第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「持続可能社会=発展すればするほど自然資本と人間関係資本が増加する社会」の実現を基本理念とし、経営の効率性、健全性及び透明性を確保した上で、株主・顧客・取引先・従業員・地域社会など全てのステークホルダーとの関係性及び利益を重視したステークホルダー経営を目指しております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、成長性・収益性については売上高、営業利益及び営業利益率、経常利益及び経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2022年11月に2030年の事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」を発表し、2030年までに「社会デザイン事業」の確立を目指しております。

その2030年までのロードマップを2024年2月に変更、再設計しました。2024~2025年を基盤整備期と新たに位置づけ、社会デザイン事業の中核サービスであるCyano Projectを中心に事業や商材間のシナジーを創出する業態改革を完了させ、収益安定化を目指します。2026年からの市場展開期ではCo-Creation CityによってMEGURU STATION®の展開を進め、2028年からの市場拡大期でMEGURU PLATFORM(※1)の稼働を目指します。2030年には、MEGURU PLATFORMによる事業を確立させ、エコシステム社会の実現を目指します。

 

基盤整備期には、以下5つを重要戦略として取り組みます。

商品戦略

持続可能な企業経営・自治体運営に向けた移行戦略支援のソリューション強化

〇企業向けソリューション

⇒Cyano Projectの商品性向上

〇自治体向けソリューション

⇒Co-Creation City & MEGURU COMPLEX SYSTEM開発

営業戦略

マーケティングの進化

〇啓蒙・広報・営業・販促を一気通貫でマネジメントする新部署設置

〇「売らずとも売れるバリューマーケティングの型」を構築

組織戦略

イノベーションのジレンマからの脱却・社員のマインドシフトを推進する組織改革

〇業績連動を強化した報酬制度

〇属人化した中間管理職のマネジメントを廃止社員の自己組織化を促し、リーダーシップによるエコシステム型マネジメントへ移行

〇業績と各従業員の業務の関連性を可視化する価値創出ツリーシステム確立

会計戦略

管理会計の仕組み完成

〇徹底した予算と原価管理による収益性(営業利益率)の向上

関係性戦略

パートナーシップの更なる強化

〇三井住友ファイナンス&リースグループとの合弁会社であるサーキュラーリンクス社の設立

〇インドセメント社等との連携によるインドネシア市場開拓

〇自治体・企業・官公庁の共通プラットフォームの発起参画

 

また、2030年までの重要取り組みは以下となります。

■2024~2025年度

〇バリューマーケティング確立・Cyano Project提供拡大

〇半導体産業の新規投資増加によるシリコン再資源化の伸長

〇マレーシアにおける社会デザイン事業の展開

〇サーキュラーリンクス社における新事業開発

 

■2026年度以降

〇Cyano Projectが業績向上を牽引

〇サーキュラーリンクス社のサービス伸長

〇インドネシアにおける再資源化事業開始

〇MEGURU COMPLEX導入 ※2

〇MEGURU PLATFORM稼働開始

 

※詳細につきましては、当社webサイト(https://www.amita-hd.co.jp/ir/strategy.html)にて公表しておりますのでご参照ください。

 

※1…MEGURU PLATFORMは、生産と消費の好循環を実現する仕組みであり、互助共助コミュニティ型の資源回収ステーション「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」と、良質な資源と情報が集まるサーキュラーマテリアル製造所「MEGURU FACTORIES(めぐるファクトリーズ)」から構成されます。

※2…MEGURU COMPLEXは、可燃ごみを資源化する「バイオガス施設」「おむつリサイクル施設」「熱分解施設」の施設群で、焼却炉と埋立地のゼロ化を目指します。

(4) 経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

企業を取り巻く状況に目を向けますと、ロシアとウクライナの衝突が膠着状態であることに加え、中東での軍事衝突の先行きが見通せないなど国際情勢は一段と不安定であり、原材料調達の地政学リスクや原材料・資源価格の高騰といったグローバルサプライチェーンの不安定性の継続、米欧や中国を中心とする世界経済の減速影響の継続、異常気象や自然災害リスク、更には金融政策の転換や国内外で活発化する政治的な動きにも留意する必要があるなど、不透明な状況が続くものと予想されます。また、新たな技術として生成AIの急速な台頭により働き方や価値観が大きく変わる転換点にあるとも考えております。そうした中、日本政府が2050年カーボンニュートラルの実現に向けて2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指した活動として、2024年2月に脱炭素投資を促す「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」が日本政府から発行され(今後10年間で20兆円規模)、またGXを牽引する「GXリーグ」(※GXヘの挑戦を行い持続的な成長実現を目指す企業が同様の取り組みを行う企業群を官・学と共に協働する場)の活動が活発化してきているなど、国内外における脱炭素やサーキュラーエコノミーの潮流、投資家や企業、国・自治体のESG重視の流れは、今後加速していくと予想されます。経済産業省によると、サーキュラーエコノミー関連市場は世界全体で2030年に4.5兆ドル、2050年に25兆ドルまで拡大、日本国内では2020年に50兆円であった市場が2030年には80兆円、2050年には120兆円まで拡大すると予測しております。また海外においても、マレーシアやインドネシアを含むASEANでは、サーキュラーエコノミーの推進によって約4,200億ドルの市場が生まれると言われており、当社グループにとって追い風の時流と捉えております。

このような状況の中で、当社グループは「未来デザイン企業」として、2030年に向けた事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」の実現に向け、社会の持続性と関係性を向上する「社会デザイン事業」の確立に向けた商品開発・展開を引き続き推進してまいります。2024年は持続可能な企業経営・地域運営を支援するサービスの開発及び展開に引き続き注力すると共に、経営資本を獲得・増幅し続ける仕組み(インバウンドマーケティング)の構築と運用を推進してまいります。また、企業等との戦略的パートナーシップ及び共創事業構築の推進や、J-CEPのような共創型のコンソーシアム等を通じた市民・自治体・大学・官公庁等との連携も拡大することで、社会デザイン事業の展開に向けた基盤整備を進展させ、「エコシステム社会構想2030」の実現へとつなげていきたいと考えております。具体的には以下のとおりです。

