文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)雪印メグミルクグループ 企業理念
企業理念は「私たちの使命」と「コーポレートスローガン」で構成します。
①私たちの使命
私たち雪印メグミルクグループは、3つの使命を果たし、ミルクの新しい価値を創造することにより、社会に
貢献する企業であり続けます。
〈消費者重視経営の実践〉
雪印メグミルクグループは、消費者基本法に定められた「消費者の権利」と「事業者の責務」をしっかりと認識
し、
● 安全で安心していただける商品・サービスを提供すること
● 可能な限りの情報提供、情報開示を行なうこと
● 消費者の声を傾聴し、経営に反映していくこと
● 危機管理の体制を整え、不測の事態に迅速かつ適切に対応していくこと
を基本姿勢として、消費者重視経営を実践していきます。
〈酪農生産への貢献〉
私たち雪印メグミルクグループは、日本の酪農を基盤として成り立っています。
私たちは、酪農生産者の良きパートナーとして信頼関係を深め、乳の価値をしっかりと伝えていくことで生産者
の想いに応えていきます。
そして、牛乳・乳製品の需要拡大を実現することで、国内酪農生産の基盤の強化と持続的発展に貢献していきま
す。
〈乳(ミルク)にこだわる〉
私たち雪印メグミルクグループは、ミルクの持つ無限の可能性を信じ、ミルクに向き合い、ミルクにこだわり続
けることで、ミルクの持つ可能性を「深め」、ミルクの価値を「高め」、世界に「拡げていく」ことを実現して
いきます。
②コーポレートスローガン
未来は、ミルクの中にある。
当社は2017年5月に、「グループ長期ビジョン2026」、およびその第1ステージの実行計画となる「グループ
中期経営計画2019」を策定いたしました。
(2)グループ長期ビジョン2026
①目指す姿
雪印メグミルクグループが10年後に目指す姿を「ミルク未来創造企業」と名づけ、「グループ企業理念」の実現
に向けた具体的な姿として、次の3つの未来を描きました。
ア.消費者
「乳(ミルク)で食の未来を創造します。」
乳(ミルク)の持つ無限の可能性を引き出し、
「ものづくり」を通じて、世界の人々に
「食の喜び」を提供し続けます。
イ.酪農生産者
「酪農生産者の未来に貢献します。」
酪農生産者の良きパートナーとして、
酪農・乳業の持続可能な成長へ
貢献を続けてまいります。
ウ.私たち
「私たち社員の未来を拓きます。」
多様な人材が、希望と誇りを持って
それぞれの個性と能力を最大限に発揮しながら、
成長し続ける企業グループを目指します。
②コンセプト
Transformation & Renewal 「変革」、そして更なる「進化」へ
ア.事業ポートフォリオの変革 = Transformation
イ.事業成長を支える生産体制の進化 = Renewal
ウ.グループ経営の推進 = Group Management
これらのコンセプトを実行していくために、グループの事業領域を、「乳製品」「市乳」「ニュートリション」
「飼料・種苗」の4つの事業分野に再編成を行ない、グループ企業との連携により、グループ・バリューチェー
ンを強化します。
③ステージ毎の位置づけと役割
「グループ長期ビジョン2026」の取組み期間である2017年度から2026年度を3つのステージに分けて推進します。
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第1ステージ (2017年度~2019年度) |
第2ステージ (2020年度~2022年度) |
第3ステージ (2023年度~2026年度) |
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位 置 づ け |
Transformation (変革)の始動 |
Transformation (変革)の加速 |
Renewal(進化)へ
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グループ経営の 始動・推進 |
グループ経営の 展開強化 |
グループ経営の 加速・進化 |
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役 割 |
・収益基盤の複数化および キャッシュ・フロー最大化 ・生産体制進化への着手 |
・収益基盤の確立 ・生産体制進化の本格始動 |
・4つの事業分野による 収益の安定的創出 ・調達・生産体制の確立 |
④目標とする経営指標
最終年度の連結売上高は7,000億円~8,000億円、連結営業利益は300億円~400億円を目指します。
⑤キャッシュ・フロー配分方針
長期のキャッシュ・フロー配分方針は、「財務の健全性」、「資本効率」、および「株主還元」の3つを意識す
ることにより、最終年度の連結ROE8%以上、連結自己資本比率50%以上、連結配当性向30%以上を目処といた
します。また、「グループ長期ビジョン2026」の期間中の投資総額は3,000億円~4,000億円を予定しておりま
す。
(3)グループ中期経営計画2019
①基本戦略
「グループ長期ビジョン2026」に基づき、その第1ステージ(2017年度~2019年度)として取り組みます。
ア.事業ポートフォリオ変革
「市乳」事業分野の収益性を高めることで、「乳製品」事業分野に次ぐ収益の柱に育成します。併せて、
「ニュートリション」、「飼料・種苗」事業分野では、成長モデルを構築し、事業を拡大します。
イ.事業ポートフォリオ変革を支える戦略
A.戦略的な調達・生産体制構築による競争基盤の確保
生乳需給環境を踏まえ、乳資源の安定調達に努めるとともに、国内酪農生産への支援に取り組んでまいりま
す。また、成長分野への投資を実施するとともに、将来を見据えた新たな生産体制の進化(Renewal)に着
手します。
B.研究開発起点の「ものづくり」による新たな価値の創造
研究開発体制や機能を強化するとともに、オープンイノベーションの推進などにより、新たな価値(需要)
を創造します。
C.人材の多様性を尊重した生産性の高い組織の構築
時短推進、在宅勤務制度の導入などにより業務改革に取り組み、働きやすい環境を整備します。また、新た
な研修体系を導入することで、人材の育成を図ります。
D.グループ経営資源活用による競争力・総合力の最大化
グループ会社やパートナーとの連携を深めることで、グループ・バリューチェーンを強化するとともに、
ガバナンス、品質保証、環境マネジメントなどを含めたコーポレート機能を強化します。
②目標とする経営指標
最終年度の連結売上高は6,300億円、連結営業利益は220億円、連結EBITDAは400億円を目指します。
③キャッシュ・フロー配分方針
長期のキャッシュ・フロー配分方針に基づき、最終年度の連結ROE8%以上、連結自己資本比率40%以上、連結配当性向20%以上を目処といたします。また、2017年度から2019年度の3年間の投資総額は770億円を予定しております。
(4)雪印メグミルクバリュー
「グループ長期ビジョン2026」を達成するため、雪印メグミルクグループの役職員一人ひとりが大切に考える
共通の姿勢・価値観として、次のとおり定めました。
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主体性 |
自分から動き出そう。 私が実現したい未来のために。 |
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チャレンジ |
チャレンジを楽しもう。 なりたい私の未来のために。 |
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チームワーク |
チカラを重ねよう。 私たちみんなの未来のために。 |
(5)次期の経営環境及び対処すべき課題
①経営環境
今後の見通しにつきましては、わが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く中で、消費税率の引上げが予定されているものの、各種所得支援策の効果もあり、内需の堅調が見込まれます。一方で、通商問題が世界経済に与える影響や海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意する必要があります。
