第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第3四半期累計期間において、下記「(1) 継続企業の前提に関する重要事象等について」および「(2) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について」の他に、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更があった事項はありません。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

(1) 継続企業の前提に関する重要事象等について

 当社が手がける創薬事業は、医薬品として承認された製品の売上による事業収益の計上までに多額の資金と長い時間を要する等の特色があります。当社は創業以来現時点まで製品の売上による事業収益を計上しておらず、また、現時点において、医薬品として承認された製品、承認が確実となっている開発品のいずれも有していません。

 現在開発を進めている医薬品候補化合物は、CBP501についてはフェーズ1b試験の終盤、CBS9106については臨床第1相試験の段階にあります。これらの候補化合物の開発が今後順調に進捗し医薬品として承認され事業収益に寄与する保証はなく、また、順調に進捗した場合にはさらに多額の資金を投入して開発を進める必要があり、この資金の源泉となる製薬企業等との提携等が必要となるところ、当社は現時点において、CBP501については製薬企業等との提携関係を有しておらず、CBS9106については提携パートナーを有しているものの、これによる収益は当社の事業費用の全額を賄うには至っていません。この状況により当社には、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しています。

 当該状況を解消すべく、当社は、過去に実施したCBP501臨床試験の結果ならびにそのデータの詳細な解析によって得られた知見、免疫チェックポイント阻害抗体の併用による臨床試験(フェーズ1b試験)で得られた有望な結果を踏まえ、次相以降の臨床試験への進行と戦略提携の成立を最重要課題として収益の獲得に努めます。CBS9106に関しては、ライセンス先である米国 Stemline Therapeutics, Inc.(以下「Stemline社」)の臨床試験推進への協力によって所定のマイルストーン収入等の早期実現を図っていきます。併せて、後続のパイプラインに関しても、早期アライアンスの獲得活動を進めていきます。

 また、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (6)資本の財源および資金の流動性についての分析」に記載のとおり、必要に応じて資金調達等を実施することも検討していきます。

 

(2) 潜在株式の行使による当社株式価値の希薄化について

 当社は、当社取締役、従業員および社外協力者等の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を導入しており、会社法に基づき、株主総会の決議において承認を受け、新株予約権を取締役および従業員に対して付与しています。

 また、当社は、資金調達を目的として、転換社債型新株予約権付社債および新株予約権を発行しています。

 その総量は、当第3四半期会計期間末現在における当社の発行済株式総数の26.3%です。

 今後についても優秀な人材確保のために、同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。また、新株予約権を活用した資金調達を実施する可能性もあります。このため、既に付与された、もしくは今後付与される当該新株予約権の行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 なお、当社は、単一セグメント(「医薬品」)により構成されているため、セグメントごとの記載はしていません。

 

(1) 経営成績および財政状態

 当社の属する抗癌剤開発の領域は、臨床上の治療満足度が未だ低くアンメットニーズが大きいことなどから、世界の製薬企業や当社同様のベンチャー企業(創薬ベンチャー)が、それぞれの強み・特色を活かした画期的新薬の開発を目指し、研究開発に日々しのぎを削っています。

 この中で当社は、独自の創薬アプローチを活かした基礎研究および臨床開発に取り組みました。

 当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(癌を攻撃するT細胞の乏しい状態)な癌を免疫ホット(T細胞が存在し癌を攻撃できる状態)な癌にすることで抗癌活性を示す、独特の抗癌剤(免疫着火剤)です。米国FDAの規制下で、免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床試験(フェーズ1b試験)を実施しています。同臨床試験は現在、後半部分である拡大相(対象:膵臓癌・直腸大腸癌)の投与を終えた終盤段階にあり、第2相臨床試験の準備を進めています。

 また、2つ目の候補化合物CBS9106は、同じスクリーニングから獲得された、可逆的XPO1阻害剤です。当社は同化合物について、開発・製造・商業化にかかる全世界における独占的権利を供与するライセンス契約をStemline社との間で締結しています。これに伴い当社は、当第3四半期累計期間において、技術アドバイザリーフィー82,812千円を事業収益として計上しています。

 さらに当社は、これら2つの候補化合物の開発を推進すると共に、これらの開発の過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。

 以上の結果、当第3四半期累計期間の研究開発費は、前年同四半期比10,839千円増加の314,433千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期比7,594千円減少の170,045千円となりました。研究開発費と合わせた事業費用は、前年同四半期比3,245千円増加の484,478千円となりました。

