第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針、経営環境について

当社グループは、「住空間」を事業ドメインに、住宅資材販売を中心として、物流事業、建築・工事請負業、情報システムの賃貸及び不動産事業等を営んでおります。

当社グループを取り巻く経営環境は、少子高齢化や人口減少等により、長年、業界の成長を支えてきた新設住宅着工戸数は年々減少していくことが想定されております。また、原材料費の高騰等により建築資材は値上げが相次いでおり、職人不足等による人件費高騰も相まって住宅価格は高騰を続けております。加えて、金利引き上げに伴う住宅ローン金利上昇の不安感もあり、住宅投資に対する消費者マインドの低下が懸念されております。

中古マンションリノベーション需要については、新築マンションの価格が高止まりしていることもあり引き続き活性化が進む一方で、物件仕入額の上昇や資材値上げ等により需要が引き締まる可能性があり、経営環境は不透明な状況が続くと想定されます。

そのような環境のなか、当社グループは、「人と自然が共栄する、次代の生き方をつくる。」のグループパーパスのもと、以下の経営方針を掲げ、経営環境の変化に適切に対応し、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいります。

 

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、住宅関連業界において独自の強みを持つ企業であること、「消費者・生活者」の視点に立ってビジネスに取り組むことを経営の基本方針とし、常に顧客最適に徹した営業活動を行い、事業の発展と経営の安定を実現するために、M&Aやアライアンスを推進するとともに、業務の合理化・効率化に努めてまいります。

また、人・社会・地球との共生を通じ、持続可能な社会の実現に寄与していくことをサステナビリティ基本方針として定め、サステナビリティ課題の解決を通じ持続的な企業価値の向上を図ってまいります。

 

② 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、環境変化に柔軟に対応できる経営体制を確立するため、次の事項に注力してまいります。

・ サステナビリティへの取り組み強化

サステナビリティ基本方針に基づき、当社グループが取り組んでいくマテリアリティを次のとおり特定し、各マテリアリティに対する施策を推進してまいります。

 地球環境保全への取組み

 安定的なサプライチェーンの構築

 豊かな暮らしの実現

 働きがいを感じ多様性を認め合う職場環境の整備

 ガバナンスの強化

・ 人的資本の強化

当社グループの最大の経営資本は「社員」であり、年齢や性別等に関わらず多様な人材が最大限に活躍できる機会を提供するための施策を実施してまいります。

 

③ 目標とする経営指標

当社グループは、経営基盤の強化及び財務体質の強化の観点から、売上高、売上総利益率、営業利益率、経常利益率を重要な指標としており常に適正な数値を確保することを目標としております。そのため、これらの指標を意識しながら、コスト削減に徹し効率経営に努めてまいります。

 

 

(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、2024年3月期から2026年3月期までの3ヶ年の中期経営計画を策定し、著しい事業環境の変化に対応するため、企業変革力の向上をテーマに次の取組みを推進してまいります。

 

 ① 事業基盤の強化

変化する事業環境に柔軟に対応するため、人材力、ガバナンス体制及び財務体質の強化を図る。

<人材マネジメント強化>

 ■若手・女性活躍の仕組み作り

 ■シニア人材の活用

 ■研修・資格制度の見直し

<ガバナンス最適>

 ■内部統制の最適化

 ■権限と責任の明確化

<財務体質強化>

 ■運転資本効率の向上

 ■B/S、C/F経営への意識向上

 ■グループ資金効率の向上

 

 ② ビジネスフレームワークの進化

多様化する社会・取引先・社員の要求に応え続け、新たな企業価値を創造し続ける。

<DXの推進>

 デジタル化による改革と価値創造を推進し、真に必要とされる企業グループを形成する。

 ■業務や物流の効率化・合理化

 ■取引先の業務改善

 ■社員のITスキルの向上

 ■社員エンゲージメントの向上

<営業スタイルの多様化>

 モノ売りからコト売りへ、新たなバリューチェーンを構築する。

 ■工事の施工及び管理能力の向上

 ■物流体制の最適化

 ■最適な働き方の追求

<サプライチェーンネットワークの最適化>

 サステナビリティに配慮すると共に途切れることなく顧客ニーズに対応した供給ネットワークを構築する。

 ■災害発生時における供給ネットワーク分断リスクへの対応

 ■CO2削減に向けた取り組みとTCFD開示への準備

 

