当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「幅広いご縁」と「進取の精神」を大切に、お客さまのニーズに合ったサービスを提供し、地域の皆さまに「愛される」金融グループを目指しております。
関西地域における代表的な金融グループとして、以下の6つの経営方針の下、役職員一同総力を挙げて経営の諸課題に取り組んでまいります。
①人と人のふれあいを大切にし、誠実で親しみやすく、お客さまから最も「信頼される」金融グループを創ります。
②情報収集と時代の先取りに励み、先進的で高品質なサービスの提供によって、地域での存在感が最も高い金融グループを創ります。
③健全な財務体質、高い収益力、経営効率の優位性を持つとともに、透明性の高い経営を行い、株主の信頼に応えます。
④産・学・官のネットワークを活用し、様々なマッチングを通して、「地域との共生」を進めます。
⑤法令やルールを厳守し、環境に配慮した企業活動を行うことによって、社会からの信頼向上に努めます。
⑥グループ行員に、自由闊達に能力を発揮し、また能力向上を図れる職場を提供するとともに、よき市民としての成長を支援していきます。
当連結会計年度におけるわが国経済は、緩やかな回復が続きました。雇用・所得環境が改善する下で個人消費の持ち直しがみられたほか、堅調な企業収益を背景に、人手不足対応や生産性向上を目的とした省力化・デジタル化投資など、幅広い分野で積極的な設備投資姿勢が維持されました。一方で、先行きに向けては、各国の通商政策等の影響により海外経済が減速し、これがわが国の企業収益を下押しするリスクがあるほか、中国の不動産市場停滞や物価下落、中東地域をめぐる地政学リスクもあり、当面、不確実性が高い情勢が続くとみられます。
関西地域においては、インバウンド需要を主因として、個人消費が堅調に増加しております。2025年4月には、経済産業省の試算で経済波及効果が約2.9兆円とされる大阪・関西万博の開催もあり、地域活性化が期待されております。
金融情勢に目を転じますと、日本銀行が政策金利の追加利上げを実施し、2025年1月には約17年ぶりに政策金利が0.5%となりました。政策金利の引上げに伴い、国内の各金融機関は貸出金の基準金利や預金店頭金利の引上げを順次実施しました。
日経平均株価につきましては、米国経済指標の下振れや日本銀行による利上げ等を受け、ブラックマンデーを超える歴史的な急落を記録するなど一時31,000円台まで下落しました。その後は、心理的節目となる40,000円近くまで上昇することもありましたが、概ね38,000円から40,000円の範囲での推移が長く続き、2025年1月のトランプ
米大統領就任後は、関税政策発動等をめぐる不透明感が意識された結果、2024年度末終値は、35,617円となりました。
為替につきましては、日米金利差の拡大を受けて、一時38年ぶりの円安水準である1ドル160円台となったものの、2024年7月に日本銀行が追加利上げを行ったこともあり、日米の金融政策の方向性の違いから、日米金利差縮小が意識され、2024年9月には一時139円台まで円高が進行しました。2024年11月には、トランプ米大統領の勝利に伴う財政出動を期待する「トランプ・トレード」が広がり、再び円安・ドル高の流れが強まると、2025年3月末にかけて140円台から150円台で推移しました。
当社グループは、銀行合併10周年の節目となる2020年5月に、2025年大阪・関西万博の飛躍の年に向けて当社グループのありたい姿として「Vision’25」 を策定しました。第5次中期経営計画(2021~2023年度)は、この「Vision’25」 を見据えた成長戦略の実現を目指し策定したものです。
2024年度以降も、徹底したソリューションで地域のお客さまのお役に立つという方針の下、「Vision’25」の実現を目指すという考えは変わらないことから、第5次中期経営計画を2025年度までローリングし、「第5次中期経営計画Plus」を策定いたしました。ローリングにあたっては、環境変化や中長期展望からのバックキャストを踏まえ、従来の成長戦略を重点戦略Plusとして見直し、将来を見据えた戦略的投資(人的資本投資、デジタルバンク等)を強化いたしました。
その後、2025年5月には、経営環境の変化を踏まえ、「第5次中期経営計画Plus」の経営目標及び重点戦略の見直しを行いました。
①.見直しの経緯
第5次中期経営計画Plusの初年度にあたる2024年度のHD連結当期純利益は、最終年度の目標110億円以上を上回る132億円となりました。
外部環境面では、2024年度は国内市場金利が上昇、2025年4月に入り乱高下が見られるものの、長期的には今後も一定程度の国内市場金利の上昇を見込んでいます。
こうした経営環境の変化を踏まえ、経営目標及び重点戦略を見直しました。
②.経営目標と重点戦略の見直し
a. 経営目標
計画最終年度(2025年度)のHD連結当期純利益目標を147億円に上方修正、長期的に目指す水準としていたHD連結ROE8%の達成時期を2028年度と明確化いたします。
b. 重点戦略
重点戦略である企業価値向上に向けた取組みについて、株主還元の充実を図るべく、次期中期経営計画期間となる2026年度以降に向けての株主還元方針を見直します。



当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は2021年5月、経営理念の実践および経営ビジョン『Vision’25』の具体化に向けて、『サステナビリティ宣言』を採択しました。当社グループでは『サステナビリティ宣言』に従い、本業を通じて、地域の課題解決に資する取組みを強化しております。
(サステナビリティ宣言)

また、2021年11月には、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の趣旨に賛同しており、推奨された情報開示の高度化に取組んでおります。
サステナビリティへの取組みは、経営の重要課題として位置付けており、取締役会の監督のもと、具体的な取組みを推進しております。
2022年4月には、代表取締役社長兼CEOを委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。当委員会では、代表取締役社長兼CEO以下、各担当役員等を構成員としており、原則四半期毎に開催し、持続可能な地域社会の実現に貢献する中長期的な成長戦略として、気候変動問題を含むSDGs・ESGを経営に取込み、「ビジネスモデルの変革」を行うことを目的としております。当委員会で議論された内容については取締役会へ報告を行っており、適切な監督が図られる体制を構築しております。サステナビリティに関する重要な取組事項については、経営会議での議論を経て取締役会に付議、報告を行っております。
また、当社グループ全体のSDGs・ESGに関する施策をより一層推進すべく、2022年4月にSX戦略室を設置しております。
当社グループは、幅広いパートナーシップを活用し地域の課題解決に取組むことで、地域のSDGs達成に貢献します。
また、持続可能な地域社会の実現が当社グループの成長の礎になるものだと考えております。

気候変動の影響は不確実性が高く、また、分析対象となる期間も長期まで考慮したものとすべきとされています。当社では、気候変動の分析において、産業革命以前と比較して平均気温の上昇が「1.5℃以下」の上昇に留まるシナリオ及び「4℃」上昇するシナリオの2つのシナリオを用いて、気候変動が当社のビジネスに及ぼすリスクと機会について把握を行いました。また、評価の時間軸については、「短期(5年未満)」「中期(15年程度)」「長期(30年程度)」の期間で影響の分析を行いました。
2021年のTCFD提言改定付属書にもとづく炭素関連資産(※)が当社貸出金等に占める割合は、「29.2%」(2024年12月末時点)となっております。
※ 炭素関連資産は、「電力を含むエネルギー」「運輸」「素材・建築物」「農業・食糧・林業製品」セク
ターと定義しております
「TCFD」「SASB(サステナビリティ会計基準審議会)」など各種専門機関等の分析をもとに、セクター別の潜在的なリスクの大きさを調査するとともに、当社のエクスポージャーも加味したうえで、影響が大きなセクターを検討しました。検討の結果、「電力」及び「石油・ガス・消耗燃料(石油小売・卸売含む)」を重点セクターに選定しております。なお、重点セクターについては、今後の専門的分析や市場動向等を踏まえて追加・変更の可能性があります。