食品業界では、健康意識の高まりを背景に様々な機能を訴求した商品の投入が相次いでおりますが、今後は選別の動きが強まることが予想されます。
当社を取り巻く環境は、国内・外の乳資源需給や原料乳価格を含む原材料コストや労務費、物流コスト等の増加
など、厳しい状況にあります。
一方で個人消費は、労働需給逼迫を背景とした賃金の上昇が見込まれることから持ち直しが続くことが期待されます。また、少子高齢化の進展や単身世帯、共働き世帯の増加等により消費者のライフスタイルや価値観が多様化しており、機能や効能を高めた商品とともに、食べ方などの生活シーンを提案する商品を求める動きも強まっております。
②対処すべき課題
ア.複数事業における利益の創出・拡大による収益基盤の強化
イ.事業ポートフォリオの変革と連動した効率が高く競争力のある生産体制の構築
ウ.グループ経営資源やバリューチェーンの最大活用によるグループ総合力の強化
(6)2019年度雪印メグミルクグループ経営方針
経営環境、対処すべき課題を踏まえ、「グループ長期ビジョン2026」の達成に向けた重要な年度となる2019年度の
経営方針として以下の重要な施策に対し積極的な取り組みを進めてまいります。
①原料乳価格の引き上げを含む大幅なコストアップへ適切に対応するとともに、効果的なプロモーション展開や
新商品の投入により売上を拡大することで収益改善に取り組みます。
②需給を踏まえた国内外における乳資源の安定調達とともに、持続可能な国内酪農生産基盤の維持に向けた
取り組みを推進します。
③多様な消費者の価値観に対応する機能訴求型商品を開発し、市場へ投入することで「ものづくり」による
新たな価値の創造に取り組みます。
④グループ間の連携を強化し、経営資源やバリューチェーンを最大限活用することで生産性の向上につなげ、
グループの総合力を強化します。
⑤グループでコンプライアンス意識の向上に継続して取り組むとともにリスク管理を徹底します。
また、セグメントにおける主な取り組みは次のとおりです。
〈乳製品〉
ア.バターは、安定供給の継続に努めることで供給責任を果たしてまいります。
イ.チーズは、家飲み需要の高まりなどのライフスタイルの多様化に対応する商品の販売強化、および消費者の
健康志向に対応する機能訴求に向けたプロモーション活動を強化することで売上拡大に取り組みます。
〈飲料・デザート類〉
ア.原料乳価格の引き上げを含む原材料コスト、オペレーションコスト、固定経費等の増加に対応するため、
家庭用市乳商品の価格改定を実施致します。
イ.発酵乳は、機能性乳酸菌の機能訴求を継続するとともに、プロモーション活動を強化することで売上拡大に
取り組みます。
ウ.飲料は、新商品やリニューアル商品の投入等の商品ラインナップの見直しを進めることで売上の確保に努め
ます。
エ.デザートは、グループ会社を含めた製造ラインの稼働率向上に取り組むとともに、多様な価値観に対応する
ための商品力強化に取り組みます。
〈飼料・種苗〉
ア.信頼の回復および再発防止に向けて、企業風土の改革、および外部の目を入れたコンプライアンス意識と
ガバナンス体制の確立に取り組みます。
イ.飼料事業では、総合提案型営業と効率化による収益力強化に取り組みます。
ウ.種苗事業では、自社商品開発による販売拡大に取り組みます。
[当社株式等の大量買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について]
2018年6月27日開催の当社定時株主総会において、「当社株式等の大量買付行為に関する対応方針」(以下「本買収防衛策」といいます。)を継続することが、承認可決されました。
有効期間は、2021年6月開催予定の第12回定時株主総会終結の時までの3年間となっております。
1.買収防衛策導入の基本方針
当社取締役会は、金融商品取引所に当社株式を上場している以上、当社株式は自由に売買が行なわれることを前提にすべきであり、当社取締役会の同意がない大量買付行為がなされた場合でも、その是非を最終的に判断するのは株主の皆様であると考えます。したがいまして、株主の皆様が大量買付行為を評価するために、大量買付者から当該大量買付行為に関する十分な情報が提供されること、当社取締役会がこれを評価・検討し当該大量買付行為に関する意見も併せて株主の皆様に情報を提供すること、および必要に応じて当社取締役会が株主の皆様へ代替案を提示するための相当期間が確保されることが重要であると考えております。これらの考えに基づき、当社取締役会は、株主の皆様が大量買付行為に応じるか否かを適切にご判断いただけるようにするため、以下のとおり、大量買付行為に関するルール(以下「大量買付ルール」といいます。)を定めることとしております。当社取締役会は、大量買付者に対して当該大量買付ルールの遵守を求め、このルールに則って十分な情報が提供された場合は、その内容を評価・検討し、当該大量買付行為に関する意見も併せて株主の皆様に適切な時期に開示することといたします。
一方、大量買付者が大量買付ルールを遵守しない場合や、大量買付ルールを遵守した場合であっても、当社の企業価値・株主共同の利益を著しく毀損するおそれのある大量買付行為の場合は、新株予約権の無償割当て等の対抗措置を発動する可能性があります。ただし、当社取締役の保身を排除するために、大量買付者が大量買付ルールを遵守した場合に対抗措置を発動することができる要件を限定し、「独立委員会」の勧告を得て、対抗措置を発動するものといたします。
2.大量買付ルールの概要
(1)大量買付ルールの基本と大量買付行為の定義
本買収防衛策の大量買付ルールの基本は、次のとおりです。
① 事前に大量買付者から当社取締役会に対して十分な情報の提供がなされること
② 当社取締役会による当該提供情報に関する一定の評価期間が経過した後に大量買付行為を開始すること
また、「大量買付行為」とは、次の買付行為をいい、いずれについても予め当社取締役会が同意したものを除きます。
① 特定株主グループの株式等保有割合を20%以上とすることを目的とする株式等の買付け
② 特定株主グループの株式等保有割合が20%以上となる株式等の公開買付け
(2)大量買付意向表明書の提出
大量買付者が大量買付行為を行なおうとする場合には、事前に当社取締役会宛に、大量買付ルールに従う旨の「大量買付意向表明書」(以下「意向表明書」といいます。)を提出していただくことといたします。意向表明書には「大量買付者の名称および住所」「設立準拠法」「代表者の氏名」「国内連絡先」「提案する大量買付けの概要」「大量買付者およびその共同保有者が保有する当社株式等の数」「大量買付ルールを遵守する旨の誓約」を記載していただきます。
当社取締役会は、大量買付者から意向表明書を受領したことについてすみやかに情報開示を行ないます。
(3)大量買付情報の提供
大量買付者には、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断および当社取締役会の評価・検討のために十分な情報(以下「大量買付情報」といいます。)を提供していただきます。
当社取締役会は、意向表明書の受領後5営業日以内に、大量買付者から当初提出していただくべき大量買付情報のリストを、回答期限を定めて交付します。
なお、当社取締役会は、当初提出していただいた情報をすみやかに独立委員会に提供するものとします。独立委員会は、当該情報の内容を確認し、大量買付情報として不十分であると判断した場合には、その都度回答期限を定めて、十分な大量買付情報がそろうまで追加的に情報の提供を求めるよう、当社取締役会に勧告するものとします。
独立委員会は、必要な情報がそろったと判断した時点で、大量買付情報の提出が完了した旨を当該大量買付者に書面で通知することおよびその旨の情報開示を行なうよう当社取締役会に勧告するものとします。また、当該大量買付情報が株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示するよう当社取締役会に勧告するものとします。
