(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは「情報と技術で、新しい価値、サービスを創造・提供し、社会の発展に貢献します」という経営理念のもとに、課題を解決する「エレクトロニクスの情報プラットフォーマー」を目指し、グループの融合と各事業の最適化、積極的な共創ビジネスの展開や新規事業の拡大を進めてまいります。
企業活動に対しては持続可能な社会への貢献がますます求められる中で、多様な領域にビジネス展開している当社グループは、再生可能エネルギーの発電拡大をはじめ、社会的な課題の解決に向けた更なる取組みに努めております。
刻々と変化する事業環境において、永続的に成長・進化し、未来を見据えた長期経営を実現しうる体制の構築を目指してまいります。
当社は、将来の成長に向けた積極的な戦略投資や合理化投資とともに、一層の利益の拡大と資本効率の改善を通じた企業価値向上に努めてまいります。
各事業における主要課題については下記のとおり認識しており、上記の基本方針に基づきながら、継続的に対応策の推進に努めていく考えであります。
当社グループは「情報と技術で、新しい価値、サービスを創造・提供し、社会の発展に貢献します」という経営理念の下、「エレクトロニクスの情報プラットフォーマー」を目指し、事業間シナジー及び外部パートナーとの積極的な共創、多様な事業展開、技術領域の伸展、持続的な規模拡大を推し進めています。
今後の重点取り組みは、以下のとおりです。
① サステナビリティの基本方針
当社は経営理念において「情報と技術で、新しい価値、サービスを創造・提供し、社会の発展に貢献します」をミッションに掲げ、あらゆるニーズに対応できる「エレクトロニクスの情報プラットフォーマー」を目指しています。情報と技術によって様々な社会の課題を解決する事業を営み、社会の持続的発展に貢献することをサステナビリティ基本方針としています。
私達は様々な事業間シナジーを生み出しながら、地方創生への取り組み、エネルギー問題や食糧問題などに代表される世界的な環境問題の課題解決に寄与し、より豊かで将来に永続する地球環境づくりに貢献していきます。また、これらを実現するために社員は「行動規範」に基づく行動を基本とし、お取引先の皆様とも課題解決に取り組むことによってステークホルダーの皆様との信頼関係をさらに高め、サステナブルな社会の発展に努めてまいります。詳しくは、以下のURLをご参照ください。
URL:
② ガバナンス組織
下図の通り、取締役会・グループ執行会議と連携したサステナビリティ委員会を設置しております。各事業が関連するマテリアリティの取り組み進捗や、人事委員会における人的資本の施策立案、また環境推進委員会におけるGHG排出量の目標設定とモニタリング等、サステナビリティに関する進捗全般のモニタリング、課題など定期的な情報共有や方針策定などを行ってまいります。

〈戦略〉
人財の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
① 基本方針
人的資本については、当社はサステナビリティ基本方針を定めるとともに、経営理念、並びに行動規範の基本姿勢に基づき「ステークホルダーの人権、個性、人格及び多様性を尊重します。」と人的資本に関する基本的な考えを制定しております。さらに遵守事項の「1.人権の尊重」で、個人の基本的人権と多様性を尊重し、個人の特徴に基づいた差別をしないこと、「2.雇用・労働環境」で人事制度の公正な運用、雇用機会の均等、安全衛生に配慮した労働環境の整備・維持を定めております。
行動規範についての詳細は、以下のURLをご参照ください。
URL:
② 人財育成方針
「人財こそが当社の価値創造の源泉である」という考え方に基づき、DEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を推進し、多様で優秀な人財が集い、活躍できる職場づくりを進めています。働き方の変革、従業員のエンゲージメント向上、評価・報酬制度の改定、人財育成施策の充実、組織活性化等を推進し、人的資本に対する継続的な投資を行っております。
人財育成施策として階層別研修を実施し、新入社員には「人間力」と「仕事力」等の研修、管理職にはマネジメント力強化研修等、中長期的な人財の育成施策を推進しています。また職制によって求められる専門性に特化した研修の充実を図っています。加えて、会社として重点的に教育すべき課題においては、課題対応型研修を実施しております。本年度はコンプライアンス、ハラスメント、情報セキュリティ等の基礎研修等に加え、輸出管理規制の強化を踏まえた輸出入管理に関する研修を関係部門社員に実施する等、社員の状況や立場、会社の方針や戦略、環境変化に適応できる育成環境を整えています。
加えて、社員一人ひとりの学びたい気持ちを大切にし、各自が自由に選択可能な様々な教育機会(選択型eラーニングプログラム・社内外研修等)を提供しています。様々な取り組みを通じ将来を見据えた人財育成に取り組んでいます。
③社内環境の整備
―女性の活躍促進―