選定した2セクターについては、「1.5℃シナリオ」「4℃シナリオ」の2つのシナリオを前提として、当該セクターの事業者にどのようなリスクと機会があるかを洗い出した上、将来の事業に対する影響を分析しました。
移行リスクの分析に際しては、国際エネルギー機関(IEA)World Energy OutlookレポートのNet-Zero Emissions by 2050シナリオ(NZEシナリオ)等における資源需要や発電における電源別構成に関する将来予測データおよび炭素税の予測データ等を使用し、2050年までの融資先に対する財政状態や経営成績に関する変化についての予想を行い、与信関連費用の変化を分析しました。
移行リスクに関する分析結果は以下の通りです。
物理的リスクについては、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ)等を参考にし、ハザードマップを用いて事業性融資取引先の不動産担保の損壊による担保価値毀損額、および事業の停滞等による業績悪化の影響が、与信関連費用の増加に及ぼす影響を分析しました。
物理的リスクに関する分析結果は以下の通りです。
上記分析により試算した与信関連費用の増加については、中長期的な取り組みにより低減することが可能であることから、気候変動リスクが当社戦略へ与える影響は限定的であることを確認しております。なお、一定の前提を置いた試算であることから引き続きシナリオ分析等の向上および精緻化に取り組みます。
子会社である池田泉州銀行では、サステナブル投融資方針を制定し、ESG(環境・社会・ガバナンス)に対して負の影響を与えるおそれがある投融資については、十分に注意しながら取組み可否を検討し、その影響を低減・回避することに努めることとしているほか、以下のとおり、特定セクターに対する投融資方針を設定しています。
(特定セクターに対する投融資方針)
2024年度のモニタリングの結果、上記の特定セクターに対する投融資方針に反する投融資はありませんでした。
池田泉州ホールディングス傘下の池田泉州銀行と池田泉州リースは、「持続可能な社会の形成に向けた金融行動原則(21世紀金融行動原則)」に署名しております。池田泉州ホールディングスグループとして、SDGs私募債「絆ふかまる」、自家消費型太陽光投資パッケージ(リースモデル)等、様々な取組みを行っております。
③ 環境を重視した事業活動
池田泉州ホールディングスグループは、「SDGsアクション」と名付けた全社的な取組みを実施しています。
・脱!クリアファイル
・ペーパーレス 等
当社グループの営業エリアは、大阪湾及び大阪平野を取り囲むように山地が存在し、 海、山、河川、農地等、多様な自然環境が見られるとともに、幅広い分野の産業が集積しており、都市と自然が隣接しているという特徴があります。
当社グループでは、事業活動と自然資本との関係性を把握するため、TNFD提言金融機関向け追加ガイダンスを参照し、池田泉州銀行の融資セクター毎の自然資本への「依存と影響」の分析を実施しました。
実施方法:TNFD提言において推奨されているLEAPアプローチに沿って実施
活用ツール:ENCORE(自然資本への依存度や影響度を可視化するツール)
分析の結果、多くのセクターで水資源の調整や天候の調整を行う自然生態系サービスに依存していることがわかりました。

分析の結果、GHG排出、水使用、有害物質排出などが複数のセクター共通の影響項目であることがわかりました。

当社グループは、引き続き、特定した依存と影響に関する情報を考慮し、自然関連のリスクと機会の分析を実施してまいります。
当社は2021年4月に「人材育成基本方針」を制定し、「人材育成」を人材マネジメントの重要なテーマとしてきました。2024年4月には、人材マネジメントを行う上で密接に関連する5つの要素(採用、育成、配置、評価、報酬)の方針を明確にした「人的資本経営基本方針」を制定し、さらなる人材マネジメントの高度化に取り組んでいます。
ⅰ.人的基本経営の目的
当社グループの人的資本経営は、当社グループを構成する全ての人材を「資本」として捉え、人材が有する知識、技能その他の能力及び適正を見出し、最大限に生かすことで、当社グループの持続的な企業価値向上及び経営理念の実現を図ることを目的とします。
ⅱ.基本的価値観(スローガン)
スローガン:人に集い、仕事に集う
人に集う:目指す姿へ成長し続ける当社グループの「人」に魅力を感じ、一緒に切磋琢磨したいと希望す
る者が当社グループに集う
仕事に集う:お客様の課題解決を目指す当社グループの姿勢がチャレンジングな「仕事」を数多く生み出
し、その「仕事」に意欲を持つ者が当社グループに集う
ⅲ.人材マネジメント5要素
人材マネジメントにおいて認識すべき要素は5つに分類され、その5要素のうち最も中心となる要素を『育成(=成長支援)』とし、他の4要素との密接に関連した人材マネジメントを行います。

採用:人材を新たに組織へ迎え入れることで、既存の人材との間で相互作用を生み出し、組織に新たな活
力や創造力をもたらす
配置:職務と人材の最適な結び付けを図るとともに、多様な人材の出会いを創出することによって、相互
作用を生み、活力ある組織を実現する
育成:人材の能力を引き上げる環境と機会の提供によって、人材の成長を支援し、企業価値の向上を図り
つつ、健全な企業文化を醸成
評価:人材の能力の発揮度及び業績の達成度を可視化することで、報酬の客観的な算定根拠を示すととも
に、組織の目標達成に向け人材の成長を促す
報酬:労働に対する正当な対価を支払うとともに、企業価値向上へ人材の行動を方向づける
当社では、「人的資本経営基本方針」に則り、人材育成の推進を図ります。
ⅰ.人材育成の目的
当社グループの人材育成は、人材の能力を引き上げる環境と機会の提供によって、人材の成長を支援し、企業価値の向上を図りつつ、健全な企業文化を醸成することを目的とします。
ⅱ.目指すべき人材像
当社グループは、次に掲げる属性を高い次元で備えた人材の育成を目指します。
・広い視野
・旺盛なチャレンジ精神
・高い規範意識
・弛まぬ向上心
・高度な専門性
・豊かな感受性
ⅲ.多様性の追求
当社グループは、人材との十分な対話を経て、個性に応じた多様なキャリア形成の機会を提供します。
当社ではすべての職員が最大限の力を発揮できるよう、職員が当社グループの事業に誇りを持ち、自らの仕事に対してやりがいを感じ、安心して新たな課題に挑戦できる職場・風土を構築します。
ⅰ.挑戦する職員の支援
自らの仕事に誇りとやりがいを持って、新たな課題に挑戦し続ける職員を支援するため、意欲のある職員に対し、成長する機会と働きやすい環境を提供します。
そのため、社外での兼業を通して得た経験や人脈等が銀行に還元されることで、組織に新たな気付きや知見をもたらし、イノベーションの創出に繋げることや、趣味を活かした活動を兼業とすることで、プライベートの充実、ひいてはワーク・ライフ・バランスの向上を図ることを目的とする『兼業制度』やキャリアをより高めたいと思う学ぶ意欲が高い職員に、成長機会を提供し自律的な成長を促す仕組みとして、他部署での業務に挑戦できる『社内複業制度』を導入しております。
ⅱ.多様な働き方の実現
多様な人材が活躍できる環境をつくるため、時間や場所の制約を軽減しワークライフバランスを確保するとともに、ライフイベントに応じてキャリアの継続・向上を支援します。
そのため、テレワークやフレックスタイムの活用推進、女性活躍を支援するための様々な取組みを実施しています。
ⅲ.職員の心身の健康増進
当社では職員の心身の健康が将来的な成長と地域への貢献に重要であると考え、職員一人ひとりの心身の健康増進に向けた様々な取組みを行います。
そのため、産業保健スタッフによる健康指導や休暇取得奨励等、健康増進に向けた取組みを実施しています。
2024年4月、人権尊重の取組みを一層強化するため、「池田泉州ホールディングスグループ人権方針」を制定しました。
池田泉州ホールディングスグループは、人権尊重を重要なテーマとして位置付け、今後も人権に関する国際的な規範に則した事業活動を取組むなど、人権尊重への取組みを強化し、持続可能な成長と社会貢献を実現していきます。
(URL:https://www.senshuikeda-hd.co.jp/ir/e-koukoku/esg/jinkenhoushin.html)