当社取締役会は、独立委員会の勧告に沿って、大量買付情報の提出が完了した旨、および当該大量買付情報の全部または一部の情報開示を行ないます。
(4)当社が要請する情報内容
大量買付者に提供していただく大量買付情報の主な項目は次のとおりです。
① 大量買付者およびそのグループの詳細
共同保有者および特別関係者(ファンドの場合は組合員その他の構成者を含む。)の具体的名称、資本構成または主要出資者、経歴・沿革、事業内容、財務内容、当社事業と同様の企業・事業経験、同種事業の場合のセグメント情報、大量買付経験と対象企業のその後の状況等
② 大量買付行為の目的、方法および内容
目的、買付時期、買付方法、買付対価の価額・種類、関連する取引の仕組み、買付方法の適法性等
③ 買付対価の算定根拠
算定の数値、算定の前提となる事実、算定方法、算定担当者または企業、大量買付けにより生じることが予想される影響額およびその算定根拠、そのうち他の株主に対して分配される影響額と算定根拠等
④ 買付資金の裏付け
資金調達方法、資金提供者の有無および具体的名称(実質的提供者を含む。)、資金調達に係る取引
⑤ 大量買付行為完了後の当社経営方針および事業計画
意図する当社と当社グループの経営方針、事業計画、財務計画、資本政策、資産活用策、これら事業計画の実現可能性と予想されるリスク
⑥ 大量買付行為完了後の取引拡大等により得られる大量買付者と当社の相乗効果
⑦ 当社の利害関係者(当社従業員、取引先、顧客、地域社会等)に関する対応方針および影響
⑧ 当社の他の株主様との利益相反を回避するための具体的方策
⑨ その他当社取締役会または独立委員会が合理的に必要と判断する情報
(5)評価期間
当社取締役会は、大量買付行為の評価、検討、交渉、意見形成および代替案立案等を行なうための期間(以下「評価期間」といいます。)として、当該大量買付行為の内容に応じて次の①または②による期間を設定します。大量買付行為は、次の評価期間が経過した後にのみ実施されるものとします。
① 60日:現金を対価とする公開買付けによる当社全株式等の買付けの場合
② 90日:その他の大量買付けの場合
上記期間には、独立委員会が当該大量買付行為に関する検討に要する期間および当社取締役会に対し対抗措置を発動すべきか否かを勧告するまでに要する期間を含みます。
ただし、独立委員会は、当社取締役会が、大量買付行為の内容の検討、大量買付者との交渉、代替案の作成等を行なうために必要な範囲内で評価期間を延長することを当社取締役会に勧告できるものとします。当社取締役会が評価期間を延長することを決議した場合には、評価期間を延長する理由、延長期間、その他公表すべき事項について、当該延長の取締役会決議後すみやかに大量買付者への通知および情報開示を行なうものとします。
(6)取締役会による意見・代替案の提示
当社取締役会は、評価期間内において、独立委員会と連携を取りながら、当社の企業価値・株主共同の利益に資するか否かの観点で、大量買付者から提供された大量買付情報の評価・検討を行ないます。当社取締役会は、必要に応じて大量買付者と協議・交渉を行ない、大量買付けに関する提案内容の改善を大量買付者に要求し、あるいは株主の皆様に対して代替案を提示することがあります。
雪印メグミルクグループ(以下本項において、「当社グループ」といいます。)の財政状態および経営成績等に影響を及ぼすおそれのあるリスクについて主な事項を記載しております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。
当社グループは、これらのリスク発生等の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存です。
(1) 酪農乳業界について
①当社グループの主要原料である加工原料乳の取引は、「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」および「畜産経営の安定に関する法律」の影響を受けます。従って、同法に基づく交付対象数量、補給金単価等の変更が当社グループの原料調達等に影響を及ぼす可能性があります。
②当社グループが生産する乳製品には、国内農業保護を目的とした関税制度が敷かれております。しかし、WTO(世界貿易機関)農業交渉やFTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)等の交渉および発効において乳製品の関税水準が引き下げられた場合には、当社グループの販売および原材料調達に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 需給変動について
①当社グループは国内で生産される生乳を主要原料としておりますが、国内の生乳需給はこれまでも過剰と逼迫を繰り返しており、過剰の場合には製品在庫過多により販売競争が激化し、逼迫の場合には製造量減少により生産効率が低下することとなります。
②また、乳製品や飼料原料の国際市況は、世界経済の変動による需要の増減、旱魃等の異常気象による飼料作物の不作を原因とする製品供給の減少等の影響を受け、大きく変動することとなります。国際的に需給が逼迫した場合には原材料確保の困難化や原材料価格の高騰として、また需給が緩和した場合には安価な輸入乳製品の流入や飼料価格の下落として、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、配合飼料価格上昇時には畜産経営者に配合飼料価格安定制度により価格補てん措置が採られることになっておりますが、メーカー拠出金が増加した場合は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 販売先の寡占化とメーカー同士の競合の激化について
①当社グループの製品は量販店中心に販売されておりますが、量販店を含む流通業界においては再編・淘汰が進み、流通業者の寡占化および大規模化が進展しております。この結果、特定の販売先の仕入れ・販売施策の変更および販売先の業績の動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②また、乳業・食品業界においては大手メーカー同士の経営統合や中小メーカーの再編・淘汰が進展し、規模拡大と事業領域の拡大が進んでおります。この結果、当社グループの事業領域への他業界からの新規参入や、メーカー間の商品開発・価格競争の一層の激化等が想定され、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 市場規模の縮小等について
現在、当社グループの商品の大部分は日本国内向けに販売しておりますが、日本においては少子高齢化の進展により人口減少傾向にあり、当社グループが対象とする市場が縮小してきております。また、畜産市場においても飼養頭数が変動しており、こうした市場の縮小等が今後も続くと当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) 食品の安全性について
①食品業界においては、食品の安全性や品質管理が強く求められております。
当社は品質管理に関して、世界標準の品質管理手法であるISO9001およびHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)の考え方を取り入れ、独自の品質保証システム「MSQS(MEGMILK SNOW BRAND Quality Assurance System)」を構築しております。しかしながら、仮に品質問題が生じた場合には自主的あるいは食品衛生法等の法令に基づく商品の回収や工場の操業停止、製造物責任法に基づく責務の負担等により当社グループの業績に悪影響が生じる可能性があります。さらにこれらの事態の発生は、当社グループの社会的信用にも悪影響を与える可能性があります。
②また、当社グループ固有の品質問題のみならず、国内外において、健康に影響を及ぼす物質の混入、家畜伝染病等の乳食品に関する品質問題や健康問題などが発生した場合、さらには問題発生の有無にかかわらずこれらに関する風評が拡大した場合には、当社グループの売上に影響を及ぼし、この結果として業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 法規制について
