第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、「美を創造し、演出する」という企業理念の実現に向けて、スキンケア製品の研究開発や製造、販売にとどまらず、お客様に寄り添い、共に美しさを育むため、直営サロンでの肌カウンセリングや東洋式フェイシャルケア等の各種アフターサービスを提供し、お客様とコミュニケーションを深めることにより、競争力と収益力の向上を図ってまいります。

 

(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題

 今後の見通しにつきましては、コロナ禍の出口が未だ見通せない状況が続き、消費動向は依然として新型コロナウイルス感染症の感染者数増減や行動制限の発出等に大きく左右されるものと見られ、コロナ禍以前の経済状況への回復までには時間を要するものと見込まれます。

 当社グループにおきましては、引き続きお客様とスタッフが安心できる感染対策を継続しつつ、2020年からスタートした中期経営計画のもと、経営資源を必要な場所に効率的に投入することにより、再成長を目指してまいります。

 

<2023年3月期の取組み>

 当社グループは、2020年からスタートした中期経営計画(2021年3月期から2023年3月期)のもと、引き続き、「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」「高機能製品の創出」「コスト合理化による財務基盤の強化」という3つの重点課題に取り組み、再成長を目指してまいります。

 

①「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」

 イベントプロモーションでの集客のみならず、SNSや美容情報サイト等を駆使した新たな集客チャネルを開拓し、情報発信を強化したことで、新規顧客数は大きな回復を見せております。2023年3月期は、さらなる新規顧客数拡大のため、新たな顧客層獲得に向けた集客チャネルの開拓と、新規顧客との接点拡大に引き続き注力してまいります。

 また、ブランド認知度向上のために、従来から実施しているイベントプロモーションでの集客活動に加え、直営店舗や通信販売、アプリやSNS等、複数チャネル間の連携を強化し、魅力的なコンテンツを発信してまいります。

 さらに、リアル店舗と通信販売のシームレス化を加速させ、オンライン、オフラインを問わず、さまざまなチャネルを駆使し、顧客に良質なサービスを提供するための環境を整え、顧客とのつながりをより一層強化してまいります。

 

②「高機能製品の創出」

 研究開発活動においては、他社との差別化、当社の製品・サービスの価値向上のため、皮膚科学研究に基づいた独自原料開発やその機能性の解明、高機能処方の開発と深化等、社内だけではなく外部研究機関との連携を積極的に図ることでさらなる発展を目指します。また、長年行ってきたサロンケアの実績を活かし、当社サロン施術のエビデンスの収集と有効性を解明すると共に、その成果を新たなシーズとしてサービスや製品へ展開するという当社独自の研究開発への取り組みも強化してまいります。

 さらに、社内で培った技術力と研究成果を活かし、海外展開やOEM、ODM受託等、新たな取り組みを行ってまいります。

 

③「コスト合理化による財務基盤の強化」

 各事業の「見える化」を実現し、目標達成に向けた効率的な組織体系を構築してまいります。

 事業間での意思疎通を迅速かつ活発化し、経営リソースの共有や業務プロセスの合理化を引き続き推進するとともに、本社機能の機動力の強化及び意思決定の迅速化を図ってまいります。

 本社機能の移転により、本社機能の維持に関わるコストの見直しのみに留まらず、各事業の「見える化」を実現し、社員のエンゲージメントを高めるべく、働き方の多様化を推進してまいります。また、社内業務のデジタル化を進めることで、各業務の工程削減を積極的に行ってまいります。

 また、六本木本社ビル竣工後には、当社のフラッグシップ店として、当社のものづくりに対するフィロソフィーを発信することで、企業理念である「美を創造し、演出する」を体現し、シーボン.ブランドの認知度向上、ブランド力強化を図ってまいります。

 

 

※ イベントプロモーション

  :新規顧客獲得のために、サロンにおけるトライアルプランにご予約いただけるように、イベントブース等で

   簡易の肌チェックを通じてシーボンをご紹介するプロモーション活動

 

(3) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、継続的な事業の拡大を通じて、企業価値と企業体力を高めていくことを経営の目標に掲げております。経営指標としては、事業及び企業の収益力を表す各利益項目を重視し、特に売上高、営業利益の増額と経常利益率の改善を目指してまいります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループでは、企業目標の達成を脅かす不確実性があり、結果的に当社グループ及びステークホルダーが不利益を被るものを「リスク」、このリスクの顕在化によりその状態を放置した場合、業務が著しく遅延また長期にわたり中断する場合や大きく信用を失墜し、企業の存続が危ぶまれる事態に陥る可能性が高まることを「危機」と定義しております。代表取締役の諮問機関である「リスクマネジメント委員会」において、リスクの識別・評価・管理・モニタリングを行い、必要に応じて取締役会等に報告・諮問を行っております。また、危機発生時には、業務全般の運営を継続しながら、通常機能に回復させることを確保するために必要な体制を整備し、損失を最小限に食い止めるべく危機事態に対処いたします。