 ③ 事業ポートフォリオの最適化

成長分野への積極投資を行うとともに、新たな事業領域に挑戦し、収益構造の多角化を図る。

  <成長分野への投資強化>

 メリ、ハリの効いた投資を実施し、成長スピードのアップを図る。

 ■開発営業の強化

 ■特販営業の強化

 ■首都圏営業の強化

 

<地域別戦略の最適化>

 より地域に密着した地域特性にあった戦略を実施し、安定的な収益基盤の構築を図る。

 ■市場の成長性や地域特性を加味した適材適所の人材配置の実施

 ■グループを横断した戦略実施

 ■有力販売店との関係強化

<新事業領域への挑戦>

 新たな事業領域に挑戦し、収益構造の多角化を図る。

 ■ECサイト販売の強化

 ■プライベートブランド商品販売の強化

 ■システム企画販売の強化

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

<サステナビリティに関するガバナンス・リスク管理>

当社グループは、「人と自然が共栄する、次代の生き方をつくる。」というグループパーパスのもと、人・社会・地球との共生を通じ、持続可能な社会の発展に寄与していくことをサステナビリティ基本方針としております。サステナビリティへの取組みをより深化させていくことは経営における最重要課題の一つであると認識しており、2023年7月に取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置いたしました。当委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、関連部門の責任者で構成されております。当委員会は、気候変動対応を中心とするサステナビリティに関する方針や施策を立案し取締役会へ答申することとしております。当委員会は原則3ヶ月に1回の頻度で開催してきましたが、今後は原則半年に1回の頻度で開催することとしております。また、年に1回委員会の活動内容を取締役会に報告し、取締役会ではその報告に基づき委員会の運営を監督するほか、重要事項の審議を行います。

なお、当社グループのリスク全般に関する管理については、リスク管理規程等に基づきリスク・コンプライアンス委員会においてリスクの識別や管理を行っておりますが、サステナビリティに関するリスクについてもサステナビリティ委員会と連携しリスク・コンプライアンス委員会にて実施してまいります。

 

■サステナビリティに関するガバナンス体制


 

会議体

頻度

議長・委員長

機能・役割

取締役会

原則月1回

代表取締役会長

サステナビリティ委員会の監督・重要事項の審議

サステナビリティ委員会

年2回

代表取締役社長

サステナビリティ全般の方針・施策の立案及び各施策の取締役会に対する提案

リスク・コンプライアンス委員会

年4回

常務取締役

リスクの分析と検証及びコンプライアンス徹底の取組み

 

 

<気候変動に関する取組>

当社グループではマテリアリティを特定し、その中に「地球環境保全への取組み」を掲げており、気候変動対応を重要な経営課題の一つと位置付けております。サステナビリティ委員会において、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づいた議論及び分析を行い、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目に沿って以下のとおり情報を整理しております。

 

(1) ガバナンス

気候関連のリスクと機会に関する取締役会の監督

気候関連のリスクと機会は、<サステナビリティに関するガバナンス・リスク管理体制>に記載のとおり、サステナビリティ委員会での検討・審議を経た後、取締役会によって適切に監督されております。

 

気候関連のリスクと機会の評価とマネジメントにおける経営陣の役割

代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会が、気候関連のリスクと機会の評価を含むサステナビリティ全般の課題について対応しております。詳細については、<サステナビリティに関するガバナンス・リスク管理体制>に記載しております。

 

(2) 戦略

組織が特定した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会

当社グループの財務に影響を及ぼす可能性のある重要な気候関連のリスクと機会を特定するべく、TCFD提言で推奨されているシナリオ分析を実施いたしました。シナリオ分析で具体的に採用した2つのシナリオの概要については以下のとおりです。

