第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、製造業・非製造業ともに景況感は改善し、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要を含む消費活動が回復するなど、物価高の中でも景気は緩やかに回復しています。一方で、金融政策と連動した円安の進行・長期化や世界経済の成長鈍化、ウクライナショックの長期化や中東での軍事衝突の影響等による原材料や資源価格の高騰リスク、各国での重要選挙の動向、グローバルサプライチェーンの不安定性などには引き続き注視していくべき状況と認識しております。

このような状況の中で、当社グループは「未来デザイン企業」として、2030年に向けた事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」の実現に向け、持続可能な企業経営や地域運営を統合的に支援する「社会デザイン事業」の確立に向けた商品開発・展開に取り組んでおります。2024年~2025年は、市場展開へ向けた基盤整備期として位置づけており、当中間期においては業態改革と業績回復に向けた取り組みを推進してまいりました。具体的には以下のとおりです。

 

<持続可能な企業経営の支援領域:統合支援サービスCyano Project>

企業のサステナブル経営への移行支援を行う「Cyano Project(シアノプロジェクト)」においては、顧客に対してカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネイチャーポジティブ等の取り組みを全体最適の視点で提案し、構想から構築、実行までトータルでサポートしてまいりました。企業活動で生じる自然リスクの情報開示(TNFD:自然関連財務情報開示タスクフォース)支援等の問い合わせは多く、新規受注も継続しておりますが、より中長期視点での移行戦略支援につながる受注拡大に向けて、マーケティング及び営業戦略や商品設計の再構築を推進しております。一例として、サステナビリティメディア「Circular Economy Hub」を運営するハーチ株式会社と協働・連携によるCyano Projectの提供メニューとしてのワークショップを共同開発するなど、サーキュラー市場の活性化に資する取り組みを進めております。

ICT・BPOによる企業のサーキュラーマネジメント支援を行う「サステナブルBPOサービス」は、顧客企業の人材不足やサステナビリティ分野の知識不足に起因するガバナンスリスクの顕在化等を背景に、好調に推移しております。また、三井住友ファイナンス&リースグループとの合弁会社「サーキュラーリンクス株式会社」(4月1日設立)にて、企業のサステナブル経営とサーキュラーエコノミーの推進に向けたサービスを始動しております。

廃棄物の100%再資源化とカーボンニュートラル化の支援を行う「ダブルゼロ・エミッションサービス」においては、カーボンニュートラルの潮流やグローバルサプライチェーンの不安定化を受けて、代替資源(天然資源に代わる資源)の利用ニーズが増加傾向にあります。特に石炭代替商品などセメント向けの代替燃料の利用ニーズは高く、姫路循環資源製造所や、アミタ地上資源製造パートナーズである愛知海運株式会社 蒲郡リサイクルS.C.及び三友プラントサービス株式会社 川崎工場 資源循環プラントでの取扱量が増加しました。またシリコンスラリーの100%再資源化に関しては、2024年中に半導体産業の生産回復が見込まれる中、北九州循環資源製造所での新たな再資源化設備の稼働準備を進めてまいりました(7月29日稼働開始)。加えて、同製造所にある既存の再資源化設備の製造プロセスの自動化を強化し、本年4月より省人運転を開始しました。このことによる稼働時間の増加及び商品価値の向上に加え、上述した設備増設と合わせて、シリコン再資源化事業全体における製造量は2023年度比120%を目指しております。

 

<環境認証審査サービス>

FSC®CoC認証を中心に新規顧客からの受注を継続的に獲得しています。当中間連結会計期間から生じている提携先のFSC認証機関の体制不備による審査遅延は、解消されつつも残存しています。これに伴い、当社グループの当中間期に計上予定であった一部の審査の売上につきましては、当連結会計年度に計上される見込みです。

 

<海外事業>

海外統括子会社「AMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.」を軸に、マレーシアでの100%再資源化事業の拡大やインドネシアでの事業化検討等を含め、アジア・大洋州地域での社会デザイン事業の展開を推進してまいりました。