当社では職員の将来的な財産形成の一助となるべく、従業員持株会を設定しております。積立口数に応じて奨励金を拠出しており、職員の加入を推奨しております。
また、職員の財産形成を支援するとともに、当社の企業価値の持続的な向上を促すインセンティブを付与し、職員と株主との価値共有を一層進めることを目的として、従業員持株会向け譲渡制限付株式インセンティブ制度を導入しました。この制度に同意した従業員持株会会員に対して、1名につき当社株式38株を譲渡制限付株式として10月31日に割り当てることを予定しています。併せて、従業員持株会加入対象者を池田泉州銀行の正行員から池田泉州ホールディングスグループ子会社を含めた全職員(嘱託・パートタイマー含む)に拡大します。
金融業務の自由化・高度化・国際化の進展や情報通信技術の著しい進捗などにより、金融機関のビジネスチャンスが拡大する一方で、金融機関の抱えるリスクは、ますます複雑化・多様化しています。
また、金融機関が様々な顧客ニーズに応えながら収益を安定的かつ継続的に確保するためには、多様なリスクを適切に把握・評価・管理し、環境の変化に適時・適切に対応することが重要となっています。このような状況の下、当社グループは、リスク管理体制の充実・強化を経営の重要課題として位置づけ、健全性の維持・向上に努めています。
ESGリスクは環境や地域・社会、企業倫理などに関連して複合的に発生するリスクであり、財務的損失や社会的信頼の低下、当局からの制裁、従業員の身体生命の安全性への脅威を引き起こし、最終的には、企業価値の毀損につながる恐れがあると認識しております。企業にとって重要なESGリスクの特定・評価およびその対応を進める必要性が高まっている中、取組み強化を図っていきます。
(当社が認識しているESGリスク)
当社グループは、統合的リスク管理の枠組みの下、信用リスクなどにかかる各種リスクの総量を自己資本の一定範囲内にコントロールするため、リスク資本管理制度に基づいて、業務運営を実施しています。
気候変動に起因する移行リスクや物理的リスクが、お取引先の業績を通じて事業運営、戦略、財務計画に大きな影響を与えうることを認識しております。シナリオ分析結果を踏まえ、当社グループお取引先の事業活動に及ぼす影響については、信用リスク管理の枠組みの中で対応しており、リスク管理委員会において気候変動リスクに関する報告を実施しております。
気候変動のリスクは時間軸やその不確実性に配慮する必要がありますが、気候変動をドライバーとした当社グループのリスクについて、既存のリスク管理の枠組みも活用しながら、状況をモニタリングし、適切な対応を検討してまいります。
前述のとおり、サステナブル投融資方針・特定セクターに対する投融資方針を設定し、気候変動による負の影響について、投融資の取組可否判断の際には十分に注意しつつ検討を行っております。また、シナリオ分析を活用した重要セクターのリスク把握に基づき、お取引先と意見交換をさせていただくことで、サステナブルファイナンスやCO2削減に向けての取組みなど気候変動対応の支援も進めていく予定です。こうした対応は当社グループのリスクの低減にもつながると考えております。
当社グループでは、気候変動問題に関する中長期目標として次のように定めております。
※資金使途が環境、社会分野の課題解決につながる投融資、SDGsへの取組みを支援・促進する投融資
なお、日銀気候変動対応オペの対象投融資の残高は329億円です。(2025年3月末時点)
a.CO2排出量について
当社グループでは、TCFD提言等を踏まえ、下記の通り算定を行っております。
C-Turtleの導入について
当社グループでは、温室効果ガス(GHG)排出量算定の高度化を図るため、金融機関の国際的基準「PCAF スタンダード」に準拠したファイナンスド・エミッションの可視化と削減を支援するプラットフォームである「C-Turtle® FE」を導入しました。
※1 池田泉州銀行単体で算出しております。
※2 国内事業法人向け融資1.9兆円を対象に算出しております。
スコープ3 15.投資(国内事業法人向け融資)の内訳
b.カーボンニュートラルに向けたロードマップ
当社グループでは、2050年カーボンニュートラルに向けて、ロードマップを作成しております。

c.取引先支援の充実
当社グループでは、脱炭素に向けた取引先支援として、金融・非金融両面からの支援の充実を図っています。
ⅰ.非金融支援
・経済産業省資源エネルギー庁が立ち上げた「省エネ・地域パートナーシップ」に、パートナー金融機関として参加し、省エネ・脱炭素に関する情報提供を行う他、支援を行う取引先中小企業が申請する補助金における優遇措置を行うこと等を通じて、営業エリアの中小企業の省エネを後押ししています。
・大阪市と「ゼロカーボン おおさか」の実現に向けた脱炭素経営の促進及び支援等に関する連携協定書を締結しております。
「ゼロカーボン おおさか」の実現に寄与すべく、事業者における脱炭素経営の促進及び支援、脱炭素化に関する広報活動及び普及啓発等で連携してまいります。
・各業務提携先と連携し、照明のLED化や空調機入替にかかる紹介を行っています。
・NTTデータと業務提携し、取引先企業に対して、GHG排出量可視化プラットフォーム「C-Turtle®」の紹介を行っております。
・池田泉州リースは、ウエストエネルギーソリューションと業務提携し、地元中小企業に対し、「リース方式」での自家消費型太陽光発電設備導入スキームを共同提案しております。
ⅱ.金融支援(サステナブルファイナンスの推進)
当社グループでは、資金使途が環境、社会分野の課題解決につながる投融資、SDGsへの取組みを支援・促進する投融資を「サステナブルファイナンス」として、推進しております。
(サステナブルファイナンスの例)
・サスティナビリティ・リンク・ローン
・グリーンローン
・ポジティブ・インパクト・ファイナンス
・「池田泉州SDGs経営応援ローン」
・池田泉州銀行SDGs私募債「絆ふかまる」
・環境配慮型住宅向け住宅ローン
d.人材育成
環境省が認定した資格制度である「脱炭素アドバイザー ベーシック」を、「資格取得ガイドライン」における推奨資格として定め、同資格の取得を推進しております。
2025年3月には、脱炭素に関する基本的な知識や考え方、実務への応用を踏まえた解説や関連知識を学ぶ場として、GUTSU塾『脱炭素アドバイザー ベーシック認定(環境省認定制度)コース』を開講しました。
社内講師による学習サークルの開催や、受験料の補助などを行い132名の資格取得をサポートしました。
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。管理職とは、具体的には、『課長』以上の職位にある者としております。
2 役付者とは、担当業務の責任者として、組織マネジメントの職責を担う者としております。具体的には、部下を持つ職務にある『課長代理』『調査役』以上の職位にある者としております。
3 男女間賃金格差における非正規雇用労働者については正規雇用労働者の所定労働時間で換算した人員数を基に平均年間賃金を算出しております。
4 事業内容が異なる連結グループ全体での設定が困難であるため、池田泉州銀行単体で指標及び目標を設定しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループのリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであり、これらのリスク発生(顕在化)の可能性を認識したうえで、発生の抑制・回避に努めておりますが、当社グループの取組の範囲を超えた事象が発生した場合には、当社グループの信用、業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、以下の記載事項が当社グループに係るすべてのリスクを網羅したものではありません。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2025年6月18日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財務に関するリスク
① 信用リスク
a.不良債権の状況
