(1)業績
当社は、大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なることに着目したアプローチに基づき、抗癌剤の基礎研究および臨床開発、ならびにそのために必要な提携パートナーの獲得活動に取り組んでおります。
当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、非小細胞肺癌(扁平上皮癌を除く)および悪性胸膜中皮腫を対象とした臨床第2相試験を終了しました。この臨床試験のデータの詳細解析から、「癌微小環境」「癌免疫」「癌幹細胞」などに関わるCBP501の多様な作用がわかってきました。次相以降の開発にかかる提携パートナーの確保を目指した活動も積極的に展開しております。しかしながら、当事業年度中の提携パートナーの確保には至りませんでした。現在当社は、CBP501とシスプラチン・免疫チェックポイント阻害抗体の併用による新たな臨床試験(フェーズ1b試験)の開始に向けて準備を進めており、この経過および結果によって提携パートナー獲得の可能性を高める考えです。
2つ目の候補化合物CBS9106については、提携パートナー獲得活動の結果、平成26年12月、米国 Stemline Therapeutics, Inc. (以下「Stemline社」)とライセンス契約を締結いたしました。同社は平成27年12月にCBS9106の臨床試験開始申請(IND申請)を終え、現在は、進行固形癌患者を対象とし主に安全性の評価を目的とした臨床第1相試験を進めています。当社は、同社とのライセンス契約から除外されている日本・中国・台湾・韓国について、新たな提携パートナーの獲得を目指しています。
さらに当社は、これらの2つの候補化合物の後続パイプラインとなる新規候補化合物の探索・創出に向けて、当社独自の細胞表現型薬剤スクリーニング法による探索研究と、CBP501に関する新たな知見を基にした「次世代CBPプロジェクト」からの創出に取り組んでいます。この一環として当社は、東京大学医学部附属病院、ファルマバレープロジェクト(公益財団法人静岡県産業振興財団、静岡県立大学)、ならびに富士フイルム株式会社と、それぞれ共同研究を実施しています。
以上の結果、当事業年度の事業収益は、Stemline社とのライセンス契約に基づくテクニカルアドバイザリーフィー109,852千円(前事業年度事業収益105,243千円)を計上いたしました。また、当事業年度の研究開発費は、例年水準の基礎研究費支出にCBP501臨床試験準備費用ならびに次世代CBPプロジェクト関連の支出が加わり、前期比21,259千円減少の294,921千円となりました。販売費及び一般管理費は、前期比33,578千円増加の221,756千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前期比12,319千円増加し、516,678千円となりました。また、固定資産の減損処理に伴い特別損失17,595千円を計上いたしました。この結果、営業損失は406,825千円(前事業年度営業損失399,115千円)、経常損失は400,652千円(前事業年度経常損失413,739千円)、当期純損失は419,498千円(前事業年度当期純損失414,989千円)となりました。
なお、当社は医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(2)キャッシュ・フロー
当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、Stemline社とのライセンス契約に基づくテクニカルアドバイザリーフィーを受領した一方で、日常的な研究費ならびに販売費及び一般管理費の支出に加えCBP501臨床試験準備費用ならびに次世代CBPプロジェクト関連の支出等により、313,109千円の減少(前事業年度417,259千円の減少)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、300千円の減少(前事業年度13,390千円の減少)となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による収入により、380,828千円の増加(前事業年度375,152千円の増加)となりました。
これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額6,840千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ74,258千円増加し、889,368千円となりました。
(1)生産実績
当社は研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
(2)受注状況
当社は受注生産を行っておりませんので、受注状況の記載はしておりません。
(3)販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日) |
前期比(%) |
|
医薬品事業(千円) |
109,852 |
104.4 |
|
合計(千円) |
109,852 |
104.4 |
(注)1.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 平成27年7月1日 至 平成28年6月30日) |
当事業年度 (自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
Stemline Therapeutics, Inc. |
105,243 |
100.0 |
109,852 |
100.0 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(1) 経営方針と経営環境
当社は、大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なることに着目した強固なアプローチに基づき、独自の創薬エンジンを基に実施することにより、技術とプロダクトの両方を自社で創出する「創薬企業」として、付加価値の獲得を目指すビジネスモデルを志向しております。
医薬品市場においては、これまで医薬品市場の成長を牽引してきた日米欧三極の各国において医療費抑制策が強化されており、新興国市場の拡大や後発品の普及等、今後は医薬品市場にも変化が生じることが予想されております。こうした中で、臨床上の治療満足度に改善の余地がみられる癌領域は、引き続き新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取組んでいます。
