大規模化を鑑みると、災害が発生した場合のリスクを全て回避することは困難であります。災害の規模が想定を大きく上回り、当社グループの本社・事業拠点、倉庫施設等の被災により商品が汚損・破損した場合、従業員の勤務が困難となった場合、流通経路の寸断により納品が困難となった場合、顧客及び仕入先等の被災により販売及び仕入が困難となった場合には、経常的な事業運営に支障をきたし、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります

 

新興感染症について

当社グループは、病院や診療所等の医療機関と日常的に密接な関わりを持ち事業活動を行っております。当社グループは、医療関係者として医療機関に準じた感染予防対策を含んだ新興感染症BCPマニュアルを策定し、従業員・顧客・取引先の安全対策の実施に努めております。しかしながら、新型インフルエンザや新型コロナウイルス感染症のような大規模な新興感染症が発生し、感染拡大の規模やスピードが想定を大きく上回った場合には、一時的な事業停止、仕入の遅滞、在庫の滞留、売掛債権回収の遅延等経常的な事業運営に支障をきたし、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります

 

(5) 当社グループの製品について

取扱製品の使用期限管理について

医療機器や医薬品をはじめとして、当社グループで取扱う製品の一部には、製造元により使用期限が設定されています。当社グループでは、より安全で高品質な製品を医療・介護福祉の現場にお届けすることを目指し、定期的な実地棚卸の実施その他運用の徹底・検証、ITシステムの活用により使用期限管理体制の改善・強化に取り組んでおります。しかしながら、万が一、当社グループの人為的要因やシステムトラブルにより使用期限を経過した製品が流通し重大な健康被害が生じた場合には、医療機器販売業等に係る許認可等の取り消し、当社グループへの信頼低下等により販売活動へ影響が生じる可能性や、患者様・医療機関等への補償、使用期限管理体制の改善・強化等のために多額の費用が生じる可能性があり、これにより当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

プライベートブランド商品について

当社グループでは、医療機関のニーズを重視したプライベートブランド商品の販売を行っておりますが、医療関連製品であることから、確かな品質を追求しております。ディーラーからメーカーへと立場を変え、責任ある商品の選定・供給に努めておりますが、プライベートブランド商品に予期しがたい欠陥や不具合が発生した場合には、商品回収や損害賠償等による多大な費用負担に加え、当社グループへの信頼低下により、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 医療技術の革新について

医療技術は日々進歩しており、例えば心疾患治療における低侵襲性医療の発展により、使用される医療機器にも変化があります。当社グループは、医療機器の総合ディーラーとして、特定の領域に偏ることなくほぼ全ての領域の医療機器を取扱っておりますが、今後の医療技術の革新により、取扱っている医療機器の使用が減少する場合には、当社グループの販売額や収益に影響を及ぼす可能性があります

 

(6) 貸倒れリスクについて

当社グループでは、取引先の現状、将来性、経営者、業界事情等を評価・判断し与信管理規程に則った取引先別の与信限度額を設定し、与信管理を徹底することで、貸倒れ等を未然に防止し、且つ最小限に抑えるよう努めております。しかしながら、取引先の業績悪化等で予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、損失・引当の計上が必要となった場合には、当社グループの収益に影響を及ぼす可能性があります

 

(7) 業績の変動について

当社グループの販売先には国公立病院等の公的な医療機関が含まれており、当該医療機関は12月及び年度末である3月において設備投資を集中して行う傾向があるため当社グループの販売高は毎年第2Q及び第3Qにおいて他の期より高くなり、これに連動して利益も当該時期に増加する傾向があります。また、その反動で第4Qにかけての販売高が他の期より低くなり、これに連動して利益も当該時期に減少する傾向があります。また、医療機関の新築、移転、増築が行われる際には、多額の医療機器の一括購入が発生し、一時的に販売高が増加する場合があります。従って、当社グループの四半期の経営成績は、通期の経営成績に連動するものではなく、四半期又は半期の経営成績だけをもって、通期の経営成績を予想することは困難であります

なお、2023年6月期から2025年6月期における各四半期の売上高及び営業利益又は営業損失の状況は、以下のとおりであります

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

2023年6月期(連結)

2024年6月期(連結)

2025年6月期(連結)

金額

構成比
(%)

金額

構成比
(%)

金額

構成比
(%)

売上高

上半期

第1Q

58,763

24.6

60,153

23.2

69,157

23.9

第2Q

59,540

24.9

66,559

25.6

73,547

25.5

 

 

118,304

49.5

126,713

48.8

142,704

49.4

下半期

第3Q

63,084

26.4

66,403

25.5

76,806

26.6

第4Q

57,665

24.1

66,672

25.7

69,177

24.0

 

 