 以下には、当社グループのリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項のうち、顕在化の可能性が高く、取り組みを強化している重要な項目を記載しております。なお、記載されたリスクは全てを網羅したわけではなく、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があります。

 

ハザードリスク

主要なリスク項目

リスクの内容/対応策

感染症

 社会的影響の大きい感染症が発生した場合、直営店舗にてお客様と対面による販売及びサービス提供する事業の特性により、店舗の臨時休業や営業時間短縮等に伴う、来店者数の減少等により、経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 お客様とスタッフの健康と安全を第一に考え、直営店舗においては、ベッド間隔の調整や定期的換気による衛生的な空間づくりを行い、スタッフに対しては、毎日の検温や健康チェック、手指や機器の消毒の徹底、原則月2回の抗原検査を実施するなど、感染予防対策を徹底して行っております。

 また、ECをはじめ、新たな販路獲得に向けた化粧品や健康食品等の開発を進め、新たな顧客層の開拓にも注力してまいります。

自然災害等

 気候変動の影響による台風・豪雨・洪水や地震等の自然災害について、頻度や損害規模がここ数年増大しております。被害状況の大きさによっては、店舗の臨時休業等事業活動の停止、店舗への製商品供給に支障をきたすだけでなく、設備等の復旧に巨額の費用を要する等、当社グループの事業活動全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループでは、自然災害や火災・事故等の発生に備え、平時より老朽化した設備の改修や施設の定期点検、防災教育を行っております。また、緊急時に備え、具体的な行動フローにまで落とし込んだ「危機管理ガイドライン」を作成し、年1回以上の訓練を行うとともに、災害備蓄品の整備等を進めております。

 

営業活動におけるリスク

主要なリスク項目

リスクの内容/対応策

集客活動

 当社グループは、新規のお客様を開拓するために、イベントプロモーションやWeb広告・デジタルメディアの活用等による集客活動を通じて、サロンでのトライアルプランへ誘致を行っております。新規来店者の約6割がイベントプロモーションを来店動機としており、イベントプロモーションの集客力低下は、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 新規集客においては、従来行っておりましたダイレクトアプローチだけでなく、製品の価値やサービスの魅力を伝えるコンテンツを新たな集客チャネルとし、情報発信を強化することでの新規顧客獲得施策を推進してまいります。美容サービス検索・予約サイトからの集客誘導をはじめとしたWebマーケティングを集客活動の新たな軸の一つとなるよう注力してまいります。

販売チャネル

 当社グループの販売チャネルは、直営店舗(91.9%)・通信販売(4.3%)・国内代理店(1.4%)・海外代理店(0.6%)・その他(1.8%)で構成され、直営店舗での販売が売上の大半を占めます。デジタル化による消費者のライフスタイルや消費行動の多様化が、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により加速する可能性もあり、お客様ニーズに対応したチャネルの整備が遅延した場合には、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

※括弧内は、2022年3月期の連結売上高に占める割合

〔対応策〕

 既存の直営店展開を中心としたビジネスモデルに満足することなく、店舗ならではの「満足を超える感動体験」を追求するとともに、SNS等を駆使し、当社の製品価値・サービス価値に関する情報発信を強化してまいります。

 併せて、新しい販売チャネルの拡充を図り、そのチャネルに合った製品開発を推進し、新たな顧客層の獲得を図ってまいります。

アフターサービス

 当社グループの主力チャネルである「シーボン.フェイシャリストサロン」では、「会員アフターサービス規約」に基づき、ホームケア製品の購入金額に応じたポイント「ビューティアップ・ポイント」を付与し、ポイント数に応じて、各種アフターサービスを提供しております。アフターサービスの提供が、お客様の定期的な来店・リピート購入等へ結びつくとともに、顧客ロイヤルティの向上につながっており、サービスの質の低下等により顧客離れが起こる事態となった場合には、経営成績等に大きな影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 他社サービスとの差別化のため、美容法のエビデンスの収集やお客様に効果を実感していただくカウンセリングシステムを導入しております。製品やサービスの価値を客観的に示すことで、お客様が継続的にサロンに通っていただける動機づけを図っております。

 また、外部機関との共同研究により、アフターサービスの一環として提供している「東洋式フェイシャルケア」の心身に与える効果の科学的検証を進め、日本未病学会にて発表を行うなど、さらなる顧客ロイヤルティの向上に取り組んでおります。