当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界の癌領域の市場のニーズに合致した抗癌剤を開発することを目指しております。当社の属する抗癌剤開発の領域では近年、開発競争の中心が免疫チェックポイント阻害抗体に移行しています。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多用な試みがなされています。そのひとつは併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。
当社は、これまでに実施した臨床試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効が増強される知見を獲得しました。これを踏まえ、当面のCBP501開発の主軸を当該併用に置く方針です。
なお、文中の将来に関する記載は本書提出日現在において当社が判断したものであります。当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っております。
(2) 当面の対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況
① 事業活動において対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況
(a) CBP501の臨床試験推進と提携パートナーの獲得
後続化合物で構成されるパイプライン戦略などにより開発リスクの分散や低減は図っているものの、CBP501は当社の将来の事業計画において最初の上市品と想定している化合物であり、この開発の成否が当社事業計画の実現の鍵を握っていると言えます。失敗・遅延のリスクを最小限に抑え、かつ、最も早期に適切な適応によるNDA承認を受け、CBP501の上市を実現することが、当社の事業活動において最も重要な課題です。
当社は、平成19年3月に武田薬品と締結した共同事業化契約に基づき、CBP501の臨床試験を実施してきましたが、平成22年6月にこの提携を解消しました。その後は、自社の100%負担で臨床第2相試験の完了まで進めています。
将来の臨床開発を力強く推進するためには、可能な限り早期に新たな提携パートナーを獲得してリスクの最小化と開発の加速を図る必要があり、現在当社はこれを最重要課題として取り組んでいます。
現在、抗癌剤開発競争の中心的存在は免疫チェックポイント阻害抗体です。この薬剤は画期的な薬効を発揮する一方で、恩恵を受ける患者さんの比率が小さいことから、これを拡大するための多用な試みがなされています。そのひとつは併用であると目されており、各社がさまざまな併用の組み合わせによる臨床試験を繰り広げています。
当社は、これまでに実施した悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする臨床第2相試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用することによって薬効を増強するデータを獲得し、現在、当該併用による臨床試験(フェーズ1b試験)の準備を進めています。この試験の経過および結果を踏まえた活動により、新たな提携パートナー獲得の可能性を高める考えです。
(b) CBS9106の臨床試験推進
可逆的XPO1阻害剤である後続化合物CBS9106については、前臨床試験(許認可当局の定めた基準に準拠した非臨床試験)を終了した段階で実施した提携パートナー獲得活動の結果、平成26年12月、米国Stemline社との間で、同化合物の開発・製造・商業化にかかる全世界(日本および中国・台湾・韓国を除きます)における独占的権利を供与するライセンス契約を締結しました。
現在当社は、Stemline社が進める臨床試験の支援を実施する傍ら、日本・中国・台湾・韓国地域における提携パートナー獲得を図っています。
(c) 創薬エンジンの改良・充実と新規化合物パイプライン獲得
当社のような創薬企業にとって、新規の開発候補化合物パイプラインを継続的に創出・獲得し候補化合物の最適化を実施する創薬エンジンは競争力の源泉であり、その改良と充実は将来の継続的な成長のために必須のものであります。
当社ではこれまで、正常細胞と癌細胞の細胞分裂過程の違いに着目した独自の細胞表現型スクリーニングを中軸とする創薬エンジンから、臨床開発段階の抗癌剤候補化合物CBP501、CBS9106を創出してきました。
これら化合物の臨床試験進捗や提携獲得により、当社の創薬エンジンは、外部第三者の評価を経てコンセプトの確立を図ることができたと考えています。
また最近では、CBP501臨床試験データから得られた知見に基づき、創業以来の細胞表現型スクリーニングとは別に、「癌免疫」「癌幹細胞」など個別の作用に着目した候補化合物創出を開始しました。
これらの取り組みによって当社は、将来的な継続性ある競争力の強化と企業価値の最大化を図っていきます。
② 経営基盤において対処すべき課題と対応方針・具体的な取組状況
(開発戦略推進のための資金調達)
当社は、CBP501に関して、これまでに実施した悪性胸膜中皮腫および非小細胞肺癌を対象とする臨床第2相試験結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見に基づき、CBP501とシスプラチンを免疫チェックポイント阻害抗体と併用する新たな臨床試験(フェーズ1b試験)の準備を進めています。
一方、当社のような創薬企業は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは第8期から第18期までマイナスを計上しております。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を889,368千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有しておりません。
この現状を踏まえて当社は、それぞれの開発プロジェクトの進展および開発ポートフォリオの拡充に伴い増加する資金需要に対応するため、さらには抗癌剤の開発体制の強化のため、プロジェクト毎に製薬企業との戦略提携の実現に向けた活動を展開しております。また、必要に応じて適切な時期に新株発行等による資金調達を実施してまいります。
平成27年6月には、臨床試験費用の調達を目標として行使価額修正条項付き第10回新株予約権の発行を決議しました。
以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、当社として必ずしも重要なリスクとは考えていない事項についても、投資判断の上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。