貸出先の財務状況悪化等に起因する信用リスクは当社グループが保有する主要なリスクであり、当社グループの不良債権及び与信関連費用は、景気動向や、貸出先の経営状況、不動産価格及び株価の変動等によっては増加する可能性があります。
当社グループでは、経営方針を踏まえつつ与信行為の具体的な考え方を明示した「クレジットポリシー」を子銀行において制定し、健全性の確保を第一に取り組んでおります。
具体的には、管理方法を明示した「信用リスク管理規定」に基づき、子銀行の信用リスク管理部署であるリスク統括部では、与信集中リスクの状況に加え、業種別・債務者区分別・信用格付区分別等さまざまな角度から与信ポートフォリオの分析・管理を行い、最適なポートフォリオの構築を図るべく、きめ細かな対応を行っております。
しかしながら、現時点の想定を上回る不良債権及び与信関連費用が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼし、自己資本の減少につながる可能性があります。
b.貸倒引当金の状況
当社グループは、自己査定基準、償却・引当基準に基づき、貸出先の状況、差し入れられた担保の価値及び経済動向を考慮したうえで、貸倒引当金を計上しております。貸倒引当金の計上に当たっては、貸出資産及び差し入れられた担保等を適正に評価しておりますが、経済情勢の悪化、貸出先の業況の悪化、担保価値の下落等により、貸倒引当金が不十分となることもあり、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、前連結会計年度末において計上していた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の下方遷移リスクの影響を考慮した貸倒引当金については、予想損失額に及ぼす影響が小さくなったことから全額取り崩しております。
② 市場リスク
当社グループの市場関連業務においては、様々な金融商品での運用を行っており、金利・為替・株式等の相場変動の影響を受けております。これらのリスクに対しては、経営陣を中心に構成する「リスク管理委員会」及び「ALM委員会」を設置し、市場環境の変化に応じた的確・迅速な対応策を協議し、諸施策を実施しております。しかしながら、施策によって必ずしもこれらのリスクを完全に回避することができるわけではありません。当社グループの予想を超える変動が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 資金流動性リスク
当社グループの資金調達は、主に預金や市場からの調達により行っております。
当社グループでは、資金の運用・調達状況をきめ細かく把握することを通じて、適切な資金管理を行い、保有資産の流動性の確保や調達手段の多様化を図るなど、資金流動性リスクの管理に万全の体制で臨んでおります。
しかしながら、内外の経済情勢や市場環境の変化等により、資金繰りに影響をきたしたり、通常より著しく高い金利での調達を余儀なくされたりする可能性があります。また、当社グループの子会社である池田泉州銀行は、格付機関から格付を取得しておりますが、仮に格付が引き下げられた場合等にも、不利な条件での資金調達取引を余儀なくされる可能性があります。
④ 繰延税金資産に関するリスク
現時点の会計基準では、ある一定の状況において、実現すると見込まれる税務上の便益を繰延税金資産として計上することが認められております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果がかかる予測・仮定とは異なる可能性があります。当社グループは、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき繰延税金資産を貸借対照表に計上しておりますが、今後も、当社グループの将来の課税所得の予測に基づいて繰延税金資産の一部又は全額の回収ができないと判断される場合や、将来的に制度の変更により繰延税金資産の算入額が規制された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 退職給付債務に関するリスク
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。これらの前提条件が変更された場合、又は実際の年金資産の時価が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 固定資産減損に関するリスク
当社グループは保有する固定資産について、現行の会計基準に従い減損会計を適用しておりますが、今後の経済環境の動向や不動産価格の変動等により、当社グループが所有する固定資産に減損処理に伴う損失が発生し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 自己資本比率に関するリスク
当社グループは、連結自己資本比率を平成18年金融庁告示第20号に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。また、当社グループの銀行子会社は、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を平成18年金融庁告示第19号に定められる国内基準(4%)以上に維持する必要があります。
当社グループ又は銀行子会社の自己資本比率が、求められる水準を下回った場合、金融庁長官から業務の全部又は一部の停止命令等を含む様々な命令を受けることとなり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループ又は銀行子会社の自己資本比率に影響を与える主な要因として以下のものがあります。
・不良債権処理額の増加による与信関連費用の増加
・株価の下落、市場金利の上昇
・繰延税金資産の取崩し
・自己資本比率の基準及び算定方法の変更
・本項記載のその他の不利益な展開
⑧ 持株会社のリスク
当社が銀行子会社及び関連事業を営む子会社・関連会社から受け取る配当については、一定の状況下で、様々な規制等により、その金額が制限される場合があります。また、これら会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合には、当社は当社株主に対し配当を支払えなくなる可能性があります。
(2) 業務等に関するリスク
① 事業戦略に関するリスク
当社グループは、2021年度からの3年間を計画期間とした第5次中期経営計画を2025年度までローリングした「第5次中期経営計画Plus」を策定し、2025年5月に見直しを行いましたが、企図した経営戦略が当初想定していた結果をもたらさない、また事業計画が達成できない等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの見直し後の第5次中期経営計画Plusの内容につきましては、有価証券報告書「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 対処すべき課題」に記載しております。
② 情報資産(システム)リスク
当社グループは、子会社である池田泉州銀行における営業店、ATM及び他行とを結ぶオンラインシステムや顧客情報を蓄積している情報システムを保有しております。当社グループでは、業務運営が様々なコンピュータシステムによって支えられていることを踏まえ、システムの信頼性や安全性に万全を期すとともに、万一の場合に備えて、バックアップ体制を構築しております。
また、データの暗号化やアクセス権限の管理強化を行うなど、情報の漏洩や不正アクセスなどの防止に向けて体制の整備に努めております。
しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重大なシステム障害が発生した場合には、決済業務に支障をきたす等当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ サイバー攻撃等に関するリスク