海外事業

 当社グループの主たる販売拠点は国内ですが、マーケットの拡大が期待される国・地域において事業展開をしており、今後一層の拡大を目指しております。

 これらの海外での事業活動におきましては、内戦、戦争の勃発・拡大、経済的・政治的な政情不安、労働問題、人権問題、テロ、クーデター、感染症の流行による都市封鎖等による経済停滞や社会的混乱等のリスクが潜在しております。

〔対応策〕

 当社グループは、海外での事業におきましては、当社コンプライアンス課及び海外事業担当部門が該当国・地域の現地法令に知見のある弁護士事務所と契約し、海外情報をいち早く収集し、予防法務、戦略法務について適切な助言を得られる体制を構築しております。また、中国現地法人につきましては、現地弁護士事務所と契約し、より現地から早期の情報収集を図っております。

 

 

システム開発

 当社グループは、自社開発の基幹システムを基礎に、直営店舗・製造部門・本社部門の様々な情報を一元管理しており、システムの安定的な稼働が業務遂行上重要な事項となっております。そのため、基幹システムに障害の兆候が見られる場合には、担当スタッフに対し自動的に通知が送信されるなど、システム障害を未然に防ぐよう努めております。しかし、基幹システムの構造の肥大化・複雑化といったレガシー化が進んだ場合には、業務効率の低下による営業機会の損失や維持管理コストの増大等、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 ITシステムの強化・合理化におきましては、引き続き、基幹システム刷新に向けて取り組んでまいりますが、併せて、インフラ基盤・情報セキュリティの強化と社内における業務プロセスの見直しを推進してまいります。取締役会やリスクマネジメント委員会において定期的な報告を行い、適切なプロセスと意思決定のもと、実施してまいります。

個人情報の漏洩

 当社グループは、お客様の個人情報のほか、適切なカウンセリングを行うために必要な範囲で生活状況や健康状態を確認させていただくことがあるとともに、化粧品の購入履歴や肌情報等お客様のプライベートな情報を入手する立場にあります。こうしたお客様の情報は、基幹システム内で共有化を図り、お客様が全国のサロンをご利用し、データに基づいたカウンセリング等のアフターサービスを受けられることを可能としております。外部からの不正アクセスを含む意図的な行為や過失により、個人情報が外部に流出した場合には、社会的信用の低下や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループでは、「個人情報保護の基本方針」にてお客様の個人情報の取り扱いに関して厳格に定めるとともに、少なくとも年に1度社員教育を実施し、個人情報漏洩の事故防止を図っております。また、個人情報を格納するサーバーには厳格なアクセス制限をかけた上で、社内ネットワークと物理的に隔離しているほか、情報システムの強化等により、情報セキュリティマネジメントの向上を図っております。

グループ管理体制

 当社グループには、国内2社、海外1社のグループ会社があり、当社とのシナジー効果により、より多くの収益を上げられる見込みがあります。グループ子会社が想定した業績・成果が上げられない場合、不正や社会のルールを逸脱した経営が行われるなどの不祥事が発覚した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループにおいては、人的・物的連携を強固にすることで、更なるシナジー効果が期待できると見込んでおり、積極的な交流を図っていく一方、当社のガバナンスやコンプライアンスに関してはグループ子会社にも及ぶものであり、実効性のある管理体制を敷き、運用してまいります。

人材確保

 当社グループは、製販一体であり、自社工場による製品の製造・品質管理や、フェイシャリストによる製品の販売及びサービスの提供が、事業の維持及び拡大の根幹となっております。しかしながら、雇用情勢の変化や労働市場の競争激化への対応の遅れなどにより、必要な人材の採用計画に大幅な遅延が起こる場合には、製品開発計画や製造計画、販売計画等に滞りが生じ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループは、人材を事業拡大の中核と位置づけ、人材の確保や定着のための様々な制度を設けており、出産や育児、介護等、ライフステージが変わっても働き続けられる柔軟な勤務制度等を導入しております。その一方で、年齢や勤続年数によらない評価制度を導入し、成果を公正に評価する体制づくりをしております。社員に「働きやすさ」と「働きがい」を提供することで、優秀な人材の確保に尽力しております。

 また、社員のエンゲージメントを高めるべく、定期的に「従業員満足度調査(ESアンケート)」を実施し、その結果を踏まえた個別課題を抽出し、具体的な対応を図ることで、定着の促進や働き方の多様化及び柔軟化を推進しております。

 

生産活動におけるリスク

主要なリスク項目

リスクの内容/対応策

製品開発

 当社グループの連結売上全体の89.5%を占めるスキンケア製品市場において、エイ

ジングケア意識の浸透により、高機能化粧品のニーズが高まっているほか、女性のラ

イフスタイルの変化に合わせ、スキンケア製品に対するお客様のニーズも多様化して

おります。今後の業績拡大に向け、計画に基づいてお客様ニーズに対応した製品開発

に注力してまいりますが、想定した成果が得られない場合には、当社グループの経営

成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループでは、お客様に長くご愛顧いただける製品づくりを目指しており、市