企業経営の持続性を高め、循環型の事業創出・事業変革(=移行戦略)を支援する「Cyano Project」において、啓蒙・広報・営業・販売まで一貫したマーケティング施策の強化や、TNFD(自然リスクの情報開示)への対応を含めた商材や生産拠点の持続性向上を支援する「工場向け支援パッケージ」の開発・提供等の商品設計の再構築に引き続き取り組んでまいります。その際には、脱炭素経営への移行戦略支援を行うCodo Advisory株式会社、既存・新規の戦略的パートナーシップ、J-CEP等と連携することで提供価値の向上を図ってまいります。堅調な環境管理業務のICT・BPOサービスにおいては、三井住友ファイナンス&リース株式会社との連携等によるサービスの向上や新サービスの開発・提供等を図ってまいります。環境認証審査サービスにおいては、新規受注を拡大していくための組織体制の強化等を図ってまいります。海外事業においては、アジア・大洋州地域でのビジネス展開を加速するため、マレーシアに海外統括会社AMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.を2024年4月に設立し、マレーシアでの再資源化事業の拡充を推進していくと共に、インドネシアでの事業化検討の加速を含めて国内でのノウハウを活かした循環型社会の仕組みづくりに係る市場開拓を行ってまいります。

持続可能な調達・資源活用の総合ソリューションを提供するサーキュラーマテリアル事業においては、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブに寄与する石炭代替商品の提供拡大等の新たな循環資源の開発・提供、当社グループ間のシナジー創出によるマーケティングの強化、収益性・安全性の向上、労働力不足への対応に向けた生産機能の自動化・機械化への投資など、事業革新への動きを早めてまいります。また、半導体産業の回復を見越し、北九州循環資源製造所で準備を進めてきたシリコンスラリー廃液の新たな再資源化設備を夏頃に完成・稼働させてまいります。

エコシステム社会を実現するための社会基盤「MEGURU PLATFORM」の構築に関する活動としては、商品プロトタイプの構築・実証及び事業モデルの確立に引き続き注力いたします。中核機能である「MEGURU STATION®」を軸に、南三陸町で展開しているバイオガス施設などを含めたMEGURU COMPLEXによる展開促進や、消費動向やトレーサビリティを含む資源情報等を価値化するデジタル情報プラットフォームの構築等への積極投資を行ってまいります。また、2023年7月に採択された内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」において国家プロジェクトとしての高度な資源循環モデルの検証を継続いたします。こうした活動により、地域・企業・社会の課題を統合解決する「MEGURU PLATFORM」の構築を目指してまいります。

さらに「社会デザイン事業」を支える経営基盤として、企業文化の醸成(新しい目標管理手法の運用改善、週32時間就労への挑戦、Well-beingを高める環境整備等)や価値創出力を高める組織・人財開発、戦略的な資本施策、ステークホルダーとの関係強化・社会的認知度の向上等につながる施策など、良質な経営資源の増幅に向けた仕組みづくりに引き続き取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループは、「自然資本と人間関係資本の増加に資する事業のみを行う」ことを定款に掲げ、サステナビリティ基本方針に則り、「自然資本」、「人的資本」、「社会関係資本」という持続性を支える3つの資本の増幅に取り組んでいます。

 

(自然資本)

自然資本の増加を持続可能社会の必須条件とする当社グループは、事業を通じて自然資本の保全と増加に貢献しています。

 

(人的資本)

経営の重点取り組みの一つに「急激な時代変化の中でも新たな価値を創出できる人財の育成」があります。失敗を恐れない挑戦思考や自発的に学ぶ向上心を育み、仲間を増やす共感力、ビジョンを形にする構想・構築力等を養うため、教育制度の充実と企業文化の醸成に取り組んでいます。

 

(社会関係資本)

持続可能社会は当社グループのみでは実現できません。事業活動を通じて構築されるステークホルダーとの豊かな関係性や、そこからもたらされる良い影響を「社会関係資本」と捉え、その増加に努めています。また当社グループは、2022年3月に「ステークホルダー経営」を宣言しました。「社会全体の利益の総和を追求する経営」の実践を目指します。

 

(1) サステナビリティ全般

① ガバナンス

当社グループは、サステナビリティに関する重要事項について取締役会で審議・決議しています。また、当社グループは「社会が発展すればするほど、自然資本と人間関係資本が増加する、持続可能社会の実現」という基本理念のもと、代表取締役社長兼CIOOを委員長としたサステナビリティ推進委員会を適宜開催し、(1)「自然資本」、「人的資本」、「社会関係資本」という持続性を支える3つの資本の増幅への取組み、(2)自然資本の保全と増加への貢献、(3)温室効果ガス排出削減・カーボンニュートラルに向けた目標設定、具体的取組みの設定及び推進等の環境・社会課題の解決に向けた企業活動への取り組みを行っています。また、その内容は必要に応じて取締役会に報告しています。

サステナビリティ推進委員会で決定した方針・戦略の実効性を高めるため、当社グループ各社の実務担当者で構成されるプロジェクトチームを設置し、計画を遂行しています。

 

② リスク管理

当社グループは、当社グループの利益、社会的信用等の企業価値を毀損し企業に悪影響を及ぼすリスクをマネジメント対象リスクと位置づけ、これらのリスクを適切にマネジメントすることにより企業価値の維持・向上に努めています。

サステナビリティに関するリスクは企業の中長期的な成長に大きく影響を与えることから、リスクマネジメント委員会において識別、評価、及び管理を行っています。

 

(2) 気候変動に関する事項

① ガバナンス

当社グループは、2021年度に温室効果ガス排出削減目標の達成及び当社グループが展開する事業を通じてカーボンニュートラル以上の社会を実現させるための全社横断型組織であるクライメート・ポジティブ委員会を発足し、脱炭素に係る中長期戦略を策定いたしました。

また、当社取締役会において気候変動リスクを当社の利益、社会的信用等の企業価値を毀損し企業に悪影響を及ぼすリスクとして位置づけ、TCFDのフレームワークに沿って気候関連リスク及び機会の分析・評価を実施し、対策の検討を進めました。

気候変動を含む環境・社会課題の解決に向けた当社グループの取り組みを主導するため、2024年1月にクライメート・ポジティブ委員会の活動内容を承継するサステナビリティ推進委員会を設置し、当社グループのクライメート・ポジティブ及びその他のサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。

サステナビリティ推進委員会では、委員長である代表取締役社長兼CIOOが気候変動に関する取り組みの最高責任を負っています。サステナビリティ推進委員会内のプロジェクトチームとしてクライメート・ポジティブ推進チームを設置し、グループ会社取締役、各部門の責任者が全社横断で関係者を含めた取り組みを推進しています。

今後、サステナビリティ推進委員会で協議した内容について取締役会は重要な経営・事業戦略として議論、方針の決定、気候変動問題に対する計画等の監督を行います。2030年度に向けたカーボンニュートラルに関する中長期目標の達成に向けて、社員や経営層の関与の促進を行っています。

 

② リスク管理

当社グループは、シナリオ分析に基づき、気候関連リスク・機会による事業への影響を評価し、その結果を気候変動戦略として事業戦略に反映することで、気候関連リスクへの対応を進め、また気候関連の機会実現を図っています。