・マレーシア

マレーシアでの産業廃棄物の100%再資源化に関しては、現地での代替資源の利用ニーズが高く、前年度を上回る取扱量で推移しており、更なる新規入荷案件の獲得に向けて営業を強化しております。

・その他の国での事業展開

環境省「令和6年度脱炭素社会実現のための都市間連携事業委託業務」において、インド、インドネシア、パラオでの脱炭素化に向けた取り組みが採択され(4月1日)、各国において廃棄物の再資源化等に係る事業化に向けた調査等を実施しております。インドにおいては、事業可能性調査の連携先であるインド環境大手ラムキーグループと基本合意書を締結しました(5月1日)。インドを中心に、シンガポール、その他新興市場での事業連携を視野に、脱炭素社会・循環型経済を促す包括的な事業可能性調査を共同実施しております。また、事業可能性調査を続けていたインドネシアにおいては、8月以降に、インドネシアに拠点を置く東南アジア最大級の複合企業サリムグループと合弁会社を設立予定です。2027年中にインドネシア国内での循環資源製造所の開所及び事業の本格始動を目指してまいります。(※詳細は「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」を参照ください。)

 

<持続可能な地域運営の支援領域:Co-Creation City>

地方自治体の4大課題(人口減少、少子高齢化、社会保障費の増大、雇用縮小)を「関係性の増幅」と「循環の促進」で解決するまちづくりコンセプト「Co-Creation City(コ・クリエーションシティ)構想」の開発・展開を進めてまいりました。具体的には、自治体向け資源循環ソリューション「MEGURU COMPLEX(めぐるコンプレックス)※1」の開発や、互助共助コミュニティ型資源回収ステーション「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」の面的展開に向けた福岡県大刀洗町・神戸市・福岡県豊前市・愛知県長久手市・奈良市(月ヶ瀬地域)での活動を継続してまいりました。また「MEGURU PLATFORM(めぐるプラットフォーム)※2」の構築に関する取り組みとして、昨年7月に採択された内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期」において、東レ株式会社と共同で、「MEGURU STATION®」を軸にしたプラスチックのサーキュラーモデルの構築及び展開に向けた活動等を継続してまいりました。また、日本電気株式会社(NEC)と協業し、プラスチック資源におけるリアル・デジタル両面からの資源循環システム構築を目指す実証試験を開始しております。更に、アミタ株式会社が幹事を務める「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス:CLOMA」の活動において、キユーピー株式会社と味の素株式会社が取り組む「使用済みマヨネーズボトル回収の実証実験」に参画しております。

 

<開発・パートナーシップ領域>

「ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ:J-CEP」をはじめ、戦略的パートナー企業等とのサーキュラーエコノミーに係る具体的な連携事業の検討などを推進してまいりました。その1つとして、一般社団法人エコシステム社会機構(Ecosystem Society Agency:略称ESA(イーサ))(4月1日設立)へ発起企業として参画しております。ESAは、「循環」と「共生」をコンセプトに、人口減少・少子高齢化や新しい政策課題に直面する地方自治体と、新たなビジネスモデルの創出を目指す企業等が、統合的視点に立ってイノベーションを起こし社会的価値を創出するプラットフォームとなることを目指す組織です。ESAへの参画により、これまで以上に多くの自治体や企業と共創し、2030年ビジョンとして掲げる「エコシステム社会」の実現に向けた取り組みを加速させてまいります。

 

以上の結果、当中間連結会計期間における売上高は、姫路循環資源製造所や、アミタ地上資源製造パートナーズである愛知海運株式会社 蒲郡リサイクルS.C.及び三友プラントサービス株式会社 川崎工場 資源循環プラントでの取扱量の増加などにより2,306,052千円(前年同期比5.0%増、前年同期差+109,504千円)となりました。営業利益は、関係構築・戦略実現のための活動や人財への投資などを含めて販売管理費が増加したものの売上高が増加したため186,913千円(前年同期比3.8%増、前年同期差+6,923千円)となりました。経常利益は営業利益の増加やマレーシア事業に関わる持分法による投資利益の増加などにより241,792千円(前年同期比18.3%増、前年同期差+37,424千円)、親会社株主に帰属する中間純利益は経常利益の増加や繰延税金資産の増加に伴う法人税等調整額(益)の計上などにより214,475千円(前年同期比49.3%増、前年同期差+70,774千円)となりました。