当社グループでは、信頼される金融サービスを提供するため情報システムを安定的に運用することが重要な経営課題の一つと捉え、経営陣の積極的な関与のもと、当社グループ全体のサイバーセキュリティ体制の維持とリスク低減に努めています。昨今急激に高まっているコンピュータウイルスへの感染や巧妙化しているサイバー攻撃などのリスクに備え、サイバーセキュリティに関するリスクを適切に管理する態勢の確立、リスク影響度に応じたセキュリティ対策の向上、コンティンジェンシープランの策定等、様々な対策を実施しています。また、コンピュータセキュリティにかかる専門チーム(CSIRT)を設置し、各種セキュリティ対策の強化やサイバー攻撃演習を実施するなど、態勢強化に取り組んでいます。しかしながら、想定を超えるサイバー攻撃の発生やウイルス等への感染が発生した場合には、業務の停止、重要なデータの消失、機密情報や個人情報の盗取や漏洩等のインシデントを引き起こす可能性があります。その結果、当社グループの業績や信頼性に対する評判、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するリスク
当社グループでは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の防止を経営上の最重要課題の一つと位置付け、リスクベース・アプローチの考え方に基づき、適切な管理態勢の構築に取り組んでおります。しかしながら、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の不備等により、不公正・不適切な取引を未然に防止することができず、銀行がマネー・ローンダリング等に利用された場合には、内外の金融当局から制裁等を課せられる、あるいは海外の金融機関等からコルレス契約を解消される等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 事務リスク
当社グループでは、事務処理手続きに関する諸規定を定め、それに則った正確な事務処理を励行することを徹底し、事務事故の未然防止を図るため事務管理体制の強化に努めております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、重大な事故・不正等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 人的リスク
当社グループでは、職員の能力向上に努めるとともに、各々の職員が能力を最大限発揮できる職場環境の整備に努めております。しかしながら、他の金融機関や異業種との競合の結果として当社グループの求める人材を確保できない場合、また、そのほかに人材の流出や士気の低下、法令等遵守の観点から問題となる行為等が発生した場合には、当社グループの経営成績や業務遂行に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 外部委託に関するリスク
当社グループは、様々な業務に関して外部への委託を行っております。業務の外部委託に当たっては、委託先の適格性などの検証を行うとともに、委託先の管理に努めておりますが、委託先において、委託業務遂行への支障が生じた場合や、情報の漏洩、紛失、不正利用などがあった場合には、当社グループの管理態勢に対する信頼が毀損され、また、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 情報漏洩に関するリスク
当社グループでは、膨大な顧客情報を保有しているため、情報管理に関する内部管理体制の整備により、情報資産の厳正な管理に努めております。しかしながら、顧客情報や経営情報などの漏洩、紛失、改ざん、不正利用等が発生し、当社グループの信用低下等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 訴訟等のリスク
当社グループは事業活動を行う上で、会社法、金融商品取引法、銀行法等の法令諸規制を受けるほか、各種取引上の契約を締結しております。当社グループはこれら法令諸規制や契約内容が遵守されるよう法務リスク管理等を行い、法的リスクの顕在化の未然防止及びリスクの軽減に努めておりますが、法令解釈の相違、法令手続きの不備により法令諸規制や契約内容を遵守できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 内部統制の構築等に関するリスク
当社は、金融商品取引法に基づき、連結財務諸表に関して財務報告に係る内部統制報告書を開示しております。また、会社法上の規定に従い、内部統制システムの構築を行っております。
当社グループとして、金融商品取引法や会社法等に基づく内部統制に関する体制の構築・維持・運営に努めておりますが、予期しない問題が発生し、内部統制について開示すべき重要な不備が存在する等の場合には、当社グループの財政状態及び経営成績並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 金融環境等に関するリスク
① 地域経済への依存のリスク
当社グループは、関西地区を主要な営業基盤としております。当社グループは、関西地区のうちの特定の地域又は特定の顧客へ過度に依存することがないように営業を行っておりますが、主要な営業地域の経済が悪化した場合には、取引先の業況悪化等を通じて信用リスクが増大し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 競争に関するリスク
当社グループの主要な営業基盤は、既存のメガバンクや他の地元金融機関に加え、近隣地銀の参入等もあり、今後一層の競争激化が予想されます。当社グループがこのような事業環境の影響を受け、計画している営業戦略が奏功しないこと等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 有形資産リスク
当社グループでは、災害発生時においても業務を継続できるよう、有形資産の環境整備に努めております。しかしながら、災害や資産管理の瑕疵等の結果、有形資産の毀損や執務環境等の質の低下等が発生した場合には、当社グループの業績や業務遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、南海地震・東南海地震等の大規模自然災害が発生した場合、当社グループ自身の被災による損害のほか、取引先の被災による業績悪化が、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 各種規制の変更リスク
当社は、池田泉州銀行、池田泉州TT証券、池田泉州債権回収、01銀行及び池田泉州エリアサポートを子会社とする持株会社として、事業運営上の様々な公的規制や金融システム秩序維持のための諸規制・政策のもとで業務を遂行しておりますが、これらの諸規制・政策は、今後の経済及び金融市況、又は金融機関への規制に関する世界的な潮流等に応じて、変更される可能性があります。このような諸規則・政策の変更については、現時点でその影響を正確に予測することは困難ですが、その変更内容及び事業運営に及ぼす影響の程度によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 風説・風評の流布によるリスク
当社グループでは、風説・風評の流布によるリスクが経営に与える影響の重大性に鑑み、積極的な情報開示を通じて経営の透明性を高めることにより、当該リスクの回避に努めております。しかしながら、銀行業界及び当社グループに対するネガティブな報道を含め、悪質な風説や風評の流布は、それが正確であるか否かにかかわらず、また、当社グループに該当するか否かにかかわらず、当社グループの財政状態及び経営成績並びに当社の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 外的要因に関するリスク
自然災害やテロ等外部要因によるシステムや社会インフラの大規模な障害発生等及び感染症(新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等)の流行等により、当社グループの業務の一部が不全となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績並びに業務遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは様々な顧客ニーズに応えながら収益を安定的かつ継続的に確保するためには、多様なリスクを適切に把握・評価・管理し、環境の変化に適時・適切に対応することが重要となっており、このような状況の下、リスク管理体制の充実・強化を経営の重要課題として位置づけ、健全性の維持・向上に努めております。