気候関連リスク・機会に関しては短期・中期・長期の時間軸を考慮し、財務的影響への影響度を大・中・小の3段階で評価しています。気候関連リスク・機会の評価は下表「アミタグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会」のとおりです。

 

アミタグループにとって特に重要な気候関連リスク・機会 ※「財務影響度 大」のみ抜粋

項目

リスクの概要

アミタグループにとって

重要なリスク

財務影響度

アミタグループの対応方針

移行リスク

政策・

法律

既存の製品及びサービスへの命令及び規制

CO2排出量の多い業界(鉄鋼、非鉄金属、セメント等)に対する規制が強化され、CO2負荷の高い製品の生産量が減少し、且つ再生資源の処理単価も上がることで、事業採算性が悪化する。

顧客の商品・サービスが循環型モデルへ移行するようCyano Projectを通して支援する。また脱炭素に寄与する低炭素原材料や運営方法を提供することで、顧客の調達・製造・販売等における削減貢献も支援する。

技術

低排出設備の技術進展

製造設備や車両を低排出設備へ切り替える投資資金が必要となる。

旧設備の固定資産が未償却の場合は、特別損失等が発生する。

インターナルカーボンプライスを導入し、低炭素化設備の投資を促す社内体制を構築する。
循環資源製造所ではCO2低排出の生産プロセスの変換を積極的に進める。

再エネ調達の普及、再エネ技術の普及

自社で再エネ発電設備を導入する場合、投資資金が必要となる。再エネ買電は短期的には電力単価が上昇することになるので、製造原価が上昇する。

物理リスク

急性

台風や洪水など極端な気象事象の発生頻度の高まり

自社生産拠点及び主要取引先の浸水、設備の破損、操業中断、停止

(BCP発動)

リスク管理体制を強化し、生産拠点戦略を定期的に見直す。
また、サプライチェーン全体のBCP対策を立案し、実行する。

 

 

項目

リスクの概要

アミタグループにとって

重要な機会

財務影響度

アミタグループの対応方針

機会

エネル

ギー源

新技術の導入

製造設備や車両の電化が進み、再エネ電力の利用も拡大していくことで、低排出の製造オペレーションに移行する。

製造プロセスの転換により、提供する商品やサービスをゼロカーボン化する。

さらに、自社で蓄積したノウハウを取引先や顧客に対しても提供していく。

より低排出なエネルギー源の使用

シリコンリサイクルのエネルギー源を、重油からバイオマスやガス等へと転換する。

エネルギーの転換に向けて、自社単独での転換検討を進めながら、地域での面的展開が進むように、地域・行政と連携し、低排出の工業団地化に向けたアクションを主導する。

製品・

サービス

サービスの

拡張

社会の価値観が変わることで、潜在的及び顕在的リスクへのレジリエンスを高められるCyano Projectの需要が高まり、サービスが拡張する。

また、循環型の新たな社会インフラとなるMEGURU PLATFORMの必要性が高まり、潜在的な社会ニーズの市場化が実現する。

Cyano ProjectとMEGURU PLATFORMの商品展開を進めながら、社会ニーズを獲得する。

低排出商品の開発・拡張

ゼロカーボン化に向けた商品ニーズが高まり、商品の開発、展開が可能になる。

ゼロカーボンの商品開発や商品の製造や商品使用に関するCO2排出量の1次データ等の情報開示を通して、顧客のScope3の削減を支援する。

市場

新市場への

アクセス

世界的な社会ニーズの顕在化に伴い、マレーシアでの事業領域の拡大や、他国での横展開が促進される。

マレーシアに加えて、インドネシアでの事業構築を進める。また、平行して島嶼での循環型社会モデルの構築をパラオを中心に進める。

世界的な半導体の需要拡大に応じて、シリコンスラリー廃液の再資源化ニーズが高まる。

半導体関連企業とグローバルで連携し、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラル化するスキーム構築と、製品開発を進める。

 

 

③ 戦略

当社グループは、包括的な移行戦略のグローバル評価基準「ACT(アクト)」を活用し、長期的なビジョン・経営戦略に基づく事業計画が、どのような気候変動影響を受けるか、2030年時点における1.5℃シナリオ、4℃シナリオから、リスクと機会、財務影響を分析しました。どちらのシナリオも国際エネルギー機関(IEA)が公表しているシナリオをベースとし、移行リスクと機会は1.5℃シナリオ、物理リスクは4℃シナリオの予測のもと評価;検討を実施しています。

気候変動に伴う事業環境、市場価値観、自然環境の変化に対して、当社グループのビジネスモデルを変革していく必要性を認識しており、且つ当社が目指す“エコシステム社会構想2030”の構築機会になるとも認識しております。

今後は、グループの強みを活かし、リスクの低減と機会の獲得を戦略的に管理し、経営資本を獲得・維持・増幅させていくことで、持続可能な新市場を創造してまいります。

 

④ 指標及び目標

当社グループでは、“豊かな関係性が価値となる持続可能社会の実現”というミッションに基づき、自社グループのカーボンニュートラルに関する中長期目標を2022年6月に策定しました。2030年までに、Scope1、2、3を2020年比で50%削減するほか、Scope4(事業・サービスによる社会の削減貢献量)において年間10万t-CO2の削減貢献を達成する目標を定めております。ミッションの実現のため、今後も各事業における対応を進め、目標達成に向けて意欲的に取組みを進めていきます。中期目標③については、循環資源製造所の調達電力をコーポレートPPAによる再生可能エネルギーに切り替え、オフィス使用電力分は非化石証書にて相殺することで達成見込みです。排出実績については、現在算定中ですので、準備が整い次第開示を行います。

 

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(3)人的資本・多様性に関する事項

① 戦略

当社グループは「いのちをコストにしない社会」すなわち「発展すればするほど自然資本と人間関係資本が豊かになる持続可能な社会」の実現をミッションとしています。

個々の生命が成立するには、無限の生命の良関係が必要であり、内外からの関係性が私たち一人ひとりを構成しています。私たちは、経済発展や国家の利益のために人のいのちが軽んじられ、自然が破壊される近代の誤作動を正し、生命は価値を創る資本であることを事業を通じて証明すると「Our Mission」及び「AMITA信頼5原則」によって社会に約束しています。

このミッションを果たすため、「凡人集まりて非凡を成す」という企業ポリシー及び「善く暮らし、善く働き、善く学ぶ」ための「ライフ・ワーク・ラーン」という考え方に基づき、仕事を通じた人間力の向上と関係性の醸成等によって従業員の人生をより豊かなものとすることを目指します。