 

■採用シナリオの概要

採用
シナリオ

想定事象・主なパラメータ

主な参考文献

1.5℃

シナリオ

・気候変動政策を導入し、持続可能な発展が進むシナリオ。パリ協定と整合し、2050年頃にカーボンニュートラルを実現。2100年時点の気温上昇は1.5℃以下に抑えられると想定。

・世界各国でカーボンプライシングの導入が進み、世界的に炭素税が上昇。2030年時点で140USD/t-CO2を想定。

・消費者の行動様式や嗜好が環境配慮型へ移行し、木材需要の高まりや環境配慮型住宅(ZEHやLCCM)が大きく普及する可能性がある。

IEA World Energy Outlook 2023

(NZE2050)

IPCC 第6次評価報告書(SSP1-1.9)

 

4℃

シナリオ

・気候変動政策を導入せず、自然災害が激甚化するシナリオ。2100年時点の気温上昇は4℃程度を想定。

・温暖化が進行し、異常気象(サイクロン・洪水等)が増加。異常気象の激甚化により、調達に係るサプライチェーンの寸断が頻発する可能性がある。

・自然災害への備えのための防災関連商材の拡大や復興需要が想定。

IEA World Energy Outlook 2023

(Pre-Paris/STEPS)

IPCC 第6次評価報告書(SSP5-8.5)

 

 

気候関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響

シナリオ分析で特定した気候関連のリスクと機会、及び財務影響、対応策・戦略は以下のとおりです。

 

■シナリオ分析の前提条件

対象企業

時間軸

財務影響(営業利益への影響/単年度)

当社グループの主要子会社である株式会社ジューテック(注)

短期:単年度

中期:~2030年度

長期:~2050年度

大:5億円以上

中:1億円以上5億円未満

小:1億円未満

 

(注)連結売上高に占める株式会社ジューテックの売上高は当事業年度において78.5%となります。

 

 

■シナリオ分析で特定した気候関連のリスクと機会、財務影響、対応策・戦略

① 移行リスク

細区分

要因・ドライバー

番号

財務への影響概要

時間軸

財務影響

対応策

1.5℃

4.0℃

炭素税導入

1

炭素税導入または排出権取引に伴う自社租税コストの増加

中-長期

・営業車両の次世代自動車(EVやFCV等)への切替検討

・排出係数の低い電力プランや再生可能エネルギー導入(自社設備への太陽光発電設置等)の検討

・各施設の改装時におけるLED照明への切替

2

炭素税導入によるサプライヤーの価格転嫁による調達(仕入)コストの増加

中-長期

・Scope3の算定を実施し、サプライチェーン排出量の可視化を検討

・主要サプライヤーの排出量削減の対策状況を分析

既存製品やサービスに対する義務化・規制化

3

環境規制の厳格化による販売商材への対応のためのコスト増加

中-長期

・今後の環境規制の情報を収集しつつ、当社に影響を及ぼす可能性の高い規制については対応計画を策定

・合法木材(FSC・PEFC認証)の普及促進

4

住宅の省エネ基準強化が実施された場合における販売商材の調達コスト増加

中期

・省エネ標準プランの企画提案といった企画機能を担いながら、業界全体と共に省エネ商材の拡販に取り組む

技術

低炭素技術への移行のための先行コスト

5

次世代自動車への更新や自社施設・倉庫設備の省エネ設備等への切替に伴う費用の増加

中期

・導入にあたっては、費用対効果も十分に検証し費用が平準化するよう前広に計画を策定し、単年度収益に影響を及ぼさないよう対応

市場

消費者の嗜好の変化

6

新商材への切替遅れによる既存商材の販売不振による売上減少

中-長期

・プライベートブランド商品「住実」でも積極的に取扱っている環境配慮型商材の拡販に継続して取り組む

・省エネ標準プランの企画提案といった企画機能を担いながら、業界全体と共に省エネ商材の拡販に取り組む

原材料コストの高騰

7

木材需要の高まりによる需要増加や森林保護政策強化による供給減少が発生した場合における木質系建材の仕入コスト増加

中-長期

・国内外で調達先を探索し、需給ひっ迫による価格上昇を抑制できるよう調達ネットワークを強化する

 