なお、当社グループは社会デザイン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

※1…MEGURU COMPLEX:

MEGURU COMPLEXは、Co-Creation City構想を具現化する自治体向け資源循環ソリューションの1つです。可燃ごみを資源化する「バイオガス施設」「おむつリサイクル施設」「熱分解施設」の施設群で、焼却炉と埋立地のゼロ化を目指します。

※2…MEGURU PLATFORM:

MEGURU PLATFORMは、互助共助コミュニティ型の資源回収ステーション「MEGURU STATION®(めぐるステーション)」と、良質な資源と情報が集まるサーキュラーマテリアル製造所「MEGURU FACTORIES(めぐるファクトリーズ)」から構成されます。事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」の実現に向けて、もの・情報・人の気持ちの最適な循環を生み出す仕組みとして構築を進めています。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末における総資産につきましては、流動資産は仕掛品(※内閣府「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)に係るもの)の増加などにより59,837千円増加し、固定資産は繰延税金資産の増加や有形固定資産の増加などにより424,764千円増加した結果、前連結会計年度末に比べて484,602千円増加し、6,660,310千円となりました。

(負債)

当中間連結会計期間末における負債につきましては、流動負債は前受金の増加などにより233,338千円増加し、固定負債は長期借入金の増加などにより82,422千円増加した結果、前連結会計年度末に比べて315,760千円増加し、4,225,264千円となりました。

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産につきましては、株主配当を行った一方で親会社株主に帰属する中間純利益を計上したことにより前連結会計年度末に比べ168,842千円増加し、2,435,046千円となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて53,807千円減少し、2,775,772千円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果増加した資金は、212,585千円(前年同期比101,905千円の収入の減少)となりました。これは、税金等調整前中間純利益242,579千円の計上や、前受金の増加142,478千円などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果減少した資金は、303,529千円(前年同期比46,691千円の支出の増加)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出220,984千円や、投資有価証券の取得による支出87,289千円があったことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果減少した資金は、14,693千円(前年同期は370,834千円の獲得)となりました。これは、長期借入れによる収入200,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出131,708千円や配当金の支払69,912千円があったことなどによるものです。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

(子会社の吸収分割による株式移転)

当社は、2024年4月1日付で、アジア・大洋州地域でのビジネス展開を加速するため、マレーシア子会社をAMITA CIRCULAR DESIGN SDN. BHD.へと商号変更し、海外統括会社として新たに事業開始しました。これに際して、2024年2月1日付で当社とアミタ株式会社とで吸収分割契約書を締結し、アミタ株式会社から当社へ吸収分割による全株式移転を行いました。

 

(合弁会社の設立)

当社は、2024年4月1日付で、三井住友ファイナンス&リース株式会社(代表取締役社長:橘 正喜)の戦略子会社、SMFLみらいパートナーズ株式会社(代表取締役社長:上田 明)との間で、廃棄物マネジメント事業に関する合弁会社「サーキュラーリンクス株式会社(代表取締役社長:田部井 進一)」を設立しました。これに際して、2024年2月14日付で合弁契約書を締結しました。

合弁契約による合弁事業:

契約締結先

内容

出資額

合弁会社名

設立年月

SMFLみらいパートナーズ(株)

廃棄物マネジメントシステム事業、廃棄物マネジメントBPO事業、製品・資源等のサーキュラーに関する事業

当社      25,000千円

 

SMFLみらいパートナーズ(株)

25,000千円

サーキュラーリンクス(株)

(資本金50,000千円)

2024年4月