当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の事項および本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクの全部を網羅したものではないことにご留意いただく必要があります。
なお、文中の将来に関する記載は本書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 創薬事業全般に関するリスク
当社は、自社創出の候補化合物群を医薬品として開発する事業を主業務としております。
医薬品の研究開発の分野は、巨大製薬企業をはじめとする多数の強力な競合が存在し、さらに当社を含むいわゆる創薬ベンチャー企業が技術革新の質とスピードを競い合う業界であります。また、開発から製造および販売に至る過程では、多くの規制に従って、長期間にわたり多額の資金を投入して事業活動を推進する必要があります。その将来性は不確実性を伴うものであり、当社の現在および将来における事業についてもこのようなリスクが附随しております。
(a) 医薬品開発の不確実性について
製品上市に至る医薬品開発の過程は長期かつ多額の費用を要するもので、開発が成功する確率は決して高くなく、開発のいずれの段階においても中止や遅延の判断をすることは稀ではありません。医薬品開発においては、様々な開発過程を段階的に進めていく必要があり、それぞれの段階において、開発続行の可否が判断されます。一般的に、その開発途上で中止の決定を行うことは稀なことではなく、開発が順調に進み製品化される確率は低いものとされております。
このリスクを低減・分散するため、一般には開発パイプラインに医薬品候補化合物を複数保有し、かつ、それぞれの候補化合物にバックアップ化合物を保有することによって、ひとつの候補化合物の開発において何らかの障害が発生した場合の対応策とすることが行われています。
当社におきましては、CBP501・CBS9106の互いに独立した2つの候補化合物を開発パイプラインに持ち、それぞれについてバックアップ化合物を保有することによって、開発過程において何らかの障害が発生した場合の事業遂行上のロスを最小限に留めるよう努めております。
しかしながら、当社のような規模の創薬企業にとって、ひとつの医薬品候補化合物が開発から脱落することはきわめて大きな影響があります。また、バックアップの類似化合物といえども医薬品開発上は新規の化合物として取り扱われることから、当該化合物の開発には遅延が生じることとなります。障害発生までに獲得した類似化合物での知見を活用することにより遅延の幅や遅延に伴う追加費用を縮小できる可能性はあるものの、研究開発に当初予想以上の期間および費用がかかることは否めず、その場合には当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(b) 将来収益の不確実性について
当社が開発を進めている製品の販売から収益を得るには、当社が単独または第三者と共同で、市場性のある医薬品の開発、許認可当局からの承認、製造および販売のすべての段階において成功を収めることが必要であります。当社は、これらの活動において成功しない可能性があり、また、成功したとしても、当社の事業活動を継続するために必要な採算性を確保する十分な収益を得ることができない可能性もあります。
当社は現在、臨床試験段階の候補化合物2品目を有し、これらの開発を推進し製品上市に至ることによって製品売上高またはロイヤルティ等による事業収益を獲得するべく事業活動を行っております。しかしながら、現時点において製品販売に関する売上高はなく、現実に製品として上市するまでには相当の期間を要すると予想され、また、現実に製品として上市される保証はありません。
なお、当社は、現時点で想定している適応疾患の選定や提携手法・マーケティング手法等について、既承認の抗癌剤の市場規模やマーケティング実績等をもとに十分に将来の採算性を見込めるものと判断しておりますが、万一この判断が誤っていた場合、あるいはこの判断の基礎となる状況に変化が発生し当社がその変化に迅速に対応できなかった場合には、当社の財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
(c) 遵守すべき法的規制等および医療保険制度等の不確実性について
当社の事業計画は、薬事法をはじめとする現行の法的規制および医療保険制度、それらに基づく医薬品の価格設定動向等を前提としております。
しかしながら、当社が開発を進めている製品が現実に製品として上市されるまでには相当の期間を要し、その間これらの規制や制度・価格設定動向等が変動しない保証はありません。もしこれらに大きな変動が発生した場合には、当社の計画する経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(d) 潜在的な競合について
当社の潜在的な競合相手は、主要な製薬企業、バイオ関連企業、大学、その他の研究機関等多岐にわたります。それら競合相手の中には、技術力、マーケティング力、財務状況等について当社と比較して優位にある企業が多数あり、当社開発品と競合する医薬品について、有効性の高い製品を効率よく生産および販売する可能性があります。
したがって、許認可当局によって当社の製品候補の販売承認が得られた場合であっても、これら競合相手との競争次第で、当社の計画する経営成績に影響をきたす可能性があります。
(e) 賠償問題発生リスクについて
医薬品の臨床試験を実施する際には、薬剤による副作用などに伴う賠償問題が発生するリスクが伴います。これに関し当社は、必要と認める損害保険への加入などによって、このような事態が発生した場合の財政的負担を最小限にするべく対応しております。しかしながら、賠償額が当該保険により補償される範囲を超える可能性は否定できず、その場合には財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
また、医薬品の開発および製造には、製造物責任賠償のリスクが内在します。当社は将来、開発したいずれかの医薬品が健康被害を引き起こし、または臨床試験、製造、営業もしくは販売において不適当な点が発見された場合には、製造物責任を負い、当社の業務および経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償請求がなされることによるイメージ低下により、当社および当社の医薬品に対する信頼が損なわれ、当社の事業に影響を与える可能性があります。
② 当社事業遂行上のリスク
(a) 提携パートナーの確保について