性別・年齢・国籍・人種・学歴・職歴・宗教・障がいの有無・性自認等に関わらず、従業員一人一人の人間性と価値創出意欲を重視した採用活動及び人財育成を推進し、理想の未来に向かって仲間と共に挑戦し続けるイノベーティブな企業文化の醸成に取り組んでいます。

 

<人的資本・多様性に関する3つの柱>

「凡人集まりて非凡を成す」「ライフ・ワーク・ラーン」という企業ポリシーに基づく3つの柱

(ア)仲間と共に無限の価値を生み出す価値創出人財の育成

(イ)時代の変化に対応するダイバーシティ&インクルージョン

(ウ)Well-beingを高める風土づくりと環境整備

 

②3つの柱における取組

(ア)仲間と共に無限の価値を生み出す価値創出人財の育成

・哲学、倫理観、文明論等を含む重層的な従業員研修

役職や経験に応じて、時代を読む力、企業哲学、価値創出メカニズム、チームビルディング等をテーマにした研修を実施しています。新入社員には当社独自のプログラムとして「平等・公平・個人・個性・権利・義務・自由・自立」の8つの言葉の定義と相関関係を可視化する「レゾンデートル研修」等を行っています。

・本質的な問いを立てる力を養う思考力訓練

答えを探すのではなく、答えを創るイノベーティブ人財の育成を目的に、正解のないテーマについてチーム単位で議論・発表を行うコンテスト形式の研修を実施しています。

・個人評価制度の廃止によるチームビルディングの強化

個人評価制度を廃止し、チームで目標を設定・管理する「OKR」の手法を導入しています。1人の100歩より100人の1歩のほうが、より大きなことを成し遂げられるという考えのもと、集合知を発揮するイノベーティブな組織づくりを目指しています。

・資格取得支援制度

業務に関連する資格や将来的な必要性が認められる資格に対し、会社が受験料や取得にかかる費用を支援します。従業員の新たな挑戦を積極支援することで、企業の価値創出力向上を目指します。

・成長意欲を後押しする自己啓発活動支援

従業員の学びと成長意欲を会社が後押しする制度です。知性や感性、社会性を磨き、人間力を高めることにつながる個人活動に対し、事前申請不要で一定金額の補助を行っています。

(イ)時代の変化に対応するダイバーシティ&インクルージョン

・女性の働きやすい職場づくりを目指すKAGUYA(かぐや) PJ

女性従業員が自ら職場環境の改善を企画し、経営層に直接提案するプロジェクトです。多様な働き方を従業員が相互支援する「AMITIME制度(後述)」や、子供が親の仕事場を見学する「子ども参観日」、おむつ台を備えた救護室の整備など、女性目線での職場環境整備を進めています。

・人間性と価値創出意欲を重視した採用活動

未来創りには、過去の経験やスキルよりも、自分が未来を創るという強い意志が重要です。採用において重視する点は、ミッション共感性、夢の実現に対する意欲、仲間との協働精神、困難に挑戦する気概等であり、国籍や性別、学歴、職歴等は不問です。

・多様なバッググラウンドを持つ人財の中途採用

年齢・職種を問わず、常時中途入社の人財を受け入れています。企業で働かれていた方はもちろん、青年海外協力隊、一次産業従事者など、多様なバックグラウンドを持つ人財が在籍しています。

・シニア人財の活躍推進(人間関係資本コース)

65歳での退職後も継続して働くことができる人事制度上のコース「人間関係資本コース」を用意しています。仕事・職縁が人生を豊かにするという考えから、本人の意欲次第で何歳になっても働くことができます。

・ダイバーシティ研修等の実施

組織が持続的に発展するには、多様な視点とバックグラウンドを有する従業員が、互いの強みを活かし弱みをシェアして補い合う組織づくりが重要です。人的資本のポテンシャルを最大限引き出す施策として、ダイバーシティ&インクルージョン研修や人財マネジメントシステム「カラーズ図鑑」の導入等を行っています。

・各種の相談、通報窓口の設置

取締役・従業員・退職者(期限付)等が匿名利用できる内部通報窓口を設置し、コンプライアンス違反行為の早期発見に努めています。通報内容は、担当役員へ迅速に伝達され、顧問弁護士等と連携しながら事案の解決を図ります。通報者に対する不利益取り扱いの禁止、通報者の保護に関する事項を定め、全取締役・全従業員に周知しています。

 

(ウ)Well-beingを高める風土づくりと環境整備

・週32時間就労とリモートワーク&フレックスタイム

コアタイム(出勤義務のある時間帯)を無くし、1日あたりの最低労働時間を4時間とするフレックスタイムと、オフィス外での勤務を可能にするリモートワークを制度化。また2023年度より、働き方を根本的に見直し「週32時間就労(実質週休3日相当)」に挑戦しています。「価値づくりの源泉は、業務上の知見・経験だけでなく、多くの人や社会との関係性で育まれる人生の中にこそある」という考えのもと、従業員のWell-being向上が企業の価値創出力向上につながる仕組みづくりを推進しています。

・多様な生き方、働き方を仲間が支えるAMITIME制度

未消化で消滅する年次有給休暇をグループ全体で貯蓄し、子育てや介護等休みが必要な従業員が利用できる制度です。組織内での相互扶助により、多様な働き方を支援し、安心を実現できる職場を目指しています。

・関係性を増幅する福利厚生

従業員とその家族の自宅を対象に、 FIT電気(再エネ由来)への切り替えを支援する「あみ電手当」制度や、当社が運営するバイオガス施設「南三陸BIO」で製造された液体肥料を施肥した「めぐりん米」の社員配布等、社員自身が持続可能な社会を実感・体感できる福利厚生を整備しています。

・価値ある失敗を推奨する表彰制度

「MVF(Most Valuable Failure)賞」という、失敗を恐れずにミッションの実現に向け積極的に挑戦するチームや個人をたたえる表彰を毎年実施しています。失敗から得た学びに価値があるという考えに基づく、挑戦を促す制度です。

・従業員と経営層による建設的な議論・対話の場「カンパニー・ミーティング」

時代の変化に合わせた働き方やより良い組織風土を育むため、従業員と経営層が議論・対話できる場を設けています。各拠点の従業員代表が運営し、全従業員から"より良い会社のための意見・アイディア"を集め、経営層と対等な立場で議論を行います。この議論を発端に、社内副業制度等が生まれました。

 

③3つの柱における指標及び実績

(ア)仲間と共に無限の価値を生み出す価値創出人財の育成

指標(KPI)

目標

実績(当連結会計年度)