①乳製品、飲料・デザート類は、食品衛生法の他、乳および乳製品の成分規格等に関する省令により成分規格や製造方法、表示方法等について規制を受けております。飼料・種苗は飼料安全法、種苗法、農薬取締法、家畜伝染病予防法等の法規制を受けております。これらの法令は食品等の安全性確保のために設けられており、当社グループでは法令を遵守し、製造工程管理や品質管理、適正表示等に努めております。しかしながら、製造工程等においてトラブル等が発生し、結果として規制に抵触することとなった場合には、製品の廃棄・回収コストの発生や社会的な信用力の低下により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
②また、法令の改正がなされた場合には、これまでの成分規格や製造方法等が認められなくなったり、新しい成分規格や製造方法等に対応するためのコストが発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 大規模な地震・火災等の発生および伝染病について
①当社グループの生産事業拠点が大規模な地震や火災の発生等により長期間操業停止した場合、または生産拠点の従業員が新型インフルエンザウイルス等の伝染病に感染するなどして製品供給が長期間停止した場合には、当社グループの生産体制に影響を与え、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
②また、乳製品、飲料・デザート類の原料となる生乳は酪農生産者から工場に受け入れる段階で検査および殺菌等の処理を実施しておりますが、工場で生乳を受け入れた後に生乳を搾った牛が法令に定められた家畜伝染病に感染していたことが判明した場合には、法令等の定めに従い当該生乳または当該生乳を原材料とする製品の廃棄を行ないます。廃棄される原材料または製品の量が多くなる場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③家畜伝染病が発生した場合、国内の乳製品、飲料・デザート類の消費の減少や、飼育頭数の減少に伴う飼料需要の減退等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 為替レートの変動について
当社グループは、一部の原材料および商品を海外から調達していることから、為替レートの変動の影響を受ける可能性があります。一般に、他の通貨に対する円安は当社グループに悪影響を及ぼし、円高は当社グループに好影響をもたらします。
(9) 個人情報保護について
当社グループでは、グループ各社が保有する個人情報の保護・管理について、「個人情報保護方針」および関連諸規定を定めるとともに、従業員教育などを通じ、厳正な管理に努めております。しかしながら、予期せぬ事態により情報の流出などが発生した場合には、社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 情報システムについて
当社グループでは、原材料の発注、製品の製造、商品の受注、経理処理等、事業全般にわたり情報システムを活用しております。当社グループにおいては、情報システムを適切に運営するため、規定類の整備や社員教育、セキュリティ対策等を実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等予想の範囲を超えた出来事により、情報システムの停止または一時的な混乱、内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合には、事業の停滞や社会的信用の失墜等により当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) 知的財産について
当社グループは、研究開発を始めその事業活動において、当社グループが所有している、または第三者により適法に使用許諾を受けている種々の知的財産を活用しております。当社グループは、第三者の知的財産権を尊重し、事業活動を行なっておりますが、知的財産権に関する訴訟等が提訴された場合、その結果によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 天候について
飲料・デザート類は、天候の影響を受ける可能性があります。特に、天候不順や、夏場の気温が低く推移した場合には、売上高が減少し、飲料・デザート類の業績と財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
売上高は、ヨーグルトの販売が好調に推移したことや子会社の売上が拡大したことなどから増加しました。
営業利益は、価格改定・容量変更による増益要因があったものの、原材料コストやオペレーションコスト、
固定経費の増加の影響などにより減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の連結経営成績につきましては、売上高603,378百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益17,230百万円(前年同期比11.0%減)、経常利益19,014百万円(前年同期比9.4%減)、親会社株主に
帰属する当期純利益10,754百万円(前年同期比19.7%減)となりました。また、当連結会計年度より、ルナ物産
株式会社は重要性が増したため、持分法適用関連会社としております。なお、2019年3月末では、子会社33社
および関連会社13社となっております。
セグメントごとの当連結会計年度の経営成績は次のとおりです。なお、セグメントごとの売上高につきまして
は、外部顧客に対する金額を記載しております。
〈乳製品〉
当セグメントには、乳製品(チーズ、バター、粉乳等)、油脂、ニュートリション事業(機能性食品、粉ミ
ルク等)等の製造・販売が含まれております。
売上高は241,018百万円(前年同期比0.5%増)、営業利益は11,759百万円(前年同期比3.1%減)となりま
した。
〈飲料・デザート類〉
当セグメントには、飲料(牛乳類、果汁飲料等)、ヨーグルト、デザートの製造・販売が含まれております。
売上高は279,704百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は3,169百万円(前年同期比33.4%減)となりま
した。
〈飼料・種苗〉
当セグメントには、牛用飼料、牧草・飼料作物種子、野菜種子の製造・販売が含まれております。
売上高は46,039百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は1,163百万円(前年同期比13.8%減)となりま
した。
〈その他〉
当セグメントには、共同配送センター事業、不動産賃貸事業等が含まれております。
売上高は36,616百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益は1,058百万円(前年同期比7.1%減)となりました。
当連結会計年度の財政状態は次のとおりです。
〈資産の部〉
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比較して8,205百万円の増加となりました。
これは主に、投資有価証券や受取手形及び売掛金が増加した一方で、有形固定資産が減少したことなどによります。
〈負債の部〉
当連結会計年度末の負債合計は前連結会計年度末と比較して3,238百万円の減少となりました。
これは主に、1年内返済予定の長期借入金や短期借入金が減少した一方で、社債及び長期借入金が増加したことなどによります。
〈純資産の部〉
当連結会計年度末の純資産合計は前連結会計年度末と比較して11,444百万円の増加となりました。
これは主に、利益剰余金やその他有価証券評価差額金が増加したことなどによります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、14,303百万円となりました。