当社のような創薬ベンチャー企業が基礎研究・臨床開発・製造・上市・販売および上市後のフォローアップ等をすべて単独で行うことは困難であることから、開発期間中においては製薬企業等との間で適切な提携関係を構築し、開発費の多くを提携先製薬企業等が負担する一方で、アップフロント収入・マイルストーン収入等によって基礎的な収支を賄い、将来の製品上市後においてロイヤルティ収入等により企業価値の最大化を図るのが、一般的な戦略とされています。
当社は、最先行化合物CBP501に関し、平成22年6月に武田薬品工業株式会社との共同事業化契約を解消し、以来現在に至るまで、提携パートナーを有しない状態で臨床開発をはじめとする事業活動を継続してまいりました。
CBP501の次相以降の臨床試験については、引続き提携パートナーの獲得を最優先としつつ、平成27年6月決議(同年7月発行)の新株予約権での調達資金による次相臨床試験の開始を計画しております。
しかしながら、新株予約権はその性質上、意図した資金の確実な調達を保証されているものではなく、調達の時期についても不確実性を伴います。このリスクが顕在化し、資金調達が大幅に遅れもしくはできなかった場合には、臨床試験スケジュールの遅延により当社の事業戦略や経営成績、財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は既にStemline社との提携を獲得している2つ目のパイプラインCBS9106をはじめ、今後創出される後続パイプラインについても逐次製薬企業等とのアライアンス活動を行い、事業リスクの分散に努めてまいりますが、その場合にも、当社のビジネスモデル上、限られた少数の提携企業との契約に依存した事業計画を有する状況は長期にわたって続くものと考えられます。
当社は、これらの提携契約については、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由により契約が終了した場合にも当社の経営成績に与える影響が軽減される条項を盛り込むよう努めておりますが、かかる条項をもってしても当社の経営成績に及ぼす影響を完全に回避することはできません。
(b) CBP501臨床試験データについて
当社は、これまでに実施した臨床第1相試験および臨床第2相試験等から、CBP501については医薬品開発を進めるうえで有望な有効性および安全性データが得られていると判断しております。また、CBP501の開発計画および当社の事業計画についても、当該判断に基づいて作成されております。
しかしながら、CBP501の有効性および安全性等が許認可当局に確認されNDA承認および上市に至るまでには、将来の臨床第3相試験等を経る必要があります。本剤に限らず一般的な医薬品開発に共通することですが、これら今後の臨床試験においては、有効性が確認されず、または重要な安全上の懸念事項が発生するなどの問題が生じる可能性があります。
こうした場合には、CBP501の開発計画の変更もしくは開発中止により、当社の事業計画の実現が困難となり、当社の財政状態や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(c) 開発パイプラインの拡充について
当社は、今後も新規医薬品候補化合物を自社で獲得・創出しパイプラインを拡充していくことを基本戦略としております。
この戦略を確実に推進するために当社は現在も、スクリーニング法の改良など、新規候補化合物の獲得・創出の可能性を高める努力を続けております。
しかしながら、当社のスクリーニング法によって現在すでに開発途中にあるもの以外の候補化合物を探索創出できる保証はありません。
今後の研究において新たな候補化合物が創出されず、または何らかの理由で当社のスクリーニング法による新規医薬品候補化合物の獲得・創出に支障が生じた場合には、当社の研究開発の基本戦略の変更を余儀なくされ、当社の事業戦略や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(d) 研究開発費の確保について
今後当社は、CBP501の次相臨床試験を実施する予定であり、研究開発費を継続的に計上する予定です。しかしながら、現在の開発品の上市等による収益確保に至るまでには一定の期間が必要であり、当面の間は、開発進捗に伴い損失を継続的に計上する予定です。特に、承認を目指した規模の大きい臨床試験を実施する際には、提携パートナーを確保し、受取研究開発費や契約一時金等の収入等により開発進捗に必要な研究開発資金を確保することにより、損失額を軽減することを検討しております。このため、当社が想定する時期に提携パートナーを確保できない場合には、自社負担可能な費用規模を超え、研究開発に遅れが生じ、当社の事業戦略や将来の経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
③ 会社組織に関するリスク
(a) 業歴が浅いことについて
当社は、平成12年1月に設立された、業歴の浅い企業であります。また当社は、事業領域をいわゆる創薬領域に特化した特異な企業であり、将来は当社が開発した抗癌剤上市により事業収益を計上し利益を確保する計画ですが、現時点までに製品売上による事業収益がありません。
今後、未だ経験していない事業上のトラブルが発生する可能性は否定できず、当社の業績に影響を及ぼすと考えられる様々な外部環境の変化について予想することは現状においては困難であると思われます。したがって、今後当社が事業計画に沿って成長を続けられるか等を予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績だけでは、不十分な面があると考えられます。
(b) 小規模組織であることについて
当社の人員は、平成29年6月30日現在、取締役(監査等委員を除く)3名、取締役(監査等委員)4名、従業員10名、派遣社員1名です。このうち管理部および経営企画室の人員は5名であり、内訳は常勤取締役2名、従業員3名です。
また、当社における研究開発は、当社の研究開発部門を中心に推進されております。平成29年6月30日現在、研究開発部門の人員は8名で、内訳は従業員7名、派遣社員1名です。
当社の研究開発活動は比較的少人数による体制を敷いておりますが、基礎研究から臨床試験に至るさまざまな研究開発段階における提携関係と業務受託企業の積極活用により、既存パイプラインの開発ならびに新規医薬品候補化合物の探索を推進しております。また、今後の既存パイプラインの開発推進および新規医薬品候補化合物のパイプライン化に伴い、さらなる研究開発人員の増加を計画しております。
しかしながら、何らかの理由により、提携関係または業務受託企業との関係が解消された場合や、計画どおりの人員の確保が出来ない場合、あるいは既存人員の流出が生じた場合には、当社の事業活動に支障が生じ、当社の財政状態や経営成績に影響が及ぶ可能性があります。