場動向も踏まえながら、お客様から寄せられるメールアンケートの回答を検証し、既

存製品の処方改良によるレベルアップを図っております。市場競争力のある製品開発

強化に向けて、フェイシャリストの知見を取り入れたお客様ニーズの還流の仕組みに

よる製品開発プロセスの改善とともに、外部機関との連携・共同研究を強化し、新た

な技術シーズの創出、独自素材の開発に取り組んでまいります。

生産体制

当社グループでは、ほぼ全てのスキンケア製品の研究開発、生産を1968年に竣工した栃木県の自社工場「生産センター」で行っております。現在の事業規模における製品製造のキャパシティは有するものの、今後グローバル市場に本格的に進出した際の生産数の大幅増加に伴う生産設備・生産人員の不足や、老朽化に伴う建物の破損等による生産体制への対応の遅れがあった場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループでは、定期的な生産設備の点検を行い、適宜新規設備の導入等の設備投資を行っております。

 また、中長期的に販売計画を基にした生産数量の予測を行っており、当該予測に基づいた生産人員の採用を行っております。

品質保証

 お客様にとって安心・安全な製商品の提供は、化粧品会社として事業を行う上で最重要価値の一つです。そのため、万が一重大な製品事故や安全性に対する懸念が生じた場合、当社グループ全体の信用低下につながる可能性があります。また、結果的に当社グループの製商品に問題なかった場合でも、風評被害等により同様の影響を受ける可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループでは、製品関連法規の遵守及び自主的に設定した独自の品質評価基準を設定し、製品の設計、開発、原材料の管理、製造、出荷等それぞれの段階でこれら基準を遵守徹底しております。特にお客様に安心してご使用頂けることを最重要事項とし、処方設計段階での安全性リスクに応じた各種試験や実使用テストの実施は当然のこと、使用する原材料の肌への負担、有害な不純物などを文献や試験結果から徹底して検証し、より安全性を確保するための強化を図っております。

 発売後においても、お客様総合窓口やメールアンケート等を通じて製品へのお申し出やご意見、ご要望を収集し、即時に関連部署へフィードバックできる体制を構築しており、更なる品質向上に努めております。

 また、当社工場で製造された製品には、「管理バーコード」を貼付し、原材料や生産工程等の情報を読み取ることができるようになっており、この情報にお客様の購入データを加え、万が一製品の安全性に問題が生じた場合でも追跡可能な情報管理をしております。

 

コンプライアンスリスク

主要なリスク項目

リスクの内容/対応策

販売コンプライアンス

 当社グループは、「特定商取引に関する法律」「消費者契約法」等様々な法規制のもと、集客・販売活動を行っております。消費者保護の観点から、将来的に法規制が強化される可能性が高く、万が一これらに抵触することとなった場合、あるいはこれら法令等の改正又は新たな法令等の制定に対し適切な対応ができない場合には、行政機関による指導又は業務停止命令の対象となり、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 「販売ガイドライン」等各種ルールを定め、接客時の心構えとともに繰り返し社員教育を実施し、お客様の期待を超える接客サービスの提供を目指しております。

 また、日々の接客や販売活動が適切に行われているかを確認するため、お客様・スタッフ・組織という3つの視点でモニタリングを行っております。特にお客様からについては、メールによるアンケート調査によりダイレクトな意見を吸い上げ、日々の接客の改善に活用しています。

広告コンプライアンス

 当社グループは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、医薬品等適正広告基準、不当景品類及び不当表示防止法並びに化粧品の表示に関する公正競争規約等法規制のもと、広告活動を行っております。消費者保護の観点から、将来的に法規制が強化される可能性が高く、万が一これらに抵触することとなった場合、あるいはこれら法令等の改正又は新たな法令等の制定に対し適切な対応ができない場合には、行政機関による指導又は課徴金、刑事罰等の罰則対象となり、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

〔対応策〕

 当社グループは、日本化粧品工業連合会が遵守すべき指針として定めた「化粧品等の適正広告ガイドライン」に沿った広告をおこなっております。

 当社におきましては、コンプライアンス課広告法規支援担当を設置し、自社により制作される広告について広告審査を行うこととしており、厳正に対処しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

指標

2021年3月期

(前年実績)

2022年3月期

(修正計画)

2022年3月期

(実績)

前年比

計画比

売上高

9,101,930千円

9,325,822千円

9,153,473千円

100.6%

98.2%

営業利益又は営業損失(△)