当社は、多様な人財が活躍できる環境を整備し、企業の持続的な成長につなげることを目指しています。その一環として、女性の活躍促進に積極的に取り組んでいます。女性管理職の割合については、社内の多様性確保の観点から、2030年度に10%を目指し、積極的な登用を進めています。管理職候補者の育成・強化、研修プログラムの拡充、キャリア形成支援などを通じ、女性がリーダーとして成長できる機会を提供しています。また、ライフステージの変化に応じた柔軟な働き方を支援するため、時短勤務制度の延長や子の看護休暇の対象年齢拡大など、働きやすい環境の整備にも注力しています。ワーク・ライフ・バランスを尊重し、すべての社員が最大限能力を発揮できる組織を目指します。
―多様性の確保―
能力と経験を重視し、国籍・性別・年齢・学歴・宗教・人種等を問わず魅力ある人財を登用・育成し、管理職への登用を含めた活躍できる環境の整備をグループとして推進しています。多様な視点を持つ人財の採用を強化することで、「成長し続ける組織」の構築を目指しています。中途採用者については、広く優秀な人財を集めた結果、すでに管理職の過半数を占めております。これによって、柔軟な発想と新たなビジネス機会を創出し、持続的な企業成長を実現します。
また障がい者雇用において、ハンディキャップを持った方でも安心して働ける環境の整備を進めることで、雇用機会の提供だけでなく、一人ひとりの能力に応じた活躍の場を提案し、多様な人財が最大限の力を発揮できるよう支援しています。パラ及びデフスポーツにおけるアスリートを雇用・支援する等、多様な人財が活躍できる場を提供と豊かな社会の形成に貢献していきます。
① 内部統制システムの整備の状況
当社は、法令、定款及び行動規範に基づき、適正な業務執行のための体制を整備し運用していくことが重要な経営の責務であると認識しております。そのため、本有価証券報告書(
② リスク管理体制の整備の状況
事業等のリスクについては本有価証券報告書(
当社及び子会社は「リスク管理規程」に基づき、各社各部門においてリスクの識別・評価・対応を行うと共に、各種委員会・会議等を開催しモニタリングを行っております。
また、重要度に応じて、親会社である当社の取締役会等へ報告する体制を構築しております。重大なリスクは定期的に内部統制委員会に報告され、その対応状況に関する確認・検討を行うこととしております。
③ 気候変動リスク管理
気候変動リスクについては、当社の事業が気候変動によって直接受ける影響及び間接的に影響を受ける可能性のあるリスク・機会について、当社ホームページ(
① CO2の排出量削減目標は、2020年度を基準年度として、Scope1は2030年度までに63%の削減、2050年度までに100%の削減を、Scope2は2030年度までに100%削減を目標として定め、削減達成に向けた取り組みを推進してまいります。
② 人財の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
人的資本に関する女性管理職比率並びに外国籍採用については下記の通りです。
(注) 上表の女性管理職及び外国籍採用は、国内グループ会社が対象
なお、外国籍採用者、中途採用者の管理職の目標を設定していない理由としては以下のとおりです。
外国籍採用者:管理職登用においては適材適所を実現するためのスキル、能力等の基準に基づいて行っていることから、国籍によって登用判断をしていません。従って、外国籍管理職の登用目標は定めていません。
中途採用者:管理職に占める中途採用者がすでに過半数を占めているため、中途採用者の管理職の目標を定めていません。
当社グループが持続的に成長・進化するにあたってグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであり、また、事業等のリスクはこれらに限定されるものではありません。
当社グループが属するエレクトロニクス業界は、「市場の成熟化と新興企業の参入」、「IoT(モノのインターネット)/AI(人工知能)の進展」、「ニーズの多様化・高度化」といった大きな環境変化の中にあり、競争が非常に激しい業界であります。そのため、価格競争の激化、技術革新に伴う当社の製品やサービスの対応の遅れといった要因が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては、業務の効率化を進めるとともに、グループの技術力を高めワンストップサービスや新たなビジネスモデルの提供を推し進め、付加価値の向上を目指します。
当社グループは、海外各国・地域で事業を展開しております。そのため、関連する海外各国・地域における政治・経済状況の変化、法律・税制の変化、テロ・戦争、パンデミック等による社会的混乱、債権回収リスク、労働力不足・人件費高騰等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては、国ごとのリスクを事前に把握し、現地専門家や海外現地のパートナー企業とコミュニケーションをとり可能な限りの対策を講じてリスクマネジメントを図っております。
当社グループは、日本国内の他、海外でグローバルな事業活動を展開しているため、円の他にUSドルやユーロなどの他国通貨の取り扱い及び借入金があります。各通貨は、通貨国の経済状況や、中央銀行の政策金利の影響を受けており、著しい為替変動や金利上昇は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
為替リスクや金利上昇リスクを完全に払拭することは困難ではありますが、当社グループとしましては、為替差損益を極力縮小させることや、在庫削減や資金の効率運用などで、借入金を抑制し、金利負担低減を図ってまいります。