自己啓発活動助成制度の利用率

(注)

2027年度目標:50%

18.1%

利用者数:46名 利用件数:148件

将来的に、一人あたり教育訓練投資額・年間研修受講時間や新規資格取得者数等の開示を検討しています。

(注)自己啓発活動助成制度の対象である当社及び国内連結子会社内の全従業員における割合

 

(イ)時代の変化に対応するダイバーシティ&インクルージョン

指標(KPI)

目標

実績(当連結会計年度)

女性社員比率 (注)1

全従業員:53.5%

正社員のみ:41.0%

女性役員比率 (注)2

2025年度:19%

2030年度:30%

13.3%

育児休業の取得者数 (注)3

9名

育児休暇取得後の復職率

100%

100%

コンプライアンス研修受講率 (注)4

2027年度目標:100%

83%

ソーシャル・タイム制度の

利用者数・利用日数 (注)5

2024年度有価証券報告書にて

開示予定

12名

合計28.5日

(注)1.当社及び国内連結子会社における割合、休職中の社員を含む

(注)2.当社及び国内連結子会社における割合

(注)3.当社及び国内連結子会社内の臨時雇用社員を含む値

(注)4.研修対象者である当社及び国内連結子会社内の全従業員における割合

(注)5.ソーシャル・タイム制度は、正社員・臨時雇用者(シニアパートナー社員のみ)を対象としたボランティア等の社会的活動に利用できる有給休暇制度

 

(ウ)Well-beingを高める風土づくりと環境整備

指標(KPI)

目標値

実績(当連結会計年度)

タイムシフト利用者率 (注)1

2024年度有価証券報告書にて

開示予定

35.4%

AMITIME制度の

利用者数・利用日数

9名

合計140.1日

リモートワーク&フレックスタイム

活用率 (注)2

リモートワーク・在宅勤務率:31.1%

フレックスタイム制度利用率:85.2%

あみ電手当申請人数

平均14人

従業員の職場環境を問う設問での

ポジティブ回答率 (注)3

2027年度目標:100%

79%

(注)1.週32時間就労制度対象者である当社及び国内連結子会社内の正社員・臨時雇用者(シニアパートナー社員のみ)における「タイムシフト休暇」の利用者の割合

タイムシフト休暇:週32時間就労の達成に向けて設定された休暇制度 1週間で8時間まで1時間単位で取得可能

(注)2.リモートワーク&フレックスタイム制度対象者である当社及び国内連結子会社内の全従業員における割合

(注)3.当社及び国内連結子会社内において、毎年実施する従業員アンケートでの回答割合

 

(エ)(ア)(イ)(ウ)の共通項目

指標(KPI)

目標値

実績(当連結会計年度)

離職率 (注)1

5.5%

当社グループで働くことへの誇りを問う設問でのポジティブ回答率 (注)2

2027年度目標:100%

74%

企業理念への共感を問う設問での

ポジティブ回答率 (注)2

2027年度目標:100%

82%

将来的に、人的資本ROIや従業員の労働生産性などの開示を検討しています。

(注)1.当社及び国内連結子会社内の正社員の離職率

(注)2.当社及び国内連結子会社内において、毎年実施する従業員アンケートでの回答割合

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会計の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月22日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当社グループが紹介する産業廃棄物の収集・運搬業者や中間処理業者による不法投棄等によるリスク

当社グループが資源発生元に対して提案・紹介する産業廃棄物の収集・運搬業者や中間処理業者については、その選定の過程で許認可の取得状況や財務状況等を訪問調査や外部の信用調査機関等による調査で確認を行い、信用できると当社グループが判断した業者に限定して紹介をしております。しかし、当社グループの紹介した業者が不法投棄等を行った場合、当社グループが「産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法)等に基づく罰則を受けることはありませんが、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② リサイクル工場施設の賃貸借契約について

当社グループのリサイクル工場のうち、姫路循環資源製造所においては施設用地の一部(総面積21,487.43㎡中、7,505.55㎡分)及び工場建物の一部、北九州循環資源製造所においては施設用地を賃借しております。

現時点においては、用地及び建物の貸主と当社グループの関係は良好であり、貸主から契約期間中の解約の申し出がなされる可能性は低いものと考えておりますが、貸主側の事情の変更等により、予期せぬ解約の申し出がなされる可能性があります。仮に、解約の申し出がなされた場合、当該施設は産業廃棄物の中間処理施設であることから、代替の用地及び建物の確保には相当の困難が伴うものと予想されます。従って、解約の申し出がなされ、代替の用地及び建物が適時に確保できない場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 法的規制について

当社グループが行うサーキュラーマテリアル事業は、廃棄物処理法上、産業廃棄物の処分に該当し、また、発生品の運搬に関して積み替えのための保管を行うことは産業廃棄物の収集・運搬に該当します。従って、当社グループのサーキュラーマテリアル事業は廃棄物処理法の規制を受けることになります。

(イ)産業廃棄物処理業許可

廃棄物処理法上、産業廃棄物の収集・運搬(保管・積み替えを含む)及び処分(中間処理・再生を含む)を業として行うためには各自治体の許可が必要とされております。そのため、当社グループは、産業廃棄物処理業に関する許可を取得しており、その許可と有効期限は以下に示すとおりです。

<アミタサーキュラー株式会社>

a. 産業廃棄物処分業許可(姫路市長)許可番号07023000689号 2027年11月1日

b. 特別管理産業廃棄物処分業許可(姫路市長)許可番号07073000689号 2027年11月1日

c. 産業廃棄物処分業許可(茨城県知事)許可番号00821000689号 2027年12月25日

d. 特別管理産業廃棄物処分業許可(茨城県知事)許可番号00871000689号 2027年12月25日

e. 産業廃棄物処分業許可(北九州市長)許可番号07620000689号 2029年6月28日

f. 産業廃棄物処分業許可(宮城県知事)許可番号00429000689号 2026年6月8日

g. 産業廃棄物収集運搬業許可(兵庫県知事)許可番号02802000689号 2030年4月26日

h. 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(兵庫県知事)許可番号02852000689号 2029年7月1日

i. 産業廃棄物収集運搬業許可(姫路市長)許可番号07013000689号 2027年11月1日

j. 特別管理産業廃棄物収集運搬業許可(姫路市長)許可番号07063000689号 2027年6月14日

k. 産業廃棄物収集運搬業許可(岡山県知事)許可番号03303000689号 2024年8月21日

 

 

(ロ)事業活動の停止及び取消要件について

廃棄物処理法上、不法投棄、無許可営業、無許可変更及びマニフェスト虚偽記載等一定の要件に該当する場合には、当社グループに対し事業の停止命令及び許可の取消処分がなされる可能性があります。