当連結会計年度における活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(単位:百万円)
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区分 |
前連結会計年度 (2017.4.1~2018.3.31) |
当連結会計年度 (2018.4.1~2019.3.31) |
増減 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
22,817 |
21,938 |
△878 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△11,799 |
△14,248 |
△2,448 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△12,904 |
△7,396 |
5,507 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
21 |
△65 |
△87 |
|
現金及び現金同等物の増加額(△は減少額) |
△1,864 |
227 |
2,092 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
15,940 |
14,076 |
△1,864 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
14,076 |
14,303 |
227 |
〈営業活動によるキャッシュ・フロー〉
営業活動によるキャッシュ・フローは、21,938百万円の収入(前連結会計年度は22,817百万円の収入)となりました。
前連結会計年度との比較では、主にたな卸資産の増減額や法人税等の支払額が減少した一方で、仕入債務の増減額が減少したことなどにより、878百万円収入減となりました。
〈投資活動によるキャッシュ・フロー〉
投資活動によるキャッシュ・フローは、14,248百万円の支出(前連結会計年度は11,799百万円の支出)となりました。
前連結会計年度との比較では、主に有形および無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、2,448百万円の支出増となりました。
〈財務活動によるキャッシュ・フロー〉
財務活動によるキャッシュ・フローは、7,396百万円の支出(前連結会計年度は12,904百万円の支出)となりました。
前連結会計年度との比較では、主に長期借入金の返済による支出が増加した一方で、社債の発行や長期借入れによる収入が増加したことことなどにより、5,507百万円の支出減となりました。
③生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%)
|
|
乳製品 |
167,681 |
100.3 |
|
飲料・デザート類 |
208,137 |
101.1 |
|
飼料・種苗 |
31,573 |
104.4 |
|
合計 |
407,392 |
101.0 |
(注)1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
イ.受注実績
当社グループ(当社および連結子会社)は一部受注生産を行なっておりますが、金額に重要性がないため、記載を省略しております。
ウ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%)
|
|
乳製品 |
241,018 |
100.5 |
|
飲料・デザート類 |
279,704 |
101.5 |
|
飼料・種苗 |
46,039 |
103.0 |
|
報告セグメント計 |
566,761 |
101.2 |
|
その他 |
36,616 |
101.2 |
|
合計 |
603,378 |
101.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度および当連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績
に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
㈱日本アクセス |
134,629 |
22.6 |
134,083 |
22.2 |
|
㈱セブン-イレブン・ジャパン |
123,116 |
20.7 |
129,208 |
21.4 |
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
連結財務諸表を作成する際には、一部について見積りや仮定を用いることが必要になりますが、これらは期末日における資産・負債の金額および開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。見積りや仮定を行なう場合は、その時点で入手できる事実に基づき、可能な限り客観的に実施することを目指しておりますが、実際の結果とは異なる場合もあります。
特に、以下の重要な会計方針については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用する重要な見積りと判断に大きな影響を及ぼすと考えます。
ア.貸倒引当金
売上債権等の損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財政状態が悪化した場合には、追加引当が必要となる可能性があります。
イ.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得の十分性やタックスプランニングをもとに、回収可能性があると判断される金額を計上しております。繰延税金資産の評価は、将来の課税所得の見積りと、税務上の実現可能と見込まれる計画に依拠します。仮に将来の市場環境や経営成績の悪化により将来の課税所得が見込みを下回る場合は、繰延税金資産の金額が大きく影響を受ける可能性があります。
ウ.退職給付費用および債務
従業員退職給付費用および債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に費用化されるため、一般的には将来期間において認識される費用に影響を及ぼします。
エ.有価証券の減損処理
売買目的有価証券以外の有価証券のうち、市場価格または合理的に算定された価額(時価)のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損失として処理しております。また、時価のない株式につきましても、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したと判断される場合は、相当の減額を行ない、評価差額は当期の損失として処理しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、新たに減損処理が必要となる可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当期のわが国経済は、景気は緩やかに回復しておりますが、このところ輸出や生産の一部に弱さもみられます。
今後も回復の継続が期待される一方で、国内では生産を下支えしてきた輸出の伸び悩みに対する懸念が、国外では通商問題の動向が世界経済に与える影響や中国経済の先行き、金融資本市場の変動の影響に対する懸念があります。個人消費は雇用・所得環境が改善する中で持ち直しているものの、消費者マインドは弱含んでおり、節約の動きも継続してみられます。
食品業界においては、人手不足を背景とした物流コストや人件費に加えて、原材料コストの上昇も続いていることから、コストの上昇を価格に転嫁する動きも徐々に広がっております。乳業界においては、2018年度のチーズ向け原料乳価格の引き上げを含む大幅なコストアップへの対応や、消費者の節約の動きの強まりなど厳しい環境が続いております。人口減少や高齢化の進展とともに世帯構成は変化し、ライフスタイルが変わる中で消費者の価値観は多様化しており、機能を訴求する商品の投入が増える一方で、低価格を訴求する商品の投入も見られるなど、多様な需要に対応する商品や市場が新たに生まれております。