新規事業の立上げやその他投資にあたっては、その市場性や採算性等について十分な検証を行った上で、意思決定を行っておりますが、市場環境の急激な変化や不測の事態等により当初計画に乖離が生じた場合には、減損処理等を実施することとなり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしましては取締役会、投資/財務委員会においての議論を通じ、目的の適切性や定量的な検証等、事前の精査を高める一方、投資後においても投資/財務委員会等で、各進捗状況の検証を行い、事業や投資の継続有無を検討してまいります。また事業の立上げや契約に伴って生じる事業特有の法的リスクに対処できるように努めてまいります。
当社グループは優れたスキル・ノウハウを保有した人財の採用及び育成が重要であると認識しております。必要な人財を確保又は育成できなかった場合には、当社グループの事業展開や業績に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループとしましては、人財の棚卸を行い、スキルを明確にした上で採用活動を進めてまいります。また、評価・報酬制度や教育制度を整備してまいります。
当社グループは、多様な事業を展開しており、気候変動や、地震・洪水・台風等の自然災害、火災等の事故災害又は感染症が発生した場合、自社の従業員や関連施設が直接的な被害を受けるリスクに加えて、仕入先メーカー・顧客メーカー等の操業停止に伴い、当社グループの事業活動が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
気候変動によるリスクへの対応については再生可能エネルギーの発電拡大等を通じて事業化の取組みを進めております。
気候変動におけるリスク管理の重要度の観点からはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに基づいたScope1・2におけるCO2削減の取組みを進めてまいります。
また自然災害や事故災害、新型コロナウイルスを含む感染症等のリスクについては、未然の防止を想定した業務マニュアルの徹底を図るとともに、防災対策、在宅勤務制度、サプライチェーンの継続を柱とする迅速な事業継続(BCP)体制の推進、損害保険への加入等でリスクヘッジを図ってまいります。
当社グループは、仕入や販売、及び会計などの業務処理に様々なシステムを活用しておりますが、企業規模の拡大に伴い、システムエラーやサイバー攻撃などによるシステム障害リスクは年々高まっております。また、取引先から入手した機密情報や個人情報等を保有しており、それらの情報資産が漏洩した場合には取引先情報資産の損失だけでなく、当社グループの社会的信用の失墜や業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、障害に強いシステム環境の構築を促進すると共にシステム運用体制や管理手順を整備し、障害リスクの低減を図ってまいります。情報漏洩リスクに対しても、グループ管理体制の強化、より高度なセキュリティツールの導入、システム運用管理の徹底等によりリスク低減を図ってまいります。
・顧客の需要動向に関するリスク
当社グループが販売する半導体及び電子部品は、顧客(セットメーカー)製品に搭載され、機器は顧客の業務プロセスの一部に組み込まれ、使用されています。
そのため、顧客製品の需要動向・搭載機能や経済環境・景気の変動に伴う顧客の設備投資動向に変更が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・顧客及び仕入先に関するリスク
当社グループは国内外の多岐に渡る企業と取引を行っております。デバイス事業及びシステムソリューション事業では、特定の企業の商材を多く取り扱っているため、当該企業への依存度が高くなっており、当該企業の経営方針の変更や特定部品の需給逼迫動向等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、仕入先の事業再編(M&A等)や販売チャネル・テリトリー政策の見直し等により、当社グループの商権に変更が生じた場合にも、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
・事業の季節要因についてのリスク
当社グループが展開するシステムソリューション事業は、放送関連市場、企業・学校・官公庁市場を主な市場としている特性から、顧客の予算執行の関係で期末の3月と9月に売上高が集中する傾向にあります。そのため、顧客の予算実行計画の変更等により、業績予測に影響を及ぼす可能性があります。
・施策の変更等に関するリスク
当社グループが展開するエコソリューション事業は、国の施策や環境規制等の様々な法令・規制との関連性が高い面を有しております。そのため、国の施策や環境規制等に変更があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・電力市場価格の変動に関するリスク
原油価格の上昇や為替の大幅な変動、また自然災害等による原子力発電所の稼働停止等の要因で、電力の市場価格が大きく変動することにより、エコソリューション事業の採算性に影響を与える可能性があり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