当社グループでは、以下に示したリスクを「特に重要な影響を及ぼすリスク」と位置づけ、事業等のリスクはこれらのリスクも踏まえて選定しております。
<特に重要な影響を及ぼすリスク>
・信用リスク
・市場リスク
・資金流動性リスク
・情報資産(システム)リスク
・サイバー攻撃等に関するリスク
・マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関するリスク
また、これらのリスクの発生の可能性を認識したうえで、発生を回避するための施策を講じるとともに、発生した場合には迅速かつ適切な対応に努める所存であります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の財政状態は、預金残高は、定期性預金の増加により前連結会計年度末比348億円増加し5兆7,024億円となりました。貸出金残高は、財務省向け貸出が減少したことから、前連結会計年度末比1,516億円減少し4兆6,800億円となりました。有価証券残高は、前連結会計年度末比840億円増加し7,164億円となりました。
経営成績は、資金運用収益は、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加等により前連結会計年度比増加しました。また、役務取引等収益は、融資関連手数料が増加したことから前連結会計年度比増加しました。この結果、経常収益は、前連結会計年度比78億55百万円増加し、930億74百万円となりました。
次に資金調達費用は、預金利息の増加等により前連結会計年度比増加しました。また、役務取引等費用は、団体信用生命保険料が増加したことから前連結会計年度比増加しました。一方、国債等債券売却損は、前連結会計年度比減少しました。この結果、経常費用は、前連結会計年度比43億32百万円増加して、735億25百万円となりました。
以上の結果、経常利益は、前連結会計年度比35億24百万円増加して195億49百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比23億72百万円増加して132億46百万円となりました。
セグメントの業績につきましては、「銀行業」では、経常収益が前連結会計年度比77億56百万円増加の765億83百万円、セグメント利益は前連結会計年度比43億16百万円増加の186億27百万円となりました。また、「リース業」では、経常収益が前連結会計年度比7億27百万円増加の121億85百万円、セグメント利益は前連結会計年度比1億17百万円減少の4億91百万円となり、証券業務やクレジットカード業務等を行う「その他」では、経常収益が前連結会計年度比12億33百万円減少の86億64百万円、セグメント利益は前連結会計年度比6億61百万円減少の4億41百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、借用金(劣後特約付借入金を除く)の減少による支出581億27百万円がありましたが、預金の増加による収入348億81百万円、貸出金の減少による収入1,516億22百万円があり、1,657億43百万円の収入となりました。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有価証券の取得による支出が、有価証券の売却及び償還による収入を上回り、1,014億78百万円の支出となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払額38億55百万円及び自己株式の取得による支出10億円があり、45億68百万円の支出となりました。
この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、596億96百万円増加して、8,477億46百万円となりました。
(1) 国内・国際業務部門別収支
当連結会計年度の資金運用収支は、国内業務部門では前連結会計年度比5.9%増加、国際業務部門でも前連結会計年度比48.8%増加した結果、合計では前連結会計年度比6.2%、27億68百万円増加しました。
信託報酬は、合計で前連結会計年度比12百万円減少しました。
当連結会計年度の役務取引等収支は、国際業務部門では前連結会計年度比16.5%減少しましたが、国内業務部門では前連結会計年度比0.9%増加した結果、合計では前連結会計年度比0.8%、1億26百万円増加しました。
当連結会計年度のその他業務収支は、国内業務部門では前連結会計年度比25.0%増加し、国際業務部門でも前連結会計年度比753.2%増加した結果、合計では前連結会計年度比153.0%、15億7百万円増加しました。
(注) 1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引であります。
2 国際業務部門は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度-百万円、当連結会計年度5百万円)を控除して表示しております。
4 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
5 その他業務収益及びその他業務費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間で相殺される金融派生商品損益であります。
(2) 国内・国際業務部門別資金運用/調達の状況
当連結会計年度の資金運用勘定平均残高は、国内業務部門では、前連結会計年度比0.1%増加とほぼ横ばいとなった一方で、国際業務部門では、有価証券が減少したことを中心に、前連結会計年度比27.0%減少しました。この結果、資金運用勘定平均残高合計は、前連結会計年度比微減となりました。
当連結会計年度の資金調達勘定平均残高は、国内業務部門では、コールマネー及び売渡手形が減少したことを中心に、前連結会計年度比6.7%減少、国際業務部門でも、預金及び債券貸借取引受入担保金が減少したことで、前連結会計年度比29.8%減少しました。この結果、資金調達勘定平均残高合計は、前連結会計年度比6.7%減少しました。
次に、当連結会計年度の資金運用利回りについては、国内業務部門では、主に有価証券利回りを中心に、前連結会計年度比0.12%上昇し、国際業務部門でも、主に有価証券利回りを中心に、前連結会計年度比0.77%上昇しました。この結果、資金運用利回り全体では、前連結会計年度比0.12%上昇しました。
当連結会計年度の資金調達利回りについては、国際業務部門では、前連結会計年度比0.13%低下しましたが、国内業務部門では、前連結会計年度比0.06%上昇しました。この結果、資金調達利回り全体では、前連結会計年度比0.05%上昇しました。
① 国内業務部門
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、子銀行以外の会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1,365,302百万円、当連結会計年度920,213百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度14,672百万円、当連結会計年度8,999百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
4 預け金は、日本銀行への預け金の利息(前連結会計年度1,750百万円、当連結会計年度2,492百万円)を控除して表示しております。
5 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
② 国際業務部門
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、子銀行以外の会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 国際業務部門は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度2,366百万円、当連結会計年度1,368百万円)を、控除して表示しております。
4 ( )内は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