このような経営環境下、当社グループは「グループ中期経営計画2019」に基づき、収益基盤の複数化およびキャッシュ・フローの最大化に取り組み、機能性ヨーグルトなどの高付加価値商品およびチーズなどの主力商品の販売拡大に伴うプロダクトミックスの改善、ならびにニュートリション事業分野におけるマーケティング投資の継続による規模の拡大など、将来の成長に向けた収益基盤の強化等に努めました。
しかしながら、競争環境が厳しい中で主力商品の販売が伸び悩んだこと、コストアップへの対応が充分な効果を生み出せなかったことなどから減益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の連結経営成績につきましては、売上高は603,378百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益は17,230百万円(前年同期比11.0%減)、経常利益は19,014百万円(前年同期比9.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,754百万円(前年同期比19.7%減)となりました。
なお、「グループ長期ビジョン2026」に掲げる生産体制進化に向けて、中部地区において生産機能を集約することで、経営資源の集中と高い生産性の実現に向けた効率的な生産体制の構築を進めております。
グループ会社の雪印種苗においては、2019年1月にホクレン組合飼料株式会社と、牛用飼料の新工場の建設に向けた合弁による新会社の設立について基本合意しており、グループ・バリューチェーンの強化に取り組んでおります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
〈乳製品〉
販売の状況は次のとおりです。
バターは安定供給に引き続き努める中で、前年並みの推移となりました。
油脂はトランス脂肪酸低減の取り組みや、原料油脂にトランス脂肪酸を多く含む部分水素添加油脂不使用の配合としたリニューアル商品販売による機能訴求および需要喚起に取り組みましたが、市場の縮小が続いたことから減収となりました。
チーズはコストアップに対応するため家庭用チーズの価格改定・容量変更を行いました。併せて売上拡大に向けてTVCMや新しい食べ方の提案など積極的なプロモーション活動を展開しました。チーズ市場は、家飲み需要が拡大する中で低糖質のおつまみとして、またおやつの需要の高まりもあり伸長しました。その中で当社は、プロモーション活動の効果もありナチュラルチーズは好調に推移しましたが、プロセスチーズは価格改定等により減少した商品もあり減収となりました。
機能性食品は特定保健用食品の毎日骨ケアMBPがマーケティング投資の継続により伸長しました。これらの結果、当セグメント全体では前年同期比0.5%増の微増収となりました。
営業利益は、価格改定・容量変更の実施に伴う販売単価差が増益要因としてあったものの、物流コストなどのオペレーションコストや、原料乳価格の引き上げを含む原材料コスト等が増加したことから前年同期比3.1%減の減益となりました。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比較して11,241百万円の増加となりました。
これは主に、受取手形及び売掛金や投資有価証券が増加したことなどによります。
〈飲料・デザート類〉
販売の状況は次のとおりです。
ヨーグルトは、市場がこれまでの拡大傾向から踊り場を迎える中で、当社は保有する乳酸菌「ガセリ菌SP株」の機能訴求による売上の拡大に向けて、TVCMや内臓脂肪を減らす効果を訴求する積極的なプロモーション活動を展開しました。また、新商品の「恵 megumiガセリ菌SP株ヨーグルト ベリーミックス」や「恵 megumiガセリ菌SP株ヨーグルト ドリンクタイプ マスカット」を発売したことなどから好調に推移しました。
飲料は市場低迷の影響もあり減収となりました。
デザートは市場が前年並みで推移する中で、製造設備の活用拡大に向けて、新商品の「重ねドルチェ ダブルベリーのレアチーズ」や「たべる雪印コーヒー ビターテイスト」の発売等、商品力の強化に取り組んだことなどから堅調に推移しました。これらの結果、当セグメント全体では前年同期比1.5%増の増収となりました。
営業利益は、機能性ヨーグルトの販売は拡大したものの、物流コストなどのオペレーションコストや、減価償却費などの固定経費等の増加の影響が大きく、前年同期比33.4%減の大幅な減益となりました。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比較して643百万円の増加となりました。
これは主に、建物及び構築物が増加したことや持分法による投資利益の増加などにより投資有価証券が増加した一方で、機械装置及び運搬具が減少したことなどによります。
〈飼料・種苗〉
売上高は、配合飼料の販売価格上昇等により当セグメント全体では前年同期比3.0%増の増収となりました。
営業利益は、牧草・飼料作物種子の売上減少や配合飼料の販売物量減少、原価上昇の影響等により前年同期比13.8%減の減益となりました。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比較して2,024百万円の減少となりました。
これは主に、雪印種苗㈱の減損損失計上により建物及び構築物、土地、機械装置及び運搬具が減少したことなどによります。
〈その他〉
当セグメントには、共同配送センター事業、不動産賃貸事業等が含まれております。
当期は、売上高は前年同期比1.2%増の増収、営業利益は前年同期比7.1%減の減益となりました。
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比較して1,425百万円の増加となりました。
これは主に、建設仮勘定や商品及び製品が増加したことなどによります。
目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは2017年5月に、2020年3月期を最終年度とする「グループ中期経営計画2019」を策定いたしました。
当社は「グループ長期ビジョン2026」において、最終年度の連結売上高は7,000~8,000億円、連結営業利益は300~400億円としております。また「グループ中期経営計画2019」では、目標値を連結売上高630,000百万円、
連結営業利益22,000百万円、連結EBITDA40,000百万円としております。
「グループ長期ビジョン2026」および「グループ中期経営計画2019」の2年目となる当連結会計年度における連結売上高は、前年同期比1.2%増の603,378百万円、連結営業利益は前年同期比11.0%減の17,230百万円、連結EBITDAは前年同期比4.0%減の33,132百万円となりました。
2020年3月期(予想)は、連結売上高は前年同期比1.9%増の615,000百万円、連結営業利益は前年同期比4.5%増の18,000百万円、連結EBITDAは前年同期比3.5%増の34,300百万円を予想しております。なお、「グループ中期経営計画2019」に掲げていた目標とする経営指標に到達しない見通しでありますが、これは「グループ長期ビジョン2026」に掲げる戦略のコンセプトTransformation&Renewal」の方向性を変えるものではありません。2019年度は「グループ長期ビジョン2026」の達成に向けた重要な年度であり、当社グループは引き続き、事業ポートフォリオの変革、生産体制の進化、グループ経営の推進に取り組みます。
また、「グループ中期経営計画2019」の期間中の総投資額につきまして、キャッシュ・フロー配分方針において770億円の予定としておりましたが、市場環境を踏まえて「グループ長期ビジョン2026」の第2ステージを含め、投資の時期を判断してまいります。