・植物工場の経営に関するリスク
エコソリューション事業の植物工場内において、設備の故障や植物の病気が発生した場合又は感染症に罹患した場合は、工場の操業を一時停止し問題を解決する必要があり、生産計画に影響を与える可能性があります。また、提供する商品の不具合の発生等において第三者から費用請求等を受け、その責任が当社グループに起因するものと判断された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
個々の事業リスクについては、迅速な情報収集や特定のビジネスに依存することのないようにラインナップの拡充、新規の仕入先・顧客の開拓等に努めるとともに、グループ戦略として多様な事業展開を進めることで、リスクの分散を図ってまいります。
(9) 長期経営に関するリスク
グループビジョンの達成に向けて代表取締役会長CEO 今野邦廣氏の判断に依存しているリスクがあります。今野氏に突然の離脱があった場合には当社の経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社は永続的な成長・進化を目指すことを目的に、会長兼社長を担ってきた今野 邦廣が代表取締役 会長CEOとして経営全般の責任を担い、グループ全体を牽引するとともに、代表取締役 社長COOを担う林 眞一が既存事業の一層の成長と深化を推進する経営体制といたします。
当社グループとしましては「リスク管理規程」に基づき、各社各部門においてリスクの識別・評価・対応を行うと共に、各種委員会・会議等を開催しモニタリングを実施しております。また、重要度に応じて、親会社の取締役会等へ報告する体制を構築しております。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要が拡大する中、設備投資においても持ち直しの動きが見られ、期後半には回復に転じるなど、景気は緩やかに回復しています。一方で、米国の関税政策の動向によるグローバル経済の減速懸念や地政学的リスク、さらには国内外の金利動向による為替変動など、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
半導体市場においては生成AI関連などには一部回復が見られましたが、電気自動車(EV)需要や産業機器向けは低迷するなど市場全体の需要回復までには至らず、各種製品の需要には未だ強弱感のある状況となっています。
このような状況下、当社は2024年5月に、2019年の経営統合後初めてとなる中期経営計画を発表いたしました。2027年3月期までの成長に向けた基本方針を掲げ、4つのビジネスユニット(BU)体制の確立を目指しております。事業の一層の拡大と収益力の向上に取り組み、中期経営計画の達成に向けた施策を推進してまいります。2024年9月27日に中期経営計画の柱である4BU体制の新BU「IT&SIerBU」の基盤を担うPCIホールディングス株式会社(以下、「PCIグループ」といいます。)を連結子会社といたしました。PCIグループの強みであるソフトウエア開発やソリューション開発・保守等の情報サービス事業を軸に、両社の強みを生かした技術リソースの強化並びに企画提案等の上流プロセスへの展開を加速させ、更なる市場の深耕・拡大を図っております。
デバイス事業におけるケミカル商材のラインカード拡充や材料系拡販におけるマーケティング強化を図る目的で、デクセリアルズ株式会社との合弁会社であるRestar Dexerials Hong Kong Limitedが2024年7月1日より当社の連結子会社としてオペレーションを開始いたしました。加えて、Restar Dexerials Korea Corporationが2025年1月2日、Restar Dexerials Taiwan Corporationが2025年2月3日より当社の連結子会社としてオペレーションを開始しており、更なる売上拡大を図ってまいります。また、2024年10月1日に自己株式の取得を行い、2024年10月31日には新光商事株式会社との間で資本業務提携契約の締結及び第三者割当による自己株式の処分を行うことを決議いたしました。当社が進めるロングテール戦略において、規模・資金力・商材・人員リソース・技術力等、それぞれの経営リソースの共有により顧客基盤・販売ネットワーク及び製品ポートフォリオの拡充を図り、マスマーケット市場の深耕をはじめ、技術力・提案力を一層強化すべく、協業基盤の整備を進めております。
また、当社事業の拡大に必要な資金を安定的に調達できる体制の構築をするため、2024年8月にはハイブリッドローン(劣後特約付きローン)による資金の借り入れや2025年2月には九州・沖縄地銀連携協定参加地銀からの資金調達を行いました。加えて、2025年3月には第1回となる無担保普通社債を発行するなど、財務規律を維持するために資金調達手段の多様化を図り、財務的安定性を高める取り組みを推進しております。
引き続き、国内外でのM&Aや資本提携に加え、グループシナジーの追求により、あらゆるニーズに対応できる「エレクトロニクスの情報プラットフォーマー」を目指し、情報と技術で世界・社会の持続可能な発展を実現し、企業価値の向上を図ってまいります。
a.財政状態