 

 

② 物理的リスク

細区分

要因・ドライバー

番号

財務への影響概要

時間軸

財務影響

対応策

1.5℃

4.0℃

急性リスク

台風、洪水などの異常気象の激甚化

8

自然災害の激甚化による自社設備や在庫への被害増加に伴う修繕・再調達コストの増加や設備停止に伴う売上減少

中-長期

・既存施設の水害リスクの調査やBCP(事業継続計画)の定期的な見直し

・適切な保険手配による被害の軽減

9

サプライチェーン寸断の影響により調達が遅延し、販売機会を逸失することによる売上減少

中-長期

・調達先や物流拠点の分散を検討し、リスクを分散させ災害発生時の影響を軽減

慢性リスク

降雨パターンの変化、気象パターンの極端な変動性

10

気候変動の影響により森林資源が減少、木材供給量が低下することによる木質系建材の仕入コスト増加

長期

・合法木材(FSC・PEFC認証)の拡販を通じて、森林資源の保護に寄与する

 

 

③ 機会

細区分

要因・ドライバー

番号

財務への影響概要

時間軸

財務影響

対応策

1.5℃

4.0℃

製品及びサ|ビス

低排出商品及びサービスの開発及び/または拡張

11

低炭素対応のため木材販売製品の需要が増加することによる木質系建材の売上増加

中-長期

・FSC・PEFC認証を受けた「環境にやさしい木材・木質素材製品」の普及を推進する

12

ZEH・LCCM住宅の普及や既存住宅の省エネ対応リフォーム需要の増加に伴う環境配慮・低炭素に対応した商材の売上増加

中期

・省エネ・創エネ・蓄エネ商品のトータル提案を実施し、環境配慮型商材の拡販に取り組む

・多様なニーズに対応できるよう販売ラインナップの拡充を検討

・中古住宅再生市場への取り組みを強化する

市場

新しい市場へのアクセス

13

中大規模・高層建物への木材利用が新たに創出され木質系建材の売上増加

長期

・建築業界のソリューション企業として培った強みを活かし、企画から施工までの各段階でお客様をトータルにサポートし、中大規模建物の需要を喚起していく

レジリエンス

レジリエンス関連の製品・サービスの開発・拡張

14

災害の激甚化に対応した防災・災害性能に優れた関連商材の売上増加

中-長期

・今後の災害激甚化を見据え、プライベートブランド商品「住実」でも取扱いのある防災関連商材の拡販に取り組む

 

 

細区分

要因・ドライバー

番号

財務への影響概要

時間軸

財務影響

対応策

1.5℃

4.0℃

その他

復興需要

15

自然災害の頻発による建築物の災害復興需要による売上増加

中-長期

・迅速な復興実現のため、調達網・物流網を整備するとともに、仮設・復興住宅需要への対応力の強化に努め、住宅産業に属する企業の責務として被災者の生活復興を支援する

 

 

複数シナリオを考慮した、組織戦略のレジリエンス(強靭性)

シナリオ分析結果を要約しますと、1.5℃シナリオにおいては、炭素税導入や木材需要の高まりによる仕入価格の上昇による財務影響が大きいと想定され、当社グループは価格上昇の影響を抑制するため、安定的な仕入ネットワークの維持・強化に努めてまいります。機会については、市場のニーズが変化していく可能性を踏まえ、プライベートブランド商品「住実」をはじめとした環境配慮型商材の拡販に取り組んでまいります。

4℃シナリオにおいては、異常気象の激甚化に伴うサプライチェーンの寸断による財務影響が大きいと想定されます。当社グループは、既にBCPマニュアルを整備済みでありますが、異常気象の激甚化を想定の上、適宜見直しを検討し、財務影響を最小限に抑えるよう努めてまいります。機会については、災害激甚化の可能性を踏まえ、防災関連商材の拡販に取り組んでまいります。