 この結果、事業収益は前年同四半期比237千円増加の82,812千円、営業損失は前年同四半期比3,007千円損失増の401,665千円、経常損失は前年同四半期比2,096千円損失増の406,266千円となりました。特別利益として保険差益20,620千円他を計上した結果、四半期純損失は、前年同四半期比23,231千円損失減の381,874千円となりました。

 

 当社の財政状態は次のとおりです。当第3四半期会計期間末の総資産は1,211,372千円となり、前事業年度末比51,911千円の減少となりました。資産の部においては、主として研究開発活動の進展によるキャッシュ減少が財務活動によるキャッシュ増加を上回ったことにより流動資産の現金及び預金が109,335千円減少しました。Stemline社に対する売掛金が27,187千円減少する一方、負債の部においては流動負債の未払金が85,483千円減少しました。また、固定負債に転換社債型新株予約権付社債749,994千円を計上しています。純資産の部においては、四半期純損失の計上により利益剰余金が381,874千円減少しました。

 

(2) 事業上および財務上の対処すべき課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(3) 研究開発活動

 当社は、CBP501およびCBS9106という複数の臨床開発段階の抗癌剤候補化合物を創出した当社の創薬アプローチ、これらの臨床開発の過程で得られた知見とノウハウおよび癌免疫に集中した基礎研究の蓄積をもとに今後複数の抗癌剤を創出し得ると考えており、これに基づいた抗癌剤の研究開発活動を行っています。

 CBP501に関しては、免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床試験(フェーズ1b試験拡大相)を実施し、これと並行して第2相相臨床試験の準備を進めています。

 さらに、中長期的な企業価値の向上を見据え、CBP501・CBS9106に続く次世代化合物パイプラインとして、CBP-A08、IDO/TDO阻害剤等についても、財務上の制約等を勘案しつつ、研究開発を進めています。

 この結果、当第3四半期累計期間における研究開発費は314,433千円で、前年同四半期比10,839千円の増加となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗癌剤の上市後において製品売上高の計上により利益を確保する計画ですが、それまでの先行投資期間においては抗癌剤の研究開発費負担等から損失を計上する予定です。なお、先行投資期間においては、主に提携製薬会社からの収入が損益改善に寄与する可能性があります。

 CBP501については、現在アライアンス活動を積極的に進めています。その結果として新規提携パートナーが確保された場合には、契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の収入を受取る可能性があり、当面は開発の進捗状況および当該アライアンス活動の状況が当社の損益に大きな影響を与えます。

 また、CBS9106については開発・製造・商業化にかかる全世界における独占的権利をStemline社に供与するライセンス契約を締結していますが、このライセンス契約が何らかの事由で終了した場合、当社の損益に大きな影響を与えます。

 

(5) 経営戦略の現状と見通し

 当社は長期的には、当社が創出した抗癌剤の製品売上高計上により利益を確保する計画ですが、その実現に向けた開発資金の確保や開発体制の強化のために、当面は製薬企業等との戦略提携の実現を目指しています。

 CBP501の開発に関しては現在フェーズ1b試験拡大相の投与を終えた終盤段階にあり、製薬企業等との戦略提携を獲得するためのアライアンス活動を積極的に展開しています。

 また、前臨床試験以前の段階にあるCBP-A08、CBP-Bシリーズ、IDO/TDO阻害剤等の次世代パイプラインについても、早期アライアンス活動を行っています。

 さらに当社は、2019年10月10日付でアドバンテッジアドバイザーズ株式会社と以下の内容の事業提携契約を締結し、同社の支援により、当社の企業価値向上と持続的な成長を図っています。

・製薬企業等との提携(ライセンス契約、共同研究等)獲得支援およびこれに関する市場調査・事例研究報告等の協力

・投資家リレーション支援

・当社の持続的成長にかかる組織体制強化、プロジェクトマネジメント支援

 

(6) 資本の財源および資金の流動性についての分析

 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗癌剤の上市後に製品販売による収入を計上する計画ですが、それまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスを計上する計画です。

 先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについては、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めるほか、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填する方針です。

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っています。医薬品市場においては、臨床上の治療満足度に改善の余地が大きい癌領域は新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取り組んでいます。

 この癌領域においては近年、免疫チェックポイント阻害抗体の上市実現に伴い、パラダイムシフトとも言うべき市場ニーズの変化が起きています。免疫系抗癌剤との併用において重要な役割を果たす可能性のある当社の候補化合物CBP501や、癌免疫に関する基礎研究成果を蓄積してきた当社にとって、このニーズ変化は千載一遇の機会であると当社の経営陣は判断しています。

 当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界の癌領域の市場のニーズに合致した抗癌剤を開発することを目指します。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。