120,750

50.5

133,075

51.2

145,984

50.6

通期

239,054

100.0

259,789

100.0

288,689

100.0

営業利益
又は
営業損失

上半期

第1Q

448

23.8

98

7.4

153

8.2

第2Q

648

34.5

582

43.9

597

31.8

 

 

1,097

58.3

680

51.3

751

40.0

下半期

第3Q

1,289

68.6

972

73.2

1,276

68.0

第4Q

△506

△26.9

△325

△24.5

△151

△8.1

 

 

783

41.7

646

48.7

1,124

60.0

通期

1,880

100.0

1,327

100.0

1,875

100.0

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境においては、2024年6月に診療報酬改定が施行され、診療報酬本体については引き上げられたものの、薬価及び材料価格については引き下げられ、他方、エネルギー価格の高止まりや為替変動の影響に起因するコスト増加も継続しており、依然として先行きが不透明な状況が続いております。また、本診療報酬改定においては、医療従事者の賃上げ及び医師の働き方改革への対応並びに医療DXの推進等が医療機関に求められており、効果的・効率的な医療提供体制の構築が重点課題となっております。

このような経営環境のもと、当社グループは、持続可能な医療体制構築に向けて、製品の安定供給並びに顧客の課題解決に取り組むことを方針として事業活動を行っております。

当連結会計年度においては、症例の増加、新規獲得に伴い手術室関連製品及び循環器関連製品等の販売が好調に推移いたしました。また、2024年3月に子会社化したマコト医科精機㈱の実績が通期で計上されたこと及び㈱アルセントの販売が拡大したことにより売上高及び売上総利益は前期と比較して増加いたしました。

販売費及び一般管理費においては、主要子会社における事業規模拡大に伴う人員採用及び追加的な物流コストの発生により増加いたしました。また、大規模な業務用パソコンの入れ替えに伴うライセンス費用の発生及び前年第4四半期より稼働している倉庫管理システムに係るランニングコストの発生等のシステム関連コストの増加、並びに連結子会社の増加により前期と比較して増加しておりますが、増収効果に伴い営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は増加いたしました。

この結果、当連結会計年度における売上高は288,689百万円(前期比11.1%増)、営業利益は1,875百万円(同41.3%増)、経常利益は2,422百万円(同38.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,375百万円(同22.3%増)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(医療機器販売事業)

消耗品については、整形外科領域・循環器領域を中心に症例増加及び新規顧客の獲得の進展に伴い売上が拡大いたしました。また、2024年3月に子会社化したマコト医科精機㈱における備品販売に加え、放射線治療装置等の大型備品の販売により備品販売も増加したことで、前期と比較して売上高、売上総利益及びセグメント利益は増加いたしました。

この結果、売上高は282,688百万円(前期比11.3%増)、売上総利益は32,117百万円(同11.3%増)、セグメント利益(営業利益)は10,446百万円(同13.7%増)となりました。

 

(介護・福祉事業)

備品販売及びストーマ製品の販売が好調に推移したことで、前期と比較して売上高、売上総利益及びセグメント利益は増加いたしました。

この結果、売上高は6,001百万円(前期比3.6%増)、売上総利益は2,344百万円(同4.2%増)、セグメント利益(営業利益)は515百万円(同18.2%増)となりました。

 

(注)当社グループのセグメントは、次のとおりであります。

医療機器販売事業……(医療機器販売事業)

国内の医療機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた医療機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設に販売しており、当社グループの基幹となる事業であります。

(医療機器の修理及びメンテナンス事業)

当社グループが病院等医療施設に販売した医療機器の修理及びアフターサービス、病院等医療施設との保守契約に基づく医療機器全般のメンテナンスを行っております。

介護・福祉事業……… 国内外の介護福祉機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた介護福祉機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設及び介護施設並びに医療機器販売業者、一般個人に販売しております。また、介護福祉機器の一般個人へのレンタルを行っております。

 

 

② 財政状態の状況
a 資産

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から1,801百万円減少113,024百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末から2,199百万円減少89,052百万円となりました。これは主に現金及び預金が691百万円、商品及び製品が858百万円それぞれ増加した一方で、未収入金が3,678百万円減少したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末から398百万円増加23,972百万円となりました。これは無形固定資産が362百万円、投資その他の資産が261百万円それぞれ減少した一方で、有形固定資産が1,022百万円増加したことによるものであります。

b 負債

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から2,542百万円減少92,546百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末から2,947百万円減少81,379百万円となりました。これは主に未払法人税等が137百万円、その他の流動負債が228百万円それぞれ増加した一方で、支払手形及び買掛金が97百万円、短期借入金が3,206百万円それぞれ減少したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末から404百万円増加11,167百万円となりました。これは主に長期前受収益が178百万円減少した一方で、長期借入金が275百万円、退職給付に係る負債が121百万円、その他の固定負債が224百万円それぞれ増加したことによるものであります。

c 純資産

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から740百万円増加20,478百万円となりました。これは主にその他有価証券評価差額金が191百万円減少した一方で、資本金が36百万円、資本剰余金が36百万円、利益剰余金が871百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ775百万円増加し、14,320百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

a 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローは、7,011百万円の収入(前期は1,921百万円の収入)となりました。