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して18,318百万円増加し、310,022百万円となりました。これは主に、商品及び製品が14,510百万円、その他の流動資産が6,642百万円減少したものの、売掛金が24,773百万円、繰延税金資産が5,846百万円及び現金及び預金が4,497百万円増加、貸倒引当金が7,079百万円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比較して9,282百万円増加し、209,961百万円となりました。これは主に、短期借入金が44,454百万円減少したものの、長期借入金が32,991百万円、支払手形及び買掛金が15,878百万円、社債が10,000百万円増加したことによるものであります。
純資産は前連結会計年度末と比較して9,036百万円増加し、100,061百万円となりました。これは主に、自己株式が5,388百万円増加、資本剰余金が3,370百万円減少したものの、非支配株主持分が7,417百万円、利益剰余金が6,459百万円増加、為替換算調整勘定が4,027百万円増加したことによるものであります。
これらの結果、当連結会計年度末におけるリース債務等を除く有利子負債は106,650百万円、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後のネットD/Eレシオ(※1、2)は0.6倍となり、安定的に1.2倍を下回る水準を維持しております。自己資本比率(※2)は、当連結会計年度末においては29.3%となり、前連結会計年度末の28.9%から0.4%改善いたしました。
(※1)ネットDEレシオ=(リース債務を除く有利子負債-現金及び預金)÷自己資本
(※2)2024年8月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付きローン)100億円について、格付上の資本性50%を考慮して計算しております。
・業績ハイライト
当連結会計年度においては、M&Aや合弁会社設立による連結子会社化に伴う増収、また、デバイス事業における高機能カメラやモバイル機器を中心とした民生向け売上の伸長、さらにはスマートフォン新機種への搭載効果によるEMS事業の業績改善などにより売上高は昨年度に続き過去最高となりました。利益面では増収に伴う増益はあったものの、デバイス事業における8月から9月にかけての急激な円高の影響による売上総利益の悪化や、産業機器市場の回復の遅れによる販売ミックスの悪化に伴う売上総利益率の低下、さらにはエコソリューション事業における減益もあり営業利益は減益となりました。経常利益においては借入通貨ミックスの変化による支払利息の減少はあったものの、営業利益の減益によりやや減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は2024年9月に連結子会社の解散を決議したことに伴う子会社清算損を計上したものの、当該清算に関連した税効果があり過去最高益となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は561,001百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益は14,174百万円(前年同期比11.0%減)、経常利益は9,559百万円(前年同期比1.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,473百万円 (前年同期比6.7%増)となりました。
(報告セグメント別の経営成績)
当社グループの報告セグメントは、2024年4月の事業再編により「デバイスBU(ビジネスユニット)」及び「システムBU(ビジネスユニット)」とし、また同年9月のPCIグループの連結子会社化に伴い「IT&SIerBU(ビジネスユニット)」を加えた3つを報告セグメントとしております。
なお、当連結会計年度より報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しております。加えて、第2四半期連結会計期間より新たに「IT&SIerBU」を報告セグメントとして追加しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
イ.デバイスBU
・業績の概況
デバイス事業は産業機器市場の回復が遅れている一方、連結子会社化(2023年7月株式会社レスターWPG、2024年1月株式会社レスターエンベデッドソリューションズ、2024年7月Restar Dexerials Hong Kong Limited、2025年1月Restar Dexerials Korea Corporation、2025年2月Restar Dexerials Taiwan Corporation)が寄与したことや高機能カメラやモバイル機器を中心とした民生向け売上の伸長により増収となりました。EMS事業はスマートフォンの新機種への搭載効果やタブレットなどの民生向けが好調に推移したことなどにより増収となりました。セグメント利益は増収に伴う増益はあったものの、デバイス事業における8月から9月にかけての急激な円高の影響による売上総利益の悪化や、産業機器市場の回復の遅れによる販売ミックスの悪化に伴う売上総利益率の低下などにより減益となりました。