△903,749千円

302,580千円

193,706千円

64.0%

経常利益又は経常損失(△)

△509,815千円

405,132千円

301,299千円

74.4%

経常利益率

△5.6%

4.3%

3.3%

1.0%減

親会社株主に帰属する

当期純利益又は

親会社株主に帰属する

当期純損失(△)

△621,872千円

342,457千円

44,872千円

13.1%

(注)計画値につきましては、2022年2月2日に期初計画を変更いたしました。

 

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における日本国内の経済環境は、一時的に新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少した期間もあり、多くの制約を受けてきた対面型サービス等で一定程度の回復が見られたものの、度重なる変異株の出現による感染拡大の慢性化、長期的な緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用により、経済活動は大きく制限を受けました。今後、規制の解除や消費者の感染拡大慢性化に対する適応により、多少の持ち直しが見込まれるものの、感染者数は高水準で維持される可能性もあり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 こうした経営環境の中、当社グループの主力事業である直営店舗事業が対面・接触型のサービスという特性のため、年度を通して新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う行動制限等の影響を大きく受け、不安定な状況が続きましたが、2020年からスタートした中期経営計画の2カ年目として、「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」「高機能製品の創出」「コスト合理化による財務基盤の強化」の3つの重点課題に引き続き取り組み、収益性・生産性の向上に努めてまいりました。

 また、顧客が感じる当社の付加価値をさらに高めるため、既存事業における新たな価値の創出に向け、組織のシームレス化及び機動力の強化を図っております。

 

(売上高)

 既存顧客の来店数は回復基調にはあるものの、長期的に発出された行動制限や、顧客の行動変容により、回復は鈍化しております。一方、新規顧客の来店数は、幅広い顧客獲得のため、WEB検索・予約サイトを利用した集客に注力し、また、大型のイベントも再開した結果、順調に増加いたしました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は9,153,473千円(前年同期比0.6%増)となりました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、2,049,674千円(前年同期比6.0%減)となりました。その結果、売上総利益は7,103,798千円となり、売上高に対する売上総利益の比率は77.6%(前連結会計年度は76.0%)となりました。

 

(営業利益・経常利益)

 経費の合理化に努め、販売費及び一般管理費は6,910,092千円(前年同期比11.7%減)となり、営業利益は193,706千円(前年同期は営業損失903,749千円)となり、雇用調整助成金82,636千円を含む営業外損益107,593千円を計上したことから、経常利益は301,299千円(前年同期は経常損失509,815千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 店舗物件の退店に関わる受取補償金を含む特別利益258,249千円を計上し、本社機能の移転により売却予定になったことによるシーボン.パビリオン(メインオフィス)の減損損失及び、六本木本社ビル建替えに伴う退店などの支払補償費を含む特別損失454,641千円を計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は44,872千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失621,872千円)となりました。

 

<当連結会計年度における当社グループの主な取組み>

重点課題①「顧客数拡大とお客様第一のサービス提供」

 様々な顧客層にアプローチすべく、集客チャネルの拡大と集客基盤の強化を目的に、従前から実施しているイベントでの肌チェックやサンプリング等の対面での集客活動に加え、SNSや美容情報サイト等のWEBを利用した非対面での集客活動も積極的に取り入れてまいりました。集客活動の柱である対面でのイベント集客活動が、緊急事態宣言等の行動制限の発出により、活動が制限される厳しい状況ではありましたが、新たな集客チャネルによる誘客に注力したことから、新規顧客の来店数は前年同期と比べ35.4%増と大幅に増加いたしました。なお、WEBを利用した集客活動による新規来店数の割合は、前年同期において7.2%であったのに対して、当連結会計年度では18.4%と大幅に伸張いたしました。

 また、公式HP及び公式通販サイトにおける製品レビューコンテンツ「FACIALIST REVIEW」※1の導入や、日頃から当社をご愛顧くださっているお客様の中から公式アンバサダーを選定するなど、当社スタッフだけでなく、お客様からも当社の製品やサービスの魅力を発信することで、新規顧客との接点拡大のほか、製品購入時のアドバイス機能として、既存顧客に対する利便性向上の一助となっております。

 

重点課題②「高機能製品の創出」

 研究開発活動においては、皮膚科学研究に基づいた独自原料開発やその有効性の解明、また、お客様がサロンで過ごす時間をより豊かなものにするため、当社サロン施術のエビデンスの収集等、外部研究機関との連携に加え、社内研究体制の強化により、製品・サービスの価値向上を図ってまいりました。

 当期は、当社サロン施術の効果を脳科学的、皮膚科学的に解明した成果を用いて開発に至った当社独自原料を、多くの製品に応用展開いたしました。得られた研究成果、技術は、当社サロン製品だけでなく、OEM、ODM受託製品への展開を進めております。