(c) 少数の事業推進者への依存について
当社の事業戦略を成し遂げるには、当社事業戦略を推進する各部門の責任者と研究開発員に強く依存するところがあります。今後も当社は優秀な人材の確保および社内教育に努めてまいりますが、人材の確保および社内人材の教育が計画どおりに進まない場合、ならびに人材の流出が生じた場合には、当社の事業戦略や研究開発の推進に支障をきたす可能性があります。
また、当社はこれまで、創業科学者であり当社の競争力の源泉となっている技術の創出者・発明者でもある河邊拓己を中心として基礎研究・研究開発をはじめとする事業の全般を推進してまいりました。河邊は現在も代表取締役社長として当社の意思決定および事業運営にあたって広範かつ中心的な役割を担っております。
当社は、少数の事業推進者に過度に依存しない体制を構築すべく経営組織の強化を図っておりますが、当面は河邊への依存度が高い状態で推移することが見込まれるため、何らかの理由により河邊が当社の業務を遂行するにあたって困難をきたした場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(d) 科学顧問会議(SAB)について
当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者による科学顧問会議(SAB)を組成しております。SABミーティングは、平成14年3月の発足以来概ね定期的に開催され、基礎研究から臨床開発に至る情報交換や議論を行っています。
今後も当社は優秀なSABメンバーの確保に努めてまいりますが、現在のメンバーとの間の契約が更新されないなど、何らかの理由によりメンバーの確保が困難となった場合またはメンバーの流出が生じた場合には、当社の研究開発の推進に何らかの支障をきたす可能性があります。
(e) 研究開発の主要部分に関するアウトソーシングについて
当社は、広く社外にも有能な専門家の参加を求め、これによる機動的な事業運営を図るため、以下に掲げる研究開発の主要な部分について、アウトソーシング契約に基づく外部委託に依存しております。
・化合物の最適化およびこれに関連する化合物合成業務
・前臨床試験および臨床試験に用いる、GMP(Good Manufacturing Practice:医薬品の製造設備およびその品質管理・製造管理に関する規則)に準拠した原薬製造業務
・臨床試験のコーディネート(CRO)
これらの契約につき、当社にとって不利な契約改訂が行われた場合または契約期間満了、解除、その他何らかの理由によりこれらの契約が終了した場合は、当社の研究開発の推進に支障をきたし、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(f) 自然災害について
当社は、事業活動の中心となる設備や人員が本社周辺に集中しており、地理的なリスク分散ができておりません。この地域において地震等の大規模な災害が発生した場合には、設備等の損壊、事業活動の停滞によって、当社の財政状態や経営成績は影響を受ける可能性があります。
④ 知的財産権に関するリスク
(a) 特許の状況について
当社の研究開発に関する特許は、すべて自社保有のものであります。その主要な特許は以下のとおりです。
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対象 |
発明の名称 |
所有者 |
国際公開番号 |
登録状況 |
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薬剤スクリーニング法 オリジナルペプチドTAT-S216 |
G2期細胞周期停止の阻害、及びDNA損傷剤に対する細胞感作のための組成物及び方法 |
当社 |
2001/021771 |
米国、欧州主要国(注)および日本において成立しております。 |
|
CBP501およびそのバックアップ化合物群 |
抗増殖活性を有し、そして/又は核酸損傷剤を増大するペプチド及びペプチド模倣物あるいは処置 |
当社 |
2003/059942 |
米国、欧州主要国および日本において成立しております。 |
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免疫調整活性、抗炎症活性、および抗ウイルス活性を有するペプチドおよびペプチド模倣物 |
当社 |
2004/112820 |
米国、日本において成立しております。 |
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抗癌治療の効力を推定するための感受性試験 |
当社 |
2005/014856 |
米国において成立しております。 |
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ペプチド及びペプチド模倣物の併用投与並びに癌患者の部分母集団に対する治療 |
当社 |
2014/207556 |
米国において成立しております。 |
|
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CBS9106をはじめとするCBS9100シリーズ |
DNA傷害を増強することによる抗癌活性をもつ化合物 |
当社 |
2009/031040 |
米国、欧州主要国および日本において成立しております。 |
(注)欧州主要国とは、欧州特許庁加盟国のうち、当社の特許戦略上有意義と判断し得る国を指します。具体的には、ドイツ、スイス、英国、フランス、ベルギー、イタリアなどです。
CBP501の最も主要な特許(物質特許)は、国際公開番号2003/059942であり、米国における有効期限は平成35年1月17日であります。なお、医薬品については特許延長制度が存在するため、上記期限が延長される可能性があります。また、平成27年10月に米国で成立したCBP501用途特許により、CBP501を含む化合物群が特許によって保護される実質的な期間が大きく延長される可能性があります。
出願中の各特許については、特許出願時に特許性等に関する十分な調査を行ってはおりますが、すべての特許出願について特許を受けられるとは限りません。当社の出願中の特許が成立しなかった場合、他社の競合品に対して特許権を行使することができず、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、当社事業領域を包含するバイオテクノロジー関連産業においては、日々熾烈な研究開発競争が繰り広げられており、当社の特許が成立し当社技術を保護できたとしても、当社の研究開発を超える優れた開発力により、当社の特許が淘汰または無力化されるおそれは常に存在しております。仮にそのような研究開発が他社によりなされた場合には、当社の事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、これらの特許が発行された場合にも、これらの権利を維持していくための費用が今後当社の負担になる可能性もあります。