当社グループは、内部監査等を通じて定期的に業務における法令遵守の確認を行い、廃棄物処理法の事業停止要件、許可取消要件に該当することのないよう努めております。万が一、当社グループの業務がこれらの要件に該当し、事業停止命令、許可取消処分がなされた場合、当社グループの強みである自社製造所によるサーキュラーマテリアル製造業務が不可能となり、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ハ)許可の更新

廃棄物処理法上、産業廃棄物処理業の許可は有効期限が5年間(優良産業廃棄物処理業者認定制度による優良認定を受けた場合は7年間)とされており、当社グループが有する産業廃棄物処理業の許可には上記のような有効期限が定められているため、該当許可の有効期限が切れる場合は許可を更新する必要があります。また、更新が認められるためには廃棄物処理法上の基準に適合している必要があります。

現在当社グループは、当該基準に適合しており、許可が更新されない事由は発生しておりません。しかし、今後の更新時に廃棄物処理法で規定されている基準に当社グループが適合していると認められない場合、許可の更新がされず、当社グループのサーキュラーマテリアル製造施設等の操業が停止することで当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ニ)新たな処理業の許可又は事業範囲変更の許可取得

当社グループが新たな事業展開を行うにあたり、事業範囲変更の許可又は許可の新規取得が必要となる可能性が考えられます。これらの許可を取得するためには、当社グループが廃棄物処理法の基準に適合している必要があります。

現在当社グループは、当該基準に適合しており、許可の取得が認められない事由はございませんが、万が一、廃棄物処理法に規定されている基準に当社グループが適合していると認められない場合、許可の申請が却下されることになります。また、当社グループがすでに取得している廃棄物処理業許可の停止並びに取消要件に該当した場合、許可の新規取得は不可能となります。このような事態が発生した場合、新規事業の展開自体が不可能となり、当社グループの事業展開に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 環境認証審査サービスについて

当社グループが行う環境認証審査サービスの業務執行に当たって、FSCについては審査会社としての資格、MSC・ASCについては認証機関としての資格を維持するため、それぞれFSC認証機関(Soil Association、ソイルアソシエーション)及び第三者認定機関であるASI(Accreditation Service International、国際認定サービス)の各種監査を受けます。当社グループは、サービスのQMS(Quality Management System、品質管理システム)の維持・向上に取り組んでおりますが、当該監査を通過できなかった場合、審査及び認証サービスの資格が一時停止又は取消されることで当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 為替変動の影響について

当社グループは台湾・韓国・マレーシア等の海外の会社と取引を行っており、これらの会社との取引は主に米ドル建てですが、海外事業の展開に伴い現地通貨建て取引が拡大する見通しであることから、円/米ドル並びに、円/現地通貨の為替レートの変動リスクが発生いたします。為替変動リスクは完全に排除することは困難であり、為替変動は当社グループの業績に影響を及ぼすことがあります。

 

⑥ 財政状況、経営成績について

(イ)借入金の依存度について

当社グループの事業においては、循環資源製造所における設備投資や効率的な営業戦略を実行するためのIT設備投資及び営業網拡大・人員増強等のための投資が不可欠ですが、これらの投資及び運転資金の拡充等により、2023年12月期末における総資産に占める借入金の比率は33.6%であります。今後、経済情勢の変化による金利上昇により支払利息負担が増大することで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ロ)業績の変動について

当社グループの事業において扱う発生品(廃棄物等)は、資源発生元の製造工程から副次的に発生する物であり、製造業において大幅な生産調整等が行われた場合、発生品の取扱量も想定を下回ることで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(ハ)競争の状況について

当社グループは企業のサステナビリティ向上ニーズに対して、約45年に渡り培ったサステナビリティ分野の良質なネットワーク、並びに人・資源・情報などの経営資本を活かした統合的な提案を行っており、100%資源化サービスにおいても、天然資源の代替製品を製造するリサイクル事業から、持続可能な調達・資源活用の総合ソリューションを提供するサーキュラーマテリアル事業へ高度化するなど、他社との差別化を進めております。ただ、産業廃棄物の排出量は近年漸減の傾向がみられ、さらに、自治体等による廃棄物処理のマッチング提案等がインターネットの普及により低廉化されております。また環境市場の拡大に伴い、新しいビジネスモデルで環境市場に参入する企業も増加しており、環境市場の拡大・活性化は当社グループにとってもチャンスです。しかしながら、競争の激化が当社グループの顧客の流出に繋がる可能性もあり、その場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦ 事故、自然災害等による影響について

当社グループの循環資源製造所には、破砕機や混合機などの製造設備があり、多量の可燃物を取り扱っていることから、様々な安全対策の徹底を図り、対人・対物を問わず、事故防止に務めております。しかしながら、万一重大な事故が発生した場合には、操業を停止せざるを得ない事態や設備の復旧に多額の投資が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、国内外の製造拠点や事務所等において、大規模地震や台風等の自然災害、その他戦争やテロ等、当社グループの制御不能な事態が発生し、事業活動に支障が生じた場合やそれに伴う環境汚染が生じた場合には、当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、中核拠点である循環資源製造所においては、当該拠点に影響を及ぼす自然災害等の緊急事態の発生に対して、平時の事前の対策、緊急事態発生時の初動対応、緊急対応及び復旧対応等の計画を定めておくことで、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、身体・生命の安全確保を図りながら優先的に継続・復旧すべき重要業務の継続又は早期復旧を達成することを目的とし、事業継続計画(BCP)を設定しております。

 

⑧ 情報セキュリティについて

当社グループは、事業遂行の一環として、多数の個人情報を有しています。また、当社グループの各サービスに関する営業秘密を多数有しています。当社グループは、情報管理に対策を講じていますが、不測の事態によりコンピュータウィルス、ソフトウェア又はハードウェアの障害、災害、テロ等により情報システムが機能しなくなる可能性や、情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用する可能性があり、このような事態が生じた場合、当社グループの事業や、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 財務制限条項の付された借入契約について

当社は、シンジケートローン契約を締結しており、この契約には各年度の決算期末日における連結貸借対照表の純資産の部の金額や、各年度の決算期における連結損益計算書の当期損益を基準として財務制限条項が付されています。これに抵触した場合、借入金の返済を求められ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 人的資本の確保について

労働人口が恒常的に減少し、働き方の多様性が加速していく中で、新たな人材確保の難易度が上がった場合や既存人材が流出する等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。なお、Well-being向上により価値創出力を高める週32時間就労への挑戦、価値創出につながる多様な働き方としてリモートワークの推進や社会活動に対する有給休暇制度等の実施、さらには挑戦を促進する目標管理制度の導入や教育訓練施策の強化等を図っております。