5 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末TT仲値を当該月のノンエクスチェンジ取引に適用する方式)により算出しております。
③ 合計
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、子銀行以外の会社については、半年毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 資金運用勘定は、無利息預け金の平均残高(前連結会計年度1,367,668百万円、当連結会計年度921,582百万円)を、資金調達勘定は、金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度14,672百万円、当連結会計年度8,999百万円)を、それぞれ控除して表示しております。
3 預け金は、日本銀行への預け金の利息(前連結会計年度1,750百万円、当連結会計年度2,492百万円)を控除して表示しております。
4 国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息は、相殺して記載しております。
(3) 国内・国際業務部門別役務取引の状況
当連結会計年度の国内業務部門の役務取引等収益は、預金・貸出業務を中心に前連結会計年度比5.8%増加して、247億91百万円となり、役務取引等費用は、前連結会計年度比16.3%増加して、86億46百万円となりました。また、国際業務部門の役務取引等収益は1億59百万円となり、役務取引等費用は92百万円となりました。この結果、全体の役務取引等収益は、前連結会計年度比5.7%増加して、249億50百万円となり、役務取引等費用は、前連結会計年度比16.1%増加して、87億38百万円となりました。
(注) 1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引であります。
2 国際業務部門は、連結子会社の外貨建取引であります。
(4) 国内・国際業務部門別預金残高の状況
○ 預金の種類別残高(末残)
(注) 1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引であります。
2 国際業務部門は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。
3 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
4 定期性預金=定期預金+定期積金
(5) 貸出金残高の状況
(注) 「国内」とは、当社及び連結子会社であります。
前連結会計年度、当連結会計年度とも該当ありません。
(6) 国内・国際業務部門別有価証券の状況
○ 有価証券残高(末残)
(注) 1 国内業務部門は、当社及び連結子会社の円建取引であります。
2 国際業務部門は、連結子会社の外貨建取引であります。ただし、円建外国証券は、国際業務部門に含めております。
3 「その他の証券」には、外国証券を含んでおります。
(7)「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づく信託業務の状況
連結会社のうち、「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、池田泉州銀行1社であります。
○ 信託財産の運用/受入状況(信託財産残高表)
(注) 共同信託他社管理財産については、前連結会計年度(2024年3月31日)及び当連結会計年度(2025年3月31日)のいずれも取扱残高はありません。
○ 元本補填契約のある信託の運用/受入状況(末残)
(自己資本比率の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(平成18年金融庁告示第20号)に定められた算式に基づき、連結ベースについて算出しております。
なお、当社は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては基礎的内部格付手法を、オペレーショナル・リスク相当額は標準的計測手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準)
(単位:百万円、%)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(平成10年法律第132号)第6条に基づき、池田泉州銀行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(昭和23年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たり、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成において使用される見積りと判断に大きな影響を及ぼす可能性がある特に重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りでありますが、その他、連結財務諸表作成において影響を及ぼす可能性のある重要な会計方針は以下の通りであります。
a 繰延税金資産
当社グループは、将来の合理的な期間内の課税所得に関する見通しをはじめとする様々な予測・前提に基づき、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した将来減算一時差異等について、繰延税金資産を計上しております。
繰延税金資産の計上の判断は、毎決算期ごとに行っており、前連結会計年度に計上していた繰延税金資産であっても、回収できないと判断した場合には、当社グループの繰延税金資産を取り崩し、同額を費用として計上することとしております。
b 退職給付に係る資産又は負債
当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、連結会計年度末における退職給付債務の見込み額に基づき、退職給付に係る資産・負債を計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、割引率、予定昇給率、退職率及び死亡率等の数理計算において用いる前提条件に基づいて算出しております。
実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合には、その影響は数理計算上の差異あるいは過去勤務費用として累積され、将来にわたって一定の年数により認識されることになります。
c 固定資産の減損会計
当社グループは、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった固定資産の帳簿価額を回収可能額まで減額する会計処理を適用しております。
本会計処理の適用に当たっては、営業活動から生ずる収益の低下や市場価格の著しい下落等によって減損の兆候が見られる場合に減損の有無を検討しております。減損の検討には将来キャッシュ・フローの見積り額を用いており、減損の認識が必要と判断された場合には、帳簿価額が回収可能額を上回る金額を減損しております。
将来の営業活動から生ずる収益の悪化、経営環境の著しい悪化、使用用途の変更、市場価格の著しい下落等により減損の認識が必要となった場合には、追加的な減損処理が必要となる可能性があります。
d 金融商品の時価評価
当社グループは、資金運用の一環として有価証券を保有しております。これらの有価証券は市場価格等のある有価証券と市場価格のない株式などの有価証券が含まれます。当社グループでは、市場価格のある売買目的有価証券以外の有価証券のうち、当該有価証券の時価が取得原価に比べて著しく下落しており、時価が取得原価まで回復する見込みがあると認められないものについては、当該時価をもって連結貸借対照表計上額とするとともに、評価差額を当該連結会計年度の損失として処理しております。また、市場価格のない株式等においては、当該有価証券の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合には、同様に評価差額を当該連結会計年度に損失処理しております。