なお、本項に記載した事項については、現在、これらの状況に支障もしくは支障の発生を懸念される事項は存在しておりません。
(b) 訴訟およびクレームについて
本書提出日現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟およびクレームが発生した事実はありません。
また、当社は、今後発生し得るこのような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては弁護士との相談や特許事務所を通じた特許調査を適宜実施しており、現時点において、当社事業が第三者の特許権等に抵触する可能性は低いものと認識しております。
しかしながら、当社のような研究開発型の企業にとって、差止請求、損害賠償請求、実施料請求等の知的財産権侵害問題の可能性を完全に排除することは困難であります。また、当社が第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、解決に時間および多大の費用を要する可能性があり、さらに、当社が第三者の特許権等を侵害していた場合、当該第三者から差止請求権や損害賠償請求権を行使されたり、高額な実施料を請求されたりすることにより、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(c) 特許の確保に関するリスクについて
当社が職務発明の発明者である役員・従業員等から特許を受ける権利を譲り受けた場合、当社は発明者に対して特許法第35条第3項に定める「相当の対価」を支払わなければなりません。これまでに対価の支払について発明者との間で問題が生じたことはありませんが、対価の相当性につき紛争が発生する可能性を将来にわたり完全に排除することはできません。紛争が生じた場合や、発明者に追加の対価を支払わなければならない場合には、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。
また、当社が過去に譲り受けた特許および出願特許について、当社または前保有者が第三者により使用権や担保権の主張を受ける可能性を完全に排除することはできず、かかる主張を受けた場合には、当社の事業戦略、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(d) 情報管理について
当社が研究もしくは開発している途上の知見、技術、ノウハウ等、重要な機密情報が流出した場合には、当社の事業戦略、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このリスクを低減するために当社は、役職員、SABメンバー、取引先等との間で、守秘義務等を定めた契約を締結するとともに、個別の事情に応じた情報開示を行うなど、厳重な情報管理に努めております。
しかしながら、役職員、SABメンバー、取引先等によりこれが遵守されなかった場合には、重要な機密情報が漏洩する可能性があり、かかる場合には当社の事業に影響を与える可能性があります。
⑤ 経営成績の推移について
(a) 過年度における業績推移について
当社の主要な経営指標等の推移は以下のとおりであります。
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回次 |
第14期 |
第15期 |
第16期 |
第17期 |
第18期 |
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決算年月 |
平成25年6月 |
平成26年6月 |
平成27年6月 |
平成28年6月 |
平成29年6月 |
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事業収益(千円) |
- |
- |
60,958 |
105,243 |
109,852 |
|
営業利益(千円) |
△651,875 |
△483,814 |
△283,542 |
△399,115 |
△406,825 |
|
経常利益(千円) |
△641,857 |
△480,229 |
△265,714 |
△413,739 |
△400,652 |
当社の現在までの事業収益は、過去に受託した委託研究の対価ならびに提携契約に基づく収益のみであり、当社が開発した抗癌剤の製品売上による事業収益は未だ計上しておりません。
また、現在まで、抗癌剤開発のための研究開発活動に伴う費用計上が収益を上回り、営業損失、経常損失を計上する状態が続いています。
このため、過年度の財務経営指標は期間業績比較を行うための材料としては不十分であると考えられ、今後の当社業績を予測する材料としては不十分な面があります。
(b) マイナスの繰越利益剰余金を計上していることについて
当社は研究開発型ベンチャー企業であり、当社が開発した抗癌剤が上市され製品売上高を計上するようになるまでの期間は、多額の製品開発費用が先行して計上されます。そのため、特別利益を計上した第11期を除き、第1期から第18期まで連続して当期純損失を計上したことにより、第18期末において△7,451,693千円の繰越利益剰余金を計上しております。
当社は、中長期事業計画に基づき、将来の利益拡大を目指しております。しかしながら、上記のとおり設立以来損益は赤字基調が続いており、将来において事業の進展が遅れ、計画どおりの利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。
(c) 資金繰りについて
当社のような創薬企業の財務上の特徴は、最初の製品が上市するまでは安定的な収益源がなく、候補化合物の研究開発費用の負担により、長期に亘って先行投資の期間が続くことです。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。当社も創業以来継続的に営業損失を計上しており、営業活動によるキャッシュ・フローは第8期から第18期までマイナスを計上しております。また、当社は、当事業年度末において現金及び預金を889,368千円保有しているものの、現時点において安定的な収益源を有しておりません。