当社は「グループ中期経営計画2019」に基づき、マーケティング投資の継続、高付加価値商品や主力商品の積極的な販売の拡大などにより、将来の成長に向けた収益基盤の強化に引き続き取り組むとともに、グループ・バリューチェーンの生産性を向上し、グループ経営を強化することで2020年3月期(予想)の連結売上高、連結営業利益を達成します。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
「2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
資本の財源及び資金の流動性についての分析
キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりです。
|
決算年月 |
2017年3月期 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
41.9 |
44.1 |
46.3 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
60.9 |
55.5 |
50.7 |
|
キャッシュ・フロー 対有利子負債比率(年) |
2.8 |
3.3 |
3.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
42.8 |
42.2 |
49.3 |
※自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利息の支払額
(注)1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている負債を対象としております。
4.2019年3月期の期首より、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を適用しており、2018年3月期については遡及適用後の数値を記載しています。
資金需要
当社グループの主な資金需要は、「グループ中期経営計画2019」の達成に向け、基本戦略で掲げた「事業ポートフォリオ変革」「事業ポートフォリオ変革を支える機能戦略」に必要な投資および、長期借入金の約定返済等であります。
なお、2020年3月期のキャッシュ・フローに関して、重要な資本的支出の予定はありません。
資金調達
当社グループは、運転資金、投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については金融機関からの借入等により資金調達しております。なお、2019年3月期より、資金調達先の多様化を目的に、社債の発行を行っております。外部からの資金調達につきましては、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的に資金を確保するよう努めております。
また、グループ各社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、グループファイナンス制度を導入しております。
さらに、資金調達リスクの回避を図るため、金融機関とコミットメントライン契約を締結し、資金調達枠を確保しております。
該当事項はありません。
当社グループ(当社および連結子会社)は、当社、雪印種苗㈱および雪印ビーンスターク㈱を中心に、コーポレートスローガン「未来は、ミルクの中にある。」に基づき、事業戦略上急務となっている研究開発課題や、中長期的成長の基盤となる基礎研究を幅広く実施しております。
原材料価格の高騰による調達コストの上昇、また国内生乳生産量の減少による乳原料不足など、いまだ厳しい外部環境の中、このような環境変化を先取りして消費者に受け入れられる商品を継続的に提案するために、乳(ミルク)の価値を中軸に「市場対応型商品」と「付加価値型商品」を両輪とした商品開発を行っております。また、商品開発を支える研究開発として、乳(ミルク)の機能を中心として「おいしさ」と「健康機能」の追及を主軸とした基礎研究と技術開発に取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
各セグメント別の主な研究開発活動は次のとおりです。
〈乳製品〉
当連結会計年度の研究開発費の総額は
・提出会社
チーズカテゴリーにおいては、さけるチーズのラインナップ強化として「さけるチーズベーコン味」を発売致しました。さけるチーズはさいて食べる楽しさ、独特な食感、子供から大人まで楽しめるミルキーでマイルドな風味によって需要が年々拡大している商品です。「ベーコン味」は家飲みのおつまみ用途に最適でありながらお子様も大好きな味であり、一層の市場拡大に貢献致します。世界のチーズデザートをヒントにした商品開発を行っている「Cheese sweets Journey」については、ハワイをテーマに「パイン香るベイクドチーズ仕立てのスイーツ」を発売致しました。伸長著しいベビーチーズカテゴリーにおいてはナチュラルチーズを気軽に楽しめるをコンセプトとした「モッツァレラ入り ベビーチーズ」を発売し、高まる家飲み需要に対応しました。
油脂カテゴリーにおいては、若年層のマーガリン需要獲得を図るため、不二家の「ミルキー」の味が楽しめる「ミルキーソフト」の第二段として「ミルキーソフト キャラメル味」を発売致しました。
今後も様々な食シーンの提案と、たゆまざる商品力向上へ取り組んで参ります。
乳製品における「おいしさ」と「健康機能」に関する研究を行い、おいしさを構成する技術と、当社独自の乳製品の健康機能の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を乳製品の商品開発と商品力強化、および当社独自の機能性素材の価値向上に活用いたしました。
主な研究成果は以下の通りです。
・プロセスチーズを想定したモデルチーズにおいて、原料の乳化剤が物性・構造変化におよぼす影響を検討した結果、乳化剤のHLBによって、粘度および硬度が変化することを確認しました。また、脂肪球の大きさにも影響を与えることがわかりました。この知見は、プロセスチーズ類の食感や物性の調整技術として活用していきます。
・マーガリン類を想定したモデル乳化物において、風味を形成する香気成分の遊離メカニズムについて研究しました。その結果、香気成分の遊離は、香気成分の炭素鎖と、モノグリセリドの脂肪酸の分子間相互作用の影響を受けることがわかりました。この知見は、マーガリン類の風味調整技術として活用していきます。
・噴霧乾燥によるホエー粉製造を想定し、ホエー中のミネラルが乾燥速度に与える影響を研究した結果、カルシウムによる増粘が乾燥速度を低下させることがわかりました。
これらの研究成果は日本食品科学工学会などの学会で発表し、論文としてFood Hydrocolloids、日本食品科学工学会誌に掲載いたしました。
・雪印ビーンスターク㈱
「赤ちゃんとお母さんをはじめ、家族の健康といきいきしたくらしをサポート」する商品をお客様にご提供するために、「母乳調査研究」、「乳幼児の食生活実態調査」をはじめとする赤ちゃんに関する調査研究、「妊産婦・授乳婦の食事調査」などを調査研究し、粉ミルク・ベビーフードなどの赤ちゃん商品、お母さんのための母親商品、シニア世代の健康をサポートする機能性食品などの幅広い研究・商品開発に取り組んでいます。
商品開発では、当社の基幹商品の新生児からの乳児用調製粉乳「ビーンスターク・すこやかM1」ならびに9か月齢からのフォローアップミルク「ビーンスターク・つよいこ」を発売しています。「すこやかM1」は、長年の母乳調査研究、とくに免疫機能の研究成果を込めた粉ミルクです。
2018年度は、ピップ株式会社との共同取組により発売し、数々のメディアで紹介頂いた、大人のための“美味しい粉ミルク型サプリメント”「プラチナミルク for バランス」のスティックタイプ「プラチナミルク for バランス スティック10本」を発売しました。
お母さん向け商品としては、「ビーンスタークマム つわびー」を発売しました。本商品は、産婦人科医と一緒に考えた、妊娠初期の食べられないママのためのサプリメントです。ビタミンB6と葉酸を手軽に摂取することができ、特に葉酸摂取が重要な妊娠初期の女性におすすめです。