将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、市場価格または実質価額の下落が発生した場合には、追加的に減損処理が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 預金・譲渡性預金
譲渡性預金を含めた預金等は、定期性預金の増加により、前連結会計年度末比348億円増加して5兆7,024億円となりました。
個人総預り資産については、預金及び投資信託は減少したものの、保険及び池田泉州TT証券の残高が増加したことで、前連結会計年度末比197億円増加して5兆3,300億円となりました。
b 貸出金
貸出金は、公共向け貸出が減少したことから、前連結会計年度末比1,516億円減少して4兆6,800億円となりました。
c 有価証券
有価証券は、国内債券の増加を主因として、前連結会計年度末比840億円増加して7,164億円となりました。
d 不良債権額
当社グループのリスク管理債権の合計は、前連結会計年度末比微増の514億円となりました。総与信残高に占める割合は1.09%と引き続き低位で推移しております。
e 繰延税金資産
繰延税金資産は、貸倒引当金に係るものが大半を占めております。当連結会計年度においては、その他有価証券評価差額金に係る繰延税金資産の増加及び繰延税金負債の減少により、前連結会計年度比30億25百万円増加し、繰延税金資産の純額が16億39百万円となりました。
・当連結会計年度の経営成績
a 連結粗利益
当連結会計年度の連結粗利益については、資金利益、役務取引等利益及びその他業務収益がそれぞれ27億63百万円、1億26百万円、15億7百万円増加したことから、前連結会計年度比43億84百万円増加して、642億49百万円となりました。
イ 資金利益
当連結会計年度の資金利益については、預金利息の増加等により資金調達費用が前連結会計年度比増加しましたが、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加等により資金運用収益が前連結会計年度比増加したことから前連結会計年度比27億63百万円増加して、475億5百万円となりました。
ロ 役務取引等利益
当連結会計年度の役務取引等利益については、融資関連手数料が増加し、役務取引等収益が前連結会計年度比増加したことで、前連結会計年度比1億26百万円増加し、162億12百万円となりました。
ハ その他業務利益
当連結会計年度のその他業務利益については、国債等債券関係損益が前連結会計年度比13億91百万円増加したことを主因として、前連結会計年度比15億7百万円改善し、5億22百万円となりました。
b 経常利益
連結粗利益は前連結会計年度比43億84百万円増加して、642億49百万円となりました。営業経費は前連結会計年度比10億14百万円増加して、453億99百万円となり、与信関連費用は前連結会計年度比4億17百万円増加し、17億62百万円の繰入となりました。また、株式等関係損益は前連結会計年度比7億85百万円減少して、6億84百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比35億24百万円増加して、195億49百万円となりました。
c 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益は前連結会計年度比35億24百万円増加して、195億49百万円となり、特別損益は前連結会計年度比5億2百万円増加して、32百万円の損失となったことから、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比40億25百万円増加して、195億16百万円となりました。また、法人税等合計は前連結会計年度比16億73百万円増加して、62億2百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比23億72百万円増加し、132億46百万円となりました。
・池田泉州銀行(単体)の経営成績
a 実質業務純益
業務粗利益は、資金利益が増加したことや国債等債券損益が改善したことから、前年比44億18百万円増加し、564億28百万円となりました。
資金利益は、貸出金利息及び有価証券利息配当金の増加等により、前年比26億57百万円増加しました。
役務取引等利益は、ほぼ横ばいの前年比6百万円増加となりました。
一方、経費は前年比2億1百万円増加して408億18百万円となりました。
その結果、実質業務純益は156億9百万円、コア業務純益は167億39百万円となりました。
b 経常利益
株式等関係損益は前年に比べ1億65百万円増加して7億74百万円の利益となりました。一方、一般貸倒引当金繰入額を含む与信関連費用は5億75百万円増加し、13億42百万円の繰入となりました。
以上の結果、経常利益は前年比48億78百万円増加して173億9百万円となりました。
c 当期純利益
特別損益は、前年比4億95百万円増加の2百万円の損失となり、法人税等を加味した当期純利益は前年比33億54百万円増加の119億95百万円となりました。
③ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析
(資本の財源及び資金の流動性についての情報)
当社グループは、地域金融グループとして、地元の中小企業向けへ積極的に資金を供給するとともに、有価証券投資などのマーケットにおける資金運用を行っております。また、個人顧客を中心に預金の安定的な調達を行うとともに、必要に応じてコールマネーや債券貸借取引受入担保金などのマーケットにおける資金調達も行っております。
当社グループの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末比596億96百万円増加して、8,477億46百万円となり、十分な手元流動性を確保しております。また、当社グループは、流動性リスク管理規定を制定し、資金の運用・調達状況をきめ細かく把握することを通じて、保有資産の流動性の確保や調達手段の多様化を図るなど、資金流動性リスクの管理に万全の体制で臨んでおります。
なお、当面の必要資金については、自己資金にて対応する予定であります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度は、貸出金の増加による支出944億59百万円、債券貸借取引受入担保金の減少による支出43億71百万円がありましたが、借用金(劣後特約付借入金を除く)の増加による収入1,275億70百万円、預金の増加による収入882億78百万円があったことを主因に、1,213億48百万円の収入となりました。当連結会計年度は、借用金(劣後特約付借入金を除く)の減少による支出581億27百万円がありましたが、預金の増加による収入348億81百万円、貸出金の減少による収入1,516億22百万円があったことを主因に、前連結会計年度比443億95百万円増加して、1,657億43百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度は、有価証券の取得による支出2,035億78百万円が有価証券の売却及び償還による収入579億62百万円を上回ったことを主因に、1,457億54百万円の支出となりました。当連結会計年度は、有価証券の取得による支出2,224億82百万円が、有価証券の売却及び償還による収入1,257億30百万円を上回ったことを主因に、前連結会計年度比442億76百万円増加して、1,014億78百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度は、配当金の支払額31億54百万円があったことを主因に、28億60百万円の支出となりました。当連結会計年度は、配当金の支払額38億55百万円及び自己株式の取得による支出10億円があったことを主因に、前連結会計年度比17億8百万円減少して、45億68百万円の支出となりました。
「生産、受注及び販売の状況」は、銀行持株会社における業務の特殊性のため、該当する情報がないので記載しておりません。
当社は、当社の完全子会社である池田銀行及び泉州銀行(両行は2010年5月1日に合併し商号を「池田泉州銀行」に変更しております。)との間で、当社が両行に対して行う経営管理に関して、2009年10月1日付で「経営管理契約書」を締結しております。
該当事項はありません。