このため、先行投資期間においては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針ですが、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合には、当社事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。また、新株発行による資金調達が実施された場合には、当社の発行済株式数が増加することにより、1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(d) 税務上の繰越欠損金について
当社には現在、税務上の繰越欠損金が存在しております。そのため、現在は通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられておらず、今後も数期間はこの状態が続くものと想定しております。
しかしながら将来、事業計画の進展から順調に当社業績が推移するなどして想定よりも早期に繰越欠損金が解消され、これによる課税所得の控除が受けられなくなった場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税および事業税が課せられることとなり、現在想定している当期純利益もしくは当期純損失およびキャッシュ・フローの計画に影響を与える可能性があります。
⑥ 為替変動リスクについて
当社が実施する海外での臨床試験においては、研究開発費等の支出に外貨建取引が含まれる場合があります。その場合、当社は、外貨建取引の計画時と決済時の間の為替変動リスクを回避するために外貨建取引の支出計画に基づき外貨を事前購入するなどの方法でリスク回避を図る場合がありますが、この為替変動リスクを完全に回避できるとは限らず、この為替変動リスクが顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また為替変動に伴う当社保有外貨評価額の変動により、四半期会計期間および事業年度において為替差損益を計上し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性もあります。
⑦ 配当政策について
当社の事業ステージは、現時点では研究開発における先行投資の段階にあるため、当社は創業以来、株主に対する利益配当および剰余金配当を実施しておりません。また、今後も当面は、企業体質の強化および研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。
ただし、株主への利益還元については、当社の重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績および財政状態を勘案しつつ剰余金配当を検討する所存であります。
⑧ 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について
当社は、当社取締役(監査等委員を含む)、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づき新株予約権を取締役(監査等委員を含む)および従業員に対して付与しております。
また、当社は平成27年6月22日開催の取締役会において、資金調達を目的とする、第三者割当による行使価額修正条項付き第10回新株予約権を発行しております。
当事業年度末現在における当社の発行済株式総数は5,494,600株ですが、これに対して、上記の新株予約権が将来行使された場合の新株(以下「潜在株式」)発行予定株数の合計は450,500株と、発行済株式総数の8.2%であります。
今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株あたりの株式価値は希薄化する可能性があります。
⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等について
当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有しておりません。
現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501については臨床第2相試験終了、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているもののこれによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っておりません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当該状況を解消するべく、当社は、CBP501臨床第2相試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、ならびに新たに開始する免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(フェーズ1b試験)の進行を踏まえた戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。あわせてCBS9106に関しても、Stemline社とのライセンス契約において除外地域となっている日本・中国・台湾・韓国における追加アライアンス活動を進めてまいります。
ライセンス契約
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相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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Stemline Therapeutics, Inc. |
米国 |
CBS9106 |
平成26年 |
CBS9106の開発・製造・商業化にかかる全世界(日本および中国・台湾・韓国を除く)における独占的権利の供与 |
契約期間の定めなし |
(注)上記のライセンス契約においては、契約締結日付で契約一時金を、以降は技術アドバイザリーフィーを、それぞれ当社で事業収益に計上しております。
当社は、「大部分の癌細胞の細胞周期(細胞分裂に至る過程)が正常細胞と異なること」に着目する独特の創薬アプローチで、抗癌剤の研究開発活動を行っております。
当社は医薬品事業の単一セグメントであり、当事業年度における研究開発費は294,921千円であります。
(1)研究開発体制
基礎研究部門については沼津本社を拠点としております。
探索研究については、当社独自の薬剤スクリーニング法による探索を行っております。この探索を効率的に推進するために、当社スクリーニング法の改良に努め、新規医薬品候補化合物の創出・獲得の可能性を高める努力を行っております。