<2022年3月期の主な研究発表>

①UVAがもたらす新たな肌ダメージを解明。SASP関連因子の分泌によって肌細胞が老化誘導される可能性を確認。

(2021年6月日本香粧品学会 早稲田大学との共同研究)

②「美容鍼」と「顔面部の経穴(ツボ)への圧刺激によるフェイシャルケア」の継続的介入が及ぼす効果の違いを発見。

(2021年11月日本未病学会 明治国際医療大学との受託研究)

③「コリアンダー果実米麹発酵液」の開発と多岐にわたる肌への有効性を確認。

(2022年3月日本農芸化学会 株式会社永廣堂本店との共同研究)

 

重点課題③「コスト合理化による財務基盤の強化」

 2020年より推進する不採算店舗の統廃合や縮小移転等による人員の適正配置を進めてまいりました。結果として、直営店舗の生産性※2は前年同期比112.6%と大きく向上し、利益率は大幅に改善いたしました。

 また、竣工より49年が経過している六本木本社ビルを、耐震及び老朽化への対応のため、建替えを決定いたしました。新たに建設する六本木本社ビルにおきましては、当社ブランドのフラッグシップ店と位置付け、シーボン.ブランドの認知度向上、ブランド力強化に取り組んでまいります。竣工後は、強い本社組織の構築や、収益性の強化等の観点から、本社機能を六本木本社ビルへ移転することを予定しております。

 加えて、六本木本社ビルの竣工前ではありますが、営業活動の強化と本社組織のシームレス化を推進するため、本社機能を川崎市から港区北青山へ移転し、これを契機に、本社機能の維持等に係る費用の見直しの検討を行ってまいりました。

 本社機能を有していた「シーボン.パビリオン(メインオフィス)」を国内法人へ譲渡し、一層の財務基盤の強化を加速しております。

 

※1 FACIALIST REVIEW

:2021年12月1日より導入されたフェイシャリスト(美容部員)による製品レビューコンテンツ。

 フェイシャリストによるオンライン接客の一施策となっており通販顧客に対する商品提案力を高めております。

※2 生産性

:直営店舗の売上高 ÷ 直営店舗の総労働時間

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得による支出等の要因があったものの、税金等調整前当期純利益104,906千円、減価償却費、減損損失の計上等により、前連結会計年度末に比べ475,954千円増加し、当連結会計年度末には2,784,734千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果獲得した資金は433,371千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益104,906千円、減価償却費224,347千円、減損損失228,243千円、売上債権の減少141,455千円、契約負債の減少278,752千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果獲得した資金は44,914千円となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入230,297千円、有形固定資産の取得による支出103,216千円、敷金及び保証金の差入による支出92,097千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は6,731千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出5,800千円によるものであります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別ではなく、以下の区分に分け記載しております。

①生産実績

当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

スキンケア

ベーシック(千円)

3,861,175

117.2

スペシャル(千円)

7,097,706

104.3

メイクアップ(千円)

11,318

322.2

その他(千円)

156,474

62.7

合計(千円)

11,126,674

107.4

(注)1.上記金額は、販売単価によっております。

2.上記区分のベーシック及びスペシャルの品目構成は、以下のとおりです。

ベーシック:洗顔料・クレンジング・化粧水・乳液等の基礎化粧品

スペシャル:美容液・クリーム・パック等の化粧品

 

②仕入実績

当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

商品仕入(千円)

90,038

35.7

原材料仕入(千円)

654,478

88.8

その他(千円)

94,909

86.0

合計(千円)

839,425

76.3

(注)上記区分の商品仕入の減少要因は、前年同期に新製品の美顔器「PMD Clean Pro」と、新製品の美顔器「シーボ

   ン グロウリフト」等を販売したことによるものであります。

 

③受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

④販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

製品

スキンケア

ベーシック(千円)

2,644,652

101.8

スペシャル(千円)

5,544,569

99.8

メイクアップ(千円)

4,460

90.4

その他(千円)

12,778

52.7

小計(千円)

8,206,461

100.3

商品

美容関係器具・小物(千円)

118,803

34.4

その他(千円)

161,795

88.7

小計(千円)

280,598

53.1

その他(千円)

666,412

169.4

合計(千円)

9,153,473

100.6

(注)1.上記区分のベーシック及びスペシャルの品目構成は、以下のとおりです。

ベーシック:洗顔料・クレンジング・化粧水・乳液等の基礎化粧品

スペシャル:美容液・クリーム・パック等の化粧品

2.上記区分の商品美容関係器具・小物の減少要因は、前年同期に新製品の美顔器「PMD Clean Pro」と、新製品の美顔器「シーボン グロウリフト」等を販売したことによるものであります。