 

⑪ 新型コロナウイルス感染症及びこれに類する大規模な感染症等の発生について

新型コロナウイルス感染症は、規制が大幅に緩和され、国内外の社会経済活動への影響は低減していると認識しており、当該感染症の影響については、連結業績に大きな影響を与えるものではないと判断しております。当社グループとしては、当該感染症が再拡大又はこれに類する大規模な感染症等が発生した場合に備え、顧客企業や取引先を含むステークホルダーの皆様への影響を抑えるべく、非対面・遠隔での商談やサービス提供等の推進やリモートワーク等の社内対応策等を継続・発展させてまいります。なお、当該感染症が再拡大又はこれに類する大規模な感染症等が発生した際のリスクとして、顧客企業や取引先において大幅な生産調整や計画変更等が行われた場合や、当社グループ社員に感染者が発生し製造拠点や事業所等における事業活動に支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ ロシア・ウクライナ情勢に関連する影響等について

ロシア企業との有価物取引の一部又は全部が停止することで、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。ただし当該取引の売上全体に占める割合は1%以下であり、当社グループ全体の業績に与える影響は軽微であります。また、同情勢による資源価格の高騰が産業界に影響を及ぼすことで、短期的には足元の結果・評価に直結する事業活動を優先する企業が増加し、その結果、顧客企業のESG経営や脱炭素計画が停滞・遅延することが考えられます。それにより当社のコンサルティングサービス等の提供・拡大がずれ込み、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、長期的には資源価格の高騰により国産化・内需拡大が進み、短期的にも製造業における代替資源(リサイクル原料)へのニーズや、持続的なビジネスモデルへの事業変革・移行戦略のニーズは継続・拡大していくと考えており、当社グループ事業拡大への追い風と捉えています。

また、中東情勢や台湾情勢についても注視すべき国際情勢として情報収集並びに影響分析を進めてまいります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の規制が大幅に緩和され、インバウンド需要を含む消費活動が回復するなど、物価高の中でも景気は緩やかに回復しております。一方で、金融政策と連動した円安の長期化や世界経済の減速、ウクライナショックの長期化や中東での軍事衝突の発生、原材料や資源価格の高騰やこれらに伴う国内の食品・日用品等の物価上昇など、グローバルサプライチェーンの不安定化や社会の不確実性が残存する状況が続いております。このような経済状況のもと、当社グループは、持続可能な社会の実現を目指し、2030年に向けた事業ビジョンである「エコシステム社会構想2030」(2022年11月発表)を掲げ、持続可能な企業経営や地域運営を統合的に支援する「社会デザイン事業」の開発・提供に取り組んでおります。その基盤として、組織改革を行い、組織の機動性・サービスの品質・価値創出力等の向上に努めるとともに、異業種企業との戦略的パートナーシップを積極的に推進してまいりました。

トランジションストラテジー事業領域においては、循環型の事業創出・事業変革を統合的に支援する「Cyano Project(シアノプロジェクト)」について、長期的視点でのサステナビリティへの機運の高まりから、既存ビジネスの変革を目指す企業からの問い合わせが多数寄せられる状況が継続しております。一方で、度重なる異常気象やグローバルサプライチェーンの不安定化等が深刻化する中で、短期的には足元の結果・評価に直結する事業活動を優先する企業が増加しております。その結果、ESG施策に関する意思決定や商談スケジュールが後ろ倒しとなり、受注計画に遅れが生じました。この状況に対応するため、受注率向上に向けたマーケティング施策の強化や、昨今注目度が高まっている企業活動で生じる自然リスクの情報開示(TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応を含めた商材や生産拠点の持続性向上を支援する「工場向け支援パッケージ」の開発・提供等を行ってまいりました。その結果、第4四半期以降の受注状況は改善傾向となっております。環境認証審査サービスでは、FSC®CoC認証を中心に新規顧客からの受注を継続的に獲得できており、好調に推移しております。環境管理業務のICT・BPOサービスは、顧客企業の人材不足等によるニーズの高まりを受け、引き続き好調に推移しております。

サーキュラーマテリアル事業領域においては、グローバルサプライチェーンの不安定化により原料調達リスクの顕在化に加えてカーボンニュートラルの動きが加速するなかで、代替資源の利用ニーズは着実に拡大傾向にあります。ただし足元では、資源価格の高騰や人員不足等に起因して製造業界が低調であること等により、当社グループが提供する代替資源の取扱量に影響が出ております。こうした背景のもと、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブに寄与する石炭代替商品の製造・販売、リサイクル価格の適正化、製造所における生産性向上等の利益率向上に向けた取り組み等を実施してまいりました。一方で、シリコンスラリー廃液の100%リサイクルは、半導体産業が生産調整局面に入ったこと等により取扱量が減少いたしましたが、今後半導体産業の回復が見込まれているため、生産体制強化の準備を進めております。また、競争環境が厳しいNi再生資源等の海外有価物取引の取扱量の減少や、一部資源ユーザー企業の減産に伴う非鉄金属原料の取扱量の減少が生じました。なお、2022年10月より旧・川崎循環資源製造所の資源製造業務が「三友プラントサービス株式会社 川崎工場 資源循環プラント」に切り換えた関係で、当該取引の売上高及び売上原価は総額計上から純額計上に変更となっております。

海外事業のマレーシアにおいては、顧客企業の減産等の影響で取扱量が一時的に減少いたしましたが、現地での代替資源の利用ニーズの高まりを受け、既存案件の取扱量の復調と新規案件の獲得により取扱量は前年度を上回りました。また、インドネシアにおいては、インドネシア大手セメント会社PT Indocement Tunggal Prakarsa Tbk.社との基本合意書を軸に、産業廃棄物・一般廃棄物由来のセメント産業向け代替原燃料の製造・供給事業に係る可能性調査を加速しております。

エコシステム社会を実現するための社会基盤「MEGURU PLATFORM」の構築に関する活動としては、互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®」の面的な設置の展開に向けた福岡県大刀洗町、神戸市、福岡県豊前市での活動や、静岡県掛川市でのモデル構築に向けた活動、7月に採択された内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」において東レ株式会社と共同で、「MEGURU STATION®」を軸にしたプラスチックのサーキュラーモデルの構築及び展開に向けた活動等を継続しております。