以上の結果、売上高は505,085百万円(前年同期比7.0%増)、セグメント利益は11,205百万円(前年同期比10.2%減)となりました。
ロ.システムBU
・業績の概況
システムソリューション事業は引き続きオフィス移転需要などで企業向けビジネス等が伸長したものの、放送関連向けや決済端末などのシステム機器における販売が低調に推移しました。また、センサー関連ビジネスの一体強化を図るため、イメージセンシングビジネスをデバイス事業に移管したことなどにより全体では減収となりました。エコソリューション事業は新電力における電力販売先の拡大及び国内外における太陽光発電所の拡大やPPA(電力販売契約)の新規契約の増加もあり増収となりました。セグメント利益はシステムソリューション事業における増益はあったものの、エコソリューション事業における電力の需給調整市場の競争激化などにより減益となりました。
以上の結果、売上高は42,835百万円(前年同期比5.5%増)、セグメント利益は4,205百万円(前年同期比21.3%減)となりました。
・業績の概況
2024年9月27日にPCIグループを連結子会社とし、売上高は13,079百万円、セグメント利益は468百万円となりました。
サービス商品化を目的とした技術の棚卸を実施し、両グループ内での活用可能なサービス・商品の選定を進めております。PCIグループの技術力を活用し、それぞれの顧客基盤を活かした新たな案件や領域に向けた販売活動を推進し、効率的なコスト管理や収益性の高い事業への重点的な資源配分及び効率的な資産運用を行ってまいります。引き続き、デバイスBU、システムBUとのシナジー創出に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、20,196百万円(前年度は15,668百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,293百万円、棚卸資産の減少15,697百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、61百万円(前年度は6,613百万円の使用)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入5,640百万円、有形固定資産の取得による支出2,304百万円、投資有価証券の取得による支出1,508百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、16,110百万円(前年度は3,005百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入れによる収入37,518百万円、社債の発行による収入9,952百万円、短期借入金の純減少44,322百万円、自己株式の取得による支出6,907百万円、長期借入金の返済による支出6,303百万円、配当金の支払額3,608百万円によるものであります。
(参考) キャッシュ・フローの関連指標の推移
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
株式時価総額=期末株価終値×(発行済株式総数-自己株式数)
3.2024年8月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付きローン)100億円について、格付上の資本性50%については考慮せずに計算しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は製造原価により表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は販売価格により表示しております。
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は仕入価格により表示しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する記載事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
イ.資産の部の分析
流動資産については、電子記録債権の減少2,612百万円、棚卸資産の減少14,510百万円により、240,568百万円となりました。
固定資産については、機械装置及び運搬具の増加355百万円、建設仮勘定の減少256百万円により69,407百万円となりました。
ロ.負債の部の分析
流動負債については、支払手形及び買掛金の増加15,878百万円、短期借入金の減少44,454百万円により、145,150百万円となりました。
固定負債については、長期借入金の増加32,991百万円、リース債務の減少590百万円により、64,810百万円となりました。
ハ.純資産の部の分析
親会社株主に帰属する当期純利益7,473百万円、利益剰余金からの配当3,608百万円により株主資本の部は2,300百万円減少し、79,377百万円となりました。
また、その他有価証券評価差額金が428百万円減少し、為替換算調整勘定の増加4,027百万円した結果、その他の包括利益累計額は3,890百万円増加し、6,415百万円となりました。
以上により、純資産の部合計は前連結会計年度末より9,036百万円増加し、100,061百万円となりました。