赤ちゃん向け商品としては、「ビーンスターク つよいこ」をリニューアルし、2019年4月1日より発売しております。本商品は、牛乳では摂りにくい「DHA」、「鉄」、離乳食で不足しがちな「カルシウム」など、お子様に大切な栄養素をバランスよく配合したフォローアップミルクです。
また現在、雪印メグミルク㈱との共同研究として、約30年ぶりとなる全国的な母乳調査研究を実施しています。これらの研究の一環として、日本、中国、韓国、デンマークの4か国間の国際共同研究に参画し、最近の日本人の母乳中オステオポンチン(OPN)濃度を調査しました。OPNは、免疫に働きかける機能をもつ母乳中の成分です。その結果、母乳中のOPN濃度およびたんぱく質中のOPNの割合は国によって異なり、産後日数の経過に伴い濃度が低下することが明らかになりました。800検体を超えた多国間での母乳とOPNに関する共同研究は世界初の取り組みとなります。これらの研究について、5月にスイス・ジュネーブで開催された欧州小児消化器肝臓栄養学会(European Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology and Nutrition : ESPGHAN)において、学術発表しました。また、本研究結果は欧米の小児学専門誌「Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition」にオンライン掲載されました。
〈飲料・デザート類〉
当連結会計年度の研究開発費の総額は
・提出会社
牛乳・乳飲料カテゴリーにおいては、たっぷりボトルで楽しめる本格ラテの「BOTTLATTE」シリーズに、コールドブリュー(低温抽出製法)コーヒーを使用し、キレのある軽やかな味わいを楽しめる「BOTTLATTE カフェラテクリアテイスト」を新たにラインナップに加えました。また、シリーズにおいて、シズルを立たせたデザインに変更し、各商品のこだわりをコピーでパッケージ正面に記載致しました。カップ飲料では、“ミルクの濃厚さ” にこだわって開発した「濃厚ミルク仕立て」シリーズに、カフェなどでも人気のチーズフレーバーを使用した「濃厚ミルク仕立て フロマージュミルク」を新たにラインナップに加えました。
天然果汁・野菜・清涼飲料カテゴリーでは、健康意識の高まりに対応する商品として、Dole®ブランドより、機能性表示食品の果汁100%飲料「Dole® Handy Charge Berry Mix」、「Dole® Handy Charge Lemon Mix」2品を発売し、オフィスワーカーの様々なシーンに寄り添い、おいしさと機能で応援いたします。
ヨーグルトカテゴリーでは、「ガセリ菌SP株シリーズ」において、お客様からのニーズに応えるべく、生乳、乳製品、乳たんぱく質のみを使用し、甘味のないプレーンタイプの「恵 megumi ガセリ菌SP株ヨーグルト 生乳仕立てプレーン」を発売いたしました。甘味がなくてもおいしく食べられる商品をシリーズに加えることで、フルーツ系ラインナップでは取り込むことが出来なかった新たなユーザー獲得を目指します。
デザートカテゴリーでは、当社独自の特許製法*により重ねた4層のハーモニーで彩り豊かなおいしさをお届けする「重ねドルチェシリーズ」において、多層デザートの魅力をよりわかりやすくお客様へ伝え、お楽しみいただけるよう、「重ねドルチェ caffè&ブランマンジェ」と「重ねドルチェ fruttaピーチ」を発売いたしました。また、大人が楽しむデザートとして、お酒とスイーツの融合に着目し、カジュアルに飲まれるカクテルを、2層のおいしいデザートで楽しむ「カクテルジュレ カシスオレンジ風味」を発売しました。
*多層食品及びその製造方法:方法特許第4022558号
飲料・デザート類における「おいしさ」、「健康機能」に関する研究では、主に当社独自のプロバイオティクス乳酸菌や乳素材の機能性の深耕を目的に検討を行い、得られた研究成果(新知見、新技術、新手法など)を「ヨーグルト」、「牛乳、乳飲料」などの商品開発に応用し、商品力強化に活用いたしました。
主な研究は以下の通りです。
・当社独自のプロバイオティクス菌である「ガセリ菌SP株」が骨格筋細胞のミトコンドリアの生合成を促し、加齢による修復能力の低下に伴う筋損傷からの回復を促進することを、細胞実験により見出しました。
・マウスを対象とした動物実験において、当社独自の乳酸菌であるヘルベティカス菌(SBT2171株)を投与することにより、花粉症の症状を緩和する可能性を見出しました。
・ヒトを対象とした試験において、当社独自の乳酸菌であるヘルベティカス菌(SBT2171株)を含む発酵乳を摂取することにより、ダニやハウスダストによる目や鼻の不快感が緩和されることを確認しました。
これらの研究成果は、日本乳酸菌学会、日本食品免疫学会などの各学会での発表の他、論文としてFunctional Foods in Health and Diseaseに掲載いたしました。
〈飼料・種苗〉
当連結会計年度の研究開発費の総額は
・雪印種苗㈱
飼料分野では、酪農における牛体管理の重要課題であるルーメンアシドーシス研究*を進めており、公的機関と連携してルーメン微生物の評価を中心に飼料素材の検討を継続しています。また子牛の健全な生育を助ける代用乳の素材および配合の改良研究を重点課題として取り組んでいます。さらに母牛の出産前後の健康を維持する有望な素材を探索し、周産期サプリメントの商品化に向けた研究を継続しています。
酪農に貢献する新たな機能と特徴を持つ乳酸菌製品の開発へ向けて、新規乳酸菌株およびサイレージ用酵素の性能評価試験を継続実施しています。この中で、乳酸菌の菌株を改良したサイレージ用資材サイマスターACが2018年度の北海道指導参考事項に認定され、当該商品と技術の普及促進が期待されます。
*ルーメンアシドーシスとは、牛の1番目の胃であるルーメン内が、酸性になって、ルーメン内に生息する微生物
がダメージを受けたり、ルーメン粘膜(上皮組織)が損傷してしまうという病的な状態のことです。
牧草・飼料作物種子分野では、栄養価に優れサイレージ発酵特性の良好な自給飼料として期待される高糖含量オーチャードグラス「えさじまん」の機能を検証する産乳性試験および安定生産を確認する採種性試験を継続しています。
飼料用トウモロコシについては九州と関東・東北での圃場試験において耐倒伏性・耐病性・収量性の良好な1品種、北海道で耐病性と収量性に優れる2品種を選抜し、2019年に販売を開始しました。また北海道(道央・道南)と府県全域で収量性と耐病性に優れる1品種を2020年に市場投入する予定です。
畑作・園芸種苗分野では、カボチャ「栗天下」の青果品質の市場評価が高いことから北海道以外へも普及拡大することとし、安定した青果の供給のために栽培に関して技術支援を行っています。スイートコーン「ピュアホワイト」に続く「ピュアホワイトSP」も青果の品質と栽培のしやすさに関して高い評価を得ています。
花卉分野では、ポットカーネーション7品種を新たに品種登録出願し、生産者向け苗の出荷を開始しました。またシクラメンの組織培養苗を2品種、新たに発売しました。鉢物・ガーデン用ダリア「おひさまダリア」苗の本格販売を開始しました。
生理活性物質関係では、畑作・園芸作物の根張りを良好にする当社独自の機能性液肥「根真人232」の市場競争力をさらに向上させるため、製造方法の改良に取り組んできました。改良に目途が立ち、製造試験を継続しています。また線虫や病原菌による作物被害の抑制・軽減を目的として、さまざまな病害のメカニズム研究を進めています。
環境緑化分野の芝生・植生関係では生態系・環境に調和した草種・品種の開発を進めており、寒冷地・高冷地に向く芝生用ケンタッキーブルーグラス「ハイディ」の販売を開始しました。また、自社育成のノシバ品種「エンルム」、「イジャニ」は増殖圃を北海道研究農場と千葉研究農場に設置し、特性を確認するとともに販売へ向けた増殖を継続しています。
当社グループは、今後もコーポレートスローガンである「未来は、ミルクの中にある。」を基本に、乳(ミルク)の可能性の追求および酪農生産への貢献を目指した、高付加価値で独自性のある商品の開発を進めてまいります。