当社はいずれのシナリオにおいてもレジリエンス(強靭性)を高めるべく、今後も適宜シナリオ分析を実施し、対応策・戦略の実践を進めてまいります。

 

(3) リスク管理

気候関連リスクを特定し、評価するための組織のプロセス

当社は、取締役会の監督・指示に基づき、サステナビリティ委員会にて気候関連のリスクと機会の特定・評価を下記プロセスにより実施しております。リスクと機会では、発生可能性や財務的影響度、当社を取り巻く環境の側面から重要度の高いものを抽出し、評価を実施しております。


 

気候関連リスクをマネジメントするための組織のプロセス

抽出された気候関連リスクと機会は、サステナビリティ委員会での検討・審議を経た後、必要に応じて適宜取締役会に報告され、適切な管理・監督が行われております。検討した各リスクと機会への対応策は、サステナビリティ委員会とリスク・コンプライアンス委員会が連携し、リスク・コンプライアンス委員会の指示のもと、各関連部門へ連携し具体策の実行を検討してまいります。

 

気候関連リスクと組織の全体的なリスクマネジメントとの統合

当社グループは、リスク管理規程等に基づきリスク・コンプライアンス委員会においてリスクの識別や管理を行っておりますが、気候関連リスクについてもサステナビリティ委員会と連携の上、全社のリスク管理プロセスへ適宜反映しております。

 

(4) 指標及び目標

気候関連のリスクと機会の評価に使用する指標(Scope 1・2のGHG排出量実績)

当社グループは気候関連のリスクと機会の評価指標としてGHG排出量を使用する予定であります。現在算定中の当連結会計年度の実績並びに翌連結会計年度の実績を踏まえ、目標値を決めていくこととしております。

 

 

<人的資本経営への取組>

(1) 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

① 人材育成方針

当社グループの最大の経営資本は「社員」であり、人材育成は経営における最重要課題の一つであると認識しております。持続的な企業価値向上に向けて、次期経営人材育成プロジェクトを始め各職種・階層にあった研修等の拡充を図り、性別・年齢等に関わらず多様な人材の能力を最大限に引き出すとともに、常に向上心を持ち将来の環境変化にも対応しうる人材を育成してまいります。

 

② 社内環境整備方針

最大の経営資本である「社員」の人権や個性を尊重し、時代に合った多様な働き方が実践できる職場環境を整備するとともに、心身の健康に寄り添い、安全で安心していきいきと働ける環境を確保し、エンゲージメントの向上に努めてまいります。

 

(2) 上記方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績(注1)

指標

目標

実績(当連結会計年度)

女性管理職比率

2033年3月までに20.0

5.2

ジオリーブ大学受講者率(注2)

100.0

77.7

有給休暇取得率

2026年3月までに60.0

52.1

 

(注)1 当社及び主要な子会社である㈱ジューテックのものであります。

2 ジオリーブ大学とは、社員の自己成長とキャリアアップを支援するための学習プラットフォームであり、eラーニングや集合研修を通じた幅広い学習機会をグループ社員に対して提供しております。各等級に必要なスキルや知識の習得のみならず、各自関心のある研修の受講も可能となっており、自ら学ぶ風土の醸成を図っております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 業種的リスク

当社グループは主たる業務として、合板、建材、住宅設備機器及びDIY商品の卸売を行っております。取扱商品の大半が住宅関連資材であり、それら商品の販売は、新設住宅着工戸数の増減等の住宅市場の動向に左右されます。住宅ローンの金利優遇措置等の住宅関連政策や住宅関連税制の変更等による、住宅投資に対する消費者マインドの低下や、国内経済の停滞等により、住宅需要並びに住宅関連資材需要が低迷した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

なお、将来的な新設住宅着工戸数については、研究機関等が公表しているとおり、人口減少や少子高齢化等を背景に減少していくと考えられます。そのような環境の中、売上総利益率の改善、リノベーション部門の強化のほか、新築需要に依存しない事業ドメインの開拓等を図り収益体質の改善を実施してまいります。