当連結会計年度における売上高は561,001百万円(前年同期比9.5%増)となり、前連結会計年度に比べて48,517百万円増加しました。これはM&Aや合弁会社設立による連結子会社化に伴う増収、また、デバイス事業における高機能カメラやモバイル機器を中心とした民生向け売上の伸長、さらにはスマートフォン新機種への搭載効果によるEMS事業の業績改善などが主な要因となっております。セグメント別の売上高・主要因については「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業利益は14,174百万円(前年同期比11.0%減)となり、前連結会計年度に比べて1,756百万円減少しました。利益面では増収に伴う増益はあったものの、デバイス事業における8月から9月にかけての急激な円高の影響による売上総利益の悪化や、産業機器市場の回復の遅れによる販売ミックスの悪化に伴う売上総利益率の低下、さらにはエコソリューション事業における減益が主な要因となっております。
経常利益は9,559百万円(前年同期比1.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,473百万円(前年同期比6.7%増)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高益となったことに加えて、自己株式の取得等による株主資本の減少に伴い自己資本当期純利益率は前連結会計年度の8.5%から当連結会計年度は8.8%となりました。また経常利益の減益並びに総資産の増加に伴い、総資産経常利益率は前連結会計年度3.5%から当連結会計年度3.2%となりました。自己資本比率は前連結会計年度の28.9%から当連結会計年度は27.7%となりました。今後も資本効率の改善と企業価値向上に向けてより一層努めてまいります。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
イ.キャッシュ・フローの分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ロ.資金需要及び財務政策について
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、売上の回収と支払のサイト差及び商品在庫の保有の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資に係る主な資金需要としては、エネルギー事業、植物工場事業の設備投資の他、IoT/AIといった成長市場の深耕に向けた開発投資や戦略的なM&A・資本提携のための投資等があります。
当社グループでは、運転資金については、売上債権の流動化及び金融機関からの借入により調達することとしております。また、より効率的な資金調達を行うため、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。設備投資並びにM&A等の事業投資の長期資金需要につきましては、資金需要が発生した時点で、金融機関からの長期借入等、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討し対応しております。
今後につきましては、健全な財政状態の維持を図っていくとともに資本効率を高めてまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは次のとおりであります。
a.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、原則として、事業用資産については会社毎の資産を基本単位としてキャッシュ・フローを生み出す最小単位、のれんについては継続的に損益を把握している管理会計に準じた事業単位をもとに資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループは、時価のある有価証券と時価のない有価証券を所有しております。
時価のある有価証券は、決算日の市場価格等に基づき時価評価を行い、税効果調整後の評価差額を純資産の部のその他有価証券評価差額金に計上しております。
また、期末における時価等が取得原価に比べ50%以上下落した場合には原則減損処理を行い、30~50%未満下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行うこととしております。一方、時価のない有価証券は、実質価額が取得原価に比べ50%程度以上下落した場合には、回復可能性等を考慮して減損処理を行うこととしております。
なお、将来の市場悪化または投資先の業績不振等により、現在の帳簿価額に反映されていない損失が生じ、減損処理を行う可能性があります。
(1) 資本提携契約
(2) 合弁契約
1.
2.
3.
なお、2024年4月1日前に締結された金銭消費貸借契約については、「企業内容の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」附則第3条第4項により記載を省略しております。
(4) 財務上の特約等の付された社債
1.
当社グループでは、IT&SIerBUにて研究開発活動を行っております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は