3.最近2連結会計年度の主要な販路及び販路別売上高及び割合は、次のとおりであります。

販路別

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

直営店舗

8,384,781

92.1

8,413,709

91.9

通信販売

379,804

4.2

391,344

4.3

国内代理店

119,620

1.3

130,317

1.4

海外代理店

19,166

0.2

49,771

0.6

その他

198,558

2.2

168,329

1.8

合計(千円)

9,101,930

100.0

9,153,473

100.0

 

(4)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

 自己資本比率(%)

80.0

79.4

64.8

 時価ベースの自己資本比率(%)

85.2

91.6

77.3

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.3

0.1

 インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

1,057.0

1,207.5

   自己資本比率:自己資本/総資産

   時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

   キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

   インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

   (注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

   (注2)キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フローを利用しております。

  (注3)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

  (注4)2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。

 

①資本の財源と資金の流動性について

 資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは安定した収益と成長性を確保するために将来必要な運転資金及び直営店舗の開設工事費用等の設備投資に必要な資金は、内部留保による手元資金及び営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としております。そのため、流動性の観点から基本的には当座預金及び普通預金にて運用しております。それらの資金を確保した上で、発生する余剰資金については、元本返還の確実性が高く、市場価格の変動が少なく、かつ可能な限り高い運用益が得られる方法で運用を行う方針であります。

 なお、運転資金については、十分な内部留保資金を確保しておりますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による企業活動への影響の長期化に備えるため、運転資金の効率的な調達手段として、取引銀行2行とコミットメントライン契約を締結しております。本契約における当連結会計年度末の借入実行残高はありません。

 

②財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は4,852,086千円となり、前連結会計年度末に比べ450,770千円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金の増加(前連結会計年度末比475,954千円増)によるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は4,711,276千円となり、前連結会計年度末に比べ452,149千円減少いたしました。その主な要因は、建物及び構築物の減少(前連結会計年度末比245,284千円減)、土地の減少(前連結会計年度末比40,510千円減)、投資有価証券の減少(前連結会計年度末比58,862千円減)、敷金及び保証金の減少(前連結会計年度末比64,163千円減)によるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は2,843,115千円となり、前連結会計年度末に比べ1,402,222千円増加いたしました。その主な要因は、契約負債の増加(前連結会計年度末比1,513,114千円増)、その他流動負債の増加(前連結会計年度末比273,882千円増)があった一方で、ポイント引当金の減少(前連結会計年度末比427,304千円減)によるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は519,677千円となり、前連結会計年度末に比べ7,661千円減少いたしました。その主な要因は、その他固定負債の増加(前連結会計年度末比37,790千円増)があった一方で、資産除去債務の減少(前連結会計年度末比21,919千円減)によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は6,200,568千円となり、前連結会計年度末に比べ1,395,939千円減少いたしました。その主な要因は、収益認識に関する会計基準の適用等による利益剰余金の減少(前連結会計年度末比1,363,257千円減)によるものであります。

 この結果、自己資本比率は64.8%(前連結会計年度末は79.4%)となりました。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、将来の課税所得の見積りを、注記事項(重要な会計上の見積り 1.店舗固定資産の減損損失の判定)に記載した仮定に基づいて行っております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による企業活動への影響が予測した仮定と異なる場合には、予想した課税所得にも影響が及び、今後繰延税金資産の計算の見直しが必要となるため、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(固定資産の譲渡)

 当社は、2022年3月23日開催の取締役会において、次のとおり固定資産の譲渡について決議を行い、2022年3月30日に譲渡契約を締結いたしました。

 

(1)譲渡の理由

 当社の経営資源を有効活用するため、保有する固定資産を譲渡することといたしました。

 

(2)譲渡資産の内容

資産名称と内容

シーボン.パビリオン 土地(7,066.44㎡)及び建物(5,508.35㎡)

所在地

神奈川県川崎市宮前区菅生一丁目

現況

メインオフィス及び研修施設

帳簿価額

2,191百万円

 

(3)譲渡先の概要

 譲渡先は国内法人ではありますが、譲渡先との取り決めにより、公表は控えさせていただきます。なお、当社と譲渡先との間には、資本関係、人的関係、取引関係及び関連当事者として特記するべき事項はありません。

 

(4)譲渡の日程

  取締役会決議日  2022年3月23日

  契約締結日    2022年3月30日

  物件引渡し期日  2022年9月(予定)

 