最適化段階においては、最適化の過程で必要となる新規候補化合物の合成および最適化作業の一部を、この領域において経験の豊富なアウトソーシング先に委託しております。
臨床開発においては、抗癌剤の開発経験が豊富な大手グローバルCROとの緊密な提携関係により、柔軟な臨床試験運営を可能としております。
また、当社は、社長の諮問機関として、抗癌剤の臨床開発にかかる経験を豊富に持つなど当社の研究開発への貢献が期待できる科学者からなる科学顧問会議(SAB)を組成しております。SABのチェアマンであるダニエル・D・ヴァンホフ教授は、全米癌学会会長・米国癌治療学会会長を歴任した著名な癌臨床研究者で、これまで20年以上にわたり200種類以上の抗癌剤の臨床試験に関わっています。当社は、同氏を議長とするSABミーティングを、平成14年3月の発足以来年2回定期的に開催し、研究開発全般に関する情報交換や議論を行っています。
平成29年6月30日現在、当社の研究開発人員数は8名と、少人数による体制を敷いておりますが、上記の連携関係を十分に活用することにより、既存パイプラインの研究開発推進と新規開発候補化合物の獲得を効率的かつ積極的に推進しております。
(2)薬剤スクリーニング法について
創薬事業において基本技術となるのは、当該領域の特性に合致した効率の良い薬剤候補化合物のスクリーニング法およびその評価システムです。当社では設立以来、生細胞の挙動に着目した独自のスクリーニング法の構築と改良に注力してまいりました。
現在当社が保有するすべての抗癌剤候補化合物は、この技術により自社で探索し、最適化を進めた結果として創出・獲得されたものです。
当社は、現在も、この領域における将来にわたる競争優位確保を目的として、このスクリーニング法のさらなる改良に取り組んでおります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりましては、決算日における資産および負債、会計期間における収益および費用について会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しては、過去の実績、適切な仮定に基づいて合理的に計算しておりますが、実際の結果と相違する場合があります。
(2)当事業年度の財政状態の分析
当事業年度末の総資産は993,281千円となり、前期比26,008千円の増加となりました。純資産の部においては当期純損失の計上により繰越利益剰余金が419,498千円減少し、資産の部においては、現金及び預金が74,258千円増加しております。
(3)当事業年度の経営成績の分析
当事業年度においては、CBS9106にかかる提携契約に基づき、事業収益109,852千円を計上しました。当社の主要プロダクトであるCBP501についても同様に製薬企業等との提携獲得活動により収益確保に努めてまいりましたが、当事業年度内の契約締結には至りませんでした。また、研究開発費については、例年水準の基礎研究費支出にCBP501臨床試験準備費用ならびに次世代CBPプロジェクト関連の支出が加わり、前期比21,259千円減少の294,921千円となりました。販売費及び一般管理費は、前期比33,578千円増加の221,756千円となり、研究開発費と合わせた事業費用は、前期比12,319千円増加し、516,678千円となりました。また、固定資産の減損処理に伴い特別損失17,595千円を計上いたしました。この結果、営業損失は前期比7,709千円損失増の406,825千円、経常損失は前期比13,087千円損失減の400,652千円、当期純損失は前期比4,508千円損失増の419,498千円となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗癌剤の上市後において製品売上高の計上により利益を確保する計画ですが、それまでの先行投資期間においては抗癌剤の研究開発費負担等から損失を計上する予定です。なお、先行投資期間においては、主に提携製薬会社からの収入が損益改善に寄与する可能性があります。
CBP501については、現在、提携獲得活動を積極的に進めております。また、CBS9106についても、既存の提携契約において範囲外となっている日本・中国・台湾・韓国を対象とする提携獲得活動を実施しております。それらの結果として新たに提携パートナーが確保された場合には、契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の収入を受取る可能性があり、当面は開発の進捗状況および当該提携獲得活動の状況が当社の損益に大きな影響を与えます。
(5)資本の財源および資金の流動性についての分析
当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗癌剤の上市後に製品販売による収入を計上する計画ですが、それまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画です。
先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針です。
当事業年度の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、CBP501臨床試験準備費用ならびに次世代CBPプロジェクト関連の支出等により、313,109千円の減少(前事業年度417,259千円の減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、300千円の減少(前事業年度13,390千円の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による収入により、380,828千円の増加(前事業年度375,152千円の増加)となりました。
これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額6,840千円を計上した結果、当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ74,258千円増加し、889,368千円となりました。
(6)継続企業の前提に関する重要事象等を改善するための対応策について
当社は、「4 事業等のリスク」に記載した、継続企業の前提に関する重要事象等の存在する当該状況を解消すべく、CBP501に関する戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。
また、「(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施することも検討してまいります。