また、事業の一環として、建設工事の請負等も行っておりますが、万が一、当社グループの施工不良等に起因した異常があった場合には、損害賠償請求等のクレームリスクが発生する可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は現時点において認識しておらず、また、当事業の業績に占める割合が少ないことから影響は軽微であると考えておりますが、施工管理体制の強化や研修等を充実させ、当該リスクを顕在化させない対策に努めております。

 

(2) 与信リスク

当社グループの販売先は、日本各地における建材販売店、工務店及び建築関連業者が主であります。突発的な不良債権の発生等により販売先の経営状況が悪化した場合、貸倒れが発生する可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期について正確な予測をすることは困難でありますが、新設住宅着工戸数が減少傾向にあること等から販売先の経営状況に細心の注意が必要であると認識しております。各販売先に対してはそれぞれ与信枠を設け管理し、その金額については、決算書類の入手、ヒアリングによる情報収集、営業担当者による定期訪問、信用調査会社の評価等をもとに経営状況を把握し設定しております。また、貸倒引当金の計上にあたり、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、計上しております。

 

(3) 特有の取引慣行に係るリスク

当住宅関連業界の慣行として、仕入高等に応じた仕入割戻し(リベート)があります。当社グループでは、仕入割戻しの受け入れが第2四半期末及び第4四半期末となる傾向があるため、その受け入れの状況によっては、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性については住宅需要並びに住宅関連資材需要の動向による部分もあり、正確に予測することは困難ではありますが、適正価格による販売に徹するほか、売上総利益率の向上や経費削減に努め、業績等に与える影響の低減に努めてまいります。

 

(4) 企業買収等に係るリスク

当社グループは、事業拡大の有効な手段のひとつとしてM&Aやアライアンスを積極的に推進しております。市況の変化や新たなリスクの顕露等により想定した効果を得ることができず、対象企業等の価値が大幅に低下する状況が生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクは一定程度存在していると認識しており、M&A等を行う際には、第三者機関を活用し、事前に対象企業等に対し財務内容や法的な問題点等について適切な調査を実施し、デメリットやリスクが発見された場合には、当該事項が与える影響や対処方針について検討を行うとともに、適切なPMIを実施し、リスクの軽減に努めてまいります。

 

 

(5) 相場変動及び為替変動リスク

当社グループの取扱商品の一部には合板、木材及び国外で生産された商品等の相場変動や為替変動の影響を大きく受ける商品があります。急激な相場及び為替の変動によって価格転嫁できない場合や、一時在庫となり販売まで時間がかかる場合等、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性については地政学的リスクや政治情勢の変化等の様々な要因によることから、正確に予測することは困難ではありますが、当該リスクに対応するため、仕入先等から常時情報収集を行うとともに適正な仕入の実施に努めております。

また、国外からの仕入れは、原則、専門商社等を通じ行い為替変動リスクは回避していることに加え、ドル建て等の支払いについては、先物為替予約等を活用しリスクの軽減を実施しており、業績等に与える影響は軽微であると認識しております。

 

(6) 法的規制に係るリスク

当社グループが属する住宅関連業界は、建築基準法や省エネ法、また、建設業法等の法的規制を受けております。様々な要因により、これらの法令等に反する行為を行ってしまい、許認可の取消しや制約を伴う指導を受けた場合や、法令等の改廃や新たな法的規制の制定が行われた場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は現時点において認識しておりませんが、研修会やメールシステムを利用した啓蒙活動等の実施により、事業に関連する法令遵守の周知徹底を図ってまいります。

 

(7) 資金調達及び金利変動リスク

当社グループは、金融機関からの借入等にて資金調達を行っております。急激な金利変動や調達環境の変化があった場合には、金融コストの増加や資金調達に制約を受けることも想定され、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

金利変動リスクに関しては、政府・日銀の動向によることからリスクを予測することは困難でありますが、繰延ヘッジ処理等の金融手法を導入し急激な金利変動に備えております。