これらの要因は主に、税金等調整前当期純利益2,391百万円、減価償却費1,871百万円、のれん償却額329百万円、補助金の受取額3,315百万円等の収入要因が、法人税等の支払額879百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。

b 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動によるキャッシュ・フローは、2,505百万円の支出(前期は2,674百万円の支出)となりました。

これらの要因は主に、有形固定資産の売却による収入101百万円等の収入要因が、有形固定資産の取得による支出1,754百万円、無形固定資産の取得による支出311百万円、長期前払費用の取得による支出535百万円等の支出要因を下回ったことによるものであります。

c 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローは、3,468百万円の支出(前期は4,006百万円の収入)となりました。

これらの要因は主に、長期借入れによる収入1,450百万円等の収入要因が、短期借入金の純減額2,820百万円、長期借入金の返済による支出1,619百万円、配当金の支払額464百万円等の支出要因を下回ったことによるものであります。
 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

該当事項はありません。

 

 

b 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

医療機器販売事業

251,508,617

11.3

介護・福祉事業

3,657,989

2.9

合計

255,166,607

11.2

 

 

c 受注実績

該当事項はありません。

 

d 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医療機器販売事業

282,688,195

11.3

介護・福祉事業

6,001,143

3.6

合計

288,689,338

11.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は288,689百万円前期比11.1%増)となりました。これは主に、医療機関における手術・検査症例数の増加並びに循環器領域及び整形外科領域を中心とした新規症例獲得に伴う手術関連製品の販売増加によるものです。

販売費及び一般管理費においては、主要子会社における事業規模拡大に伴う人員採用及び追加的な物流コストの発生により増加いたしました。また、大規模な業務用パソコンの入れ替えに伴うライセンス費用の発生及び前年第4四半期より稼働している倉庫管理システムに係るランニングコストの発生等のシステム関連コストの増加、並びに連結子会社の増加により前期と比較して増加しておりますが、増収効果に伴い、営業利益は1,875百万円前期比41.3%増)、経常利益は2,422百万円前期比38.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,375百万円前期比22.3%増)となりました。

 

b 資本の財源及び資金の流動性についての分析

ⅰ キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローにつきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

ⅱ 資金の需要

当社グループの運転資金需要の主なものは、医療機器及び医療材料の仕入の他、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、M&A等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金につきましては、内部資金又は金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資やM&A等による投資資金は金融機関からの長期借入れを基本としております。

 

c 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは長期にわたる安定的な成長を目指しており、そのためには、収益性、効率性向上による利益拡大が重要であると考えております。このような認識のもと自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とし、指標の最大化に向けて邁進してまいります。前期と比較して検査・手術症例数の増加及び新規獲得に伴い販売が好調に推移したことで、当連結会計年度においては6.8%となりました。収益性及び資本効率を高めることで中長期的には8.0%以上を維持していくことを目標としております。

 

d 今後の経営方針、経営戦略について

当社グループの属する医療機器販売業界は、政府の医療費抑制政策を受けて、地域における効率的な医療供給体制の構築に向けた病院の再編及び高額医療機器や材料価格の見直しが行われております。このような環境のもと、既存エリアにおける業容拡大のみならず、M&Aによる事業基盤の拡大により更なるマーケットシェアの向上を図っております。また、販売単価が下落傾向にある中、利益を確保するために、販売価格と仕入価格の継続的な交渉、スケールメリットを活かした購買力の強化、物流体制の改善、適正な在庫管理体制、プライベートブランドの販売推進等による収益性改善に取り組んでまいります。また、SPD、「SURGELANE®」、「meccul®」等の様々なソリューションビジネスの更なる推進により、医療機関の経営改善の支援をしていくことで、地域医療の課題解決へ貢献し、当社グループの社会的価値の向上を図ってまいります。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

(当社完全子会社に対する物流部門の簡易吸収分割)

当社は、2025年4月18日開催の取締役会において、2025年7月1日を効力発生日として、会社分割(簡易吸収分割)の方法により、当社の物流部門を当社の完全子会社であるメディアスグループ物流準備株式会社に承継すること(以下「本件吸収分割」という。)を決議し、当該決議に基づき同日付で吸収分割契約書を締結いたしました。当該契約に基づく本件吸収分割は2025年7月1日に完了しております。

なお、メディアスグループ物流準備株式会社は、2025年7月1日付でメディリスロジ株式会社に商号変更しております。

本件吸収分割の詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。