パートナーシップ及び共創型事業モデル構築の領域については、当社が代表幹事を務める「ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(J-CEP)」において、「ペットボトルキャップ循環利用」や「製品のトレーサビリティ」に関する実証をはじめ異業種企業等とのサーキュラーエコノミーに係る具体的な連携事業の検討等を行ってまいりました。11月には三井住友ファイナンス&リース株式会社との間で「廃棄物マネジメントサービス領域での連携に関する基本合意書」を締結し、廃棄物マネジメントシステムの営業から運用までのサービス向上を目指した連携や、アミタ株式会社が提供している廃棄物管理BPOサービスの提供拡大及び将来的なニーズに即した新サービスの共同開発と提供について検討してまいりました。また12月にはアミタ株式会社が国内最大級の実績を持つ認証審査機関であるBSIグループジャパン株式会社のアソシエイト・コンサルタント・プログラムのメンバーに、サーキュラーエコノミー分野では日本で初めて認定され、企業がサステナブル経営に移行するためのコンサルティングサービスの展開促進を図ってまいります。

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

(イ)財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,351,428千円増加し、6,175,708千円となりました。

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,086,273千円増加し、3,909,503千円となりました。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて265,154千円増加し、2,266,204千円となりました。

 

(ロ)経営成績

当連結会計年度の経営成績は売上高4,536,499千円(前期比6.0%減、前期差△288,296千円)、営業利益472,160千円(前期比22.6%減、前期差△137,568千円)、経常利益530,844千円(前期比25.8%減、前期差△184,693千円)、親会社株主に帰属する当期純利益308,345千円(前期比42.0%減、前期差△222,896千円)となりました。

なお、当社グループは社会デザイン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて1,049,946千円増加し、2,829,579千円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は725,473千円(前期比140,390千円の収入の増加)となりました。これは税金等調整前当期純利益503,570千円の計上や減価償却費145,013千円の計上、前受金の増加額127,241千円の計上、法人税等の支払額150,282千円の計上などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は441,033千円(前期比371,191千円の支出の増加)となりました。これは有形固定資産の取得による支出326,367千円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果増加した資金は754,430千円(前期比896,596千円の収入の増加)となりました。これは長期借入れによる収入1,002,937千円などによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

当社グループは「社会デザイン事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

前年同期比(%)

社会デザイン事業(千円)

2,962,694

90.3

合計(千円)

2,962,694

90.3

(注)生産高は、循環資源製造所において中間処理したものによる生産高を販売価格で表示しております。

 

(ロ)受注実績

当社グループは「社会デザイン事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

社会デザイン事業

3,403,277

90.3

220,330

85.1

合計

3,403,277

90.3

220,330

85.1

(注)受注高及び受注残高は、循環資源製造所におけるリサイクル業務、環境認証審査、各種コンサルティング及び環境に関わる調査・研究を受注したものを記載しております。

 

(ハ)販売実績

当社グループは「社会デザイン事業」の単一セグメントであります。当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2023年1月1日

至  2023年12月31日)

前年同期比(%)

社会デザイン事業(千円)

4,536,499

94.0

合計(千円)

4,536,499

94.0

(注)最近2連結会計年度においては、連結売上高の10%以上を占める相手先がないため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は異なることがあります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ)財政状態及び経営成績

a.財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末における総資産は、流動資産は現金及び預金の増加などにより1,068,776千円増加、固定資産については、建設仮勘定(※北九州循環資源製造所における再資源化設備)の計上などにより282,651千円増加しました。結果、前連結会計年度末に比べて1,351,428千円増加し、6,175,708千円となりました。

(負債合計)

当連結会計年度末における負債合計は、流動負債は前受金や預り金の増加などにより366,939千円増加し、固定負債については長期借入金の増加などにより719,333千円増加しました。結果、前連結会計年度末に比べて1,086,273千円増加し、3,909,503千円となりました。

(純資産合計)

当連結会計年度末における純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により前連結会計年度末に比べ265,154千円増加し、2,266,204千円となりました。

 

b.経営成績

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、旧・川崎循環資源製造所の取引分が総額計上から純額計上となったことや、Cyano Projectの受注速度の遅延、海外有価物取引・非鉄金属原料の取扱量の減少などにより、4,536,499千円(前期比6.0%減、前期差△288,296千円)となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度の売上総利益は、売上高が減少した一方で、主にサーキュラーマテリアル事業における利益率の高い商材の拡大や製造原価の低減などにより2,137,953千円(前期比0.0%増、前期差+411千円)となりました。

(営業損益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、報酬給与手当、旅費交通費及びソフトウェア費等が増加したことなどにより1,665,793千円(前期比9.0%増、前期差+137,979千円)となったことにより、当連結会計年度の営業利益は472,160千円(前期比22.6%減、前期差△137,568千円)となりました。

(経常損益)

当連結会計年度の経常利益は、営業利益の減少や前連結会計年度に税控除を受けたマレーシア国内でのグリーン投資税制の影響がなくなったことによるマレーシア事業に関わる持分法投資利益の減少などにより530,844千円(前期比25.8%減、前期差△184,693千円)となりました。

(税金等調整前当期純損益)

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、経常利益の減少や固定資産に係る特別損失があったことなどにより503,570千円(前期比29.3%減、前期差△208,567千円)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の減少などにより、308,345千円(前期比42.0%減、前期差△222,896千円)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(ロ)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(ハ)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、借入の返済及び利息の支払い等であります。投資を目的とした資金需要は、製造設備やIT機器等の設備投資、商品開発や経営資源の増幅に資するファンドあるいは施策等の(設備投資以外の)投資等によるものであります。

当社グループの資金の源泉は、当面は主として営業活動、銀行借入により、必要とする資金を調達する方針であります。なお、上昇傾向にある金利に対して事前に準備を行い、手元資金の拡充及び今後の経営計画を推進する上で必要な財務基盤の安定化を目的として、2023年12月29日付で5億円の借入を行っております。

また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、2,829,579千円となっております。

 

(ニ)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、成長性・収益性については売上高、営業利益及び営業利益率、経常利益及び経常利益率を、資本効率についてはROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)を経営の重点指標としており、これらの改善及び向上を行うことを目標としております。

当連結会計年度における売上高は4,536,499千円(前期比6.0%減、前期差△288,296千円)、営業利益は472,160千円(前期比22.6%減、前期差△137,568千円)、経常利益は530,844千円(前期比25.8%減、前期差△184,693千円)であり、営業利益率は10.4%(前期比2.2ポイント悪化)、経常利益率は11.7%(前期比3.1ポイント悪化)となり、ROE(株主資本利益率)は14.5%(前期比16.3ポイント悪化)、ROIC(投下資本利益率)は10.2%(前期比7.5ポイント悪化)となりました。(※なお投下資本は、資金の運用サイド「(売上債権+棚卸資産-仕入債務)+固定資産」に着目して算出しております。)

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。