なお、現時点において、資金調達に問題はなく、そのリスクが顕在化する可能性は認識しておりませんが、資金需要に応じて最適な資金調達を実施し、リスクの軽減に努めてまいります。

 

(8) 自然災害

大規模な地震や津波・風水害等の自然災害が発生した場合、当社グループや取引先または取扱商品メーカーの事業拠点や主要なインフラに甚大な被害が生じる可能性があります。それに伴い、業務遂行が困難となり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループではBCPマニュアルを整備し定期的に訓練を行っており、災害発生時においても事業の継続や早期復旧できる体制を構築し、災害による被害や業績等への影響を最小限に抑えるよう努めているほか、被災地における生活環境・生活基盤の保全と回復を図ることが住宅資材や建築資材をメインに取り扱う当社グループの社会的責任であると考え、被災地の復旧・復興支援を行うことを重要事項としております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善を背景に景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、エネルギー関連費用の高止まりや継続的な物価上昇等に加え、急激な為替変動、地政学リスクの高まりのほか、米国の通商政策による世界経済の下振れ懸念拡大など、先行き不透明な状況が続く中での推移となりました。

当住宅関連業界におきましては、2025年4月より施行される建築基準法改正に伴う駆け込み需要が一定程度発生した影響により3月度の新設住宅着工戸数が前期比30%超の増加となったことから、当連結会計年度の新設住宅着工戸数は前期比2.0%増、そのうち持ち家は前期比1.6%増となりました。しかしながら、年度を通じては資材及び建築コスト高騰などによる住宅価格上昇や住宅ローン金利の上昇懸念などにより住宅需要に勢いは見られず、経営環境は予断を許さない状況での推移となりました。

このような環境の中で当社グループは、サステナビリティへの取組みとして引き続きエネルギー関連商材や認証材の拡販、非住宅木構造分野への取組み強化に加え、中古マンションリノベーション業者への販売強化やプライベートブランド商品の拡販、売上総利益率の改善等の既存の営業方針を維持する一方で、業務効率化や働き方改革を推進し、収益体質の改善を図ってまいりました。また、前連結会計年度よりスタートした3ヶ年の中期経営計画の2年目として、本計画のテーマである「企業変革力の向上」を図るべく各種施策を推進してまいりました。特に今後の成長戦略への先行投資としてM&Aを積極的に行い、5月に増田住建株式会社、10月に株式会社丸西、11月にひらいホールディングス株式会社を当社グループに迎え入れ、事業基盤の更なる強化を図ってまいりました。そのほか、当社グループの住宅請負事業を担うジューテックホーム株式会社のメインブランド「ウェルダンノーブルハウス」が、「業界トップクラス」の居住性能を評価され、省エネルギー性能の優れた住宅に対して表彰される「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」を11年連続で受賞いたしました。

以上の結果、売上高が176,115百万円(前連結会計年度比5.9%増)となりました。利益面につきましては、一時費用としてM&A関連費用476百万円が発生した影響もあり、営業利益が1,921百万円(前連結会計年度比13.8%減)、経常利益が2,779百万円(前連結会計年度比29.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,601百万円(前連結会計年度比35.7%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から2,041百万円増加の17,080百万円となりました。

 

a. 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果、資金は2,304百万円の増加(前連結会計年度は3,067百万円の増加)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が2,784百万円あったほか、売上債権の減少額が2,112百万円あった一方で、仕入債務の減少額が1,726百万円あったことによるものであります。

 

b. 投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動の結果、資金は2,185百万円の減少(前連結会計年度は1,061百万円の増加)となりました。これは主として、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が2,955百万円あったことによるものであります。

 

c. 財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動の結果、資金は1,922百万円の増加(前連結会計年度は1,103百万円の減少)となりました。これは主として、長期借入れによる収入が4,714百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が1,948百万円及び配当金の支払額が504百万円あったことによるものであります。

 

 

③ 仕入、受注及び販売の状況

a. 仕入実績

当社グループは、住宅資材販売を主たる事業としておりますので、生産実績に代えて仕入実績を記載しております。なお、当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額
(百万円)