(5)特別損失の計上について

  当該固定資産の譲渡に伴う特別損失243百万円については、2022年3月期決算において計上しております。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、主にスキンケア製品を中心とする化粧品及び医薬部外品の研究開発を行っております。「美を創造し、演出する」という企業理念のもと、肌本来の力を高めることに着目した、高機能かつ高い安全性を有する製品の開発を進めていることに加え、アフターサービスであるサロンケアにより培ってきたフェイシャルケア技術について科学的エビデンスに基づいた研究を通し、さらなる技術の深耕に取り組んでおります。そして、化粧品という枠を越えた美の新価値創造と女性のQOL(Quality of Life)の向上を目指す企業として、全てのお客様の美の創造に貢献してまいります。

 製品開発においては製販一体であるメリットを活かし、お客様の来店毎に行っているメールアンケート調査・新製品発売後アンケートの結果から顧客のニーズを迅速かつ精度よく反映させる仕組みにより、満足度の高い製品開発に取り組んでおります。研究においては中長期の「R&D強化計画」に基づき、研究基盤の強化を進めると共に、大学や原料メーカー等の外部研究機関との連携を図り、新たな美肌理論や独自性の高い原料の開発等、オープンイノベーションの加速による新価値創造を進めております。

 早稲田大学との共同研究では、UVAが皮膚細胞からのSASP関連因子の分泌を介することで他の皮膚細胞の老化を誘導するという可能性を新たに見出しました。その研究成果は第46回日本香粧品学会にて発表しております。

 また、化粧品原料メーカーである永廣堂本店株式会社と共同研究を行い、日本古来より用いられている伝統的なバイオサイエンス技術である米麹発酵と世界最古のスパイスとも呼ばれるコリアンダー果実を融合させることで、新規独自成分「コリアンダー果実米麹発酵液」を開発いたしました。研究の結果、「コリアンダー果実米麹発酵液」は肌のバリア機能向上やハリ・弾力向上、メラニン生成抑制などの効果により、総合的に肌に好影響を与えるという可能性を明らかにし、この成果を「日本農芸化学会2022年度大会」にて発表いたしました。本研究により得られた技術は、今後の新たな製品開発に応用・展開してまいります。

 さらに、昨年に引き続き明治国際医療大学と取り組んでいる「美顔鍼」と「顔面部の経穴(ツボ)への圧刺激によるフェイシャルケア」の効果に関する研究において、継続的介入が心身及び美容的側面で皮膚に与える影響について新たに検証を行いました。「美顔鍼」と「フェイシャルケア」では美容効果及び心身に与える効果が異なり、顔面部への経穴(ツボ)に対する施術のさらなる伸展の可能性を示す結果となりました。本研究の成果は、第28回日本未病学会学術総会にて発表を行い、より革新的なサービスの提案に繋げてまいります。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は、170,011千円となっており、主な研究開発成果として、新製品を下記のとおり発売いたしました。

 

製品名称等

特徴

「シーボンAC エッセンスローションa」

「シーボン AC バイタルセラムa」

「シーボン AC モイスチャークリームa」

(10月発売)

 シワ改善×美白※12大エイジサイン※2を一挙にケア。

 紫外線研究から生まれた深層エイジングケア※3「シーボン ACシリーズ」を開発。長年の紫外線研究による結論。エイジングケアに必要なのは、日常生活で蓄積される光ダメージ※4への恒常的なケア、ということ。研究成果を成分・技術へ応用し、2大エイジサインとなるシワとシミの根源にアプローチする深層エイジングケア「ACシリーズ」。

 

※1 美白:メラニンの生成を抑え、シミ・ソバカスを防ぐ

※2 エイジサイン:年齢を重ねた肌の乾燥やキメの乱れ

※3 エイジングケア:年齢肌にハリやうるおいを与えること

※4 光ダメージ:紫外線による、乾燥・シミ・シワなどの肌ダメージ

「グレイスレディーボーテ」

(1月発売)

 

 女神の名を冠したシーボン.最高峰のサロンケア。高機能美顔器×東洋式美顔術×コスメティックケアを融合した、3つのフェイシャルメソッドによるかつてないサロンプログラム

「シーボンルミナス エモリエントローション」

(1月発売)

「シーボンルミナス モイストリフトセラム」

(3月発売)

「シーボンルミナス モイストリペアクリーム」

(3月発売)

 サロンクオリティの美肌体験をスキンケアに。

 湧き続ける泉のように潤いめぐる肌へ。シーボン.が長年培ってきたフェイシャルケアとエイジングケア※1の知見を結集。スキンリラクゼーションがもたらす、ポジティブな肌と心の変化をホームケア製品へと紡いだ新時代のエイジングケアを開発しました。

 加齢やストレス※2による肌ダメージを、植物の神秘のパワーでケアすることで、先回りのエイジングケアを適えます。

 

※1 エイジングケア:年齢肌にハリやうるおいを与えること

※2 ストレス:乾燥による