前年同期比
(%)

住宅資材販売

建材販売店・
住宅会社等

合 板

10,770

△19.85

建 材

66,505

0.33

住宅設備機器

37,843

11.86

ホームセンター等

DIY商品

4,843

0.22

その他

29,042

17.77

 

149,006

4.16

その他

5,084

36.46

合計

154,091

4.98

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

b. 受注実績

当社グループにおいて、受注実績に重要性はありませんので、受注実績は記載しておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額
(百万円)

前年同期比
(%)

住宅資材販売

建材販売店・
住宅会社等

合 板

11,314

△17.08

建 材

71,622

△2.37

住宅設備機器

43,194

16.73

ホームセンター等

DIY商品

6,008

△1.29

その他

37,506

20.90

 

169,647

5.29

その他

6,467

24.33

合計

176,115

5.89

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  総販売実績に占める販売実績の割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

当連結会計年度の売上高は、2025年4月より施行される建築基準法改正に伴う駆け込み需要が一定程度発生した影響により3月度の新設住宅着工戸数が前期比30%超の増加となったことが主な要因となり、新設住宅着工戸数が前期比2.0%増となっておりますが、年度を通して住宅需要は勢いを欠く状況での推移となりました。そのような中、エネルギー関連商材や認証材の拡販、非住宅木構造分野への取組み強化のほか、中古マンションリノベーション業者への販売強化及びプライベートブランド商品の拡販等の既存の営業方針を徹底したことに加えて、M&Aにより新たに連結対象となった会社の売上が寄与したことから、前連結会計年度に比べ9,793百万円増加の176,115百万円となりました。

利益面は、売上総利益については、増収並びに売上総利益率の改善に努めたことにより2,921百万円増加の23,374百万円となりました。営業利益については、販売費及び一般管理費が人件費が1,371百万円、のれん償却費が317百万円増加したことに加え、一時費用としてM&A関連費用が476百万円発生したことを主な要因として、3,229百万円増加となったことから、308百万円減少の1,921百万円となりました。経常利益については、営業外収益が仕入割引が412百万円、不動産賃貸料が285百万円あったこと等から970百万円あった一方で、営業外費用が112百万円あったことにより、営業外収支が857百万円プラスとなり、前連結会計年度に比べ1,153百万円減少の2,779百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益が13百万円あった一方で、特別損失が8百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ888百万円減少の1,601百万円となりました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比して13,295百万円増加の89,473百万円となりました。これは主として、連結子会社の取得等により棚卸資産が2,911百万円、有形固定資産が4,575百万円、のれんが1,719百万円増加したことによるものであります。

負債については、前連結会計年度末に比して12,414百万円増加の66,170百万円となりました。これは主として、連結子会社の取得等により短期借入金が2,560百万円、1年内返済予定を含む長期借入金が6,353百万円が増加したことによるものであります。

純資産については、前連結会計年度末に比して880百万円増加の23,302百万円となりました。これは主として、利益剰余金が1,096百万円増加したことによるものであります。

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末から3.4ポイント減少の26.0%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社グループは、収益力の強化により営業活動によるキャッシュ・フローの増加を図るとともに、投資効率を重視した設備投資や有利子負債の削減を目指してまいります。

資本政策につきましては、財務の健全性に留意する一方で、会社の成長に資するための投資と、株主への利益還元との最適なバランスを考慮し、実施していくこととしております。

また、当社グループにおける資金需要の主なものは、既存事業の持続的成長や新たな事業ポートフォリオの充実を図るためのM&Aやシステム投資のほか、設備の更新等に要する設備資金や事業運営に係る運転資金であります。

当社グループは、必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しておりますが、安定的な財源の確保のため、複数の金融機関から借入による資金調達を行っており、今後も継続する方針であります。借入については、短期借入をベースとしており、金利変動等のリスクに備えるため、一部長期借入を行っております。現時点において、十分な当座貸越枠を設定しており、多様な資金需要に応じることができる体制となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。